特許第6675468号(P6675468)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6675468
(24)【登録日】2020年3月12日
(45)【発行日】2020年4月1日
(54)【発明の名称】圧電振動片及び圧電振動子
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/19 20060101AFI20200323BHJP
   H03H 9/215 20060101ALI20200323BHJP
【FI】
   H03H9/19 J
   H03H9/215
【請求項の数】8
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-229581(P2018-229581)
(22)【出願日】2018年12月7日
(62)【分割の表示】特願2014-202012(P2014-202012)の分割
【原出願日】2014年9月30日
(65)【公開番号】特開2019-37009(P2019-37009A)
(43)【公開日】2019年3月7日
【審査請求日】2018年12月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】713005174
【氏名又は名称】エスアイアイ・クリスタルテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142837
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 則彰
(74)【代理人】
【識別番号】100166305
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100171251
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】小林 高志
【審査官】 石田 昌敏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−179802(JP,A)
【文献】 特開2006−345519(JP,A)
【文献】 特開2014−022965(JP,A)
【文献】 特開2006−148857(JP,A)
【文献】 特開2010−103950(JP,A)
【文献】 特開2009−147590(JP,A)
【文献】 特開2012−019441(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 9/00− 9/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、
前記基部から第一方向に延び、前記第一方向と交差する第二方向に離間して配置された一対の振動腕部と、
前記基部から前記第一方向に延びる支持腕部と、を備え、
前記支持腕部は、
前記基部における、前記振動腕部が延出している箇所の間から、前記振動腕部の長さ方向に向かって延び、
前記支持腕部の先端部側に向かうにしたがって前記第二方向に沿った長さである幅が次第に狭くなるように形成された第一腕部と、
該第一腕部から前記第一方向に延び、前記先端部側に向かうにしたがって前記幅が広くなるように形成された第二腕部と、を有し、
マウント電極が形成されるマウント部が、前記第一腕部の主面及び前記第二腕部の主面に設けられていることを特徴とする圧電振動片。
【請求項2】
基部と、
前記基部から第一方向に延び、前記第一方向と交差する第二方向に離間して配置された一対の振動腕部と、
前記基部から前記第一方向に延びる支持腕部と、を備え、
前記支持腕部は、
前記基部における、前記振動腕部が延出している箇所の間から、前記振動腕部の長さ方向に向かって延び、
前記支持腕部の先端部側に向かうにしたがって前記第二方向に沿った長さである幅が次第に狭くなるように形成された第一腕部と、
該第一腕部から前記第一方向に延び、前記先端部側に向かうにしたがって前記幅が広くなるように形成された第二腕部と、を有し、
前記支持腕部は、前記基部から延びる延出腕部と、前記延出腕部と連続して形成された第一腕部と、前記第一腕部と連続して形成された第二腕部とを有し、
マウント電極を有するマウント部が、前記延出腕部の主面から第一腕部にわたって設けられ、さらに第二腕部の主面にも設けられていることを特徴とする圧電振動片。
【請求項3】
基部と、
前記基部から第一方向に延び、前記第一方向と交差する第二方向に離間して配置された一対の振動腕部と、
前記基部から前記第一方向に延びる支持腕部と、を備え、
前記支持腕部は、
前記基部における、前記振動腕部が延出している箇所の間から、前記振動腕部の長さ方向に向かって延び、
前記支持腕部の先端部側に向かうにしたがって前記第二方向に沿った長さである幅が次第に狭くなるように形成された第一腕部と、
該第一腕部から前記第一方向に延び、前記先端部側に向かうにしたがって前記幅が広くなるように形成された第二腕部と、を有し、
前記第二腕部の前記幅寸法の前記第一方向に沿った変化率は、前記第一腕部の前記幅寸法の前記第一方向に沿った変化率よりも、大きいことを特徴とする圧電振動片。
【請求項4】
前記第一腕部及び前記第二腕部の両側面は、それぞれ平面状に形成されていることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の圧電振動片。
【請求項5】
前記支持腕部は、前記基部側から延び、先端側が前記第一腕部の基端側と接続された延出腕部を有し、
前記延出腕部の側面のうち基部側には、異形部が形成されていることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の圧電振動片。
【請求項6】
前記支持腕部は、
前記第二腕部から前記第一方向に延び、前記幅が一定とされた先端腕部を有することを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の圧電振動片。
【請求項7】
前記第一腕部と前記第二腕部との境界部は、前記支持腕部における前記第一方向の中間位置よりも前記基部側に位置していることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の圧電振動片。
【請求項8】
ベース部材と、
前記ベース部材に重ね合わされて接合されるとともに前記ベース部材との間に気密封止されたキャビティが形成されたリッド部材と、を有するパッケージと、
前記ベース部材における実装面にマウントされ、前記キャビティの内部に収容された請求項1からのいずれか一項に記載の圧電振動片と、を備えることを特徴とする圧電振動子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動片及び圧電振動子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、携帯電話や携帯情報端末器には、時刻源や制御信号等のタイミング源、リファレンス信号源等に用いられるデバイスとして、水晶等を利用した圧電振動子が採用される場合が多い。この種の圧電振動子として、キャビティが形成されたパッケージ内に圧電振動片を気密封止したものが知られている。
【0003】
このような圧電振動片として、基部と、基部から延びる一対の振動腕及び支持腕と、を備えたものが知られている。また、支持腕の基端側の部分は、先端側に向かうにしたがって次第に幅が狭くなるようにテーパー状に形成され、支持腕の先端側の部分は、幅広に形成された圧電振動片が提案されている(下記特許文献1参照)。
【0004】
また、支持腕が、基部から振動腕の延在方向と平行に延びる第2の直線部と、第2の直線部の先端に連続して設けられ湾曲形成された湾曲部と、湾曲部の先端に連続して設けられ振動腕の延在方向と平行に延びる第1の直線部と、を備えた圧電振動片が提案されている(下記特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−87574号公報
【特許文献2】特開2009−118302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の特許文献1に記載の圧電振動片では、支持腕の先端側の幅広に形成された部分と基端側のテーパー状に形成された部分との境界部分に段部が形成されており、当該段部にいわゆるエッチング残りが発生しやすい。このため、当該段部において、支持腕に欠けが生じたり、支持腕が折れてしまったりするという問題点がある。
【0007】
また、上記の特許文献2に記載の圧電振動片では、支持腕が湾曲形成されているため、圧電振動片からパッケージ側への振動漏れ(振動エネルギーの漏洩)の発生を低減できない可能性がある。
また、支持腕の幅寸法(一対の支持腕の離間方向の長さ)は一定であるため、パッケージに実装される第1の直線部の先端側において、接合面積を十分に確保できず、実装強度が不十分になるという問題点もある。
【0008】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、支持腕部の破損を抑制しつつ、振動漏れの発生を低減し、さらに実装強度の高い圧電振動片及び圧電振動子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明に係る圧電振動片は、基部と、前記基部から第一方向に延び、前記第一方向と交差する第二方向に離間して配置された一対の振動腕部と、前記基部から前記第一方向に延びる支持腕部と、を備え、前記支持腕部は、前記基部における、前記振動腕部が延出している箇所の間から、前記振動腕部の長さ方向に向かって延び、前記支持腕部の先端部側に向かうにしたがって前記第二方向に沿った長さである幅が次第に狭くなるように形成された第一腕部と、該第一腕部から前記第一方向に延び、前記先端部側に向かうにしたがって前記幅が広くなるように形成された第二腕部と、を有していることを特徴とする。
【0010】
このように構成された圧電振動片では、支持腕部の第一腕部は先端部側に向かうにしたがって幅が次第に狭くなるように形成されているため、振動漏れの発生を抑制することができる。
また、支持腕部の第二腕部は先端部側に向かうにしたがって幅が次第に広くなるように形成されているため、第二腕部の先端側における面積を大きくすることができる。よって、第二腕部の先端側がパッケージに実装される際には、実装面積を大きくすることができるため、圧電振動片のパッケージに対する実装強度を高めることができる。
また、エッチング残りが発生しやすい支持腕部の基端側、つまり第一腕部の基端側において、その幅は、第一腕部の先端側よりも広く形成されている。よって、第一腕部の基端側での強度を確保することができため、支持腕部の基端側での破損を抑制することができる。また、支持腕部に段部や切欠きが形成されるとエッチング残りが発生しやすいが、支持腕部はその幅が第一方向に沿って次第に変化するように形成されている。よって、支持腕部は、第一方向に沿って、エッチング残りの発生が抑制される。
【0011】
また、本発明に係る圧電振動片は、前記支持腕部は、第二腕部に連続して形成され、長さ方向に沿って延びている先端腕部を有し、
マウント電極が形成されるマウント部が、前記先端腕部の主面に設けられていることが望ましい。
【0012】
また、本発明に係る圧電振動片は、マウント電極が形成されるマウント部が、前記第一腕部の主面及び前記第二腕部の主面に設けられていることが望ましい。
【0013】
また、本発明に係る圧電振動片は、前記支持腕部は、前記基部から延びる延出腕部と、前記延出腕部と連続して形成された第一腕部と、前記第一腕部と連続して形成された第二腕部とを有し、
マウント電極を有するマウント部が、前記延出腕部の主面から第一腕部にわたって設けられ、さらに第二腕部の主面にも設けられていることが望ましい。
【0014】
また、本発明に係る圧電振動片は、前記第一腕部及び前記第二腕部の両側面は、それぞれ平面状に形成されていることが好ましい。
【0015】
このように構成された圧電振動片では、第一腕部及び第二腕部の両側面はそれぞれ平面状に形成されているため、支持腕部を簡易に製造することができる。
【0016】
また、本発明に係る圧電振動片は、前記支持腕部は、前記基部側から延び、先端側が前記第一腕部の基端側と接続された延出腕部を有し、前記延出腕部の側面のうち基部側には、異形部が形成されていてもよい。
【0017】
このように構成された圧電振動片では、第一方向に向かって幅が狭くなるように形成された第一腕部は、延出腕部よりも支持腕部の先端部側に設けられている。よって、異形部が生じやすい支持腕部の基端側、つまり延出腕部は、その幅が第一腕部の先端側よりも広くなるように形成されているため、支持腕部の基端側での応力集中による破損を抑制することができる。
【0018】
また、本発明に係る圧電振動片は、前記支持腕部は、前記第二腕部から前記第一方向に延び、前記幅が一定とされた先端腕部を有していてもよい。
【0019】
このように構成された圧電振動片では、第一方向に沿って幅が狭くなる場合よりも、先端腕部の幅が一定とされているため、先端腕部の面積が広くなる。本発明では、実装するために先端腕部に塗布される導電性接着剤は、支持腕部の幅方向(第二方向)に沿って濡れ広がりやすいため、第一方向への濡れ広がりすぎることが抑制される。よって、導電性接着剤が濡れ広がりすぎて塗布する必要のない第一腕部にまで到達することが抑制され、先端腕部及び第二腕部をパッケージに確実に実装することができる。
また、先端腕部の幅は一定とされているため、先端腕部では第一方向に沿って導電性接着剤が均一に塗布される。よって、先端腕部における第一方向に沿った質量のばらつきが抑制されるため、実装強度を高めることができる。
【0020】
また、本発明に係る圧電振動片は、前記第一腕部と前記第二腕部との境界部は、前記支持腕部における前記第一方向の中間位置よりも前記基部側に位置していてもよい。
【0021】
このように構成された圧電振動片では、境界部は支持腕部の第一方向の中間位置よりも基部側に配置されているため、支持腕部の先端部から境界部までの距離を長くすることができる。よって、支持腕部の先端部に塗布された導電性接着剤が第一方向へ濡れ広がったとしても、境界部にまで到達することが抑制される。よって、境界部に導電性接着剤が付着して、導電性接着剤を介して振動が漏れることが抑制される。
【0022】
また、本発明に係る圧電振動片は、前記第一腕部及び前記第二腕部の一方の側面は、前記第一方向に向かって延びる平面状に形成され、前記第一腕部の他方の側面は、先端部側に向かうにしたがって次第に前記第一腕部の前記一方の側面に近づくように平面状に形成され、前記第二腕部の他方の側面は、先端部側に向かうにしたがって次第に前記第二腕部の前記一方の側面から離れるように平面状に形成されていてもよい。
【0023】
このように構成された圧電振動片では、第一腕部及び第二腕部の一方の側面は、第一方向に向かって延びる平面状に形成されているため、支持腕部を簡易に製造することができる。
【0024】
また、本発明に係る圧電振動片は、前記第二腕部の前記幅寸法の前記第一方向に沿った変化率は、前記第一腕部の前記幅寸法の前記第一方向に沿った変化率よりも、大きくてもよい。
【0025】
このように構成された圧電振動片では、第二腕部の幅寸法の第一方向に沿った変化率は、第一腕部の幅寸法の第一方向に沿った変化率よりも、大きい。よって、第二腕部の幅が広くなる変化率が大きいため、振動漏れを確実に抑制することができる。
【0026】
また、本発明に係る圧電振動子は、ベース部材と、前記ベース部材に重ね合わされて接合されるとともに前記ベース部材との間に気密封止されたキャビティが形成されたリッド部材と、を有するパッケージと、前記ベース部材における実装面にマウントされ、前記キャビティの内部に収容された上記のいずれか一に記載の圧電振動片と、を備えることを特徴とする。
【0027】
このように構成された圧電振動子では、支持腕部の第一腕部は先端部側に向かうにしたがって幅が次第に狭くなるように形成されているため、振動漏れの発生を抑制することができる。
また、支持腕部の第二腕部は先端部側に向かうにしたがって幅が次第に広くなるように形成されているため、第二腕部は先端部側の面積は、第一方向に沿って幅が狭くなる場合よりも広くなる。よって、第二腕部の先端側がパッケージに実装される際には、実装面積を大きくすることができるため、圧電振動片のパッケージに対する実装強度を高めることができる。
また、エッチング残りが発生しやすい支持腕部の基端側、つまり第一腕部の基端側において、その幅は、第一腕部の先端側よりも広く形成されている。よって、第一腕部の基端側での強度を確保することができため、支持腕部の基端側での破損を抑制することができる。また、支持腕部に段部や切欠きが形成されるとエッチング残りが発生しやすいが、支持腕部はその幅が第一方向に沿って次第に変化するように形成されている。よって、支持腕部は、第一方向に沿って、エッチング残りの発生が抑制される。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る圧電振動片及び圧電振動子によれば、支持腕部の破損を抑制しつつ、振動漏れの発生を低減し、さらに実装強度を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の第一実施形態に係る圧電振動子を示す外観斜視図である。
図2】本発明の第一実施形態に係る圧電振動子を示す分解斜視図である。
図3】本発明の第一実施形態に係る圧電振動子の内部構造を示す平面図である。
図4図3におけるA−A断面図である。
図5】本発明の第一実施形態に係る圧電振動子を構成する圧電振動片を示す外観斜視図である。
図6】本発明の第一実施形態に係る圧電振動子を構成する圧電振動片を示す(a)平面図であり、(b)側面図である。
図7】本発明の第一実施形態の変形例1に係る圧電振動子を構成する圧電振動片を示す(a)平面図であり、(b)側面図である。
図8】本発明の第一実施形態の変形例2に係る圧電振動子を構成する圧電振動片を示す(a)平面図であり、(b)側面図である。
図9】本発明の(a)第二実施形態に係る圧電振動片の平面図であり、(b)第二実施形態の変形例1に係る圧電振動片の平面図であり、(c)第二実施形態の変形例2に係る圧電振動片の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(第一実施形態)
本発明の第一実施形態として、圧電振動子について説明する。
図1は、本発明の第一実施形態に係る圧電振動子を示す外観斜視図である。図2は、本発明の第一実施形態に係る圧電振動子を示す分解斜視図である。図3は、本発明の第一実施形態に係る圧電振動子の内部構造を示す平面図である。図4は、図3におけるA−A断面図である。
以下に説明する図1図9までの説明においてはXYZ座標系を設定し、このXYZ座標系を参照しつつ各部材の位置関係を説明する。この際、圧電振動子1(図1参照)の厚み方向をZ軸方向、圧電振動子1の長手方向をY軸方向、圧電振動子1の短手方向であってY軸方向とZ軸方向の両方と直交する方向をX軸方向とする。
【0031】
(圧電振動子)
図1〜4に示すように、圧電振動子1は、外形が略直方体状のいわゆるセラミックパッケージタイプの表面実装型振動子である。圧電振動子1は、気密封止されたキャビティC1が形成されたパッケージ2と、キャビティC1の内部に収容された圧電振動片100と、を備える。
【0032】
パッケージ2は、パッケージ本体(ベース部材)3と、パッケージ本体3に重ね合わされて接合された封口板(リッド部材)4と、を有している。
【0033】
パッケージ本体3は、互いに重ね合わされた状態で接合された第一ベース基板50及び第二ベース基板51と、第二ベース基板51の上部に接合されたシールリング52と、を有している。
【0034】
第一ベース基板50は、平面視略長方形状に形成されたセラミックス製の基板とされている。第二ベース基板51は、第一ベース基板50と同じ外形形状である平面視略長方形状に形成されたセラミックス製の基板とされており、第一ベース基板50上に重ねられた状態で焼結等によって一体的に接合されている。
【0035】
第一ベース基板50及び第二ベース基板51の四隅には、平面視1/4円弧状の切欠部58が、第一ベース基板50及び第二ベース基板51の厚さ方向の全体にわたって形成されている。これら第一ベース基板50及び第二ベース基板51は、例えば、ウエハ状のセラミック基板を2枚重ねて接合した後、両セラミック基板を貫通する複数のスルーホールを行列状に形成し、その後、各スルーホールを基準としながら両セラミック基板を格子状に切断することで作製される。その際、スルーホールが4分割されることで、前述した切欠部58となる。
【0036】
また、第二ベース基板51の上面は、圧電振動片100がマウントされる実装面51Aとされている。
【0037】
また、第二ベース基板51には、厚さ方向(Z軸方向)に貫通孔51Hが形成されている。貫通孔51Hは、平面視において、四隅が丸みを帯びた正方形状に形成されている。
【0038】
この第二ベース基板51と第一ベース基板50とが互いに重ね合わされて接合された状態において、貫通孔51Hは、第二ベース基板51の実装面51Aから第二ベース基板51の厚さ方向(Z軸方向)に凹む凹部51Pとされている。
【0039】
なお、第一ベース基板50及び第二ベース基板51はセラミックス製としたが、その具体的なセラミックス材料としては、例えばアルミナ製のHTCC(High Temperature Co−Fired Ceramic)や、ガラスセラミックス製のLTCC(Low Temperature Co−Fired Ceramic)等が挙げられる。
【0040】
シールリング52は、第一ベース基板50及び第二ベース基板51の外形よりも一回り小さい導電性の枠状部材である。シールリング52は、第二ベース基板51の実装面51Aに接合されている。
具体的には、シールリング52は、銀ロウ等のロウ材や半田材等による焼付けによって実装面51A上に接合、あるいは、実装面51A上に形成(例えば、電解メッキや無電解メッキの他、蒸着やスパッタリング法等により)された金属接合層に対する溶着等によって接合されている。
【0041】
なお、シールリング52の材料としては、例えばニッケル基合金等が挙げられ、具体的にはコバール、エリンバー、インバー、42−アロイ等から選択すればよい。特に、シールリング52の材料としては、セラミック製とされている第一ベース基板50及び第二ベース基板51に対して熱膨張係数が近いものを選択することが好ましい。例えば、第一ベース基板50及び第二ベース基板51として、熱膨張係数6.8×10-6/℃のアルミナを用いる場合には、シールリング52としては、熱膨張係数5.2×10−6/℃のコバールや、熱膨張係数4.5×10-6/℃以上、6.5×10-6/℃以下の42−アロイを用いることが好ましい。
【0042】
封口板4は、シールリング52の上部に重ねられた導電性基板である。封口板4は、銀ロウ等のロウ材や半田材等による焼付け等によって、シールリング52と気密に接合されている。そして、この封口板4とシールリング52と第二ベース基板51の実装面51Aとで画成された空間が、気密封止されたキャビティC1として機能する。
【0043】
尚、封口板4の溶接方法としては、例えばローラ電極を接触させることによるシーム溶接や、レーザ溶接、超音波溶接等が挙げられる。また、封口板4とシールリング52との溶接をより確実なものとするため、互いになじみの良いニッケルや金等の接合層を、少なくとも封口板4の下面と、シールリング52の上面とにそれぞれ形成することが好ましい。
【0044】
第二ベース基板51の実装面51A上には、凸部60,60が設けられている。凸部60は、圧電振動片100が実装されている側に突出して形成されており、平面視形状は特に限定されず、矩形状であっても、他の形状であってもよい(図では矩形状)。
【0045】
凸部60の上面は、実装面51Aと平行である。凸部60は、実装面51Aにおいて凹部51Pの−Y軸方向側に、実装面51Aの幅方向(X軸方向)の中心を挟んで2つ、対称の位置に設けられている。凸部60,60の上面には、圧電振動片100との接続電極である電極パッド61A,61Bがそれぞれ形成されている。
【0046】
第一ベース基板50の下面には、一対の外部電極62A,62Bが、圧電振動子1の長手方向(Y軸方向)に間隔をあけて形成されている。
【0047】
これら電極パッド61A,61B及び外部電極62A,62Bは、例えば、蒸着やスパッタリング法等で形成された単一金属による単層膜、または異なる金属が積層された積層膜である。
【0048】
電極パッド61Aと外部電極62Aとは、図示しない第一配線により電気的に接続されている。また、電極パッド61Bと外部電極62Bとは、図示しない第二配線により電気的に接続されている。
【0049】
なお、第一配線は、例えば、第一ベース基板50を厚み方向(Z軸方向)に貫通して外部電極62Aと導通する第一貫通電極と、第二ベース基板51を厚み方向(Z軸方向)に貫通して電極パッド61Aと導通する第二貫通電極と、第一ベース基板50と第二ベース基板51との間に設けられ第一貫通電極と第二貫通電極とを接続する接続配線と、を含む。電極パッド61Bと外部電極62Bとを接続する第二配線は、第一配線と同様の構成である。第一配線及び第二配線の構成は、適宜選択できる。
り、互いにそれぞれ導通している。
【0050】
(圧電振動片)
図5は、圧電振動片100を示す外観斜視図である。図6は、圧電振動片100を示す(a)平面図であり、(b)側面図である。
図5,6に示すように、圧電振動片100は、平板状に形成されている。圧電振動片100は、基部110と、基部110に接続され、幅方向(X軸方向)に並んで配置された一対の振動腕部120A,120Bと、基部110における振動腕部120A,120Bの幅方向(X軸方向)の両側に接続された一対の支持腕部130A,130Bと、を備えている。
【0051】
圧電振動片100は、水晶、タンタル酸リチウムやニオブ酸リチウム等の圧電材料から形成されたサイドアーム型の振動片であり、所定の電圧が印加されたときに振動するものである。
圧電振動片100の面に垂直な方向の厚さ(Z軸方向長さ)としては、例えば、30μmとすることができる。
【0052】
本実施形態において、基部110、一対の振動腕部120A,120B及び支持腕部130A,130Bは、一体に形成され、隣接する各部が界面なく連続している。図6において、各部の範囲を示すために、各部の基端又は先端を2点鎖線で示している。
【0053】
基部110は、振動腕部120A,120Bと、支持腕部130A,130Bとを、接続している。平面視(XY面視)において、基部110は、矩形状に形成されている。基部110における振動腕部120A,120Bの幅方向両側(±X側)の端部には、それぞれ支持腕部130A,130Bが接続されている。基部110における支持腕部130A,130Bの長さ方向一方側(+Y側)には、振動腕部120A,120Bが接続されている。
【0054】
振動腕部120A,120Bは、基部110から支持腕部130A,130Bの長さ方向(+Y軸方向、第一方向)に向かって延びている。振動腕部120A,120Bは、長手方向(Y軸方向)と垂直で圧電振動片100の面と平行な方向(第二方向、X軸方向)に並んで設けられている。
【0055】
振動腕部120A,120Bは、それぞれ幅(X軸方向長さ)が均一な幅で直線的に延びる帯状部121と、帯状部121の先端に設けられ、幅(X軸方向長さ)が帯状部121よりも広いハンマー部122と、を有している。
【0056】
帯状部121には、支持腕部130A,130Bの長さ方向(+Y軸方向)に帯状に延びる溝部121Mが形成されている。
なお、本実施形態では、各振動腕部120A,120Bに一の溝部121Mが形成されているが、支持腕部130A,130Bの長さ方向(+Y軸方向)に離間して複数の溝部が形成されていてもよい。例えば、振動腕部120A,120Bの先端側に+Y軸方向に長さの長い溝部が形成され、振動腕部120A,120Bの基端側に+Y軸方向に長さの短い溝部が形成されていてもよい。
【0057】
ハンマー部122は、帯状部121の先端部から、振動腕部120A,120Bの長さ方向(+Y軸方向)に延びるように形成されている。ハンマー部122の幅(X軸方向長さ)は、振動腕部120A,120Bの幅(X軸方向長さ)よりも大きく形成されている。ハンマー部122は、基部110を固定端として、幅方向(X軸方向)に振動する自由端に設定されている。
【0058】
また、一対の振動腕部120A,120Bの外表面上には、これら一対の振動腕部120A,120Bを振動させる不図示の励振電極が形成されている。
【0059】
支持腕部130A,130Bは、基部110から振動腕部120A,120Bの長さ方向(+Y軸方向)に向かって延びている。支持腕部130A,130Bは、長手方向(Y軸方向)と垂直で圧電振動片100の面と平行な方向(X軸方向)に並んで設けられている。
【0060】
支持腕部130A,130Bは、それぞれ基部110から振動腕部120A,120Bの幅方向(X軸方向)に延びる基端腕部131と、基端腕部131から振動腕部120A,120Bの長さ方向(+Y軸方向)に延びる延出腕部132と、を有している。さらに、支持腕部130A,130Bは、延出腕部132から振動腕部120A,120Bの長さ方向(+Y軸方向)に延びる第一腕部133と、第一腕部133から振動腕部120A,120Bの長さ方向(+Y軸方向)に延びる第二腕部134と、を有している。さらに、支持腕部130A,130Bは、第二腕部134から振動腕部120A,120Bの長さ方向(+Y軸方向)に延びる先端腕部135と、先端腕部135に設けられた傾斜腕部136と、を有している。これら基端腕部131、延出腕部132、第一腕部133、第二腕部134、先端腕部135及び傾斜腕部136は、一体に形成されている。
【0061】
基端腕部131は、基部1110の−Y軸側から、振動腕部120A,120Bの幅方向(X軸方向)に延びている。基端腕部131のY軸方向の長さは、基部110のY軸方向の長さよりも短い。
【0062】
延出腕部132は、長さ方向(+Y軸方向)にわたって幅(X軸方向長さ)が一定とされている。延出腕部132の基部110側の側面、本実施形態では延出腕部132における振動腕部120A,120B側を向く側面132Sと基端腕部131における長さ方向(+Y軸方向)を向く面131Sとで形成される隅部には、エッチング残りE(異形部)が形成されている。なお、エッチング残りEは、第一腕部133には形成されていない。
【0063】
第一腕部133は、基部110側(−Y軸側)の幅(X軸方向長さ)が、延出腕部132の先端側の幅と同一とされ、支持腕部130A,130Bの先端部130Z側、つまり+Y軸方向に向かうにしたがって幅が次第に狭くなるように形成されている。
【0064】
本実施形態では、第一腕部133の主面(XY面)133Aと直交する両側面133S,133Tは、平面状に形成されている。この第一腕部133の両側面133S,133Tは、支持腕部130A,130Bの長さ方向(+Y軸方向)に向かうにしたがって次第に互いに近接するように形成されている。
【0065】
第二腕部134は、基部110側(−Y軸側)の幅(X軸方向長さ)が、第一腕部133の先端側の幅と同一とされている。第二腕部134は、支持腕部130A,130Bの先端部130Z側、つまり+Y軸方向に向かうにしたがって幅が次第に広くなるように形成されている。
【0066】
第二腕部134の主面(XY面)134Aと直交する両側面134S,134Tは、第一腕部133の両側面133S,133Tとそれぞれ連続して形成されている。本実施形態では、第二腕部134の両側面134S,134Tは、平面状に形成されている。この第二腕部134の両側面134S,134Tは、支持腕部130A,130Bの長さ方向(+Y軸方向)に向かうにしたがって次第に互いに離間するように形成されている。
【0067】
本実施形態では、第一腕部133と第二腕部134との境界部133Xを挟んで、第一腕部133と第二腕部134とは対称に形成されている。これにより、第一腕部133の長さ方向(+Y軸方向)に沿った幅寸法の変化率は、第二腕部134の長さ方向(+Y軸方向)に沿った幅寸法の変化率と、同一とされている。
【0068】
また、支持腕部130A,130Bの長さ方向(+Y軸方向)において、第一腕部133と第二腕部134との境界部133Xは、支持腕部130A,130Bの第一方向の中間位置130Mよりも、基部110側に位置している。
【0069】
先端腕部135は、第二腕部134に連続して形成され、長さ方向(+Y軸方向)に沿って延びている。先端腕部135の幅(X軸方向長さ)は、第二腕部134の先端側の幅と同一にとされるとともに、長さ方向(+Y軸方向)にわたって一定とされている。
【0070】
先端腕部135の対向面(XY面)135B面には、マウント部141A,141Bが設けられている。マウント部141A,141Bが設けられている位置は、支持腕部130A,130Bが振動する際に、振動の節となる位置である。
【0071】
傾斜腕部136は、先端腕部135の先端に設けられている。傾斜腕部136の側面136S,136Tのうち振動腕部120A,120Bから遠い方の側面136Tには、支持腕部130A,130Bの長さ方向(+Y軸方向)に向かうにしたがって次第に振動腕部120A,120Bに近づくように形成された傾斜面136Xが設けられている。
【0072】
そして、図4に示すように、圧電振動片100は、導電性接着剤70を介して、マウント部141A,141Bに形成されている図示しないマウント電極が、電極パッド61A,61Bに接触するようにマウントされている。
【0073】
これにより、圧電振動片100は、第二ベース基板51の実装面51Aに対して、主面が平行な状態で支持されると共に、一対の電極パッド61A,61Bにそれぞれ電気的に接続された状態とされている。
【0074】
このように構成された圧電振動子1を作動させる場合には、外部電極62A,62Bに対して、所定の駆動電圧を印加する。これにより、圧電振動片100の励振電極に電流を流すことができ、一方の振動腕部120Aと他方の振動腕部120Bとを圧電振動片100の面に沿って所定の周波数で振動させることができる。そして、この振動を利用して、時刻源、制御信号のタイミング源やリファレンス信号源等として圧電振動子1を利用することができる。
【0075】
なお、マウント電極を電極パッド61A,61Bに接合する導電性接合材として、導電性接着剤の代わりに金属バンプを使用することも可能である。導電性接着剤と金属バンプの共通点は、接合初期の段階において流動性を持つペースト状であり、接合後期の段階において固化して接合強度を発現する性質の導電性接合材であるということである。
【0076】
このように構成された圧電振動子1では、支持腕部130A,130Bの第一腕部133は先端部130Z側に向かうにしたがって幅が次第に狭くなるように形成されているため、振動漏れの発生を抑制することができる。
【0077】
また、支持腕部130A,130Bの第二腕部134は先端部130Z側に向かうにしたがって幅が次第に広くなるように形成されているため、第二腕部134の先端側における面積を大きくすることができる。よって、第二腕部134の先端側、つまり先端腕部135がパッケージ2に実装される際には、実装面積(マウント部141A,141Bの面積)を大きくすることができるため、圧電振動片100のパッケージ2に対する実装強度を高めることができる。
【0078】
また、エッチング残りEが発生しやすい支持腕部130A,130Bの基端側、つまり延出腕部132において、その幅は、第一腕部133の先端側よりも広く形成されている。よって、支持腕部130A,130Bの基端側での剛性を確保することができため、支持腕部130A,130Bの基端側での応力集中による破損を抑制することができる。
【0079】
また、支持腕部130A,130Bに段部や切欠きが形成されるとエッチング残りEが発生しやすいが、支持腕部130A,130Bはその幅が長手方向(Y軸方向)に沿って次第に変化するように形成されている。よって、支持腕部130A,130Bは、長手方向(Y軸方向)に沿って、エッチング残りEの発生が抑制される。
【0080】
また、第一腕部133及び第二腕部134の両側面133S,133T,134S,134Tはそれぞれ平面状に形成されているため、支持腕部130A,130Bを簡易に製造することができる。
【0081】
また、本実施形態では、例えば長手方向(Y軸方向)に沿って幅が狭くなる場合よりも、先端腕部135の幅が長手方向(Y軸方向)にわたって一定とされているため、先端腕部135の面積が広くなる。これにより、実装するためにマウント部141A,141Bに塗布される導電性接着剤70は、支持腕部130A,130Bの幅方向(X軸方向)に沿って濡れ広がりやすいため、圧電振動子1の長手方向(Y軸方向)への濡れ広がりすぎることが抑制される。よって、導電性接着剤70が濡れ広がりすぎて塗布する必要のない第一腕部133にまで到達することが抑制されるため、先端腕部135をパッケージ2に確実に実装することができる。
【0082】
また、先端腕部135の幅は一定とされているため、先端腕部135では圧電振動子1の長手方向(Y軸方向)に沿って導電性接着剤70が均一に塗布される。よって、先端腕部135における圧電振動子1の長手方向(Y軸方向)に沿った質量のばらつきが抑制されるため、実装強度を高めることができる。
【0083】
また、境界部133Xは支持腕部130A,130Bの圧電振動子1の長手方向(Y軸方向)の中間位置130Mよりも基部110側に配置されているため、支持腕部130A,130Bの先端部130Zから境界部133Xまでの距離を長くすることができる。よって、マウント部141A,141Bに塗布された導電性接着剤70が圧電振動子1の長手方向(Y軸方向)へ濡れ広がったとしても、境界部133Xにまで到達することはない。よって、境界部133Xに導電性接着剤70が付着して、導電性接着剤70を介して振動が漏れることが抑制される。
【0084】
(第一実施形態の変形例1)
次に、上記に示す第一実施形態の変形例1について、主に図7を用いて説明する。
なお、以下に説明する変形例及び実施形態においては、上記に示す実施形態と共通する構成については図中に同符号を付してその説明を省略する。
【0085】
図7は、本発明の第一実施形態の変形例1に係る圧電振動子を構成する圧電振動片を示す(a)平面図であり、(b)側面図である。
図7に示すように、圧電振動片200を構成する第一腕部233の両側面233S,233Tのうち振動腕部120A,120Bに近い方の内側面233Sは、支持腕部230A,230Bの長さ方向(+Y軸方向)に沿うとともに、主面(XY面)と直交するYZ平面上に配置されている。
【0086】
また、第一腕部233の両側面233S,233Tのうち振動腕部120A,120Bから遠い方の外側面233Tは、第一実施形態と同様に、支持腕部230A,230Bの長さ方向(+Y軸方向)に向かうにしたがって次第に対向する内側面233Sに近接するように形成されている。このようにして、第一腕部233は、支持腕部230A,230Bの先端部230Z側、つまり+Y軸方向に向かうにしたがって幅が次第に狭くなるように形成されている。
【0087】
また、圧電振動片200を構成する第二腕部234の両側面234S,234Tのうち振動腕部120A,120Bに近い方の内側面234Sは、第一腕部233の内側面233Sと同一面上に配置されている。つまり、支持腕部230A,230Bの長さ方向(+Y軸方向)に沿うとともに、主面(XY面)と直交するYZ平面上に配置されている。
【0088】
また、第二腕部234の両側面234S,234Tのうち振動腕部120A,120Bから遠い方の外側面234Tは、第一実施形態と同様に、第一腕部233の外側面233Tと連続して形成されている。第二腕部234の外側面234Tは、支持腕部230A,230Bの長さ方向(+Y軸方向)に向かうにしたがって次第に対向する内側面234Sから離間するように形成されている。このようにして、第二腕部234は、支持腕部230A,230Bの先端部230Z側、つまり+Y軸方向に向かうにしたがって幅が次第に広くなるように形成されている。
【0089】
このように構成された圧電振動片200では、第一腕部233の内側面233S及び第二腕部234の内側面234Sは、支持腕部230A,230Bの長さ方向(+Y軸方向)に向かって延びる平面状に形成されているため、支持腕部230A,230Bを簡易に製造することができる。
なお、第一腕部の外側面及び第二腕部の外側面が支持腕部の長さ方向(+Y軸方向)に向かって延びる平面状に形成されるとともに、第一腕部の内側面が支持腕部の長さ方向(+Y軸方向)に向かうにしたがって次第に対向する外側面に近接するように形成され、第二腕部の内側面が支持腕部の長さ方向(+Y軸方向)に向かうにしたがって次第に対向する外側面から離間するように構成されていてもよい。
【0090】
(第一実施形態の変形例2)
次に、上記に示す第一実施形態の変形例2について、主に図8を用いて説明する。
図8は、本発明の第一実施形態の変形例2に係る圧電振動子を構成する圧電振動片を示す(a)平面図であり、(b)側面図である。
図8に示すように、圧電振動片300において第一腕部333の両側面333S,333Tは、支持腕部330A,330Bの長さ方向(+Y軸方向)に向かうにしたがって次第に互いに近接するように形成されている。第二腕部334の両側面334S,334Tは、支持腕部330A,330Bの長さ方向(+Y軸方向)に向かうにしたがって次第に互いに離間するように形成されている。
【0091】
第二腕部334の長さ方向(+Y軸方向)に沿った幅寸法の変化率は、第一腕部333の長さ方向(+Y軸方向)に沿った幅寸法の変化率よりも、大きい。換言すると、第一腕部333の幅寸法は長さ方向(+Y軸方向)に向かうにしたがって次第に狭くなるのに対して、第二腕部334の幅寸法は長さ方向(+Y軸方向)に向かって急激に広くなるように形成されている。
【0092】
このように構成された圧電振動片300では、第二腕部334の幅が広くなる幅寸法の変化率が大きいため、振動漏れを確実に抑制することができる。
【0093】
(第二実施形態)
次に、第二実施形態に係る圧電振動片について、主に図9(a)を用いて説明する。
図9(a)は、本発明の第二実施形態に係る圧電振動片の平面図である。
図9(a)に示すように、圧電振動片400は、センターアーム型の振動片である。圧電振動片400は、基部410と、一対の振動腕部420A,420Bと、支持腕部430と、を備えている。
【0094】
振動腕部420A,420Bは、基部410からそれぞれ同一の方向(+Y軸方向)に向かって延びている。振動腕部420A,420Bは、長手方向(Y軸方向)と垂直で圧電振動片400の面と平行な方向(X軸方向)に並んで設けられている。振動腕部420A,420Bの外表面上には、これら一対の振動腕部420A,420Bを振動させる不図示の励振電極が形成されている。
【0095】
振動腕部420A,420Bの先端部には、ハンマー部422がそれぞれ設けられている。ハンマー部422は、それぞれ振動腕部420A,420Bの先端部から、振動腕部420A,420Bの長さ方向(+Y軸方向)に延びるように形成されている。ハンマー部422の幅(X軸方向長さ)は、振動腕部420A,420Bの幅(X軸方向長さ)よりも大きく形成されている。ハンマー部422は、基部410を固定端として、幅方向(X軸方向)に振動する自由端に設定されている。
【0096】
支持腕部430は、基部410における、振動腕部420A,420Bが延出している箇所の間から、振動腕部420A,420Bの長さ方向(+Y軸方向)に向かって延びている。支持腕部430は、基部410から延びる第一腕部433と、第一腕部433と連続して形成された第二腕部434と、第二腕部434と連続して形成された先端腕部435と、を有している。
【0097】
第一腕部433は、支持腕部430の先端部430Z側、つまり+Y軸方向に向かうにしたがって幅が次第に狭くなるように形成されている。
【0098】
第一腕部433の両側面433S,433Tは、平面状に形成されている。第一腕部433の両側面433S,433Tは、支持腕部430の長さ方向(+Y軸方向)に向かうにしたがって次第に互いに近接するように形成されている。
【0099】
第二腕部434は、基部410側(−Y軸側)の幅(X軸方向長さ)が、第一腕部433の先端側の幅と同一とされ、支持腕部430の先端部430Z側、つまり+Y軸方向に向かうにしたがって幅が次第に広くなるように形成されている。
【0100】
第二腕部434の両側面434S,434Tは、第一腕部433の両側面433S,433Tとそれぞれ連続して形成されている。第二腕部434の両側面434S,434Tは、平面状に形成されている。第二腕部434の両側面434S,434Tは、支持腕部430の長さ方向(+Y軸方向)に向かうにしたがって次第に互いに離間するように形成されている。
【0101】
本実施形態では、第一腕部433と第二腕部434との境界部433Xを挟んで、第一腕部433と第二腕部434とは対称に形成されている。これにより、第一腕部433の長さ方向(+Y軸方向)に沿った幅寸法の変化率は、第二腕部434の長さ方向(+Y軸方向)に沿った幅寸法の変化率と、同一とされている。
【0102】
先端腕部435は、第二腕部434に連続して形成され、長さ方向(+Y軸方向)に沿って延びている。先端腕部435の幅は、第二腕部434の先端側の幅と同一にとされ、幅(X軸方向長さ)が一定とされている。
【0103】
先端腕部435の主面(XY面)には、マウント部441A,441Bが支持腕部430の長さ方向(+Y軸方向)に離間して設けられている。マウント部141A,141Bが設けられている位置は、支持腕部430が振動する際に、振動の節となる位置である。
【0104】
そして、圧電振動片400は、導電性接着剤(不図示)を介して、マウント部441A,441Bに形成されているマウント電極(不図示)が、電極パッド(不図示)に接触するようにマウントされている。
【0105】
これにより、圧電振動片400は、第二ベース基板51(図2参照)の実装面51A(図2参照)に対して、主面が平行な状態で支持されると共に、一対の電極パッドにそれぞれ電気的に接続された状態とされている。
【0106】
このように構成された圧電振動子1を作動させる場合には、外部電極62A,62Bに対して、所定の駆動電圧を印加する。これにより、圧電振動片400の励振電極に電流を流すことができ、一方の振動腕部420Aと他方の振動腕部420Bとを圧電振動片400の面に沿って所定の周波数で振動させることができる。
【0107】
(第二実施形態の変形例1)
次に、上記に示す第二実施形態の変形例1について、主に図9(b)を用いて説明する。
図9(b)は、第二実施形態の変形例1に係る圧電振動片の平面図である。
図9(b)に示すように、圧電振動片500を構成する支持腕部530は、第一腕部533と、第二腕部534と、を有している。第一腕部533の主面(XY面)及び第二腕部534の主面(XY面)には、それぞれマウント部541A,541Bが設けられている。
【0108】
このように構成された圧電振動片500では、マウント部541A(541B)に塗布された導電性接着剤(不図示)が支持腕部530の長手方向(Y軸方向)に濡れ広がったとしてしても、境界部533Xで溜まって、他方のマウント部541B(541A)側にまで到達することはないため、短絡を防止することができる。
【0109】
(第二実施形態の変形例2)
次に、上記に示す第二実施形態の変形例2について、主に図9(c)を用いて説明する。
図9(c)は、第二実施形態の変形例2に係る圧電振動片の平面図である。
図9(c)に示すように、圧電振動片600を構成する支持腕部630は、基部410から延びる延出腕部632と、延出腕部632と連続して形成された第一腕部633と、第一腕部633と連続して形成された第二腕部634と、を有している。延出腕部632の主面(XY面)から第一腕部433の主面(XY面)にわたってマウント部641Aが設けられている。ま、第二腕部434の主面(XY面)に、マウント部641Bが設けられている。
【0110】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0111】
例えば、上記に示す実施形態においては、第一腕部133の両側面133S,133T及び第二腕部134の両側面134S,134Tは平面状に形成されているが、本発明はこれに限られない。第一腕部の側面及び第二腕部の側面が曲面状に形成されることにより、第一腕部が先端部側に向かうにしたがって幅が次第に狭くなるように形成されるとともに、第二腕部が先端部側に向かうにしたがって幅が次第に広くなるように形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0112】
1…圧電振動子
2…パッケージ
3…パッケージ本体(ベース部材)
4…封口板(リッド部材)
100…圧電振動片
110…基部
120A,120B…振動腕部
130A,130B…支持腕部
131…基端腕部
132…延出腕部
133…第一腕部
134…第二腕部
135…先端腕部
136…傾斜腕部
133X…境界部
141A,141B…マウント部
C1…キャビティ
E…エッチング残り(異形部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9