特許第6676054号(P6676054)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6676054
(24)【登録日】2020年3月13日
(45)【発行日】2020年4月8日
(54)【発明の名称】ダイアフラムダンパ
(51)【国際特許分類】
   F02M 59/44 20060101AFI20200330BHJP
   F16F 9/32 20060101ALI20200330BHJP
   F16F 9/04 20060101ALI20200330BHJP
   F02M 55/00 20060101ALI20200330BHJP
   B23K 26/21 20140101ALI20200330BHJP
【FI】
   F02M59/44 E
   F16F9/32 V
   F16F9/04
   F02M55/00 E
   B23K26/21 N
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-532534(P2017-532534)
(86)(22)【出願日】2016年7月28日
(86)【国際出願番号】JP2016072113
(87)【国際公開番号】WO2017022603
(87)【国際公開日】20170209
【審査請求日】2019年1月22日
(31)【優先権主張番号】特願2015-152619(P2015-152619)
(32)【優先日】2015年7月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000101879
【氏名又は名称】イーグル工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】岩 俊昭
(72)【発明者】
【氏名】小川 義博
(72)【発明者】
【氏名】藤原 靖
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 裕亮
【審査官】 首藤 崇聡
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2005/026585(WO,A1)
【文献】 特開2013−227877(JP,A)
【文献】 特開2006−159240(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 59/44
F16F 9/04
F02M 55/00
F16J 3/02
F16J 15/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のダイアフラムと、前記一対のダイアフラムから構成されると共に高圧ガスが封入される高圧室とを有するダイアフラムダンパにおいて、
前記一対のダイアフラムの周縁部は、前記ダイアフラムダンパの外周端部を形成し、前記外周端部の全周は、レーザ溶接により連続的に密封及び接合され、
前記外周端部の先端の厚みは、前記外周端部の先端におけるレーザ光のスポット径に対応するように設定され、
溶接により、前記外周端部の先端の全域に溶接ビードが形成され
前記ダイアフラムダンパは、更に、前記一対のダイアフラムのそれぞれを支持する第1カバー部材と第2カバー部材とを有し、
前記第1及び第2カバー部材は、前記一対のダイアフラムの周縁部を挟持する挟持部をそれぞれ有し、
前記第1カバー部材の挟持部及び前記第2カバー部材の挟持部は、勾配を有する外面をそれぞれ有し、前記各勾配は、前記各挟持部の先端に向かうに従い前記各挟持部の厚みが小さくなるように、それぞれ設定されている、ダイアフラムダンパ。
【請求項2】
前記一対のダイアフラムは、前記第1カバー部材及び前記第2カバー部材により外側からそれぞれ覆われ、前記一対のダイアフラムの周縁部は、相互に重ね合わされ、前記重ね合わされた周縁部は、前記第1カバー部材及び前記第2カバー部材の各挟持部により挟持され、
前記外周端部は、前記一対のダイアフラムの周縁部と、前記第1カバー部材及び前記第2カバー部材の各挟持部とを含む、請求項1に記載のダイアフラムダンパ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば高圧燃料ポンプなどの脈動が生じる箇所に用いられる脈動吸収用のダイアフラムダンパに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の脈動を吸収する装置として、たとえば、高圧燃料ポンプの流体通路内に設けたダンパ装置が知られている(以下、「従来技術」という。たとえば、特許文献1参照。)。この従来技術では、ダンパ装置が、高圧燃料ポンプから吐出される燃料圧の脈動を吸収する。その結果、燃料圧の脈動幅が小さくなり、燃料の噴射量が安定化する。
【0003】
この従来技術に係るダンパ装置は、図4(a)に示すように、第1ダイアフラム50と、第2ダイアフラム55と、第1ダイアフラム50を下方から支持する第1支持部材60と、第2ダイアフラム55を上方から支持する第2支持部材65とを備えている。第1ダイアフラム50は、金属製の薄板からなり、周縁部51と、周縁部51に対し下方に凹む中央部52とを有し、皿状に形成されている。第2ダイアフラム55も、金属製の薄板からなり、周縁部56と、周縁部56に対し上方に凹む中央部57とを有し、皿状に形成されている。
【0004】
第1ダイアフラム50の周縁部51と第2ダイアフラム55の周縁部56とは、互いに重ね合わされている。周縁部51及び周縁部56は、第1支持部材60の第1挟持部61と第2支持部材65の第2挟持部66とにより、上下方向から挟持されている。第1挟持部61及び第2挟持部66の厚みは、周縁部51及び周縁部56の厚みよりも大きく、また、径方向の位置によらず一定の長さを有している。
【0005】
第1ダイアフラム50の周縁部51、第2ダイアフラム55の周縁部56、第1挟持部61及び第2挟持部66は、レーザ溶接により、周縁部及び挟持部の全周に亘って接合される。具体的には、図4(b)に示すように、第1ダイアフラム50の周縁部51、第2ダイアフラム55の周縁部56、第1挟持部61及び第2挟持部66の4枚の部材を重ね合わせた状態で、これらの端面に対して直交する方向にレーザービーム70を照射する。周縁部51,56及び第1及び第2挟持部61,66は、これらの全周に亘ってヘリ溶接が連続的に行われることで、封止及び接合される。その際、図4(b)のハッチングで示すように、溶接領域71の端面の径dは、第1ダイアフラム50の周縁部51、第2ダイアフラム55の周縁部56、第1挟持部61及び第2挟持部66の各端面の厚みを合計した厚みtよりも小さい。また、溶接領域71の径は、溶接領域71の端面から奥に向うにつれて小さくなる。このため、第1挟持部61及び第2挟持部66のいずれの表面にも、溶接領域71は露出しない。
【0006】
このため、溶接領域71の端面から奥へと溶接が進行した程度、すなわち、溶け込み量の程度を確認することができない。溶接領域71の端面が小さければ溶接領域71の奥行き距離も小さいとは限らない。逆に、溶接領域71の端面が大きければ溶接領域71の奥行き距離も大きいとは限らない。このため、溶接不足あるいは溶接過剰となり、設計通りの溶接結果が得られず、ダンパ装置本来の性能が十分に発揮されない虞があった。また、従来の溶接方法では、経験により入熱量を加減するため、溶け込み量を一定にすることが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013−227877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、外面からの観察により溶接部の溶け込み量を確認でき、かつ溶接部の溶け込み量を一定の範囲に制御できるダイアフラムダンパを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題点を解決するため、本発明の第一の態様によれば、一対のダイアフラムと、一対のダイアフラムから構成されると共に高圧ガスが封入される高圧室とを有するダイアフラムダンパにおいて、一対のダイアフラムの周縁部は、ダイアフラムダンパの外周端部を形成し、外周端部の全周は、レーザ溶接により連続的に密封及び接合され、外周端部の先端の厚みは、外周端部の先端におけるレーザ光のスポット径に対応するように設定され、溶接により、外周端部の先端の全域に溶接ビードが形成される。
【0010】
この特徴によれば、溶接後の溶接ビードの外径及び幅から、溶け込み量を推定することが可能となる。また、外周端部の先端が溶け始めるときの入熱と、金属伝熱による放熱とのバランスが良好になる。このため、溶け込み深さが安定し、外周端部の全周に亘って溶け込み量を一定に維持することができる。さらに、レーザ光の中心が外周端部の先端の厚みの中心からずれても、溶接ビードは、外周端部の先端の全域に形成される。よって、レーザ光の中心が外周端部の先端の厚みの中心からずれたことによる影響はなく、溶け込み量を一定に維持することができる。さらに、外周端部にうねりが生じている場合でも、溶け込み量を一定に維持することができる。
【0011】
上記のダイアフラムダンパにおいて、ダイアフラムダンパは、更に、一対のダイアフラムのそれぞれを支持する第1カバー部材と第2カバー部材とを有し、第1及び第2カバー部材は、一対のダイアフラムの周縁部を挟持する挟持部をそれぞれ有し、第1カバー部材の挟持部及び第2カバー部材の挟持部は、勾配を有する外面をそれぞれ有し、各勾配は、各挟持部の先端に向かうに従い各挟持部の厚みが小さくなるように、それぞれ設定されていることが好ましい。
【0012】
この特徴によれば、外周端部の先端から奥へと徐々に入熱によるエネルギが拡散し、外周端部の溶接領域の厚み方向の全体を溶け込み領域とすることができる。よって、外周端部の外面から、溶け込み領域を確認することができる。
【0013】
上記のダイアフラムダンパにおいて、一対のダイアフラムは、第1カバー部材及び第2カバー部材により外側からそれぞれ覆われ、一対のダイアフラムの周縁部は、相互に重ね合わされ、重ね合わされた周縁部は、第1カバー部材及び第2カバー部材の各挟持部により挟持され、外周端部は、一対のダイアフラムの周縁部と、第1カバー部材及び第2カバー部材の各挟持部とを含むことが好ましい。
【0014】
この特徴によれば、溶接ビードの外径及び幅から、一対のダイアフラムと第1カバー部及び第2カバー部とを確実に一体化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施例1に係るダイアフラムダンパを示す縦断面図。
図2】(a)はダイアフラムダンパの外周端部を拡大して示す部分断面図、(b)はレーザ光の照射位置が中心x−xからずれたときの溶接状態を示す部分断面図。
図3】ダイアフラムダンパの外周端部の溶接後の状態を示す部分断面図。
図4】(a)は従来のダイアフラムダンパを示す縦断面図、(b)はダイアフラムダンパの溶接状態を示す部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて図面を参照しつつ説明する。本発明の範囲は、特に明示しない限り、この実施例の構成部品の寸法、材質、形状、構成部品の相対的配置などに限定されない。
【実施例1】
【0017】
以下、本発明の実施例1に係るダイアフラムダンパについて、図1図3を参照して説明する。本発明に係るダイアフラムダンパは、燃料タンクから供給される燃料をプランジャの往復動によって加圧してインジェクタへ圧送する高圧ポンプに使用されている。
【0018】
この種の高圧ポンプの燃料入口付近には、燃料チャンバが形成されている。高圧ポンプでは、プランジャが下降するときに燃料チャンバから加圧室へ燃料が吸入される「吸入工程」と、プランジャが上昇するときに加圧室の燃料の一部が燃料チャンバへ戻される「調量工程」と、吸入弁を閉じた後にプランジャがさらに上昇するときに燃料が加圧される「加圧工程」とが繰り返される。これにより、高圧ポンプは、燃料を加圧し、加圧した燃料を吐出する。本発明に係るダイアフラムダンパは、このような高圧ポンプの燃料チャンバにおいて発生する脈動を低減するために使用される。
【0019】
図1に示すように、高圧ポンプのハウジング1は、外部から供給された燃料を収容可能な燃料チャンバ2などを有する。燃料チャンバ2は、ハウジング1の上部3と、ハウジング1の上部に被せられて固定された有底筒状のカバー4の内面とにより形成されている。図示しないが、カバー4の下部は、ハウジング1に対して密に接合されている。
【0020】
燃料チャンバ2内には、2つのダイアフラムダンパ10が設置されている。2つのダイアフラムダンパ10は、上下方向に配列されている。上方のダイアフラムダンパ10の基本構造は、下方のダイアフラムダンパ10のそれと同じである。2つのダイアフラムダンパ10は、クリップ11により互いに固定されている。
【0021】
ダイアフラムダンパ10は、ハウジング1の上部3に載置されている。カバー4の内側には、保持部材13が設けられている。コイルドウェーブスプリング12は、保持部材13を介して、ダイアフラムダンパ10の上方に固定されている。フラムダンパ10は、コイルドウェーブスプリング12により下方に押しつけられることで、ハウジング1に固定されている。
【0022】
ダイアフラムダンパ10は、一対の円盤状のダイアフラム15,15を有している。また、ダイアフラムダンパ10は、一対のダイアフラム15,15から構成されると共に高圧ガスが封入される高圧室16を有している。一対の円盤状のダイアフラム15,15は、円盤状の第1カバー部材17及び第2カバー部材18により、外側からそれぞれ覆われている。高圧室16内には、一対のゴム状弾性部材14,14が上下方向に配列されて、設置されている。
【0023】
一対のダイアフラム15,15は、可撓性の薄い金属板からなり、同一形状に成形されている。ダイアフラム15,15は、中央部15b,15bが可撓性を有するように、それぞれ形成されている。第1カバー部材17及び第2カバー部材18は、金属からなり、ダイアフラム15,15をそれぞれ支持し、ダイアフラム15,15よりも大きい厚さを有している。
【0024】
図1及び図2に示すように、ダイアフラム15,15の周縁部15a,15aは、相互に重ね合わされている。また、重ね合わされた周縁部15a,15aは、第1カバー部材17の周縁部の挟持部17aと第2カバー部材18の周縁部の挟持部18aとにより、挟持されている。
【0025】
ダイアフラム15,15の周縁部15a,15a、第1カバー部材17の挟持部17a及び第2カバー部材の挟持部18aは、重ね合わされた状態で、ダイアフラムダンパ10の外周端部Aを形成している。外周端部Aは、外周端部Aの全周に亘って、レーザ溶接により連続的に密封及び接合される。
【0026】
レーザ溶接の際、第1カバー部材17は、第1治具19により保持され、第2カバー部材18は、第2治具20に保持される。また、第1治具19及び第2治具20を近接させることにより、ダイアフラム15,15の周縁部15a,15a、第1カバー部材17の挟持部17a及び第2カバー部材18の挟持部18aは、互いに密着した状態に維持される。
【0027】
レーザ溶接として、たとえば、YAGレーザによるシーム溶接が用いられる。溶接時、第1治具19及び第2治具20に保持された一対のダイアフラム15,15、第1カバー部材17及び第2カバー部材18を、図2(a)の鉛直軸を中心に回転させる。それと共に、レーザ装置の出射ユニット21から、レーザ光Lを、一対のダイアフラム15,15の周縁部15a,15a、第1カバー部材17の挟持部17a及び第2カバー部材18の挟持部18aからなる外周端部Aに対して、回転軸線と直交する方向に照射する。こうして、外周端部Aの全周が溶接される。それにより、溶接ビード22が外周端部Aの全周に亘り形成されて、高圧室16が密封される。
【0028】
本発明において、外周端部Aの先端の厚みtは、外周端部Aの先端におけるレーザ光Lのスポット径dに対応するように設定される。スポット径dとは、レーザ光Lの照射によりレーザ集光系の周りが熱で溶融する領域の径を意味する。スポット径dは、加工点での集光サイズよりも大きい。
【0029】
一般に、第1カバー部材17及び第2カバー部材18には、ダイアフラム15,15を支持する必要があるため、厚さの大きい部材が用いられる。このため、外周端部Aの先端の厚みtは、外周端部Aの先端におけるレーザ光Lのスポット径dよりも大きい。
【0030】
本例では、図2(a)に示すように、第1カバー部材17の挟持部17a及び第2カバー部材の挟持部18aは、勾配17b,18bを有する外面をそれぞれ有している。勾配17b,18bは、挟持部17a及び挟持部18aの各先端に向かうに従い各挟持部の厚みが小さくなるように、それぞれ設定されている。また、勾配17b,18bは、外周端部Aの先端の厚みtとレーザ光Lのスポット径dとがほぼ同一になるように、それぞれ設定されている。
【0031】
外周端部Aの先端の厚み方向の全域にレーザ光Lが照射されるには、レーザ光Lのスポット径dと外周端部Aの先端の厚みtとが、スポット径d>厚みtの関係式を満たしていればよい。但し、強度上の要請から、外周端部Aの先端の厚みtを、過度に小さくすることはできない。一方、レーザ光Lのスポット径dは、レーザ装置及び被溶接部材の材質などの溶接条件により決定される。
【0032】
また、後述するように、外周端部Aは、製造上の誤差などにより、多少のうねりを有している。このうねりも考慮すると、レーザ光Lのスポット径dは、外周端部Aの先端の厚みtよりわずかに大きく設定されることが好ましい。
【0033】
外周端部Aの先端の厚みtとレーザ光Lのスポット径dとがほぼ同一に設定されると、外周端部Aの先端が溶け始めるときの入熱と、金属伝熱による放熱とのバランスが良好になる。このため、溶け込み深さhが安定し、外周端部Aの全周に亘って溶け込み量が一定に維持される。
【0034】
また、溶接開始時には、外周端部Aの先端の全面が溶け込み領域となる。このため、図3に示すように、溶接後には、外周端部Aの先端の全域に、溶接ビード22が形成される。このため、溶接後の溶接ビード22の外径D及び幅Bから、溶け込み量を推定することが可能となる。
【0035】
さらに、第1カバー部材17の挟持部17a及び第2カバー部材の挟持部18aは、勾配17b,18bを有する外面をそれぞれ有している。勾配17b,18bは、挟持部17a及び挟持部18aの各先端に向うに従い各挟持部の厚みが小さくなるように、それぞれ設定されている。このため、外周端部Aの先端から奥へと徐々に入熱によるエネルギが拡散し、外周端部Aの溶接領域の厚み方向の全体を溶け込み領域とすることができる。よって、外周端部Aの外面から、溶け込み領域を確認することができる。
【0036】
次に、レーザ光の照射位置が中心からずれた場合の溶接について、図2(b)を参照して説明する。
例えば、レーザ光の中心が、外周端部Aの先端の厚みtの中心x−xよりも下方にずれた場合を想定する。本発明によれば、外周端部Aの先端の容積が小さいため、レーザ光の中心が中心x−xよりも下方にずれても、溶接ビード22の下端は、外周端部Aの下端が限界である。よって、溶接ビード22は、外周端部Aの下端を越えて大きくはならない。一方、溶接ビードの上端は、外周端部Aの上端まで形成される。このため、結局、溶接ビード22は、外周端部Aの先端の全域に形成される。よって、レーザ光の中心が外周端部Aの先端の厚みtの中心x−xからずれたことによる影響はない。よって、溶け込み量を一定に維持することができる。
【0037】
特に、一対のダイアフラム15,15、第1カバー部材17及び第2カバー部材18を回転させながらレーザ光Lを照射して溶接する場合、外周端部Aに多少のうねりが生じていることがある。このような場合、従来の溶接方法では、溶け込み量が変化することがあるが、本発明であれば、溶け込み量を一定に維持することができる。
【0038】
上記したように、実施例1では、以下のような顕著な効果を奏する。
(1)外周端部Aの先端の厚みtは、レーザ光Lのスポット径dと対応するように設定されている。この構成によれば、溶接後の外周端部Aの先端の全域に溶接ビード22が形成されるため、溶接後の溶接ビードの外径D及び幅Bから、溶け込み量を推定することが可能となる。
【0039】
(2)外周端部Aの先端の厚みtは、レーザ光Lのスポット径dとほぼ同一に設定されている。この構成によれば、外周端部Aの先端が溶け始めるときの入熱と、金属伝熱による放熱とのバランスが良好になる。このため、溶け込み深さhが安定し、外周端部Aの全周に亘って溶け込み量が一定に維持される。
【0040】
(3)第1カバー部材17の挟持部17a及び第2カバー部材の挟持部18aは、勾配17b,18bを有する外面をそれぞれ有している。勾配17b,18bは、挟持部17a及び挟持部18aの各先端に向かうに従い各挟持部の厚みが小さくなるように、それぞれ設定されている。このため、外周端部Aの先端から奥へと徐々に入熱によるエネルギが拡散し、外周端部Aの溶接領域の厚み方向の全体を溶け込み領域とすることができる。よって、外周端部Aの外面から、溶け込み領域を確認することができる。
【0041】
(4)外周端部Aの先端の容積が小さいため、レーザ光の中心が外周端部Aの先端の厚みtの中心x−xからずれても、溶接ビード22は、外周端部Aの先端の全域に形成される。よって、レーザ光の中心が外周端部Aの先端の厚みtの中心x−xからずれたことによる影響はない。よって、溶け込み量を一定に維持することができる。
【0042】
(5)一対のダイアフラム15,15、第1カバー部材17及び第2カバー部材18を回転させながらレーザ光Lを照射して溶接する場合、外周端部Aに多少のうねりが生じていることがある。このような場合でも、溶け込み量を一定に維持することができる。
【0043】
以上、本発明の実施例を図面により説明したが、具体的な構成は実施例に限られない。本発明には、その要旨を逸脱しない範囲での変更や追加が含まれる。
前記実施例では、第1カバー部材17の挟持部17a及び第2カバー部材の挟持部18aの勾配17b,18bは、各挟持部17a,18aの先端に向かうに従い各挟持部17a,18aの厚みが小さくなるように直線的に変化していたが、外側に凸又は内側に凹となるように曲線的に変化してもよい。
【0044】
前記実施例では、外周端部Aの先端の厚みtがレーザ光Lのスポット径dと「ほぼ同一」、あるいは、レーザ光Lのスポット径dが外周端部Aの先端の厚みtより「わずかに大きく」設定されるという表現を用いた。要は、溶接後の外周端部Aの先端の全域に溶接ビード22が形成されるように、外周端部Aの先端の厚みtを、レーザ光Lのスポット径dと対応するように設定すればよい。
【符号の説明】
【0045】
1…ハウジング、2…燃料チャンバ、3…ハウジングの上部、4…カバー、10…ダイアフラムダンパ、11…クリップ、12…コイルドウェーブスプリング、13…保持部材、14…ゴム状弾性部材、15…ダイアフラム、15a…周縁部、15b…中央部、16…高圧室、17…第1カバー部材、17a…挟持部、17b…勾配、18…第2カバー部材、18a…挟持部、18b…勾配、19…第1治具、20…第2治具、21…出射ユニット、22…溶接ビード、A…外周端部、L…レーザ光、t…外周端部の先端の厚み、d…レーザ光の外周端部の先端におけるスポット径、h…溶け込み深さ。
図1
図2
図3
図4