特許第6676319号(P6676319)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6676319
(24)【登録日】2020年3月16日
(45)【発行日】2020年4月8日
(54)【発明の名称】作業用台車
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/16 20060101AFI20200330BHJP
【FI】
   E04G21/16
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-184983(P2015-184983)
(22)【出願日】2015年9月18日
(65)【公開番号】特開2017-57675(P2017-57675A)
(43)【公開日】2017年3月23日
【審査請求日】2018年7月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175973
【氏名又は名称】三晃金属工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080090
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 邦男
(72)【発明者】
【氏名】中島 靖之
(72)【発明者】
【氏名】荒木 彰
【審査官】 兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭57−172835(JP,U)
【文献】 特開平04−368564(JP,A)
【文献】 特開2002−171804(JP,A)
【文献】 実開昭52−131841(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/16
E04G 1/00−7/34
E04D 15/00−15/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
H形鋼又はI形鋼等の梁状材のフランジ上を移動自在となる作業用台車において、作業員が腰掛可能なベースと、該ベースの長手方向両側に設けられると共に前記フランジ上に載置される車輪を有する走行部材と、前記ベースの長手方向両側に設けられ且つ前記梁状材の前記フランジの幅方向両側を下面側から抱持する円柱状のロールを有する左右一対の抱持部材と、前記ベースの長手方向両側におけるそれぞれの左右一対の前記抱持部材を揺動させる揺動機構と、該揺動機構を操作する操作レバーと、前記操作レバーを所定位置にて固定する固定手段とを備え、前記操作レバーの揺動操作にて、前記ベースの長手方向両側におけるそれぞれの左右一対の前記抱持部材を同時に揺動させて相互に離間及び近接させてなることを特徴とする作業用台車。
【請求項2】
請求項1において、前記抱持部材の前記ロールは、前記フランジの長手方向に直交すると共に該フランジの平坦面に対して傾斜状となることを特徴とする作業用台車。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記操作レバーの揺動範囲において該操作レバーを複数の位置で係止固定する係止手段が具備されてなることを特徴とする作業用台車。
【請求項4】
請求項3において、前記係止手段は、複数の係止溝を有する係止部材と、前記ベースに固着する取付部と、前記係止部材を揺動させる枢支部とからなり、前記係止部材を揺動することによって操作レバーは揺動操作可能としてなることを特徴とする作業用台車。
【請求項5】
請求項1,2,3又は4の何れか1項の記載において、前記揺動機構は、前記ベースの長手方向両側における左右一対の前記抱持部材のうち、一方側の左右一対の両前記抱持部材にそれぞれ同一の歯車が固着されると共に、両前記歯車は噛み合い、他方側の左右一対の前記抱持部材の何れかに装着された前記操作レバーの揺動操作による両歯車の回転によって、前記ベースの長手方向両側における左右一対の両前記抱持部材は左右対称の状態で揺動してなることを特徴とする作業用台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築現場において、H形鋼又はI型鋼による鉄骨構造物の高所の鉄骨梁材上に対して簡易且つ迅速に装着することができ、鉄骨構造物の高所の鉄骨梁材上にて、建築作業員が、安全且つ効率的に移動しながら建築作業を行うための作業用台車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築現場において、鉄骨工事の段階における高所作業では、建築作業員は、以下に述べるように作業を行っていた。まず、安全面では、安全帯の親綱に、安全帯を掛ける。その状態で、建築作業員は、それぞれの作業分担における建築部材を所定の取付箇所に搬送するための移動を行っている。
【0003】
このような作業として、具体的には、屋根施工作業がある。屋根施工作業では、屋根板を鉄骨等の構造材を介して施工するために、タイトフレーム等の部材が使用される。建築作業員は、このような部材を鉄骨構造材上に装着しなくてはならず、また、タイトフレームは数量が多く、それぞれが極めて重量のある部材である。よって、建築作業員にかかる肉体的且つ精神的負担は大きくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−308921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の、建築現場において、鉄骨工事の段階における高所作業では、上述したように、建築作業員は、安全帯を備えつつ、建築部材を、所定位置に運びながら、それぞれの作業を行うものであり、そのほとんどは鉄骨上を歩行により移動するものである。しかし、建築部材は、金属製で重量のあるものが多く、建築作業員が安全に気を使いながら、所定範囲を移動することは、困難であり、建築作業員にかかる肉体的且つ精神的負担は大きかった。特に、作業経験の浅い作業員や、高齢の作業員では、作業の危険性も増加する。
【0006】
そのために、建築作業員の負担を減少させて安全性を維持するために、鉄骨構造物の鉄骨梁材を利用して、建築部材及び工具等を運ぶための台者がいくつか開発されている。この種の代表的なものとして、例えば特許文献1が存在する。そこで、特許文献1における物品移動装置を概説する。なお、使用される文言の符号は特許文献1に記載されたものをそのまま、括弧付けして説明する。
【0007】
特許文献1では、移動すべき建築部材(1)に固定したプレート(3)と、このプレート(3)の形成したH形鋼挿通溝と、この挿通溝の上部において上記プレート(3)に設けた、互いに離間して対向する回転自在な一対の車輪(10)と、上記挿通溝を挿通したH形鋼と上記プレート(3)とを互いに固定せしめる手段とより構成されたものである。
【0008】
この種の台車は、建築現場において、H形鋼又はI型鋼等の鉄骨梁材のフランジに対して装着するために、台車を一旦分解しなければ装着することができないものや、或いは鉄骨梁材の端部からしか台車を装着することができないものが存在する。そのために、台車を鉄骨梁材に装着するための条件が厳しく、装着又は取り外しのための段取りで時間がかかるものである。
【0009】
また、鉄骨梁材を構成するH形鋼又はI形鋼には、そのサイズが種々あり、これらのサイズに対して、1台の台車で対応することができず、それぞれのサイズに適応したものが必要であった。そこで、本発明の目的は、本発明は、建築現場において、H形鋼又はI型鋼による鉄骨構造物の高所の梁材上に対して簡易且つ迅速に装着することができ、建築作業員が鉄骨構造(梁)材上を移動するときには、作業用台車に乗ることによって、安全且つ効率的に建築作業を行うことができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、発明者は上記課題を解決すべく鋭意,研究を重ねた結果、請求項1の発明を、 H形鋼又はI形鋼等の梁状材のフランジ上を移動自在となる作業用台車において、作業員が腰掛可能なベースと、該ベースの長手方向両側に設けられると共に前記フランジ上に載置される車輪を有する走行部材と、前記ベースの長手方向両側に設けられ且つ前記梁状材の前記フランジの幅方向両側を下面側から抱持する円柱状のロールを有する左右一対の抱持部材と、前記ベースの長手方向両側におけるそれぞれの左右一対の前記抱持部材を揺動させる揺動機構と、該揺動機構を操作する操作レバーと、前記操作レバーを所定位置にて固定する固定手段とを備え、前記操作レバーの揺動操作にて、前記ベースの長手方向両側におけるそれぞれの左右一対の前記抱持部材を同時に揺動させて相互に離間及び近接させてなる作業用台車としたことにより、上記課題を解決した。
【0011】
請求項2の発明を、請求項1において、前記抱持部材の前記ロールは、前記フランジの長手方向に直交すると共に該フランジの平坦面に対して傾斜状となるこ作業用台車としたことにより、上記課題を解決した。請求項3の発明を、請求項1又は2において、前記操作レバーの揺動範囲において該操作レバーを複数の位置で係止固定する係止手段が具備されてなる作業用台車としたことにより、上記課題を解決した。
【0012】
請求項4の発明を、請求項3において、前記係止手段は、複数の係止溝を有する係止部材と、前記ベースに固着する取付部と、前記係止部材を揺動させる枢支部とからなり、前記係止部材を揺動することによって操作レバーは揺動操作可能としてなる作業用台車としたことにより、上記課題を解決した。
【0013】
請求項5の発明を、請求項1,2,3又は4の何れか1項の記載において、前記揺動機構は、前記ベースの長手方向両側における左右一対の前記抱持部材のうち、一方側の左右一対の両前記抱持部材にそれぞれ同一の歯車が固着されると共に、両前記歯車は噛み合い、他方側の左右一対の前記抱持部材の何れかに装着された前記操作レバーの揺動操作による両歯車の回転によって、前記ベースの長手方向両側における左右一対の両前記抱持部材は左右対称の状態で揺動してなる作業用台車としたことにより、上記課題を解決した。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明では、ベースの長手方向両側に設けられると共に前記フランジ上に載置される車輪を有する走行部材と、前記ベースの長手方向両側に設けられ且つ前記梁状材の前記フランジの幅方向両側を下面側から抱持する円柱状のロールを有する左右一対の抱持部材とによって、作業用台車は梁状材のフランジに対して、脱落し難く、極めて安定した状態で梁状材のフランジ上を移動することができる。
【0015】
建築作業員は、本発明の作業用台車に跨るように腰掛けて、両足にて梁状材の下方側に位置するフランジを前後に蹴りながら移動することができる。そして、作業用台車には、建築用部材又は工具等を載せて、建築作業員と共に所望の位置に移動することができるものである。
【0016】
また、ベースの長手方向両側のそれぞれの左右一対の前記抱持部材を、左右対称の状態で揺動させる揺動機構と、該揺動機構を動作する操作レバーとを備えているので、操作レバーの揺動操作のみで、ベースの長手方向両側における正面側及び背面側のそれぞれ一対の抱持部材を左右対称の状態で揺動且つ近接するように操作することができる。
【0017】
これによって、作業用台車の長手方向両側の正面側及び背面側におけるそれぞれ一対の抱持部材は全て同時に揺動開閉が行われ、本発明の作業用台車を、梁状材のフランジへの取り付け及び取り外しを極めて簡単に行うことができる。また、操作レバーによって、それぞれ一対の抱持部材を揺動開閉できるので、梁状材の長手方向の何れの位置からでも、本発明の作業用台車を取り付け及び取り外しができる。
【0018】
このように、本発明の作業用台車は、建築現場における構造物の鉄骨を搬送用のレールとして使用できるものであり、この種の台車,搬送機等に見られる専用のレールは、本発明では不要となる。したがって、本発明の作業用台車の建築現場における設置は、極めて簡単であり、作業が終了したときは、本発明の作業用台車の操作レバーを介して長手方向両側のそれぞれ一対の抱持部材を揺動して開くことで、極めて簡単に取り外すことができ、作業の効率を格段と向上させることができる。
【0019】
請求項2の発明では、抱持部材のロールは、フランジの長手方向に直交すると共に該フランジの平坦面に対して傾斜状となる構成としたことにより、正面側及び背面側のそれぞれ一対の抱持部材のロールと、走行部材の車輪とで、梁状材のフランジの上下方向及び左右方向(幅方向)に対して抱持する構成となる。
【0020】
これによって、本発明の作業用台車は、梁状材のフランジから極めて脱落し難い構成にすることができる。請求項3の発明では、操作レバーの揺動範囲において複数の位置で係止し、仮固定することができる係止部材が具備される構成としたことにより、梁状材のフランジの幅方向において種々のサイズの形鋼に対応して本発明の作業用台車を装着することができる。
【0021】
請求項4の発明では、係止部材は、複数の係止溝を有する係止部材と、前記ベースに固着する取付部と、前記係止部材が揺動する枢支部とからなり、前記係止部材を揺動することによって操作レバーは揺動操作可能としたことにより、操作レバーのロック及びロック解除を極めて簡単且つ迅速にできる。
【0022】
請求項5の発明では、揺動機構は、両前記抱持部材にそれぞれ同一の歯車が固着されると共に、両前記歯車は噛み合い、両歯車の回転によって両前記抱持部材は左右対称の状態で揺動する構成としたことにより、揺動機構を極めて簡単な構成にすると共に低価格にて提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】(A)は本発明における作業用台車の側面図、(B)は本発明における作業用台車の平面図、(C)は(A)のY1−Y1矢視図、(D)は(A)のY2−Y2矢視図である。
図2】(A)は本発明における一部切除した作業用台車の正面側拡大図、(B)は(A)の正面側におけるY3−Y3矢視断面図、(C)は(B)のX1−X1矢視図、(D)は操作レバーが固定手段にて固定された状態の要部斜視図、(E)は操作レバーが固定手段から開放されて揺動自在となった状態の要部斜視図である。
図3】(A)は本発明における一部切除した作業用台車の背面側拡大図、(B)は(A)の背面側拡大図におけるY4−Y4矢視断面図、(C)は(A)の背面側におけるX2−X2矢視断面図、(D)は本発明における作業用台車の背面側の要部斜視図である。
図4】(A)及び(B)は本発明における作業用台車を梁状材のフランジに取り付けるための行程図である。
図5】本発明における作業用台車に建築作業員が腰かけて移動する状態を示す側面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を図面に基づいて説明する。本発明の作業用台車は、建築現場の屋鉄骨工事段階で、主に高所における水平又は水平状の鉄骨構造材に装着され、該鉄骨構造材上を走行する。作業用台車は、図1に示すように、ベース1,走行部材2,抱持部材3,揺動機構4,操作レバー5及び固定手段6によって構成される。
【0025】
本発明における作業用台車には、長手方向及び幅方向が設定されている。ベース1は、平面が長方形状に形成されており、その長辺に沿う方向を長手方向とし、短辺に沿う方向を幅方向とする(図1参照)。本発明における作業用台車は、原則的に、ベース1の長手方向に沿って移動する。したがって、本発明における作業用台車の長手方向は、前後方向と称しても構わない。そして、作業用台車の長手方向における一方側を正面側とし、他方を背面側とする(図1参照)。
【0026】
作業用台車の正面側とは、建築作業員が作業用台車に跨るように腰掛けたときに、建築作業員の顔となる側を正面側とし、背中側を背面側とする(図5参照)。なお、正面側及び背面側とは、説明の便宜上使用される文言であり、実際に本発明の作業用台車を使用する場合には正面側を背面側とし、背面側を正面側としても構わない。
【0027】
ベース1は、主枠11,脚部12及び台座13とから構成される。主枠11は、横枠材11aと縦枠材11bとによって長方形状に形成されている〔図1(B)参照〕。横枠材11aは主枠11の長辺となり、縦枠材11bは主枠11の短辺となる。主枠11の長手方向中間箇所には、幅方向に沿って中間補強材11cが装着されることもある〔図1(B)参照〕。横枠材11aと縦枠材11bは、アングル材,溝形鋼等の形鋼材が溶接等の固着手段を用いて組み立てられたものである。
【0028】
また、ベース1の下面側の長手方向両側箇所で脚部12,12,…が形成されている。該脚部12は、全部で4本備わっており、平面形状が略長方形状とした主枠11の4隅付近の位置に垂直状に設けられている。これらの脚部12,12,…は、ベース1の幅方向において2個で一対とし、この一対の脚部12,12がベース1の前後方向両側に設けられる構成としたものである(図1参照)。幅方向両側で対向する脚部12の下端部同士は連結部12aによって連結され、一対の両脚部12が連結部12aを介して相互に補強しあう構成となる〔図1(C),図2(B)参照〕。
【0029】
それぞれの脚部12の下端面には、走行部材2が装着される。該走行部材2は、車輪21と、車枠22とからなり、車輪21が車枠22に回動自在に軸支されている〔図1図2(A),(B)参照〕。4個の走行部材2,2,…の走行方向は、ベース1の長手方向に従っている。つまり、ベース1は、長手方向に沿って走行部材2,2,…によって走行する(図5参照)。
【0030】
主枠11の上面側には、台座13が装着されている(図1参照)。該台座13は、長方形の板であり、金属材,木材或いは合成樹脂材から構成されている。台座13は、主枠11に対してボルト・ナット等の固着具にて固着される。或いは台座13が金属材から形成されている場合では、主枠11に溶接にて固着される構成としても構わない。建築作業員は、台座13上に跨るようにして腰掛けるものである〔図4(B),図5参照〕。したがって、台座13は、柔軟性又は弾性を有する材質であることが好ましい。
【0031】
抱持部材3は、ベース1の長手方向における両側、つまり正面側及び背面側において、それぞれの幅方向に対応して左右一対となるように二つずつ備えられている〔図1(B),(C),(D)参照〕。これら左右一対の抱持部材3,3は、前記ベース1の長手方向両側に設けられた脚部12,12を介してベース1に揺動自在に装着される〔図2(B),図3(B)参照〕。該ベース1の正面側及び背面側において左右一対となる抱持部材3,3同士は、常時、左右対称の形状を維持しながら、揺動しつつ、相互に近接及び離間する構成である〔図1(C),(D),図2(A),図3(A)参照〕。
【0032】
抱持部材3は、ロール31及び腕状枠部32とから構成される〔図1図2(A),(B),(D)参照〕。ロール31は、円柱形状であり、その材質は金属製,合成樹脂製或いはゴム製である。腕状枠部32は、揺動椀部32aとロール受部32bとが略直角となる。具体的には、揺動椀部32aとロール受部32bとが略「L」字形状或いは略「く」字形状となるように形成されている。腕状枠部32は、例えば断面略L字状のアングル材から加工形成される。
【0033】
ロール受部32bには、ロール31が回動自在に軸支されている。そして、左右一対の腕状枠部32,32は、ベース1の長手方向両側の正面側及び背面側より見て略「く」字形状及び略逆「く」字形状となるようにして、ベース1の幅方向に沿って揺動可能に配置される〔図1(C),(D),図2(A),図3(A)参照〕。ロール31の軸方向は、ベース1の長手方向に対して直交している。
【0034】
また、本発明の作業用台車を鉄骨構造の梁状材9のフランジ91に装着した状態では、ベース1の長手方向両側における正面側及び背面側から見て、前記フランジ91の平坦面に対して、その幅方向両下端に傾斜状に当接することになる〔図1(C),(D),図2(A),図3(A),図4(B)等参照〕。
【0035】
ベース1の正面側及び背面側におけるそれぞれの一対の抱持部材3,3において、正面側の幅方向における一方側(例えば左側)に位置する抱持部材3と、該抱持部材3に対応する背面側の幅方向における一方側に位置する抱持部材3同士とは、連結軸部33によって連結される〔図1(A),(B),図2(B),図3(C)参照〕。
【0036】
同様に、正面側の幅方向における他方側(例えば右側)に位置する抱持部材3と、該抱持部材3に対応する背面側の幅方向における他方側に位置する抱持部材3同士とは、連結軸部33によって連結される〔図1(A),(B),図3(B),(C)参照〕。連結軸部33と抱持部材3とは、溶接又はビス,ボルト又はキー等の固着手段により相互に固着される。
【0037】
両連結軸部33,33は、それぞれの脚部12,12,…の下方位置に形成された貫通孔12b,12b,…に貫通してベース1に軸支される〔図2(B),図3(B),(C)参照〕。ベース1の長手方向の両側における正面側及び背面側のそれぞれに設けられた左右一対の抱持部材3,3は、両前記連結軸部33,33を介して幅方向一方側同士の抱持部材3,3及び幅方向他方側同士の抱持部材3,3が同時且つ左右対称を維持するようにして揺動することができる構成となっている〔図1(C),(D),図2(A),図3(A)参照〕。
【0038】
次に、揺動機構4は、左右対称の抱持部材3,3を揺動させる役目をなす。揺動機構4の実施形態としては、ベース1の長手方向両側における正面側及び背面側の左右一対の両前記抱持部材3,3にそれぞれ同一の歯車41,41が固着される。本発明の実施形態においては、揺動機構4は、ベース1の背面側に具備されている。また、同一の歯車41,41とは、両歯車41,41のピッチ円が同一であり、且つ同一の歯数で、モジュールが等しいということである。
【0039】
そして、両歯車41,41は、噛み合い、両歯車41,41の回転によって両抱持部材3,3は、左右対称の状態で揺動することができる。抱持部材3と歯車41とは、種々の固着手段にて固着され、抱持部材3と歯車41とが同時に動作するようになっている。具体的には、抱持部材3の腕状枠部32と、歯車41との間にピン部材34が嵌め込まれ、両者が連結固着されるものである〔図3(B)参照〕。
【0040】
ベース1の長手方向両側における正面側及び背面側のそれぞれ一対の抱持部材3,3は、その幅方向に沿って相互に離間及び近接を行うものであり、両抱持部材3,3が近接した状態のときは、両抱持部材3,3はベース1の幅方向中心箇所でロール31,31同士が近接する〔図4(B)参照〕。また、一対の抱持部材3,3が相互に最大に離間した状態のときは、作業用台車を装着しようとする梁状材9のフランジ91の幅方向よりも広く離間する〔図4(A)参照〕。
【0041】
前述したように、ベース1の長手方向の両側における正面側の一対の抱持部材3,3と、背面側の一対の抱持部材3,3は、連結軸部33と揺動機構4(歯車41,41)によって、全て同時に揺動することができる。したがって、ベース1の長手方向の両側における正面側の一対の抱持部材3,3と、背面側の一対の抱持部材3,3は、同時に離間及び近接が行われる。
【0042】
次に、操作レバー5は、ベース1の長手方向における正面側の一対の抱持部材3,3又は背面側の一対の抱持部材3,3の何れか一つの抱持部材3に装着される。そして、操作レバー5を揺動させることで、該操作レバー5が装着された一つの抱持部材3が揺動することにより、揺動機構4を介して残りの全ての抱持部材3,3,…が揺動させることができる。操作レバー5は、抱持部材3に溶接等の固着手段にて固着される〔図2(A),(B)参照〕。
【0043】
操作レバー5は、抱持部材3の揺動方向(ベース1の幅方向)に沿って揺動操作する。操作レバー5は、操作軸部51の軸端に握手部52が設けられたものであり、該握手部52は、建築作業員が握り易い太さとなっている。操作レバー5の揺動範囲は、一対の抱持部材3,3が梁状材9のフランジ91から余裕を有して抜け出せる状態の離間距離と、梁状材9のフランジ91に装着するために一対の抱持部材3,3の近接する間隔となるように設定されている。
【0044】
操作レバー5は、一対の抱持部材3,3が離間及び近接したそれぞれの位置で仮固定状態とされ、一対の抱持部材3,3の離間状態と近接状態が維持される。このように、操作レバー5が仮固定されるために、固定手段6が具備されている。該固定手段6は、係止部材61に複数の係止溝61a,61a,…が形成されている。前記係止部材61は、板状に形成される。また、係止溝61a,61a,…は、少なくとも2個形成され、一対の抱持部材3,3の離間状態と近接状態のそれぞれに対応する位置で係止される。
【0045】
そして、一対の抱持部材3,3が離間状態で仮固定され、本発明の作業用台車を梁状材9のフランジ91にその上方から装着したり、或いは取り外したりするときに、簡単にできる(図4参照)。また、一対の抱持部材3,3が近接状態で仮固定されるときには、本発明の作業用台車をフランジ91に取り付けられて、作業用台車がフランジ91から外れないようにすることができる。
【0046】
係止部材61は、ベース1の主枠11を構成する縦枠材11bに対して、溶接又はボルトナット等にて固着されている(図2参照)。操作レバー5の操作軸部51は、常時、何れかの係止溝61a,61a,…に係止された状態であり、操作レバー5の握手部52を係止している係止溝61aから外して他の係止溝61aに移動させ、一対の抱持部材3,3の離間又は近接状態を選択することができる。
【0047】
前記係止溝61a,61a,…を3個以上設けることによって、種々のサイズの梁状材9におけるフランジ91に対応できる。したがって、係止溝61aの深さは、操作軸部51を建築作業員の操作によって弾性的に変形させることにより操作軸部51が係止されていた係止溝61aから外れ、他の係止溝61aの位置に移動しつつ、弾性復元力にて、該係止溝61aに挿入係止することができる範囲内で設定される。
【0048】
また、固定手段6の別の実施形態として、係止部材61と、取付部62と、枢支部63とから構成されるものが存在する〔図2(B)乃至(E)参照〕。この実施形態では、係止部材61が取付部62に対し、枢支部63を介して揺動する構造となっている〔図2(B),(D),(E)参照〕。取付部62は、前記主枠11の縦枠材11bに溶接又はボルト・ナット等にて固着される。
【0049】
係止部材61は、主枠11上にて揺動自在とした構成であり、係止部材61を揺動させて垂直状としておくことで、操作レバー5の操作軸部51は、係止部材61の何れの係止溝61a,61a,…にも係止されず、揺動自在な状態となる〔図2(E)参照〕。そして、操作レバー5の操作で一対の抱持部材3,3の位置が決定したときに、係止部材61の係止溝61a,61a,…が操作軸部51と係止するように元の状態に倒すことで、操作レバー5を仮固定できる〔図2(D)参照〕。
【0050】
また、前記揺動機構4の実施形態として、特に図示しないが、前記一対の抱持部材3,3には、それぞれリンクが設けられ、両リンクの一方には長孔が形成され、他方のリンクには枢支ピンが設けられ、前記長孔に前記枢支ピンが挿入される構成としたものである。これによって、一対の抱持部材3,3は、それぞれのリンクを介して同時に、左右対称状態で揺動することができる。
【0051】
次に、本発明の作業用台車を梁状材9のフランジ91に設置する行程を説明する。まず、建築作業員は、作業用台車の操作レバー5を揺動操作して、ベース1の長手方向両側における正面側及び背面側のそれぞれの一対の抱持部材3,3を最大限離間させる。この一対の両抱持部材3,3の離間距離は、フランジ91の幅方向寸法よりも大きくなるように設定する〔図4(A)参照〕。操作レバー5は、この状態で一旦、固定手段6によって仮固定しておく。作業用台車はこのままの状態で、梁状材9のフランジ91上に載置し、走行部材2の車輪21がフランジ91に当接する。
【0052】
この状態で、操作レバー5を揺動させて、ベース1の長手方向両側におけるそれぞれの一対の抱持部材3,3を近接させる。これによって、一対の抱持部材3,3に装着されている両ロール31,31は、略逆「ハ」字状態の傾斜状となって、フランジ91の幅方向両端の下方側から当接し、フランジ91の幅方向両側を下方側から抱持する構成となる〔図2(A),図3(A),図4(B)等参照〕。
【0053】
つまり、作業用台車は、梁状材9のフランジ91の上面側を走行部材2,2,…にて設置され、フランジ91の下面側を全抱持部材3,3,…のロール31,31,…によって当接且つ押圧する構造となる。これによって、作業用台車の走行部材2,2,…及びロール31,31,によってフランジ91を上下方向両側から抱持する構造となり、作業用台車は、梁状材9のフランジ91上を脱落することなく、極めて安定且つ安全な状態で移動することができる。
【0054】
そして、建築作業員は、図5に示すように、ベース1の台座13に跨るように腰掛けて、足で梁状材9を後方又は前方を蹴るようにして前進又は後進することができる。このとき、作業用台車及び建築作業員は、建築現場に備えられた安全ロープに命綱を介して連結し、作業することもある。
【符号の説明】
【0055】
1…ベース、21…車輪、2…走行部材、31…ロール、3…抱持部材、
4…揺動機構、41…歯車、5…操作レバー、6…固定手段、61…係止部材、
61a…係止溝、62…取付部、63…枢支部、9…梁状材、91…フランジ。
図1
図2
図3
図4
図5