(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記合流部は、前記採水容器の二次側にそれぞれ設けられた逆止弁と、前記逆止弁の二次側に設けられ、前記逆止弁の二次側を合流させる複数の継手部材と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の採水装置。
前記制御装置は、前記採水の条件を入力可能な入力部を備え、前記入力部で入力された前記採水の条件に基づいて、前記複数の電磁弁を制御することを特徴とする請求項1に記載の採水装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る採水装置1を、
図1乃至
図3を用いて説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る採水装置1の構成を模式的に示す説明図、
図2は採水装置1に用いられる排水筒16の構成を示す断面図、
図3は採水装置1を用いた採水方法の一例を示す流れ図である。
【0013】
図1に示すように、採水装置1は、水源100に接続されたポンプ装置11と、ポンプ装置11の二次側に設けられた分岐部12と、分岐部12に接続された第1開閉弁13と、第1開閉弁13に接続された採水容器14と、採水容器14に接続された合流部15と、合流部15に接続された排水筒16と、分岐部12に接続された第2開閉弁17と、電源装置18と、制御装置19と、を備えている。採水装置1は、ポンプ装置11、分岐部12、第1開閉弁13、採水容器14、合流部15、排水筒16及び第2開閉弁17は、各々が他の構成と配管90を介して接続される。
【0014】
ここで、配管90は、金属配管や、可撓性を有するチューブ等であり、その種類及び管径は適宜設定される。また、水源100は、例えば、井戸である。
【0015】
ポンプ装置11は、ポンプ及びモータを有する。ポンプ装置11は、吸込側が配管90を介して水源100に接続される。ポンプ装置11は、吐出側が配管90を介して分岐部12に接続される。ポンプ装置11は、モータが信号線99を介して制御装置19に接続される。
【0016】
分岐部12は、ポンプ装置11からの水の流れを複数に分岐する。具体的には、分岐部12は、三つのポートを有し、互いに接続された複数の継手部材12aを備えている。分岐部12は、これら継手部材12aにより、少なくとも、二次側で採水に用いる採水容器14及び第2開閉弁17を接続可能な数に一次側の流路を分岐する。分岐部12で分岐された流路の一は、第2開閉弁17に配管90を介して接続され、分岐部12で分岐された流路の他は、それぞれ配管90を介して第1開閉弁13に接続される。
【0017】
例えば、本実施形態においては、分岐部12は、流路を9つに分岐する。分岐部12で分岐された9つの流路は、配管90を介して8つの流路がそれぞれ第1開閉弁13に接続され、配管90を介して1つの流路が第2開閉弁17に接続される。
【0018】
第1開閉弁13は、分岐部12に接続された配管90のそれぞれに接続され、分岐部12で分岐された複数の流路を開閉する複数の電磁弁13aを有する。第1開閉弁13は、例えば8つの電磁弁13aを備える。第1開閉弁13は、信号線99を介して制御装置19に接続される。
【0019】
採水容器14は、複数の電磁弁13aに配管90を介してそれぞれ接続される。採水容器14は、容器本体14aと、蓋体14bと、蓋体14bに設けられた吸込管14cと、蓋体14bに設けられた吐出管14dと、を備えている。
【0020】
吸込管14cは、電磁弁13aに配管90を介して接続される。吸込管14cは、蓋体14bから容器本体14aの底部まで延びる長さを有する。吐出管14dは、例えば、一方の端部が蓋体14bの内面と面一に構成され、他方の端部が配管90を介して合流部15に接続される。
【0021】
このような採水容器14は、内部に吸い込まれた水が容器本体14aの底部側から蓋体14b側に移動し、内部に水が充満した後に、当該水が吐出管14dを介して二次側に移動可能に構成される。また、採水容器14は、吸込管14cが容器本体14aの底部に、吐出管14dが蓋体14bの底面と面一に設けられることで、水が充満したあとにさらに水が供給されると、採水容器14内の水は、その後供給された水で置換される。
【0022】
合流部15は、各採水容器14に接続される複数の逆止弁15aと、逆止弁15aに接続された継手部材15bと、を備えている。逆止弁15aは、合流部15の一次側からの水を通過可能、且つ、合流部15の一次側への水の逆流を防止可能に構成される。継手部材15bは、各採水容器14を通過する流路を合流させることが可能に、2つのポートを有する継手及び3つのポートを有する複数の継手により構成される。
【0023】
合流部15は、これら逆止弁15a及び継手部材15bにより、いずれかの採水容器14を通過した水を、他の採水容器14に逆流することなく、合流部15の二次側へ流れる流路を構成する。合流部15の一の継手部材15bは、配管90を介して排水筒16に接続される。
【0024】
図1及び
図2に示すように排水筒16は、筒体21と、筒体21内に設けられたフロートスイッチ22と、を備えている。筒体21は、例えば、軸方向が重力方向に沿って配置される直管21aと、直管21aの両端に設けられたキャップ21bと、直管21aの下端部から所定の高さ位置に設けられた給水ポート21cと、給水ポート21cよりも高い位置の直管21aに設けられた孔部21dと、下方のキャップ21bに設けられた吐出ポート21eと、
図2に示すように吐出ポート21eに設けられた手動開閉弁21fと、を備えている。
【0025】
筒体21は、その内部空間の体積が1つの採水容器14の容積よりも大きく構成されている。また、給水ポート21cは、筒体21内の給水ポート21c迄の高さにおいて収容される水の体積が採水容器14の容積よりも大きくなる高さ位置に配置される。
【0026】
手動開閉弁21fは、水の通過量を調整可能に構成された、例えばニードル弁である。換言すると、手動開閉弁21fは、吐出ポート21eから排水される排水量を調整可能に構成されている。手動開閉弁21fは、ポンプ装置11による水の給水量と、採水容器14のパージが終了する時間に基づいて吐出量が予め調整される。即ち、手動開閉弁21fは、パージが終了したときに、フロートスイッチ22で水位を検出可能な吐出量に開度が採水前に予め調整される。
【0027】
例えば、ポンプ装置11による水の給水量、換言すると採水容器14から排水される水の排水量をQ1、手動開閉弁21fを通過して排水される排水量をQ2とした場合、Q1>Q2に設定される。Q1及びQ2の関係から、フロートスイッチ22が水位を検出する迄の時間をT1とし、採水容器14のパージが完了する時間をT2とした場合に、T1=T2に設定される。なお、ここで、パージとは、少なくとも採水容器14内に最初に供給された水を、その後に供給される水と採水容器14で置換することを意味する。換言すると、パージとは、少なくとも採水容器14内を洗浄し、洗浄した水を採水容器14内から排水することを意味する。
【0028】
なお、T2は、採水容器14のパージが完了する時間でなく、採水容器14のパージが完了する水量としてもよい。この場合、T1は、当該パージが完了する水量とQ1及びQ1及びフロートスイッチ22が検出する水位となる体積とから求められる。
【0029】
フロートスイッチ22は、排水筒16内に設けられたフロート22aと、フロート22aの移動により水位を検出する検知部22bと、検知部22b及び制御装置19を接続する信号線22cと、を備えている。フロートスイッチ22は、例えば、フロート22aの移動を検知部22bで検知する高さが、1つの採水容器14の容積と略同一となる高さに設定される。検知部22bは、フロート22aの移動を検知すると、信号線22cを介して当該検知した情報を信号として制御装置19に送信する。例えば、検知部22bは、信号のON/OFFにより、当該情報を制御装置19に送信する。
【0030】
第2開閉弁17は、電磁弁であり、信号線99を介して制御装置19に接続される。第2開閉弁17は、二次側がドレンの排水部に接続された、排水用の電磁開閉弁である。
【0031】
電源装置18は、例えば、二次電池等のバッテリーアダプターである。
【0032】
制御装置19は、第1開閉弁13の各電磁弁13aを開閉操作可能に構成される。制御装置19は、第2開閉弁17を開閉操作可能に構成される。制御装置19は、記憶部19a、採水開始の条件及び指示を入力する入力部19b、及び、採水の状態を報知する報知手段19cを有する。記憶部19aには、第1開閉弁13及び第2開閉弁17を制御するプログラム、時計機能及びタイマー機能を有するプログラム等が記憶される。記憶部19aには、作業者等が入力した採水条件等を記憶可能に構成される。また、記憶部19aには、採水開始から、採水時の異常の発生と判断する時間が予め設定され、閾値として記憶される。
【0033】
入力部19bは、例えばテンキーや押下釦である。報知手段19cは、例えば、液晶表示、セグメント表示及びランプである。
【0034】
また、制御装置19は、以下の(1)及び(2)の機能を有する。
【0035】
(1)各種プログラム及び採水条件に基づいて採水を行う機能。
【0036】
(2)異常発生時に、採水を中断する機能。
【0037】
これら機能(1)及び機能(2)について、以下具体的に説明する。
【0038】
機能(1)は、各種プログラム及び入力された採水条件に基づいて第1開閉弁13の各電磁弁13a及び第2開閉弁17を開閉し、所定の採水容器14のパージ及び採水を行う機能である。
【0039】
具体的には、機能(1)は、入力部19bによる採水指示の入力後であって、採水条件の採水時刻となった場合に、先ず、捨て水として、ポンプ装置11を駆動し、第1開閉弁13の全電磁弁13aを閉じるとともに、第2開閉弁17を開く。次に、この状態で、所定の時間、ポンプ装置11を駆動して水源100から水を供給して排水部から捨て水を行う。捨て水終了後、採水を行う採水容器14に接続された電磁弁13aを開状態とし、採水を行わない採水容器14に接続された電磁弁13aを閉じて、採水を行う採水容器14に水を供給する。
【0040】
次に、フロートスイッチ22において、フロート22aが上昇し、排水筒16内の水位が所定の水位に上昇したことを検知したら、第1開閉弁13の電磁弁13aを全て閉じ、第2開閉弁17を開き、その後ポンプ装置11を停止させる。例えば、採水条件として、前回の採水開始から24時間後、7回に渡って各採水容器14に採水を行う場合には、時計機能及びタイマー機能により、前回採水開始からの経過時間をカウントし、当該時間到達後に、次の採水容器14に、同様に採水を行う。機能(1)は、これらのように、各構成品を制御して、採水容器14のパージ及び採水を行う機能である。
【0041】
機能(2)は、所定の条件を満たした場合に、異常が発生したと判断し、採水を中断する機能である。
【0042】
具体的には、機能(2)は、採水開始後の経過時間をカウントし、当該カウントした時間が記憶部19aに記憶された採水時間を予め設定され記憶部19aに記憶された閾値を超えた場合に、採水時の異常と判断する。その後、ポンプ装置11を停止し、報知手段19cにより、採水異常を報知する。機能(2)は、これらのように、閾値と採水開始後の経過時間の比較結果から、採水の以上を判断し、採水の中断を行う機能である。
【0043】
次に、このように構成された採水装置1を用いた採水方法について、
図3に示す流れ図を用いて説明する。
先ず、使用者は、入力部19bから、採水条件を入力する(ステップST1)。例えば、採水条件として、採水回数、採水の間隔及び閾値となる採水時間等である。制御装置19は、記憶部19aに入力された採水条件を記憶する。併せて、使用者は、採水回数に応じた採水容器14を、第1開閉弁13及び合流部15の間に接続する。次に、使用者は、入力部19bを操作し、採水指示を入力する(ステップST2)。
【0044】
採水指示を受信すると、先ず、制御部19は、フロートスイッチ22の検知部22bがフロート22aの移動を検出したかどうか、即ち、検出した情報をフロートスイッチ22からの信号の受信の有無を確認する(ステップST3)。例えば、制御部19は、フロートスイッチ22の信号のON/OFFを確認する。フロートスイッチ22からの信号を受信した場合、即ち、信号がONの場合(ステップST3のNO)には、制御装置19は、信号がOFFとなるまで待機する。
【0045】
フロートスイッチ22からの信号がOFFの場合(ステップST3のYES)には、制御装置19は、設定された採水時間であるか否かの判断を行う(ステップST4)。採水時間でない場合(ステップST4のNO)には、制御装置19は、採水時間となるまでフロートスイッチ22の信号を確認する(ステップST3)。採水時間となった場合(ステップST4のYES)には、制御装置19は、第1開閉弁13の全ての電磁弁13aを閉じるとともに、第2開閉弁17を開き、捨て水を行う(ステップST5)。制御装置19は、捨て水開始からの時間をカウントし、所定の時間が経過するまで(ステップST6のNO)、捨て水を継続して行う(ステップST5)。
【0046】
捨て水を開始後、所定の時間経過したら(ステップST6のYES)、次に、制御装置19は、採水を行う採水容器14に接続された電磁弁13aを開き、第2開閉弁17を閉じての採水を開始するとともに、採水時間のカウントを開始する(ステップST7)。採水開始後、制御装置19は、フロートスイッチ22からの信号を監視し、フロートスイッチ22からの信号がONであるか否かを判断する(ステップST8)。フロートスイッチ22からの信号がOFFの場合(ステップST8のNO)には、制御装置19は、カウントしている採水時間と記憶部19aに記憶された閾値とを比較し、採水時間が閾値を超えているか否かを判断する(ステップST9)。採水時間が閾値を超えていない場合(ステップST9のNO)には、制御装置19は、再びステップST8に戻り、フロートスイッチからの信号がONとなるか、又は、採水時間が閾値を超える迄、採水を継続する。
【0047】
フロートスイッチ22からの信号がONとなった場合(ステップST8のYES)には、制御装置19は、採水を終了する(ステップST10)。例えば、制御装置19は、開いている電磁弁13aを閉じ、第2開閉弁17を開き、ポンプ装置11を停止する。次に、制御装置19は、設定された採水回数が終了したか否か、即ち、全採水が終了したか否かを判断する(ステップST11)。全採水が終了していない場合(ステップST11のNO)には、ステップST3に戻り、以降の工程を繰り返し行い、採水容器14に順次採水を行う。
【0048】
全採水が終了したら、制御装置19は、報知手段19cにその情報を報知し、採水を終了する(ステップST12)。また、採水中において、フロートスイッチ22からの信号がOFFの場合(ステップST8のNO)であって、且つ、採水時間が閾値を超えた場合(ステップST9のYES)には、制御装置19は、採水時における異常が発生したと判断し(ステップST13)、採水を終了する(ステップST14)。その後、制御装置19は、採水時に異常が発生した情報を、報知手段19cにより報知する。なお、採水時における異常としては、ポンプ装置11の故障、フロートスイッチ22の故障、手動開閉弁21fの開度の変更、各構成品の破損及び故障等が想定される。
【0049】
このように構成された採水装置1は、採水時において、採水容器14が水で充満された後に、採水容器14の二次側に流れた水を排水筒16で排水する構成であり、且つ、排水筒16は、手動開閉弁21fにより排水筒16から排水される水の量を調整する構成である。即ち、排水筒16は、手動開閉弁21fにより給水量よりも排水量が少なくなるように構成される。また、採水容器14は吸込管14cの端部が容器本体14aの底部側に設けられ、吐出管14dが蓋体14bの内面と面一に配置される。
【0050】
これらの構成により、採水装置1は、採水開始後、採水容器14内に水が充満したあと、さらに供給される水により、採水容器14内がパージされる。また、採水容器14の二次側の排水筒16は、水の排水量を手動開閉弁21fにより調整されていることから、採水容器14から供給された水は、排水量よりも供給量が上回る。
【0051】
このため、少なくとも、採水容器14内に水が充満した後に、採水容器14の容積以上の水が採水容器14から排出されるまで、パージが継続して行われる。このため、採水装置1は、確実に採水容器14のパージを行うことが可能となる。また、当該パージは、採水容器14を通過した排水量で管理することから、採水装置1は、時間で制御する場合に比べ、正確、且つ、安価に採水容器14のパージを行うことが可能となる。
【0052】
また、合流部15は、各採水容器14と、各採水容器14と接続される継手部材15bとの間に逆流を防止する逆止弁15aをそれぞれ備える構成であることから、採水容器14からの排水が他の採水容器14に移動することが防止できる。
【0053】
また、採水が完了した採水容器14に接続された電磁弁13aは閉じられるとともに、採水容器14の二次側には逆止弁15aが設けられる。この構成により、採水が完了した採水容器14内、採水容器14と電磁弁13aとの間の流路、並びに、採水容器14と逆止弁15aとの間の流路に存在する水に空気が触れることを防止できる。このため、複数回採水を行う場合に、採水が完了した採水容器14内の水の性質が空気によって変化することを極力防止できる。結果、複数回の採水を長い時間の間隔で採水する等、長時間に渡って採水する場合であっても、採水開始時と、採水完了予定時に作業者が採水装置1に赴くだけでよい。結果、採水装置1を用いることで、採水に係る人件費の削減、及び、採水の効率の向上が可能となる。
【0054】
また、逆止弁15aにより逆流を防止する構成であることから、採水容器14の二次側に電磁開閉弁を要さず、製造コストを低減することが可能となる。特に、採水回数が増えると、換言すると用いる採水容器14が増加すると、電磁弁13a等の数も増加するが、採水容器14の二次側に逆止弁15aを用いることで、採水容器14の増加にともなう製造コストの増加を極力防止することができる。
【0055】
また、排水筒16は、給水ポート21cよりも高い位置の直管21aに設けられた孔部21dにより、フロートスイッチ22や制御装置19等の故障時におけるオーバーフロー時に、排水筒16内の水を排水することが可能となる。
【0056】
また、電源装置18にバッテリーアダプターを用いることで、採水装置1は、商用電源設備がない屋外等においても用いることが可能となる。
【0057】
上述したように本実施形態に係る採水装置1によれば、採水容器14から排水され、排水筒16に供給される給水量と排水筒16から排水される排水量の差に基づいて、採水容器14のパージを管理することで、容易、且つ、確実に採水容器14の所望のパージが可能となる。
【0058】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではない。例えば、上述した制御装置19は、ポンプ装置11の制御盤と一体とする構成であっても別体に設ける構成であってもよい。また、排水筒16において、パージが完了するための判断となるフロート22aの高さ位置は、採水容器14の容積となる高さ位置でなくてもよく、パージが確実に完了すれば、パージを行う時間や手動開閉弁21fの開度等により適宜設定可能である。この他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。