特許第6675672号(P6675672)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6675672
(24)【登録日】2020年3月13日
(45)【発行日】2020年4月1日
(54)【発明の名称】レンタルスペースの在庫管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/06 20120101AFI20200323BHJP
   G06Q 10/08 20120101ALI20200323BHJP
【FI】
   G06Q30/06 350
   G06Q10/08 330
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-208387(P2019-208387)
(22)【出願日】2019年11月19日
(62)【分割の表示】特願2019-562679(P2019-562679)の分割
【原出願日】2019年7月18日
【審査請求日】2019年11月19日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504170595
【氏名又は名称】株式会社大正スカイビル
(74)【代理人】
【識別番号】100167900
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 仁
(72)【発明者】
【氏名】石田 和晴
【審査官】 田付 徳雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−101269(JP,A)
【文献】 特開2003−141271(JP,A)
【文献】 特開平11−232323(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0379435(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用時間を設定して利用者に空間を貸与するレンタルスペースの在庫管理システムであって、
通信回線に接続されて情報を管理するための管理機器と、
前記通信回線を介して前記管理機器に接続され、利用者から前記管理機器への情報入力を受け付ける利用者入力手段と、
複数の空間に並設された共用空間に配置されるとともに、利用者に提供する共用物品の在庫を管理する共用在庫管理手段と、を備え、
前記管理機器は、
前記利用者入力手段を介して受け付けられた空間を利用する利用者および予約日時に関する予約情報を管理する予約管理部と、
複数の空間に対して個別に設定された識別符号に係る識別符号情報を管理する識別符号管理部と、
前記共用物品の在庫の変動量に関する共用物品情報を前記共用在庫管理手段から取得する共用物品情報取得部と、
前記予約情報、前記識別符号情報、および前記共用物品情報に基づいて、空間を利用する利用者に共用物品の在庫の変動量に応じた対価を課金する共用物品課金部と、を備え、
前記共用在庫管理手段は、
前記識別符号を受け付けた場合に、前記共用物品を利用者に提供可能な提供可能状態と、
前記識別符号を受け付けていない場合に、前記共用物品を利用者に提供不能な提供不能状態と、を切り替える
ことを特徴とするレンタルスペースの在庫管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用時間を設定して利用者に空間を貸与するレンタルスペースの在庫管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ビルやオフィス、ホテル等の空会議室を一般の利用者に向けてレンタルするためのシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載されたレンタルシステムは、インターネット等の通信ネットワークに公開された管理サーバと、会議室の情報が保存された複数の予約サーバと、を備え、利用者が管理サーバを介して予約サーバの会議室情報にアクセスするとともに、所望の会議室を予約することができるように構成されている。さらに、レンタルシステムは、課金機能も備えており、レンタル料金の支払もオンラインで実行できるようになっている。
【0003】
また、会議の利用に供されるコンテンツ出力装置の利用に対して利用態様に見合った適正な金額を課金することができるレンタル会議室支援システムが提案されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2に記載されたレンタル会議室支援システムは、利用者の端末から送信されるコンテンツを保存するコンテンツ保存手段と、利用者の端末からの出力要求を受けてコンテンツを出力装置に送信して出力させるコンテンツ出力制御手段と、コンテンツの出力態様に応じて出力装置の使用料金を算出する料金算出手段と、を備え、料金算出手段は、コンテンツ出力装置である電子黒板やプロジェクターなどの備品の使用状況に応じて使用料金を算出し、使用料金を課金する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−150178号公報
【特許文献2】特開2017−174391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、2に記載されたような従来のシステムでは、会議室等の空間の利用を予約し、その利用料金を課金するとともに、空間で使用する備品の使用状況に応じて使用料金を算出し、その使用料金を課金することはできるものの、空間において利用者が使用する備品が消耗品である場合には対応することができない。すなわち、従来のシステムでは、消耗品である備品の使用量を把握することができず、管理者などが使用量を確認する必要があるため、人手を要するとともに、使用量を確認してから使用料金を算出する必要があるため、課金までの処理に時間がかかってしまい、システムの運用効率が阻害されるという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、人件費や処理時間を削減することでシステムの運用効率を高めることができるレンタルスペースの在庫管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のレンタルスペースの在庫管理システムは、利用時間を設定して利用者に空間を貸与するレンタルスペースの在庫管理システムであって、通信回線に接続されて情報を管理するための管理機器と、前記通信回線を介して前記管理機器に接続され、利用者から前記管理機器への情報入力を受け付ける利用者入力手段と、複数の空間に並設された共用空間に配置されるとともに、利用者に提供する共用物品の在庫を管理する共用在庫管理手段と、を備え、前記管理機器は、前記利用者入力手段を介して受け付けられた空間を利用する利用者および予約日時に関する予約情報を管理する予約管理部と、複数の空間に対して個別に設定された識別符号に係る識別符号情報を管理する識別符号管理部と、前記共用物品の在庫の変動量に関する共用物品情報を前記共用在庫管理手段から取得する共用物品情報取得部と、前記予約情報、前記識別符号情報、および前記共用物品情報に基づいて、空間を利用する利用者に共用物品の在庫の変動量に応じた対価を課金する共用物品課金部と、を備え、前記共用在庫管理手段は、前記識別符号を受け付けた場合に、前記共用物品を利用者に提供可能な提供可能状態と、前記識別符号を受け付けていない場合に、前記共用物品を利用者に提供不能な提供不能状態と、を切り替えることを特徴とする。
【0008】
このような本発明によれば、管理機器は、利用者入力手段を介して受け付けられた空間を利用する利用者および予約日時に関する予約情報を管理する予約管理部と、複数の空間に対して個別に設定された識別符号に係る識別符号情報を管理する識別符号管理部と、共用物品の在庫の変動量に関する共用物品情報を共用在庫管理手段から取得する共用物品情報取得部と、予約情報、識別符号情報、および共用物品情報に基づいて、空間を利用する利用者に共用物品の在庫の変動量に応じた対価を課金する共用物品課金部と、を備えることで、共用物品の在庫の変動量に応じて識別符号を付与した利用者に対して共用物品の対価を課金することができる。また、共用在庫管理手段は、識別符号を受け付けた場合に、共用物品を利用者に提供可能な提供可能状態と、識別符号を受け付けていない場合に、共用物品を利用者に提供不能な提供不能状態と、を切り替えることで、識別符号を付与した利用者だけが共用物品を使用することができるようになり、他の利用者等による共用物品の不正使用を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係るレンタルスペースの概略構成図
図2】前記レンタルスペースの管理機器の構成を示すブロック図
図3】前記レンタルスペースの管理機器の動作を示すフローチャート
図4】前記レンタルスペースの管理機器の他の動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るレンタルスペースの概略構成図である。
レンタルスペースは、図1に示すように、当該レンタルスペースを管理するための管理機器であるホスト1と、利用者に貸与するための空間である複数の部屋20と、を備え、複数の部屋20を有した複数の建物2が存在している。ホスト1および建物2と、利用者が所持する携帯電話やスマートフォン、パーソナルコンピュータ等の端末装置3と、部屋20のレンタルを予約するための予約サイト4と、は通信回線としての公衆ネットワークであるインターネット5を介して相互に接続可能になっている。利用者は、利用者入力手段としての端末装置3を用いてインターネット5を介して予約サイト4にアクセスし、目的に応じた部屋20を探し、利用時間および利用人数を指定して予約を実行することができる。予約サイト4は、利用者からの予約を受け付けると、ホスト1との間で各種情報の送受信を行い、予約が確定した部屋20に係る予約情報を端末装置3に送信する。
【0017】
建物2は、会議室やトレーニングルーム等の複数の部屋20を備え、各部屋20には、出入口21と、出入口21を施解錠するための錠装置22とが設けられている。錠装置22は、予約サイト4から利用者の端末装置3に発行される暗証番号やバーコード等の識別符号である認証キーによって解錠可能になっており、この認証キーは、利用するたびにランダムに変更され、その時間に予約した利用者だけが固有の認証キーを用いて錠装置22を解錠できるようになっている。各部屋20には、LAN(Local Area Network)を介してモデムやルータ等の通信端末装置23が接続されており、この通信端末装置23がインターネット5を介してホスト1に接続されている。なお、本実施形態では、認証キーは、暗証番号や、バーコード等を採用しているが、例えば、顔認証や、指紋認証や、網膜認証などの生体認証を採用してもよく、錠装置22を解錠可能とすることができれば、どのようなものであってもよい。
【0018】
各部屋20には、部屋20を利用する利用者に提供する消耗品である物品の在庫を管理する在庫管理手段24が設けられている。この在庫管理手段24は、例えば、部屋20に備え付けられた飲み物サーバにおいて飲み物(物品)の在庫量を管理したり、コピー機やプリンタにおいて印刷用紙やトナーの在庫量を管理したり、文房具や記憶媒体の販売機において文房具等の在庫量を管理したりする。在庫管理手段24は、通信端末装置23を介してホスト1に接続されている。また、建物2には、各部屋20の外側であって複数の利用者が共通に利用できるロビーや打合せスペース、休憩スペース、トイレ等の共用部25が設けられている。共用部25には、利用者に提供する消耗品である共用物品の在庫を管理する共用在庫管理手段26が設けられている。この共用在庫管理手段26は、共用部25に備え付けられた自動販売機において飲み物や食べ物(物品)の在庫量を管理したり、コピー機やプリンタ、ファクシミリにおいて印刷用紙やトナーの在庫量を管理したり、文房具や記憶媒体の販売機において文房具等の在庫量を管理したり、トイレにおいてトイレットペーパーの在庫量を管理したりする。共用在庫管理手段26は、通信端末装置23を介してホスト1に接続されている。このような在庫管理手段24および共用在庫管理手段26は、物品および共用物品の在庫量を検知するための各種のセンサ(例えば、重量センサや位置センサ、圧力センサ等)を備えている。このセンサは、通信端末装置23およびインターネット5を介してホスト1に測定値を送信するとともに、ホスト1から動作制御可能な機器、いわゆるIoT(Internet of Things)機器として構成されている。
【0019】
図2は、レンタルスペースの管理機器の構成を示すブロック図である。
レンタルスペースの管理機器であるホスト1は、サーバ装置によって構成され、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)等からなる制御手段30と、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置からなる記憶手段50と、を備える。制御手段30は、利用者から予約サイト4を介して予約された予約情報を管理する予約管理部31と、物品の在庫の変動量に関する物品情報を在庫管理手段24から取得する物品情報取得部32と、予約情報および物品情報に基づいて部屋20を利用する利用者に物品の在庫の変動量に応じた対価を課金する物品課金部33と、を備えている。また、制御手段30は、利用者の端末装置3から予約サイト4を介してホスト1への予約を受け付ける際に、現在の各部屋20の物品の在庫に関する在庫情報を在庫管理手段24から取得する在庫情報取得部34と、在庫情報取得部34にて取得された在庫情報を利用者の端末装置3に開示する在庫情報開示部35と、を備えている。さらに、制御手段30は、利用者の端末装置3から予約サイト4を介してホスト1への予約を受け付ける際に、在庫情報取得部34にて取得された在庫情報に基づいて、予約を受け付けた部屋20を利用する予約日時における物品の在庫を予測した予測情報を算出する予測情報算出部36と、予測情報算出部36にて算出された予測情報を利用者の端末装置3に開示する予測情報開示部37と、を備えている。
【0020】
記憶手段50は、管理する全ての部屋20の情報を記憶する空間情報記憶部51と、部屋20を利用する予約日時および利用人数を含む予約情報を記憶する予約情報記憶部52と、部屋20に備え付けられた物品に関し在庫管理手段24から取得した物品情報、在庫情報および予測情報算出部36にて予測した予測情報を記憶する物品情報記憶部53と、を備える。制御手段30は、予約管理部31が利用者からの予約を受け付けたら、予約情報と空間情報記憶部51に記憶された全部屋20の情報とに基づき、予約情報を予約情報記憶部52に記憶させる。さらに、制御手段30は、予約された部屋20の物品に関し、在庫管理手段24から取得した物品情報および在庫情報を物品情報記憶部53に記憶させるとともに、予約日時における物品の在庫を予測情報算出部36に予測させ、算出した予測情報を物品情報記憶部53に記憶させる。また、部屋20の利用後において、制御手段30は、物品の在庫の変動量に関する物品情報を物品情報取得部32に取得させ、予約情報および物品情報に基づいて、物品の在庫の変動量に応じた対価を物品課金部33が利用者に課金する。
【0021】
制御手段30は、共用部25に備え付けられた共用物品の在庫の変動量に関する共用物品情報を共用在庫管理手段26から取得する共用物品情報取得部38と、部屋20を使用する利用者に共用物品の在庫の変動量に応じた対価を課金する共用物品課金部39と、を備えている。また、制御手段30は、複数の部屋20に対して個別に設定された認証キー(識別符号)に係る識別符号情報を管理する識別符号管理部40と、通信端末装置23や予約サイト4、利用者の端末装置3との通信を制御する通信部41と、を備えている。記憶手段50は、共用部25に備え付けられた共用物品に関し共用在庫管理手段26から取得した共用物品情報を記憶する共用物品情報記憶部54と、識別符号管理部40が設定した認証キーに係る識別符号情報を記憶する識別符号記憶部55と、を備える。共用在庫管理手段26は、認証キーを受け付けた場合に、共用物品を利用者に提供可能な提供可能状態と、認証キーを受け付けていない場合に、共用物品を利用者に提供不能な提供不能状態と、を切り替える。制御手段30は、部屋20の利用後において、共用物品の在庫の変動量に関する共用物品情報を共用物品情報取得部38に取得させ、予約情報、識別符号情報および共用物品情報に基づいて、共用物品の在庫の変動量に応じた対価を共用物品課金部39が利用者に課金する。
【0022】
なお、予約管理部31、物品情報取得部32、物品課金部33、在庫情報取得部34、在庫情報開示部35、予測情報算出部36、予測情報開示部37、共用物品情報取得部38、共用物品課金部39、識別符号管理部40および通信部41は、サーバ装置のCPUによりプログラムとして実行されてもよいし、それぞれ独立した機器で構成されてもよいし、クラウドコンピューティングを利用して構成されてもよい。また、記憶手段50は、HDD等の記憶装置によって構成されてもよいし、クラウドサービスの記憶手段を利用したものであってもよい。また、利用者入力手段として機能する端末装置3としては、利用者からの入力を受け付ける入力部、利用者に情報を報知するための表示部、ホスト1との間で情報を送受信するための通信部、これらの入力部や表示部、通信部等を制御する制御部を備えたスマートフォン等の機器であってもよいし、入力部、表示部、通信部および制御部がそれぞれ独立した機器で構成されたものであってもよい。
【0023】
図3は、レンタルスペースの管理機器の動作を示すフローチャートである。
図3のフローチャートでは、利用者により新規の予約を受け付けてからのホスト1の動作手順が示されている。ホスト1の制御手段30は、予約サイト4からの予約を予約管理部31が受け付けると、空間情報記憶部51に記憶された全部屋20の情報に基づいて部屋20を割り当て、その予約情報を予約情報記憶部52に記憶させる(ステップST11)。次に、制御手段30は、割り当てた部屋20について現在の物品の在庫に関する在庫情報を在庫管理手段24から在庫情報取得部34に取得させる(物品の在庫情報取得工程:ステップST12)。次に、制御手段30は、在庫情報取得部34が取得した物品の在庫情報を在庫情報開示部35によって利用者に開示させる(物品の在庫情報開示工程:ステップST13)。
【0024】
次に、制御手段30の予約管理部31は、利用者の端末装置3から利用日における物品の使用量の希望を受け付け(ステップST14)、希望使用量と在庫情報とに基づき、在庫が不足しそうな場合には、補充が必要な旨を管理者に報知する。予約の受け付けが完了したら、予約管理部31は、予約確認の報知指令を生成して利用者の端末装置3に送信する(ステップST15)。また、制御手段30は、識別符号管理部40によって割り当てた部屋20に対して利用日時に使用可能な認証キーを発行させ、認証キーに係る識別符号情報を識別符号記憶部55に記憶させるとともに、認証キーを利用者の端末装置3に送信する(識別符号発行工程:ステップST16)。さらに、識別符号管理部40は、建物2の割り当てた部屋20の錠装置22および共用部25の共用在庫管理手段26に識別符号情報を送信し、利用日時に認証キーを用いて錠装置22を解錠可能にするとともに、共用在庫管理手段26によって認証キーを用いることで共用物品を利用者に提供可能な提供可能状態とする。一方、共用在庫管理手段26は、識別符号を受け付けていない場合に、共用物品を利用者に提供不能な提供不能状態となる。
【0025】
次に、制御手段30は、予約日時の所定時間前(例えば、予約日の前日)まで予約の変更受付を待機する待機状態となる。すなわち、予約日時になるまで計時を行い(ステップST17)、予約日時よりも前であれば(ステップST17でNO)、予約管理部31は、予約サイト4から予約変更の入力があるかどうかを確認する(ステップST18)。予約管理部31が予約サイト4から予約変更を受け付けたら(ステップST18でYES)、前述のステップST11〜ST16を実行する。一方、予約変更を受け付けない場合(ステップST18でNO)、制御手段30は、ステップST17に戻って予約変更受付の待機状態を維持する。予約日時の所定時間前を経過して予約変更不可になれば(ステップST17でYES)、制御手段30は、利用日時における割り当てた部屋20の利用状況を監視する。
【0026】
次に、制御手段30は、利用日時が経過して割り当てた部屋20の利用終了を確認したら(ステップST19)、物品情報取得部32によって、部屋20の物品の在庫の変動量に関する物品情報を在庫管理手段24から取得させる(物品情報取得工程:ステップST20)。さらに、制御手段30は、共用物品情報取得部38によって、共用部25の共用物品の在庫の変動量に関する共用物品情報を共用在庫管理手段26から取得させる(共用物品情報取得工程:ステップST21)。次に、制御手段30は、予約情報および物品情報に基づいて、物品課金部33によって、物品の在庫の変動量に応じた対価を課金するとともに、予約情報、認証キーの識別符号情報、および共用物品情報に基づいて、共用物品課金部39によって、共用物品の在庫の変動量に応じた対価を課金する(物品対価の課金工程:ステップST22)。
【0027】
図4は、レンタルスペースの管理機器の他の動作を示すフローチャートである。
図4に示すフローチャートにおいて、ホスト1の動作としては、図3のフローチャートにおける物品の在庫情報開示工程(ステップST13)に代えて、以下のステップ31,32を実行する点が相違し、他の動作は図3の場合と同様である。すなわち、制御手段30は、割り当てた部屋20についてステップST12にて現在の物品の在庫に関する在庫情報を在庫情報取得部34が取得したら、在庫情報に基づいて、その部屋20を利用する予約日時における物品の在庫を予測した予測情報を予測情報算出部36に算出させる(在庫の予測情報算出工程:ステップST31)。ここで、予測情報算出部36は、過去の物品の使用状況や、予約日時までの部屋20の他の予約状況などに基づいて、在庫の予測情報を算出する。次に、制御手段30は、予測情報算出部36にて算出された予測情報を予測情報開示部37によって利用者に開示させる(在庫の予測情報開示工程:ステップST32)。
【0028】
このような本実施形態によれば、以下の作用・効果を奏することができる。
(1)ホスト1の制御手段30は、利用者の端末装置3から受け付けた部屋20の予約情報を管理する予約管理部31と、部屋20の物品の在庫の変動量に関する物品情報を在庫管理手段24から取得する物品情報取得部32と、予約情報および物品情報に基づいて、部屋20を利用する利用者に物品の在庫の変動量に応じた対価を課金する物品課金部33と、を備えることで、利用者が使用した物品の使用量を即座に把握し、物品の使用量に応じた対価を課金することができる。したがって、物品の使用量を人手によって確認したり、確認してから使用料金を課金処理したりする必要がないので、人件費や処理時間を削減することによってシステムの運用効率を高めることができる。また、物品情報取得部32は、物品の在庫の変動量に関する物品情報を在庫管理手段24から取得することで、物品の在庫量を把握することができるので、在庫が減ってきた場合に発注や補充の準備をすることができ、物品の在庫が切れて利用者が使用できなくなるような事態を回避することができる。
【0029】
(2)ホスト1の制御手段30は、利用者の端末装置3から情報入力を受け付ける際に、現在の物品の在庫に関する在庫情報を在庫情報開示部35によって利用者に開示することで、利用者は、現在の物品の在庫を確認することができ、その在庫状況に応じて、物品の在庫を増加させる発注をすることができる。
【0030】
(3)ホスト1の制御手段30は、利用者の端末装置3から情報入力を受け付ける際に、現在の物品の在庫に関する在庫情報に基づいて、部屋20を利用する予約日時における物品の在庫を予測情報算出部36によって算出するとともに、予測した予測情報を予測情報開示部37によって利用者に開示することで、利用者は、部屋20を利用する予約日時における物品の在庫を確認することができ、その状況に応じて、物品の在庫を増加させる発注をすることができる。
【0031】
(4)ホスト1の制御手段30は、複数の部屋20に対して個別に設定された認証キー(識別符号)に係る識別符号情報を管理する識別符号管理部40と、共用部25の共用物品の在庫の変動量に関する共用物品情報を共用在庫管理手段26から取得する共用物品情報取得部38と、予約情報、識別符号情報、および共用物品情報に基づいて、部屋20を利用する利用者に共用物品の在庫の変動量に応じた対価を課金する共用物品課金部39と、を備えることで、共用物品の在庫の変動量に応じて認証キーを付与した利用者に対して共用物品の対価を課金することができる。また、共用在庫管理手段26は、識別符号を受け付けた場合に、共用物品を利用者に提供可能な提供可能状態と、識別符号を受け付けていない場合に、共用物品を利用者に提供不能な提供不能状態と、を切り替えることで、認証キーを付与した利用者だけが共用物品を使用することができるようになり、他の利用者等による共用物品の不正使用を防止することができる。
【0032】
〔実施形態の変形〕
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、レンタルスペースとして建物2の部屋20を貸与する場合を例示したが、レンタルスペースとしては、会議室やトレーニングルーム等に限らず、屋外のスペースであるテニスコートや野球場、競技場、駐車場等であってもよいし、カラオケルームやレンタルオフィス、読書スペース等であってもよい。
【0033】
前記実施形態では、管理機器としてのホスト1は、通信回線であるインターネット5を介して端末装置3や通信端末装置23に接続されたサーバ装置によって構成される場合を例示したが、管理機器としては、このような集中管理型のサーバ装置によって構成されるものに限られない。すなわち、管理機器としては、分散管理型のものであってもよく、例えば、ブロックチェーンに代表される分散型取引台帳を利用したものなどが利用可能であり、予約情報を管理するとともに、端末装置3や通信端末装置23に対して各種の指令を送受信して処理できるものであればよい。また、前記実施形態では、管理機器としてのホスト1と予約サイト4とが別個に設けられるとともに、互いにインターネット5を介して接続されていたが、これに限らず、ホスト1と予約サイト4とが単一のサイトに設けられていてもよいし、管理機器の機能と予約サイトの機能とがインターネット上に分散された複数の機器によって構成されていてもよい。
【0034】
前記実施形態では、制御手段30は、利用者の端末装置3から情報入力を受け付ける際に、現在の物品の在庫に関する在庫情報を利用者に開示する在庫情報開示部35を備えていたが、物品の在庫情報を利用者に開示しなくてもよい。また制御手段30は、在庫情報に基づいて、部屋20を利用する予約日時における物品の在庫を算出する予測情報算出部36と、予測した予測情報を利用者に開示する予測情報開示部37と、を備えていたが、これらの予測情報算出部36および予測情報開示部37を省略してもよい。また、在庫情報や予測情報を利用者に開示するのではなく、レンタルシステムの管理者だけに通知するようにしてもよい。また、前記実施形態では、部屋20の錠装置22を解錠するための認証キーによって共用部25の共用物品が使用できるようになっていたが、錠装置22を解錠するための認証キーと共用物品を使用するための識別符号とが異なり、それぞれ個別に利用者に付与されてもよい。
【0035】
前記実施形態では、制御手段30は、図3に示すように、在庫情報取得部34が取得した物品の在庫情報を在庫情報開示部35によって利用者に開示させる(物品の在庫情報開示工程:ステップST13)か、図4に示すように、在庫情報に基づいて、その部屋20を利用する予約日時における物品の在庫を予測した予測情報を予測情報算出部36に算出させ(在庫の予測情報算出工程:ステップST31)、その予測情報を予測情報開示部37によって利用者に開示させる(在庫の予測情報開示工程:ステップST32)か、のいずれかを実行したが、これに限られない。すなわち、制御手段30は、ステップST13を実行して物品の在庫情報を利用者に開示するとともに、ステップST31,ST32を実行して算出した予測情報を利用者に開示するようにしてもよい。
【0036】
また、前記実施形態において、利用者入力手段である端末装置3から予約を申し込む利用者としては、講義やセミナー等の主催者であってもよいし、講義やセミナー等に参加する参加者であってもよい。また、主催者(利用者)が新規に申し込んで予約情報記憶部52に予約情報が記憶された予約済みの既存予約に対し、集客サイトなどを通じて参加者を募集するような場合、参加を申し込む参加者(新たな利用者)からの情報入力を制御手段30が受け付け、この情報入力に基づいて、予約情報を更新するようにしてもよい。この際、物品の使用量を新たな利用者から制御手段が受け付けられるようにしておけば、予約入力における主催者の手間を軽減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
以上のように、本発明は、人件費や処理時間を削減することでシステムの運用効率を高めることができるレンタルスペースの在庫管理システムに好適に利用できる。
【符号の説明】
【0038】
1 ホスト(管理機器)
3 端末装置(利用者入力手段)
5 インターネット(通信回線)
20 部屋(空間)
24 在庫管理手段
26 共用在庫管理手段
30 制御手段
31 予約管理部
32 物品情報取得部
33 物品課金部
34 在庫情報取得部
35 在庫情報開示部
36 予測情報算出部
37 予測情報開示部
38 共用物品情報取得部
39 共用物品課金部
40 識別符号管理部
【要約】
【課題】人件費や処理時間を削減することでシステムの運用効率を高めることができるレンタルスペースの在庫管理システムを提供。
【解決手段】通信回線に接続された管理機器であるホスト1と、通信回線を介してホスト1に接続されて利用者から情報入力を受け付ける利用者入力手段である端末装置3と、空間を利用する利用者に提供する物品の在庫を管理する在庫管理手段24と、を備える。ホスト1の制御手段30は、利用者の端末装置3から受け付けた部屋20の予約情報を管理する予約管理部31と、部屋20の物品の在庫の変動量に関する物品情報を在庫管理手段24から取得する物品情報取得部32と、予約情報および物品情報に基づいて、部屋20を利用する利用者に物品の在庫の変動量に応じた対価を課金する物品課金部33と、を備える。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4