特許第6676503号(P6676503)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6676503
(24)【登録日】2020年3月16日
(45)【発行日】2020年4月8日
(54)【発明の名称】組合せ秤
(51)【国際特許分類】
   G01G 19/387 20060101AFI20200330BHJP
【FI】
   G01G19/387 C
【請求項の数】3
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-174411(P2016-174411)
(22)【出願日】2016年9月7日
(65)【公開番号】特開2018-40664(P2018-40664A)
(43)【公開日】2018年3月15日
【審査請求日】2019年6月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208444
【氏名又は名称】大和製衡株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086737
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 和秀
(72)【発明者】
【氏名】横山 慎哉
【審査官】 大森 努
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−127488(JP,A)
【文献】 特開2001−255198(JP,A)
【文献】 特開平05−256682(JP,A)
【文献】 特開2006−125903(JP,A)
【文献】 特開平06−300614(JP,A)
【文献】 米国特許第05270495(US,A)
【文献】 特開2011−257159(JP,A)
【文献】 特開2008−216028(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 19/387
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給される被計量物を、周囲の複数の直進フィーダへ搬送する振動式の分散フィーダを備える組合せ秤であって、
前記分散フィーダにおける被計量物の重量を検出する重量検出部と、
前記重量検出部の検出出力に基づいて、前記分散フィーダの駆動を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、分散フィーダにおける被計量物の重量と分散フィーダを駆動する駆動周波数とを対応付ける第1のテーブル、及び、品種と分散フィーダの振幅強度とを対応付ける第2のテーブルが格納された記憶部を有し、
前記制御部は、前記重量検出部によって検出される被計量物の重量に対応する前記第1のテーブルの駆動周波数、及び、前記被計量物の前記品種に対応する前記第2のテーブルの振幅強度で、前記分散フィーダを駆動すると共に、前記分散フィーダの駆動前に対応する前記分散フィーダにおける前記被計量物の重量が、前記分散フィーダの駆動後に対応する前記分散フィーダにおける前記被計量物の重量に比べて、所定重量以上大きいか否かを判定し、前記所定重量以上大きいときには、前記分散フィーダから前記直進フィーダへの被計量物の搬送量は不十分でないとして、前記第2のテーブルの前記振幅強度で前記分散フィーダを駆動し、前記所定重量以上大きくないときには、前記分散フィーダから前記直進フィーダへの被計量物の搬送量が不十分であるとして、前記第2のテーブルの前記振幅強度よりも強い振幅強度で前記分散フィーダを駆動するものであり、
前記制御部は、前記強い振幅強度で前記分散フィーダを駆動するときには、前記記憶部の前記第2のテーブルの振幅強度を、前記強い振幅強度に更新する、
ことを特徴とする組合せ秤。
【請求項2】
搬送量報知部を備え、
前記制御部は、前記分散フィーダの駆動前に対応する前記分散フィーダにおける前記被計量物の重量が、前記分散フィーダの駆動後に対応する前記分散フィーダにおける前記被計量物の重量に比べて、前記所定重量以上大きくないと判定される前記分散フィーダの駆動が、予め定めた回数連続したときには、前記搬送量報知部を制御して、前記分散フィーダから前記直進フィーダへの被計量物の搬送量が不十分である旨を報知する、
請求項1に記載の組合せ秤。
【請求項3】
振幅強度報知部を備え、
前記制御部は、前記強い振幅強度が、設定可能な振幅強度の上限以上であるときには、前記振幅強度報知部を制御して、振幅強度が上限以上である旨を報知する、
請求項1または2に記載の組合せ秤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組合せ秤に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に組合せ秤では、被計量物を供給する供給装置から分散フィーダの円錐状の中央部に被計量物を供給し、振動式の分散フィーダは、その周辺に放射状に設置された複数の直進フィーダへ被計量物を振動によって搬送し、複数の直進フィーダは、被計量物を複数の供給ホッパへ搬送して投入する。複数の供給ホッパでは一時的に被計量物を保持し、その下方に配設された複数の計量ホッパに被計量物を供給し、各計量ホッパでは、供給された被計量物の重量が重量センサによって計量され、その計量値に基づいて組合せ演算することにより、計量値の合計が目標組合せ重量と一致するか最も近い計量ホッパの組合せを選択し、この組合せに選択された計量ホッパの被計量物を排出し、集合シュートを介して包装機へ投入する。
【0003】
かかる組合せ秤における分散フィーダの制御装置として、特許文献1には、電磁振動式の分散フィーダ上の被計量物の重量を検出し、検出される重量値に応じて、分散フィーダの固有振動数の変化に対応させてマグネットを最適な駆動周波数で励磁駆動させるようにした装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−256682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような組合せ秤では、円錐状の分散フィーダに供給される被計量物が、粘着性が高い被計量物である場合には、被計量物が分散フィーダの搬送面に付着し、付着した被計量物は、堆積して塊へと成長するが、分散フィーダの駆動周波数のみを制御する上記特許文献1では、十分な振動振幅が得られず、被計量物を直進フィーダへ十分に搬送するのが困難となることがある。
【0006】
分散フィーダの搬送面に付着し、堆積して塊へ成長した被計量物は、自重によって転げ落ちるように、周囲の直進フィーダへ一気に搬送されるので、被計量物が付着堆積して塊へ成長するまでは、分散フィーダから直進フィーダへ搬送される被計量物の搬送量が不十分となる一方、塊に成長して一気に直進フィーダへ搬送されるときには、分散フィーダから直進フィーダへ搬送される被計量物の搬送量は過剰となる。このため、直進フィーダから供給ホッパを介して計量ホッパへ供給される被計量物の量が安定せず、組合せ秤の計量精度や稼働率が低下することになる。
【0007】
本発明は、上記のような実情に鑑みてなされたものであって、粘着性の高い被計量物が、分散フィーダの搬送面へ付着してもそれを早期に解除できるようにして、分散フィーダから直進フィーダへ搬送される被計量物の搬送量を可及的に安定させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明では、次のように構成している。
【0009】
(1)本発明の組合せ秤は、供給される被計量物を、周囲の複数の直進フィーダへ搬送する振動式の分散フィーダを備える組合せ秤であって、
前記分散フィーダにおける被計量物の重量を検出する重量検出部と、
前記重量検出部の検出出力に基づいて、前記分散フィーダの駆動を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、分散フィーダにおける被計量物の重量と分散フィーダを駆動する駆動周波数とを対応付ける第1のテーブル、及び、品種と分散フィーダの振幅強度とを対応付ける第2のテーブルが格納された記憶部を有し、
前記制御部は、前記重量検出部によって検出される被計量物の重量に対応する前記第1のテーブルの駆動周波数、及び、前記被計量物の前記品種に対応する前記第2のテーブルの振幅強度で、前記分散フィーダを駆動すると共に、前記分散フィーダの駆動前に対応する前記分散フィーダにおける前記被計量物の重量が、前記分散フィーダの駆動後に対応する前記分散フィーダにおける前記被計量物の重量に比べて、所定重量以上大きいか否かを判定し、前記所定重量以上大きいときには、前記分散フィーダから前記直進フィーダへの被計量物の搬送量は不十分でないとして、前記第2のテーブルの前記振幅強度で前記分散フィーダを駆動し、前記所定重量以上大きくないときには、前記分散フィーダから前記直進フィーダへの被計量物の搬送量が不十分であるとして、前記第2のテーブルの前記振幅強度よりも強い振幅強度で前記分散フィーダを駆動するものであり、
前記制御部は、前記強い振幅強度で前記分散フィーダを駆動するときには、前記記憶部の前記第2のテーブルの振幅強度を、前記強い振幅強度に更新する
【0010】
第2のテーブルの振幅強度よりも強い振幅強度での分散フィーダの駆動は、前記不十分であると判定した直後に、分散フィーダを再駆動するものであってもよいし、前記不十分であると判定した後の次の計量サイクルで分散フィーダを駆動するものであってもよい。
【0011】
本発明の組合せ秤によると、分散フィーダの駆動の前後の分散フィーダにおける被計量物の重量変化に基づいて、分散フィーダから直進フィーダへの被計量物の搬送量が不十分であるか否かを判定するので、分散フィーダを駆動した後に、分散フィーダから直進フィーダへの被計量物の搬送量が不十分であったか否かを直ちに判定することができ、不十分であると判定されたときには、振幅強度を強めて分散フィーダを駆動することができる。
【0012】
これによって、例えば、粘着性の高い被計量物の分散フィーダの搬送面への付着が始まり、分散フィーダから直進フィーダへの被計量物の搬送量が不十分となったときには、直ちに振幅強度を強めて分散フィーダを駆動することができるので、分散フィーダの搬送面への被計量物の付着が開始された初期の段階で、被計量物の付着を解除して直進フィーダへ搬送することができる。したがって、分散フィーダの搬送面に付着した被計量物が堆積して塊に成長するのを阻止して直進フィーダへの被計量物の搬送量を十分な搬送量とすることができる。
【0014】
強い振幅強度で分散フィーダを駆動するときには、記憶部の第2のテーブルの振幅強度を、前記強い振幅強度に更新するので、次回の分散フィーダの駆動では、更新された第2のテーブルの強い振幅強度で駆動され、その駆動によって、分散フィーダから直進フィーダへの被計量物の搬送量が不十分であるか否かが判定されることになる。
【0015】
本発明によると、制御部は、分散フィーダから直進フィーダへの被計量物の搬送量が不十分であると判定して、記憶部の第2のテーブルの振幅強度よりも強い振幅強度で分散フィーダを駆動するときには、第2のテーブルの振幅強度を、強い振幅強度に更新するので、記憶部に格納された第2のテーブルの振幅強度が、実際の稼働運転における分散フィーダから直進フィーダへの被計量物の搬送状況等に応じて適切な振幅強度に修正されることになり、この適切に修正された第2のテーブルの振幅強度で分散フィーダが駆動されることになる。
【0016】
)本発明の組合せ秤の他の実施態様では、搬送量報知部を備え、前記制御部は、前記分散フィーダの駆動前に対応する前記分散フィーダにおける前記被計量物の重量が、前記分散フィーダの駆動後に対応する前記分散フィーダにおける前記被計量物の重量に比べて、前記所定重量以上大きくないと判定される前記分散フィーダの駆動が、予め定めた回数連続したときには、前記搬送量報知部を制御して、前記分散フィーダから前記直進フィーダへの被計量物の搬送量が不十分である旨を報知する。
【0017】
上記のように、強い振幅強度で分散フィーダを駆動するときには、記憶部の第2のテーブルの振幅強度を、前記強い振幅強度に更新するので、次回の分散フィーダの駆動では、更新された第2のテーブルの強い振幅強度で駆動され、その駆動によって、分散フィーダから直進フィーダへの被計量物の搬送量が不十分であるか否かが判定されることになり、この判定で、搬送量が不十分であると判定されると、より強い振幅強度で分散フィーダを駆動すると共に、記憶部の第2のテーブルの振幅強度を、前記より強い振幅強度に更新するといった処理を繰り返すことになる。
【0018】
この実施態様によれば、分散フィーダを駆動した後の判定が、分散フィーダから直進フィーダへの被計量物の搬送量が不十分であるとの判定であって、その判定が、予め定めた回数連続したとき、すなわち、振幅強度を順次強めて分散フィーダを、予め定めた回数駆動しても、分散フィーダから直進フィーダへの被計量物の搬送量が不十分のままであるときには、振幅強度を強めて分散フィーダを駆動しても分散フィーダにおける被計量物の停滞を解消できないとして、搬送量報知部を制御して、分散フィーダから直進フィーダへの被計量物の搬送量が不十分である旨を報知する。
【0019】
これによって、作業者は、分散フィーダに停滞している被計量物が、直進フィーダへ円滑に搬送されるように適宜の措置、例えば、分散フィーダの搬送面に付着した被計量物の付着を解除するといった措置を取ることができる。
【0020】
)本発明の組合せ秤の他の実施態様では、振幅強度報知部を備え、前記制御部は、前記強い振幅強度が、設定可能な振幅強度の上限以上であるときには、前記振幅強度報知部を制御して、振幅強度が上限以上である旨を報知する。
【0021】
振幅強度報知部は、上記搬送量報知部と兼用してもよい。
【0022】
強い振幅強度で分散フィーダを駆動するときには、記憶部の第2のテーブルの振幅強度が、強い振幅強度に更新されるので、第2のテーブルの振幅強度が順次更新されて、設定可能な振幅強度の上限以上となる場合が想定されるが、この実施態様によれば、かかる場合には、振幅強度報知部が制御されて振幅強度が上限以上であることが報知されるので、作業者は、そのことを把握することができる。これによって、作業者は、適宜の措置、例えば、分散フィーダの駆動時間を長くするといった措置を取ることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によると、分散フィーダの駆動の前後の分散フィーダにおける被計量物の重量変化に基づいて、分散フィーダから直進フィーダへの被計量物の搬送量が不十分であるか否かを判定するので、分散フィーダの駆動の直後に、分散フィーダから直進フィーダへの被計量物の搬送量が不十分であったか否かを判定することができ、不十分であると判定されたときには、振幅強度を強めて分散フィーダを駆動することができる。
【0026】
これによって、例えば、粘着性の高い被計量物が、分散フィーダの搬送面に付着し始めて、分散フィーダから直進フィーダへ搬送される被計量物の搬送量が不十分になると、直ちにそれが検出されて、より強い振幅強度で分散フィーダを駆動するので、付着した被計量物が堆積して塊に成長するまでの初期段階において、被計量物の付着を解除して直進フィーダへ円滑に搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は本発明の実施形態に係る組合せ秤の概略構成を示す模式図である。
図2図2は前記組合せ秤の制御系の構成を示すブロック図である。
図3図3は分散フィーダの駆動を説明するためのタイミングチャートである。
図4図4は分散フィーダの再駆動を説明するためのタイミングチャートである。
図5図5は前記組合せ秤の動作説明に供するフローチャートである。
図6図6図5の分散フィーダ制御の詳細を示すフローチャートである。
図7図7図6に続く処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0029】
図1は、本発明の一実施形態に係る組合せ秤の概略構成を示す模式図である。この組合せ秤は、その装置上部の中央に、供給装置1から落下供給される被計量物を振動によって放射状に分散搬送する電磁振動式の分散フィーダ(メインフィーダ)2が設けられている。
【0030】
被計量物は、特に限定されないが、例えば、個々に包装されていない菓子類や食品等に好適である。
【0031】
上記分散フィーダ2は、円錐形のトップコーン3と、このトップコーン3を振動駆動する振動装置4とを備えている。
【0032】
分散フィーダ2の周囲には、トップコーン3の周縁部にまで振動搬送されてきた被計量物を、更に外方に向けて直線的に搬送する複数の直進フィーダ5が放射状に配備されている。この直進フィーダ5は、被計量物を載置するトラフ(フィーダパン)6と、このトラフ6を振動駆動する振動装置7とを備えている。
【0033】
各直進フィーダ5の外端部下方には供給ホッパ8が配備されると共に、各供給ホッパ8の下方に計量ホッパ9がそれぞれ配備されている。
【0034】
供給ホッパ8及び計量ホッパ9の下部には、開閉可能な排出用ゲート8a,9aがそれぞれ設けられている。供給ホッパ8は、直進フィーダ5によって搬送されてその搬送終端から落下排出される被計量物を受け取って一時保持し、その下方に配置された計量ホッパ9が空になると、排出用ゲート8aを開放して被計量物を落下排出して計量ホッパ9へ投入する。また、各計量ホッパ9には、ホッパ内の被計量物の重量を検出するロードセル等の重量センサ10が連結され、各重量センサ10による計量データは制御装置11へ出力される。
【0035】
制御装置11による組合せ演算によって複数の計量ホッパ9の中から被計量物を排出すべき計量ホッパ9の組合せが求められ、その組合せに該当する計量ホッパ9から被計量物が排出される。排出された被計量物は、集合シュート12及び集合ファンネル13を介して集合ホッパ14へ投入されて一旦貯留され、その後、集合ホッパ14の排出用ゲート14aが開放制御されて、包装機15へ投入される。
【0036】
この実施形態では、供給装置1からトップコーン3上に供給される被計量物の重量が、トップコーン用の重量センサ16によって検出され、その検出出力が制御部としての制御装置11に与えられる。
【0037】
制御装置11は、重量検出部としてのトップコーン用の重量センサ16の検出出力に基づいて、トップコーン3上の被計量物の重量が、所定値未満になったときには、供給装置1を駆動して被計量物の供給動作を開始させ、所定値以上になったときには、供給装置1の駆動を停止して被計量物の供給動作を停止させる。この所定値は、操作設定表示部23を操作して予め設定される。
【0038】
なお、他の実施形態として、制御装置11は、トップコーン3上の被計量物が予め設定されている重量範囲内に保たれるように供給装置1を制御してもよい。すなわち、制御装置11は、トップコーン用の重量センサ16の検出出力に基づいて、トップコーン3上の被計量物の重量が、下限値未満になったときには、供給装置1を駆動して被計量物の供給動作を開始させ、上限値以上になったときには、供給装置1の駆動を停止して被計量物の供給動作を停止させる。これによって、トップコーン3上の被計量物の重量が、下限値及び上限値によって規定される重量範囲内に保たれる。
【0039】
制御装置11は、供給装置1の動作制御、及び、組合せ秤の全体の動作制御を行うと共に、組合せ演算を行う。組合せ演算では、上記のように複数の計量ホッパ9の中から、被計量物の重量値の合計である組合せ重量が、目標組合せ重量に等しい、あるいは、許容範囲内の目標組合せ重量に最も近い重量となる適量組合せが一つ選択される。
【0040】
制御装置11に対する設定操作は、操作設定表示部23によって行われ、この操作設定表示部23は、例えばタッチパネル等を用いて構成され、組合せ秤の操作及びその動作パラメータの設定等を行うと共に、運転速度、組合せ計量値等を画面に表示する。
【0041】
図2は、この実施形態の組合せ秤の制御系統の概略構成を示すブロック図であり、図1に対応する部分には同一の参照符号が付されている。
【0042】
図2に示すように、制御装置11には、演算制御部としてのCPU部17、メモリ部18、A/D変換回路部19、ゲート駆動回路部20、振動制御回路部21、包装機15に接続されたI/O回路部22とが備えられると共に、操作設定表示部23が接続されている。
【0043】
演算制御部としてのCPU部17は、各部を制御すると共に、組合せ演算を行う。記憶部であるメモリ部18は、組合せ秤の動作プログラム、設定される動作パラメータ及び後述の第1,第2のテーブル等を記憶しており、また、CPU部17に対する演算などの作業領域となる。A/D変換回路部19は、トップコーン3上の被計量物の重量を検出するトップコーン用の重量センサ16及び計量ホッパ9における被計量物の重量を検出する各重量センサ10からのアナログ信号をデジタル信号に変換してCPU部17に出力する。
【0044】
ゲート駆動回路部20は、CPU部17からの制御信号に基づいて、供給ホッパ8の排出用ゲート8a、計量ホッパ9の排出用ゲート9a、及び、集合ホッパ14の排出用ゲート14aの開閉を制御する。振動制御回路部21は、CPU部17からの制御信号に基づいて、供給装置1、分散フィーダ2の振動装置4、及び、各直進フィーダ5の各振動装置7を制御する。
【0045】
制御装置11は、CPU部17がメモリ部18に記憶されている動作プログラムを実行することにより、供給装置1及び組合せ秤全体の動作を制御する。
【0046】
組合せ秤では、上記のような動作を行うために多数の動作パラメータの設定が必要であり、その設定は作業者が操作設定表示部23を用いて行い、設定された動作パラメータの値はCPU部17に送られてメモリ部18に記憶される。動作パラメータには、組合せ演算における目標値である目標組合せ重量、及び、目標組合せ重量に対する許容範囲、各フィーダ2,5の振動振幅に対応する振幅強度や駆動時間等がある。
【0047】
次に、この実施形態の分散フィーダ2の駆動条件である、駆動周波数及び振動振幅に対応する振幅強度について説明する。
【0048】
先ず、分散フィーダ2の駆動周波数について説明する。
【0049】
この実施形態では、分散フィーダ2のトップコーン3上の被計量物の重量に応じて、分散フィーダ2の適切な駆動周波数を決定し、テーブルとして制御装置11のメモリ部18に予め格納する。
【0050】
具体的には、操作設定表示23を操作してテーブル作成のモードとし、トップコーン3上に、既知重量の、例えば、分銅を取付け、分散フィーダ2の駆動周波数を変化させて分散フィーダ2を駆動する。このとき、操作設定表示部23に表示される振動波形の振幅のピークから最も振動する駆動周波数である分散フィーダ2の固有振動数を、目視によって求める。
【0051】
分散フィーダ2の固有振動数では、振動が安定しないので、固有振動数に近い振動数を、分散フィーダ2の駆動周波数として決定する。
【0052】
これを既知重量が異なる複数の分銅についてそれぞれ行うことによって、トップコーン3上の被計量物の重量範囲と、分散フィーダ2の適切な駆動周波数とを対応付ける、例えば、下記表1のような第1のテーブルが作成されてメモリ部18に格納される。なお、表1の例では、分銅の既知重量を中心とした一定の重量範囲毎に、分散フィーダ2の駆動周波数が規定されている。
【0053】
【表1】
この表1では、例えば、トップコーン3上の被計量物の重量が、0〜W1(g)であるときには、分散フィーダ2を、駆動周波数f0で駆動し、トップコーン3上の被計量物の重量が、W1〜W2(g)であるときには、分散フィーダ2を、駆動周波数f1で駆動し、以下同様に、トップコーン3上の被計量物の重量に応じた駆動周波数で分散フィーダ2を駆動する。
【0054】
かかるトップコーン3上の被計量物の重量と分散フィーダ2の駆動周波数とを対応付ける第1のテーブルの作成は、組合せ秤の製造メーカによって行われ、初期値として制御装置11のメモリ部18に格納される。
【0055】
制御装置11は、運転時には、このメモリ部18に格納された第1のテーブルに従って、トップコーン3上の被計量物の重量に対応した駆動周波数で分散フィーダ2を駆動する。
【0056】
次に、分散フィーダ2の振動振幅に対応する振幅強度について説明する。
【0057】
分散フィーダ2の振動装置4は、電磁石、可動体および板ばね等を備えており、電磁石に間欠的に駆動パルス電圧を印加することにより、電磁石の吸引力と板ばねのばね作用に基づく反発力とを利用してトップコーン3を振動させ、トップコーン3上の被計量物を搬送する。
【0058】
この実施形態では、トップコーン3の振動振幅は、電磁石に対する駆動パルスのパルス幅によって制御され、最大のパルス幅を99等分し、「0」〜「99」までの100段階の振幅強度に対応させている。なお、振幅強度「0」は、振動振幅が「0」、すなわち、分散フィーダ2を振動させない停止に対応する。
【0059】
分散フィーダ2の振幅強度は、分散フィーダ2の駆動時間、直進フィーダ5の振幅強度、駆動時間等と共に、ユーザ側において、実際に被計量物を組合せ秤に供給して試運転を行って、品種毎に適切な振幅強度等を決定する。
【0060】
具体的には、被計量物の品名や目標組合せ重量に対応する品種毎に、実際にその品名の被計量物を組合せ秤に供給し、前記目標組合せ重量とする組合せ演算を行って適量組合せとして選択される計量ホッパ9の数の平均値が、組合せに適切な平均ホッパ数になるように、分散フィーダ2の振幅強度や駆動時間、直進フィーダ5の振幅強度や駆動時間等を調整し、品種毎に、分散フィーダ2の振幅強度等を決定する。
【0061】
このとき、分散フィーダ2の駆動周波数は、上記第1のテーブルに従って、トップコーン用の重量センサ16によって検出されるトップコーン3上の被計量物の重量に応じて自動的に制御される。
【0062】
組合せに適切な平均ホッパ数であるときには、有効な組合せの数が多くなって、組合せ精度は向上するので、この組合せに適切な平均ホッパ数となるように、品種毎に、実際に被計量物を組合せ秤に供給して、分散フィーダ2と直進フィーダ5の振幅強度等を調整する。
【0063】
操作設定表示部23に表示される試運転時のデータには、組合せ演算によって適量組合せとして選択される計量ホッパ9の数の平均値が表示されるので、組合せに適切な平均ホッパ数になっているか否かを判断することができる。
【0064】
以上のようにして、被計量物の品名や目標組合せ重量に対応する品種毎に、分散フィーダ2の振幅強度を対応付ける、例えば、下記表2のような第2のテーブルを作成し、制御装置11のメモリ部18に格納する。
【0065】
【表2】
この図2の例では、4つの品種A〜Dについての振幅強度a〜dをそれぞれ示している。第1,第2のテーブルは、1つのテーブルとして纏めてもよい。
【0066】
なお、分散フィーダの駆動時間等も制御装置11のメモリ部18にテーブルとして格納される。
【0067】
この実施形態では、上記のような試運転によって、第2のテーブルが作成されて制御装置11のメモリ18に格納された後に、通常の稼働運転を行う。
【0068】
この通常の稼働運転において、第1のテーブルに従って、トップコーン用の重量センサ16の検出出力に基づいて、分散フィーダ2のトップコーン3上の被計量物の重量に応じた駆動周波数で分散フィーダ2を駆動すると共に、第2のテーブルに従って、被計量物に対応する品種に応じた振幅強度で分散フィーダ2を駆動する。
【0069】
図3は、分散フィーダ2の駆動タイミングを説明するためのタイミングチャートであり、同図(a)は分散フィーダ2の駆動状態、同図(b)は直進フィーダ5の駆動状態、同図(c)は供給ホッパ8の排出用のゲート8aの開閉状態、同図(d)は計量ホッパ9の排出用のゲート9aの開閉状態をそれぞれ示している。
【0070】
先ず、計量サイクルT1では、その前の計量サイクルの組合せ演算によって適量組合せに選択された計量ホッパ9の排出用のゲート9aが、包装機15からの排出命令信号に応答して図3(d)に示されるように開閉され、計量ホッパ9に保持されていた被計量物が排出される。なお、図3では、包装機15からの排出命令信号は、計量サイクルT1についてのみ代表的に示している。
【0071】
被計量物を排出して空となった計量ホッパ9に対して、供給ホッパ8の排出用ゲート8aが、図3(c)に示されるように開閉され、供給ホッパ8に保持されていた被計量物が計量ホッパ9へ投入される。被計量物を計量ホッパ9に投入して空となった供給ホッパ8に対して、被計量物を供給するために、図3(b)に示されるように直進フィーダ5が駆動され、この直進フィーダ5の駆動に同期して、図3(a)に示すように、分散フィーダ2が駆動される。
【0072】
なお、計量サイクルとは、組合せ秤おける、計量ホッパ9への被計量物の投入、計量ホッパ9の被計量物の計量、組合せ演算、計量ホッパ9の被計量物の排出までの一連のサイクルをいい、例えば図3(d)に示すように、適量組合せに選ばれて計量ホッパ9の排出用のゲート9aの開放を開始してから、被計量物を排出し、供給ホッパ8から被計量物が投入されて計量され、組合せ演算で再び適量組合せに選択されて計量ホッパ9の排出用のゲート9aの開放を開始するまでの一連の動作をいう。
【0073】
以降の計量サイクルT2,T3も上記計量サイクルT1と同様である。
【0074】
組合せ秤では、被計量物が、例えば、個々に包装されていない菓子類などの被計量物であって、例えば、グミキャンディのような粘着性が高い被計量物である場合には、分散フィーダ2のトップコーン3へ付着し、堆積して塊を形成し易い。
【0075】
この実施形態では、このような粘着性の高い被計量物が、分散フィーダ2の搬送面であるトップコーン3へ付着してもそれを早期に解除できるようにするために、次のように構成している。
【0076】
すなわち、分散フィーダ2を、上記第1,第2のテーブルに従う駆動周波数及び振幅強度で駆動時間に亘って駆動した後に、その駆動前の分散フィーダ2のトップコーン3上の被計量物の重量と、駆動後の分散フィーダ2のトップコーン3上の被計量物の重量とに基づいて、分散フィーダ2から直進フィーダ5へ搬送された被計量物の搬送量が、不十分であるか否かを判定するようにしている。
【0077】
具体的には、トップコーン用の重量センサ16によって検出される、分散フィーダ2の駆動前のトップコーン3上の被計量物の重量と、分散フィーダ2の駆動後のトップコーン3上の被計量物の重量とを比較し、分散フィーダ2の駆動前のトップコーン3上の被計量物の重量が、分散フィーダ2の駆動後のトップコーン3上の被計量物の重量に比べて、所定重量以上大きいか否かを判定する。前記所定重量以上大きいときには、分散フィーダ2から直進フィーダ5へ搬送された被計量物の搬送量は、不十分でないと判定し、前記所定重量以上大きくないときには、分散フィーダ2から直進フィーダ5へ搬送された被計量物の搬送量は、不十分であると判定する。
【0078】
この所定重量は、被計量物の性状や目標組合せ重量等に応じて定められ、操作設定表示部23を操作して設定することができる。
【0079】
分散フィーダ2は、上記図3のように、目標組合せ重量に略等しい重量となる適量組合せに選択された計量ホッパ9から被計量物が排出される計量サイクル毎に駆動されるので、分散フィーダ2から直進フィーダ5へ搬送する被計量物の搬送量は、目標組合せ重量に近い重量であるのが理想的である。
【0080】
したがって、分散フィーダ2から直進フィーダ5へ搬送された被計量物の搬送量が不十分であるか否かを判定するための前記所定重量は、目標組合せ重量を中心とした上下限の一定の許容範囲内の重量とするのが好ましい。
【0081】
分散フィーダ2の駆動前のトップコーン3上の被計量物の重量が、分散フィーダ2の駆動後のトップコーン3上の被計量物の重量に比べて、所定重量以上大きいときには、分散フィーダ2の駆動前のトップコーン3上の被計量物の重量が、分散フィーダ2の駆動後のトップコーン3上の被計量物の重量よりも非常に大きいので、分散フィーダ2の駆動前のトップコーン3上の被計量物の重量が、分散フィーダ2の駆動後のトップコーン3上の被計量物の重量よりも非常に大きいか否かによって、判定してもよい。
【0082】
なお、供給装置1から分散フィーダ2へ被計量物が供給されているときには、トップコーン3上の被計量物の重量を正確に検出することはできないので、制御装置11は、供給装置1から分散フィーダ2へ被計量物が供給されているときには、分散フィーダ2の駆動の前後におけるトップコーン3上の被計量物の重量を取り込まず、分散フィーダ2から直進フィーダ5へ搬送される被計量物の搬送量が、不十分であるか否かの判定は行わない。
【0083】
分散フィーダ2の駆動の前後における分散フィーダ2のトップコーン3上の被計量物の重量の変化に基づいて、分散フィーダ2から直進フィーダ5へ搬送された被計量物の搬送量が、不十分であるか否かを判定するので、基本的には、分散フィーダ2を駆動する度に、分散フィーダ2から直進フィーダ5へ搬送される被計量物の搬送量が、不十分であるか否かを判定することができる。
【0084】
これによって、例えば、粘着性の高い被計量物が、分散フィーダ2の搬送面であるトップコーン3に付着し始め、分散フィーダ2から直進フィーダ5への被計量物の搬送量が不十分となったときには、直ちにそれ検出することができる。
【0085】
この実施形態では、分散フィーダ2を、上記第1,第2のテーブルに従う駆動周波数及び振幅強度で駆動した後に、分散フィーダ2の駆動の前後における分散フィーダ2のトップコーン3上の被計量物の重量の変化に基づいて、分散フィーダ2から直進フィーダ5へ搬送された被計量物の搬送量が、不十分であると判定したときには、振幅強度を1段階強めて、すなわち、上記「0」〜「99」の数値を、1つ大きくして、分散フィーダ2を、図4のタイミングチャートの(a)で示されるように、再駆動すると共に、第2のテーブルの振幅強度を、1段階強めた振幅強度に更新するようにしている。著しく不十分と判定された場合、例えば、連続して再起動される場合や駆動前後での重量の偏差が「0」に近い状態が続く場合などでは、振幅強度を一気に数段強めてもよい。
【0086】
図4は、上記図3に対応するタイミングチャートである。この図4の例では、計量サイクルT1における同図(b)の直進フィーダ5の駆動に同期した同図(a)の分散フィーダ2の駆動では、分散フィーダ2から直進フィーダ5へ搬送された被計量物の搬送量が、不十分であると判定され、分散フィーダ2の駆動の直後に、振幅強度を強めた再駆動を行っている。
【0087】
なお、本発明の他の実施形態として、分散フィーダ2の駆動の直後に、振幅強度を強めた再駆動を行うのではなく、次の計量サイクルT2における本来の分散フィーダ2の駆動タイミングで、振幅強度を強めて駆動するようにしてもよい。
【0088】
このように分散フィーダ2の駆動の前後における分散フィーダ2のトップコーン3上の被計量物の重量の変化に基づいて、分散フィーダ2から直進フィーダ5へ搬送された被計量物の搬送量が、不十分であると判定したときには、振幅強度を強めて分散フィーダ2を再駆動するので、例えば、粘着性の高い被計量物が、分散フィーダ2のトップコーン3に付着し始め、分散フィーダ2から直進フィーダ5への被計量物の搬送量が不十分となったときには、振幅強度を強めた分散フィーダ2の再駆動が直ちに行われることになる。
【0089】
これによって、被計量物の付着が始まった早期の時点で、その付着を解除して被計量物を直進フィーダに搬送することができる共に、付着した被計量物が堆積して塊になるのを阻止することができ、直進フィーダ5への被計量物の搬送量を安定させることができる。
【0090】
振幅強度を強めて分散フィーダ2を再駆動するときには、制御装置11のメモリ部18に格納されている第2のテーブルの振幅強度を、強めた振幅強度に更新するので、第2のテーブルの振幅強度は、実際の稼働運転における分散フィーダ2から直進フィーダ5への被計量物の搬送状況等に応じて、適切な振幅強度に自動的に修正されることになる。
【0091】
また、第2のテーブルの振幅強度が更新された後の分散フィーダ2の駆動は、更新された第2のテーブルの振幅強度で行われる。この更新された振幅強度で分散フィーダ2を駆動した場合に、この分散フィーダ2の駆動によって、分散フィーダ2から直進フィーダ5への被計量物の搬送量が不十分であると判定されると、振幅強度を更に強めて分散フィーダ2を再駆動すると共に、第2のテーブルの振幅強度が更新されることになる。
【0092】
このように分散フィーダ2の駆動によって、分散フィーダ2から直進フィーダ5への被計量物の搬送量が不十分であると判定されると、振幅強度が強められて分散フィーダ2が駆動される共に、第2のテーブルの振幅強度が、強められた振幅強度に更新されるので、これが繰り返されると、第2のテーブルの振幅強度が、設定可能な上限値である、上記「99」になる場合が想定される。
【0093】
この実施形態では、分散フィーダ2から直進フィーダ5へ搬送された被計量物の搬送量が、不十分であると判定されて、振幅強度を1段階強めた振幅強度が、上限値である「99」になるときには、作業者に、振幅強度が上限値であることを報知するようにしている。
【0094】
この報知は、振幅強度報知部としての操作設定表示部23による表示や操作設定表示部23に近接して設置した振幅強度報知部としての警報ライト等の点滅表示等によって行う。なお、表示に限らず、警報音や音声メッセージ等で報知してもよい。
【0095】
また、この実施形態では、振幅強度を強めて分散フィーダ2を再駆動し、この再駆動の前後の分散フィーダにおける被計量物の重量変化に基づいて、分散フィーダ2から直進フィーダ5へ搬送された被計量物の搬送量が、不十分であると判定したときには、作業者に、再駆動でも分散フィーダ2から直進フィーダ5へ搬送された被計量物の搬送量が、不十分であったことを報知するようにしている。
【0096】
この報知は、搬送量報知部としての操作設定表示部23による表示や操作設定表示部23に近接して設置した搬送量報知部としての前記警報ライト等の点灯表示等によって行う。
【0097】
これによって、作業者は、分散フィーダ2から直進フィーダ5への被計量物の搬送量が不十分であることを早期に知ることができ、適宜の措置、例えば、分散フィーダ2のトップコーン3に付着し始めた被計量物の付着を解除して被計量物が円滑に搬送されるようにするといった措置を取ることが可能となる。
【0098】
この実施形態では、分散フィーダ2から直進フィーダ5へ搬送された被計量物の搬送量が、不十分であったと判定されたときには、振幅強度を、最小の単位である1段階ずつ強めるようにしているので、複数段階ずつ強めるのに比べて、メモリ部18の第2のテーブルの振幅強度を、適切な振幅強度に更新するのに有効である。
【0099】
分散フィーダ2の振動強度を出来るだけ弱い振幅強度に更新することによって、分散フィーダ2の振動による騒音、電力消費、摩耗等を小さく抑えることができる。
【0100】
図5は、この実施形態の組合せ秤の全体の処理動作を説明するためのフローチャートである。
【0101】
先ず、電源が投入されると、初期設定が行われ(ステップS1)、運転スイッチがONされたか否かを判断し(ステップS2)、運転スイッチがONされると、制御装置11は、トップコーン用の重量センサ16の検出出力に基づいて、供給装置1の駆動を制御する供給装置制御を行う(ステップS3)。
【0102】
次に、分散フィーダ2の駆動を制御してトップコーン3上の被計量物を、周囲の直進フィーダ5へ搬送する分散フィーダ制御を行う(ステップS4)。
【0103】
次に、空の供給ホッパ8に対応する直進フィーダ5を駆動して直進フィーダ5上の被計量物を当該空の供給ホッパ8に供給する直進フィーダ制御を行う(ステップS5)。
【0104】
次に、空の計量ホッパ9に対応する供給ホッパ8の排出用ゲート8aを開放して、被計量物を当該空の計量ホッパ9へ供給する供給ホッパ制御を行って、ステップS7へ移る(ステップS6)。
【0105】
ステップS7では、計量ホッパ9に被計量物が供給されると、対応する重量センサ10によって、前記計量ホッパ9に供給された被計量物の重量を計量し、計量値を制御装置11へ取込む計量部制御を行う。
【0106】
次に、計量ホッパ9に供給されている被計量物の重量に基づいて、組合せ演算を行い、被計量物の重量を種々組合せた合計重量である組合せ重量が、目標組合せ重量に等しいか、あるいは、目標組合せ重量よりも重く、かつ、目標組合せ重量に最も近い重量の計量ホッパ9の組合せである適量組合せの選択を行う(ステップS8)。その後、包装機15からの排出命令信号の入力があるか否かを判断し(ステップS9)、排出命令信号の入力があると、組合せ演算で選択された適量組合せの計量ホッパ9の排出用ゲート9aを開放して、被計量物を排出する計量ホッパ制御を行う(ステップS10)。
【0107】
ステップS11では、運転スイッチがOFFされたか否かを判断し、OFFされていないときには、ステップS3に戻り、OFFされているときには、電源がOFFされたか否かを判断し(ステップS12)、OFFされていないときには、ステップS2に戻り、OFFされているときには、終了する。
【0108】
図6及び図7は、上記図5のステップS4の分散フィーダ制御の詳細を示すフローチャートである。
【0109】
この図6及び図7に示される分散フィーダ制御用のプログラムは、一定時間毎に実行されるもので、例えば、10msec毎に起動される。
【0110】
先ず、トップコーン用の重量センサ16からの重量信号を取り込み(ステップS21)、重量信号をフィルタ処理し(ステップS22)、トップコーン3上の被計量物の重量を算出してステップS24に移る(ステップS23)。
【0111】
ステップS24では、算出したトップコーン3上の被計量物の重量が、所定値以上であるか否かを判断し、所定値以上でないときには、供給装置1から分散フィーダ2のトップコーン3上に被計量物を供給する必要があるとして、供給装置1を駆動するためのON信号を、供給装置1へ送信し(ステップS25)、供給装置1からトップコーン3へ被計量物を供給中であることを示す供給中フラグをオンして図7のステップS29に移る(ステップS26)。ステップS24において、トップコーン3上の被計量物の重量が、所定値以上であるときには、供給装置1から分散フィーダ2のトップコーン3上へ被計量物を供給する必要がないとして、供給装置1を駆動するためのON信号の送信を停止し(ステップS27)、供給装置1から被計量物を分散フィーダ2へ供給中であることを示す供給中フラグをOFFして図7のステップS29に移る。
【0112】
図7のステップS29では、分散フィーダ2を再駆動する再駆動フラグがONであるか否かを判断し、再駆動フラグがONでないときには、分散フィーダ2を駆動中であることを示す駆動中フラグがONであるか否かを判断し(ステップS30)、分散フィーダ2の駆動中フラグがONでないときには、直進フィーダ5を駆動するか否かを判断し(ステップS31)、直進フィーダ5を駆動するときには、直進フィーダ5と同期して分散フィーダ2を駆動するために、ステップS32に移り、直進フィーダ5を駆動しないときには、終了する。
【0113】
ステップS32では、分散フィーダ2を駆動するために、メモリ部18の第1,第2のテーブルから分散フィーダ2の駆動周波数及び振幅強度を読み出して振動制御回路部21にセットすると共に、駆動時間を読み出して駆動タイマーにセットしてステップS33に移る。上記のように、図6図7の分散フィーダ制御用のプログラムは、一定時間毎に実行される、例えば、10msec毎に起動されるので、駆動タイマーに、駆動時間として、例えば、50をセットすると、10msec×50=500msecの駆動時間に亘って分散フィーダ2を駆動することができる。
【0114】
ステップS33では、分散フィーダ2を駆動する前のトップコーン3上の被計量物の重量を記憶し、分散フィーダ2を駆動中であることを示す駆動中フラグをONし(ステップS34)、分散フィーダ2の駆動を開始して終了する(ステップS35)。
【0115】
上記ステップS30において、分散フィーダ2の駆動中フラグがONしているときには、駆動時間がセットされた駆動タイマーの計数値から「1」を減じ(ステップS36)、駆動タイマーがタイムアップしたか否かを判断し(ステップS37)、タイムアップしていないときには、終了し、タイムアップしたときには、駆動時間が経過したとして、分散フィーダ2の駆動を停止し(ステップS38)、供給装置1から被計量物を分散フィーダへ供給中であることを示す供給中フラグがONしているか否かを判断し(ステップS39)、供給中フラグがONしているときには、終了し、供給中フラグがONしていないときには、ステップS40に移る。
【0116】
ステップS40では、分散フィーダ2を駆動する前に記憶したトップコーン3上の被計量物の重量値が、分散フィーダ2の駆動後に対応するトップコーン3上の被計量物の重量値より非常に大きいか否かを判断し、非常に大きいときには、分散フィーダ2の駆動によって、分散フィーダ2から直進フィーダ5へ搬送された被計量物の搬送量は、不十分でないとして終了し、非常に大きくないときには、分散フィーダ2から直進フィーダ5へ搬送された被計量物の搬送量は、不十分であるとして、分散フィーダ2を、振幅強度を強めて再駆動することを示す再駆動フラグをONして終了する(ステップS41)。
【0117】
上記ステップS29において、分散フィーダ2を再駆動する再駆動フラグがONしているときには、分散フィーダ2を再駆動中であることを示す再駆動中フラグがONであるか否かを判断し(ステップS42)、分散フィーダ2の再駆動中フラグがONでないときには、メモリ部18の第2のテーブルの振幅強度を1段階強める、すなわち、振幅強度の数値を1段階大きくして第2のテーブルを更新してステップS44に移る(ステップS43)。例えば、第2のテーブルの振幅強度が、上記「0」〜「99」の、例えば、「50」であるときには、振幅強度を「51」に更新する。
【0118】
ステップS44では、1段階強くした振幅強度が、最大の振幅強度、すなわち、「99」になったか否かを判断し、最大の振幅強度になっていないときには、ステップS46に移り、最大の振幅強度になっているときには、上記のように、振幅強度が上限値であることを、操作設定表示部23や警報ライト等によって報知してステップS46に移る(ステップS45)。
【0119】
ステップS46では、メモリ部18の第1,第2のテーブルのテーブル値から分散フィーダ2の駆動周波数、振幅強度を読み出して振動制御回路部21にセットすると共に、駆動時間を読み出して駆動タイマーにセットし、ステップS47に移る。上記ステップS43において、メモリ部18の第2のテーブルの振幅強度は、1段階大きな振幅強度に更新されているので、このステップS46では、この更新された1段階大きな振幅強度が読み出されてセットされることになる。
【0120】
ステップS47では、再駆動前のトップコーン3上の被計量物の重量を記憶してステップS48に移り、ステップS48では、分散フィーダ2を再駆動中であることを示す再駆動中フラグをONし、分散フィーダ2の再駆動を開始して終了する(ステップS49)。
【0121】
上記ステップS42において、分散フィーダ2を再駆動中であることを示す再駆動中フラグがONであるときには、駆動タイマーの計数値を「1」減じ(ステップS50)、駆動タイマーがタイムアップしたか否かを判断し(ステップS51)、タイムアップしていないときには、終了し、タイムアップしたときには、ステップS52に移る。
【0122】
ステップS52では、分散フィーダ2の再駆動の駆動時間が経過したとして分散フィーダ2の再駆動を停止し、分散フィーダ2の再駆動フラグ及び再駆動中フラグをOFFし(ステップS53)、分散フィーダ2の再駆動前に記憶したトップコーン3上の被計量物の重量値が、分散フィーダ2の再駆動後に対応するトップコーン3上の被計量物の重量値に比べて、非常に大きいか否かを判断し(ステップS54)、非常に大きいときには、分散フィーダ2の再駆動によって、分散フィーダ2から直進フィーダ5へ搬送された被計量物の搬送量は、不十分でないとして終了し、非常に大きくないときには、分散フィーダ2から直進フィーダ5へ搬送された被計量物の搬送量は、不十分であるとして、上記のように、操作設定表示部23や設置した警報ライト等によって報知して終了する(ステップS55)。
【0123】
以上のように本実施形態によれば、分散フィーダ2の駆動の前後における分散フィーダ2のトップコーン3上の被計量物の重量の変化に基づいて、分散フィーダ2から直進フィーダ5へ搬送された被計量物の搬送量が、不十分であるか否かを判定し、不十分であると判定したときには、振幅強度を強めて分散フィーダ2を再駆動するので、例えば、粘着性の高い被計量物が、分散フィーダ2のトップコーン3に付着し始め、分散フィーダ2から直進フィーダ5への被計量物の搬送量が不十分となったときには、振幅強度を強めた分散フィーダ2の再駆動が直ちに行われることになる。これによって、被計量物の付着を早期に解除して被計量物を直進フィーダに搬送することができる共に、付着した被計量物が堆積して塊になるのを阻止することができ、直進フィーダ5への被計量物の搬送量を安定させることができる。
【0124】
上記実施形態では、分散フィーダ2の駆動の前後における分散フィーダ2のトップコーン3上の被計量物の重量の変化に基づいて、分散フィーダ2から直進フィーダ5へ搬送された被計量物の搬送量が、不十分であると判定したときには、分散フィーダ2の振幅強度を1段階強めたが、1段階に限らず、複数段階強めてもよい。
【0125】
上記実施形態では、1回目に相当する分散フィーダ2の駆動によって、分散フィーダ2から直進フィーダ5へ搬送された被計量物の搬送量が、不十分であると判定され、振幅強度を強めた2回目に相当する分散フィーダ2の再駆動によっても、分散フィーダ2から直進フィーダ5へ搬送された被計量物の搬送量が、不十分であると判定されたとき、すなわち、分散フィーダ2の2回目の駆動によって、分散フィーダ2から直進フィーダ5へ搬送された被計量物の搬送量が、不十分であると連続して判定されたときに、搬送量が不十分である旨を報知した。
【0126】
本発明の他の実施態様として、2回目で報知するのではなく、分散フィーダ2の振幅強度を強めた3回目以降の駆動によっても分散フィーダ2から直進フィーダ5へ搬送された被計量物の搬送量が、不十分であると連続して判定されたときに、搬送量が不十分である旨を報知するようにしてもよい。
【0127】
すなわち、分散フィーダ2から直進フィーダ5への被計量物の搬送量が不十分である判定される分散フィーダ2の駆動が、予め定めた回数連続したときに、報知するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0128】
1 供給装置
2 分散フィーダ
3 トップコーン
4 振動装置
5 直進フィーダ
8 供給ホッパ
9 計量ホッパ
11 制御装置
15 包装機
16 トップコーン用重量センサ
23 操作設定表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7