特許第6676096号(P6676096)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6676096油回路、かかる油回路を備えたオイルレス型圧縮機及びかかる油回路経由でかかるオイルレス型圧縮機の潤滑及び/又は冷却を制御する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6676096
(24)【登録日】2020年3月13日
(45)【発行日】2020年4月8日
(54)【発明の名称】油回路、かかる油回路を備えたオイルレス型圧縮機及びかかる油回路経由でかかるオイルレス型圧縮機の潤滑及び/又は冷却を制御する方法
(51)【国際特許分類】
   F04C 29/02 20060101AFI20200330BHJP
   F04C 18/16 20060101ALI20200330BHJP
   F04C 29/04 20060101ALI20200330BHJP
【FI】
   F04C29/02 311K
   F04C18/16 Q
   F04C29/04 D
【請求項の数】22
【外国語出願】
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-81205(P2018-81205)
(22)【出願日】2018年4月20日
(65)【公開番号】特開2018-184954(P2018-184954A)
(43)【公開日】2018年11月22日
【審査請求日】2018年11月19日
(31)【優先権主張番号】2017/5278
(32)【優先日】2017年4月21日
(33)【優先権主張国】BE
(31)【優先権主張番号】62/551,323
(32)【優先日】2017年8月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】2018/5151
(32)【優先日】2018年3月12日
(33)【優先権主張国】BE
(73)【特許権者】
【識別番号】593074329
【氏名又は名称】アトラス コプコ エアーパワー,ナームローゼ フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】ATLAS COPCO AIRPOWER,naamloze vennootschap
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100159846
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 尚
(72)【発明者】
【氏名】トマス デ ボントリーデル
(72)【発明者】
【氏名】ヴィム メーウセン
(72)【発明者】
【氏名】エトヴィン ロスカム
【審査官】 田谷 宗隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−290089(JP,A)
【文献】 実開昭59−169470(JP,U)
【文献】 特開昭61−229915(JP,A)
【文献】 特開2004−108236(JP,A)
【文献】 特開2002−155879(JP,A)
【文献】 特開昭64−080717(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 29/02
F04C 18/16
F04C 29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変速方式のモータ(4)及び前記モータ(4)によって駆動される圧縮機要素(2)を有するオイルレス型圧縮機(1)の潤滑及び冷却のための油回路であって、
‐前記油回路(5)は、油(11)の入った油リザーバ(10)及び回転油ポンプ(13)を備え、前記回転油ポンプ(13)は、前記油リザーバ(10)から前記回転油ポンプ(13)の上流側に位置する入口チャネル(23)を通って油管(12)経由で油(11)を前記圧縮機要素(2)及び/又は前記モータ(4)まで送り進めるよう構成され、 ‐前記回転油ポンプ(13)は、回転シャフト(27)に取り付けられたロータ(26)を備え、前記回転油ポンプ(13)は、行程容積を有し、前記回転油ポンプ(13)は、前記圧縮機要素(2)の前記モータ(4)によって駆動され、
‐前記油回路(5)は、油(11)を前記圧縮機要素(2)及び/又は前記モータ(4)から案内して前記油リザーバ(10)に戻すよう構成された帰り管(19)を更に備え、
‐前記油回路(5)は、バイパス管(15)及び圧力作動式バイパス弁(14)を更に備え、前記バイパス管(15)及び前記圧力作動式バイパス弁(14)は、前記回転油ポンプ(13)と前記圧縮機要素(2)及び/又は前記モータ(4)との間の前記油(11)の一部分を直接案内して前記油リザーバ(10)に戻すよう構成され、この場合、前記油(11)の前記一部分は、前記油リザーバ(10)へのその戻り中に前記圧縮機要素(2)及び/又は前記モータ(4)を通過することはなく、
‐前記油回路(5)は、油冷却器(16)を更に備えている、油回路において、
前記油冷却器(16)は、前記バイパス管(15)内に配置され、前記バイパス弁(14)は、前記油管(12)内に配置され、
前記入口チャネル(23)は、前記回転油ポンプ(13)の前記回転シャフト(27)の中心線(32)の高さ(A)から前記回転油ポンプ(13)の前記ロータ(26)の最小直径(B)を2で割って得られた値を差し引いた値よりも大きい高さ(D)を有するダム(30)を備え、
前記油回路(5)は、油(11)が前記回転油ポンプ(13)と前記ダム(30)との間に存在しているかどうかを記録するよう構成されたセンサを備えている、油回路。
【請求項2】
前記油回路(5)は、回転油ポンプ(13)を1つだけ備えている、請求項1記載の油回路。
【請求項3】
前記油冷却器(16)は、固定された又は一定の冷却能力を有する、請求項1又は2記載の油回路。
【請求項4】
前記バイパス弁(14)は、機械式弁である、請求項1〜3のうち何れか1項に記載の油回路。
【請求項5】
前記ダム(30)の前記高さ(D)は、前記回転油ポンプ(13)の前記回転シャフト(27)の前記中心線(32)の前記高さ(A)から前記回転油ポンプ(13)の前記回転シャフト(27)の最小直径(E)を2で割って得られた値を差し引いた値よりも小さい、請求項1〜4のうち何れか1項に記載の油回路。
【請求項6】
前記回転油ポンプ(13)及び前記入口チャネル(23)が前記回転油ポンプ(13)の前記行程容積の少なくとも2倍の容積の前記油(11)を、前記回転油ポンプ(13)と前記ダム(30)との間に収容することができるように、前記ダム(30)は構成されている、請求項1〜5のうち何れか1項に記載の油回路。
【請求項7】
前記油回路(5)は、前記油リザーバ(10)と、前記回転油ポンプ(13)と前記ダム(30)との間の前記入口チャネル(23)内の空間(31)との流体結合部を備え、前記流体結合部は、油(11)を前記油リザーバ(10)から前記回転油ポンプ(13)と前記ダム(30)との間の前記空間(31)に移送するよう構成されている、請求項1〜6のうち何れか1項に記載の油回路。
【請求項8】
オイルレス型圧縮機であって、前記オイルレス型圧縮機は、その循環及び冷却のための油回路(5)を備え、
‐前記オイルレス型圧縮機は、変速方式のモータ(4)及び前記モータ(4)によって駆動される圧縮機要素(2)を有し、
‐前記油回路(5)は、油(11)の入った油リザーバ(10)及び回転油ポンプ(13)を備え、前記回転油ポンプ(13)は、前記油リザーバ(10)から前記回転油ポンプ(13)の上流側に位置する入口チャネル(23)を通って油管(12)経由で油(11)を前記圧縮機要素(2)及び/又は前記モータ(4)まで送り進めるよう構成され、 ‐前記回転油ポンプ(13)は、回転シャフト(27)に取り付けられたロータ(26)を備え、前記回転油ポンプ(13)は、行程容積を有し、前記回転油ポンプ(13)は、前記圧縮機要素(2)の前記モータ(4)によって駆動され、
‐前記油回路(5)は、油(11)を前記圧縮機要素(2)及び/又は前記モータ(4)から案内して前記油リザーバ(10)に戻すよう構成された帰り管(19)を更に備え、
‐前記油回路(5)は、バイパス管(15)及び圧力作動式バイパス弁(14)を更に備え、前記バイパス管(15)及び前記圧力作動式バイパス弁(14)は、前記回転油ポンプ(13)と前記圧縮機要素(2)及び/又は前記モータ(4)との間の前記油(11)の一部分を直接案内して前記油リザーバ(10)に戻すよう構成され、この場合、前記油(11)の前記一部分は、前記油リザーバ(10)へのその戻り中に前記圧縮機要素(2)及び/又は前記モータ(4)を通過することはなく、
‐前記油回路(5)は、油冷却器(16)を更に備えている、オイルレス型圧縮機において、
前記オイルレス型圧縮機(1)は、前記油冷却器(16)が前記バイパス管(15)内に配置されるとともに前記バイパス弁(14)が前記油管(12)内に配置されるよう構成され
前記入口チャネル(23)は、前記回転油ポンプ(13)の前記回転シャフト(27)の中心線(32)の高さ(A)から前記回転油ポンプ(13)の前記ロータ(26)の最小直径(B)を2で割って得られた値を差し引いた値よりも大きい高さ(D)を有するダム(30)を備え、
前記油回路(5)は、油(11)が前記回転油ポンプ(13)と前記ダム(30)との間に存在しているかどうかを記録するよう構成されたセンサを備えている、オイルレス型圧縮機。
【請求項9】
前記油回路(5)は、回転油ポンプ(13)を1つだけ備えている、請求項8記載のオイルレス型圧縮機。
【請求項10】
前記油冷却器(16)は、固定された又は一定の冷却能力を有する、請求項8又は9記載のオイルレス型圧縮機。
【請求項11】
前記バイパス弁(14)は、機械式弁である、請求項8〜10のうち何れか1項に記載のオイルレス型圧縮機。
【請求項12】
前記ダム(30)の前記高さ(D)は、前記回転油ポンプ(13)の前記回転シャフト(27)の前記中心線(32)の前記高さ(A)から前記回転油ポンプ(13)の前記回転シャフト(27)の最小直径(E)を2で割って得られた値を差し引いた値よりも小さい、請求項8〜11のうち何れか1項に記載のオイルレス型圧縮機。
【請求項13】
前記回転油ポンプ(13)及び前記入口チャネル(23)が前記回転油ポンプ(13)の前記行程容積の少なくとも2倍の容積の前記油(11)を、前記回転油ポンプ(13)と前記ダム(30)との間に収容することができるように、前記ダム(30)は構成されている、請求項8〜12のうち何れか1項に記載のオイルレス型圧縮機。
【請求項14】
前記油回路(5)は、前記油リザーバ(10)と、前記回転油ポンプ(13)と前記ダム(30)との間の前記入口チャネル(23)内の空間(31)との流体結合部を備え、前記流体結合部は、油(11)を前記油リザーバ(10)から前記回転油ポンプ(13)と前記ダム(30)との間の前記空間(31)に移送するよう構成されている、請求項8〜13のうち何れか1項に記載のオイルレス型圧縮機。
【請求項15】
前記オイルレス型圧縮機(1)は、オイルレススクリュー圧縮機である、請求項8〜14のうち何れか1項に記載のオイルレス型圧縮機。
【請求項16】
油回路(5)経由でオイルレス型圧縮機(1)の潤滑及び/又は冷却を制御する方法であって、
‐前記オイルレス型圧縮機は、変速方式のモータ(4)及び前記モータ(4)によって駆動される圧縮機要素(2)を有し、
‐前記油回路(5)は、油(11)の入った油リザーバ(10)及び回転油ポンプ(13)を備え、前記回転油ポンプ(13)は、前記油リザーバ(10)から前記回転油ポンプ(13)の上流側に位置する入口チャネル(23)を通って油管(12)経由で油(11)を前記圧縮機要素(2)及び/又は前記モータ(4)まで送り進めるよう構成され、 ‐前記回転油ポンプ(13)は、回転シャフト(27)に取り付けられたロータ(26)を備え、前記回転油ポンプ(13)は、行程容積を有し、前記回転油ポンプ(13)は、前記圧縮機要素(2)の前記モータ(4)によって駆動され、
‐前記油回路(5)は、バイパス管(15)及び圧力作動式バイパス弁(14)を更に備え、前記バイパス管(15)及び前記圧力作動式バイパス弁(14)は、前記回転油ポンプ(13)と前記圧縮機要素(2)及び/又は前記モータ(4)との間の前記油(11)の一部分を直接案内して前記油リザーバ(10)に戻すよう構成され、この場合、前記油(11)の前記一部分は、前記油リザーバ(10)へのその戻り中に前記圧縮機要素(2)及び/又は前記モータ(4)を通過することはなく、
‐前記油回路(5)は、油冷却器(16)を更に備えている、方法において、
前記バイパス管(15)及び前記バイパス弁(14)を通って前記油リザーバ(10)に案内して戻される汲み上げられた前記油(11)の前記一部分は、前記バイパス管(15)内に配置された前記油冷却器(16)を通り、前記バイパス弁(14)は、前記バイパス弁(14)と前記圧縮機要素(2)及び/又は前記モータ(4)との間の前記油管(12)内のあらかじめ設定された圧力pに達するよう制御され
油(11)は、回転油ポンプ(13)と前記入口チャネル(23)内に設けられているダム(30)との間の空間(31)内に保持され、前記ダムは、前記回転油ポンプ(13)の前記回転シャフト(27)の中心線(32)の高さ(A)から前記回転油ポンプ(13)の前記ロータ(26)の最小直径(B)を2で割って得られた値を差し引いた値よりも大きくかつ前記回転油ポンプ(13)の前記回転シャフト(27)の前記中心線(32)の前記高さ(A)から前記回転油ポンプ(13)の前記回転シャフト(27)の最小直径(E)を2で割って得られた値を差し引いた値よりも小さい高さ(D)を有し、
前記オイルレス型圧縮機(1)の前記モータ(4)の始動及び/又は再始動時、前記方法は、次のステップ、すなわち、
‐前記油回路(5)に設けられているセンサによって前記空間(31)が完全に満たされたかどうかを記録するステップ、及び
‐次に、前記空間(31)が完全に満たされたことが記録されると、前記モータ(4)を始動させるステップを更に含む、方法。
【請求項17】
前記油(11)は、1つだけの回転油ポンプ(13)によって前記油回路(5)を通って送り進められる、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記油(11)は、固定され又は一定の冷却能力を備えた冷却器(16)によって冷却される、請求項16又は17記載の方法。
【請求項19】
前記バイパス管(15)を通って前記油リザーバ(10)に案内して戻される前記汲み上げられた油(11)の前記一部分は、機械式弁であるバイパス弁(14)によって制御される、請求項16〜18のうち何れか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記オイルレス型圧縮機(1)の前記モータ(4)の始動及び/又は再始動時、前記方法は、以下のステップ、すなわち、
‐油(11)を前記空間(31)が油(11)で完全に満たされるまで前記回転油ポンプ(13)の下流側にありかつ前記回転油ポンプ(13)よりも高い位置のところで前記油回路(5)中に送り込むステップ、及び
‐次に前記モータ(4)を始動させるステップを含む、請求項16〜19のうち何れか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記オイルレス型圧縮機(1)の前記モータ(4)の始動及び/又は再始動時、前記方法は、以下のステップ、すなわち、
‐前記油(11)よりも揮発度の低い潤滑剤を前記回転油ポンプ(13)の内部に送り込んで、ついには、前記空間(31)が前記潤滑剤で完全に満たされるようにするステップ、及び
‐次に前記モータ(4)を始動させるステップを含む、請求項16〜19のうち何れか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記オイルレス型圧縮機(1)の前記モータ(4)の始動及び/又は再始動時、前記方法は、次のステップ、すなわち、
‐前記油回路(5)に設けられている流体結合部を通って油(11)を前記油リザーバ(10)から前記空間(31)に移送し、ついには、前記空間(31)が油(11)で完全に満たされるようにするステップ、及び
‐次に前記モータ(4)を始動させるステップを更に含む、請求項16〜21のうち何れか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油回路、かかる油回路を備えたオイルレス(oil-free)型圧縮機及びかかる油回路経由でかかるオイルレス型圧縮機の潤滑及び/又は冷却を制御する方法に関する。
【0002】
より具体的には、本発明は、オイルレス型圧縮機用の改良型油回路及びこの改良型油回路を介して、可変rpm又は速度方式の、すなわち変速駆動装置(VSD)制御方式のモータを有するオイルレス型圧縮機の潤滑及び/又は冷却を制御する改良型方法を提供することを意図している。
【背景技術】
【0003】
油回路は、かかるモータ内のコンポーネントを潤滑するとともに冷却するために用いることが知られている。
【0004】
これらコンポーネントは、例えば、モータの軸受及び歯車であるが、これらには限定されない。
【0005】
高いモータrpm時、これら軸受及び歯車は、正確に計量供給される油の潤滑を必要とし、すなわち、これら軸受及び歯車にとって必要な潤滑のための油は、油圧損失及びそれどころか過熱を招く場合のある多すぎるほどであってはならず、しかも結果として過剰の摩擦及び過熱をもたらす場合のある少なすぎるほどであってもならない。
【0006】
したがって、油ジェット潤滑方式が利用され、それにより、油は、油が極めて正確な形態を備えたノズルによって必要とされる場所を標的として正確に送られる。
【0007】
この場所は、軌道(レースウェイ)又は歯車の歯が互いにかみ合う場所であると言える。
【0008】
油回路内の油は、冷却される必要があり、その目的は、油回路内における油の過熱及び油の潤滑特性の同時変化を回避することにある。
【0009】
ノズルにあらかじめ設定された圧力レベルで潤滑かつ冷却された油を提供する油回路は、典型的には、油リザーバ、回転油ポンプ、油冷却器、油フィルタ、及び連結管を含み、これらは、オイルレス型圧縮機の他のコンポーネント内に組み込まれる場合がある。さらに、多くの場合、最小圧力弁、バイパス管、油圧力センサ及び油温度センサが設けられる。
【0010】
伝統的に、かかるオイルレス型圧縮機用の油回路は、次のように配置される。
【0011】
回転油ポンプを用いて油を油リザーバから汲み上げ、その後、この油を油冷却器に案内する。この冷却器は、油を冷却し、その後、油は、オイルレス型圧縮機の潤滑されるべき任意のコンポーネント及び冷却されるべき任意のコンポーネントに送られる。
【0012】
潤滑及び冷却の際、油の温度は、上昇する。
【0013】
油が潤滑されるとともに冷却されるべきオイルレス型圧縮機のコンポーネントを通って流れた後、この油は、回路管を経て案内されて油リザーバに戻される。高温油は、回転油ポンプによって油リザーバから油冷却器に案内され、この油冷却器において、油は、冷却され、その後、オイルレス型圧縮機のコンポーネントに再び案内される。
【0014】
上述の回転油ポンプは、重要な役割を有し、すなわち、十分ではない量の油が遅かれ早かれノズルに送られた場合、潤滑が不十分になり、その結果として、軸受及び/又は歯車の損傷又は破損が生じる場合がある。
【0015】
別個のモータによって駆動される回転油ポンプを利用することが可能である。
【0016】
これは、回転油ポンプを制御することができるという利点を有するが、別個のモータ及びこのモータのための制御ユニットが必要であるという不利益がある。その結果、オイルレス型圧縮機は、高価であるだけなく、大型になり、さらに、オイルレス型圧縮機は、維持される必要がありしかも破損の恐れのある追加のコンポーネントを有することになる。
【0017】
この理由で、回転油ポンプをオイルレス型圧縮機の圧縮機要素と同一のモータによって駆動することが興味をそそる。これにより、圧縮機要素が作動しているときに回転油ポンプが作動しているということになる。これはまた、オイルレス型圧縮機のモータ及び圧縮機要素の高い速度又はrpm時、多量の油がオイルレス型圧縮機の潤滑及び冷却に必要な場合、多量の油が汲み上げられるとともに油冷却器まで案内され、次に、モータ及び/又は圧縮機要素まで案内されることを意味する。
【0018】
しかしながら、油圧力は、高すぎるほどに上がらないほうが良く、モータ及び圧縮機要素の高い速度及びrpm時、回転油ポンプは、多量の油を汲み上げることになるので、圧力は、高すぎるほどになる。高すぎるほどの油圧力は許容されず、例えば、その理由は、次に多すぎるほどの油が軸受潤滑に用いられ、その結果、軸受中での損失が生じるようになるからである。
【0019】
そのような理由で、弁付きのバイパス管が油冷却器の下流側で油回路中に取り付けられ、この弁は、ある特定の速度の時点で、汲み上げられた油の一部分を油リザーバに送り戻す。
【0020】
モータの速度が高ければ高いほど、かくして回転油ポンプの速度が高ければ高いほど、弁がバイパス管を経て油リザーバに案内して戻す油の量がそれだけいっそう多くなる。
【0021】
このように、油回路中の油圧力は、高すぎるほどには上昇することはない。
【0022】
従来型油回路によれば、モータ及び/又は圧縮機要素に送り進められる全ての油は、油冷却器を通って流れることになる。
【0023】
かかる公知の油回路は、かくして、機械の低速時、油が回転部品中の損失に起因して最高度に熱くなったときに油冷却器が機械の最大速度で油を冷却するよう設計されているので、油が過剰に冷却されるという欠点もまた提起する。
【0024】
その結果、これら低速時、油は、高い粘度を有することになり、それにより軸受中の油損失が生じることになる。
【0025】
さらに、大きな温度差が低速時と高速時で油に生じることになる。
【0026】
これら大きな温度差は、オイルレス型圧縮機のモータにとって有害である。
【0027】
この結果、冷却能力が調節可能である油冷却器が選択される場合が多く、これは、当然のことながら、高価でありかつ複雑である。
【0028】
さらに、最大速度で油の流れ全体向きに設計された大型冷却器を用いることが必要となる。
【0029】
油冷却器に適した回転油ポンプは、歯車ポンプ、内接歯車ポンプ、例えばジェロータ(gerotor)ポンプ及びベーンポンプである。
【0030】
米国特許第3,995,978号明細書には、ジェロータポンプが説明されている。
【0031】
かかるポンプは、これらポンプが圧縮機要素のモータと同一のrpmで駆動されているときにポンプ幅及び/又は歯車の歯又はベーンの数の適切な選択により、正確な量の油を汲み上げるよう設計されているのが良く、かかる適切な選択により回転油ポンプをモータの軸線上に直接取り付けることが可能であり、その結果、極めてコンパクトであり、堅牢であり、効率的であり、しかも安価な機械が得られる。
【0032】
しかしながら、回転油ポンプを圧縮機要素のモータの軸線上に直接取り付けるこの種の形態の欠点は、回転油ポンプがオイルレス型圧縮機中の相対的に高い位置に取り付けられる必要があり、その結果、この回転油ポンプが油リザーバに対して相対的に高い位置に存在することにある。
【0033】
このことは、オイルレス型圧縮機の始動時、回転油ポンプが最初に油リザーバに流体結合されている吸引管から空気を吸い出すことが必要であり、その後、油リザーバから油を吸い出して汲み上げることが必要であるということを意味している。
【0034】
この始動は、回転油ポンプ中にすでに幾分かの油が存在する場合に容易であり、したがって、回転油ポンプが始動しているとき、この油は、広く行き渡って回転油ポンプ中の封止を行い、その結果、回転油ポンプの吸引力がすぐに最適状態になる。
【0035】
この理由で、回転油ポンプの組み立ての際、少量の油、すなわち油回路中の油の全量に対して僅かである量が回転油ポンプ中に利用される場合が多い。
【0036】
しかしながら、ポンプがその組み立て後、長時間経過した後にのみ最初に始動される場合、油のこの初期量は、すでに部分的に又は完全に蒸発しており、その結果、回転油ポンプを適正な仕方で始動させるにはもはや十分ではない。
【0037】
米国特許第3,859,013号明細書は、回転油ポンプと油リザーバとの入口チャネル内にある種のサイフォン状構造体が設けられ、このサイフォン状構造体は、少量の油が油リザーバの近くで入口チャネル内に保たれるよう構成されている。しかしながら、オイルレス型圧縮機の始動時、回転油ポンプは、依然として、油がサイフォン状構造体から吸い出される前に相当な量の空気を吸い出す必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0038】
【特許文献1】米国特許第3,995,978号明細書
【特許文献2】米国特許第3,859,013号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0039】
本発明の目的は、上述の欠点及び他の欠点のうちの少なくとも1つに対して解決策を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0040】
本発明の目的は、変速方式のモータ及びモータによって駆動される圧縮機要素を有するオイルレス型圧縮機の潤滑及び冷却のための油回路であって、
‐油回路は、油の入った油リザーバ及び回転油ポンプを備え、回転油ポンプは、油リザーバから回転油ポンプの上流側に位置する入口チャネルを通って油管経由で油を圧縮機要素及び/又はモータまで送り進めるよう構成され、
‐回転油ポンプは、回転シャフトに取り付けられたロータを備え、回転油ポンプは、行程容積を有し、回転油ポンプは、圧縮機要素のモータによって駆動され、
‐油回路は、油を圧縮機要素及び/又はモータから案内して油リザーバに戻すよう構成された帰り管を更に備え、
‐油回路は、バイパス管及び圧力作動式バイパス弁を更に備え、バイパス管及び圧力作動式バイパス弁は、回転油ポンプと圧縮機要素及び/又はモータとの間の油の一部分を直接案内して油リザーバに戻すよう構成され、この場合、油の一部分は、油リザーバへのその戻り中に圧縮機要素及び/又はモータを通過することはなく、
‐油回路は、油冷却器を更に備えている、油回路において、
油冷却器は、バイパス管内に配置され、バイパス弁は、油管内に配置されていることを特徴とする油回路を提供することにある。
【0041】
利点は、圧縮機要素の低速時、必要とされる冷却度が小さい場合、油回路中の油の僅かな部分がバイパス管を経て案内され、かくして冷却され、他方、高速時、必要とされる冷却度が高い場合、油回路中の油の比較的大部分がバイパス管を経て案内され、かくしていっそう冷却されるということである。
【0042】
冷却度を低速で小さくし、高速で冷却度を高くすることにより、油の温度は、公知の冷却回路と比較して、より一定のままであり、かくして温度差がより小さい。
【0043】
さらに、平均油温度もまた、高く、その結果、油は、低い粘度を有することになり、それにより軸受中及び油が潤滑のために用いられるオイルレス型圧縮機中の他の場所での油損失が少なくなる。
【0044】
もう1つの利点は、低速時、バイパス管及び油冷却器を経て案内される油がゼロなので油が冷却されることはないということにある。このように、油は、低速では高すぎるほどの粘度を有することはない。
【0045】
さらに、高速では、油は、高温すぎるほどにはならず、と言うのは、この場合、より多くの油が冷却器を経て案内されるからである。
【0046】
もう1つの利点は、油冷却器が小さな寸法を有することができ、すなわち、バイパス管内において、小型油冷却器がバイパス弁の上流側で油管内に位置する公知の油回路と比較して、少量の油流れ向きに選択することができるということにある。
【0047】
本発明の好ましい実施形態では、入口チャネルは、回転油ポンプの回転シャフトの中心線の高さから回転油ポンプのロータの最小直径を2で割って得られた値を差し引いた値よりも大きい高さを有するダムを備える。
【0048】
この好ましい実施形態の利点は、オイルレス型圧縮機の作動停止後、相当な量の油が回転油ポンプ内及び回転油ポンプとダムとの間の入口チャネル内に残り、その結果、オイルレス型圧縮機の再始動時、回転油ポンプの内部が油で完全に湿潤され、回転油ポンプの吸引力が即座に極めて高くなるということにある。
【0049】
このように、油の流れがオイルレス型圧縮機の始動(再始動)時、油回路内で迅速かつ円滑に開始される。
【0050】
好ましくは、ダムの高さは、回転油ポンプの回転シャフトの中心線の高さから回転油ポンプの回転シャフトの最小直径を2で割って得られた値を差し引いた値よりも小さい。
【0051】
これにより、油が回転油ポンプの回転シャフトを経て漏れるのが阻止されるとともに/あるいはこのシャフトの追加の封止の必要性が回避される。
【0052】
本発明はまた、オイルレス型圧縮機であって、オイルレス型圧縮機は、その循環及び冷却のための油回路を備え、
‐オイルレス型圧縮機は、変速方式のモータ及びモータによって駆動される圧縮機要素を有し、
‐油回路は、油の入った油リザーバ及び回転油ポンプを備え、回転油ポンプは、油リザーバから回転油ポンプの上流側に位置する入口チャネルを通って油管経由で油を圧縮機要素及び/又はモータまで送り進めるよう構成され、
‐回転油ポンプは、回転シャフトに取り付けられたロータを備え、回転油ポンプは、行程容積を有し、回転油ポンプは、圧縮機要素のモータによって駆動され、
‐油回路は、油を圧縮機要素及び/又はモータから案内して油リザーバに戻すよう構成された帰り管を更に備え、
‐油回路は、バイパス管及び圧力作動式バイパス弁を更に備え、バイパス管及び圧力作動式バイパス弁は、回転油ポンプと圧縮機要素及び/又はモータとの間の油の一部分を直接案内して油リザーバに戻すよう構成され、この場合、油の一部分は、油リザーバへのその戻り中に圧縮機要素及び/又はモータを通過することはなく、
‐油回路は、油冷却器を更に備えている、オイルレス型圧縮機において、
オイルレス型圧縮機は、油冷却器がバイパス管内に配置されるとともにバイパス弁が油管内に配置されるよう構成されていることを特徴とするオイルレス型圧縮機に関する。
【0053】
最後に、本発明は、油回路経由でオイルレス型圧縮機の潤滑及び/又は冷却を制御する方法であって、
‐オイルレス型圧縮機は、変速方式のモータ及びモータによって駆動される圧縮機要素を有し、
‐油回路は、油の入った油リザーバ及び回転油ポンプを備え、回転油ポンプは、油リザーバから回転油ポンプの上流側に位置する入口チャネルを通って油管経由で油を圧縮機要素及び/又はモータまで送り進めるよう構成され、
‐回転油ポンプは、回転シャフトに取り付けられたロータを備え、回転油ポンプは、行程容積を有し、回転油ポンプは、圧縮機要素のモータによって駆動され、
‐油回路は、バイパス管及び圧力作動式バイパス弁を更に備え、バイパス管及び圧力作動式バイパス弁は、回転油ポンプと圧縮機要素及び/又はモータとの間の油の一部分を直接案内して油リザーバに戻すよう構成され、この場合、油の一部分は、油リザーバへのその戻り中に圧縮機要素及び/又はモータを通過することはなく、
‐油回路は、油冷却器を更に備えている、方法において、
バイパス管及びバイパス弁を通って油リザーバに案内して戻される汲み上げられた油の一部分は、バイパス管内に配置された油冷却器を通り、バイパス弁は、バイパス弁と圧縮機要素及び/又はモータとの間の油管内のあらかじめ設定された圧力に達するよう制御されることを特徴とする方法に関する。
【0054】
好ましくは、油又はこの油よりも揮発度の低い潤滑剤を回転油ポンプの下流側にありかつ回転油ポンプよりも高い位置のところで油回路中に送り込んだ後でのみ、圧縮機要素のモータを始動させる。
【0055】
本発明の特徴を良好に示す意図をもって、本発明を限定しようとするのではなく一例として、以下において、添付の図面を参照して本発明の油回路の2、3の好ましい実施形態及びかかる油回路を備えたオイルレス型圧縮機につき説明する。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1】本発明の油回路を備えたオイルレス型圧縮機を概略的に示す図である。
図2】モータ速度の関数として回転油ポンプの流量の変化を概略的に示す図である。
図3】モータ速度の関数としてバイパス弁から見て下流側に位置する油管内の圧力の変化を示す図である。
図4図1のモータ及び回転油ポンプを概略的に詳細に示す図である。
図5図4の矢印F3に沿って見た図であり、回転油ポンプのハウジングが部分的に切除されている状態を示す図である。
図6図5のF4で示された部分を詳細に示す図である。
図7図6の部分の変形実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
この場合、図1に示されているオイルレス型圧縮機1は、スクリュー圧縮機要素2、変速装置3(又は「歯車箱」)及び変速方式のモータ4を備えたスクリュー圧縮装置であり、オイルレス型圧縮機1は、本発明の油回路5を備えている。
【0058】
本発明によれば、オイルレス型圧縮機1がスクリュー圧縮機1である必要はなく、と言うのは、圧縮機要素2は、異なる形式のものであっても良く、例えば、歯圧縮機要素、スクロール圧縮機要素、ベーン圧縮機要素などであって良い。
【0059】
圧縮機要素2は、ガスを引き込むための入口7及び圧縮ガスのための出口8を備えたハウジング6を有する。2つの互いに嵌合状態のヘリカル形ロータ9がハウジング6内の軸受に取り付けられている。
【0060】
油回路5は、オイルレス型圧縮機1にオイルレス型圧縮機のコンポーネントを潤滑し、必要ならば冷却するための油11を供給する。
【0061】
これらコンポーネントは、例えば、変速装置3内の歯車、ヘリカル形ロータ9が圧縮機要素2内で取り付けられる軸受などである。
【0062】
油回路5は、油11が入っている油リザーバ10及び油11を潤滑されるとともに/あるいは冷却されるべきオイルレス型圧縮機1のコンポーネントに送るための油管12を含む。
【0063】
回転油ポンプ13が油11を油リザーバ10からくみ出すことができるよう油管12内に設けられている。
【0064】
回転油ポンプ13は、圧縮機要素2のモータ4によって駆動される。
【0065】
回転油ポンプ13をモータ4のシャフト又は駆動シャフトに直接連結するのが良い。この駆動シャフトを次に、カップリングによりモータ4に連結する。次に、歯車を歯車箱によって駆動される駆動シャフトに取り付ける。1つ又は2つ以上の圧縮機要素2を歯車箱経由で駆動することができる。
【0066】
バイパス弁14及び油管12から油リザーバ10に戻るよう通じるバイパス管15が回転油ポンプ13から見て下流側で油管12内に設けられている。
【0067】
図示の実施例では、バイパス弁14が油管12内に取り付けられているが、バイパス弁14がバイパス管15内に取り付けられることが(特許の保護対象から)除外されるわけではない。バイパス管15への油管12の連結場所において取り付けられる三方弁を用いることも(特許の保護対象から)除外されるわけではない。
【0068】
バイパス弁14は、回転油ポンプ13によって汲み上げられる油11を分布させ、すなわち、一部は油管12経由で潤滑されるとともに/あるいは冷却されるべきオイルレス型圧縮機1のコンポーネントに送り進められ、他の部分は、バイパス管15経由で油リザーバ10に送り戻される。
【0069】
この場合、バイパス管14は、機械式弁14であるが、必ずしもそうである必要はない。
【0070】
好ましい実施形態では、弁14は、ばね押し弁であり、すなわち、弁14は、ばね又はばね要素を有し、それにより、このばねは、弁14の上流側又は下流側の圧力pに応じて、弁14を大なり小なり開く。
【0071】
この場合、この弁は、弁14の下流側に位置する圧力pに応じてバイパス管15を開閉するばね押し弁14である。圧力pのある特定のしきい値を超えると、弁14は、バイパス管15を開き、その結果、汲み上げられた油11の一部分がバイパス管15を経て油リザーバ10に流れることになる。
【0072】
本発明によれば、油冷却器16がバイパス管15内に配置されている。このことは、バイパス管15を経て流れる油11を冷却することができるが、油管12を経て潤滑されるとともに/あるいは冷却されるべきコンポーネントまで流れる油11が冷却されることはないと言うことを意味している。
【0073】
換言すると、冷却状態の低温油11は、バイパス管15を経て油リザーバ10まで案内される。
【0074】
この場合、上述の油冷却器16は、熱交換機17の一部をなす。油冷却器16は、例えばプレート型クーラであるのが良いが、油11を冷却するのに適した任意形式の冷却器を本発明に用いることができる。
【0075】
この場合、油冷却器16は、所与の油流量及び冷却剤の流量について固定され又は一定の冷却能力を有する。このことは、冷却能力を調整することができないということを意味している。冷却剤の流量を調節することによって、冷却能力を調節することが可能であることは確かであろう。しかしながら、これは、必要条件ではない。
【0076】
油管12は、バイパス弁14から、潤滑されるとともに必要ならば冷却されるべきオイルレス型圧縮機1のコンポーネントまで延びる。ここで、油管12は、副管(サブパイプ)18に分割され、これら副管18は、圧縮機要素2内に部分的に組み込まれるのが良い。
【0077】
さらに、油回路5は、油11がコンポーネントを潤滑し、必要ならばこれらを冷却した後、油11を圧縮機要素2から油リザーバ10に運んで戻すための帰り管19を備えている。
【0078】
この油11は、高い温度を有する。
【0079】
油リザーバ10内では、この高温油11は、バイパス管15を経て油リザーバ10に案内された冷却状態の低温油11と混合される。
【0080】
油回路5を備えたオイルレス圧縮機1の作動は、極めて簡単であり、次の通りである。
【0081】
圧縮機要素2がモータ4によって駆動されると、嵌合状態の回転ヘリカル形ロータ9は、空気を引き込んでこれを圧縮する。
【0082】
作動中、圧縮機要素2の互いに異なるコンポーネントである変速装置3及びモータ4が潤滑されるとともに冷却される。
【0083】
回転油ポンプ13が圧縮機要素2のモータ4によって駆動されると、オイルレス型圧縮機1の始動時点において、回転油ポンプ13は、油11を汲み上げ、そしてこれを油管12及び副管18経由で潤滑されるとともに冷却されるべきオイルレス型圧縮機1のコンポーネントまで送り進める。
【0084】
モータ4の速度nの関数としての回転油ポンプ13の流量Qの変化が図2に示されている。
【0085】
この図で理解できるように、低速n時では、回転油ポンプ13は、高速n時と比較して汲み上げる油11の量が少ない。これは、低速n時では、必要とされる潤滑度及び冷却度が小さく、高速n時では、大きいので有利である。
【0086】
低速n時では、汲み上げられる全ての油11は、圧縮機要素2及びモータ4に送り進められ、すなわち、バイパス弁14は、バイパス管15を閉じ、その結果、バイパス管15及び油冷却器16に沿って油リザーバ10に流れて戻ることができる油11は、ゼロである。低速n時では、油11が温まることはほとんどないので必要とされる冷却度がゼロであるので、これは、問題ではなく、これにより、油11は、低温過ぎるほどにはならないようになる。
【0087】
バイパス弁14から見て下流側に位置する油管12内の圧力pの変化が図3に示されている。
【0088】
圧力は、速度n′に相当する圧力の強さp′に達するまで速度nに比例して規則正しく上昇する。
【0089】
この速度n′の時点において、圧力p′に達し、その結果、バイパス弁14は、バイパス管15に対して部分的に開かれる。
【0090】
その結果、n′よりも高い速度では、汲み上げられた油11の一部分は、バイパス管15を経てバイパス弁14を通って送り進められる。
【0091】
これは、図2に概略的に示されており、曲線は、2つの枝に分割され、ゾーンIに対応した流量Qの一部分は、油管12を経て潤滑されるとともに冷却されるべきオイルレス型圧縮機1のコンポーネントに送り進められ、他方、ゾーンIIに対応した油流量Qの他の部分は、バイパス管15を経て油リザーバ10に送り戻される。
【0092】
バイパス弁14が開くので、速度n′の時点において、圧力pは、モータ4の速度nに比例してもはや上昇することはなく、曲線は、図3に示されているように横ばいである。
【0093】
速度nが高ければ高いほど、バイパス弁14は、油管12内のバイパス弁14から見て下流側に位置する高い圧力pによって押されてそれだけいっそう開かれる。確かに、高い速度n時、回転油ポンプ13n流量Qは、大きく、その結果、この圧力pもまた、バイパス弁14がより開くように上昇することになる。
【0094】
ばね押しバイパス弁14のばね特性は、バイパス弁14がばねによって制御され、その結果、図3の曲線に従って、バイパス弁14と圧縮機要素2及び/又はモータ4との間において油管12内のあらかじめ設定された圧力pに達するよう選択される。
【0095】
バイパス管15を経て案内される油11は、油冷却器16を通り、そしてこの油冷却器によって冷却されることになる。
【0096】
バイパス管15を経て案内される冷却状態の油11は、油リザーバ10に至るので、油リザーバ10内の油11の温度は、低下することになる。次に、この低温(より低温の)油11は、回転油ポンプ13によって汲み上げられ、そして圧縮機要素2及び/又はモータ4に送られる。
【0097】
高速n時では、オイルレス型圧縮機1内では多量の熱が発生するので、上述の方法によって正確に考慮に入れられるいっそうの冷却が必要となるであろう。
【0098】
速度nが増大する場合、回転油ポンプ13は、常時、油リザーバ10から油11をよりいっそう汲み上げる。バイパス弁14の下流側の圧力pは、その結果とした常時高いので、このバイパス弁14は、バイパス管15を経て油11をよりいっそう常時案内することによってこれに対応することになり、その結果、圧力pは、高すぎるほどには上昇せず、引き続き図3の曲線をたどるようになる。
【0099】
その結果、速度nが増大する場合、更によりいっそうの油11が冷却され、したがって、速度nが増大する場合であっても、オイルレス型圧縮機1の温度の上昇に対応することができる。
【0100】
これは図2に示されており、ゾーンIIは、高速n時では常時大きくなる。
【0101】
上述のことが明らかに示すこととして、低速n時では冷却される油11はほとんどなく又はゼロであり、他方、速度nが増大する場合、更にいっそうの油11が冷却される。
【0102】
この結果、油温度は、一定でありしかも平均で高く、それにより、油11の粘度は、平均で低くなり、その結果、回転油ポンプ13内及び潤滑場所では油損失が少なくなる。
【0103】
図2で更に理解できるように、あらゆる速度n時、バイパス管15及び油冷却器16(ゾーンII)を経て進む油流量Qは、圧縮機要素2及び/又はモータ4(ゾーンI)に送り進められる油の流量Qよりも少ないであろう。
【0104】
このことは、油冷却器16が公知の冷却回路と比較して小さい寸法を有することができるということを意味している。
【0105】
圧縮機要素2及び/又はモータ4の油11は、帰り管19を経て油リザーバ10に送り戻される。
【0106】
この油11は、油リザーバ10内の油11よりも高い温度を有するであろう。
【0107】
この高温油11に加えて、冷却状態の油11もまたバイパス管15を経て油リザーバ10にやってくる。
【0108】
これら2つの油は、油リザーバ10内で互いに混合され、その結果、油11は、冷却状態の油11の温度と高温油11の温度との間のある特定の温度状態になる。
【0109】
油リザーバ10について、回転油ポンプ13は、再び油11を汲み上げ、そして上述した方法及び制御を実施させる。
【0110】
図示の実施形態では、ばね押し機械式弁がバイパス弁14として用いられているが、コントローラ20によって制御される電子式バイパス弁14を用いることが可能である。
【0111】
図1には、このコントローラ20は、一例として点線として示されている。このコントローラ20は、例えば油管12内のバイパス弁14から見て下流側に配置されている圧力センサ21からの信号に基づいてバイパス弁14を制御する。コントローラ20は、圧力センサ21によって登録された圧力pが図3の曲線の経路をたどるようバイパス弁14を制御する。換言すると、バイパス弁14は、バイパス弁14と圧縮機要素2及び/又はモータ4との間で油管12内のあらかじめ設定された圧力pに達するよう制御される。
【0112】
図示するとともに説明する実施例では、油回路5は、圧縮機要素2及びモータ4とは別体として示されているが、当然のことながら、油回路5が圧縮機要素2及び/又はモータ4に組み込まれ又は物理的に圧縮機要素2及び/又はモータ4の一部をなすことは(特許の保護対象から)除外されるわけではない。
【0113】
図示するとともに上述した全ての実施形態では、油回路5は、油フィルタを更に含むことが可能である。この油フィルタは、例えば、バイパス弁14から見て下流側で油管12内に取り付けられるのが良いが、必ずしもそうである必要はない。油フィルタは、油11から汚染物を収集し、その後、この油を圧縮機要素2及び/又はモータ4に送る。
【0114】
モータ4は、圧縮機要素2及び回転油ポンプ13を直接的に駆動する。図4には、モータ4の回転シャフト22が回転油ポンプ13を直接駆動している状態が示されている。
【0115】
油回路5が可能にすることとして、回転油ポンプ13は、回転油ポンプ13の前で入口チャネル23を通って油11を油リザーバ10から汲み上げ、その後、油11を管12及び副管18を通って、モータ4及び/又は圧縮機要素2内に位置していてオイルレス型圧縮機1の1つ又は2つ以上の軸受及び他のコンポーネントの潤滑及び/又は冷却のための特定の場所に位置決めされたノズルまで案内することができるようになっている。
【0116】
回転油ポンプ13が圧縮機要素2のモータ4によって駆動されるので、回転油ポンプは、油リザーバ10よりもかなり高い高さ位置に存在する。このことは、油リザーバ10から回転油ポンプ13まで延びている入口チャネル23が比較的に長いことを意味している。
【0117】
回転油ポンプ13は、ステータ25及びロータ26を収納するハウジング24を有する。ロータ26は、回転シャフト27に取り付けられ、この回転シャフトは、モータ4の回転シャフト22によって駆動される。
【0118】
回転油ポンプ13は、ジェロータポンプであるが、これは、本発明の必須要件ではない。
【0119】
ハウジング24は、入口チャネル23が連結されている油11のための入口ポート28及び汲み上げられた油11のための出口ポート29を備えている。
【0120】
図5では、入口ポート28及び出口ポート29は、明確に視認できる。
【0121】
図6に示されているように、入口チャネル23は、回転油ポンプ13の近くに位置するダム30を備えている。
【0122】
「ダム30」という用語は、モータ4が作動を停止したとき、ある特定の量の油11がダム30によって堰き止められている入口チャネル23内の空間31内に残るようにする構造体を意味している。
【0123】
「回転油ポンプ13の近くに位置する」という表現は、回転油ポンプ13が回転油ポンプ13の始動時に油11を即座に汲み上げることができるような場所に上述の残存する量の油11が残っていることを意味している。
【0124】
このことは、上述の残存する量の油11が例えば回転油ポンプ13内に少なくとも部分的に存在していること又は残存する量の油11が回転油ポンプ13の入口ポート28のすぐ隣で入口チャネル23内に存在することを意味している。
【0125】
図6において、ダム30が回転油ポンプ13の回転シャフト27の中心線32の高さAから回転油ポンプ13のロータ26の最小直径Bの半分を差し引いて得られた値に等しい最小高さを有することが明示的に視認できる。
【0126】
ダム30を線Cによって指示されているこの最小高さと少なくともほぼ同じ高さに配置することによって、十分な量の油11は、ダム30と回転油ポンプ13との間で入口チャネル23内に存在しかつダム30によって堰き止められた空間31内に残存し、それにより、回転油ポンプ13は、オイルレス型圧縮機1の始動時、内部が完全に湿潤される。油11による回転油ポンプ13のこの即時内部湿潤に起因して、ローラ26及びステータ25は、この油11によって即座に封止され、その結果、回転油ポンプ13の吸引力が即座に最大になる。
【0127】
この場合、好ましくは、ダム30の高さDは、回転油ポンプ13の回転シャフト27の中心線32の高さAから回転油ポンプ13の回転シャフト27の直径Eの半分の値を差し引いて得られる値に等しい最大高さよりも小さい。
【0128】
ダム30が線Fによって指示されているこの最大高さよりも高いところに位置している場合、残存する油11の高さ位置は、回転油ポンプ13の回転シャフト27の最も低い箇所よりも高い。このために、油11は、場合によっては、回転油ポンプ13の回転シャフト27を経て漏れることになりかつ/あるいは封止部がこれを回避するために回転油ポンプ13の回転シャフト27に設けられる必要がある。
【0129】
ダム30の最小高さC及び最大高さFの隣に位置するダム30の形態は、この場合、好ましくは、回転油ポンプ13と回転油ポンプ13及び入口チャネル23内のダム30との間に存在する恐れのある油11の量が回転油ポンプ13の行程容積又は押し退け量の少なくとも2倍であるようなものである。
【0130】
これは、即座に十分な量の油11が回転油ポンプ13の始動時に回転油ポンプ13と入口チャネル23との間で利用でき、その結果、回転油ポンプ13の内部を即時湿潤することが可能であるだけでなく、ある量の油11を即座に汲み上げ又はある量の油11を出口ポート29経由で油回路5に即座に圧送し、潤滑されるとともに/あるいは冷却されるべきオイルレス型圧縮機1のコンポーネントに更に圧送することができるという利点を有する。
【0131】
図5及び図6のダム30が回転油ポンプ13のロータ26及びステータ25に向かって傾斜している勾配として設計されているにもかかわらず、ダム30は、別の形態を取ることが(特許の保護対象から)除外されるわけではない。
【0132】
図7には別の形態が示されており、ダム30は、段付き形態を有し、入口チャネル23は、いわば段部33を備えている。
【0133】
この実施形態は、いっそう多くの油11がダム30と回転油ポンプ13との間の空間31内に残るという利点を有するが、この実施形態は、油11の吸い込み時、油11は、言ってみれば、段部33を経て流下し、その結果、望ましくない乱流が生じるという欠点を有する。図5及び図6の実施形態では、油11は、言ってみれば、ダム30から流れ落ちる。
【0134】
オイルレス型圧縮機1の作動原理は、極めて簡単であり、次の通りである。
【0135】
オイルレス型圧縮機1の始動のため、好ましくは、次のステップが実施される。
‐油11を空間31が油11で完全に満たされるまで回転油ポンプ13の下流側にありかつ回転油ポンプ13よりも高い位置のところで油回路5中に送り込み、
‐次に、モータ4を始動させる。
【0136】
油回路5に送り込まれた油11は、回転油ポンプ13まで流下するのが良く、そして回転油ポンプ13と、ダム30と回転油ポンプ13との間の空間31内の入口チャネル23の両方をダム30の高さDに等しい高さ位置まで満たすことができる。
【0137】
次に、モータ4を始動させると、圧縮機要素2及び回転油ポンプ13は、駆動され、油回路5に送り込まれ、今や回転油ポンプ13及び上述の空間31内に存在する油11は、回転油ポンプ13が油11を即座に汲み上げ、そしてこれを油回路5に移送することができ、その結果、圧縮機要素2にオイルレス型圧縮機1の始動からすぐに必要な油11を即座に提供するようにする。
【0138】
変形例として、最初に、油11よりも揮発性の低い潤滑剤を回転油ポンプ13の内部に送り込み、その後、モータ4を始動させることもまた可能である。
【0139】
かかる方法は、好ましくは、オイルレス型圧縮機1の組み立て時に利用され、したがって、オイルレス型圧縮機1の最初の始動時、揮発性の低い潤滑剤が回転油ポンプ13内に存在するようになる。
【0140】
当然のことながら、両方の方法を組み合わせることが(特許の保護対象から)除外されるわけではなく、最初の始動時、揮発性の低い潤滑剤を送り込み、オイルレス型圧縮機1の次の始動時、油11を油回路5に送り込む。
【0141】
モータ4の始動時点から、回転油ポンプ13は、油11を入口チャネル23経由で油リザーバ10から即座に汲み上げる。
【0142】
次に、汲み上げられた油11は、出口ポート29を経て回転油ポンプ13を出、そして油回路5に入り、この油回路5から、かかる油は、圧縮機要素2の潤滑されるとともに/あるいは冷却されるべき種々のコンポーネント及び/又はモータ4のところの互いに異なるノズルに移送される。
【0143】
したがって、圧縮機要素2及び/又はモータ4には、モータ4及びオイルレス型圧縮機1の始動から油11がほぼ即座に提供される。
【0144】
オイルレス型圧縮機1は、油11が回転油ポンプ13とダム30との間の空間31内に存在しているかどうかを記録するよう構成されたセンサを有することが(特許の保護対象から)除外されるわけではない。
【0145】
上述のセンサは、任意形式の油面検知機又はセンサであって良いが、本発明によれば、油圧センサ又は油温センサであっても良い。
【0146】
かかるセンサを備えたオイルレス型圧縮機1の始動のため、好ましくは、油11が回転油ポンプ13とダム30との間の入口チャネル23内に存在していることが検出された後にのみモータ4を始動させる。
【0147】
油11が検出されない場合、オイルレス型圧縮機1は、始動されず、その代わりに、加温信号がユーザに送り出される。
【0148】
始動時に、オイルレス型圧縮機1の潤滑及び/又は冷却を制御するセンサ及び上記方法をその前に説明した種々の方法と組み合わせることができるということは明らかである。この方法は、油11が回転油ポンプ13とダム30との間の入口チャネル23内に存在していない状態でオイルレス型圧縮機1を始動させるのを阻止するための追加の安全特徴部を組み込む。
【0149】
また、オイルレス型圧縮機1は、油リザーバ10と回転油ポンプ13とダム30との間の空間31との流体結合部を有し、流体結合部が油11を油リザーバ10から回転油ポンプ13とダム30との間の空間31に移送するよう構成されることが可能である。
【0150】
これは、例えば、手動式又は電気作動式の小型ポンプによって実現されるのが良い。
【0151】
オイルレス型圧縮機1がかかる流体結合部を備えている場合、このオイルレス型圧縮機1の始動のために以下の方法を実施するのが良い。
‐油11を油リザーバ10から回転油ポンプ13とダム30との間の空間31に移送し、ついには、空間31が油11で完全に満たされるようにし、
‐次に、モータ4を始動させる。
【0152】
当然のことながら、オイルレス型圧縮機1は、油11がダム30と回転油ポンプ13との間の入口チャネル23内に存在しているかどうかを記録するよう構成されたセンサを更に備えることが(特許の保護対象から)除外されるわけではない。
【0153】
この場合、始動時に油11が検出されなかった場合、小型ポンプを作動させることによって油11を油リザーバ10から回転油ポンプ13とダム30との間の空間31に移送する旨の信号がユーザに送られ、あるいはこの小型ポンプが電気的に作動する場合、この小型ポンプは、油11が油リザーバ10から回転油ポンプ13とダム30との間の空間31に移送されるようにするためにオイルレス型圧縮機1によって自動的に始動され、その後、モータ4を問題なくスムーズに始動させることが可能である。
【0154】
本発明は、一例として説明するとともに図示されている実施形態にはなんら制限されず、本発明の油回路及びかかる油回路を備えたオイルレス型圧縮機を本発明の範囲から逸脱することなく、あらゆる種類の形態及び寸法で実現できる。
【符号の説明】
【0155】
1 オイルレス型圧縮機
2 圧縮機要素
3 変速装置
4 モータ
5 油回路
9 ヘリカル形ロータ
10 油リザーバ
11 油
12 油管
13 回転油ポンプ
14 バイパス弁
15 バイパス管
16 油冷却器
17 熱交換器
19 帰り管
23 入口チャネル
27 回転シャフト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7