(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6675983
(24)【登録日】2020年3月13日
(45)【発行日】2020年4月8日
(54)【発明の名称】吸入器用の加熱システム及び加熱方法
(51)【国際特許分類】
A61M 15/06 20060101AFI20200330BHJP
A61M 15/00 20060101ALI20200330BHJP
A24F 47/00 20200101ALI20200330BHJP
【FI】
A61M15/06 C
A61M15/00 Z
A24F47/00
【請求項の数】14
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-536602(P2016-536602)
(86)(22)【出願日】2014年11月26日
(65)【公表番号】特表2017-500100(P2017-500100A)
(43)【公表日】2017年1月5日
(86)【国際出願番号】EP2014075627
(87)【国際公開番号】WO2015086318
(87)【国際公開日】20150618
【審査請求日】2017年11月14日
(31)【優先権主張番号】13196732.5
(32)【優先日】2013年12月11日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エス.エイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100104662
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智司
(72)【発明者】
【氏名】ホップス ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】シーニー フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ターナー コリン
(72)【発明者】
【氏名】オリヴァー ルイーズ
【審査官】
土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2013/034460(WO,A1)
【文献】
特表2004−516101(JP,A)
【文献】
特開平11−089551(JP,A)
【文献】
特表2008−539890(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 15/06
A24F 47/00
A61M 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入器(1)としての電子タバコ、パーソナルヴェポライザ、または電子蒸気供給システムにおける、加熱対象物質であるリキッド(L)またはゲルからエアロゾル及び/または蒸気(V)を生成するための加熱システム(3)であって、
前記吸入器(1)の一部である本体部材(7)の外周部またはその周囲に形成されるとともに、前記加熱対象物質を受け取るように構成され、その内部で該物質を予熱するための少なくとも1つの第1発熱体(14)が設けられた第1加熱領域(5)と、
前記本体部材(7)の外周部またはその周囲に形成されるとともに、前記第1加熱領域(5)から予熱された物質を受け取るように構成され、その内部で該物質を加熱するための少なくとも1つの第2発熱体(19)が設けられた第2加熱領域(16)を備え、
前記第1加熱領域(5)は、供給リザーバ(4)から前記加熱対象物質を受け取るように構成された少なくとも1つの第1加熱キャビティ(6)から構成され、前記第2加熱領域(16)は少なくとも1つの第2加熱キャビティ(17)から構成された加熱システム(3)。
【請求項2】
前記第2加熱領域(16)は、予熱後に、予熱された物質(L)を前記第1加熱領域(5)から前記第2加熱領域(16)に移動させるための1つ以上の溝または流路(18)を介して前記第1加熱領域(5)と流体連通している請求項1記載の加熱システム(3)。
【請求項3】
前記第1加熱領域(5)は略円環形である請求項1又は2記載の加熱システム(3)。
【請求項4】
前記第2加熱領域(16)は前記本体部材(7)の軸方向に延びている請求項1乃至3記載のいずれかの加熱システム(3)。
【請求項5】
前記第2加熱領域(16)は多数の第2加熱キャビティ(17)を含み、各第2キャビティ(17)は、前記物質が気化する際の該物質のための膨張チャンバを形成または提供する請求項1乃至4記載のいずれかの加熱システム(3)。
【請求項6】
各第1発熱体(14)は前記第1加熱領域(5)内に配置され、各第2発熱体(19)は前記第2加熱領域(16)内に配置され、該第1及び第2発熱体(14,19)はそれぞれ本体部材(7)上に支持された請求項1乃至5記載のいずれかの加熱システム(3)。
【請求項7】
前記第1及び第2加熱領域(5,16)を、前記加熱対象物質の供給リザーバ(4)を形成するチャンバと共に収容するハウジング(9)をさらに備え、プラグまたはバッフル部材(11)により、前記供給リザーバ(4)を前記第1加熱領域(5)から分離し、これらの間を流体連通させる請求項1乃至6記載のいずれかの加熱システム(3)。
【請求項8】
前記第1加熱領域(5)は、前記加熱対象物質を、前記供給リザーバ(4)から送り機構を介して受け取るように構成され、前記送り機構は、前記流体連通における毛細管現象及び流体圧力の1つ以上を含む請求項7記載の加熱システム(3)。
【請求項9】
前記送り機構は、前記供給リザーバ(4)から前記第1加熱領域(5)への前記物質の送り速度を変化させるように構成されている請求項8記載の加熱システム(3)。
【請求項10】
加熱対象物質であるリキッド(L)またはゲルからエアロゾル及び/または蒸気(V)を生じさせる、電子タバコ、パーソナルヴェポライザ、または電子蒸気供給システムの一部である吸入器(1)であって、請求項1乃至9記載のいずれかの加熱システム(3)を含む吸入器(1)。
【請求項11】
吸入器(1)としての電子タバコ、パーソナルヴェポライザ、または電子蒸気供給システムにおいて、加熱対象物質であるリキッド(L)またはゲルを加熱する方法であって、
前記加熱対象物質を、供給リザーバ(4)から、該物質を受け取る少なくとも1つの第1加熱キャビティ(6)から構成され、前記吸入器(1)の一部である本体部材(7)の外周部またはその周囲に形成される第1加熱領域(5)に搬送すること、
前記第1加熱領域(5)において前記物質を予熱すること、
予熱された前記物質を、前記第1加熱領域(5)から、少なくとも1つの第2加熱キャビティ(17)から構成され、前記本体部材(7)の外周部またはその周囲に形成される第2加熱領域(16)に搬送すること、
前記第2加熱領域(16)で前記物質を加熱して蒸気を生成することを含む方法。
【請求項12】
前記物質を予熱する工程及び/または前記物質を加熱する工程は、1つ以上の電気発熱体(14,19)により行われる請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記加熱対象物質を供給リザーバ(4)から第1加熱領域(5)に搬送する工程は、毛細管現象及び流体圧力の少なくとも一方を含み、及び/または前記予熱された物質を第1加熱領域(5)から第2加熱領域(16)に搬送する工程は、毛細管現象及び流体圧力の少なくとも一方を含む請求項11または12記載の方法。
【請求項14】
前記第1加熱領域(5)で物質を予熱する工程及び/または前記第2加熱領域(16)で物質を加熱する工程は、周期的または間欠的に行われる請求項11乃至13記載のいずれかの方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子タバコ(e−cigarette)、パーソナルヴェポライザ、電子蒸気供給システムなどの吸入器に関する。より詳細には、本発明は、このような吸入器用の加熱システム、及びこのような装置において加熱対象物質からエアロゾル及び/または蒸気を生成するための加熱方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような吸入器、つまり、電子タバコ、パーソナルヴェポライザ、電子蒸気供給システムは、紙巻たばこ、シガリロ、葉巻などの伝統的な喫煙物品の代わりとして提案されている。一般的に、これらの吸入器は、リキッド溶液またはゲルを加熱して、ユーザが吸入するエアロゾル及び/または蒸気を生じさせるまたは生成するように設計されている。このリキッドは、通常、プロピレングリコール(PG)及び/または植物性グリセリン(VG)の溶液であり、一般的に風味材料または1つ以上の濃縮香料を含んでいる。
【0003】
これらの吸入器の需要が増加するとともに市場も成長しているが、依然として、より効率的で改良された製品の提供を目的として、これらの装置の性能を発展させる努力が求められている。例えば、これらの努力は、エアロゾル及び/または蒸気の生成の改良やエアロゾル及び/または蒸気の供給の改良、さらに、エネルギー消費の改良、即ち、装置のバッテリ寿命の向上のためのエアロゾル及び/または蒸気の生成におけるより効率的なエネルギーの使用に向けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記を鑑みて、本発明は、改良された吸入器、より詳細には、吸入器において物質からエアロゾル及び/または蒸気を生成するための改良された加熱システム及び加熱方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に従い、請求項1に記載の特徴を有する加熱システム及び請求項12に記載の方法が提供される。本発明の有利な及び/または好ましい特徴は従属請求項に記載される。
【0006】
したがって、一態様に従い、本発明は、電子タバコまたはパーソナルヴェポライザなどの吸入器の、加熱対象物質、特にリキッドまたはゲルからエアロゾル及び/または蒸気を生成するための加熱システムであって、
加熱対象物質を受け取るように構成され、その内部で該物質を予熱するための少なくとも1つの第1発熱体が設けられた第1加熱領域と、
第1加熱領域から予熱された物質を受け取るように構成され、その内部で該物質を加熱するための少なくとも1つの第2発熱体が設けられた第2加熱領域を備えた加熱システムを提供する。
【0007】
このようにして、本発明は、基本的には吸入器用の二段階加熱システムを提供する。物質(例えばリキッドまたはゲル)の初期加熱または「予熱」は、第1加熱領域で行われる。ここでは、物質は、加圧を受け、場合によっては沸騰までして部分的に気化することができ、そして一般的には熱膨張することになる。この熱膨張は、第1加熱領域において局部的な圧力上昇を生じさせることができ、これにより、加圧物質が第2加熱領域へ押し出されるまたは追いやられる。このような場合、物質は、加熱対象であるリキッド溶液またはゲルのエアロゾル、液滴及び/または懸濁液、並びに/あるいはその蒸気からなることができる。かくして、第2加熱領域では、物質の完全気化の実施に必要な加熱度合いを迅速かつ効率的に達成することが可能である。第1及び第2加熱領域は、一般的に、物理的に異なりかつ互いに分離した領域または空間から構成または形成される。それでも、第1及び第2加熱領域は、通常、互いに流体連通するように設計される。
【0008】
本発明の好ましい実施形態では、第1加熱領域は少なくとも1つの第1加熱キャビティから構成される。かくして、この少なくとも1つの第1加熱キャビティは、加熱対象物質を、例えば供給リザーバから受け取るように構成される。特に好ましい実施形態では、第1加熱領域は単一のキャビティから構成され、該第1加熱キャビティ内に少なくとも1つの第1発熱体を設けるまたは配置することができる。同様に、第2加熱領域は、第1加熱領域から予熱された物質を受け取るように構成された少なくとも1つの第2加熱キャビティから構成される。一実施形態では、第2加熱領域は複数の第2加熱キャビティから構成され、各第2加熱キャビティ内に第2発熱体を設けるまたは配置することができる。
【0009】
かくして、本発明の好ましい実施形態では、電子タバコまたはパーソナルヴェポライザなどの吸入器の、加熱対象物質、特にリキッドまたはゲルからエアロゾル及び/または蒸気を生成するための加熱システムであって、
物質供給部から加熱対象物質を受け取るように構成され、その内部で該物質を予熱するための少なくとも1つの第1発熱体が設けられた少なくとも1つの第1加熱キャビティと、
第1加熱キャビティから予熱された物質を受け取るように構成され、その内部で該物質を加熱するための少なくとも1つの第2発熱体が設けられた少なくとも1つの第2加熱キャビティを備えた加熱システムが提供される。
【0010】
好ましい実施形態では、第2加熱領域は、好ましくは1つ以上の溝または流路を介して、第1加熱領域と流体連通している。第2加熱領域が多数の第2加熱キャビティから構成される場合、第1加熱領域との流体連通は、複数の溝または流路、即ち、1つの第2加熱キャビティにつき少なくとも1つの溝または流路を介することができる。したがって、予熱された物質は、予熱後、第1加熱領域から第2加熱領域に移動することが可能である。即ち、予熱された物質は、第1加熱領域において沸騰または気化を開始し、1つ以上の溝または流路に沿って(例えば、蒸気、熱膨張液体または離散液滴として)膨張し、第2加熱領域またはキャビティに進入することができる。
【0011】
好ましい実施形態では、加熱システムは本体部材または支持体を含み、この支持体の外周部またはその周囲に第1加熱領域またはキャビティを形成することができる。支持体は略円筒形であることが好ましく、第1加熱領域またはキャビティは支持体の周囲で略円環形であることが好ましい。同様にして、支持体の外周部またはその周囲に少なくとも1つの第2加熱キャビティを形成することができる。複数の第2キャビティが設けられる場合、例えば、各第2加熱キャビティは支持体の端面に向かって軸方向に延びることができる。上記のように、第1及び第2発熱体は、それぞれ第1及び第2加熱キャビティ内に配置されることが好ましい。したがって、第1及び第2発熱体は支持体上に支持することができ、該支持体は電気絶縁材料から構成されることが好ましい。第1及び第2加熱キャビティは、一般的に、小さく、正確な寸法で形成されるため、支持体も正確に加工または製造されることができる材料で形成されることが好ましい。したがって、セラミック材料は、これらの要件を両方とも満たすことができ、かつ温度耐性がよいため、支持体として好まれる。しかしながら、その他の材料、例えば、高分子プラスチック、ケイ酸塩や類似の材料も考慮できる。
【0012】
特に好ましい実施形態では、第1及び第2発熱体は、それぞれジュール加熱または抵抗加熱を行うための電気抵抗エレメント、例えば、ワイヤ、リボン、ストリップ、ホイルまたは伝導性コーティングから構成することができる。このようなワイヤまたはコイルは、第1及び/または第2加熱キャビティを通って延びることができる。しかしながら、ホイルの場合は、第1または第2加熱キャビティの表面に成膜堆積物またはライニングとして設けることができる。発熱体は、ニクロム80/20、白銅(CuNi)合金、カンタル(FeCrAl)、及び珪化モリブデン(MoSi
2)からなる群から選択された材料から構成されることが好ましい。第1及び/または第2発熱体は、吸入器において、バッテリなどの電気供給部により電力供給されることが好ましい。
【0013】
好ましい実施形態では、各第2加熱キャビティは、加熱された物質が膨張して気化する際の該物質のためのチャンバを形成または提供する。即ち、物質(例えばリキッドまたはゲル)は、第2加熱領域においてさらに気化され、気体への相変化中に大きく体積膨張する。各第2加熱キャビティは、第2加熱領域で生じた蒸気及び/またはエアロゾルを吸入器のマウスピースへ供給するための少なくとも1つのノズルとも連通していることが好ましい。
【0014】
好ましい実施形態では、加熱システムは、支持体を収容し、第1及び第2加熱領域を、加熱対象物質の供給リザーバを形成するチャンバと共に囲むハウジングを含む。プラグまたはバッフル部材により、供給リザーバを第1加熱領域から分離し、なおかつこれらの間を流体連通させるようにすることができる。
【0015】
好ましい実施形態では、第1加熱領域またはキャビティは、送り機構を介して供給リザーバから加熱対象物質(例えばリキッドまたはゲル)を受け取るように構成される。この送り機構は、例えば、流体連通を介した毛細管現象及び圧力バイアスの1つ以上を含むことができる。毛細管現象は、供給リザーバから第1加熱領域またはキャビティに通じる狭い流路または通路を設けることにより作り出すことができる。これらは、例えば、プラグまたはバッフル部材中に、及び/またはハウジングの側壁中に例えばプラグまたはバッフル部材に隣接して、設けることが可能である。一方、圧力バイアスは、供給リザーバ内に格納されたリキッドまたはゲル物質に圧力を加えることにより作り出すことが可能であり、その結果、該物質はリザーバから第1加熱領域またはキャビティに向かってバイアスされる。或いは、または加えて、供給リザーバは、圧力バイアスを加えるために可撓性を有するまたは折り畳み可能であることができ、及び/または、吸引及び/または毛細管現象により、供給リザーバと第1加熱領域との間に、物質の第1加熱領域への移動を促進する圧力バイアスが作られるように通気孔を含むことができる。さらに、送り機構は、供給リザーバから第1加熱領域またはキャビティへの物質の送り速度を変えるように構成することができる。これに関して、プラグ部材またはバッフル部材は、第1加熱領域またはキャビティと流体連通させる1つ以上の流路または通路に変化を加えられるように変形可能とすることができ、これにより送り速度に影響を与える。このようにして、当該システムの送り機構は、物質の送り速度を調節するバルブ機構を含むことができる。送り速度は、ユーザの吸入プロファイルに合うまたは適合するようにユーザが設定または調整することができる。この場合、吸入器が使用されていないとき、例えば吸入器の電源を切ったときに、バルブ機構を用いて供給リザーバから第1加熱領域へのリキッドまたはゲルの移送または搬送を遮断することが可能である。
【0016】
好ましい実施形態では、支持体を収容するハウジングは1つ以上の吸気口を含み、その結果、空気を引き込んで、物質が蒸気へと変化するときにこの気化した物質と混合することができる。この1つ以上の吸気口は、空気を第2加熱領域内へ向けることができる、或いは、第2加熱領域の上流及び/または下流のいずれかに設けることができる。かくして、具体的な実施形態では、ハウジングは、複数の第2加熱キャビティのそれぞれに向けてハウジングの側壁中に(例えば放射状に)延びる複数の穴を含むことができる。1つ以上の吸気口または入口孔は、当該システムが吸入器に組み込まれたときに、平衡空気流の提供、即ち、ユーザに対する所望の空気流抵抗の作成に役立てることができる。1つ以上の吸気口は、ユーザが、取り入れた空気と吸入されるエアロゾル及び/または蒸気との混合物の調節や装置の流体抵抗の変更を行うために、例えば吸気口の大きさを変更することにより、選択的に変化させるまたは調整することが可能であることが好ましい。
【0017】
更なる態様に従い、本発明は、リキッドまたはゲルなどの加熱対象物質からエアロゾル及び/または蒸気を生成する吸入器、特に電子タバコまたはパーソナルヴェポライザであって、上述した実施形態のいずれかにかかる加熱システムを含む吸入器を提供する。
【0018】
さらに別の態様に従い、本発明は、電子タバコまたはパーソナルヴェポライザなどの吸入器において、物質、特にリキッドまたはゲルを加熱する方法であって、
加熱対象物質を供給リザーバから第1加熱領域に搬送すること、
第1加熱領域において物質を予熱すること、
予熱された物質を第1加熱領域から第2加熱領域に搬送すること、
第2加熱領域で物質を加熱して蒸気を生成し、一般的には該蒸気が凝結してエアロゾルを形成することを含む方法を提供する。
【0019】
本発明の好ましい実施形態では、第1加熱領域で加熱対象物質を予熱する工程及び/または第2加熱工程で物質を加熱する工程は、1つ以上の電気発熱体により行われる。上記のように、第1及び第2発熱体は、それぞれジュール加熱または抵抗加熱を行うためのワイヤ、リボン、ストリップ、またはホイルなどの電気抵抗エレメントから構成することができ、望ましくは、吸入器においてバッテリなどの電気供給部により電力供給される。
【0020】
好ましい実施形態では、加熱対象物質を供給リザーバから第1加熱領域に搬送する工程は、上記で詳述したように、毛細管現象及び圧力バイアスの少なくとも一方を含む。さらに、予熱された物質を第1加熱領域から第2加熱領域に搬送する工程は、望ましくは、同じく上述したように、熱膨張及び/または毛細管現象を含む。
【0021】
好ましい実施形態では、予熱工程及び加熱工程は、それぞれ周期的にまたは連続的に行うことができる。即ち、各加熱領域を、特定のまたは所定の作動間隔または周期で、交互にまたはパルス的に作動させるまたは電力供給することができる。例えば、50ミリ秒の作動時間を第1加熱領域に適用し(例えば、この時間の間、第1発熱体に電力供給するまたはこれを作動させる)、続いて第2加熱領域に対して50ミリ秒の作動時間を適用することが可能である。このように2つの加熱領域をパルス的に作動させることにより、エネルギー消費が改良される。
【0022】
本発明及びその利点がより完全に理解されるよう、以下の記述において、本発明の例示的な実施形態を添付の図面を参照しながらより詳細に説明する。尚、この説明において、同様の参照符号は同様の部品を示す。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施形態にかかる吸入器における加熱システムの概略的な断面側面図である。
【
図2】
図1の吸入器における加熱システムの概略的な斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態にかかる加熱システムの一部の概略的な断面側面図である。
【
図4】
図3の加熱システムの概略的な端面図である。
【
図5】本発明の別の実施形態にかかる吸入器における加熱システムの概略的な断面側面図である。
【
図6】
図5の本発明の実施形態にかかる加熱システムの一部の概略的な斜視図である。
【
図7】
図6に示した加熱システムの一部の概略的な端面図である。
【
図8】
図7の矢示X−X方向の概略的な部分断面図である。
【
図9】
図5の吸入器における加熱システムの概略的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
添付の図面は、本発明のさらなる理解を提供するために含まれるものであり、本明細書に組み込まれてその一部を構成する。これらの図面は、本発明の具体的な実施形態を図示しており、その説明と合わせて本発明の原理を説明する役割を果たす。本発明の他の実施形態及び本発明に伴う利点の多くは、以下の詳細な記述を参照して理解が深まれば容易に認識されるであろう。
【0025】
実施形態をより抽象化して見やすくするため、商業的に実行可能な実施形態において有用または必要であろう一般的な及び/または十分に理解されている要素は、必ずしも描写されていないことが認識されるであろう。図面の各要素は、必ずしも相対的な縮尺で図示されていない。さらに、方法の実施形態におけるある種の動作及び/または工程について特定の発生順序で説明または描写する場合があるが、このような順序についての特殊性は実際には求められないことを当業者は理解するであろうことが認識されるであろう。本明細書で使用する用語及び表現は、明細書中で特定の意味が記載される場合を除いて、それぞれの対応する調査研究領域に関してこのような用語及び表現に与えられている通常の意味を有することも理解されるであろう。
【0026】
図面の
図1乃至
図4を参照すると、電子タバコ(「e−cigarette」としても知られる)として具現化された吸入器1の一部が概略的に表されている。この吸入器1は、略円筒状スリーブの形で設けられ、本発明にかかる加熱システム3を収容するケーシング2を含む。加熱システム3は、吸入器1内のリザーバ4から供給されるリキッド溶液またはゲルLを加熱して、ユーザが伝統的な紙巻たばこの喫煙の代わりとして吸入するエアロゾル及び/または蒸気Vを生成するように設計されている。これを達成するために、リキッドLは、プロピレングリコール、植物性グリセリン、風味材料及び/または1つ以上の香料の溶液を含むことができる。
【0027】
本実施形態の加熱システム3は、吸入用のエアロゾル及び/または蒸気Vを生成するまたは生じさせるためのリキッドLの二行程または二段階加熱を提供する。特に、加熱システム3は、略円筒状の本体部材7の周囲の環状キャビティ6により形成される第1加熱領域5を含む。言い換えると、本体部材7と、当該加熱システム3を収容する略円筒状のハウジング9の側壁8との間に形成される環状キャビティ6は、第1加熱キャビティを形成する。この第1加熱領域5またはキャビティ6は、プラグ部材11の外縁部または外周部とハウジング9の側壁8との間に形成された細い流路または通路10を介して、隣接する供給リザーバ4からリキッドLを受け取るように構成されている。特に、加熱システム3は、供給リザーバ4から第1加熱領域5または第1加熱キャビティ6にリキッドLを供給または搬送する送り機構を有する。本例では、送り機構は、細い流路または通路10内の毛細管現象と、可動ピストン13に作用するバネ12を介してリザーバ4内のリキッドLに加えられる圧力との組み合わせから構成される。しかしながら、本発明の動作原理に影響を及ぼすことなく、毛細管現象のみまたは加圧手段のみから構成される送り機構も考慮することができる。
【0028】
図1及び
図2に見られるように、環状の第1加熱キャビティ6は、この場合は、ニクロム80/20ワイヤの形で設けられた発熱体14を含み、該ニクロム80/20ワイヤは、本体部材7の周囲に延びて該本体部材7に支持され、リキッドLが供給リザーバ4からこの第1加熱領域5に進入する際に該リキッドLに直接接触する。吸入器1の電源を「オン」にしたときまたは作動させたときに、バッテリ15からこの第1発熱体またはワイヤ14に電気エネルギーが供給されて加熱され、第1加熱領域5でリキッドLの予熱がなされる。第1加熱領域5のリキッドLは初期加熱を受けるので、沸騰を開始するまたは少なくとも加圧状態とすることができ、その結果、熱膨張により、また、供給リザーバから第1加熱領域5または第1キャビティ6への新たなリキッドLの流入の影響を受けて、第2加熱領域16に移送または搬送される。かくして、リキッドLは、本発明の加熱システム3の第2加熱領域16に進入する際にはすでに予熱されている。
【0029】
この実施形態では、第2加熱領域16は、同じく本体部材7の外周部にこの端部に向かって形成された多数の分離したキャビティ17から構成される。これらの第2加熱キャビティ19は、本体部材7の周囲に間隔をあけて配置されており、その中心軸に対して略平行に延びている。このようにして、複数の第2加熱キャビティ17が集合的に第2加熱領域16を形成しており、各第2加熱キャビティ17は、同じく本体部材7の外周部に形成された流路または溝18を介して、第1加熱領域5から予熱されたリキッドLを受け取るように構成されている。
【0030】
各第2加熱キャビティ17も、第2加熱領域に進入したリキッドLを電気により加熱するための第2発熱体19を含む。各第2発熱体19は、第1発熱体14と同様に、ニクロム80/20ワイヤから形成することができる。しかしながら、代替的に、これらの第2発熱体は、各第2キャビティ17の表面上に膜として堆積させることができる、例えば珪化モリブデン(MoSi
2)からなる伝導性ホイルから構成することもできる。いずれの場合も、第2発熱体19は、予熱されたリキッドLをさらに過熱して、その完全気化をもたらす。したがって、各第2加熱キャビティ17は、リキッドLの気化を通じて生成された気体が膨張して進入することができる膨張チャンバを形成する。この理由から、各第2加熱キャビティ17は、本体部材7の端面のノズル20で終了するまたはこれと連通することができ、ノズル20を介して蒸気Vが流路21に放出され、ユーザは、流路21から、吸入器1のマウスピース(図示せず)を介してエアロゾル及び/または蒸気Vを吸入することができる。任意で、複数の微細開口部または穴を有するホイル22を、流路21に面する、本体部材7とハウジング9の端部領域を覆うように設けることができる。このホイル22は、例えば、加熱システム3から放出されるエアロゾル及び蒸気Vのろ過膜を形成することができる。同時に、このホイル22は、空気流抵抗を提供することもでき、これによりホイル配列を越えて圧力差が生じ、これを通して放出される気体は膨張及び気相冷却を経て吸入可能なエアロゾル液滴が形成される。
【0031】
図面の
図1からも明らかなように、放射状の吸気口23を、各第2加熱キャビティ17に向けてハウジング9の側壁8中に設け、第2加熱領域16における空気の流入及び空気と蒸気Vの混合を可能にすることができる。これは、生じるエアロゾル及び/または蒸気Vに適切なフレーバーまたは濃度バランスを確実に与える助けとなることができる。さらに、放射状の吸気口23を用いて、ユーザに対して所望の空気流抵抗または「吸入感」を与えるように装置を通過する空気流のバランス調節を行うことができる。また、これは、エアロゾル及び/または蒸気Vが吸入器1のマウスピースを介してユーザに到達する前にこれを冷却する助けとなることができる。尚、吸気口をノズル20の下流、例えば流路21内に設けて流れのバランス調整または制御を行うこともできる。
図2を参照すると、例えば、吸気口23を、直接第2加熱キャビティ17に向けてではなく(またはこれに加えて)、第2加熱領域16の下流の流路21に向けて放射状に開口するように設けることができることが分かるであろう。
【0032】
尚、円筒状の本体部材7は、その外周部に、第1及び第2加熱キャビティ6,17を、供給リザーバ4と第1加熱領域5との間及び第1・第2加熱領域5,16間を流体連通させる流路、溝及び/または通路10,18と共に形成するように予め加工または製造されたセラミック材料からなることが望ましい。セラミック製の本体部材7は第1及び第2電気発熱体14,17も支持するため、セラミック材料の電気絶縁特性は、当該加熱シスム3が望ましくまたは適切に機能するかどうかに関係がある。
【0033】
尚、この実施形態で示す加熱システム3は、任意で、吸入器1のケーシング2に挿入されるように設計されたカートリッジ内に設けることができる。即ち、上述の、リキッドLの供給リザーバ4と加熱システム3とを組み込むハウジング9を、交換可能な(例えば使い捨ての)カートリッジとして設けることができ、その結果、加熱対象であるリキッドLの供給リザーバ4が空になったらまたはこれを使い切ったら、当該カートリッジを取り除いて、代わりに交換用のカートリッジを吸入器1のケーシング2に挿入することができる。空になったカートリッジは、その後、再利用するためにリキッドLを補充するか、或いは単に処分することが可能である。
【0034】
次に図面の
図5乃至
図9を参照すると、同じく電子タバコ(e−cigarette)として具現化された吸入器1の一部が概略的に示されている。前述同様に、この吸入器1は、略円筒状スリーブであり、本発明のさらに別の実施形態にかかる加熱システム3を収容するケーシング2を含んでいる。この加熱システム3も、同じく、吸入器1内のリザーバ4から供給されるリキッド溶液またはゲルLを加熱して、ユーザが伝統的な紙巻たばこの喫煙の代わりとして吸入するエアロゾル及び/または蒸気Vを生成するように設計されている。これを達成するために、リキッドLは、一般的に、プロピレングリコール、植物性グリセリン、風味材料及び/または香料の溶液として提供される。
【0035】
本実施形態の加熱システム3は、吸入用のエアロゾル及び/または蒸気Vを生成するまたは生じさせるためのリキッドLの二行程または二段階加熱を提供する。特に、図面の
図6及び
図7も参照すると、加熱システム3は、本体部材7内を通って形成される供給流路として設けられる複数の第1加熱キャビティ6から構成される第1加熱領域5と、各供給流路6内に延びる金属ワイヤの形の多数の第1発熱体14を含む。
図5乃至
図7に見られるように、本体部材7は、略円形または円筒形を有することができ、任意で略円筒状のハウジング9内に収容される。
【0036】
図面の
図6及び
図7に見られるように、供給流路6は、約0.1mm〜2.0mmの範囲、好ましくは0.1mm〜1.0mmの範囲の直径(例えば、0.5mmの直径)を有する微細な孔または通路として設けられ、これらは、毛細管現象により、即ち、流路6内の表面張力により供給リザーバ4からリキッド溶液Lを搬送するために本体部材7内を略軸方向に延びるように穿孔される。この場合、本体部材7は約12mmの直径φを有することが好ましい。第1加熱領域5の毛細管6は、隣接する供給リザーバ4から、該供給リザーバ4内のリキッドLを第1加熱領域5に供給するための送り機構により確保される直接接触を介して、リキッドLを受け取るように構成されている。本実施形態では、前述同様に、送り機構は、可動ピストン13に作用するバネ12を介してリザーバ4内のリキッドLに圧力を加える。
【0037】
この場合、供給流路6内に配置される発熱体14は、伝導性ブリッジ24により本体部材7の面上で連結または相互接続できるニクロム80/20ワイヤからなる。さらに、
図8に見られるように、これらのワイヤ発熱体14は、流路6の内側表面と接触するのではなく、むしろ流路6の実質的中央を、及び/または流路6の長手軸に沿って、自由に(即ち、内側表面から離れて)延びるように配置されることが好ましい。これにより、リキッドLの加熱により流路6内に堆積物または残留物が形成されるのを有利に制限または最小化することが可能である。しかしながら、別の可能性として、第1発熱体14は、各流路6の表面上に膜として堆積される伝導性ホイル、例えば珪化モリブデン(MoSi
2)から構成することも可能である。
【0038】
かくして、発熱体14を相互接続するブリッジ24は、毛細管孔6を通って延びる各ワイヤ14に電流を伝導するが、ブリッジ24自体は何の加熱も行わない。リキッドLが供給リザーバ4から出て、毛細管現象によりまたはこれを受けて、供給流路6内をこれに沿って通過する際、発熱ワイヤ14が該リキッドLと直接接触する。吸入器1を電気により作動させるまたは電源を「オン」にしたとき、これらの第1発熱体またはワイヤ14にバッテリ15から電気エネルギーが供給されて加熱され、第1加熱領域5内でリキッドLの予熱がなされる。第1加熱領域5内のリキッドLは初期加熱を受けるため、沸騰または少なくとも膨張を開始して加圧状態とすることができ、その結果、熱膨張及び毛細管現象、並びに供給リザーバ4から第1加熱領域5または流路6への新たなリキッドLの流入の影響により、第2加熱領域16に搬送または移送される。このようにして、リキッドLは、流路6から出て、本発明にかかる加熱システム3の主要なまたは第2の加熱領域16を形成する第2加熱キャビティまたはチャンバ17に進入する際にはすでに予熱されている。
【0039】
かくして、本実施形態では、第2加熱領域16は、加熱キャビティ17と、リキッドLが該第2加熱領域に進入した際に該リキッドLを電気により加熱する少なくとも1つの発熱体19を含む。本例の第2発熱体19はワイヤコイルから構成され、第1発熱体14と同様に、ニクロム80/20ワイヤから形成することができる。いずれの場合も、第2発熱体19は、キャビティまたはチャンバ17において、予熱されたリキッドLをさらに過熱してその完全気化をもたらし、リキッドLの気化により形成される気体が該キャビティまたはチャンバ17内で膨張する。この理由から、第2加熱キャビティ17は、任意で、本体部材7の端面のノズル20で終了するまたはこれと連通することができ、該ノズル20を通って蒸気Vが蒸気流路21に放出され、ユーザは、吸入器1のマウスピース(図示せず)を介してここからエアロゾル及び/または蒸気Vを吸入することができる。任意で、複数の微細開口部または穴を有するホイル22を、蒸気流路21に面する、本体部材7とハウジング9の端部領域を覆うように設けることができる。このホイル22は、例えば、加熱システム3から放出されるエアロゾル及び蒸気Vのろ過膜を形成することができる。同時に、ホイル22は、空気流抵抗を提供することができ、これにより配列を越えて圧力差が生じ、放出される気体は膨張及び気相冷却を経て吸入可能なエアロゾル液滴が形成される。
【0040】
図面の
図5から明らかなように、放射状の吸気口23を、第2加熱キャビティ17に向けてハウジング9の側壁8中に設け、第2加熱領域16における空気の流入及び空気と蒸気Vの混合を可能にすることができる。これは、生じるエアロゾル及び/または蒸気Vに適切なフレーバーまたは濃度バランスを確実に与える助けとなることができる。さらに、放射状の吸気口23を用いて、ユーザに対して所望の空気流抵抗または「吸入感」を与えるように装置を通過する空気流のバランス調節を行うことができる。また、これは、エアロゾル及び/または蒸気Vが吸入器1のマウスピースを介してユーザに到達する前にこれを冷却する助けとなることができる。尚、吸気口をノズル20の下流、例えば蒸気流路21内に設けて流れのバランス調整または制御を行うこともできる。
図9を参照すると、例えば、吸気口23を、直接第2加熱キャビティ17に向けた吸気口ではなく(またはこれに加えて)、第2加熱領域16の下流の蒸気流路21に向けて放射状に開口するように設けることができる。
【0041】
尚、円筒状の本体部材7は、供給リザーバ4と第2加熱領域16との間を流体連通させる供給流路6を形成するように予め加工または製造されたセラミック材料からなることが望ましい。セラミック製の本体部材7は第1及び第2電気発熱体14,19も支持するため、セラミック材料の電気絶縁特性は、当該加熱シスム3が望ましくまたは適切に機能するかどうかに関係がある。
【0042】
尚、この実施形態で示す加熱システム3は、任意で、吸入器1のケーシング2に挿入されるように設計されたカートリッジ内に設けることができる。即ち、上述の、リキッドLの供給リザーバ4と加熱システム3とを組み込むハウジング9を、交換可能な(例えば使い捨ての)カートリッジとして設けることができ、その結果、加熱対象であるリキッドLの供給リザーバ4が空になったらまたはこれを使い切ったら、当該カートリッジを取り除いて、代わりに交換用のカートリッジを吸入器1のケーシング2に挿入することができる。空になったカートリッジは、その後、再利用するためにリキッドLを補充するか、或いは単に処分することが可能である。
【0043】
ここでは本発明の特定の実施形態を図示及び説明してきたが、当業者には、様々な代替の、かつ/または同等の実施物が存在することが認識されるだろう。この、或いはこれらの例示的な実施形態は単なる例であり、決して、範囲、利用可能性、または構造を制限することを意図したものでないことを認識すべきである。むしろ、前述の概説及び詳細な説明は、当業者に対して、少なくとも1つの例示的な実施形態を実施するのに便利なロードマップを提供するものであり、添付の特許請求の範囲及びその法的同等物に記載されるような範囲を逸脱することなく、例示的な実施形態において説明した要素の機能及び配置に様々な変更を加えてもよいことが理解されるだろう。全体として、本願はここで論じた特定の実施形態のあらゆる応用形態または変形形態を包括することを意図している。
【0044】
また、本書類において、「comprise」,「comprising」,「include」,「including」,「contain」,「containing」,「have」,「having」及びこれらの変化形は、包括的な(即ち、非排他的な)意味で理解されることを意図したものであり、ここで説明されるプロセス、方法、装置またはシステムは、挙げられた特徴または部品または要素または工程に限定されず、明確には挙げられていない、またはそのようなプロセス、方法、物品、または装置に本来備わっているその他の要素、特徴、部品または工程を含むことができることが認識されるであろう。さらに、ここで使用される「a」及び「an」は、異なる旨が明確に述べられていない限り、1つまたは複数を意味すると理解されることを意図したものである。さらに、「first」、「second」、「third」等は、単にラベルとして用いたものであり、それらの対象物に数値的要件を課すこと、または何かしらの重要性の順位付けを行うこと意図したものではない。
【符号の説明】
【0045】
1 吸入器
2 ケーシング
3 加熱システム
4 供給リザーバ
5 第1加熱領域
6 第1加熱キャビティ
7 本体部材
8 側壁
9 ハウジング
10 流路または通路
11 プラグ部材
12 バネ
13 ピストン
14 第1発熱体
15 バッテリ
16 第2加熱領域
17 第2加熱キャビティ
18 流路または溝
19 第2発熱体
20 ノズル
21 流路
22 ホイル
23 吸気口
24 伝導性ブリッジ
L リキッド
V エアロゾル及び/または蒸気