(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
給水路を流れる水を加熱して温水を生成する熱源機と、室内に向けられた複数のミストノズルを備え、前記給水路から前記ミストノズルに前記熱源機で生成した温水を供給して当該ミストノズルから前記室内に向けて噴出するミスト運転を行うミスト部と、前記給水路から浴槽に前記熱源機で生成した温水を供給する湯張り運転を行う湯張り部と、を備えるミスト機能付給湯装置であって、
前記熱源機で生成する温水の目標温度を、前記ミスト運転用のミスト給湯温度と、前記湯張り運転用の湯張り給湯温度とに切換えて前記ミスト運転および前記湯張り運転を制御する制御部を備えるとともに、
室内から内気を吸引するとともに、前記内気を加温して温風として室内に戻す暖房運転を行う内気循環部を備え、
前記制御部は、
前記ミスト運転の実行が要求され且つ前記湯張り運転の実行が要求されていないとき、前記目標温度を前記ミスト給湯温度に設定して前記ミスト運転を実行し、
前記ミスト運転の実行が要求されておらず且つ前記湯張り運転の実行が要求されているとき、前記目標温度を前記湯張り給湯温度に設定して前記湯張り運転を実行し、
前記ミスト運転の実行が要求され且つ前記湯張り運転の実行が要求されているとき、前記目標温度を前記湯張り給湯温度に設定して前記湯張り運転を実行するとともに、前記ミスト運転を実行せずに待機状態にし、
前記ミスト運転の実行中に湯張り運転の実行が要求されて前記ミスト運転が前記待機状態になったとき、又は前記湯張り運転の実行中に前記ミスト運転の実行が要求されて前記ミスト運転が前記待機状態になったときに前記暖房運転を行い、前記湯張り運転が停止して前記待機状態の前記ミスト運転が実行されるときに前記暖房運転を停止するミスト機能付給湯装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
温水循環方式のミスト発生装置では、高温用暖房温水を循環させる配管や設備等が必要になる。一方、給湯直結方式のミスト発生装置(ミスト機能付給湯装置)であると、温水循環方式のミスト発生装置に必要な配管等の設備が不要になるため、ミスト発生装置の設備コストを低く抑えることができる。しかし、給湯直結方式のミスト発生装置では、湯張りの用途にも熱源機で生成した温水を供給することがある。サーモワックスを用いて自動的に水温を調節する混合水栓から給湯するのであれば、多少高温の温水を熱源機から供給しても適当な水温に調節した上で出湯することができる。しかし、そのような混合水栓を経由せずに出湯される風呂の湯張りの場合には、熱源機から供給される温度の温水がそのまま浴槽に供給される。このため、浴槽に高温の温水が供給されると浴槽の温水の湯温を適正に制御することができない。
【0006】
そこで、ミスト運転及び湯張り運転を適正に実行可能なミスト機能付給湯装置が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るミスト機能付給湯装置の特徴構成は、給水路を流れる水を加熱して温水を生成する熱源機と、室内に向けられた複数のミストノズルを備え、前記給水路から前記ミストノズルに前記熱源機で生成した温水を供給して当該ミストノズルから前記室内に向けて噴出するミスト運転を行うミスト部と、前記給水路から浴槽に前記熱源機で生成した温水を供給する湯張り運転を行う湯張り部と、を備えるミスト機能付給湯装置であって、
前記熱源機で生成する温水の目標温度を、前記ミスト運転用のミスト給湯温度と、前記湯張り運転用の湯張り給湯温度とに切換えて前記ミスト運転および前記湯張り運
転を制御する制御部を備え
るとともに、
室内から内気を吸引するとともに、前記内気を加温して温風として室内に戻す暖房運転を行う内気循環部を備え、
前記制御部は、
前記ミスト運転の実行が要求され且つ前記湯張り運転の実行が要求されていないとき、前記目標温度を前記ミスト給湯温度に設定して前記ミスト運転を実行し、
前記ミスト運転の実行が要求されておらず且つ前記湯張り運転の実行が要求されているとき、前記目標温度を前記湯張り給湯温度に設定して前記湯張り運転を実行し、
前記ミスト運転の実行が要求され且つ前記湯張り運転の実行が要求されているとき、前記目標温度を前記湯張り
給湯温度に設定して前記湯張り運転を実行するとともに、前記ミスト運転を実行せずに待機状態に
し、
前記ミスト運転の実行中に湯張り運転の実行が要求されて前記ミスト運転が前記待機状態になったとき、又は前記湯張り運転の実行中に前記ミスト運転の実行が要求されて前記ミスト運転が前記待機状態になったときに前記暖房運転を行い、前記湯張り運転が停止して前記待機状態の前記ミスト運転が実行されるときに前記暖房運転を停止する点にある。
【0008】
このような特徴構成とすれば、ミスト運転と湯張り運転のうち一方の実行が要求されているときは、そのままミスト運転または湯張り運転が実行され、ミスト運転及び湯張り運転の両方の実行が要求されているときは、湯張り運転が優先されてミスト運転が待機状態になる。これにより、ミスト運転及び湯張り運転は、同時運転が回避されて安定的に実行することができる。
また、ミスト運転の実行のみが要求されるときには目標温度がミスト給湯温度に設定され、湯張り運転の実行が要求されているときには目標温度が湯張り給湯温度に設定されるので、ミスト運転と湯張り運転とを切り換える際に目標温度を変更する手間が不要となる。
更に、湯張り運転が優先的に実行されてミスト運転が待機状態であっても、ミスト運転の代わりに暖房運転が行うことができる。これにより、室内を所定の温度に維持または上昇させることができるため、室内の温度低下を抑制することができる。
【0009】
前記制御部は、前記ミスト運転が前記待機状態のときに前記湯張り運転が停止すると前記ミスト運転を実行するものであると好適である。
【0010】
このような構成とすれば、制御部は、優先された湯張り運転が停止すると待機状態であったミスト運転を再開するので、ミスト運転を再開する操作が不要となる。これにより、ミスト機能付給湯装置の操作性が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係るミスト機能付給湯装置(以下、「ミスト装置」と称する)は、ユーザが浴室で手軽にミストサウナ入浴を楽しむことができるように構成される。以下、本実施形態のミスト装置100について説明する。
図1には、ミスト装置100の構成が模式的に示される。
【0015】
ミスト装置100は、熱源機1と、ミスト部90と、湯張り部65と、制御部11と、を備える。熱源機1は、給水路48を有し当該給水路48を流れる水を加熱して温水を生成する。給水路48には流量センサ49が設けられている。ミスト部90は、室内に向けられた複数のミストノズル2を備え、給水路48に接続されたミストノズル2に熱源機で生成された温水を供給してミストノズル2から室内に向けて噴出するミスト運転を行う。室内とは、ミストサウナ入浴を楽しめる空間であり、例えば浴室Y内が相当する。ミストノズル2とは、浴室内に向ってミスト用水を噴出する噴出口である。ミストノズル2には、ミスト用水路3を流通したミスト用水が供給される。本実施形態のミスト装置100は、湯張り部65の他に給湯部55を備えている。
【0016】
給湯部55は、シャワーや通常の給湯等を行う給湯口56と給水路48から分岐する給湯水路57とを有し、給湯水路57を介して給湯口56に熱源機1で生成された温水を供給する給湯運転を行う。湯張り部65は、浴槽66に湯張り給湯を行う風呂アダプタ67と給水路48から分岐する湯張り水路68とを有し、湯張り水路68を介して風呂アダプタ67に熱源機1で生成された温水を供給する湯張り運転を行う。上述の通り、ミスト部90は、所謂、熱源機1で加熱した湯をそのままミストノズル2からミスト状に噴出する「給湯直結方式」である。つまり、ミスト部90のミスト用水路3、給湯部55の給湯水路57、湯張り部65の湯張り水路68には、いずれも熱源機1で生成された温水が供給される。以下には、浴室Yの天井裏に設置する「天井設置型」のミスト部90を有するミスト装置100を例に挙げて説明する。
【0017】
図1に示されるように、ミスト装置100は、浴室Yの天井Yaの裏側に設置されるミスト部90と、浴室Yの天井Yaの表側に設置されるグリル板91と、を備えている。ミスト部90には、浴室Y内から内気を吸引するとともに、熱源機1によって加熱供給される熱媒により内気を加温して温風として浴室Y内に戻す暖房運転を行う内気循環部70が備えられている。内気循環部70は、循環ファン94と、空気加熱用熱交換器95と、換気ファン96と、を有する。循環ファン94は、グリル板91に形成した吸引口92を通して浴室Y内の空気を吸引し、吸引した空気を浴室Y内に向けて送風路93を通して吹き出す循環手段である。空気加熱用熱交換器95は、循環ファン94にて通風される空気を加熱する空気加熱手段である。換気ファン96は、吸引口92を通して浴室Y内の空気を吸引し、外部に排出する換気手段である。ミスト部90には、上述した複数のミストノズル2、及び送風路93から吹き出される空気の吹出方向を変更する可動ルーバ97等が備えられる。ミストノズル2から噴出されるミスト用水は、熱源機1に設けられる第1燃焼器42によって加熱される。
【0018】
更に、ミスト部90は、流量調節器10、第1水路61、第2水路62、ノズル駆動部71を備えて構成される。流量調節器10は、ミスト用水路3を流れるミスト用水の単位時間当たりの流量の調節をする。ミスト用水路3は、熱源機1とミストノズル2とを連通し、ミスト用水が流通する管である。「単位時間当たりの流量」とは、所定時間(例えば1秒間)にミスト用水路3を流通するミスト用水の流量である。流量調節器10は、ミスト用水路3に設けられる流量調節弁が相当する。このような流量調節器10は、ミスト用水路3を流れるミスト用水が所期の流量に調節できるように、流路面積をリニアに変更可能なリニア弁で構成すると好適である。
【0019】
制御部11は、ミスト運転および湯張り運転の動作を制御する。具体的には、主に流量調節器10の動作と、熱源機1から供給される温水の目標温度をミスト運転用のミスト給湯温度と、湯張り運転用の湯張り給湯温度とを切換えてミスト運転及び湯張り運転とを制御する。流量調節器10の動作とは、上述したようなミスト用水路3の流量を調節するための流量調節器10の流路面積の変更動作である。なお、ミスト給湯温度と湯張り給湯温度とは、個別に温度設定を行うこともできる。
【0020】
熱源機1は給水路48を有し、当該給水路48を流れる水を加熱して温水を生成する。熱源機1は第1熱交換機構31と第2熱交換機構32とを備えて構成される。第1熱交換機構31は、第1熱交換部41と第1燃焼器42と第1比例弁43とを備えて構成される。第2熱交換機構32は、第2熱交換部44と第2燃焼器45と第2比例弁46とを備えて構成される。開閉弁47を介して第1比例弁43及び第2比例弁46に向けて燃料(例えばガス)が供給される。
【0021】
流量調節器10が開放されて流量センサ49によって検出される給水路48の流量が所定のミスト流量に達すると、第1比例弁43、及び開閉弁47が開弁され、熱源機1に燃料(例えばガス)が供給される。これにより第1燃焼器42が運転を開始し、給水路48を流通する水が第1熱交換部41において加温される。このように加温されたミスト用の温水が、上述したミスト用水路3を流通する。
【0022】
給湯部55の給湯水路57が開放されて流量センサ49によって検出される給水路48を流通する水の流量が所定の給湯流量に達すると、第1比例弁43、及び開閉弁47が開弁され、熱源機1に燃料(例えばガス)が供給される。これにより第1燃焼器42が運転を開始し、給水路48を流通する給湯用の水が第1熱交換部41において加温される。このように加温された給湯用の温水が、給湯部55の給湯水路57を流通する。
【0023】
湯張り部65の湯張り水路68が開放されて流量センサ49によって検出される給水路48を流通する給湯流量が所定の流量に達すると、第1比例弁43、及び開閉弁47が開弁され、熱源機1に燃料(例えばガス)が供給される。これにより第1燃焼器42が運転を開始し、給水路48を流通する湯張り用水が第1熱交換部41において加温される。このように加温された湯張り用水が、上述した湯張り水路68を流通し、湯張り水路68に接続される風呂アダプタ67を介して浴槽66に供給される。なお、第1熱交換部41により加温された水の温度は同じく給水路48に設けられた温度センサ50により検出する。
【0024】
一方、上述した空気加熱用熱交換器95による暖房運転を行う場合には、ポンプPにより熱媒循環路51内の熱媒を循環させた状態で第2比例弁46を開弁する。これより、第2燃焼器45が運転を開始し、熱媒循環路51を流通する熱媒が第2熱交換部44において加温される。このように加温された熱媒が、空気加熱用熱交換器95に供給される。その後、循環ファン94が動作されて、吸引口92を通して浴室Y内の空気を吸引し、吸引した空気が空気加熱用熱交換器95によって加熱された後に浴室Y内に向けて吹き出される。なお、熱媒循環路51における熱媒の流通を制御するために、制御弁52を設けると好適である。
【0025】
制御部11は、複数のミストノズル2からミスト用水の噴出を開始する場合、ミスト用水路3を流通するミスト用水の流量が所定時間に亘って設定ミスト流量(ミスト用流量の一例)以上となるように流量調節器10の動作を制御する。設定ミスト流量とは、ミスト用水路3の上流側に接続されている燃焼器(上述した第1燃焼器42)が動作開始可能となる流量以上の流量である。給水路48を流通する水の流量が、所定のミスト流量の範囲であるか給湯流量(湯張り流量)の範囲であるかは給水路48に設けられた流量センサ49により検出する。ここで、第1燃焼器42は、空焚き等の事故を防止すべく、所定の流量未満では着火しないように安全措置が施されている。そこで、制御部11は、ミスト用水路3を流通するミスト用水の流量を、一旦、第1燃焼器42が動作開始する流量以上に設定し、第1燃焼器42の運転が停止しない程度の時間に亘ってその流量を維持するように流量調節器10の動作を制御する。ミスト用水の設定ミスト流量は、例えば事前の試運転等により測定されて制御部11に記憶されている。
【0026】
一旦着火した後は、給水路48を流通するミスト用水の流量が設定ミスト流量未満となった場合に、安全上、燃焼器(上述した第1燃焼器42)が動作停止するように構成されている。このため、制御部11は、ミスト用水路3を流通するミスト用水の流量を、設定ミスト流量よりも多い流量に維持するように流量調節器10の動作を制御する。
【0027】
ミスト用水路3は、例えば流量調節器10よりもミストノズル2側に第1水路61及び第2水路62に分岐して構成される。第1水路61には、第1水路61を流通するミスト用水の単位時間当たりの流量を変更できる第1流量変更部63が備えられ、第2水路62には、第2水路62を流通するミスト用水の単位時間当たりの流量を変更できる第2流量変更部64が備えられる。第1流量変更部63及び第2流量変更部64は、夫々制御部11により動作が制御される。
【0028】
複数のミストノズル2において、第1ミストノズル2Aは第1水路61に接続されて第1噴出方向からミスト用水を噴出し、第2ミストノズル2Bは第2水路62に接続されて第2噴出方向第からミスト用水を噴出する。制御部11によって流量調節器10が制御され、ミスト用水路3を流れる流量が設定ミスト流量になると、第1ミストノズル2Aの第1噴出方向と、第2ミストノズル2Bの第2噴出方向とが互いに異なるように構成されている。
【0029】
本実施形態では、第1水路61は、浴室Y内の洗い場Y1に向けてミスト用水を噴出する第1ミストノズル2Aに連通し、第2水路62は、浴室Y内の内壁Y2に向けてミスト用水を噴出する第2ミストノズル2Bに連通して構成される。第2ミストノズル2Bの噴出方向を変更できるようにノズル駆動部71が設けられている。
【0030】
次に、ミスト運転及び湯張り運転について
図2のフローチャートを用いて説明する。例えば、リモコン等においてミスト装置100のミスト運転の開始ボタンが押下されると、制御部11にミスト運転開始の指示があったことを示す指示情報が送信される。
【0031】
〔単独のミスト運転のフロー〕
リモコン等のON操作によりミスト運転の実行が要求され、制御部11が当該要求を検知し(ステップ#10:Yes)、湯張り運転のON操作が確認されないと(ステップ#30:No)、ミスト運転の実行が要求されて湯張り運転の実行が要求されていないと判定して、流量調節器10を開いてミスト用水路3に温水を流し、目標温度をミスト運転用のミスト給湯温度に設定する(ステップ#11)。
【0032】
その後、流量調節器10が開いて流量センサ49によって検出される給水路48の流量(以下、給湯流量と称する)が設定ミスト流量以上になると(ステップ#12:Yes)と、ミスト用の給湯燃焼が実行される(ステップ#13)。給湯流量が設定ミスト流量以上(ステップ#14:No)であれば、ミスト用の給湯燃焼が継続される。給湯流量が設定ミスト流量未満になると(ステップ#14:Yes)、ミスト用の給湯燃焼が停止してミスト運転が終了する(ステップ#15)。
【0033】
制御部11によるミスト運転の実行が要求されているか否かの判定には、以下の方法が適宜採用される。
例えば、制御部11が、ミスト運転の実行指令を受けていることをミスト部90の制御部から取得する。制御部11が、ユーザがリモコン装置の「ミスト運転」ボタンをON操作したミスト運転の実行が指令された状態であることを検出する。制御部11が、ミスト運転が指令された状態において流量センサ49で検出した給湯流量がミスト流量となったことを検知する。
【0034】
〔ミスト運転の実行中に湯張り運転が実行される場合のフロー〕
ミスト運転の実行中であるときに(ステップ#12〜ステップ#14)、リモコン装置等で湯張り運転が指示されて湯張り運転の実行が要求されると、ステップ#30がYesとなる。つまり、制御部11は、ミスト運転の実行が要求され且つ湯張り運転の実行が要求されていると判定する。そうなると、流量調節器10を閉じてミスト運転を待機状態にして暖房運転を開始し(ステップ#31)、目標温度を湯張り給湯温度に設定する(ステップ#32)。続いて、湯張り水路68に設けられた風呂湯張り弁(図示せず)が開いて、湯張り運転(ステップ#33)としての給湯が開始され、浴槽66の湯量が設定湯量になるまで給湯燃焼が継続される(ステップ#34)。浴槽66の湯量が設定湯量に達すると(ステップ#35:Yes)、風呂湯張り弁が閉じられて湯張り運転が終了する。なお、放熱等により湯温が低下している場合には、風呂湯張り弁が閉じられた後に追い焚き運転が実行されることもある。そして、給湯燃焼が停止する。(ステップ#36)。
【0035】
その後、暖房運転が停止されて、待機状態のミスト運転が開始(再開)される(ステップ#37)。具体的には、ステップ#11に戻り目標温度がミスト給湯温度に設定され、前述のステップ#12〜ステップ#14によってミスト運転が実行される。追い焚き中は、浴槽66に温水は供給されない。したがって、追い焚き中に目標温度をミスト給湯温度に設定して熱源機からミスト用の温水を供給しても良い。
【0036】
制御部11による湯張り運転の実行が要求されているか否かの判定には、以下の方法が適宜採用される。制御部11が、湯張り運転の実行指令を受けていることを湯張り部65の制御部から取得する。湯張り水路68に設けられた注湯水量センサ(図示せず)で最低流量以上を検出した場合に湯張り運転の実行(要求)と判定する。
【0037】
〔単独の湯張り運転のフロー〕
制御部11において、ミスト運転の実行の要求が検知されておらず(ステップ#10:No)、湯張り運転の実行の要求が検知されたとき(ステップ#20:Yes)、設定温度を湯張り給湯温度に設定する(ステップ#21)。続いて、湯張り運転(ステップ#22)としての給湯が開始され、浴槽66の湯量が設定湯量になるまで給湯燃焼が継続される(ステップ#23)。浴槽66の湯量が設定湯量に達すると(ステップ#24:Yes)、湯張り運転が終了し、必要に応じて追い焚き運転が実行され、給湯燃焼が停止する(ステップ#25)。
【0038】
〔湯張り運転の実行中にミスト運転の実行の要求がされた場合のフロー〕
湯張り運転の途中でミスト運転がON操作されると、制御部11はミスト運転の実行が要求されたと判定する(ステップ#24:No,ステップ#10:Yes)。このとき、湯張り運転は既に実行されているため(ステップ#30:Yes)、ミスト運転が実行されずに待機状態となり暖房運転が開始される(ステップ#31)。設定温度は湯張り給湯温度に維持されたまま(ステップ#32)、ステップ#33〜ステップ#35によって湯張り運転が継続される。つまり、制御部11は、ミスト運転の実行が要求されておらず且つ湯張り運転の実行が要求されていると判定する。浴槽66の湯量が設定湯量に達すると(ステップ#35:Yes)、湯張り運転が終了し、必要に応じて追い焚き運転が実行され、給湯燃焼が停止する(ステップ#36)。その後、前述の通り、暖房運転が停止されて待機状態のミスト運転が実行(再開)される(ステップ#37,ステップ#11〜15)。
【0039】
このような特徴構成とすれば、ミスト運転と湯張り運転のうち一方の実行が要求されているときは、そのままミスト運転または湯張り運転が実行され、ミスト運転及び湯張り運転の両方の実行が要求されているときは、湯張り運転が優先されてミスト運転が待機状態になる。これにより、ミスト運転及び湯張り運転は、同時運転が回避されて安定的に実行することができる。
また、ミスト運転の実行のみが要求されるときには目標温度がミスト給湯温度に設定され、湯張り運転の実行が要求されているときには目標温度が湯張り給湯温度に設定されるので、ミスト運転と湯張り運転とを切り換える際に目標温度を変更する手間が不要する。
【0040】
また、制御部11は、優先された湯張り運転が停止すると待機状態のミスト運転を再開するので、ミスト運転を再開する操作が不要となる。これにより、ミスト装置100の操作性が向上する。
【0041】
また、制御部11は、湯張り運転が優先されてミスト運転が待機状態になると内気循環部70による暖房運転を行い、ミスト運転が再開されると当該暖房運転を停止する。
【0042】
このような構成とすれば、湯張り運転が優先的に実行されてミスト運転が待機状態であっても、ミスト運転の代わりに暖房運転が行うことができる。これにより、室内を所定の温度に維持または上昇させることができるため、室内の温度低下を抑制することができる。
【0043】
〔その他の実施形態〕
上記の実施形態では、ミスト運転が待機状態にときに内気循環部70による暖房運転を行う例を示したが、内気循環部70による暖房運転はミスト運転の実行中においても実行されるよう構成してもよい。また、上記の実施形態では、内気循環部70がミスト運転及び湯張り運転のための温水を生成する熱源機1によって加熱供給される温水により内気を加温する例を示したが、内気循環部70は、熱源機1とは異なる他の熱源機を用いて内気を加温してもよい。
【0044】
湯張り運転及び追い焚き運転が終了すると、浴槽66においてふろ湯の自動保温運転が始められる。浴槽66の湯をユーザ(例えば入浴者)が身体を洗う等のために使用することで自動保温運転の実行中に浴槽66の湯量が減少することがある。このような自動補水タイミングになった場合は、浴槽の湯量を設定量(水位)に回復させるために、例えば熱源機1から加熱水を補充(補水)する。このような自動補水タイミングになったとしても、ミスト運転が実行中は自動補水を開始せず、自動補水を待機させるようにしてもよい。
【0045】
ただし、ユーザ(例えば入浴者)がたし湯ボタンを押す等した場合には、ミスト運転を待機状態にし、たし湯を実行するようにしてもよい。たし湯はユーザの意思に基づいて実行されるため、優先して実行することが好ましい。
【0046】
ミストノズル2は、夫々方向の調節ができるように構成することも可能である。この場合には、ユーザに噴出されたミスト用水が良く当たるミストノズル2に供給するミスト用水の流量を少なくし、ユーザに噴出されたミスト用水が当たらないミストノズル2に供給するミスト用水の流量を多くし、且つ、ミストノズル2の角度をユーザにあたらない方向に連通する第1流量変更部63や第2流量変更部64の開度を大きくすると良い。これにより、ミストサウナ入浴を楽しむユーザの体感性を向上することができる。
【0047】
上記実施形態では、ミスト用水路3は第1水路61及び第2水路62に分岐して構成されると説明したが、ミスト用水路3は分岐せずに構成することも可能である。
【0048】
上記実施形態では、ミスト装置100を浴室Yで利用する場合の例を挙げて説明したが、例えばサウナ室やその他の空間で利用することも可能である。
【0049】
尚、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。