特許第6676093号(P6676093)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6676093異言語間コミュニケーション支援装置及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6676093
(24)【登録日】2020年3月13日
(45)【発行日】2020年4月8日
(54)【発明の名称】異言語間コミュニケーション支援装置及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G06F 40/58 20200101AFI20200330BHJP
   G06F 40/47 20200101ALI20200330BHJP
   G06F 40/242 20200101ALI20200330BHJP
   G06F 3/16 20060101ALI20200330BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20200330BHJP
   G06F 3/0481 20130101ALI20200330BHJP
【FI】
   G06F17/28 690
   G06F17/28 636
   G06F17/27 635
   G06F3/16 650
   G06F3/16 690
   G06F3/01 510
   G06F3/0481
【請求項の数】15
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-71486(P2018-71486)
(22)【出願日】2018年4月3日
(65)【公開番号】特開2019-82981(P2019-82981A)
(43)【公開日】2019年5月30日
【審査請求日】2019年4月3日
(31)【優先権主張番号】特願2017-209125(P2017-209125)
(32)【優先日】2017年10月30日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】594206093
【氏名又は名称】株式会社テクノリンク
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】小野 博
【審査官】 長 由紀子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−191911(JP,A)
【文献】 特開平09−006787(JP,A)
【文献】 特開平10−123450(JP,A)
【文献】 実開平03−082446(JP,U)
【文献】 特開平11−073413(JP,A)
【文献】 特開平07−129594(JP,A)
【文献】 特開平08−278972(JP,A)
【文献】 特開2005−149042(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/130474(WO,A1)
【文献】 特開2000−222407(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 40/00−58
G06F 3/01
G06F 3/0481
G06F 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1言語の語句及び該語句の訳語が互いに紐付けて登録された辞書を記憶する記憶部と、
前記辞書に登録された前記第1言語の語句のうち訳出の対象とする語句の選択を受け付け、訳出の対象であることを示す訳出対象情報又は訳出の対象でないことを示す訳出非対象情報を前記第1言語の語句に紐付けて前記辞書に登録する登録部と、
第1言語の文字列を受け付ける第1言語文字列受付部と、
前記第1言語の文字列から、前記辞書において前記訳出対象情報が登録された語句を抽出する抽出部と、
抽出された前記語句の訳語を前記辞書から取得し、該訳語を出力し、且つ前記第1言語文字列受付部が受け付けた前記第1言語の文字列を表示する訳語出力部と、
前記訳語出力部が表示した前記第1言語の文字列のうち、少なくとも一の語句の指定を受け付ける受付部と、
受け付けた指定に係る前記少なくとも一の語句に紐付けて前記辞書に登録された前記訳出非対象情報を、前記訳出対象情報に更新する更新部と、
を備える異言語間コミュニケーション支援システム。
【請求項2】
前記第1言語文字列受付部は、
第1言語の音声を受け付ける音声受付部と、
受け付けた前記第1言語の音声を認識し、該音声に対応する第1言語の文字列を生成する音声認識部と、を備える、請求項1に記載の異言語間コミュニケーション支援システ
ム。
【請求項3】
前記訳語出力部は、取得された前記訳語に対応する音声を合成することにより、前記取得された訳語を出力する、請求項1又は2に記載の異言語間コミュニケーション支援システム。
【請求項4】
前記訳語出力部は、取得された前記訳語の文字列を表示することにより、前記取得された訳語を出力する、請求項1から3のいずれか一項に記載の異言語間コミュニケーション支援システム。
【請求項5】
前記訳語出力部は、前記抽出部が抽出した語句に対応する文字列を強調して、前記第1言語文字列受付部が受け付けた前記第1言語の文字列を更に表示する、請求項に記載の異言語間コミュニケーション支援システム。
【請求項6】
前記辞書には、前記第1言語の語句毎に、所定の分類基準にしたがったカテゴリーが更に登録されている、請求項1からのいずれか一項に記載の異言語間コミュニケーション支援システム。
【請求項7】
前記登録部は、一のカテゴリーの選択を受け付け、前記訳出対象情報を、前記辞書において該一のカテゴリーが登録された語句に紐付けて前記辞書に登録する、請求項に記載の異言語間コミュニケーション支援システム。
【請求項8】
前記訳語出力部は、前記取得された訳語のうち、
前記辞書において第1のカテゴリーが登録された訳語について、該訳語に対応する音声を合成し、
前記辞書において第2のカテゴリーが登録された訳語について、該訳語の文字列を表示することにより、
前記取得された訳語を出力する、請求項又はに記載の異言語間コミュニケーション支援システム。
【請求項9】
前記所定の分類基準は、難易度、文法的機能、又は分野である、請求項からのいずれか一項に記載の異言語間コミュニケーション支援システム。
【請求項10】
眼鏡型端末である、請求項1からのいずれか一項に記載の異言語間コミュニケーション支援システム。
【請求項11】
前記辞書に登録された前記訳語の言語は、第1言語、又は第1言語とは異なる第2言語である、請求項1から10のいずれか一項に記載の異言語間コミュニケーション支援システム。
【請求項12】
前記登録部は、更に、前記辞書に登録された前記第1言語の語句のうち警告の対象とする語句の選択を受け付け、警告の対象であることを示す警告対象情報又は警告の対象でないことを示す警告非対象情報を前記第1言語の語句に紐付けて前記辞書に登録し、
前記抽出部は、更に、前記第1言語の文字列から、前記辞書において前記警告対象情報が登録された語句を抽出し、
前記異言語間コミュニケーション支援は、更に、前記辞書において前記警告対象情報が登録された前記語句を前記抽出部が抽出した場合に、所定の警告を出力する警告出力部を備える、請求項1から11までのいずれか一項に記載の異言語間コミュニケーション支援システム
【請求項13】
前記警告出力部は、所定の警告メッセージに対応する音声を合成することにより、前記所定の警告を出力する、請求項12に記載の異言語間コミュニケーション支援システム。
【請求項14】
前記警告出力部は、所定の警告メッセージを表示することにより、前記所定の警告を出力する、請求項12又は13に記載の異言語間コミュニケーション支援システム。
【請求項15】
第1言語の語句及び該語句の訳語が互いに紐付けて登録された辞書を記憶する記憶部と、
前記辞書に登録された前記第1言語の語句のうち訳出の対象とする語句の選択を受け付け、訳出の対象であることを示す訳出対象情報又は訳出の対象でないことを示す訳出非対象情報を前記第1言語の語句に紐付けて前記辞書に登録する登録部と、
第1言語の文字列を受け付ける第1言語文字列受付部と、
前記第1言語の文字列から、前記辞書において前記訳出対象情報が登録された語句を抽出する抽出部と、
抽出された前記語句の訳語を前記辞書から取得し、該訳語を出力し、且つ前記第1言語文字列受付部が受け付けた前記第1言語の文字列を表示する訳語出力部と、
前記訳語出力部が表示した前記第1言語の文字列のうち、少なくとも一の語句の指定を受け付ける受付部と、
受け付けた指定に係る前記少なくとも一の語句に紐付けて前記辞書に登録された前記訳出非対象情報を、前記訳出対象情報に更新する更新部と、
を備える異言語間コミュニケーション支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異言語間コミュニケーション支援装置及びシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、異言語間の会話において、話し手が第1言語によって発した発話文の音声を所望する第2言語の文に翻訳し、この翻訳文を合成音声に変換して聞き手に向けて再生する翻訳装置が利用されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、音声認識手段と、機械翻訳手段と、音声合成手段と、発話検出手段と、音声出力手段とを備えた音声翻訳装置が開示されている。機械翻訳手段は、発話された文の全体を翻訳することにより翻訳文を生成し、音声出力手段は、発話文の全体に対応する当該翻訳文を音声合成により出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5750380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、発話文全体の翻訳処理には多くの処理時間を必要とし、更に、そのようにして出力された翻訳文は発話文全体に対応する長さを有しているため、聞き手が当該翻訳文を認知するために多くの時間を要することとなり、スムーズな会話の妨げになる。特に、聞き手がある程度話し手の言語を理解できる場合には、発話文全体を翻訳することによるこれらの問題は顕著となるため、聞き手が知らない語句だけを翻訳すれば、処理時間を短縮でき、翻訳機能を利用した会話として好ましい。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、異言語間のコミュニケーションを円滑に進めることを可能とする異言語間コミュニケーション支援装置及びシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る異言語間コミュニケーション支援装置は、第1言語の語句及び該語句の訳語が互いに紐付けて登録された辞書を記憶する記憶部と、辞書に登録された第1言語の語句のうち訳出の対象とする語句の選択を受け付け、訳出の対象であることを示す訳出対象情報又は訳出の対象でないことを示す訳出非対象情報を第1言語の語句に紐付けて辞書に登録する登録部と、第1言語文字列を受け付ける第1言語文字列受付部と、第1言語の文字列から、辞書において訳出対象情報が登録された語句を抽出する抽出部と、抽出された語句の訳語を辞書から取得し、該訳語を出力する訳語出力部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、聞き手のレベルに応じて異言語間のコミュニケーションを円滑に進めることを可能とする異言語間コミュニケーション支援装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係る異言語間コミュニケーション支援装置10の機能上の構成を示すブロック図である。
図2】辞書テーブルの一例を示す図である。
図3】異言語間コミュニケーション支援装置10による出力設定登録処理の動作フローの一例を示す図である。
図4】出力設定選択画面700の一例を示す図である。
図5】異言語間コミュニケーション支援装置10による翻訳処理の動作フローの一例を示す図である。
図6】異言語間コミュニケーション支援装置10による訳出の一例を示す図である。
図7】異言語間コミュニケーション支援装置10による訳出の一例を示す図である。
図8】異言語間コミュニケーション支援装置10による訳出の一例を示す図である。
図9】異言語間コミュニケーション支援装置10による訳出の一例を示す図である。
図10】本発明の第2実施形態に係る異言語間コミュニケーション支援装置20の機能上の構成を示すブロック図である。
図11】辞書テーブルの他の一例を示す図である。
図12】異言語間コミュニケーション支援装置20による翻訳処理及び警告処理の動作フローの一例を示す図である。
図13】異言語間コミュニケーション支援装置20による訳語及び警告の出力の一例を示す図である。
図14】異言語間コミュニケーション支援装置20による訳語及び警告の出力の一例を示す図である。
図15】異言語間コミュニケーション支援装置20による訳語及び警告の出力の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明の様々な実施形態について説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0011】
[第1実施形態]
(1)異言語間コミュニケーション支援装置10の構成
図1は、本発明の第1実施形態に係る異言語間コミュニケーション支援装置10の機能上の構成を示すブロック図である。
【0012】
異言語間コミュニケーション支援装置10は、第1言語による発話を受け付け、当該発話に含まれる語句のうち訳出の対象として予め設定された語句について、所定の言語(第1言語、又は第1言語と異なる第2言語)によって表された訳語を出力することができる。そのために、異言語間コミュニケーション支援装置10は、操作部11と、音声入力部12と、音声出力部13と、表示部14と、記憶部15と、処理部16とを備える。
【0013】
操作部11は、例えば、タッチパネルやキーボタン等で構成され、ユーザによる文字、数字、記号等の入力の操作を受け付け、当該操作に対応する信号を処理部16に供給する。音声入力部12は、例えば、一般的なマイクロフォン等で構成され、発話の音声を取得して音声信号に変換する。音声出力部13は、例えば、一般的なスピーカ等で構成され、処理部16から供給された音声信号に基づいた音声を生成する。表示部14は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro−Luminescence)ディスプレイ等で構成され、処理部16から供給された表示データに基づいた画像等を表示する。なお、表示部14及び音声出力部16は、各ユーザが利用するHMD(Head Mount Display)等の少なくとも一のウェアラブル端末によって構成されていてもよい。
【0014】
記憶部15は、例えば、磁気テープ装置、磁気ディスク装置、又は光ディスク装置のうちの少なくとも一つを備え、処理部16での処理に用いられるコンピュータプログラム、データ等を記憶する。また、記憶部15は、後述する辞書テーブルを記憶する。また、記憶部15は、後述する異言語間コミュニケーション支援装置10による訳語の出力設定を記憶する。
【0015】
処理部16は、一又は複数個のプロセッサ及びその周辺回路を備える。処理部16は、例えばCPUであり、異言語間コミュニケーション支援装置10の全体的な動作を統括的に制御する。処理部16は、記憶部15に記憶されているプログラム等に基づいて異言語間コミュニケーション支援装置10の各種処理が適切な手順で実行されるように、操作部11等の動作を制御する。処理部16は、記憶部15に記憶されているコンピュータプログラムに基づいて処理を実行する。
【0016】
処理部16は、後述する出力設定登録処理及び翻訳処理等を行う。そのために、処理部16は、例えば、登録処理部161と、第1言語文字列受付部である音声受付処理部162及び音声認識処理部163と、語句抽出処理部164と、訳語出力処理部165とを備える。登録処理部161は、辞書テーブルの各種の設定の選択を受け付け、当該設定を辞書テーブルに登録する。音声受付処理部162は、翻訳対象となる発話者の発話に係る音声を受け付ける。音声認識処理部163は、受け付けた音声を認識し、当該音声に対応する文字列を生成する。語句抽出処理部164は、生成した文字列から、辞書テーブルにおいて訳出の対象である語句を抽出する。訳語出力処理部165は、訳出の対象である語句の訳語を、所定の方法により出力する。
【0017】
図2は、記憶部15に記憶された辞書テーブルの一例を示す図である。図2に示すとおり、辞書テーブルには、「語句」毎に、「訳語」、「タグ」、及び「訳出情報」等の情報が紐付けて登録されている。
【0018】
「語句」は、異言語間コミュニケーション支援装置10が翻訳を行う対象となる言語(第1言語)によって表現された、文中の要素を示す文字列(テキスト)情報である。当該語句は、例えば、一又は複数の単語から成る語句の他、形態素、構文、慣用句等、言語における任意の要素を含む。また、辞書テーブルには、同一の基準的語句から派生した活用形が異なる複数の語句が、別々の語句として登録されてもよい。図2に示す辞書テーブルでは、第1言語は英語である。しかしながら、第1言語は、英語に限らず、日本語、中国語、韓国語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、ポルトガル語等の他の任意の言語(方言やスラング等を含む)であってもよい。
【0019】
「訳語」は、語句に対応する訳語を示す文字列情報である。「訳語」は、上述した第1言語とは異なる言語(第2言語)によって表された訳語だけでなく、第1言語自体によって表された訳語を含んでもよい。図2に示す例では、「訳語」は、第2言語としての日本語によって表された訳語である「訳語(日本語)」と、第1言語としての英語によって表された訳語である「訳語(英語)」とを含む。例えば、「absolutely」の語句に対応する「訳語(日本語)」は、「まったく」、「絶対に」、及び「実に」等を含み、「absolutely」の語句に対応する「訳語(英語)」は、「very」等を含む。なお、第1言語と同一の言語によって表された訳語は、例えば、語句の類義語、特に、難易度の低い類義語等を含んでもよい。
【0020】
「タグ」は、所定の分類基準にしたがって語句を分類した場合の、当該語句が属するカテゴリーを示す情報である。図2に示す例では、「レベル」、「文法的機能」、及び「分野」の複数の「タグ」が示されている。「レベル」は、語句の難易度を示す情報である。図2に示す例では、周知の分類基準であるJACET8000に基づいて、語句が「1」から「8」の段階に分類されている。例えば、「1」の段階に分類された語句は、単語を所定の難易度順に並べた場合の1番目から1000番目のいずれかに該当する単語であり、「2」の段階に分類された語句は、1001番目から2000番目のいずれかに該当する単語である。「3」から「8」までの段階に分類された語句についても、同様に定義される。なお、語句の難易度を示す所定の分類基準は、JACET8000に限らず、例えば、周知の標準語彙水準12000(SVL12000)、又はWLCベース辞書等、その他任意の分類基準であってもよい。「文法的機能」は、当該語句が示す文法的な機能を示す情報であり、例えば、名詞、動詞、形容詞等の単語の品詞や、現在形、過去形等の時制等の、任意の文法的機能を含む。「分野」は、当該語句が表す物事が含まれるテーマを示す情報である。「分野」は、例えば、特定の専門家によって専ら使用される学術的なテーマなどの専門分野を含んでもよい。また、「分野」は、日常会話等における様々な話題に係る一般的なテーマを含んでもよい。なお、「タグ」は、上述した例に限らず、任意のタグを設定することができる。
【0021】
「訳出情報」は、語句が異言語間コミュニケーション支援装置10による訳出の対象であるか否かを示す情報である。ここで、訳出とは、当該語句の訳語を所定の方法により出力することをいい、例えば、訳語を表示部14に表示すること、及び訳語を音声出力部13から音声出力すること等を含む。図2に示すとおり、辞書テーブルの「訳出情報」の欄において、当該語句が訳出の対象であることを示す情報(訳出対象情報)は、「対象」として、当該語句が訳出の対象でないことを示す情報(訳出非対象情報)は、「非対象」としてそれぞれ表されている。なお、訳出対象情報は、更に、訳語を表示部14に表示することにより訳出する対象であることを示す「対象(表示)」と、訳語を音声出力部13から音声出力することにより訳出する対象であることを示す「対象(音声)」とを含んでもよい。また、訳出対象情報は、訳語を、表示部14に表示すると共に、音声出力部13から音声出力することにより訳出する対象であることを示す「対象(表示/音声)」を更に含んでもよい。
【0022】
(2)異言語間コミュニケーション支援装置10の動作
(2−1)出力設定登録処理
図3は、異言語間コミュニケーション支援装置10による出力設定登録処理の動作フローの一例を示す図である。出力設定登録処理は、異言語間コミュニケーション支援装置10による訳出に関する設定を登録するための処理である。
【0023】
(ステップS11)
まず、異言語間コミュニケーション支援装置10の登録処理部161は、ユーザによって指定された出力設定を受け付ける。具体的には、登録処理部161は、記憶部15に記憶された表示データに基づいて、表示部14に出力設定選択画面を表示する。そして、ユーザが操作部11を操作することにより出力設定選択画面において各項目を指定すると、登録処理部161は、指定された出力設定を受け付ける。
【0024】
図4は、出力設定選択画面700の一例を示す図である。出力設定選択画面700は、原文出力設定領域701と、翻訳出力設定領域702と、テストスコア設定領域703を含む。
【0025】
原文出力設定領域701は、異言語間コミュニケーション支援装置10に入力される音声(入力音声)の表示部14への表示に関する設定を行うための領域であり、例えば、「原文の表示出力」の項目701aと、「翻訳箇所の強調表示」の項目701bとを含む。「原文の表示出力」の項目701aでは、入力音声に対応する文字列を表示部14に表示するか否かを選択することができる。「翻訳箇所の強調表示」の項目701bでは、表示部14に表示される入力音声に対応する文字列のうち、訳出対象の語句に対応する文字列を強調表示するか否かを選択することができる。
【0026】
翻訳出力設定領域702は、例えば、訳語の音声出力部13からの音声出力に関する設定を行うための「(1)音声出力」の領域702a、及び訳語の表示部14への表示に関する設定を行うための「(2)表示出力」の領域702bを含む。「(1)音声出力」の領域702aでは、日本語又は英語の訳語を音声出力部13から音声出力するか否かを選択することができると共に、当該音声出力の対象となる語句を、辞書テーブルにおけるタグ(レベル、文法的機能、及び分野等)によって選択することができる。「(2)表示出力」の領域702bでは、日本語又は英語の訳語を表示部14に表示するか否かを選択することができると共に、当該表示の対象となる語句を、辞書テーブルにおけるタグ(レベル、文法的機能、及び分野等)によって選択することができる。なお、翻訳出力設定領域702では、訳出の対象となる語句を個別に選択することができてもよい。
【0027】
テストスコア設定領域703は、例えば、外部テストスコアの読み込みを選択するためのアイコン703aと、テストを受けることを選択するためのアイコン703bとを含む。登録処理部161は、ユーザがアイコン703aを選択した場合、予めユーザが受けた外部の英語テストのスコアを読み込む。具体的には、登録処理部161は、アイコン703aが選択されると、外部のテスト機関等が保有する情報処理装置にアクセスし、当該情報処理装置に記憶されたテストスコアを取得する。そして、登録処理部161は、取得したテストスコアに基づいて、当該ユーザの英語レベルを判定する。また、登録処理部161は、ユーザがアイコン703bを選択した場合、CAT(Computer Adaptive Test)等の英語テストを実施する。具体的には、登録処理部161は、アイコン703bが選択されると、表示部14にCAT等の英語テストの問題を順次表示する。そして、登録処理部161は、ユーザが操作部11を操作することにより入力した回答を受け付ける。そして、登録処理部161は、英語テストが終了すると、テストスコアを算出した上で、当該ユーザの英語レベルを判定する。
【0028】
(ステップS12)
次に、登録処理部161は、ステップS11で受け付けた出力設定を、記憶部15に記憶する。具体的には、出力設定に係る各種の項目を記憶部15に記憶すると共に、翻訳出力設定領域702において選択されたタグを有する語句について、辞書テーブルに登録された訳出情報を、訳出の対象であることを示す訳出対象情報に更新する。なお、登録処理部161は、上述した外部の英語テストのスコアが読み込まれることにより当該ユーザの英語レベルが判定された場合、当該英語レベル以上の語句について、辞書テーブルに登録された訳出情報を、訳出の対象であることを示す訳出対象情報に更新する。また、登録処理部161は、上述した英語テストが実施されることにより当該ユーザの英語レベルが判定された場合、当該英語レベル以上の語句について、辞書テーブルに登録された訳出情報を、訳出の対象であることを示す訳出対象情報に更新する。以上で、出力設定登録処理が終了する。
【0029】
(2−2)翻訳処理
図5は、異言語間コミュニケーション支援装置10による翻訳処理の動作フローの一例を示す図である。
【0030】
(ステップS21)
まず、英語話者が英語による発話を行うと、音声受付処理部162は、音声入力部12を介して当該発話に係る音声を受け付ける。具体的には、例えば、図6に示すとおり、英語話者が英語によって「I absolutely feel that urban lifestyle is preferable.」との発話101を行う。そして、音声入力部12が当該発話101の音声を音声信号に変換すると、音声受付処理部162は、音声入力部12から当該音声信号を受信する。
【0031】
(ステップS22)
次に、音声認識処理部163は、音声受付処理部162が受け付けた音声を音声認識処理によって認識し、当該音声に対応する文字列を生成する。図6に示す例では、音声認識処理部163は、発話101に対応する文字列「I absolutely feel that urban lifestyle is preferable.」を生成する。
【0032】
このとき、例えば、音声認識処理部163は、隠れマルコフモデル(HMM)を用いて、音声受付処理部162が音声入力部12から受信した音声信号の波形と所定の音響モデルとのマッチングを行う方式によって音声認識処理を実行してもよい。或いは、音声認識処理部163は、音響モデルとのマッチングに加えて、文法的観点に基づく語句のつながりの確率を反映した言語モデルとのマッチングを行う方式によって音声認識処理を実行してもよい。しかしながら、音声認識処理は、これらの方式に限られず、任意の方式によって実行されてもよい。
【0033】
(ステップS23)
次に、語句抽出処理部164は、記憶部15に記憶された辞書テーブルを参照し、生成された文字列から、辞書テーブルにおいて訳出対象情報が登録された語句を抽出する。
【0034】
ここで、上述した出力設定登録処理の結果、辞書テーブルは、図2に示すとおり、「レベル」のタグが「5」以上である語句に訳出対象情報が登録されているものとする。すなわち、「レベル」のタグが「5」以上である語句が、異言語間コミュニケーション支援装置10による訳出の対象であるものとする。そして、図2を参照すると、当該発話101に含まれる「I」のレベルは「1」、「absolutely」のレベルは「2」、「feel」のレベルは「2」、「that」のレベルは「1」、「urban」のレベルは「5」、「lifestyle」のレベルは「3」、「is」のレベルは「1」、「preferable」のレベルは「6」である。以上より、上述した発話101に対応する文字列のうち、レベルが「5」以上である「urban」及び「preferable」の語句が、訳出の対象となる。
【0035】
(ステップS24)
次に、訳語出力処理部165は、記憶部15に記憶された辞書テーブルを参照し、上述した出力設定登録処理において設定された内容に応じて、抽出された語句の訳語を出力することにより、翻訳処理が終了する。訳語の出力のタイミングは、例えば、発話101の途中、又は発話101の終了後のいずれであってもよい。以下では、図6図9を用いて、異言語間コミュニケーション支援装置10による訳出の種々の態様について説明する。なお、図6図9に示す態様は、あくまで一例であって、異言語間コミュニケーション支援装置10による訳出の態様はこれらには限られない。
【0036】
図6に示す例では、異言語間コミュニケーション支援装置10は、訳語に対応する音声を合成することにより、訳語を音声出力部13から音声出力する。具体的には、異言語間コミュニケーション支援装置10は、英語話者による発話101を受け付けると、訳出の対象である「urban」の語句に対応する訳語「都会の」の音声201を音声出力部13から音声出力する。更に、異言語間コミュニケーション支援装置10は、訳出の対象である「preferable」の語句に対応する訳語「好ましい」の音声202を音声出力部13から音声出力する。なお、音声を出力するタイミングは、例えば、発話101の途中、及び発話101の終了後のいずれであってもよい。
【0037】
図7に示す例では、異言語間コミュニケーション支援装置10は、訳語に対応する文字列を表示部14の翻訳表示領域300に表示し、更に、入力音声に対応する文字列を原文表示領域400に表示する。具体的には、異言語間コミュニケーション支援装置10は、英語話者による発話101を受け付けると、訳出の対象である「urban」の語句に対応する訳語「都会の」の文字列301を表示部14の翻訳表示領域300に表示する。更に、異言語間コミュニケーション支援装置10は、訳出の対象である「preferable」の語句に対応する訳語「好ましい」の文字列302を表示部14の翻訳表示領域300に表示する。また、異言語間コミュニケーション支援装置10は、入力音声に対応する文字列「I absolutely feel that urban lifestyle is preferable.」を、表示部14の原文表示領域400に表示する。更に、異言語間コミュニケーション支援装置10は、入力音声に対応する当該文字列に重ねて、訳出の対象である「urban」の文字列を囲う強調表示のための枠401と、訳出の対象である「preferable」の文字列を囲う強調表示のための枠402とを表示する。なお、強調表示の態様は、枠に限らず、当該文字に下線(実線、二重線、波線、点線等)を施す態様、当該文字の色を他の文字と異なる色とする態様、当該文字のサイズを変更する(大きく又は小さくする)態様、当該文字を動かす態様等、任意の態様であってよい。
【0038】
図8に示す例では、異言語間コミュニケーション支援装置10は、訳語を、入力音声の言語と同一の言語によって表示する。具体的には、異言語間コミュニケーション支援装置10は、訳出の対象である「urban」の語句に対応する英語で表された訳語「town」の文字列302と、訳出の対象である「preferable」の語句に対応する英語で表された訳語「better」の文字列304とを、表示部14の翻訳表示領域300に表示する。
【0039】
図9に示す例では、異言語間コミュニケーション支援装置10は、辞書テーブルに登録された訳出対象情報の種類に応じて、音声出力と表示出力とに分けて訳語を出力する。具体的には、辞書テーブルにおいて、「urban」及び「preferable」の語句に登録された訳出情報が「対象(音声)」であり、「absolutely」及び「feel」の語句に登録された訳出情報が「対象(表示)」であるものとする。このとき、図8に示すとおり、異言語間コミュニケーション支援装置10は、英語話者による発話101を受け付けると、「urban」の語句に対応する訳語「都会の」の音声201、及び「preferable」の語句に対応する訳語「好ましい」の音声202を音声出力部13から音声出力する。更に、異言語間コミュニケーション支援装置10は、「absolutely」の語句に対応する訳語「絶対に」の文字列305と、「feel」の語句に対応する訳語「と感じます」の文字列306とを、表示部14の翻訳表示領域300に表示する。
【0040】
以上のとおり、上述した本発明の実施形態に係る異言語間コミュニケーション支援装置10では、第1言語の語句及び該語句の訳語が互いに紐付けて登録された辞書テーブルを記憶する記憶部15と、辞書テーブルに登録された第1言語の語句のうち訳出の対象とする語句の選択を受け付け、訳出の対象か否かを示す訳出情報を第1言語の語句に紐付けて辞書テーブルに登録する登録処理部161とを備える。そのため、ユーザは、設定したタグに基づいて、訳出の対象となる語句を選択することが可能となる。したがって、異言語間コミュニケーション支援装置10はユーザが訳出を希望する語句の訳語のみを出力することとなるため、異言語間コミュニケーション支援装置10によって、異言語間の会話を円滑に進めることが可能となる。
【0041】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る異言語間コミュニケーション支援装置20について説明する。異言語間コミュニケーション支援装置20は、上述した異言語間コミュニケーション支援装置10が備える機能に加えて、第1言語による発話の内容に応じて、所定の警告を出力する機能を備える。すなわち、異言語間コミュニケーション支援装置20は、第1言語による発話を受け付け、当該発話に含まれる語句のうち警告の対象として予め設定された語句について、所定の警告を出力することができる。以下では、異言語間コミュニケーション支援装置20のうち、上述した第1実施形態に係る異言語間コミュニケーション支援装置10と異なる部分について説明し、異言語間コミュニケーション支援装置10と同一の部分については適宜説明を省略する。
【0042】
図10は、本発明の第2実施形態に係る異言語間コミュニケーション支援装置20の機能上の構成を示すブロック図である。図10に示すとおり、異言語間コミュニケーション支援装置20が備える処理部16は、警告出力処理部166を更に備える。
【0043】
異言語間コミュニケーション支援装置20において、記憶部15が記憶している辞書テーブルは、図11に示すとおり、更に「警告情報」が登録されている。ここで、「警告情報」は、語句が異言語間コミュニケーション支援装置20による警告の対象であるか否かを示す情報である。図11に示すとおり、辞書テーブルの「警告情報」の欄において、当該語句が警告の対象であることを示す情報(警告対象情報)は、「対象」として、当該語句が警告の対象でないことを示す情報(警告非対象情報)は、「非対象」としてそれぞれ表されている。
【0044】
なお、警告対象情報は、更に、警告を表示部14に表示する対象であることを示す「対象(表示)」と、警告を音声出力部13から音声出力する対象であることを示す「対象(音声)」とを含んでもよい。また、警告対象情報は、警告を、表示部14に表示すると共に、音声出力部13から音声出力する対象であることを示す「対象(表示/音声)」を更に含んでもよい。
【0045】
異言語間コミュニケーション支援装置20が備える登録処理部161は、辞書テーブルについて、上述した訳出情報(訳出対象情報又は訳出非対象情報)の登録処理に準じて、上述した警告情報(警告対象情報又は警告非対象情報)を登録する。
【0046】
異言語間コミュニケーション支援装置20が備える語句抽出処理部164は、辞書テーブルにおいて訳出の対象である語句を抽出する他、警告の対象である語句を抽出する。
【0047】
ここで、図12を参照して、異言語間コミュニケーション支援装置20による翻訳及び警告処理の動作フローについて説明する。
(ステップS31)
まず、英語話者が英語による発話を行うと、音声受付処理部162は、音声入力部12を介して当該発話に係る音声を受け付ける。具体的には、例えば、図13に示すとおり、英語話者が英語によって「I absolutely feel that urban lifestyle is preferable.」との発話101を行う。そして、音声入力部12が当該発話101の音声を音声信号に変換すると、音声受付処理部162は、音声入力部12から当該音声信号を受信する。
【0048】
(ステップS32)
次に、音声認識処理部163は、音声受付処理部162が受け付けた音声を音声認識処理によって認識し、当該音声に対応する文字列を生成する。図13に示す例では、音声認識処理部163は、発話101に対応する文字列「I absolutely feel that urban lifestyle is preferable.」を生成する。
【0049】
(ステップS33)
次に、語句抽出処理部164は、記憶部15に記憶された辞書テーブルを参照し、生成された文字列から、辞書テーブルにおいて訳出対象情報が登録された語句及び警告対象情報が登録された語句をそれぞれ抽出する。
【0050】
ここで、上述した出力設定登録処理の結果、辞書テーブルは、図11に示すとおり、「レベル」のタグが「5」以上である語句に訳出対象情報が登録されているものとする。更に、辞書テーブルは、図11に示すとおり、「レベル」のタグが「6」以上である語句に警告対象情報が登録されているものとする。
【0051】
(ステップS34)
次に、警告出力処理部166は、語句抽出処理部164によって、辞書テーブルにおいて警告対象情報が登録された語句が抽出された場合、所定の警告を出力する。例えば、警告出力処理部166は、所定の警告メッセージに対応する音声を合成することにより、警告を音声出力部13から音声出力する。所定の警告メッセージの内容は特に限定されないが、話者に対して、当該話者が使用している語句のレベルが高いことを明示又は示唆する内容であってもよい。所定の警告メッセージは、上述した出力設定登録処理において設定された内容に応じて、警告対象情報が登録された語を含んでもよい。図13の例では、発話101は、警告対象情報が登録された「preferable」の語を含むため、警告出力処理部166は、「Please don't use “preferable”.」との警告メッセージ500を音声出力する。
【0052】
(ステップS35)
次に、訳語出力処理部165は、記憶部15に記憶された辞書テーブルを参照し、上述した出力設定登録処理において設定された内容に応じて、抽出された語句の訳語を出力する。訳語の出力のタイミングは、例えば、発話101の途中、又は発話101の終了後のいずれであってもよい。上述のとおり、ステップS34の警告の出力を、ステップS35の訳語の出力に先立って処理することにより、ユーザに対するレスポンスの速度が向上する。しかしながら、警告及び翻訳の出力は同時に行ってもよく、或いは、翻訳の処理を警告の処理に先立って行ってもよい。以上で、異言語間コミュニケーション支援装置20による翻訳及び警告処理の動作フローが終了する。
【0053】
図14は、異言語間コミュニケーション支援装置20による警告の他の態様を説明するための図である。異言語間コミュニケーション支援装置20は、警告メッセージを表示部14に表示してもよい。図14に示すとおり、異言語間コミュニケーション支援装置20は、「Please don't use “preferable”.」との警告メッセージ601を、警告表示領域600に表示してもよい。図14に示すとおり、警告メッセージ601は、警告対象情報が登録された語句「preferable」を含んでもよい。
【0054】
図15は、異言語間コミュニケーション支援装置20による警告の更に他の態様を説明するための図である。異言語間コミュニケーション支援装置20は、例えば図15に示すとおり、原文表示領域400に表示された入力音声に対応する文字列「I absolutely feel that urban lifestyle is preferable.」に重ねて、所定の警告を表示してもよい。異言語間コミュニケーション支援装置20は、例えば図15に示すとおり、所定の警告メッセージ602として、警告対象情報が登録された語句である「preferable」の文字列から伸びた矢印及び「Difficult Term!!」との文字列を表示してもよい。
【0055】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、他の様々な形で実施することができる。このため、上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。例えば、上述した各処理ステップは処理内容に矛盾を生じない範囲で任意に順番を変更し、または並列に実行することができる。また、各処理ステップ間に他のステップを追加してもよい。また、1ステップとして記載されているステップを、複数ステップに分けて実行してもよいし、複数ステップに分けて記載されているものを、1ステップとして把握することもできる。
【0056】
[変形例]
異言語間コミュニケーション支援装置10又は20は、会話中に聞き手が聞き直した語句については、聞き手が知らない語句であると判断し、辞書テーブルに登録された当該語句に係る訳出情報を訳出対象情報に更新してもよい。そのために、異言語間コミュニケーション支援装置10又は20は、例えば、音声受付部(音声受付処理部)が受け付けた音声が質問か否かを判定する質問判定部(質問判定処理部)と、質問であると判定された音声に含まれる語句について、辞書テーブルに登録された当該語句に係る訳出情報が訳出の対象でないことを示す訳出非対象情報である場合、当該訳出情報を訳出対象情報に更新する更新部(更新処理部)とを含んでもよい。質問判定部は、例えば、音声受付部が受け付けた音声に係る音の高さの変化率が所定の閾値を超えた場合、当該音声が質問であると判定してもよい。或いは、質問判定部は、音声認識部(音声認識処理部)が生成した音声に対応する文字列に所定のキーワード(「何(なに)」、「どういう」、「意味」、「エクスキューズミー」、「パードゥン」等)が含まれる場合に、当該音声が質問であると判定してもよい。
【0057】
異言語間コミュニケーション支援装置10又は20は、辞書テーブルにおける訳出情報(訳出対象情報又は訳出非対象情報)の変更を、音声を介して行ってもよい。そのために、異言語間コミュニケーション支援装置10又は20が備える登録部(登録処理部)は、音声認識部(音声認識処理部)が生成した音声に対応する文字列に、辞書テーブルに記憶された語句が含まれる場合、当該語句の訳出情報を変更してもよい。
【0058】
異言語間コミュニケーション支援装置10又は20は、会話中の話題を分析し、会話中等に語句の訳出情報を変更して辞書テーブルを更新してもよい。そのために、異言語間コミュニケーション支援装置10又は20は、会話中に音声認識部(音声認識処理部)が生成した文字列に所定の語句が含まれるか否かを判定する判定部と、当該判定部が所定の語句が含まれるとの判定を所定の回数だけ行った場合に、辞書テーブルにおける当該語句の訳出情報を訳出対象情報に変更する更新部とを備えてもよい。
【0059】
異言語間コミュニケーション支援装置10又は20は、会話又は講演等の最中において、ユーザが知らない語句等を聞いた場合に、当該語句を指定して、指定された語句についてはその後、訳出(表示又は音声出力等)を行うようにしてもよい。そのために、異言語間コミュニケーション支援装置10又は20は、訳語出力部(訳語出力処理部)によって表示部に表示された第1言語の文字列のうち、少なくとも一の語句の指定を受け付ける受付部と、受け付けた指定に係る少なくとも一の語句について、辞書テーブルの訳出情報を更新する更新部とを備えてもよい。
【0060】
異言語間コミュニケーション支援装置10又は20は、スマートフォンや翻訳専用装置等の任意のデバイスに実装されてもよい。また、異言語間コミュニケーション支援装置10又は20は、眼鏡型、イヤホン型、補聴器型等の任意の形状のウェエアラブルなデバイスに実装されてもよい。また、異言語間コミュニケーション支援装置10又は20は、テレビ、ラジオ等に実装されてもよい。
【0061】
本実施形態に係る異言語間コミュニケーションシステムが備える各構成は、単一のデバイスではなく、話者が利用するデバイス、聞き手が利用するデバイス、及び話者と聞き手とが共用するデバイス等の複数のデバイスに分散して実装されてもよい。そして、例えば、話者が利用するスマートフォンやHMDその他のデバイスには警告が表示され、聞き手が利用するスマートフォンやHMDその他のデバイスには翻訳や原文が表示されるように構成されていてもよい。
【0062】
本実施形態に係る異言語間コミュニケーション支援装置は、異言語間コミュニケーションを翻訳という観点で捉えると、翻訳装置として把握することが可能である。
【符号の説明】
【0063】
10、20…異言語間コミュニケーション支援装置、11…操作部、12…音声入力部、13…音声出力部、14…表示部、15…記憶部、16…処理部、161…登録処理部、162…音声受付処理部、163…音声認識処理部、164…語句抽出処理部、165…訳語出力処理部、166…警告出力処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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