【実施例】
【0025】
本発明の実施例に係る連続式急速冷却装置Rは、装置本体1と装置本体1に接続される除湿装置2並びに冷却装置3を備える。
【0026】
前記装置本体1は、冷却空間10aを構成する冷却室10と該冷却室10の前方に隣接する第一の予備室11と、前記冷却室10の後方に隣接する第二の予備室12と、左側面内部の循環用通路を備える。また、第一の予備室11と冷却室10との間には第一の内壁板13aを備えており、第二の予備室12と前記冷却室10との間には第二の内壁板13bを備える。
【0027】
第一の予備室11側の一端に搬入口110を備え、第二の予備室12の他端に搬出口120を備える。搬入口110と搬出口120との間にはコンベア15を備える。また、コンベア15の上方及び下方には、夫々、複数の噴射ノズルが連続して配置してある。また、装置本体1内上部には熱交換器34及び送風ファン36が複数台並列して設けてある。
【0028】
第一の内壁板13aと第二の内壁板13bはいずれも予備室11、12若しくは冷却室10の空間の輪郭に沿う形状としている。当該内壁板13a、13bの夫々の下端は、前記コンベア15及び冷却対象物Uに接触しない寸法として、前記コンベア15との間に開口部を形成してある。
【0029】
前記コンベア15の上方及び下方に並列配置される噴射ノズル16を備える。
前記コンベア15の上方に列設される噴射ノズル16は、冷却対象物Uに接触しない範囲で、当該コンベア15に近接する距離で配置される。
【0030】
そして本発明の実施例に係るエアカーテン形成手段14は、予備室の幅方向の寸法に合わせた広幅(例えば、約2260mm程度)で且つ、幅方向の略中央位置が頂部となり、左右に傾斜した上面を有する。該頂部には乾燥空気A2の導入穴140を有する。また下端には吹出口を有する。
【0031】
また、当該エアカーテン形成手段14の奥行きは、幅に対して20分の1未満程度の寸法(例えば、約100mm程度)としてある。またエアカーテン形成手段14の外形は予備室11、12の断面視形状に沿う形状としてある。
前方のエアカーテン形成手段14は、前方の予備室11において第一の内壁板13aの前方に隣接して設けられる。後方のエアカーテン形成手段14は、後方の予備室12において第二の内壁板13bの後方に隣接して設けられる。
【0032】
除湿装置2は、そのケーシング20内にロータと該ロータと同軸で回転し空気中の水分を吸着するエレメント21が設けられている。また前記ケーシング20は耐熱性のシール材によって、吸着処理ゾーン22とエレメント再生ゾーン23に区分される。前記エレメント21は前記吸着処理ゾーン22とエレメント再生ゾーン23の双方の範囲を含め、一定速度で連続的に回転する構成である。
前記エレメント再生ゾーンにはエレメント21を乾燥させるためのヒータ25を有する。またエレメント21より後方位置には乾燥空気A2内の塵埃等を除去するためのフィルタ24を備えている。
【0033】
前記除湿装置2は、乾燥空気A2を装置本体1に送るための乾燥空気供給管4を介して、当該装置本体1に接続されている。当該乾燥空気供給管4は、同一内径を有する二本の分岐管4a、4bに分岐した構成である。一方の分岐管4aは前方のエアカーテン形成手段14の頂部の導入穴140に接続される。他方の分岐管4bは後方のエアカーテン形成手段14の頂部の導入穴140に接続される。
【0034】
冷却装置は、冷却対象物を直接冷却するための噴射ノズル16に対して冷却したエアを供給するものであり、装置本体1外に設けられる。
冷却装置は、コンプレッサ31、コンデンサ30、冷媒用配管32を備えている。冷媒用配管32は熱交換器34に接続されて循環される経路を有する。
【0035】
外部から前記除湿装置2内に取り入れられた処理空気A1は、除湿装置2の前記吸着処理ゾーン22においてブロワによって前記エレメント21に吹き付けられ、含有された水部の吸着、加熱がなされて乾燥空気A2となる。
乾燥空気A2は、装置本体1側へ送出される。また除湿装置2におけるエレメント再生ゾーン23では吸湿状態となった当該エレメント21に対してヒータで加温するとともにブロワにて再生空気A3を送り、前記エレメント21に吸着した水分を再生空気A3に吸着させ、排出空気A4として外部へ排出する。前記エレメント21は乾燥状態となる。
【0036】
そして、前記フィルタ24によって前記乾燥空気A2内の塵埃等の除去を行う。
【0037】
上記除湿装置2において生成された乾燥空気A2は乾燥空気供給管4を経て、二方向に分岐された各分岐管4a、4bを経由して、装置本体1内へ送気される。
本実施例においては、前記装置本体1内への導入の段階において、風量が5m
3/分、温度が40℃として設定してある。
【0038】
装置本体1内に導入された乾燥空気A2は、第一の予備室11、第二の予備室12の夫々に設置されたエアカーテン形成手段14、14における頂部の導入穴140から当該エアカーテン形成手段14内に下方へ向けて送気される。
【0039】
前記乾燥空気A2はエアカーテン形成手段14の下端の吹出口141から下方へ送出するところ、当該吹出口141が幅方向に亘ってコンベア15に近接する位置として設けられていることから、乾燥空気A2はコンベア15に衝突して前方及び後方へ向きを変えて送出される。従ってエアカーテンAは僅かに下方に向かう部分を有するものの、幅方向に亘って前方及び後方に、形成されることとなる。
【0040】
搬入口110側のエアカーテンAにおいては、幅方向に亘って前方へ向かうエアカーテン部分によって搬入口110から外部へ向けて乾燥空気A2を送気しつつ第一の予備室11内に乾燥空気A2を充填させる。同様に、搬出口120側のエアカーテンAにおいては、幅方向に亘って後方へ向かうエアカーテン部分によって、搬出口120から外部へ向けて乾燥空気A2を送気しつつ第二の予備室12内に乾燥空気A2を充填させる。
【0041】
また搬入口110側のエアカーテンAにおいては、幅方向に亘って後方へ向かうエアカーテン部分によって冷却室10内へ乾燥空気A2を送気することで特に開口部近傍の噴射ノズル16等で発生しやすい着霜や結露を防止することが可能である。
同様に、搬出口側のエアカーテンAにおいては、幅方向に亘って前方へ向かうエアカーテン部分によって、冷却室10内へ乾燥空気A2を送気することで開口部近傍の噴射ノズル16で発生しやすい着霜や結露を防止することが可能である。
【0042】
乾燥空気A2は、搬入口及び搬出口から外部へ送出される一部を除き、第一の予備室11、第二の予備室12、冷却室10から、熱交換器34により冷却し、装置本体1内の前記噴射ノズル16へ送気される。
【0043】
ノズルから噴出される乾燥空気A2は、コンベア上に配置されて連続的に移動される冷却対象物に対して吹き付けられることにより、当該冷却対象物を効率的に冷却する。本実施例においては、例えば、上記した分岐管から装置本体1への吹込温度が40℃で風量が5m
3/分の条件下で、外気温度16.6℃、湿度60.6%において、庫内温度をー17℃、予備室温度を、13.9℃、湿度6.8%とすることができ、庫内温度を露点温度より高い温度で、冷却処理を行い、着霜や結露を防止することが可能である。
【0044】
また、本実施例の構成における除湿装置2はヒータを内蔵する構成であるが、本発明においては当該構成に限るものではなく、当該ヒータに代えて、又はヒータと共に、他の熱源を利用することもできる。具体的に他の実施例として
図5に示すように、冷凍装置3には、コンプレッサ31、コンデンサ30、冷媒用配管32に加えて排熱供給管33を備えたものとし、当該排熱供給管33を前記除湿装置2に接触させることにより、当該除湿装置2を加温することができる。
【0045】
本発明の実施例において形成される開口部は、エアカーテン形成手段14とコンベア15との間隙によって形成される空間としているが、本発明は当該構成に限定されるものではなく、例えば、エアカーテン形成手段14の下端に任意の形状で切欠部を設け、当該切欠部若しくは当該切欠部と前記間隙とによって、開口部35を形成することも可能である。
【0046】
また、本発明に係る連続式急速冷却機Rは、外気温、相対湿度との関係において、前記乾燥空気A2を用いた特徴的なエアカーテン形成手段14によって、上記実施例に準じた条件で、着霜や結露の防止が可能である。
例えば、外気温度15℃〜25℃、湿度60%〜70%において、分岐管から装置本体1への吹込温度が30℃〜40℃且つ風量が5m
3/分〜6m
3/分の条件下で、本発明のエアカーテン形成手段14を用いることによって、着霜や結露を防止できる。
【0047】
上記外気温度15℃〜25℃、湿度60%〜70%において、吹込温度が30℃〜40℃であっても、風量が5m
3/分未満の場合には、風量の不足によって搬入口110からの均等な送気が行えず、外気流入の原因となるため、適切でない。また6m
3/分を超える場合には、送風動力が要求されることからロータ等の大型化を招来し、占有空間の拡大や消費電力の増大を生じることから、適切でない。
【0048】
また上記外気温度15℃〜25℃、湿度60%〜70%において風量が5m
3/分〜6m
3/分の条件の範囲内であっても、吹込温度が30℃未満の場合には、除湿を十分に行うことができないため着霜・結露の防止性能が低下する。また吹込温度が40℃を超える場合には、冷却室10における冷却空間10aの温度に影響することから適切でない。