特許第6676478号(P6676478)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6676478
(24)【登録日】2020年3月16日
(45)【発行日】2020年4月8日
(54)【発明の名称】ワイヤレス給電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/40 20160101AFI20200330BHJP
   H02J 50/50 20160101ALI20200330BHJP
   H02J 50/12 20160101ALI20200330BHJP
   H02J 50/80 20160101ALI20200330BHJP
【FI】
   H02J50/40
   H02J50/50
   H02J50/12
   H02J50/80
【請求項の数】2
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-116654(P2016-116654)
(22)【出願日】2016年6月10日
(65)【公開番号】特開2017-221090(P2017-221090A)
(43)【公開日】2017年12月14日
【審査請求日】2019年2月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】302045705
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】松田 宏
(72)【発明者】
【氏名】太田 尚久
【審査官】 赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/116441(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/001959(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/00−50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一の送電コイルと、
前記送電コイルと時分割で磁界共鳴することで電力を受電する複数の受電コイルと、
前記送電コイルにおける出力信号の発振周波数がそれぞれ異なる複数の発振回路と、
前記複数の発振回路からの出力信号を時分割で前記送電コイルに出力することで前記送電コイルを異なる周波数で時分割で励磁する調整部と、
前記送電コイルから磁界共鳴により送電された前記電力を前記受電コイルに中継する中継装置と、
を備え、
前記送電コイルは、前記複数の受電コイルに対してそれぞれ異なる周波数で磁界共鳴し、
前記中継装置は、
共振コイルと、
前記共振コイルに直列接続可能に設けられ、静電容量が互いに異なる複数の共振コンデンサと、
前記送電コイルに直列接続される前記共振コンデンサを、前記出力信号が時分割で出力されるタイミングで切り替える切替部と、
を備えるワイヤレス給電システム。
【請求項2】
一の送電コイルと、
前記送電コイルと時分割で磁界共鳴することで電力を受電する複数の受電コイルと、
前記送電コイルにおける出力信号の発振周波数がそれぞれ異なる複数の発振回路と、
前記複数の発振回路からの出力信号を時分割で前記送電コイルに出力することで前記送電コイルを異なる周波数で時分割で励磁する調整部と、
前記送電コイルから磁界共鳴により送電された前記電力を前記受電コイルに中継する中継装置と、
を備え、
前記送電コイルは、前記複数の受電コイルに対してそれぞれ異なる周波数で磁界共鳴し、
前記中継装置は、
インダクタンスが異なる複数の共振コイルと、
前記複数の共振コイルのそれぞれに直列接続可能に設けられた共振コンデンサと、
前記共振コンデンサに直列接続される前記共振コイルを、前記出力信号が時分割で出力されるタイミングで切り替える切替部と、
を備えるワイヤレス給電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤレス給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、送電装置から受電装置へワイヤレスで電力を伝送するワイヤレス電力給電システムが普及し始めている。
例えば、特許文献1には、受電コイルに接続された調光ガラスを備えた複数の引き戸(受電装置)と、送電コイルを備えた建具(送電装置)とを備えるワイヤレス給電システムが提案されている。このワイヤレス給電システムは、1つの送電コイルから複数の受電コイルに磁界共鳴方式で電力を給電することで、各引き戸の調光ガラスに電力を供給するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−204550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のワイヤレス給電システムでは、1つの送電コイルから複数の受電コイルに磁界共鳴方式で電力をワイヤレスで給電すると、各受電コイルが相互に干渉し合うため、送電コイルから各受電コイルへの給電が不安定になり、給電効率が低下する場合がある。なお、このような問題は調光ガラスを備えた複数の引き戸に限られた問題ではなく、当然ながら1つの送電コイルから複数の受電コイルに対して給電する場合に共通する問題である。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、1つの送電コイルから複数の受電コイルに対して給電する場合に、各受電コイルが相互に干渉することなく、送電コイルから各受電コイルに給電することができるワイヤレス給電システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、一の送電コイルと、前記送電コイルと時分割で磁界共鳴することで電力を受電する複数の受電コイルと、前記送電コイルにおける出力信号の発振周波数がそれぞれ異なる複数の発振回路と、前記複数の発振回路からの出力信号を時分割で前記送電コイルに出力することで前記送電コイルを異なる周波数で時分割で励磁する調整部と、前記送電コイルから磁界共鳴により送電された前記電力を前記受電コイルに中継する中継装置と、を備え、前記送電コイルは、前記複数の受電コイルに対してそれぞれ異なる周波数で磁界共鳴し、前記中継装置は、共振コイルと、前記共振コイルに直列接続可能に設けられ、静電容量が互いに異なる複数の共振コンデンサと、前記送電コイルに直列接続される前記共振コンデンサを、前記出力信号が時分割で出力されるタイミングで切り替える切替部と、を備えるワイヤレス給電システムである。
【0012】
また、本発明の一態様は、上述のワイヤレス給電システムであって、一の送電コイルと、前記送電コイルと時分割で磁界共鳴することで電力を受電する複数の受電コイルと、前記送電コイルにおける出力信号の発振周波数がそれぞれ異なる複数の発振回路と、前記複数の発振回路からの出力信号を時分割で前記送電コイルに出力することで前記送電コイルを異なる周波数で時分割で励磁する調整部と、前記送電コイルから磁界共鳴により送電された前記電力を前記受電コイルに中継する中継装置と、を備え、前記送電コイルは、前記複数の受電コイルに対してそれぞれ異なる周波数で磁界共鳴し、前記中継装置は、インダクタンスが異なる複数の共振コイルと、前記複数の共振コイルのそれぞれに直列接続可能に設けられた共振コンデンサと、前記共振コンデンサに直列接続される前記共振コイルを、前記出力信号が時分割で出力されるタイミングで切り替える切替部と、を備える。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明によれば、1つの送電コイルから複数の受電コイルに対して給電する場合に、各受電コイルが相互に干渉することなく、送電コイルから各受電コイルに給電することができるワイヤレス給電システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1の施形態におけるワイヤレス給電システム1の概略構成の一例を示す図である。
図2】第1の実施形態における制御装置32の構成概略の一例を示す図である。
図3】第1の実施形態におけるワイヤレス給電システム1の動作を示すシーケンス図である。
図4】第1の実施形態における受電装置2の変形例の給電方法を示す図である。
図5】第1の実施形態における受電装置2の変形例を示す図である。
図6】第2の実施形態におけるワイヤレス給電システム1Aの概略構成の一例を示す図である。
図7】第2の実施形態における制御装置32Aの構成概略の一例を示す図である。
図8】第2の実施形態におけるワイヤレス給電システム1Aの動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。なお、図面において、同一又は類似の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省く場合がある。
【0016】
実施形態におけるワイヤレス給電システムは、一の送電コイルと、複数の受電コイルと、を備える。そして、ワイヤレス給電システムは、送電コイルと複数の受電コイルとは、それぞれ時分割で磁界共鳴することで、複数の受電コイルのそれぞれに電力が給電される。例えば、ワイヤレス給電システムは、システムキッチン等の什器に適用される。
以下に、実施形態におけるワイヤレス給電システムが、システムキッチンの引出しに適用される例について説明するが、これに限定されない。
【0017】
以下、実施形態のワイヤレス給電システムを、図面を用いて説明する。
【0018】
(第1の実施形態)
図1は、第1の施形態におけるワイヤレス給電システム1の概略構成の一例を示す図である。図1に示すように、例えば、ワイヤレス給電システム1は、引出し10、引出し11を備えたシステムキッチンに適用される。例えば、ワイヤレス給電システム1は、引出し10,11に設けられた表示装置や点灯装置等の負荷に、ワイヤレスで給電する。
【0019】
図1に示すように、ワイヤレス給電システム1は、複数の受電装置2(受電装置2−1,2−2)及び送電装置3を備える。
受電装置2は、送電装置3と磁界共鳴することで、送電装置3からワイヤレスで電力が給電される。なお、本実施形態では、受電装置2が一の受電コイルを備える場合について説明する。
【0020】
受電装置2−1は、引出し11に設けられている。受電装置2−1は、受電コイル21−1を備える。また、受電装置2−2は、引出し11の上部にある引出し12に設けられている。受電装置2−2は、受電コイル21−2を備える。なお、本実施形態では、受電装置2が2つの場合について説明するが、これに限定されない。例えば、受電装置2は、2つ以上であってもよい。
【0021】
受電コイル21−1は、インダクタンスLと、浮遊容量としての静電容量Cとから形成される共振回路35を持つ。なお、容量Cは浮遊容量に限らず、物理的なコンデンサが接続されてもよい。したがって、受電コイル21−1は、インダクタンスLと静電容量Cとにより定まる共振周波数fを持つ。共振周波数fは、受電コイル21−1の固有の値である。
【0022】
受電コイル21−2は、インダクタンスLと、浮遊容量としての静電容量Cとから形成される共振回路36を持つ。なお、静電容量Cは浮遊容量に限らず、物理的なコンデンサが接続されてもよい。したがって、受電コイル21−2は、インダクタンスLと静電容量Cとにより定まる共振周波数fを持つ。共振周波数fは、受電コイル21−2の固有の値である。そして、共振周波数fは、共振周波数fと異なる。
【0023】
送電装置3は、一つの送電コイル30及び制御装置32を備える。
送電コイル30は、インダクタンスLと、浮遊容量としての容量Cとから形成される。なお、容量Cは浮遊容量に限らず、物理的なコンデンサが接続されてもよい。
【0024】
送電コイル30と受電コイル21−1,21−2とは、それぞれ時分割で磁界共鳴することで、受電コイル21−1,21−2のそれぞれに電力が給電される。
例えば、送電コイル30は、引出し11の下部に設けられている。送電コイル30は、制御装置32から出力される出力信号に基づいて、受電コイル21−1,21−2に対してそれぞれ異なる周波数で磁界共鳴する。
【0025】
図2は、第1の実施形態における制御装置32の構成概略の一例を示す図である。
図2に示すように、制御装置32は、電源供給部321、複数の発振回路322(第1発振回路322−1、第2発振回路322−2)及び調整部324を備える。
【0026】
電源供給部321は、第1発振回路322−1及び第2発振回路322−2に電源を供給する。例えば、電源供給部321は、蓄電池でもよいし、商用電源でもよい。
【0027】
複数の発振回路322は、互いに出力する出力信号の発振周波数がそれぞれ異なる。本実施形態では、制御装置32が2つの発振回路322(第1発振回路322−1、第2発振回路322−2)を備える場合について説明するが、これに限定されない。すなわち、制御装置32は、受電コイル21と同一の数の発振回路322があればよい。
【0028】
第1発振回路322−1は、第1の発振周波数で発振させた第1の出力信号を調整部324に出力する。この第1の発振周波数は、受電コイル21−1が共鳴する周波数に対応する。第2発振回路322−2は、第2の発振周波数で発振させた第2の出力信号を調整部324に出力する。この第2の発振周波数は、受電コイル21−2が共鳴する周波数に対応する。第1の発振周波数と第2の発振周波数とは異なる周波数である。なお、第1の発振周波数と第2の発振周波数とは特に限定はなく、磁界共鳴方式により電力が伝送できる発振周波数であればよい。
【0029】
調整部324は、発振回路322から出力された出力信号の信号パワーを調整する。そして、調整部324は、信号パワーを調整した出力信号を、時分割で送電コイル30に出力することで送電コイル30を異なる周波数において時分割で励磁する。なお、発振回路322から出力された出力信号の信号パワーが十分大きければ、信号パワーを調整しなくてもよい。なお、この時分割の時間間隔をより短くすることができれば、異なる周波数において同時に送電コイル30を励磁しているように制御することができる。すなわち、各受電コイル21−1,21−2に対して、同時に給電しているように制御することができる。
【0030】
例えば、調整部324は、第1発振回路322−1からの第1の出力信号を送電コイル30に出力する。調整部324は、第1の出力信号を送電コイル30に一定時間出力すると、第1の出力信号の出力を停止する。そして、調整部324は、第2発振回路322−2からの第2の出力信号を送電コイル30に一定時間出力する。すなわち、調整部324は、送電コイル30に対する第1の出力信号の出力と第2の出力信号とを交互に繰り返す。これにより、送電コイル30は、第1の発振周波数において励磁されることで受電コイル21−1と共鳴し、受電コイル21−1に電力を給電する。そして、送電コイル30は、第2の発振周波数において励磁されることで受電コイル21−2と共鳴し、受電コイル21−2に電力を給電する。これにより、各受電コイル21−1,21−2は、相互に干渉することなく、送電コイル30から電力が給電される。なお、調整部324が送電コイル30に対して第1の出力信号を出力している時間間隔と、調整部324が送電コイル30に対して第2の出力信号を出力している時間間隔と、は同じでもよいし、異なってもよい。すなわち、この時間間隔は、各受電コイル21に接続される負荷の消費電力に応じて設定されてもよい。また、調整部324は、各受電コイル21に接続される負荷の消費電力に応じて出力信号の信号パワーを調整してもよい。すなわち、受電コイル21−1に接続される負荷の消費電力が高い場合には、調整部324は、第1の出力信号の信号パワーを高く調整してもよい。
【0031】
以下に、第1の実施形態におけるワイヤレス給電システム1の動作について、説明する。図3は、第1の実施形態におけるワイヤレス給電システム1の動作を示すシーケンス図である。
【0032】
第1発振回路322−1及び第2の発振回路332−2は、電源供給部321から電源が供給されることで駆動する(ステップS101)。第1発振回路322−1は、第1の発振周波数で発振させた第1の出力信号を調整部324に出力する。第2発振回路322−2は、第2の発振周波数で発振させた第2の出力信号を調整部324に出力する。
【0033】
調整部324は、第1の出力信号及び第2の出力信号の信号パワーを調整する(ステップS102)。調整部324は、信号パワーを調整した第1の出力信号を送電コイル30に出力する(ステップS103)。これにより、送電コイル30と受電コイル21−1とが共振周波数fで磁界共鳴する(ステップS104)。したがって、受電コイル21−1に第1の発振周波数の電力が供給される(ステップS105)。
【0034】
調整部324は、所定の時間が経過すると、第1の出力信号の出力を停止する。そして、調整部324は、信号パワーを調整した第2の出力信号を送電コイル30に出力する(ステップS106)。これにより、送電コイル30と受電コイル21−2とが共振周波数fで磁界共鳴する(ステップS107)。したがって、受電コイル21−1に第2の発振周波数の電力が供給される(ステップS108)。
【0035】
上述したように、第1の実施形態におけるワイヤレス給電システム1は、一の送電コイル30と複数の受電コイル21−1,21−2とを備える。そして、送電コイル30と複数の受電コイル21−1,21−2とは、それぞれ時分割で磁界共鳴することで、複数の受電コイル21−1,21−2のそれぞれに電力を給電する。例えば、第1の実施形態における送電コイル30は、複数の受電コイル21−1,21−2に対してそれぞれ異なる周波数で磁界共鳴する。これにより、受電コイル21−1,21−2が相互に干渉することなく、送電コイル30から受電コイル21−1,21−2に給電することができる。また、上述の実施形態では、受電コイル21−1と受電コイル21−2の給電電力比率を送電コイル30側、すなわち送電装置3で変更可能である。
【0036】
以下に、第1の実施形態におけるワイヤレス給電システム1の変形例について、説明する。本変形例は、図4に示すように、受電装置2−1が送電装置3から磁界共鳴により送電された電力を受電装置2−2に中継する中継装置としての機能を有することを特徴とする。
【0037】
図5は、本変形例における受電装置2−1の構成概略の一例を示す図である。
図5(a)には、本変形例における受電装置2−1の構成概略の第1の例を示す。図5(b)には、本変形例における受電装置2−1の構成概略の第2の例を示す。
【0038】
図5(a)に示す受電装置2−1は、共振コイル(受電コイル)21−1,26、共振コンデンサ24及び切替部25を備える。
共振コイル21−1,26は、互いにインダクタンスが異なる。
共振コンデンサ24は、共振コイル21−1,26にそれぞれ直列接続可能に設けられている。この共振コンデンサ24は静電容量Cである。
切替部25は、共振コンデンサ24に直列接続される共振コイルを、制御装置32における出力信号が時分割で送電コイル30に出力されるタイミングで切り替える。例えば、切替部25は、第1端子25a、第2端子25b及び第3端子25cを備える三路スイッチである。
【0039】
共振コイル21−1の一端が第1端子25aに接続されている。共振コイル26の一端が第2端子25bに接続されている。共振コンデンサ24の一端が第3端子25cに接続されている。そして、共振コンデンサ24の他端が共振コイル21−1の他端と共振コイル26の他端とに接続されている。したがって、第1端子25aと第3端子25cとが電気的に接続された場合には、共振コイル21−1と共振コンデンサ24とが直列接続される。この共振コイル21−1と共振コンデンサ24とから形成される共振回路の共振周波数は、共振周波数fになるように、その共振回路のインダクタンスと静電容量とが予め設定される。一方、第2端子25bと第3端子25cとが電気的に接続された場合には、共振コイル26と共振コンデンサ24とが直列接続される。この共振コイル26と共振コンデンサ24とから形成される共振回路の共振周波数は、共振周波数fになるように、その共振回路のインダクタンスと静電容量とが予め設定される。
【0040】
以下、図5(a)に示す受電装置2−1の動作について、説明する。
切替部25は、第1の出力信号が送電コイル30に出力されるタイミングで、第1端子25aと第3端子25cとが電気的に接続されるように切り替える。これにより、送電コイル30と共振コイル21−1とが共振周波数fで磁界共鳴する。したがって、第1の発振周波数の電力が共振コイル21−1に接続されている負荷に給電される。
【0041】
一方、切替部25は、第2の出力信号が送電コイル30に出力されるタイミングで、第2端子25bと第3端子25cとが電気的に接続されるように切り替える。これにより、送電コイル30と共振コイル26とが共振周波数fで磁界共鳴する。また、共振コイル26と受電コイル21−2とが共振周波数fで磁界共鳴する。したがって、第2の発振周波数の電力が共振コイル26を介して受電コイル21−2に給電される。すなわち、受電コイル21−2に接続されている負荷に第2の発振周波数の電力に給電される。これにより、送電装置3と受電装置2−2との距離が離れている場合でも、複数の受電コイルが相互に干渉することなく、受電装置2−2の受電コイル21−2に電力を給電することができる。
【0042】
次に、本変形例における受電装置2−1の構成概略の第2の例について、説明する。
【0043】
図5(b)に示す受電装置2−1は、共振コイル(受電コイル)21−1、共振コンデンサ24−1,24−2及び切替部25を備える。
共振コンデンサ24−1と共振コンデンサ24−2とは、互いに並列に接続されるとともに、共振コイル21−1に対して直列接続可能に設けられ、静電容量が互いに異なる。本実施形態では、共振コンデンサ24−1は静電容量Cである。
【0044】
共振コイル21−1の一端が共振コンデンサ24−1の一端と共振コンデンサ24−2の一端との接続されている。共振コンデンサ24−1の他端が第1端子25aに接続されている。共振コンデンサ24−2の他端が第2端子25bに接続されている。第3端子25cが共振コイル21−1の他端に接続されている。
【0045】
切替部25において第1端子25aと第3端子25cとが電気的に接続された場合には、共振コイル21−1と共振コンデンサ24−1とが直列接続される。この共振コイル21−1と共振コンデンサ24−1とから形成される共振回路の共振周波数は、共振周波数fになるように、その共振回路のインダクタンスと静電容量とが予め設定される。一方、第2端子25bと第3端子25cとが電気的に接続された場合には、共振コイル21−1と共振コンデンサ24−2とが直列接続される。この共振コイル21−1と共振コンデンサ24−2とから形成される共振回路の共振周波数は、共振周波数fになるように、その共振回路のインダクタンスと静電容量とが予め設定される。
【0046】
以下、図5(b)に示す受電装置2−1の動作について、説明する。
切替部25は、第1の出力信号が送電コイル30に出力されるタイミングで、第1端子25aと第3端子25cとが電気的に接続されるように切り替える。これにより、送電コイル30と共振コイル21−1とが共振周波数fで磁界共鳴する。したがって、第1の発振周波数の電力が共振コイル21−1に接続されている負荷に給電される。
【0047】
一方、切替部25は、第2の出力信号が送電コイル30に出力されるタイミングで、第2端子25bと第3端子25cとが電気的に接続されるように切り替える。これにより、送電コイル30と共振コイル21−1とが共振周波数fで磁界共鳴する。また、共振コイル21−1と受電コイル21−2とが共振周波数fで磁界共鳴する。したがって、第2の発振周波数の電力が共振コイル21−1を介して受電コイル21−2に給電される。すなわち、受電コイル21−2に接続されている負荷に第2の発振周波数の電力に給電される。このように、切替部25は、共振コイル21−1に直列接続される共振コンデンサを、制御装置32における出力信号が時分割で送電コイル30に出力されるタイミングで切り替える。これにより、送電装置3と受電装置2−2との距離が離れている場合でも、複数の受電コイルが相互に干渉することなく、受電装置2−2の受電コイル21−2に電力を給電することができる。
【0048】
(第2の実施形態)
図6は、第2の実施形態におけるワイヤレス給電システム1Aの概略構成の一例を示す図である。第2の実施形態におけるワイヤレス給電システム1Aは、送電コイルが時分割により選択された受電コイルと所定の周波数で磁界共鳴する。以下に、ワイヤレス給電システム1Aについて、具体的に説明する。
【0049】
図6に示すように、ワイヤレス給電システム1Aは、複数の受電装置2A(受電装置2A−1,2A−2)及び送電装置3Aを備える。
受電装置2Aは、送電装置3Aと磁界共鳴することで、送電装置3からワイヤレスで電力が給電される。なお、本実施形態では、受電装置2Aが一の受電コイルを備える場合について説明する。
【0050】
受電装置2A−1は、引出し11に設けられている。受電装置2A−1は、受電コイル27−1、切替部40及び子機無線部41を備える。
受電コイル27−1は、インダクタンスLと、浮遊容量としての静電容量Cとから形成される共振回路50を持つ。なお、容量Cは浮遊容量に限らず、物理的なコンデンサが接続されてもよい。したがって、受電コイル27−1は、インダクタンスLと静電容量Cとにより定まる共振周波数fを持つ。
【0051】
切替部40は、共振回路50を開回路又は閉回路に切り替える。例えば、切替部40は、子機無線部41からオン切替信号が出力された場合には、共振回路50を閉回路に切り替える。一方、切替部40は、子機無線部41からオフ切替信号が出力された場合には、共振回路50を開回路に切り替える。
【0052】
子機無線部41は、送電装置3Aと無線通信する。具体的には、子機無線部41は、切替部40をオン状態にするか又はオフ状態にするかを示す第1指示信号を送電装置3Aから無線で取得する。子機無線部41は、切替部40をオン状態にする第1指示信号を送電装置3Aから無線で取得した場合には、切替部40にオン切替信号を出力する。子機無線部41は、切替部40をオフ状態にする第1指示信号を送電装置3Aから無線で取得した場合には、切替部40にオフ切替信号を出力する。
【0053】
受電装置2A−2は、引出し12に設けられている。受電装置2A−2は、受電コイル27−2、切替部42及び子機無線部43を備える。
受電コイル27−2は、インダクタンスLと、浮遊容量としての静電容量Cとから形成される共振回路51を持つ。すなわち、受電コイル27−2と受電コイル27−1とは同一のインダクタンスと静電容量とを有する。したがって、受電コイル27−2は、インダクタンスLと静電容量Cとにより定まる共振周波数fを持つ。すなわち、受電コイル27−1と受電コイル27−2とは、同一の共振周波数fを持つ。
【0054】
切替部42は、共振回路51を開回路又は閉回路に切り替える。例えば、切替部42は、子機無線部43からオン切替信号が出力された場合には、共振回路51を閉回路に切り替える。一方、切替部42は、子機無線部43からオフ切替信号が出力された場合には、共振回路51を開回路に切り替える。
【0055】
子機無線部43は、送電装置3Aと無線通信する。具体的には、子機無線部43は、切替部42をオン状態にするか又はオフ状態にするかを示す第2指示信号を送電装置3Aから無線で取得する。子機無線部43は、切替部42をオン状態にする第2指示信号を送電装置3Aから無線で取得した場合には、切替部42にオン切替信号を出力する。子機無線部43は、切替部42をオフ状態にする第2指示信号を送電装置3Aから無線で取得した場合には、切替部42にオフ切替信号を出力する。
【0056】
送電装置3Aは、一つの送電コイル30及び制御装置32Aを備える。
図7は、第2の実施形態における制御装置32Aの構成概略の一例を示す図である。
図7に示すように、制御装置32Aは、電源供給部321、発振回路500、調整部324、制御部501及び親機無線部502を備える。
【0057】
電源供給部321は、発振回路500に電源を供給する。
発振回路500は、所定の発振周波数で発振させた出力信号を調整部324に出力する。この所定の発振周波数は、送電コイル30と、受電コイル27−1及び受電コイル27−2とが共鳴する周波数に対応する。すなわち、所定の発振周波数は、送電コイル30と、受電コイル27−1,27−2のそれぞれとが共振周波数fで共振する周波数である。
【0058】
調整部324は、発振回路500から出力された出力信号の信号パワーを調整する。そして、調整部324は、信号パワーを調整した出力信号を出力することで送電コイル30を所定の発振周波数で励磁する。なお、発振回路500から出力された出力信号の信号パワーが十分大きければ、信号パワーを調整しなくてもよい。
【0059】
制御部501は、切替部40をオン状態又はオフ状態にする第1指示信号を親機無線部502を介して子機無線部41に出力する。また、制御部501は、切替部42をオン状態又はオフ状態にする第2指示信号を、親機無線部502を介して子機無線部43に出力する。すなわち、制御部501は、第1指示信号と第2指示信号とを出力する。ただし、第1指示信号と第2指示信号とは、切替部40がオン状態である場合には、切替部42をオフ状態になるように設定される。また、第1指示信号と第2指示信号とは、切替部40がオフ状態である場合には、切替部42をオン状態になるように設定される。すなわち、制御部501は、送電コイル30から受電コイル27−1に電力を給電する場合には、切替部40をオン状態にする第1指令信号と、切替部42をオフ状態にする第2指示信号と、を親機無線部502を介して子機無線部41,43に出力する。また、制御部501は、送電コイル30から受電コイル27−2に電力を給電する場合には、切替部40をオフ状態にする第1指令信号と、切替部42をオン状態にする第2指示信号を親機無線部502を介して子機無線部41,43に出力する。このように、制御部501は、複数の切替部40,42の切り替えタイミングを時分割することで、その時分割により選択された受電コイルに所定の発振周波数の電力が給電される。換言すれば、制御部501は、送電コイル30から受電コイル27−1への電力の給電タイミングと、送電コイル30から受電コイル27−2への電力の給電タイミングとを時分割する。
【0060】
なお、親機無線部502と子機無線部41,43との通信ネットワークは、無線通信の伝送路であってもよく、無線通信の伝送路及び有線通信の伝送路の組み合わせであってもよい。また、この通信ネットワークは、携帯電話回線網などの移動体通信網、無線パケット通信網、インターネット及び専用回線又はそれらの組み合わせであってもよい。
【0061】
以下に、第2の実施形態におけるワイヤレス給電システム1Aの動作について、説明する。図8は、第2の実施形態におけるワイヤレス給電システム1Aの動作を示すシーケンス図である。
【0062】
発振回路500は、電源供給部321から電源が供給されることで駆動する(ステップS201)。発振回路500は、所定の発振周波数で発振させた出力信号を調整部324に出力する。調整部324は、出力信号の信号パワーを調整する(ステップS202)。
【0063】
制御部501は、切替部40をオン状態にする第1指令信号と、切替部42をオフ状態にする第2指示信号を親機無線部502を介して子機無線部41,43に出力する(ステップS203)。
【0064】
子機無線部41は、親機無線部502から切替部40をオン状態にする第1指令信号を取得した場合には、切替部40にオン切替信号を出力する。切替部40は、子機無線部41からオン切替信号が出力された場合には、共振回路50を閉回路にする(ステップS204)。
【0065】
子機無線部43は、親機無線部502から切替部42をオフ状態にする第2指令信号を取得した場合には、切替部42にオフ切替信号を出力する。切替部42は、子機無線部43からオフ切替信号が出力された場合には、共振回路51を開回路にする(ステップS205)。
【0066】
調整部324は、信号パワーを調整した出力信号を送電コイル30に出力する(ステップS206)。これにより、送電コイル30と受電コイル27−1とが共振周波数fで磁界共鳴する(ステップS207)。したがって、受電コイル27−1に所定の発振周波数の電力が供給される(ステップS208)。
【0067】
制御部501は、所定の時間経過すると、切替部40をオフ状態にする第1指令信号と、切替部42をオン状態にする第2指示信号を親機無線部502を介して子機無線部41,43に出力する(ステップS209)。
【0068】
子機無線部41は、親機無線部502から切替部40をオフ状態にする第1指令信号を取得した場合には、切替部40にオフ切替信号を出力する。切替部40は、子機無線部41からオフ切替信号が出力された場合には、共振回路50を開回路に切り替える(ステップS210)。
【0069】
子機無線部43は、親機無線部502から切替部42をオン状態にする第2指令信号を取得した場合には、切替部42にオン切替信号を出力する。切替部42は、子機無線部43からオン切替信号が出力された場合には、共振回路51を閉回路に切り替える(ステップS211)。
【0070】
ここで、調整部324は、信号パワーを調整した出力信号を送電コイル30に出力しているため、送電コイル30と受電コイル27−2とが共振周波数fで磁界共鳴する(ステップS212)。したがって、受電コイル27−2に所定の発振周波数の電力が供給される(ステップS213)。
【0071】
上述したように、第2の実施形態におけるワイヤレス給電システム1Aは、一の送電コイル30と複数の受電コイル27−1,27−2とを備える。そして、送電コイル30と複数の受電コイル27−1,27−2とは、それぞれ時分割で磁界共鳴することで、複数の受電コイル27−1,27−2のそれぞれに電力を給電する。例えば、送電コイル30は、受電コイル27−1,27−2の中から、時分割により選択された受電コイルと所定の周波数で磁界共鳴する。これにより、送電コイル30は、複数の受電コイル27−1,27−2に磁界共鳴により電力を給電する場合に、受電コイル27−1,27−2のそれぞれと1対1で磁界共鳴する。これにより、各受電コイル27−1,27−2が相互に干渉することなく、送電コイルから各受電コイルに給電することができる。
【0072】
具体的には、受電装置は、受電コイル27と静電容量とから形成される複数の共振回路を開回路又は閉回路に切り替え可能な複数の切替部40,42を有する。そして、制御部501は、複数の切替部40,42の切り替えタイミングを時分割する。これにより、1つの送電コイル30から複数の受電コイル27−1,27−2に対して給電する場合に、一方の受電コイルの共振回路を開状態にすることで共振不可能な状態にする。また、他方の受電コイルの共振回路を閉状態にすることで共振可能な状態にする。これにより、各受電コイルが相互に干渉することなく、送電コイル30から各受電コイル27−1,27−2に給電することができる。
【0073】
制御装置32,32Aの各部は、ハードウェアにより実現されてもよく、ソフトウェアにより実現されてもよく、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせにより実現されてもよい。
【0074】
また、上述した実施形態における制御装置32,32Aをコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0075】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0076】
1,1A ワイヤレス給電システム
2 受電装置
3 送電装置
21−1,21−2,21−7,27−2 受電コイル
30 送電コイル
32 制御装置
40,42 切替部
41,43 子機無線部
321 電源供給部
322,500 発振回路
324 調整部
501 制御部
502 親機無線部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8