【課題を解決するための手段】
【0008】
本出願人は、炭化水素系油中の、ポリマー及び/又は安定剤が特定のシリコーンマクロモノマーを含む、アクリル酸C
8〜C
22アルキルポリマーをベースとする特定の安定剤で安定化された(メタ)アクリル酸C
1〜C
4アルキルポリマー粒子の新規分散体が、とりわけ室温(25℃)での7日間貯蔵後に良好な安定性を有し、多数の合成工程を使用することなしに工業的に製造するのが容易であり、また、支持体に適用後に、良好な化粧特性、特に良好な光沢及び良好な耐油性を有する皮膜を得るのを可能にすることを発見した。これらの分散体はまた、分散媒体が、分散体中に存在する油の総質量に対して25質量%までのシリコーン油を含むとき特に、シリコーン油との良好な相溶性を有する。
【0009】
したがって、本発明の一主題は、少なくとも1種の炭化水素系油を含有する非水性媒体中の安定剤で安定化された少なくとも1種のポリマーの粒子の分散体であり、粒子のポリマーは、(メタ)アクリル酸C
1〜C
4アルキル及び任意選択で本明細書において下で定義されるシリコーンマクロモノマー(I)のポリマーであり、安定剤は、安定剤の総質量に対して、50質量%から100質量%のアクリル酸C
8〜C
22アルキル、0から50質量%の(メタ)アクリル酸C
1〜C
4アルキル及び任意選択で本明細書において下で定義されるシリコーンマクロモノマー(I)を含むポリマーであり、
安定剤及び/又は粒子のポリマーは、少なくともシリコーンマクロモノマー(I)を含み、
(i)安定剤がシリコーンマクロモノマー(I)を含むとき、マクロモノマーは、安定剤及び粒子のポリマーの組合せの総質量に対して5.5質量%以下の含量で安定剤中に存在し、粒子のポリマーは、前記シリコーンマクロモノマー(I)を、安定剤及び粒子のポリマーの組合せの総質量に対して28質量%以下の含量で任意選択で含み、
(ii)粒子のポリマーがシリコーンマクロモノマー(I)を含み、安定剤がシリコーンマクロモノマー(I)を含まないとき、マクロモノマーは、安定剤及び粒子のポリマーの組合せの総質量に対して18質量%以下の含量で存在する。
【0010】
安定剤及び/又は粒子のポリマー中のシリコーンマクロモノマー(I)の存在は、特に室温(25℃)での7日間貯蔵後に安定なポリマー分散体を得ることを可能にする。
【0011】
本発明の別の主題は、生理学的に許容される媒体中に、前に定義したポリマー粒子分散体を含む組成物である。
【0012】
本発明の主題はまた、ケラチン物質への前に定義した組成物の適用を含む、ケラチン物質の非治療的美容処置のための方法である。この処置方法は、特に、ケラチン物質をケア又はメイクアップするための方法である。
【0013】
したがって、本発明による分散体は、一般に球状である、非水性媒体中の少なくとも1種のポリマーの粒子から構成される。
【0014】
粒子のポリマーは、(メタ)アクリル酸C
1〜C
4アルキルポリマーである。
【0015】
(メタ)アクリル酸C
1〜C
4アルキルモノマーは、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル及び(メタ)アクリル酸tert-ブチルから選択できる。
【0016】
アクリル酸C
1〜C
4アルキルモノマーが、有利には使用される。優先的には、粒子のポリマーは、アクリル酸メチル及び/又はアクリル酸エチルポリマーである。
【0017】
粒子のポリマー及び/又は安定剤は、下の式(I)のモノマクリロイルオキシ(monomacryloyloxy)又はモノメタクリロイルオキシ末端基を含むポリジメチルシロキサンマクロモノマー(以下ではシリコーンマクロモノマーと呼ぶ)を含んでいてもよい。
【0018】
【化1】
【0019】
式中、
- R8は、水素原子又はメチル基、好ましくはメチルを意味し、
- R9は、1個から10個の炭素原子を含有し、好ましくは、2個から4個の炭素原子を含有し、1つ又は2つの-O-エーテル結合を任意選択で含有する、直鎖状又は分岐状、好ましくは直鎖状、二価炭化水素系基、好ましくはエチレン、プロピレン又はブチレン基を意味し、
- R10は、1個から10個の炭素原子、とりわけ2個から8個の炭素原子を含有する、直鎖状又は分岐状アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル又はペンチルを意味し、
- nは、1から300の範囲、好ましくは3から200の範囲、優先的には5から100の範囲の整数を意味する。
【0020】
モノメタクリロイルオキシプロピルポリジメチルシロキサン、例えばGelest Inc社によりMCR-M07、MCR-M17、MCR-M11及びMCR-M22又は信越化学工業株式会社によりX-22-2475、X-22-2426及びX-22-174DXの名称で販売されているものを特に使用できる。
【0021】
粒子のポリマーはまた、少なくとも1つのカルボン酸、リン酸又はスルホン酸官能基を含むエチレン性不飽和酸モノマー、例えば、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、スチレンスルホン酸、ビニル安息香酸、ビニルリン酸、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミドプロパンスルホン酸又はアクリルアミドグリコール酸、及びそれらの塩からとりわけ選択される、エチレン性不飽和酸モノマー又はその無水物を含んでいてもよい。
【0022】
好ましくは、エチレン性不飽和酸モノマーは、(メタ)アクリル酸、マレイン酸及び無水マレイン酸から選択される。
【0023】
塩は、アルカリ金属、例えば、ナトリウム又はカリウムの塩;アルカリ土類金属、例えば、カルシウム、マグネシウム又はストロンチウムの塩;金属塩、例えば、亜鉛、アルミニウム、マンガン又は銅;式NH
4+のアンモニウム塩;第四級アンモニウム塩;有機アミンの塩、例えば、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミン、2-ヒドロキシエチルアミン、ビス(2-ヒドロキシエチル)アミン又はトリス(2-ヒドロキシエチル)アミンの塩;リシン又はアルギニン塩から選択できる。
【0024】
したがって、粒子のポリマーは、ポリマーの総質量に対して、62質量%から100質量%の(メタ)アクリル酸C
1〜C
4アルキル
及び0から38質量%のシリコーンマクロモノマー(I)
及び0から20質量%のエチレン性不飽和酸モノマー
を含んでいても、又は、それらから本質的に構成されていてもよい。
【0025】
本発明の第1の実施形態によれば、ポリマーは、1種又は複数の(メタ)アクリル酸C
1〜C
4アルキルモノマーのポリマーから本質的になる。
【0026】
本発明の第2の実施形態によれば、ポリマーは、(メタ)アクリル酸C
1〜C
4と(メタ)アクリル酸又は無水マレイン酸とのコポリマーから本質的になる。
【0027】
第3の実施形態によれば、ポリマーは、(メタ)アクリル酸C
1〜C
4とシリコーンマクロモノマー(I)とのコポリマーから本質的に構成される。
【0028】
本発明の第4の実施形態によれば、ポリマーは、(メタ)アクリル酸C
1〜C
4と、(メタ)アクリル酸又は無水マレイン酸と、シリコーンマクロモノマー(I)とのコポリマーから本質的に構成される。
【0029】
粒子のポリマーは、
アクリル酸メチルホモポリマー
アクリル酸メチル/シリコーンマクロモノマー(I)コポリマー
アクリル酸エチルホモポリマー
アクリル酸エチル/シリコーンマクロモノマー(I)コポリマー
アクリル酸メチル/アクリル酸エチルコポリマー
アクリル酸メチル/アクリル酸エチル/シリコーンマクロモノマー(I)コポリマー
アクリル酸メチル/アクリル酸エチル/アクリル酸コポリマー
アクリル酸メチル/アクリル酸エチル/アクリル酸/シリコーンマクロモノマー(I)コポリマー
アクリル酸メチル/アクリル酸エチル/無水マレイン酸コポリマー
アクリル酸メチル/アクリル酸エチル/無水マレイン酸/シリコーンマクロモノマー(I)コポリマー
アクリル酸メチル/アクリル酸コポリマー
アクリル酸メチル/アクリル酸/シリコーンマクロモノマー(I)コポリマー
アクリル酸エチル/アクリル酸コポリマー
アクリル酸エチル/アクリル酸/シリコーンマクロモノマー(I)コポリマー
アクリル酸メチル/無水マレイン酸コポリマー
アクリル酸メチル/無水マレイン酸/シリコーンマクロモノマー(I)コポリマー
アクリル酸エチル/無水マレイン酸/シリコーンマクロモノマー(I)コポリマー
アクリル酸エチル/無水マレイン酸コポリマーから、
好ましくは、
アクリル酸メチル/アクリレートコポリマー
アクリル酸メチル/アクリル酸エチル/シリコーンマクロモノマー(I)コポリマー
アクリル酸メチル/アクリル酸エチル/アクリル酸コポリマー
から選択できる。
【0030】
有利には、粒子のポリマーは、非架橋ポリマーである。
【0031】
分散体の粒子のポリマーは、好ましくは、2000から10000000の範囲、好ましくは150000から500000の範囲の数平均分子量を有する。
【0032】
粒子のポリマーは、分散体の総質量に対して20質量%から60質量%の範囲の含量で分散体中に存在しうる。
【0033】
安定剤は、50質量%から100質量%、好ましくは、60質量%から95質量%のアクリル酸C
8〜C
22アルキル、0から50質量%、好ましくは5質量%から40質量%の(メタ)アクリル酸C
1〜C
4アルキル、及び任意選択で前述のシリコーンマクロモノマー(I)を含むポリマーである。安定剤は、好ましくは、統計的ポリマーである。
【0034】
アクリル酸C
8〜C
22アルキルは、直鎖状、分岐状又は環状アルキル基、例えば2-エチルヘキシル、イソボルニル、ラウリル、ベヘニル又はステアリル基を含んでいてもよい。
【0035】
好ましくは、アクリル酸イソボルニル及びアクリル酸2-エチルヘキシルが使用される。アクリル酸イソボルニルが、優先的には使用される。
【0036】
有利には、安定剤は、
アクリル酸2-エチルヘキシルホモポリマー
アクリル酸イソボルニルホモポリマー
アクリル酸イソボルニル/アクリル酸メチルコポリマー
アクリル酸2-エチルヘキシル/アクリル酸メチルコポリマー
アクリル酸イソボルニル/アクリル酸メチル/アクリル酸エチルコポリマー
アクリル酸2-エチルヘキシル/アクリル酸メチル/アクリル酸エチルコポリマー
アクリル酸イソボルニル/アクリル酸メチル/アクリル酸エチル/シリコーンマクロモノマー(I)コポリマー
アクリル酸2-エチルヘキシル/アクリル酸メチル/アクリル酸エチル/シリコーンマクロモノマー(I)コポリマー
から選択される。
【0037】
安定化ポリマーは、好ましくは10000から400000の範囲、好ましくは20000から200000の範囲の数平均分子量を有する。
【0038】
安定剤は、ポリマー粒子の表面と接触しており、したがって、分散体の非水性媒体中にこれらの粒子を分散させておくために、これらの粒子を表面で安定化させることを可能にする。したがって、ポリマー粒子は、安定剤により表面安定化される。安定剤は、粒子のポリマーとは異なるポリマーであり、安定剤は、粒子のポリマーとの共有結合を形成しない。
【0039】
本発明による第1の実施形態によれば、シリコーンマクロモノマー(I)は、分散体の安定剤中に存在し、粒子のポリマー中に存在しない。
【0040】
シリコーンマクロモノマー(I)は、安定剤及び粒子のポリマーの組合せの総質量に対して、5.5質量%以下、特に0.1質量%から5.5質量%の範囲の含量で安定剤中に存在する。特に、シリコーンマクロモノマー(I)は、安定剤の総質量に対して、0.1質量%から35質量%の範囲の含量で安定剤中に存在していてもよい。
【0041】
有利には、分散体中に存在する安定剤及び粒子のポリマーの組合せは、安定剤及び粒子のポリマーの組合せの総質量に対して、5質量%から50質量%の重合アクリル酸C
8〜C
22アルキル、44.5質量%から89.5質量%の重合(メタ)アクリル酸C
1〜C
4アルキル及び0.1質量%から5.5質量%のシリコーンマクロモノマー(I)を含む。
【0042】
優先的には、分散体中に存在する安定剤及び粒子のポリマーの組合せは、安定剤及び粒子のポリマーの組合せの総質量に対して、6質量%から30質量%の重合アクリル酸C
8〜C
22アルキル、64.5質量%から93.9質量%の重合(メタ)アクリル酸C
1〜C
4アルキル及び0.1質量%から5.5質量%のシリコーンマクロモノマー(I)を含む。
【0043】
本発明による第2の実施形態によれば、シリコーンマクロモノマー(I)は、分散体の安定剤中及び粒子のポリマー中に存在する。
【0044】
シリコーンマクロモノマー(I)は、安定剤及び粒子のポリマーの組合せの総質量に対して、5.5質量%以下、特に0.1質量%から5.5質量%の範囲の含量で安定剤中に存在し、安定剤及び粒子のポリマーの組合せの総質量に対して、28質量%以下、特に0.1質量%から28質量%の範囲の含量で粒子のポリマー中に存在する。
【0045】
特に、シリコーンマクロモノマー(I)は、安定剤の総質量に対して、0.1質量%から35質量%の範囲の含量で安定剤中に存在していてもよく、粒子のポリマーの総質量に対して、0.1質量%から38質量%の範囲の含量で粒子のポリマー中に存在していてもよい。
【0046】
有利には、分散体中に存在する安定剤及び粒子のポリマーの組合せは、安定剤及び粒子のポリマーの組合せの総質量に対して、5質量%から50質量%の重合アクリル酸C
8〜C
22アルキル、16.5質量%から94.9質量%の重合(メタ)アクリル酸C
1〜C
4アルキル及び0.1質量%から33.5質量%のシリコーンマクロモノマー(I)を含む。
【0047】
優先的には、分散体中に存在する安定剤及び粒子のポリマーの組合せは、安定剤及び粒子のポリマーの組合せの総質量に対して、6質量%から30質量%の重合アクリル酸C
8〜C
22アルキル、36.5質量%から93.9質量%の重合(メタ)アクリル酸C
1〜C
4アルキル及び0.1質量%から33.5質量%のシリコーンマクロモノマー(I)を含む。
【0048】
本発明による第3の実施形態によれば、シリコーンマクロモノマー(I)は、分散体の粒子のポリマー中に存在し、安定剤中に存在しない。
【0049】
シリコーンマクロモノマー(I)は、安定剤及び粒子のポリマーの組合せの総質量に対して、18質量%以下、特に0.1質量%から18質量%の範囲の含量で粒子のポリマー中に存在する。有利には、シリコーンマクロモノマー(I)は、粒子のポリマーの総質量に対して0.1質量%から25質量%の範囲の量で存在する。
【0050】
有利には、分散体中に存在する安定剤及び粒子のポリマーの組合せは、安定剤及び粒子のポリマーの組合せの総質量に対して、5質量%から50質量%の重合アクリル酸C
8〜C
22アルキル、32質量%から94.9質量%の重合(メタ)アクリル酸C
1〜C
4アルキル及び0.1質量%から18質量%のシリコーンマクロモノマー(I)を含む。
【0051】
優先的には、分散体中に存在する安定剤及び粒子のポリマーの組合せは、安定剤及び粒子のポリマーの組合せの総質量に対して、6質量%から30質量%の重合アクリル酸C
8〜C
22アルキル、52質量%から93.9質量%の重合(メタ)アクリル酸C
1〜C
4アルキル及び0.1質量%から18質量%のシリコーンマクロモノマー(I)を含む。
【0052】
ポリマー分散体の油性媒体は、炭化水素系油を含む。
【0053】
炭化水素系油は、室温(25℃)で液体である油である。
【0054】
「炭化水素系油」という用語は、炭素及び水素原子、並びに任意選択で酸素及び窒素原子から本質的に形成され、又はそれらによって構成されさえする、ケイ素又はフッ素原子を一切含有しない油を意味する。それは、アルコール、エステル、エーテル、カルボン酸、アミン及び/又はアミド基を含有していてもよい。
【0055】
炭化水素系油は、以下から選択できる。
- 8個から16個の炭素原子を含有する炭化水素系油、とりわけ、
- 分岐状C
8〜C
16アルカン、例えば石油由来のC
8〜C
16イソアルカン(イソパラフィンとしても知られている)、例えばイソドデカン(2,2,4,4,6-ペンタメチルヘプタンとしても知られている)、イソデカン、イソヘキサデカン及び、例えば、Isopar又はPermethylの商品名で販売されている油、
- 直鎖状アルカン、例えばSasol社によりParafol 12-97及びParafol 14-97の参照名でそれぞれ販売されているn-ドデカン(C12)及びn-テトラデカン(C14)、及びまたそれらの混合物、ウンデカン-トリデカン混合物、Cognis社による特許出願WO 2008/155 059の実施例1及び2において得られたn-ウンデカン(C11)及びn-トリデカン(C13)混合物、並びにそれらの混合物。
- 短鎖エステル(全体で3個から8個の炭素原子を含有する)、例えば、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸プロピル又は酢酸n-ブチル、
- 植物由来の炭化水素系油、例えば、グリセロールの脂肪酸エステルからなるトリグリセリド、その脂肪酸は、C
4からC
24までの範囲の鎖長を有していてもよく、これらの鎖は、場合によって直鎖状又は分岐状、且つ飽和又は不飽和である。これらの油は、とりわけヘプタン酸又はオクタン酸トリグリセリド、或いはコムギ胚芽油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、ゴマ油、コーン油、アプリコット油、ヒマシ油、シア油、アボカド油、オリーブ油、ダイズ油、スイートアーモンド油、パーム油、ナタネ油、綿実油、ヘーゼルナッツ油、マカデミア油、ホホバ油、アルファルファ油、ケシ油、カボチャ油、ゴマ油、マロー油、ナタネ油、ブラックカラント油、月見草油、キビ油、オオムギ油、キノア油、ライムギ油、ベニバナ油、ククイナッツ油、パッションフラワー油及びジャコウバラ油、シアバター、或いはその他にカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、例えば、Stearineries Dubois社により販売されているもの又はDynamit Nobel社によりMiglyol 810(登録商標)、812(登録商標)及び818(登録商標)の名称で販売されているものである、
- 10個から40個の炭素原子を含有する合成エーテル、
- 鉱物又は合成由来の直鎖状又は分岐状炭化水素、例えば、ワセリン、ポリデセン、水添ポリイソブテン、例えばParleam(登録商標)、スクワラン及び流動パラフィン、並びにそれらの混合物、
- 合成エステル、例えば、式R
1COOR
2の油(式中、R
1は、1個から40個の炭素原子を含有する直鎖状又は分岐状脂肪酸残基を表し、R
2は、特に、1個から40個の炭素原子を含有する分岐状炭化水素系の鎖を表し、但し、R
1+R
2≧10である)、例えば、ピュアセリンオイル(オクタン酸セトステアリル)、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、安息香酸C
12〜C
15アルコール、ラウリン酸ヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、イソステアリン酸イソステアリル、ラウリン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-オクチルデシル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル、ヘプタン酸アルコール若しくは多価アルコール、オクタン酸エステル、デカン酸エステル若しくはリシノール酸エステル、例えば、ジオクタン酸プロピレングリコール;ヒドロキシル化エステル、例えば、乳酸イソステアリル、リンゴ酸ジイソステアリル及び乳酸2-オクチルドデシル;ポリオールエステル並びにペンタエリトリトールエステル、
- 12個から26個の炭素原子を含有する分岐状及び/又は不飽和炭素系鎖を有する、室温で液体である脂肪族アルコール、例えば、オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、2-ヘキシルデカノール、2-ブチルオクタノール及び2-ウンデシルペンタデカノール。
【0056】
有利には、炭化水素系油は、無極性である(したがって、炭素及び水素原子のみから形成される)。
【0057】
炭化水素系油は、好ましくは、8個から16個の炭素原子を含有する炭化水素系油、特に前述の無極性油から選択される。
【0058】
優先的には、炭化水素系油は、イソドデカンである。
【0059】
分散体のポリマー粒子は、好ましくは、50から500nmの範囲、とりわけ75から400nmの範囲、より一層良好には100から250nmの範囲の平均サイズ、特に数平均サイズを有する。
【0060】
一般に、本発明による分散体は、一例として示される以下の仕方で調製できる。
【0061】
重合は、分散体中で、すなわち、ポリマーを形成中に沈殿させ、形成された粒子を安定剤で保護することにより実施できる。
【0062】
第1の工程では、合成溶媒として知られている溶媒中で、安定化ポリマーの構成モノマーをフリーラジカル開始剤と混合し、これらのモノマーを重合することにより、安定化ポリマーを調製する。第2の工程では、粒子のポリマーの構成モノマーを形成された安定化ポリマーに添加し、これらの添加されたモノマーの重合を、フリーラジカル開始剤の存在下で実施する。
【0063】
非水性媒体が不揮発性炭化水素系油であるとき、重合は、無極性有機溶媒(合成溶媒)中で実施し、続いて、不揮発性炭化水素系油(これは、前記合成溶媒と混和性であるべきである)を添加し、合成溶媒を選択的に留去できる。
【0064】
したがって、合成溶媒は、安定化ポリマーのモノマー及びフリーラジカル開始剤がそれに可溶性であり、得られるポリマー粒子がそれに不溶性であり、その結果、ポリマー粒子がその形成中に合成溶媒中に沈殿するよう、選択される。
【0065】
特に、合成溶媒は、アルカン、例えばヘプタン又はシクロヘキサンから選択できる。
【0066】
非水性媒体が揮発性炭化水素系油であるとき、重合は、前記油中で直接実施でき、したがって、この油は合成溶媒としても作用する。モノマーはフリーラジカル開始剤と同様にそれに可溶性であるべきであり、得られる粒子のポリマーはそれに不溶性であるべきである。
【0067】
モノマーは、好ましくは、重合前、5〜20質量%の割合で合成溶媒中に存在する。反応開始前にモノマーの総量が溶媒中に存在していても、モノマーの一部を重合反応の進行につれて徐々に添加してもよい。
【0068】
フリーラジカル開始剤は、とりわけ、アゾビスイソブチロニトリル又はtert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエートであってもよい。
【0069】
重合は、70から110℃の範囲の温度で実施できる。
【0070】
ポリマー粒子は、重合中に形成されると、安定剤により表面安定化される。
【0071】
安定化は、任意の公知の手段により、特に安定剤の直接添加により、重合中に実施できる。
【0072】
安定剤はまた、好ましくは、粒子のポリマーのモノマーの重合前にも、混合物中に存在する。しかしながら、それを連続的に添加することも、粒子のポリマーのモノマーもまた連続的に添加されるときにとりわけ、可能である。
【0073】
使用されるモノマーの総質量(安定剤及び粒子のポリマー)に対して、10質量%から30質量%、好ましくは15質量%から25質量%の安定剤を使用できる。
【0074】
本発明により得られるポリマー分散体は、生理学的に許容される媒体を含む組成物において、特に化粧用組成物において使用できる。
【0075】
「生理学的に許容される媒体」という用語は、ヒトケラチン物質、例えば、皮膚、唇、爪、睫毛、眉毛又は毛髪と適合性の媒体を意味する。
【0076】
「化粧用組成物」という用語は、心地よい色、香り及び感触を有し、消費者が使用を避ける傾向にある許容できない不快感(刺痛、つっぱり感又は発赤)を引き起こさない、ケラチン物質と適合性の組成物を意味する。
【0077】
「ケラチン物質」という用語は、皮膚(身体、顔、目の周り、頭皮)、頭髪、睫毛、眉毛、体毛、爪又は唇を意味する。
【0078】
本発明による組成物は、水、香料、保存剤、フィラー、色素、UV遮蔽剤、油、ワックス、界面活性剤、保湿剤、ビタミン、セラミド、酸化防止剤、フリーラジカル捕捉剤、ポリマー及び増粘剤から選択される化粧品添加物を含んでいてもよい。
【0079】
特に、組成物は、2個から10個のケイ素原子、好ましくは2個から7個のケイ素原子をとりわけ含有する直鎖状又は環状揮発性シリコーン油から選択できるシリコーン油を含んでいてもよく、これらのシリコーンは、1個から10個の炭素原子を含有するアルキル又はアルコキシ基を任意選択で含み、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン又はドデカメチルペンタシロキサン、
ペンダント及び/又はシリコーン鎖の末端のアルキル又はアルコキシ基を含み、それぞれの基が2個から60個の炭素原子を含有するポリジメチルシロキサン(PDMS)、とりわけ(C
2〜C
60)アルキルジメチコン;(C
2〜C
60)アルキルメチコン;フェニルシリコーン、例えばフェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、トリメチルシロキシフェニルジメチコン及びジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン、
並びにそれらの混合物
である。
【0080】
シリコーン油は、本発明による組成物中に、組成物の総質量に対して、0.1質量%から60質量%の範囲、好ましくは1質量%から50質量%の範囲、より一層良好には1質量%から40質量%の範囲の含量で存在していてもよい。
【0081】
本発明による組成物は、組成物の総質量に対して、1質量%から50質量%の範囲、好ましくは10質量%から45質量%の範囲の含量で、分散体のポリマーを含んでいてもよい。
【0082】
有利には、本発明による組成物は、メイクアップ組成物、特に唇用メイクアップ組成物、マスカラ、アイライナー、アイシャドウ又はファンデーションである。
【0083】
一実施形態によれば、本発明による組成物は、無水組成物である。「無水組成物」という用語は、2質量%未満の水、更には0.5%未満の水を含有する組成物を意味し、とりわけ水を含まない。場合によって、かかる少量の水は特に、組成物の残りの量を構成し得る成分により導入されることがある。
【0084】
本発明による組成物は、噴射剤もまた含有するエアロゾル組成物であってもよい。
【0085】
使用できる噴射剤には、液化ガス、例えばジメチルエーテル、塩素化及び/又はフッ素化炭化水素、例えばトリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、クロロジフルオロメタン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、クロロペンタフルオロエタン、1-クロロ-1,1-ジフルオロエタン若しくは1,1-ジフルオロエタン、又は揮発性炭化水素、とりわけ例えばC
3〜5アルカン、例えばプロパン、イソプロパン、n-ブタン、イソブタン若しくはペンタン、又は圧縮ガス、例えば空気、窒素、二酸化炭素、並びにそれらの混合物が含まれる。
【0086】
ジメチルエーテル、1,1,1,2-テトラフルオロエタン並びにC
3〜5アルカン、特にプロパン、n-ブタン及びイソブタン、並びにそれらの混合物を好ましくは使用できる。
【0087】
イソブタンが優先的には使用される。
【0088】
エアロゾル組成物は、一般に、容器及び組成物を分注するための手段を含むエアロゾルデバイス内に公知の仕方でパッケージされる。分注手段は、一般に、分注ヘッドにより制御される分注バルブを含み、これはノズルを含んでいてもよく、それを介してエアロゾル組成物が気化される。エアロゾルの分野の当業者は、エアロゾルスプレーの形態の組成物を分注するのに好適なパッケージングの特徴を決定することが十分可能である。
【0089】
噴射剤は、組成物の総質量に対して、1質量%から95質量%、好ましくは1.5質量%から50質量%、より一層良好には2質量%から30質量%の範囲の含量で組成物中に存在していてもよい。
【0090】
実施例により示すとおり、本発明による油性分散体は、イソブタンとの良好な相溶性を、とりわけポリジメチルシロキサンシリコーン油の存在下で有する。