特許第6676501号(P6676501)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6676501粘着シート、表示体およびそれらの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6676501
(24)【登録日】2020年3月16日
(45)【発行日】2020年4月8日
(54)【発明の名称】粘着シート、表示体およびそれらの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20200330BHJP
   C09J 133/04 20060101ALI20200330BHJP
   C09J 201/10 20060101ALI20200330BHJP
   C09J 4/00 20060101ALI20200330BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20200330BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20200330BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20200330BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20200330BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20200330BHJP
【FI】
   C09J7/38
   C09J133/04
   C09J201/10
   C09J4/00
   C09J11/06
   B32B27/00 M
   B32B27/30 A
   G02F1/1335
   G02B5/30
【請求項の数】11
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2016-161331(P2016-161331)
(22)【出願日】2016年8月19日
(65)【公開番号】特開2018-28040(P2018-28040A)
(43)【公開日】2018年2月22日
【審査請求日】2019年5月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(74)【代理人】
【識別番号】100176407
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 理啓
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 旭平
(72)【発明者】
【氏名】荒井 隆行
(72)【発明者】
【氏名】所司 悟
【審査官】 田澤 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/063405(WO,A1)
【文献】 国際公開第2015/155844(WO,A1)
【文献】 特開2013−129799(JP,A)
【文献】 特開平10−279900(JP,A)
【文献】 特開2012−111871(JP,A)
【文献】 特開2011−184582(JP,A)
【文献】 特開2014−074097(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
B32B 1/00−43/00
G02F 1/1335
G02B 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一の表示体構成部材と、他の表示体構成部材とを貼合するための粘着剤層を備えた粘着シートであって、
前記粘着剤層が、
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)と熱架橋剤(B)とから構成される架橋構造を有するとともに、
活性エネルギー線硬化性成分(C)と、
アルコキシシリル基含有ポリマー(D)と、
シランカップリング剤(E)と
を含有する活性エネルギー線硬化性の粘着剤からなる
ことを特徴とする粘着シート。
【請求項2】
前記アルコキシシリル基含有ポリマー(D)の重量平均分子量が、1万以上、10万以下であることを特徴とする請求項1に記載の粘着シート。
【請求項3】
前記アルコキシシリル基含有ポリマー(D)が、当該ポリマーを構成するモノマー単位として、ホモポリマーとしてのガラス転移温度が70℃以上のハードモノマーを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の粘着シート。
【請求項4】
前記(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)が、当該重合体を構成するモノマー単位として、分子内に脂環式構造を有するモノマーを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の粘着シート。
【請求項5】
前記(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)が、当該重合体を構成するモノマー単位として、分子内に窒素原子を有するモノマーを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の粘着シート。
【請求項6】
前記一の表示体構成部材が、厚さ0.5mm以上、5mm以下の樹脂板であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の粘着シート。
【請求項7】
前記一の表示体構成部材が、少なくとも貼合される側の面にハードコート層を有しない樹脂板であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の粘着シート。
【請求項8】
前記粘着シートが、2枚の剥離シートを備えており、
前記粘着剤層が、前記2枚の剥離シートの剥離面と接するように前記剥離シートに挟持されている
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の粘着シート。
【請求項9】
一の表示体構成部材と、他の表示体構成部材とを貼合するための粘着剤層を備えた粘着シートの製造方法であって、
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)と、
熱架橋剤(B)と、
活性エネルギー線硬化性成分(C)と、
アルコキシシリル基含有ポリマー(D)と、
シランカップリング剤(E)と
を含有する粘着性組成物を塗工し、熱架橋することにより、活性エネルギー線硬化性の粘着剤層を形成する
ことを特徴とする粘着シートの製造方法。
【請求項10】
一の表示体構成部材と、
他の表示体構成部材と、
前記一の表示体構成部材と前記他の表示体構成部材とを互いに貼合する硬化後粘着剤層と
を備えた表示体であって、
前記硬化後粘着剤層が、
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)と熱架橋剤(B)とから構成される架橋構造を有するとともに、
活性エネルギー線硬化性成分(C)の硬化物と、
アルコキシシリル基含有ポリマー(D)と、
シランカップリング剤(E)と
を含有する粘着剤からなることを特徴とする表示体。
【請求項11】
一の表示体構成部材と他の表示体構成部材とを、請求項1〜8のいずれか一項に記載の粘着シートの粘着剤層を介して貼合してなる積層体を作製し、
前記積層体の前記粘着剤層に対して活性エネルギー線を照射し、前記粘着剤層を硬化させて硬化後粘着剤層とする
ことを特徴とする表示体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示体構成部材を貼合するための粘着シートおよび表示体構成部材を貼合してなる表示体、ならびにそれらの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の携帯電話機、スマートフォン、タブレット端末等の各種モバイル電子機器は、液晶素子、発光ダイオード(LED素子)、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)素子等を有する表示体モジュールを使用した表示体(ディスプレイ)を備えている。
【0003】
かかるディスプレイにおいては、通常、表示体モジュールの表面側に保護パネルが設けられている。保護パネルと表示体モジュールとの間には、外力により保護パネルが変形したときにも、変形した保護パネルが表示体モジュールにぶつからないように、空隙が設けられている。
【0004】
しかしながら、上記のような空隙、すなわち空気層が存在すると、保護パネルと空気層との屈折率差、および空気層と表示体モジュールとの屈折率差に起因する光の反射損失が大きく、ディスプレイの画質が低下するという問題がある。そこで、保護パネルと表示体モジュールとの間の空隙を粘着剤層で埋めることにより、ディスプレイの画質を向上させることが提案されている。
【0005】
例えば、特許文献1には、紫外線架橋性部位を有する(メタ)アクリル酸エステルを含むモノマーの(メタ)アクリル共重合体を含んでなる紫外線架橋性粘着シートを使用して、保護パネルと表示体モジュールとの間の空隙を埋めることが開示されている。
【0006】
ところで、表示体においては、保護パネルと表示体モジュールとの間の空隙を埋めること以外にも粘着剤層が使用されることがある。例えば、特許文献2には、多官能エポキシ基含有有機ケイ素化合物を含む粘着剤組成物から形成される粘着剤層により、液晶セルと偏光板とを貼合することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−184582号公報
【特許文献2】特開2014−074097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のような粘着剤層を含む表示体では、耐久条件下で粘着剤層に問題が生じることがある。例えば、高温高湿条件を施したときに、保護パネルである樹脂板からアウトガスが発生して、気泡、浮き、剥がれ等のブリスターが発生したりすることがある。
【0009】
特に、車載用の表示体では、耐久性が求められる観点から、比較的厚さの厚い樹脂製保護パネルが使用されたり、コスト削減の観点から、粘着シートが貼合される側の面におけるハードコート処理が省略された樹脂製保護パネルが使用されることがある。このような保護パネルを使用する場合、アウトガスの発生量が比較的多くなるため、特許文献1および2に開示されるような従来の粘着シートでは、ブリスターの発生を十分に抑制することができないことがあった。
【0010】
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、アウトガスの発生量が比較的多い表示体構成部材に貼合される場合であっても、耐ブリスター性に優れる粘着シート、耐ブリスター性に優れる表示体、ならびにそれらの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、第1に本発明は、一の表示体構成部材と、他の表示体構成部材とを貼合するための粘着剤層を備えた粘着シートであって、前記粘着剤層が、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)と熱架橋剤(B)とから構成される架橋構造を有するとともに、活性エネルギー線硬化性成分(C)と、アルコキシシリル基含有ポリマー(D)と、シランカップリング剤(E)とを含有する活性エネルギー線硬化性の粘着剤からなることを特徴とする粘着シートを提供する(発明1)。
【0012】
上記発明(発明1)に係る粘着シートでは、粘着剤層が活性エネルギー線硬化性の粘着剤からなるため、当該粘着剤層を介して表示体構成部材同士を貼合した後に、当該粘着剤層に対して活性エネルギー線を照射することで、当該粘着剤層を硬化させることができる。さらに、硬化後の粘着剤層における表示体構成部材に貼合される面の近傍では、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)が熱架橋剤(B)によって架橋されて形成される三次元架橋構造に対して、アルコキシシリル基含有ポリマー(D)が絡みつくように存在するものと推定される。これにより、硬化後の粘着剤層における上記面の膜密度が増加するものと推定される。加えて、シランカップリング剤(E)により、アルコキシシリル基含有ポリマー(D)同士の架橋がスムーズに進行し、硬化後の粘着剤層における上記面の膜強度がさらに増強されるものと推定される。以上の結果、アウトガスの発生量が比較的多い表示体構成部材に貼合される場合であっても、優れた耐ブリスター性を達成することができる。
【0013】
上記発明(発明1)において、前記アルコキシシリル基含有ポリマー(D)の重量平均分子量が、1万以上、10万以下であることが好ましい(発明2)。
【0014】
上記発明(発明1,2)において、前記アルコキシシリル基含有ポリマー(D)が、当該ポリマーを構成するモノマー単位として、ホモポリマーとしてのガラス転移温度が70℃以上のハードモノマーを含むことが好ましい(発明3)。
【0015】
上記発明(発明1〜3)において、前記(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)が、当該重合体を構成するモノマー単位として、分子内に脂環式構造を有するモノマーを含むことが好ましい(発明4)。
【0016】
上記発明(発明1〜4)において、前記(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)が、当該重合体を構成するモノマー単位として、分子内に窒素原子を有するモノマーを含むことが好ましい(発明5)。
【0017】
上記発明(発明1〜5)において、前記一の表示体構成部材が、厚さ0.5mm以上、5mm以下の樹脂板であることが好ましい(発明6)。
【0018】
上記発明(発明1〜6)において、前記一の表示体構成部材が、少なくとも貼合される側の面にハードコート層を有しない樹脂板であることが好ましい(発明7)。
【0019】
上記発明(発明1〜7)において、前記粘着シートが、2枚の剥離シートを備えており、前記粘着剤層が、前記2枚の剥離シートの剥離面と接するように前記剥離シートに挟持されていることが好ましい(発明8)。
【0020】
第2に本発明は、一の表示体構成部材と、他の表示体構成部材とを貼合するための粘着剤層を備えた粘着シートの製造方法であって、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)と、熱架橋剤(B)と、活性エネルギー線硬化性成分(C)と、アルコキシシリル基含有ポリマー(D)と、シランカップリング剤(E)とを含有する粘着性組成物を塗工し、熱架橋することにより、活性エネルギー線硬化性の粘着剤層を形成することを特徴とする粘着シートの製造方法を提供する(発明9)。
【0021】
第3に本発明は、一の表示体構成部材と、他の表示体構成部材と、前記一の表示体構成部材と前記他の表示体構成部材とを互いに貼合する硬化後粘着剤層とを備えた表示体であって、前記硬化後粘着剤層が、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)と熱架橋剤(B)とから構成される架橋構造を有するとともに、活性エネルギー線硬化性成分(C)の硬化物と、アルコキシシリル基含有ポリマー(D)と、シランカップリング剤(E)とを含有する粘着剤からなることを特徴とする表示体を提供する(発明10)。
【0022】
第4に本発明は、一の表示体構成部材と他の表示体構成部材とを、上記粘着シート(発明1〜8)の粘着剤層を介して貼合してなる積層体を作製し、前記積層体の前記粘着剤層に対して活性エネルギー線を照射し、前記粘着剤層を硬化させて硬化後粘着剤層とすることを特徴とする表示体の製造方法を提供する(発明11)。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る粘着シートは、アウトガスの発生量が比較的多い表示体構成部材に貼合される場合であっても、耐ブリスター性に優れる。また、本発明に係る表示体は、耐ブリスター性に優れる。さらに、本発明に係る方法によれば、それら粘着シートおよび表示体を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態に係る粘着シートの断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る積層体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について説明する。
〔粘着シート〕
本実施形態に係る粘着シートは、一の表示体構成部材と、他の表示体構成部材とを貼合するための粘着剤層を備えた粘着シートである。表示体および表示体構成部材については、後述する。
【0026】
図1に示すように、一例としての本実施形態に係る粘着シート1は、2枚の剥離シート12a,12bと、それら2枚の剥離シート12a,12bの剥離面と接するように当該2枚の剥離シート12a,12bに挟持された粘着剤層11とから構成される。なお、本明細書における剥離シートの剥離面とは、剥離シートにおいて剥離性を有する面をいい、剥離処理を施した面および剥離処理を施さなくても剥離性を示す面のいずれをも含むものである。
【0027】
1.粘着剤層
上記粘着剤層11は、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)と熱架橋剤(B)とから構成される架橋構造を有するとともに、活性エネルギー線硬化性成分(C)と、アルコキシシリル基含有ポリマー(D)と、シランカップリング剤(E)とを含有する活性エネルギー線硬化性の粘着剤からなる。換言すると、上記粘着剤層11は、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)と、熱架橋剤(B)と、活性エネルギー線硬化性成分(C)と、アルコキシシリル基含有ポリマー(D)と、シランカップリング剤(E)とを含有する粘着性組成物(以下「粘着性組成物P」という場合がある。)を熱架橋してなる活性エネルギー線硬化性の粘着剤からなる。なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及びメタクリル酸の両方を意味する。他の類似用語も同様である。
【0028】
上記の通り、粘着シート1における粘着剤層11は、粘着性組成物Pを熱架橋してなる粘着剤からなり、当該粘着剤は、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)と熱架橋剤(B)とから構成される架橋構造(三次元網目構造)を有する。一方、活性エネルギー線硬化性成分(C)は、未だ硬化しておらず、粘着性組成物Pに配合されたままの状態で粘着剤中に存在する。この活性エネルギー線硬化性成分(C)は、粘着シート1の使用時(被着体を貼合したあと)に、粘着剤層11に対して活性エネルギー線が照射されたときに重合し硬化する。
【0029】
したがって、本実施形態に係る粘着シート1では、粘着シート1の粘着剤層11によって一の表示体構成部材と他の表示体構成部材とを貼合した後に、一の表示体構成部材または他の表示体構成部材を介して粘着剤層11に対して活性エネルギー線を照射することで、粘着剤層11を硬化させることができる。このように、本実施形態に係る粘着シート1では、熱架橋によって粘着剤層11中に形成された架橋構造が、活性エネルギー線の照射によりさらに硬化するため、得られる粘着剤層11は比較的高い凝集力を有するものとなる結果、優れた耐ブリスター性を達成することができる。
【0030】
さらに、本実施形態に係る粘着シート1では、粘着剤層11が、アルコキシシリル基含有ポリマー(D)とシランカップリング剤(E)とを含有する。これらの成分は、前述の通り、粘着剤層11または活性エネルギー線の照射によるその硬化物における表面の密度および強度を増大させるものと推定される。これにより、粘着シート1が、アウトガスの発生量が比較的多い表示体構成部材に貼合される場合であっても、優れた耐ブリスター性を達成することができる。
【0031】
(1)(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、熱架橋剤(B)と反応する反応性基を分子内に有する反応性基含有モノマーを含むことが好ましい。これにより、反応性基含有モノマー由来の反応性基が熱架橋剤(B)と反応することが可能となる結果、上記三次元網目構造を形成し易くなる。
【0032】
上記反応性基含有モノマーとしては、分子内に水酸基を有するモノマー(水酸基含有モノマー)、分子内にカルボキシ基を有するモノマー(カルボキシ基含有モノマー)、分子内にアミノ基を有するモノマー(アミノ基含有モノマー)などが好ましく挙げられる。これらの中でも、熱架橋剤(B)との反応性に優れ、被着体への悪影響の少ない水酸基含有モノマーが特に好ましい。また、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の重量平均分子量が比較的低くても、所望の凝集力が発揮される観点からは、カルボキシ基含有モノマーが好ましい。
【0033】
水酸基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル等が挙げられる。中でも、得られる(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)における水酸基の熱架橋剤(B)との反応性および他の単量体との共重合性の点から(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルおよび(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルが好ましく、特に(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルが好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0034】
カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸が挙げられる。中でも、得られる(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)におけるカルボキシ基の熱架橋剤(B)との反応性および他の単量体との共重合性の点からアクリル酸が好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0035】
アミノ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸n−ブチルアミノエチル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0036】
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、水酸基含有モノマーを、下限値として1質量%以上含有することが好ましく、5質量%以上含有することがより好ましく、特に10質量%以上含有することが好ましく、さらには12質量%以上含有することが好ましい。また、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、水酸基含有モノマーを、上限値として30質量%以下含有することが好ましく、特に25質量%以下含有することが好ましく、さらには20質量%以下含有することが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)がモノマー単位として上記の量で水酸基含有モノマーを含有すると、得られる粘着剤において良好な架橋構造が形成されるとともに、粘着剤中に、所定量の水酸基が残存することとなる。水酸基は親水性基であり、そのような親水性基が所定量粘着剤中に存在すると、粘着剤が高温高湿条件下に置かれた場合でも、その高温高湿条件下で粘着剤に浸入した水分との相溶性が良く、その結果、常温常湿に戻したときの粘着剤の白化が抑制されることとなる(耐湿熱白化性に優れる)。
【0037】
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)が、当該重合体を構成するモノマー単位としてカルボキシ基含有モノマーを含む場合、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)は、当該カルボキシ基含有モノマーを、下限値として5質量%以上含有することが好ましく、特に7質量%以上含有することが好ましく、さらには10質量%以上含有することが好ましい。また、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、カルボキシ基含有モノマーを、上限値として30質量%以下含有することが好ましく、特に20質量%以下含有することが好ましく、さらには15質量%以下含有することが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)がモノマー単位として上記の量でカルボキシ基含有モノマーを含有すると、得られる粘着剤において良好な架橋構造を形成し易くなる。
【0038】
また、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、カルボキシ基含有モノマーを含まないことも好ましい。カルボキシ基は酸成分であるため、カルボキシ基含有モノマーを含有しないことにより、粘着剤の貼付対象に、酸により不具合が生じるもの、例えばスズドープ酸化インジウム(ITO)等の透明導電膜や金属膜などが存在する場合にも、酸によるそれらの不具合(腐食、抵抗値変化等)を抑制することができる。ただし、かかる不具合が生じない程度に、カルボキシ基含有モノマーを所定量含有することは許容される。具体的には、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)中に、モノマー単位として、カルボキシ基含有モノマーを5質量%未満、好ましくは2質量%以下、特に好ましくは0.1質量%以下の量で含有することが許容される。
【0039】
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含有することで、好ましい粘着性を発現することができる。アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸n−ドデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。中でも、粘着性をより向上させる観点から、アルキル基の炭素数が4〜8の(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、(メタ)アクリル酸n−ブチルまたは(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルが特に好ましい。なお、これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0040】
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを40質量%以上含有することが好ましく、特に50質量%以上含有することが好ましく、さらには60質量%以上含有することが好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルを40質量%以上含有すれば、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)に好適な粘着性を付与させることができる。また、アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを90質量%以下含有することが好ましく、特に80質量%以下含有することが好ましく、さらには70質量%以下含有することが好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量を90質量%以下とすることにより、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)中に他のモノマー成分を所望量導入することができる。
【0041】
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)は、当該共重合体を構成するモノマー単位として、分子内に脂環式構造を有するモノマー(脂環式構造含有モノマー)を含むことも好ましい。脂環式構造含有モノマーは嵩高いため、これを重合体中に存在させることにより、重合体同士の間隔を広げるものと推定され、得られる粘着剤を柔軟性に優れたものとすることができる。(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)が脂環式構造含有モノマーを含むことで、少なくとも一方の面に段差を有する表示体構成部材における、当該面に本実施形態に係る粘着シート1を貼付する場合であっても、貼付の際に当該段差に良好に追従することができる(初期の段差追従性に優れる)。また、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)が脂環式構造含有モノマーを含むことで、得られる粘着剤が、樹脂板との密着性に優れたものとなる。
【0042】
脂環式構造含有モノマーにおける脂環式構造の炭素環は、飽和構造のものであってもよいし、不飽和結合を一部に有するものであってもよい。また、脂環式構造は、単環の脂環式構造であってもよいし、二環、三環等の多環の脂環式構造であってもよい。得られる(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の相互間の距離を広げ、粘着剤の柔軟性を効果的に発揮させる観点から、上記脂環式構造は、多環の脂環式構造(多環構造)であることが好ましい。さらに、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)と他の成分との相溶性を考慮して、上記多環構造は、二環から四環であることが特に好ましい。また、上記と同様に粘着剤の柔軟性の作用を効果的に発揮させる観点から、脂環式構造の炭素数(環を形成している部分の全ての炭素数をいい、複数の環が独立して存在する場合には、その合計の炭素数をいう)は、通常5以上であることが好ましく、7以上であることが特に好ましい。一方、脂環式構造の炭素数の上限は特に制限されないが、上記と同様に相溶性の観点から、15以下であることが好ましく、10以下であることが特に好ましい。
【0043】
脂環式構造としては、例えば、シクロヘキシル骨格、ジシクロペンタジエン骨格、アダマンタン骨格、イソボルニル骨格、シクロアルカン骨格(シクロヘプタン骨格、シクロオクタン骨格、シクロノナン骨格、シクロデカン骨格、シクロウンデカン骨格、シクロドデカン骨格等)、シクロアルケン骨格(シクロヘプテン骨格、シクロオクテン骨格等)、ノルボルネン骨格、ノルボルナジエン骨格、キュバン骨格、バスケタン骨格、ハウサン骨格、スピロ骨格などを含むものが挙げられ、中でも、より優れた耐久性を発揮する、ジシクロペンタジエン骨格(脂環式構造の炭素数:10)、アダマンタン骨格(脂環式構造の炭素数:10)またはイソボルニル骨格(脂環式構造の炭素数:7)を含むものが好ましく、特にイソボルニル骨格を含むものが好ましい。
【0044】
上記脂環式構造含有モノマーとしては、上記の骨格を含む(メタ)アクリル酸エステルモノマーが好ましく、具体的には、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル等が挙げられ、中でも、より優れた耐久性を発揮する、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸アダマンチルまたは(メタ)アクリル酸イソボルニルが好ましく、特に(メタ)アクリル酸イソボルニルが好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0045】
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)が、当該重合体を構成するモノマー単位として脂環式構造含有モノマーを含有する場合、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)は、脂環式構造含有モノマーを3質量%以上含有することが好ましく、特に5質量%以上含有することが好ましく、さらには8質量%以上含有することが好ましい。また、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、脂環式構造含有モノマーを35質量%以下含有することが好ましく、特に25質量%以下含有することが好ましく、さらには15質量%以下含有することが好ましい。脂環式構造含有モノマーの含有量が上記の範囲にあることで、得られる粘着剤の初期の段差追従性がより優れたものとなる。
【0046】
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)は、当該共重合体を構成するモノマー単位として、分子内に窒素原子を有するモノマー(窒素原子含有モノマー)を含むことも好ましい。なお、反応性基含有モノマーとして例示したアミノ基含有モノマーは、当該窒素原子含有モノマーから除かれるものとする。窒素原子含有モノマーを構成単位として重合体中に存在させることにより、アクリル酸エステル共重合体(A)と熱架橋剤(B)との反応を促進させたり、粘着剤に極性を付与し、ガラス表面等の極性表面への粘着剤の密着性を高めることができる。
【0047】
上記窒素原子含有モノマーとしては、第3級アミノ基を有するモノマー、アミド基を有するモノマー、窒素含有複素環を有するモノマーなどが挙げられ、中でも、窒素含有複素環を有するモノマーが好ましい。
【0048】
窒素含有複素環を有するモノマーとしては、例えば、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−(メタ)アクリロイルピロリドン、N−(メタ)アクリロイルピペリジン、N−(メタ)アクリロイルピロリジン、N−(メタ)アクリロイルアジリジン、アジリジニルエチル(メタ)アクリレート、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−ビニルピラジン、1−ビニルイミダゾール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルフタルイミド等が挙げられ、中でも、ガラス表面等の極性表面への密着性に加え、得られる粘着剤の凝集力をも向上させ、耐ブリスター性を向上させる観点より、N−(メタ)アクリロイルモルホリンが好ましく、特にN−アクリロイルモルホリンが好ましい。
【0049】
なお、前述の窒素含有複素環を有するモノマー以外の窒素原子含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−tert−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルカプロラクタム、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル等を使用することもできる。以上の窒素原子含有モノマーは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0050】
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)が、当該重合体を構成するモノマー単位として窒素原子含有モノマーを含有する場合、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)は、窒素原子含有モノマーを1質量%以上含有することが好ましく、特に2質量%以上含有することが好ましく、さらには5質量%以上含有することが好ましい。また、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、窒素原子含有モノマーを40質量%以下含有することが好ましく、特に25質量%以下含有することが好ましく、さらには15質量%以下含有することが好ましい。窒素原子含有モノマーの含有量が上記の範囲内にあると、得られる粘着剤のガラス表面等の極性表面への密着力が効果的に向上する。
【0051】
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)は、所望により、当該重合体を構成するモノマー単位として、他のモノマーを含有してもよい。他のモノマーとしては、反応性を有する官能基を含まないモノマーが好ましい。かかる他のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、酢酸ビニル、スチレンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0052】
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の重合態様は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。
【0053】
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の重量平均分子量は、下限値として10万以上であることが好ましく、特に20万以上であることが好ましく、さらには30万以上であることが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重量平均分子量の下限値が上記以上であると、得られる粘着剤の凝集力が効果的に向上し、耐ブリスター性を効果的に得ることができる。また、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の重量平均分子量は、上限値として100万以下であることが好ましく、特に85万以下であることが好ましく、さらには70万以下であることが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の重量平均分子量の上限値が上記以下であると、得られる粘着剤の段差追従性が優れたものとなる。なお、本明細書における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した標準ポリスチレン換算の値である。
【0054】
なお、粘着性組成物Pにおいて、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0055】
(2)熱架橋剤(B)
熱架橋剤(B)を含有する粘着性組成物Pを加熱すると、熱架橋剤(B)は(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)を架橋し、三次元網目構造を形成する。これにより、粘着剤の凝集力が向上する。
【0056】
上記熱架橋剤(B)としては、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)が有する反応性基と反応するものであればよく、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アミン系架橋剤、メラミン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、ヒドラジン系架橋剤、アルデヒド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、アンモニウム塩系架橋剤等が挙げられる。上記の中でも、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)が有する反応性基が水酸基の場合、水酸基との反応性に優れたイソシアネート系架橋剤を使用することが好ましく、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)が有する反応性基がカルボキシ基の場合、カルボキシ基との反応性に優れたエポキシ系架橋剤を使用することが好ましい。なお、熱架橋剤(B)は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0057】
イソシアネート系架橋剤は、少なくともポリイソシアネート化合物を含むものである。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネートなど、及びそれらのビウレット体、イソシアヌレート体、さらにはエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油等の低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体などが挙げられる。中でも水酸基との反応性の観点から、トリメチロールプロパン変性の芳香族ポリイソシアネート、特にトリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネートおよびトリメチロールプロパン変性キシリレンジイソシアネートが好ましい。
【0058】
エポキシ系架橋剤としては、例えば、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミン等が挙げられる。中でもカルボキシ基との反応性の観点から、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサンが好ましい。
【0059】
粘着性組成物P中における熱架橋剤(B)の含有量は、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)100質量部に対して、0.01質量部以上であることが好ましく、特に0.05質量部以上であることが好ましく、さらには0.1質量部以上であることが好ましい。また、当該含有量は、10質量部以下であることが好ましく、特に5質量部以下であることが好ましく、さらには0.4質量部以下であることが好ましい。熱架橋剤(B)の含有量が上記範囲にあることで、得られる粘着剤が十分な柔軟性を有しながら、良好な凝集力を発揮する粘着剤層11を得やすくなる。
【0060】
(3)活性エネルギー線硬化性成分(C)
粘着性組成物Pが活性エネルギー線硬化性成分(C)を含有すると、当該粘着性組成物Pを熱架橋してなる硬化前の粘着剤を、活性エネルギー線の照射により硬化させたときに、活性エネルギー線硬化性成分(C)が互いに重合し、その重合した活性エネルギー線硬化性成分(C)が(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の架橋構造(三次元網目構造)に絡み付くものと推定される。かかる高次構造を有する粘着剤は、凝集力が高く、比較的高い弾性率を示すため、耐ブリスター性に優れる。
【0061】
活性エネルギー線硬化性成分(C)は、活性エネルギー線の照射によって硬化し、上記の効果が得られる成分であれば特に制限されず、モノマー、オリゴマーまたはポリマーのいずれであってもよいし、それらの混合物であってもよい。中でも、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)等との相溶性に優れる多官能アクリレート系モノマーを好ましく挙げることができる。
【0062】
多官能アクリレート系モノマーとしては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、ジ(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン等の2官能型;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ε−カプロラクトン変性トリス−(2−(メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート等の3官能型;ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の4官能型;プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の5官能型;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の6官能型などが挙げられる。上記の中でも、得られる粘着剤の耐ブリスター性の観点から、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートおよびε−カプロラクトン変性トリス−(2−(メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレートが好ましく、特にε−カプロラクトン変性トリス−(2−(メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレートが好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0063】
多官能アクリレート系モノマーは、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)との相溶性により優れる観点から、分子量が1000未満であるものを用いることが好ましい。
【0064】
活性エネルギー線硬化性成分(C)としては、活性エネルギー線硬化型のアクリレート系オリゴマーを用いることもできる。このアクリレート系オリゴマーは重量平均分子量50,000以下のものが好ましい。このようなアクリレート系オリゴマーの例としては、ポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系、ポリブタジエンアクリレート系、シリコーンアクリレート系等が挙げられる。
【0065】
上記アクリレート系オリゴマーの重量平均分子量は、50,000以下であることが好ましく、特に1,000〜50,000であることが好ましく、さらには3,000〜40,000であることが好ましい。これらのアクリレート系オリゴマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0066】
また、活性エネルギー線硬化性成分(C)としては、(メタ)アクリロイル基を有する基が側鎖に導入されたアダクトアクリレート系ポリマーを用いることもできる。このようなアダクトアクリレート系ポリマーは、(メタ)アクリル酸エステルと、分子内に架橋性官能基を有する単量体との共重合体を用い、当該共重合体の架橋性官能基の一部に、(メタ)アクリロイル基および架橋性官能基と反応する基を有する化合物を反応させることにより得ることができる。
【0067】
上記アダクトアクリレート系ポリマーの重量平均分子量は、5万〜90万程度であることが好ましく、10万〜50万程度であることが特に好ましい。
【0068】
活性エネルギー線硬化性成分(C)は、前述した多官能アクリレート系モノマー、アクリレート系オリゴマーおよびアダクトアクリレート系ポリマーの中から、1種を選んで用いることもできるし、2種以上を組み合わせて用いることもできるし、それら以外の活性エネルギー線硬化性成分と組み合わせて用いることもできる。
【0069】
粘着性組成物P中における活性エネルギー線硬化性成分(C)の含有量は、得られる粘着剤の凝集力を向上させ耐ブリスター性を優れたものとする観点から、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)100質量部に対して、下限値として1質量部以上であることが好ましく、2質量部以上であることがより好ましく、3質量部以上であることが特に好ましい。一方、上記含有量は、活性エネルギー線硬化性成分(C)が(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)と相分離することを防止する観点から、上限値として30質量部以下であることが好ましく、15質量部以下であることがより好ましく、さらに耐ブリスター性をより良くする観点を加味すると、10質量部以下であることが特に好ましい。
【0070】
(4)アルコキシシリル基含有ポリマー(D)
本実施形態に係る粘着シート1において、粘着性組成物Pが、アルコキシシリル基含有ポリマー(D)をシランカップリング剤(E)とともに含有することにより、粘着剤層11または活性エネルギー線の照射によるその硬化物において、柔軟性等の粘着剤のその他の特性を損なうことなく、粘着剤層11またはその硬化物の表面の密度および強度を補強することができるものと推定される。これにより、アウトガスの発生量が比較的多い表示体構成部材に粘着シート1が貼合される場合であっても、優れた耐ブリスター性を達成することができる。
【0071】
アルコキシシリル基含有ポリマー(D)は、アルコキシシリル基を含み、前述した通り、粘着剤層の表面における密度および強度を向上できるものであれば、特に制限されない。アルコキシシリル基含有ポリマー(D)は、当該ポリマーを構成するモノマー単位としてアルコキシシリル基含有モノマーを含むポリマーであることが好ましい。
【0072】
また、アルコキシシリル基含有ポリマー(D)は、アルコキシシリル基を含有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体であることが好ましい。換言すれば、アルコキシシリル基含有ポリマー(D)は、アクリロイル基の重合反応に起因する骨格を含むポリマーであることが好ましい。これにより、粘着性組成物Pにおいて、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)とアルコキシシリル基含有ポリマー(D)との相溶性が比較的高いものとなる。これにより、粘着剤層における表示体構成部に貼合される面の近傍において、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)と熱架橋剤(B)とから構成される三次元網目構造に対して、アルコキシシリル基含有ポリマー(D)が絡まり易いものとなり、上記面の近傍における三次元網目構造の網目がより細かくなるものと推定される。その結果、優れた耐ブリスター性を達成し易くなる。
【0073】
上記アルコキシシリル基含有モノマーとしては、アルコキシシリル基を含む重合可能な化合物であれば特に制限されない。アルコキシシリル基の例としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリプロポキシシリル基、トリイソプロポキシシリル基、トリブトキシシリル基、トリイソブトキシシリル基、トリ−sec−ブトキシシリル基、トリ−tert−ブトキシシリル基などのトリアルコキシシリル基;ジメトキシメチルシリル基、ジエトキシメチルシリル基、ジプロポキシメチルシリル基、ジイソプロポキシメチルシリル基、ジメトキシエチルシリル基、ジエトキシエチルシリル基、ジプロポキシエチルシリル基、ジイソプロポキシエチルシリル基、ジメトキシフェニルシリル基などのジアルコキシシリル基;等が挙げられる。また、アルコキシシリル基含有モノマーが重合するために使用される構造としては、例えば重合性不飽和基が挙げられ、具体的には(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等が挙げられる。
【0074】
上記アルコキシシリル基含有モノマーの具体例としては、2−(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリエトキシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリプロポキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリイソプロポキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリブトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリイソブトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリ−sec−ブトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリ−tert−ブトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリブトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリイソブトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリ−sec−ブトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリ−tert−ブトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルジメトキシメチルシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルジエトキシメチルシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルジメトキシエチルシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルジエトキシエチルシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルジメトキシフェニルシラン、等が挙げられ、これらの中でも、シランカップリング剤(E)を介することによるアルコキシシリル基含有ポリマー(D)同士の架橋をスムーズにする観点から、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランを使用することが好ましい。
【0075】
アルコキシシリル基含有ポリマー(D)が、当該ポリマーを構成するモノマー単位としてアルコキシシリル基含有モノマーを含む場合、アルコキシシリル基含有ポリマー(D)は、当該ポリマーを構成するモノマー単位としてアルコキシシリル基含有モノマーを、1質量%以上含有することが好ましく、特に10質量%以上含有することが好ましく、さらには20質量%以上含有することが好ましい。また、アルコキシシリル基含有ポリマー(D)は、当該ポリマーを構成するモノマー単位としてアルコキシシリル基含有モノマーを、70質量%以下含有することが好ましく、特に60質量%以下含有することが好ましく、さらには40質量%以下含有することが好ましい。アルコキシシリル基含有ポリマー(D)がアルコキシシリル基含有モノマーを上記範囲で含むことで、粘着剤層11の表面の密度および強度を効果的に向上することが可能となるものと推定される。
【0076】
アルコキシシリル基含有ポリマー(D)は、当該ポリマーを構成するモノマー単位として、ホモポリマーとしてのガラス転移温度(Tg)が70℃以上のハードモノマーを含むことが好ましい。アルコキシシリル基含有ポリマー(D)がこのようなハードモノマーを含むことで、得られる粘着剤の凝集力がより向上し、耐ブリスター性を効果的に得ることができる。なお、上記ガラス転移温度(Tg)は、特に80℃以上であることが好ましく、さらには90℃以上であることが好ましい。また、上記ガラス転移温度(Tg)は、200℃以下であることが好ましく、特に160℃以下であることが好ましく、さらには120℃以下であることが好ましい。
【0077】
上記ハードモノマーとしては、例えば、メタクリル酸メチル(Tg105℃)、アクリル酸イソボルニル(Tg94℃)、メタクリル酸イソボルニル(Tg180℃)、アクリロイルモルホリン(Tg145℃)、アクリル酸アダマンチル(Tg115℃)、メタクリル酸アダマンチル(Tg141℃)、ジメチルアクリルアミド(Tg89℃)、アクリルアミド(Tg165℃)等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0078】
上記ハードモノマーの中でも、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)との相溶性等の他の特性への悪影響を防止しつつハードモノマーの性能をより発揮させる観点から、メタクリル酸メチル、アクリル酸イソボルニルおよびアクリロイルモルホリンがより好ましく、メタクリル酸メチルが特に好ましい。
【0079】
アルコキシシリル基含有ポリマー(D)が、当該ポリマーを構成するモノマー単位として上記ハードモノマーを含む場合、アルコキシシリル基含有ポリマー(D)は、当該ポリマーを構成するモノマー単位として、上記ハードモノマーを、5質量%以上含有することが好ましく、特に10質量%以上含有することが好ましく、さらには25質量%以上含有することが好ましい。また、アルコキシシリル基含有ポリマー(D)は、当該ポリマーを構成するモノマー単位として上記ハードモノマーを、60質量%以下含有することが好ましく、特に50質量%以下含有することが好ましく、さらには40質量%以下含有することが好ましい。アルコキシシリル基含有ポリマー(D)が上記ハードモノマーを上記範囲で含むことで、得られる粘着剤の表面の密度および強度をより効果的に向上することができるものと推定される。
【0080】
アルコキシシリル基含有ポリマー(D)は、当該ポリマーを構成するモノマー単位として、脂環式構造含有モノマーを含むことも好ましい。前述の通り、脂環式構造含有モノマーは嵩高いため、これをポリマー中に存在させることにより、粘着剤層の表面における三次元網目構造の網目を当該ポリマーにより効果的に埋めることができるものと推定される。その結果、得られる粘着剤の耐ブリスター性をより効果的に向上させることができる。
【0081】
アルコキシシリル基含有ポリマー(D)に含まれる脂環式構造含有モノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)に含まれる脂環式構造含有モノマーとして前述したものを使用することができる。ただし、ここにおける脂環式構造含有モノマーは、前述のハードモノマーに該当するものを含まないものとする。
【0082】
特に、アルコキシシリル基含有ポリマー(D)に含まれる脂環式構造含有モノマーとしては、粘着剤層の表面における三次元網目構造の網目を、アルコキシシリル基含有ポリマー(D)により効果的に埋めるという観点から、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルを使用することが好ましく、埋めた表面の強度をより効果的に高める観点から、特にメタクリル酸シクロヘキシルを使用することが好ましい。
【0083】
アルコキシシリル基含有ポリマー(D)が、当該ポリマーを構成するモノマー単位として脂環式構造含有モノマーを含む場合、アルコキシシリル基含有ポリマー(D)は、当該ポリマーを構成するモノマー単位として、脂環式構造含有モノマーを、5質量%以上含有することが好ましく、特に15質量%以上含有することが好ましく、さらには30質量%以上含有することが好ましい。また、アルコキシシリル基含有ポリマー(D)は、当該ポリマーを構成するモノマー単位として脂環式構造含有モノマーを、60質量%以下含有することが好ましく、特に50質量%以下含有することが好ましく、さらには40質量%以下含有することが好ましい。アルコキシシリル基含有ポリマー(D)が脂環式構造含有モノマーを上記範囲で含むことで、粘着剤層の表面の密度および強度を効果的に高めることができるものと推定される。
【0084】
アルコキシシリル基含有ポリマー(D)は、当該ポリマーを構成するモノマー単位として、熱架橋剤(B)、シランカップリング剤(E)等と反応する反応性基を分子内に有する反応性基含有モノマーを含むことも好ましい。これにより、アルコキシシリル基含有ポリマー(D)が、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)と熱架橋剤(B)とから構成される三次元網目構造やシランカップリング剤(E)に、当該反応性基を介して共有結合することも可能となり、その結果、当該三次元網目構造を効果的に補強することができる。
【0085】
アルコキシシリル基含有ポリマー(D)に含まれる反応性基含有モノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)に含まれるモノマーとして前述したモノマーであってもよい。具体的には、水酸基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマー、アミノ基含有モノマー等が好ましく挙げられ、これらの中でも、熱架橋剤(B)、シランカップリング剤(E)等との反応性に優れ、被着体への悪影響が少ない水酸基含有モノマーが特に好ましい。
【0086】
水酸基含有モノマーの例としては、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)に含まれるモノマーとして前述したモノマーが挙げられ、その中でも、熱架橋剤(B)、シランカップリング剤(E)等との反応性および他のモノマーとの共重合性の観点から、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルが好ましく、特にメタクリル酸2−ヒドロキシエチルが好ましい。上記水酸基含有モノマーは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0087】
アルコキシシリル基含有ポリマー(D)が、当該ポリマーを構成するモノマー単位として水酸基含有モノマーを含む場合、アルコキシシリル基含有ポリマー(D)は、当該ポリマーを構成するモノマー単位として、水酸基含有モノマーを、2質量%以上含有することが好ましく、特に5質量%以上含有することが好ましく、さらには8質量%以上含有することが好ましい。また、アルコキシシリル基含有ポリマー(D)は、当該ポリマーを構成するモノマー単位として水酸基含有モノマーを、30質量%以下含有することが好ましく、特に20質量%以下含有することが好ましく、さらには15質量%以下含有することが好ましい。アルコキシシリル基含有ポリマー(D)が水酸基含有モノマーを上記範囲で含むことで、上記三次元網目構造を効果的に補強することができる。
【0088】
アルコキシシリル基含有ポリマー(D)は、当該ポリマーを構成するモノマー単位として、アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含有することも好ましい。これにより、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)との相溶性を向上させることができる。アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの例としては、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)に含まれるモノマーとして前述した、アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。その中でも、アクリル酸n−ブチルを使用することが好ましい。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0089】
アルコキシシリル基含有ポリマー(D)が、当該ポリマーを構成するモノマー単位として、アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含む場合、アルコキシシリル基含有ポリマー(D)は、当該ポリマーを構成するモノマー単位として、当該(メタ)アクリル酸アルキルエステルを、1質量%以上含有することが好ましく、特に5質量%以上含有することが好ましく、さらには10質量%以上含有することが好ましい。また、アルコキシシリル基含有ポリマー(D)は、当該ポリマーを構成するモノマー単位として当該(メタ)アクリル酸アルキルエステルを、40質量%以下含有することが好ましく、特に30質量%以下含有することが好ましく、さらには25質量%以下含有することが好ましい。
【0090】
アルコキシシリル基含有ポリマー(D)は、所望により、当該ポリマーを構成するモノマー単位として、他のモノマーを含有してもよい。他のモノマーとしては、反応性を有する官能基を含まないモノマーが好ましい。かかる他のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、酢酸ビニル、スチレンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0091】
以上説明したモノマーの中でも、アルコキシシリル基含有ポリマー(D)は、当該ポリマーを構成するモノマー単位として、アルコキシシリル基含有モノマーとしての3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、前述したハードモノマーとしてのメタクリル酸メチル、脂環式構造含有モノマーとしてのメタクリル酸シクロヘキシル、水酸基含有モノマーとしてのメタクリル酸2−ヒドロキシエチル、およびアルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしてのアクリル酸n−ブチルからなる5種のモノマーの少なくとも1つを含有することが好ましく、特に、アルコキシシリル基含有モノマーとしての3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、前述したハードモノマーとしてのメタクリル酸メチルおよび脂環式構造含有モノマーとしてのメタクリル酸シクロヘキシルからなる3種のモノマーの少なくとも1つを含有することが好ましい。このようなポリマーを使用することで、より効果的にブリスターの発生を抑制することが可能となる。
【0092】
上記5種のモノマーの少なくとも1つを含有するアルコキシシリル基含有ポリマー(D)の好ましい例としては、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリル酸メチルおよびメタクリル酸シクロヘキシルを構成モノマー単位として含有するポリマー(後述する実施例において「D1」と称されるポリマー)、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリル酸メチル、メタクリル酸シクロヘキシルおよびアクリル酸n−ブチルを構成モノマー単位として含有するポリマー(後述する実施例において「D2」と称されるポリマー)、ならびに、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリル酸メチル、メタクリル酸シクロヘキシルおよびメタクリル酸2−ヒドロキシエチルを構成モノマー単位として含有するポリマー(後述する実施例において「D3」と称されるポリマー)が挙げられる。
【0093】
アルコキシシリル基含有ポリマー(D)の重合態様は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。
【0094】
アルコキシシリル基含有ポリマー(D)の重量平均分子量は、1万以上であることが好ましく、特に2万以上であることが好ましく、さらには3万以上であることが好ましい。また、当該重量平均分子量は、10万以下であることが好ましく、特に9万以下であることが好ましく、さらには8万以下であることが好ましい。当該重量平均分子量が上記範囲であることで、粘着剤層からのアルコキシシリル基含有ポリマー(D)のしみ出しを防止しつつ、耐ブリスター性を良好に発揮することができる。
【0095】
なお、粘着性組成物Pにおいて、アルコキシシリル基含有ポリマー(D)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0096】
粘着性組成物P中におけるアルコキシシリル基含有ポリマー(D)の含有量は、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)100質量部に対して、0.01質量部以上であることが好ましく、特に0.1質量部以上であることが好ましく、さらには0.3質量部以上であることが好ましい。また、当該含有量は、10質量部以下であることが好ましく、特に5質量部以下であることが好ましく、さらには2質量部以下であることが好ましい。当該含有量が0.01質量部以上であることで、耐ブリスター性の効果を得やすくなる。また、当該含有量が10質量部以下であることで、ヘイズ値の上昇等を防止することができる。
【0097】
(5)シランカップリング剤(E)
本実施形態に係る粘着シート1において、粘着性組成物Pが、シランカップリング剤(E)をアルコキシシリル基含有ポリマー(D)とともに含有することにより、アルコキシシリル基含有ポリマー(D)間の架橋が促進され、粘着剤層表面の膜強度が効果的に高まるものと推定される。これにより、粘着剤層の耐ブリスター性を高めることができる。以上により、アウトガスの発生量が比較的多い表示体構成部材に粘着シート1が貼合される場合であっても、優れた耐ブリスター性を達成することができる。
【0098】
ここで、シランカップリング剤(E)の分子量は、100以上であることが好ましく、特に150以上であることが好ましく、さらには200以上であることが好ましい。また、当該分子量は、1万未満であることが好ましく、特に1000以下であることが好ましく、さらには500以下であることが好ましい。シランカップリング剤(E)の分子量が上記範囲であることで、優れた耐ブリスター性を得やすくなる。
【0099】
シランカップリング剤(E)としては、分子内にアルコキシシリル基を少なくとも1個有する有機ケイ素化合物であって、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)との相溶性がよいものが好ましい。さらに、シランカップリング剤(E)は、光透過性を有するものであることがより好ましい。
【0100】
かかるシランカップリング剤(E)としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン(分子量:148.2)、ビニルトリエトキシシラン(分子量:190.3)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(分子量:248.4)等の重合性不飽和基含有ケイ素化合物、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(分子量:236.3)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(分子量:246.4)等のエポキシ構造を有するケイ素化合物、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(分子量:196.4)、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(分子量:238.4)、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン(分子量:180.3)等のメルカプト基含有ケイ素化合物、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(分子量:179.3)、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(分子量:222.4)、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(分子量:206.4)等のアミノ基含有ケイ素化合物、3−クロロプロピルトリメトキシシラン(分子量:198.7)、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(分子量:247.4)、あるいはこれらの少なくとも1つと、メチルトリエトキシシラン(分子量:178.3)、エチルトリエトキシシラン(分子量:192.3)、メチルトリメトキシシラン(分子量:136.2)、エチルトリメトキシシラン(分子量:150.3)等のアルキル基含有ケイ素化合物との縮合物などが挙げられる。これらの中でも、上記三次元網目構造を効果的に補強できるという観点から、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(分子量:236.3)を使用することが好ましい。上記化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0101】
粘着性組成物P中におけるシランカップリング剤(E)の含有量は、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)100質量部に対して、0.01質量部以上であることが好ましく、特に0.1質量部以上であることが好ましく、さらには0.2質量部以上であることが好ましい。また、当該含有量は、5質量部以下であることが好ましく、特に3質量部以下であることが好ましく、さらには2質量部以下であることが好ましい。当該含有量が0.01質量部以上であることで、アルコキシシリル基含有ポリマー(D)との組合せにおいて優れた耐ブリスター性を得やすくなる。また、当該含有量が5質量部以下であることで、ヘイズ値の上昇を防止することができる。
【0102】
(6)光重合開始剤(F)
硬化前粘着剤を硬化させるときに、硬化前粘着剤に対して照射する活性エネルギー線として紫外線を用いる場合には、粘着性組成物Pは、さらに光重合開始剤(F)を含有することが好ましい。このように光重合開始剤(F)を含有することにより、活性エネルギー線硬化性成分(C)を効率良く重合させることができ、また重合硬化時間および活性エネルギー線の照射量を少なくすることができる。
【0103】
このような光重合開始剤(F)としては、例えば、ベンソイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2−(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリ−ブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、p−ジメチルアミノ安息香酸エステル、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン]、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0104】
これらの中でも、紫外線吸収剤を含有する樹脂板越しに、硬化前粘着剤に対して紫外線照射を行った場合であっても、効果的に硬化反応を開始させる観点から、濃度0.1質量%のアセトニトリル溶液において370nm〜410nmの間に少なくとも1つの吸収極大波長を有する光重合開始剤(F)を使用することが好ましい。このような光重合開始剤(F)としては、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等が好ましく挙げられる。
【0105】
粘着性組成物P中における光重合開始剤(F)の含有量は、活性エネルギー線硬化性成分(C)100質量部に対して、下限値として0.1質量部以上であることが好ましく、特に1質量部以上であることが好ましい。また、上限値として30質量部以下であることが好ましく、特に15質量部以下であることが好ましい。
【0106】
(7)各種添加剤
粘着性組成物Pには、所望により、アクリル系粘着剤に通常使用されている各種添加剤、例えば紫外線吸収剤、帯電防止剤、粘着付与剤、酸化防止剤、光安定剤、軟化剤、充填剤、屈折率調整剤などを添加することができる。なお、後述の重合溶媒や希釈溶媒は、粘着性組成物Pを構成する添加剤に含まれないものとする。
【0107】
(8)粘着性組成物の製造
粘着性組成物Pは、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)を製造し、得られた(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)と、熱架橋剤(B)と、活性エネルギー線硬化性成分(C)と、アルコキシシリル基含有ポリマー(D)と、シランカップリング剤(E)とを混合するとともに、所望により、光重合開始剤(F)および/または添加剤を加えることで製造することができる。
【0108】
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)およびアルコキシシリル基含有ポリマー(D)は、重合体を構成するモノマーの混合物を通常のラジカル重合法で重合することにより製造することができる。この重合は、所望により重合開始剤を使用して、溶液重合法等により行うことができる。重合溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン等が挙げられ、2種類以上を併用してもよい。
【0109】
重合開始剤としては、アゾ系化合物、有機過酸化物等が挙げられ、2種類以上を併用してもよい。アゾ系化合物としては、例えば、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン1−カルボニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4'−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2'−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等が挙げられる。
【0110】
有機過酸化物としては、例えば、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ジアセチルパーオキシド等が挙げられる。
【0111】
なお、上記重合工程において、2−メルカプトエタノール等の連鎖移動剤を配合することにより、得られる重合体の重量平均分子量を調節することができる。
【0112】
得られた(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)およびアルコキシシリル基含有ポリマー(D)と、熱架橋剤(B)と、活性エネルギー線硬化性成分(C)と、シランカップリング剤(E)と、所望により光重合開始剤(F)、添加剤とを十分に混合することにより、粘着性組成物Pを得ることができる。
【0113】
(9)粘着剤層の形成
粘着剤層11は、粘着性組成物Pを熱架橋してなるものである。すなわち、粘着性組成物Pの架橋は、加熱処理により行う。なお、この加熱処理は、粘着性組成物Pの塗布後の乾燥処理で兼ねることもできる。
【0114】
加熱処理の加熱温度は、50〜150℃であることが好ましく、特に70〜120℃であることが好ましい。また、加熱時間は、10秒〜10分であることが好ましく、特に50秒〜2分であることが好ましい。さらに、加熱処理後、常温(例えば、23℃、50%RH)で1〜2週間程度の養生期間を設けることが特に好ましい。
【0115】
上記の加熱処理(及び養生)により、熱架橋剤(B)を介して(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)が良好に架橋される。
【0116】
粘着剤層11の厚さ(JIS K7130に準じて測定した値)は、下限値として10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましく、特に30μm以上であることが好ましく、さらには50μm以上であることが好ましい。粘着剤層11の厚さの下限値が10μm以上であると、所望の粘着力を発揮し易い。また、粘着剤層11の厚さの下限値が30μm以上であると、少なくとも一方の面に段差を有する表示体構成部材における、当該面に本実施形態に係る粘着シート1を貼付する場合であっても、当該段差に対して十分な段差追従性を確保することができる。
【0117】
また、粘着剤層11の厚さは、上限値として500μm以下であることが好ましく、400μm以下であることがより好ましく、特に300μm以下であることが好ましい。粘着剤層11の厚さの上限値が上記以下であると、加工性が良好なものとなる。なお、粘着剤層11は単層で形成してもよいし、複数層を積層して形成することもできる。
【0118】
2.剥離シート
剥離シート12a,12bとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン酢酸ビニルフィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム等が用いられる。また、これらの架橋フィルムも用いられる。さらに、これらの積層フィルムであってもよい。
【0119】
上記剥離シート12a,12bの剥離面(特に粘着剤層11と接する面)には、剥離処理が施されていることが好ましい。剥離処理に使用される剥離剤としては、例えば、アルキッド系、シリコーン系、フッ素系、不飽和ポリエステル系、ポリオレフィン系、ワックス系の剥離剤が挙げられる。なお、剥離シート12a,12bのうち、一方の剥離シートを剥離力の大きい重剥離型剥離シートとし、他方の剥離シートを剥離力の小さい軽剥離型剥離シートとすることが好ましい。
【0120】
剥離シート12a,12bの厚さについては特に制限はないが、通常20〜150μm程度である。
【0121】
3.粘着シートの製造
粘着シート1の一製造例としては、一方の剥離シート12a(または12b)の剥離面に、上記粘着性組成物Pの塗布液を塗布し、加熱処理を行って粘着性組成物Pを熱架橋し、塗布層を形成した後、その塗布層に他方の剥離シート12b(または12a)の剥離面を重ね合わせる。養生期間が必要な場合は養生期間をおくことにより、養生期間が不要な場合はそのまま、上記塗布層が粘着剤層11となる。これにより、上記粘着シート1が得られる。加熱処理および養生の条件については、前述した通りである。
【0122】
粘着シート1の他の製造例としては、一方の剥離シート12aの剥離面に、上記粘着性組成物Pの塗布液を塗布し、加熱処理を行って粘着性組成物Pを熱架橋し、塗布層を形成して、塗布層付きの剥離シート12aを得る。また、他方の剥離シート12bの剥離面に、上記粘着性組成物Pの塗布液を塗布し、加熱処理を行って粘着性組成物Pを熱架橋し、塗布層を形成して、塗布層付きの剥離シート12bを得る。そして、塗布層付きの剥離シート12aと塗布層付きの剥離シート12bとを、両塗布層が互いに接触するように貼り合わせる。養生期間が必要な場合は養生期間をおくことにより、養生期間が不要な場合はそのまま、上記の積層された塗布層が粘着剤層11となる。これにより、上記粘着シート1が得られる。この製造例によれば、粘着剤層11が厚い場合であっても、安定して製造することが可能となる。
【0123】
上記粘着性組成物Pの塗布液を塗布する方法としては、例えばバーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等を利用することができる。
【0124】
〔表示体〕
図2に示すように、本実施形態に係る表示体2は、第1の表示体構成部材21(一の表示体構成部材)と、第2の表示体構成部材22(他の表示体構成部材)と、それらの間に位置し、第1の表示体構成部材21および第2の表示体構成部材22を互いに貼合する硬化後粘着剤層11’とを備えて構成される。なお、図2では、第1の表示体構成部材21における、硬化後粘着剤層11’側の面に印刷層3による段差が設けられているが、当該印刷層3は省略されてもよい。
【0125】
上記表示体2における硬化後粘着剤層11’は、前述した粘着シート1の粘着剤層11を、活性エネルギー線照射により硬化させたものである。この硬化後粘着剤層11’は、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)と熱架橋剤(B)とから構成される架橋構造を有するとともに、活性エネルギー線硬化性成分(C)の硬化物(重合物)と、アルコキシシリル基含有ポリマー(D)と、シランカップリング剤(E)とを含有する粘着剤からなる。重合した活性エネルギー線硬化性成分(C)は、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)と熱架橋剤(B)とから構成される三次元網目構造に絡み付いているものと推定される。
【0126】
さらに、硬化後粘着剤層11’における第1の表示体構成部材21および第2の表示体構成部材22と接する面の近傍では、アルコキシシリル基含有ポリマー(D)が上記三次元架橋構造に絡み付き、これにより、当該面における膜密度は増加するものと推定される。また、シランカップリング剤(E)は、アルコキシシリル基含有ポリマー(D)同士の架橋をスムーズに進行させ、当該面における膜強度もさらに増強されると推定される。
【0127】
なお、アルコキシシリル基含有ポリマー(D)およびシランカップリング剤(E)の一部は、硬化後粘着剤層11’中において、そのままの状態で存在していてもよい。また、アルコキシシリル基含有ポリマー(D)のシリル基とシランカップリング剤(E)との間における加水分解縮合により、新たな化学結合が形成されていてもよいし、さらには当該結合を介してアルコキシシリル基含有ポリマー(D)同士が架橋されていてもよい。あるいは、シランカップリング剤(E)を介さずにアルコキシシリル基含有ポリマー(D)同士が直接加水分解縮合することにより架橋構造を形成していてもよい。あるいは、アルコキシシリル基含有ポリマー(D)またはシランカップリング剤(E)が有するシリル基と、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)が有する反応性基との間における加水分解縮合反応により、新たな化学結合が形成されていてもよい。あるいは、アルコキシシリル基含有ポリマー(D)またはシランカップリング剤(E)が有するシリル基と、被着体表面の反応性基との間における加水分解縮合反応により化学結合が形成されていてもよい。
【0128】
表示体2としては、例えば、液晶(LCD)ディスプレイ、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)ディスプレイ、電子ペーパー等が挙げられ、タッチパネルであってもよい。また、表示体2としては、それらの一部を構成する部材であってもよい。
【0129】
第1の表示体構成部材21の材料としては、ガラス板、樹脂板等であってよいものの、特に樹脂板であることが好ましい。また、第1の表示体構成部材21は、ガラス板、樹脂板等を含む積層体であってもよい。この場合、当該積層体は、少なくとも硬化後粘着剤層11’と接する層として樹脂板を含むことが好ましい。このように、硬化後粘着剤層11’に対して樹脂板が直接積層される場合であっても、硬化後粘着剤層11’が本実施形態に係る粘着シート1の粘着剤層11を硬化してなるものであるため、優れた耐ブリスター性を達成することができる。
【0130】
第1の表示体構成部材21は、厚さ0.5mm以上、5mm以下の樹脂板であってもよい。このように、第1の表示体構成部材21として比較的厚い厚さを有する樹脂板を使用し、第1の表示体構成部材21からのアウトガスの発生が比較的多いことが予想される場合であっても、硬化後粘着剤層11’が、本実施形態に係る粘着シート1の粘着剤層11を硬化してなるものであるため、優れた耐ブリスター性を達成することができる。なお、上記樹脂板の厚さは、特に0.7mm以上であることが好ましく、さらには1.5mm以上であることが好ましい。一方、当該厚さは、特に3.5mm以下であることが好ましく、さらには2.5mm以下であることが好ましい。
【0131】
また、第1の表示体構成部材21は、少なくとも硬化後粘着剤層11’と接する面(粘着シート1が貼合される側の面)にハードコート層を有しない樹脂板であってもよい。一般的に、表面にハードコート層が設けられていない樹脂板では、当該表面からのアウトガスの発生が比較的多くなるが、このような樹脂板を使用する場合であっても、硬化後粘着剤層11’が、本実施形態に係る粘着シート1の粘着剤層11を硬化してなるものであるため、優れた耐ブリスター性を達成することができる。
【0132】
第1の表示体構成部材21は、保護パネルであることが好ましい。この場合、第1の表示体構成部材21における硬化後粘着剤層11’側に、印刷層3が額縁状に形成されていてもよい。
【0133】
第1の表示体構成部材21、特に保護パネルとしての第1の表示体構成部材21は、紫外線吸収剤を含有していてもよい。この場合、表示体2は耐光性に優れたものとなり、製造後の表示体2に対して第1の表示体構成部材21側から紫外線が浴びせられたとしても、硬化後粘着剤層11’およびその下層の第2の表示体構成部材22の劣化が抑制される。
【0134】
上記樹脂板としては、特に限定されることなく、例えば、アクリル板、ポリカーボネート板等が挙げられる。
【0135】
上記ガラス板としては、特に限定されることなく、例えば、化学強化ガラス、無アルカリガラス、石英ガラス、ソーダライムガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、アルミノケイ酸ガラス、鉛ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス等が挙げられる。また、ガラス板の厚さは、特に限定されないが、通常は0.1〜5mmであり、好ましくは0.2〜2mmである。
【0136】
なお、上記ガラス板や樹脂板の片面または両面には、各種の機能層(透明導電膜、金属層、シリカ層、防眩層等)が設けられていてもよいし、光学部材が積層されていてもよい。また、透明導電膜および金属層がパターニングされていてもよい。なお、機能層として前述したハードコート層も設けることができるものの、この場合、ハードコート層は、第1の表示体構成部材21における硬化後粘着剤層11’と接する面とは反対の面に設けられることが好ましい。
【0137】
第2の表示体構成部材22は、第1の表示体構成部材21に貼付されるべき光学部材、表示体モジュール(例えば、液晶(LCD)モジュール、発光ダイオード(LED)モジュール、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)モジュール等)、表示体モジュールの一部としての光学部材、または表示体モジュールを含む積層体であることが好ましい。
【0138】
上記光学部材としては、例えば、飛散防止フィルム、偏光板(偏光フィルム)、偏光子、位相差板(位相差フィルム)、視野角補償フィルム、輝度向上フィルム、コントラスト向上フィルム、液晶ポリマーフィルム、拡散フィルム、半透過反射フィルム、透明導電性フィルム等が挙げられる。飛散防止フィルムとしては、基材フィルムの片面にハードコート層が形成されてなるハードコートフィルム等が例示される。
【0139】
印刷層3を構成する材料は特に限定されることなく、印刷用の公知の材料が使用される。印刷層3の厚さ、すなわち段差の高さの下限値は、3μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましく、7μm以上であることが特に好ましく、10μm以上であることが最も好ましい。下限値が上記以上であることにより、電気配線を視認者側から見えなくする等の隠蔽性を十分に確保することができる。また、上限値は、50μm以下であることが好ましく、35μm以下であることがより好ましく、25μm以下であることが特に好ましく、20μm以下であることがさらに好ましい。上限値が上記以下であることにより、当該印刷層3に対する硬化後粘着剤層11’の段差追従性の悪化を防止することができる。
【0140】
上記表示体2を製造するには、一例として、粘着シート1の一方の剥離シート12aを剥離して、粘着シート1の露出した粘着剤層11を、第1の表示体構成部材21の一方の面に貼合する。次いで、粘着シート1の粘着剤層11から他方の剥離シート12bを剥離して、粘着シート1の露出した粘着剤層11と第2の表示体構成部材22とを貼合して積層体を得る。また、他の例として、第1の表示体構成部材21および第2の表示体構成部材22の貼合順序を入れ替えてもよい。
【0141】
その後、上記積層体中の粘着剤層11に対して活性エネルギー線を照射する。これにより、粘着剤層11中の活性エネルギー線硬化性成分(C)が重合し、粘着剤層11が硬化して硬化後粘着剤層11’となる。粘着剤層11に対する活性エネルギー線の照射は、通常、第1の表示体構成部材21または第2の表示体構成部材22のいずれか一方越しに行い、好ましくは、保護パネルとしての第1の表示体構成部材21越しに行う。
【0142】
上記活性エネルギー線とは、電磁波または荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するものをいい、具体的には、紫外線や電子線などが挙げられる。活性エネルギー線の中でも、取扱いが容易な紫外線が特に好ましい。
【0143】
紫外線の照射は、高圧水銀ランプ、フュージョンHランプ、キセノンランプ等によって行うことができ、紫外線の照射量は、照度が50〜1000mW/cm程度であることが好ましい。また、光量は、50〜10000mJ/cmであることが好ましく、80〜5000mJ/cmであることがより好ましく、200〜2000mJ/cmであることが特に好ましい。一方、電子線の照射は、電子線加速器等によって行うことができ、電子線の照射量は、10〜1000krad程度が好ましい。
【0144】
以上の表示体2においては、硬化後粘着剤層11’が耐ブリスター性に優れるため、表示体2が高温高湿条件下(例えば、85℃、85%RH、72時間)に置かれ、樹脂板等からなる表示体構成部材からアウトガスが発生した場合でも、硬化後粘着剤層11’と表示体構成部材21,22との界面において気泡、浮き、剥がれ等のブリスターが発生することが抑制される。特に、表示体構成部材21,22が厚さの比較的厚い樹脂板であったり、硬化後粘着剤層11’と接する面にハードコート層を有しない樹脂板であったとしても、ブリスターの発生が良好に抑制される。
【0145】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0146】
例えば、粘着シート1における剥離シート12a,12bのいずれか一方は省略されてもよい。また、第1の表示体構成部材21は、印刷層3以外の段差を有するものであってもよいし、段差を有していなくてもよい。さらには、第1の表示体構成部材21のみならず、第2の表示体構成部材22も硬化後粘着剤層11’側に段差を有するものであってもよい。
【実施例】
【0147】
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
【0148】
〔調製例1〕
3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン30質量部、メタクリル酸メチル30質量部、およびメタクリル酸シクロヘキシル40質量部を共重合させて、アルコキシシリル基含有ポリマー(D1)を調製した。このアルコキシシリル基含有ポリマー(D1)の分子量を後述する方法で測定したところ、重量平均分子量(Mw)5万であった。
【0149】
〔調製例2〕
3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン30質量部、メタクリル酸メチル30質量部、メタクリル酸シクロヘキシル20質量部、およびアクリル酸n−ブチル20質量部を共重合させて、アルコキシシリル基含有ポリマー(D2)を調製した。このアルコキシシリル基含有ポリマー(D2)の分子量を後述する方法で測定したところ、重量平均分子量(Mw)5万であった。
【0150】
〔調製例3〕
3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン30質量部、メタクリル酸メチル30質量部、メタクリル酸シクロヘキシル30質量部、およびメタクリル酸2−ヒドロキシエチル10質量部を共重合させて、アルコキシシリル基含有ポリマー(D3)を調製した。このアルコキシシリル基含有ポリマー(D3)の分子量を後述する方法で測定したところ、重量平均分子量(Mw)5万であった。
【0151】
〔実施例1〕
1.(メタ)アクリル酸エステル共重合体の調製
アクリル酸2−エチルヘキシル65質量部、アクリル酸イソボルニル10質量部、N−アクリロイルモルホリン10質量部、およびアクリル酸2−ヒドロキシエチル15質量部を共重合させて、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)を調製した。この(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の分子量を後述する方法で測定したところ、重量平均分子量(Mw)50万であった。
【0152】
2.粘着性組成物の調製
上記工程1で得られた(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)100質量部(固形分換算値;以下同じ)と、熱架橋剤(B)としてのトリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート0.2質量部と、活性エネルギー線硬化性成分(C)としてのε−カプロラクトン変性トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート5.0質量部と、調製例1にて調製したアルコキシシリル基含有ポリマー(D1)0.5質量部と、シランカップリング剤(E)としての3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(分子量:236.3)0.3質量部と、光重合開始剤(F)としての2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド0.5質量部とを混合し、十分に撹拌して、メチルエチルケトンで希釈することにより、固形分濃度50質量%の粘着性組成物の塗布溶液を得た。
【0153】
3.粘着シートの製造
得られた粘着性組成物の塗布溶液を、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面をシリコーン系剥離剤で剥離処理した重剥離型剥離シート(リンテック社製,製品名「SP−PET752150」)の剥離処理面に、ナイフコーターで塗布した。その後、90℃で1分間加熱処理して塗布層を形成した。
【0154】
次いで、上記で得られた重剥離型剥離シート上の塗布層と、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面をシリコーン系剥離剤で剥離処理した軽剥離型剥離シート(リンテック社製,製品名「SP−PET382120」)とを、当該軽剥離型剥離シートの剥離処理面が塗布層に接触するように貼合し、23℃、50%RHの条件下で7日間養生することにより、厚さ50μmの粘着剤層を有する粘着シート、すなわち、重剥離型剥離シート/粘着剤層(厚さ:50μm)/軽剥離型剥離シートの構成からなる粘着シートを作製した。なお、粘着剤層の厚さは、JIS K7130に準拠し、定圧厚さ測定器(テクロック社製,製品名「PG−02」)を使用して測定した値である。
【0155】
ここで、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)を100質量部(固形分換算値)とした場合の粘着性組成物の各配合(固形分換算値)を表1に示す。なお、表1に記載の略号等の詳細は以下の通りである。
[(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)]
2EHA:アクリル酸2−エチルヘキシル
IBXA:アクリル酸イソボルニル
ACMO:N−アクリロイルモルホリン
HEA:アクリル酸2−ヒドロキシエチル
【0156】
〔実施例2〜3,比較例1〜2〕
アルコキシシリル基含有ポリマー(D)の種類および配合量、ならびにシランカップリング剤(E)の配合量を表1に示すように変更する以外、実施例1と同様にして粘着シートを製造した。
【0157】
ここで、前述した重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件で測定(GPC測定)した標準ポリスチレン換算の重量平均分子量である。
<測定条件>
・GPC測定装置:東ソー社製,HLC−8020
・GPCカラム(以下の順に通過):東ソー社製
TSK guard column HXL−H
TSK gel GMHXL(×2)
TSK gel G2000HXL
・測定溶媒:テトラヒドロフラン
・測定温度:40℃
【0158】
〔試験例1〕(耐ブリスター性の評価)
実施例および比較例で得られた粘着シートの粘着剤層を、片面にスズドープ酸化インジウム(ITO)からなる透明導電膜が設けられたポリエチレンテレフタレートフィルム(尾池工業社製,ITOフィルム,厚さ:125μm)の透明導電膜と、樹脂板1としての、ポリメタクリル酸メチル層およびポリカーボネート層を有し、ポリカーボネート層側の面にハードコート層が設けられた樹脂板(三菱ガス化学社製,製品名「ユーピロン・シート MR−58U」,厚さ:1.0mm)のハードコート層が存在する側の面とで挟み、これをサンプル1とした。
【0159】
また、実施例および比較例で得られた粘着シートの粘着剤層を、上記ITOフィルムの透明導電膜と、樹脂板2としての、紫外線吸収剤を含有するポリカーボネートの単層からなり、ハードコート層が設けられていない樹脂板(帝人株式会社製,製品名「パンライトPC1151」,厚さ:2.0mm)とで挟み、これをサンプル2とした。
【0160】
得られたサンプル1およびサンプル2を、50℃、0.5MPaの条件下で30分間オートクレーブ処理し、常圧、23℃、50%RHにて24時間放置した。
【0161】
得られたサンプル1およびサンプル2における粘着剤層に対して、それぞれ樹脂板1および樹脂板2越しに下記の条件で紫外線を照射し、粘着剤層を硬化させて硬化後粘着剤層とした。
<紫外線照射条件>
・高圧水銀ランプ使用
・照度200mW/cm,光量2000mJ/cm
・UV照度・光量計はアイグラフィックス社製「UVPF−A1」を使用
【0162】
粘着剤層を硬化させたサンプル1およびサンプル2を、85℃、85%RHの高温高湿条件下にて72時間保管した。その後、硬化後粘着剤層とそれぞれの樹脂板との界面における状態を目視により確認した。そして、次の5段階の基準により耐ブリスター性を評価した。すなわち、気泡、気泡跡または浮き・剥がれが全体的に発生している場合を「1」とし、発生の程度が下がるにつれて、順に「2」、「3」および「4」とし、さらに、気泡、気泡跡または浮き・剥がれが発生していない場合を「5」とした。当該評価においては、「4」および「5」が、耐ブリスター性が良好であると判断される。結果を表2に示す。
【0163】
〔試験例2〕(段差追従性の評価)
ガラス板(NSGプレシジョン社製,製品名「コーニングガラス イーグルXG」,縦90mm×横50mm×厚み0.5mm)の表面に、紫外線硬化型インク(帝国インキ社製,製品名「POS−911墨」)を額縁状(外形:縦90mm×横50mm,幅5mm)にスクリーン印刷した。次いで、紫外線を照射(80W/cm,メタルハライドランプ2灯,ランプ高さ15cm,ベルトスピード10〜15m/分)して、印刷した上記紫外線硬化型インクを硬化させ、印刷による段差(段差の高さ:30μm)を有する段差付ガラス板を作製した。
【0164】
実施例および比較例で得られた粘着シートから両側の剥離シートを剥がし、得られた粘着剤層の一方の面に対して、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡社製,製品名「PET A4300」,厚さ:100μm)の易接着層側の面を貼付するとともに、当該粘着剤層の他方の面に対して、上記段差付きガラス板の段差を有する面を、粘着剤層が額縁状の印刷全面を覆うように貼付した後、ラミネーター(フジプラ社製,製品名「LPD3214」)を用いてラミネートした。その後、50℃、0.5MPaの条件下で30分間オートクレーブ処理した。
【0165】
次に、PETフィルム越しに、下記の紫外線照射条件で紫外線を照射し、当該粘着剤層を硬化させた。
<紫外線照射条件>
・アイグラフィックス社製 UVコンベア装置使用
・照度200mW/cm,光量2000mJ/cm
・UV照度・光量計はアイグラフィックス社製「UVPF−36」を使用
【0166】
上記のように硬化した粘着剤層を有する積層体を、85℃、85%RHの高温高湿条件下にて72時間保管した。その後、粘着剤層(特に印刷層による段差の近傍)に気泡がないか否か、目視により確認し、以下の基準により高温高湿条件下での段差追従性を評価した。結果を表2に示す。
◎:気泡が全くなかった。
○:10個以下の気泡が見られた。
×:11個以上の気泡が見られた。
【0167】
〔試験例3〕(耐湿熱白化性の評価)
実施例または比較例で得られた粘着シートの硬化前粘着剤層を厚さ1.1mmの無アルカリガラス2枚で挟んで、積層体を得た。そして、実施例の積層体に対しては、一方のガラス越しに試験例1と同じ紫外線照射条件で紫外線を照射し、硬化前粘着剤層を硬化させて粘着剤層とした。
【0168】
上記のようにして得られたサンプルを、85℃、85%RHの条件下にて120時間保管した。その後、23℃、50%RHの常温常湿に戻し、目視により以下の基準により白化の有無を確認し、耐湿熱白化性を評価するとともに、粘着剤層のヘイズ値(%)および全光線透過率(%)を測定した。ヘイズ値(%)および全光線透過率(%)は、サンプルを常温常湿に戻してから30分以内に、ヘイズメーター(日本電色工業社製,製品名「NDH2000」)を用いて、JIS K7136:2000に準じて測定した。結果を表2に示す。
○:常温常湿に戻しても白化は確認されなかった。または一部白化したが、30分以内に消失した。
×:全体的に白化した。または一部白化した後、常温常湿下で保管しても元に戻らなかった。
【0169】
【表1】
【0170】
【表2】
【0171】
表2から分かるように、実施例で得られた粘着剤層は、樹脂板1に貼合された場合に優れた耐ブリスター性を示した。さらに、実施例で得られた粘着剤層は、当該粘着剤が貼合される面にハードコート層を有さず、比較的厚さの厚い樹脂板2に貼合された場合であっても、優れた耐ブリスター性を示した。
【産業上の利用可能性】
【0172】
本発明の粘着シートは、例えば、アウトガスの発生量が比較的多い保護パネルと、所望の表示体構成部材との貼合に好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0173】
1…粘着シート
11…粘着剤層
12a,12b…剥離シート
2…表示体
11’…硬化後粘着剤層
21…第1の表示体構成部材
22…第2の表示体構成部材
3…印刷層
図1
図2