特許第6675654号(P6675654)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6675654改善された構造の中芯を有する多層ボードを製造するためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6675654
(24)【登録日】2020年3月13日
(45)【発行日】2020年4月1日
(54)【発明の名称】改善された構造の中芯を有する多層ボードを製造するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B31F 1/08 20060101AFI20200323BHJP
   B32B 3/28 20060101ALI20200323BHJP
【FI】
   B31F1/08
   B32B3/28 B
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-555194(P2018-555194)
(86)(22)【出願日】2017年3月31日
(65)【公表番号】特表2019-514726(P2019-514726A)
(43)【公表日】2019年6月6日
(86)【国際出願番号】US2017025531
(87)【国際公開番号】WO2017184322
(87)【国際公開日】20171026
【審査請求日】2019年6月10日
(31)【優先権主張番号】15/134,106
(32)【優先日】2016年4月20日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517093186
【氏名又は名称】スコアボード,エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】SCORRBOARD,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グリーンフィールド,ジャイルズ
【審査官】 鶴 剛史
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05419796(US,A)
【文献】 特開昭62−116133(JP,A)
【文献】 特表2013−523492(JP,A)
【文献】 特開平08−183563(JP,A)
【文献】 特開昭51−115191(JP,A)
【文献】 三上英一ほか,有限要素法による段ボールシートの垂直圧縮強さの解析,日本包装学会誌,2004年,Vol.13 No.4,p.243-252
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B31F 1/08
B32B 3/28
WPI
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボード製品であって、
複数のフルートを有する紙の中芯であって、前記複数のフルートの中少なくとも一連のフルートにおいて、
それぞれのフルートが、
断面が直線形状である第1の直線状脚支持構造部と、断面が直線形状である第2の直線状脚支持構造部と、頂点構造部と、を備えていることを特徴とする、中芯と、
前記頂点構造部に結合された紙の対向面と、
を備えており、
前記頂点構造部が前記第1の直線状脚支持構造部と前記第2の直線状脚支持構造部との間に配置されて結合していることで、断面が二等辺三角形となるフルートのパターンが形成されており、
前記第1の直線状脚支持構造部の第1の長さが、前記二等片三角形の一辺の長さとして定義され、且つ前記第2の直線状脚支持構造部の第1の長さが、前記第1の直線状脚支持構造部の第1の長さと同一の長さとして定義されており、
前記頂点構造部の断面の幅が、前記第1の直線状脚支持構造部の第1の長さよりも短く形成されており、
各頂点構造部は、各頂点構造部を紙の対向面に結合するため、接着剤に流路を作るように構成された溝を有する平坦部分をさらに備えている、
ボード製品。
【請求項2】
前記頂点構造部の断面の幅が、前記第1の直線状脚支持構造部の第一の長さの1/5以下であることを特徴とする請求項1に記載のボード製品。
【請求項3】
前記紙の中芯に対して貼り付けられた第2の対向面をさらに備える、請求項1に記載のボード製品。
【請求項4】
前記紙の対向面に対して貼り付けられた第2の紙の中芯をさらに備える、請求項1に記載のボード製品。
【請求項5】
前記第1の直線状脚構造部および前記第2の直線状脚構造部は、約30〜60度の角度で前記紙の対向面に貼り付けられる、請求項1に記載のボード製品。
【請求項6】
各頂点構造部は、前記紙の対向面に平行な平坦部分を備える、請求項1に記載のボード製品。
【請求項7】
各頂点構造部と紙の対向面との間で結合される連続的な接着ラインをさらに備える、請求項1に記載のボード製品。
【請求項8】
前記複数のフルートは、さらに、
前記紙の対向面が前記紙の中芯に第1の側で貼り付けられるように、それぞれが、前記紙の対向面に結合される頂点構造部を有する、第1の複数のフルートと、
第2の紙の対向面が前記紙の中芯に前記第1の側と反対の側で貼り付けられるように、それぞれが、前記第2の紙の対向面に結合される頂点構造部を有する、第2の複数のフルートと、
を備えている、請求項1に記載のボード製品。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
現代の製紙技術は、製紙工場で抄紙機を使用してロール紙を製造し、それをボードメーカーがボード製品(即ち、段ボール)を製造するために使用することができる。その結果、連続的に作動する機械からロール紙を製造することができる。現代の抄紙機は、典型的には(他の繊維も使用してもよいが)、木材繊維を含む木材パルプをはじめとする多くの材料から紙を製造する。これらの繊維は、長く伸ばされて互いに隣接して位置合わせされることに適している傾向がある。繊維は、抄紙機のヘッドボックスから移動スクリーン上に供給されることのできるスラリーとしてはじまる。現代の抄紙機において、繊維は、互いに位置合わせされ、スクリーンが動く方向に整列する傾向がある。基本的な(underlying、内在する、下層をなす)繊維の整列方向は紙の主方向と呼ばれ、機械方向と一致する。したがって、主方向は、しばしば単に機械方向(MD;machine direction、縦方向)と呼ばれ、製造される紙は関連するMD値を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】アメリカ合衆国特許出願第15/077,250号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
紙を使用してボード製品を製造する場合、ボード製品の部分または層が波形(corrugated、段)となることができる。従来の波形加工機は、基本的な紙製品を紙の横方向(CD;cross direction)に波形加工しており、そのため、機械方向への紙の自然強度のバイアス(natural strength bias)を利用することができない。さらに、機械方向の紙のより大きな自然強度の品質は、ボード製造の解決策のなかで、交差波形加工(cross corrugation)技術によって利用されないままになっている。さらに、従来の波形の中芯(corrugated medium、波形の媒体)は、従来の1対の段ロールにおける突起の形状のために、正弦波形状を取るフルート(flute、段)を含む。その結果、通常のボード製品を製造する企業は、ボード製品の強度を制限する古い生産工程に固定されている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
特許請求の範囲の態様および多くの付随的な利点は、添付された図面と関連させると、以下の詳細な説明を参照してよりよく理解されることにより、より容易に認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1図1は、本明細書に開示される主題の1つ以上の実施形態による、1つ以上のボード製品の一部であるエンボス加工された中芯の等角断面図である。
図2図2は、本明細書に開示される主題の1つ以上の実施形態による、1つ以上のボード製品の一部である、中芯の支持構造部の先端に接着剤が塗布された、エンボス加工された中芯の等角断面図である。
【0006】
図3A図3Aは、本明細書に開示される主題の実施形態による、改善された構造を有する中芯の様々なフルート断面の断面図である。
図3B図3Bは、本明細書に開示される主題の実施形態による、改善された構造を有する中芯の様々なフルート断面の断面図である。
図3C図3Cは、本明細書に開示される主題の実施形態による、改善された構造を有する中芯の様々なフルート断面の断面図である。
【0007】
図4図4は、本明細書に開示される主題の実施形態による、図1のエンボス加工された中芯を有するボード製品の等角断面図である。
【0008】
図5図5は、本明細書に開示される主題の実施形態による図4のボード製品を製造するために構成された装置の態様図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の説明は、当業者が本明細書に開示される主題を製造して使用するように提示される。本明細書に記載された一般的な原理は、本発明の詳細な説明の精神および範囲を離れず、上述したもの以外の実施形態および用途に適用され得る。本開示は、示された実施形態に限定されることを意図せず、本明細書に開示または提示された原理および特徴と一致する最も広い範囲が与えられる。
【0010】
概要として、本明細書に開示される主題は、改善された構造の断面(structural profile、構造的な輪郭)を特徴とするエンボス加工された中芯(時に、エンボスフルート(embossed fluting)と呼ばれる)を有する紙製品から製造されたボード製品を製造するためのシステムおよび方法に関するものである。改善された構造の断面は、三角形のフルートのパターンを含むことができ、それぞれのフルートは、第1の直線状脚支持体(linear leg support)および第2の直線状脚支持体を示すことができ、各支持体は、中央の頂点構造部を支持する。頂点は、対向面(facing、外装面)に結合するように構成された実質的に平坦な部分を有してもよい。このように、ボード製品は、エンボス加工(打ち出し加工)された中芯に接着結合された1つ以上の対向面(時には、ライナーまたは壁と呼ばれる)をさらに含むことができる。さらに、各「三角形」の頂点部は、連続的且つ均一的な方式で接着剤を受け取るための溝(groove)またはチャネル(channel、流路)を有していてもよい。
【0011】
エンボス加工された中芯が、実質的に平坦な頂点部が側面に配置された(flank)直線状脚構造部を有するフルート断面を含むようにボード製品が製造されるとき、得られるボード強度および全体構造は、通常的に製造される波形中芯を有するボードに比べて改善される。さらに、エンボス加工された中芯は、紙製品の機械方向の自然的強度を利用する、直線状のエンボス加工工程を使用して製造することができる。波形の中芯とエンボス加工した中芯との間に対向面を配置し、ボードの一方または両方の外壁に対向面を有することを含み、同一のボード製品内に交差する中芯および直線状のエンボス加工された中芯を有するという根本的な概念の追加的な変換が可能である。本明細書に開示される主題の様々な実施形態におけるこれらの利点および追加の態様は、図1図5に関連して以下で説明される。
【0012】
様々な実施形態を説明する前に、交差波形加工および直線状のエンボス加工に対する簡単な説明が提示される。上記で簡略に述べたように、従来のボード製品は、製造された波形加工の中芯(時に、波形加工されたフルーティング(corrugated fluting、波形フルート)と呼ばれる)、例えば、交差する波形の中芯を含む。交差する波形の中芯は、紙製品の最も基本的な繊維に垂直に形成されたフルートを有する。これは、大部分の基本的な繊維と位置合わせされていないため、(CD値と比べる場合)紙のMD値の自然的強度を利用しないフルートを生ずる。紙のMD値を利用することのこのような失敗は、特定のボード強度が達成されるべき場合の、ボード製品を製造するときの機会喪失をもたらす。すなわち、必要なボード強度を達成するためには、必然的により多くの紙(より重い紙、より大きなフルートなど)を利用することになる。
【0013】
直線状のエンボス加工された中芯は、導びかれたフルートが紙製品のMD値と整列という点で交差する波形の中芯とは異なる。これは、大部分の基本的な繊維と位置合わせされている(align、同一方向となる)ため、(CD値と比べた場合)紙のMD値の自然的強度を利用するフルートを生ずる。紙のMD値を利用すると、特定のボード強度を達成するときにボード製品の製造において効率性をもたらす。すなわち、必要なボード強度を達成するため、必然的に少ない量の紙(より軽い紙、より小さなフルートなど)を利用するであろう。直線状のエンボス加工された中芯を製造、生産、および使用する態様は、「機械方向に対してエンボス加工することによって、紙製品でフルーティングを誘導するためのシステムおよび方法(SYSTEM AND METHOD FOR INDUCING FLUTING IN A PAPER PRODUCT BY EMBOSSING WITH RESPECT TO MACHINE DIRECTION)」と題する2016年03月22日付で出願された米国特許出願第15/077,250号に詳細に記載されており、その全文は、すべての目的のために本明細書に参考として組み込まれる。したがって、直線状のエンボス加工された中芯の態様は、次に図1図5に戻って説明するため、簡略化のためにこれ以上説明はしない。
【0014】
図1は、本明細書に開示される主題の1つ以上の実施形態による1つ以上のボード製品の一部であるエンボス加工された中芯130の等角断面図である。この図面は、エンボス加工工程から形成することのできるエンボス加工された中芯130の一部の等角図を示す。すなわち、フルート131は、直線状エンボス加工技術を使用してフルートを形成するため、初期の用紙製品をエンボス加工ロールに通過させることによって形成され、したがって、フルート131が紙の基本的な繊維125の大部分の向きと合致するように形成される。フルート131はまた、機械方向122と合致するように形成される。直線状のエンボス加工された中芯130は、フルート131が紙の機械方向122に(例えば、基本的な繊維125の大部分の向きと合致するように)形成されるために機械方向122で紙の自然的強度を利用する。したがって、直線状のエンボス加工された中芯130は、機械方向122で紙の自然的強度を利用する。このようなエンボス加工された中芯130は、図4に関連して後述するように、ボード製品の構成要素/層となることができる。
【0015】
さらに、図1に示すように、フルート131は、切断面からみると、三角形の図柄(パターン)を形成することができる。三角形の繰返し形状を有する、このようなフルートの様式を以下、フルート断面と称する。残りの図面で説明した実施形態においては、フルート断面は、曲線状または正弦波状のフルート断面を示すフルート断面と比較するとき、エンボス加工された中芯の構造的な完全性の改善を提供する。このような曲線状または正弦波状のフルートの断面は、従来の交差する中芯において一般的である。したがって、図1に示すような三角形のフルート断面は、中芯強度および構造的完全性に関連して波形の中芯よりも優れている。このようなフルート断面および他の類似したフルート断面が優れた強度および構造的な完全性を示す様々な理由が図2図3に関連して以下に提示される。
【0016】
図2は、本明細書に開示される主題の1つ以上の実施形態による1つ以上のボード製品の一部である中芯の支持構造の頂点構造部に接着剤201が塗布されたエンボス加工された中芯130の等角断面図である。図2において、エンボス加工された中芯をより詳細にみると、二等辺三角形のフルート断面を形成する一連のフルートが図示されている。フルート断面は、各々が3つの部分を含む一連の支持構造を含んでもよい。このような例においては、3つの部分は、第1の脚支持構造部211、第2の脚支持構造部212、および頂点構造部210である。図示したように、頂点構造部210は、第1の脚支持構造部211と第2の脚支持構造部212との間に配置される。このような例示的な支持構造においては、各支持構造は、頂点部を上向きとしていることができる(但し、上向は単に例示のために示された任意の方向である)。
【0017】
同様に、第2の一連の支持構造は、各々が3つの部分を含むが、下向きの視点からのものとすることができる。この点において、脚支持構造部212はまた、下向きの三角形のための脚支持構造部を形成する。したがって、3つの部分は、第1の脚支持構造部214、第2の脚支持構造部212、および第1の脚支持構造部212と第2の脚支持構造部214の間に配置された頂点構造部213である。第2の脚構造部212は、上向きの頂点部210および下向きの頂点部213に対して同一の、第2の脚支持構造部である。次いで、フルート断面は、その間に配置された交互直線状脚支持構造部(例えば、211、212および214)と頂点部に対向する一連の交互上向210および交互下向213として考えられる。
【0018】
各頂点210および213は、頂点部の位置を特定して、各頂点部に連続的な接着剤ラインを塗布する装置から接着剤201を受け取るために均一な表面を提供するように、実質的に平坦に形成されることができる。次いで、エンボス加工された中芯130は、準備状態で接着剤201を有する頂点部において対向面140に貼り付けられてもよい。他の実施形態においては、各頂点部210および213は、接着剤の受取りを容易にするための溝を有してもよい。溝によって、接着剤は、エンボス加工された中芯130がボード製造装置を通じて動いている間、所定の位置に維持される傾向がある。このような溝の頂点部の実施形態は、図3Cに関連して以下で説明される。
【0019】
図1および図2に関連して説明される実施形態は、優れた強度および改善された支持構造を有する二等辺三角形のフルート断面を示す、エンボス加工された中芯130を有する。この実施形態が優れた強度を提供する1つの理由は、脚支持構造部211、212、および214が、直線状であることである。すなわち、脚支持構造部は、湾曲していないため、多様な方向から様々な力が加えられると、固定され、剛性を維持する傾向がある。正弦波状の波形中芯においては、「脚」は、正弦波状の図形(パターン)の連続曲線によく似ている。したがって、各フルートの「頂点部」は、最終的に類似平坦な(quasi−flat)頂点部を形成する中芯の任意の部分で湾曲して平滑な転移を示す正弦波状の上面側であってもよい。従来の波形中芯の頂点部のいずれかの側で湾曲して平滑な転移のため、頂点部は、好ましくない方式で前後方向に並進してもよい。直線状脚支持構造部211、212、および214においては、予測不可能な移動および故障点(failure point)に抵抗する、より明確な構造が提供される。
【0020】
さらに、よく知られているように、2地点間の最短距離は直線である。ここで適用されるように、それぞれの頂点部に対向する上面(top side)とそれぞれの頂点部に対向する底面(bottom side)との間の最短距離は、直線状脚支持構造部である。したがって、三角形のフルート断面を有することは(正弦波状の波形中芯と比較して)、エンボス加工された中芯を生成するため、全体の紙を必然的により少なく使用する。他の実施形態は、鋸歯状(saw−tooth)、台形状(trapezoidal)、または上面側と底面側の頂点部とを互い違いに配置したことによって側面に位置する直線状脚支持構造部を実現する、任意の方式の幾何学的形状を含むフルート断面の異なる形状を含んでもよい。このような3つの実施形態を図3A図3Cに示し、次に説明する。
【0021】
図3A図3Cは、本明細書に開示される主題の実施形態による改善された構造を有する中芯の様々なフルート断面の断面図である。図3Aには、第1の二等辺三角形のフルート断面300が図示されている。このフルート断面300はまた、図1および図2に示すが、この図面は、実際のフルート断面の断面図を提供する。この実施形態において、各フルートは、第1の直線状脚支持構造部301および第2の直線状脚支持構造部302を含み、これらの各々は、その間に配置された1つの頂点部303に結合される。頂点部303は(接着剤または他の手段(図示せず)を通じて)、結合することのできる最終的な対向面と平行な平面内に実質的に平坦に配置される。さらに、この実施形態における頂点部303の幅は、各直線状脚支持構造部301および302の長さの約1/10である。したがって、この実施形態は、狭小な頂点部フルート断面300と称される。
【0022】
この実施形態においては、各頂点部303に対する各脚部301および302の角度は、約60度であってもよい。しかしながら、任意の脚部角度が実現されてもよい。したがって、第1の直線状脚構造部301および第2の直線状脚構造部302は、約30度以上約60度以下の角度で頂点部303の面に対して貼り付けられることができる。
【0023】
図3Bには、第2の二等辺三角形のフルート断面320が図示されている。このフルート断面320の図面は、その間に配置された1つの頂点部323に各々結合された第1の直線状脚支持構造部321および第2の直線状脚支持構造部322を示す実際のフルート断面の断面図を提供する。さらに、頂点部323は、実質的に平坦で、結合される最終的な対向面に平行な平面内に配置される。図3Aとは異なり、この実施形態における頂点部323の幅は、それぞれの直線状脚支持構造部321および322の長さの約1/5である。したがって、この実施形態は、広い頂点部フルート断面320と称されてもよい。
【0024】
図3Cには、第3の二等辺三角形のフルート断面340が図示されている。このフルート断面340は、第1の直線状脚支持構造部341および第2の直線状脚支持構造部342を示すフルート断面の断面図を提供し、これらの各々は、その間に配置された1つの頂点部343に結合される。前述したように、頂点部343は、実質的に平坦で、結合することのできる最終面に平行な平面内に配置される。図3Aおよび図3Bとは異なり、頂点部343は、対向面(図示せず)に結合される前に、接着剤を受け取るための溝またはチャネルを含む。この実施形態においては、頂点部343の幅は、それぞれの直線状脚支持構造部321および342の長さの約1/5である。したがって、この実施形態は、広い溝の頂点部のフルート断面340と称してもよい。他のフルート断面も考えられるが、簡潔性のためにこれ以上説明しない。
【0025】
図4は、本明細書に開示される主題の実施形態による改善されたフルート構造のエンボス加工された中芯130を有するボード製品400の等角断面図である。この実施形態においては、ボード製品は、4つの層、すなわち、第1の対向面110、波形中芯120、エンボス加工の中芯130および第2の対向面140を含む。図示されているように、第1の対向面110は、波形中芯120の一つの側(one side)に結合された上面側の外壁(ボード製品100の整列を基準とする上下方向は、任意的であるが)を形成することができる。結合は、波形中芯120の上面側の各フルートの頂点部に塗布された接着剤を通じて行われてもよく、したがって、対向面110は、接着剤が塗布される波形中芯120に接着される。他の実施形態においては、接着剤は、波形中芯120に結合される前に、対向面110の全体に塗布されてもよい。
【0026】
同様に、第2の対向面140は、エンボス加工された中芯130の一つの側に結合された底面側の外壁(再び、上下方向の基準は、任意的である)を形成することができる。結合は、エンボス加工された中芯130の底面側の各フルートの頂点部に塗布された接着剤を通じて行われてもよく、したがって、対向面140は、接着剤が塗布されるエンボス加工された中芯140に接着される。他の実施形態においては、接着剤は、エンボス加工された中芯130に結合される前に、対向面140の全体に塗布されてもよい。
【0027】
さらに、波形中芯120とエンボス加工された中芯130とは、接着剤を使用して互に接着されてもよい。波形中芯120のフルートが横方向に位置合わせされ、エンボス加工された中芯130のフルートが機械方向に位置合わせされるため、これらの2つの中芯の間の接点は、各フルートの頂点部の交差点にある。このようにして、波形中芯120およびエンボス加工された中芯130は、接着剤が1つの中芯を他の中芯に直接保持するために互いに対して貼り付けられる。
【0028】
すべての4つの層が組立てられて貼り付けられるとき、得られたボード製品400は、従来のボード製品より強いが、これは直線状のエンボス加工された中芯130が各フルートの直線状脚構造部によって優れた強度を示すフルート断面を含むからである。さらに、接着剤は、平坦な受取領域を有さない正弦波状頂点部の場合のように接着剤の一部が脚部にスピルオーバしないため、より正確に予測可能で繰返し可能な方式で各頂点部に連続的且つ均一的に塗布されてもよい。図4に示すように、ボード製品400は、波形中芯120を含む。他の実施形態においては、波形中芯120は、上面側の対向面110がエンボス加工された中芯の各上面側の頂点部に接着され、底面側の対向面140がエンボス加工された中芯130の各底面側頂点に接着されるように存在しなくてもよい。図4のボード製品400の追加的な態様は、図5の装置に関連し、次に説明する。
【0029】
図5は、本明細書に開示される主題の実施形態による図4のボード製品を製造するために構成された装置500の態様図である。この実施形態においては、上記の装置は、ボード製品を製造するために使用される紙の4つの供給ロール510、520、530、および540を含む。これらの供給ロールは、第1の対向面供給ロール510、波形中芯供給ロール520、エンボス加工された中芯供給ロール530および第2の対向面供給ロール540を含む。波形中芯供給ロール520に巻き付けられた紙は、波形加工前であり、エンボス加工された中芯供給ロール530に巻き付けられた紙は、エンボス加工前であることに留意されたい。各々の供給ロールに対する紙の重量および組成は、異なることがあり、各々の目的のために特別に設計されていてもよい。
【0030】
各々のロールからの紙は、各々のロールから巻き戻されてもよく、様々な紙の層をともに組み合わせて最終ボード製品を形成するように構成されたコンバイナ550(combiner、結合器)に向けて供給されてもよい。コンバイナ550に入る前に、供給ロールからの紙の少なくともいくつかを、紙を中芯に形成するためのステージを通過し得る。本明細書および業界で使用されているように、中芯は、フルートを有する紙に形成された紙製品を指すことができる。したがって、波形中芯供給ロール520は、互いに対して位置合わせされた第1の波形加工ロール521aおよび第2の波形加工ロール521bに紙を供給してもよい。紙が波形加工ステージ(例えば、波形加工ロール521aおよび521b)を抜け出ると、紙は波形中芯120になる。次いで、波形中芯120は、他の材料と組み合わされるようにコンバイナ550に供給される。同様に、上記のエンボス加工された中芯供給ロール530は、互いに対して位置合わせされた第1のエンボス加工ロール531aと第2のエンボス加工ロール531bに紙を供給することができる。上記の紙がエンボス加工ステージ(例えば、エンボス加工ロール531aおよび531b)を抜け出ると、紙は、図1に関連して上述したようにエンボス加工された中芯130になる。次にエンボス加工された中芯130は、他の材料と組み合わされるようにコンバイナ550に供給される。
【0031】
さらに、エンボス加工された中芯供給部530は、エンボス加工する前に、紙を調整(conditioining、前処理)することのできるコンディショナ560に供給されてもよい。このような調整は、紙を湿潤させる段階、紙を加熱する段階、紙を冷却させる段階、紙に化学物質を塗布する段階、エンボス加工のためによりよく準備されるよう紙の基礎状態を変化させる様々な形態を含んでもよい。このような意味で、調整段階は、紙の基本的な繊維を「弛緩(relaxing)」させる段階であって、紙の裂け(tear)および引き裂け(rip)を回避するために、より容易に操作するようにより柔軟な状態となり得るものと考えられる。このような状態は、紙の固有の剛性を除去または修正してもよく、エンボス加工中に延伸プロセスで起こり得る繊維の損傷程度を減少させることができる。一実施形態においては、コンディショナは、加工処理中の紙織物(paper web)を液体(例えば、水、回収可能な溶媒など)に(完全に、または部分的に)浸漬させてもよい。適合性(compliance)/可塑性の所望の紙の状態を達成するために、液体を加熱しても加熱しなくてもよい。
【0032】
エンボス加工ロール531aおよび531bを通過すると、新たに形成された頂点部に接着剤を塗布するため、エンボス加工された中芯130が塗布機570に渡されてもよい。塗布機は、各頂点部の位置を識別した後、一連の接着剤ディスペンサを識別された頂点部と位置合わせさせる装置を含んでもよい。他の実施形態においては、接着剤は、粘着ロールを用いて、あるいは紙が粘着フィルムと接触するロールを用いて、フルート先端に伝達されてフルート先端に接着することができる。このようにして、接着剤は、連続的且つ均一的な方式で精密に塗布されてもよい。次いで、接着、硬化(cure)、湿潤、乾燥、加熱および化学処理などの様々な技術を使用してコンバイナ550で第1の対向面110、波形中芯120、エンボス加工された中芯130および第2の対向面140を組み合わせる。得られたボード製品400は、少なくとも1つの交差する中芯120および少なくとも1つの直線状のエンボス加工された中芯130を特徴とし、上記の直線状のエンボス加工された中芯は改善された構造のフルート断面を含むことを特徴とする。
【0033】
本明細書で説明する主題は、種々の改良および代替的構造が可能であるが、そのいくつかの例示実施形態が図面に示され、上記に詳細に説明されている。しかしながら、特許請求の範囲を開示された特定の形態に限定しようとする意図があるというわけではなく、これとは逆に、本発明が特許請求の範囲の思想および範囲内に属するすべての改良、代替的構造および等価物を内包するものだということを理解すべきである。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5