(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6676492
(24)【登録日】2020年3月16日
(45)【発行日】2020年4月8日
(54)【発明の名称】燃焼装置
(51)【国際特許分類】
F23D 11/44 20060101AFI20200330BHJP
【FI】
F23D11/44 B
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-138990(P2016-138990)
(22)【出願日】2016年7月14日
(65)【公開番号】特開2018-9735(P2018-9735A)
(43)【公開日】2018年1月18日
【審査請求日】2018年12月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】霜鳥 敏之
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 正章
【審査官】
伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭56−158719(JP,U)
【文献】
特開2005−291665(JP,A)
【文献】
実開昭60−117422(JP,U)
【文献】
特開平09−004821(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第1158950(CN,A)
【文献】
仏国特許出願公開第02732447(FR,A1)
【文献】
実開昭56−149220(JP,U)
【文献】
実開昭59−158829(JP,U)
【文献】
実開昭56−165224(JP,U)
【文献】
実開平05−061606(JP,U)
【文献】
実開昭60−111820(JP,U)
【文献】
特開昭62−252822(JP,A)
【文献】
特開昭62−138621(JP,A)
【文献】
特開平05−106809(JP,A)
【文献】
特開2001−173909(JP,A)
【文献】
特開昭62−119310(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23D 11/00−11/46
F24C 5/02
F24C 5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱ヒータを備え気化ガスと燃焼空気とを予混合する有底筒状の気化筒と、該気化筒の開口部分に取り付け混合気を周壁に設けた炎孔で燃焼させる有天筒状のバーナヘッドと、略中央に形成した通気孔の上部にバーナヘッドを配設し、通気孔の下部に気化筒の有底筒状の部分を配設したバーナ取付台と、気化筒を内設してその開口部分がバーナ取付台の通気孔の下部に位置するようにバーナ取付台に固定されたポットケースとを備えた燃焼装置に於いて、前記バーナ取付台の通気孔の内周と気化筒との間に略等間隔に突起部を複数形成し、前記突起部は、通気孔の中心と気化筒の開口部分の中心とがほぼ一致する正しい状態でポットケースをバーナ取付台に固定した場合は、突起部は全て気化筒に接触せず、通気孔の中心と気化筒の開口部分の中心とがずれた正しくない状態でポットケースをバーナ取付台に固定した場合は、突起部のいくつかが気化筒に接触することを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
前記突起部は、バーナ取付台の通気孔の内周にダボ状に突起して形成したことを特徴とする請求項1記載の燃焼装置。
【請求項3】
前記突起部は、前記気化筒で通気孔の内周部分と略同じ位置の気化筒の外周に形成したことを特徴とする請求項1記載の燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石油ファンヒーター等の暖房器具の燃焼装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものに於いては、板状の取付面101の略中央に通気孔102を形成したバーナ取付台103の下部には、シーズヒータが埋設された有底円筒状の気化筒104を内設した有底円筒状のポットケースが、気化筒104の開口部分がバーナ取付台103の通気孔の下部に位置するようにバーナ取付台103にねじにて固定され、又、バーナ取付台103の上部には、有底円筒状で周壁には炎孔が略等間隔に複数形成されたバーナヘッド内に、開口部を上方にしてその開口部に抵抗板の開口突部の一部が挿入された状態の有底筒状のバーナ整流キャップが配設された状態で、バーナヘッドがバーナ取付台103の通気孔の上部に底面側を上にして配設されていた。(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−291665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この従来のものでは、気化筒がポットケースに固定された状態で、該ポットケースをバーナ取付台に固定するが、ポットケースやバーナ取付台に僅かな歪みが生じていると、気化筒をポットケースに固定した時、気化筒とバーナ取付台が面接触してしまい、この状態で着火時に気化筒を着火温度まで加熱しようと気化筒のシーズヒータに通電すると、シーズヒータの熱が気化筒から面接触しているバーナ取付台に伝わってしまい、気化筒の温度が上昇するのに時間がかかり、着火するまでの時間が長くなるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、加熱ヒータを備え気化ガスと燃焼空気とを予混合する有底筒状の気化筒と、該気化筒の開口部分に取り付け混合気を周壁に設けた炎孔で燃焼させる有天筒状のバーナヘッドと、略中央に形成した通気孔の上部にバーナヘッドを配設し、通気孔の下部に気化筒の有底筒状の部分を配設したバーナ取付台と、気化筒を内設してその開口部分がバーナ取付台の通気孔の下部に位置するようにバーナ取付台に固定されたポットケースとを備えた燃焼装置に於いて、前記バーナ取付台の通気孔の内周と気化筒との間に略等間隔
に突起部を複数形成し
、前記突起部は、通気孔の中心と気化筒の開口部分の中心とがほぼ一致する正しい状態でポットケースをバーナ取付台に固定した場合は、突起部は全て気化筒に接触せず、通気孔の中心と気化筒の開口部分の中心とがずれた正しくない状態でポットケースをバーナ取付台に固定した場合は、突起部のいくつかが気化筒に接触するものである。
【0006】
また、請求項2では、前
記突起部は、バーナ取付台の通気孔の内周に
ダボ状に突起して形成したものである。
【0007】
また、請求項3では、前
記突起部は、前記気化筒で通気孔の内周部分と略同じ位置の気化筒の外周に形成したものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明の請求項1によれば、バーナ取付台の通気孔の内周と気化筒との間に略等間隔に突起部を複数形成し、通気孔の中心と気化筒の開口部分の中心とがほぼ一致する正しい状態でポットケースをバーナ取付台に固定した場合は、突起部は全て気化筒に接触せず、気化筒の熱がバーナ取付台5に伝わることがないものである。
又、通気孔の中心と気化筒の開口部分の中心とがずれた正しくない状態でポットケースをバーナ取付台に固定した場合は、突起部のいくつかが気化筒に接触するので、ポットケースやバーナ取付台に歪みがあったり、ポットケースに気化筒が正しく固定されていない状態でポットケースをバーナ取付台に固定した場合は、通気孔の中心と気化筒の開口部分の中心とがずれて、バーナ取付台の通気孔の内周部分に形成された突起部のいくつかが気化筒に接触するが、気化筒と突起部は点接触で接触するため、気化筒からバーナ取付台に伝わる熱は僅かであり、運転開始時の加熱ヒータに通電して気化筒を加熱する際、加熱ヒータの熱が気化筒からバーナ取付台に大量に伝わって気化筒の温度が上昇するのに時間がかかり、着火するまでの時間が長くなるのを防止することができるものである
。
【0009】
又、バーナ取付台の通気孔の内周部分に形成され
た突起部のいくつかが気化筒に接触する場合、気化筒と通気孔の内周部分も接触する部分が生じるが、気化筒と通気孔の内周部分の接触も点接触で接触するため、気化筒からバーナ取付台に伝わる熱は僅かであり、運転開始時の加熱ヒータに通電して気化筒を加熱する際、加熱ヒータの熱が気化筒からバーナ取付台に大量に伝わって気化筒の温度が上昇するのに時間がかかり、着火するまでの時間が長くなるのを防止できるものである。
【0010】
又、請求項2によれば
、突起部は、バーナ取付台の通気孔の内周に
ダボ状に突起して形成したので、気化筒の位置がどのようにずれても、通気孔の内周部分に形成され
た突起部に気化筒に接触する場合は必ず点接触で接触するため、気化筒からバーナ取付台に伝わる熱は僅かであり、運転開始時の加熱ヒータに通電して気化筒を加熱する際、加熱ヒータの熱が気化筒からバーナ取付台に大量に伝わって気化筒の温度が上昇するのに時間がかかり、着火するまでの時間が長くなるのを防止できるものである。
【0011】
又、請求項3によれば、突起部は、前記気化筒で通気孔の内周部分と略同じ位置の気化筒の外周に形成したので、バーナ取付台の通気孔の内周部分に略等間隔で複数箇所にダボ状に気化筒接触用突起部を形成する必要がなく、バーナ取付台の加工が簡略化されてコストダウンを図れることができるものである
。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】この発明の一実施形態を示す燃焼装置の分解斜視図。
【
図4】同気化筒が正しい位置でのバーナ取付台の平面図。
【
図5】同気化筒がずれた位置でのバーナ取付台の平面図。
【
図6】従来の気化筒が正しい位置でのバーナ取付台の平面図。
【
図7】同気化筒がずれた位置でのバーナ取付台の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次にこの発明に係る燃焼装置を図面に示す一実施例で説明する。
1は有底円筒状の気化筒で、シーズヒータからなり該気化筒1の内部を燃料の気化可能温度まで加熱する加熱ヒータ2が埋設されており、気化させた燃料と燃焼用空気とを予め混合して予混合気とするものである。
【0014】
3はノズルホルダーで、気化筒1内に燃焼用空気を供給するための燃焼用空気口(図示せず)と、2次空気を供給するための2次空気用口(図示せず)が設けられ、前記燃焼用空気口の内部には燃料を噴出する燃料供給用ノズル(図示せず)を配設し、その燃焼用空気口を気化筒1の側壁の下方に形成してある差込口4に差し込んで固定し、前記燃料供給用ノズルを気化筒1内に臨ませてあるものである。
【0015】
5はバーナ取付台で、板状の取付面6の略中央に通気孔7を形成し、また、取付面6を水平に位置させた時の正面部分の一辺を下向きにに略直角に折り曲げて、その折り曲げた面にユニット固定孔8を形成した前面取付部9を設け、更に取付面6を水平に位置させた時の左右の両辺を下向きに略L字状に折り曲げて案内部10を設けたものである。
【0016】
11は有底円筒状のポットケースで、気化筒1を内設してその開口部分がバーナ取付台5の通気孔7の下部に位置するようにバーナ取付台5にねじ(図示せず)にて固定するものである。
また、ポットケース11の底面には、気化筒1内にねじ込まれて気化筒1内の温度を検知するポットサーミスタ12が固定され、更に下方のバーナサーモ取付金具13には気化筒1内の異常過熱を検知するバーナサーモスタット14がねじ(図示せず)にて固定されているものである。
【0017】
15は有底円筒状のバーナヘッドで、バーナ取付台5の通気孔の上部に底面側を上にして上面として配設され、その周壁には、主炎孔16が略等間隔に複数形成され、該主炎孔16の内周には、筒状の金網からなる内周多孔部材(図示せず)がその主炎孔16を覆うように張設されているものである。
【0018】
17は有底筒状のバーナ整流キャップで、その底面部分に開口部18が形成されており、また、底面の反対側の開放部分はその端部を断面L字状にして鍔部19を形成しており、開口部18を上方にしてバーナヘッド15内に配設されているものである。
【0019】
20はバーナヘッドリングで、バーナヘッド15の周囲下方よりリング状に主炎孔16を覆うように配設したもので、バーナ取付台5にバーナヘッド15と共にねじ(図示せず)にて固定され、バーナヘッド15の主炎孔16に形成される炎により加熱され、加熱ヒータ2により加熱されなくとも、気化筒1を燃料の気化可能温度に保つ、いわゆるヒートバックを取るものである。
【0020】
21はバーナヘッド15の主炎孔16から吹き出す予混合気を点火する点火プラグで、炎の状態を検知するフレームロッド22と一緒にフレームロッド固定金具23によりバーナ取付台5に固定されるものである。
【0021】
24は外筒底板で、外筒(図示せず)の一端がバーナヘッド15が筒内略中央に位置するように取り付けられると共に、バーナ取付台5の通気孔7の周囲に形成された凹状のバーナ断熱材設置溝部25に設けられるバーナ断熱材26を上から挟み込むようにバーナ取付台5と係合するものである。
【0022】
27
は突起部で、バーナ取付台5の通気孔7の内周部分に略等間隔で複数箇所にダボ状に突起して形成されたものである。
【0023】
次に気化筒1を内設したポットケース11をバーナ取付台5に固定した状態について説明する。
ポットケース11やバーナ取付台5に歪みがなく、ポットケース11に気化筒1が正しく固定された状態でポットケース11をバーナ取付台5に固定した場合は、
図4のように通気孔7の中心とに気化筒1の開口部分の中心とがほぼ一致し、バーナ取付台5の通気孔7の内周部分に形成され
た突起部27は全て気化筒1に接触せず、気化筒1の熱がバーナ取付台5に伝わることがないものである。
【0024】
次にポットケース11やバーナ取付台5に歪みがあったり、ポットケース11に気化筒1が正しく固定されていない状態でポットケース11をバーナ取付台5に固定した場合は、
図5のように通気孔7の中心と気化筒1の開口部分の中心とがずれて、バーナ取付台5の通気孔7の内周部分に形成された突起部27のいくつかが気化筒1に接触する
。
【0025】
しかし、気化筒1と突起部27は点接触で接触するため、気化筒1からバーナ取付台5に伝わる熱は僅かであり、運転開始時の加熱ヒータ2に通電して気化筒1を加熱する際、加熱ヒータ2の熱が気化筒1からバーナ取付台5に大量に伝わって気化筒1の温度が上昇するのに時間がかかり、着火するまでの時間が長くなるのを防止できるものである
。
【0026】
又、バーナ取付台5の通気孔7の内周部分に形成され
た突起部27のいくつかが気化筒1に接触する場合、気化筒1と通気孔7の内周部分も接触する部分が生じるが、気化筒1と通気孔7の内周部分の接触も点接触で接触するため、気化筒1からバーナ取付台5に伝わる熱は僅かであり、運転開始時の加熱ヒータ2に通電して気化筒1を加熱する際、加熱ヒータ2の熱が気化筒1からバーナ取付台5に大量に伝わって気化筒1の温度が上昇するのに時間がかかり、着火するまでの時間が長くなるのを防止できるものである。
【0027】
又、バーナ取付台5の通気孔7の内周部分
に突起部27を形成したので、気化筒1の位置がどのようにずれても、通気孔7の内周部分に形成され
た突起部27に気化筒1に接触する場合は必ず点接触で接触するため、気化筒1からバーナ取付台5に伝わる熱は僅かであり、運転開始時の加熱ヒータ2に通電して気化筒1を加熱する際、加熱ヒータ2の熱が気化筒1からバーナ取付台5に大量に伝わって気化筒1の温度が上昇するのに時間がかかり、着火するまでの時間が長くなるのを防止できるものである。
【0028】
更に通気孔7の中心と気化筒1の開口部分の中心とが大きくずれていた場合、気化筒1の上
に突起部27が位置してポットケース11をバーナ取付台5に固定できないので、通気孔7の中心と気化筒1の開口部分の中心とが大きくずれているものを組み立ててしまうのを防止することができるものである。
【0029】
尚、本実施例で
は突起部27をバーナ取付台5の通気孔7の内周部分に略等間隔で複数箇所にダボ状に突起して形成したがこれに限定されず、気化筒1の通気孔7の内周部分と同じ位置の外周に略等間隔
に突起部27を複数形成してもよいものである。
【0030】
この場合も通気孔7の中心と気化筒1の開口部分の中心とがずれて、バーナ取付台5の通気孔7の内周部分に形成され
た突起部27のいくつかが気化筒1に接触するが、気化筒1
と突起部27は点接触で接触するため、気化筒1からバーナ取付台5に伝わる熱は僅かであり、運転開始時の加熱ヒータ2に通電して気化筒1を加熱する際、加熱ヒータ2の熱が気化筒1からバーナ取付台5に大量に伝わって気化筒1の温度が上昇するのに時間がかかり、着火するまでの時間が長くなるのを防止できるものである。
【0031】
又、バーナ取付台5の通気孔7の内周部分に形成され
た突起部27のいくつかが気化筒1に接触する場合、気化筒1と通気孔7の内周部分も接触する部分が生じるが、気化筒1と通気孔7の内周部分の接触も点接触で接触するため、気化筒1からバーナ取付台5に伝わる熱は僅かであり、運転開始時の加熱ヒータ2に通電して気化筒1を加熱する際、加熱ヒータ2の熱が気化筒1からバーナ取付台5に大量に伝わって気化筒1の温度が上昇するのに時間がかかり、着火するまでの時間が長くなるのを防止できるものである。
【0032】
更に通気孔7の中心と気化筒1の開口部分の中心とが大きくずれていた場合、気化筒1
の突起部27の上にバーナ取付台5の通気孔7周辺が位置してポットケース11をバーナ取付台5に固定できないので、通気孔7の中心と気化筒1の開口部分の中心とが大きくずれているものを組み立ててしまうのを防止することができるものである。
【0033】
又、気化筒1の通気孔7の内周部分と同じ位置の外周に略等間隔
に突起部27を複数形成した場合、バーナ取付台5の通気孔7の内周部分に略等間隔で複数箇所にダボ状
に突起部27を形成する必要がなく、バーナ取付台5の加工が簡略化されてコストダウンが図れるものである。
【符号の説明】
【0034】
1 気化筒
2 加熱ヒータ
5 バーナ取付台
7 通気孔
11 ポットケース
15 バーナヘッド
27 突起
部