(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記過給制御手段は、前記エンジン本体への部分負荷の投入後に前記ウエストゲート弁を閉塞させるウエストゲート閉塞処理を実行する請求項1に記載のターボ過給式エンジン。
前記部分負荷の投入後且つ前記ウエストゲート閉塞処理の実行前に、前記部分負荷に対して前記エンジン本体の出力不足が発生した場合に、前記ウエストゲート弁の開度を縮小側に補正する補正処理を実行する補正手段を備えた請求項2〜4の何れか1項に記載のターボ過給式エンジン。
前記部分負荷の投入後且つ前記ウエストゲート閉塞処理の実行前に、前記部分負荷に対して前記エンジン本体の出力不足が発生した場合に、前記燃焼室に吸気される混合気の空燃比を燃料リッチ側に補正する補正処理を実行する補正手段を備えた請求項2〜5の何れか1項に記載のターボ過給式エンジン。
前記過給制御手段が、前記エンジン本体への部分負荷の投入後において、前記ウエストゲート閉塞処理を実行した後に、前記吸気バイパス弁を閉塞させるバイパス閉塞処理を実行する請求項2〜6の何れか一項に記載のターボ過給式エンジン。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1〜3に開示の技術の夫々には、以下に示す課題があった。特許文献1に開示の技術では、圧縮窒素を常備する必要があり、高コストになると共に、構成が複雑となる。
特許文献2に開示の技術では、エンジン本体が発生する回転動力で非常用発電機兼用の常用発電機を回転駆動する場合、運転中に吸気圧力の一部を蓄圧することが可能であるが、エンジン本体が非常用発電機を回転駆動する場合は、上記特許文献1に開示の技術と同じく、圧縮空気を常備する必要があり高コストになると共に、構成が複雑となる。
特許文献3に開示の技術では、負荷投入状態を切り替える必要があり、その負荷切替に適合する負荷を準備する必要があり、汎用性に欠けるという問題があった。
また、特許文献4に開示の自動車用エンジンでは、負荷に関係なく加速初期にウエストゲート弁を開放するものであるが、回転速度を目標回転数に維持するにあたり、エンジンの出力の応答性を向上するために、負荷投入時のウエストゲート弁の作動を行う点については検討されているものではなかった。
【0006】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、比較的簡易な構成を維持しながらも、部分負荷投入に対するエンジン出力の応答性が高く、エンジン本体がストールに陥ることを防止できるターボ過給式エンジン及びその負荷投入方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
〔構成1〕
上記の目的を達成するための本発明に係るターボ過給式エンジンの特徴構成は、
燃料と空気との混合気を燃焼室において圧縮して燃焼させることにより回転動力を発生するエンジン本体と、
前記エンジン本体の排気路に設けられるタービンに前記燃焼室から排出される排ガスを供給し、前記タービンに連結される状態で吸気路に設けられるコンプレッサによって前記燃焼室に吸気される新気を圧縮する過給機と、
前記エンジン本体の回転速度を目標回転速度に維持する回転速度維持手段とを備えたターボ過給式エンジンであって、
前記過給機は、第1タービンおよび第1コンプレッサを有する第1過給機と、第2タービンおよび第2コンプレッサを有する第2過給機とを有し、
前記第1タービンは前記排気路において前記第2タービンの下流側に配置され、
前記第1コンプレッサは前記吸気路において前記第2コンプレッサの上流側に配置され、
前記排気路における前記第1タービンの出口側と前記第2タービンの入口側とを接続するウエストゲート路と、当該ウエストゲート路に配置されたウエストゲート弁とを備えると共に、
前記エンジン本体への部分負荷の投入時に前記ウエストゲート弁を開放状態に維持するウエストゲート開放処理を実行する過給制御手段を備え、
前記吸気路における前記第2コンプレッサの出口側と
前記第1コンプレッサの入口側とを接続する吸気バイパス路と、当該吸気バイパス路に配置された吸気バイパス弁とを備えると共に、
前記過給制御手段が、前記エンジン本体への部分負荷の投入時に、前記ウエストゲート開放処理と共に前記吸気バイパス弁を開放状態に維持するバイパス開放処理を実行する点にある。
【0008】
上記の特徴構成によれば、エンジン本体において、排気路にウエストゲート路が設けられ、そのウエストゲート路にウエストゲート弁が配置される。そして、回転速度維持手段によりエンジン本体の回転速度が目標回転速度に維持されている状態において、上記ウエストゲート開放処理が実行されてエンジン本体への部分負荷の投入時にウエストゲート弁が開放状態に維持されると、当該ウエストゲート路における排ガスの通流が許容された状態となるので、排気路におけるウエストゲート路の入口側圧力が出口側圧力と同程度まで低下し、排気行程におけるポンピングロスが低減される。
また、ウエストゲート弁を開放状態とすることで、タービンの回転動力が低減されて、結果、過給機の回転速度が低下した状態になるが、そもそも部分負荷の投入時の低負荷域では、吸気路において新気の流れを絞って(新気の圧力を減圧して)燃焼室に吸気するため、過給機本来の機能が活用されておらず、大気圧以上の過給は必要ない。即ち、部分負荷投入時において、ウエストゲート弁を開放状態とすることにより過給機の回転速度が低下したとしても、新気の流れの絞り具合が緩和されるだけで、エンジン出力の低下等については抑制することができる。
よって、このような状態にて、エンジン本体へ部分負荷が投入されることにより、上記ポンピングロスが低減されて、その負荷に対するエンジン本体が発生する回転動力の仕事量であるエンジン出力の応答性が改善されることになる。
更に、上記の特徴構成によれば、部分負荷投入に対するエンジン出力の応答性をより高めることができる。
加えて、上記の特徴構成によれば、吸気路における圧力損失をより大きく低減して、結果、吸気行程におけるポンピングロスがさらに低減される。よって、初期投入に対するエンジン出力の応答性をより一層向上することができる。
従って、本発明により、比較的簡易な構成を維持しながらも、部分負荷投入に対するエンジン出力の応答性が高いターボ過給式エンジン及びその負荷投入方法を提供することができる。
【0009】
〔構成2〕
本発明に係るターボ過給式エンジンの別の特徴構成は、前記過給制御手段は、前記エンジン本体への部分負荷の投入後に前記ウエストゲート弁を閉塞させるウエストゲート閉塞処理を実行する点にある。
【0010】
上記の特徴構成によれば、部分負荷の投入後においては、上記ウエストゲート開放処理により開放状態とされたウエストゲート弁は上記ウエストゲート閉塞処理が実行されることにより閉塞される。すると、ウエストゲート路における新気の通流が禁止された状態となるので、タービンの出口側圧力に対して入口側圧力が大きくなってタービンの回転速度が上昇し、コンプレッサによる新気の圧縮が十分に行われるようになり、結果、エンジン効率を向上して一層安定した運転状態を維持することができる。
従って、エンジン本体がストールに陥ることを抑制できるターボ過給式エンジン及びその負荷投入方法を提供することができる。
【0011】
〔構成3〕
本発明に係るターボ過給式エンジンの別の特徴構成は、前記吸気路において前記過給機の下流側にスロットル弁が配置され、前記エンジン本体への初期負荷の投入に伴って、前記回転速度維持手段が前記エンジン本体の回転速度の維持制御を実行することにより前記スロットル弁の開度が拡大される点にある。
【0012】
上記の特徴構成によれば、エンジン本体への部分負荷の投入に伴って、回転速度維持手段は、エンジン出力を上昇させてエンジン本体の回転速度を維持する維持制御を実行するにあたり、コンプレッサの下流側に設けられたスロットル弁の開度を急激に拡大させてエンジン本体に導かれる燃料及び混合気の流量を急激に増加させたり、燃料供給量を急激に増加させたりする。また、後者のように、燃料供給量を急激に増加させる場合には、燃焼室に吸気される混合気の空燃比を所望の空燃比に維持するために、空気供給量を増加させるべくスロットル弁の開度が急激に拡大される。
即ち、吸気路においてコンプレッサの下流側にスロットル弁を配置すれば、その開度の迅速な拡大により、エンジン出力を上昇させて、エンジン本体への部分負荷投入に対応することができる。
また、ウエストゲート開放処理が実行されて過給機の回転速度が低下した状態になると、コンプレッサの出口側の圧力である過給圧力が低下するが、それに合わせてスロットル弁の開度が若干拡大されることで、燃焼室への吸気圧の低下を迅速に回避して、安定した運転状態を維持することができる。
【0013】
〔構成4〕
本発明に係るターボ過給式エンジンの別の特徴構成は、前記エンジン本体に対して、前記部分負荷に続いて残負荷が投入され、前記過給制御手段が、前記エンジン本体への前記残負荷の投入前に前記ウエストゲート閉塞処理を実行する点にある。
【0014】
上記の特徴構成によれば、部分負荷の投入後において、上記ウエストゲート閉塞処理を実行してコンプレッサによる新気の圧縮が十分に行われるようになってから、部分負荷に続く残負荷を投入するので、中負荷域及び高負荷域においても高い応答性で安定してエンジン出力を漸次上昇させることができる。
尚、このようにウエストゲート開放処理を実行した状態で投入する部分負荷については、エンジン出力の応答性を考慮して、エンジン本体の定格出力に対して0%以上かつ40%以下の範囲内であることが好ましい。そして、ウエストゲート閉塞処理実行後に定格出力までに投入される残負荷については、一回で投入しても構わないが、複数回に分けて投入することでエンジンの安定性を確保することが望ましい。
【0015】
〔構成5〕
本発明に係るターボ過給式エンジンの別の特徴構成は、前記部分負荷の投入後且つ前記ウエストゲート閉塞処理の実行前に、
部分負荷に対して前記エンジン本体の出力不足が発生した場合に、前記ウエストゲート弁の開度を縮小側に補正する補正処理を実行する補正手段を備えた点にある。
【0016】
上記の特徴構成によれば、部分負荷の投入後且つウエストゲート閉塞処理の実行前において、例えばスロットル弁の開度が全開状態でそれ以上拡大できない状況で、
部分負荷に対してエンジン本体の出力不足が発生したとしても、上記補正処理を実行することで、スロットル弁の開度の拡大に頼ることなくエンジン本体の出力不足を解消して、エンジン本体の回転速度を目標回転速度に維持することができる。
即ち、上記補正処理において、ウエストゲート弁の開度を縮小側に補正すれば、過給機の回転速度を上昇させて、新気に対する過給圧力を上昇させることができ、結果、エンジン出力を適度に増加させることができる。
【0017】
〔構成6〕
本発明に係るターボ過給式エンジンの別の特徴構成は、前記部分負荷の投入後且つ前記ウエストゲート閉塞処理の実行前に、
部分負荷に対して前記エンジン本体の出力不足が発生した場合に、前記燃焼室に吸気される混合気の空燃比を燃料リッチ側に補正する補正処理を実行する補正手段を備えた点にある。
【0018】
上記の特徴構成によれば、部分負荷の投入後且つウエストゲート閉塞処理の実行前において、例えばスロットル弁の開度が全開状態でそれ以上拡大できない状況で、
部分負荷に対してエンジン本体の出力不足が発生したとしても、上記補正処理を実行することで、スロットル弁の開度の拡大に頼ることなくエンジン本体の出力不足を解消して、エンジン本体の回転速度を目標回転速度に維持することができる。
即ち、上記補正処理において、燃焼室に吸気される混合気の空燃比を燃料リッチ側に補正すれば、1サイクルあたりの燃焼室への燃料投入量を増加させることができ、結果、エンジン出力を適度に増加させることができる。
【0027】
〔構成
7〕
本発明に係るターボ過給式エンジンの別の特徴構成は、前記過給制御手段が、前記エンジン本体への初期負荷の投入後において、前記ウエストゲート閉塞処理を実行した後に、前記バイパス閉塞処理を実行する点にある。
【0028】
上記の特徴構成によれば、部分負荷投入後において、ウエストゲート閉塞処理及びバイパス閉塞処理を実行して、ウエストゲート弁及び吸気バイパス弁を閉塞させるにあたり、吸気バイパス弁が開放されてコンプレッサに圧縮負荷がかからない状態で、ウエストゲート弁が吸気バイパス弁に先駆けて閉塞されて、タービンの回転動力が増加されることになる。すると、過給機の回転速度を一時的に高めることができる。その後、過給機の回転速度が高い状態で、吸気バイパス弁が閉塞されて、コンプレッサによる新気の圧縮を開始されるので、過給圧力を迅速に上昇させることができ、例えば、部分負荷に続く残負荷の投入に備えることができる。
【0029】
〔構成8〕
上記の目的を達成するための本発明に係るターボ過給式エンジンの負荷投入方法は、
燃料と空気との混合気を燃焼室において圧縮して燃焼させることにより回転動力を発生するエンジン本体と、
前記エンジン本体の排気路に設けられるタービンに前記燃焼室から排出される排ガスを供給し、前記タービンに連結される状態で吸気路に設けられるコンプレッサによって前記燃焼室に吸気される新気を圧縮する過給機と、
前記エンジン本体の回転速度を目標回転速度に維持する回転速度維持手段とを備えたターボ過給式エンジンの負荷投入方法であって、
前記過給機は、第1タービンおよび第1コンプレッサを有する第1過給機と、第2タービンおよび第2コンプレッサを有する第2過給機とを有し、
前記第1タービンは前記排気路において前記第2タービンの下流側に配置され、
前記第1コンプレッサは前記吸気路において前記第2コンプレッサの上流側に配置され、
前記排気路における前記第1タービンの出口側と
前記第2タービンの入口側とを接続するウエストゲート路と、当該ウエストゲート路に配置されたウエストゲート弁とを設け、
前記吸気路における前記第2コンプレッサの出口側と
前記第1コンプレッサの入口側とを接続する吸気バイパス路と、当該吸気バイパス路に配置された吸気バイパス弁とを備え、
前記エンジン本体への部分負荷の投入時に前記ウエストゲート弁を開放状態に維持するウエストゲート開放処理を実行し、前記エンジン本体への部分負荷の投入後に前記ウエストゲート弁を閉塞させるウエストゲート閉塞処理を実行し、且つ前記エンジン本体への部分負荷の投入時に、前記ウエストゲート開放処理と共に前記吸気バイパス弁を開放状態に維持するバイパス開放処理を実行する点にある。
【0030】
即ち、本発明に係るターボ過給式エンジンの負荷投入方法は、これまで説明した本発明に係るターボ過給式エンジンにより好適に実行されるものであるため、同様の作用効果を奏することができる。
【発明を実施するための形態】
【0050】
〔第1
参考形態〕
以下、第1
参考形態に係るターボ過給式エンジンについて図面に基づいて説明する。
図1に示すターボ過給式エンジン100は、天然ガス等の燃料ガスF(燃料の一例)と空気Aとの混合気Mを燃焼室26aにおいて圧縮して燃焼させることにより出力軸50を回転させる形態で回転動力を発生するエンジン本体26と、エンジン本体26の排気路27に設けられるタービンに燃焼室26aから排出される排ガスEを供給し、タービン(1b、2b)に連結される状態で吸気路20に設けられるコンプレッサ(1a、2a)によって燃焼室26aに吸気される新気としての混合気Mを圧縮する過給機(1、2)とを備え、更には、センサ等の検出結果が入力され、その入力信号に基づいて制御弁などの各種補機を制御して、エンジン100の運転を制御するコンピュータからなるエンジンコントロールユニット(以下、ECUと呼ぶ。)40が備えられている。
【0051】
なお本
参考形態では、過給機は、第1タービン1bおよび第1コンプレッサ1aを有する第1過給機1と、第2タービン2bおよび第2コンプレッサ2aを有する第2過給機2とを有して構成される。第1タービン1bは排気路27において第2タービン2bの下流側に配置され、第1コンプレッサ1aは吸気路20において第2コンプレッサ1aの上流側に配置される。すなわち吸気路20および排気路27において、第2過給機2の方がエンジン本体26に近い側に配置される。
【0052】
この種のエンジン100は、詳細な図示は省略するが、吸気路20から燃焼室26aに新気として吸気された混合気Mを、ピストンの上昇により圧縮した状態で点火プラグにて火花点火して燃焼・膨張させることで、ピストンを押し下げて出力軸50から回転動力を出力すると共に、燃焼により発生した排ガスEは、燃焼室26aから排気路27に押し出され、外部に排出される。
【0053】
吸気路20には、空気Aを浄化するエアクリーナ21、空気Aに燃料ガスFを適切な比率で混合するベンチュリー式のミキサ14、及びミキサ14にて混合された混合気Mを圧縮するコンプレッサ(1a、2a)、開度調整により燃焼室26aへの混合気Mの吸気量を調整可能なスロットル弁24、混合気Mを冷却するインタークーラ25が、その上流側から記載順に設けられている。
即ち、吸気路20において、ミキサ14で燃料ガスFと空気Aとを混合して生成された混合気Mは、コンプレッサ(1a、2a)により圧縮された後に、スロットル弁24を介して所定の流量に調整され、インタークーラ25にて冷却されて、エンジン本体26の燃焼室26aに導入される。
【0054】
ミキサ14に燃料ガスFを導く燃料供給路11には、ミキサ14の上流側の吸気路20における燃焼用空気の圧力と燃料供給路11における燃料ガスFの圧力の差を一定に保つ差圧レギュレータ12、ミキサ14を介して燃焼室26aに供給される燃料ガスFの供給量を調整する燃料供給量調整弁13が設けられている。
【0055】
出力軸50には、出力軸50の回転速度をエンジン本体26の回転速度として計測する回転速度センサ51が設けられている。
そして、ECU40は、回転速度センサ51にて計測されたエンジン本体26の回転速度に基づいて、燃料供給量調整弁13の開度を制御して燃焼室26aへの燃料ガスFの供給量を調整することによって、エンジン本体26の回転速度を所望の目標回転速度に維持する回転速度維持手段42として機能する。
【0056】
また、排気路27には、排ガスEの酸素濃度を検出する酸素センサ53が設けられている。
そして、ECU40は、酸素センサ53で検出された排ガスEの酸素濃度に基づいて、スロットル弁24の開度を制御することによって、ミキサ14に供給された燃料ガスFに対する空気Aの混合割合を調整して、ミキサ14で生成される混合気Mの空燃比を理論空燃比等の所望の空燃比に維持する空燃比制御手段43として機能する。
【0057】
過給機(1、2)は、エンジン本体26の排気路27に設けられるタービン(1b、2b)に燃焼室26aから排出される排ガスEを供給し、タービン(1b、2b)に連結される状態で吸気路20に設けられるコンプレッサ(1a、2a)によって燃焼室26aに吸気される混合気Mを圧縮するターボ式の過給機として構成されている。即ち、この過給機(1、2)は、排気路27を通流する排ガスEのエンタルピー及び運動エネルギーによりタービン(1b、2b)を回転させ、このタービン(1b、2b)の回転力により吸気路20に配置されたコンプレッサ(1a、2a)を回転駆動する形態で、吸気路20を通流する新気としての混合気Mを圧縮した状態で燃焼室26aに供給する所謂過給を行う。
また、この種のターボ式の過給機(1、2)は、比較的高出力で運転が行わる際には、タービン(1b、2b)への排ガスEの供給量が増加することで、かかるタービン(1b、2b)及びそれに連結されたコンプレッサ(1a、2a)の回転速度(以下「過給機(1、2)の回転速度」と呼ぶ。)が増加し、結果、コンプレッサ(1a、2a)の出口側圧力、即ち吸気路20におけるコンプレッサ(1a、2a)とスロットル弁24との間の圧力(以下「過給圧力」と呼ぶ。)が増加する。一方、比較的低出力で運転が行われる際には、タービン(1b、2b)への排ガスEの供給量が減少することで、過給機(1、2)の回転速度が低下し、結果、過給圧力が低下する。
【0058】
出力軸50には非常用発電機28が接続されており、出力軸50で出力した回転動力が非常用発電機28の駆動源として利用される。
非常用発電機28には、電力線及び開閉器52を介して電力負荷29が接続されており、例えば、停電時において外部からの起動指令信号を受けたECU40によりエンジン本体26が起動され、出力軸50を回転させた状態で開閉器52が開状態(電力通流を遮断する状態)から閉状態(電力通流を許容する状態)に切り替えられることで、非常用発電機28に対して電力負荷29で要求される電力に相当する発電負荷が投入され、それに伴って出力軸50に対して非常用発電機28を回転駆動するために必要な回転負荷が投入される。以下、このようにエンジン本体26を起動してからの初期段階において開閉器52を開状態から閉状態に切り替えてエンジン本体26の出力軸50に回転負荷を投入することを部分負荷の投入と呼ぶ場合がある。
【0059】
本
参考形態ではターボ過給式エンジン100は、吸気路20における第1コンプレッサ1aの出口側と入口側とを接続する吸気バイパス路60と、当該吸気バイパス路60に配置された吸気バイパス弁61とを備えて構成されている。吸気バイパス路60は、第1コンプレッサ1aの出口側(吸気路20において第1コンプレッサ1aの下流側且つ第2コンプレッサ2aの上流側)と、入口側(吸気路20において第1コンプレッサ1aの上流側且つミキサ14の下流側)とを接続する。言い換えれば吸気バイパス路60は、第1コンプレッサ1aをバイパスする。吸気バイパス弁61は、開度調整可能に構成されている。
【0060】
更にターボ過給式エンジン100は、排気路27における第1タービン1bの入口側と出口側とを接続するウエストゲート路62と、当該ウエストゲート路62に配置されたウエストゲート弁63とを備えて構成されている。ウエストゲート路62は、第1タービン1bの入口側(排気路27において第2タービン2bの下流側且つ第1タービン1bの上流側)と、出口側(排気路27において第1タービン1bの下流側且つ酸素センサ53の上流側)とを接続する。言い換えればウエストゲート路62は、第1タービン1bをバイパスする。ウエストゲート弁63は、開度調整可能に構成されている。
【0061】
そして、ECU40は、エンジン本体26への部分負荷の投入時にウエストゲート弁63を開放状態に維持するウエストゲート開放処理を実行し、エンジン本体26への部分負荷の投入後にウエストゲート弁63を閉塞させるウエストゲート閉塞処理を実行する過給制御手段41として機能する。
【0062】
以下、第1
参考形態のターボ過給式エンジン100の詳細構成について、
図2及び
図3を参照して、負荷投入方法の処理フロー及び状態遷移状態と合わせて説明する。
ECU40は、エンジン本体26への起動指令があると、当該起動指令に基づいて、燃料供給量調整弁13の開度調整等を行いながら、エンジン本体26を起動させる(
図2の#01)。
その後、ECU40が機能する回転速度維持手段42は、回転速度センサ51にて計測されるエンジン本体26の回転速度に基づいて、エンジン本体26の回転速度が一定の目標回転速度Rtとなるように、燃料供給量調整弁13の開度を制御する回転速度維持制御を実行する(
図2の#02)。尚、ECU40は、エンジン本体26が起動されている間、当該回転速度維持制御を実行し続ける。
また、このようにエンジン本体26が部分負荷Q1が投入される前の無負荷状態では、スロットル弁24の開度が最も小さい開度S1に維持されている。
【0063】
次に、ECU40が機能する過給制御手段41は、部分負荷投入指令があると、当該投入指令に基づいて行われるエンジン本体26への部分負荷Q1の投入時に、ウエストゲート開放処理を実行する(
図2の#03、#04)。
説明を加えると、部分負荷Q1の投入が行われる直前、即ち、エンジン出力が略0の出力である無負荷状態において、
図3の#04のタイミングで、過給制御手段41は、第1タービン1bをバイパスするウエストゲート路62に設けられたウエストゲート弁63の開度を、閉塞側の開度W1(約0%)からその開度よりも大きい開放側の開度W2(約50%)に変化させる形態で、ウエストゲート弁63を開放させる。
すると、ウエストゲート路62における排ガスEの通流が許容された状態となるので、排気路27における第1タービン1bの入口側圧力が同第1タービン1bの出口側圧力(略大気圧)と同程度まで低下することになり、結果、排気行程におけるポンピングロスが低減される。
【0064】
ウエストゲート弁63を開放状態とすることで、第1タービン1bの回転動力が低減されて、結果、第1過給機1の回転速度が低下した状態になる。そこで、ウエストゲート開放処理による第1過給機1の回転速度の低下に合わせてスロットル弁24の開度が、開度S1からそれよりも若干大きい開度S2に拡大されて、当該スロットル弁24の出口側圧力、言い換えれば燃焼室26aへの吸気圧力が一定に維持されて、エンジン出力の変動が抑制される。
【0065】
また、このウエストゲート開放処理では、ウエストゲート弁63の開放後の開度を、全開(100%)とすると、第1コンプレッサ1aの回転が略停止して、部分負荷Q1の投入に必要な吸気量を確保できなくなる場合がある。そこで、本
参考形態では、ウエストゲート開放処理(
図2の#04)において、ウエストゲート弁63の開放後の開度を、約50%の開度W2としている。これにより、第1タービン1bの回転動力を適度に低減しながら、第1コンプレッサ1aを適度に回転させて、必要な吸気量を確保することができる。
【0066】
そして、ECU40は、ウエストゲート開放処理が実行され、ポンピングロスが低減されている状態で、部分負荷Q1(例えば定格負荷(100%負荷)に対して約40%の負荷)の投入を実行する。即ち、エンジン本体26の回転動力にて非常用発電機28を、回転駆動し始める(
図2の#05)。
このとき、ポンピングロスが低減されていることで負荷への応答性が高くなっているので、投入された部分負荷Q1に対して、そのエンジン出力を良好に追従させることができる。結果、エンジン本体26では、部分負荷Q1の投入に追従して適切に混合気Mが供給されることとなり、部分負荷Q1が投入された後に、大幅に回転速度を落としてストールに陥ることが防止される。
尚、このウエストゲート開放処理により拡大されるウエストゲート弁63の開度W2は、部分負荷Q1の投入前後のウエストゲート路62における排ガスEの流量の変化や燃焼室26aからの排ガスEの排出量の変化等に応じて適宜設定される。
【0067】
エンジン本体26への部分負荷Q1の投入に伴って、回転速度維持手段42が、エンジン出力を上昇させてエンジン本体26の回転速度を維持する維持制御を実行するにあたり、燃料供給量調整弁13の弁開度を増加させて燃料ガスFの供給量を増加させる。更に、この燃料供給量調整弁13の開度増加に伴って、空燃比制御手段43が、燃焼室26aに吸気される混合気Mの空燃比を所望の空燃比に維持するために、空気供給量を増加させるべくスロットル弁24の開度を、例えば最も大きい100%開度である開度S5に拡大する。
【0068】
ECU40が機能する過給制御手段41は、エンジン本体26への部分負荷Q1の投入後において、エンジン回転速度が目標回転速度Rtに維持された段階で、ウエストゲート閉塞処理を実行する(
図2の#06)。
説明を加えると、部分負荷Q1の投入後が開始されてから、部分負荷投入時間が経過すると、部分負荷Q1の投入が完了したと判定して、
図3の#06のタイミングで、過給制御手段41は、ウエストゲート路62に設けられたウエストゲート弁63の開度を、開放側の開度W2からその開度よりも小さい閉塞側の開度W1(略0%)に変化させる形態で、ウエストゲート弁63を閉塞させる。
すると、ウエストゲート路62における排ガスEの通流が禁止された状態となるので、第1タービン1bの出口側圧力(略大気圧)に対して入口側圧力(排気圧力)が大きくなって第1タービン1bの回転速度が上昇し、第1コンプレッサ1aによる混合気Mの圧縮が十分に行われるようになり、結果、エンジン効率を向上して一層安定した運転状態が維持されることになる。
【0069】
尚、本
参考形態では、部分負荷投入完了の判定につき、エンジン本体への部分負荷を投入した後で、部分負荷投入時間(一定時間)が経過したときに、部分負荷投が完了したと判定するが、エンジン本体26の回転速度やエンジン本体26にて回転駆動される非常用発電機28が出力する発電電力の周波数の変動が収まったときに、部分負荷投入が完了したと判定するように構成しても構わない。
【0070】
また、ウエストゲート弁63を閉塞状態とすることで、第1タービン1bの回転動力が増加されて、結果、第1過給機1の回転速度が上昇した状態になる。そこで、ウエストゲート閉塞処理による第1過給機1の回転速度の上昇に合わせてスロットル弁24の開度が、開度S5からそれよりも小さい開度S3に縮小されて、当該スロットル弁24の出口側圧力、言い換えれば燃焼室26aへの吸気圧力が一定に維持されて、エンジン出力の変動が抑制される。
【0071】
そして、このように部分負荷Q1の投入(
図2の#05)及びウエストゲート閉塞処理(
図2の#06)を実行した後に、部分負荷に続いて投入される残負荷が投入される(
図2の#07)。尚、
図3では、部分負荷Q1に続く残負荷を、第2負荷Q2及び第3負荷Q3に分けて段階的に投入する例を示している。
また、この残負荷Q2,Q3に際しては、ウエストゲート弁63は閉塞状態を維持しているため、負荷の投入に伴ってスロットル弁24の開度が漸次拡大することになる。具体的には、第2負荷Q2の投入に伴ってスロットル弁24の開度が開度S3からそれよりも大きい開度S4に拡大し、第3負荷Q3の投入に伴ってスロットル弁24の開度が開度S4からそれよりも大きい開度S5に拡大して略全開の状態となる。
【0072】
また、これまで説明してきた本
参考形態の負荷投入方法において、吸気路20における第1コンプレッサ1aをバイパスする吸気バイパス路60に配置された吸気バイパス弁61は、常時閉状態に維持しても構わないが、上記ウエストゲート弁63の開閉動作と同期して開閉させても構わない。
即ち、過給制御手段41は、エンジン本体26への部分負荷Q1の投入時に、ウエストゲート開放処理(
図2の#04)と共に吸気バイパス弁61を開放状態に維持するバイパス開放処理を実行し、エンジン本体26への部分負荷Q1の投入後に、ウエストゲート閉塞処理(
図2の#06)と共に吸気バイパス弁61を閉塞させるバイパス閉塞処理を実行する。
すると、ウエストゲート開放処理(
図2の#04)を実行して第1過給機1の回転速度が低下した際に、上記バイパス開放処理が実行されて、吸気バイパス路60における混合気Mの通流が許容された状態となるので、吸気路20における圧力損失が低減されることになり、結果、吸気行程におけるポンピングロスが低減されることになる。
【0073】
〔第2
参考形態〕
次に、第2
参考形態のターボ過給式エンジン100の詳細構成について、
図4及び
図5を参照して、負荷投入方法の処理フロー及び状態遷移と合わせて説明する。
尚、上記第1
参考形態と重複する説明については割愛する場合がある。
【0074】
ECU40は、上記第1
参考形態と同様に、エンジン本体26を起動させ(
図4の#01)、続いて回転速度維持制御を実行する(
図4の#02)。
次に、ECU40が機能する過給制御手段41は、部分負荷投入指令があると、当該投入指令に基づいて行われるエンジン本体26への部分負荷Q1の投入時に、ウエストゲート開放処理を実行する(
図4の#03、#04−1)。
説明を加えると、部分負荷Q1の投入が行われる直前、即ち、エンジン出力が略0の出力である無負荷状態において、
図5の#04のタイミングで、過給制御手段41は、第1タービン1bをバイパスするウエストゲート路62に設けられたウエストゲート弁63の開度を、閉塞側の開度W1(約0%)から全開(100%)の開度W3に変化させる形態で、ウエストゲート弁63を開放させ、排気行程におけるポンピングロスが低減される。
【0075】
また、ウエストゲート開放処理による第1過給機1の回転速度の低下に合わせてスロットル弁24の開度が、開度S1からそれよりも若干大きい開度S2’に拡大されて、エンジン出力の変動が抑制される。
尚、本
参考形態では、ウエストゲート開放処理(
図4の#04−1)において、ウエストゲート弁63の開度を、上記第1
参考形態での開度W2(約50%)よりも大きい開度W3(約100%)に拡大しているため、スロットル弁24の開度も、上記第1
参考形態での開度S2よりも大きい開度S2’に拡大されることになる。
【0076】
更に、ECU40が機能する過給制御手段41は、上記ウエストゲート開放処理(
図4の#04−1)と同時に、吸気バイパス弁61を開放状態に維持するバイパス開放処理(
図4の#04−2)を実行して、吸気行程におけるポンピングロスを低減する。
【0077】
そして、ECU40は、ウエストゲート開放処理及びバイパス開放処理が実行され、ポンピングロスが低減されている状態で、部分負荷Q1(例えば定格負荷(100%負荷)に対して40%の負荷)の投入を実行する(
図4の#05)。
【0078】
ECU40が機能する過給制御手段41は、エンジン本体26への部分負荷Q1の投入後において、エンジン回転速度が目標回転速度Rtに維持されることを待たずに、その前の段階で、ウエストゲート閉塞処理を実行する(
図4の#06−1)。
説明を加えると、部分負荷Q1の投入に伴ってスロットル弁24の開度が全開の開度S5に到達した時点で、部分負荷Q1の投入が完了したと判定して、
図5の#06のタイミングで、過給制御手段41は、ウエストゲート路62に設けられたウエストゲート弁63の開度を、開放側の開度W3からその開度よりも小さい閉塞側の開度W1(略0%)に変化させる形態で、ウエストゲート弁63を閉塞させる。
更に、ECU40が機能する過給制御手段41は、上記ウエストゲート閉塞処理(
図4の#06−1)と同時に、吸気バイパス弁61を閉塞状態に維持するバイパス閉塞処理(
図4の#06−2)を実行して、第1過給機1による混合気Mの過給を行える状態とする。
【0079】
すると、ウエストゲート路62における排ガスEの通流が禁止された状態となるので、第1タービン1bの出口側圧力(略大気圧)に対して入口側圧力(排気圧力)が大きくなって第1タービン1bの回転速度が上昇し、第1コンプレッサ1aによる混合気Mの圧縮が十分に行われるようになり、結果、エンジン回転速度が迅速に目標回転速度Rtへ復帰し、併せてエンジン効率を向上して一層安定した運転状態が維持されることになる。
また、ウエストゲート閉塞処理による第1過給機1の回転速度の上昇に合わせてスロットル弁24の開度が、開度S5からそれよりも小さい開度S3に縮小されて、エンジン出力の変動が抑制される。
【0080】
〔第3
参考形態〕
次に、第3
参考形態のターボ過給式エンジン100の詳細構成について、
図6〜
図10を参照して、負荷投入方法の処理フロー及び状態遷移と合わせて説明する。
尚、上記第1及び第2
参考形態と重複する説明については割愛する場合がある。
【0081】
ECU40は、上記第1及び第2
参考形態と同様に、エンジン本体26を起動させ(
図6の#01)、続いて回転速度維持制御を実行する(
図6の#02)。
次に、ECU40が機能する過給制御手段41は、上記第1及び第2
参考形態と同様に、部分負荷投入指令があると、当該投入指令に基づいて行われるエンジン本体26への部分負荷Q1の投入が行われる直前において、ウエストゲート開放処理を実行し(
図6の#03、#04−1、
図8の#04)、それと同時に、吸気バイパス弁61を開放状態に維持するバイパス開放処理(
図6の#04−2、
図8の#04)を実行する。
そして、ECU40は、ウエストゲート開放処理及びバイパス開放処理が実行され、ポンピングロスが低減されている状態で、部分負荷Q1(例えば定格負荷(100%負荷)に対して40%の負荷)の投入を実行する(
図6及び
図8の#05)。
すると、エンジン本体26への部分負荷Q1の投入に伴って、回転速度維持手段42が、エンジン出力を上昇させてエンジン本体26の回転速度を維持する維持制御を実行するにあたり、燃料供給量調整弁13の弁開度を増加させて燃料ガスFの供給量を増加させる。更に、この燃料供給量調整弁13の開度増加に伴って、空燃比制御手段43が、燃焼室26aに吸気される混合気Mの空燃比を所望の空燃比に維持するために、空気供給量を増加させるべくスロットル弁24の開度を、例えば最も大きい100%開度である開度S5に拡大する。
【0082】
しかし、スロットル弁24の開度が全開状態になったとしても、ウエストゲート開放処理により第1過給機1の回転速度が低下した状態では、エンジン出力が不足して、エンジン本体26の回転速度が目標回転速度Rtに対して大幅(例えば100rpm程度)に低下する場合がある。
そこで、ECU40は、部分負荷の投入(
図6及び
図8の#05)後、且つ、ウエストゲート閉塞処理の実行(
図6の#06−1、
図8の#06)前に、エンジン本体26の出力不足が発生した場合に、後述する所定の補正処理(
図6の#05−1)を実行する補正手段として機能する。そして、この補正処理を実行することで、スロットル弁24の開度の拡大に頼ることなくエンジン本体26の出力不足が解消されて、エンジン本体26の回転速度が目標回転速度Rtに維持される。
以下、この補正処理の詳細について、
図7に基づいて説明を加える。
【0083】
この補正処理では、先ず、目標回転速度Rtに対するエンジン本体26の回転速度の偏差(以下「回転速度偏差」と呼ぶ。)が、所定の基準値ΔRt(例えば100rpm程度)を超えたか否かが判定される(
図7の#11)。
そして、回転速度偏差が基準値ΔRtを超えた場合には、ウエストゲート弁63の開度が、開度W3(約100%)からそれよりも小さい開度W2(約50%)に変化させる形態で縮小される(
図7及び
図8の#12−1)。
更に、このようにウエストゲート弁63の開度の縮小(
図7及び
図8の#12−1)と同時に、吸気バイパス弁61の開度についても開度I3(約100%)からそれよりも小さい開度I2(約50%)に変化させる形態で縮小される(
図7及び
図8の#12−2)。
すると、ウエストゲート路62における排ガスEの通流が制限され(絞られ)、第1タービン1bの出口側圧力(略大気圧)に対して入口側圧力(排気圧力)が大きくなって第1タービン1bの回転速度がある程度上昇する。そして、第1コンプレッサ1aによる混合気Mの圧縮がある程度行われるようになり、結果、エンジン出力が適度に増加することになる。
【0084】
尚、
図6において、バイパス開放処理(#04−2)やバイパス閉塞処理(#06−2)が行われない場合には、
図7における補正処理において、吸気バイパス弁61の開度の縮小処理(#12−2)は省略されることになる。
【0085】
更に、このウエストゲート弁63の開度の縮小(
図7及び
図8の#12−1)並びに吸気バイパス弁61の開度の縮小(
図7及び
図8の#12−2)と同時に、燃料供給量調整弁13の開度が所定量拡大されることで、燃焼室26aに吸気される混合気Mの空気比がλ0(例えば1.8程度)からλ1(例えば1.2程度)に変化する形態で、当該混合気Mの空燃比が燃料リッチ側に補正される(
図7及び
図8の#12−3)。
すると、1サイクルあたりの燃焼室26aへの燃料投入量が増加し、結果、エンジン出力が適度に増加することによる。
そして、このような補正処理が実行されてエンジン出力が増加することで、エンジン本体26の出力不足が解消されて、エンジン回転速度が目標回転速度Rtに維持されることになる。
【0086】
このような補正処理(
図6の#05−1)の実行後において、エンジン回転速度が目標回転速度Rtに維持された段階で、ウエストゲート閉塞処理(
図6の#06−1)を実行した後に、バイパス閉塞処理(
図6の#06−2)を実行する。
即ち、部分負荷Q1を投入(
図6の#05)した後において、吸気バイパス弁61が開放状態で維持されて吸気バイパス路60における混合気Mの通流が許容され、第1コンプレッサ1aに圧縮負荷がかからない状態で、ウエストゲート弁63が閉塞されて、ウエストゲート路62における排ガスEの通流が禁止された状態となり、第1タービン1bの回転動力が増加されることになる。すると、第1過給機1の回転速度が一時的に高くなる。その後、第1過給機1の回転速度が高い状態で、吸気バイパス弁61が閉塞されて、第1コンプレッサ1aによる混合気Mの圧縮を開始されるので、過給圧力が迅速に上昇することになり、部分負荷Q1に続く第2負荷Q2の投入に備えられる。
【0087】
尚、本第3
参考形態では、補正処理(
図6の#05−1)において、ウエストゲート弁63の開度の縮小処理(
図7及び
図8の#12−1)と、燃焼室26aに吸気される混合気Mの空燃比の燃料リッチ側への補正処理(
図7及び
図8の#12−3)との両方を行うように構成したが、別に、これら処理の何れか一方のみを行うように構成しても構わない。
また、
図8においては、燃焼室26aに吸気される混合気Mの空燃比の燃料リッチ側への補正処理(#12−3)を、ウエストゲート弁63の開度の縮小処理(
図7及び
図8の#12−1)よりも早い段階で開始するようにしたが、これら処理を同時に又は逆の順序で行っても構わない。
【0088】
〔第4
参考形態〕
以下、第4
参考形態のターボ過給式エンジン100の詳細構成について、負荷投入方法の処理フロー及び状態遷移と共に、
図9及び
図10に基づいて説明する。
ECU40は、エンジン本体26への起動指令があると、当該起動指令に基づいて、燃料供給量調整弁13の開度調整等を行いながら、エンジン本体26を起動させる(
図9の♯01)。
その後、ECU40が機能する回転速度維持手段42は、回転速度センサ51にて計測されるエンジン本体26の回転速度に基づいて、エンジン本体26の回転速度が一定の目標回転速度となるように、燃料供給量調整弁13の開度を制御する回転速度維持制御を実行する(
図9の♯02)。尚、ECU40は、エンジン本体26が起動されている間、当該回転速度維持制御を実行し続ける。
【0089】
次に、ECU40が機能する過給制御手段41は、部分負荷投入指令があると、当該部分負荷投入指令に基づいて行われるエンジン本体26への部分負荷の投入時に、バイパス開放処理を実行する(
図9の♯03、04)。
説明を加えると、部分負荷投入が行われる直前、即ち、エンジン出力が略0である無負荷状態において、
図10の♯04のタイミングで、過給制御手段41は、第1コンプレッサ1aをバイパスする吸気バイパス路60に設けられた吸気バイパス弁61の開度を、閉塞側の開度B1(略0%)からその開度よりも大きい開放側の開度B2に変化させる形態で、吸気バイパス弁61を開放させる。
すると、吸気バイパス路60における混合気Mの通流が許容された状態となるので、過給圧力がバイパス開放処理前の圧力P2からそれよりも低い圧力P1に低下することにより、第1コンプレッサ1aの入口側圧力(略大気圧)に対する出口側圧力(言い換えれば過給圧力)の圧力差が小さくなって、第1コンプレッサ1aの回転負荷が低減され、結果、過給機の回転速度がパイパス処理前の回転速度T1からそれよりも大きい回転速度T2に上昇した状態になる。
また、上記のようなバイパス開放処理による過給圧力の低下に伴うエンジン出力の変動(低下)を抑制するために、吸気バイパス弁61の開放に合わせてスロットル弁24の開度が若干拡大されて、当該スロットル弁24の出口側圧力、言い換えれば燃焼室26aへの吸気圧力が一定に維持されることになる。
【0090】
そして、ECU40は、バイパス開放処理が実行され、第1過給機1の回転速度が上昇している状態で、部分負荷投入を実行する。即ち、エンジン本体26の回転動力にて非常用発電機28を、回転駆動し始める(
図9の♯05)。
このとき、第1過給機1は、
図10に示すように、部分負荷投入(
図9の♯05)のタイミングにて、回転速度が高い状態で駆動しており、負荷への応答性が高くなっているので、投入された部分負荷に対して、その回転速度を良好に追従させる。結果、エンジン本体26では、部分負荷投入に追従して適切に混合気Mが供給されることとなり、部分負荷が投入された後に、大幅に回転速度を落としてストールに陥ることが防止される。
尚、このバイパス開放処理により拡大される吸気バイパス弁61の開度B2は、部分負荷投入前後の吸気バイパス路60における混合気Mの流量の変化や燃焼室26aに対する混合気Mの吸気量の変化に応じて適宜設定される。
【0091】
エンジン本体26への部分負荷の投入に伴って、回転速度維持手段42が、エンジン出力を上昇させてエンジン本体26の回転速度を維持する維持制御を実行するにあたり、燃料供給量調整弁13の弁開度を増加させて燃料ガスFの供給量を増加させる。更に、この燃料供給量調整弁13の開度増加に伴って、空燃比制御手段43が、燃焼室26aに吸気される混合気Mの空燃比を所望の空燃比に維持するために、空気供給量を増加させるべくスロットル弁24の開度を拡大させることになる。
【0092】
一方、上記バイパス開放処理(#04)が実行されて第1コンプレッサ1aの回転速度が上昇した状態になると、第1コンプレッサ1aの出口側からその下流側に向けて混合気Mが比較的高速で吐出される状態になる。
よって、この状態にてエンジン本体26への部分負荷が投入されて第1コンプレッサ1aの下流側に配置されたスロットル弁24の開度が拡大されると、そのスロットル弁24の拡大直後には、高速で吐出された混合気Mがその強い慣性力で燃焼室26aに充填されることになる。
【0093】
ECU40が機能する過給制御手段41は、エンジン本体26への部分負荷の投入後に、バイパス閉塞処理を実行する(
図9の♯06)。
説明を加えると、部分負荷の投入後が開始されてから、部分負荷投入時間が経過すると、部分負荷投入が完了したと判定して、
図10の♯06のタイミングで、過給制御手段41は、吸気バイパス路60に設けられた吸気バイパス弁61の開度を、開放側の開度B2からその開度よりも小さい閉塞側の開度B1(略0%)に変化させる形態で、吸気バイパス弁61を閉塞させる。
すると、吸気バイパス路60における混合気Mの通流が禁止された状態となるので、第1コンプレッサ1aの入口側圧力に対する出口側圧力(過給圧力)の圧力差が大きくなって、過給圧力がバイパス開放処理前の圧力P2よりも高い圧力P3まで上昇して、第1コンプレッサ1aによる混合気Mの圧縮が十分に行われるようになり、結果、エンジン効率を向上して一層安定した運転状態が維持されることになる。
【0094】
更に、過給制御手段41は、このバイパス閉塞処理において、吸気バイパス弁61の開度をエンジン出力の上昇に伴って所定の上昇率で漸次縮小させる。
すると、吸気バイパス弁61の閉塞による第1コンプレッサ1aの回転負荷の増加に合わせて、エンジン出力の増加により第1タービン1bに供給される排ガスEの排気エネルギーが増加することになる。よって、部分負荷投入後においても、第1過給機1の回転速度を高い状態で維持することができ、吸気バイパス弁61の急な閉塞によるエンジン効率の低下やストールが回避される。
そして、ECU40は、バイパス開放処理及びバイパス閉塞処理の実行と同時に、エンジン出力を定格出力Q2まで上昇させる(♯07)。
また、上記のようなバイパス閉塞処理による過給圧力の上昇に伴うエンジン出力の変動(上昇)を抑制するために、吸気バイパス弁61の閉塞に合わせてスロットル弁24の開度が若干縮小されて、当該スロットル弁24の出口側圧力、言い換えれば燃焼室26aへの吸気圧力が一定に維持されることになる。
【0095】
〔第5
参考形態〕
以下、第5
参考形態のターボ過給式エンジン100の詳細構成について、
図11〜
図13を参照して、負荷投入方法の処理フロー及び状態遷移状態と合わせて説明する。
尚、上記第4
参考形態と重複する説明については割愛する場合がある。
【0096】
ECU40は、上記第4
参考形態と同様に、エンジン本体26を起動させ(
図11の#01)、続いて回転速度維持制御を実行する(
図11の#02)。
次に、ECU40が機能する過給制御手段41は、部分負荷投入指令があると、当該投入指令に基づいて行われるエンジン本体26への部分負荷Q1の投入が行われる直前において、バイパス開放処理を実行する(
図11の#03、
図11及び
図13の#04)。
説明を加えると、部分負荷Q1の投入が行われる直前、即ち、エンジン出力が略0の出力である無負荷状態において、
図13の#04のタイミングで、過給制御手段41は、第1コンプレッサ1aをバイパスする吸気バイパス路60に設けられた吸気バイパス弁61の開度を、閉塞側の開度I1(約0%)から全開(100%)の開度I3に変化させる形態で、吸気バイパス弁61を開放させ、吸気行程におけるポンピングロスを低減する。
また、バイパス開放処理による過給圧力の低下に合わせてスロットル弁24の開度が、開度S1からそれよりも若干大きい開度S2に拡大されて、エンジン出力の変動が抑制される。
【0097】
そして、ECU40は、バイパス開放処理が実行され、第1過給機1の回転速度が上昇している状態で、部分負荷Q1(例えば定格負荷(100%負荷)に対して40%の負荷)の投入を実行する(
図11及び
図13の#05)。
すると、エンジン本体26への部分負荷Q1の投入に伴って、回転速度維持手段42が、エンジン出力を上昇させてエンジン本体26の回転速度を維持する維持制御を実行するにあたり、燃料供給量調整弁13の弁開度を増加させて燃料ガスFの供給量を増加させる。更に、この燃料供給量調整弁13の開度増加に伴って、空燃比制御手段43が、燃焼室26aに吸気される混合気Mの空燃比を所望の空燃比に維持するために、空気供給量を増加させるべくスロットル弁24の開度を、例えば最も大きい100%開度である開度S5に拡大する。
【0098】
しかし、スロットル弁24の開度が全開状態になったとしても、バイパス開放処理により過給圧力が低下した状態では、エンジン出力が不足して、エンジン本体26の回転速度が目標回転速度Rtに対して大幅(例えば100rpm程度)に低下する場合がある。
そこで、ECU40は、部分負荷の投入(
図11及び
図13の#05)後、且つ、バイパス閉塞処理の実行(
図11の#06)前に、エンジン本体26の出力不足が発生した場合に、後述する所定の補正処理(
図11の#05−1)を実行する補正手段として機能する。そして、この補正処理を実行することで、スロットル弁24の開度の拡大に頼ることなくエンジン本体26の出力不足が解消されて、エンジン本体26の回転速度が目標回転速度Rtに維持される。
以下、この補正処理の詳細について、
図12に基づいて説明を加える。
【0099】
この補正処理では、先ず、目標回転速度Rtに対するエンジン本体26の回転速度の偏差(以下「回転速度偏差」と呼ぶ。)が、所定の基準値ΔRt(例えば100rpm程度)を超えたか否かが判定される(
図12の#11)。
そして、回転速度偏差が基準値ΔRtを超えた場合には、吸気バイパス弁61の開度が、開度I3(約100%)からそれよりも小さい開度I2(約50%)に変化させる形態で縮小される(
図12及び
図13の#12−1)。
すると、第1コンプレッサ1aによる混合気Mの圧縮がある程度行われるようになり、結果、エンジン出力が適度に増加することになる。
【0100】
更に、この吸気バイパス弁61の開度の縮小(
図12及び
図13の#12−1)と同時に、燃料供給量調整弁13の開度が所定量拡大されることで、燃焼室26aに吸気される混合気Mの空気比がλ0(例えば1.8程度)からλ1(例えば1.2程度)に変化する形態で、当該混合気Mの空燃比が燃料リッチ側に補正される(
図12及び
図13の#12−2)。
すると、1サイクルあたりの燃焼室26aへの燃料投入量が増加し、結果、エンジン出力が適度に増加することによる。
そして、このような補正処理が実行されてエンジン出力が増加することで、エンジン本体26の出力不足が解消されて、エンジン回転速度が目標回転速度Rtに維持されることになる。
【0101】
このような補正処理(
図11の#05−1)の実行後において、エンジン回転速度が目標回転速度Rtに維持された段階で、バイパス閉塞処理(
図13の#06)を実行する。
即ち、部分負荷Q1を投入(
図11の#05)した後において、第1過給機1の回転速度が高い状態で、吸気バイパス弁61が閉塞されて、第1コンプレッサ1aによる混合気Mの圧縮を開始されるので、過給圧力が迅速に上昇することになり、部分負荷Q1に続く第2負荷Q2の投入に備えられる。
【0102】
そして、このように部分負荷Q1の投入(
図13の#05)及びバイパス閉塞処理(
図13の#06)を実行した後に、部分負荷に続いて投入される残負荷Q2,Q3が投入される。尚、
図13では、部分負荷Q1に続く残負荷を、第2負荷Q2及び第3負荷Q3に分けて段階的に投入する例を示している。
また、この残負荷Q2,Q3に際しては、吸気バイパス弁61は閉塞状態を維持しているため、負荷の投入に伴ってスロットル弁24の開度が漸次拡大することになる。具体的には、第2負荷Q2の投入に伴ってスロットル弁24の開度が開度S3からそれよりも大きい開度S4に拡大し、第3負荷Q3の投入に伴ってスロットル弁24の開度が開度S4からそれよりも大きい開度S5に拡大して略全開の状態となる。
【0103】
尚、本第5
参考形態では、
図13において、燃焼室26aに吸気される混合気Mの空燃比の燃料リッチ側への補正処理(#12−2)を、吸気バイパス弁61の開度の縮小処理(
図11及び
図13の#12−1)よりも早い段階で開始するようにしたが、これら処理を同時に又は逆の順序で行っても構わない。
【0104】
〔過給機の負荷割合と効率の関係〕
図14のグラフは、コンプレッサの負荷割合(横軸)と、過給機の効率(縦軸)との関係を示したものである。このグラフによると、負荷割合0.5付近までは、負荷割合が増加すると、過給機の効率も増加することが分かる。ここで、ある特定の部分負荷において(1)2つの過給機を用いて吸気圧力を発生させる場合と(2)おなじ吸気圧力を(1つの過給機をバイパスして)1つの過給機で発生させる場合とを比較する。(2)の状態で、1つの過給機の負荷割合が0.4の場合には、
図14のグラフより、過給機効率は8ポイント%の増加となる。このとき(1)の場合を考えると、各々の過給機の負荷割合は0.2ずつとなるから、2つの過給機の効率はそれぞれ5ポイント%の増加に留まる。以上の検討から、特定の部分負荷においては、過給機2段(第1過給機1および第2過給機2)にて吸気圧力を賄うよりも、1つの過給機(例えば第1過給機1)をバイパスして1つの過給機(第2過給機2)のみで吸気圧力を賄う方が、高い過給機効率での運用となるといえる。
【0105】
〔第6
参考形態〕
上記の第1〜第5
参考形態では、吸気バイパス路60が第1コンプレッサ1aをバイパスし、ウエストゲート路62が第1タービン1bをバイパスするように、ターボ過給式エンジン100が構成された。
図15に示す第6
参考形態では、吸気バイパス路60が第2コンプレッサ2aをバイパスし、ウエストゲート路62が第2タービン2bをバイパスするよう、ターボ過給式エンジン100が構成される。
【0106】
つまり本
参考形態ではターボ過給式エンジン100は、吸気路20における第2コンプレッサ2aの出口側と入口側とを接続する吸気バイパス路60と、当該吸気バイパス路60に配置された吸気バイパス弁61とを備えて構成されている。吸気バイパス路60は、第2コンプレッサ2aの出口側(吸気路20において第2コンプレッサ2aの下流側且つスロットル弁24の上流側)と、入口側(吸気路20において第2コンプレッサ2aの上流側且つ第1コンプレッサ1aの下流側)とを接続する。
【0107】
更にターボ過給式エンジン100は、排気路27における第2タービン2bの入口側と出口側とを接続するウエストゲート路62と、当該ウエストゲート路62に配置されたウエストゲート弁63とを備えて構成されている。ウエストゲート路62は、第2タービン2bの入口側(排気路27において燃焼室26aの下流側且つ第2タービン2bの上流側)と、出口側(排気路27において第2タービン2bの下流側且つ第1タービン1bの上流側)とを接続する。
【0108】
以上の様に構成された第6
参考形態に係るターボ過給式エンジン100においても、上述の第1〜第5
参考形態に係るターボ過給式エンジン100で行われる種々の制御が、同様に行われる。
【0109】
〔
実施形態〕
上記の第1〜第5
参考形態では、吸気バイパス路60が第1コンプレッサ1aをバイパスし、ウエストゲート路62が第1タービン1bをバイパスするように、ターボ過給式エンジン100が構成された。
図16に示す
実施形態では、吸気バイパス路60が第1コンプレッサ1aおよび第2コンプレッサ2aをバイパスし、ウエストゲート路62が第1タービン1bおよび第2タービン2bをバイパスするよう、ターボ過給式エンジン100が構成される。
【0110】
つまり本実施形態ではターボ過給式エンジン100は、吸気路20における第2コンプレッサ2aの出口側と第1コンプレッサ1aの入口側とを接続する吸気バイパス路60と、当該吸気バイパス路60に配置された吸気バイパス弁61とを備えて構成されている。吸気バイパス路60は、第2コンプレッサ2aの出口側(吸気路20において第2コンプレッサ2aの下流側且つスロットル弁24の上流側)と、第1コンプレッサ1aの入口側(吸気路20において第1コンプレッサ1aの上流側且つミキサ14の下流側)とを接続する。
【0111】
更にターボ過給式エンジン100は、排気路27における第2タービン2bの入口側と第1タービン1bの出口側とを接続するウエストゲート路62と、当該ウエストゲート路62に配置されたウエストゲート弁63とを備えて構成されている。ウエストゲート路62は、第2タービン2bの入口側(排気路27において燃焼室26aの下流側且つ第2タービン2bの上流側)と、第1タービン1bの出口側(排気路27において第1タービン1bの下流側且つ酸素センサ53の上流側)とを接続する。
【0112】
以上の様に構成された
実施形態に係るターボ過給式エンジン100においても、上述の第1〜第5
参考形態に係るターボ過給式エンジン100で行われる種々の制御が、同様に行われる。
【0113】
〔その他の実施形態〕
本発明のその他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用されるものに限られず、矛盾が生じない限り、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0114】
(1)上記
参考形態では、回転速度維持手段42が、エンジン本体26の回転速度を所望の目標回転速度に維持するために燃料供給量調整弁13の開度を制御し、空燃比制御手段43が、ミキサ14で生成される混合気Mの空燃比を理論空燃比等の所望の空燃比に維持するためにスロットル弁24の開度を制御するように構成したが、逆に、回転速度維持手段42がスロットル弁24の開度を調整することでエンジン本体26の回転速度を所望の目標回転速度に維持し、空燃比制御手段43が燃料供給量調整弁13の開度を制御することで、ミキサ14で生成される混合気Mの空燃比を理論空燃比等の所望の空燃比に維持するように構成しても構わない。
【0115】
(2)上記
参考形態では、部分負荷投入指令があった場合にウエストゲート開放処理を実行した上で部分負荷が投入される場合について説明したが、初期投入指令の入力がなく部分負荷が投入されるような場合には、エンジンを起動した直後に無条件にウエストゲート開放処理を実行しておくことで、部分負荷の投入に備えるように構成しても構わない。
【0116】
(3)上記
参考形態では、部分負荷投入完了の判定につき、エンジン本体への部分負荷を投入した後で、部分負荷投入時間(一定時間)が経過したときに、部分負荷投が完了したと判定した。
しかしながら、部分負荷投入完了の判定につき、エンジン本体26の回転速度やエンジン本体26にて回転駆動される非常用発電機28の発電電力の周波数の変動が収まったときに、部分負荷投入が完了したと判定するように構成してもよい。
【0117】
(4)上記
参考形態では、バイパス閉塞処理において、吸気バイパス弁61の開度をエンジン出力の上昇に伴って漸次縮小させる構成を説明したが、別に、バイパス閉塞処理において、吸気バイパス弁61の開度を段階的又は一気に閉塞させるように構成しても構わない。
【0118】
(5)上記
参考形態では、部分負荷投入指令があった場合にバイパス開放処理を実行した上で部分負荷が投入される場合(
図9の♯03、04、#05)について説明したが、初期投入指令の入力がなく部分負荷が投入されるような場合には、エンジンを起動した直後に無条件にバイパス開放処理を実行しておくことで、部分負荷の投入に備えるように構成しても構わない。