【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は飲料調製カプセルを提供し、この飲料調製カプセルは、飲料調製原料を入れるのに適した中空体であって、中空体内へと液体を受け入れるための上端部と、中空体から飲料を分注するための、上端部に流体連通している下端部と、上端部および下端部の間の少なくとも1つの側壁とを有する、中空体、を備え、さらに中空体は、フィルタ材料であってこのフィルタ材料の表面積の少なくとも1つの寸法に沿って可変透過度を有するフィルタ材料を、中に含み、このフィルタ材料は、中空体の上部または注入口のより近くで、より透過性ではなく、かつ中空体の下部または排出口のより近くで、より透過性である、またはフィルタ材料は、中空体の側壁のより近くで、より透過性ではなく、かつフィルタ材料の中心のより近くで、より透過性である、あるいはこれら両方を組み合わせたものであることを特徴とする。使用時に上端部は、飲料調製原料に接触させるための液体を中空体内へと受け入れる。
【0011】
この手法では、実質的に全ての飲料材料が液体に接触するよう、飲料材料全体を通る一貫した液体の流れを促すために、また最も抵抗が小さい通路を通る液体のチャネリングを実質的に回避するために、中空体の上端部から下端部までの圧力降下(Δ−P)を全フィルタ材料に亘って類似したまたは同一のものとすることができる。これは特に、フィルタ材料の異なるエリアが異なる量の飲料原料を支持する場合に有用である。
【0012】
例えば、水がより多くの飲料原料を通過しなければならないフィルタ材料のエリア(フィルタ材料のより低い部分など)では、フィルタ材料の透過度はより大きくなり得、また水がより少ない量の飲料原料を通過しなければならないエリア(フィルタ材料のより高い部分など)では、フィルタ材料の透過度はより小さくなり得る。これは、フィルタ材料の全てのエリアを通じて、一貫した液体の流れを促す。
【0013】
カプセルの側壁付近により透過性ではない領域を有した状態で、フィルタ材料の中心に向かって、より透過性の領域を提供すると、ポッドの側壁付近を優先的に進んで飲料調製原料のいくらかを避けて通るといった液体の傾向を、低減するのに有用である。
【0014】
フィルタ材料の可変透過度は、フィルタ材料の表面積に亘って変化する、厚さ、細孔サイズ、細孔密度、または組成によって提供され得る。透過度は、異なる細孔サイズの分布、または細孔密度によって、変化することが好ましい。
【0015】
可変透過度を有するフィルタ材料の寸法は、中空体の上端部に相対的に近い第1の位置と、中空体の下端部に相対的に近い第2の位置との間に延在し得るものである。フィルタ材料は、中空体の上部または注入口のより近くで、より透過性ではなく、かつ中空体の下部または排出口のより近くで、より透過性であることが好ましい。この手法では、フィルタ材料の下方エリアがより多量の飲料原料を支持し得るとしても、中空体の上端部から下端部への圧力降下は、全フィルタ材料に亘って類似したまたは同一のものになり得る。
【0016】
フィルタ材料がフィルタ材料のシートであり、種々の配置で存在させることができると都合がよい。例えばフィルタ材料のシートは、側壁に対して傾斜して中空体の内部を横切って延在しているものでもよく、好適にはこのときフィルタ材料のシートは、側壁上の第1の位置から側壁上の第2の位置へと直接延在しており、この第1の位置は中空体の上端部に相対的に近く、かつ第2の位置は中空体の下端部に相対的に近い。フィルタ材料のこの傾斜した配置は、フィルタ材料が中空体の上部または注入口のより近くで、より透過性ではなく、かつ中空体の下部または排出口のより近くで、より透過性である、本発明の実施形態を達成するのに特に有用であることが理解されよう。好適にはフィルタ材料の透過度は、中空体の内部を一方の側壁から他方へと横切って延在する寸法に亘って変化する。この手法では、フィルタ材料の透過度は、中空体の上端部に相対的に近い第1の位置から中空体の下端部に相対的に近い第2の位置に向かって増加し得、このフィルタ材料の透過度は、透過度が少しずつ変化することによって増加していることが好ましい。フィルタ材料のシートは、中空体の内部(キャビティ)を横切って延在しているフィルタ材料が折り畳まれていないという点で、単一の折り畳まれていない材料のシートであることが好ましい。
【0017】
このやり方ではいくつかの利点が提供される。すなわち、製造時のカプセルの構造がより簡単になり、必要な構成材料、特にフィルタ材料がより少なくなり、より一貫した販売性能となり、さらに飲み味がより一貫したものとなる。特に、カプセルの中空体内部のフィルタ材料を傾斜させることによって、従来技術で使用されていた多層または複雑な折り畳んだ配置のフィルタ材料を必要とせずに、フィルタの表面積、およびフィルタ上に載っている飲料調製原料の液体接触面積が最大化される。これは、傾斜したフィルタ材料が中空体の上部へと上昇するにつれてより透過性ではなくなるという点で可変透過度を有する、フィルタ材料の都合のよい配置も可能にする。フィルタ材料の表面積は、中空体のキャビティの横断面積よりも大きいことが好ましい。フィルタ材料のシートは、中空体の内部(キャビティ)を横切って延在しているフィルタ材料が折り畳まれていないという点で、単一の折り畳まれていない材料のシートであることが好ましい。ただしフィルタ材料のシートの縁端は、カプセルにフィルタ材料を固定するのを助けるために折り畳まれていてもよいことを理解されたい。多層および複雑な折り畳んだ配置のフィルタ材料が必要なくなることによって、カプセルの構造の複雑さは最小限になる。さらに、飲料調製原料と液体との接触面積がより大きくなることによって、より短時間でのより完全な飲料調製原料の抽出が可能になると共に、液体に触れずに残存し無駄になる飲料調製原料の領域がより少なくなるよう液体のチャネリングが減少する。これにより、より一貫かつ向上した販売性能および飲み味が実現される。
【0018】
あるいはフィルタ材料のシートは、下部が丸みを帯びたまたは下部が平坦なU字状で、好適には単一の折り畳まれていない材料のシートとして、中空体の内部を横切って延在しているものでもよい。この手法では、フィルタ材料の透過度は、U字状のフィルタ材料の中心下部領域に向かって増加するものでもよく、このフィルタ材料の透過度は、透過度が少しずつ変化することによって増加していることが好ましい。
【0019】
あるいはフィルタ材料のシートは折り畳まれたものでもよく、かつ中空体の内部を横切って、V字状またはW字状で、あるいは一連の溝を備えて、延在しているものでもよい。この手法では、フィルタ材料の透過度が、V字状、W字状、または一連の溝の、各溝の底面に向かって増加しているものでもよく、このフィルタ材料の透過度は、透過度が少しずつ変化することによって増加していることが好ましい。
【0020】
本発明の一実施の形態において、フィルタ材料のシートの周囲縁端は、中空体の少なくとも1つの側壁に固定されている。より好適にはフィルタ材料は、シートの実質的に全周縁の周りで連続的に、最も好適にはシートの全周縁の周りで連続的に、中空体の少なくとも1つの側壁に固定されている。
【0021】
本発明の別の実施形態において、フィルタ材料のシートは中空体の1以上の側壁から形成されている。この事例において側壁のフィルタ領域は、フィルタ領域内において側壁が少なくとも部分的に透過性になるよう穿孔されている。従ってフィルタ材料のシートは、中空体の1以上の側壁と同じ材料を含むことになるが、側壁のフィルタ領域に積層された不織布フィルタ材料層をさらに備えてもよい。
【0022】
フィルタ材料のシートは中空体を、液体を受け入れるための注入チャンバと、飲料がここから分注される排出チャンバとに分割することが好ましい。
【0023】
中空体は液体の注入口を備えていてもよく、液体はこの注入口を通って中空体に入ることができる。注入口は、中空体の上端部または上端部領域側壁に位置していることが好ましい。注入口は、孔を有しているノズルであることが好ましい。孔は使用前には、脆弱な鮮度バリアによって密封されていてもよい。例えば鮮度バリアは、ノズルの孔を横切って延在する、酸素不浸透性の金属箔の膜および/または熱可塑性フィルムを含み得る。注入口に関連する前述の特徴は、以下でより詳細に論じる本発明のサシェカプセルの実施形態において特に好ましい。
【0024】
あるいは中空体の上端部が注入口を含まずに、使用時に中空体を切開するまたは中空体に孔をあけて、中空体内への液体の送出を可能にするものでもよい。この特徴は、以下でより詳細に論じる本発明のポッドカプセルの実施形態において特に好ましい。
【0025】
好適には中空体は排出口を備え、飲料はこの排出口を通って中空体から出ることができる。中空体の下端部または下端部領域側壁は、排出経路を備えていることが好ましい。排出経路は、飲料調製中に飲料をこの排出経路から流出させることができる開封可能なシールを用いて、任意の都合のよいやり方で密封してもよい。シールは、中空体内に空気または水などの流体媒体が導入されると開封され得る、熱および/または圧力で解除可能な接合で形成されていると都合がよい。排出口に関連する前述の特徴は、以下でより詳細に論じる本発明のサシェカプセルの実施形態において特に好ましい。
【0026】
あるいは中空体の下端部は排出口を含まないものでもよく、使用時に中空体を切開し、または中空体に孔をあけて、飲料の流出を可能にするものでもよい。この特徴は、以下でより詳細に論じる本発明のポッドカプセルの実施形態において特に好ましい。
【0027】
飲料調製カプセルは、フィルタ材料と中空体の上端部との間でフィルタ材料上に支持された、飲料調製原料を備えていることが好ましい。飲料調製原料は、不溶解性の飲料原料、例えば挽いたコーヒーまたは茶葉でもよい。飲料調製原料は、前述したようにカプセルの注入チャンバ内に存在していることが好ましい。飲料調製原料は、カプセル本体内に密閉されていることが好ましい。つまり中空体は、実質的に気密および液密の状態で飲料調製原料を封入したエンクロージャを、使用時に中空体の上端部が破られるまで画成し、注入口または穿孔を通じてエンクロージャ内に水を注入してエンクロージャ内部の原料から飲料を調製し、さらに飲料調製中に中空体の下端部に生成された排出口または穿孔から、こうして調製された飲料を流出させることができる。
【0028】
フィルタ材料は、ウェブ材料または不織布繊維材料を含むことが好ましい。飲料調製原料が、浸出後にカプセル内に残存するよう意図された浸出タイプの飲料である場合(例えば、挽いたコーヒーまたは茶葉)、フィルタ材料は、液体飲料の自由な通過を可能にしながら、浸出された固形物質を残すよう、十分に細かいメッシュサイズを有することが好ましい。例示的なフィルタ材料は、メルトブローポリプロピレンがスパンボンデッドポリプロピレン不織布の層間に挟持された積層体である。コストおよび生分解性のために、セルロース系材料を用いることも望ましいであろう。飲料調製原料が分散または溶解タイプの飲料であり、カプセルの全内容物が分注されるよう意図されている場合、フィルタ材料は、飲料原料が流出することができるよう、比較的粗いメッシュ材料であることが好ましい。それでもなおこのフィルタ材料は、分散性原料の大部分の急速な流出を依然として防いで、その一纏まりを分散されていない粒子としてではなく分散液として残すべく、飲料液体と混合するための十分な時間を割り当てるものであるべきである。さらに使用前の保管中には、分散性材料の大部分は粗いフィルタ材料の上方側、すなわちフィルタ材料の表面と中空体の上端部との間に留まっているべきである。
【0029】
カプセルは、一人分の飲料、すなわち約25mlから約500ml、好適には約100mlから約250mlの飲料の調製に十分な飲料調製原料が入っている、一杯分のカプセルであることが適している。例えばカプセルには、約2gから約25gの挽いたコーヒー、または約1gから約9gの茶葉、または約2gから約30gの水分散性原料が入っていてもよい。
【0030】
本発明の一実施の形態において中空体は、対面した関係で配置されかつその縁端に沿って密封された、フレキシブルフィルム材料の前方シートと後方シートとを備えた、サシェの形を成しており、このときフィルタ材料は、中空体の前方シートから中空体の後方シートへと延在している。
【0031】
サシェの実施形態の前方シートおよび後方シートは、好適には空気および水不浸透性である、積層シートでもよい。
【0032】
好適にはサシェの実施形態のシートは、サシェの下部の継ぎ目に排出領域を提供した状態で、両横縁端の継ぎ目および上部の継ぎ目に沿って恒久的に一緒に接合されており、かつこのとき液体注入ノズルが、サシェの上部の継ぎ目または一方縁端の継ぎ目内へと挿入されている。これらの実施形態においてサシェの構造は、可変透過度フィルタ材料が付加されていることを除いて、上述した従来のフラビアカプセルと実質的に同じである。
【0033】
サシェの実施形態の可変透過度フィルタ材料は、注入ノズルに相対的に近い、サシェの一方のシート上の第1の位置から、排出領域に相対的に近い、対向するシート上の第2の位置へと延在していることが好ましい。
【0034】
サシェの一実施の形態において、フィルタ材料のシートは、フレキシブルフィルム材料の前方シートおよび後方シートとは別個の材料片であり、フィルタ材料のシートの周囲縁端は前方シートおよび後方シートに固定されている。
【0035】
サシェの別の実施形態において、フィルタ材料のシートは、フレキシブルフィルム材料の前方シートまたは後方シートのいずれかまたは両方から形成されている。この事例においてフレキシブルフィルム材料のフィルタ領域は、フィルタ領域内において材料が少なくとも部分的に透過性になるよう穿孔されている。例えば単一のフレキシブルフィルム材料のシートを、シートの第1の末端部分がカプセルの前方を形成し、シートの中間の傾斜した部分が穿孔されフィルタ材料として機能し、さらにシートの第2の末端部分がカプセルの後方を形成するように、「N」または「И」字状に折り畳んでもよい。別の例ではフレキシブルフィルム材料の第1のシートを、この第1のシートの第1の部分がカプセルの前方を形成し、第1のシートの第2の部分が穿孔されフィルタ材料として機能するように、「V」または「Λ」字状に折り畳んでもよい。カプセルの後方は、第1のシートの液体浸透性部分に接続された、フレキシブルフィルム材料の第2のシートから形成される。この手法では、唯一または2つのフレキシブルフィルム材料のシートを用いて、より容易で安価な構造で完全なカプセルを提供することができる。いずれの事例でも、シートの液体浸透性部分はレーザ穿孔されたものでもよく、またシートの液体浸透性部分を、積層された不織布フィルタ材料層と組み合わせてもよいし、または組み合わせなくてもよい。
【0036】
可変透過度フィルタ材料は、サシェの上部または注入口のより近くで、より透過性ではなく、かつサシェの下部または排出口のより近くで、より透過性であることが好ましい。
【0037】
サシェの実施形態の排出領域は、飲料調製中に飲料をこの排出領域から流出させることができる開封可能なシールを用いて、任意の都合のよいやり方で密封してもよい。このシールは、前方シートおよび後方シートを熱および/または圧力で解除可能な接合で一緒に接合することによって形成すると都合がよい。
【0038】
特定の実施形態において、サシェの実施形態の中空体は、その一方の端部に排出領域を有する管の形を成した単一のシートから形成され得る。この管は押出成形によって形成してもよいし、あるいは単一のシートから、そのシートを折り重ね、縦方向のラップシールまたはフィンシールに沿ってその対向する縁端を接合することにより形成してもよい。
【0039】
サシェの実施形態の中空体の形成に使用される材料は、例えば既存のフラビアカプセルの形成に使用されたタイプのフレキシブルフィルム材料から、適切に実質的に構成され得る。フレキシブルフィルム材料は通常、2以上の以下の層を備えた積層シートになる。すなわちその層とは、中空体をカプセルの他の部材に接合するための熱可塑性シーラント層、アルミニウムフィルムなどの金属フィルムまたはポリビニルアルコール(PvOH)などの気体バリアポリマーとされ得る、実質的に気体不浸透性のバリア層、積層体の他の層間の付着を向上させる付着層、例えば穿刺抵抗を提供するための構造層、および/または印刷用基材層である。構造層は、ポリオレフィン、ポリエステル、ナイロン、または当技術において既知の他のポリマーから作製してもよい。一実施の形態において積層材料は、ポリプロピレン層およびポリビニルアルコール(PvOH)層を備えている。カプセル材料は、カプセルの内容物の可視性を実現するよう少なくとも透明領域を含み得る。
【0040】
サシェの実施形態の中空体のシート材料は、ポリプロピレン層とポリビニルアルコール層とを備えた積層体であることが最も好ましい。
【0041】
本発明のカプセルが、既存の飲料調製設備、特にフラビアタイプのマシンで、この設備を変更することなく使用できるよう、サシェの実施形態のサシェカプセルの寸法は、上述した既存のシステムで使用されるものに類似したものとされ得る。サシェの前方および後方のサイズは、約10cm×約7cm、または約10cm×約5cmであることが好ましい。サシェの注入ノズルの上面の形状は、2つの対向する約10mmの辺と、2つの対向する約3mmの辺と、2つの対向する約6mmの辺と、2つの対向する約3mmの辺とを有する、8面体であることが好ましい。
【0042】
別の実施形態において中空体は、例えば熱成形または射出成形された半剛体の少なくとも1つのプラスチックおよび/または金属箔材料のシートを備えた、ポッドの形を成したものである。このシート材料は積層体でもよく、この積層体は、以下の層、すなわち中空体をカプセルの他の部材に接合するための熱可塑性シーラント層、アルミニウムフィルムなどの金属フィルムが適している実質的に気体不浸透性のバリア層、積層体の他の層間の付着を向上させる付着層、例えば穿刺抵抗を提供するための構造層、および/または印刷用基材層、のうちの少なくとも1つを備えたものでもよい。構造層は、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル、ナイロン、または当技術において既知の他のポリマーから作製してもよい。カプセル材料は、カプセルの内容物の可視性を実現するよう少なくとも透明領域を備え得る。
【0043】
好適にはポッドの実施形態は、例えば熱成形によってフランジ付きリムを有するカップまたはボウルの形状に形成された、第1のシートと、ポッドを形成するようフランジ付きリムを横切って接合された、第2のシートとを備え得る。例えば第1のシートは、フランジ付きリムを有するカップまたはボウルの形状に熱成形された、比較的堅い熱可塑性シートでもよく、第2のシートは、フランジ付きリムを横切って接合された平坦なシートであり、フレキシブルフィルム材料から成るでもよい。これらの実施形態においてポッドは円錐台形形状を有するものでもよく、孔をあけることが可能な上部および底面を有しているのが適している。カプセルの下部は孔をあけることが可能なものであるか、あるいはそうでなければ、例えば取外し可能なカバーまたはヒンジ付きカバーを備えた孔、またはセプタム、またはスプリットセプタム、または例えば国際公開第0219875(A)号に記載されているような脆弱な鮮度バリアを有するノズルなど、排出管を挿入するための手段を備えている。
【0044】
ポッドの実施形態の可変透過度フィルタ材料は、接着剤、またはポッドの内部表面に提供されたアニュラスへの溶接によって、ポッドの内部表面に固定され得ることが適しており、あるいは他の実施形態では、ポッドの内側でフランジを保持することによって所定の位置に保持してもよいし、またはフィルタ材料を覆って延在している、フィルタ層の周縁の周りでポッドの内面に接合された、液体浸透性シートによって保持することさえ可能である。フィルタ材料の面積は、約1cm
2から約20cm
2、例えば約2cm
2から約10cm
2であることが適している。
【0045】
フィルタ材料が、中空体の側壁のより近くでより透過性ではなく、フィルタ材料の中心のより近くでより透過性であることは、本発明のポッドの実施形態において特に有益である。
【0046】
あるいは、またはさらに、可変透過度フィルタ材料は、ポッドの上部または注入口のより近くでより透過性ではなく、かつポッドの下部または排出口のより近くでより透過性であるものでもよい。
【0047】
ポッドの実施形態において、フィルタ材料は柔軟なものでもよいし、あるいは剛性のものでもよい。
【0048】
本発明のカプセルが、既存の飲料調製設備で、この設備を変更することなく使用できるよう、ポッドの実施形態のカプセルの寸法は、上述した既存のシステムで使用されるものに類似したものとされ得る。ポッドの内部容積は、約1cm
3から約100cm
3、例えば約5cm
3から約50cm
3であることが好ましい。
【0049】
ポッドの実施形態のポッドのベース部品の側壁とポッドの蓋は、蓋をベースに固定するための相補的な係合要素を備えていることが適している。適切な要素は相補的な突起または凹部であり、例えばねじ山、バヨネット嵌合、またはスナップ嵌合要素である。係合要素は、飲料調製後にポッドを蓋とベースとに分解することができるよう、解除可能なものであることが適している。従ってポッドは、蓋をベースに接着接合または溶融接合することによって形成されたものではないことが適している。
【0050】
ポッドの実施形態の下部壁および側壁は、使用前の飲料原料の鮮度を維持するために、前述したような空気および水分不浸透性材料から形成され得る。これらの実施形態においてポッドは、飲料の調製前または調製中に開口されてポッド内部で生成された飲料を放出する、排出口を備えている。例えば排出口は、感圧接着剤でポッドに接着されたカバーシートにより密封された、ポッドの開口でもよい。カバーシートは、カプセルを組み立てる直前に取り外され廃棄される。あるいはポッドのシート材料が、開口を画成する打抜き脆弱ラインなどの脆弱ライン、例えばC字状またはU字状の脆弱ラインを備えていてもよい。ユーザは使用直前に、シート材料を押して脆弱ラインに沿ってポッドを開口する。さらに他の実施形態では、ポッド内への熱湯の注入により生じるポッド内部の熱または圧力によって解除可能な接着剤を用いて、開口の周りに接着された、フラップにより開口が密封される。
【0051】
ポッドの実施形態の代わりの形態において、ポッドの少なくとも下部領域および/または側壁を液体浸透性材料から作製してもよく、この液体浸透性材料が、ポッドの蓋から水を注入することによって生成される飲料のための、フィルタ材料として機能する。いくつかの実施形態においてポッドの下部壁は、側壁に対して傾斜したものでもよく、前述した傾斜したフィルタ材料として機能する。好適には、フィルタ材料として作用するポッドの下部壁は、中空体の側壁のより近くでより透過性ではなくかつ下部壁の中心のより近くでより透過性であるものでもよく、および/または、ポッドの上部または注入口のより近くでより透過性ではなくかつポッドの上部または注入口から離れるとより透過性であるものでもよい。ポッドは、使用前の飲料原料の鮮度を維持するために、空気および水分不浸透性パッケージ内に入れることが適している。
【0052】
さらなる態様において本発明は飲料を調製する方法を提供し、この方法は、本発明による飲料調製カプセルに水性の液体を通過させるステップを含む。水性の液体は、例えば85℃から99℃の温度の水であることが好ましい。この方法は、例えば上記の参照特許文献に記載されているような既存のカプセル形式で使用される既知の飲料調製装置において、装置を変更することなく実行することができる。水はシステムに応じて、フィルタタイプのコーヒーでは0.5から1.5バールゲージの圧力で、またエスプレッソタイプのコーヒーでは5〜20バールゲージなどのより高い圧力で、注入され得ることが適している。
【0053】
本発明のサシェカプセルの実施形態を用いて飲料を調製する方法では、中空体の上端部または上端部領域側壁に位置している、ノズルを通じて、水注入管を中空体内へと挿入してもよく、さらに次いで、中空体の内部の飲料調製原料上へと液体を注入して、飲料または飲料成分を調製してもよい。中空体の下端部または下端部領域側壁は、中空体内に液体が導入されると破裂開口して飲料を中空体から排出管を通じて流出させることができる、感熱および/または感圧シールを備えていてもよい。
【0054】
本発明のポッドカプセル実施形態を用いて飲料を調製する方法では、中空体の上端部または上端部領域側壁を、注入管で、注入管の開口がフィルタ材料のシートの上方に存在するように孔をあけてもよく、さらに次いで、中空体の内部の飲料調製原料上へと液体を注入して、飲料または飲料成分を調製してもよい。中空体の下端部または下端部領域側壁も同様に、中空体内に液体を注入する前または注入した後に、排出管で、排出管の開口がフィルタ材料のシートの下方に存在するように孔をあけてもよく、さらに次いで飲料を、排出管を通じて中空体から流出させることが可能になり得る。
【0055】
本書では「可変透過度」という用語は、フィルタ材料などの材料の透過度が、材料の範囲に亘って変化するという意味で用いられる。材料の一方の端部での透過度が反対側の端部よりも大きいことが好ましい。ただしこの透過度は他の方向または向きにおいて変化するものでもよく、厳密に直線状または縦方向に進むものに限定されない。例えば透過度は、異なる透過度の一連の同心環など、フィルタ材料の中心からの半径に応じて変化するものでもよい。
【0056】
本書では「フィルタ材料」という用語は、飲料調製原料の少なくとも一部分の通過を部分的にまたは実質的に防ぐまたは妨害することができるが、飲料液体を通過させることができる材料という意味で用いられる。いくつかの実施形態において、飲料調製原料は挽いたコーヒーまたは茶葉などの不溶解性のタイプの原料でもよく、この場合フィルタ材料は、コーヒー粉および茶葉などの残存する不用な固形原料がカプセルから外へと通過するのを実質的に防ぐべきである。しかしながら他の実施形態において、飲料調製原料はスープなどの分散性または溶解性のタイプの原料でもよく、この場合フィルタ材料は、分散または溶解された原料が飲料液体と共にカプセルから外へと通過するのを可能にするべきであるが、分散または溶解されていない原料の通過は防ぐべきである。
【0057】
「中空体」という用語は本書において、飲料抽出原料を保持するためのエンクロージャを含む3次元形状という、その通常の意味で用いられる。中空体は、平面図において、円形、正方形、他の通常の多角形、または台形など、任意の適切な形状のものでもよいことが理解されよう。中空体は原料チャンバを画成し、この中で飲料調製原料を保存することができ、また飲料調製原料の浸出または溶解により飲料を調製することができる。原料チャンバは、原料によって適切に実質的に満たされていることが好ましい。
【0058】
「上端部」および「下端部」といった用語、さらに「上」「下」「より高い」および「より低い」などの関連する表現は、添付の図面に関して、カプセルの要素の相対位置を明確にするよう意図された相対的な表現である。カプセルの「上端部」は、使用時に実際に最上部になり得るが、これは飲料調製マシンの向き次第で必ずしも事実になり得ないことは当業者には容易に明らかであろう。いずれにしても、カプセルの「上部」または「上方」の領域は飲料調製中の液体の流れに対して上流の領域であり、「下部」または「下方」の要素は下流のものである。
【0059】
同様に「前方」および「後方」という用語は、添付の図面に関して、カプセルの要素の相対位置を明確にするよう意図された相対的な表現である。特にカプセルの「前方」部分は、典型的には、「後方」部分に対向した配置に位置することになる。ただしカプセルの「前方」部分は、カプセルの向き次第で、飲料調製マシンの中または外で必ずしもユーザに面している必要はないことは容易に明らかであろう。
【0060】
「排出経路」という用語は、飲料調製中に飲料がこれを通ってチャンバから流出する、飲料原料チャンバから延在する経路を称する。排出経路には、実質的に飲料原料が含まれないことが好ましい。排出経路は、飲料の流れの方向の長さと、流れに垂直な断面とを有することが好ましい。
【0061】
本書では「脆弱な鮮度バリア」という用語は、カプセル内部の飲料調製原料の品質を、例えば雰囲気の水分または細菌によって時間と共に劣化させないような、カプセルの注入口、排出口、または他の開口を覆う、シールまたはキャップという意味で使用される。さらに、カプセルを飲料の調製に使用できるようにするためにシールまたはキャップを開封または開口できるという意味で、鮮度バリアは脆弱である。
【0062】
本書では「サシェ」という用語は、内部に飲料調製原料を保存することができる、実質的に柔軟な袋または小袋という意味で用いられる。
【0063】
本書では「ポッド」という用語は、内部に飲料調製原料を保存することができる、実質的に剛性のまたは実質的に柔軟な蓋または上部をその上に備えている実質的に剛性のボウルまたはカップから好適には形成された、実質的に剛性の容器という意味で用いられる。
【0064】
本書では「傾斜した」という用語は、より高い位置からより低い位置までの間で傾いているという、通常の意味で用いられる。
【0065】
ここで本発明の実施形態を、例として添付の図面を参照してさらに説明する。