(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6676246
(24)【登録日】2020年3月16日
(45)【発行日】2020年4月8日
(54)【発明の名称】多相量子自己結合反応によるグラフェン生成方法
(51)【国際特許分類】
C01B 32/19 20170101AFI20200330BHJP
【FI】
C01B32/19
【請求項の数】4
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2018-533770(P2018-533770)
(86)(22)【出願日】2017年11月7日
(65)【公表番号】特表2019-503970(P2019-503970A)
(43)【公表日】2019年2月14日
(86)【国際出願番号】CN2017109718
(87)【国際公開番号】WO2018126780
(87)【国際公開日】20180712
【審査請求日】2018年6月26日
(31)【優先権主張番号】201710003737.2
(32)【優先日】2017年1月4日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518221520
【氏名又は名称】柯 良節
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】柯 良節
(72)【発明者】
【氏名】梁 思敬
(72)【発明者】
【氏名】司徒 若祺
【審査官】
佐藤 慶明
(56)【参考文献】
【文献】
中国特許出願公開第106044763(CN,A)
【文献】
中国特許出願公開第104860300(CN,A)
【文献】
特開2015−105200(JP,A)
【文献】
特開平06−107405(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第106145099(CN,A)
【文献】
中国特許出願公開第102910624(CN,A)
【文献】
AN, X. et al.,Nano Letters,米国,2010年 6月17日,Vol.10,pp.4295-4301
【文献】
LIU, X. et al.,Journal of Applied Science and Engineering Innovation,米国,2015年 7月 1日,Vol.2,pp.240-244
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 32/00 − 32/991
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多相量子自己結合反応によるグラフェン生成方法であって、
鱗状のグラファイト粉末と浸透混合剤を電気攪拌によって均一に混合してから、混合液中に衝突液を添加して引き続き均一に攪拌し、反応させることで5層以下のグラフェン層を取得し、
具体的に、鱗状のグラファイト粉末、浸透混合剤及び衝突液は3相が併存した状態を構成し、物質と物質の間には異なる量子共鳴における固有の位置エネルギーと衝撃波エネルギーが存在することから、各物質間に3相の自己結合エネルギー反応が促され、大量の電子流同士が自己結合するなかで発生する熱エネルギーによって鱗状のグラファイト粉末が位置エネルギーを消費し、相転移する結果、鱗状のグラファイト粉末が電子親和力表面から剥離して5層以下のグラフェン層が形成される、との実現過程を含み、
前記浸透混合剤は体積部で、75%の高酸素水、10%の過酸化炭酸塩、10%の非イオンキレート剤及び5%の親油親水助剤を含み、
前記衝突液は体積部で、50%の(NH4)4・EDTA及び50%のジエチレントリアミン五酢酸を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
混合反応する3相の成分含有量は、それぞれ、
鱗状のグラファイト粉末が50〜150g、
浸透混合剤が500〜1000ml、及び
衝突液が50〜100mlであることを特徴とする請求項1に記載の多相量子自己結合反応によるグラフェン生成方法。
【請求項3】
前記鱗状のグラファイト粉末の純度は99.99%であることを特徴とする請求項1に記載の多相量子自己結合反応によるグラフェン生成方法。
【請求項4】
3相の自己結合エネルギー反応により発生する副生成物には、水蒸気、酸素及び有機キレート化合物含有液体が含まれ、水蒸気と酸素はそのまま排出されるが、有機キレート化合物含有液体は更に有機化成肥料に合成されて農業生産に応用されることを特徴とする請求項1に記載の多相量子自己結合反応によるグラフェン生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はグラフェンの技術分野に関し、特に、多相量子自己結合反応(Polyphasic Quantum Self−Coupled Reaction,PQSR)によるグララフェン生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グラフェンの用途は多岐にわたるが、グラフェンを得るにはグラファイトからの抽出が必須となる。ところが、グラファイト自体は鱗状の構造が積層してなる原鉱型構造であり、原鉱の積層構造から鱗状のものを分離してグラフェンを取得せねばならない。
【0003】
従来のグラフェン生産技術では条件要求がたいへん高く、生産コストが嵩むほか、廃棄物処理過程で大量の資源を消費する必要があるため、省エネやクリーン生産といった効果を得られていなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の技術に存在する瑕疵について、本発明では、低エネルギー消費且つ汚染排出ゼロの多相量子自己結合反応によるグラフェン生成方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達するべく、本発明における多相量子自己結合反応によるグラフェン生成方法は、鱗状のグラファイト粉末と浸透混合剤を電気攪拌によって均一に混合してから、混合液中に衝突液を添加して引き続き均一に攪拌し、反応させることで5層以下のグラフェン層を取得し、具体的に、鱗状のグラファイト粉末、浸透混合剤及び衝突液は3相が併存した状態を構成し、物質と物質の間には異なる量子共鳴における固有の位置エネルギーと衝撃波エネルギーが存在することから、各物質間に3相の自己結合エネルギー反応が促され、大量の電子流同士が自己結合するなかで発生する熱エネルギーによって鱗状のグラファイト粉末が位置エネルギーを消費し、相転移する結果、鱗状のグラファイト粉末が電子親和力表面から剥離して5層以下のグラフェン層が形成される、との実現過程を含む。
【0006】
混合反応する3相の成分含有量は、それぞれ、鱗状のグラファイト粉末が50〜150g、浸透混合剤が500〜1000ml、及び衝突液が50〜100mlである。
【0007】
前記鱗状のグラファイト粉末の純度は99.99%である。
【0008】
前記浸透混合剤は体積部で、75%の高酸素水、10%の過酸化炭酸塩、10%の非イオンキレート剤及び5%の親油親水助剤を含む。
【0009】
前記衝突液は体積部で、50%の(NH
4)
4・EDTA及び50%のジエチレントリアミン五酢酸を含む。
【0010】
3相の自己結合エネルギー反応により発生する副生成物には、水蒸気、酸素及び有機キレート化合物含有液体が含まれ、水蒸気と酸素はそのまま排出されるが、有機キレート化合物含有液体は更に有機化成肥料に合成されて農業生産に応用される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、以下の有益な効果が得られる。即ち、従来技術と比較して、本発明における多相量子自己結合反応によるグラフェン生成方法では、3つに分けられた位相を結合し、固有の量子共鳴原理に複数相の電子流による自己結合反応を組み合わせたエネルギー作用を通じて、鱗状のグラファイトを剥離させてグラフェンとする。この方法によれば、使用エネルギーが減少するだけでなく、高純度且つ精緻な層面のグラフェンが実現される。複数の物質の電子位相を利用し、物質ごとに異なる量子共鳴を元に内在エネルギーを1つの反応内における電気相の電子流動中に引き出すため、自己結合による電子エネルギー反応が加速する。また、電子と電子の衝突、対相反応及び自己結合が併存することで電気エネルギー反応による大量のエネルギーが発生する。そして、エネルギーが熱エネルギーに転化して温度を上昇させることで、電子親和力による吸引力の解除が加速される。こうした要因によりエネルギーが発生し、鱗状のグラファイトが剥離される。自己結合反応であることから、電子が互いに自己結合して力を融合させる結果、鱗状の剥離のための電子親和エネルギーが放出される。これにより、鱗状の剥離が生じ、グラフェンが生成される。本製造は安全且つ環境に優しいため、低エネルギー消費且つ汚染排出ゼロとの目的が達せられる。また、生産コストが極めて低く、現在又は将来的に必要とされるグラフェン材料の供給を可能とする。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明をより明確とすべく、以下に本発明について更に述べる。
【0014】
本発明における多相量子自己結合反応によるグラフェン生成方法は、以下の実現過程を含む。即ち、50gの鱗状のグラファイト粉末と500mlの浸透混合剤を電気攪拌によって均一に混合してから、混合液中に50mlの衝突液を添加して引き続き均一に攪拌し、反応させることで5層以下のグラフェン層を取得する。具体的に、鱗状のグラファイト粉末、浸透混合剤及び衝突液は3相が併存した状態を構成する。物質と物質の間には異なる量子共鳴における固有の位置エネルギーと衝撃波エネルギーが存在することから、各物質間に3相の自己結合エネルギー反応が促される。すると、大量の電子流同士が自己結合するなかで発生する熱エネルギーによって鱗状のグラファイト粉末が位置エネルギーを消費し、相転移することで、鱗状のグラファイト粉末が電子親和力表面から剥離して5層以下のグラフェン層が形成される。3相の自己結合エネルギー反応により発生する副生成物には、水蒸気、酸素及び有機キレート化合物含有液体が含まれる。水蒸気と酸素はそのまま排出されるが、有機キレート化合物含有液体は更に有機化成肥料に合成されて農業生産に応用される。
【0015】
本実施例において、前記鱗状のグラファイト粉末の純度は99.99%である。
【0016】
本実施例において、前記浸透混合剤は体積部で、75%の高酸素水、10%の過酸化炭酸塩、10%の非イオンキレート剤及び5%の親油親水助剤を含む。
【0017】
本実施例において、前記衝突液は体積部で、50%の(NH
4)
4・EDTA及び50%のジエチレントリアミン五酢酸を含む。
【0019】
本発明における多相量子自己結合反応によるグラフェン生成方法は、以下の実現過程を含む。即ち、150gの鱗状のグラファイト粉末と1000mlの浸透混合剤を電気攪拌によって均一に混合してから、混合液中に100mlの衝突液を添加して引き続き均一に攪拌し、反応させることで5層以下のグラフェン層を取得する。具体的に、鱗状のグラファイト粉末、浸透混合剤及び衝突液は3相が併存した状態を構成する。物質と物質の間には異なる量子共鳴における固有の位置エネルギーと衝撃波エネルギーが存在することから、各物質間に3相の自己結合エネルギー反応が促される。すると、大量の電子流同士が自己結合するなかで発生する熱エネルギーによって鱗状のグラファイト粉末が位置エネルギーを消費し、相転移することで、鱗状のグラファイト粉末が電子親和力表面から剥離して5層以下のグラフェン層が形成される。3相の自己結合エネルギー反応により発生する副生成物には、水蒸気、酸素及び有機キレート化合物含有液体が含まれる。水蒸気と酸素はそのまま排出されるが、有機キレート化合物含有液体は更に有機化成肥料に合成されて農業生産に応用される。
【0020】
本実施例において、前記鱗状のグラファイト粉末の純度は99.99%である。
【0021】
本実施例において、前記浸透混合剤は体積部で、75%の高酸素水、10%の過酸化炭酸塩、10%の非イオンキレート剤及び5%の親油親水助剤を含む。
【0022】
本実施例において、前記衝突液は体積部で、50%の(NH
4)
4・EDTA及び50%のジエチレントリアミン五酢酸を含む。
【0023】
従来技術と比較して、本発明における多相量子自己結合反応によるグラフェン生成方法では、3つに分けられた位相を結合し、固有の量子共鳴原理に複数相の電子流による自己結合反応を組み合わせたエネルギー作用を通じて、鱗状のグラファイトを剥離させてグラフェンとする。この方法によれば、使用エネルギーが減少するだけでなく、高純度且つ精緻な層面のグラフェンが実現される。複数の物質の電子位相を利用し、物質ごとに異なる量子共鳴を元に内在エネルギーを1つの反応内における電気相の電子流動中に引き出すため、自己結合による電子エネルギー反応が加速する。また、電子と電子の衝突、対相反応及び自己結合が併存することで電気エネルギー反応による大量のエネルギーが発生する。そして、エネルギーが熱エネルギーに転化して温度を上昇させることで、電子親和力による吸引力の解除が加速される。こうした要因によりエネルギーが発生し、鱗状のグラファイトが剥離される。自己結合反応であることから、電子が互いに自己結合して力を融合させる結果、鱗状の剥離のための電子親和エネルギーが放出される。これにより、鱗状の剥離が生じ、グラフェンが生成される。本製造は安全且つ環境に優しいため、低エネルギー消費且つ汚染排出ゼロとの目的が達せられる。また、生産コストが極めて低く、現在又は将来的に必要とされるグラフェン材料の供給を可能とする。
【0024】
以上の開示は本発明におけるいくつかの具体的実施例にすぎず、本発明はこれらに限定されない。当業者が考え得る変形はいずれも本発明の保護の範囲に含まれる。