(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1では、計量値の過不足に基づいて、重量選別機の前段の包装機のシール異常を検出することは開示されているが、他の不具合の検出については開示されておらず、限られた不具合にしか対応することができない。
【0008】
上記のように、重量選別機の前段には、例えば、組合せ秤、包装機、金属検出機などの各種の装置が設置されるので、生産ラインの稼働後に、様々な不具合が発生し、かかる不具合によって、重量選別機では、被検査物品の多くが、不良品として選別されてしまうという異常が生じる場合がある。
【0009】
このように前段の装置の様々な不具合によって、重量選別機で被検査物品の多くが不良品として選別されるという異常が生じた場合に、その様々な不具合に対して容易に対処できるようにすることが望まれる。
【0010】
本発明は、上記のような点に鑑みて為されたものであって、重量選別機で被検査物品の多くが不良品として選別されるような異常が生じた場合に、その異常に対して容易に対処できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明では、次のように構成している。
【0012】
(1)本発明の重量選別機は、被検査物品を搬送しながら計量して、所定重量範囲の良品と前記所定重量範囲外の不良品とに選別する重量選別機であって、
前記所定重量範囲外の重量値変化のパターンが、異常パターンとして予め記憶される記憶部と、
前記異常パターンに関連付けて前記記憶部に記憶される、前記異常パターンに対処するための対処情報を、入力する入力操作部と、
計量される前記被検査物品の重量値変化のパターンが、前記異常パターンであるか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって、前記異常パターンであると判定された場合に、その異常パターンに関連付けられた前記対処情報が、前記記憶部に記憶されているときには、その対処情報を報知可能な報知部と
を備え、
前記異常パターンは、当該重量選別機よりも前記被検査物品の搬送方向の上流側に配置された前段の装置の不具合によって生じる前記被検査物品の重量値変化のパターンであり、
前記対処情報は、前記前段の装置の前記不具合に対処するための情報である。
【0013】
異常パターンは、所定重量範囲外の重量値変化のパターンであればよく、どのような重量値変化のパターンを異常パターンとするかは任意であるが、所定重量範囲外の重量値、すなわち、不良品の重量値であるから、異常として報知すべき重量値変化のパターンとするのが好ましい。
【0014】
異常パターンは、1つであってもよいが、複数であるのが好ましく、異常パターンが複数の場合には、前記対処情報は、異常パターン毎の個別の対処情報であるのが好ましい。
【0015】
異常パターンに対処するための対処情報とは、異常パターンが発生しないように対処するための情報である。
【0016】
本発明の重量選別機によると、不良品として選別される所定重量範囲外の重量値変化のパターンを、異常として報知すべき異常パターンとして予め記憶部に記憶しておき、判定部によって、計量される被検査物品の重量値変化のパターンが、異常パターンであると判定された場合、すなわち、異常が発生した場合には、その異常パターンに対する対処情報が、記憶部に記憶されているときには、報知部は、その対処情報を報知することが可能である。これによって、保守等を行う作業員は、報知される対処情報に基づいて、適切な措置をとることができ、対処情報が無い場合に比べて、異常が発生した場合の対処が容易となる。
【0017】
対処情報が、記憶部に記憶されていないとき、例えば、当該重量選別機を据え付けて最初の稼働運転を開始した当初のように、対処情報が、記憶部に記憶されていないときには、異常が生じても対処情報を報知することができず、保守等を行う作業員は対処情報に基づいて適切な措置をとることができない。
【0018】
この場合、作業員が、異常が生じる原因を特定し、異常が生じないように適切な措置をとることができたときには、その適切な措置を、異常パターンに対処するための対処情報として、入力操作部を操作して入力し、記憶部に記憶させることができる。
【0019】
したがって、その後、同じ原因で同様の異常パターンが生じた場合には、記憶部に対処情報が記憶されているので、その対処情報を報知することができ、作業員は、報知される対処情報に基づいて、容易に対処することができる。
【0020】
このように、当初は、対処情報が記憶部に記憶されていなくても、異常パターンが発生し、保守等を行う作業員が、原因を特定して適切な措置をとることができたときには、入力操作部を操作して、その適切な措置を対処情報として記憶部に記憶させることができるので、当該重量選別機を使用するにつれて、対処情報を充実させることができ、異常パターンが発生したときの対処が一層容易になる。
また、異常パターンが生じた場合に、その異常パターンに対処する対処情報が、記憶部に記憶されているときには、報知部は、その対処情報を報知することができるので、作業員は、報知された対処情報に基づいて、前段の装置の不具合を解消することができる。
【0021】
(2)本発明の重量選別機の好ましい実施態様では、前記記憶部には、前記異常パターンと共に、
前記対処情報が、前記異常パターンに関連付けて予め記憶される。
【0022】
この実施態様によると、例えば、当該重量選別機の製造メーカにおいて、異常パターンに対処するための対処情報が把握できている場合には、記憶部に、異常パターンと共に、対処情報を予め記憶させておくことによって、当該重量選別機を据え付けて最初の稼働運転を開始した当初から、その対処情報を利用できることになる。
【0025】
(
3)本発明の重量選別機
は、被検査物品を搬送しながら計量して、所定重量範囲の良品と前記所定重量範囲外の不良品とに選別する重量選別機であって、
前記所定重量範囲外の重量値変化のパターンが、異常パターンとして予め記憶される記憶部と、
前記異常パターンに関連付けて前記記憶部に記憶される、前記異常パターンに対処するための対処情報を、入力する入力操作部と、
計量される前記被検査物品の重量値変化のパターンが、前記異常パターンであるか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって、前記異常パターンであると判定された場合に、その異常パターンに関連付けられた前記対処情報が、前記記憶部に記憶されているときには、その対処情報を報知可能な報知部とを備え、
前記異常パターンは、当該重量選別機よりも前記被検査物品の搬送方向の上流側に配置された前段の装置の不具合によって生じる前記被検査物品の重量値変化のパターンであり、
前記入力操作部は、前記前段の装置の種類を入力可能であり、前記対処情報は、前記前段の装置の種類に応じた対処情報である。
【0026】
異常発生パターンは、前段の装置の不具合によって生じるので、この実施態様によると、入力操作部によって前段の装置の種類を入力しておくことによって、異常パターンが発生した場合には、前段の装置の種類に応じた適切な対処情報を報知するといったことが可能となる。
【0027】
(
4)本発明の重量選別機の別の実施態様では、前記記憶部には、前記所定重量範囲内の重量値変化のパターンが、異常発生前の警告すべき警告パターンとして予め記憶されるものであり、前記入力操作部は、前記警告パターンに関連付けて前記記憶部に記憶される、前記警告パターンに対処するための警告対処情報を入力するものであり、前記判定部は、計量される前記被検査物品の重量値変化のパターンが、前記警告パターンであるか否かを判定するものであり、前記報知部は、前記判定部によって、前記警告パターンであると判定された場合に、その警告パターンに関連付けられた前記警告対処情報が、前記記憶部に記憶されているときには、その警告対処情報を報知可能である。
【0028】
この実施態様によると、異常ではないが、そのままの状態を放置すると異常が生じるような所定重量範囲内の重量値変化のパターンを、異常発生前の警告すべき警告パターンとして予め記憶部に記憶しておき、判定部によって、計量される被検査物品の重量値変化のパターンが、警告パターンであると判定された場合、すなわち、警告すべき場合には、その警告パターンに対処するための警告対処情報が、記憶部に記憶されているときには、報知部は、その警告対処情報を報知することが可能であるので、作業員は、報知される警告対処情報に基づいて、異常が生じる前に、適切な措置をとることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によると、不良品として選別される所定重量範囲外の重量値変化のパターンを、異常として報知すべき異常パターンとして予め記憶部に記憶しておき、判定部によって、計量される被検査物品の重量値変化のパターンが、異常パターンであると判定された場合、すなわち、異常が発生した場合には、その異常パターンに対処するための対処情報が、記憶部に記憶されているときには、報知部は、その対処情報を報知することができるので、保守等を行う作業員は、報知される対処情報に基づいて、適切な措置をとることができ、対処情報が無い場合に比べて、異常が発生した場合の対処が容易となる。
【0030】
対処情報が、記憶部に記憶されていないときには、異常パターンが生じても対処情報を報知することができず、作業員は、対処情報に基づいて適切な措置をとることができない。
【0031】
この場合、作業員が、異常の原因を特定し、異常が生じないように適切な措置をとることができたときには、その適切な措置を、異常パターンに対処するための対処情報として、入力操作部を操作して入力し、記憶部に記憶させることができる。
【0032】
したがって、その後、同じ原因で同様の異常パターンが生じた場合には、記憶部に対処情報が記憶されているので、その対処情報を報知することができ、作業員は、報知される対処情報に基づいて、容易に対処することができる。
【0033】
このように、当初は、対処情報が記憶部に記憶されていなくても、異常パターンが発生し、原因を特定して適切な措置をとったときには、その適切な措置を対処情報として記憶部に記憶させることができるので、当該重量選別機を使用するにつれて、対処情報を増やすことができ、異常パターンが発生したときの対処が一層容易になる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0036】
図1は、本発明の一実施形態の重量選別機を備える生産ラインの概略構成図であり、この生産ラインは、物品を計量包装して検査選別するシステムである。
【0037】
このシステムは、物品(図示せず)を計量して適量重量範囲の物品を排出する組合せ秤1と、組合せ秤1から排出される物品を包装する包装機2と、包装機2から搬出される包装された被検査物品3に金属が混入しているか否かを検査する金属検出機4と、被検査物品3の重量が所定重量範囲であるか否かを検査する重量選別機5と、被検査物品3を、良品と不良品とに振分ける振分け装置6とを備えている。振分け装置6は、被検査物品3を搬送する振分けコンベヤ7と、振分けコンベヤ7上の被検査物品3を振分ける振分けアーム8とを備えている。
【0038】
組合せ秤1は、その上部中央の分散フィーダ9に、図示しない供給装置から物品が供給され、供給された物品は、分散フィーダ9によってその周囲の複数のリニアフィーダ10に分散搬送される。複数のリニアフィーダ10に搬送された物品は、直線状に搬送されて複数の供給ホッパ11にそれぞれ供給され、更に、その下方の複数の計量ホッパ12にそれぞれ供給される。各計量ホッパ12に供給された物品の重量が、センター基体13内に収納されたロードセル等の重量センサ14によってそれぞれ検出され、適量重量範囲となる計量ホッパ12の組合せを選択する組合せ演算が行われる。組合せ演算で選択された適量組合せの計量ホッパ12から物品が排出され、集合シュート15を介して包装機2へ投入される。
【0039】
物品を排出して空となった計量ホッパ12には、供給ホッパ11から物品が供給される。また、空になった供給ホッパ11へは、その上方のリニアフィーダ10から物品が供給され、さらに分散フィーダ9からリニアフィーダ10へ物品が供給される。
【0040】
包装機2は、投入された適量重量範囲の物品を、包装材で包装して搬出する。包装機2から搬出された包装品は、搬送コンベヤ16によって、重量選別機5の送込みコンベヤ17へ被検査物品3として搬入される。
【0041】
送込みコンベヤ17には、金属検出機4が設置されている。この金属検出機4は、例えば、検出コイルの中空部分を送込みコンベヤ17が貫通するように配設され、検出コイルは、その内部に、送信コイル及び2つの受信コイルが略矩形に巻かれた状態で収納された公知の構成を有している。この金属検出機4は、送信コイルに高周波電流を流したときに、2つの受信コイルに誘起される電圧の差を出力信号として取り出し、その出力信号に基づいて被検査物品3に金属が混入しているか否かを判定し、金属が混入している場合には、検出信号を、重量選別機5の後述の制御部18へ出力する。
【0042】
重量選別機5は、前記送込みコンベヤ17、計量コンベヤ19、計量コンベヤ19上の被検査物品3の重量を検出するロードセル等の重量センサ20、各部を制御する制御装置21、及び、操作設定表示器22を備える。
【0043】
上記送込みコンベヤ17、計量コンベヤ19及び振分けコンベヤ7は、図示しない各駆動モータによって駆動される。
【0044】
重量選別機5は、送込みコンベヤ17によって、被検査物品3を1個ずつ計量コンベヤ19へ送込み、計量コンベヤ19上の被検査物品3の重量を計測して被検査物品3が所定重量範囲の良品であるか、所定重量範囲外の不良品であるかを判定する。
【0045】
制御装置21は、重量センサ20からのアナログ荷重信号をデジタル荷重信号に変換するA/D変換部23と、例えばマイクロコンピュータ等によって構成される上記制御部18と、上記各コンベヤ17,19,7の各駆動モータを駆動するコンベヤ駆動回路部24と、振分け装置6の振分けアーム8を駆動する振分けアーム駆動回路部25とを備えている。制御部18は、CPUと、RAMやROM等からなる記憶部27とを有している。この記憶部27は、制御プログラムを格納するプログラムメモリ、演算に必要なデータや操作設定表示器22の操作により設定されたデータ等を格納するデータメモリ、その他のメモリ等で構成される。
【0046】
制御部18には、計量コンベヤ19へ送込まれる直前の被検査物品3を検出する光電センサ等からなる物品検出センサ26の検出出力が与えられる。また、上記のように金属検出機4からの検出信号が与えられる。
【0047】
操作設定表示器22は、例えば、タッチパネル形式であって、表示画面上に表示されるキーをタッチ操作することにより、重量選別機5の運転の開始・停止、後述の異常パターンに対する対処情報等を入力する入力操作部としての機能を有する。また、操作設定表示器22は、運転結果の表示や対処情報等を報知する報知部としての機能を有する。
【0048】
制御部18は、記憶部27のメモリに格納された制御プログラムに従って重量選別機5における動作を制御する。この制御部18は、A/D変換部23からのデジタル荷重信号に基づいて、計量コンベヤ19上の被検査物品3の重量値を算出し、算出した被検査物品3の重量値が、所定重量範囲であるか否かによって、良品であるか不良品であるかを判定する。
【0049】
この制御部18は、計量コンベヤ19への被検査物品3の搬入を検出する物品検出センサ26の検出出力を所定の基準時点とし、被検査物品3の重量値を取得して前記良否の判定を行う。
【0050】
制御部18は、判定の結果、良品でない、すなわち、不良品であるときには、不良品が振分けコンベヤ6の振分け位置に到達する時点で振分けることができるように、振分け指令を振分けアーム駆動回路部25に出力する。これによって、振分け装置6は、不良品が振分けコンベヤ7上の振分け位置に到達すると、振分けアーム8によって搬送ライン外に排除して振分ける。
【0051】
また、金属検出機4から金属の混入した被検査物品3であることを示す検出信号が与えられたときには、不良品であるとして、同様に、振分け装置6の振分けアーム8によって搬送ライン外に排除して振分ける。
【0052】
被検査物品3が、良品であるときには、振分けの必要がないので、振分け指令を振分けアーム駆動回路部25に出力せず、良品は、振分け装置6で振分けられることなく、下流へ搬送される。
【0053】
以上の構成は、基本的に従来例と同様である。
【0054】
この実施形態の重量選別機5は、重量選別機5よりも被検査物品3の搬送方向の上流側の装置である前段の装置、具体的には、組合せ秤1、包装機2及び金属検出機4で様々な不具合が発生した場合に、その不具合に対して容易に対処できるように、次のようにしている。
【0055】
上記のように、前段の装置で様々な不具合が生じた場合には、重量選別機5では、被検査物品3の多くが、不良品として選別される異常が生じることがある。
【0056】
そこで、予め所定重量範囲外の重量値変化のパターンを、異常として報知すべき異常パターンとして、制御部18の記憶部27に記憶させる。異常パターンとして記憶させる所定重量範囲外の重量値変化のパターンは、複数記憶させるのが好ましい。
【0057】
この所定重量範囲外の重量値変化のパターンとしては、異常とすべき種々の重量値変化のパターンを採用することができる。例えば、不良品の連続個数や全体に対する不良品の発生割合といった不良品の発生頻度、あるいは、不良品の重量値範囲などに基づいて、種々の重量値変化のパターンを異常パターンとすることができ、更に、不良品の発生頻度と不良品の重量値範囲などを組合せた異常パターンとすることもできる。
【0058】
不良品の重量範囲に基づく異常パターンとして、例えば、重量選別機5によって不良品として選別される被検査物品3の全てが、所定重量範囲を規定する下限重量値未満の「不足」の不良品である異常パターン、不良品として選別される被検査物品3の全てが、所定重量範囲を規定する上限重量値を超える「過量」の不良品である異常パターン、あるいは、不良品として選別される被検査物品3の全てが、所定重量範囲から極端に外れて小さい、極端な「不足」(以下「超不足」という)である異常パターン、不良品として選別される被検査物品3の全てが、所定重量範囲から極端に外れて大きい、極端な「過量」(以下「超過量」という)である異常パターンなどがある。
【0059】
また、不良品の発生頻度に基づく異常パターンとして、例えば、重量選別機5によって計量される被検査物品3が、一定個数以上連続して不良品として選別される異常パターン、重量選別機5によって被検査物品3を第1所定個数選別した場合に、その内の第2所定個数が不良品であったときに、第1所定個数に対する第2所定個数の割合が、第3所定個数以上である異常パターンなどである。
【0060】
これらの異常パターンは、製造メーカによって、制御部18の記憶部27に予め記憶されるのが好ましいが、ユーザ側で入力して記憶部27に記憶させるようにしてもよく、また、異常パターンの一部、例えば、一定個数以上連続して不良品として選別される異常パターンにおける前記一定個数、あるいは、重量選別機5によって被検査物品3を第1所定個数選別した場合に、その内の第2所定個数が不良品であったときに、第1所定個数に対する第2所定個数の割合が、第3所定個数以上である異常パターンにおける前記第3所定個数などの数値を、ユーザ側で入力して記憶部27に記憶させるようにしてもよい。
【0061】
制御部18は、計量コンベヤ19によって搬送しながら計量される被検査物品3の重量値変化のパターンが、記憶部27に予め記憶された異常パターンであるか否か、すなわち、異常が発生しているか否かを判定する判定部28としての機能を有している。
【0062】
制御部18は、判定部28によって、計量される被検査物品3の重量値変化のパターンが、記憶部27に予め記憶された異常パターンであると判定されたときに、すなわち、異常が生じたときには、報知部としての操作設定表示器22にその旨のメッセージを表示して報知する。
【0063】
表示によって異常が発生したことを認識した保守等を行う作業員は、重量選別機5の前段の装置の不具合の原因を特定し、異常が生じないように適切な措置をとることができた場合には、作業員は、入力操作部としての操作設定表示器22を、操作して報知された異常パターンに対して、どのような適切な措置をとったかを、対処情報として入力する。
【0064】
これによって、制御部18は、入力された対処情報を、報知した異常パターンに関連付けて記憶部27に記憶する。
【0065】
制御部18は、その後、判定部28によって、対処情報が関連付けて記憶された異常パターンが、再び発生したと判定されたときには、操作設定表示器22で異常パターンの発生を報知すると共に、関連付けられた対処情報を表示して報知する。
【0066】
これによって、作業員は、操作設定表示器22に表示された対処情報に基づいて対処することが可能となり、対処情報が表示されなかった当初に比べて、前段の装置の不具合を解消するのが容易となる。
【0067】
なお、製造メーカにおいて、異常パターンに対する対処情報が、予め把握できている場合、例えば、過去の重量選別機の生産ラインへの設置とその稼働によって得られた実績データに基づいて、対処情報を把握できているような場合には、その対処情報を、異常パターンに関連づけて異常パターンと共に、予め記憶部27に記憶させておく。異常パターンに対する対処情報は、重量選別機5の前段に、どのような装置が設置されているかによって異なる場合、すなわち、前段の装置の種類によって発生する不具合も異なり、それに対処する対処情報も異なる場合があるので、前段の装置の種類毎に個別の対処情報を予め記憶部27に記憶させておくのが好ましい。これによって、ユーザ側で、生産ラインを構成する前段の装置の種類を入力することによって、異常パターンが生じた場合に、前段の装置の種類に応じた適切な対処情報を報知することができる。
【0068】
このように製造メーカ側で、異常パターンに対する対処情報が予め記憶されることによって、制御部18は、判定部28で、計量される被検査物品3の重量値変化のパターンが、異常パターンであると判定された場合に、その異常パターンに関連付けられた対処情報が予め記憶部27に記憶されているときには、その対処情報を、操作設定表示器22に表示する。作業員は、表示される対処情報に基づいて、適切な措置を容易にとることができる。
【0069】
上記の異常パターンの例では、例えば、次のような対処が想定される。
【0070】
すなわち、重量選別機5によって不良品として選別される被検査物品3の全てが、所定重量範囲を規定する下限重量値未満の「不足」の不良品である異常パターンの場合には、重量選別機5の前段の装置に組合せ秤が含まれているときには、例えば、適量組合せに選択された計量ホッパの排出ゲートが故障で開閉していない可能性があり、また、前段の装置に包装機や充填装置が含まれているときには、包装機や充填装置において、粉状や液状の物品が漏れている可能性があり、これらをチェックする必要がある。
【0071】
また、不良品として選別される被検査物品3の全てが、所定重量範囲を規定する上限重量値を超える「過量」の不良品である異常パターンの場合には、前段の装置に組合せ秤が含まれているときには、排出ゲートが開きっぱなしのホッパがある可能性があり、前段の装置に充填装置が含まれているときには、充填装置の故障が想定され、これらをチェックする必要がある。
【0072】
また、不良品として選別される被検査物品3の全てが、超不足あるいは超過量の不良品である異常パターンの場合には、前段の装置に組合せ秤が含まれているときには、組合せ秤の不具合が想定され、前段の装置に充填装置が含まれている場合には、充填装置の不具合が想定され、これらをチェックする必要がある。
【0073】
上記のように重量選別機5の前段にどのような装置が配置されているかによって、発生する不具合も異なるので、異常パターンが発生した場合の対処情報も異なることになる。
【0074】
この実施形態では、稼働運転に先立って作業者は、操作設定表示器22を操作して生産ラインを構成する装置の種類を設定入力する。
【0075】
図2は、この操作設定表示器22の設定入力画面の一例を示す図である。
【0076】
画面上部の4つの矩形の表示キー29a〜29dに、生産ラインを構成する装置を設定表示する。
【0077】
先ず、画面中央右側の「変更/完了」キー30をタッチ操作して反転表示させる。画面上部の4つの表示キー29a〜29dの内の一つをタッチ操作して、反転表示させ、画面中央の左側の各種装置を示す装置キー31a〜31eの内、生産ラインを構成する装置キー31a〜31eをタッチ操作し、画面中央の右側の「セット」キー32をタッチ操作すると、画面上部の前記反転表示された表示キー29a〜29dに生産ラインを構成する装置が設定表示される。
【0078】
既に設定されている装置を削除する場合は、画面上部の4つの表示キー29a〜29dの内、装置を削除する表示キーをタッチ操作して、反転表示させ、画面中央の右側の「削除」キー33をタッチ操作する。
【0079】
装置キー31a〜31eを表示している装置表示画面34は、アップキー35、ダウンキー36をタッチ操作することで、スクロールすることができ、別の種類の装置を表示することができる。
【0080】
画面中央の右側の「変更/完了」キー30をタッチ操作すると、設定は完了する。画面下部の右側の「リターン」キー37をタッチ操作すると、本設定入力画面を呼び出した画面に戻る。
【0081】
次に、稼働運転を開始して異常パターンが発生したときの操作設定表示器22による表示、及び、異常パターンに対処する対処情報を操作設定表示器22に入力する場合の操作について、更に詳しく説明する。
【0082】
図3は、稼働運転開始後の重量不良データ及びそれを報知するための表示画面の一例を示すものである。画面の上部の4つの表示キー29a〜29dに、生産ラインを構成する、組合せ秤、包装機、金属検出機、重量選別機が表示されている。
【0083】
画面の中央の矩形の重量変化表示部38には、重量選別機5によって計量された被検査物品3の重量値の変化が、所定重量範囲の基準となる基準重量値、所定重量範囲の下限となる下限重量値、及び、所定重量範囲の上限となる上限重量値と共に表示される。更に、所定重量範囲から極端に離れた超上限重量値及び超下限重量値が表示される。この超上限重量値及び超下限重量値は、ユーザによって、所定重量範囲が設定されると、それに応じて自動的に設定されるものであり、どのように設定するかは、異常パターンと共に、記憶部27に予め記憶されている。なお、超上限重量値及び超下限重量値を、ユーザ側で設定できるようにしてもよい。
【0084】
この
図3では、下限重量値未満の重量の被検査物品3を検出後、10個分の被検査物品3の重量値を取得した結果、10個の内の3個が不良品であって、不良品は、全て下限重量値未満の不良品であることを示している。この
図3の例は、被検査物品3の不良品の全てが、所定重量範囲を規定する下限重量値未満の「不足」の不良品である異常パターンに該当する。
【0085】
重量変化表示部38の下方には、異常パターンの内容を表示する異常表示部39が設けられ、異常パターンの内容、例えば、「重量不良品は下限重量値より軽いものだけです。」といった表示がされる。重量変化表示部38の右側には、異常パターンに応じた対処情報等をエラーメッセージとして表示させるためのメッセージ表示キー40が設けられる。
【0086】
このメッセージ表示キー40をタッチ操作することによって、
図4または
図5のメッセージ画面が表示されて報知される。
【0087】
図4は、制御部18の記憶部27に対処情報が記憶されていない場合のメッセージの表示画面の一例を示すものである。
【0088】
異常パターンの内容を表示する異常表示部39が設けられ、異常パターンの内容、例えば、「重量不良品は下限重量値より軽いものだけです。」といった表示がされる。
【0089】
異常表示部39の下方に、対処情報等をメッセージ表示する情報表示部41が設けられる。
図4の例では、対処情報が記憶されていないので、「データがありません」と表示され、更に、対処情報が無い状態で、異常の原因を特定して適切な措置をとって前段の装置の不具合を解消できた場合、すなわち、問題を解決した場合には、当該異常パターンに対応する重量エラーメッセージNo.Xに、データ、すなわち、どのような措置をとって問題を解決したかを、対処情報として入力するように促すメッセージ、例えば、「問題を解決した場合は、重量エラーメッセージNo.Xにデータを入力して下さい。」と表示される。
【0090】
図5は、制御部18の記憶部27に対処情報が記憶されている場合のメッセージの表示画面の一例を示すものである。
【0091】
情報表示部41には、異常パターンを特定する重量不良エラーメッセージNo.Xと共に、その対処情報、例えば、「組合せ秤の計量ホッパの排出ゲートの動作不良をチェックして下さい」と表示される。
【0092】
これによって、保守等を行う作業員は、対処情報に従って、組合せ秤の計量ホッパの排出ゲートの動作不良をチェックし、動作不良であるときには、正常に動作するように、計量ホッパの調整等を行う。この場合、作業員が、対処情報とは、異なる調整等を行った場合には、後述のように、対処情報の修正、追記を行う。
【0093】
なお、本発明の他の実施形態として、メッセージ表示キー40をタッチ操作することなく、対処情報等のメッセージを表示してもよく、例えば、
図3の重量不良データの表示画面に併せて表示するようにしてもよい。
【0094】
上記
図4のように、制御部18の記憶部27に対処情報が記憶されておらず、対処情報が無い状態で、作業員が、異常の原因を特定して適切な措置をとって前段の装置の不具合を解消できた場合、すなわち、問題を解決した場合の対処情報の入力画面の一例を、
図6に示す。
【0095】
図6の入力画面では、異常パターンに対応する重量不良のエラーメッセージのNo.Xが表示されるメッセージNo.表示部42が設けられ、問題を解決した作業員は、アップキー43、ダウンキー44を操作して、
図4で指定されたエラーメッセージNo.を表示する。作業員は、その下方にポップアップ表示される日本語入力画面45に、キー入力領域46の図示しないキーを操作して対処情報を、メッセージとして入力する。この入力する対処情報は、問題を解決するためにどのような措置をとったかを示す情報であり、この対処情報には、作業員が特定した異常パターンの発生の原因、被検査物品3の品種、異常パターンが発生した日付・時刻等のデータを含めてもよい。
【0096】
これによって、入力された対処情報が、異常パターンに対応するエラーメッセージのNo.Xの異常パターンと関連付けて制御部18の記憶部27に記憶される。
【0097】
したがって、その後、同じ異常パターンが発生したときには、上記
図5において、情報表示部41の「組合せ秤の計量ホッパの排出ゲートの動作不良をチェックして下さい。」のメッセージに代えて、
図6の入力画面で入力したメッセージが、対処情報として表示される。
【0098】
次に、フローチャートに基づいて、重量値変化のパターンの検出、異常パターンであるか否かの判定、及び、対処情報の表示等の処理について、更に詳細に説明する。
【0099】
図7は、重量選別機5の全体処理を示すフローチャートである。
【0100】
先ず、各種設定及び運転パラメータを設定し(ステップS1)、運転がONされたか否かを判断し(ステップS2)、ONされたときには、通常の運転処理を行い(ステップS3)、被検査物品3を搬送しながら計量した重量値(計量値)の記憶処理を行い(ステップS4)、計量データを表示し(ステップS5)、搬送しながら計量した被検査物品3の重量値変化のパターンを検出するパターン検出プログラムを実行し(ステップS6)、運転がOFFされたか否かを判断し(ステップS7)、OFFされたときには、ステップS8に移り、OFFされていないときには、ステップS3に戻る。
【0101】
ステップS8では、上記の対処情報の更新・追加を行い、電源のOFF操作がされたか否かを判断し(ステップS9)、OFF操作されたときにきは、電源をOFFして終了し、OFF操作されていないときには、ステップS2に戻る。
【0102】
なお、
図7では、運転をOFFにしてから、対処情報を更新・追加するようにしているが、対処情報の更新・追加は、運転中に行ってもよい。また、
図7のステップS4では、計量した被検査物品3の重量値(計量値)だけではなく、被検査物品3の品種、日付及び時刻、生産開始からの経過時間などのデータを記憶しておき、必要に応じて、例えば、上記
図3の重量データと併せて表示できるようにしてもよい。これによって、異常パターンが発生したときの品種や時刻等を把握することができ、対処情報を入力する際に、上記のように、これら品種や時刻等のデータを対処情報に含ませてもよい。
【0103】
図8は、上記
図7のステップS6における、被検査物品3の重量値変化のパターンを検出するパターン検出プログラムの処理の一例を示すフローチャートである。
【0104】
この
図8では、計量される被検査物品3において、重量値が下限重量値以上、上限重量値以下の所定重量範囲外の不良品が発生すると、パターン検出中フラグをセットして、計量される被検査物品3の重量値の範囲に応じた、制御部18に内蔵された各種カウンタによって、被検査物品3の数を計数する。前記被検査物品3の重量値が、下限重量値を大きく外れてマイナス側の場合は、超不足カウンタによって計数する。同様にして、計量される被検査物品3の重量値が、どの重量範囲に属するかに応じて、不足カウンタ、超過量カウンタ、過量カウンタによって計数する。そして、不良品が発生して上記のようにパターン検出中フラグをセットすると、それ以降搬入される被検査物品3を重量値に応じて、所定回数分、例えば、10回分、前記各種カウンタによって計数する。前記所定回数の計数は、パターン検出カウンタによって行う。
【0105】
具体的には、
図8に示すように、パターン検出中フラグがONしているか否かを判断し(ステップS10)、ONしているときには、ステップS14に移り、ONしていないときには、ステップS11に移る。
【0106】
ステップS11では、計量された被検査物品3の重量値(計量値)knが、下限重量値以上、上限重量値以下の所定重量範囲であるか否かを判断し、所定重量範囲であるとき、すなわち、良品であるときは、終了し、所定重量範囲でないときには、不良品であるとして、超不足カウンタ、不足カウンタ、過量カウンタ、超過量カウンタ、パターン検出カウンタを初期化し(ステップS12)、パターン検出中フラグをONしてステップS14に移る(ステップS13)。
【0107】
ステップS14では、計量された被検査物品3の重量値knが、下限重量値に比べて極端に小さいか否か、すなわち、超不足であるか否かを判断し、超不足であるときには、超不足カウンタの計数値をインクリメントしてステップS16に移り(ステップS15)、超不足でないときには、計量された被検査物品3の重量値が、下限重量値に比べて極端に小さくはないが、下限重量値未満の不足であるか否かを判断し(ステップS20)、不足であるときには、不足カウンタの計数値をインクリメントしてステップS16に移り(ステップS21)、不足でないときには、ステップS22に移る。
【0108】
ステップS22では、計量された被検査物品3の重量値knが、上限重量値に比べて極端に大きいか否か、すなわち、超過量であるか否かを判断し、超過量であるときには、超過量カウンタの計数値をインクリメントしてステップS16に移り(ステップS23)、超過量でないときには、計量された被検査物品3の重量値knが、上限重量値に比べて極端に大きくはないが、上限重量値を超える過量であるか否かを判断し(ステップS24)、過量であるときには、過量カウンタの計数値をインクリメントしてステップS16に移り(ステップS25)、過量でないときには、ステップS16に移る。
【0109】
ステップS16では、パターン検出カウンタの計数値をインクリメントしてステップS17に移り、パターン検出カウンタの計数値が、所定値、例えば、上記10回になったか否かを判断し、所定値になったときには、不良品が発生してパターン検出中フラグをセットしてから、所定回数分の被検査物品3の計量が終了したとして、ステップS18に移り、所定値になっていないときには、終了する。ステップS18では、検出した被検査物品3の重量値変化のパターンが、異常パターンであるか否かの判定処理と、異常パターンであるときのエラーメッセージの表示処理を行い、パターン検出中フラグをOFFして終了する(ステップS19)。
【0110】
図9及び
図10は、上記
図8のステップS18における、異常パターンの判定及びエラーメッセージ表示の処理の一例を示すフローチャートである。
【0111】
図9に示すように、超不足カウンタの計数値(超不足カウンタ数)と超過量カウンタの計数値(超過量カウンタ数)とを加算した加算計数値を、パターン検出カウンタの計数値(パターン検出カウンタ数)で除算して100を乗じた値が、所定数以上であるか否か、すなわち、下記式(1)が成立するか否かを判断する(ステップS30)。
【0112】
[(超不足カウンタの計数値+超過量カウンタの計数値)/(パターン検出カウンタの計数値)]×100(%)≧所定数(%) ・・・(1)
この式(1)は、超不足の不良品と超過量の不良品とを加算した不良品の数の、パターン検出カウンタで計数される所定回数に占める割合(%)が、所定数(%)以上であることを示している。
【0113】
すなわち、不良品を検出した後、パターン検出カウンタで計数される所定回数、例えば、10回被検査物品3を計量した場合に、その10回に占める、超不足と超過量の不良品とを加算した不良品の数の割合(%)が、所定数(%)以上であることを示している。
【0114】
したがって、この式(1)が成立すると、所定重量範囲から大きく外れた超不足の不良品と超過量の不良品が多いことになり、この場合、超不足の不良品と超過量の不良品とが、どのような割合であるかに応じて、後述のエラーメッセージNo.1〜No.4に対応する4つの異常パターンのいずれの異常パターンであるかを判定する。
【0115】
上記式(1)が成立するときには、ステップS31に移り、上記式(1)が成立しないときには、
図10のステップS41に移る。
【0116】
図10のステップS41では、超不足カウンタの計数値(超不足カウンタ数)と、不足カウンタの計数値(不足カウンタ数)と、過量カウンタの計数値(過量カウンタ数)と、超過量カウンタの計数値(超過量カウンタ数)とを加算した加算計数値を、パターン検出カウンタの計数値(パターン検出カウンタ数)で除算して100を乗じた値が、所定数以上であるか否か、すなわち、下記式(2)が成立するか否かを判断する。
【0117】
[(超不足カウンタの計数値+不足カウンタの計数値+過量カウンタの計数値+超過量カウンタの計数値)/(パターン検出カウンタの計数値)]×100(%)≧所定数(%) ・・・(2)
この式(2)は、超不足の不良品と不足の不良品と過量の不良品と超過量の不良品を加算した不良品の数の、パターン検出カウンタで計数される所定回数に占める割合(%)が、所定数(%)以上であることを示している。
【0118】
すなわち、不良品を検出した後、パターン検出カウンタで計数される所定回数、例えば、10回被検査物品3を計量した場合に、その10回に占める、超不足と不足と過量と超過量の不良品とを加算した不良品の数の割合(%)が、所定数(%)以上であることを示している。
【0119】
したがって、この式(2)が成立すると、不良品が多いことになり、この場合、超不足、不足、過量、超過量の不良品が、どのような割合であるかに応じて、後述のエラーメッセージNo.5〜No.8に対応する4つの異常パターンのいずれの異常パターンであるかを判定する。
【0120】
上記式(2)が成立するときには、ステップS42に移り、上記式(2)が成立しないときには、異常パターンでないと判定して終了する。
【0121】
図9のステップS31では、不良品は、超不足の不良品だけであるか否かを判断し、不良品が超不足の不良品だけであるときには、第1の異常パターンであると判定してその第1の異常パターンに対応するエラーメッセージNo.1をセットしてステップS33に移る(ステップS32)。
【0122】
ステップS31で、不良品が超不足の不良品だけでないときには、ステップS35に移り、不良品は、超過量の不良品だけであるか否かを判断し、不良品が超過量の不良品だけであるときには、第2の異常パターンであると判定してその第2の異常パターンに対応するエラーメッセージNo.2をセットしてステップS33に移る(ステップS36)。
【0123】
ステップS35で、不良品が超過量の不良品だけでないときには、ステップS37に移り、超不足の不良品の数が、超過量の不良品の数より大きいか否かを判断し、超不足の不良品の数が、超過量の不良品の数より大きいときには、第3の異常パターンであると判定してその第3の異常パターンに対応するエラーメッセージNo.3をセットしてステップS33に移る(ステップS38)。
【0124】
ステップS37で、超不足の不良品の数が、超過量の不良品の数より大きくないときには、第4の異常パターンであると判定してその第4の異常パターンに対応するエラーメッセージNo.4をセットしてステップS33に移る(ステップS)。
【0125】
図10のステップS42では、不良品は、超不足と不足の不良品だけであるか否かを判断し、不良品が、超不足と不足の不良品だけであるときには、第5の異常パターンであると判定してその第5の異常パターンに対応するエラーメッセージNo.5をセットしてステップS33に移り(ステップS43)、不良品が、超不足と不足の不良品だけでないときには、ステップS44に移る。ステップS44では、不良品は、超過量と過量の不良品だけであるか否かを判断し、不良品が、超過量と過量の不良品だけであるときには、第6の異常パターンであると判定してその第6の異常パターンに対応するエラーメッセージNo.6をセットしてステップS33に移り(ステップS45)、不良品が、超過量と過量の不良品だけでないときには、ステップS46に移る。
【0126】
ステップS46では、不足の不良品の数が、過量の不良品の数より大きいか否かを判断し、不足の不良品の数が、過量の不良品の数より多いときには、第7の異常パターンであると判定してその第7の異常パターンに対応するエラーメッセージNo.7をセットしてステップS33に移り(ステップS47)、不足の不良品の数が、過量の不良品の数より多くないときには、第8の異常パターンであると判定してその第8の異常パターンに対応するエラーメッセージNo.8をセットしてステップS33に移る(ステップS48)。
【0127】
図9のステップS33では、判定された異常パターンに応じてセットされたエラーメッセージNo.に表示するデータがあるか否かを判断する。すなわち、判定された異常パターンに関連付けられた対処情報が、制御部18の記憶部27に記憶されているか否かを判断し、対処情報が記憶されているときには、作業員の操作に応じてエラーメッセージとしてその対処情報を表示して報知する(ステップS34)。作業員は、エラーメッセージとして表示される対処情報に基づいて、生産ラインを構成する装置の調整・修理等を行って不具合を解消するが、エラーメッセージとして表示された対処情報の内容とは異なる調整・修理等を行う場合がある。そこで、ステップS34では、必要であれば、対処情報を修正、追記するように促すメッセージ、例えば、「必要であれば、データを修正・追記して下さい。」と表示して終了する。
【0128】
ステップS33で、判定された異常パターンに関連付けられた対処情報が、制御部18の記憶部27に記憶されていないときには、対処情報のデータが無く、作業員が、自ら異常の原因を特定して適切な措置をとって前段の装置の不具合を解消したとき、すなわち、問題を解決したときには、その適切な措置を、対処情報としてデータ入力するように促すメッセージ、例えば、「データがありません。問題を解決した場合は、データを入力して下さい。」と表示して終了する(ステップS40)。
【0129】
なお、
図9、
図10のフローチャートには記載していないが、重量不良の被検査物品3が頻発して、上記の各エラーメッセージが表示された場合、重量選別機5は、図示しない通信線を介して生産ラインを構成する組合せ秤1等の各各装置へ信号を送って生産ラインを停止させ、作業員が、生産ラインを構成する装置の調整・修理を行う。
【0130】
本実施形態によれば、所定重量範囲外の重量値変化のパターンを、異常を報知すべき異常パターンとして予め記憶部27に記憶させておき、判定部28によって、計量される被検査物品3の重量値変化のパターンが、異常パターンであると判定された場合には、その異常パターンに対処するための対処情報が、記憶部27に記憶されているときには、操作設定表示器22にその対処情報を表示することができるので、保守等を行う作業員は、表示された対処情報に基づいて、適切な措置をとることができ、異常が発生した場合の対処が容易となる。
【0131】
また、対処情報が、記憶部27に記憶されていなくても、作業員が、異常の原因を特定し、適切な措置をとることができたときには、その適切な措置を、操作設定表示器22を操作して入力し、記憶部27に記憶させることができる。
【0132】
したがって、その後、同じ原因で同様の異常パターンが生じた場合には、記憶部27に記憶されている対処情報を操作設定表示器22に表示することができるので、作業員は、表示された対処情報に基づいて、容易に対処することができる。
【0133】
このように、当初は、対処情報が記憶部27に記憶されていなくても、異常パターンが発生し、原因を特定して適切な措置をとったときには、その適切な措置を対処情報として記憶部27に記憶させることができ、更に、対処情報は、修正することができるので、当該重量選別機5を使用するにつれて、対処情報を、現実の生産ラインに合ったものに更新することができ、異常パターンが発生したときの対処が一層適切なものとなる。
【0134】
作業員は、操作設定表示器22に表示される対処情報に基づいて、不具合が生じた装置の調整等を行うので、作業員が異なっても対処情報に基づいて、同じように装置の調整等を行うことができる。
【0135】
記憶部27に予め記憶された異常パターンは、ソフトウェアのバージョンアップによって、追加、修正できるので、異常パターン、及び、それに対処するための対処情報も追加、修正でき、重量選別機5の前段の装置の様々な不具合によって異常が生じても、早期に適切な措置をとることが可能となる。これによって、重量選別機5の前段の装置の不具合によって、生産ラインを停止せざるを得ない場合に、早期に適切な措置をとって生産ラインを稼働させることができ、生産ロス時間を少なくすることができる。
【0136】
上記実施形態では、計量される被検査物品3の重量値変化のパターンが、所定重量範囲外の異常パターンであると判定された場合に、その異常パターンの発生の原因となる前段の装置の不具合に対処するようにしたが、本発明の他の実施形態として、上記実施形態の構成に加えて、異常の発生が想定される場合に、警告を行う共に、その警告に対処するための警告対処情報を報知するようにしてもよい。
【0137】
すなわち、計量される被検査物品3の重量値が、所定重量範囲であっても、そのままの状態を継続すれば、所定重量範囲外の不良品が多数生じる、すなわち、異常が生じる虞があるときに、警告を行うと共に、その状態を改善するための警告対処情報を報知するものである。
【0138】
例えば、下限重量値よりも僅かに多め、あるいは、上限重量値よりも僅かに少なめの良品が連続するような状態に、警告を行うと共に、その状態を改善するための警告対処情報を報知できるようにするものである。
【0139】
この実施形態では、上記制御部18の記憶部27に、所定重量範囲内の重量値変化のパターンが、異常発生前の警告すべき警告パターンとして予め記憶される。また、入力操作部としての操作設定表示器22を操作することによって、警告パターンに関連付けて、警告パターンに対処するための警告対処情報を入力して記憶部27に記憶させる。判定部28は、計量される被検査物品3の重量値変化のパターンが、警告パターンであるか否かを判定し、警告パターンであると判定された場合に、その警告パターンに関連付けられた警告対処情報が、記憶部27に記憶されているときには、その警告対処情報を、操作設定表示器22に表示して報知するものである。
【0140】
図11は、この実施形態の重量データの警告画面の一例を示す図であり、上記実施形態の
図3に対応する図であり、対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0141】
画面の中央の矩形の重量変化表示部38aには、重量選別機5によって計量された被検査物品3の重量値の変化が、所定重量範囲の基準となる基準重量値、所定重量範囲の下限となる下限重量値、及び、所定重量範囲の上限となる上限重量値と共に表示される。更に、所定重量範囲において、警告下限重量値及び警告上限重量値が表示される。この警告下限重量値及び警告上限重量値は、ユーザによって、所定重量範囲が設定されると、それに応じて自動的に設定されるものであり、どのように設定するかは、警告パターンと共に、記憶部27に予め記憶されている。なお、警告下限重量値及び警告上限重量値を、ユーザ側で設定できるようにしてもよい。
【0142】
この
図11では、警告下限重量値未満の重量の良品の被検査物品3を検出後、10個分の良品の被検査物品3の重量値を取得した結果、10個の良品の被検査物品3の重量値の全てが基準重量値未満の良品であることを示している。この
図11の例は、良品の被検査物品3の重量値の全てが、基準重量値よりも小さい(マイナス側)である警告パターンを示している。
【0143】
重量変化表示部38aの下方には、警告パターンの内容を表示する警告表示部39aが表示され、警告パターンの内容、例えば、「重量値が基準重量値に対してマイナス側です。」といった表示がされる。重量変化表示部38aの右側には、警告パターンに応じた警告対処情報等をエラーメッセージとして表示させるためのメッセージ表示キー40aが設けられる。
【0144】
このメッセージ表示キー40aをタッチ操作することによって、上記実施形態の
図4または
図5に対応する画面が表示される。
【0145】
図12は、計量される被検査物品3の重量値変化のパターンを検出するためのパターン検出プログラムの処理の一例を示すフローチャートであり、上記
図8に対応するフローチャートである。
【0146】
先ず、パターン検出中フラグがONしているか否かを判断し(ステップS50)、ONしているときには、ステップS54に移り、ONしていないときには、ステップS51に移る。
【0147】
ステップS51では、計量された被検査物品3の重量値knが、警告下限重量値以上、警告上限重量値以下の警告が不要な重量範囲であるか否かを判断し、警告が不要な重量範囲であるときには、終了し、警告が不要な重量範囲でないときには、警告下限重量値未満の良品を計数する警告不足カウンタ、警告上限重量値を超える良品を計数する警告過量カウンタ、所定回数を計数するパターン検出カウンタを初期化し(ステップS52)、パターン検出中フラグをONしてステップS54に移る(ステップS53)。
【0148】
ステップS54では、計量された被検査物品3の重量値knが、警告下限重量値未満の良品であるか否かを判断し、警告下限値未満の良品であるときには、警告不足カウンタの計数値をインクリメントしてステップS56に移り(ステップS55)、警告下限値未満の良品でないときには、ステップS60に移る。
【0149】
ステップS60では、計量された被検査物品3の重量値knが、警告上限値を超える良品であるか否かを判断し、警告上限値を超える良品であるときには、警告過量カウンタの計数値をインクリメントしてステップS56に移り(ステップS61)、警告上限値を超える良品でないときには、ステップS56に移る。
【0150】
ステップS56では、パターン検出カウンタをインクリメントし、パターン検出カウンタの計数値が、所定値、例えば、10回になったか否かを判断し(ステップS57)、所定値になったときには、ステップS58に移り、所定値になっていないときには、終了する。ステップS58では、検出した被検査物品3の重量値変化のパターンが、警告パターンであるか否かを判定する判定処理と、警告パターンであるときの警告メッセージの表示処理を行い、パターン検出中フラグをOFFして終了する(ステップS59)。
【0151】
図13は、上記
図12のステップS58の警告パターンの判定及び警告メッセージ表示の処理の一例を示すフローチャートである。
【0152】
先ず、警告不足カウンタの計数値(警告不足カウンタ数)と警告過量カウンタの計数値(警告過量カウンタ数)とを加算した加算計数値を、パターン検出カウンタの計数値(パターン検出カウンタ数)で除算して100を乗じた値が、所定数以上であるか否か、すなわち、下記式(3)が成立するか否かを判断する(ステップS70)。
【0153】
[(警告不足カウンタの計数値+警告過量カウンタの計数値)/(パターン検出カウンタの計数値)]×100(%)≧所定数(%) ・・・(3)
この式(3)は、警告不足の良品と警告過量の良品とを加算した良品の数の、パターン検出カウンタで計数される所定回数に占める割合(%)が、所定数(%)以上であることを示している。
【0154】
上記式(3)が成立するときには、ステップS71に移り、上記式(3)が成立しないときには、警告パターンでないとして、終了する。ステップS71では、警告不足の良品だけであるか否かを判断し、警告不足の良品だけであるときには、第1の警告パターンであると判定してその第1の警告パターンに対応する警告メッセージNo.1をセットしてステップS73に移り(ステップS72)、警告不足の良品だけでないときには、ステップS75に移る。ステップS75では、警告過量の良品だけであるか否かを判断し、警告過量の良品だけであるときには、第2の警告パターンであると判定してその第2の警告パターンに対応する警告メッセージNo.2をセットしてステップS73に移り(ステップS76)、警告過量の良品だけでないときには、ステップS78に移る。
【0155】
ステップS78では、警告不足の良品の数が、警告過量の良品の数より多いか否かを判断し、警告不足の良品の数が、警告過量の良品の数より多いときには、第3の警告パターンであると判定してその第3の警告パターンに対応する警告メッセージNo.3をセットしてステップS73に移り(ステップS79)、警告不足の良品の数が、警告過量の良品の数より多くないときには、第4の警告パターンであると判定してその第4の警告パターンに対応する警告メッセージNo.4をセットしてステップS73に移る(ステップS80)。
【0156】
ステップS73では、セットされた警告メッセージNo.のメッセージに表示データである警告対処情報があるか否かを判断し、表示データがあるときには、その警告メッセージを表示し、更に、必要であれば、データを修正、追記するように促す表示を行って終了し(ステップS74)、表示データである警告対処情報がないときには、データが無く、問題を解決したときには、データを入力するように促す表示を行って終了する(ステップS77)。
【0157】
警告パターンと判定されて警告メッセージが表示されても、被検査物品3は、不良品でないので、生産ラインを止める必要はない。生産ラインを止めずに、生産ラインを構成する装置を運転しながら調整することもできる。
【0158】
異常パターンが発生したときには、警告パターンに優先して異常パターンに対する対処情報等のエラーメッセージを表示する。
【0159】
上記各実施形態では、対処情報を、操作設定表示器22によって表示して報知したけれども、表示に限らず、印字や音声などによって報知してもよい。
【0160】
上記各実施形態では、異常パターンや警告パターンであると判定されたときには、操作設定表示器22によって表示して報知したけれども、ブザ等の報知音や音声、あるいは、表示灯による点灯などによって報知してもよい。