特許第6676117号(P6676117)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6676117管へのキャップの装着方法および装着設備
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6676117
(24)【登録日】2020年3月13日
(45)【発行日】2020年4月8日
(54)【発明の名称】管へのキャップの装着方法および装着設備
(51)【国際特許分類】
   F16L 57/00 20060101AFI20200330BHJP
【FI】
   F16L57/00 C
【請求項の数】11
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-158813(P2018-158813)
(22)【出願日】2018年8月28日
(65)【公開番号】特開2020-34028(P2020-34028A)
(43)【公開日】2020年3月5日
【審査請求日】2019年9月2日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】特許業務法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】須藤 克弘
(72)【発明者】
【氏名】瀧澤 智哉
【審査官】 二階堂 恭弘
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第03238908(US,A)
【文献】 特開2000−108064(JP,A)
【文献】 実開昭60−039431(JP,U)
【文献】 特開昭62−256612(JP,A)
【文献】 特開平10−267128(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 57/00
B65B 17/00
B65D 59/06
B23P 21/00
B25J 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底筒状で且つ開口部がテーパー状に拡がっているキャップを管の開口端部に装着する装着方法であって、
保持装置でキャップを保持した状態で、キャップと矯正装置とを当接させてキャップの形状を矯正し、
矯正後のキャップを矯正装置から離間させて管の開口端部に嵌め、
保持装置によるキャップの保持を解除して、保持装置をキャップから離間させることを特徴とする管へのキャップの装着方法。
【請求項2】
保持装置でキャップの外側を保持した状態で、キャップと矯正装置とを当接させた際、矯正装置の矯正体がキャップの内側に挿入されてキャップの形状を矯正することを特徴とする請求項1記載の管へのキャップの装着方法。
【請求項3】
共通の保持装置で、直径の異なる複数種類のキャップを保持することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の管へのキャップの装着方法。
【請求項4】
保持装置を備えたロボットを用いて、キャップを管の開口端部に装着することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の管へのキャップの装着方法。
【請求項5】
管はダクタイル鉄管であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の管へのキャップの装着方法。
【請求項6】
有底筒状で且つ開口部がテーパー状に拡がっているキャップを管の開口端部に装着する装着設備であって、
キャップを保持する保持装置を備えたロボットと、
保持装置で保持されたキャップの形状を矯正する矯正装置とを有し、
矯正装置はキャップの内側に挿脱自在な矯正体を有し、
矯正体がキャップの内側に挿入されることによってキャップの形状を矯正することを特徴とする管へのキャップの装着設備。
【請求項7】
矯正体はキャップの内径に対応した大きさの円板であることを特徴とする請求項6記載の管へのキャップの装着設備。
【請求項8】
有底筒状で且つ開口部がテーパー状に拡がっているキャップを管の開口端部に装着する装着設備であって、
キャップを保持する保持装置を備えたロボットと、
保持装置で保持されたキャップの形状を矯正する矯正装置とを有し、
保持装置は直径の異なる複数種類のキャップを保持可能であることを特徴とする管へのキャップの装着設備。
【請求項9】
有底筒状で且つ開口部がテーパー状に拡がっているキャップを管の開口端部に装着する装着設備であって、
キャップを保持する保持装置を備えたロボットと、
保持装置で保持されたキャップの形状を矯正する矯正装置とを有し、
保持装置は保持装置の周方向において配置された複数の把持爪を有し、
これら把持爪は保持装置の径方向において開閉自在であることを特徴とする管へのキャップの装着設備。
【請求項10】
保持装置は、把持爪を閉じた状態で、内側に、内径の異なる複数段の凹部を有し、キャップの外径に対応した内径の凹部においてキャップを把持することを特徴とする請求項9記載の管へのキャップの装着設備。
【請求項11】
管はダクタイル鉄管であることを特徴とする請求項6から請求項10のいずれか1項に記載の管へのキャップの装着設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャップを管の開口端部に装着する装着方法および装着設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば図20図21に示すように、管130内に異物が侵入するのを防止するために、管130の開口端部にキャップ131を装着している。管130は、鋳鉄製であり、一端部に挿し口132を有し、他端部に受口133を有している。
【0003】
キャップ131は、円筒状の胴部134と、胴部134の一端を閉鎖する底板部135とを有する薄い樹脂製の柔軟な有底筒状のものであり、管130の挿し口132に着脱自在に外嵌される。
【0004】
これによると、作業者136が手作業でキャップ131を管130の挿し口132に外嵌している。
【0005】
尚、上記のようなキャップ131は例えば下記特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実公昭64−3038
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、キャップ131は柔軟で変形し易いため、キャップ131を管130の挿し口132に外嵌する際、キャップ131が変形していることがあり、キャップ131を正しく管130に装着するのに手間を要するといった問題がある。
【0008】
本発明は、キャップを正しく管に装着するのに要する手間を軽減することが可能な管へのキャップの装着方法および装着設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本第1発明は、有底筒状で且つ開口部がテーパー状に拡がっているキャップを管の開口端部に装着する装着方法であって、
保持装置でキャップを保持した状態で、キャップと矯正装置とを当接させてキャップの形状を矯正し、
矯正後のキャップを矯正装置から離間させて管の開口端部に嵌め、
保持装置によるキャップの保持を解除して、保持装置をキャップから離間させるものである。
【0010】
これによると、保持装置でキャップを保持した状態で、キャップと矯正装置とを当接させてキャップの形状を矯正してから、キャップを管の開口端部に装着するため、容易にキャップを正しく管に装着することができ、キャップの装着に要する手間を軽減することができる。
【0011】
本第2発明における管へのキャップの装着方法は、保持装置でキャップの外側を保持した状態で、キャップと矯正装置とを当接させた際、矯正装置の矯正体がキャップの内側に挿入されてキャップの形状を矯正するものである。
【0012】
これによると、保持装置でキャップの外側を保持した状態で、キャップと矯正装置とを当接させることにより、矯正装置の矯正体がキャップの内側に挿入されてキャップの形状を矯正する。このため、容易に、キャップを、変形した形状のままではなく、正規の形状で管の開口端部に装着することができる。
【0013】
本第3発明における管へのキャップの装着方法は、共通の保持装置で、直径の異なる複数種類のキャップを保持するものである。
【0014】
これによると、直径の異なる複数種類のキャップに、複数種類の保持装置をその都度対応させて使用する場合に比べて、コスト低減を図ることができる。
【0015】
本第4発明における管へのキャップの装着方法は、保持装置を備えたロボットを用いて、キャップを管の開口端部に装着するものである。
【0016】
これによると、ロボットを用いてキャップを管の開口端部に自動的に装着することができるため、キャップの装着作業に要する作業者の労力を軽減することができる。
【0017】
本第5発明における管へのキャップの装着方法は、管はダクタイル鉄管である。
【0018】
本第6発明は、有底筒状で且つ開口部がテーパー状に拡がっているキャップを管の開口端部に装着する装着設備であって、
キャップを保持する保持装置を備えたロボットと、
保持装置で保持されたキャップの形状を矯正する矯正装置とを有し、
矯正装置はキャップの内側に挿脱自在な矯正体を有し、
矯正体がキャップの内側に挿入されることによってキャップの形状を矯正するものである。
【0019】
これによると、ロボットの保持装置でキャップを保持した状態で、キャップを矯正装置に押し付けてキャップの形状を矯正する。矯正後のキャップを、矯正装置から離間させて、管の開口端部に嵌める。その後、保持装置によるキャップの保持を解除して、保持装置をキャップから離間させる。
【0020】
このようにロボットを用いてキャップを管の開口端部に自動的に装着するため、キャップの装着作業に要する作業者の労力を軽減することができる。この際、ロボットと矯正装置とを用いてキャップの形状を矯正してから、キャップを管の開口端部に装着するため、容易にキャップを正しく管に装着することができ、キャップの装着に要する手間を軽減することができる。
【0022】
尚、ロボットを用いてキャップを矯正装置に押し付けることにより、矯正装置の矯正体がキャップの内側に挿入されてキャップの形状を矯正する。このため、容易に、キャップを、変形した形状のままではなく、正規の形状で管の開口端部に装着することができる。
【0023】
本第発明における管へのキャップの装着装置は、矯正体はキャップの内径に対応した大きさの円板である。
【0024】
これによると、例えば円形状のキャップが楕円形状に変形していた場合、矯正装置の矯正体がキャップの内側に挿入されることにより、キャップの形状が楕円形状から円形状(正規の形状)に矯正される。
【0025】
本第発明は、有底筒状で且つ開口部がテーパー状に拡がっているキャップを管の開口端部に装着する装着設備であって、
キャップを保持する保持装置を備えたロボットと、
保持装置で保持されたキャップの形状を矯正する矯正装置とを有し、
保持装置は直径の異なる複数種類のキャップを保持可能である。
【0026】
これによると、共通の保持装置を用いて、直径の異なる複数種類のキャップを保持することができるため、コスト低減を図ることができる。
【0027】
本第発明は、有底筒状で且つ開口部がテーパー状に拡がっているキャップを管の開口端部に装着する装着設備であって、
キャップを保持する保持装置を備えたロボットと、
保持装置で保持されたキャップの形状を矯正する矯正装置とを有し、
保持装置は保持装置の周方向において配置された複数の把持爪を有し、
これら把持爪は保持装置の径方向において開閉自在である。
【0028】
これによると、複数の把持爪を閉じることにより、把持爪でキャップの外周を把持することができ、これにより、キャップが保持装置によって保持される。
【0029】
また、複数の把持爪を開くことにより、把持爪によるキャップの把持が解除され、これにより、保持装置によるキャップの保持が解除され、保持装置をキャップから離間させることができる。
【0030】
本第10発明における管へのキャップの装着装置は、保持装置は、把持爪を閉じた状態で、内側に、内径の異なる複数段の凹部を有し、キャップの外径に対応した内径の凹部においてキャップを把持するものである。
【0031】
これによると、複数の把持爪を閉じることにより、キャップは、その外径に対応した内径の凹部において把持される。これにより、共通の保持装置を用いて、直径の異なる複数種類のキャップを保持することができるため、コスト低減を図ることができる。
【0032】
本第11発明における管へのキャップの装着装置は、管はダクタイル鉄管である。
【発明の効果】
【0033】
以上のように本発明によると、キャップを正しく管に装着するのに要する手間を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の実施の形態におけるキャップの装着設備の正面図である。
図2図1におけるX−X矢視図である。
図3】同、装着設備の平面図である。
図4】同、装着設備において取り扱われるキャップの斜視図である。
図5】同、キャップの断面図である。
図6】同、装着設備のストッカー装置と受取台と矯正台の図であり、ストッパー片が収納ケース内に突入した状態を示す。
図7】同、装着設備の矯正台の斜視図である。
図8】同、装着設備のロボットの保持装置の斜視図である。
図9図8におけるX−X矢視図である。
図10図9におけるX−X矢視図である。
図11図8におけるY−Y矢視図である。
図12】同、装着設備のストッカー装置と受取台と矯正台の図であり、最下段のキャップをストッカー装置から取り出した様子を示す。
図13】同、装着設備のストッカー装置と受取台と矯正台の図であり、受取台上のキャップをロボットの保持装置で保持した様子を示す。
図14】同、装着設備の矯正台とロボットの保持装置との図であり、保持したキャップを矯正台に押し付ける際の様子を示す。
図15】同、装着設備の矯正台とロボットの保持装置との図であり、保持したキャップの形状を矯正台で矯正している様子を示す。
図16】同、装着設備の図であり、ロボットの保持装置で保持されたキャップを管に装着している様子を示す。
図17】同、装着設備の図であり、キャップを管に装着した様子を示す。
図18】同、装着設備のストッカー装置と受取台と矯正台の図であり、ストッパー片が収納ケース内から退出した状態を示す。
図19】同、装着設備の矯正台とロボットの保持装置との図であり、最小径のキャップを保持した様子を示す。
図20】従来の管に装着されたキャップの断面図である。
図21】同、キャップを作業者が管に装着する装着作業を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明における実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0036】
図1図3に示すように、1はキャップ2を管3へ装着するための装着設備である。管3は、例えばダクタイル鉄管であり、一端部に挿し口4(開口端部の一例)を有し、他端部に受口5を有し、挿し口4と受口5との間に直管部6を有している。また、挿し口4の先端部外周には、離脱防止用の挿し口突部7が全周にわたり形成されている。
【0037】
図4図5に示すように、キャップ2は、円筒状の胴部11と、胴部11の一端を閉鎖する底板部12とを有する薄い樹脂製の柔軟な有底筒状のものであり、図17に示すように、管3の挿し口4(開口端部の一例)に着脱自在に外嵌される。胴部11の内周面には複数の突起13が形成されている。これらの突起13は胴部11の周方向における複数箇所に所定角度おきに形成されている。
【0038】
図1図3に示すように、装着設備1は、管3を水平に支持する支持装置21と、アーム型の多関節産業用ロボット22と、底板部12を上に向けた姿勢で複数のキャップ2を上下に段積みした状態で収納するストッカー装置23と、ストッカー装置23から取り出されたキャップ2を受け取って移送する受取台24と、キャップ2の形状を矯正する矯正台25(矯正装置の一例)とを有している。
【0039】
支持装置21は、管3の挿し口4を支持する複数の支持ローラ28と、直管部6を支持する複数の支持ローラ29とを有している。
【0040】
図1図6に示すように、ストッカー装置23は、円筒状の収納ケース32と、ストッパー装置33とを有している。収納ケース32は、上端に投入口34を有し、下端に取出口35を有している。また、ストッパー装置33は、収納ケース32内に収納された複数のキャップ2のうちの下から2段目のキャップ2を側方から押圧することによって下から2段目のキャップ2の落下を阻止するものであり、収納ケース32内に横方向から出退自在なストッパー片37と、ストッパー片37を出退させるシリンダー38とを有している。
【0041】
図6に示すように、ストッパー片37が収納ケース32内に突入した場合、下から2段目のキャップ2の落下が阻止され、図18に示すように、ストッパー片37が収納ケース32内から退出した場合、下から2段目のキャップ2に対する落下阻止機能が解除される。
【0042】
受取台24は、上下方向に伸縮自在な縦支柱42と、縦支柱42の上端に着脱自在に設けられた円形状の受板43と、縦支柱42を伸縮させることによって受板43を昇降させる昇降装置(図示省略)とを有している。尚、受板43は、昇降装置によって、取出口35とほぼ同じ高さの受止高さH1(図6参照)と、受止高さH1よりも低い取出高さH2(図1参照)とに昇降される。
【0043】
また、受取台24は、移動装置(図示省略)によって、ストッカー装置23の下方の受取位置P1(図6参照)と、受取位置P1から所定距離の箇所に設定された受渡位置P2(図1参照)とに移動可能である。
【0044】
図6図7に示すように、矯正台25は、床等に固定された縦支柱46と、縦支柱46の上端に着脱自在に設けられた矯正体47とを有している。矯正体47は、キャップ2の内径C(図5参照)よりも僅かに小さな直径Eを有する円板であり、キャップ2の胴部11の内側に挿脱自在である。
【0045】
図1図3に示すように、ロボット22は、アーム49の先端部に、キャップ2を保持する保持装置50を備えている。図8図11に示すように、保持装置50は、先端側ほど拡径した円錐台形状の装置であり、周方向Aにおいて配置された複数個(例えば3個)の把持爪51を有している。これら把持爪51は径方向Bにおいて開閉自在であり、把持爪51を開閉する開閉装置(図示省略)がロボット22に設けられている。
【0046】
尚、図9の実線および図11の実線で示すように、把持爪51を径方向内側へ移動させて閉じた状態で、保持装置50は軸心52の方向から見て円形になる。また、図9の仮想線および図11の仮想線で示すように、把持爪51を、閉じた状態から径方向外側へ移動させることにより、開くことができる。
【0047】
保持装置50は、把持爪51を閉じた状態で、内側に、内径の異なる複数段(例えば4段)の凹部55〜58を有している。これら各凹部55〜58は、キャップ2の胴部11の外径D(図5参照)に対応した内径d1〜d4を有している。
【0048】
尚、凹部55〜58は、その内径d1〜d4が大きいものほど把持爪51の先端側に位置し、その内径d1〜d4が小さいものほど把持爪51の奥端側に位置する。
【0049】
このような構造により、保持装置50は直径の異なる複数種類(図10では4種類)のキャップ2を保持可能であり、例えば第1凹部55を用いることで、最大径のキャップ2を保持することができ、第4凹部58を用いることで、最小径のキャップ2を保持することができる。
【0050】
以下に、装着設備1を用いて、キャップ2を管3に装着する装着方法を説明する。
【0051】
尚、ストッカー装置23の収納ケース32内には、最大径のキャップ2が複数個収納されており、この最大径のキャップ2を管3に装着するものとする。
【0052】
(1)先ず、図6に示すように、ストッカー装置23のストッパー片37を収納ケース32内に突入させて、収納ケース32内の下から2段目のキャップ2を側方から押圧する。これにより、下から2段目のキャップ2の落下が阻止され、この状態で、収納ケース32内の最下段のキャップ2を受取台24の受板43で受け止める。この際、受取台24を受取位置P1に停止させておくとともに、受板43を受止高さH1まで上昇させておく。
【0053】
(2)その後、図12の実線で示すように、受取台24の受板43を受止高さH1から取出高さH2まで下降させる。これにより、最下段のキャップ2が取出口35から収納ケース32の下方に取り出される。
【0054】
(3)次に、図1および図12の仮想線で示すように、受板43上にキャップ2を載置した状態で、受取台24を受取位置P1から受渡位置P2に移動させる。
【0055】
(4)その後、図13に示すように、受渡位置P2において、ロボット22の保持装置50で受取台24上のキャップ2を保持する。
【0056】
この際、図9の仮想線および図11の仮想線で示すように、保持装置50の各把持爪51を開いた状態で、把持爪51の第1凹部55を受板43上のキャップ2に外嵌する。その後、図9の実線および図11の実線で示すように、各把持爪51を閉じることにより、図13に示すように、キャップ2が第1凹部55内に嵌まり込み、キャップ2の外側が把持爪51で掴まれる。
【0057】
尚、キャップ2は、柔軟で変形し易いため、例えば正規の形状である円形から楕円形に変形していることがある。楕円形に変形したままではキャップ2を管3に正しく装着することができない場合があるので、キャップ2の形状を楕円形から円形に矯正する必要がある。このため、上記のようにして保持装置50で受取台24上のキャップ2を保持した状態で、ロボット22を作動させ、図14に示すように、キャップ2を、受取台24から持ち上げて矯正台25の上方に移動した後、下降して矯正台25に押し付ける(当接させる)。これにより、図15に示すように、矯正体47が下方からキャップ2の胴部11の内側に挿入されて底板部12に達することで、キャップ2の形状が楕円形から円形に矯正される。
【0058】
(5)その後、ロボット22によってキャップ2を矯正台25から上昇させることで、矯正体47がキャップ2の胴部11内から下方へ離脱する。このようにして、矯正後のキャップ2を、矯正台25から離間させて、図16に示すように管3の挿し口4に外嵌する。
【0059】
(6)その後、図9の仮想線および図11の仮想線で示すように、保持装置50の各把持爪51を開くことにより、保持装置50によるキャップ2の保持を解除し、図17に示すように把持爪51をキャップ2から離間させる。
【0060】
(7)さらに、図18に示すように、キャップ2を載置していない空の受取台24を受渡位置P2から受取位置P1に戻し、受取台24の受板43を取出高さH2から受止高さH1まで上昇する。次に、ストッカー装置23のストッパー片37を収納ケース32内から退出して、下から2段目のキャップ2に対する落下阻止機能を解除することにより、下から2段目のキャップ2が1段分だけ落下して受取台24の受板43で受け止められるとともに、残りのキャップ2も1段分だけ下方に移動する。
【0061】
(8)その後、図6に示すように、ストッパー片37を収納ケース32内に突入して、収納ケース32内の下から2段目のキャップ2の落下を阻止する。
【0062】
(9)その後、キャップ2が装着されていない別の管3を支持装置21で支持し、この別の管3に対して上記(2)〜(8)を繰り返して、キャップ2を装着する。
【0063】
このようにロボット22を用いてキャップ2を管3の挿し口4に自動的に装着するため、キャップ2の装着作業に要する作業者の労力を軽減することができる。この際、ロボット22と矯正台25とを用いてキャップ2の形状を矯正してから、キャップ2を管3に装着するため、容易にキャップ2を正しく管3に装着することができ、キャップ2の装着に要する手間を軽減することができる。
【0064】
また、ロボット22を用いてキャップ2を矯正台25に押し付けることにより、矯正体47が、キャップ2の内側に挿入されて、キャップ2を変形した楕円形状から正規の円形状に矯正するため、容易に、キャップ2を、変形した形状のままではなく、正規の形状で管3に装着することができる。
【0065】
上記キャップ2の装着方法では、最大径のキャップ2を管3に装着する場合を挙げたが、例えば、最小径のキャップ2を管3に装着する場合は、上記(4)において、保持装置50の各把持爪51を開いた状態で、把持爪51の第4凹部58を受板43上のキャップ2に外嵌する。その後、図19に示すように、各把持爪51を閉じることにより、キャップ2が第4凹部58内に嵌まり込み、キャップ2の外側が把持爪51で掴まれる。
【0066】
また、キャップ2の直径が最大径よりも小さく且つ最小径よりも大きな中間径である場合は、上記と同様に、中間径に対応する第2凹部56又は第3凹部57を用いてキャップ2を掴めばよい。
このように、1台の共通の保持装置50を用いて、直径の異なる複数種類(例えば4種類)のキャップ2を保持することができるため、コスト低減を図ることができる。
【0067】
尚、この場合、ストッカー装置23と受取台24の受板43と矯正台25の矯正体47とについては、キャップ2の直径に対応して、それぞれ複数種類のサイズのものが必要になる。このうち、受板43と矯正体47とについては、キャップ2の直径に対応したものに付け替えればよい。
【0068】
上記実施の形態では、図10に示すように、保持装置50は4段の凹部55〜58を有しているが、4段以外の複数段であってもよく、また、単数段であってもよい。
【0069】
上記実施の形態では、図9に示すように、保持装置50は3個の把持爪51を有しているが、3個に限定されるものではなく、3個以外の複数個の把持爪51を有するものであってもよい。また、保持装置50は、キャップ2を掴む把持爪51を有する方式のものであるが、エアー真空吸盤方式のものであってもよく、或いはスポンジ吸引方式のものであってもよい。
【0070】
上記実施の形態では、図2図3に示すように、挿し口4の先端部外周に挿し口突部7を形成しているが、挿し口突部7を形成していない管3であっても適用可能である。
【0071】
上記実施の形態では、図3に示すように、ストッカー装置23は円筒状の収納ケース32を有しているが、円筒状に限定されるものではなく、例えば角筒状であってもよい。
【0072】
上記実施の形態では、キャップ2と矯正台25とを当接させる形態として、図14に示すように、矯正台25を固定し、保持装置50で保持されたキャップ2を移動して、キャップ2を矯正台25に押し付けて矯正しているが、保持装置50で保持されたキャップ2に対して矯正台25を移動し、矯正台25をキャップ2に押し付けて、キャップ2を矯正してもよく、また、これらに限られるものではない。
【符号の説明】
【0073】
1 装着設備
2 キャップ
3 管
4 挿し口(開口端部)
22 ロボット
25 矯正台(矯正装置)
47 矯正体
50 保持装置
51 把持爪
55〜58 第1〜第4凹部
A 周方向
B 径方向
C キャップの内径
D キャップの胴部の外径
d1〜d4 凹部の内径
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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