(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6675464
(24)【登録日】2020年3月12日
(45)【発行日】2020年4月1日
(54)【発明の名称】スライドレールアセンブリ及びそのブラケット装置
(51)【国際特許分類】
A47B 88/423 20170101AFI20200323BHJP
A47B 88/40 20170101ALI20200323BHJP
【FI】
A47B88/04 A
A47B88/12
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-195003(P2018-195003)
(22)【出願日】2018年10月16日
(65)【公開番号】特開2019-155061(P2019-155061A)
(43)【公開日】2019年9月19日
【審査請求日】2018年10月16日
(31)【優先権主張番号】107108198
(32)【優先日】2018年3月8日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】504297766
【氏名又は名称】川湖科技股▲分▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】513240939
【氏名又は名称】川益科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】陳 庚金
(72)【発明者】
【氏名】楊 順和
(72)【発明者】
【氏名】何 俊毅
(72)【発明者】
【氏名】王 俊強
【審査官】
津熊 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】
特開2017−023685(JP,A)
【文献】
特開2017−224800(JP,A)
【文献】
特開2017−059803(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2016/0286683(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 88/423
A47B 88/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のレールと、
前記第1のレールに取り付けられる第1のブラケット装置と、
第2のブラケット装置と、
を含むスライドレールアセンブリであって、
前記第2のブラケット装置は、
前記第1のレールに対して可動な支持フレームと、
長手壁と、取り付け部材とを含むブラケットであって、該長手壁は前記支持フレームに接続され、該取り付け部材は該長手壁に隣接して配置される、ブラケットと、
ピンを通じて前記ブラケットに枢結される締結部材であって、該締結部材は2つの部分を含み、該2つの部分のうちの1つは締結区画を含む、締結部材と、
前記締結部材を所定の状態で維持できるように前記締結部材に弾性力を提供するように構成された弾性部材と、
を含み、
前記締結部材が前記所定の状態にある場合、前記締結区画は前記取り付け部材に隣接し、
前記締結部材が前記所定の状態から第1の方向に回転された場合、前記締結区画は前記取り付け部材から遠ざかり、
前記第2のブラケット装置は、前記締結部材の第2の方向における回転経路上に配置される2つのブロック部をさらに含み、前記締結部材は該第2の方向に沿って回転され、
前記締結部材が前記所定の状態にある場合、2つのブロック部は、前記締結部材が前記所定の状態から前記第2の方向に回転するのを防止するために前記締結部材の2つの部分の傍らにそれぞれあるように構成され、
前記締結部材の2つの部分は支持部及び延長部であり、前記締結部材は接続部及び支持脚をさらに含み、該接続部は前記ピンを通じて前記ブラケットに枢結されるとともに前記支持部と前記延長部との間にあり、前記支持脚は前記弾性部材に当接するように構成され、前記支持部及び前記支持脚は前記接続部の2つの端部にそれぞれ隣接して配置され、前記延長部は前記接続部から長手方向に所定の距離伸長し、前記締結区画は前記延長部に配置され、前記支持部は前記接続部の延在方向に沿って屈曲され、前記支持脚は該延在方向に対して垂直な方向に沿って屈曲されている、スライドレールアセンブリ。
【請求項2】
前記支持フレーム及び前記ブラケットの双方は第1の側及び第2の側を有し、前記支持フレームの第1の側及び前記ブラケットの第1の側は同じ側に位置し、前記支持フレームの第2の側及び前記ブラケットの第2の側は同じ側に位置し、該第1の側と該第2の側とは反対側であり、前記2つのブロック部は該第1の側及び該第2の側にそれぞれ配置され、
前記スライドレールアセンブリは前記第1のレールに固定される取り付けベースをさらに含み、前記支持フレームは該取り付けベースを通じて前記第1のレールに可動に接続され、前記第1のブラケット装置及び前記第2のブラケット装置は前記第1のレールをラックの第1のポスト及び第2のポストに取り付けるように構成されている、請求項1に記載のスライドレールアセンブリ。
【請求項3】
前記取り付けベース及び前記支持フレームのうちの一方はガイド部を含み、前記支持フレームは該ガイド部を通じて前記取り付けベースに対して変位可能であり、
前記取り付けベース及び前記支持フレームは、前記支持フレームが前記取り付けベースに対して限られた範囲で変位できるように対応する制限構造を有する、請求項2に記載のスライドレールアセンブリ。
【請求項4】
前記第1のレールは第1の取り付け側と該第1の取り付け側と反対の第2の取り付け側とを有し、前記第1のブラケット装置及び前記第2のブラケット装置は前記第1のレールの第1の取り付け側に配置され、
前記スライドレールアセンブリは前記第1のレールの第2の取り付け側に配置される第2のレールをさらに含む、請求項1に記載のスライドレールアセンブリ。
【請求項5】
支持フレームと、
長手壁及び取り付け部材を含むブラケットであって、該長手壁は前記支持フレームに固定され、該取り付け部材は該長手壁に隣接して配置される、ブラケットと、
ピンを通じて前記ブラケットに枢結される締結部材であって、該締結部材は2つの部分を含み、該2つの部分のうちの1つは締結区画を含む、締結部材と、
前記締結部材に弾性力を提供するように構成された弾性部材と、
を含むブラケット装置であって、
前記弾性部材の弾性力に対応して前記締結部材が所定の状態にある場合、前記締結区画は前記取り付け部材に隣接し、
前記締結部材が前記所定の状態から第1の方向に回転された場合、前記締結区画は前記取り付け部材から遠ざかり、
当該ブラケット装置は、前記締結部材の第2の方向における回転経路上に配置される2つのブロック部をさらに含み、前記締結部材は該第2の方向に沿って回転され、前記第1の方向は該第2の方向の反対であり、
前記締結部材が前記所定の状態にある場合、前記2つのブロック部は、前記締結部材が前記所定の状態から前記第2の方向に回転するのを防止するために前記締結部材の2つの部分の傍らにそれぞれあるように構成され、
前記締結部材の2つの部分は支持部及び延長部であり、前記締結部材は接続部及び支持脚をさらに含み、該接続部は前記ピンを通じて前記ブラケットに枢結されるとともに前記支持部と前記延長部との間にあり、前記支持脚は前記弾性部材に当接するように構成され、前記支持部及び前記支持脚は前記接続部の2つの端部にそれぞれ隣接して配置され、前記延長部は前記接続部から長手方向に所定の距離伸長し、前記締結区画は前記延長部から横方向に突出し、前記支持部は前記接続部の延在方向に沿って屈曲され、前記支持脚は該延在方向に対して垂直な方向に沿って屈曲されている、ブラケット装置。
【請求項6】
前記支持フレーム及び前記ブラケットの双方は第1の側及び第2の側を有し、前記支持フレームの第1の側及び前記ブラケットの第1の側は同じ側に位置し、前記支持フレームの第2の側及び前記ブラケットの第2の側は同じ側に位置し、該第1の側と該第2の側とは反対側であり、前記2つのブロック部は該第1の側及び該第2の側にそれぞれ配置される、請求項5に記載のブラケット装置。
【請求項7】
支持フレームと、
長手壁及び取り付け部材を含むブラケットであって、該長手壁は前記支持フレームと一体化され、該取り付け部材は該長手壁に隣接して配置される、ブラケットと、
前記ブラケットに移動可能に接続される締結部材であって、該締結部材は支持部、延長部、接続部及び支持脚を含み、該接続部は該支持部と該延長部との間にあり、該接続部はピンを通じて前記ブラケットに枢結され、該延長部は締結区画を含む、締結部材と、
前記締結部材に弾性力を提供するように構成された弾性部材と、
を含むブラケット装置であって、
前記締結部材が所定の状態にある場合、前記締結区画は前記取り付け部材に隣接し、
前記締結部材が前記所定の状態から第1の方向に回転された場合、前記締結区画は前記取り付け部材から遠ざかり、
当該ブラケット装置は、前記締結部材の第2の方向における回転経路上に配置されるブロック部をさらに含み、前記締結部材は該第2の方向に沿って回転され、
前記締結部材が前記所定の状態にある場合、前記ブロック部は、前記締結部材が前記所定の状態から前記第2の方向に回転するのを防止するために前記締結部材の支持部の傍らにあるように構成され、
前記支持脚は前記弾性部材に当接するように構成され、前記支持部及び前記支持脚は前記接続部の2つの端部にそれぞれ隣接して配置され、前記延長部は前記接続部から長手方向に所定の距離伸長し、前記支持部は前記接続部の延在方向に沿って屈曲され、前記支持脚は該延在方向に対して垂直な方向に沿って屈曲されている、ブラケット装置。
【請求項8】
前記ブロック部は前記支持フレームの壁部又は前記ブラケットの壁部である、請求項7に記載のブラケット装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスライドレールアセンブリ及びそのブラケット装置に関し、より具体的にはブラケット装置の締結部材が所定の状態から不特定の方向に移動するのを防止するデザインに関する。
【背景技術】
【0002】
図1及び
図2に示すように、スライドレールアセンブリ100は固定レール101a、可動レール101b(
図3及び
図4にも示す)及びスライドレールアセンブリ100をラックのポストに取り付けるのに用いることができるブラケット装置102を含む。ここでは、ブラケット装置102はブラケット104、少なくとも1つの取り付け部材106及び締結部材108を含む。少なくとも1つの取り付け部材106は前述のラックのポストに取り付け可能であり、締結部材108はピン109を通じてブラケット104に枢結される。締結部材108は弾性部材110の弾性力を通じて所定の位置Pで維持できる。締結部材108が(
図1に示す)所定の位置Pにある場合、締結部材108の締結区画111は前述のラックのポストをロックするのに用いることができる。より具体的には、締結部材108に力が加えられた場合、締結部材108は第1の方向R1に回転して(
図2に示す)所定の位置P1から離れることができる。もはや締結部材108に力が加えられていない場合、締結部材108は弾性部材110の弾性力に対応して所定の位置Pに戻ることができる。締結部材108が所定の位置Pにある場合、理想的な製品の締結部材108は第1の方向R1とは反対の第2の方向に実質的に回転できないようにされるべきである。本先行技術では、締結部材108が前述の第2の方向に回転するのをブロック且つ防止するのにブラケット104の伸長壁112が通常用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第10021977号明細書
【特許文献2】米国特許第9986828号明細書
【特許文献3】米国特許第9629460号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、
図3及び
図4に示すように、締結部材108とピン109との間の公差又は不適切に加えられる外力によって締結部材108がピン109に対して所定の高さD持ち上がることが時折起こり得る。その結果、伸長壁112は締結部材108が第2の方向R2に回転するのをブロックできないため、スライドレールアセンブリ100及びブラケット装置102の品質及び使用に影響を及ぼす。
【0005】
本発明は、ブラケット装置の締結部材が所定の状態から不特定の方向に移動するのを防止するデザインに関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態によれば、スライドレールアセンブリは第1のレールと、第1のブラケット装置と、第2のブラケット装置とを含む。第1のブラケット装置は第1のレールに取り付けられ、第2のブラケット装置は支持フレームと、ブラケットと、締結部材と、弾性部材とを含む。支持フレームは第1のレールに対して可動である。ブラケットは長手壁と、取り付け部材とを含み、該長手壁は支持フレームに接続される。取り付け部材は長手壁に隣接して配置される。締結部材はピンを通じてブラケットに枢結され、締結部材は2つの部分を含み、2つの部分のうちの1つは締結区画を含む。弾性部材は締結部材を所定の状態で維持できるように締結部材に弾性力を提供するように構成され、締結部材が所定の状態にある場合、締結区画は取り付け部材に隣接し、締結部材が所定の状態から第1の方向に回転された場合、締結区画は取り付け部材から遠ざかる。ここでは、第2のブラケット装置は、締結部材の第2の方向における回転経路上に配置される2つのブロック部をさらに含み、締結部材は該第2の方向に沿って回転される。締結部材が所定の状態にある場合、2つのブロック部は、締結部材が所定の状態から第2の方向に回転するのを防止するために締結部材の2つの部分の傍ら(beside)にそれぞれあるように構成されている。
【0007】
支持フレーム及びブラケットの双方は第1の側及び第2の側を有し、支持フレームの第1の側及びブラケットの第1の側は同じ側に位置し、支持フレームの第2の側及びブラケットの第2の側は同じ側に位置し、該第1の側と該第2の側とは反対側であり、2つのブロック部は該第1の側及び該第2の側にそれぞれ配置され、スライドレールアセンブリは第1のレールに固定される取り付けベースをさらに含み、支持フレームは該取り付けベースを通じて第1のレールに可動に接続され、第1のブラケット装置及び第2のブラケット装置は第1のレールをラックの第1のポスト及び第2のポストに取り付けるように構成されていることが好ましい。
【0008】
取り付けベース及び支持フレームのうちの一方はガイド部を含み、支持フレームは該ガイド部を通じて取り付けベースに対して変位可能であり、取り付けベース及び支持フレームは、支持フレームが取り付けベースに対して限られた範囲で変位できるように対応する制限構造を有することが好ましい。
【0009】
第1のレールは第1の取り付け側と該第1の取り付け側と反対の第2の取り付け側とを有し、第1のブラケット装置及び第2のブラケット装置は第1のレールの第1の取り付け側に配置され、スライドレールアセンブリは第1のレールの第2の取り付け側に配置される第2のレールをさらに含むことが好ましい。
【0010】
締結部材の2つの部分は支持部及び延長部であり、締結部材は接続部及び支持脚をさらに含み、該接続部はピンを通じてブラケットに枢結されるとともに支持部と延長部との間にあり、支持脚は弾性部材に当接するように構成され、支持部及び支持脚は接続部の2つの位置にあり、延長部は接続部から長手方向に所定の距離伸長し、締結区画は延長部に配置されることが好ましい。
【0011】
本発明の別の態様によれば、ブラケット装置は支持フレームと、ブラケットと、締結部材と、弾性部材とを含む。ブラケットは長手壁及び取り付け部材を含み、該長手壁は支持フレームに固定される。取り付け部材は長手壁に隣接して配置され、締結部材はピンを通じてブラケットに枢結される。締結部材は2つの部分を含み、ピンは該2つの部分の間に位置する。2つの部分のうちの1つは締結区画を含み、弾性部材は締結部材に弾性力を提供するように構成されている。弾性部材の弾性力に対応して締結部材が所定の状態にある場合、締結区画は取り付け部材に隣接する。締結部材が所定の状態から第1の方向に回転された場合、締結区画は取り付け部材から遠ざかる。ここでは、ブラケット装置は、締結部材の第2の方向における回転経路上に配置される2つのブロック部をさらに含み、締結部材は該第2の方向に沿って回転され、第1の方向は該第2の方向の反対である。締結部材が所定の状態にある場合、2つのブロック部は、締結部材が所定の状態から第2の方向に回転するのを防止するために締結部材の2つの部分の傍らにそれぞれあるように構成されている。
【0012】
締結部材の2つの部分は支持部及び延長部であり、締結部材は接続部及び支持脚をさらに含み、該接続部はピンを通じてブラケットに枢結されるとともに支持部と延長部との間にあり、支持脚は弾性部材に当接するように構成され、支持部及び支持脚は接続部の2つの位置にあり、延長部は接続部から長手方向に所定の距離伸長し、締結区画は延長部から横方向に突出する。
【0013】
本発明のさらに別の態様によれば、ブラケット装置は支持フレームと、ブラケットと、締結部材と、弾性部材とを含む。ブラケットは長手壁及び取り付け部材を含み、長手壁は支持フレームと一体化されている。取り付け部材は該長手壁に隣接して配置される。締結部材はブラケットに移動可能に接続され、締結部材は支持部、延長部及び接続部を含む。接続部は支持部と延長部との間にあり、接続部はピンを通じてブラケットに枢結される。延長部は締結区画を含み、弾性部材は締結部材に弾性力を提供するように構成されている。締結部材が所定の状態にある場合、締結区画は取り付け部材に隣接する。締結部材が所定の状態から第1の方向に回転された場合、締結区画は取り付け部材から遠ざかる。ここでは、ブラケット装置は、締結部材の第2の方向における回転経路上に配置されるブロック部をさらに含み、締結部材は該第2の方向に沿って回転される。締結部材が所定の状態にある場合、ブロック部は、締結部材が所定の状態から第2の方向に回転するのを防止するために締結部材の支持部の傍らにあるように構成されている。
【0014】
ブロック部は支持フレームの壁部又はブラケットの壁部であることが好ましい。
【0015】
様々な図面に図示する下記の好ましい実施形態の詳細な説明を読み終えた後、本発明の上記の目的及び他の目的が当業者に間違いなく明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、先行技術のスライドレールアセンブリ及びブラケット装置を示す図である。
【
図2】
図2は、第1の方向に回転する先行技術のブラケット装置の締結部材を示す図である。
【
図3】
図3は、所定の高さ持ち上げられ且つ壁によりブロックされていない先行技術のブラケット装置の締結部材を示す図である。
【
図4】
図4は、壁によりブロックされておらず且つ第2の方向に回転される先行技術のブラケット装置の締結部材を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態に係る2つのブラケット装置を通じてラックに取り付けられたスライドレールアセンブリを示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係るスライドレールアセンブリを示す分解図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態に係るスライドレールアセンブリを示す概略図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態に係る、第1の方向に回転されたスライドレールアセンブリのブラケット装置の締結部材を示す図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態に係る、所定の状態にあるスライドレールアセンブリのブラケット装置の締結部材を示す図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施形態に係る、所定の状態にあるスライドレールアセンブリのブラケット装置の締結部材及び加えられた力により持ち上げられるか又は変形された締結部材の延長部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図5に示すように、本発明の一実施形態に係るスライドレールアセンブリ20は第1のレール22、第1のブラケット装置24及び第2のブラケット装置26(ブラケット装置ともいう)を含む。第1のレール22の前部及び後部は、第1のブラケット装置24及び第2のブラケット装置26のそれぞれを通じて第1のポスト28a及び第2のポスト28bにそれぞれ取り付けることができる。
【0018】
図6及び
図7に示すように、第1のブラケット装置24は第1のレール22に取り付けられる。第1のレール22に固定された第1のブラケット装置24を一例として以下で説明するが、本発明は係る構成に限定されない。他方、第2のブラケット装置26は支持フレーム30、ブラケット32、締結部材34及び弾性部材36を含む。
【0019】
支持フレーム30は第1のレール22に対して可動である。スライドレールアセンブリ20は第1のレール22に固定される取り付けベース38をさらに含むことが好ましい。取り付けベース38は第1のレール22の一部と見ることができる。支持フレーム30は取り付けベース38を通じて第1のレール22に対して可動である。実際の適用では、取り付けベース38及び支持フレーム30の一方はガイド部40を有し、支持フレーム30はガイド部40を通じて取り付けベース38に対して変位可能である。取り付けベース38は第1の壁42と、第2の壁44と、取り付けベース38の第1の壁42及び第2の壁44の間に接続される側壁46とを有することが好ましい。取り付けベース38の第1の壁42、第2の壁44及び側壁46はガイド部40として支持通路を共に定義する。取り付けベース38の第1の壁42及び第2の壁44は第1の屈曲壁42a及び第2の屈曲壁44aをそれぞれ有することが好ましい。他方、支持フレーム30は取り付けベース38の支持通路に取り付けることができ、支持フレーム30の構造構成は取り付けベース38のものと実質的に同じである。即ち、支持フレーム30は第1の壁48と、第2の壁50と、支持フレーム30の第1の壁48及び第2の壁50の間に接続される側壁52とを有する。支持フレーム30の第1の壁48及び第2の壁50は第1の屈曲壁48a及び第2の屈曲壁50aをそれぞれ有することが好ましい。取り付けベース38及び支持フレーム30は、取り付けベース38に対して支持フレーム30を限られた範囲で変位できるように対応する制限構造を有することが好ましい。ここでは、取り付けベース38の第1の制限構造54は一例として突起又は突出部である。他方、支持フレーム30は第2の制限構造56を有する。支持フレーム30が取り付けベース38に対して所定の範囲変位された場合、支持フレーム30は第2の制限構造56を通じて取り付けベース38の第1の制限構造54に当接できる。支持フレーム30はフレキシブルアーム58を有し、第2の制限構造56はフレキシブルアーム58上に配置される。この構成は支持フレーム30の第2の制限構造56がフレキシブルアーム58を通じて第1の制限構造54に延びて取り付けベース38に取り付けるのに役立つか又は支持フレーム30を取り付けベース38から外すのに役立つ。
【0020】
ブラケット32は長手壁60、端壁62及び少なくとも1つの取り付け部材64を含む。長手壁60は支持フレーム30に接続される。リベット留め又は溶接により支持フレーム30の側壁52の端部に固定された長手壁60を一例として以下で説明するが、長手壁60及び支持フレーム30は互いに一体化されていてもよい。前述の構成によれば、支持フレーム30はブラケット32の一部と見ることができる。具体的には、支持フレーム30の側壁52は、ブラケット32の長手壁60の長手方向への延長部と見ることができる。端壁62は長手壁60に対して屈曲されている。即ち、端壁62は長手壁60から実質的に垂直に屈曲され、端壁62は長手壁60に隣接している。取り付け部材64のうちの少なくとも1つが長手壁60に隣接して配置される。取り付け部材64のうちの、端壁62に位置するとともに長手壁60に隣接する1つを一例として以下で説明する。
【0021】
締結部材34はブラケット32に可動に接続される。締結部材34はピン66を通じてブラケット32に枢結されることが好ましい。側方に突出する突起70を有するブラケット32の長手壁60を一例として以下で説明する。締結部材34はピン66を通じて突起70に枢結されている。締結部材34は2つの部分を含み、例えば、2つの部分は支持部72及び延長部74である。締結部材34は接続部76、締結区画78及び支持脚80等の他の部分をさらに含むことが好ましい。実際の用途では、接続部76は支持部72と延長部74との間にある。ここでは、接続部76はピン66を通じてブラケット32に枢結され、ピン66は支持部72と延長部74との間にある。支持部72及び延長部74のうちの一方は締結区画78を含む。締結区画78を含む延長部74を一例として以下で説明する。支持部72及び支持脚80は接続部76の2つの端部に隣接して配置され、支持部72と共に支持脚80は接続部76に対して屈曲されていることが好ましい。延長部74は接続部76から長手方向に所定の距離伸長し、締結区画78は延長部74に配置されている。即ち、締結区画78は延長部74から横に突出する。
【0022】
弾性部材36は、締結部材34を所定の状態Xで維持できるように締結部材34に弾性力を提供するように構成されている。弾性部材36がブラケット32の長手壁60に配置され、締結部材34の支持脚80が弾性部材36の弾性部37に当接できることが好ましい。弾性部材36は板バネであり得るが、本発明はそのような構成に限定されない。
【0023】
なお、第1のレール22は第1の取り付け側と、第1の取り付け側とは反対の第2の取り付け側とを有する。第1のブラケット装置24及び第2のブラケット装置26は第1のレール22の第1の取り付け側にある。スライドレールアセンブリ20は第1のレール22の第2の取り付け側に配置される第2のレール82をさらに含むことが好ましい。
【0024】
図7に示すように、締結部材34が所定の状態Xにある場合、締結区画78は取り付け部材64に隣接する。所定の状態Xでは、締結部材34の締結区画78は(
図5に示すように)ラックの第2のポスト28bをロックするのに用いることができる。
【0025】
図8に示すように、締結部材34が前述の所定の状態Xから第1の方向R1に回転された場合、締結区画78は取り付け部材64から遠ざかる。締結部材34の支持脚80は、弾性部材36の弾性部37が弾性力を維持できるように弾性部材36の弾性部37を押圧できる。即ち、締結部材34が所定の状態Xにない場合、締結部材34の締結区画78は前述のラックの第2のポスト28bをロックできない。
【0026】
図9に示すように、締結部材34が弾性部材36の弾性部37により放たれる弾性力に反応して所定の状態Xにある場合、締結区画78は取り付け部材64に隣接する。
【0027】
なお、第2のブラケット装置26は第2の方向R2における締結部材34の回転経路上に配置されるブロック部(又はブロック構造)をさらに含む。締結部材34は第2の方向R2に沿って回転し、第2の方向R2は前述の第1の方向R1の反対方向である。2つのブロック部を一例として以下で説明する。例えば、2つのブロック部のうちの1つは支持フレーム30の壁部の表面(例えば、支持フレーム30の第1の屈曲壁48aの表面であり得るが、本発明はそのような構成に限定されない。実際には、支持フレーム30の壁部の前述の表面は支持フレーム30の第2の屈曲壁50aの表面であってもよいし、支持フレーム30の壁部の前述の表面は側壁32の面であってもよい)である。2つのブロック部のうちの他方の例としてはブラケット32の壁部の面(例えば、長手壁60のブロック壁32aの表面であり、ブロック壁32aは長手壁60から所定の高さに延びるが、本発明は係る構成に限定されない)である。実際の用途では、支持フレーム30及びブラケット32は第1の側S1及び第2の側S2を有し、支持フレーム30の第1の側S1及びブラケット32の第1の側S1は同じ側に位置し、支持フレーム30の第2の側S2及びブラケット32の第2の側は同じ側にあり、第1の側S1と第2の側S2とは反対側である。2つのブロック部は第1の側S1及び第2の側S2に配置される。即ち、支持フレーム30の第1の屈曲壁48aの表面は第1の側S1にあり、ブラケット32のブロック壁32aの表面は第2の側S2にある。
【0028】
締結部材34が所定の状態Xにある場合、2つのブロック部は締結部材の2つの部分(即ち、支持部72及び延長部74)の傍らに位置し、2つのブロック部は締結部材34が所定の状態Xから第2の方向R2に回転するのを防止するのに用いられる。例えば、締結部材34が所定の状態Xにある場合、支持フレーム30の第1の屈曲壁48aの表面は締結部材34の支持部72の傍らに位置し、この表面はブロックのために用いられる。さらに、ブラケット32のブロック壁32aの表面は締結部材34の延長部74の傍らに位置し、この表面はブロックのために用いられる。この構成は締結部材34が所定の状態Xから第2の方向R2に回転するのを防止することができる。
【0029】
図10に示すように、締結部材34の延長部74に力(例えば意図しない力)が加えられた場合、締結部材34の延長部74は変形するか又はピン66に対して所定の高さ持ち上げられ得る。締結部材34及びピン66は締結部材34とピン66との間の公差により互いに対して緩まり得る。延長部74はブラケット32のブロック壁32aの表面(2つのブロック部のうちの1つ)に対して高さ方向にさらに伸長することにより、ブラケット32のブロック壁32aの表面は延長部74をブロックすることができなくなる。このような状況では、支持フレーム30の第1の屈曲壁48aの面(2つのブロック部のうちの他方)は、締結部材34の支持部72の傍らにあることにより依然としてブロックのために用いることができる。このように、締結部材34は所定の状態Xから第2の方向R2の方に回転するのを防止できる。
【0030】
本発明に係る上記の実施形態から分かるように、2つのブロック部のうちの1つがブロック機能を提供できない場合、2つのブロック部のうちの他方が締結部材34が所定の状態Xから第2の方向R2に回転するのを依然として防止することができる。したがって、本発明はスライドレールアセンブリ及びブラケット装置26の品質及び信頼性を高める。即ち、第2のブラケット装置26は、締結部材34が所定の状態Xから第2の方向R2に回転するのを防止できる二重保護機構を含む。なお、2つのブラケット装置26の2つのブロック部は、締結部材34が第2の方向R2から回転される場合に締結部材34の回転経路上に配置される。したがって、締結部材34が所定の状態Xから第2の方向R2に回転するのを防止するために、2つのブロック部のうちの1つのみがブロック機能を提供するのに必要となり得る。
【0031】
なお、締結部材34がピン66を通じてブラケット32の突起70に枢結される位置は支持部72と延長部74との間の中心ではない。即ち、締結部材34がピン66を通じてブラケット32の突起70に枢結される位置と支持部72との間の距離L1は、締結部材34がブラケット32の突起70に枢結される位置と延長部74との間の距離L2よりも小さい。そのような構成では、締結部材34がピン66を通じてブラケット32の突起70に枢結される位置と支持部72との間の距離L1(即ち、より短い部材)は意図しないより大きな力に抗することができ、締結部材34がブラケット32の突起70に枢結される位置と延長部74との間の距離L2(即ち、寸法がより小さい)はより小さい公差を有する。その結果、本発明の締結部材34は締結部材34が所定の状態Xから第2の方向R2に回転するのをより良好に防止することができる。
【0032】
当業者であれば、本発明の教示を維持しながら多くの変更及び改良が装置及び方法に加えられ得ることに容易に気付く。従って、上記の開示は、添付の請求項の範囲によってのみ限定されると解釈すべきである。
【符号の説明】
【0033】
20 スライドレールアセンブリ
22 第1のレール
24 第1のブラケット装置
26 第2のブラケット装置
28a、28b 第1のポスト、第2のポスト
30 支持フレーム
32 ブラケット
34 締結部材
36 弾性部材
38 取り付けベース
40 ガイド部
42 第1の壁
44 第2の壁
46 側壁
48 第1の壁
50 第2の壁
52 側壁
54 第1の制限構造
56 第2の制限構造
58 フレキシブルアーム
60 長手壁
62 端壁
64 取り付け部材
66 ピン
70 突起
72 支持部
74 延長部
76 接続部
78 締結区画
80 支持脚
82 第2のレール