(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。なお、図面において、同一又は類似の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省く場合がある。また、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0014】
本実施形態の無線電力送電装置は、ガイドレールに沿って移動可能であり、受電機器に対して無線で送電する送電装置と、その送電装置を移動させるための駆動力を発生させる駆動源と、その駆動源を駆動制御する駆動制御部と、を備える。以下、本実施形態における無線電力送電装置について、説明する。
【0015】
図1は、本実施形態における無線電力送電装置1の概略構成の一例を示す図である。本実施形態における無線電力送電装置1は、所定の範囲にある携帯情報端末30(受電機器)に対して無線で送電するものであって、例えば、オフィス等の建物内に設けられる。
【0016】
図1に示すように、無線電力送電装置1は、送電装置10、駆動源11及び駆動制御部12を備える。
送電装置10は、携帯情報端末30に対して無線で送電する。例えば、送電装置10、公知のワイヤレス送電の技術を用いることにより、無線で送電する。
送電装置10は、屋内の天井、床下、内壁や壁裏等に敷設されたガイドレール20に沿って所定の位置まで移動可能である。なお、送電装置10は、無線電力送電装置1に備えられていることから、送電装置10の位置が無線電力送電装置1の位置となる。
【0017】
駆動源11は、送電装置10を移動させるための駆動力を発生させる。例えば、駆動源11は、ガイドレール20に取り付けられることでガイドレール20に対して摺動可能となる。
駆動制御部12は、駆動源11を駆動制御し、ガイドレール20の所定の位置に送電装置10を移動させる。例えば、駆動制御部12は、外部装置から位置情報を取得し、その取得した位置情報が示す位置に送電装置10を移動させる。
【0018】
これにより、送電対象の携帯情報端末30が屋内に複数存在する場合に、各携帯情報端末30の状況に適した位置へ無線電力送電装置1(送電装置10)を移動させることが可能となる。したがって、屋内に存在する複数の携帯情報端末30の位置がまばらな場合や携帯情報端末30が持ち運び可能で屋内の複数の携帯情報端末30の位置が頻繁に変更される場合にも、無線電力送電装置1から携帯情報端末30に十分な電力を供給することができる。したがって、屋内の空間全体を網羅するように送電装置を配置する必要がなく、省コストである。
【0019】
以下に、本実施形態における無線電力送電装置1を用いた無線電力送電装置システム100について、説明する。
図2は、本実施形態における無線電力送電装置システム100の概略構成の一例を説明する図である。
【0020】
無線電力送電装置システム100は、アクセスポイント60、無線電力送電管理サーバ40及び無線電力送電装置1を備える。
【0021】
以下の説明では、携帯情報端末30は、オフィス200内に存在し、無線LAN機能を有する機器である。携帯情報端末30は、例えば、携帯電話、スマートフォン、ノートパソコン、タブレット端末である。なお、本実施形態では、オフィス200内に5つの携帯情報端末30(携帯情報端末30−1〜30−5)が存在する場合について、説明する。
【0022】
また、オフィス200内の内壁には、2つのガイドレール20−1,200−2が敷設されており、無線電力送電装置1Aがガイドレール20−1に沿って移動可能であり、無線電力送電装置1Bがガイドレール20−2に沿って移動可能であるとする。すなわち、オフィス200内の室内空間に2台の無線電力送電装置1A,1Bが設置されている。無線電力送電装置1A,1Bの送電範囲は、自装置から放射状に広がり,受電装置との距離に応じて減衰する特性を持つ。また、無線電力送電装置1A,1Bは,オフィス200の内壁に取り付けられたガイドレール20に沿って、0からLまで移動できるものとする。なお、オフィス200の室内空間は、説明の便宜上、平面とする。
【0023】
通信回線50は、アクセスポイント60と無線電力送電管理サーバ40との間で情報を伝達する。通信回線50は、有線通信の伝送路であってもよく、無線通信の伝送路であってもよく、それらの組み合わせであってもよい。通信回線50は、インターネット、専用回線、無線通信網又はそれらの組み合わせであってもよい。無線通信網における通信方式は、3G方式、LTE方式、4G方式などの移動体通信方式であってもよく、WiFi(登録商標)のような無線LAN方式、WiMAX(登録商標)のような無線MAN方式、無線WAN方式などの無線データ通信方式であってもよい。
【0024】
携帯情報端末30−1〜30−5のぞれぞれは、アクセスポイント60及び通信回線50を介して、通信回線50に接続された無線電力送電管理サーバ40と情報を送受する。例えば、携帯情報端末30−1〜30−5のそれぞれの通信方式は、3G方式、LTE方式、4G方式などの移動体通信方式でもよいし、無線LAN方式、無線MAN方式、無線WAN方式などの無線データ通信方式でもよいし、その両方でもよい。
【0025】
また、
図2に示す携帯情報端末30−1〜30−5の各アイコンは、自装置に内蔵されている電池の残量値(以下、「電池残量値」という。)を概念的に示す。例えば、各電池残量値は、3つのレベルで示されている。本実施形態では、例えば、携帯情報端末30−1,30−5のアイコンは、電池残量値が80%以上100%未満であることを示し、携帯情報端末30−2,30−3のアイコンは電池残量値が50%以上80%未満であることを示し、携帯情報端末30−4のアイコンは電池残量値が20%以上50%未満であることを示す。
【0026】
また、例えば、無線電力送電装置1は、アクセスポイント60及び通信回線50を介して、通信回線50に接続された無線電力送電管理サーバ40と情報を送受する。例えば、無線電力送電装置1は、3G方式、LTE(Long Term Evolution)方式、4G方式などの移動体通信方式でもよいし、無線LAN(Local Area Network」)方式、無線MAN(Metropolitan Area Network)方式、無線WAN(Wide Area Network)方式などの無線データ通信方式でもよいし、その両方でもよい。また、無線電力送電装置1は、有線で無線電力送電管理サーバ40と通信することで情報を送受してもよい。
【0027】
アクセスポイント60は、例えばオフィス200内に設けられている。アクセスポイント60は、1以上の中継装置の一例である。
【0028】
例えば、無線電力送電管理サーバ40は、アクセスポイント60から、アクセスポイント60の通信圏内に存在している携帯情報端末30−1〜30−5のそれぞれの位置情報及び電池残量値を取得する。例えば、電池残量値は、SOC(State Of Charge)である。なお、例えば、携帯情報端末30−1〜30−5には、アクセスポイント60を介して無線電力送電管理サーバ40に、位置情報及び状態情報を送信可能なアプリケーションがインストールされている。
【0029】
無線電力送電管理サーバ40は、アクセスポイント60から取得した位置情報から送電対象である携帯情報端末30がオフィス200内に存在していると判定する。また、無線電力送電管理サーバ40は、アクセスポイント60から取得した電池残量値に基づいて、オフィス200内に存在する5台の携帯情報端末30−1〜30−5のぞれぞれの送電優先度を決定する。この送電優先度とは、複数の携帯情報端末30の中で、どの携帯情報端末30を優先的に充電させるかを決定するための優先度である。すなわち、優先度の高い携帯情報端末30から電力が送電されることで、優先度の高い携帯情報端末30から充電される。本実施形態では、電池残量値が少ない方が送電優先度が高く設定される。なお、無線電力送電管理サーバ40は、各携帯情報端末30からアクセスポイント60を介して優先度の情報を取得してもよい。
【0030】
無線電力送電管理サーバ40は、携帯情報端末30−1〜30−5の位置x
nと送電優先度μ
nと取得する。本実施形態では、携帯情報端末30がオフィス200内に5台存在するため、n=1,2,…5である。すなわち、携帯情報端末30−1は、位置がx
1であり、送電優先度がμ
1である。携帯情報端末30−2は、位置がx
2であり、送電優先度がμ
2である。携帯情報端末30−3は、位置がx
3であり、送電優先度がμ
3である。携帯情報端末30−4は、位置がx
4であり、送電優先度がμ
4である。携帯情報端末30−5は、位置がx
5であり、送電優先度がμ
5である。
【0031】
無線電力送電管理サーバ40は、取得した携帯情報端末30−1〜30−5それぞれの位置x
nと送電優先度μ
nとに基づいて、無線電力送電装置1A,1Bの可動域(0からL)内を制約条件とし,携帯情報端末30−1〜30−5へ最も効果的に送電できる無線電力送電装置1A,1Bの位置を決定する。例えば、無線電力送電管理サーバ40は、取得した携帯情報端末30−1〜30−5それぞれの位置x
nと送電優先度μ
nとに基づいて、無線電力送電装置1Aの位置x
Aと無線電力送電装置1Bの位置x
Bとに関する最適化計算を解くことで、携帯情報端末30−1〜30−5へ最も効果的に送電できる、すなわち送電効率Ηが最も大きい無線電力送電装置1A,1Bの位置x
A,x
Bを決定する。なお、送電効率Ηについては,各無線電力送電装置1A,1Bと各送電対象の携帯情報端末30−1〜30−5との距離からすべての組合せを計算することで求めることができる。
【0032】
図3は、本実施形態における無線電力送電管理サーバ40の解くべき最適化計算の一例を示す図である。無線電力送電管理サーバ40は、無線電力送電装置1Aから各携帯情報端末30−1〜30−5に対する送電効率H
A1〜H
A5を算出する。また、無線電力送電管理サーバ40は、無線電力送電装置1Bから各携帯情報端末30−1〜30−5に対する送電効率H
B1〜H
B5を算出する。無線電力送電管理サーバ40は、算出した送電効率H
A1〜H
A5及びH
B1〜H
B5に対して送電優先度μ
1〜μ
5で重み付けを行い、重み付けを行った各送電効率の合計値が最大になる最適解である無線電力送電装置1A,1Bの位置x
A,x
Bを決定する。なお、目的関数として、無線電力送電装置1A,1Bの次の場所への移動距離に関するコスト等を最適化計算に追加することも可能である。
なお、本実施形態では、無線電力送電装置1及び受電装置の特性や数量、最適化手法は、上述の例に限定されない。
【0033】
無線電力送電管理サーバ40は、最適解として決定した位置x
A,x
Bをアクセスポイント60を介して無線電力送電装置1A、無線電力送電装置1Bにそれぞれ送信する。これにより、無線電力送電装置1Aの駆動制御部12は、無線電力送電管理サーバ40から取得した位置x
Aに移動するように、自装置の駆動源11を駆動制御する。そして、無線電力送電装置1Aの送電装置10は、位置x
Aに到達すると、携帯情報端末30に対して無線で送電する。
一方、無線電力送電装置1Bの駆動制御部12は、無線電力送電管理サーバ40から取得した位置x
Bに移動するように、自装置の駆動源11を駆動制御する。そして、無線電力送電装置1Bの送電装置10は、位置x
Bに到達すると、携帯情報端末30に対して無線で送電する。
【0034】
図4は、本実施形態における無線電力送電装置システム100の携帯情報端末30に対して無線で送電する動作の一例を示すシーケンス図である。
複数の携帯情報端末30は、自装置の位置情報と電池残量値とを無線電力送電管理サーバ40に送信する(ステップS101)。
無線電力送電管理サーバ40は、アクセスポイント60から取得した位置情報に基づいてオフィス200内に存在している携帯情報端末30の台数を決定する(ステップS102)。また、無線電力送電管理サーバ40は、アクセスポイント60から取得した電池残量値に基づいて、オフィス200内に存在する携帯情報端末30−1〜30−5ぞれぞれの送電優先度を決定する(ステップS103)。
【0035】
無線電力送電管理サーバ40は、取得した携帯情報端末30−1〜30−5それぞれの位置x
nと送電優先度μ
nとに基づいて、無線電力送電装置1Aの位置x
Aと無線電力送電装置1Bの位置x
Bとに関する最適化計算を行う(ステップS104)。例えば、無線電力送電管理サーバ40は、無線電力送電装置1A、1Bの全体から受電機器である携帯情報端末30−1〜30−5に対して送電するときの送電効率が最も高くなるような無線電力送電装置1A,1Bの位置x
A,x
Bを決定する(ステップS105)。そして、無線電力送電管理サーバ40は、決定した位置x
Aの情報を無線電力送電装置1Aに送信し、決定した位置x
Bの情報を無線電力送電装置1Bに送信する。
【0036】
無線電力送電装置1Aは、無線電力送電管理サーバ40から取得した位置x
Aに移動し(ステップS107)、携帯情報端末30に対して無線で送電する。一方、無線電力送電装置1Bは、無線電力送電管理サーバ40から取得した位置x
Bに移動し、携帯情報端末30に対して無線で送電する。このように、本実施形態における無線電力送電装置システム100は、以上の動作を定期的に繰り返すことにより,効果的な無線送電空間を実現することができる。
【0037】
上述の実施形態における無線電力送電装置1は、ガイドレール20に沿って移動可能であり、受電機器に対して無線で送電する送電装置10と、送電装置10を移動させるための駆動力を発生させる駆動源11と、駆動源11を駆動制御する駆動制御部12と、を備える。これにより、無線電力送電装置1は、各携帯情報端末30の位置や電池残量値等の状況に適した位置に移動することが可能となる。これにより、受電機器が屋内に複数存在するときでも、省コストの設備でその受電機器に無線で送電することが可能となる。
【0038】
また、上述の実施形態における無線電力送電装置システム100は、無線電力送電装置1と、送電装置10の可動域内を制約条件とし,所定の送電対象へ最も効果的に送電できる送電装置10の位置を決定する無線電力送電管理サーバ40と、を備える。そして、駆動制御部12は、駆動源11を駆動制御することで、無線電力送電管理サーバ40により決定された位置に送電装置10をガイドレール20に沿って移動させる。これにより、無線電力送電装置システム100は、各携帯情報端末30の位置や電池残量値等の状況に応じて送電効率が最もよい位置に無線電力送電装置1を移動させることが可能となる。これにより、携帯情報端末30が屋内に複数存在するときでも、省コストの設備でその携帯情報端末30に無線で送電することが可能となる。
【0039】
なお、上述の実施形態において、無線電力送電管理サーバ40は、携帯情報端末30の位置情報と電池残量値とを用いて、携帯情報端末30に対して送電する無線電力送電装置1A,1Bの位置x
A,x
Bを決定したが、これに限定されない。例えば、無線電力送電管理サーバ40は、携帯情報端末30の位置情報のみを用いて、携帯情報端末30に対して送電する無線電力送電装置1A,1Bの位置x
A,x
Bを決定してもよい。
【0040】
また、上述の実施形態の無線電力送電装置1において、駆動制御部12は、送電装置10を移動させるように駆動源11を駆動制御することが可能な構成であればよく、送電装置10と異なる場所に設置されていてもよい。
【0041】
(変形例)
以下に本実施形態における変形例について、説明する。本変形例は、本実施形態における無線電力送電管理サーバ40が送電装置10と携帯情報端末30との相対的な位置関係を特定し、特定した位置関係に基づいて送電装置10の送電効率が最も高くなる送電装置10の位置を決定する、構成を有する。
【0042】
図5は、本実施形態における送電装置10と携帯情報端末30との概略構成の変形例を示す図である。
図5に示すように、本変形例における送電装置10は、容量C
1を有するコンデンサ101、インダクタンスL
1を有するコイル102、抵抗値R
0を有する抵抗103及び電源104を備える。送電装置10は、コイル102から発生する磁界により、電源104の電力を送電する。ここで、コンデンサ101の容量C
1は、位相調整用の可変容量であり、
図5に示す電圧値V
0,電流値i
1は、それぞれ電源104から出力される電圧(電源電圧),電流を示す。また、抵抗103は、電源104の内部抵抗である。
また、本変形例における携帯情報端末30は、容量C
2を有するコンデンサ301、インダクタンスL
2を有するコイル302及び抵抗値R
Lを有する抵抗303を備える。
【0043】
コイル102から送電された電力は、コイル302で受電される。そして、受電された電力は、抵抗R303で消費される。なお、コンデンサ301の容量C
2は、位相調整用の可変容量であり、
図5に示す電圧値V
2,電流値i
2は、それぞれコイル302の端子間の電圧,コイル302に流れる電流を示す。なお、本変形例では、無線電力送電管理サーバ40Aにおいて、コイル102とコイル302とのそれぞれの位置関係を特定するために、コイル102の中心に座標軸をとる。
【0044】
無線電力送電管理サーバ40Aは、コイル102に対するコイル302の相対位置座標(x
2、y
2、z
2)を算出する。以下に、無線電力送電管理サーバ40Aにおける相対位置座標(x
2、y
2、z
2)の算出方法の一例について、説明する。
無線電力送電装置1は、送電装置10に流れる電流値i
1を測定する。無線電力送電装置1は、測定した電流値i
1を無線電力送電管理サーバ40Aに送信する。携帯情報端末30は、コイル302に流れる電流値i
2を測定する。携帯情報端末30は、測定した電流値i
2を無線電力送電管理サーバ40Aに送信する。
【0045】
無線電力送電管理サーバ40Aは、無線電力送電装置1から送信された電流値i
1と、携帯情報端末30から送信された電流値i
2とに基づいて、コイル102とコイル302との間の相互インダクタンスM
mesを下記の式(1)を用いて算出する。
【0047】
ただし、各素子の電気定数である抵抗値R
L、容量C
2、インダクタンスL
2は既知とし、ωは駆動周波数、jは虚数単位である。
【0048】
無線電力送電管理サーバ40Aは、式(2)に示す最小化問題を解き、コイル302の相対位置座標(x
2、y
2、z
2)を算出する。
【0050】
なお、相互インピーダンスM
estは、下記の式(3)で算出される。
【0052】
ここで、A1、A2はそれぞれコイル102,302に沿う積分経路である。μ
0は真空の透磁率である。d1,d2は、それぞれコイル102,302上の線素ベクトルである。rは、線素ベクトルd1と線素ベクトルd2との間の距離である。なお、例えば、相互インピーダンスM
estは、モーメント法等のアンテナ解析手法を用いて算出されてもよい。なお、本実施形態の変形例では、無線電力送電管理サーバ40Aは、相互インピーダンスM
estを式(3)を用いて計算することに限定されない。例えば、無線電力送電管理サーバ40Aは、相互インピーダンスM
estをデータベース化して予め保存しておき、式(2)に示す最小化問題を解く際に、そのデータベースから相互インピーダンスM
estを抽出して用いてもよい。例えば、無線電力送電管理サーバ40Aは、相互インピーダンスM
mesに最も近い値となる相互インピーダンスM
estをデータベースの中から抽出し、抽出した相互インピーダンスM
estを用いてコイル302の相対位置座標(x
2、y
2、z
2)を算出する。
【0053】
無線電力送電管理サーバ40Aは、算出したコイル302の相対位置座標(x
2、y
2、z
2)に基づいて、送電効率が最大となる送電装置20の位置を決定する。例えば、無線電力送電管理サーバ40Aは、予め設定されたコイル302の相対位置座標と、算出した相対位置座標(x
2、y
2、z
2)とのずれを算出する。なお、予め設定されたコイル302の相対位置座標とは、送電効率が最もよい、送電装置10と受電装置との相対位置座標である。無線電力送電管理サーバ40Aは、算出したずれがなくなるように補正した送電装置10の位置をアクセスポイント60を介して無線電力送電装置1に送信する。これにより、無線電力送電装置1の駆動制御部12は、無線電力送電管理サーバ40から取得したずれの分を移動するように、自装置の駆動源11を駆動制御する。これにより、無線電力送電管理サーバ40Aは、送電効率が最もよい位置に無線電力送電装置1を移動させることが可能となる。これにより、携帯情報端末30が屋内に複数存在するときでも、省コストの設備でその携帯情報端末30に無線で送電することが可能となる。また、本変形例では、携帯情報端末10の台数に限定されない。すなわち、本変形例では、携帯情報端末30が1台以上の無線電力送電装置システムに適用可能である。
【0054】
また、本変形例では、受電装置を備えた携帯情報端末30に送電する場合について説明したが、例えば、受電装置を備えた電気自動車に対して本変形例の無線電力送電装置システムを適用可能である。例えば、駐車スペースに送電装置10を設置し、無線で電気自動車に電力を送電する場合を仮定する。無線電力送電管理サーバ40Aは、電気自動車が駐車スペースに停車した際に、本変形例と同様の方法で送電装置に対する受電装置の相対位置座標を求める。そして、無線電力送電管理サーバ40Aは、予め設定されたる受電装置の相対位置座標と、算出した相対位置座標とのずれを算出する。そして、例えば、算出されたずれがx方向に+5cmである場合には、送電装置をx方向に+5cm移動させる。これにより、高効率な電力伝送が可能となる。
【0055】
また、上述した実施形態における無線電力送電装置システム100をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0056】
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は上述の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。