(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6676072
(24)【登録日】2020年3月13日
(45)【発行日】2020年4月8日
(54)【発明の名称】ポリペプチド混合物の高速液体クロマトグラフィー分析方法
(51)【国際特許分類】
G01N 30/88 20060101AFI20200330BHJP
G01N 30/34 20060101ALI20200330BHJP
G01N 30/26 20060101ALI20200330BHJP
G01N 30/86 20060101ALI20200330BHJP
B01J 20/286 20060101ALI20200330BHJP
B01J 20/285 20060101ALI20200330BHJP
B01J 20/281 20060101ALI20200330BHJP
G01N 30/74 20060101ALI20200330BHJP
G01N 30/54 20060101ALI20200330BHJP
A61K 38/16 20060101ALN20200330BHJP
A61P 25/00 20060101ALN20200330BHJP
【FI】
G01N30/88 J
G01N30/34 E
G01N30/26 A
G01N30/86 G
B01J20/286
B01J20/285 M
B01J20/281 G
G01N30/74 E
G01N30/74 F
G01N30/54 F
!A61K38/16
!A61P25/00
【請求項の数】10
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2017-556727(P2017-556727)
(86)(22)【出願日】2015年4月28日
(65)【公表番号】特表2018-515766(P2018-515766A)
(43)【公表日】2018年6月14日
(86)【国際出願番号】CN2015077690
(87)【国際公開番号】WO2016172855
(87)【国際公開日】20161103
【審査請求日】2018年4月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】517372276
【氏名又は名称】ハイバイオ ファーマシューティカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】タン, ヤンミン
(72)【発明者】
【氏名】ホー, カン
(72)【発明者】
【氏名】リー, クオタオ
(72)【発明者】
【氏名】タオ, アンチン
(72)【発明者】
【氏名】ユアン, チエンチョン
【審査官】
高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−271325(JP,A)
【文献】
特開平11−271294(JP,A)
【文献】
再公表特許第2011/090188(JP,A1)
【文献】
国際公開第2012/123959(WO,A2)
【文献】
国際公開第2015/008845(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/00 −30/96
B01J 20/281−20/292
A61K 38/00 −33/58
A61P 1/00 −43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高速液体クロマトグラフィーにて、グラチラマー酢酸塩に対してリニア的または段階的な勾配溶出を行い、当該グラチラマー酢酸塩における各組成の含有量が合格するか否かを分析する方法であって、
測定用グラチラマー酢酸塩溶液を調製するステップ(1)、
アニオン交換液体クロマトグラフィーにて、測定用サンプルに対して勾配溶出を行うステップ(2)、及び
共重合体の各組成に対応するピーク面積を検出・分析し、コントロールと比較することで、測定用サンプルにおける各組成の含有量の範囲が合格するか否かを確認するステップ(3)を含み、
ステップ(2)における前記アニオン交換液体クロマトグラフィーのクロマトグラフィー条件は、
クロマトカラムは、カルボキシル基を結合するポリスチレン-ジビニルベンゼン粒子(粒子径:1.7μm〜10μm)を充填材とし、
移動相Aは、トリス(ヒドロキシ)アミノメタン塩酸塩10mM〜50mMを含み、且つNaOH溶液でpH10〜12に調整された溶液であり、
移動相Bは、トリス(ヒドロキシ)アミノメタン塩酸塩10mM〜50mM、塩化ナトリウム0.5M〜1.5Mを含み、且つ塩酸溶液でpH8〜10に調整された溶液であり、
注入量は5μL〜50μL、サンプルの濃度は1mg/ml〜20mg/ml、流速は0.5mL/min〜1.5mL/min、溶出時間は50〜250minであり、
溶出の勾配は、全溶出時間をN等分として、順に勾配溶出を行い、第1分段〜第N-1分段の勾配において、移動相Aの割合を100%から徐々に50%まで低下させ、移動相Bの割合を0から徐々に50%まで向上させ、第N分段の移動相Aの割合が100%であり、移動相Bの割合が0であり、5≦N≦15、クロマトカラムの温度が25〜50℃であることを特徴とする方法。
【請求項2】
8≦N≦12であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
N=10であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
高速液体クロマトグラフィーにて、グラチラマー酢酸塩に対してリニア的または段階的な勾配溶出を行い、当該グラチラマー酢酸塩における各組成の含有量が合格するか否かを分析する方法であって、
測定用グラチラマー酢酸塩溶液を調製するステップ(1)、
カチオン交換液体クロマトグラフィーにて、測定用サンプルに対して勾配溶出を行うステップ(2)、及び
共重合体の各組成に対応するピーク面積を検出・分析し、コントロールと比較することで、測定用サンプルにおける各組成の含有量の範囲が合格するか否かを確認するステップ(3)を含み、
ステップ(2)における前記カチオン交換液体クロマトグラフィーのクロマトグラフィー条件は、
クロマトカラムは、第三級アミン基を結合するポリスチレン-ジビニルベンゼン粒子(粒子径:1.7μm〜10μm)を充填材とし、
移動相Aは、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸10mM〜50mM、EDTA0.5mM〜5mMを含み、NaOH溶液でpH4〜6に調整された溶液であり、
移動相B は、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸10mM〜50mM、EDTA 0.5mM〜5mM、NaCl 1M〜2.5Mを含み、且つNaOH溶液でpH5〜7に調整された溶液であり、
注入量は5μL〜50μL、サンプルの濃度は1mg/ml〜20mg/ml、流速は0.5mL/min〜1.5mL/min、溶出時間は50〜250minであり、
溶出の勾配は、全溶出時間をN等分として、順に勾配溶出を行い、第1分段〜第N-1分段の勾配において、移動相Aの割合を100%から徐々に0%まで低下させ、移動相Bの割合を0から徐々に100%まで向上させ、第N分段の移動相Aの割合が90%であり、移動相Bの割合が10%であり、5≦N≦15、クロマトカラムの温度が25〜50℃である
ことを特徴とする方法。
【請求項5】
8≦N≦12であることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
N=10であることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項7】
高速液体クロマトグラフィーにて、グラチラマー酢酸塩に対してリニア的または段階的な勾配溶出を行い、当該グラチラマー酢酸塩における各組成の含有量が合格するか否かを分析する方法であって、
測定用グラチラマー酢酸塩溶液を調製するステップ(1)、
逆相液体クロマトグラフィーにて、測定用サンプルに対して勾配溶出を行うステップ(2)、及び
共重合体の各組成に対応するピーク面積を検出・分析し、コントロールと比較することで、測定用サンプルにおける各組成の含有量の範囲が合格するか否かを確認するステップ(3)を含み、
ステップ(2)における逆相液体クロマトグラフィーのクロマトグラフィー条件は、
クロマトカラムは、C18、C12、C8、C4を結合するシリカ粒子(粒子径:1.7μm〜10μm)を充填材とし、
移動相Aはアセトニトリルであり、
移動相Bは、硫酸アンモニウム30mM〜80mMを含み、且つリン酸溶液でpH2〜3に調整された溶液、又は0.1%トリフルオロ酢酸溶液であり、
注入量は5μL〜50μL、サンプルの濃度は1mg/ml〜20mg/ml、流速は0.5mL/min〜1.5mL/min、溶出時間は50〜250minであり、
溶出の勾配は、全溶出時間をN等分として、順に勾配溶出を行い、第1分段〜第N-1分段の勾配において、移動相Aの割合を5%から徐々に40%まで向上させ、移動相Bの割合を95%から徐々に60%まで低下させ、第N分段において移動相Aの割合が5%であり、移動相Bの割合が95%であり、5≦N≦15、クロマトカラムの温度が25℃〜50℃である
ことを特徴とする方法。
【請求項8】
8≦N≦12であることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
N=10であることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項10】
ステップ(3)において検出・分析は、検出波長が260nm〜280nmであるUV検出器にて行い、蛍光検出器を採用する場合、その励起波長が230nmであり、放射波長が300nmであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬生物分野に属し、具体的には、ポリペプチド混合物の高速液体クロマトグラフィー分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グラチラマー酢酸塩(Glatiramer acetate、GAと略される)は、人工的な合成により得られるポリペプチド系混合物(相対分子質量:4700〜11000ダルトン)であって、L-アラニン、L-グルタミン酸、L-チロシンおよびL-リジンの4つのアミノ酸からなり、長さが45〜100個のアミノ酸であるランダム重合体である。各アミノ酸のモル比率は、それぞれ約0.392〜0.462、0.129〜0.153、0.086〜0.100、0.300〜0.374である。当該薬物(商品名:Copaxone
(R))は、イスラエル(TEVA社)により開発、製造され、1996年に米国FDAによって多発性硬化症の治療のために承認された。現在は、Copaxone
(R)には、皮下注射用に応用されている注射用注射剤および注射用凍結乾燥粉末の二種類の製品がある。
グラチラマー酢酸塩は、連続性が非常に強い共重合体であり、その構造が、以下の式で示されている。
当該薬物のジェネリック医薬品メーカーは、当該薬物の固有特性のいくつかのみに基づいて、グラチラマー酢酸塩のジェネリック製剤とグラチラマー酢酸塩の対照製剤との組成差異を検討する。
【0003】
本発明は、この製品が異なる緩衝溶液に有する電荷、極性、非極性の状況に基づいて、アニオン交換液体クロマトグラフィー、カチオン交換液体クロマトグラフィー、逆相液体クロマトグラフィーにて段階的な勾配溶出を行うことで、試作サンプルと市販の商品製剤(コントロール)との差異を比較・分析する。
グラチラマー酢酸塩は、連続性が非常に強い共重合体であるので、一種の単離方法のみで各組成を把握することが困難である。従来の分析方法では、組成間の分子量差異に基づき、サイズ排除法を用いて、簡単な単離・分析を行う(シングルピークをいくつかの組成に分けて収集した後、この組成をさらに分析する)。よって、文献に記載の方法は相対的に複雑である。それ故、グラチラマー酢酸塩の各組成を効果的に単離することができる分析方法の開発は、非常に必要である。
【0004】
発明の内容
まず、本発明は、高速液体クロマトグラフィー法にて、グラチラマー酢酸塩に対してリニアまたは段階的な勾配溶出を行い、当該共重合体における各組成の含有量が合格するか否かを分析する方法に関する。
当該方法は、測定用グラチラマー酢酸塩溶液を調製するステップ(1)、
アニオン交換液体クロマトグラフィー、カチオン交換液体クロマトグラフィーまたは逆相液体クロマトグラフィーにて、測定用サンプルに対して勾配溶出を行うステップ(2)、及び
共重合体の各組成に対応するピーク面積を検出・分析し、コントロールと比較することで、測定用サンプルにおける各組成の含有量の範囲が合格するか否かを確認するステップ(3)を含む。
ステップ(2)における、前記溶出の勾配、及び前記アニオン交換液体クロマトグラフィーのクロマトグラフィー条件は、以下の通りである。
クロマトカラムは、カルボキシル基を結合するポリスチレン-ジビニルベンゼン粒子(粒子径:1.7μm〜10μm)を充填材とし、
移動相Aは、トリス(ヒドロキシ)アミノメタン塩酸塩10mM〜50mMを含み、且つNaOH溶液でpH 10〜12に調整された溶液であり、
移動相Bは、トリス(ヒドロキシ)アミノメタン塩酸塩10mM〜50mM、塩化ナトリウム0.5M〜1.5Mを含み、且つ塩酸溶液でpH 8〜10に調整された溶液であり、
注入量は5μL〜50μL、サンプルの濃度は1mg/ml〜20mg/ml、流速は0.5mL/min〜1.5mL/min、溶出時間は50〜250minである。
溶出の勾配としては、異なる形態を有する溶出の勾配を採用して溶出を行い、クロマトカラムの温度が25℃〜50℃である。
前記溶出の勾配は、全溶出時間をN(2≦N≦20、好ましくは5≦N≦15、より好ましくは8≦N≦12、最も好ましくはN=10である)等分として、順に勾配溶出を行い、第1分段〜第N-1分段の勾配において、移動相Aの割合を100%から徐々に50%まで低下させ、移動相Bの割合を0から徐々に50%まで向上させ、第N分段の移動相Aの割合は100%であり、移動相Bの割合は0である。
ステップ(2)における、前記カチオン交換液体クロマトグラフィーのクロマトグラフィー条件は、以下の通りである。
クロマトカラムは、第三級アミン基を結合するポリスチレン-ジビニルベンゼン粒子(粒子径:1.7μm〜10μm)を充填材とし、
移動相A は、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸 10mM〜50mM、EDTA 0.5mM〜5mMを含み、且つNaOH溶液でpH 4〜6に調整された溶液であり、
移動相B は、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸10mM〜50mM、EDTA 0.5mM〜5mM、NaCl 1M〜2.5Mを含み、且つNaOH溶液でpH 5〜7に調整された溶液であり、
注入量は5μL〜50μL、サンプルの濃度は 1mg/ml〜20mg/ml、流速は0.5mL/min〜1.5mL/min、溶出時間は 50〜250minである。
溶出の勾配としては、異なる形態を有する溶出の勾配を採用して溶出を行い、クロマトカラムの温度は25℃〜50℃である。
前記溶出の勾配は、全溶出時間をN(2≦N≦20、5≦N≦15が好ましく、8≦N≦12がより好ましく、N=10が最も好ましい)等分として、順に勾配溶出を行い、第1分段〜第N-1分段の勾配において、移動相Aの割合を100%から徐々に0%まで低下させ、移動相Bの割合を0から徐々に100%まで向上させ、第N分段の移動相Aの割合は90%であり、移動相Bの割合は10%である。
【0005】
ステップ(2)における、前記逆相液体クロマトグラフィーのクロマトグラフィー条件は、以下の通りである。
クロマトカラムは、C18、C12、C8、C4を結合するシリカ粒子(粒子径:1.7μm〜10μm)を充填材とし、
移動相Aは、アセトニトリルであり、移動相Bは、硫酸アンモニウム30mM〜80mMを含み、リン酸溶液でpH 2〜3に調整された溶液、または0.1%トリフルオロ酢酸溶液であり、
注入量は5μL〜50μL、サンプルの濃度は1mg/ml〜20mg/ml、流速は0.5mL/min〜1.5mL/min、溶出時間は50〜250minである。
溶出の勾配としては、異なる形態を有する溶出の勾配を採用して溶出を行い、クロマトカラムの温度が25〜50℃である。
前記溶出の勾配は、全溶出時間をN(2≦N≦20、好ましくは5≦N≦15、より好ましくは8≦N≦12、最も好ましくはN=10である)等分として、順に勾配溶出を行い、第1分段〜第N-1分段の勾配において、移動相Aの割合を5%から徐々に40%まで向上させ、移動相Bの割合を、95%から徐々に60%まで低下させ、第N分段の移動相Aの割合は5%であり、移動相Bの割合は、95%である。
【0006】
ステップ(3)において、前記検出・分析は、検出波長が260nm〜280nmであるUV検出器にて行う。
蛍光検出器を採用する場合、その励起波長は、230nmであり、放射波長は、300nmである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1-1】実施例1における検出サンプルのクロマトグラフィー分析グラフを示す。
【
図1-2】実施例2における検出サンプルのクロマトグラフィー分析グラフを示す。
【
図1-3】実施例3における検出サンプルのクロマトグラフィー分析グラフを示す。
【
図1-4】実施例4における検出サンプルのクロマトグラフィー分析グラフを示す。
【
図1-5】実施例5における検出サンプルのクロマトグラフィー分析グラフを示す。
【
図2-1】実施例7における検出サンプルのクロマトグラフィー分析グラフを示す。
【
図2-2】実施例8における検出サンプルのクロマトグラフィー分析グラフを示す。
【
図2-3】実施例9における検出サンプルのクロマトグラフィー分析グラフを示す。
【
図2-4】実施例10における検出サンプルのクロマトグラフィー分析グラフを示す。
【
図3-1】実施例12における検出サンプルのクロマトグラフィー分析グラフを示す。
【
図3-2】実施例13における検出サンプルのクロマトグラフィー分析グラフを示す。
【
図3-3】実施例14における検出サンプルのクロマトグラフィー分析グラフを示す。
【
図3-4】実施例15における検出サンプルのクロマトグラフィー分析グラフを示す。
【
図3-5】実施例16における検出サンプルのクロマトグラフィー分析グラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施例 1
ウォーターズ2695HPLC装置および2475蛍光多波長検出器(励起波長(Ex):230nm、放射波長(Em):300nm、クロマトカラムのサイズ:長さ150mm、直径4.6mm、クロマトカラム充填材:ポリスチレン-ジビニルベンゼン粒子(粒子径:3μm)を用いる。移動相Aは、NaOH溶液でpH11.2に調整された、20mMトリス(ヒドロキシ)アミノメタン塩酸塩である。移動相Bは、NaCl 1Mを含み、塩酸溶液でpH9.8に調整された、20Mmのトリス(ヒドロキシ)アミノメタン塩酸塩である。下記の表1に従い、移動相AおよびBの割合を設定する。市販のグラチラマー酢酸塩(以下、コントロールという)および試作のサンプルグラチラマー酢酸塩(以下、試作サンプルという)にそれぞれ移動相を加え、溶解して、1mLあたり約20mgの溶液を調製し、測定に提供する。注入量25μL、流速0.8mL/min、クロマトカラム温度30℃という条件を採用する。各組成の割合を表2に示す。あるサンプルのクロマトグラフィー分析グラフを
図1-1に示す。
【0009】
表1:実施例1の移動相AおよびBの割合
【0010】
表2:アニオン交換による3組のコントロールと3組の試作サンプルの各組成の分析・比較結果
【0011】
実施例2
ウォーターズ2695HPLC 装置および2475蛍光多波長検出器(励起波長(Ex):230nm、放射波長(Em):300nm、クロマトカラムのサイズ:長さ150mm、直径4.6mm、クロマトカラム充填材:ポリスチレン-ジビニルベンゼン粒子(粒子径:5μm))を使用する。移動相Aは、NaOH溶液でpH10に調整された、10mM トリス(ヒドロキシ)アミノメタン塩酸塩である。移動相Bは、1.5M NaClを含み、塩酸溶液でpH8に調整された、10mM トリス(ヒドロキシ)アミノメタン塩酸塩である。表1に従い、移動相AおよびBの割合を設定する。コントロールまたは試作サンプルにそれぞれ移動相を加え、溶解して、1mLあたり約20mgの溶液を調製し、測定に提供する。注入量15μL、流速0.5mL/min、クロマトカラムの温度25℃という条件を採用する。あるサンプルのクロマトグラフィー分析グラフを
図1-2に示す。
【0012】
実施例3
ウォーターズ2695 HPLC 装置および2489UV多波長検出器(波長:275nm、クロマトカラムのサイズ:長さ150mm、直径4.6mm、クロマトカラム充填材:ポリスチレン-ジビニルベンゼン粒子(粒子径:10μm))を使用する。移動相Aは、NaOH溶液でpH12に調整された、50mMのトリス(ヒドロキシ)アミノメタン塩酸塩である。移動相Bは、NaCl 0.5Mを含み、塩酸溶液でpH10に調整された、50mMのトリス(ヒドロキシ)アミノメタン塩酸塩である。表1に従い、移動相AおよびBの割合を設定する。コントロールまたは試作サンプルにそれぞれ移動相を加え、溶解して、1mLあたり約10mgの溶液を調製し、測定に提供する。注入量50μL、流速1.5mL/min、クロマトカラムの温度50℃という条件を採用する。あるサンプルのクロマトグラフィー分析グラフを
図1-3に示す。
【0013】
実施例4
ウォーターズ2695HPLC 装置および2489UV多波長検出器(波長:275nm、クロマトカラムのサイズ:長さ150mm、直径4.6mm、クロマトカラム充填材:ポリスチレン-ジビニルベンゼン粒子(粒子径:3μm))を使用する。移動相Aは、NaOH溶液でpH10に調整された、30mMのトリス(ヒドロキシ)アミノメタン塩酸塩である。移動相Bは、NaCl 1Mを含み、塩酸溶液でpH8に調整された、30mMのトリス(ヒドロキシ)アミノメタン塩酸塩である。下記の表3に従い、移動相AおよびBの割合を設定する。コントロールまたは試作サンプルにそれぞれ移動相を加え、溶解して、1mLあたり約20mgの溶液を調製し、測定に提供する。注入量25μL、流速0.8mL/min、クロマトカラムの温度40℃という条件を採用する。あるサンプルのクロマトグラフィー分析グラフを
図1-4に示す。
【0014】
表3:実施例4の移動相AおよびBの割合
【0015】
実施例5
ウォーターズ2695 HPLC 装置および2475蛍光多波長検出器(励起波長(Ex):230nm、放射波長(Em):300nm、クロマトカラムのサイズ:長さ150mm、直径4.6mm、クロマトカラム充填材:ポリスチレン-ジビニルベンゼン粒子(粒子径:3μm))を使用する。移動相Aは、NaOH溶液でpH11.2に調整された、20mMのトリス(ヒドロキシ)アミノメタン塩酸塩である。移動相Bは、NaCl 1Mを含み、塩酸溶液でpH9.8に調整された、20mMのトリス(ヒドロキシ)アミノメタン塩酸塩である。下記の表4に従い、移動相AおよびBの割合を設定する。コントロールまたは試作サンプルに移動相を加え、溶解し、1mLあたり約20mgの溶液を調製し、測定に提供する。注入量25μL、流速1mL/min、クロマトカラムの温度30℃という条件を採用する。あるサンプルのクロマトグラフィー分析グラフを
図1-5に示す。これからわかったように、当該溶出条件では、効果的にサンプルの組成を単離することができない。
【0016】
表4:実施例5の移動相AおよびBの割合
【0017】
実施例6
ウォーターズ2695HPLC装置および2489UV多波長検出器(励起波長:275nm、クロマトカラムのサイズ:長さ150mm、直径4.6mm、クロマトカラム充填材:ポリスチレン-ジビニルベンゼン粒子(粒子径:3μm))を使用する。移動相Aは、NaOH溶液でpH11.2に調整された、20mMのトリス(ヒドロキシ)アミノメタン塩酸塩である。移動相Bは、NaCl 1Mを含み、塩酸溶液でpH9.8に調整された、20mMのトリス(ヒドロキシ)アミノメタン塩酸塩である。下記の表4に従い、移動相AおよびBの割合を設定する。コントロールおよび試作サンプルにそれぞれ移動相を加え、溶解して、1mLあたり約20mgの溶液を調製し、測定に提供する。注入量25μL、流速0.8mL/min、クロマトカラムの温度30℃という条件を採用する。それの各組成の割合を表6に示す。
【0018】
表5:実施例6の移動相AおよびBの割合
【0019】
表6:アニオン交換による3組のコントロールおよび3組の試作サンプルの各組成の分析・比較結果
【0020】
カチオン交換液体クロマトグラフィー(実施例7-11)
実施例7
ウォーターズ2695HPLC 装置および2475蛍光多波長検出器(励起波長(Ex):230nm、放射波長(Em):300nm、クロマトカラムのサイズ:長さ250mm、直径4.6mm、クロマトカラム充填材:第三級アミンを結合するポリスチレン-ジビニルベンゼン粒子(粒子径:5μm))を使用する。移動相Aは、1mM EDTAを含み、NaOH溶液でpH5.2に調整された、20mMの2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸である。移動相Bは、EDTA 2mM、NaCl 2Mを含み、NaOH溶液でpH5.8に調整された、20mMの2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸である。下記の表7に従い、移動相AおよびBの割合を設定する。コントロールまたは試作サンプルに移動相を加え、溶解して、1mLあたり約20mgの溶液を調製し、測定に提供する。注入量25μL、流速1mL/min、クロマトカラムの温度30℃という条件を採用する。あるサンプルのクロマトグラフィー分析グラフを
図2-1に示す。
【0021】
表7:実施例7の移動相AおよびBの割合
表8:カチオン交換による3組のコントロールおよび3組の試作サンプルの各組成の分析・比較結果
【0022】
実施例8
ウォーターズ2695HPLC 装置および2489UV多波長検出器(波長:275nm、クロマトカラムのサイズ:長さ250mm、直径4.6mm、クロマトカラム充填材:第三級アミン基を結合するポリスチレン-ジビニルベンゼン粒子(粒子径:10μm))を使用する。移動相Aは、EDTA 0.5mMを含み、NaOH溶液でpH4に調整された、10mMの2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸である。移動相Bは、EDTA 5mM、NaCl 2Mを含み、NaOH溶液でpH7に調整された、10mMの2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸である。表7に従い、移動相AおよびBの割合を設定する。コントロールまたは試作サンプルに移動相を加え、溶解し、1mLあたり約20mgの溶液を調製し、測定に提供する。注入量15μL、流速1mL/min、クロマトカラムの温度25℃という条件を採用する。あるサンプルのクロマトグラフィー分析グラフを
図2-2に示す。
【0023】
実施例9
ウォーターズ2695HPLC装置および2475蛍光多波長検出器(励起波長(Ex):230nm、放射波長(Em):300nm、クロマトカラムのサイズ:長さ250mm、直径4.6mm、クロマトカラム充填材:第三級アミン基を結合するポリスチレン-ジビニルベンゼン粒子(粒子径:5μm))を使用する。移動相Aは、EDTA 1mMを含み、NaOH溶液でpH6に調整された、50mMの2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸である。移動相Bは、EDTA 2mM、NaCl 2Mを含み、NaOH溶液でpH5に調整された、50mMの2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸である。表7に従い、移動相AおよびBの割合を設定する。コントロールまたは試作サンプルに移動相を加え、溶解し、1mLあたり約10mgの溶液を調製し、測定に提供する。注入量50μL、流速1mL/min、クロマトカラムの温度30℃という条件を採用する。あるサンプルのクロマトグラフィー分析グラフを
図2-3に示す。
【0024】
実施例10
ウォーターズ2695HPLC 装置および2475蛍光多波長検出器を使用する(励起波長(Ex):230nm、放射波長(Em):300nm、クロマトカラムのサイズ:長さ250mm、直径4.6mm、クロマトカラム充填材:第三級アミン基を結合するポリスチレン-ジビニルベンゼン粒子(粒子径:5μm))。移動相Aは、EDTA 1mMを含み、NaOH溶液でpH5.2に調整された、20mMの2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸である。移動相Bは、EDTA 2mM、NaCl 2Mを含み、NaOH溶液でpH5.8に調整された、20mMの2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸である。下記の表9に従い、移動相AおよびBの割合を設定する。コントロールまたは試作サンプルに移動相を加え、溶解して、1mLあたり約20mgの溶液を調製し、測定に提供する。注入量25μL、流速1mL/min、クロマトカラムの温度30℃という条件を採用する。あるサンプルのクロマトグラフィー分析グラフを
図2-4に示す。これから分かったように、当該溶出条件では効果的にサンプルの組成を単離することができない。
表9:実施例10の移動相AおよびBの割合
【0025】
実施例11
ウォーターズ2695HPLC装置および2489UV多波長検出器(波長:275nm、クロマトカラムのサイズ:長さ250mm、直径4.6mm、クロマトカラム充填材:第三級アミン基を結合するポリスチレン-ジビニルベンゼン粒子(粒子径:5μm))を使用する。移動相Aは、EDTA 3mMを含み、NaOH溶液でpH5に調整された、30mMの2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸である。移動相Bは、EDTA 2mM、NaCl 2Mを含み、NaOH溶液でpH6に調整された、10mMの2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸である。下記の表10に従い、移動相AおよびBの割合を設定する。コントロールまたは試作サンプルに、移動相を加え、溶解し、1mLあたり約20mgの溶液を調製し、測定に提供する。注入量25μL、流速1mL/min、クロマトカラムの温度35℃という条件を採用する。それの各組成の割合を表11に示す。
【0026】
表10:実施例11の移動相AおよびBの割合
【0027】
表11:カチオン交換による3組のコントロールと3組の試作サンプルの各組成の分析・比較結果
【0028】
逆相液体クロマトグラフィー例(実施例12-17)
実施例12
アジレント1260HPLC 装置およびUV多波長検出器(検出波長:275nm、クロマトカラムのサイズ:長さ250mm、直径4.6mm、クロマトカラム充填材:C18リガンドを結合するシリカマトリックスの粒子(粒子径:3μm))を使用する。移動相Aはアセトニトリルである。移動相Bは、リン酸溶液でpH2.5に調整された、50mMの硫酸アンモニウム溶液である。表12に従い、移動相AおよびBの割合を設定する。コントロールおよび試作サンプルにそれぞれ移動相を加え、溶解して、1mLあたり約20mgの移動相を調製し、測定に提供する。注入量25μL、流速1mL/min、クロマトカラムの温度30℃という条件を採用する。コントロールと試作サンプルの各組成との比較・分析結果を下記の表13に示す。あるサンプルのクロマトグラフィー分析グラフを
図3-1に示す。
【0029】
表12:実施例12の移動相AおよびBの割合
【0030】
表13:逆相液体クロマトグラフィーによる3組のコントロールと3組の試作サンプルの各組成分析・比較結果
【0031】
実施例13
アジレント1260HPLC 装置およびUV多波長検出器を使用する(検出波長:275nm、クロマトカラムのサイズ:長さ250mm、直径4.6mm、クロマトカラム充填材:C8リガンドを結合するシリカマトリックスの粒子(粒子径:10μm))。移動相Aは、アセトニトリルである。移動相Bは、0.1%トリフルオロ酢酸溶液である。表12に従い、移動相AおよびBの割合を設定する。コントロールと試作サンプルに移動相を加え、溶解して、1mLあたり約10mgの移動相を調製し、測定に提供する。注入量50μL、流速1mL/min、クロマトカラムの温度50℃という条件を採用する。あるサンプルクロマトグラフィー分析グラフを
図3-2に示す。
【0032】
実施例14
アジレント1260HPLC 装置とUV多波長検出器を使用する(検出波長:275nm、クロマトカラムのサイズ:長さ250mm、直径4.6mm、クロマトカラム充填材:C4リガンドを結合するシリカマトリックスの粒子(粒子径:3μm))。移動相Aはアセトニトリルである。移動相Bはリン酸溶液でpH2に調整された、30mMの硫酸アンモニウム溶液である。表12に従い、移動相AおよびBの割合を設定する。コントロールまたは試作サンプルに移動相を加え、溶解して、1mLあたり約20mgの移動相を調製し、測定に提供する。注入量15μL、流速0.5mL/min、クロマトカラムの温度25℃という条件を採用する。あるサンプルのクロマトグラフィー分析グラフを
図3-3に示す。
【0033】
実施例15
アジレント1260 HPLC装置およびUV多波長検出器を使用する(検出波長:275nm、クロマトカラムのサイズ:長さ250mm、直径4.6mm、クロマトカラム充填材:C4リガンドを結合するシリカマトリックスの粒子(粒子径:3μm))。移動相Aはアセトニトリルである。移動相Bは、リン酸溶液でpH3に調整された、80mMの硫酸アンモニウム溶液である。表12に従い、移動相AおよびBの割合を設定する。コントロールまたは試作サンプルに、移動相を加え、溶解して、1mLあたり約20mgの溶液を調製し、測定に提供する。注入量25μL、流速0.5mL/min、クロマトカラムの温度50℃という条件を採用する。あるサンプルのクロマトグラフィー分析グラフを
図3-4に示す。
【0034】
実施例16
ウォーターズ2695HPLC 装置および2475蛍光多波長検出器を使用する(励起波長(Ex):230nm、放射波長(Em):300nm、クロマトカラムのサイズ:長さ250mm、直径4.6mm、クロマトカラム充填材:C18リガンドを結合するシリカマトリックスの粒子(粒子径:3μm))。移動相Aはアセトニトリルである。移動相Bは0.1%のトリフルオロ酢酸溶液である。下記の表14に従い、移動相AおよびBの割合を設定する。コントロールまたは試作サンプルに、移動相を加え、溶解して、1mLあたり約20mgの溶液を調製し、測定に提供する。注入量50μL、流速1mL/min、クロマトカラムの温度30℃という条件を採用する。あるサンプルのクロマトグラフィー分析グラフを
図3-5に示す。これから、従来の方法では試作サンプルにおける各成分を全く単離することができないと分かった。
【0035】
表14:実施例16の移動相AおよびBの割合
【0036】
実施例17
ウォーターズ2695HPLC 装置および2475蛍光多波長検出器(励起波長(Ex):230nm、放射波長(Em):300nm、クロマトカラムのサイズ:長さ250mm、直径4.6mm、クロマトカラム充填材:C18リガンドを結合するシリカマトリックスの粒子(粒子径:3μm))を使用する。移動相Aは、アセトニトリルである。移動相Bは、0.1%トリフルオロ酢酸溶液である。下記の表15に従い、移動相AおよびBの割合を設定する。コントロールまたは試作サンプルに移動相を加え、溶解して、1mLあたり約20mgの溶液を調製し、測定に提供する。注入量50μL、流速1.5mL/min、クロマトカラムの温度30℃という条件を採用する。各組成の割合を表16に示す。
【0037】
表15:実施例17の移動相AおよびBの割合
【0038】
表16:逆相液体クロマトグラフィーによる3組コントロールと3組の試作サンプルの各組成の分析・比較結果
【0039】
以上の実施例から分かるように、本発明のグラチラマー酢酸塩サンプルにおける各組成の含有量を分析するための方法は、効果的かつ実現可能である。本発明は、グラチラマー酢酸塩の比較分析および品質一致性の研究に応用されることができる。
なお、上記の実施例は、当業者による本発明の実質の理解を支援するためのみに用いられるものであり、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。