特許第6676421号(P6676421)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6676421
(24)【登録日】2020年3月16日
(45)【発行日】2020年4月8日
(54)【発明の名称】箱用シート
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/42 20060101AFI20200330BHJP
   B65D 5/02 20060101ALI20200330BHJP
【FI】
   B65D5/42 D
   B65D5/02 K
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-48420(P2016-48420)
(22)【出願日】2016年3月11日
(65)【公開番号】特開2017-159951(P2017-159951A)
(43)【公開日】2017年9月14日
【審査請求日】2018年10月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】513133077
【氏名又は名称】大王パッケージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 一規
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 義典
(74)【代理人】
【識別番号】100158540
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 博生
(74)【代理人】
【識別番号】100106264
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 耕治
(74)【代理人】
【識別番号】100176876
【弁理士】
【氏名又は名称】各務 幸樹
(74)【代理人】
【識別番号】100187768
【弁理士】
【氏名又は名称】藤中 賢一
(72)【発明者】
【氏名】寺岡 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】待場 歩
【審査官】 長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2008/0163800(US,A1)
【文献】 特開2007−118993(JP,A)
【文献】 特開2002−332029(JP,A)
【文献】 特開2013−166593(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/42
B65D 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1枚の段ボールシート材から形成され、
左右方向に順番に連接され、四角筒状に組み立てられる上下方向の平均長さが略等しい方形状の第1短辺側面パネル、第1長辺側面パネル、第2短辺側面パネル及び第2長辺側面パネルと、
上記第1短辺側面パネル及び第2短辺側面パネルの上縁及び下縁からそれぞれ出する方形状の2対の内フラップと、
上記第1長辺側面パネル及び第2長辺側面パネルの上縁及び下縁からそれぞれ出し、上記内フラップと略等しい上下方向の平均長さを有する方形状の2対の外フラップと
を備える箱用シートであって、
上記第2長辺側面パネルの第2短辺側面パネルと反対側の側縁から延設され、組み立て状態で第1短辺側面パネルの内側に重ねられる方形状の接続パネルと、
この接続パネルの上縁及び下縁からそれぞれ延出し、上記第1短辺側面パネルの上縁及び下縁から延出する1対の内フラップと積層される1対の接続フラップと
をさらに備え、
上記1対の接続フラップが、上下方向先端縁から延在する1対の切り込み線とこの1対の切り込み線の先端間を接続する折り曲げ容易線とによって画定される台形状の第1舌片をそれぞれ有し、
上記第1短辺側面パネルから延出する内フラップが、組み立て状態で上記第1舌片と重なる位置に形成され、かつ上下方向先端縁から延在する1対の切り込み線とこの1対の切り込み線の先端間を接続する折り曲げ容易線とによって画定される台形状の第2舌片をそれぞれ有し、
上記第1舌片の折り曲げ容易線の平均長さと第2舌片の折り曲げ容易線の平均長さとが略等しく、
上記第1舌片及び第2舌片の一方の1対の切り込み線の間隔が、折り曲げ容易線からフラップの先端縁に向かって減少し、
上記第1舌片及び第2舌片の他方の1対の切り込み線の間隔が、折り曲げ容易線からフラップの先端縁に向かって増大し、
上記第2舌片の左右方向中心が第1短辺側面パネルの左右方向中心より第1長辺側面パネルと反対側に位置しており、上記1対の接続フラップとこの1対の接続フラップに積層される1対の内フラップとが互いに固定され、互いに固定された上記接続フラップ及び内フラップが組み立て状態において内側に折り曲げられ、接着剤を用いることなく上記四角筒状部を組み立て可能であることを特徴とする箱用シート。
【請求項2】
上記第1舌片の1対の切り込み線の間隔が折り曲げ容易線から接続フラップの先端縁に向かって減少する請求項1に記載の箱用シート。
【請求項3】
上記接続パネルの左右方向の平均長さが第1短辺側面パネルの左右方向の平均長さと略等しい請求項1又は請求項2に記載の箱用シート。
【請求項4】
上記第2舌片の上下方向の平均長さが内フラップの上下方向の平均長さの30%以上60%以下であり、上記折り曲げ容易線の平均長さが内フラップの左右方向の平均長さの10%以上30%以下である請求項1から請求項のいずれか1項に記載の箱用シート。
【請求項5】
上記接続パネルの上下方向の平均長さが第2長辺側面パネルの上下方向の平均長さより小さく、上記接続パネルの上下方向の平均長さと第2長辺側面パネルの上下方向の平均長さとの差が段ボールシート材の平均厚さの1倍以上3倍以下である請求項1から請求項のいずれか1項に記載の箱用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箱用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
段ボールシート材から形成される箱体(段ボール箱)が、各種の物品を収容するために広く利用されている。このような箱体としては、1枚の段ボールシート材から形成され、4枚の側面パネルが四角筒状に接続されるものが特に数多く利用されている。
【0003】
このような箱体は、一般に、一列に連設される4枚の側面パネルから形成される周壁形成部とこの周壁形成部の一方側の端縁に連設される継ぎしろとを備え、この継ぎしろが周壁構成部の他方側の端部の裏面に例えば接着剤、ステープラー等を用いて固定されることで、4枚の側面パネルが無端状に半永久的に接続される。このような段ボール箱用シートは、自動包装機を用いて大量に段ボール箱を組み立てる場合を除いて、一般的には4枚の側面パネルが予め四角筒状に接続された状態でユーザーに提供される。
【0004】
しかしながら、段ボール箱の用途によっては、一度箱状に組み立てたものを再度平板状に展開することができることが望ましい場合もある。具体的には、例えば段ボールシート材の表裏を逆にして箱体を組み立て直したい場合等が考えられる。箱体を平板状に再展開可能な箱用シートとしては、例えば実公昭39−28495号公報に、一列に連設される4枚の側面パネルからなる周壁構成部の一端にスリットを有する突片を連設し、周壁構成部の他端に上記スリットに係合するフック状の突起を連設した段ボール製組み立て携帯箱が記載されている。
【0005】
上記公報に記載の箱用シートは、突起をスリットに抜き差しする作業が繁雑であり、箱体を展開する際に誤って突起を破断してしまうおそれもある。また、上記公報に記載の箱用シートは、周壁にスリットを設けるため、箱体の強度を大きくすることが難しいという不都合も有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実公昭39−28495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記不都合に鑑みて、本発明は、組み立て及び展開が比較的容易であり、かつ形成される箱体の強度が比較的大きい箱用シートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、上記課題を解決するためになされた発明は、1枚の段ボールシート材から形成され、左右方向に順番に連設され、四角筒状に組み立てられる上下方向の平均長さが略等しい方形状の第1短辺側面パネル、第1長辺側面パネル、第2短辺側面パネル及び第2長辺側面パネルと、上記第1短辺側面パネル及び第2短辺側面パネルの上縁及び下縁からそれぞれ縁出する方形状の2対の内フラップと、上記第1長辺側面パネル及び第2長辺側面パネルの上縁及び下縁からそれぞれ縁出し、上記内フラップと略等しい上下方向の平均長さを有する方形状の2対の外フラップとを備える箱用シートであって、上記第2長辺側面パネルの第2短辺側面パネルと反対側の側縁から延設され、組み立て状態で第1短辺側面パネルの内側に重ねられる方形状の接続パネルと、この接続パネルの上縁及び下縁からそれぞれ延出する1対の接続フラップとをさらに備え、上記1対の接続フラップが、上下方向先端縁から延在する1対の切り込み線とこの1対の切り込み線の先端間を接続する折り曲げ容易線とによって画定される台形状の第1舌片をそれぞれ有し、上記第1短辺側面パネルから延出する内フラップが、組み立て状態で上記第1舌片と重なる位置に形成され、かつ上下方向先端縁から延在する1対の切り込み線とこの1対の切り込み線の先端間を接続する折り曲げ容易線とによって画定される台形状の第2舌片をそれぞれ有し、上記第1舌片の折り曲げ容易線の平均長さと第2舌片の折り曲げ容易線の平均長さとが略等しく、上記第1舌片及び第2舌片の一方の1対の切り込み線の間隔が、折り曲げ容易線からフラップの先端縁に向かって減少し、上記第1舌片及び第2舌片の他方の1対の切り込み線の間隔が、折り曲げ容易線からフラップの先端縁に向かって増大することを特徴とする箱用シートである。
【0009】
当該箱用シートは、上記第1短辺側面パネル及びこの第1短辺側面パネルから延出する1対の内フラップの内面に接続パネル及び1対の接続フラップを重ね合わせた状態で、上記第1舌片及び第2舌片を切り込み線の間隔が先端縁に向かって減少する舌片の側に折り曲げることによって、切り込み線の間隔が先端縁に向かって増大する舌片の両側部を切り込み線の間隔が先端縁に向かって減少する舌片を有するフラップの舌片の両側部分に係合させて内フラップと接続フラップとを固定することができる。これにより、当該箱用シートは、比較的容易に第1短辺側面パネルと接続パネルとを積層状態に固定して4つの側面パネルを四角筒状に接続できるので、比較的容易に箱状に組み立てることができる。また、このようなフラップと舌片との係合は、比較的容易に解消することができるため、当該箱用シートは、組み立て状体から比較的容易に展開して平板状に戻すことができる。さらに、当該箱用シートは、組み立て及び封函の際には、内フラップ及び接続フラップの積層体が第1短辺側面パネル及び接続パネルに対して折り曲げられるので、第1短辺側面パネルと接続パネルとの密着状態がより強固となる。このように、当該箱用シートの第1短辺側面パネルと第2長辺側面パネルとが組み立て状体で接続パネルを介してその上下方向略全体に亘って切れ目なく堅固に接続されるので、当該箱用シートを組み立ててなる箱体は比較的強度が大きい。
【0010】
上記第1舌片の1対の切り込み線の間隔が、折り曲げ容易線から接続フラップの先端縁に向かって減少するとよい。このように、上記第1舌片の1対の切り込み線の間隔が、折り曲げ容易線から接続フラップの先端縁に向かって減少することによって、組み立て時に第2舌片を接続パネルに係合させることになる。このため、当該箱用シートは、組み立て状体で第1舌片及び第2舌片が箱体の内側に突出するため、内フラップと外フラップとを密着させることができ、箱体に隙間を生じさせ難い。
【0011】
上記接続パネルの左右方向の平均長さが第1短辺側面パネルの左右方向の平均長さと略等しいとよい。このように、上記接続パネルの左右方向の平均長さが第1短辺側面パネルの左右方向の平均長さと略等しいことによって、第1短辺側面パネルと接続パネルとの重複免責が大きくなり、当該箱用シートを組み立ててなる箱体の座屈強度を向上することができる。
【0012】
上記折り曲げ容易線からフラップの先端縁に向かって間隔が減少する1対の切り込み線間の平均角度としては15°以下が好ましく、上記折り曲げ容易線からフラップの先端縁に向かって間隔が増大する1対の切り込み線間の平均角度としては15°以上45°以下が好ましい。このように、上記折り曲げ容易線からフラップの先端縁に向かって間隔が減少する1対の切り込み線間の平均角度及び上記折り曲げ容易線からフラップの先端縁に向かって間隔が増大する1対の切り込み線間の平均角度をそれぞれ上記範囲内とすることによって、舌片のフラップへの係合が比較的容易かつ確実となる。このため、当該箱用シートは、より組み立てが容易でより強度に優れる箱体を形成することができる。
【0013】
上記第2舌片の上下方向の平均長さとしては、内フラップの上下方向の平均長さの30%以上60%以下が好ましく、上記折り曲げ容易線の平均長さとしては、内フラップの左右方向の平均長さの10%以上30%以下が好ましい。このように、上記第2舌片の上下方向の平均長さ及び上記折り曲げ容易線の平均長さをそれぞれ上記範囲内とすることによって、フラップと接続フラップとをより確実に固定することができる。
【0014】
上記第2舌片の左右方向中心が第1短辺側面パネルの左右方向中心より第1長辺側面パネルと反対側に位置するとよい。このように、上記第2舌片の左右方向中心が第1短辺側面パネルの左右方向中心より第1長辺側面パネルと反対側に位置することによって、側面パネルを四角筒状に組み立てる際に第1短辺側面パネルが接続パネルから浮き上がりに難いため、組み立てがより容易となる。
【0015】
上記接続パネルの上下方向の平均長さが第2長辺側面パネルの上下方向の平均長さより小さいとよく、上記接続パネルの上下方向の平均長さと第2長辺側面パネルの上下方向の平均長さとの差としては、段ボールシート材の平均厚さの1倍以上3倍以下が好ましい。このように、上記接続パネルの上下方向の平均長さが第2長辺側面パネルの上下方向の平均長さより小さく、上記接続パネルの上下方向の平均長さと第2長辺側面パネルの上下方向の平均長さとの差が上記範囲内であることによって、内フラップ及び接続フラップを密着させたまま第1短辺側面パネル及び接続パネルに対して折り曲げることが容易となる。
【0016】
ここで、長さが「略等しい」とは、長さの差の絶対値が比較対象の長さの5%以下、好ましくは3%以下であることを意味する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の箱用シートは、組み立て及び展開が比較的容易であり、かつ形成される箱体の強度が比較的大きい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態の箱用シートを示す模式的平面図(展開図)である。
図2図1の箱用シートの組み立て工程を示す模式的斜視図である。
図3図1の箱用シートの図2の次の組み立て工程を示す模式的斜視図である。
図4図1の箱用シートの図3の次の組み立て工程を示す模式的断面図である。
図5図1の箱用シートを組み立ててなる箱体の模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳説する。
【0020】
[箱用シート]
図1に、本発明の一実施形態に係る箱用シートを示す。当該箱用シートは、1枚の段ボールシート材から形成される。なお、図1において、太い実線は段ボールシート材を切断したエッジを示し、細い実線は段ボールシート材の内面側に筋押しして形成される罫線を示す。
【0021】
上記段ボールシート材としては、1枚の中芯の両側を1対のライナーで挟み込んだものだけでなく、3枚のライナーの間にそれぞれ中芯が挟み込まれたいわゆるダブルフルートであってもよく、中芯の片側にのみライナーが貼着されたいわゆる片面段ボールであってもよい。
【0022】
当該箱用シートにおいて、段ボールシート材は、箱体の座屈強度を向上するために、中芯の稜線が上下方向に延在するよう配向されることが好ましい。
【0023】
当該箱用シートは、左右方向に順番に連設され、四角筒状に組み立てられる上下方向の平均長さが略等しい方形状の第1短辺側面パネル1、第1長辺側面パネル2、第2短辺側面パネル3及び第2長辺側面パネル4を備える。第1短辺側面パネル1及び第2短辺側面パネル3の左右方向の長さは、互いに略等しい。また、第1長辺側面パネル2及び第2長辺側面パネル4の左右方向の長さは、互いに略等しくかつ第1短辺側面パネル1及び第2短辺側面パネル3の左右方向の長さ以上とされる。なお、「左右方向」とは、側面パネル1〜4の連接方向を意味し、「上下方向」とは「左右方向」に直交する方向を意味し、当該箱用シートの使用状態における向きや段ボールシートの中芯の向きを限定するものではない。
【0024】
また、当該箱用シートは、上記第1短辺側面パネル1及び第2短辺側面パネル3の上縁及び下縁からそれぞれ縁出する方形状の2対の内フラップ(第1内フラップ5,6及び第2内フラップ7,8)と、上記第1長辺側面パネル2及び第2長辺側面パネル4の上縁及び下縁からそれぞれ縁出し、上記内フラップ5〜8と略等しい上下方向の平均長さを有する方形状の2対の外フラップ(第1外フラップ9,10及び第2外フラップ11,12)とをさらに備える。内フラップ5〜8及び外フラップ9から12の上下方向の長さ(側面パネル1〜4からの延出長さ)は、短辺側面パネル1,3の左右方向の長さの略1/2とされる。
【0025】
さらに、当該箱用シートは、上記第2長辺側面パネル4の第2短辺側面パネル3と反対側の側縁から延設され、組み立て状態で第1短辺側面パネル1の内側に重ねられる方形状の接続パネル13と、この接続パネル13の上縁及び下縁からそれぞれ延出する1対の接続フラップ14,15とをさらに備える。
【0026】
当該箱用シートにおいて、上記1対の接続フラップ14,15は、上下方向先端縁から延在する1対の切り込み線16とこの1対の切り込み線16の先端間を接続するよう形成される罫線からなる折り曲げ容易線17とによって画定される台形状の第1舌片18をそれぞれ有する。
【0027】
また、上記第1短辺側面パネル1から延出する第1内フラップ5,6は、組み立て状態で上記第1舌片18と重なる位置に形成され、かつ上下方向先端縁から延在する1対の切り込み線19とこの1対の切り込み線19の先端間を接続するよう形成される罫線からなる折り曲げ容易線20とによって画定される台形状の第2舌片21をそれぞれ有する。
【0028】
<接続パネル>
上記接続パネル13は、上下方向の長さが側面パネル1〜4の上下方向の長さよりも小さいことが好ましい。接続パネル13の上下方向の平均長さと側面パネル1〜4の上下方向の平均長さとの差の下限としては、段ボールシート材の平均厚さの1倍が好ましく、1.5倍がより好ましい。一方、接続パネル13の上下方向の平均長さと側面パネル1〜4の上下方向の平均長さとの差の上限としては、段ボールシート材の平均厚さの3倍が好ましく、2.5倍がより好ましい。接続パネル13の上下方向の平均長さと側面パネル1〜4の上下方向の平均長さとの差が上記下限に満たない場合、第1内フラップ5,6及び接続フラップ14,15を第1短辺側面パネル1及び接続パネル13に対して折り曲げることが容易でなくなるおそれがある。逆に、接続パネル13の上下方向の平均長さと側面パネル1〜4の上下方向の平均長さとの差が上記上限を超える場合、第1内フラップ5,6及び接続フラップ14,15を第1短辺側面パネル1及び接続パネル13に対して折り曲げたときに第1内フラップ5,6と接続フラップ14,15との間に隙間が形成され、箱体に歪みが生じたり、強度が低下するおそれがある。
【0029】
上記接続パネル13は、左右方向の長さが第1短辺側面パネル1の左右方向の長さと略等しいことが好ましい。このように、上記接続パネル13が第1短辺側面パネル1と略等しい左右方向の長さを有することによって、当該箱用シートを箱状に組み立てたときに箱体の上下方向に垂直な平面視で長手方向一方側の端壁の略全面的が二重となるので、箱体の座屈強度を向上することができる。
【0030】
接続パネル13と1対の接続フラップ14,15との上下方向の合計長さは、第1短辺側面パネル1と一つの第1内フラップ5,6との上下方向の合計長さと等しいことが好ましい。つまり、接続フラップ14,15の上下方向の長さは、内フラップ5〜8及び外フラップ9〜12の上下方向の長さよりも大きいことが好ましい。接続パネル13と1対の接続フラップ14,15との上下方向の合計長さと第1短辺側面パネル1と一つの第1内フラップ5,6との上下方向の合計長さとが等しいことによって、フラップ5,9,7,11,14の先端縁及びフラップ6,10,8,12,15の先端縁がそれぞれ直線上に配置されるため、各フラップの先端縁を例えばスリッター等によって容易に形成することができ、製造コストを低減できる。
【0031】
<舌片>
上記第1舌片18の折り曲げ容易線17の平均長さと第2舌片21の折り曲げ容易線20の平均長さとは、互いに略等しい。また、上記第1舌片18の1対の切り込み線16の間隔は、折り曲げ容易線17から接続フラップ14,15の先端縁に向かって減少する。一方、上記第2舌片21の1対の切り込み線19の間隔は、折り曲げ容易線20から第1内フラップ5,6の先端縁に向かって増大する。つまり、第1舌片18は先端縁に向かって縮幅し、第2舌片21は先端縁に向かって拡幅する。
【0032】
先端縁に向かって縮幅する第1舌片18の1対の切り込み線16間の平均角度の下限としては、3°が好ましく、5°がより好ましい。一方、第1舌片18の1対の切り込み線16間の平均角度の上限としては、15°が好ましく、12°がより好ましい。第1舌片18の1対の切り込み線16間の平均角度が上記下限に満たない場合、組み立て時に接続フラップ14,15の第1舌片18の両側部分への第2舌片21の係合が不十分となるおそれがある。逆に、第1舌片18の1対の切り込み線16間の平均角度が上記上限を超える場合、接続フラップ14,15の第1舌片18の両側部分への第2舌片21の係合が容易でなくなるおそれがある。
【0033】
先端縁に向かって拡幅する第2舌片21の1対の切り込み線19間の平均角度の下限としては、15°が好ましく、20°がより好ましい。一方、第2舌片21の1対の切り込み線19間の平均角度の上限としては、45°が好ましく、40°がより好ましい。第2舌片21の1対の切り込み線19間の平均角度が上記下限に満たない場合、組み立て時に接続フラップ14,15の第1舌片18の両側部分への第2舌片21の係合が不十分となるおそれがある。逆に、第2舌片21の1対の切り込み線19間の平均角度が上記上限を超える場合、接続フラップ14,15の第1舌片18の両側部分への第2舌片21の係合が容易でなくなるおそれがある。
【0034】
第2舌片21の上下方向の平均長さ(折り曲げ容易線20と先端縁との平均距離)の下限としては、第1内フラップ5,6の上下方向の平均長さの30%が好ましく、40%がより好ましい。一方、第2舌片21の上下方向の平均長さの上限としては、第1内フラップ5,6の上下方向の平均長さの60%が好ましく、50%がより好ましい。第2舌片21の上下方向の平均長さが上記下限に満たない場合、第2舌片21が接続フラップ14,15から脱離し易くなるおそれがある。逆に、第2舌片21の上下方向の平均長さが上記上限を超える場合、接続フラップ14,15の第1舌片18の両側部分への第2舌片21の係合が容易でなくなるおそれがある。
【0035】
第1舌片18の上下方向の平均長さは、第2舌片21の上下方向の平均長さよりも大きいことが好ましい。第1舌片18の上下方向の平均長さと第2舌片21の上下方向の平均長さとの差の下限としては、段ボールシート材の平均厚さの0.3倍が好ましく、0.6倍がより好ましい。一方、第1舌片18の上下方向の平均長さと第2舌片21の上下方向の平均長さとの差の上限としては、段ボールシート材の平均厚さの2倍が好ましく、1.5倍がより好ましい。第1舌片18の上下方向の平均長さと第2舌片21の上下方向の平均長さとの差が上記下限に満たない場合、第1内フラップ5,6及び接続フラップ14,15を第1短辺側面パネル1及び接続パネル13に対して折り曲げたときに、第2舌片21が接続フラップ14,15に過度に食い込んで、第2舌片21又は接続フラップ14,15が破断するおそれがある
【0036】
第1舌片18の折り曲げ容易線17及び第2舌片21の折り曲げ容易線20の平均長さの下限としては、第1内フラップ5,6の左右方向の平均長さの10%が好ましく、15%がより好ましい。一方、折り曲げ容易線17,20の平均長さの上限としては、第1内フラップ5,6の左右方向の平均長さの30%が好ましく、20%がより好ましい。折り曲げ容易線17,20の平均長さが上記下限に満たない場合、第1舌片18及び第2舌片21の強度が不十分となるおそれがある。逆に、折り曲げ容易線17,20の平均長さが上記上限を超える場合、接続フラップ14,15の第1舌片18の両側部分への第2舌片21の係合が容易でなくなるおそれがある。
【0037】
第2舌片21は、その左右方向中心が第1短辺側面パネル1の左右方向中心より第1長辺側面パネルと反対側に位置することが好ましい。換言すると、第2舌片21は、当該箱用シートを組み立てた箱体において第1長辺側面パネル2よりも第2長辺側面パネル4に近くなるように配置することが好ましい。このような構成により、当該箱用シートを四角筒状に組み立てる際に、第1短辺側面パネル1のうち、段ボールシート材の復元力により接続パネル13から浮き上がり易い側で第1内フラップ5,6と接続フラップ14,15とを固定し、第1短辺側面パネル1が接続パネル13から浮き上がりに難くできるため、当該箱用シートの箱体への組み立てがより容易となる。
【0038】
<組み立て方法>
当該箱用シートを箱状に組み立てる場合、先ず、第1短辺側面パネル1、第1長辺側面パネル2、第2短辺側面パネル3、第2長辺側面パネル4及び接続パネル13の各境界線に沿って折り曲げて、接続パネル13の外面に第1短辺側面パネル1を重ねることにより、図2に示すように、第1短辺側面パネル1、第1長辺側面パネル2、第2短辺側面パネル3及び第2長辺側面パネル4を無端状に連接した四角筒状部を形成する。これにより、当該箱用シート全体が四角筒状となり、接続フラップ14,15の外面に第1内フラップ5,6が重ねられることで、第1舌片18の外面に第2舌片21が重ねられる。
【0039】
続いて、図3に示すように、第1舌片18及び第2舌片21を一体に内側に折り曲げる。このとき、第2舌片21は、第1舌片18からはみ出す左右方向両側部が折り曲げられるようにして、接続フラップ14,15の第1舌片18を折り曲げた後に形成される凹部を通過する。折り曲げ容易線20に沿って接続フラップ14,15の裏面側に折り曲げられた第2舌片21は、段ボールシート材の弾性により左右方向両側部が再度広がり、接続フラップ14,15の第1舌片18の両側部分に係止されることで、接続フラップ14,15の表面側に戻ることが防止される。これにより、接続フラップ14,15の外面側に第1内フラップ5,6が重ねられた状態で固定される。
【0040】
その後、下側の第1内フラップ6及び接続フラップ15の積層体と第1内フラップ6とを、90°内側に折り曲げてから、これらの内フラップ6,8の外面側に第1外フラップ10及び第2外フラップ12を折り重ねることで、図4に示すように、四角筒状部の下端を封止する底部を形成する。
【0041】
このとき、接続パネル13の上下方向の長さが4枚の側面パネル1〜4の上下方向の長さよりも小さいことで、第1内フラップ6及び接続フラップ15を折り曲げたときに、第2舌片21が第1舌片18に対して第1短辺側面パネル1側に位置ずれする。これにより、第2舌片21の両側縁が、接続フラップ15の1対の切り込み線16の先端部分(折り曲げ容易線17の両端部分)に食い込むことで、第1内フラップ6と接続フラップ15とがより堅固に接続される。
【0042】
また、この状態で、第1内フラップ6及び接続フラップ15は、長辺側面パネル2,4に挟み込まれて左右方向の移動が規制される。これにより、第1短辺側面パネル1と接続パネル13との積層状態がより確実に保持される。
【0043】
この箱体の内部に物品を収容したなら、上側の第1内フラップ5及び接続フラップ14の積層体と第1内フラップ7とを90°内側に折り曲げてから、これらの内フラップ5,7の外面側に第1外フラップ9及び第2外フラップ11を折り重ねることで、図5に示すように四角筒状部の上端を封止する蓋部を形成し、箱体を封函することができる。
【0044】
<利点>
以上のように、当該箱用シートは、第1短辺側面パネル1及びこの第1短辺側面パネルから延出する1対の第1内フラップ5,6の内面に接続パネル13及び1対の接続フラップ14,15を重ね合わせた状態で、第1舌片18及び第2舌片21を切り込み線16の間隔が先端縁に向かって減少する第1舌片18の側に折り曲げることによって、切り込み線19の間隔が先端縁に向かって増大する第2舌片21の両側部を接続フラップ14,15の第1舌片18の両側部分に係合させて第1内フラップ5,6と接続フラップ14,15とを容易かつ確実に固定することができる。
【0045】
これにより、当該箱用シートは、比較的容易に第1短辺側面パネル1と接続パネル13とを積層状態に固定して4つの側面パネル1〜4を四角筒状に接続できるので、比較的容易に箱状に組み立てることができる。また、このような接続フラップ14と第2舌片21との係合は、比較的容易に解消することができるため、当該箱用シートは、組み立て状体から比較的容易に展開して平板状に戻すことができる。
【0046】
また、当該箱用シートは、組み立て及び封函の際には、第1内フラップ5,6及び接続フラップ14,15の積層体が第1短辺側面パネル1及び接続パネル13の積層体に対して折り曲げられるので、第1短辺側面パネル1と接続パネル13との密着状態がより強固になる。このように、当該箱用シートの第1短辺側面パネル1と第2長辺側面パネル4とは、組み立て状体で、接続パネル13を介してその上下方向略全体に亘って切れ目なく堅固に接続されるので、当該箱用シートを組み立ててなる箱体は比較的強度が大きい。
【0047】
このように、接着剤等を用いることなく比較的容易に組み立て及び展開ができる当該箱用シートは、一度箱状に組み立ててから展開されたものを、表裏を逆にして箱状に組み立て直すことができる。これにより、箱体の外面に例えば収容した物品に関する情報等をメモする場合に、箱体のメモスペースを通常のA式段ボール箱の2倍に拡張することができる。また、箱体の外面をメモ代わりに使用した箱体を表裏を逆にして組み立て直し、輸送用の箱体として再利用することもできる。
【0048】
また、当該箱用シートは、フラップ5,9,7,11,14の先端縁及びフラップ6,10,8,12,15の先端縁がそれぞれ直線上に配置されるため、最も普及しているA式段ボール箱用シートの製造設備を用いて比較的容易かつ安価に製造することができる。
【0049】
[その他の実施形態]
上記実施形態は、本発明の構成を限定するものではない。従って、上記実施形態は、本明細書の記載及び技術常識に基づいて上記実施形態各部の構成要素の省略、置換又は追加が可能であり、それらは全て本発明の範囲に属するものと解釈されるべきである。
【0050】
当該箱用シートは、上記実施形態のように、第1舌片の1対の切り込み線の間隔が折り曲げ容易線から接続フラップの先端縁に向かって減少し、第2舌片の1対の切り込み線の間隔が折り曲げ容易線から内フラップの先端縁に向かって増大することが好ましいが、第2舌片の1対の切り込み線の間隔が折り曲げ容易線から内フラップの先端縁に向かって減少し、第1舌片の1対の切り込み線の間隔が折り曲げ容易線から接続フラップの先端縁に向かって増大してもよい。
【0051】
当該箱用シートにおいて、第1舌片及び第2舌片の1対の切り込みは、湾曲又は屈曲していてもよい。
【0052】
また、当該箱用シートにおいて、舌片の折り曲げ容易線は、例えばミシン目状の切り込み等であってもよい。
【0053】
当該箱用シートにおいて、接続フラップの左右方向の長さは、第1短辺側面パネルの左右方向の長さよりも明確に短くてもよい。また、接続フラップの形状は、第1舌片を有し、第2舌片を係止する部分を有するものであれば方形でなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の箱用シートは、一度組み立てた箱体を再び平板状に展開したい場合に特に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 第1短辺側面パネル
2 第1長辺側面パネル
3 第2短辺側面パネル
4 第2長辺側面パネル
5,6 第1内フラップ
7,8 第2内フラップ
9,10 第1外フラップ
11,12 第2外フラップ
13 接続パネル
14,15 接続フラップ
16,19 切り込み線
17,20 折り曲げ容易線
18 第1舌片
21 第2舌片
図1
図2
図3
図4
図5