特許第6676546号(P6676546)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6676546
(24)【登録日】2020年3月16日
(45)【発行日】2020年4月8日
(54)【発明の名称】太陽電池
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0224 20060101AFI20200330BHJP
【FI】
   H01L31/04 262
【請求項の数】10
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-567825(P2016-567825)
(86)(22)【出願日】2015年5月22日
(65)【公表番号】特表2017-517146(P2017-517146A)
(43)【公表日】2017年6月22日
(86)【国際出願番号】US2015032318
(87)【国際公開番号】WO2015183761
(87)【国際公開日】20151203
【審査請求日】2018年5月8日
(31)【優先権主張番号】14/292,280
(32)【優先日】2014年5月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505379467
【氏名又は名称】サンパワー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ハーレー、ガブリエル
(72)【発明者】
【氏名】キム、タエセオク
(72)【発明者】
【氏名】シア、ベンジャミン イアン
【審査官】 原 俊文
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−171903(JP,A)
【文献】 特開2005−167158(JP,A)
【文献】 特表2012−501551(JP,A)
【文献】 特開平11−243224(JP,A)
【文献】 特開2002−057358(JP,A)
【文献】 特開2010−245399(JP,A)
【文献】 特開2007−253179(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/161580(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0112233(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/04−31/078
H01L 31/18−31/20
B23K 26/21−26/302
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に又は前記基板の上方に配置された、n型領域及びp型領域を有する半導体領域と、
前記n型領域及び前記p型領域の間に配置されたダメージ緩衝域と、
導電箔及び導電性領域を有し、前記n型領域及び前記p型領域に結合されたコンタクトフィンガ
を備え、
前記n型領域及び前記p型領域に前記導電性領域が結合され、
前記導電箔が、複数の溶接領域を介して前記導電性領域に結合され、
前記複数の溶接領域の第1の溶接領域は部分的溶接部である、
太陽電池。
【請求項2】
前記複数の溶接領域は前記コンタクトフィンガ上に非対称的に配置されている、請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
前記複数の溶接領域のうちの少なくとも1つは前記複数の溶接領域の別の1つとは異なる長さである、請求項1又は2に記載の太陽電池。
【請求項4】
前記導電箔と記導電性領域とに結合され、かつ両者の間に結合された第2の導電性領域を更に備える請求項1から3の何れか一項に記載の太陽電池。
【請求項5】
前記ダメージ緩衝域は、レーザエネルギを吸収するように構成された吸収領域である、請求項1から4の何れか一項に記載の太陽電池。
【請求項6】
前記コンタクトフィンガは、アルミニウムを含む箔を有する、請求項1からの何れか一項に記載の太陽電池。
【請求項7】
基板と、
前記基板の上方に配置されたp型ドープ領域及びn型ドープ領域と、
前記p型ドープ領域に結合された導電性領域と、
前記p型ドープ領域に結合された前記導電性領域に第1の導電箔を結合するランダム配列の複数の溶接部と、
前記n型ドープ領域に結合された導電性領域と、
前記n型ドープ領域に結合された前記導電性領域に第2の導電箔を結合するランダム配列の複数の溶接部と
を備える
太陽電池。
【請求項8】
前記ランダム配列の複数の溶接部のうち少なくとも1つの溶接部は部分的溶接部である、請求項に記載の太陽電池。
【請求項9】
基板と、
前記基板に又は前記基板の上方に配置された半導体領域と、
導電箔及び導電性領域を有し、前記半導体領域に結合されたコンタクトフィンガと
を備え、
前記半導体領域に前記導電性領域が結合され、
前記導電箔が、複数の溶接領域を介して前記導電性領域に結合され、
前記複数の溶接領域の第1の溶接領域は部分的溶接部であり、
前記複数の溶接領域は前記コンタクトフィンガ上に非対称的に配置されている、
太陽電池。
【請求項10】
基板と、
前記基板に又は前記基板の上方に配置された半導体領域と、
導電箔、第1の導電性領域及び第2の導電性領域を有し、前記半導体領域に、結合されたコンタクトフィンガと
を備え、
前記半導体領域に前記第1の導電性領域が結合され、
前記第2の導電性領域は、前記導電箔と前記第1の導電性領域と間で、両者と結合され、
前記導電箔が、複数の溶接領域を介して前記第1の導電性領域及び前記第2の導電性領域の少なくとも一方に結合され、
前記複数の溶接領域の第1の溶接領域は部分的溶接部である、
太陽電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
光電池は、太陽電池として一般に知られおり、太陽放射を電気エネルギに直接変換するための周知のデバイスである。一般的に、太陽電池は半導体ウェハ又は基板上に、基板の表面付近にp−n接合を形成する半導体処理技術を用いて製造される。太陽放射が基板の表面に衝突して基板に入射すると、基板のバルクに電子‐正孔対が形成される。電子‐正孔対が基板内のpドープ及びnドープ領域まで移動する結果、ドープ領域間に電圧差が発生する。ドープ領域は太陽電池上の導電性領域に接続され、電池から外部回路に電流を方向付ける。
【背景技術】
【0002】
効率は太陽電池の重要な特性である。なぜならば、太陽電池の電力を生成させる能力に直接関係しているからである。同様に、太陽電池の製造における効率は、そのような太陽電池の費用対効果に直接関係している。従って、太陽電池の効率を上げるための技術、又は太陽電池の製造における効率を上げるための技術は概して望まれる。本開示のいくつかの実施形態によれば、太陽電池構造体を製造するための複数の新規な処理を提供することによって、太陽電池の製造効率の向上を可能にする。本開示のいくつかの実施形態によれば、複数の新規な太陽電池構造体を提供することによって、太陽電池効率の向上を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0003】
図1】いくつかの実施形態に係る、基板の上方に形成されたエミッタ領域上に形成された導電性コンタクトを有する例示的な太陽電池の一部の断面図を図示する。
【0004】
図2】いくつかの実施形態に係る、基板に形成されたエミッタ領域上に形成された導電性コンタクトを有する例示的な太陽電池の一部の断面図を図示する。
【0005】
図3】1つの実施形態に係る、ランダム配列の溶接部を有する導電性コンタクトを形成する方法例を図示するフローチャートである。
【0006】
図4A図3の方法に係るランダム配列の溶接部を有する導電性コンタクトを形成する断面図を図示する。
図4B図3の方法に係るランダム配列の溶接部を有する導電性コンタクトを形成する断面図を図示する。
図4C図3の方法に係るランダム配列の溶接部を有する導電性コンタクトを形成する断面図を図示する。
図4D図3の方法に係るランダム配列の溶接部を有する導電性コンタクトを形成する断面図を図示する。
【0007】
図5】1つの実施形態に係る、ランダム配列の溶接部を有する導電性コンタクトを形成する方法例を図示するフローチャートである。
【0008】
図6A図5の方法に係るランダム配列の溶接部を有する導電性コンタクトを形成する断面図を図示する。
図6B図5の方法に係るランダム配列の溶接部を有する導電性コンタクトを形成する断面図を図示する。
図6C図5の方法に係るランダム配列の溶接部を有する導電性コンタクトを形成する断面図を図示する。
図6D図5の方法に係るランダム配列の溶接部を有する導電性コンタクトを形成する断面図を図示する。
図6E図5の方法に係るランダム配列の溶接部を有する導電性コンタクトを形成する断面図を図示する。
【0009】
図7】1つの実施形態に係る、ランダム配列の溶接部を有する導電性コンタクトを形成する方法例を図示するフローチャートである。
【0010】
図8A図7の方法に係るランダム配列の溶接部を有する導電性コンタクトを形成する断面図を図示する。
図8B図7の方法に係るランダム配列の溶接部を有する導電性コンタクトを形成する断面図を図示する。
図8C図7の方法に係るランダム配列の溶接部を有する導電性コンタクトを形成する断面図を図示する。
図8D図7の方法に係るランダム配列の溶接部を有する導電性コンタクトを形成する断面図を図示する。
図8E図7の方法に係るランダム配列の溶接部を有する導電性コンタクトを形成する断面図を図示する。
【0011】
図9】様々な実施形態に係るパターニングの前における例示的な太陽電池の裏面の上視図を図示する。
図10】様々な実施形態に係る、パターニングの後における例示的な太陽電池の裏面の上視図を図示する。
【0012】
図11】様々な実施形態に係る、太陽電池のコンタクトフィンガ例の上視図を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に詳述される説明は、本質的には単なる例示に過ぎず、本出願の主題の実施形態、あるいは、そのような実施形態の適用及び使用を限定することを意図されない。本明細書で用いられる場合、「例示的」という語は、「実施例、実例、又は図示としての役割を果たすこと」を意味する。本明細書で例示的として説明される実装は、必ずしも、他の実装よりも好ましい又は有利であるとして解釈されるべきではない。更に、前述の技術分野、背景技術、概要、又は以下にて詳述される説明にて提示される、明示あるいは示唆されている理論によっても、拘束されることを意図するものではない。
【0014】
本明細書には、「1つの実施形態」又は「一実施形態」という言及を含む。「1つの実施形態において」又は「一実施形態において」という語句の出現は、必ずしも、同じ実施形態を指すものではない。複数の特定の機構、構造、又は特性は、本開示と矛盾しない任意の適した方式で組み合わせられることができる。
【0015】
専門用語。
以下の複数の段落は、(添付の請求項を含む)本開示で見出される用語に関する、定義及び/又はコンテキストを提供する。
【0016】
「備える」。この用語は、オープンエンド型である。添付の請求項にて用いられているように、この用語は追加の構造又は工程を排除するものではない。
【0017】
「〜ように構成された」。様々なユニット又は構成要素は、1つ又は複数のタスクを実行する「ように構成された」として、説明又は特許請求される場合がある。そのようなコンテキストでは、「〜ように構成された」は、それらのユニット/構成要素が、動作中に1つ又は複数のタスクを実行する構造を含むことを示すことによって、その構造を含意するために用いられる。それゆえ、それらのユニット/構成要素は、指定のユニット/構成要素が現時点で動作可能ではない(例えば、オン/アクティブではない)場合であっても、そのタスクを実行するように構成されていると言うことができる。ユニット/回路/構成要素が、1つ又は複数のタスクを実行する「ように構成された」と記載することは、そのユニット/構成要素に関して、米国特許法第112条第6項が適用されないことを、明示的に意図するものである。
【0018】
「第1の」、「第2の」など。本明細書で用いられる場合、これらの用語は、それらが前に置かれる名詞に関する指標として用いられるものであり、いずれの種類(例えば、空間的、時間的、論理的など)の順序付けも暗示するものではない。例えば、太陽電池の「第1の」溶接領域に言及することは、必ずしもこの溶接領域が順序において最初の溶接領域であることを意味するものではない。その代わりに、用語「第1の」は、この溶接領域を別の溶接領域(例えば、「第2の」溶接領域)と区別するために用いられる。
【0019】
「基づく」。本明細書で用いられる場合、この用語は、決定に影響を及ぼす1つ又は複数の因子を説明するために用いられる。この用語は、決定に影響を及ぼし得る、複数の追加の因子を排除するものではない。すなわち、決定は、単にそれらの因子のみに基づく場合もあり、又は、それらの因子に少なくとも部分的に基づく場合もある。「Bに基づいてAを決定する」という語句を考察する。Bは、Aの決定に影響を及ぼす因子とすることができる一方、そのような語句は、Aの決定がCにもまた基づくものであることを排除するものではない。他の場合には、単にBのみに基づいて、Aを決定することができる。
【0020】
「結合された」−以下の説明は、素子又はノード又は機構が一体に「結合された」ことを指す。本明細書で用いられる場合、明示的に別段の定めがない限り、「結合された」は、1つの素子/ノード/機構が別の素子/ノード/機構に、直接的若しくは間接的に連結する(又は直接的若しくは間接的に連通する)ことであって、必ずしも機械的なものではないことを意味する。
【0021】
「抑制する」−本明細書で用いられる場合、「抑制する」は、低減又は最小限にする効果を説明するために用いられる。構成要素又は機構が作用、動作、又は状況を抑制していると説明されている場合、それは完全に、結果、又は効果、又は将来の状態を完全に阻止している場合がある。更に、「抑制する」は、本来は生じ得る結果、性能、及び/又は効果の低減又は軽減を指すこともできる。従って、構成要素、素子、又は機構が、結果又は状態を抑制することと称される場合、これらの構成要素、素子、又は機構は必ずしも結果又は状態を完全に阻止したり、排除したりする必要はない。
【0022】
加えて、特定の用語法はまた、参照のみを目的として、以下の説明で用いられる場合があり、それゆえ、それらの用語は、限定的であることを意図されない。例えば、「上側」、「下側」、「上方」、及び「下方」などの用語は、参照される複数の図面における複数の方向を指す。「前部」、「後方」、「後部」、「側部」、「外側」、及び「内側」などの用語は、説明中の構成要素を説明するテキスト及び関連図面を参照することによって明確にされる、一貫性はあるが任意の基準系の範囲内における構成要素の諸部分の向き及び/又は位置を説明するものである。そのような用語法は、具体的に上述された語、これらの派生語、及び同様の意味の語を含み得る。
【0023】
開示内容のほとんどが理解を容易にするために太陽電池に関して説明されており、複数の開示された技術及び構造は、複数の他の半導体構造(例えば、一般的にシリコンウェハ)に同様に適用される。
【0024】
複数の太陽電池導電性コンタクト及び複数の太陽電池導電性コンタクトを形成する複数の方法について本明細書にて説明する。以下の説明において、本開示の複数の実施形態の十分な理解を提供するために、特定の処理フロー操作などの多数の具体的な詳細が記載される。本開示の複数の実施形態がこれらの具体的な詳細を伴わずに実施され得ることは、当業者には明らかであろう。複数の他の例において、例えば、リソグラフィ技術のような複数の周知の製造技術については、本開示の複数の実施形態を不必要に不明瞭にしないために、詳細には説明されていない。更に、図に示されている様々な実施形態は、例示的な表示であり、必ずしも縮尺通りに描写されたものではないことを理解されたい。
【0025】
本明細書では、まず、ランダム配列の溶接部を含む複数の開示されている導電性コンタクトを有し得る(例えば、one sun又は集中型太陽光発電用途のための)複数の例示的な太陽電池について説明し、続いて、ランダム配列の溶接部を有する複数の開示されている導電性コンタクトを形成する方法例について説明する。様々な例が全体にわたって提供されている。本明細書では説明を明瞭にするために太陽電池に焦点を当てているが、複数の開示された構造及び/又は技術は、発光ダイオード(LED)にも同様に適用することができる。
【0026】
第1の例示的な太陽電池において、太陽電池の基板の上方に形成されたエミッタ領域を有する太陽電池用のコンタクト、例えば、裏面コンタクトを製造するよう、導電箔が用いられる。例えば、図1は、本開示の実施形態により基板の上方に形成されたエミッタ領域上に形成された導電性コンタクトを有する太陽電池の一部の断面図を示している。
【0027】
図1を参照して、太陽電池106aの一部では、パターニングされた誘電体194が、n型ドープポリシリコン領域190、p型ドープポリシリコン領域192の上方、及びトレンチ198によって露出された基板102の複数の部分上に配置されている。複数の導電性コンタクトが、誘電体194に配置された複数のコンタクト開口部に配置され、n型ドープポリシリコン領域190とp型ドープポリシリコン領域192とに結合されている。
【0028】
1つの実施形態において、n型ドープポリシリコン領域190とp型ドープポリシリコン領域192とは、太陽電池106Aのための複数のエミッタ領域を提供することができる。こうして、一実施形態において、複数の導電性コンタクトが複数のエミッタ領域上に配置されている。一実施形態において、複数の導電性コンタクトは、バックコンタクト型太陽電池用のバックコンタクトであり、太陽電池106Aの受光面と反対側の太陽電池の表面上に位置している。更に、1つの実施形態において、エミッタ領域を薄い又はトンネル状の誘電体層196上に形成する。
【0029】
いくつかの実施形態において、図1に示すように、バックコンタクト型太陽電池を製造することには、基板102上に薄い誘電体層196を形成することを含めることができる。1つの実施形態において、薄い誘電体層は二酸化ケイ素からなり、厚さはおよそ5〜50オングストロームの範囲である。1つの実施形態において、薄い誘電体層はトンネル酸化物層として機能する。一実施形態において、基板は、n型ドープ単結晶シリコン基板のようなバルク単結晶シリコン基板である。しかしながら、別の実施形態において、基板には太陽電池基板全体上に配置された多結晶シリコン層が含まれる。
【0030】
トレンチ198は、n型ドープポリシリコン(又はアモルファスシリコン)領域190と、p型ドープポリシリコン領域192との間に形成され得る。トレンチ198の複数の部分は、複数のテクスチャ化された機構を有するように、テクスチャ化され得る。誘電体194は、n型及びp型ドープポリシリコン領域の上方、及び複数のトレンチによって露出された基板の複数の部分の上方に、形成され得る。1つの実施形態において、誘電体194の下面は、n型及びp型ドープポリシリコン領域並びに基板102の複数の露出された部分と等角に形成され得る。1つの実施形態において、誘電体194の上面は、実質的に平坦とすることができる。具体的な実施形態において、誘電体194は反射防止コーティング(ARC)層である。
【0031】
複数のコンタクト開口部は、誘電体194に形成され得る。複数のコンタクト開口部は、n型ドープ領域190及びp型ドープ領域192のようなn型及びp型ドープポリシリコン領域に対して露出を提供し得る。様々な実施形態において、複数のコンタクト開口部は、レーザアブレーション、化学エッチング、機械技術、又はリソグラフィによって形成され得る。1つの実施形態において、複数のn型ドープポリシリコン領域に対する複数のコンタクト開口部は、複数のp型ドープポリシリコン領域に対する複数のコンタクト開口部と実質的に同じ高さを有している。
【0032】
バックコンタクト型太陽電池用の複数のコンタクトを形成することは、導電性コンタクトを複数のコンタクト開口部に形成し、n型ドープポリシリコン領域190又はp型ドープポリシリコン領域192にそれぞれ結合させることを含み得る。こうして、一実施形態において、複数の導電性コンタクトは、受光面バルクN型シリコン基板の反対側にあるバルクN型シリコン基板の表面上又は表面の上方に形成されている。具体的な実施形態において、複数の導電性コンタクトは、基板102の表面の上方の領域(190/192)上に形成されている。
【0033】
更に図1を参照して、複数の導電性コンタクトは、導電箔182又は186などの導電箔を含み得る。様々な実施形態において、導電箔は、アルミニウム、銅、スズ、他の導電性材料、及び/又はこれらの組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態において、図1に示すように、複数の導電性コンタクトはまた、1つ又は複数の導電性(金属又は他のものの)領域、例えば、領域180及び184(図1)を、導電箔182又は186と、それぞれの半導体領域との間に含み得る。例えば、第1の導電性領域180又は184は、例えば、アルミニウム、アルミニウム/シリコン合金などを含むことができ、これらは印刷されることができ(例えば、交互嵌合するフィンガパターンなどの予め定められたパターンに)、又はブランケット堆積することができ(例えば、スパッタリング、蒸着など)、これらは、いくつかの実施形態において、その後に導電箔と共にパターニングすることができる。
【0034】
いくつかの実施形態において(図示せず)、第2の導電性領域はまた、導電性コンタクトにおいて用いられることができ、金属間又は薄いブランケット中間層とすることができ、その結果、箔を導電性領域に溶接するために必要な電力を減少することができる。複数の例示的な第2の導電性領域は、タンタル及び/又はスズ、若しくは複数の他の材料を含み得る。様々な実施形態において、第2の導電性領域は、電池と箔とが接触されるようになる前に、第1の導電性領域上に又は箔に堆積され得る。
【0035】
いくつかの実施形態において、導電箔182及び186は、純粋Al、あるいは合金(例えば、Al/シリコン(Al/Si)合金箔)としてのアルミニウム(Al)箔、スズ、銅、スズ及び/又は銅の合金、若しくは複数の他の導電性材料又は合金とすることができる。開示内容のほとんどが金属箔及び金属導電性領域について説明しているが、いくつかの実施形態において、非金属導電箔(例えば、導電性カーボン)及び非金属導電性領域は、金属箔及び金属導電性領域に加えて又はそれらの代わりに、同様に用いられ得ることは、留意されたい。本明細書で説明されているように、金属箔は、他にも例があるが、Al、Al−Si合金、スズ、銅、及び/又は銀を含み得る。いくつかの実施形態において、導電箔は5ミクロン厚未満(例えば、1ミクロン未満)とすることができる一方、他の実施形態において、箔は他の厚さ(例えば、15ミクロン、25ミクロン、37ミクロンなど)とすることができる。いくつかの実施形態において、箔の種類(例えば、アルミニウム、銅、スズなど)が、太陽電池にわたって生じる十分な電流輸送を実現するのに必要な箔の厚さに影響を及ぼす可能性がある。更に、箔と半導体材料との間に1つ又は複数の導電性領域が存在する実施形態において、箔は、これらの導電性領域が存在しない実施形態の場合よりも薄くすることができる。
【0036】
様々な実施形態において、導電性領域180及び184は、金属ペースト(例えば、ペーストが印刷可能となるように金属粒子並びにバインダを含むペースト)から、金属粉末(例えば、バインダを伴わない金属粒子、Al粒子の粉末、Al粒子の層及びCu粒子の層)から、又は金属ペースト及び金属粉末の組み合わせから、形成されることができる。金属ペーストを用いる1つの実施形態において、ペーストは、ペーストを基板上に印刷すること(例えば、スクリーン印刷、インクジェット印刷など)によって付与されてよい。ペーストは、ペーストの送達を容易にするための溶媒を含んでよく、例えば、バインダ又はガラスフリットのような複数の他の素子も含んでよい。様々な実施形態において、複数の導電性領域は、ブランケット堆積された後に、導電箔と共にパターニングされ得る一方、他の実施形態においては、複数の導電性領域は、例えば、太陽電池用のフィンガパターンなどの特定のパターンで形成され得る。ブランケット堆積されて予めパターニングされる導電性領域の複数の例については、本明細書にて説明する。
【0037】
様々な実施形態において、導電性領域180及び184の金属粒子の厚さをおよそ1〜500ミクロンとすることができる。例えば、金属粒子が印刷される実施形態の場合、印刷される金属粒子は、およそ1〜10ミクロンの厚さを有し得る。
【0038】
様々な実施形態において、金属粒子は、(導電箔が導電性領域上に形成される前及び/又は後に)焼成(焼結とも称される)され、金属粒子と一緒に結合されることができる。このことは、導電性を高めて線路抵抗を減少させることができ、その結果、太陽電池の性能が向上される。
【0039】
説明のほとんどがメッキ金属の代わりに導電箔を用いて説明しているが、いくつかの実施形態において、追加の金属が導電箔182及び186にメッキされ得る。例えば、ニッケル及び/又は銅は、無電解又は電解メッキ技術によりメッキされ得る。なお、1つの実施形態において、例えば、ジンケート処理において、亜鉛が加えられ、アルミニウム上でのメッキを可能にし得る。
【0040】
様々な実施形態において、結果として生じるパターニングされた導電箔及び/又は導電性領域は、全体としてコンタクトフィンガと称され得る。1つの実施形態において、導電箔は、溶接領域183及び187を介して、導電性領域及び/又は半導体領域に結合され得る。複数の溶接領域は、開示された技術により付与されることができ、高密度のランダム配列の溶接部をもたらし得る。ランダム配列は、厳密に位置合わせされていないパターニングされた溶接部について説明するために、本明細書にて用いられている。例えば、複数の溶接スポットは、例えば、図1における溶接部183など、少なくとも1つの部分的溶接部を含むことができ、溶接部187などの完全な溶接部も含み得る。別の例として、図9〜11に示されているように、複数の溶接領域は、コンタクトフィンガ上に非対称的に配置され得る。別の例として、いくつかの実施形態において、複数の溶接領域は、(例えば、長さ、深さなどにおいて)様々な寸法であり得る。様々な例は、複数の図の全体にわたって示されている(例えば、図4C、4D、6D、6E、9〜11などに示されているように)。
【0041】
様々な実施形態において、ダメージ緩衝域160(犠牲領域又は層とも称される)は、半導体領域のそれぞれのn型及びp型ドープ領域の間に配置されることができる。一例として、ダメージ緩衝域160は、吸収性又は反射性とすることができ、このことは、トレンチ198又は基板102に対するダメージを抑制することができる。例えば、吸収ダメージ緩衝域は、レーザエネルギを吸収するように構成された印刷されたポリマであり得る。ダメージ緩衝域は粘着性があり、べたつき、テクスチャ化されたものであってよく、あるいは、導電箔に対する若干の粘着性を提供し、溶接及び/又はパターニングの間に箔を予め定められた位置に保持するのに役立つように構成されてよい。
【0042】
いくつかの実施形態において、太陽電池106Aは、1つ又は複数の追加の導電性領域180及び184を含まない場合がある。その代わりに、導電箔は、太陽電池の複数の半導体領域に直接結合され得る。
【0043】
同様に、いくつかの実施形態において、太陽電池106Aは、ダメージ緩衝域160を含まない場合がある。ダメージ緩衝域160を含まない様々な例示的な太陽電池については本明細書にて説明される。
【0044】
ここで、図2に移ると、1つの実施形態に係る、基板に形成された複数のエミッタ領域上に形成された複数の導電性コンタクトを有する例示的な太陽電池の一部の断面図を示す。例えば、この例示的な第2の電池において、導電箔は、複数の裏面コンタクトなどの複数のコンタクトを、太陽電池の基板に形成された複数のエミッタ領域を有する太陽電池のために製造するように用いられ得る。
【0045】
図2に示されているように、太陽電池106Bの一部は、複数のn型ドープ拡散領域190、p型ドープ拡散領域192の上方に、及びバルク結晶シリコン基板などの基板102の複数の部分上に配置されたパターニングされた誘電体194を含む。複数の導電性コンタクトは、誘電体194に配置された複数のコンタクト開口部に配置され、n型又はp型ドープ拡散領域のそれぞれの1つに結合されている。一実施形態において、拡散領域190及び192は、シリコン基板の領域に、n型ドーパント及びp型ドーパントをそれぞれドープすることによって形成される。更に、n型及びp型ドープ拡散領域は、1つの実施形態において、太陽電池106Bのための複数のエミッタ領域を提供し得る。こうして、一実施形態において、複数の導電性コンタクトは、複数のエミッタ領域上に配置される。一実施形態において、導電性コンタクトは、バックコンタクト型太陽電池のためのバックコンタクトであり、テクスチャ化された受光面と反対側など、受光面と反対側の、太陽電池の表面上に位置される。
【0046】
1つの実施形態において、図2を再び参照すると、図1のそれと同様に、複数の導電性コンタクトは、導電箔182又は186を含んでよく、いくつかの実施形態において、導電性領域180又は184などの1つ又は複数の追加の導電性領域を含んでよい。導電箔182及び186は、1つ又は複数の導電性領域にランダムに溶接されることができ、又は、太陽電池の半導体領域に直接溶接されて、従って太陽電池106Bの複数のエミッタ領域と電気接触されることもできる。箔、導電性領域、及び溶接部の説明を含む図1の導電性コンタクトの説明は、図2の導電性コンタクトに対して同様に適用されるが、説明を明瞭にするために繰り返さない。
【0047】
いくつかの実施形態において、太陽電池106Aに関する上記の説明と同様に、太陽電池106Bは、1つ又は複数の追加の導電性領域180及び184を含まない場合がある。その代わりに、導電箔は、太陽電池の半導体領域に直接結合され得る。
【0048】
同様に、いくつかの実施形態において、太陽電池106Bは、ダメージ緩衝域160を含まない場合がある。ダメージ緩衝域を含まない様々な例示的な太陽電池160について本明細書にて説明する。
【0049】
本明細書では特定の材料について説明しているが、いくつかの材料を他のものと容易に置き換えてもよく、他のそのような実施形態は、本開示の複数の実施形態の趣旨及び範囲内にある。例えば、一実施形態において、III‐V族材料基板のような異なる材料基板が、シリコン基板の代わりに用いられることができる。
【0050】
なお、様々な実施形態において、図2において説明されているように、形成された複数のコンタクトがバルク基板上に直接形成される必要はない。例えば、1つの実施形態において、上記されたもののような複数の導電性コンタクトは、図1について説明されているように、バルク基板として(例えば、裏面上に)上にて形成された複数の半導体領域上に形成される。
【0051】
ここで、図3に移ると、いくつかの実施形態に係る、ランダム配列の溶接部を有する導電性コンタクトを形成するための方法を図示するフローチャートを示す。様々な実施形態において、図3の方法は、図示されたものより追加の(又はより少ない)ブロックを含み得る。
【0052】
300に示されているように、第1の導電性領域が半導体領域上に形成され得る。例えば、1つの実施形態において、第1の導電性領域は、金属の連続的なブランケット堆積として形成され得る。複数の堆積技術は、スパッタリング、蒸着、あるいは、ブランケット堆積による導電性材料を含み得る。第1の導電性領域用の複数の例示的な導電性材料は、アルミニウム、スズ、ニッケル、銅、銀、導電性カーボン、それらのうちの2つ以上の材料の合金を含む。図4Aは、図3の方法のブロック300の断面図を図示する。図示されているように、第1の導電性領域180が、半導体領域190及び192上にブランケット堆積として形成されている。
【0053】
本明細書にて説明されているように、いくつかの実施形態において、第2の導電性領域も形成されることができ、このことは、ブロック304で溶接を実行するのに必要な電力を減少することができる。複数の例示的な第2の導電性領域については、本明細書にて説明する。いくつかの実施形態において、ブランケット堆積とは対照的に第1の導電性領域が印刷されるか、あるいは、予めパターニングされる複数の実施形態において、第2の導電性領域は用いられ得る。
【0054】
図3を再び参照すると、302に示されている通り、導電箔は、第1の導電性領域(及び、存在する場合、第2の導電性領域)上に形成され得る。導電箔を形成することは、(例えば、真空により押しつけられ、又は、機械力、強制空気により、粘着性で/べたつくダメージ緩衝域を用いて、予め定められた位置に保持されるなど)フィットアップ処理を含むことができ、導電箔は、ブロック304で形成される溶接スポットのために、かつ、箔が予め定められた位置で溶接される前に動くのを防止するために、十分な接触状態で保持される。図4Bに例示するのは図3の方法のブロック302の断面図である。示されているように、導電箔186が、第1の導電性領域180上に形成されている。
【0055】
図3の304において、導電箔は、第1の導電性領域(及び、存在する場合、第2の導電性領域)に溶接され得る。本明細書にて説明されているように、いくつかの実施形態において、導電箔と半導体領域との間に導電性領域が存在しない場合、そのため、導電箔は、半導体領域に直接溶接され得る。
【0056】
様々な実施形態において、304での溶接は、レーザが、導電箔の複数のランダムな位置に印加され、導電箔と半導体領域との間に複数の溶接部を形成するように、実行され得る。そのようなレーザのランダムな印加は、高速回転ポリゴン又はガルバノを用いることによって提供されることができ、これは、ミラーを用いて固定ウェハに適用することができ、又はツールを通って移動するウェハに適用することができる。
【0057】
1つの実施形態において、304での溶接は、より高い密度で実行され、ランダム位置合わせではなく精密位置合わせを用いる技術と比較して多くの溶接スポットを生成する。より高い密度は、部分的溶接部又は位置合わせ不良な溶接部が生じる状況であっても、複数のコンタクトに対する十分な接続性を提供できる。より高い密度であるため、レーザのランダム印加は、そのより高い密度に起因する発熱のリスク、並びに結合部の欠落に起因する直列抵抗損失を軽減することができる。更に、複数の溶接スポットのより高い密度は、パターニングの可能性をより広げることができる。例えば、より高い密度は、エッチングベースのパターニング処理が、第1の導電性領域をエッチングしてしまうという大きなリスクを伴うことなく用いられることを可能にする。
【0058】
1つの実施形態において、304での溶接は、12〜15m/sでの標準的なレーザスキャナと対照的におよそ100m/sなど、はるかにより高速で実行される。
【0059】
ブランケットの第1の導電性領域が付与される複数の実施形態において、導電箔と第1の導電性領域との間の溶接は、レーザが照射される任意の箇所において生じてよい。しかしながら、複数の開示された技術は、このような位置合わせ不良な溶接部を許容する一方、電池に対するダメージを抑制してスループットを増加させることができる。
【0060】
図4Cは、図3の方法のブロック304の断面図を図示する。示されているように、導電箔186が、第1の導電性領域180に溶接されている。溶接位置183及び187の非対称性、並びに溶接部の長さ及び深さのミスマッチが、そのような高速溶接処理によりもたらされ得ることが、留意されたい。
【0061】
図3を再び参照すると、第1(及び、存在する場合、第2)の導電性領域、及び導電箔は、306に示されているようにパターニングされ得る。箔及び導電性領域をパターニングすることは、太陽電池用の複数のコンタクトフィンガ(例えば、交互嵌合されるコンタクトフィンガ)の形成をもたらし得る。レーザ印加のランダム性は、溶接部がコンタクトフィンガのうちの1つの縁部とオーバーラップする部分的溶接部をもたらし得る。様々な長さ、深さなどを有する溶接部、並びに太陽電池にわたって非対称分布の溶接部ももたらされ得る(例えば、太陽電池の裏面の上視図に見られる(図9〜11に示されているように))。
【0062】
図4Dは、図3の方法のブロック306の断面図を図示する。示されているように、第1の導電性領域180及び導電箔186は、別個のコンタクトフィンガ、1つのn型フィンガ、及び1つのp型フィンガをもたらしてパターニングされ得る。
【0063】
ブランケットの第1の導電性領域が付与される複数の実施形態において、溶接はレーザが照射される任意の箇所に生じ得るため、306で用いられるパターニング処理は、溶接を通さない隔離工程であり得る。例えば、1つの実施形態において、パターニング技術は、溝切り及びエッチング技術であり得る。溝切り及びエッチングパターニングにおいて、フィンガ間の分離/隔離が意図される位置に対応する位置で、導電箔に溝を切ることができる。1つの実施形態において、それらの位置におけるレーザ又は機械的溝切りは、それらの位置での厚さの大部分を除去することができる。従って、溝は、全体の箔を通して完全に切断するわけではなく、その代わりに一部を残す。次に、化学エッチングが施され、溝から残存部分を除去し、その結果、箔(及び箔と半導体領域との間の任意の導電性領域)が分離されてフィンガパターンにされる。
【0064】
別の実施形態において、パターニング技術は、マスキング、溝切り、及びエッチング技術であり得る。例えば、パターニングされていないマスク(例えば、パターニングされていないエッチングレジスト、フィルム、PETシートなど)は、導電箔上に、例えば、実質的に導電箔の表面全体にわたって、付与されことができる。マスクは次に、レーザアブレーション、機械的な溝切り、又は他のもののうちのいずれかによって、パターニングされることができる。1つの実施形態において、導電箔のパターニング又は溝切りはまた、例えば、レーザアブレーションによって可能である。次に、化学エッチングが施され、マスクが剥がされ、結果として得られる電池は、複数の隔離された導電性コンタクトを有している。
【0065】
いくつかの実施形態において、図3の方法はまた、導電箔と基板との間(例えば、導電箔と第1の導電性領域との間、又は第1の導電性領域と基板との間)の、半導体領域の隣接するp型及びn型ドープ領域間の領域に、ダメージ緩衝域を形成する段階を含み得る(例えば、図1及び2に示されているように)。ダメージ緩衝域は、いくつかの実施形態において、レーザ吸収又はレーザ反射領域であり得る。1つの実施形態において、ダメージ緩衝域は、図1に示されているようにトレンチに配置され得る。
【0066】
ここで、図5に移ると、いくつかの実施形態に係る、ランダム配列の溶接部を有する導電性コンタクトを形成するための方法を図示するフローチャートを示す。様々な実施形態において、図5の方法は、図示したものより追加の(又はより少ない)ブロックを含み得る。例えば、1つの実施形態において、ブロック502において第1の導電性領域を形成する段階を省略することができ、第2の導電性領域は、第1の導電性領域の代わりに506においてドープ領域に直接溶接され得る。更に、いくつかの実施形態において、図3の方法の1つ又は複数のブロックを図5の方法に関連して用いられることができる。
【0067】
500に示されているように、ダメージ緩衝域は、図6Aの断面図に示されているように形成され得る。示されているように、ダメージ緩衝域160は、n型及びp型ドープ領域190と192と間のトレンチ198に形成されることができる。例えば、図2の太陽電池のようなトレンチを有さない太陽電池の場合、図2に示されているように、ダメージ緩衝域は、半導体領域の隣接するp型及びn型ドープ領域間の領域に形成され得る。様々な実施形態において、ダメージ緩衝域は、レーザ吸収又はレーザ反射領域であり得る。1つの実施形態において、ダメージ緩衝域は、ポリマを印刷することによって形成され得る。
【0068】
502において、第1の導電性領域は、図6Bの断面図に示されているように形成され得る。示されているように、第1の導電性領域は、パターニングされた第1の導電性領域として形成される。例えば、第1の導電性領域は、本明細書にて説明されているように、印刷された第1の導電性領域であり得る。別の実施形態において、第1の導電性領域は、ブランケット堆積として付与され、次にパターニングされることができる。
【0069】
図5の504に示されているように、導電箔は、第1の導電性領域上に形成され得る。導電箔はまた、図6Cの断面図における導電箔186により示されているように、ダメージ緩衝域及び誘電体194上に形成され得る。
【0070】
図5の506に示されているように、導電箔は、図6Dの断面図における溶接部183及び187により示されているように、第1の導電性領域に溶接され得る。溶接部187により示されているように、レーザは、第1の導電性領域を有さない領域の上方から印加され得る。ダメージ緩衝域160が存在しない場合、トレンチ及びシリコン104は、溶接レーザによってダメージを受ける可能性があり、その結果、太陽電池の効率及び寿命が損なわれる。しかし、ダメージ緩衝域を用いることによれば、レーザが吸収され又は反射されることができ、これにより、シリコンがダメージを受けない。溶接部187として示されているが、導電箔は、必ずしもダメージ緩衝域に溶接されなくてもよい。代わりに、いくつかの実施形態において、導電箔は、溶接位置187において単に歪めるか又は融解させるが、ダメージ緩衝域には接着しないようにしてもよい。
【0071】
図5の508において、導電箔は、パターニングされ得る。第1の導電性領域は、既にパターニングされているため、例えば、マスキング及びエッチング、溝切り及びエッチング、それらのうちのマスキング、溝切り、及びエッチングを含み、様々なパターニング技術が用いられることができる。図6Eは、508でのパターニングが実行された後の太陽電池の一部の断面図を図示する。
【0072】
ここで、図7に移ると、いくつかの実施形態に係る、ランダム配列の溶接部を有する導電性コンタクトを形成する方法を図示するフローチャートを示している。様々な実施形態において、図7の方法は、図示されたものより追加の(又はより少ない)ブロックを含み得る。例えば、1つの実施形態において、導電性領域は、ブロック700で導電箔が形成される前に形成され得る。更に、いくつかの実施形態において、図3及び/又は図5の方法の1つ又は複数のブロックを図7の方法に関連して用いられることができる。
【0073】
700に示されているように、導電箔は、基板に又は基板上方に配置された半導体領域上に形成され得る。本明細書にて説明されているように、導電箔は、半導体領域上に直接形成されることができ、又は、導電箔と半導体領域との間に、1つ又は複数の導電性領域が形成されることができる。図8Aは、パターニングされた第1の導電性領域が形成された断面図を図示しているが、上述のように、いくつかの実施形態において、太陽電池は、第1の導電性領域を含まない場合がある。図8Bは、図7のブロック700の断面図を図示する。示されているように、導電箔186は、半導体領域上(及び第1の導電性領域上)に形成される。
【0074】
図7の702に示されているように、間隙が、図8Cの間隙197により示されているような導電箔の下に生成され得る。間隙は、様々な技術によって生成可能である。例えば、1つの実施形態において、間隙が形成されるように、空気を箔の下に強制的に送られ得る。別の実施形態において、導電箔は、トレンチの表面から吸い込まれ、又は引き離され得る。別の実施形態において、箔は、溶接前にピンと引っ張られてよく、これにより、凹部に形成されないようにする。示されているように、間隙は、トレンチに対応する位置に存在できるが、導電箔は、他の位置(例えば、704において溶接されるべき位置)に接触したままにすることができる。
【0075】
図7の704において、導電箔は、半導体領域に溶接されることができる。図8Dは、ブロック704の断面図を図示している。溶接部183に示されているように、導電箔は、第1の導電性領域180及び184をそれぞれ介して、半導体領域190及び192に溶接され得る。示されているように、レーザを位置187で溶接するように試みたが、空気間隙があるために、十分な熱的分離が存在し、これにより、溶接は起こらずに、シリコンに対するダメージが抑制されている。
【0076】
706に示されているように、導電箔(及び任意の導電性領域)は、例えば、本明細書で説明されているように、パターニングされることができる。706における太陽電池のパターニング後処理の一部の断面図が、図8Eに図示されている。なお、704で溶接部が形成された後に、空気を強制的に送るか又は引っ張って間隙を形成してからリリースすることで、706でのパターニング時に間隙がもはや存在しないようにする。
【0077】
例えば、導電性領域が導電箔と半導体領域との間に存在しない実施形態などの様々な実施形態において、レーザにより用いられるエネルギを減少させ、これにより、溶接には適しているが、電池にはダメージを与えないことができる(例えば、サブアブレーションフルエンスが1J/cmより小さい)。例えば、1つの実施形態において、より長いパルス長が用いられてよく、これにより、熱が溶接部の形成に十分となるようにすることができる。より長いパルス長は、断熱を提供し、シリコンの加熱及び熱影響部(HAZ)を防止することができる。複数の他の実施形態において、複数のレーザパラメータが制御されることもでき、パルス数など、電力及びパルス長以外の複数の他のパラメータが調整され得る。
【0078】
様々な開示された技術及び構造は、多くの利点を提供することができる。例えば、導電箔の表面上の任意の箇所にレーザで溶接することを可能にする一方、同時にシリコンに対するダメージを抑制することによって、位置合わせの要件を緩めることができ、より高いスループットをもたらすことができ(例えば、レーザスキャナを12〜15m/sの代わりに、およそ100m/sで移動させることができる)、それほど複雑ではなくより安価なツールをもたらすことができる(例えば、より少ない高解像度の位置合わせカメラ)。更に、複数の開示された技術における位置合わせ不良な溶接スポットは、シリコンに対するダメージをもたらさない場合があり(かつ、寿命及び効率を低減し)、又は直列抵抗の増加をもたらさない場合がある。
【0079】
図9及び10は、様々な開示された技術に係る、パターニング前後それぞれにおける例示的な太陽電池の上視図を図示している。図9に示されているように、太陽電池900は、ランダム配列の溶接部902を含む。示されているように、複数の溶接スポットは、導電箔上に非対称的に配置されている。図10は、パターニング後の太陽電池1000上の図9と同じ溶接スポットを図示している。パターニングは、いくつかの溶接スポットの複数の部分がフィンガ間の導電箔の複数の部分と共に除去されることをもたらす。その結果、溶接スポットの一部は、部分的溶接部1004のような部分的溶接部であり、フィンガ1002の縁部における部分的溶接部1004により示されているように、複数のフィンガの複数の縁部に部分的にオーバーラップしている。図9及び10には示されていないが、溶接スポットの一部は、レーザ溶接を実行する速度に起因して、寸法(例えば、長さ、深さ)が変わる可能性がある。
【0080】
図11は、様々な実施形態に係る、太陽電池の複数のコンタクトフィンガ上のランダム配列の溶接部例の上視図を図示する。コンタクトフィンガ1102は、n型コンタクトフィンガを図示しており、コンタクトフィンガ1104は、p型コンタクトフィンガを図示している。示されているように、溶接部1106は、コンタクトフィンガ1106に部分的にオーバーラップしているが、パターニング処理後に、コンタクトフィンガ1106にオーバーラップしている縁部が図10に示されているように除去されることは、留意されたい。
【0081】
複数の具体的な実施形態が上述されてきたが、これらの実施形態は、特定の機構に関して単一の実施形態のみが説明される場合であっても、本開示の範囲を限定することを意図されない。開示により提供されている複数の機構の複数の実施例は、別段の定めがある場合を除き、制約的ではなく、例示的であることを意図する。上記の説明は、本開示の利益を受ける当業者には明らかであろう複数の代替案、変更例、及び等価物に及ぶことを意図している。
【0082】
本明細書で対処される問題の一部又は全部を軽減するか否かにかかわらず、本開示の範囲には、本明細書にて(明示的又は黙示的に)開示されている任意の機構、若しくは機構の組み合わせ、又はこれらの任意の一般化を含む。従って、本出願(又は、本出願に対する優先権を主張する出願)の手続遂行中に、任意のそのような機構の組み合わせに対して、新たな請求項を形式化してもよい。具体的には、添付の請求項を参照して、従属請求項からの機構を、独立請求項の機構と組み合わせることができ、それぞれの独立請求項からの機構を、任意の適切な方式で、単に添付の請求項で列挙される具体的な組み合わせのみではなく、組み合わせることができる。
【0083】
一実施形態において、太陽電池は、基板を備える。半導体領域が、基板に又は基板上方に配置されている。コンタクトフィンガが、複数の溶接領域を介して、半導体領域に結合され、複数の溶接領域の第1の溶接領域が、部分的溶接部である。
【0084】
1つの実施形態において、複数の溶接領域は、コンタクトフィンガ上に非対称的に配置されている。
【0085】
1つの実施形態において、複数の溶接領域のうちの少なくとも1つは、複数の溶接領域のうちの別の1つとは異なる長さである。
【0086】
1つの実施形態において、太陽電池は、コンタクトフィンガと半導体領域とに結合され両者の間に結合された第1の導電性領域を更に備える。
【0087】
1つの実施形態において、太陽電池は、コンタクトフィンガと第1の導電性領域とに結合され両者の間に結合された第2の導電性領域を更に備える。
【0088】
1つの実施形態において、太陽電池は、半導体領域のそれぞれのn型及びp型領域の間に配置されたダメージ緩衝域を更に備える。
【0089】
1つの実施形態において、ダメージ緩衝域は、レーザエネルギを吸収するように構成された吸収領域である。
【0090】
1つの実施形態において、コンタクトフィンガは、アルミニウムを含む箔を有する。
【0091】
一実施形態において、太陽電池を製造する方法は、基板に又は基板上方に配置された半導体領域上に導電箔を配置する段階を備える。方法はまた、レーザをランダム位置の導電箔に印加して、導電箔と半導体領域との間に複数の溶接部を形成する段階を備える。
【0092】
1つの実施形態において、方法は、導電箔をパターニングして太陽電池用のコンタクトフィンガを形成する段階であって、溶接部の少なくとも1つは、複数のコンタクトフィンガのうちの1つの縁部とオーバーラップする、形成する段階を更に備える。
【0093】
1つの実施形態において、方法は、導電箔を配置する前に、半導体領域上に第1の導電性領域を形成する段階であって、レーザを印加する段階は、レーザを印加して導電箔と第1の導電性領域との間に複数の溶接部を形成する段階を含む、段階を更に備える。
【0094】
1つの実施形態において、方法は、第1の導電性領域上に第2の導電性領域を形成する段階を更に備える。
【0095】
1つの実施形態において、第1の導電性領域を形成する段階は、太陽電池にわたってブランケットの第1の導電性領域を形成する段階を含む。
【0096】
1つの実施形態において、方法は、溝切り及びエッチング技術を適用して導電箔と第1の導電性領域とをパターニングして、太陽電池用のコンタクトフィンガを形成する段階を更に含む。
【0097】
1つの実施形態において、方法は、ダメージ緩衝域を、導電箔と基板との間であって半導体領域の隣接するp型及びn型ドープ領域間の領域に形成する段階を更に備える。
【0098】
1つの実施形態において、方法は、レーザを印加する前に、導電箔と基板との間に間隙を生成する段階を更に備える。
【0099】
一実施形態において、太陽電池は、基板を備える。p型ドープ領域及びn型ドープ領域が、基板の上方に配置されている。ランダム配列の溶接部は、第1の箔コンタクトフィンガをp型ドープ領域に、第2の箔コンタクトフィンガをn型ドープ領域に結合する。
【0100】
1つの実施形態において、ランダム配列の溶接部のうちの少なくとも1つの溶接部は、部分的溶接部である。
【0101】
1つの実施形態において、太陽電池は、p型ドープ領域とn型ドープ領域との間のトレンチに配置された吸収領域を更に備える。
【0102】
1つの実施形態において、太陽電池は、第1及び第2の箔コンタクトフィンガとp型及びn型ドープ領域との間に、それぞれ、第1の導電性領域を更に備える。
[項目1]
基板と、
上記基板に又は上記基板の上方に配置された半導体領域と、
上記半導体領域に、複数の溶接領域を介して結合されたコンタクトフィンガであって、上記複数の溶接領域の第1の溶接領域は部分的溶接部である、コンタクトフィンガと
を備える
太陽電池。
[項目2]
上記複数の溶接領域は上記コンタクトフィンガ上に非対称的に配置されている、項目1に記載の太陽電池。
[項目3]
上記複数の溶接領域のうちの少なくとも1つは上記複数の溶接領域の別の1つとは異なる長さである、項目1に記載の太陽電池。
[項目4]
上記コンタクトフィンガと上記半導体領域とに結合され、かつ両者の間に結合された第1の導電性領域を更に備える項目1に記載の太陽電池。
[項目5]
上記コンタクトフィンガと上記第1の導電性領域とに結合され、かつ両者の間に結合された第2の導電性領域を更に備える項目4に記載の太陽電池。
[項目6]
上記半導体領域のそれぞれのn型及びp型領域の間に配置されたダメージ緩衝域を更に備える項目1に記載の太陽電池。
[項目7]
上記ダメージ緩衝域は、レーザエネルギを吸収するように構成された吸収領域である、項目6に記載の太陽電池。
[項目8]
上記コンタクトフィンガは、アルミニウムを含む箔を有する、項目1に記載の太陽電池。
[項目9]
基板に又は上記基板の上方に配置された半導体領域上に導電箔を配置する段階 と、
上記導電箔の複数のランダム位置にレーザを印加して、上記導電箔と上記半導体領域との間に複数の溶接部を形成する段階と
を備える
太陽電池を製造する方法。
[項目10]
上記導電箔をパターニングして上記太陽電池のための複数のコンタクトフィンガを形成する段階であって、
上記複数の溶接部のうちの少なくとも1つは上記複数のコンタクトフィンガのうちの1つの縁部とオーバーラップする段階を更に備える項目9に記載の方法。
[項目11]
上記導電箔を配置する上記段階の前に、上記半導体領域上に第1の導電性領域を形成する段階を更に備え、上記レーザを印加する上記段階は、上記レーザを印加して上記複数の溶接部を上記導電箔と上記第1の導電性領域との間に形成する段階を含む、項目9に記載の方法。
[項目12]
上記第1の導電性領域上に第2の導電性領域を形成する段階を更に備える項目11に記載の方法。
[項目13]
上記第1の導電性領域を形成する上記段階は、上記太陽電池にわたってブランケットの第1の導電性領域を形成する段階を含む、項目11に記載の方法。
[項目14]
溝切り及びエッチング技術を適用して上記導電箔及び上記第1の導電性領域をパターニングして、上記太陽電池用の複数のコンタクトフィンガを形成する段階を更に備える項目13に記載の方法。
[項目15]
上記半導体領域の隣接するp型及びn型ドープ領域間の領域において、上記導電箔と上記基板との間にダメージ緩衝域を形成する段階を更に備える項目11に記載の方法。
[項目16]
上記レーザを印加する上記段階の前に、上記導電箔と上記基板との間に間隙を生成する段階を更に備える項目9に記載の方法。
[項目17]
基板と、
上記基板の上方に配置されたp型ドープ領域及びn型ドープ領域と、
上記p型ドープ領域に第1の箔コンタクトフィンガを結合し、上記n型ドープ領域に第2の箔コンタクトフィンガを結合するランダム配列の複数の溶接部と
を備える
太陽電池。
[項目18]
上記ランダム配列の複数の溶接部のうち少なくとも1つの溶接部は部分的溶接部である、項目17に記載の太陽電池。
[項目19]
上記p型ドープ領域と上記n型ドープ領域との間のトレンチに配置された吸収領域を更に備える項目17に記載の太陽電池。
[項目20]
上記第1及び上記第2の箔コンタクトフィンガと上記p型及び上記n型ドープ領域との間に、それぞれの複数の第1の導電性領域を更に備える項目17に記載の太陽電池。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図9
図10
図11