(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記フィルム状部材の前記表面層は、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、熱収縮性樹脂、感光性樹脂、及び熱硬化樹脂からなる群より選択される少なくとも一種であり、前記裏面層は、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、熱収縮性樹脂、感光性樹脂、及び熱硬化樹脂からなる群より選択される少なくとも一種である請求項5に記載のエクステンション用まつ毛。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の人工まつ毛は、接着剤を使用しないものであるため、上記問題は生じ難いが、施術対象者のまつ毛に人工まつ毛を固定するために時間が掛かる。そのため、施術時間が長時間となり、施術対象者及び施術者の両方の負担となることがある。
【0007】
そのため、接着剤を使用せずにまつ毛に簡単に固定でき、短い時間で施術時間が可能なエクステンション用まつ毛の開発が切望されている。
【0008】
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、接着剤を使用せず簡単にまつ毛に取り付けることができ、短い時間で施術時間が可能なエクステンション用まつ毛、その製造方法、及び、このエクステンション用まつ毛を用いた施術方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、以下に示す、エクステンション用まつ毛、その製造方法、及び、このエクステンション用まつ毛を用いた施術方法が提供される。
【0010】
[1] まつ毛に固定される人工まつ毛であり、まつ毛本体と、前記まつ毛本体の根元側の端部に配置され、外部からエネルギーを与えられると、変形して前記まつ毛本体を前記まつ毛に固定する固定部と、を備え、前記固定部が、前記まつ毛本体の延びる方向と交差するように延びる右側突出部と左側突出部とからなる突出部材と、を備え
、前記突出部材は、外部からエネルギーを与えられると、両端部が互いに合わさるように湾曲するものであるエクステンション用まつ毛。
【0013】
[
2] 前記まつ毛本体は、湾曲しており、前記突出部材は、外部からエネルギーを与えられると、前記まつ毛本体が湾曲する方向と同じ方向または反対方向に湾曲する前記[1
]に記載のエクステンション用まつ毛。
【0014】
[
3] 前記突出部材が、フィルム状であるフィルム状部材である前記[1]
または[2]に記載のエクステンション用まつ毛。
【0015】
[
4] 前記フィルム状部材は、物性が異なる表面層と裏面層とを備える前記[
3]に記載のエクステンション用まつ毛。
【0016】
[
5] 前記フィルム状部材の前記表面層と前記裏面層とは、収縮率が異なるか、融点が異なるものである前記[
4]に記載のエクステンション用まつ毛。
【0017】
[
6] 前記フィルム状部材の前記表面層は、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、熱収縮性樹脂、感光性樹脂、及び熱硬化樹脂からなる群より選択される少なくとも一種であり、前記裏面層は、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、熱収縮性樹脂、感光性樹脂、及び熱硬化樹脂からなる群より選択される少なくとも一種である前記[
5]に記載のエクステンション用まつ毛。
【0018】
[
7] 前記フィルム状部材には、スリットが形成されている前記[
3]〜[
6]のいずれかに記載のエクステンション用まつ毛。
【0019】
[
8] 前記フィルム状部材は、根元と端部の厚さが異なる前記[
3]〜[
7]のいずれかに記載のエクステンション用まつ毛。
【0020】
[
9]
前記[1]〜[8]のいずれかに記載のエクステンション用まつ毛の製造方法であって、外部からエネルギーを与えられると、互いに合わさるように湾曲するシート材に、複数のまつ毛部材を互いに離間させた状態で配列して固定してまつ毛固定シートを作製するまつ毛固定シート工程と、作製した前記まつ毛固定シートについて前記まつ毛部材ごとに前記シート材に切れ込みを入れて、エクステンション用まつ毛を作製するエクステンション用まつ毛作製工程と、を有するエクステンション用まつ毛の製造方法。
【0021】
[
10] 施術対象者のまつ毛に、前記[
1]〜[
8]のいずれかに記載のエクステンション用まつ毛の根元部分を重ねた後、前記エクステンション用まつ毛の前記固定部にエネルギーを加えることにより前記固定部をその両端部が互いに合わさるように湾曲させて前記施術対象者のまつ毛に、前記エクステンション用まつ毛を固定させるエクステンション用まつ毛の施術方法。
【0022】
[
11] 前記エネルギーが熱であり、前記フィルム状部材に、50〜300℃の熱を加えることにより、前記フィルム状部材をその両端部が互いに合わさるように湾曲させる前記[
10]に記載のエクステンション用まつ毛の施術方法。
【発明の効果】
【0023】
本発明のエクステンション用まつ毛は、接着剤を使用せず簡単にまつ毛に取り付けることができる。そのため、本発明のエクステンション用まつ毛を用いると、短い時間で施術時間が可能である。
【0024】
本発明のエクステンション用まつ毛の製造方法によれば、本発明のエクステンション用まつ毛を良好に作製することができる。
【0025】
本発明のエクステンション用まつ毛の施術方法によれば、接着剤を使用せず簡単に施術対象者のまつ毛にエクステンション用まつ毛を取り付けることができ、短い時間で施術時間が可能である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
【0028】
[1]エクステンション用まつ毛:
本発明のエクステンション用まつ毛は、まつ毛に固定される人工まつ毛であり、まつ毛本体と、このまつ毛本体の根元側の端部に配置され、外部からエネルギーを与えられると、変形してまつ毛本体をまつ毛に固定する固定部と、を備えるものである。このようなエクステンション用まつ毛は、接着剤を使用せず簡単にまつ毛に取り付けることができる。そのため、エクステンション用まつ毛を用いると、短い時間で施術時間が可能である。
【0029】
なお、「接着剤」とは、シアノアクリレートを使用した、いわゆる瞬間接着剤のことである。このシアノアクリレートからホルムアルデヒドが生成され、施術対象者や施術者に悪影響を与えることがある。従って、「接着剤を使用せず」とは、この瞬間接着剤を使用しないという意味である。
【0030】
本発明のエクステンション用まつ毛の一実施形態は、
図1〜
図4に示すエクステンション用まつ毛100である。エクステンション用まつ毛100は、まつ毛本体10と、このまつ毛本体10の根元側の端部に配置され、まつ毛本体10の延びる方向と交差するように延びる右側突出部21と左側突出部22とからなるフィルム状のフィルム状部材(固定部)20と、を備えている。そして、フィルム状部材20は、外部からエネルギーを与えられると、両端部が互いに合わさるように湾曲するものである。
【0031】
図1は、本発明のエクステンション用まつ毛の一の実施形態を模式的に示す斜視図である。
図2は、本発明のエクステンション用まつ毛の一の実施形態を模式的に示す側面図である。
図3は、本発明のエクステンション用まつ毛の一の実施形態を根元側から見た状態を模式的に示す平面図である。
図4は、
図3に示すエクステンション用まつ毛においてフィルム状部材が反り返った状態を模式的に示す平面図である。
【0032】
このようなエクステンション用まつ毛100は、接着剤を使用せず簡単にまつ毛に取り付けることができる。そのため、エクステンション用まつ毛100を用いると、短い時間で施術時間が可能である。
【0033】
エネルギーとは、熱、光、これらの両方を意味する。また、熱エネルギーには、直接的及び間接的な熱エネルギーが含まれる。直接的に熱エネルギーを与える方法としては、例えば、加熱したピンセットをフィルム状部材に直接当てる方法がある。間接的に熱エネルギーを与える方法としては、例えば、超音波をフィルム状部材に当てる方法がある。
【0034】
本発明のエクステンション用まつ毛は、まつ毛本体が湾曲しており、フィルム状部材が、外部からエネルギーを与えられると、まつ毛本体の湾曲する方向とは反対方向に湾曲する(反り返る)ものとすることができる。このようにすると、施術対象者のまつ毛に対してエクステンション用まつ毛を配置する方向が一定となり、更に簡単にエクステンション用まつ毛をまつ毛に取り付けることができる。なお、施術対象者のまつ毛に対してエクステンション用まつ毛を配置する方向が一定であると、施術対象者のまつ毛と適切に接合させることができる。
【0035】
[1−1]まつ毛本体:
まつ毛本体は、従来公知のエクステンション用まつ毛に用いられるものを適宜採用することができる。
【0036】
まつ毛本体は、例えば、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステル、アクリル、塩化ビニール、ナイロンなどの樹脂からなるものを挙げることができる。
【0037】
また、まつ毛本体は、上記樹脂に限らず、天然素材の材料を用いることができる。天然素材の材料としては、例えば、人毛、獣毛(ミンクなどの毛)、シルクなど動物由来の材料、綿などの植物由来の材料を挙げることができる。
【0038】
まつ毛本体の長さは、従来公知の人工まつ毛で採用される長さであればよく、例えば、3〜20mm程度である。また、まつ毛本体の太さは、従来公知の人工まつ毛で採用される太さであればよく、例えば、0.01〜0.5mm程度である。
【0039】
[1−2]固定部:
固定部は、上述の通り、まつ毛本体の根元側の端部に配置され、外部からエネルギーを与えられると、変形してまつ毛本体をまつ毛に固定するものである。ここで、「変形」とは、熱などにより溶けて形が変わること、板状などのものが湾曲して形が変わることなどを含む概念である。そして、「変形してまつ毛本体をまつ毛に固定する」とは、固定部によってまつ毛本体がまつ毛に取り付けられることを意味し、固定部が溶着などしてまつ毛本体をまつ毛に取り付けることを含む概念である。
【0040】
固定部は、1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。そして、固定部は、まつ毛本体の延びる方向と交差するように延びる右側突出部と左側突出部とからなる突出部材と、を備えるものとすることができる。右側突出部と左側突出部とが存在すると、固定部(突出部材)が施術対象者のまつ毛を挟むようになり、エクステンション用まつ毛が施術対象者のまつ毛に良好に固定される。
【0041】
固定部には、スリットが形成されていてもよい。このようにスリットを形成すると、施術が容易になるという利点がある。スリットが形成されている場合、例えば、固定部が熱によって溶け易くなり、短時間で施術対象者のまつ毛に溶着し易くなる。
【0042】
そして、この突出部材は、外部からエネルギーを与えられると、両端部が互いに合わさるように湾曲するものとすることができる。なお、突出部材としては、例えば、フィルム状であるフィルム状部材とすることができる。一方、固定部は、1つの突出部材からなるものであってもよい。この場合、固定部は、まつ毛本体を施術対象者のまつ毛に固定するときに溶けて変形するものであることができる。以下に、各態様について説明をする。
【0043】
[1−2−1]フィルム状部材:
フィルム状部材20は、
図2〜
図4に示すように、物性が異なる表面層24と裏面層26とを備えることができる。即ち、フィルム状部材は、表面層とこの表面層に積層された裏面層とを備え、表面層と裏面層とが異なる物性を示すものとすることができる。ここで、「物性が異なる」とは、表面層と裏面層とを比べたときにこれらが同じものでないことを意味する。具体的には、収縮率、構成材料、帯電状態、融点などが異なる場合が含まれる。
【0044】
フィルム状部材は、表面層と裏面層との収縮率が異なるか、融点が異なるものとすることができる。このようにすることで、外部からエネルギーを与えられると、フィルム状部材が、その両端部が互いに合わさるように反り返ることになる。
【0045】
フィルム状部材は、表面層と裏面層との収縮率が異なるように、各層を構成する樹脂が異なる積層体からなるものとすることができる。
【0046】
フィルム状部材の表面層を構成する樹脂としては、特に制限はないが、例えば、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、熱収縮性樹脂、熱硬化樹脂、感光性樹脂などを挙げることができる。また、裏面層を構成する樹脂は、表面層を構成する樹脂を考慮して決定することができるが、例えば、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、熱収縮性樹脂、熱硬化樹脂、感光性樹脂などを挙げることができる。
【0047】
なお、表面層と裏面層とを構成する樹脂は、外部からフィルム状部材に与えるエネルギーを考慮して適宜選択することができる。即ち、フィルム状部材に与えるエネルギーが熱エネルギーの場合、熱可塑性樹脂を選択し、光エネルギーの場合、感光性樹脂を選択することができる。
【0048】
熱可塑性樹脂としては、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル・スチレン(AS)樹脂、アクリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂などを挙げることができる。
【0049】
熱可塑性エラストマーとしては、スチレン−ブタジエンスチレンブロックコポリマー(SBS)などのスチレン系ブロック共重合体、ポリブタジエン系エラストマー、ポリイソプレン系エラストマーなどを挙げることができる。
【0050】
熱収縮性樹脂としては、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂などを挙げることができる。
【0051】
熱硬化樹脂としては、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂などを挙げることができる。
【0052】
感光性樹脂としては、アクリレート樹脂、エポキシ樹脂、ジアゾ系樹脂、アジド系樹脂、ケイ皮酸ビニル系樹脂などを挙げることができる。
【0053】
固定部が樹脂からなる場合、含有される樹脂の配合割合は適宜設定することができる。また、抗菌剤、着色剤、などの配合剤を配合してもよい。また、銀、ゼオライト、炭などの抗菌剤を配合してもよい。更に、チタンホワイト、カーボンブラックなどの着色剤を配合してもよい。
【0054】
積層体からなるフィルム状部材は、例えば、単層からなる樹脂層の表面に、この樹脂層を構成する樹脂とは収縮率が異なるか、融点が異なる樹脂を塗布して作製したものとすることができる。
【0055】
更に、積層体からなるフィルム状部材は、例えば、シルク製のシートの表面に、粘着性を有する材料を塗布して作製したものであってもよい。粘着性を有する材料としては、樹脂(熱収縮性樹脂、感光性樹脂など)、ニカワ、ゼラチン、天然ゴム、デキストリンなどを原料とした天然材料由来のものなどを挙げることができる。
【0056】
なお、固定部は、エクステンション用まつ毛の施術をする際にエクステンション用まつ毛を仮止め可能な仮止め剤(例えば、層状でもよいし、点在してもよい)を備えていてもよい。仮止め剤は、その配置状態は特に制限はなく、層状に配置されてもよいし、点在して配置されてもよい。仮止め剤としては、後述するように、エクステンション用まつ毛を仮止め可能であれば特に制限はなく、化粧品、点眼薬、油分などを挙げることができる。このように仮止め剤を備えることにより、エクステンション用まつ毛の施術をする際に、エクステンション用まつ毛に仮止め剤を付着させる工程を省略することができ、エクステンション用まつ毛の施術を簡略化することができる。
【0057】
積層体からなるフィルム状部材は、樹脂製のシート材などの表面にコロナ処理等を行うことにより表面層と裏面層とが異なる物性を示すようにしてもよい。
【0058】
また、例えば、表面層を感光性樹脂から構成し、裏面層をポリウレタン樹脂から構成してもよい。このポリウレタン樹脂は、蛋白アレルギーを起こし難いものであり、施術対象者にアレルギーを生じ難くすることができる。
【0059】
積層体からなるフィルム状部材は、その積層構造中に熱収縮フィルムを配置してもよい。そして、熱収縮フィルムの位置は、特に制限はない。熱収縮フィルムの材料としては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、架橋ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、シリコンゴムなどが挙げられる。なお、熱収縮フィルムを配置する場合、フィルム状部材には、後述するスリットを形成したり、一方の面側に薬剤を塗布することで、湾曲方向を調節することがよい。また、フィルム状部材が湾曲したときに内側となる面には、凹凸などを設けることがよい。エクステンション用まつ毛によって、施術対象者のまつ毛を確実に掴むことが可能になるためである。
【0060】
なお、固定部の材質は、特に制限されることなく、上記のように適宜選択することができ、まつ毛本体の材質と同じであっても良いし、異なっていても良い。
【0061】
また、固定部は、まつ毛本体と同じ材質とすることができ、固定部とまつ毛本体は一体に成形することができる。更に、固定部とまつ毛本体とは異なる材質でもよく、この場合、インモールドにより2つの樹脂を一体に成形することができる。
【0062】
フィルム状部材は、スリットが形成されていてもよい。このようにスリットが形成されることにより、上述したように、施術が容易になるという利点がある。そして、例えば、フィルム状部材は、外部からエネルギーを与えられたときに湾曲する方向(反り返る方向)とは反対側の面に、スリットが形成されているものでもよい。そして、このスリットの形成方向は特に制限はないが、フィルム状部材が延びる方向に交差するように(別言すれば、まつ毛本体の延びる方向と同じ方向に延びるように)形成することができる。このようにすると、外部からエネルギーが与えられてフィルム状部材が収縮する際に上記フィルム状部材を一定の方向に反り返らせることができる。即ち、上記フィルム状部材を、上記スリットが形成された面が外側となるように反り返らせることができる。
図5、
図6は、反り返る方向とは反対側の面に、フィルム状部材が延びる方向に交差するように延びるスリットが形成されたフィルム状部材20を有するエクステンション用まつ毛101を示している。なお、フィルム状部材に形成されるものとしてはスリット以外に、溝や穴であってもよい。これらを形成することにより、フィルム状部材の湾曲方向を制御することができる。
【0063】
図5は、本発明のエクステンション用まつ毛の他の実施形態を模式的に示す平面図である。
図6は、
図5に示すエクステンション用まつ毛を根元側から見た状態を模式的に示す平面図である。
【0064】
フィルム状部材は、外部からエネルギーを与えられたときに湾曲する方向(反り返る方向)とは反対側の面に、フィルム状部材が延びる方向に沿って延びる線状の凸部が形成されているものでもよい。このようにすると、上記フィルム状部材に外部からエネルギーを与えたときに上記フィルム状部材がその延びる方向に沿ってそのまま収縮してしまうことを防止できる。更に、フィルム状部材が、この凸部が形成された側とは反対側に反り返り易くなる。なお、凸部は、1本だけ形成されていても良いし、複数本形成されていてもよい。
図7、
図8は、フィルム状部材20が反り返る方向とは反対側の面に、フィルム状部材20が延びる方向に沿って延びる線状の凸部33が形成されたフィルム状部材20を有するエクステンション用まつ毛102を示している。
【0065】
図7は、本発明のエクステンション用まつ毛の更に他の実施形態を模式的に示す平面図である。
図8は、
図7に示すエクステンション用まつ毛を側面側から見た状態を模式的に示す側面図である。
【0066】
フィルム状部材は、根元と端部の厚さが異なるようにすることができる。このようにすると、フィルム状部材に外部からエネルギーを与えたときにフィルム状部材がまつ毛に巻き付くように反り返り易くなる。即ち、フィルム状部材が、施術対象者のまつ毛に良好に巻き付かずに縮れてしまうことを防止できる。
【0067】
この場合、例えば、フィルム状部材の右側突出部及び左側突出部は、それぞれの根元に比べて端部の方が厚いものでもよい。このようにすると、施術対象者のまつ毛にエクステンション用まつ毛を重ねた際に、フィルム状部材の右側突出部及び左側突出部が自重により垂れ下がるため、上記フィルム状部材に外部からエネルギーを与えたときに上記フィルム状部材がまつ毛に巻き付くように反り返り易くなる。
図9は、右側突出部21及び左側突出部22がそれぞれの根元20aに比べて端部20bの方が厚くなっているフィルム状部材20を有するエクステンション用まつ毛103を示している。
図9は、本発明のエクステンション用まつ毛の更に他の実施形態を模式的に示す平面図である。
【0068】
フィルム状部材の右側突出部及び左側突出部は、それぞれの端部に比べて根元の方が厚いものでもよい。このようにすると、上記フィルム状部材に外部からエネルギーを与えたときに、厚さの薄い端部側の方が根元側に比べて熱などのエネルギーが早く伝わり、早く収縮する。そのため、上記フィルム状部材がまつ毛に巻き付くように反り返り易くなる。
【0069】
なお、フィルム状部材は、右側突出部と左側突出部とが一体となり1枚のシートからなるものとすることができる。
図1〜
図10のフィルム状部材20は、右側突出部21と左側突出部22とが一体となり1枚のシートからなるものの例である。また、右側突出部と左側突出部とは、それぞれ複数枚形成されていてもよい。
【0070】
また、
図4に示すエクステンション用まつ毛100のフィルム状部材20は、まつ毛本体10とは反対側に反り返っており、フィルム状部材20によって施術対象者のまつ毛のみが包み込まれる。また、本発明のエクステンション用まつ毛のフィルム状部材は、まつ毛本体と施術対象者のまつ毛との両方を包み込むように反り返ってもよい。
【0071】
フィルム状部材は、右側突出部と左側突出部の形状について特に制限はない。
図1は、長方形の1枚のシートからなるフィルム状部材20を示している。
図10は、長方形の短辺20cが波線状となる形状の1枚のシートからなるフィルム状部材20を示している。
図11は、楕円形状の1枚のシートからなるフィルム状部材20を示している。なお、
図10は、本発明のエクステンション用まつ毛の更に他の実施形態を模式的に示す平面図である。
図11は、本発明のエクステンション用まつ毛の更に他の実施形態を模式的に示す平面図である。
【0072】
固定部は、上述したように、一つの突出部からなるものであってもよい。
図12、
図13は、一つの突出部からなる固定部20を備えるエクステンション用まつ毛106を示している。この固定部は、まつ毛本体を施術対象者のまつ毛に固定するときに溶けて変形するものとすることができる。
【0073】
突出部の長さ(まつ毛本体から離れる方向の長さ)は、0.001〜2mm程度とすることができる。
【0074】
また、固定部20は、
図14に示すように、まつ毛本体10の根元側の端部に配置され、この端部を覆う層状などのもの(
図14では塊状)であってもよい。この場合、固定部は、外部から熱などのエネルギーを与えられると、溶けた後、冷却して固まり、まつ毛本体をまつ毛に固定することができる。この固定部としては、上述した熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、熱収縮性樹脂、熱硬化樹脂、感光性樹脂などからなるものを用いることができる。
【0075】
[2]エクステンション用まつ毛の製造方法:
本発明のエクステンション用まつ毛の製造方法は、外部からエネルギーを与えられると、互いに合わさるように湾曲するシート材に、複数のまつ毛部材(まつ毛本体)を互いに離間させた状態で配列して固定してまつ毛固定シートを作製するまつ毛固定シート工程と、作製したまつ毛固定シートについてまつ毛部材ごとにシート材に切れ込みを入れて、エクステンション用まつ毛を作製するエクステンション用まつ毛作製工程と、を有している。
【0076】
このような方法を採用することで、本発明のエクステンション用まつ毛を良好に作製することができる。
【0077】
なお、上記エクステンション用まつ毛の製造方法は、まつ毛部材と、シート材とを用いてエクステンション用まつ毛を作製しているが、まつ毛本体と固定部とを一体成型してもよい。
【0078】
[2−1]まつ毛固定シート工程:
シート材は、フィルム状部材となるものであり、このシート材を適宜切断することによりフィルム状部材が形成される。
【0079】
シート材は、上記フィルム状部材と同様の構成を採用することができる。
【0080】
なお、フィルム状部材にスリットが形成されている場合には、シート材の状態において予め上記スリットが形成されているようにすることができる。
【0081】
シート材にまつ毛部材を固定する方法は、特に制限はなく、例えば、接着剤で固定する方法、溶着により固定する方法などを適宜採用することができる。
【0082】
なお、シート材には、まつ毛部材を配置する位置に溝が形成されていてもよい。この溝を形成することにより、まつ毛部材の位置決めが容易になる。
【0083】
[2−2]エクステンション用まつ毛作製工程:
「まつ毛部材ごとにシート材に切れ込みを入れる」とは、各まつ毛部材が他のまつ毛部材と切り離されるようにシート材を切ることである。このとき、シート材には、シート材によってフィルム状部材が形成されるように所定の軌道で切れ込みを入れる。
【0084】
このようにして得られた複数のエクステンション用まつ毛は、そのままの状態(シート材に切れ込みを入れた直後の状態)で所定の収納ケースに収納してエクステンション用まつ毛キットとすることもできる。
【0085】
[3]エクステンション用まつ毛の施術方法:
本発明のエクステンション用まつ毛の施術方法では、施術対象者のまつ毛に、本発明のエクステンション用まつ毛の根元部分を重ねた後、エクステンション用まつ毛のフィルム状部材にエネルギーを加えることによりフィルム状部材を、その両端部が互いに合わさるように反り返えらせて施術対象者のまつ毛に、エクステンション用まつ毛を固定させる。
【0086】
このようにすることで、接着剤を使用せず簡単に施術対象者のまつ毛にエクステンション用まつ毛を取り付けることができ、短い時間で施術時間が可能である。
【0087】
本方法においては、フィルム状部材を加熱したピンセットやその先端が超音波振動するピンセット等で摘まむことでより確実に、施術対象者のまつ毛にエクステンション用まつ毛を固定させる。
【0088】
施術対象者のまつ毛に、本発明のエクステンション用まつ毛の根元部分を重ねる際には、エクステンション用まつ毛の根元部分に仮止め効果のある液体を付着させておくことがよい。このようにすると、施術対象者のまつ毛にエクステンション用まつ毛を仮止めすることができ、簡単な操作でフィルム状部材にエネルギーを加えることができる。
【0089】
仮止め効果のある液体としては、エクステンション用まつ毛を仮止め可能であれば特に制限はなく、例えば、水、化粧品、点眼薬、油分などを用いることができる。
【0090】
本発明のエクステンション用まつ毛の施術方法では、フィルム状部材に与えるエネルギーが熱であり、フィルム状部材に、50〜300℃の熱を加えることにより、フィルム状部材が互いに合わさるように反り返えらせる(湾曲させる)ことができる。なお、まつ毛は、ケラチン蛋白が主成分であり、200℃以上の熱を連続的に当てると、タンパク変性を起こしたり、250℃以上では炭化したりして脆弱になってしまう。そこで、外部から加える熱エネルギーを加える場合には、日常の生活場面では皮膚には当てない50〜250℃とすることが望ましい。なお、フィルム状部材に加える熱は、まつ毛が炭化しない程度とすることもできる。エクステンション用まつ毛に加える熱が300℃であっても瞬時であればまつ毛に大きな影響を与え難い。つまり、エクステンション用まつ毛が施術対象者のまつ毛より先に熱を吸収するため瞬時であれば、施術対象者のまつ毛が損傷し難くなる。
【0091】
このようにすることで、上記熱によってまつ毛に損傷を与えることを回避することができる。なお、損傷を受けたまつ毛は、それ自体が剥がれ落ち易く、エクステンション用まつ毛もまつ毛から剥がれ落ち易い。
【実施例】
【0092】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0093】
(実施例1)
まず、ポリエステル樹脂製の表面層と、この表面層に積層されたポリ塩化ビニル樹脂からなる裏面層とからなるシート材を用意した。次に、複数のまつ毛部材(まつ毛本体となるもの)を用意した。このまつ毛部材は、先端部が湾曲しているものであった。次に、上記シート材の裏面層上に、上記まつ毛部材を互いに離間させた状態で配列して固定してまつ毛固定シートを作製した(まつ毛固定シート工程)。シート材にまつ毛部材を固定する際には、熱処理によって固定する方法を採用した。
【0094】
なお、まつ毛部材としては、ポリエステル樹脂製のものを用いた。
【0095】
次に、作製したまつ毛固定シートについてまつ毛部材ごとにシート材に切れ込みを入れた。このようにすることで、まつ毛部材を摘まんで持ち上げた際に、まつ毛部材からなるまつ毛本体と、このまつ毛本体の根元側の端部に配置され、まつ毛本体の延びる方向と交差するように延びる右側突出部と左側突出部とからなるフィルム状部材と、を備えるエクステンション用まつ毛を作製できた(
図1参照)。なお、エクステンション用まつ毛は、外部からエネルギーを与えられると、フィルム状部材が、まつ毛本体が湾曲する方向とは反対方向に反り返るものであった。
【0096】
次に、作製したエクステンション用まつ毛を用いて、まつ毛エクステンションを行った。具体的には、施術対象者のまつ毛に、作製したエクステンション用まつ毛の根元部分を重ねた。その後、エクステンション用まつ毛のフィルム状部材を加熱したピンセットで挟み熱エネルギー(200℃)を加えることによりフィルム状部材をその両端部が互いに合わさるように反り返えらせて施術対象者のまつ毛に、エクステンション用まつ毛を固定させた。
【0097】
本実施例のエクステンション用まつ毛は、簡単にまつ毛に固定することができた。また、まつ毛に固定されたエクステンション用まつ毛は、指で触っても剥がれ落ちることなく良好にまつ毛に固定されていた。