(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6676013
(24)【登録日】2020年3月13日
(45)【発行日】2020年4月8日
(54)【発明の名称】ケーブルバイパスを備えるコネクタシステム
(51)【国際特許分類】
H01R 13/6471 20110101AFI20200330BHJP
【FI】
H01R13/6471
【請求項の数】10
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-149798(P2017-149798)
(22)【出願日】2017年8月2日
(62)【分割の表示】特願2016-540385(P2016-540385)の分割
【原出願日】2014年9月4日
(65)【公開番号】特開2017-224624(P2017-224624A)
(43)【公開日】2017年12月21日
【審査請求日】2017年8月2日
(31)【優先権主張番号】61/873,642
(32)【優先日】2013年9月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591043064
【氏名又は名称】モレックス エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】515194177
【氏名又は名称】ケント イー レグニール
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
(72)【発明者】
【氏名】ケント イー レグニール
【審査官】
藤井 眞吾
(56)【参考文献】
【文献】
特表2012−511810(JP,A)
【文献】
特開2009−087953(JP,A)
【文献】
特開2013−016394(JP,A)
【文献】
国際公開第2008/072322(WO,A1)
【文献】
特開2010−123274(JP,A)
【文献】
実開平05−059761(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/56 −13/72
H01R 12/00 −12/91
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードスロットを有する筐体と、
該筐体によって支持された第1の接地ウェハおよび第2の接地ウェハであって、前記接地ウェハのそれぞれが、前記カードスロット内に位置付けられた接触子を備える接地端子を有する、第1の接地ウェハおよび第2の接地ウェハと、
該第1および第2の接地ウェハ間に位置付けられた信号モジュールであって、該信号モジュールが、第1の信号端子を支持する第1のサブウェハを含むと共に第2の信号端子を支持する第2のサブウェハを更に含み、前記第1および第2の信号端子のそれぞれが、本体と、該本体から延出して前記カードスロット内に位置付けられた接触子とを有し、これにより、該接触子が接地、信号、信号、接地パターンで配列される、信号モジュールと、
第1の信号導体および第2の信号導体ならびに接地配線を有するケーブルであって、前記第1の信号導体が前記第1の信号端子の本体に終端され、前記第2の信号導体が前記第2の信号端子の本体に終端され、前記接地配線が接地端子に電気的に接続され、これにより前記接触子の接地、信号、信号、接地パターンの形成に協力する、ケーブルと、を備える、コネクタシステム。
【請求項2】
前記第1および第2の信号端子が各々、本体内に導体ノッチを含み、前記第1および第2の信号導体のそれぞれが、前記それぞれの導体ノッチにおいて終端される、請求項1に記載のコネクタシステム。
【請求項3】
前記導体ノッチに隣接して位置付けられたU遮蔽体を更に備える、請求項2に記載のコネクタシステム。
【請求項4】
前記U遮蔽体が、前記接地配線および前記接地ウェハ内に位置付けられた前記接地端子を電気的に結合する、請求項3に記載のコネクタシステム。
【請求項5】
前記接地端子が、開口部を有する遮蔽壁を含み、指部が、前記開口部内に設けられ、前記U遮蔽体が、前記指部に係合するように構成されている突起を含む、請求項4に記載のコネクタシステム。
【請求項6】
筐体を有する第1のコネクタであって、前記筐体が、第1の信号端子の対および接地端子を支持し、該第1の信号端子の対および接地端子が各々、圧入構成を有する尾部を含む、第1のコネクタと、
第1の接地ウェハおよび第2の接地ウェハならびに該第1および第2の接地ウェハ間に位置付けられた信号モジュールを有する第2のコネクタであって、前記第1および第2の接地ウェハのそれぞれが、カードスロット内に位置付けられた接触子を備える接地端子を有し、前記信号モジュールが、第2の信号端子の対を支持し、該第2の信号端子の対のそれぞれが、前記カードスロット内に位置付けられた本体と、該本体から延出する接触子とを含み、前記第2の信号端子の対の接触子が、前記第1および第2の接地端子の接触子間に位置付けられる、第2のコネクタと、
第1の端部および第2の端部を有するケーブルであって、該ケーブルの第1の端部が、前記第1の信号端子の対に終端され、第2の端部が、前記第2の信号端子の対の本体に終端される、ケーブルと、を備える、コネクタシステム。
【請求項7】
前記第1のコネクタを支持するフレームを更に備える、請求項6に記載のコネクタシステム。
【請求項8】
前記ケーブルが、接地配線を含み、該接地配線が、前記第1のコネクタの前記接地端子および前記第2のコネクタにおける両方の前記接地端子に電気的に接続される、請求項6に記載のコネクタシステム。
【請求項9】
前記第2のコネクタが、前記第2の端部が終端されるところに隣接して位置付けられたU遮蔽体を含み、該U遮蔽体が、前記接地端子に電気的に接続される、請求項8に記載のコネクタシステム。
【請求項10】
前記接地配線が、前記U遮蔽体に終端される、請求項9に記載のコネクタシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2013年8月4日に出願された米国仮出願第61/873,642号に対する優先権を主張するものである。
【0002】
本開示は、コネクタの分野、より具体的には、高データ速度での使用に好適なコネクタに関する。
【背景技術】
【0003】
スイッチ、ルータ、および他の高性能機器が、データ/電気通信用途に使用され、最先端の性能を持つことができる傾向がある。これらのデバイスが提供することができる高性能の一例は、100Gbpsイーサネット(R)をサポートする能力である。この性能は、例えば、ある数のプロセッサ(例えば、シリコン)をサポートすると共に複数の入出力(IO)コネクタ(外部インターフェース)をサポートする、箱内に位置付けられた主回路基板を用いて提供され得る。QSFP型コネクタは、例えば、適切に設計されるときに、100Gbps双方向チャネルを可能にするように4つの25Gbpsチャネル(送受信)をサポートすることができる。多数の問題に起因して、そのようなチャネルのための非ゼロ復帰(NRZ)符号化を使用することが依然として強く好ましく、そのために、チャネルは、(最低でも)12.5GHzの信号周波数(または約13GHz)をサポートする必要がある。これは、チャネルが、最高13GHzまでの許容損失特性を提供する必要があることを意味する(当然、他の問題、例えばクロストークなどが、より望ましいシステムのためのより高い周波数レベルまでうまく対処されるべきである)。
【0004】
いかなる通信チャネルにおいても、信号対雑音(s/n)比が十分であることを確実にするように利用可能な全損失バジェットが存在する。換言すれば、信号が送信される場合、信号は、受信端部が雑音から信号を見分けることができるように、信号が受信されるときに十分な電力を有する必要がある。このs/n比は、シリコンと外部インターフェースとの距離が30〜50cm(またはそれ以上)であり得るので、問題になり始めている。ほとんどの回路基板は、損失媒体であるFR4積層体で作製されている。例えば、積層FR4ベース回路基板は、例えば、1GHzで約
0.04dB/cmである誘電体単体からの減衰がある傾向があり、この減衰は、周波数と共に直線的に増える傾向がある。それゆえ、FR4基板は、13GHzで少なくとも
0.51dB/cmの損失があることが予想され(より現実的には、他の既知の損失を考慮すると、約
0.6dB/cmの損失が予想され)、それゆえ、約
38.1cmで20dB下がった(または、より現実的には、約
33.0cmで20dB下がった)信号を結果としてもたらす。それゆえ、スイッチおよびルータの設計によって要求される機械的間隔は、シリコンと外部インターフェースとの間の回路基板において使い尽くされる全損失バジェットの量に起因して、FR4の使用を非現実的に(または、不可能にさえ)する。
【0005】
1つの可能な解決策は、1
cm当たりの損失がより低い他の積層体、例えばNelcoなどを使用することである。しかしながら、FR4積層体の既存の代替品は、回路基板、特に、高性能用途に使用される傾向がある大型回路基板に実装することがより高価であるので、他の積層体の使用はあまり望ましくない。また、たとえ改善された積層体を用いても、損失は、所望されるものよりも依然として高い。したがって、ある特定の用途は、減衰問題を改善するのに役立ち得る改善された解決策から利益を享受するであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
回路基板の中に圧入されるように構成された端子尾部を備えて共に構成された第1のコネクタおよび第2のコネクタを含む、コネクタシステムが提供される。第1のコネクタは第1の端子対を含み、第2のコネクタは第2の端子対を含み、第1および第2の端子対はケーブルの両端部に終端され、これによりFR4積層体回路基板と比較して実質的に改善された減衰性能を提供する。第1の端子対は、適切なパターンで回路基板の中に圧入するように構成された尾部を含む。ある構成では、第2の端子対は、別のコネクタと嵌合するように構成された接触子を含む。
【0007】
本発明は、添付の図面において例として例示されるが、それらにおいて限定されるものではなく、これらの図面では同様の参照符号が類似の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】コネクタシステムの1つの実施形態の概略図を例示する。
【
図2】ウェハの1つの実施形態の平面図を例示する。
【
図3】
図2に描写された実施形態の底面図を例示する。
【
図4】回路基板上にコネクタを提供する方法を例示する。
【
図5】コネクタシステムの簡易版の1つの実施形態の斜視図を例示する。
【
図6】
図5に描写された実施形態の更なる簡易描写の斜視図を例示する。
【
図7】
図5に描写された実施形態の簡易斜視図を例示する。
【
図8】筐体が除去された、
図5に描写された実施形態の拡大斜視図を例示する。
【
図9】
図7に描写された実施形態の別の斜視図を例示する。
【
図10】
図5に描写されたコネクタの1つの簡易斜視図を例示する。
【
図11】
図10に描写された実施形態の更なる簡易斜視図を例示する。
【
図12】
図11に描写された実施形態の部分分解斜視図を例示する。
【
図13】
図12に描写された実施形態の部分分解簡易斜視図を例示する。
【
図14】
図13に描写された実施形態の簡易化された部分分解斜視図を例示する。
【
図15】筐体を省略した、
図11に描写された実施形態の簡易斜視図を例示する。
【
図16】2つの接地ウェハ間に位置付けられた信号モジュールの1つの実施形態の斜視図を例示する。
【
図17】
図16に描写された実施形態の簡易斜視図を例示する。
【
図18】
図17に描写された実施形態の部分分解斜視図を例示する。
【
図19】接地ウェハの絶縁ウェブが除去された、
図17に描写された実施形態の部分斜視図を例示する。
【
図20】接地ウェハの1つが除去された、
図17に描写された実施形態の簡易斜視図を例示する。
【
図21】
図20に描写された実施形態の異なる拡大斜視図を例示する。
【
図22】
図21に描写された実施形態の簡易斜視図を例示する。
【
図23】接地ウェハおよびU遮蔽体の1つの実施形態の簡易拡大斜視図を例示する。
【
図24】接地ウェハの絶縁ウェブが除去された、
図23に描写された実施形態の簡易図を例示する。
【
図25】
図24に描写された実施形態の別の斜視図を例示する。
【
図26】信号モジュールの1つの実施形態の斜視図を例示する。
【
図27】
図26に描写された実施形態の部分分解斜視図を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の詳細な説明は、例となる実施形態を説明するものであり、明示的に開示された組み合わせ(複数可)に限定されることを意図していない。それゆえ、別途注記のない限り、本明細書において開示される特徴は、簡潔さのために別途示されていない更なる組み合わせを形成するために、組み合わされてもよい。
【0010】
コネクタシステムには、本質的に何らかの数のインターフェースが存在する。例えば、SMT型接続で回路基板に取り付けられるQSFPコネクタでは、嵌合コネクタのパドルカードとQSFPコネクタに設けられた端子の接触子との間に第1のインターフェースが存在する。また、QSFPコネクタにおける端子と回路基板における支持パッドとの間に第2のインターフェースが存在する。それゆえ、コネクタは、本質的に2つのインターフェースを有し、一方が、入力信号のためのもので、もう一方が、出力信号のためのものである。特に高信号周波数の場合、提供されるインターフェースの数を制限することが望ましいことが確認されている。これは、各インターフェースが、信頼性のある嵌合を可能にするある特定の公差を要求し、かつ、これらの公差が、嵌合が繰り返し可能であると予想される場合に増大する傾向があるという理由のためである。低信号速度についてこれらの公差を管理することはかなり簡単であるが、信号速度が増すにつれ、嵌合接続を提供するために使用される特徴のサイズが、重大な問題を引き起こし始める。例えば、パドルカードが端子に嵌合すると、端子の端部上の接触子が、パドルカード上のパッドに電気的に接続する。機械的な接続を提供するために、接触子は、接触子がパドルカードに係合するときにぶつからないことを確実にするための曲線状端部(通常、スタブと称される)を必要とする。スタブは端子の機械的なサイズを変え、それゆえ、インピーダンスの変化を提供する。同様に、回路カード上のパッドが、接触子と信頼できる電気接続を行うことを確実にするように、パッドは、接触子の位置公差の全てを占めるように過大にさせる必要がある。パッドのサイズもまた、インピーダンスの変化を引き起こす。結果的に、インターフェースにおけるインピーダンスの不連続性が、(信号損失を引き起こす)著しい信号反射を結果としてもたらし得る。したがって、上記したように、信号を送信している通信チャネルにおけるインターフェースの数を削減することが有益である。
【0011】
描写した図面から認識され得るように、信号を送信するためにFR4回路基板を使用することと比較して性能を改善させるコネクタシステムが提供され得る。これは、送受信機と送受信機に嵌合インターフェースを提供するコネクタとの間に実質的な距離が存在するシステムにおいて特に価値がある。概略的に描写されるように、第1のコネクタ90および第2のコネクタ10が、ケーブル80経由で共に電気的に接続される。ケーブル80は、差動対として機能する一対の導体を含み、ケーブルは、第1の端部80aおよび第2の端部80bを含む。第1の端部80aは、第1のコネクタ90内で第1の信号対に終端される。第2の端部は、第2のコネクタ10内で第2の信号対に終端される。第1の信号対における端子のそれぞれは、回路基板の中に圧入されるように構成された尾部を有する。第1の実施形態では、例えば
図1に概略的に表現されるように、第2の端子対における端子のそれぞれが、筐体20によって支持された接触子であって、嵌合コネクタと嵌合するように構成されたカードスロット22内に位置付けられた接触子を含む。
【0012】
第1のコネクタ90および第2のコネクタ10の両方が、圧入接続によって回路基板に取り付けられるように構成されることに留意されたい。それゆえ、第
1のコネクタ90における端子の差動対が、一方の端部上で接触子を有し、もう一方の端部上でケーブルに終端される実施形態の場合、第
1のコネクタ90が、支持回路基板の中に圧入される尾部を備える何らかの他の端子を有することが依然として予測される(他の端子は、例えば、タイミングおよび低データ速度信号方式のためのチャネルを提供することができる)。両側が圧入接続で取り付けられる機能は、コネクタシステムにおけるコネクタと支持回路基板(または、2つの基板が互いに隣接して位置付けられる場合には複数の基板)との間に任意の種類の半田付けを有する必要性を回避し、対応するシステムの製造可能性を改善することが予想される。
【0013】
図2および3は、ウェハ30のある実施形態を例示する。ウェハ30は、信号端子41a、41b、および接地端子43を支持するフレーム31を含む。端子のそれぞれは、接触子45、尾部46、およびそれらの間に延出する本体47を含む。認識され得るように、接地端子43は、共通化された多数の端子を有すると共に、信号対間に延出する遮蔽部分44を含む。それゆえ、ウェハ30は、複数の組の接地、信号、信号、接地パターンで配列された接触子を提供することができる。当然、遮蔽の必要性がより低い場合には、信号接触子の対間に単一の接地接触子が存在し、パターンが接地、信号、信号パターンとなるように、二重の接地および遮蔽部分44は修正され得る。
【0014】
図2および3に示されるコネクタ構成は、高性能コネクタの実施形態を例示するが、尾部を含まないことに留意されたい(それゆえ、配線からパドルカードへの設計を例示する)。基本構造は、より柔軟に使用され得る。例えば、(筐体によって支持され得、それゆえ、コネクタを提供するために使用され得る)
図3に描写されるような2つのウェハは、複数端子が互いに対して交互配置されるように形成され得る。それゆえ、
図3に描写されるようなウェハの特徴は、交互配置された2つのサブウェハを有することによって提供されることが可能である。勿論、2つのサブウェハの織り込みの望ましさは、コネクタ構成に依存する。
図2のウェハ30は、単一カードスロットを有する設計における使用に最も適する可能性があり、ある特定の実施形態では、コネクタは、接触子がカードスロットの両側上に提供され得るように、一方が他方に対して反転される、2つのウェハ30を支持するように構成されることになる。
【0015】
図5〜27は、代替の実施形態に使用され得る特徴を例示する。複数の特徴が開示されるが、各特徴が費用を有するので、全ての特徴が各実施形態に含まれる必要があるとは限らず、したがって、その特徴の性能利点対費用は、ある特定の適用において、特徴の省略を示唆し得ることに留意されたい。
【0016】
コネクタシステム110は、フレーム189を有する第1のコネクタ110aおよびケーブル180によって結合された第2のコネクタ110bを含む。図面は、複数のケーブル180が同じ端子に終端されて例示されるという点で簡易化されたモデルを例示する。更に、ある特定のケーブル180が切断されるように描写されており、終端されるように図示されていない。実際には、各ケーブルが、同等の様態で終端され得、各ケーブルが異なる組の端子に終端される。それゆえ、簡易化されない例示では、コネクタ110aが、追加の端子を支持したフレーム189を有することになる。しかしながら、例示および描写の目的のために、特徴が、使用されるケーブル180の数に依存して、必要に応じて繰り返され得るという理解の下で、より少ない例を使用することがより簡便である。
【0017】
描写されるように、コネクタ110bが回路基板112によって支持され、一方で、コネクタ110aが回路基板114によって支持される。多くの適用において、単一回路基板が、両コネクタ110a、110bを支持するために使用され得る。認識され得るように、より大きな回路基板の場合、一方のコネクタが他方のコネクタからかなりの距離だけ離れて取り付けられるように、ケーブル(複数可)180が、より長くなるように(例えば15cm超など)構成され得る。
【0018】
コネクタ110bは、第1のカードスロット122aを含むと共に、描写されるように、第2のカードスロット122bもまた含む、筐体120を含む。カードスロットのそれぞれは、第1の側123aおよび第2の側123bを含む。それゆえ、描写した設計は、積み重ねられたコネクタを可能にする(2つのカードスロットが垂直に離れて間隔を置かれ、それゆえ、コネクタは「積み重ねられる」)が、ただ1つのカードスロットが所望されるコネクタの用途にも同様に適用可能であることに留意されたい。したがって、描写した例示は、例となるものであるが、ただ1つのカードスロットを有するコネクタが企図され、描写した実施形態の簡便な修正形態になろう。パドルカード105は、電気接続を行うようにカードスロットに挿入され得る。パドルカード105は、典型的には、嵌合コネクタシステム(明確さの目的のために図示しない)の一部になる。
【0019】
各カードスロットは、接触子145の少なくとも1つの列141を含む。描写したものに類似して、各カードスロットにおいて、第1の側123a上の接触子の1つの列が第1の方向に向き、かつ第2の側123b上の接触子の別の列が反対方向に向く、接触子の2つの列を有することが普通である。それゆえ、例えば、ケーブル180aが、カードスロットの(例えば、頂部列における)第1の側123a上の端子に電気的に接続するために使用され得、一方で、ケーブル180bが、カードスロットの第2の側123b上(例えば、底部列上)で端子への電気的接続具に使用され得る。
【0020】
筐体120は接地ウェハ150を支持し、そのウェハは、脚部152を含み得る接地端子151をそれぞれ支持する。接地端子151は、圧入尾部を備えて構成され得る。筐体はまた、低速信号ウェハ170を支持し得、そのウェハは、接触子145および回路基板の中に圧入されるように構成された尾部を含む端子を用いて、従来の様態で形成され得る。そのような構造は周知であるため、低速信号端子について何も更に述べる必要はない。
【0021】
描写されるように、信号モジュール160は、2つの接地ウェハ150間に位置付けられる。U遮蔽体158は、接地ウェハ150間に位置付けられ、カードスロットの両側上で信号チャネルに遮蔽を提供することができ、一方で、U遮蔽体158の両側上で接地ウェハ150における接地端子151を電気的に接続する。U遮蔽体はまた、ケーブル支持体178を支持し、その支持体は、ケーブル支持体177と共に、ケーブル180が適所に固定され、ケーブルとコネクタの端子間の終端上のひずみを最小限にするように働くことを確実にするのに役立つ。ケーブル支持体177は、任意選択的であり、2つの接地ウェハ150間に挟まれ得、接地ウェハ150の絶縁ウェブ150aの両側上に設けられた対応する凹部150bに嵌まる突起を含み得、その結果、それが接地ウェハ150に固定される。任意選択的なケーブル支持体177の包含は、ケーブル180に追加のひずみの緩和を提供するのに役立ち、コネクタシステムの強固さを増大させるが、ある特定の適用では、所望されないまたは有益でない場合がある。勿論、ある実施形態ではケーブル支持体178は省略され得、ケーブル支持体177だけが提供され得る。ケーブル支持体も要求されないとき、実際には、両方を省略することが、取り付けの間にコネクタシステムをより損傷し易くさせることになり、それゆえ、ほとんどの用途は、ケーブル支持体の一方または両方の包含から利益を享受することが予想される。
【0022】
上記したように、U遮蔽体158は、隣接する接地ウェハ150における共通の端子151に使用され得る。ある実施形態において、U遮蔽体は、開口部154内の指部153に(典型的には、締まり嵌めで)係合するように構成されている、突起159a〜159fを含み得る。描写した遮蔽体158は、一方側が前方位置に突起を有すると共に反対側が後方位置に突起を有するように構成されている、突起159a〜159fを有する。交互の位置は、U遮蔽体158が取り付けられるときに、突起が遮蔽壁152の開口部154における隣接する指部153に部分的に重なって係合することを可能にする。描写したU遮蔽体158は、各側上に3つの突起を有するが、実施形態では、何らかの他の数の突起が提供され得る。
【0023】
電気性能を改善させるために、U遮蔽体158は、ケーブル180上に提供された遮蔽体に対する半田コネクタ158aを含み得る。U遮蔽体はまた、終端溝158bで接地配線182のための電気的終端を提供することができる。U遮蔽体158は、2つの信号端子の両側上で接地端子151に電気的に接続され得るので、追加の接続が、さもなければケーブルと端子164間の移動に起因して存在し得る反射を減らすことによって、コネクタシステムの電気性能を更に改善させる。
【0024】
ケーブル180は、(側面結合される差動対を形成し得る)信号端子S1およびS2を提供するように端子164に電気的に接続される、信号導体181a、181bを含む。ある実施形態において、端子164は、端子ノッチ167を含み、信号導体181a、181bが、端子ノッチ167に位置付けられ、半田もしくは伝導性接着剤または同様のものでそこで固定され得る。
【0025】
端子164は、本体166を含み、信号モジュール160に位置付けられ、そのモジュールは、互いに対して押し付けられるサブウェハ161aおよびサブウェハ161bを含む。各サブウェハは、複数の端子164を支持し得、描写した実施形態では、各端子が他方に対して反転された配向にある、2つの端子164を支持する。とはいえ、描写した実施形態は、同じ端子164の2つを使用することに留意されたい。したがって、信号モジュール160は、カードスロットの一方側上に接触子145aおよび145bならびに他方側上に接触子145cおよび145dを提供するように構成される。信号モジュール160は、接地ウェハ150に係合する突起169a、169bを備えて構成され得、接地ウェハ150に対する信号モジュール160の位置制御に役立つ。ある実施形態において、サブウェハは、成形絶縁構造で端子をステッチ加工(stitching)することによって形成され得る。あるいは、サブウェハは、インサート成形工程を使用して形成され得る。
【0026】
第1のコネクタ110aは、ケーブル180に端子を提供し、端子を支持すると共に(上記したように、より多くの数の筐体190を支持するように寸法を定められ得る)フレーム189に位置付けられた筐体190を含む。筐体190は、接地端子194を支持すると共にブリック(brick)191aおよび191bを支持する壁191を含む。ブリック191aは信号端子193aを支持し、ブリック191bは信号端子193bを支持する。信号導体181a、181bは、それぞれ、信号端子193a、193bに電気的に接続され、接地配線182は、接地端子194に電気的に接続される。ある実施形態において、導体が端子に半田付けされ得、各端子が、(簡潔さの目的のために省略されるが、任意の望ましい圧入型尾部であり得る)圧入尾部を含み得る。ブリック191a、191bを壁191に固定するのに役立つように、固定部材192が追加され得る。固定部材192は、既知の様態で注封材料を用いて提供され得る。
【0027】
図4は、回路基板上にコネクタを提供する方法を例示する。最初にステップ210では、サブウェハが形成される。サブウェハは、本明細書に描写されるようなものであり得、または大きくすることができ、1つ以上の信号端子を含む。次にステップ220では、第2のサブウェハが形成される。第2のサブウェハは、典型的には、第1のサブウェハと同様に寸法を定められ、同じ数の信号端子を含み得る。ステップ230では、第1および第2のサブウェハが、信号モジュールを形成するように共に接合される。信号モジュールは、信号端子から完全に成り得、そうである場合、典型的には、2つの従来のウェハとほぼ同じ幅になる。ステップ240では、ケーブルからの導体が、信号モジュールにおける信号端子に終端される。この終端は、半田工程によってまたは伝導性エポキシの使用を用いてあるいは機械的取り付けによって行われ得る。ステップ250では、接続されたケーブルを有する信号モジュールが、筐体内に位置付けられる。位置付けは、信号モジュールの両側上に接地ウェハを配列することを含み得る。認識され得るように、複数の信号モジュールが、筐体内に位置付けられ得、それゆえ、ステップ210〜250は、要望通りに繰り返され得る。最終的に、コネクタが取り付けられる準備ができたら、コネクタが回路基板の上に押し付けられる。認識され得るように、信号モジュールは、回路基板に取り付けられるように構成された尾部を有する端子を含まない場合があり、コネクタは、典型的には、圧入尾部を有する他のウェハ(例えば、接地ウェハおよび/または低速信号ウェハなど)を含むことになる。
【0028】
認識され得るように、上記の実施形態では、インターフェースの数が、高データ速度信号チャネルのための4つのインターフェース(第1の端子の接触子、第1のケーブル端子、第2のケーブル端子、および回路基板への圧入尾部)に限定され得る。更に、これは、コネクタアセンブリが形成されることと、次いで、回路基板の様々な特徴が適所に半田付けされた後に回路基板の上に置かれることとを可能にする。これは、製造を妨害せずに(および必要に応じて)回路基板の再加工無しで、信頼できる電気接続を可能にする。更に、低損失ケーブルは、1メートルで最高15GHzまでの5dBより少ない減衰または1
cm当たり約
0.04dBの減衰を提供することができる(それは、FR4基板よりも実質的に良好である)。それゆえ、
25cmケーブルを用いるコネクタシステムは、回路基板を通る送信線だけについて約15dBの損失を結果としてもたらす(ならびにコネクタの損失を考慮に入れる必要が依然としてある)FR4を通る経路指定の解決策と比較して、6dB(ケーブルについて1dBおよび各コネクタについて2.5dB)より少ない損失、好ましくは5dBより少ない損失(より合理的に設計された圧入コネクタは、各コネクタについて約2dBを超えない損失があるはずである)、ならびにコネクタシステムについて潜在的に3dBだけの損失(圧入コネクタがうまく最適化される場合、それは、1コネクタ当たり約1dBの損失があり得る)を結果としてもたらし得る。
【0029】
認識され得るように、コネクタの性能は多数の要因に依存し、それゆえ、シリコンと外部インターフェースとの間のチャネルにおける損失が、それらの要因に応じて変動することになる。しかしながら、
25cmチャネルの場合、本明細書に描写したコネクタシステムが、少なくとも10GHzを超える信号周波数の場合、
25cmの送信チャネルを提供するためにFR4回路基板を使用する設計と比較して、少なくとも10dBの改善をもたらすことが予想される。例えば、FR4基板は、13GHz(例えば、NRZ符号化を用いる25Gbps)で
25cmの長さのチャネルの場合、約15.5〜16dBの損失をもたらすことが予想される。対照的に、本明細書に開示したようなコネクタシステムは、13GHzで5dBの損失をもたらし得、より最適化されたシステムは、13GHzで約3dBの損失があるという解決策を提供することができる。あるいは、別の言い方をすれば、ケーブルの解決策が、(通信長が少なくとも
10.2cmであると仮定して、非常に短い長さの場合、より大きなコネクタを簡便に提供することがより望まれ得る)13GHzで通信するシステムにおけるシリコンと外部インターフェースの距離の
2.5cmごとに、FR4をベースとする解決策と比較して、1dBの改善を潜在的にもたらし得る。
【0030】
記述した実施形態は、信号端子を主に記述することに留意されたい。機能的信号システムでは、少なくとも1つの接地端子が両コネクタにおいて各信号対と関連付けられることが予想される。したがって、ある実施形態では、接地端子が、第1および第2のコネクタ間に延出する関連ケーブルにおいて信号配線が備えられた(ドレイン配線と称されることがある)接地配線に電気的に接続され得る。
【0031】
本明細書で提供される開示は、特徴を、それらの好ましい、例となる実施形態の点から説明する。本開示を検討すれば、当業者には、添付の特許請求の範囲および趣旨内でのその他多数の実施形態、修正形態、および変形形態が想到されよう。