特許第6676031号(P6676031)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6676031
(24)【登録日】2020年3月13日
(45)【発行日】2020年4月8日
(54)【発明の名称】ポリイミドの前駆体及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C08G 73/10 20060101AFI20200330BHJP
   C08F 299/02 20060101ALI20200330BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20200330BHJP
   G03F 7/038 20060101ALI20200330BHJP
   G03F 7/037 20060101ALI20200330BHJP
【FI】
   C08G73/10
   C08F299/02
   G03F7/004 503B
   G03F7/038 601
   G03F7/037 501
【請求項の数】16
【外国語出願】
【全頁数】60
(21)【出願番号】特願2017-230474(P2017-230474)
(22)【出願日】2017年11月30日
(65)【公開番号】特開2018-104678(P2018-104678A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2018年1月30日
(31)【優先権主張番号】105139586
(32)【優先日】2016年11月30日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】500202322
【氏名又は名称】長興材料工業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ETERNAL MATERIALS CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】何 長鴻
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 仲仁
(72)【発明者】
【氏名】周 孟▲彦▼
(72)【発明者】
【氏名】▲蒋▼ 舜人
(72)【発明者】
【氏名】▲黄▼ 勃▲ユ▼
(72)【発明者】
【氏名】鄭 仲凱
【審査官】 松元 洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−155987(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/115077(WO,A1)
【文献】 特開2016−021068(JP,A)
【文献】 特開2009−052042(JP,A)
【文献】 特開2013−139566(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 73/00 − 73/26
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)又は(1')の構造を有するアミド酸エステルオリゴマーであって、
【化1】
式中
Gは、各々独立して、四価の有機基であり;
Pは、各々独立して、二価の有機基であり;
Rは、C1〜C14アルキル、非置換又はヒドロキシル及びC1〜C4アルキルから選択される1若しくは複数の基で置換されたC6〜C14アリール、或いはエチレン性不飽和結合を有する基であり;
Rxは、各々独立してH、C1〜C8アルキル、又はエチレン性不飽和結合を有する基であり;
Dは、
【化2】
、C1〜C8アルキルで置換された5若しくは6員の窒素を含有するヘテロシクリル基、又は5若しくは6員の窒素を含有するヘテロシクリル基で置換されたC1〜C8アルキルであり;
式中、R1はHC1〜C8ハロアルキルC6〜C14アリール、5若しくは6員の窒素を含有するヘテロシクリル基、及びシアノから選択される1若しくは複数の基で置換されたC1〜C8アルコキシC1〜C8ハロアルコキシ又は-NR5R6であり;
R2及びR3は、ハロゲンであり;
R4は、メチル又は
【化3】
であり;
R5及びR6は、同一でも異なっていてもよく、各々独立してH、或いは非置換又は1若しくは複数のアルキル基で置換されたC6〜C14アリールであり;
Eは、
【化4】
又は-N(CH3)2であり;
mは1〜100の整数である、アミド酸エステルオリゴマー。
【請求項2】
エチレン性不飽和結合を有する基が、エテニル、プロペニル、メチルプロペニル、n-ブテニル、イソ-ブテニル、エテニルフェニル、プロペニルフェニル、プロペニルオキシメチル、プロペニルオキシエチル、プロペニルオキシプロピル、プロペニルオキシブチル、プロペニルオキシペンチル、プロペニルオキシヘキシル、メチルプロペニルオキシメチル、メチルプロペニルオキシエチル、メチルプロペニルオキシプロピル、メチルプロペニルオキシブチル、メチルプロペニルオキシペンチル、メチルプロペニルオキシヘキシル、及び式(2)の基:
【化5】
からなる群から選択され、
式中、R7は、フェニレン、C1〜C8アルキレン、C2〜C8アルケニレン、C3〜C8シクロアルキレン、C1〜C8ヒドロキシアルキレン、又は
【化6】
(式中、n'は1〜4の整数である)であり;
R8は、水素又はC1〜C4アルキルである、請求項1に記載のオリゴマー。
【請求項3】
Rが、各々独立して、
【化7】
からなる群から選択される、請求項1に記載のオリゴマー。
【請求項4】
四価の有機基が、
【化8】
からなる群から選択され、
式中、Xは、各々独立して、水素、ハロゲン、C1〜C4ペルフルオロアルキル、又はC1〜C4アルキルであり;
A及びBは、各出現時に各々独立して、共有結合、非置換又はヒドロキシル及びC1〜C4アルキルから選択される1若しくは複数の基で置換されたC1〜C4アルキレン、C1〜C4ペルフルオロアルキレン、C1〜C4アルキレンオキシ、シリレン、-O-、-S-、-C(O)-、-OC(O)-、-S(O)2-、-C(=O)O-(C1〜C4アルキレン)-OC(=O)-、-CONH-、フェニル、ビフェニリル、或いは
【化9】
であり、
式中、Kは、-O-、-S(O)2-、C1〜C4アルキレン又はC1〜C4ペルフルオロアルキレンである、請求項1に記載のオリゴマー。
【請求項5】
四価の有機基が、
【化10】
からなる群から選択され、
式中、Zは、各々独立して水素、メチル、トリフルオロメチル又はハロゲンである、請求項1に記載のオリゴマー。
【請求項6】
二価の有機基が、
【化11】
からなる群から選択され、
式中:
R9は、各々独立して、H、C1〜C4アルキル、C1〜C4ペルフルオロアルキル、C1〜C4アルコキシ、ハロゲン、-OH、-COOH、-NH2又は-SHであり;
aは、各々独立して、0〜4の整数であり;
bは、各々独立して、0〜4の整数であり;
R10は、共有結合又は
【化12】
からなる群から選択される基であり、
式中:
c及びdは、各々独立して、1〜20の整数であり;
R9及びaは、請求項1で定義した通りであり;
R12は、-S(O)2-、-C(O)-、共有結合基、C1〜C4アルキル又はC1〜C4ペルフルオロアルキルであり;
R11は、各々独立して、水素、ハロゲン、フェニル、C1〜C4アルキル、又はC1〜C4ペルフルオロアルキルであり;
w及びyは、各々1〜3の整数である、請求項1に記載のオリゴマー。
【請求項7】
二価の有機基が、
【化13A】
【化13B】
及びこれらの組合せからなる群から選択され、
式中:
aは、各々独立して、0〜4の整数であり;
Zは、各々独立して、水素、メチル、トリフルオロメチル又はハロゲンである、請求項6に記載のオリゴマー。
【請求項8】
置換基Dが:
(i)
【化14】
(式中、R1は、H、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、
【化15】
又は-NHPhである);
(ii)
【化16】
(式中、R2及びR3は、各々独立して、-F又は-Clであり;
R4は、メチル又は
【化17】
である);又は
(iii)
【化18】
である、請求項1に記載のオリゴマー。
【請求項9】
Dが、
【化19】
である、請求項1に記載のオリゴマー。
【請求項10】
mが、2〜25の整数である、請求項1に記載のオリゴマー。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載のオリゴマー及び溶媒を含む、ポリイミド前駆体組成物。
【請求項12】
溶媒が、N-メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、キシレン、ジエチレングリコールジブチルエーテル、N-オクチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルカプロアミド、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
感光性のポリイミド前駆体組成物である、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
光塩基発生剤を更に含み、光塩基発生剤が、
【化20】
並びにこれらの組合せからなる群から選択され、
式中、R17は、メチル又はエチルであり;
R15は、メチル、エチル、プロピル、フェニル、ベンジル、-CH2CH2OH、
【化21】
、-C6H11又は
【化22】
である、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
アミド酸エステルオリゴマーの100質量部に対して、光塩基発生剤の含有率が、0.5〜20質量部である、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
熱塩基発生剤を更に含む、請求項11から15のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.発明の分野
本発明は、ポリイミド(PI)前駆体、またPIの調製における該前駆体の使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
2.関連技術の説明
ポリイミドは優れた熱安定性並びに良好な機械的、電気的、及び化学的特性を保有するので、高性能ポリマーとして使用されてきている。ポリイミドは集積回路産業、電子パッケージング、エナメル線、プリント回路基板、センサ素子、分離膜、及び構造材料への応用において極めて重要であり、重要材料の役割を果たす。
【0003】
ポリイミドは通例二段階重合及び縮合反応によって合成される。通常、第1の段階で、ジアミンモノマーをN-メチルピロリドン(NMP)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAC)、ジメチルホルムアミド(DMF)、又はジメチルスルホキシド(DMSO)のような極性の非プロトン性溶媒に溶解させる。次に1当量の二無水物モノマーを加える。その後、低温又は室温で縮合反応を実施してポリイミドの前駆体、即ち、ポリ(アミド酸)(PAA)を形成させる。第2の段階では、ポリ(アミド酸)をポリイミドに変換するように縮合、脱水、及び環化反応を実現するために熱イミド化又は化学的イミド化を実施する。ポリイミドを調製する反応スキームは次のように簡潔に記載することができる:
【0004】
【化1】
【0005】
上記の調製方法において、第1の段階で得られるポリ(アミド酸)の分子量がある一定の標準に達しない(即ち、あまりにも低い)と、イミド化後良好な物理的特性をもつポリイミドフィルムを得ることができない。しかし、第1の段階で得られるポリ(アミド酸)の分子量があまりにも高いと、その粘度が高くなり過ぎ、その操作性が不十分になる。加えて、塗布工程で不十分なレベリングが起こり易い。その上、ポリ(アミド酸)の分子量があまりにも高いと、第2の段階のイミド化の際の分子間の相互作用及び分子鎖の短縮のために極端に強い内部応力が生じる。この強い内部応力のために被覆された基材は屈曲し変形する。
【0006】
台湾特許出願第096128743号はポリイミド前駆体として有用なアミド酸エステルオリゴマーを開示している。アミド酸エステルオリゴマーは、一端にアミノ基を、他端にエステル基(-COOR)及びカルボキシル基の両方を末端基として有しており、準安定状態にある。しかし、長期の貯蔵において、アミド酸エステルオリゴマーの数多くの分子中の僅かのアミノ基が他端の末端基(即ち、エステル基(-COOR)及びカルボキシル基(-COOH))と反応して、粘度を上昇させ、したがって不十分な操作性を生じさせる。更に、アミド酸エステルオリゴマーの末端アミノ基は脱水剤と反応する傾向があり、したがって化学的イミド化(低温環化)には適用できず、高温で加熱すること(高温環化)による従来のイミド化にのみ制限され得る。更に、熱イミド化の際、100%のイミド化は一般に300℃の高温で数時間連続的に加熱することによってのみ実現することができる。この方法は時間がかかり、操作中の安全性の問題をもたらし易い。加えて、生成物が低い結合エネルギーの側鎖を有するとき、その側鎖は高温雰囲気で環化の前に破壊されることが多いであろう。
【0007】
感光性のポリイミド(PSPI)は、感光性の基をポリイミド又はその前駆体の構造に導入することによって光感受性が付与され、これによりポリイミドは元々の優れた機械的及び電気的特性を保持するだけでなく、光感受性の特徴も有する。半導体の製造プロセスにおいては、感光性のポリイミドが以前のフォトレジストの代わりに用いられる。したがって、工程段階が簡素化され、これは歩留りの改善及びコストの削減に貢献する。
【0008】
アクリロイルオキシ基を含有する感光性のポリイミドは当技術分野で公知である。しかし、かかる基はポリイミドの所望の特性に影響を及ぼし、したがって、露光後取り除く必要がある。それにもかかわらず、アクリロイルオキシ基を含有する化合物は通例250℃までの沸点を有する。かかる感光性のポリイミドを半導体の製造プロセスに使用すると、より高いハードベーキング(hard-bake)温度が必要とされる。
【0009】
米国特許第6,605,353号はエポキシで変性された感光性のポリイミドを開示している。しかし、このポリマーはエポキシドを酸と反応させることによって得られるので、反応性が不十分である。更に、開環後生成したOH官能基はエポキシ基と反応し得、したがって、安定性及び熱安定性を欠くという問題が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】台湾特許出願第096128743号
【特許文献2】米国特許第6,605,353号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
これに鑑みて、本発明は上述の問題に対して行った研究結果を対象とする。本発明者らは、優れた機械的及び電気的特性をもつポリイミドを調製するための、低い分子量、高い被覆性及び貯蔵安定性の利点を有するだけでなく、低温で脱水環化することもできる新しいアミド酸エステルオリゴマーを見出した。更に、本発明のアミド酸エステルオリゴマーは特別な設計の構造を有しており、アクリロイルオキシ基の不在下で直接露光及び現像プロセスに供することができる。したがって、アクリロイルオキシ基の残基によるポリイミドの物理的特性への影響に関する問題がない。
【0012】
本発明の1つの目的は、熱イミド化プロセスばかりでなく、化学的イミド化プロセスにも適用可能な新しいアミド酸エステルオリゴマーを提供することである。
【0013】
本発明のもう1つ別の目的は、アミド酸エステルオリゴマーを含むポリイミド前駆体組成物を提供することである。
【0014】
本発明の更なる目的は、上記アミド酸エステルオリゴマー又は前駆体組成物から調製されるポリイミドを提供することである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明において、用語「アルキル」は、直鎖状又は分岐した飽和炭化水素基を指し、その例としては、限定されることはないが、メチル、エチル、プロピル(例えば、n-プロピル又はイソプロピル)、ブチル(例えば、n-ブチル、イソブチル又はtert-ブチル)、ペンチル、ヘキシル等がある。他に明記しない限り、本発明において「アルキル」は置換又は非置換であることができる。置換基としては、例えば、限定されることはないが、ハロゲン、ヒドロキシル、-CN、C6〜C14アリール、5又は6員の窒素を含有するヘテロシクリル基等がある。
【0016】
本発明において、用語「アリール」は、例えば、6〜14個の炭素原子を有する単環式環、二環式環又は三環式環の芳香族炭素環系を指し、その例としては、限定されることはないが、フェニル、トリル、ナフチル、フルオレニル、アントリル、フェナントリル等がある。他に明記しない限り、本発明において「アリール」は置換又は非置換であることができる。置換基としては、例えば、限定されることはないが、ハロゲン、ヒドロキシル、-NO2、アルキル等がある。
【0017】
本発明において、用語「アリールアルキル」は、アリール及びアルキルで構成される基を指す。この基はアリール又はアルキルを介して他の基に結合することができる。その例としては、限定されることはないが、3-メチルフェニル、4-メチルフェニル等がある。他に明記しない限り、「アリール」部分及び「アルキル」部分は置換又は非置換であることができる。置換基は上記のようなものである。
【0018】
本発明において、用語「ハロゲン」はフッ素、塩素、臭素又はヨウ素、好ましくはフッ素、塩素又はヨウ素を意味する。
【0019】
用語「アルコキシ」は-O-アルキルを指し、その例としては、限定されることはないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等がある。他に明記しない限り、「アルキル」部分は置換又は非置換であることができる。置換基は上記のようなものである。
【0020】
本発明において、用語「ヘテロシクリル」は、炭素原子及び、N、O又はSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子で構成される、飽和、一部飽和(接頭辞でジヒドロ-、トリヒドロ-、テトラヒドロ-及びヘキサヒドロ-のように名付けられるもの)又は不飽和の3〜14員の環、好ましくは4〜10員の環、より好ましくは5若しくは6員の環を指す。好ましくは1〜4個のヘテロ原子を有し;より好ましくは1〜3個のヘテロ原子を有する。ヘテロシクリルは縮合環(例えば、ヘテロシクリルと別のヘテロシクリル又は芳香族炭素環とにより形成された縮合環)を含めて単環式環、二環式環又は三環式環の環系を含む。他に明記しない限り、本発明において、「ヘテロシクリル」は置換又は非置換であることができる。置換基としては、例えば、限定されることはないが、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、アルキル、ヒドロキシアルキル、-NO2等がある。
【0021】
本発明において、用語「窒素を含有するヘテロシクリル基」は、環の少なくとも1個の炭素原子がN原子により置き換えられているヘテロシクリルを指す。好ましくは、5又は6員の窒素を含有するヘテロシクリル基である。
【0022】
I.アミド酸エステルオリゴマー及びその調製方法
本発明は、下記式(1)のアミド酸エステルオリゴマーであるポリイミド前駆体であって、
【0023】
【化2】
【0024】
式中、
Gは各々独立して四価の有機基であり;
Pは各々独立して二価の有機基であり;
RはC1〜C14アルキル、非置換又はヒドロキシル及びC1〜C4アルキルから選択される1若しくは複数の基で置換されたC6〜C14アリール、或いはエチレン性不飽和結合を有する基であり;
Rxは各々独立してH、C1〜C8アルキル、又はエチレン性不飽和結合を有する基であり;
Dは
【0025】
【化3】
【0026】
、C1〜C8アルキルで置換された5若しくは6員の窒素を含有するヘテロシクリル基、又は5若しくは6員の窒素を含有するヘテロシクリル基で置換されたC1〜C8アルキルであり;
式中、R1はH、C1〜C8ハロアルキル、C6〜C14アリール、5若しくは6員の窒素を含有するヘテロシクリル基及びシアノ(-CN)から選択される1若しくは複数の基で置換されたC1〜C8アルコキシ、C1〜C8ハロアルコキシ、又は-NR5R6であり;
R2及びR3はハロであり;
R4はメチル又は
【0027】
【化4】
【0028】
であり;
R5及びR6は同一でも異なっていてもよく、各々独立してH、或いは非置換又は1若しくは複数のアルキル基で置換されたC6〜C14アリールであり;
mは1〜100の整数、好ましくは2〜25の整数、より好ましくは4〜15の整数である、ポリイミド前駆体を提供する。mが大き過ぎると、得られるアミド酸エステルオリゴマーはあまりにも大きい分子量を有し、塗布にとって好ましくない高い粘度及び現像プロセスにとって好ましくない不十分な溶解性という欠点を有する。
【0029】
本発明は、更に、下記式(1')のアミド酸エステルオリゴマーであるポリイミド前駆体であって、
【0030】
【化5】
【0031】
式中、
Eは
【0032】
【化6】
【0033】
又は-N(CH3)2であり;
G、P、R、Rx及びmは上で定義した通りである、ポリイミド前駆体を提供する。
【0034】
上述のC1〜C14アルキルは直鎖状又は分岐していてもよく、好ましくはメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル(即ち、イソブチル)、n-ブチル、t-ブチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、又はオクチルである。
【0035】
エチレン性不飽和結合を有する上述の基は、少なくとも1つのC=C結合を有する基を指し、好ましくはエテニル、プロペニル、メチルプロペニル、n-ブテニル、イソ-ブテニル、エテニルフェニル、プロペニルフェニル、プロペニルオキシメチル、プロペニルオキシエチル、プロペニルオキシプロピル、プロペニルオキシブチル、プロペニルオキシペンチル、プロペニルオキシヘキシル、メチルプロペニルオキシメチル、メチルプロペニルオキシエチル、メチルプロペニルオキシプロピル、メチルプロペニルオキシブチル、メチルプロペニルオキシペンチル、メチルプロペニルオキシヘキシル、及び式(2)の基:
【0036】
【化7】
【0037】
からなる群から選択され、
式中、R7はフェニレン、C1〜C8アルキレン、C2〜C8アルケニレン、C3〜C8シクロアルキレン、C1〜C8ヒドロキシアルキレン、又は
【0038】
【化8】
【0039】
(式中、n'は1〜4の整数である)であり;R8は水素又はC1〜C4アルキルである。
【0040】
上述のC6〜C14アリールは好ましくは
【0041】
【化9】
【0042】
である。
【0043】
本発明の好ましい実施形態によると、Rは
【0044】
【化10】
【0045】
から選択される。
【0046】
本発明の好ましい実施形態によると、Rx基は、好ましくは各々独立して、H、メチル、エチル、プロピル、ブチル、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、エチルメタクリレート、エチルアクリレート、プロペニル、メチルプロペニル、n-ブテニル、又はイソブテニルである。より好ましくは、Rxは各々独立して、H又は
【0047】
【化11】
【0048】
の基である。
【0049】
本発明において、四価の有機基Gは四価の芳香族基、四価のシクロアルキル基、四価のヘテロシクリル基又はそのアナログであることができる。好ましくは、Gは各々独立して
【0050】
【化12】
【0051】
であり、式中、Xは各々独立して、水素、ハロ、C1〜C4ペルフルオロアルキル、又はC1〜C4アルキルであり;A及びBは各出現時に各々独立して、共有結合、非置換又はヒドロキシル及びC1〜C4アルキルから選択される1若しくは複数の基で置換されたC1〜C4アルキレン、C1〜C4ペルフルオロアルキレン、C1〜C4アルキレンオキシ、シリレン、-O-、-S-、-C(O)-、-OC(O)-、-S(O)2-、-C(=O)O-(C1〜C4アルキレン)-OC(=O)-、-CONH-、フェニル、ビフェニリル、或いは
【0052】
【化13】
【0053】
であり、式中、Kは-O-、-S(O)2-、C1〜C4アルキレン(例えば、メチレン、エチレン又は-C(CH3)2-)又はC1〜C4ペルフルオロアルキレン(例えば、ペルフルオロメチレン、ペルフルオロエチレン又は-C(CF3)2-)である。
【0054】
好ましくは、四価の有機基Gは各々独立して
【0055】
【化14】
【0056】
からなる群から選択され、式中、Zは各々独立して水素、メチル、トリフルオロメチル又はハロである。
【0057】
より好ましくは、四価の有機基Gは各々独立して
【0058】
【化15】
【0059】
である。
【0060】
本発明の1つの実施形態によると、四価の有機基Gは
【0061】
【化16】
【0062】
である。
【0063】
本発明において、二価の有機基Pは特に限定されることはない。一般に、二価の有機基Pは各々独立して二価の芳香族基、二価のシクロアルキル基、二価のヘテロシクリル基又はシロキサンを含有する二価の基であることができる。Pは、例えば、限定されることはないが
【0064】
【化17】
【0065】
であり、
式中:
R9は各々独立してH、C1〜C4アルキル、C1〜C4ペルフルオロアルキル、C1〜C4アルコキシ、ハロ、-OH、-COOH、-NH2又は-SHであり;
aは各々独立して0〜4の整数であり;
bは各々独立して0〜4の整数であり;
R10は共有結合又は
【0066】
【化18】
【0067】
からなる群から選択される基であり:
式中、
c及びdは各々独立して1〜20の整数であり;R12は-S(O)2-、-C(O)-、共有結合基、C1〜C4アルキル又はC1〜C4ペルフルオロアルキルであり;R9及びaは上で定義した通りであり;
R11は各々独立して水素、ハロ、フェニル、C1〜C4アルキル、又はC1〜C4ペルフルオロアルキルであり;
w及びyは各々1〜3の整数である。
【0068】
好ましくは、二価の有機基Pは各々独立して
【0069】
【化19A】
【0070】
【化19B】
【0071】
であり、
式中:
aは各々独立して0〜4の整数であり;
Zは各々独立して水素、メチル、トリフルオロメチル又はハロである。
【0072】
より好ましくは、二価の有機基Pは各々独立して
【0073】
【化20】
【0074】
である。
【0075】
本発明の1つの実施形態において、上述の二価の有機基Pは
【0076】
【化21】
【0077】
である。
【0078】
本発明の1つの実施形態によると、式(1)のアミド酸エステルオリゴマーに含有される置換基Dは
【0079】
【化22】
【0080】
であり、式中、R1はH、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、
【0081】
【化23】
【0082】
、-NHPh又は-NHCH3である。
【0083】
本発明のもう1つ別の実施形態によると、式(1)のアミド酸エステルオリゴマーに含有される置換基Dは
【0084】
【化24】
【0085】
であり、式中、R2及びR3は各々独立して-F又は-Clであり、R4はメチル又は
【0086】
【化25】
【0087】
である。
【0088】
本発明のもう1つ別の実施形態によると、式(1)のアミド酸エステルオリゴマーに含有される置換基Dは、C1〜C8アルキルで置換された5若しくは6員の窒素を含有するヘテロシクリル基、例えば
【0089】
【化26】
【0090】
;又は5若しくは6員の窒素を含有するヘテロシクリル基で置換されたC1〜C8アルキル、例えば
【0091】
【化27】
【0092】
である。
【0093】
本発明の特定の実施形態によると、Dは
【0094】
【化28】
【0095】
からなる群から選択される。Dは好ましくは
【0096】
【化29】
【0097】
である。
【0098】
本発明の1つの実施形態によると、式(1')のアミド酸エステルオリゴマーに含有される置換基Eはフェニル又は
【0099】
【化30】
【0100】
であり、好ましくは
【0101】
【化31】
【0102】
である。
【0103】
調製方法
本発明のアミド酸エステルオリゴマーは、制限なく、以下の工程を含む方法によって調製することができる:
(a)式(6)の二無水物を、N-メチルピロリドン(NMP)のような溶媒の存在下で、ヒドロキシル基をもつ化合物(R-OH)と反応させて、式(7)の化合物を形成する工程:
【0104】
【化32】
【0105】

(b)工程(a)で得られた生成物に、ジアミン化合物(H2N-P-NH2)及び式(6)の二無水物を加えて式(8)のアミド酸エステルオリゴマーを形成する工程:
【0106】
【化33】
【0107】
;並びに
(c)上述のD又はE基を有する化合物を加え、式(8)のアミド酸エステルオリゴマーと反応させて、式(5)又は(5')のアミド酸エステルオリゴマーを形成する工程:
【0108】
【化34】
【0109】
(d)場合により、(Rx)基を有する1又は複数の化合物、例えばエポキシアクリレートを加え、反応を実施して式(1)又は(1')のアミド酸エステルオリゴマーを形成する工程:
【0110】
【化35】
【0111】
式中、G、P、R、Rx、D、E及びmは本明細書中上で定義した通りである。
【0112】
工程(a)で使用される二無水物は脂肪族又は芳香族であることができ、好ましくは芳香族である。芳香族二無水物の例としては、限定されることはないが、ピロメリト酸二無水物(PMDA)、4,4'-ビフタル酸二無水物(BPDA)、4,4'-ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物(6FDA)、1-(トリフルオロメチル)-2,3,5,6-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物(P3FDA)、ベンゾフェノン-テトラカルボン酸二無水物(BTDA)、3,3',4,4'-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、1,4-ビス(トリフルオロメチル)-2,3,5,6-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物(P6FDA)、1-(3',4'-ジカルボキシフェニル)-1,3,3-トリメチルインダン-5,6-ジカルボン酸二無水物、1-(3',4'-ジカルボキシフェニル)-1,3,3-トリメチルインダン-6,7-ジカルボン酸二無水物、1-(3',4'-ジカルボキシフェニル)-3-メチルインダン-5,6-ジカルボン酸二無水物、1-(3',4'-ジカルボキシフェニル)-3-メチルインダン-6,7-ジカルボン酸二無水物、2,3,9,10-ペリレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,6-ジクロロナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、2,7-ジクロロナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-テトラクロロナフタレン-2,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、フェナントレン-1,8,9,10-テトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、1,2',3,3'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4'-イソプロピリデンジフタル酸無水物、3,3'-イソプロピリデンジフタル酸無水物、4,4'-オキシジフタル酸無水物、4,4'-スルホニルジフタル酸無水物、3,3'-オキシジフタル酸無水物、4,4'-メチレンジフタル酸無水物、4,4'-チオジフタル酸無水物、4,4'-エチリデンジフタル酸無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、ベンゼン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、ピリジン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、及びこれらの混合物がある。
【0113】
好ましくは、工程(a)で使用される芳香族二無水物はピロメリト酸二無水物(PMDA)、4,4'-ビフタル酸無水物(BPDA)、4,4'-ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物(6FDA)、1-(トリフルオロメチル)-2,3,5,6-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物(P3FDA)、1,4-ビス(トリフルオロメチル)-2,3,5,6-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物(P6FDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、3,3',4,4'-オキシジフタル酸無水物(ODPA)、及びこれらの混合物からなる群から選択される。1つの実施形態において、ピロメリト酸二無水物(PMDA)が使用される。
【0114】
工程(a)で使用されるヒドロキシル基を有する化合物はモノオール、ジオール、又はポリオール、好ましくはモノオールのようなアルコールであることができる。本発明で有用なモノオールは特に制限されることはなく、アルカノール、アラルカノール、又はアリーロールであることができる。モノオールは、限定されることはないが、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、1-メチルプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、ネオブタノール、1-メチルブタノール、2-メチルブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、及びオクタノールのような1〜14個の炭素原子をもつ直鎖状又は分岐したアルカノールであることができる(限定されることはないが)。本発明で有用なモノオールはまた、限定されることはないが、フェノール、m-クレゾール又はp-クレゾールのような6〜14個の炭素原子をもつアラルカノール又はアリーロールであることもできる。
【0115】
本発明の方法で使用される上述のヒドロキシル基を有する化合物はまた、上述のように、エチレン性不飽和結合を有する基のような感光性の基を有することもできる。好ましくは、この化合物は次の式(10)を有する:
【0116】
【化36】
【0117】
式中、R7及びR8は上で定義したものである。好ましくは、式(10)の化合物はアクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEA)、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEMA)、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0118】
工程(b)で使用されるジアミンは特に制限されることはなく、芳香族ジアミンであることができる。本発明の方法で有用な芳香族ジアミンは当業者に周知である。例えば、芳香族ジアミンは、限定されることはないが、次の基:
4,4'-オキシ-ジアニリン(ODA)、パラ-フェニレンジアミン(pPDA)、2,2-ジメチル-4,4-ジアミノ-ビフェニル(DMDB)、2,2'-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)、o-トリジン(oTLD)、4,4'-オクタフルオロベンジジン(OFB)、テトラフルオロフェニレンジアミン(TFPD)、2,2',5,5'-テトラクロロベンジジン(TCB)、3,3'-ジクロロベンジジン(DCB)、2,2'-ビス(3-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2'-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4'-オキソ-ビス(3-トリフルオロメチル)アニリン、3,5-ジアミノベンゾトリフルオリド、テトラフルオロフェニレンジアミン、テトラフルオロ-m-フェニレンジアミン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ-2-tert-ブチルベンゼン(BATB)、2,2'-ジメチル-4,4'-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル(DBAPB)、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン(BAPPH)、2,2'-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ノルボラン(BAPN)、5-アミノ-1-(4'-アミノフェニル)-1,3,3-トリメチルインダン、6-アミノ-1-(4'-アミノフェニル)-1,3,3-トリメチルインダン、4,4'-メチレンビス(o-クロロアニリン)、3,3'-ジクロロベンジジン、3,3'-スルホニルジアニリン、4,4'-ジアミノベンゾフェノン、1,5-ジアミノナフタレン、ビス(4-アミノフェニル)ジエチルシラン、ビス(4-アミノフェニル)ジフェニルシラン、ビス(4-アミノフェニル)エチルホスフィンオキシド、N-(ビス(4-アミノフェニル)-N-メチルアミン、N-(ビス(4-アミノフェニル))-N-フェニルアミン、4,4'-メチレンビス(2-メチルアニリン)、4,4'-メチレンビス(2-メトキシアニリン)、5,5'-メチレンビス(2-アミノフェノール)、4,4'-メチレンビス(2-メチルアニリン)、4,4'-オキシビス(2-メトキシアニリン)、4,4'-オキシビス(2-クロロアニリン)、2,2'-ビス(4-アミノフェノール)、5,5'-オキシビス(2-アミノフェノール)、4,4'-チオビス(2-メチルアニリン)、4,4'-チオビス(2-メトキシアニリン)、4,4'-チオビス(2-クロロアニリン)、4,4'-スルホニルビス(2-メチルアニリン)、4,4'-スルホニルビス(2-エトキシアニリン)、4,4'-スルホニルビス(2-クロロアニリン)、5,5'-スルホニルビス(2-アミノフェノール)、3,3'-ジメチル-4,4'-ジアミノベンゾフェノン、3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジアミノベンゾフェノン、3,3'-ジクロロ-4,4'-ジアミノベンゾフェノン、4,4'-ジアミノビフェニル、m-フェニレンジアミン、4,4'-メチレンジアニリン(MDA)、4,4'-チオジアニリン、4,4'-スルホニルジアニリン、4,4'-イソプロピリデンジアニリン、3,3'-ジメトキシベンジジン、3,3'-ジカルボキシベンジジン、2,4-トリル-ジアミン、2,5-トリル-ジアミン、2,6-トリル-ジアミン、m-キシリルジアミン、2,4-ジアミノ-5-クロロ-トルエン、2,4-ジアミノ-6-クロロ-トルエン、及びこれらの混合物から選択することができる。好ましくは、ジアミンは、4,4'-オキシ-ジアニリン(ODA)、パラ-フェニレンジアミン(pPDA)、2,2'-ジメチル-4,4'-ジアミノ-ビフェニル(DMDB)、2,2'-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)、o-トリジン(oTLD)、4,4'-メチレンジアニリン(MDA)、3,5-ジアミノ-1,2,4-トリアゾール又はこれらの混合物である。
【0119】
好ましくは、工程(b)で使用されるジアミンは
【0120】
【化37】
【0121】
からなる群から選択される。
【0122】
工程(c)で使用されるD又はE基を有する化合物は、式(8)のアミド酸エステルオリゴマーの末端アミノ基と反応することができる、上述のD又はE基を有するあらゆる化合物、例えば、限定されることはないが、無水トリフルオロ酢酸(TFAA)、ベンズアルデヒド、
【0123】
【化38】
【0124】
でよい。
【0125】
室温での長期の貯蔵中、式(8)のアミド酸エステルオリゴマーの僅かのアミノ基が他端の末端基と反応して、粘度を上昇させ、したがって不十分な操作性を生じさせることがある。更に、アミド酸エステルオリゴマーの末端アミノ基は脱水剤と反応する傾向がある。上記問題を解決するために、本発明の工程(c)において、D又はE基を有する化合物は保護剤として機能し、式(8)の化合物の末端アミノ基と反応して、室温で安定であり脱水剤と反応しない末端基を形成する。
【0126】
無水トリフルオロ酢酸を保護剤として使用する場合、反応スキームは次の通りである。
【0127】
【化39】
【0128】
【化40】
【0129】
を保護剤として使用する場合、反応スキームは次の通りである。
【0130】
【化41】
【0131】
ベンズアルデヒドを保護剤として使用する場合、反応スキームは次の通りである。
【0132】
【化42】
【0133】
式(8)のアミド酸エステルオリゴマーは末端アミノ基を有し、アミノ基上の窒素原子は孤立電子対を含有するので、式(8)のアミド酸エステルオリゴマーは求核試薬として作用することができる。化学的イミド化プロセスを直接使用すると、式(8)のアミド酸エステルオリゴマーは正に荷電した炭素原子と反応し得、したがって脱水剤(例えば、無水酢酸)と反応し、アシル化される、等して、アミド酸エステルオリゴマーが更に重合して高分子量のポリイミドになることができなくする。この技術的な問題を解決するために、本発明者らは、研究によって、式(8)のアミド酸エステルオリゴマーの末端アミノ基を特定のD又はE基で修飾して、アミド酸エステルオリゴマーの末端アミノ基が脱水剤と反応するのを防ぐための一時的な保護を提供し得ることを見出した。本発明で得られる式(1)又は(1')のアミド酸エステルオリゴマーは特定のアミノ保護基D又はEを端部に有しているので、室温での反応性が低下し、式(8)の末端のエステル基(-COOR)及びカルボキシル基(-COOH)又は脱水剤との反応が起こらない。加えて、D又はE基は後の加熱プロセスで除去することができるので、式(1)又は(1')のアミド酸エステルオリゴマーは改良された貯蔵安定性を有し、化学的イミド化で環化し重合して、優れた熱的、機械的及び引張特性を有するポリイミドを形成することができる。その上、化学的イミド化を用いることによってポリイミドのハードベーキング温度を更に低下することができる。
【0134】
本発明で調製される式(1)又は(1')のアミド酸エステルオリゴマーは、エステル基(-COOR)及びカルボキシル基(-COOH)を一端に、特定のD又はE基で置換されたアミノ基を他端に有しており、室温又は50〜90℃の更により高い温度での重合及び環化を経ていない。しかし、温度が上昇したとき、D又はE基が除去され、還元によって-NH2が形成される。次いで、重合が起こって、より大きいポリマーが更に形成し、これが次に縮合して優れた熱的、機械的及び引張特性を有するポリイミドを提供する。本発明の式(1)又は(1')のアミド酸エステルオリゴマーは低い粘度を有しており、したがって高いレベリング性能及び塗布の際の良好な操作性を有する。本発明の式(1)又は(1')のアミド酸エステルオリゴマーは良好な貯蔵安定性を有し、式(1)又は(1')のアミド酸エステルオリゴマーを含むポリイミド前駆体組成物は熱イミド化プロセスに適用可能なだけでなく、化学的イミド化プロセスで使用するのにも適している。熱イミド化プロセスと比較して、化学的イミド化プロセスはより低い温度で実施することができ、プロセスが迅速であり、膜形成能が良好である。加えて、本発明で提供される式(1)又は(1')のアミド酸エステルオリゴマー中のD又はE基は特別な設計を有する。塩基性の条件下で、D又はE基は除去が容易であり、還元によって-NH2が形成される。したがって、露光及び現像プロセスに光塩基発生剤を加え、直接使用することにより、従来技術で存在している問題を効果的に解決することができる。
【0135】
II.ポリイミド前駆体組成物
本発明は、更に、式(1)又は(1')のアミド酸エステルオリゴマー及び溶媒を含むポリイミド前駆体組成物を提供する。ポリイミド前駆体組成物は感光性のポリイミド前駆体組成物又は非感光性のポリイミド前駆体組成物であり得る。
【0136】
本発明の組成物に使用される溶媒は、好ましくは、極性の非プロトン性溶媒である。例えば、制限なく、溶媒はジメチルスルホキシド(DMSO)、ジエチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N-ジエチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N-エチル-2-ピロリドン(NEP)、N-オクチル-2-ピロリドン(NOP)、N,N-ジメチルカプロアミド、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコール、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジオキソラン、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(TGDE)、メタノール、エタノール、ブタノール、ブチルセロソルブ、γ-ブチロラクトン(GBL)、キシレン、トルエン、ヘキサメチルホスホルアミド、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。溶媒は好ましくはジメチルスルホキシド(DMSO)、ジエチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N-ジエチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N-エチル-2-ピロリドン(NEP)、N-オクチル-2-ピロリドン(NOP)、N,N-ジメチルカプロアミド、及びγ-ブチロラクトン(GBL)からなる群から選択される溶媒である。本発明によるポリイミド前駆体組成物において、組成物の総質量に対して、アミド酸エステルオリゴマーの含有率は15〜70%、好ましくは25〜60%であり、溶媒の含有率は30〜85%、好ましくは40〜75%である。
【0137】
アルカリ性環境は、式(1)又は(1')のアミド酸エステルオリゴマーの端部のD又はE基の除去を容易にし、アミド酸エステルオリゴマーのポリイミドへの環化及び重合を容易にすることができる。しかし、塩基性化合物を直接組成物に加えると、結果として貯蔵安定性が低下し、その他の欠点が生じる。したがって、本発明のポリイミド前駆体組成物は場合により、加熱又は照射の際に塩基性化合物を放出する熱塩基発生剤又は光塩基発生剤を含み得る。
【0138】
例えば、熱塩基発生剤を加えたとき、5〜180分、例えば、約50〜250℃で加熱することにより熱塩基発生剤から塩基性化合物が放出され、それにより式(1)又は(1')のアミド酸エステルオリゴマーの端部のD又はE基が除去され、環化及び重合が起こりポリイミドを形成する。従来技術による300〜350℃の高温での熱イミド化と比較して、本発明のポリイミド前駆体組成物に熱塩基発生剤を加えることによって、アミド酸エステルオリゴマーはより低い加熱温度でイミド化することが可能になり、したがってこの調製方法は有利である。
【0139】
本発明で使用される熱塩基発生剤は、例えば、限定されることはないが、式(C)の構造を有する:
【0140】
【化43】
【0141】
式中、R1'及びR2'は同一又は異なり、各々独立してH、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、又は1若しくは複数のC6〜C14アリール、若しくは
【0142】
【化44】
【0143】
で置換されたC1〜C6アルキルであり、式中、RAはC1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、非置換又は1若しくは複数のC6〜C14アリールで置換されたC1〜C8アルコキシ、或いは-NRERFであり、RE及びRFは同一又は異なり、各々独立してH、非置換又は1若しくは複数のC6〜C14アリールで置換された直鎖状又は分岐したC1〜C14アルキル、或いはC6〜C14アリールであり;R3'、R4'及びR5'は同一又は異なり、各々独立してH、非置換又は1若しくは複数のC6〜C14アリールで置換されたC1〜C6アルキル、C1〜C6ヒドロキシアルキル、C1〜C6シアノアルキル、又はC6〜C14アリールであり;Y-はアニオン性基である。
【0144】
本発明の1つの実施形態によると、式(C)中のR1'及びR2'基は同一又は異なり、各々独立してC1〜C6アルキル、又は
【0145】
【化45】
【0146】
であり、式中、RAはC1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、非置換又は1若しくは複数のC6〜C14アリールで置換されたC1〜C8アルコキシ、或いは-NRERFである。好ましくは、RAはメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ベンジルオキシ又はフルオレニルメトキシである。
【0147】
本発明の1つの実施形態によると、式(C)中のR1'及びR2'基は同一又は異なり、各々独立してメチル、エチル、プロピル、ブチルであるか、又は
【0148】
【化46】
【0149】
からなる群から選択される。
【0150】
好ましくは、R1'及びR2'は同一又は異なり、各々独立してメチル、エチルであるか、又は
【0151】
【化47】
【0152】
からなる群から選択される。
【0153】
本発明の1つの実施形態によると、式(C)中のR3'、R4'及びR5'は同一又は異なり、各々独立してH、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、ヒドロキシペンチル、ヒドロキシヘキシル、シアノメチル、シアノエチル、シアノプロピル、シアノブチル、シアノペンチル、シアノヘキシル、フェニル、ベンジル又はジフェニルメチルであり;好ましくは、ヒドロキシブチルは
【0154】
【化48】
【0155】
であり;好ましくは、ヒドロキシペンチルは
【0156】
【化49】
【0157】
であり;好ましくは、シアノブチルは
【0158】
【化50】
【0159】
であり;好ましくは、シアノペンチルは
【0160】
【化51】
【0161】
である。
【0162】
好ましくは、R3'、R4'及びR5'は同一又は異なり、各々独立してH、メチル、エチル、n-プロピル又はイソプロピルである。
【0163】
式(C)中のアニオン性基は特に制限されることはなく、その例としては、限定されることはないが、ハロゲン化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、スルホン酸イオン、炭酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ホウ酸イオン、塩素酸イオン、ヨウ素酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、過塩素酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、酢酸イオン、tert-ブチル炭酸イオン、(CF3SO2)2N-又はtert-ブチルオキシがある。本発明の1つの実施形態によると、式(C)中のアニオン性基はハロゲン化物イオン又はテトラフルオロホウ酸イオンである。好ましくは、ハロゲン化物イオンはフッ化物イオン及び塩化物イオンである。
【0164】
式(C)に加えて、本発明で使用される熱塩基発生剤はまた
【0165】
【化52】
【0166】
であることもでき;式中、R'はC1〜C6アルキル又はC1〜C6アルキルオキシであり、上述の基は場合により1又は複数のハロゲン原子又はフェニルで置換されていることができる。好ましくは、R'は-CF3又は-O-tbuである。
【0167】
好ましくは、熱塩基発生剤は
【0168】
【化53】
【0169】
であり、式中、Yθは上記のようなアニオン性基である。
【0170】
本発明によるポリイミド前駆体組成物において、熱塩基発生剤の含有率はアミド酸エステルオリゴマーの100質量部に対して約0.5〜約10質量部、好ましくは約2〜5質量部である。
【0171】
本発明によるポリイミド前駆体組成物は、場合により、ポリイミドを調製するための当業者に公知のいかなる添加剤、例えば、限定されることはないが、レベリング剤、消泡剤、カップリング剤、脱水剤、触媒、光開始剤、及び共開始剤(co-initiator)を含んでいてもよい。添加剤の含有率も当業者により日常の実験によって調節することができる。
【0172】
本発明で適切な光開始剤は、制限なく、ベンゾフェノン、ベンゾイン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパノン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニルケトン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、又はこれらの組合せからなる群から選択することができる。
【0173】
本発明で有用なカップリング剤は、制限なく、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(APrTMOS)、3-トリアミノプロピルトリエトキシシラン(APrTEOS)、3-アミノフェニルトリメトキシシラン(APTMOS)、3-アミノフェニルトリエトキシシラン(APTEOS)、及びこれらの組合せからなる群から選択すればよい。
【0174】
III.感光性のポリイミド前駆体組成物
本発明の1つの実施形態によると、本発明のポリイミド前駆体組成物は、上述の式(1)又は(1')のアミド酸エステルオリゴマー及び溶媒を含む感光性のポリイミド前駆体組成物である。
【0175】
感光性のポリイミド(PSPI)は、ポリイミド又はその前駆体の構造に感光性の基(R*)(例えばアクリロイルオキシ)を導入することによって光感受性が付与される。ポリイミドを合成するための続くプロセスで、分子間の化学結合によって架橋を達成し、露光領域と非露光領域の溶解性に差を生じさせる。それにもかかわらず、かかる感光性の基はポリイミドの所望の特性に影響を及ぼし、したがって、露光後除去する必要がある。しかし、感光性の基を含有する化合物は一般に高い沸点を有する。例えば、アクリロイルオキシ基を含有する化合物は通例250℃までの沸点を有する。かかる感光性のポリイミドが半導体の製造プロセスに用いられると、高いハードベーキング温度が必要とされる。
【0176】
本発明のもう1つ別の実施形態によると、本発明のポリイミド前駆体組成物は上述の式(1)又は(1')のアミド酸エステルオリゴマー、溶媒、及び光塩基発生剤を含む感光性のポリイミド前駆体組成物である。本発明で使用される式(1)又は(1')のアミド酸エステルオリゴマーは感光性の基(R*)を含有しなくてもよい。光塩基発生剤を加えることによって、アミド酸エステルオリゴマーは重合及び閉環反応を起こすことが可能になり、露光領域と非露光領域で溶解性の差を生じさせる。したがって、露光及び現像プロセスを感光性の基の不在下で直接使用することができ、感光性の基の残基によるポリイミドの物理的特性への影響に関する問題はない。
【0177】
本発明で使用される光塩基発生剤は照射の際に分解して塩基性化合物を放出し、それにより適切なアルカリ性環境が提供され、アミド酸エステルオリゴマーの環化及び重合が容易になりポリイミドを形成する。光塩基発生剤はいかなる適切な従来の光塩基発生剤でもよい。光塩基発生剤は好ましくは照射前に6以下のpKaを有し、照射後に放出される化合物は8以上のpKaを有する。光塩基発生剤は、例えば、限定されることはないが、次の化合物:
【0178】
【化54】
【0179】
又はそのアナログであり、式中、R17はメチル又はエチルであり、R15はメチル、エチル、プロピル、フェニル、ベンジル、-CH2CH2OH、
【0180】
【化55】
【0181】
、-C6H11又は
【0182】
【化56】
【0183】
である。
【0184】
式(11)〜(14)の化合物の照射後に生成する生成物は低い沸点を有し、便利に除去することができ、したがって本発明で光塩基発生剤として使用するのに特に適している。
【0185】
例えば、式(11)の化合物が照射の際に分解して塩基性化合物を放出する反応スキームは次の通りである:
【0186】
【化57】
【0187】
例えば、式(14)の化合物が照射の際に分解して塩基性化合物を放出する反応スキームは次の通りである:
【0188】
【化58】
【0189】
本発明の感光性のポリイミド前駆体組成物が含有する溶媒として、極性の非プロトン性溶媒、好ましくは上記のような種類のものを挙げることができる。
【0190】
本発明による感光性のポリイミド前駆体組成物で、光塩基発生剤の含有率はアミド酸エステルオリゴマーの100質量部に対して約0.5〜約20質量部、好ましくは約2〜10質量部である。
【0191】
本発明による感光性のポリイミド前駆体組成物はまた、場合により、ポリイミドを調製するための当業者には公知のいかなる添加剤及び/又は熱塩基発生剤も含んでいてよく、ここで添加剤及び熱塩基発生剤の種類は上記のようなものである。
【0192】
本発明のもう1つ別の好ましい実施形態によると、本発明の感光性のポリイミド前駆体組成物は式(1)又は(1')のアミド酸エステルオリゴマー、光塩基発生剤、熱塩基発生剤、及び溶媒を含む。光塩基発生剤は光感知により現像を容易にし、照射の際にアルカリを生成して、保護基が除去され、閉環及び重合反応を促進することができる。熱塩基発生剤の添加は環化温度を低下させ、後のポリイミドを形成するための閉環反応を更に容易にすることができる。本発明の好ましい実施形態において、アミド酸エステルオリゴマーの100質量部に対して、光塩基発生剤の含有率は約0.5〜約20質量部、好ましくは約2〜10質量部であり、熱塩基発生剤の含有率は約0.5〜約10質量部、好ましくは約2〜約5質量部である。
【0193】
IV.ポリイミドを調製する方法及びパターン形成プロセス
本発明は、上記のポリイミド前駆体組成物又は感光性のポリイミド前駆体組成物から調製されるポリイミドを提供する。
【0194】
1.熱イミド化プロセス又は化学的イミド化プロセスによるポリイミドの調製
ポリイミドは、本発明のポリイミド前駆体組成物から熱イミド化プロセス又は化学的イミド化プロセスによって調製することができる。
【0195】
例えば、制限なく、いかなる理論にも縛られることなく、熱イミド化プロセスを採用し、本発明のポリイミド前駆体組成物を使用してポリイミドを調製するとき、可能な反応機構は次の通りである:
【0196】
【化59A】
【0197】
【化59B】
【0198】
式中、mは上で定義した通りであり、nは>500の整数である。
【0199】
例えば、熱イミド化プロセスでは、本発明のポリイミド前駆体組成物を5℃/分のランピング温度で約200℃まで加熱した後1時間保ち、更に300℃に加熱し、2時間保ってポリイミドを調製する。
【0200】
例えば、化学的イミド化プロセスでは、本発明の熱塩基発生剤を含有するポリイミド前駆体組成物を5℃/分のランピング温度で約200℃まで加熱した後1時間保ち、更に250℃に加熱し、2時間保ってポリイミドを調製する。
【0201】
2.本発明の感光性のポリイミド前駆体組成物のパターン形成プロセスでの使用
本発明の感光性のポリイミド前駆体組成物はパターン形成プロセスに使用することができ、式(1)又は(1')のアミド酸エステルオリゴマーは照射及び加熱工程後重合し環化してポリイミドになる。
【0202】
光塩基発生剤を含有する感光性のポリイミド前駆体組成物を一例にとると、ポリイミドを調製する方法は以下の工程を含み得る:
(I)本発明の感光性のポリイミド前駆体組成物に放射線を照射して光塩基発生剤を分解し、塩基性化合物を放出させ、こうしてアルカリ性環境を提供する工程;
(II)場合により、アルカリ性環境で加熱して、式(1)又は(1')のアミド酸エステルオリゴマーの末端アミノ基上のD又はE基を除去し;更に(70〜150℃で5〜30分)加熱して環化及び部分的な重合を可能にしてポリイミドを形成する工程;
(III)現像する工程;並びに
(IV)最後に高温で(250〜350℃で0.5〜3時間)環化させ、重合させてパターン化されたポリイミドを形成する工程。
【0203】
式(1)のアミド酸エステルオリゴマーを一例にとると、工程(II)〜(IV)の可能な反応スキームは次の通りである。
【0204】
末端アミノ基のD基の除去
【0205】
【化60】
【0206】
ポリイミドへの環化
【0207】
【化61A】
【0208】
【化61B】
【0209】
式中、mは上で定義した通りであり、nは>500の整数である。
【0210】
本発明の感光性のポリイミド前駆体組成物は光塩基発生剤又は光塩基発生剤と熱塩基発生剤の組合せの存在のために光感受性を有し、従来の感光性のポリイミドの代わりにフォトレジスト、半導体の緩衝層、ICパッケージの再配線及びカバーレイに使用することができる。光塩基発生剤は照射の際に分解して塩基性化合物を放出し、それにより適切なアルカリ性環境が提供され、D又はE基のアミド酸エステルオリゴマーからの除去が容易になり、アミド酸エステルオリゴマーのポリイミドへの環化及び重合が容易になる。
【0211】
本発明の感光性のポリイミド前駆体組成物は光感受性を有する。露光領域のアミド酸エステルオリゴマーの環化及び部分的な重合に起因して、露光後露光領域と非露光領域の組成物の溶解性に差があり、それにより露光領域の組成物は除去することができ、意図したパターンが残る。したがって、本発明の感光性のポリイミド前駆体組成物は特にパターン形成プロセスに適用可能である。加えて、上記特徴のおかげで、本発明の感光性のポリイミド前駆体組成物を使用する場合フォトレジスト層を更に設ける必要はない。したがって、工程段階を低減することができ、従来のパターン形成プロセスではフォトレジスト層の除去により生じた線変形を回避することができ、パターン形成プロセスの歩留りが改善される。
【0212】
例えば、制限なく、本発明の感光性のポリイミド前駆体組成物は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)の薄いフィルム上に塗布することができる。ベーキングしてフィルムを形成した後、転写し、銅張ラミネートに積層した後、露光により現像して意図したパターンを得る。そしてアミド酸エステルオリゴマーを重合しイミド化して優れた性能をもつポリイミドカバーレイを調製する。
【0213】
フィルムを形成する塗布及びベーキング工程は当技術分野で周知のように実施することができ、転写及び積層工程も同様である。
【0214】
露光工程は、当業者に公知のように、例えば、UV光、可視光、電子線又はレーザー照射、好ましくはUV光を用いて実施することができる。光塩基発生剤を一例にとると、露光工程で、露光領域の光塩基発生剤が分解して塩基性化合物を放出し、こうして閉環反応が起こり保護基D又はEが除去されるのに適した環境が提供される。次いで、場合により、後露光ベーキング工程を行って温度を上昇させることにより、式(1)又は(1')のアミド酸エステルオリゴマーの末端アミノ基の保護基D又はEを除去する。そのような場合、露光領域の塩基性化合物の存在のため、環化が起こり、保護基の除去のために形成された-NH2が他端(即ち、末端のエステル基(-COOR)及びヒドロキシル基(-COOH))と反応することにより重合することができる。
【0215】
アルカリ性環境は本発明による式(1)又は(1')のアミド酸エステルオリゴマーからの保護基の除去を容易にし、環化及び重合反応の生起を容易にすることができる。したがって、露光後のベーキング工程で、保護基は非露光領域のアミド酸エステルオリゴマーから除去されず、重合反応は起こらない。加えて、露光後のベーキング工程によって、フィルムの垂直方向の干渉及び溶媒の大部分を除去することができ、部分的なイミド化及び重合反応もこの工程で起こり得る。本発明によると、露光後のベーキング工程は好ましくは加熱プレート上又はオーブン内で約70〜約150℃において約5〜約30分行う。
【0216】
露光後のベーキング工程の後露光領域におけるアミド酸エステルオリゴマーに対する閉環及び重合の生起のため、露光領域のアミド酸エステルオリゴマーと非露光領域のアミド酸エステルオリゴマーの溶解性には差がある。したがって、非露光領域は現像により溶解させることで除去することができ、次いで残部を水で濯いで意図されたパターンを得る。使用される現像剤は当業者に周知のものである。現像剤の例としては、例えば、限定されることはないが、K2CO3水溶液、Na2CO3水溶液、KOH水溶液、NaOH水溶液、又はTMAH水溶液がある。
【0217】
最後に、パターン化されたフィルムを硬化させて、残留するポリアミド酸をイミド化し、環化してポリイミドを形成し、溶媒並びに光塩基発生剤及び熱塩基発生剤に由来する生成物を除去する。本発明によると、使用した光塩基発生剤の分解後生じた生成物は好ましくは250℃以下、より好ましくは225℃以下の低い沸点を有しているので、この生成物は低温で除去することができる。本発明の1つの実施形態によると、硬化工程は、一段階又は複数の段階で約250〜約350℃の温度において約30〜約180分ベーキングすることを含む。
【0218】
以下の実施例は、本発明の実施形態を例示し、本発明の技術的な特徴を例証するために提供され、本発明の範囲を制限する意図はない。当業者により容易に達成され得るあらゆる変形又は等価な調整は後続の特許請求の範囲によって定義される本発明の保護範囲内に入る。
【実施例】
【0219】
ポリイミド前駆体(アミド酸エステルオリゴマー)及びそれを含有する組成物の調製
(実施例1)
(保護基Dが
【0220】
【化62】
【0221】
である式(1)のアミド酸エステルオリゴマー)
2.181g(0.01mol)のピロメリト酸二無水物(以下PMDAとする)を200gのN-メチル-2-ピロリジノン(以下NMPとする)に溶解し、2時間室温で掻き混ぜた。1.301g(0.01mol)のメタクリル酸2-ヒドロキシエチル(以下HEMAとする)をゆっくり滴下して加え、50℃に加熱し、反応のために2時間にわたって掻き混ぜた。次いで、10.8140g(0.1mol)のパラ-フェニレンジアミン(以下pPDAとする)を溶液に加え、完全に溶解した。次に、19.6308g(0.09mol)のPMDAを加え、反応のために6時間にわたって50℃の固定温度で掻き混ぜた。最後に、2.1003g(0.01mol)の無水トリフルオロ酢酸(以下TFAAとする)を加え、1時間掻き混ぜた。
【0222】
(実施例2)
(保護基Dが
【0223】
【化63】
【0224】
である式(1)のアミド酸エステルオリゴマー)
2.181g(0.01mol)のPMDAを200gのNMPに溶解し、2時間室温で掻き混ぜた。1.301g (0.01mol)のHEMAをゆっくり滴下して加え、50℃に加熱し、反応のために2時間にわたって掻き混ぜた。次いで、10.8140g(0.1mol)のpPDAを溶液に加え、完全に溶解した。次に、19.6308g(0.09mol)のPMDAを加え、反応のために6時間にわたって50℃の固定温度で掻き混ぜた。最後に、3.1005g(0.01mol)のペンタフルオロプロピオン酸無水物(PTFA)を加え、1時間掻き混ぜた。
【0225】
(実施例3)
(保護基Dが
【0226】
【化64】
【0227】
である式(1)のアミド酸エステルオリゴマー)
2.181g(0.01mol)のPMDAを200gのNMPに溶解し、2時間室温で掻き混ぜた。1.301g(0.01mol)のHEMAをゆっくり滴下して加え、50℃に加熱し、反応のために2時間にわたって掻き混ぜた。次いで、10.8140g(0.1mol)のパラ-フェニレンジアミン(pPDA)を溶液に加え、完全に溶解した。次に、19.6308g(0.09mol)のPMDAを加え、反応のために6時間にわたって50℃の固定温度で掻き混ぜた。最後に、0.7408g(0.01mol)のギ酸エチル(EF)を加え、1時間掻き混ぜた。
【0228】
(実施例4)
(保護基Dが
【0229】
【化65】
【0230】
である式(1)のアミド酸エステルオリゴマー)
2.181g(0.01mol)のPMDAを200gのNMPに溶解し、2時間室温で掻き混ぜた。1.301g(0.01mol)のHEMAをゆっくり滴下して加え、50℃に加熱し、反応のために2時間にわたって掻き混ぜた。次いで、10.8140g(0.1mol)のpPDAを溶液に加え、完全に溶解した。次に、19.6308g(0.09mol)のPMDAを加え、反応のために6時間にわたって50℃の固定温度で掻き混ぜた。最後に、2.5870g(0.01mol)の塩化9-フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc-Cl)を加え、1時間撹拌した後、(反応後生成したHClを中和するために)トリエチルアミン(Et3N)を加えた。
【0231】
(実施例5)
(保護基Dが
【0232】
【化66】
【0233】
である式(1)のアミド酸エステルオリゴマー)
2.181g(0.01mol)のPMDAを200gのNMPに溶解し、2時間室温で掻き混ぜた。1.301g(0.01mol)のHEMAをゆっくり滴下して加え、50℃に加熱し、反応のために2時間にわたって掻き混ぜた。次いで、10.8140g(0.1mol)のpPDAを溶液に加え、完全に溶解した。次に、19.6308g(0.09mol)のPMDAを加え、反応のために6時間にわたって50℃の固定温度で掻き混ぜた。最後に、1.7059g(0.01mol)のクロロギ酸ベンジル(BC)を加え、1時間掻き混ぜた後、トリエチルアミン(Et3N)を加えた。
【0234】
(実施例6)
(保護基Dが
【0235】
【化67】
【0236】
である式(1)のアミド酸エステルオリゴマー)
2.181g(0.01mol)のPMDAを200gのNMPに溶解し、2時間室温で掻き混ぜた。1.301g(0.01mol)のHEMAをゆっくり滴下して加え、50℃に加熱し、反応のために2時間にわたって掻き混ぜた。次いで、10.8140g(0.1mol)のpPDAを溶液に加え、完全に溶解した。次に、19.6308g(0.09mol)のPMDAを加え、反応のために6時間にわたって50℃の固定温度で掻き混ぜた。最後に、2.8807g(0.01mol)の2-(ピリジン-4-イル)エチルカルボノクロリデート(carbonochloridate)を加え、1時間掻き混ぜた後、トリエチルアミン(Et3N)を加えた。
【0237】
(実施例7)
(保護基Dが
【0238】
【化68】
【0239】
である式(1)のアミド酸エステルオリゴマー)
2.181g(0.01mol)のPMDAを200gのNMPに溶解し、2時間室温で掻き混ぜた。1.301g(0.01mol)のHEMAをゆっくり滴下して加え、50℃に加熱し、反応のために2時間にわたって掻き混ぜた。次いで、10.8140g(0.1mol)のpPDAを溶液に加え、完全に溶解した。次に、19.6308g(0.09mol)のPMDAを加え、反応のために6時間にわたって50℃の固定温度で掻き混ぜた。最後に、1.1912g(0.01mol)のイソシアン酸フェニルを加え、1時間掻き混ぜた。
【0240】
(実施例8)
(保護基Dが
【0241】
【化69】
【0242】
である式(1)のアミド酸エステルオリゴマー)
2.181g(0.01mol)のPMDAを200gのNMPに溶解し、2時間室温で掻き混ぜた。1.301g(0.01mol)のHEMAをゆっくり滴下して加え、50℃に加熱し、反応のために2時間にわたって掻き混ぜた。次いで、10.8140g(0.1mol)のpPDAを溶液に加え、完全に溶解した。次に、19.6308g(0.09mol)のPMDAを加え、反応のために6時間にわたって50℃の固定温度で掻き混ぜた。最後に、1.7102g(0.01mol)のクロロギ酸1-クロロ-2-メチルプロパン-2-イルを加え、1時間掻き混ぜた後、トリエチルアミン(Et3N)を加えた。
【0243】
(実施例9)
(保護基Eが
【0244】
【化70】
【0245】
である式(1')のアミド酸エステルオリゴマー)
2.181g(0.01mol)のPMDAを200gのNMPに溶解し、2時間室温で掻き混ぜた。1.301g(0.01mol)のHEMAをゆっくり滴下して加え、50℃に加熱し、反応のために2時間にわたって掻き混ぜた。次いで、10.8140g(0.1mol)のpPDAを溶液に加え、完全に溶解した。次に、19.6308g(0.09mol)のPMDAを加え、反応のために6時間にわたって50℃の固定温度で掻き混ぜた。最後に、1.4057g(0.01mol)のベンズアルデヒドを加え、24時間掻き混ぜた。
【0246】
(実施例10)
(保護基Dが
【0247】
【化71】
【0248】
である式(1)のアミド酸エステルオリゴマー)
2.9422g(0.01mol)の4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を200gのNMPに溶解し、50℃に加熱し、反応のために2時間にわたって掻き混ぜた。0.6010gのイソプロピルアルコール(IPA)をゆっくり滴下して加え、反応のために2時間にわたって50℃の固定温度で掻き混ぜた。次いで、20.024g(0.1mol)の4,4'-ジアミノ-ジフェニルエーテル(ODA)を溶液に加え、完全に溶解した。次に、26.4798g(0.09mol)のBPDAを加え、反応のために6時間にわたって50℃の固定温度で掻き混ぜた。最後に、2.1003g(0.01mol)のTFAAを加え、1時間掻き混ぜた。
【0249】
(比較例1)
(保護基は
【0250】
【化72】
【0251】
である)
2.181g(0.01mol)のPMDAを200gのNMPに溶解し、2時間室温で掻き混ぜた。1.301g(0.01mol)のHEMAをゆっくり滴下して加え、50℃に加熱し、反応のために2時間にわたって掻き混ぜた。10.8140g(0.1mol)のpPDAを溶液に加え、完全に溶解した。次いで、19.6308g(0.09mol)のPMDAを加え、反応のために6時間にわたって50℃の固定温度で掻き混ぜた。最後に、2.1825g(0.01mol)の二炭酸ジ-tert-ブチル(Boc2O)を加え、1時間掻き混ぜた。
【0252】
(比較例2)
(保護基は
【0253】
【化73】
【0254】
である)
2.181g(0.01mol)のPMDAを200gのNMPに溶解し、2時間室温で掻き混ぜた。1.301g(0.01mol)のHEMAをゆっくり滴下して加え、50℃に加熱し、反応のために2時間にわたって掻き混ぜた。次いで、10.8140g(0.1mol)のpPDAを溶液に加え、完全に溶解した。次に、19.6308g(0.09mol)のPMDAを加え、反応のために6時間にわたって50℃の固定温度で掻き混ぜた。最後に、1.0209g(0.01mol)の無水酢酸(AA)を加え、1時間掻き混ぜた。
【0255】
(比較例3)
(保護基は
【0256】
【化74】
【0257】
である)
2.181g(0.01mol)のPMDAを200gのNMPに溶解し、2時間室温で掻き混ぜた。1.301g(0.01mol)のHEMAをゆっくり滴下して加え、50℃に加熱し、反応のために2時間にわたって掻き混ぜた。次いで、10.8140g(0.1mol)のpPDAを溶液に加え、完全に溶解した。次に、19.6308g(0.09mol)のPMDAを加え、反応のために6時間にわたって50℃の固定温度で掻き混ぜた。最後に、2.7878g(0.01mol)の塩化トリチル及び触媒のN,N-ジメチルピリジン-4-アミン(4-DMAP)を加え、1時間掻き混ぜた。
【0258】
(比較例4)
(保護基は存在しない)
2.181g(0.01mol)のPMDAを200gのNMPに溶解し、2時間室温で掻き混ぜた。1.301g(0.01mol)のHEMAをゆっくり滴下して加え、50℃に加熱し、反応のために2時間にわたって掻き混ぜた。次いで、10.8140g(0.1mol)のpPDAを溶液に加え、完全に溶解した。次に、19.6308g(0.09mol)のPMDAを加え、反応のために6時間にわたって50℃の固定温度で掻き混ぜた。
【0259】
熱塩基発生剤を含むポリイミド前駆体組成物及びポリイミドの調製
実施例及び比較例で調製したポリイミド前駆体組成物(溶媒はNMPであった)にそれぞれ0.20gの熱塩基発生剤
【0260】
【化75】
【0261】
を加えた。
【0262】
個々のポリイミド前駆体組成物をブレードにより銅張ラミネート上に一様に塗布し、第1の段階では35分以内に室温から150℃まで昇温し、150℃に30分維持され;次に第2の段階では150から250℃まで昇温し、250℃に120分維持された温度のオーブンでベーキングした。ハードベーキングの後、銅張ラミネートをエッチングによって除きポリイミドフィルムを得た。
【0263】
感光性のポリイミド前駆体組成物
実施例及び比較例で調製したポリイミド前駆体組成物にそれぞれ0.2gの熱塩基発生剤(
【0264】
【化76】
【0265】
)及び0.4gの光塩基発生剤(
【0266】
【化77】
【0267】
)を加えて感光性のポリイミド前駆体組成物を得た。
【0268】
試験方法
貯蔵安定性:
実施例及び比較例で調製したポリイミド前駆体組成物を、温度及び湿度が制御された雰囲気(25℃;55%RH)中に入れた。様々な貯蔵時間におけるポリイミド前駆体組成物の粘度の変化を、Brookfield粘度計を用いて測定し、粘度が上昇するか又は最初の粘度の50%に低下する日数を記録した。
【0269】
引張強さ:
引張強さは、万能引張試験機を用いてIPC-TM-650(2.4.19)試験方法に従って測定された、実施例及び比較例で調製したポリイミド前駆体組成物を用いて調製したポリイミドフィルム(銅張ラミネートを除いた後)の機械的特性であった。
【0270】
ポリイミド層の熱膨張係数(CTE)の測定
ポリイミドフィルムのCTEデータは熱機械分析器(TMA、Texas Instruments社製のTA Q400機器)を用いて測定した。測定範囲は0から500℃の間であり、温度は10℃/分で上昇させた。
【0271】
熱劣化試験:
ポリイミドフィルムのTd5%データは熱重量分析器(TMA、Texas Instruments社製のTA Q5000機器)を用いて測定した。測定範囲は0から600℃の間であり、温度は10℃/分で上昇させた。
【0272】
光感受性試験:
実施例1で得られた感光性のポリイミド前駆体組成物を、スピンコーターを用いて銅張ラミネート基材上に一様に塗布した。90℃のオーブン内で3〜5分乾燥した後、UVに露光し、120〜50℃のオーブンで10〜30分ベーキングした。フィルムの厚さは約20μmであった。フィルムを1wt%のK2CO3水溶液に浸し、現像してパターンを形成した。30秒浸した後露光及び非露光領域のフィルムの厚さを測定し、K2CO3水溶液に対する溶解性を計算した。結果はTable 2(表2)に示す。
【0273】
<試験結果>
実施例及び比較例の関連試験結果をTable 1〜2(表1〜2)に示す。
【0274】
【表1】
【0275】
Table 1(表1)から知ることができるように、本発明のポリイミド前駆体組成物は優れた貯蔵安定性を有しており、本発明のポリイミド前駆体組成物を用いて調製したポリイミドは総じて良好な引張強さ及び高い熱劣化温度を有する。更に、本発明のポリイミド前駆体組成物は、応用の実用分野に応じて選択して、適切な熱膨張係数を有するポリイミドを調製することができる。
【0276】
【表2】
【0277】
Table 2(表2)から知ることができるように、本発明の感光性のポリイミド前駆体組成物の現像後、露光後の露光及び非露光領域の組成物の溶解性に著しい差があり、それにより非露光領域の組成物は除去することができ、意図したパターンが残る。したがって、本発明の感光性のポリイミド前駆体組成物は、光感知による現像及びパターン形成プロセスに適用可能であり、フォトレジスト、半導体の緩衝層、ICパッケージの再配線及びカバーレイに、従来の感光性のポリイミドの代わりに使用することができる。
【0278】
本発明の上記実施形態は説明のためだけのものである。数々の代替実施形態が以下の特許請求の範囲の範囲から逸脱することなく当業者によって考案され得る。