(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記押出部は、前記保持部によって保持される1束分のシート束の外方から前記母線方向に向かって進退可能に設けられ、該シート束の母線方向末端縁から押し出すことにより該シート束を前記母線方向に移動させるものである請求項1ないし4のいずれかに記載のシート部材間欠供給装置。
さらに、前記コンベアベルトにより搬送させる前方には、展開不良のシート束を後工程への搬送から離脱させるための回収手段を備えるものである請求項10に記載のシート部材展開装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように、複数枚のシート部材が積層されたシート束について、二つ折りにされた状態で間欠供給し、さらに展開して加工装置に移送する工程を自動化することが極めて困難なものであった。そのため、当該工程を手作業で行うことが強いられていたが、当該工程は、その前後における搬送・加工工程の速度に比較して遅れを生じることから、加工工程全体のボトルネックとなっていた。また、当該工程は、熟練した者と初心者とでは、さらに速度に差があり、近年熟練した者が減少する傾向にある中では、当該工程の自動化が切望されていた。
【0008】
本発明は、上記諸点にかんがみてなされたものであって、その目的とするところは、複数枚が積層されたシート束が、二つ折りされた状態において間欠供給し得る装置を提供するとともに、これと連動して展開させる装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、シート部材の間欠供給装置に係る本発明は、複数のシート部材が積層されて形成されるシート束を二つ折りした状態で間欠供給するための装置であって、個々のシート束の折曲部を下向きとし、該折曲部の母線方向を平行な状態として、複数のシート束を整列させるストッカと、このストッカに整列されるシート束を前記折曲部の母線方向に直交する方向に押圧する押圧部と、この押圧部による押圧方向に対する前記ストッカの端縁近傍において折曲部を下向きとするシート束の1束分を保持する保持部と、この保持部に保持される1束分のシート束について前記折曲部の母線方向に押し出す押出部とを備えることを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、ストッカには、予め折曲部を下向きとしたシート束が整列されることとなり、その状態において、折曲部の母線方向に直交する方向に向かって押圧部によって押圧されることから、隣接した状態で整列されるシート束の最外層のシート部材の表面が相互に当接しつつ、押圧される方向へ順次移動させることができる。ストッカの端縁近傍には、1束分のシート束を保持する保持部が設けられているため、押圧部の押圧によって順次移動されるシート束は、ストッカ端縁において保持部に保持されることで、1束分だけ分離される。さらに、押出部が保持部に保持される1束分のシート束を折曲部の母線方向に押し出すことから、ストッカに整列される他のシート束に影響されることなく、ストッカおよび保持部から外方へ移動させることができる。
【0011】
上記構成のシート部材間欠供給装置に係る発明においては、前記保持部について、前記シート束を形成する最外層のシート部材の表面のうち、折曲部の最下端の両側において少なくとも各1箇所を支持する支持領域を備える構成とすることができる。
【0012】
このような構成の場合、保持部による1束分のシート部材の保持は、折り曲げられている範囲内において、その両側を支持した状態となる。シート部材の折曲部の外側断面形状は、概略円形または楕円形に近似しており、その最下点は、水平な直線との接点となるため、最下点から等距離の二点において当接・支持されることにより、シート束は保持部の中心(支持領域の中心)に配置させることができる。これにより、保持されるシート束の簡易的な位置決めを可能としている。
【0013】
また、上記構成のシート部材間欠供給装置に係る発明においては、前記保持部について、断面形状略V字形、略U字形または略半円形の樋状に構成することができる。
【0014】
上記構成の場合には、前記支持領域は折曲部の母線方向に沿って直線的に支持するものとなるため、線接触により摩擦抵抗を低減し、母線方向へのシート束の移動(摺動)を容易にしている。このことは、断面形状略V字形の樋状とした場合に顕著である。他方、略U字形の樋状とする場合には、折曲部の最下端の両側において、複数個所、または適宜範囲によってシート束を支持する状態となり得るが、押出部による移動時(摺動時)の摩擦抵抗は若干増大するものの、シート束の保持状態を安定させることができる。
【0015】
上記に記載のシート部材間欠供給装置に係る各発明においては、前記保持部が、前記ストッカよりも下位に設けられており、前記1束分のシート束が、該ストッカの端縁から該保持部に落下供給されるものとしてもよい。
【0016】
上記構成によれば、ストッカに整列される複数のシート束のうち、ストッカの端縁近傍まで移動したシート束の1束分が、ストッカから逸脱することにより、そのシート束を保持部に移動させることができる。落下供給は、自然落下によるものとすれば動力は不要となる。なお、大きく落下させるのではなく、僅かな段差程度の自然落下とすることによりシート束の破損を回避できる。さらに、押圧部による押圧力の作用を受ける状態で落下させれば、落下速度は極めて遅くなり、自然落下による衝撃を緩和させることもできる。
【0017】
さらに、上記に記載のシート部材間欠供給装置に係る各発明においては、前記押出部が、前記保持部によって保持される1束分のシート束の外方から前記母線方向に向かって進退可能に設けられるものとし、該シート束の母線方向末端縁から押し出すことにより該シート束を前記母線方向に移動させる構成とすることができる。
【0018】
上記構成によれば、進退可能な押出部の操作により、その前進時において、シート束の母線方向末端縁に当接しつつ母線方向へ移動させることができ、シート束は、個々のシート部材を分離させることなく、一体となって移動(摺動)させることができる。このとき、押出部の押出面(当接面)が、シート束を構成する全てのシート部材の末端縁に同時に当接する状態とすることにより、シート束の一体性が確保され得るものとなる。
【0019】
上記構成のシート部材間欠供給装置に係る発明においては、前記保持部が、前記ストッカとの間に間隙部が形成されるものであり、さらに、前記押出部が、前記シート束の外方から前記間隙部に至る範囲において、該シート束の母線方向末端縁に当接可能な当接領域を備える構成であるものとしてもよい。
【0020】
このような構成の場合には、保持部とストッカとの間に形成される間隙が、保持部に保持されるシート束の折曲部近傍となるため、当接領域は、シート束の折曲部近傍において末端縁に当接することとなる。このような当接位置において押出部がシート束を押し出すことにより、シート束は、重心よりも下方において押し出され、その姿勢が安定することとなる。また、シート束の折曲部近傍は、積層される複数のシート部材が集中するため、外力の作用に対する適宜な強度を有しており、押出力による変形や破損などの可能性を低減させることができる。
【0021】
上記記載の各構成によるシート部材間欠供給装置に係る発明においては、これらの構成に加えて、さらに、前記保持部に保持されるシート束の折曲部の位置を検知する検知手段を備える構成としてもよい。
【0022】
上記構成によれば、折曲部の位置を検知することにより、保持部によるシート束の保持状態が正常であるか否かを判断することができる。検知手段の検知結果を制御装置に入力し、その適否を判断させることにより、間欠供給の自動化を可能にするものである。なお、検知手段としては、画像を取得するための撮影手段と、取得された画像からシート束の状態を解析する解析手段とで構成することができる。この場合の解析方法としては、シート束の折曲部に形成される内部空間を、画像から検出することによるものとすることができる。シート束の内部空間とは、シート部材の折曲部が湾曲する領域の最内層よりも内側には、シート部材が存在しない空間が生じており、この部分を空間として検出するのである。
【0023】
他方、シート部材の展開装置に係る本発明は、二つ折りされた複数のシート部材で形成されるシート束を、該シート束の折曲部の母線方向に移動させることによって間欠供給する装置に連動し、該シート束を展開するための装置であって、前記シート束の移動方向前方に設けられ、尖端を該シート束の折曲部中心近傍に向けて配置されてなる拡幅部材を備えることを特徴とするものである。
【0024】
上記構成によれば、シート束が移動する方向の前方に尖端を有する拡幅部材が配置されていることから、シート束の移動に伴って、尖端がシート束の折曲部中心に侵入し、更なるシート束の移動により、二つ折りされたシート束の展開を可能にする。二つ折りされたシート束の折曲部は、断面形状が略円形または楕円形であるため、最内層に位置するシート部材の折曲部には僅かながら中空部を有することから、この中空部に尖端を侵入させることにより、拡幅を可能にしている。すなわち、シート束の折曲部の中心には前記のような中空部が形成されており、シート束の移動方向前方において当該中空部の中心(折曲部中心)の近傍に向けて尖端を配置することにより、尖端を中空部内に侵入させることが可能となる。
【0025】
上記構成のシート部材展開装置に係る発明においては、前記拡幅部材について、平面視および側面視のいずれにおいても尖端形状に形成された尖端と、少なくとも平面視において拡幅してなる拡幅部とを備える構成とすることができる。
【0026】
上記構成の場合には、尖端は、折曲部の中心近傍からシート束の内部に侵入させることができ、この侵入の後、シート束の移動に伴って、シート束は左右方向へ広げられる状態となり、二つ折りされた状態から展開する方向へ形態を変化させることとなる。なお、拡幅部は、側面視において拡幅される形状であってもよく、この場合は、シート束の最内層に位置するシート部材の対応する両面の間に拡幅部材が侵入し、両者の間隙を拡張させるように作用させることとなる。
【0027】
上記の各構成のシート部材展開装置に係る発明においては、さらに、前記拡幅部材の下位において、該拡幅部材と適宜間隔を有して設けられたコンベアベルトを備える構成とすることができる。
【0028】
上記構成の場合には、移動するシート束は、当初において供給装置によって移動され、適度に展開された状態においてもコンベアベルトによって移動を継続させることが可能となる。なお、コンベアベルトは、拡幅部材の直下に配置される必要はなく、展開された状態のシート束が、載置される位置に設けられればよく、シート束の自重によってコンベアベルトの表面上に搭載され、展開された状態で搬送されるものである。
【0029】
上記のような構成によるシート部材展開装置に係る発明においては、さらに、前記コンベアベルトにより搬送させる前方には、展開不良のシート束を後工程への搬送から離脱させるための回収手段を備える構成とすることができる。
【0030】
上記構成によれば、拡幅部材によるシート束の展開が不十分となり、または、展開された際の位置が左右方向に非対称となっている場合、後の工程に移行する際の不具合の原因となるため、回収手段を設けて通常搬送から離脱させることができる。回収手段としては、コンベアベルトの位置よりも下位に落下させる方法などがあり、この場合には、コンベアベルトの末端に搬送方向の向きを変更する第2のコンベアベルトを用いる方法がある。
【0031】
上記の各構成によるシート部材展開装置に係る発明においては、さらに、拡幅部材によって展開されるシート束の状態を検出する検出手段を備える構成としてもよい。
【0032】
上記構成によれば、拡幅部材による展開の状態、展開後のシート束の状態を検出することにより、早期に展開不良のシート束を取り除き、または、搬送経路から逸脱させることができる。シート束の状態検出には、画像を解析し、所定の位置に展開されたシート束が存在するか否かによって判断する方法がある。この場合には、画像を取得するための撮影手段と、取得された画像からシート束の展開状態を解析する解析手段とで構成することとなるが、定点観察によって容易に判別することが可能となる。
【発明の効果】
【0033】
シート部材の間欠供給装置に係る本発明によれば、複数枚のシート部材が積層されて形成されるシート束が、二つ折りされた状態において、二つ折りのために折り曲げられた折曲部を下向きにしつつストッカに整列させることにより、整列される多数のシート束は1束ずつ順次保持部に移動し、この保持部において折曲部の母線方向に押出されることで、1束ずつを間欠的に供給することができる。保持部がストッカより下位に配置される構成にあっては、ストッカからの自然落下による移設が可能となり、また、保持部とストッカとの間に間隙を形成する場合には、押出部を当該間隙に到達させる状態で進退させることができ、シート束の押出を容易かつ確実に実行させることができる。
【0034】
他方、シート部材の展開装置に係る本発明によれば、シート束の間欠供給装置によって、シート束が、その折曲部の母線方向へ移動することに伴って、拡幅部材がシート部材を展開させるように二つ折りされた二片の幅を拡張させることとなり、間欠供給に連動して展開させることが可能となる。コンベアベルトを設ける構成にあっては、展開後のシート束を載置する状態により次工程へ搬送することができる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。まず、シート部材間欠供給装置に係る実施形態を説明し、その後、シート部材間欠供給装置に係る実施形態を説明する。
【0037】
図1は、シート部材間欠供給装置に係る実施形態の概略を示す図である。この図に示されるように、本実施形態は、適宜容量を有するストッカ1と、このストッカ1の上方に支持される2枚の仕切板2,3とを備え、ストッカ1の端縁近傍には保持部4が形成されるとともに、その外方には押出手段5を有している。
【0038】
ストッカ1は、適宜面積の底面部11と、その前後方向に適宜高さの側面部12,13とで構成されており、複数のシート束を底面部11に載置することができるとともに、載置されたシート束の前後方向の端縁を側面部12,13によって整理することができるものである。
【0039】
仕切板2,3は、ストッカ1の上方に配置されるスライド軸21,31に摺動可能なスライダ22,32によって支持されるものであり、シート束の平面部を適宜な範囲で当接できる面積の板状部材で構成されている。スライド軸21,31は、シート束を移動させるべき方向に長手方向を向けており、スライダ22,32を当該軸線方向(移動させるべき方向)への摺動を案内している。スライダ22,32は、図示せぬアクチュエータによって摺動が制御されている。
【0040】
第1のスライダ22を停止させた状態において、第2のスライダ32に対して移動方向へ駆動力を伝達することにより、押圧力を付与することができる。従って、第2のスライダ32に支持される第2の仕切板3が、押圧部として機能する。
【0041】
この第2の仕切板3による押圧は、第1の仕切板2との間で複数のシート束(一纏まりのシート束塊)を挟持させることができ、挟持状態で同時に二つの仕切板2,3を移動させることにより、当該塊をまとめて移動させることができる。また、二枚の仕切板2,3を接近させることにより、1束分のシート束を挟持させることも可能となっている。
【0042】
第1の仕切板2は、シート束塊を移動させない場合には、保持部4の壁面として機能させるため、保持部4の末端縁上方において停止させるものである。この第1の仕切板2に対して、第2の仕切板(押圧部)3を移動させることにより、第1の仕切板2との間隔を徐々に小さくさせることによって、間欠供給すべきシート束を順次移動させるものである。
【0043】
保持部4は、ストッカ1の底面部11から逸脱した位置に設けられるものである。本実施形態では、断面形状略V字形の樋状に形成されており、全体として、ストッカ1の底面部11の端縁近傍において、当該底面部11よりも下位に形成されている。従って、V字形の樋部は、傾斜する二つの傾斜面41,42が対向して配置され、その中央が最も低い底部43となっている。また、ストッカ1に連続する傾斜面には、これに連続する鉛直面44が形成されるとともに、その反対側は、傾斜面42との間に適宜な肉厚によって側壁45を構成させている。なお、保持部4における幅広部分の間隔(傾斜面41,42の上端の間隔)は、シート束の1束分としており、保持部4は1束分のシート束のみを保持できるようにしている。このように、1束分のシート束のみを保持し得る保持部4が、ストッカ1の底面部11よりも下位に設けられていることにより、1束分のシート束が底面部11を超えて保持部4まで移動するとき、当該保持部4に落下させることができるのである。
【0044】
押出手段5は、保持部4の外方から、その僅かに上方に向かって挿入できる押出部51と、その押出部51の移動方向を制御する第1のレール52および第2のレール53を備えた構成としている。第1のレール52には、押出部51の基部が摺接されており、この基部がレール52に沿って摺動することにより、押出方向への移動を可能にしている。また、第1のレール52は、第2のレール53に支持されるものであり、その基部が第2のレール53に摺接されることにより、第2のレール53に沿って摺動可能となっている。これらの各摺動は、図示せぬアクチュエータによって駆動されるものであり、両レール52,53による摺動方向が直交方向となっており、一方(第1のレール52)の方向をX軸方向とする場合、他方(第2のレール53)の方向をY軸方向として、押出部51の位置を制御することができる。
【0045】
ところで、間欠供給すべきシート束としては、例えば、海苔束がある。通常の海苔束は、
図2に示すように、水産業者または養殖業者において、シート状に加工された海苔シートを複数積層して束状とし、さらに、これを二つ折りした状態P1〜P10で、さらに複数束分を重ねて塊状P0とされる。この状態で、紙(帯封)Rによって結束された状態で加工業者に入荷される。加工業者は、帯封Rの結び目R1を解いて、二つ折りされた個々の海苔束P1〜P10を単位として、焼き加工装置などに投入している。ここでの加工業者としては焼き海苔加工の業者である。
【0046】
このように、二つ折りされたシート束P1〜P10は、そのままの状態で加工装置に投入することができず、この二つ折りにされた状態を展開する(折曲部Qを平坦にする)ことにより、平面状の海苔シートが積層された状態としている。その際、これまでは自動化が困難なという理由から、手作業によって展開するとともに加工装置の投入部に供給していた。
【0047】
本実施形態は、シート束P1〜P10について、上述のような二つ折りされた状態のままで間欠供給するものである。そこで、本実施形態のストッカ1は、シート束P1〜P10を、それぞれの折曲部Qを下向きとした状態で整列させることを前提としている。そこで、シート束P1〜P10の移動状態を示しつつ、本実施形態の作動形態を併せて、以下に説明する。
【0048】
図3に示すように、複数のシート束P1〜P10は、全て折曲部Qを下向きとし、ストッカ1の底面部11に載置される。このとき、二つの仕切板2,3により、複数のシート束P1〜P10の両側を挟むことにより、上記の状態を維持させている。この状態で、二枚の仕切板2,3を同時に移動(スライダ22,32を摺動)させることにより、全部のシート束P1〜P10を挟んだ状態を維持しつつ移動させることができる。なお、第1の仕切板2は、保持部4を通過した位置まで移動可能である。
【0049】
このように全体を移動させた状態を
図4に示す。この図に示されるように、第1の仕切板2は、保持部4の側壁45の直上に間隙を有して配置される。この位置において第1の仕切板2を停止させることにより、ストッカ1の末端(端部)における壁面として機能させている。この状態において、第2の仕切板3は第1の仕切板3の方向へ押圧しており、押圧部として機能させている。押圧方向は、シート束P1〜P10が折り曲げられることによって形成される折曲部Qの母線方向に対し直交方向である。なお、母線方向とは、折曲部Qの形状が概略円柱状であるため、当該円柱の母線という意味である。なお、上記押圧方向を言い換えれば、複数のシート束P1〜P10の積層方向と同じ方向である。
【0050】
このように、シート束P1〜P10を配置させた状態、すなわち、第1の仕切板2は、保持部4の側壁の上方に位置し、その仕切板4に向かってシート束P1〜P10を押圧する状態においては、最も前方に位置する1束分のシート束P1を保持部4の上方まで移動させることができる。そして、当該最前列のシート束P1を自然落下させることにより、当該1束分のシート束P1を保持部4に供給することができるのである。この状態を
図5に示す。
【0051】
図5に示されるように、保持部4に供給されたシート束P1は、当然のことながら折曲部Qを下向きとしており、その曲面(円柱状曲面)の母線2箇所が、V字形樋部の両傾斜面41,42に各当接することとなる。このときの詳細を
図6(a)に示す。
【0052】
すなわち、
図6(a)に示されるように、折曲部Qの最外層における断面形状は略円形もしくは略楕円形またはこれらに類似の曲線(これを円形近時の曲線と称する場合がある)を有する状態である。このような円形近時の曲線に対し、対向する二つの傾斜面41,42が接する場合、それぞれ各1点のみで接することとなる。また、対向する二つの傾斜面41,42が同じような傾斜角度である場合、円形近時の曲線の接点は、最下端の両側において同程度の高さとなり、重量は両接点において均等に配分された状態で支持される。このように、折曲部Qの最下端の両側において均等に支持される状態のシート束P1は、折曲部Qを下向きとしつつ、鉛直方向に立設された姿勢によって保持されることとなる。よって、当該シート束P1は、ストッカ1の底面部11に載置された姿勢と変化なく、そのままの姿勢により保持部4に供給されるのである。
【0053】
このように、1束分のシート束P1が保持部4に対し自然落下により供給される場合、当該シート束P1の折曲部Qは、第1の仕切板2の下端縁よりも下方に位置し、保持部4の側壁45と第1の仕切板2と間の間隙部Hは、供給されたシート束P1の平面部分Sによって閉塞される状態となる。これは、すなわち、間隙部Hから保持部4の内方にはシート束P1が存在していることを意味するものである。
【0054】
そこで、
図6(b)に示すように、押出手段5の押出部51の一部(突片51a)を間隙部Hから、保持部4の内部へ挿入させ得る高さにおいて、シート束P1の端縁に当接させ、折曲部Qの母線方向に押出することにより、シート束P1を当該母線方向に移動させることができるのである。
【0055】
図7は、シート束P1を折曲部Qの母線方向に移動させる状態を示している。この図に示されているように、押出部51の突片51aは、シート束P1の母線方向の後方端縁(末端縁)に当接した状態を維持しつつ、その押し出しによって、シート束P1を移動させることができる。この移動方向は、隣接するシート束P2の平面部に平行であり、かつ第1の仕切板2の表面に平行な方向であるから、支障なく移動させることができるものである。なお、保持部4との間の摩擦抵抗、前記隣接するシート束P2および仕切板2の両表面との摩擦抵抗は生じるものの、これに抗する押出力の付与により、移動させることができるのである。また、このときの押出部51の移動は、第1のレール52に沿った方向である。
【0056】
このような状態を平面視で示せば、
図8に記載の状態となる。
図8(a)は移動開始前の状態を示し、
図8(b)は移動途中の状態を示している。なお、折り曲げられたシート束P1〜P10の両片の境界線は図から省略している。この図のように、押出部51の突片51aの先端は、隣接するシート束P2に到達しない程とすることが好ましく、また、移動させるべきシート束P1の端縁全体に当接することが好ましい。
【0057】
上記のような手順により、個々のシート束P1〜P10は、順次ストッカ1から1束ずつ外方に移動させることができ、二つ折りされた状態を維持しつつ間欠的な供給を可能としているのである。
【0058】
なお、第1番目のシート束P1が移動された(間欠供給された)後には、
図9(a)に示すように、1束分の空隙を生じさせることとなるが、前述のとおり、第2の仕切板3が押圧部として機能するため、最終順位のシート束P10の側から全体を押圧することにより、空隙を生じた直後には、
図9(b)に示されるように、残りのシート束P2〜P10が第1の仕切板2まで移動され、その後、次順位のシート束P2が自然落下により保持部4に供給されることとなる。このとき、押出部51の突片51aは、保持部4の上方に位置することから、当該押出部51を後退させるときには、第2のレール53に沿って横方向に移動させ、突片51aを保持部4よりも外方において後進できる状態としておくのである。これにより、次順位のシート束P2が保持部4に供給された後においても押出部51を後退させることができる。押出部51を後退させた後は、再び突片51aを保持部4の上方に位置するところまで移動させ、さらに押出を繰り返すこととなる。
【0059】
本実施形態は以上のとおりであるが、これらに他の構成を追加することも可能である。例えば、
図5中に示しているが、供給されるべきシート束P1の折曲部Qに向かって、保持部4の外方から画像を取得するためのカメラCA1を設置することができる。このカメラCA1により撮影される画像は、シート束P1の後方端部であり、
図6(a)に示すような状態となる。そこで、この
図6(a)に示されるような状態において、保持部4に供給された1束分のシート束P1の後方端部の画像から、折曲部Qの中心領域(最内層における円形近時の形状を示す領域)Q0を検知することも可能となる。この中心領域Q0の検知は、保持部4へのシート束P1の供給状態の良否を判断することに利用でき、その情報を制御装置に入力させるとともに、例えば、中心領域Q0が、予定する範囲内に検知されているかどうかの閾値を設定することにより、その適否を判断させることができる。そして、当該制御装置により判断された適否に従って、不良な位置に供給された場合には、当該シート束を撤去することとすれば、当該適否判断も自動化することができる。
【0060】
また、
図5中に示されているように、間欠的に供給されるべきシート束P1に対して、上方からもカメラCA2によって画像を取得している。これは、供給(押出部51による移動)に際し、その姿勢の状態を検知するために設けられたものである。これら2台のカメラCA1,CA2はシート束P1に対して異なる方向からの画像を取得するものである。
【0061】
すなわち、
図10(a)に示すように、供給されるべきシート束P1に対し、ストッカによる移動方向をX軸方向、供給すべき(移動させる)方向をY軸方向、鉛直下向き方向をZ軸方向とするとき、第1のカメラCA1は、Y軸方向に向かって設置され、第2のカメラCA2はZ軸方向に向かって設置されているのである。そして、第1のカメラCA1は、
図10(b)に示すように、折曲部Qの周辺を撮影し、その折曲部Qの中心領域Q0の位置を検知するものであり、第2のカメラCA2は、
図10(c)に示すように、供給されるべきシート束P1の上方からの画像を撮影し、その端縁の高さを検出している。
【0062】
第1のカメラCA1による中心領域Q0の検知は上述のとおりであり、第2のカメラCA2によるシート束P1の姿勢の検知は、次のような手法によって行うことができる。すなわち、供給(移動)されるシート束P1は、押出部51によって、折曲部Qの近傍が押出される。このとき、シート束P1が正常な供給(移動)の場合は、
図11(a)に示されるように、シート束P1の上端縁は、概ね水平な状態となっているが、姿勢が不良な場合には、
図11(b)に示されるように、前方が浮き上がった状態となる。このような不良な姿勢状態となる理由としては、次順位のシート束P2との間で面接触されていることから、その摩擦抵抗が過大な状態となっている場合、または押出部51による過大な押出力が作用した場合などが考えられる。なお、供給すべきシート束P1は保持部4(
図4)に沿って摺動することから、移動するシート束P1の前方端または後方端のいずれかが浮き上がるほかに不良な状態は想定され難い。
【0063】
そこで、第2のカメラCA2によって、シート束P1の上端縁の高さを検出し、その検出結果から姿勢の良否を判断するのである。すなわち、第2のカメラCA2は、深度を検出する深度カメラであり、シート束P1の上端縁の複数点における深度をプロットし、これらの数値から解析するのである。
【0064】
この解析手法を
図12を参照しつつ説明する。例えば、
図12(a)に示すように、進行方向前方端が大きく浮き上がった状態となった場合を想定する。このときの、上端縁側からの画像は
図12(b)となる。なお、シート束P1は、複数のシート部材が積層されたものであるから、厳密には、個々のシート部材の端縁の集合体にかかる画像が取得される。その端縁の位置について、X軸方向の微小な範囲△xでの複数点を平均した深度(Z軸方向の値)を、Y軸方向に複数プロットし、これをY−Z座標に変換する。この各点を直線で結ぶことにより、2種類の直線L1,L2となる。この2本の直線は、それぞれL1:Z=a1Y+b1およびL2:Z=a2Y+b2で表すことができる(ただし、a1,a2,b1,b2は直線のパラメータ)。そこで、2本の直線のうち長尺な側(図ではL2)について、その方向き(姿勢角〜θ)を算出するのである。このときのθが、結果的にシート束P1の前方端が浮き上がった状態の程度を示すこととなる。なお、上記の例示の場合には、|tanθ|=|a2|である。
【0065】
そこで、シート束P1の姿勢の良否を判断することに際しては、予めθの大きさについて閾値を設定し、その閾値未満であれば、姿勢は良好なものと判断し、閾値以上に大きい場合は不良な状態と判断することができる。この閾値の設定においては、角度(θ)が大きくなることにより、供給先(例えば展開装置)において、次工程に支障を生じる場合を目安とすることができる。なお、前方端が浮き上がらない場合は、直線は1本となり、その1本の直線の傾斜角(θ)によって判断されるが、当然に傾斜しておらず(θ=0)、閾値未満として処理されることとなる。また、浮き上がりの程度が僅かであるか、または当初より端縁が均一な直線端縁でないような場合は、これらを誤差として処理することにより直線は1本となり、同様に傾斜しない(θ=0)として処理することができる。
【0066】
上記のような処理は、制御装置によって処理させることにより、シート束P1の姿勢の良否を判定させることができ、また、姿勢が不良な状態を検知した場合に、それを報知させる手段を設けることも可能である。なお、シート束P1の姿勢が不良な場合は、次工程への搬送を中止させるため、手作業等により、供給装置から排除することとなる。
【0067】
次に、シート部材展開装置に係る実施形態について説明する。
図13は、展開装置の構成について、その概略を示している。
図13(a)は展開装置に使用する拡幅部材の斜視図、(b)は平面図であり、(c)は拡幅部材の周辺の状態を側面視において示している。
【0068】
図13(a)に示すように、拡幅部材6は、尖端61を備えており、尖端61から本体部62に向かって全体的に拡径された拡幅部63を形成させている。ここで、拡幅部63は、平面視において左右対称であり、少なくとも幅寸法を徐々に拡大するように構成されている(
図13(b)参照)。左右対称かつ幅寸法を徐々に拡大していることにより、二つ折りされたシート束について、両側二片を押し広げるように展開させることを可能としている。
【0069】
本実施形態では、さらに高さ寸法についても徐々に拡大させている(
図13(c)参照)。これは、図示のように、尖端61を低位に配置していることから、尖端61により展開を開始したシート束について、その後当該展開の状態を上方にも及ぼすためである。本実施形態は、一例として、尖端61の位置を拡幅部材6の底面67の高さまで低くしている。展開すべきシート束は、二つ折りされた状態の折曲部を下向きとして供給されることを前提としていることから、下位において尖端から展開を開始させるためである。その結果として、本実施形態の拡幅部63は、全体として円錐形を横向きの状態とし、さらに尖端61の位置から下側切除して底面67を形成した形状としている。
【0070】
また、拡幅部材6の本体部62の上部には、平面部60が形成され、この平面部60に雌ネジが刻設された接続孔60a,60b,60c,60dが設けられている。この接続孔60a〜60dは、
図13(c)に示されるように、拡幅部材6を上部から支持するためのボルト64,65の螺着用であり、ボルト64,65は、展開装置の上部フレーム66から垂下させた状態で固定されている。そして、ボルト64,65を介して上部フレーム66に支持される展開部材6は、その底面67が、展開装置の台部68から間隙を有する状態に設置されるものである。このように間隙を形成することにより、この間隙部分をシート束が通過できるようにしている。
【0071】
なお、展開すべきシート束は、図中右側から左方向へ送られるものであり、拡幅部材6の下方には、コンベアベルト69が配置され、このコンベアベルト69に移乗するシート束をさらに左方向へ搬送させるようにしている。また、拡幅部材6の上方に、画像を取得するためのカメラCA3を設置することにより、展開された状態のシート束の画像を取得することも可能となる。ここで取得される画像は、展開されたシート束の状態の適否を判断するためであり、左右のいずれかに偏って展開される場合など、後工程において支障がある場合には、その画像の状態より判断し、不良な展開となったシート束を回収することができる。
【0072】
本実施形態の展開装置は上記のような構成であるから、
図14に示すように、折曲部Qを下向きにした状態のシート束Pを拡幅部材6の尖端61よりも外方から移動させることにより、尖端61が折曲部Qの中心領域Q0に侵入し、拡幅部材6の拡幅部63によって左右方向に押し広げられ、徐々に展開されて、最終的には平面状態まで展開されることとなるのである。
【0073】
すなわち、
図14(a)に示すように、左右対称な形状の拡幅部材6の中心線をシート束Pが供給される(移動する)方向に一致させておき、尖端61の位置が、シート束Pに形成される折曲部Qの中心領域Q0の内側となるように調整されている。また、供給されるシート束Pの折曲部Qの母線は、拡幅部材6の中心線と平行に維持され、供給方向は当該母線方向としている。そして、この拡幅部材6は固定されていることから、シート束Pを移動させることにより、折曲部Qの中心領域Q0を尖端61に接近させることができる。なお、このときのシート束Pの移動は、前述の間欠供給装置における押出部51による押出によるものとすることができる。
【0074】
シート束Pが折曲部Qの母線方向に移動することにより、
図14(b)に示すように、尖端61が折曲部Qの中心領域Q0に侵入することとなり、拡幅部63による拡径(幅広)構造により、二つ折りされた両片Pa,Pbが、左右に押し広げられることとなる。このとき、拡幅部63がシート束Pに対し、折曲部Qを中心として拡幅力を作用させることとなり、シート束Pが拡幅部材6から逸脱した方向へ移動しないように、拡幅部材の底面67と展開装置の台部68との間隙によって、シート束Pの折曲部Qを緩やかな挟持状態としている。この挟持状態により、折曲部Qは移動方向へ規制された状態で移動することとなる。また、拡幅部63が高さ寸法についても徐々に拡大させていることにより、拡幅部63が折曲部Qの中心領域Q0に潜行した状態とならず、両片Pa,Pbを左右に傾倒させることができる。
【0075】
展開を開始したシート束Pをさらに移動させることにより、
図14(c)に示すように、シート束Pの左右両片Pa,Pbは、両サイドに横向きに傾倒し、その結果として、シート束Pの全体が展開された状態となる。このとき、シート束Pは十分に移動されていることから、既にコンベアベルト69a,69bに搭載された状態となり、その後は、このコンベアベルト69a,69bによって搬送されることとなる。
【0076】
なお、図示のコンベアベルト69a,69bは、拡幅部材6の両側下方に配置しているが、直下に配置してもよく、左右両側および直下を含めた幅広いベルトを使用してもよい。幅広いベルトを使用する場合は、シート束Pが拡幅部材6に供給された時点において、少なくとも折曲部Qはコンベアベルトによって搬送方向(展開される方向)へ誘導され、シート束Pの展開が進行するに連れて、左右両片Pa,Pbがコンベアベルトの表面に載せられ、全体として搬送方向へ移動されることとなる。
【0077】
また、上記の構成において、拡幅部材6の上方に設置されるカメラCA3によって取得される画像に基づき、シート束Pの展開の状態が不良である場合の回収方法としては、搬送経路の途中において搬送経路を逸脱させる方法がある。例えば、
図15に示すように、コンベアベルト69によるシート束の搬送方向に、不合格品の回収手段7を備える構成とすることができる。この回収手段7は、搬送経路の上流側を支点として回動可能に設けられたコンベアベルトで構成されたものであり、合格品は、そのまま搬送されるが、不合格品は、自由端側を下方とするように回動し、下部回収部70へ送出するものである。この不合格品の判定には、前述の画像による処理を行うことができる。
【0078】
以上のように、固定的に支持される拡幅部材6に対して、シート束Pを移動することにより展開作業を可能にするものであるから、当該シート束Pの移動のための動力として、間欠供給装置による移動を利用すれば、間欠供給装置に連動する展開装置となり得るものである。この場合の全体の状態を
図16に示す。この図に示されるように、ストッカ1に整列される複数のシート束P1〜P10は、間欠供給装置Aの押出手段5によって、展開装置Bに向かって順次移動されることとなり、その移動の途上において、展開装置の拡幅部材6によって展開されることとなる。
【0079】
ここで、各装置を自動化(システム化)する場合のフローを説明する。
図17はストッカ1における処理フローであり、
図18は、押出手段5の処理フローであり、さらに、
図19は、展開装置における不良展開のシート束Pを回収するための処理フローである。これらを連動させる場合は、全てを同時に始動させることになるが、個々の装置を個別に作動させてもよい。
【0080】
まず、ストッカにおけるシステムの処理フローについて
図17を参照しつつ説明する。ストッカの制御が開始されると、仕切板が初期位置に移動し、この初期位置を基準に作動が制御される(S101)。そして、所定数量のシート束(シート束の塊)をストッカの仕切板によって挟持するため、その受取位置まで移動する(S102)。ここで、シート束の塊は、供給コンベア(搬送台車)によってストッカまで移動させることができる。その受け渡しに際しては、ストッカの外方まで仕切板を移動させておき、両側に大きく幅を広げた仕切板の中間にシート束の塊を供給コンベアで移動させ、その後に両側から仕切板を接近させることにより、塊の両側を仕切板で挟持させることができる。この状態でシート束の塊のセットが完了する(S103)。この挟持の状態で、両側の仕切板を同時に移動させることにより、挟持状態を維持しつつ、供給コンベアの表面を移動させ、さらにストッカの表面に到達させることができる(S104)。この移動の終点が、第1番目のシート束を保持部まで移動させることにより、当該第1番目のシート束の保持への供給(落下)を完了する。
【0081】
続いて、保持部に供給された(落下した)シート束の折曲部の中心領域(Q0)の位置を判断し(S105)、正常であれば、押圧部を作動させる(S106)。継続して供給すべきシート束の存在を確認したうえで(S107)、シート束の1束分の移動(押圧部による押圧)を実施し(S108)、シート束の中心領域(Q0)の位置の判定から同様に繰り返す。中心領域(Q0)の位置が異常である場合には、直ちにエラーを報知し(S109)、この場合には、シート束を手作業にて撤去する。なお、シート束の撤去に際しては、安全性を考慮して、エラー警報と同時に一時的に装置を停止させるものである。
【0082】
次に、押出手段の処理フローについて
図18を参照しつつ説明する。押出手段は、押出部を作動させるまでは待機状態であるが、処理が開始されると待機状態として、押出部を初期位置まで移動させておくのである(S201)。ここで、前述のストッカの制御における移動を開始するための作動指令がある場合(S202)、その後の処理が開始する。移動指令を受けると、押出部を前進させる(S203)。この前進は、シート束の供給(移動)のための押出であり、押出手段の第1のレールに沿ってY軸方向に移動する。所定の位置まで前進した時点で、押出部の移動は停止する(S205)が、その途中において、シート束の姿勢がチェックされる(S204)。
【0083】
シート束の姿勢が正常な場合は、そのまま押出部の前進が継続され停止する(S205)まで継続されるが、シート束の姿勢に異常を検知すると、エラーが報知され、(S206)押出部の移動が停止する(S207)。押出部が停止している状態において、手作業により、当該不良姿勢のシート束が撤去される。撤去後は、処理が再開され、押出部は予定の最終位置まで前進して停止する(S205)。
【0084】
シート束の姿勢が正常であれ異常であれ、押出部は予定の終点において停止しており(S205)、その後、保持部から離間(X軸方向へ移動)させ(S209)、続いて、押出部を後退(Y軸方向へ移動)させ(S210)、さらに、保持部に向かって(X軸方向へ)移動させることによって初期位置へ復帰させる(S211)。X軸方向への移動は、第2のレールに沿った移動であり、正方向の移動で保持部から離間し、負方向への移動で復帰するものである。また、Y軸方向への移動は、第1のレールに沿った移動であり、正方向の移動により前進し、負方向への移動により後退するものとしている。
【0085】
これらの処理により、押出部は初期位置において待機することとなるが、継続して供給するシート束が存在すれば、待機状態において移動指令を待つこととなり、供給すべきシート束が存在しない場合は処理を終了する。このように、ストッカの処理と押出手段の処理が連動させることにより、間欠的なシート束のシステム化が実現される。
【0086】
次に、展開装置における展開不良のシート束の排除処理について
図19を参照しつつ説明する。展開装置におけるシート束の展開操作は、前述のように、固定された拡幅部材に対してシート束を供給することによって行われる。そのため、拡幅部材に対する供給機構は、ここでは記載していない。なお、前述の間欠供給装置によって間欠的にシート束が供給されることをもって、当該供給機構とすることができるが、これとは別の供給装置によって、シート束を供給させてもよく、手作業で供給させてもよい。
【0087】
いずれの方法による場合においても、展開装置は、処理が開始されると、コンベアベルトが始動する(S301)。これと同時に、拡幅部材を通過したシート束の展開状態を取得し(S302)、その適否を判断する(S303)。展開状態が正常であれば、そのままコンベアベルトによって搬送され、継続するシート束があれば、上記を繰り返す(S304)。
【0088】
これに対し、シート束の展開状態に不良を検出した場合は、当該シート束が強制的に排出される(S305)。このときの排出(回収)方法が、前述のように排出用のコンベアベルトによって異なる搬送経路に排出する場合は、当該コンベアベルトを作動させることとなり(S205)、排出後にコンベアベルトを復帰させる(S206)。
【0089】
上述のように、ストッカの作動および押出手段の作動をシステム制御することにより、間欠的なシート束の供給の自動化が可能となり、また、間欠供給の際の移動に連動するように展開装置を設けることにより、シート束の塊の供給から展開作業までを一貫して自動化することができる。さらに、展開装置における展開状態を検知し、排除工程をシステム制御することにより、正常に展開されたシート束のみを次工程の装置へ搬送させることも自動化し得ることとなる。
【0090】
本発明の実施形態は上記のとおりであるが、上記実施形態は一例を示すものであり、本発明が上記実施形態に限定されるものではない。従って、上記実施形態の構成要素を適宜変形し、また、他の構成要素を追加することは可能である。例えば、
図20に示すように、押出手段5を一台とし、その両側にストッカ1A,1Bを対称な状態で配置することにより、一台の押出手段5によって、二列の間欠供給を交互に行うことができる。この場合、供給先にも荷台の展開装置を配置することにより、二列で展開されたシート束の搬送経路を構築することが可能となる。なお、この場合の押出部51の進退は、第1および第2のレールを使用することにより、X軸およびY軸の二次元制御により行うことができる。
【0091】
さらに、保持部4の形状は、V字形に限定されることはなく、
図21(a)に示すように、略U字形としてもよい。また、保持部4は、ストッカ1に連続して形成される必要はなく、
図21(b)に示すように、ストッカ1の端縁から分離させ、適宜間隔を有して構成してもよい。この場合、両者の間隙部分に、押出部51の突片51aの先端を到達させることができ、シート束Pを形成する全てのシート部材に対して押出力を作用させることが容易となり、シート束の押し出し操作を確実にすることができる。