特許第6676498号(P6676498)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6676498
(24)【登録日】2020年3月16日
(45)【発行日】2020年4月8日
(54)【発明の名称】物品の箱詰め方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 5/08 20060101AFI20200330BHJP
   B65B 35/36 20060101ALI20200330BHJP
   B65D 5/02 20060101ALI20200330BHJP
【FI】
   B65B5/08
   B65B35/36
   B65D5/02 M
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-155894(P2016-155894)
(22)【出願日】2016年8月8日
(65)【公開番号】特開2018-24443(P2018-24443A)
(43)【公開日】2018年2月15日
【審査請求日】2018年11月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000136387
【氏名又は名称】株式会社フジキカイ
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜幾
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 健司
(72)【発明者】
【氏名】松尾 智子
【審査官】 米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−111500(JP,A)
【文献】 特開昭57−017708(JP,A)
【文献】 特開2000−085717(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 5/08
B65B 35/36−35/58
B65D 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長方形の四隅が切欠かれて傾斜部(35,36)が設けられ、開口(30a)が斜め上方を向いた断面八角形状の箱(30)に、横断面の縦および横の長さ寸法が異なると共に該横断面の短辺が弧状に形成された容器からなる物品(10)を箱詰めする箱詰め方法であって、
前記物品(10)の短辺側が互いに向き合うよう横に整列された物品(10)の抽出口側をロボット(20)でまとめて把持し、該ロボット(20)でこれら複数の物品(10)を箱内に行ごとに順次積層して供給するに際し、
左右両側に傾斜部(35,35/36,36)が位置する行に物品(10)を供給するにあたり、該物品(10)をロボット(20)が把持してから箱内に供給するまでの間に、傾斜部(35,36)と対応するよう供給される物品(10,10)を、物品(10,10)における横断面の長手(D)が、箱(30)の長手方向に延在する側壁(34,34)から傾斜部(35,36)が傾く側と同じ側に傾く姿勢となるよう捻るようにした
ことを特徴とする物品の箱詰め方法。
【請求項2】
前記傾斜部(35,36)と対応するよう供給される物品(10)を、右回りまたは左回りのうちで小さい捻り角度で前記長手(D)が傾斜部(35,36)が傾く側と同じ側に傾く姿勢となる捻り方向に捻るようにしたことを特徴とする請求項1記載の物品の箱詰め方法。
【請求項3】
前記物品(10)を把持する前に、横に整列した各物品(10)の間隔を狭めるように幅寄せすることを特徴とする請求項1または2記載の物品の箱詰め方法。
【請求項4】
前記物品(10)を把持して箱内に供給するまでの間に、横に整列した各物品(10)の間隔を狭めるように幅寄せすることを特徴とする請求項1または2記載の物品の箱詰め方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ロボットによる物品の箱詰め方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ロボットハンドにより把持した複数の物品を、箱に箱詰めすることは行われている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、グルーピングコンベヤによって複数の物品を並列にグルーピングし、グルーピングされた物品をロボットハンドでまとめて把持して上向きに開口する箱に供給する工程を繰り返すことで、箱の内部に物品を複数行、複数列となるよう収容する技術が開示されている。また、物品を収容するための箱の圧縮強度の向上や、安定した棒積み(上下一列で積み重ねる積み方)や、中仕切りを不要として材料の使用量削減を図るべく、胴部が断面八角形状となっている箱(例えば、特許文献2参照)が用いられる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−45499号公報
【特許文献2】特許第3304991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記断面八角形状の箱では、物品を供給する開口も八角形状で四隅の壁が傾斜しているため、特に箱内への供給方向と直交する縦横比が異なる物品を複数並べた物品を箱詰めする場合では、対向する一対の傾斜壁の間に物品を並べて供給すると、端の物品が箱四隅の傾斜壁に当たってスムーズに供給することができないばかりか、特にマヨネーズやケチャップ容器のように容器を袋詰めした包装品においては、包材が箱にこすれて破袋したり傷が付いたり、あるいは箱が変形したりする問題を招く。そこで、箱の内寸を大きくすると、箱の物品収容状態において物品の周りに生じた隙間によって物品の整列状態が乱れるばかりでなく、物品が箱内で動いて物品が傷付いたりするおそれがあった。
【0005】
すなわち本発明は、従来の技術に係る前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、長方形の四隅が切欠かれて傾斜部が設けられている断面八角形状の箱に、箱や物品が破損等することなくスペース効率よく物品を箱詰めすることができる物品の箱詰め方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明の物品の箱詰め方法は、
長方形の四隅が切欠かれて傾斜部が設けられ、開口が斜め上方を向いた断面八角形状の箱に、横断面の縦および横の長さ寸法が異なると共に該横断面の短辺が弧状に形成された容器からなる物品を箱詰めする箱詰め方法であって、
前記物品の短辺側が互いに向き合うよう横に整列された物品の抽出口側をロボットでまとめて把持し、該ロボットでこれら複数の物品を箱内に行ごとに順次積層して供給するに際し、
左右両側に傾斜部が位置する行に物品を供給するにあたり、該物品をロボットが把持してから箱内に供給するまでの間に、傾斜部と対応するよう供給される物品を、物品における横断面の長手が、箱の長手方向に延在する側壁から傾斜部が傾く側と同じ側に傾く姿勢となるよう捻るようにしたことを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、断面八角形状の箱に物品を行ごとに供給して積層するに際し、箱の傾斜部に対応する物品については、長手が傾斜部が傾く側と同じ側に傾く姿勢となるように捻って傾けるようにしたので、物品を箱に引っ掛けることなくスムーズに供給することができ、箱や物品の包装材が破損等するのを防止することができる。また、箱のサイズに合った所定数の物品を箱詰めすることができるので、スペース効率を向上することができる。
【0007】
請求項2に係る発明では、前記傾斜部と対応するよう供給される物品を、右回りまたは左回りのうちで小さい捻り角度で前記長手が傾斜部が傾く側と同じ側に傾く姿勢となる捻り方向に捻るようにしたことを特徴とする。
請求項2に係る発明によれば、傾斜部と対応する物品を小さい捻り角度となる捻り方向に捻って傾けるので、姿勢転換に要する時間を短縮することができる。
【0008】
請求項3に係る発明では、前記物品を把持する前に、横に整列した各物品の間隔を狭めるように幅寄せすることを特徴とする。
請求項3に係る発明によれば、複数の物品を把持前に幅寄せするので、ロボットに幅寄せ手段を設ける必要はなく、構成を簡略化することができる。
【0009】
請求項4に係る発明では、前記物品を把持して箱内に供給するまでの間に、横に整列した各物品の間隔を狭めるように幅寄せすることを特徴とする。
請求項4に係る発明によれば、ロボットで把持した複数の物品を移送中に幅寄せするので、複数の物品を把持前に予め幅寄せする必要はなく、箱詰め作業の効率化を図ることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る物品の箱詰め方法によれば、長方形の四隅が切欠かれて傾斜部が設けられている断面八角形状の箱内に物品を供給するに際し、箱のサイズを大きくしなくても、袋詰めした物品が箱の内縁にこすれて破袋したり、物品や箱が変形したり、あるいは物品が箱の開口縁に引っ掛かってロボットによるスムーズな供給が阻害されるのを防止することができる。また、箱のサイズに合った個数の物品をスペース効率よく箱詰めすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の好適な実施例に係る物品の箱詰め方法に用いられる装置の一例を示す概略斜視図である。
図2】実施例に係るロボットのハンドリング手段で複数の物品を把持した状態を示す概略図であって、(a)は端の物品を傾ける前の状態を示し、(b)は箱に最初に供給する複数の物品のうちの端の物品を傾けた後の状態を示し、(c)は箱に最後に供給する複数の物品のうちの端の物品を傾けた後の状態を示している。
図3】実施例の箱詰め方法により物品が箱詰めされた箱を示すものであって、(a)は概略斜視図であり、(b)は開口側から見た物品の収容状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明に係る物品の箱詰め方法につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。ここで、本発明において対象となる物品10が箱詰めされる箱30は、図3に示す如く、胴部31が、長方形の四隅が切欠かれて傾斜部35,36が設けられている断面八角形状で、物品10の供給口となる開口30aが横長の八角形状に形成された段ボール箱である。なお、以下に説明する実施例では、開口30aの縦方向を箱30の短手方向、開口30aの横方向を箱30の長手方向と指称する。そして、箱30は、横長の八角形状に形成された底壁32の8つの端縁から夫々立ち上がる壁33,33,34,34,35,35,36,36で胴部31が構成される。具体的に胴部31は、長手方向に対向する一対の第1側壁33,33と、短手方向に対向する一対の第2側壁34,34と、第1側壁33および第2側壁34を連結する傾斜壁(傾斜部)35,35,36,36とから構成されており、胴部内に長手方向に6個で短手方向に4個の物品10が収容される箱30を例示している。なお、実施例の箱30は、各側壁33,34の上端にフラップ37が夫々連設されて、物品10の箱詰め後にフラップ37を折り重ねることで開口30aを閉じるよう構成されている。
【0013】
また、前記物品10は、その高さ方向に対する横断面(箱内への供給方向と直交する断面)が略長方形や略楕円形など、縦および横の長さ寸法が異なると共に横断面の短辺が弧状に形成された物品形状で、前記高さ方向の長さが前記横断面の長辺よりも長尺に設定されているマヨネーズやケチャップ等が充填されたチューブ容器の袋詰品である。そして、チューブ容器10は、チューブ本体10aの高さ方向に対する横断面が略楕円形となっている。なお、物品10は、包装材で包装されていないチューブ容器であってもよい。
【実施例】
【0014】
実施例に係る物品の箱詰め方法が実施される箱詰め装置は、図1に示す如く、ピロー包装で袋詰めされたチューブ容器からなる物品10(図では包装材を省略している)を横並び状態で多列搬送する物品搬送コンベヤ14と、この物品搬送コンベヤ14で搬出位置P1まで搬送された所定数の物品10を搬送路と交差する一側方の受け取り位置P2に向けて押し出すプッシャー16と、箱30を搬送する箱搬送コンベヤ18と、受け取り位置P2に押し出された物品10を箱内へ1行ずつまとめて把持して箱内に供給するロボット20とを備える。物品搬送コンベヤ14では、高さ方向の一端である抽出口10bが搬送路の一方側を向き、前記チューブ本体10aの横断面の長手Dが横方向(搬送方向)に揃う寝た姿勢で物品10が搬送される。そして、搬出位置P1まで搬送された所定数の物品10は、プッシャー16が容器底部を押して受け取り位置P2に押し出される。すなわち、受け取り位置P2には、物品搬送コンベヤ14から離間する側にチューブ容器の抽出口10bが向く寝た姿勢で所定数の物品10を横並び状態が維持されて押し出される。受け取り位置P2に押し出されて横断面の短辺側が互いに向き合うように横に整列された所定数の物品10は、一括して箱30に供給可能な横幅寸法となるように、該受け取り位置P2において物品間隔を狭めるように相互に幅寄せされる。なお、実施例では、箱30の長手方向に6個の物品10が横に並んだ1行ずつでまとめて供給されるようになっている。
【0015】
前記箱搬送コンベヤ18は、前記受け取り位置P2とロボット20との間を箱30が移動するように配置される。また、箱搬送コンベヤ18は、箱30の長手方向が搬送方向に沿うと共に開口30aを上向きとした姿勢で空の箱30を搬送すると共に、該箱30を箱詰め位置P3まで搬送する間に開口30aが斜め上向きとなる傾斜姿勢に姿勢転換するよう構成される。実施例では、箱30は開口30aがロボット側を向くように傾斜する姿勢に転換される。
【0016】
前記ロボット20は、三次元空間を自由に移動可能なロボットアーム22の端部に支持されたハンドリング手段24によって、受け取り位置P2において箱内へ供給する1行ずつの物品10を把持してまとめて取り上げ、箱詰め位置P3で開口30aが斜め上向きとなっている箱30の内部に、物品10の底部側から供給するよう構成される。ハンドリング手段24は、図2に示す如く、所定数の物品10の抽出口10bを個々に把持可能な把持手段としての挟持チャック26を横方向に直線的に並ベて配設している。また、並び方向の端に位置する挟持チャック26,26は、回転式エアシリンダやサーボモータ等からなる駆動手段(図示せず)によって回動可能に構成される。実施例では、両端部に位置する挟持チャック26は、後述する物品10を捻って傾ける際の回転方向が夫々逆向きとなるよう設定され、挟持チャック26で把持した物品10が小さい回転角度で箱30の四隅Sを形成する前記傾斜壁35,36の傾斜に対応するように該物品10が傾けられる。物品10の横断面における縦・横長さの内の長手Dが、図2(b),(c)に示す如く、箱30の四隅Sが切欠かれた切欠部に対応して傾く姿勢となるように物品10が捻られる。なお、箱30の四隅Sに対応して箱内へ供給される物品10の捻り角度は、前記傾斜壁35,36の傾斜に合わせて右回りまたは左回りかの捻り方向と捻り角度が設定されている。また、両端以外の挟持チャック26は、該チャック26で把持した物品10が箱30における隅S(傾斜壁35,36)を外れた位置に供給されるので捻り構成とする必要はない。
【0017】
次に、実施例に係る物品の箱詰め方法の作用について説明する。前記ロボット20は、前記受け取り位置P2にプッシャー16によって押し出された各物品10における抽出口10bをハンドリング手段24の対応する挟持チャック26で夫々把持し(図2(a)参照)、物品10を箱詰めされる1行ずつまとめて取り上げる。そして、ロボット20は、ハンドリング手段24で把持している物品10を、箱詰め位置P3の上方に移動すると共に、該箱詰め位置P3の開口30aを斜め上向きとされた箱30の開口30aに物品10の底部側を向ける姿勢とする。傾斜姿勢となっている箱30の下側(一方)の第2側壁34の両端(横方向両側)に位置する一対の傾斜壁35,35の間(左右両側に傾斜壁35,35が位置する行)に物品10を供給する場合、ロボット20は、物品10を受け取り位置P2から取り上げて箱30に供給するまでの間に、物品10における並び方向の端に位置する物品10,10を把持している挟持チャック26,26を、物品10の高さ方向に沿う軸回りで所定方向に回転して物品10,10の姿勢転換を行い、該物品10,10の横断面における長手Dが対応する傾斜壁35,35の傾斜に合わせて傾いた姿勢とする(図2(b)、図3(b)参照)。なお、把持した1行分の物品10の両端の一方と他方とでは夫々の捻り方向が逆方向となっており、捻り角度が小さい方の角度分捻られて、物品10,10の横断面における長手Dが対応する傾斜壁35,35の傾斜に合わせて傾けられる。具体的に、図2(b)に示す如く、両端の物品10,10は、上側の面が夫々隣接する物品側を向くように夫々所定角度だけ反対方向に捻られる。すなわち、両端の物品10,10は、隣接する物品10とは反対側を向く端部が、上方に持ち上がって傾いた姿勢になるよう捻られる。そして、ロボット20は、箱30の隅Sに供給される対応する物品10,10が夫々傾けられた1行分の物品10を一括して開口30aから箱30の内部に供給し、全ての挟持チャック26による物品10の把持を解除する。これにより、図3(b)に示す如く、箱30の中には、最下段の1行分の物品10が、並び方向の両端に位置する物品10,10が傾斜壁35,35の傾斜に合って傾けられると共に、その両端の物品間において横並びとなった物品10が、その横断面における長手Dが横方向となって整列状態で収容される。
【0018】
前記ロボット20は、物品10を1行ずつまとめて把持して箱内に供給する動作を繰り返すようになっており、前記箱30の最下段に物品10を供給したハンドリング手段24で受け取り位置P2に押し出された次の物品10をまとめて把持し、各行の物品10の上に積層するように箱30の内に供給して1行ずつの物品10が積み上げられる。なお、2行目および3行目として積み重なる物品10は、箱30における隅S(傾斜壁35,36)を外れた位置に供給されるので、挟持チャック26は捻り動作することなく1行分の物品10の全ての把持姿勢が変わることなく横並びに整列して箱30の開口30aから内方へ供給される(図3(b)参照)。
【0019】
前記ロボット20は、箱30の上側(他方)の第2側壁34の両端(横方向両側)に位置する傾斜壁36,36に臨む物品10を含む1行分の物品10を傾斜壁36,36の間(左右両側に傾斜壁36,36が位置する行)に供給する際には、前述した最初の供給行の物品10を箱30に供給するのと同様に、物品10を受け取り位置P2から取り上げて箱30に供給するまでの間に、物品10における並び方向の端に位置する物品10,10を把持している挟持チャック26,26を物品10の高さ方向に沿う軸回りで所定方向に回転して物品10,10の姿勢転換を行い、該物品10,10の横断面における長手Dが対応する傾斜壁36,36の傾斜に合わせて傾いた姿勢とする(図3(b)参照)。なお、最終行の物品10の両端の物品10,10は、最初の行の両端の物品10,10を供給する際の物品10の捻り方向とは逆向きに捻って傾けられる。具体的に、図2(c)に示す如く、両端の物品10,10における隣接する物品10を向く端部が、上方に持ち上がって傾いた姿勢になるよう捻られる。そして、ロボット20は、最終行の物品10を箱内に供給した後に全ての物品10の把持を解放する。これにより、図3(b)に示す如く、箱30の内部には、最終行の物品10が並ぶ左右端となる物品10,10が傾斜壁36,36の傾斜に合った姿勢に傾けられて左右に整列した物品10が箱内に収容される。
【0020】
前述した箱詰め方法によれば、受け取り位置P2から1行分の物品10を取り上げてから断面八角形状の箱30に物品10を供給する前に、箱30の四隅Sに供給される対応する物品10を、その横断面の長手Dが箱30の隅Sを形成する傾斜壁35,36の傾斜に合うように捻って傾けるので、物品10を箱30の開口縁に引っ掛かけることなくスムーズに供給することができる。すなわち、物品10としてチューブ容器を包装材で包装した袋詰品を対象とする場合では、箱30との接触によって包装材が破袋したり箱30が内側から押されて変形したりするのを防止することができる。また、箱30のサイズを大きくする必要はないので、所定個数の物品10をスペース効率よく箱詰めできる。それにより、箱30の内部に無駄な隙間ができず、整列して箱詰めされた物品10が箱内で移動して姿勢を乱したり物品同士がこすれ合って傷付いたり容器の外側を覆う包装材が損傷等するのを防止することができる。
【0021】
また、箱30の開口30aを斜め上側に向けて箱30を支持しているので、箱内へ1行ずつ積層する物品10の整列状態や姿勢を乱すことなく良好に箱詰めすることができる。また、物品10を捻って傾ける捻り方向について、対応する傾斜壁35,36の傾斜に小さい捻り角度で合うように傾く方向としたので、姿勢転換に時間を要することなくロボット20の箱詰め処理の高速化が可能となる。実施例では、ロボット20で複数の物品10を把持する前に、1行分の物品10の横幅を箱内に供給可能な寸法とするように各物品10の間隔を狭めるように幅寄せするようにしたので、ロボット20に幅寄せ手段を設ける必要はなく、該ロボット20の構成を簡略化することができる。
【0022】
(変更例)
本発明は実施例の構成に限定されるものではなく、例えば、以下のようにも変更実施可能である。また、以下の変更例に限らず、実施例に記載した構成については、本発明の主旨の範囲内において種々の実施形態を採用し得る。
(1)物品10の横断面における長手Dが横方向に揃う物品10をハンドリング手段24で把持して箱30の内部に供給するようにしたが、物品10の横断面における短手が横方向に揃う物品10をハンドリング手段24で把持して箱30の内部に供給するようにしてもよい。
(2)箱30の各フラップ37を折り重ねることで開口30aを閉じるセットアップ式段ボール箱を例示したが、別体の蓋体を箱30に被せて開口30aを閉じる形態の段ボール箱を用いるようにしてもよい。
(3)物品10の受け取り位置P2で箱30への収容間隔に合わせて物品10を幅寄せして整列した1行分の物品10をロボット20のハンドリング手段24で把持するようにしたが、物品10はロボット20のハンドリング手段24で把持した後に、1行の横幅を箱内に供給可能な寸法とするように物品10を幅寄せするものであってもよい。例えば、ハンドリング手段24の挟持チャック26を並び方向に移動自在に支持し、モータやシリンダ等の駆動手段によって各挟持チャック26を並び方向に相互に接近・離間移動する構成とすればよい。この構成によれば、物品10を移送中に幅寄せするので箱詰め作業の効率化を図ることができる。
【符号の説明】
【0023】
10 物品,20 ロボット,30 箱,30a 開口,34 第2側壁(側壁)
35 傾斜壁(傾斜部),36 傾斜壁(傾斜部),D 長手
図1
図2
図3