(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
鉄道で用いられる設備監視システムは、沿線の各所に設置された現場機器のデータを収集し、拠点で集中監視するシステムであり、現場機器それぞれに対応付けた子装置である複数の通信装置と、拠点に設置した親装置となる通信装置とをネットワークで接続した通信システムとして構築される。設備監視システムでは、迅速な故障検出や動作状態の記録を行う必要があるため、全ての現場機器のデータを速やかに収集することが求められる。
【0005】
しかし、上述した従来の通信方式では、この鉄道設備監視システムの要求を満たすことができなかった。すなわち、何れの通信方式でも、ネットワーク上に送信されるデータは1台の通信装置のデータのみとなる。つまり、子装置からのデータを、1台ずつ順に通信を行って親装置が受信することになり、全ての子装置からのデータを収集するまでに要する時間が、子装置の台数に比例して長くなる。更に、ポーリング方式では、親装置が全ての子装置それぞれに対して一々送信の問い合わせを行う必要があるため、問い合わせ分の時間を必要とし、全ての通信装置のデータの収集に要する時間が更に長くなり、伝送効率が悪い。また、競合方式は、通信装置の台数が多くなるほど、データ衝突が発生する機会が多くなるため、各通信装置がデータの送信を試みる回数が増加し、スループットが低下するとともに、子装置から親装置へのデータの到達時間が一定しない。
【0006】
なお、一例として鉄道設備監視システムの場合について説明したが、同様の要求があるシステム(例えばプラント監視システムなど)に、上述した従来の通信方式を適用する場合も、同様の課題が生じ得る。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、複数の通信装置を接続して構成した通信システムにおいて、伝送効率の向上を図るとともに、通信装置間のデータの到達時間を一定化し、更に、親装置における各装置のデータ収集に要する時間を短くすること、である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための第1の発明は、
通信装置を縦続接続した二つの回線(例えば、
図1,
図2のL回線及びR回線)を逆方向に周回するようにフレームが伝送される通信システムにおける前記通信装置であって、
自装置からデータを送信する前記回線を設定する設定手段(例えば、
図11のグループ設定スイッチ120)と、
上流側の通信装置からフレームを受信する受信手段(例えば、
図11の入出力ポート102)と、
前記受信したフレーム内に、送信先に自装置が含まれるデータがある場合に、当該データを取り出す取得手段(例えば、
図11の伝送処理部110)と、
前記受信に応じて、前記受信したフレームを、当該受信に係る回線(以下、「受信回線」という)の下流側の通信装置に送信する中継手段であって、前記受信回線が前記設定された回線であり、且つ、自装置から所与の送信先に送信するデータが有る場合に、当該データを前記受信したフレームのデータに追加して前記受信回線の下流側の通信装置に送信する中継手段(例えば、
図11の伝送処理部110)と、
を備えた通信装置である。
【0009】
また、他の発明として、
通信装置を縦続接続した二つの回線を逆方向に周回するようにフレームが伝送される通信システムの前記通信装置が実行する通信制御方法であって、
前記通信装置は、自装置からデータを送信する前記回線を設定する設定手段を備えており、
上流側の通信装置からフレームを受信する受信ステップ(例えば、
図16の子装置用受信処理、
図18の親装置用受信処理)と、
前記受信したフレーム内に、送信先に自装置が含まれるデータがある場合に、当該データを取り出す取得ステップ(例えば、
図16のステップA11〜A17)と、
前記受信に応じて、前記受信したフレームを、当該受信に係る回線(以下、「受信回線」という)の下流側の通信装置に送信する中継ステップであって、前記受信回線が前記設定された回線であり、且つ、自装置から所与の送信先に送信するデータが有る場合に、当該データを前記受信したフレームのデータに追加して前記受信回線の下流側の通信装置に送信する中継ステップ(例えば、
図17の中継送信処理)と、
を含む通信制御方法を構成しても良い。
【0010】
この第1の発明等によれば、通信装置が縦続接続された通信システムにおいて、通信装置を周回するように伝送されるフレームに、通信装置それぞれが他の通信装置に送信するデータを追加することができる。つまり、複数の通信装置それぞれのデータが追加されたフレームが伝送されるため、衝突を発生させることなくこれらのデータを同じフレームで送信させることができることになり、伝送効率を向上させることが可能となる。
【0011】
また、通信装置毎に、自装置のデータを送信する回線を設定することができるため、一方の回線に伝送されるフレームには、一部の通信装置のデータのみを追加し、それ以外の通信装置のデータについては、他方の回線に伝送されるフレームに追加するといった利用形態を構成できる。この場合、各通信装置のデータを、二つの回線それぞれに振り分けてフレームに追加して伝送させることができる。全ての通信装置のデータを1つの回線のフレームに追加する必要がないため、各回線を周回させるフレームの伝送周期を短くすることができる。
【0012】
第2の発明は、第1の発明の通信装置であって、
前記設定手段は、前記二つの回線の何れか、又は、両方を設定可能である、
通信装置である。
【0013】
この第2の発明によれば、伝送効率の向上(伝送周期の短小化)を図る場合には、データを送信する回線を一つのみに設定することができる。また、冗長性を有したデータ送信を図る場合については、両方の回線に設定することも可能である。これらの設定は、通信システムを構成する各通信装置毎に行うことができる。
【0014】
第3の発明は、第1又は第2の発明の通信装置であって、
前記所与の送信先に送信するデータを任意のタイミングで書き込み可能に格納する前記二つの回線それぞれに対応する送信バッファ(例えば、
図14の送信バッファ108a,108b)と、
前記所与の送信先に送信するデータを、前記設定された回線に対応する前記送信バッファに書き込む書き込み手段(例えば、
図14の伝送処理部110)と、
を更に備え、
前記中継手段は、自装置から所与の送信先に送信するデータが有る場合に、前記受信したフレームのデータの末尾に、前記受信回線に対応する前記送信バッファに格納されたデータを追加して送信する、
通信装置である。
【0015】
この第3の発明によれば、所与の送信先に送信するデータが、設定された回線に対応する送信バッファに任意のタイミングで書き込まれる。そして、受信回線に対応する送信バッファに書き込まれているデータがフレームの末尾に追加されて送信されることとなる。これにより、設定された回線にのみ、自装置のデータがフレームの末尾に追加されて送信される。なお、フレームには、周回順に通信装置のデータが追加されてゆくことになる。
【0016】
第4の発明は、第1〜第3の何れかの発明の通信装置であって、
前記通信システムは、所定周期で新たなフレームを伝送する親装置となる末端ノードと、中継ノードとを有して構成されており、
前記中継手段は、前記所与の送信先を前記親装置とし、
前記中継ノードとして機能する通信装置である。
【0017】
この第4の発明によれば、末端ノードとなる親装置は、所定周期で新たなフレームを伝送する。中継ノードとして機能する通信装置は、親装置を送信先とするデータをフレームに追加して送信する。これにより、親装置において、中継ノードとして機能する通信装置のデータを、所定周期で収集することができる。また、親装置が所定周期で新たなフレームを伝送することで、通信装置間のデータの到達時間間隔を一定とすることができる。
【0018】
第5の発明は、第4の発明の通信装置であって、
前記二つの回線毎に、前記中継手段による直前のフレームの送信開始時点からの経過時間が前記所定周期に達したかを判定し、達した場合に、自装置が生成元であることを示す情報を含んだ新たなフレームを生成して当該回線の下流側の通信装置に送信する特発制御手段(例えば、
図11の伝送処理部110、
図19の特発処理)、
を更に備えた通信装置である。
【0019】
この第5の発明によれば、中継ノードとして機能する通信装置は、二つの回線毎に、直前のフレーム送信開始時点からの経過時間が所定周期に達した場合に、自装置が生成元であることを示す情報を含んだ新たなフレームを生成して下流側の通信装置へ送信することができる。これにより、通信装置間に生じた通信断によって周回の途中でフレームの不達が生じた場合であっても、親装置からのフレームが伝送されない通信装置から新たなフレームが生成されて送信されるため、親装置は、少なくとも当該通信装置以降の通信装置のデータを収集することが可能となる。
【0020】
第6の発明は、第4又は第5の発明の通信装置であって、
前記所定周期は、前記二つの回線毎に、前記設定手段により当該回線が設定された前記通信装置の数に応じて定められている、
通信装置である。
【0021】
この第6の発明によれば、二つの回線毎に、フレームが周回される周期が、当該回線に自装置のデータを送信するとして設定された通信装置の数に応じて定められる。これにより、設定した通信装置の数を少なくすることで、伝送周期を短くすることが可能となる。また、二つの回線毎に、異なる伝送周期を定めることもできる。勿論、周期を、全ての通信装置のデータが追加されると仮定した周期とすることもできる。
【0022】
第7の発明は、第4〜第6の何れかの発明の通信装置が縦続接続された前記通信システムの末端ノードとなる親装置であって、
前記所定周期で、前記親装置が生成元であることを示す情報を含んだ新たなフレームを生成して送信する親送信手段(例えば、
図11の伝送処理部110、
図19のステップD7)、
を備えた親装置である。
【0023】
この第7の発明によれば、親装置は、生成元であることを示す情報を含むフレームを生成して通信装置を周回させることができる。
また、第5の発明との組み合わせによれば、第7の発明は、例えば親装置或いは親装置の上位装置が、周回の途中にフレームの不達が生じたか否かを判定するとともに、フレームの不達が生じた伝送箇所を判定することが可能となる。つまり、中継ノードである通信装置がフレームを受信できない場合には、特発制御手段が当該通信装置が生成元であることを示す情報を含んだ新たなフレームを生成して送信するため、各回線それぞれについて、不達が生じた伝送箇所を判定できるのである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[システム構成]
図1,
図2は、本実施形態の通信システム1の構成例である。
図1,
図2に示すように、通信システム1は、複数の通信装置10が通信回線で縦続接続されて構成される。通信回線は、L回線及びR回線の二つの回線で成る。通信装置10は、通信システム1の末端ノードとなる親装置20、或いは、中継ノードとなる子装置30として機能する。通信システム1では、所定周期で末端ノードとなる親装置20からフレームが送出され、送出されたフレームが、L回線及びR回線の二つの回線を逆方向に周回するように、中継ノードとなる子装置30に伝送される。
【0026】
図1,
図2は、鉄道における設備監視システムに適用した場合の通信システム1の構成例であり、各子装置30に接続されたセンサ部50で計測された現場機器の状態データが、駅装置40に接続された親装置20まで伝送されて収集されるように構成されている。
【0027】
図1は、駅間を対象とした通信システム1Aの構成例である。
図1によれば、通信システム1Aは、隣接する2つの駅それぞれに設置されて駅装置40と接続された2台の親装置20(20a,20b)と、駅間の沿線に設置されてセンサ部50と接続されたn台の子装置30(30a,30b,・・,30n)とを有し、2台の親装置20を末端ノードとして各子装置30が縦続接続されて構成される。この通信システム1Aでは、親装置20aから子装置30a,30b,・・,30nの順に周回して親装置20bまでフレームが伝送されるL回線と、親装置20bから子装置30n,・・,30b,30aの順に周回して親装置20aまでフレームが伝送されるR回線との伝送方向が逆となる二回線でフレームが伝送される。なお、通信システム1Aを構成する子装置30の台数をn台としたのは一例であり、n台を超える台数或いはn台未満の台数であってもよい。また、2台の駅装置40(40a,40b)間は、上位回線Nを介してデータ通信可能に接続されている。上位回線Nは、モデム回線や光搬送路、IP(Internet Protocol)網などの通信回線である。
【0028】
図2は、駅構内を対象とした通信システム1Bの構成例である。
図2によれば、通信システム1Bは、ある駅に設置されて駅装置40と接続された1台の親装置20と、駅構内に設置されてセンサ部50と接続されたn台の子装置30(30a,30b,・・,30n)とが、リング状に接続されて構成される。この通信システム1Bでは、親装置20から子装置30a,30b,・・,30nの順に周回して親装置20までフレームが伝送されるL回線と、親装置20から子装置30n,・・,30b,30aの順に周回して親装置20までフレームが伝送されるR回線との伝送方向が逆となる二回線でフレームが伝送される。なお、通信システム1Bを構成する子装置30の台数をn台としたのは一例であり、n台を超える台数或いはn台未満の台数であってもよい。
【0029】
図3は、通信システム1Aにおけるフレームの伝送例であり、
図4は、通信システム1Bにおけるフレームの伝送例である。
図3,
図4においては、通信システム1A,1Bを構成する子装置30を4台の子装置30a〜30dとして図示しているが、これは一例であり、3台以下であってもよいし、5台以上であってもよい。親装置20は、周期的に、トークン(図中“T”と記載)の末尾に子装置30に対する制御データ(図中“00”と記載)を連結(追加)した新たなフレームを生成し、フレームを周回させる方向(以下「下流側」と称する)の通信装置10へ送信する。すなわち、
図3に示す通信システム1Aにおいては、親装置20aは、L回線の下流側である子装置30aへフレームを送信し、親装置20bは、R回線の下流側である子装置30dへフレームを送信する。また、
図4に示す通信システム1Bにおいては、親装置20は、L回線の下流側である子装置30a、及び、R回線の下流側である子装置30dのそれぞれへ、フレームを送信する。
【0030】
子装置30は、二つのグループ(第1グループ、及び、第2グループ)にグループ分けされる。各グループは、状態データを送信する回線(以下、「伝送回線」という)によって分類されており、
図3,
図4に示す通信システム1(1A,1B)においては、子装置30a,30bがR回線を伝送回線とする第1グループとされ、子装置30c,30dがL回線を伝送回線とする第2グループとされている。子装置30は、フレームの周回方向の上流側(以下、単に「上流側」と称する)の通信装置10(親装置20、或いは、子装置30)から送信されるフレームを受信する。そして、受信したフレームに含まれる自装置宛の制御データを取り出して取得するとともに、受信したフレームが伝送されてきた回線(以下、「受信回線」という)が自装置の属するグループに対応付けられている伝送回線と一致する場合に、親装置20に対する状態データを、受信したフレームの末尾に連結(追加)して、受信回線の下流側の通信装置10(親装置20、或いは、子装置30)へ中継送信する。
【0031】
そして、
図3に示す通信システム1Aにおいては、子装置30aは、第1グループに属するので、R回線の上流側である子装置30bから受信したフレームの末尾に、自装置の状態データ(図中“01”と記載)を連結して、下流側である親装置20aへ送信する。L回線の上流側である親装置20aから受信したフレームについては、自装置の状態データを連結せず、そのまま、下流側である子装置30bへ送信する。
【0032】
子装置30bについても同様に、第1グループに属するので、R回線の上流側である子装置30cから受信したフレームの末尾に、自装置の状態データ(図中“02”と記載)を連結して、下流側である子装置30aへ送信する。L回線の上流側である子装置30aから受信したフレームについては、自装置の状態データを連結せず、そのまま、下流側である子装置30cへ送信する。
【0033】
子装置30cは、第2グループに属するので、L回線の上流側である子装置30bから受信したフレームの末尾に、自装置の状態データ(図中“03”と記載)を連結して、下流側である子装置30dへ送信する。R回線の上流側である子装置30dから受信したフレームについては、自装置の状態データを連結せず、そのまま、下流側である子装置30bへ送信する。
【0034】
子装置30dについても同様に、第2グループに属するので、L回線の上流側である子装置30cから受信したフレームの末尾に、自装置の状態データ(図中“04”と記載)を連結して、下流側である親装置20bへ送信する。R回線の上流側である親装置20bから受信したフレームについては、自装置の状態データを連結せず、そのまま、下流側である子装置30cへ送信する。
【0035】
従って、親装置20aは、R回線から、子装置30a,30bそれぞれの状態データを受信し、これらの状態データを駅装置40aへ送信する。親装置20bは、L回線から、子装置30c,30dそれぞれの状態データを受信し、これらの状態データを駅装置40bへ送信する。そして、駅装置40a,40bの間で通信回線Nを介した状態データの送受信を行うことで、駅装置40a,40bは、通信システム1の全ての子装置30a〜30dの状態データを取得することができる。
【0036】
また、
図4に示す通信システム1Bにおいては、
図3に示した通信システム1Aの場合とほぼ同様であるが、通信システム1Aと異なり親装置20が1台のみであるため、親装置20は、R回線から、子装置30a,30bそれぞれの状態データを受信し、L回線から、子装置30c,30dそれぞれの状態データを受信する。つまり、親装置20は、通信システム1Bの子装置30a〜30dの状態データを受信し、これらの状態データを駅装置40へ送信する。これにより、駅装置40は、通信システム1Bの全ての子装置30a〜30dの状態データを取得することができる。
【0037】
[フレームの送受信タイミング]
図5,
図6は、通信システム1におけるフレームの伝送タイミングを説明する図である。
図5は、L回線におけるフレームの伝送タイミングを示し、
図6は、R回線におけるフレームの伝送タイミングを示している。
図5,
図6では、上方を一方の親装置20a、下方を他方の親装置20bとして、その間に子装置30a〜30dをフレームの伝送順に並べて示しているとともに、横方向を時刻として、通信装置10(親装置20、及び、子装置30)それぞれにおけるフレームの受信、及び、送信のタイミングを示している。また、4台の子装置30a〜30dのうち、子装置30a,30bは、伝送回線としてR回線が対応付けられた第1グループに属し、子装置30c,30dは、伝送回線としてL回線が対応付けられた第2グループに属する。
【0038】
なお、
図5,
図6では、2台の親装置20a,20bを備える通信システム1Aのように図示しているが、親装置20a,20bを1台の親装置20として見ることで、通信システム1Bとして見ることができる。すなわち、
図5,
図6は、通信システム1A,1Bの何れにも該当する例である。また、子装置30を4台の子装置30a〜30dとして図示しているが、これは一例であり、4台を超える台数或いは4台未満の台数であっても良い。
【0039】
先ず、
図5に示すL回線においては、最も上流の親装置20aから、所定の伝送周期で周期的に、トークン(“T”)の末尾に制御データ(“00”)を連結(追加)したフレームが、下流側の子装置30aへ送信される。親装置20aによるフレームの送信から所定の伝搬遅延時間が経過した後に、子装置30aは、フレームを受信する。そして、子装置30aは、伝送回線としてR回線が対応付けられている第1グループに属するため、フレームの受信から所定の中継遅延時間が経過した後、受信したフレームを、そのまま、下流側の子装置30bへ送信(中継送信)する。次いで、同じ第1グループに属する子装置30bも同様に、子装置30aによるフレームの送信から所定の伝搬遅延時間が経過した後にフレームを受信し、フレームの受信から所定の中継遅延時間が経過した後、受信したフレームを、そのまま、下流側の子装置30cへ送信(中継送信)する。
【0040】
続いて、子装置30cは、伝送回線としてL回線が対応付けられている第2グループに属するため、子装置30bから受信したフレームの末尾に自装置の状態データ(“03”)を連結して、下流側の子装置30dへ送信する。そして、同じ第2グループに属する子装置30dも同様に、子装置30cから受信したフレームの末尾に自装置の状態データ(“04”)を連結して、下流側の親装置20bへ送信する。
【0041】
このように、親装置20aから送信されたフレームが、子装置30a〜30dの順に周回して伝送されるとともに、子装置30c,30dそれぞれの状態データ(“03”,“04”)がフレームの末尾に連結されて伝送される。
【0042】
従って、最も下流の通信装置10である親装置20bは、トークン(“T”)に、親装置20aの制御データ(“00”)と、子装置30c,30dそれぞれの状態データ(“03”,“04”)とが連結されたフレームを受信する。
【0043】
また、
図6に示すR回線についても同様に、最も上流の親装置20bから、所定の伝送周期で周期的に、トークン(“T”)の末尾に制御データ(“00”)を連結したフレームが送信され、子装置30d,30c,30b,30aの順に周回して伝送されるとともに、子装置30b,30aそれぞれの状態データ(“02”,“01”)がフレームの末尾に連結されて伝送される。そして、最も下流の通信装置10である親装置20aは、トークン(“T”)に、親装置20bの制御データ(“00”)と、子装置30b,30aそれぞれの状態データ(“02”,“01”)とが連結されたフレームを受信する。
【0044】
[特発]
また、子装置30は、通信装置10間の断線の発生等によって上流側の通信装置10(この場合は親装置20であっても子装置30であってもよい)からフレームを受信できなかった場合、トークンに自装置の状態データを連結した新たなフレームを生成し、下流側の通信装置10(親装置20或いは子装置30)へ送信する“特発”を行う。すなわち、親装置20からは所定の伝送周期でフレームが周期的に送出されていることから、子装置30は、直前のフレームの送信開始時点からの経過時間が所定の伝送周期に達すると、新たなフレームを生成して送信する。
【0045】
図7は、子装置30が行う“特発”の一例である。
図7は、L回線における一例を示している。
図7では、子装置30c,30dの間で断線が生じており、子装置30cは、子装置30cからのフレームを受信しておらず、直前のフレームの送信開始時点から所定の伝送周期の経過後に、トークン(“T”)に自装置の状態データ(“04”)を連結した新たなフレームを生成して、下流側の親装置20bへ送信している。
【0046】
[フレーム構成]
図8は、通信システム1において伝送されるフレームの構成図である。
図8に示すように、フレームは、先頭から順に、トークンと、0又は1つのデータ開始コマンド及び制御データの組データと、0又は1以上のデータ開始コマンド及び状態データの組データと、フレームの終了を示すフレーム終了コマンドと、の順に連結されて構成される。
【0047】
トークンは、フレームの開始を示すフレーム開始コマンドと、ヘッダ情報とを含む。ヘッダ情報は、装置IDといった当該フレームの送信元(生成元)の通信装置10を示す情報を含む。
【0048】
制御データ、及び、状態データそれぞれの直前には、データの区切りを示すデータ開始コマンドが配置される。制御データ及び状態データは、装置IDといった当該データの送信元及び送信先の通信装置10を示す情報や、当該データの送信順序を表すシーケンス番号、健全性チェックのためのCRC情報を含む。制御データは、当該フレームの送信元(生成元)の通信装置10が親装置20である場合に、当該親装置20によって連結されたデータである。当該フレームが“特発”で送出された場合、当該フレームは子装置30によって生成されるため、データ開始コマンド及び制御データの組データは無い状態となる。また、状態データは、当該フレームが周回した子装置30によって連結されたデータである。各子装置30が、自装置の状態データをデータ開始コマンドとともに組データとして順次、フレームの末尾に連結する。従って、当該フレームの周回順に、データ開始コマンド及び状態データの組データが連結された構成となる。そして、フレームの最後は、当該フレームの終了を示すフレーム終了コマンドが連結される。
【0049】
このように、フレームのヘッダ情報に、当該フレームの送信元の通信装置10を示す情報が含まれることから、フレームの不達箇所を判定することができる。具体的には、例えば、親装置20が受信したフレームのデータをもとに、親装置20の上位装置である駅装置40において、受信したフレームのヘッダ情報から送信元の通信装置10を判断し、この通信装置10が、R回線及びL回線毎に予め定められた送信元の末端ノードとなる親装置20に一致するならば、不達は生じていないと判定する。送信元として定められた親装置20でないならば、不達が生じており、受信したフレームは、特発処理によって子装置30から送信されたフレームであると判定する。この場合、R回線及びL回線それぞれのフレームのヘッダ情報に含まれている送信元の通信装置10の装置IDを比較し、フレームの周回順序と照らし合わせて、不達が生じている通信装置10間を判定することができる。
【0050】
[フレームの伝送周期]
フレームの伝送周期は、
図5,
図6に示したように、各通信装置10(親装置20、及び、子装置30)間のフレームの伝搬遅延時間と、各通信装置10におけるフレームの中継遅延時間と、最大フレーム長によって決まる当該フレームの伝送時間との合計時間に基づいて定められ、この合計時間を最低時間として、合計時間に余裕時間を加えた時間として定められる。比較のために、
図9に、L回線において、4台の子装置30a〜30d全ての状態データをフレームに連結して伝送する例を示す。
【0051】
本実施形態のように、複数の子装置30をグループ分けし、グループ毎に子装置30の状態データを送信する回線(伝送回線)を設定することで、フレームに連結する子装置の状態データの数を減らして最大フレーム長を短くし、フレームの伝送周期を短くすることが可能となる。
図5,
図6,
図9では、子装置30が4台の場合を示したが、子装置30の台数が多くなるほど、子装置30をグループ分けする効果が表れ、伝送周期の短縮効果が大きくなる。
【0052】
[駅装置における状態データ管理]
このように、通信システム1では、親装置20は、子装置30を周回して伝送されたフレームを受信することで、子装置30の状態データを取得することができる。すなわち、
図3に一例を示す通信システム1Aでは、親装置20aは、子装置30a,30bの状態データを取得し、親装置20bは、子装置30c,30dの状態データを取得することができる。また、
図4に一例を示す通信システム1Bでは、親装置20は、子装置30a〜30dの状態データを取得することができる。親装置20で取得された子装置30の状態データは、当該親装置20に接続された駅装置40へ送信されることで、駅装置40は、通信システム1の全ての子装置の状態データを取得することができる。そして、駅装置40においては、通信システム1で収集された子装置の状態データの管理を行う。
【0053】
図10は、駅装置40による子装置30の状態データの管理を説明する図である。
図10に示すように、駅装置40は、子装置30の状態データの管理を行う機能部である状態データ管理部42と、子装置30別に状態データの格納エリアを確保した状態データメモリ44と、を有している。状態データ管理部42は、親装置20、或いは、他の駅装置40から、子装置30の状態データを受信すると、受信した状態データを、状態データメモリ44の対応する格納エリアに格納する。このとき、状態データに含まれる送信元装置IDから子装置を識別し、シーケンス番号から最新のデータであることを確認するとともに、CRC情報に基づく健全性のチェックを行う。
【0054】
[装置構成]
図11は、通信装置10の内部構成図である。
図11によれば、通信装置10は、L回線、及び、R回線それぞれ用に、入出力ポート102、受信バッファ104、中継バッファ106、及び、送信バッファ108を備える。また、通信装置10は、L回線及びR回線を含めて伝送処理を統括制御する伝送処理部110と、当該通信装置10が属するグループを設定するためのグループ設定スイッチ120とを備える。
【0055】
入出力ポート102は、対応する通信回線(L回線、或いは、R回線)に対するデータの入力及び出力を行うインターフェースである。
【0056】
受信バッファ104は、受信したフレームのうち、自装置宛のデータを格納するバッファである。すなわち、通信装置10が親装置20ならば、受信したフレームを全て格納し、子装置30ならば、制御データの送信先が自装置である或いは自装置が含まれている場合に制御データを格納する。
【0057】
中継バッファ106は、下流側の通信装置10へ中継送信するデータを格納するバッファである。すなわち、通信装置10が子装置30である場合には、上流側の通信装置10から受信したフレームを格納する。
【0058】
送信バッファ108は、自装置から送信するデータを格納するバッファであり、任意のタイミングで書き込み可能となっている。すなわち、通信装置10が親装置20ならば、駅装置40等の外部装置から与えられる子装置30に対する制御データを格納し、子装置30ならば、センサ部50等の外部装置から与えられる状態データを格納する。
【0059】
伝送処理部110は、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路、メモリ等を有して構成される。伝送処理部110は、メモリに記憶されたプログラムやデータに基づいて、受信バッファ104や中継バッファ106、送信バッファ108の各バッファに対する書き込みや読み出しを制御して、フレームの受信や送信といった処理を行う。伝送処理部110が行うフレームの受信及び送信の際の処理を、各バッファに格納されるデータを参照しながら説明する。
【0060】
図12は、フレームの受信の際に、中継バッファ106及び受信バッファ104に格納されるデータを示す図である。
図12(a)は、通信装置10が子装置30の場合を示し、
図12(b)は、通信装置10が親装置20の場合を示す。
【0061】
図12(a)に示すように、通信装置10が子装置30の場合、中継送信を行うために、伝送処理部110は、受信したフレームの全てを、そのまま、中継バッファ106に書き込む。それとともに、受信したフレームに含まれる制御データの送信先装置IDが自装置IDに一致する場合、或いは自装置IDを含むID(例えば、ブロードキャストID)の場合に、制御データを受信バッファ104に書き込む。
【0062】
また、
図12(b)に示すように、通信装置10が親装置20の場合、中継送信を行わないので、伝送処理部110は、受信したフレームの全てを受信バッファ104に書き込み、中継バッファ106にはデータの書き込みを行わない。
【0063】
図13は、フレームの中継送信の際に、中継バッファ106及び送信バッファ108に格納されているデータを示す図である。中継送信は、通信装置10が子装置30である場合に行う。
図13に示すように、中継バッファ106には、受信したフレームのデータが受信順に格納されており、送信バッファ108には、状態データが、その前にデータ開始コマンドが付加されて格納されている。伝送処理部110は、中継送信の際、中継バッファ106への格納順に中継バッファ106からデータを読み出して送信を行い、全てのデータを読み出した後に続けて、送信バッファ108への格納順に送信バッファ108からデータ(状態データ)を読み出して送信する。従って、通信装置10(自装置)の状態データを、状態データ群の末尾に連結したフレームとして、下流側の通信装置10へ送信させる。
【0064】
図14は、伝送処理部110による送信バッファ108へのデータの書き込みを説明する図である。送信バッファ108は、自装置から送信するデータを格納するバッファであり、L回線用の送信バッファ108aと、R回線用の送信バッファ108bとを含む。また、グループ設定スイッチ120は、第1スイッチ122、及び、第2スイッチ124を有し、それぞれ個別に、設定操作によってオン/オフを任意に設定可能となっている。なお、第1スイッチ122及び第2スイッチ124を、外部から入力される信号で切替設定可能とする構成としてもよい。その場合、例えば、親装置20からの制御データ内に、子装置30を指定した子装置30の第1スイッチ122及び/又は第2スイッチ124の切替設定指示を含めて、親装置20からの指示に従って子装置30のスイッチ設定を更新可能としてもよい。
【0065】
伝送処理部110は、外部装置(通信装置10が親装置20ならば駅装置40等、子装置30ならばセンサ部50等)からデータが与えられた場合に、当該データの送信バッファ108への書き込みを行う。具体的には、先ず、第1スイッチ122、及び、第2スイッチ124それぞれの設定状態を示す状態信号(オン/オフ)の組み合わせに従い、選択表112を参照して、データを書き込む送信バッファ108を判定する。そして、判定した送信バッファ108に、外部装置から与えられたデータを書き込む。
【0066】
図15は、選択表112の一例である。
図15に示すように、選択表112は、第1スイッチ122、及び、第2スイッチ124の状態(オン/オフ)の組み合わせ毎に、グループと、データの伝送先となる回線(伝送回線)と、送信バッファ108に対する書き込み動作と、を対応付けて格納している。この選択表112によれば、子装置30をグループ分けして二回線(L回線、及び、R回線)のうちの一方の回線を伝送回線としてデータを伝送するように設定することも可能であるし、両方の回線を伝送回線としてデータを伝送することも可能である。これにより、通信装置10が属するグループに対応付けられている伝送回線用の送信バッファ108にのみ、データが格納されることになる。
【0067】
なお、伝送処理部110は、選択表112を用いず、第1スイッチ122、及び、第2スイッチ124それぞれに送信バッファ108(108a,108b)を対応付けて設定しておき、各スイッチの状態信号(オン/オフ)に応じて、対応する送信バッファ108に対する書き込み動作を行うようにしても良い。すなわち、第1スイッチ122にL回線用の送信バッファ108aを対応付け、第1スイッチ122がオン状態ならば、L回線の送信バッファ108aに書き込みを行い、オフ状態ならば書き込みを行わない。また、第2スイッチ124のR回線用に送信バッファ108bを対応付け、第2スイッチ124がオン状態ならば、R回線用の送信バッファ108bに書き込みを行い、オフ状態ならば書き込みを行わない。
【0068】
また、伝送処理部110は、通信装置10が親装置20である場合、定期的に、新たなフレームを生成して送信する。すなわち、所定の伝送周期が経過する毎に、自装置の装置IDをヘッダ情報に含めたトークンを生成し、このトークンに続けて、送信バッファ108への格納順に送信バッファ108から読み出したデータ(制御データ)を連結して新たなフレームを生成し、下流側の通信装置10へ送信させる。
【0069】
また、伝送処理部110は、通信装置10が子装置30である場合、直前のフレームの送信開始時点からの経過時間が所定の伝送周期に達すると、新たなフレームを生成して送信する特発処理を行う。特発処理では、自装置の装置IDをヘッダ情報に含めたトークンを生成し、このトークンに続けて、送信バッファ108への格納順に送信バッファ108から読み出したデータ(状態データ)を連結して新たなフレームを生成し、下流側の通信装置10へ送信させる。
【0070】
[処理の流れ]
(A)通信装置10
図16〜
図19は、通信装置10が実行する処理の流れを説明するフローチャートである。これらの処理は、何れも、伝送処理部110が実行する。
【0071】
(A−1)子装置用受信処理
図16は、子装置用受信処理の流れを説明するフローチャートである。この処理は、通信装置10が子装置30である場合に実行される。
【0072】
子装置用受信処理では、フレーム開始コマンドの受信が開始されると(ステップA1)、伝送処理部110は、受信したデータの中継バッファ106への書き込みを開始する(ステップA3)。次いで、トークンを受信し(ステップA5)、続いて、データ開始コマンドを受信し(ステップA7)、制御データの送信先の装置IDを受信すると(ステップA9)、受信した送信先装置IDが、自装置IDと一致、又は、自装置を含むIDが含まれているかを判定する。
【0073】
送信先装置IDが自装置IDと一致、又は、自装置を含むIDが含まれているならば(ステップA11:YES)、受信したデータのうち、制御データのデータ開始コマンドから、受信バッファ104への書き込みを開始する(ステップA13)。その後、次のデータ開始コマンド、或いは、フレーム終了コマンドを受信したならば(ステップA15:YES)、受信バッファ104への書き込みを終了する(ステップA17)。
【0074】
一方、送信先装置IDが自装置IDと一致せず、且つ、自装置を含むIDが含まれていないならば(ステップA11:NO)、ステップA13〜A17の処理をスキップして、受信バッファ104への書き込みは行わない。
【0075】
そして、フレーム終了コマンドを検出したならば(ステップA19:YES)、中継バッファ106への書き込みを終了する(ステップA21)。以上の処理を行うと、子装置用受信処理は終了となる。
【0076】
(A−2)中継送信処理
図17は、中継送信処理の流れを説明するフローチャートである。この処理は、通信装置10が子装置30である場合に実行される。
【0077】
子装置用送信処理では、フレーム開始コマンドの受信を完了した後(ステップB1)、所定の中継遅延時間が経過すると(ステップB3)、伝送処理部110は、特発タイマをリセットし(ステップB5)、フレームの中継送信を開始する。特発タイマは、フレームの送信間隔を計測するためのタイマであり、タイマ値が所定の伝送周期時間に達すると、新たなフレームの生成及び送信が行われる。すなわち、中継バッファ106のデータを格納順に読み出して送信し(ステップB7)、中継バッファ106が空であることを確認すると(ステップB9)、続いて、送信バッファ108のデータを格納順に読み出して送信する(ステップB11)。送信バッファ108が空であることを確認すると(ステップB13)、フレーム終了コマンドを送信する(ステップB15)。以上の処理を行うと、子装置用送信処理は終了となる。
【0078】
(A−3)親装置用受信処理
図18は、親装置用受信処理の流れを説明するフローチャートである。この処理は、通信装置10が親装置20である場合に実行される。
【0079】
親装置用受信処理では、フレーム開始コマンドの受信が開始されると(ステップC1)、伝送処理部110は、受信したデータのうち、フレーム開始コマンドから、受信バッファ104への書き込みを開始する(ステップC3)。そして、フレーム終了コマンドの受信を完了したならば(ステップC5:YES)、受信バッファ104への書き込みを終了する(ステップC7)。以上の処理を行うと、親装置用受信処理は終了となる。
【0080】
(A−4)特発処理
図19は、特発処理の流れを説明する処理である。この処理は、通信装置10が子装置30の場合に実行される。
【0081】
特発処理では、伝送処理部110は、特発タイマのタイマ値を監視しており、タイマ値が所定の伝送周期時間に達したならば(ステップD1:YES)、特発タイマをリセットして(ステップD3)、新たなフレームの送信を行う。すなわち、先ず、フレーム開始コマンドを送信し(ステップD5)、次いで、自装置の装置IDを送信元の装置IDとして含むヘッダ情報を作成して送信する(ステップD7)。続いて、送信バッファ108のデータを格納順に読み出して送信し(ステップD9)、送信バッファ108が空になったことを確認した後(ステップD11)、フレーム送信コマンドを送信して(ステップD13)、フレームの送信が終了する。その後、ステップD1に戻り、同様の処理を繰り返す。
【0082】
(B)駅装置40
図20は、駅装置40が実行する処理の流れを説明するフローチャートである。この処理は、状態データ管理部42が実行する。
【0083】
(B−1)状態データ管理処理
図20は、状態データ管理処理の流れを説明するフローチャートである。状態データ管理処理では、状態データ管理部42は、親装置20或いは他の駅装置40から子装置30の状態データを受信すると(ステップE1:YES)、受信した状態データに含まれるCRC情報を用いたデータの健全性のチェックを行う(ステップE3)。データの健全性を確認したならば(ステップE5:YES)、続いて、状態データに含まれる送信元装置IDから子装置30を識別し、状態データに含まれるシーケンス番号を、状態データメモリ44に格納されている当該子装置30の状態データのシーケンス番号と比較することで、シーケンス番号が更新されたかを判定する(ステップE7)。シーケンス番号が更新されたならば(ステップE9:YES)、認識した子装置30に該当する状態データメモリ44の格納エリアを、受信した状態データで更新する(ステップE11)。
【0084】
受信した状態データの健全性が確認されない場合や(ステップE5:NO)、子装置30が認識されない、或いは、シーケンス番号が更新されない場合には(ステップE9:NO)、受信した状態データを無効であるとして破棄する(ステップE13)。その後、ステップE1に戻り、同様の処理を繰り返す。
【0085】
[作用効果]
このように、本実施形態の通信システム1によれば、親装置20によって生成され、子装置30を周回するように伝送されるフレームに、子装置30それぞれの状態データが追加されて親装置20まで伝送される。つまり、1つのフレームに子装置30それぞれの状態データが追加されて伝送されるため、フレームの衝突を発生させることなく、各子装置30の状態データを同じフレームで送信させることができる。この結果、伝送効率を向上させることが可能となる。また、親装置20から所定の伝送周期でフレームが生成及び送信されることで、親装置20において、全ての子装置30のデータを所定周期で収集することができる。また、複数の子装置30をグループ分けし、グループ毎に、状態データを送信する回線(伝送回線)を設定することで、フレームの伝送周期を短くすることが可能となる。
【0086】
[変形例]
なお、本発明の適用可能な実施形態は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0087】
上述の実施形態では、4台の子装置30a〜30dを2台ずつにグループ分けする例を説明したが、子装置30は何台であるとしても良いし、グループ毎に異なる台数となるようにグループ分けしても良い。また、グループ毎に、子装置30の台数に応じて異なる伝送周期を定めることができる。更に、両方の回線に状態データを送信する子装置30を含めるように、子装置30をグループ分けしても良い。
【0088】
また、上述の実施形態では、特発処理は、子装置30が実行することとして説明したが、親装置20も実行することとしてもよい。その場合、親装置20の送信は通常周期での送信となるため、“特発”ではなく、“通常”の送信と言うことができる。
【0089】
また、本実施形態では、通信システム1を鉄道における設備監視システムに適用した例として説明したが、例えばプラントなどの鉄道以外の設備監視システムに適用することも可能である。
【0090】
また、本実施形態では、子装置30に接続された外部装置をセンサ部50として説明したが、センサ部50以外の機器(例えば現場機器そのもの)としてもよいことは勿論である。