特許第6676436号(P6676436)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6676436便器施工サポート材、便器の施工方法、及び便器施工サポートキット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6676436
(24)【登録日】2020年3月16日
(45)【発行日】2020年4月8日
(54)【発明の名称】便器施工サポート材、便器の施工方法、及び便器施工サポートキット
(51)【国際特許分類】
   E03D 11/02 20060101AFI20200330BHJP
【FI】
   E03D11/02 Z
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-68168(P2016-68168)
(22)【出願日】2016年3月30日
(65)【公開番号】特開2017-179858(P2017-179858A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2018年9月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】302045705
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】一柳 岳也
(72)【発明者】
【氏名】樋口 健
(72)【発明者】
【氏名】野田 高弘
【審査官】 下井 功介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−294841(JP,A)
【文献】 特開平08−041954(JP,A)
【文献】 特開2009−203618(JP,A)
【文献】 特開2014−234628(JP,A)
【文献】 特開2015−010316(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0060121(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 1/00〜13/00
E03C 1/12〜 1/33
B65D85/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
全周が陶器で形成された便器の施工をサポートする便器施工サポート材であって、
第1方向に延びると共に前記第1方向に交差する第2方向に離間して配置される一対の支持部と、
前記一対の支持部を前記第2方向につなぐ連結部と、
前記一対の支持部のそれぞれに設けられ前記一対の支持部の外側の側部から内側に窪む又は貫通すると共に前記一対の支持部の上面から下方に窪む凹部と、を有する便器施工サポート材。
【請求項2】
前記凹部は、前記便器施工サポート材における前記第1方向の中央よりも、前記便器を前記便器施工サポート材に配置した場合の前記便器の前後方向の後方側に配置される請求項1に記載の便器施工サポート材。
【請求項3】
前記連結部は、前記便器施工サポート材に前記便器を配置した場合に、前記便器の前方側に位置するように配置される請求項1又は2に記載の便器施工サポート材。
【請求項4】
前記便器は、底部における該便器の前後方向に直交する幅方向の両端部において下方に突出すると共に所定幅で前後方向に延びる一対の足部を有し、
前記足部における前後方向の中央部の幅は、前記足部における前後方向の端部側の部分の幅よりも大きく形成される請求項1から3のいずれかに記載の便器施工サポート材。
【請求項5】
全周が陶器で形成された便器の施工をサポートする便器施工サポート材を使用して便器を設置する便器の施工方法であって
前記便器施工サポート材は、第1方向に延びると共に前記第1方向に交差する第2方向に離間して配置される一対の支持部と、前記一対の支持部を前記第2方向につなぐ連結部と、前記一対の支持部のそれぞれに設けられ前記一対の支持部の外側の側部から内側に窪む又は貫通すると共に前記一対の支持部の上面から下方に窪む凹部と、を有し、
前記便器を持ち上げて前記便器施工サポート材を前記便器の下方に設置し、前記便器を前記凹部の上部に位置するように配置し、前記便器施工サポート材の側部の外側から前記凹部に手を挿入して前記便器の底部に手を掛けて、前記便器を手で持ち上げて前記便器を設置場所に設置する、便器の施工方法。
【請求項6】
全周が陶器で形成される便器であって底部における該便器の前後方向に直交する幅方向の両端部において下方に突出すると共に所定幅で前後方向に延びる一対の足部を有する便器と、
第1方向に延びると共に前記第1方向に交差する第2方向に離間して配置される一対の支持部と、前記一対の支持部を前記第2方向につなぐ連結部と、前記一対の支持部のそれぞれに設けられ前記一対の支持部の外側の側部から内側に窪む又は貫通すると共に前記一対の支持部の上面から下方に窪む凹部と、を有する便器施工サポート材と、を備える便器施工サポートキットであって、
前記便器及び前記便器施工サポート材は、同梱されており、
前記足部における前後方向の中央部の幅は、前記足部における前後方向の端部側の部分の幅よりも大きく形成される便器施工サポートキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便器施工サポート材、便器、及び便器施工サポートキットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、便器の施工をサポートする便器施工サポート材として、便器の側面の窪みに引っ掛けた状態で取り付けられて使用されるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の技術では、便器に便器施工サポート材を取り付けた状態で、便器を設置場所に移動させて、便器を設置場所に施工することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−10316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の便器施工サポート材は、便器の側面の窪みに引っ掛けて取り付けるため、便器の外観形状によっては、取り付けられない可能性がある。
そのため、便器の外観形状に関係なく、便器を容易に施工できる便器施工サポート材が望まれる。
【0005】
本発明は、便器の外観形状に関係なく、便器を容易に施工できる便器施工サポート材、便器、及び便器施工サポートキットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、全周が陶器で形成された便器(例えば、後述の便器2)の施工をサポートする便器施工サポート材(例えば、後述の便器施工サポート材10)であって、第1方向(例えば、後述の第1方向D1)に延びると共に前記第1方向に交差する第2方向(例えば、後述の第2方向D2)に離間して配置される一対の支持部(例えば、後述の支持部20)と、前記一対の支持部を前記第2方向につなぐ連結部(例えば、後述の連結部30)と、前記一対の支持部のそれぞれに設けられ前記一対の支持部の外側の側部から内側に窪む又は貫通すると共に前記一対の支持部の上面から下方に窪む凹部(例えば、後述の側部凹部231)と、を有する便器施工サポート材に関する。
【0007】
また、前記凹部は、前記便器施工サポート材における前記第1方向の中央よりも、前記便器を前記便器施工サポート材に配置した場合の前記便器の前後方向(例えば、後述の前後方向Y)の後方側(例えば、後述の後方側Y2)に配置されることが好ましい。
【0008】
また、前記連結部は、前記便器施工サポート材に前記便器を配置した場合に、前記便器の前方側(例えば、後述の前方側Y1)に位置するように配置されることが好ましい。
【0009】
また、前記便器は、底部における該便器の前後方向に直交する幅方向(例えば、後述の左右方向X)の両端部において下方に突出すると共に所定幅で前後方向に延びる一対の足部(例えば、後述の前後延在足部51)を有し、前記足部における前後方向の中央部(例えば、後述の中央足部分511)の幅は、前記足部における前後方向の端部側の部分(例えば、後述の後端部分512又は前端部分513)の幅よりも大きく形成されることが好ましい。
【0010】
また、本発明は、便器施工サポート材を用いて施工され全周が陶器で形成された便器(例えば、後述の便器2)であって、前記便器施工サポート材は、第1方向に延びると共に前記第1方向に交差する第2方向に離間して配置される一対の支持部と、前記一対の支持部を前記第2方向につなぐ連結部と、前記一対の支持部のそれぞれに設けられ前記一対の支持部の外側の側部から内側に窪む又は貫通すると共に前記一対の支持部の上面から下方に窪む凹部と、を有し、前記便器は、底部における該便器の前後方向に直交する幅方向の両端部において下方に突出すると共に所定幅で前後方向に延びる一対の足部を有し、前記足部における前後方向の中央部の幅は、前記足部における前後方向の端部側の部分の幅よりも大きく形成される便器に関する。
【0011】
また、本発明は、全周が陶器で形成される便器であって底部における該便器の前後方向に直交する幅方向の両端部において下方に突出すると共に所定幅で前後方向に延びる一対の足部を有する便器と、第1方向に延びると共に前記第1方向に交差する第2方向に離間して配置される一対の支持部と、前記一対の支持部を前記第2方向につなぐ連結部と、前記一対の支持部のそれぞれに設けられ前記一対の支持部の外側の側部から内側に窪む又は貫通すると共に前記一対の支持部の上面から下方に窪む凹部と、を有する便器施工サポート材と、を備える便器施工サポートキットであって、前記便器及び前記便器施工サポート材は、同梱されており、前記足部における前後方向の中央部の幅は、前記足部における前後方向の端部側の部分の幅よりも大きく形成される便器施工サポートキットに関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、便器の外観形状に関係なく、便器を容易に施工できる便器施工サポート材、便器、及び便器施工サポートキットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る便器2を含む便器装置1及び便器施工サポート材10を備える便器施工サポートキット100を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る便器2を底部側から視た図である。
図3】便器施工サポート材10を使用して便器装置1を施工する施工方法を説明する図であって、便器装置1を便器施工サポート材10の上部に配置する手順を説明する図である。
図4】便器施工サポート材10を使用して便器装置1を施工する施工方法を説明する図であって、便器装置1を便器施工サポート材10の上部に配置した状態で設置場所に移動する手順を説明する図である。
図5】便器施工サポート材10を使用して便器装置1を施工する施工方法を説明する図であって、便器施工サポート材10の側部凹部231に手を入れて、便器2の底部に手を掛けた状態を説明する図である。
図6】便器施工サポート材10を使用して便器装置1を施工する施工方法を説明する図であって、便器装置1が設置場所に設置された図である。
図7】トイレ室70において、水平延在管751を有する排水ソケット75を、トイレ室側排水管72に取り付けた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の便器装置1及び便器施工サポート材10を含む便器施工サポートキット100の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明においては、便器装置1の便座(図示せず)に座った人から視た場合の前後の向きを前後方向Yとする。本実施形態においては、前方側を前方側Y1とし、後方側を後方側Y2とする。また、便器装置1の便座(図示せず)に座った人から視た場合の左右の向きを左右方向Xとする。
【0015】
また、便器施工サポート材10の一対の支持部20,20が延びる方向を第1方向D1とし、第1方向D1における連結部30が配置される側を連結側D11、第1方向D1における連結側D11と反対側を非連結側D12とする。また、便器施工サポート材10の第1方向D1に直交(交差)する方向であって一対の支持部20,20が離間する方向を第2方向D2とする。
便器装置1及び便器施工サポート材10において、鉛直方向に沿った上下の向きを上下方向Zとする。
【0016】
便器装置1が便器施工サポート材10の上部に配置された状態においては、便器装置1の前後方向Y、前方側Y1、後方側Y2、左右方向Xは、それぞれ、便器施工サポート材10の第1方向D1、連結側D11、非連結側D12、第2方向D2と一致する。
【0017】
(便器施工サポートキット100)
本実施形態の便器施工サポートキット100は、図1に示すように、便器2を含む便器装置1、便器施工サポート材10、及び、図示は省略するが、その他の梱包材や施工説明書等が、同梱されている。便器施工サポートキット100は、便器装置1、便器施工サポート材10、及び、その他の梱包材や施工説明書等が同梱された状態で、出荷されて、施工される現場に搬送される。
【0018】
(便器装置1)
便器装置1は、図1及び図2に示すように、便器2と、便座(図示せず)と、便蓋3と、機能部4と、を備える。便座(図示せず)及び便蓋3は、便器2の上方において、便器2に対して回動可能に取り付けられる。また、便器装置1は、図2に示すように、洗浄水を外部に排出する便器側排水管6を備える。便器側排水管6は、図2及び図3に示すように、便器装置1の前後方向Yの中央よりも後方側Y2において、便器装置1の下方に開口する管状に形成される。
【0019】
便器2は、全周が衛生陶器で形成され、周方向において衛生陶器で囲われる。便器2は、図2に示すように、底部において、便器2の足部を構成する周壁足部50を有する。周壁足部50は、便器2の周壁の下部において、所定幅で、便器2の周方向に沿って全周に亘って形成される。周壁足部50は、一対の前後延在足部(足部)51,51と、前方足部52と、後方足部53と、を有する。
【0020】
一対の前後延在足部51,51は、底部における便器2の前後方向Yに直交する左右方向X(幅方向)の両端部に配置される。一対の前後延在足部51,51は、それぞれ、下方に突出すると共に所定幅で前後方向Yに延びる。
【0021】
前後延在足部51における前後方向Yの中央部の中央足部分511の幅H1は、図2に示すように、前後延在足部51における前後方向Yの後方側Y2の端部側の後端部分512の幅H2よりも大きく形成され、又は、前後延在足部51における前後方向Yの前方側Y1の端部側の前端部分513の幅H3よりも大きく形成される。前後延在足部51における中央足部分511の幅H1の大きさは、手を掛けても手が痛くならない程度の大きさであることが好ましい。
【0022】
前方足部52は、便器2の前後方向Yの前方側Y1の端部に配置され、一対の前後延在足部51,51の前方側Y1の端部同士をつなぐ。前方足部52は、所定幅で形成され、前方側Y1に凸となるように略U字状に湾曲して延びる。
【0023】
後方足部53は、便器2の前後方向Yの後方側Y2の端部に配置され、一対の前後延在足部51,51を後方側Y2の端部同士をつなぐ。後方足部53は、所定幅で形成され、左右方向Xに延びる。
【0024】
機能部4は、図1に示すように、便器2の後部の上部に配置される。機能部4は、機能部材(図示せず)と、機能部材を覆うカバー部材41と、を有する。機能部材としては、例えば、図示を省略するが、ホースや、洗浄ノズルや、電源ユニットや、制御回路基板や、便座(図示せず)及び便蓋3を電動で開閉させる電動開閉ユニットや、バルブユニットや、各種配管等が挙げられる。
【0025】
(便器施工サポート材10)
便器施工サポート材10は、例えば、板材を組み合わせることや、段ボールを組み合わせることや、樹脂や木材や金属などで形成される。便器施工サポート材10は、図1に示すように、一対の支持部20,20と、連結部30と、を備える。
【0026】
一対の支持部20,20は、第1方向D1に延びると共に、第1方向D1に直交(交差)する第2方向D2に離間して配置される。一対の支持部20,20は、便器施工サポート材10における第2方向D2の中央を挟んで対称になるように、同一の形状に形成される。一対の支持部20,20は、便器2が一対の支持部20,20の両方に跨って載置される距離だけ離間して配置される。
【0027】
支持部20は、第1載置台部21と、第2載置台部22と、載置台接続部23と、を有する。第1載置台部21、載置台接続部23及び第2載置台部22は、第1方向D1における連結側D11から非連結側D12に向けてこの順に並んで配置される。
【0028】
第1載置台部21は、第1方向D1の連結側D11に配置され、直方体形状に形成される。
第2載置台部22は、載置台接続部23を介して、第1載置台部21に接続される。第2載置台部22は、第1方向D1の非連結側D12に配置され、直方体形状に形成される。第2載置台部22は、第1載置台部21と上下方向Zの高さが同じで、第1載置台部21よりも第2方向D2の長さが短く、第1載置台部21よりも第1方向D1の長さが短く形成される。
【0029】
載置台接続部23は、第1方向D1及び第2方向D2に平行で水平に延びる板状に形成され、第1載置台部21と第2載置台部22とを第1方向D1につなぐ。載置台接続部23は、第1載置台部21及び第2載置台部22よりも高さが低い板状に形成される。載置台接続部23は、第1載置台部21と第2載置台部22とを下部において接続する。
【0030】
このように構成される第1載置台部21、載置台接続部23及び第2載置台部22は、底面が同一平面上に配置されるように接続され、第2方向D2の外側の端部の側面が同一平面上に配置されるように接続される。
【0031】
第1載置台部21の非連結側D12の側面、第2載置台部22の連結側D11の側面及び載置台接続部23の上面で区画された空間は、凹部としての側部凹部231を構成する。側部凹部231は、支持部20に設けられ、支持部20の外側の側部から内側に貫通すると共に、支持部20の上面から下方に窪む。
【0032】
側部凹部231は、便器施工サポート材10の上部に便器装置1を配置した場合に、便器2の底部と載置台接続部23の上面との間の部分である(図4参照)。側部凹部231は、便器施工サポート材10の上部に便器装置1を配置した場合に、便器2の底部の下方に、便器2の左右方向Xの両側において、一対の支持部20,20の外側の側方から手を挿入できる空間で構成される。側部凹部231は、第1方向D1において、便器施工サポート材10における第1方向D1の中央よりも、便器2を便器施工サポート材10に配置した場合の便器2の前後方向Yの後方側Y2(便器施工サポート材10の第1方向D1の非連結側D12)に配置される。これにより、便器施工サポート材10の上部に便器装置1を配置した場合に、便器2の前後方向Yの中央Cが側部凹部231の上方に位置するように配置される(図4参照)。
【0033】
連結部30は、図1に示すように、第1方向D1の連結側D11において、一対の支持部20,20における第1載置台部21,21同士を第2方向D2につなぐ。連結部30は、第1方向D1及び第2方向D2に平行で水平に延びる板状に形成され、第1載置台部21よりも高さが低い板状に形成される。連結部30は、一対の第1載置台部21,21同士を下部において接続する。
【0034】
一対の第1載置台部21,21の内側の側面及び連結部30の上面で区画された空間は、連結部凹部31を構成する。連結部凹部31は、便器施工サポート材10の第1方向D1の連結側D11側の端部において、便器施工サポート材10における第2方向D2の中央に形成され、一対の第1載置台部21,21の上面の位置から下方に窪んで形成される。
【0035】
便器施工サポート材10における第1方向D1の非連結側D12において、一対の支持部20,20の間には、底部開放部210が形成される。底部開放部210は、一対の支持部20,20の間における便器施工サポート材10の非連結側D12において、便器施工サポート材10を上下方向Zに貫通して形成されると共に、便器施工サポート材10の非連結側D12が開放して形成される。
【0036】
(便器施工サポート材10を使用した便器装置1の施工方法)
次に、便器施工サポート材10を使用して、便器2を含む便器装置1をトイレ室70の設置位置に設置する施工方法について説明する。
本実施形態の便器装置1は、便器2と機能部4とが、工場で組み付けられて一体的に構成される。そのため、便器装置1において、機能部4が便器2の上部に配置されており、便器2の上部が機能部4に覆われているため、便器2の上部側に手を掛け難くなり、便器2に手を掛ける部分が少なくなる。これにより、便器2を持ち上げることが難くなり、便器装置1を設置する現場において、便器装置1を設置位置に設置することが難しくなる。
【0037】
ここで、便器装置1をトイレ室70の設置位置に設置する場合に、本発明の便器施工サポート材10を使用することができる。トイレ室70の設置位置の床71には、図4に示すように、トイレ室側排水管72が設けられており、トイレ室側排水管72には、排水ソケット74が取り付けられている。排水ソケット74は、トイレ室側排水管72から上方に湾曲して延びる管状に形成され、上方に向けて開口している。排水ソケット74は、便器装置1を設置位置に設置する場合に、便器装置1の便器側排水管6(図2参照)に接続される。
【0038】
まず、図3に示すように、作業者は、便器2を含む便器装置1及び便器施工サポート材10が同梱された便器施工サポートキット100を開梱する。便器装置1の出荷時において、便器2の上部には、機能部4が取り付けられている。
【0039】
そして、作業者は、図3に示すように、便器装置1をトイレ室70の床71に載置し、便器2の前方側Y1の下部に手を掛けて便器2を持ち上げて、便器2の下方の前方側Y1から、便器施工サポート材10を挿入する。便器2の下方には、便器施工サポート材10の非連結側D12から便器施工サポート材10を挿入する。これにより、便器施工サポート材10の上部には、一対の支持部20,20の第2載置台部22,22側から、便器装置1が載せられる。そして、作業者は、便器施工サポート材10の上部において、便器2を、便器2の前後方向Yの中央Cが便器施工サポート材10の側部凹部231の上部に位置するまで、第1方向D1にスライド移動させる。
【0040】
便器2を第1方向D1に移動させることで、図4に示すように、便器2の前後方向Yの中央Cが側部凹部231の上部に位置するように配置される。この状態においては、便器施工サポート材10には、便器2の左右方向Xの両端部において一対の支持部20,20により支持されると共に、便器2の前後方向Yにおいて一対の支持部20,20における第1載置台部21の上面及び第2載置台部22の上面に跨って載置されて支持される。
【0041】
次に、図4及び図5に示すように、作業者は、便器施工サポート材10の上部に便器装置1が配置された状態で、便器施工サポート材10及び便器装置1を一体として、トイレ室70の壁73側の設置位置においてトイレ室側排水管72に取り付けられた排水ソケット74の手前まで移動させる。
【0042】
次に、図5に示すように、作業者は、便器施工サポート材10の上部に便器装置1の便器2を配置した状態で、便器2の左右方向Xの両側において、それぞれ、便器施工サポート材10の側部の外側から側部凹部231に手を挿入して、便器2の底部を構成する周壁足部50の一対の前後延在足部51,51の中央足部分511に手を掛ける。そして、作業者は、便器2を手で持ち上げて、便器装置1の便器側排水管6を、トイレ室側排水管72に取り付けられた排水ソケット74に嵌めて取り付ける。同時に、作業者は、便器施工サポート材10を便器装置1の下方から、便器施工サポート材10を第1方向D1の連結側D11に移動させることで、便器2の下方から、便器施工サポート材10を取り外す。これにより、図6に示すように、便器装置1(便器2)をトイレ室70の設置場所に設置できる。
【0043】
ここで、便器2の底部を構成する周壁足部50の一対の前後延在足部51,51における前後方向Yの中央部の中央足部分511の幅H1は、前後延在足部51における前後方向Yの端部側の後端部分512,前端部分513の幅H2,H3よりも大きく形成される(図2参照)。そのため、作業者が便器2を持ち上げる際に、幅H1が広い中央足部分511に手を掛けて持ち上げることができるため、手を掛けやすく、手を痛めることを低減できる。
また、便器施工サポート材10に便器2を上部に配置した場合に、便器2の前後方向Yの中央Cに、側部凹部231が配置される。これにより、便器2の前後方向Yの中央Cの位置で、便器2の底部に手を掛けて、安定したバランスのよい状態で、便器2を容易に持ち上げることができる。
【0044】
また、本実施形態においては、トイレ室70における便器装置1の設置位置は、便器2の後部がトイレ室70の壁73側に位置し、便器装置1の後部とトイレ室70の壁73との間の隙間が小さい(図6参照)。このように、便器装置1とトイレ室70の壁73との間の隙間が小さい場合においても、便器装置1を載せた便器施工サポート材10をトイレ室70の壁73側に移動させればよいため、便器装置1をトイレ室70の壁73の近くに容易に設置できる。
以上のようにして、便器施工サポート材10を使用して、便器2を含む便器装置1をトイレ室70の設置位置に設置できる。
【0045】
以上説明した本実施形態の便器施工サポート材10によれば、以下のような効果を奏する。
本実施形態の便器施工サポート材10は、全周が陶器で形成された便器2の施工をサポートする便器施工サポート材10であって、第1方向D1に延びると共に第1方向D1に交差する第2方向D2に離間して配置される一対の支持部20,20と、一対の支持部20,20を第2方向D2につなぐ連結部30と、一対の支持部20,20のそれぞれに設けられ一対の支持部20,20の外側の側部から内側に貫通すると共に一対の支持部20,20の上面から下方に窪む側部凹部231と、を有する。
そのため、便器施工サポート材10の上部に便器2を配置した状態で、便器施工サポート材10の側部の外側から側部凹部231に手を挿入して、便器2の底部に手を掛けることで、便器2を容易に持ち上げることができる。これにより、便器2の外観形状に関係なく、便器施工サポート材10を用いて、便器2を設置場所に容易に設置できる。
【0046】
また、本実施形態の便器施工サポート材10においては、側部凹部231は、便器施工サポート材10における第1方向D1の中央よりも、便器2を便器施工サポート材10に配置した場合の便器2の前後方向Yの後方側Y2に配置される。そのため、便器施工サポート材10に便器2を上部に配置した場合に、便器2の前後方向Yの中央Cに、側部凹部231が配置される。これにより、便器2の前後方向Yの中央Cの位置で、便器2の底部に手を掛けて、安定したバランスのよい状態で、便器2を容易に持ち上げることができる。
【0047】
また、本実施形態の便器施工サポート材10においては、連結部30は、便器施工サポート材10に便器2を配置した場合に、便器2の前方側Y1に位置するように配置される。そのため、便器施工サポート材10の第1方向D1の非連結側D12が底部開放部210により開放されているため、便器施工サポート材10を便器2の下部から取り外す際に、便器施工サポート材10を、連結部30が配置される第1方向D1の連結側D11(便器2の前後方向の前方側Y1)に移動させることができる。これにより、便器施工サポート材10を便器2の下部から容易に取り外すことができる。
【0048】
また、便器2は、底部における便器2の左右方向Xの両端部において下方に突出すると共に所定幅で前後方向に延びる一対の前後延在足部51,51を有し、前後延在足部51における前後方向Yの中央部の中央足部分511の幅は、前後延在足部51における前後方向Yの端部側の後端部分512,前端部分513の幅よりも大きく形成される。そのため、作業者が便器2を持ち上げる際に、幅H1が広い中央足部分511に手を掛けて持ち上げることができるため、手を掛けやすく、手を痛めることを低減できる。
【0049】
また、便器施工サポート材10においては、第1方向D1の非連結側D12において、一対の支持部20,20の間に、底部開放部210が形成される。
ここで、例えば、図7に示すような水平延在管751を有する排水ソケット75を用いて、便器装置1の便器側排水管6とトイレ室側排水管72とを接続することがある。図7に示すように、排水ソケット75の水平延在管751は、排水ソケット75の途中において、床71に対して水平に延びる管状に形成され、トイレ室側排水管72から便器装置1の後方側に向けて延びる。トイレ室側排水管72の位置に応じて水平延在管751の長さを調整する(例えば、切断する)ことで、便器装置1を排水ソケット75に接続した場合において、トイレ室70の壁73から便器装置1の後部までの距離を調整できる。
【0050】
このような排水ソケット75がトイレ室側排水管72に取り付けられる場合において、便器施工サポート材10を使用して便器装置1を施工する場合には、便器施工サポート材10の底部開放部210に、排水ソケット75の水平延在管751の一部を配置することができる。これにより、便器施工サポート材10の上部に便器装置1を配置した状態で、便器施工サポート材10を第1方向D1の設置位置に移動させると、底部開放部210には、便器装置1の後方側Y2の下方において、トイレ室70のトイレ室側排水管72に取り付けられた排水ソケット74の水平延在管751の一部が入り込む。従って、便器施工サポート材10を用いることで、底部開放部210により、排水ソケット75の水平延在管751の一部を避けて、便器2を含む便器装置1をトイレ室70の設置位置に容易に設置できる。
【0051】
以上、本発明の便器装置1の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、前記実施形態においては、側部凹部231を、支持部20の外側の側部から内側に貫通するように構成したが、これに限定されない。側部凹部231を、支持部20の外側の側部から内側に窪むように構成してもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 便器装置
2 便器
10 便器施工サポート材
20 支持部
30 連結部
51 前後延在足部(足部)
100 便器施工サポートキット
231 側部凹部(凹部)
511 中央足部分(中央部)
512 後端部分(端部側の部分)
513 前端部分(端部側の部分)
C 中央
D1 第1方向
D2 第2方向
X 左右方向(幅方向)
Y 前後方向
Y1 前方側
Y2 後方側
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7