特許第6675761号(P6675761)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6675761連続式急速冷却装置及びその着霜・結露防止方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6675761
(24)【登録日】2020年3月13日
(45)【発行日】2020年4月1日
(54)【発明の名称】連続式急速冷却装置及びその着霜・結露防止方法
(51)【国際特許分類】
   F25D 17/08 20060101AFI20200323BHJP
   F25D 13/06 20060101ALI20200323BHJP
   F25D 23/00 20060101ALI20200323BHJP
   F25D 21/04 20060101ALI20200323BHJP
【FI】
   F25D17/08 320C
   F25D13/06
   F25D23/00 302L
   F25D21/04 Z
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-79059(P2017-79059)
(22)【出願日】2017年4月12日
(65)【公開番号】特開2018-179397(P2018-179397A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2018年12月6日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1▲1▼ 販売日 平成28年10月18日 ▲2▼ 販売した場所 株式会社正徳 福崎工場(兵庫県神崎郡福崎町西治1101−11)
(73)【特許権者】
【識別番号】391018547
【氏名又は名称】タカハシガリレイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100070507
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 俊男
(72)【発明者】
【氏名】宮地 史浩
(72)【発明者】
【氏名】田宮 克義
【審査官】 森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭48−018839(JP,A)
【文献】 特開昭49−128339(JP,A)
【文献】 特開2003−180317(JP,A)
【文献】 実開昭50−026101(JP,U)
【文献】 特開2015−075271(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 17/00
F25D 1/00
F25D 3/00
F25D 13/00
F25D 21/00
F25D 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と該装置本体に接続される除湿装置及び冷却装置を備え、前記装置本体は、その一端に搬入口、他端に搬出口を備え、前記搬入口と搬出口との間には連続式のコンベアを備え、前記搬入口側を前方、前記搬出口側を後方とし、
前記装置本体は、冷却空間とその前方及び後方に内壁板で区画される緩衝空間とを備え、エアカーテン形成手段を有し、
前記除湿装置と装置本体との間にフィルタを備え、且つ前記除湿装置には乾燥空気を送出するための乾燥空気供給配管を有し、該乾燥空気供給管は分岐した分岐管を備え、該分岐管は前記エアカーテン形成手段の前記エア取入口に接続されている連続式急速冷却装置において、
前記内壁板に沿う緩衝空間内に前記エアカーテン形成手段を備え、
該エアカーテン形成手段は、幅方向に亘って連続し、且つその上部にエア取入口を備え、下部にエア吹出口をコンベアに近接する位置として有する構成とし
エアカーテン形成手段による送気経路が、コンベア上面から搬入口形成面及び搬出口形成面を夫々経由して搬入口及び搬出口から外部へ排気する経路と、前記内壁板の開口部から冷却空間へ送気する経路を有することを特徴とする連続式急速冷却装置。
【請求項2】
前記冷却装置による排熱を含む排気を送出するための配管を除湿装置に接続した構成としたことを特徴とする請求項1に記載の連続式急速冷却装置。
【請求項3】
上記請求項1又は2に記載の連続式急速冷却装置を用いた着霜・結露防止方法であって、乾燥空気供給配管の分岐管における風量が5m/分〜6m/分であることを特徴とする着霜・結露防止方法。
【請求項4】
上記請求項1又は2に記載の連続式急速冷却装置を用いた着霜・結露防止方法であって、前記エアカーテン形成手段のエア吹出口における開口幅寸法に対して前後方向の開口寸法が20分の1未満である連続式急速冷却装置を用いた上記着霜・結露の防止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として連続式急速冷却装置(連続式急速凍結装置を除く狭義の連続式急速冷却装置)及びその連続式急速冷却装置内に発生する着霜や結露を防止する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷却対象物(食品等)の急速冷却を行うことを目的として、当該冷却対象物を搬入・搬出するための開口部と、前記冷却対象物の連続的な移送手段と、該冷却対象物に対して冷却空気を噴射する冷却手段とを有する連続式の冷却を行う装置の構成が周知である。ところで、当該冷却を行う装置としては、冷却対象物を連続的に凍結させる連続式急速凍結装置と、冷却対象物を凍結させることなく被冷蔵物とする狭義の連続式急速冷却装置(以下、単に「連続式急速冷却装置」という。)がある。連続式急速凍結装置と連続式急速冷却装置は、基本的な構成においては近似するが、制御温度等の相違に起因する具体的な装置類のほか、冷却装置には、特有の課題も存在する。
【0003】
前記連続式急速凍結装置、連続式急速冷却装置のいずれにおいても、前記開口部から侵入する外気によって装置内の温度環境の変動や塵埃の侵入が生じる虞がある。
このような事態を防止し、若しくは冷却の効率化を図るべく、エアカーテンや開閉扉等が設けられる。装置内の温度環境等を保持された状態においても、前記連続式急速冷却装置においては、装置内自体の温度は氷点下以下に保持される一方で冷却対象物は氷点下以下の温度にはならないように設定されることから、装置内での着霜や結露の結果、冷却対象物上に例え一滴でも霜等が落下すると、その後に霜等が融解して、カビ等の発生源となり、冷却対象物の商品価値が損なわれる虞がある。以上から特に連続式急速冷却装置においては、エアカーテン等によって温度環境等を保持する以外に、着霜や結露を防止する必要がある。
【0004】
着霜や結露を低減するための手段としては、本出願人が先に出願した食品の急速冷却装置として、熱交換手段及び送風手段を有する第一格納部と、コンベア、噴射ノズル及び隔壁を有する第二格納部と、前記第一格納部と第二格納部とを接続するバイパス部とを備え、前記バイパス部は、第一格納部側から第二格納部側へ送気する第一バイパス部と、第二格納部側から第一格納部側へ送気する第二バイパス部を備え、前記第一格納部は、前記第一バイパス部の側に配置される熱交換手段と、前記第二バイパス部の側に配置される送風手段とを備え、前記第二格納部は、コンベア及び噴射ノズルを有するプロダクト領域と、前記バイパス部との空気の循環を可能とする循環領域とを、隔壁によって構成し、前記プロダクト領域は、前記コンベアと前記噴射ノズルとを備え、前記隔壁は、前記噴射ノズルを設置するためのノズル設置部と、第一バイパス部からの空気を循環領域に導入するための隔壁ガイド部を備え、前記ノズル設置部は、循環領域から当該噴射ノズル内へ送気するための開口を有し、前記隔壁ガイド部は、プロダクト領域側の噴射ノズル上に張り出し、且つ、プロダクト領域側へ第一バイパス部の下端側のうちプロダクト領域側となる部分を閉塞し、前記噴射ノズルは、平行する複数のライン上に夫々噴射口を有する複合ノズルとし、第一格納部には、外気導入部を設け、前記第一格納部外且つ第二格納部外に、除湿装置及び該除湿装置に接続されたフィルター部を備え、該フィルター部と外気導入部を接続したことを特徴とする急速冷却装置(例えば、特許文献1参照。)が公知である。
【0005】
また、装置本体内の温度制御等を目的として、搬入口及び搬出口の近傍にエアカーテン等を用いて外気が入らないようにするものとしては、例えば、トンネル状冷却空間の搬入部より出口側に向けて被冷却体(冷却対象物)の搬送路を形成し、該搬送路に沿って被冷却体を移送させながら被冷却体の冷却を行う冷凍装置において、前記トンネル状冷却空間内に、搬入部から出口側に向かって下り勾配を有するスロープ状の搬送路面を形成するとともに、該搬送路面と被冷却体間に固化炭酸ガス体若しくはその昇華ガス膜を介在させながら前記搬送路面に沿って被冷却体を搬送可能に構成したことを特徴とする冷凍装置が公知である(例えば、特許文献2参照。)。当該冷凍装置においては、搬入部2aのエアカーテンとして、外部からの暖気の侵入を遮切るスリット状送気管15が開口端を上に向けて搬入部2a内壁に隣接して配設される構成が開示される(例えば、同文献明細書段落0012第13行〜第16行。)。
【0006】
また他のエアカーテンを利用する冷凍装置として、トンネル部18の入り口付近、出口付近には、気流カーテン(エアカーテン)を形成する気体噴射口や、各種プラスチック材料、ゴム材料等で構成されたカーテン、シャッター等の部材が設けられていてもよい旨、並びに、冷凍対象物5を予備冷却する予備冷却室や、内部圧力が、トンネル部18内の圧力より低くかつ外部の雰囲気の圧力(大気圧)より高い差圧室等が設けられていてもよい旨が開示されている(例えば、特許文献3明細書段落0270参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2016−220605号公報
【特許文献2】特許第3197429号公報
【特許文献3】特開2004−53243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1に係る発明によれば、HEPAフィルタ内の結露を防止できる点においては効果が認められるものであった。
しかしながら、装置本体の搬入口及び搬出口から空気中の水分が装置本体内に侵入することを十分に抑止することまではできず、冷却空間内の着霜や結露の防止を実現するには至らないものであった。
搬入口及び搬出口からの外気の侵入をエアカーテンによって阻止しようとすることは一般的であるものの、そのような手段をもってしても、特に搬入部、搬出部に近接する噴射ノズル等は冷却されるうえに空気中の水分と接触しやすく、これらを十分に防止できないものであった。
【0009】
また、例えば特許文献1に係る連続式急速冷却装置について、特許文献2に係るエアカーテンの場合には、エアカーテンは冷却対象物に対して直接噴射する構成であり、常に外部の空気の装置内への侵入を阻止できるとはいえない構成であり、当該構成を特許文献1に係る連続式急速冷却装置に適用しても、上記問題を解消できないものであった。
【0010】
また、例えば特許文献1に係る連続式急速冷却装置について、特許文献2、特許文献3に係るエアカーテンの構成を適用した場合には、冷凍対象物5を予備冷却する予備冷却室や、内部圧力が、トンネル部18内の圧力より低くすると、冷却室の側から予備冷却室側への空気の流れが起こるため、冷却室内における着霜や結露の水分が予備室側へ移動され、特に搬入口側において冷却対象物へ水分が吸収されることで、冷却対象物がその後冷却室内に移送されることで、水分が循環する可能性がある。
【0011】
また直接冷却室へ導入する構成とすると、乾燥した空気はそのままでは温度が高いことから、比較的温度の高い乾燥空気を冷却室へ入れることとなり、その温度を下げて冷却に適した安定した温度を維持させることは負担が大きく、冷却温度の維持に多量のエネルギーを消費することとなり、経済性にも問題があり、非効率となる。
【0012】
本発明は以上の事情に鑑みてなされたものであり、狭義の連続式急速冷却装置において、カビ等の発生源となる着霜や結露の発生を防止でき、効率的な稼働が可能で、衛生的な製造環境を実現できる連続式急速冷却装置、及び当該連続式急速冷却装置を用いた着霜・結露の防止方法の提供を、発明が解決しようとする課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、装置本体と該装置本体に接続される除湿装置及び冷却装置を備え、前記装置本体は、その一端に搬入口、他端に搬出口を備え、前記搬入口と搬出口との間には連続式のコンベアを備え、前記搬入口側を前方、前記搬出口側を後方とし、
前記装置本体は、冷却空間とその前方及び後方に内壁板で区画される緩衝空間とを備え、エアカーテン形成手段を有し、
前記除湿装置と装置本体との間にフィルタを備え、且つ前記除湿装置には乾燥空気を送出するための乾燥空気供給配管を有し、該乾燥空気供給管は分岐した分岐管を備え、該分岐管は前記エアカーテン形成手段の前記エア取入口に接続されている連続式急速冷却装置において、
前記内壁板に沿う緩衝空間内に前記エアカーテン形成手段を備え、
該エアカーテン形成手段は、幅方向に亘って連続し、且つその上部にエア取入口を備え、下部にエア吹出口をコンベアに近接する位置として有する構成とし、
エアカーテン形成手段による送気経路が、コンベア上面から搬入口形成面及び搬出口形成面を夫々経由して搬入口及び搬出口から外部へ排気する経路と、前記内壁板の開口部から冷却空間へ送気する経路を有することを特徴とする連続式急速冷却装置を、上記課題を解決するための手段とする。
【0014】
また本発明は、上記いずれかの発明の構成を前提として、前記冷却装置による排熱を含む排気を送出するための配管を除湿装置に接続した構成としたことを特徴とする連続式急速冷却装置を、上記課題を解決するための手段とする。
【0015】
また本発明は、上記いずれかの発明に係る連続式急速冷却装置を用いることを前提として、乾燥空気供給配管の分岐管における風量を5m/分〜6m/分とし、連続的に外部から除湿装置を通して空気を供給し、搬入口及び搬出口から外部へ乾燥処理後の空気を放出することを特徴とする連続式急速冷却装置を用いた着霜・結露の防止方法を、上記課題を解決するための手段とする。
【0016】
また本発明は、上記いずれかの発明の構成を前提として、前記エアカーテン形成手段のエア吹出口における開口幅寸法に対して前後方向の開口寸法が20分の1未満である連続式急速冷却装置を用いた上記着霜・結露の防止方法を、上記課題を解決するための手段とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、装置本体と該装置本体に接続される除湿装置及び冷却装置を備え、前記装置本体は、その一端に搬入口、他端に搬出口を備え、前記搬入口と搬出口との間には連続式のコンベアと該コンベアの稼働方向に配列される噴射ノズルを備えるとともに、装置本体内の空間は、冷却空間とその前方及び後方に内壁板で区画される緩衝空間を備え、前記装置本体にエアカーテン形成手段を有する連続式急速冷却装置において、前記内壁板に沿う緩衝空間内に前記エアカーテン形成手段を備え、該エアカーテン形成手段は、幅方向に亘って連続し、且つその上部にエア取入口を備え、下部にエア吹出口を有する構成とし、前記除湿装置の後方にフィルタを備え、且つ前記除湿装置には乾燥空気を送出するための乾燥空気供給配管を有し、該乾燥空気供給管は分岐した分岐管を備え、該分岐管は前記エアカーテン形成手段の前記エア取入口に接続されている構成としたことから、(i)除湿装置と除湿後にフィルタで処理された乾燥空気が外部の配管を通じて装置本体の前後方向へ分岐され、前方側のエアカーテン形成手段と、後方側のエアカーテン形成手段の各上部のエア取入口に対して供給される。(ii)そして当該供給された乾燥空気は、前記エアカーテン形成手段内で下方に向けて直線的に移動され、当該エアカーテン形成手段の下端となるエア吹出口からコンベアの上面若しくはコンベアの上面に載置された冷却対象物に対して、幅方向に亘ってコンベアの直上で噴射される。(iii)噴射された乾燥空気の一部は、コンベアの上面に沿って、搬入口若しくは搬出口から外部へ放出される。(iv)また乾燥空気の他の一部は、コンベアの上面に沿って内壁板から各開口部を通じて冷却空間内に導入され、噴射ノズル等に付着した着霜・結露等に接触し、順次乾燥空気が循環される。
以上の構成によって、着霜や結露が当該乾燥空気によって減少され、外部へ放出されることで、当該着霜や結露を防止することが可能である。
【0018】
また本発明によれば、上記発明の構成を前提として、前記エアカーテン形成手段は、そのエア吹出口の幅寸法がコンベアの移動載置部の幅寸法よりも大であることとしたことから、コンベアに載置される冷却対象物に含まれる水分を乾燥空気に吸収させることが可能であり、これによって、冷却空間内に当該冷却対象物が搬入される前に予め当該冷却対象物の水分を大幅に低減させ、若しくは乾燥させることができ、着霜・結露の防止を補助することができる。
【0019】
また本発明によれば、上記いずれかの発明の構成を前提として、エアカーテン形成手段による送気経路が、コンベア上面から搬入口形成面及び搬出口形成面を夫々経由して搬入口及び排出口から外部へ排気する経路と、前記内壁板の開口部から冷却空間へ送気する経路を含むものとしたことから、外部への排気に伴い、装置内の水分が外部へ放出され、また外部からの水分の侵入を阻止し、着霜や結露が当該乾燥空気によって減少され、外部へ放出されることで、当該着霜や結露を防止することが可能である。
【0020】
本発明によれば、上記いずれかの発明の構成を前提として、前記冷却装置の熱を含む排気を送出するための配管を除湿装置に接続した構成としたことから、当該排熱を含む排気によって、除湿装置内の発熱手段に代えて、若しくは発熱手段による発熱を補助して加温することで、当該除湿装置内の乾燥機能を有する部分を乾燥させることができ、連続式急速冷却装置全体の経済効率性を向上させることが可能である。
【0021】
また本発明は、上記発明の構成を前提として、乾燥空気供給配管の分岐管における風量が5m/分〜6m/分であることを特徴とする連続式急速冷却装置を用いた着霜・結露防止方法としたことから、エアカーテン形成手段14によって形成されるエアカーテンを効率的に形成することができ、これによって着霜や結露を防止することが可能である。
【0022】
本発明によれば、上記発明の構成を前提として、前記エアカーテン形成手段のエア吹出口における開口幅寸法に対して前後方向の開口寸法が20分の1未満であることを特徴とする連続式急速冷却装置を用いた着霜・結露の防止方法としたことから、上記発明の効果を奏する上に、エアカーテン形成手段の下方から幅方向に亘って効率的に搬入口及び搬出口方向へエアカーテンを形成することができ、着霜や結露を効率的に防止することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施例に係る連続式急速冷却装置の一部簡略化した縦断面説明図である。
図2図1における搬入部付近の拡大説明図である。
図3】エアカーテン形成手段を示す(a)左側面図、(b)平面図、(c)正面図、(d)底面図、(e)縦断面図、(f)右側面図である。
図4】本発明の実施例に係る連続式急速冷却装置のエアカーテン形成手段近傍を示す一部省略した斜視図である。
図5】冷却装置による排熱を含む排気を送出するための配管を除湿装置に接続した構成とした他の実施例に係る連続式急速冷却装置の一部簡略化した縦断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施例に係る連続式急速冷却装置について以下に説明する。尚、本発明の実施例に係る連続式急速冷却装置を説明するに際して、図1における左方(即ち搬入口110側)を前方、右方(即ち搬出口120側)を後方として説明する。また、本発明は以下の実施例に係る連続式冷却装置に限定されるものではなく、本発明の開示する技術的思想の範囲内で種々の変形、設計変更等がされた発明を含む。
【実施例】
【0025】
本発明の実施例に係る連続式急速冷却装置Rは、装置本体1と装置本体1に接続される除湿装置2並びに冷却装置3を備える。
【0026】
前記装置本体1は、冷却空間10aを構成する冷却室10と該冷却室10の前方に隣接する第一の予備室11と、前記冷却室10の後方に隣接する第二の予備室12と、左側面内部の循環用通路を備える。また、第一の予備室11と冷却室10との間には第一の内壁板13aを備えており、第二の予備室12と前記冷却室10との間には第二の内壁板13bを備える。
【0027】
第一の予備室11側の一端に搬入口110を備え、第二の予備室12の他端に搬出口120を備える。搬入口110と搬出口120との間にはコンベア15を備える。また、コンベア15の上方及び下方には、夫々、複数の噴射ノズルが連続して配置してある。また、装置本体1内上部には熱交換器34及び送風ファン36が複数台並列して設けてある。
【0028】
第一の内壁板13aと第二の内壁板13bはいずれも予備室11、12若しくは冷却室10の空間の輪郭に沿う形状としている。当該内壁板13a、13bの夫々の下端は、前記コンベア15及び冷却対象物Uに接触しない寸法として、前記コンベア15との間に開口部を形成してある。
【0029】
前記コンベア15の上方及び下方に並列配置される噴射ノズル16を備える。
前記コンベア15の上方に列設される噴射ノズル16は、冷却対象物Uに接触しない範囲で、当該コンベア15に近接する距離で配置される。
【0030】
そして本発明の実施例に係るエアカーテン形成手段14は、予備室の幅方向の寸法に合わせた広幅(例えば、約2260mm程度)で且つ、幅方向の略中央位置が頂部となり、左右に傾斜した上面を有する。該頂部には乾燥空気A2の導入穴140を有する。また下端には吹出口を有する。
【0031】
また、当該エアカーテン形成手段14の奥行きは、幅に対して20分の1未満程度の寸法(例えば、約100mm程度)としてある。またエアカーテン形成手段14の外形は予備室11、12の断面視形状に沿う形状としてある。
前方のエアカーテン形成手段14は、前方の予備室11において第一の内壁板13aの前方に隣接して設けられる。後方のエアカーテン形成手段14は、後方の予備室12において第二の内壁板13bの後方に隣接して設けられる。
【0032】
除湿装置2は、そのケーシング20内にロータと該ロータと同軸で回転し空気中の水分を吸着するエレメント21が設けられている。また前記ケーシング20は耐熱性のシール材によって、吸着処理ゾーン22とエレメント再生ゾーン23に区分される。前記エレメント21は前記吸着処理ゾーン22とエレメント再生ゾーン23の双方の範囲を含め、一定速度で連続的に回転する構成である。
前記エレメント再生ゾーンにはエレメント21を乾燥させるためのヒータ25を有する。またエレメント21より後方位置には乾燥空気A2内の塵埃等を除去するためのフィルタ24を備えている。
【0033】
前記除湿装置2は、乾燥空気A2を装置本体1に送るための乾燥空気供給管4を介して、当該装置本体1に接続されている。当該乾燥空気供給管4は、同一内径を有する二本の分岐管4a、4bに分岐した構成である。一方の分岐管4aは前方のエアカーテン形成手段14の頂部の導入穴140に接続される。他方の分岐管4bは後方のエアカーテン形成手段14の頂部の導入穴140に接続される。
【0034】
冷却装置は、冷却対象物を直接冷却するための噴射ノズル16に対して冷却したエアを供給するものであり、装置本体1外に設けられる。
冷却装置は、コンプレッサ31、コンデンサ30、冷媒用配管32を備えている。冷媒用配管32は熱交換器34に接続されて循環される経路を有する。
【0035】
外部から前記除湿装置2内に取り入れられた処理空気A1は、除湿装置2の前記吸着処理ゾーン22においてブロワによって前記エレメント21に吹き付けられ、含有された水部の吸着、加熱がなされて乾燥空気A2となる。
乾燥空気A2は、装置本体1側へ送出される。また除湿装置2におけるエレメント再生ゾーン23では吸湿状態となった当該エレメント21に対してヒータで加温するとともにブロワにて再生空気A3を送り、前記エレメント21に吸着した水分を再生空気A3に吸着させ、排出空気A4として外部へ排出する。前記エレメント21は乾燥状態となる。
【0036】
そして、前記フィルタ24によって前記乾燥空気A2内の塵埃等の除去を行う。
【0037】
上記除湿装置2において生成された乾燥空気A2は乾燥空気供給管4を経て、二方向に分岐された各分岐管4a、4bを経由して、装置本体1内へ送気される。
本実施例においては、前記装置本体1内への導入の段階において、風量が5m/分、温度が40℃として設定してある。
【0038】
装置本体1内に導入された乾燥空気A2は、第一の予備室11、第二の予備室12の夫々に設置されたエアカーテン形成手段14、14における頂部の導入穴140から当該エアカーテン形成手段14内に下方へ向けて送気される。
【0039】
前記乾燥空気A2はエアカーテン形成手段14の下端の吹出口141から下方へ送出するところ、当該吹出口141が幅方向に亘ってコンベア15に近接する位置として設けられていることから、乾燥空気A2はコンベア15に衝突して前方及び後方へ向きを変えて送出される。従ってエアカーテンAは僅かに下方に向かう部分を有するものの、幅方向に亘って前方及び後方に、形成されることとなる。
【0040】
搬入口110側のエアカーテンAにおいては、幅方向に亘って前方へ向かうエアカーテン部分によって搬入口110から外部へ向けて乾燥空気A2を送気しつつ第一の予備室11内に乾燥空気A2を充填させる。同様に、搬出口120側のエアカーテンAにおいては、幅方向に亘って後方へ向かうエアカーテン部分によって、搬出口120から外部へ向けて乾燥空気A2を送気しつつ第二の予備室12内に乾燥空気A2を充填させる。
【0041】
また搬入口110側のエアカーテンAにおいては、幅方向に亘って後方へ向かうエアカーテン部分によって冷却室10内へ乾燥空気A2を送気することで特に開口部近傍の噴射ノズル16等で発生しやすい着霜や結露を防止することが可能である。
同様に、搬出口側のエアカーテンAにおいては、幅方向に亘って前方へ向かうエアカーテン部分によって、冷却室10内へ乾燥空気A2を送気することで開口部近傍の噴射ノズル16で発生しやすい着霜や結露を防止することが可能である。
【0042】
乾燥空気A2は、搬入口及び搬出口から外部へ送出される一部を除き、第一の予備室11、第二の予備室12、冷却室10から、熱交換器34により冷却し、装置本体1内の前記噴射ノズル16へ送気される。
【0043】
ノズルから噴出される乾燥空気A2は、コンベア上に配置されて連続的に移動される冷却対象物に対して吹き付けられることにより、当該冷却対象物を効率的に冷却する。本実施例においては、例えば、上記した分岐管から装置本体1への吹込温度が40℃で風量が5m/分の条件下で、外気温度16.6℃、湿度60.6%において、庫内温度をー17℃、予備室温度を、13.9℃、湿度6.8%とすることができ、庫内温度を露点温度より高い温度で、冷却処理を行い、着霜や結露を防止することが可能である。
【0044】
また、本実施例の構成における除湿装置2はヒータを内蔵する構成であるが、本発明においては当該構成に限るものではなく、当該ヒータに代えて、又はヒータと共に、他の熱源を利用することもできる。具体的に他の実施例として図5に示すように、冷凍装置3には、コンプレッサ31、コンデンサ30、冷媒用配管32に加えて排熱供給管33を備えたものとし、当該排熱供給管33を前記除湿装置2に接触させることにより、当該除湿装置2を加温することができる。
【0045】
本発明の実施例において形成される開口部は、エアカーテン形成手段14とコンベア15との間隙によって形成される空間としているが、本発明は当該構成に限定されるものではなく、例えば、エアカーテン形成手段14の下端に任意の形状で切欠部を設け、当該切欠部若しくは当該切欠部と前記間隙とによって、開口部35を形成することも可能である。
【0046】
また、本発明に係る連続式急速冷却機Rは、外気温、相対湿度との関係において、前記乾燥空気A2を用いた特徴的なエアカーテン形成手段14によって、上記実施例に準じた条件で、着霜や結露の防止が可能である。
例えば、外気温度15℃〜25℃、湿度60%〜70%において、分岐管から装置本体1への吹込温度が30℃〜40℃且つ風量が5m/分〜6m/分の条件下で、本発明のエアカーテン形成手段14を用いることによって、着霜や結露を防止できる。
【0047】
上記外気温度15℃〜25℃、湿度60%〜70%において、吹込温度が30℃〜40℃であっても、風量が5m/分未満の場合には、風量の不足によって搬入口110からの均等な送気が行えず、外気流入の原因となるため、適切でない。また6m/分を超える場合には、送風動力が要求されることからロータ等の大型化を招来し、占有空間の拡大や消費電力の増大を生じることから、適切でない。
【0048】
また上記外気温度15℃〜25℃、湿度60%〜70%において風量が5m/分〜6m/分の条件の範囲内であっても、吹込温度が30℃未満の場合には、除湿を十分に行うことができないため着霜・結露の防止性能が低下する。また吹込温度が40℃を超える場合には、冷却室10における冷却空間10aの温度に影響することから適切でない。
【符号の説明】
【0049】
A エアカーテン
A1 処理空気
A2 乾燥空気
A3 再生空気
A4 排出空気
R 連続式急速冷却装置
U 冷却対象物
W1 幅(エアカーテン形成手段のエア吹出口の幅)
W2 幅(コンベアの移動載置部の幅)
Y1 搬入方向
Y2 搬出方向
1 装置本体
10 冷却室
10a 冷却空間
11 予備室(第一の予備室)
110 搬入口
12 予備室(第二の予備室)
120 搬出口
13a 内壁板(第一の内壁板)
13b 内壁板(第二の内壁板)
14 エアカーテン形成手段
140 導入穴(エア取入口)
141 吹出口(エア吹出口)
15 コンベア
16 噴射ノズル
2 除湿装置
20 ケーシング
21 エレメント
22 吸着処理ゾーン
23 エレメント再生ゾーン
24 フィルタ
25 ヒータ
3 冷凍装置
30 コンデンサ
31 コンプレッサ
32 冷媒用配管
33 排熱供給管
34 熱交換器
35 開口部
36 送風ファン
4 乾燥空気供給管
4a (乾燥空気供給管の)分岐管
4b (乾燥空気供給管の)分岐管
5 冷却対象物
図1
図2
図3
図4
図5