【文献】
T.L.Chiu, et al., Chem Biol Drug Des., 2008, 72(2), pp249-256
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アルブミン結合小分子が、前記ペプチドの末端に直接結合しているか、または前記ペプチドおよびアルブミン結合小分子の間のスペーサーを介して結合しているものである、請求項4に記載の組成物。
【発明を実施するための形態】
【0025】
例示的な実施態様の詳細な説明
定義:
本発明の方法および他の態様に関する様々な用語が明細書および特許請求の範囲を通して用いられる。このような用語は、特に示されていない限り、当該技術分野における通常の意味を付与されるべきである。他に特に定義される用語は、本明細書で提供される定義と一致した意味で解釈されるべきである。
【0026】
下記の略語が本明細書で用いられうる:Ac、アセチル基;DCM、ジクロロメタン;DIC、1,3−ジイソプロピルカルボジイミド;DIPEA、N,N−ジイソプロピルエチルアミン;DPBS、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水;ELISA、酵素結合免疫吸着アッセイ;ESI、エレクトロスプレーイオン化;Fmoc、9−フルオレニルメトキシカルボニル;HOAt、1−ヒドロキシ−7−アザ−ベンゾトリアゾール;ITC、等温滴定熱量測定;MALDI、マトリックス支援レーザー脱離イオン化法;MBHA、4−メチルベンゾヒドリルアミン;NMP、N−メチルピロリジノン;Sar、N−メチルグリシン;SPR、表面プラズモン共鳴法;TIPS、トリイソプロピルシラン;Trt、トリチル;WFI、注射用水。
【0027】
本明細書で用いられる用語「約」は、量、時間などの測定数値に関する場合、変動が開示化合物および組成物を調製し、使用するのに適合するように、特定された値からの±20%または±10%、ある実施態様では、±5%、ある実施態様では、±1%、ある実施態様では、±0.1%の変動を包含することを意味する。
【0028】
本明細書で用いられる用語「コンプスタチン」は、配列番号:1であるICVVQDWGHHRCT(ジスルフィド結合を介する環状C2−C12)を含むペプチドを意味する。用語「コンプスタチンアナログ」は、天然および/または非天然アミノ酸またはアミノ酸アナログの置換、ならびに本明細書でより詳細に記載され、当該技術分野で公知である様々なアミノ酸内または間の修飾を含む、修飾されたコンプスタチンを意味する。コンプスタチンまたはコンプスタチンアナログ内の特定のアミノ酸またはアナログの位置に関する場合、これらの位置は、1(コンプスタチンのIle)から13(コンプスタチンのThr)まで番号付けられた位置である前記ペプチド内の「位置」として意味することもある。例えば、Gly残基は「8位」を占める。
【0029】
用語「医薬的に活性な」および「生物学的に活性な」は、C3またはそのフラグメントに結合し、補体活性を阻害する本発明化合物の能力を意味する。この生物学的活性は、本明細書でより詳細に記載されるように、1つまたはそれ以上の数種類の当該分野で理解されるアッセイによって測定されうる。
【0030】
本明細書で用いられる「アルキル」は、約1〜約10個の炭素原子、好ましくは、約1〜約7個の炭素原子を有する適宜置換されていてもよい飽和の直鎖、分岐鎖または環状炭化水素(およびその中の炭素原子の範囲および具体的な数の全ての組み合わせおよび部分的な組み合わせ)を意味する。アルキル基としては、以下に限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、シクロペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、シクロヘキシル、シクロオクチル、アダマンチル、3−メチルペンチル、2,2−ジメチルブチル、および2,3−ジメチルブチルが挙げられる。用語「低級アルキル」は、約1〜約5個の炭素原子を有する適宜置換されていてもよい飽和の直鎖、分岐鎖または環状炭化水素(およびその中の炭素原子の範囲および具体的な数の全ての組み合わせおよび部分的な組み合わせ)を意味する。低級アルキル基としては、以下に限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、シクロペンチル、イソペンチルおよびネオペンチルが挙げられる。
【0031】
本明細書で用いられる「ハロ」は、F、Cl、BrまたはIを意味する。
【0032】
本明細書で用いられる「アルカノイル」は、「アシル」と相互に交換可能に用いられてもよく、約1〜約10個の炭素原子、好ましくは、約1〜約7個の炭素原子を有する適宜置換されていてよい直鎖または分岐鎖の脂肪族アシル基(およびその中の炭素原子の範囲および具体的な数の全ての組み合わせおよび部分的な組み合わせ)を意味する。アルカノイル基としては、以下に限定されないが、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、ペンタノイル、イソペンタノイル、2−メチル−ブチリル、2,2−ジメチルプロピオニル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイルなどが挙げられる。用語「低級アルカノイル」は、約1〜約5個の炭素原子を有する適宜置換されていてもよい直鎖または分岐鎖の脂肪族アシル基(およびその中の炭素原子の範囲および具体的な数の全ての組み合わせおよび部分的な組み合わせ)を意味する。低級アルカノイルとしては、以下に限定されないが、ホルミル、アセチル、n−プロピオニル、イソプロピオニル、ブチリル、イソブチリル、ペンタノイル、イソペンタノイルなどが挙げられる。
【0033】
本明細書で用いられる「アリール」は、約5〜約14個の炭素原子、好ましくは、約6〜約10個の炭素を有する、適宜置換されていてもよい単環または二環式芳香族環(およびその中の炭素原子の範囲および具体的な数の全ての組み合わせおよび部分的な組み合わせ)を意味する。限定されない例として、例えば、フェニルおよびナフチルが挙げられる。
【0034】
本明細書で用いられる「アラルキル」は、アリール基を保有し、約6〜約20個、好ましくは、約6〜約12個の炭素原子を有する、上記に定義されるアルキル(およびその中の炭素原子の範囲および具体的な数の全ての組み合わせおよび部分的な組み合わせ)を意味する。アラルキル基は、適宜置換されうる。限定されない例としては、例えば、ベンジル、ナフチルメチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、フェニルエチルおよびジフェニルエチルが挙げられる。
【0035】
本明細書で用いられる用語「アルコキシ」および「アルコキシル」は、適宜置換されていてもよいアルキル−O−基(アルキルは上記に定義される)を意味する。典型的なアルコキシおよびアルコキシル基としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシおよびヘプトキシなどが挙げられる。
【0036】
本明細書で用いられる「カルボキシ」は、−C(=O)OH基を意味する。
【0037】
本明細書で用いられる「アルコキシカルボニル」は、−C(=O)O−アルキル基(アルキルは、上記に定義される)を意味する。
【0038】
本明細書で用いられる「アロイル」は、−C(=O)−アリール基(アリールは、上記に定義される)を意味する。典型的なアロイル基としては、ベンゾイルおよびナフトイルが挙げられる。
【0039】
典型的に、置換された化学部分には、分子上の選択された位置で水素を置換する1つまたはそれ以上の置換基が含まれる。典型的な置換基としては、例えば、ハロ、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、アリール、スルフヒドリル、ヒドロキシル(−OH)、アルコキシル、シアノ(−CN)、カルボキシル(−COOH)、アシル(アルカノイル:−C(=O)R);−C(=O)O−アルキル、アミノカルボニル(−C(=O)NH
2)、−N置換アミノカルボニル(−C(=O)NHR’’)、CF
3、CF
2CF
3などが挙げられる。前記置換基に関して、各部分R’’は、独立して、例えば、H、アルキル、シクロアルキル、アリールまたはアラルキルのいずれかでありうる。
【0040】
本明細書で用いられる「L−アミノ酸」は、タンパク質中に通常存在する天然の左旋性アルファ−アミノ酸またはこれらのアルファ−アミノ酸のアルキルエステル化合物のいずれかを意味する。用語「D−アミノ酸」は、右旋性アルファ−アミノ酸を意味する。特に断りがなければ、本明細書に関する全てのアミノ酸は、L−アミノ酸である。
【0041】
「疎水性」または「非極性」は、本明細書で同意語として用いられ、双極子によって特徴付けされない分子間または分子内相互作用のいずれかを意味する。
【0042】
「PEG化」は、少なくとも1つのポリエチレングリコール(PEG)部分が、サイズに関わらず、タンパク質またはペプチドに化学的に結合して、PEG−ペプチド抱合体を形成する反応を意味する。「PEG化される」は、少なくとも1つのPEG部分が、サイズに関わらず、ペプチドまたはタンパク質に化学的に結合することを意味する。用語PEGは、一般に、PEGポリマーのおおよその平均分子量を示す語尾の数値を伴い;例えば、PEG−8,000は、約8,000ダルトン(またはg/mol)の平均分子量を有するポリエチレングリコールを意味する。
【0043】
本明細書で用いられる「医薬的に許容される塩」は、親化合物がその酸性または塩基性塩を作り出すことによって改変される開示化合物の誘導体を意味する。医薬的に許容される塩の例としては、以下に限定されないが、塩基性残基の鉱酸または有機酸塩(例えば、アミン);酸性残基のアルカリまたは有機塩(例えば、カルボン酸)などが挙げられる。よって、用語「酸付加塩」は、酸を付加することによって調製される親化合物の対応する塩誘導体を意味する。医薬的に許容される塩としては、例えば、無機酸または有機酸から形成される親化合物の従来の塩または第四級アンモニウム塩が挙げられる。例えば、このような従来の塩としては、以下に限定されないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などの無機酸に由来するもの;ならびに酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸などの有機酸から調製される塩が挙げられる。本発明のある酸性もしくは塩基性化合物は、双性イオンとして存在しうる。本化合物の全ての形態(遊離酸、遊離塩基および双性イオンを含む)は、本発明の範囲内とされる。
【0044】
説明:
本発明は、一部、阻害能および薬物動態的パラメータの両方における改善を示すコンプスタチンアナログの発明者らの開発から作り出される。非タンパク新生アミノ酸および/または他の分子を有するコンプスタチンN末端の選択的な修飾は、nM以下の結合親和性(K
D=0.5nM)を有する一定のアナログおよび臨床的に関連する溶媒中の溶解性が改善した他の同様の能力を有する誘導体を生じる。非ヒト霊長類における薬物動態的評価により、ペプチド薬物についての予測を超えた血漿半減期の値が明らかになった。2種類の非ヒト霊長類モデルにおけるバイオアベイラビリティ評価により、一定のアナログの皮下、筋肉内および経口バイオアベイラビリティが示された。
【0045】
本発明による1つの修飾は、C3結合親和性および補体阻害活性を維持し、または改善しつつ、ペプチドの溶解性および血漿安定性を改善するコンプスタチン(Ile−[Cys−Val−Val−Gln−Asp−Trp−Gly−His−His−Arg−Cys]−Thr;配列番号:1)のN末端に成分を付加することを含む。特定の実施態様において、付加される成分は、アミノ酸残基、特に、タンパク質切断に対抗する残基、例えば、N−メチル化アミノ酸(例えば、N−メチルGly(Sar))またはD−アミノ酸(例えば、D−Tyr)である。また、下記でより詳細に説明されるように、N末端残基のD構造は、C3との極性相互作用のための遊離アミノ基を形成してもよい。また、N末端に疎水性側鎖(例えば、芳香族環を含む)を含むアミノ酸またはアナログは、コンプスタチン−C3結合部位における疎水性ポケットにおける相互作用を介して、C3への結合を促進する。
【0046】
下記に説明される典型的なアナログについて言及すると、これらは、コンプラスチンおよび強力なアナログであるAc−Ile−[Cys−Val−Trp(Me)−Gln−Asp−Trp−Gly−Ala−His−Arg−Cys]−Thr−NH
2(配列番号:2)(上記のKatragadda et al., 2006、WO2007/062249;本明細書では「4(1MeW)」とも称される)より著しく改善された活性、ならびに下記に詳細に記載される数種類の他の好ましい特性を示す。
【0047】
「コンプスタチン30」(Cp30):
Sar−Ile−[Cys−Val−Trp(Me)−Gln−Asp−Trp−Sar−Ala−His−Arg−Cys]−mIle−NH
2
(配列番号:7;実施例では「ペプチド3」とも称される)
【0048】
「コンプスタチン40」(Cp40):
dTyr−Ile−[Cys−Val−Trp(Me)−Gln−Asp−Trp−Sar−Ala−His−Arg−Cys]−mIle−NH
2
(配列番号:18;実施例では「ペプチド14」とも称される)
【0049】
理論に束縛または制限されることなく、本明細書に記載のアナログの改善されたC3結合親和性は、少なくとも一部には、N末端によって介在される高い親和性相互作用によるものと考えられる。例えば、SPRおよびELISAデータは、D−アミノ酸、または疎水性側鎖がC3結合を改善したアミノ酸を示す一方、特徴の組み合わせ、すなわち、芳香族側鎖を有するD−アミノ酸(例えば、D−Tyr)が最も有利であった。一般に、芳香族側鎖を有するD−アミノ酸は、DまたはL構造のいずれかにより短い側鎖を有するアミノ酸より好ましいことが示された。さらに、結合実験は、改善された親和性が、遊離アミノ基の位置、ならびにN末端残基における側鎖の性質および位置に関連するさらなる極性および非極性相互作用から生じることを示す。例えば、Cp40(配列番号:18)の親和性の獲得は、少なくとも一部は、アナログのN末端におけるC3との相互作用の組み合わせによるものであることが決定された;(1)N末端TyrのD構造は、D構造全体の有益な点をも説明する特徴である、C3との極性相互作用のための遊離アミノ基を提示しし;および(2)大きな疎水性側鎖は、C3cにおける疎水性ポケットに適合でき、C3cとの水素結合のためのヒドロキシル基をも提示した。さらに、結合実験により、高親和性でC3に結合するN末端においてAc−Trpを含むアナログが予測された(実施例2)。実際に、ペプチド1のSPR解析は、Cp40(配列番号:18)(ペプチド14)と比較して、高い結合親和性を示した。両方のペプチドは、コンプスタチンのN末端近くのC3、C3bまたはC3cにおける疎水性の結合ポケットを利用することがわかった。
【0050】
N−メチル化は、いくつかの方法でペプチドに影響を与えることができる。第一に、潜在的な水素結合ドナーは、メチル基で置換され、水素結合を形成することができない。第二に、N−メチル基は、弱い電子供与基であり、隣接するカルボニル基の塩基性をわずかに高めることができる。第三に、N−メチル基のサイズは、隣接する残基の性質に応じて立体障害を引き起こしうる。最後に、N−メチル化は、アミド結合のトランス/シス集団を変化させ、これによりプロリンと同様に局所的にペプチド構造を変化させることができる。Cp30(配列番号:7)の場合では、SPRデータは、Cp20(配列番号:3)よりわずかに速い会合速度およびより遅い解離速度を示し、これは、Cp30(配列番号:7)が、C3/C3b/C3cに結合するためのより好ましい遊離溶液構造を有し、結合がより強力であることが示される。N末端位置におけるAc基の非存在およびメチル基の存在を考慮すると、その修飾がN末端をC3cの残基S388/S437/D349とのより強力な極性相互作用に加わることを可能にしたものと推定することが妥当である。これは、遊離のN末端を、C3/C3cにおける結合部位との極性相互作用を高めるようにN−メチル化を介して好ましい位置に局在させることによって可能となった。
【0051】
改善されたC3結合親和性に加えて、本発明のアナログは、Cp20(配列番号:3)などの以前に利用可能となったアナログと比較して、改善された溶解特性を有する。全身の薬理学的投与に関して、注射用水(WFI)およびリン酸緩衝生理食塩水(PBS)の両方における高い溶解性を有するアナログは、必要とされる注射体積を最小にすることが望まれる。比較するに、WFIにおける高い溶解性およびPBSにおける低い溶解性を有するアナログは、例えば、AMDの治療のための、局所的な適用または局所注射(例えば、眼内注射)用のより持続的なゲル、沈殿物または懸濁液を生じうる。Cp30(配列番号:7)は、WFIおよびPBSの両方に溶解性を有し、Cp40(配列番号:18)は、WFIよりPBSにおいてより低い溶解性を有することがわかった。
【0052】
本発明のペプチドアナログは、少なくとも一部には、プロテアーゼの攻撃に抵抗する1つまたはそれ以上のN末端成分、例えば、D−アミノ酸残基またはN−メチル基、あるいはアルブミン結合分子の存在によるものと考えられる好ましい血漿安定性特性をさらに示す。さらに、アナログは、血漿中でC3、C3bおよびC3cに特異的かつ強力に結合する。重要なことに、本明細書に記載のN末端および/または他の修飾によって生じた安定性は、マウスおよび2種類の非ヒト霊長類モデル系で示されるように、経口、皮下または筋肉内投与からのバイオアベイラビリティの改善、ならびに霊長類モデル系に示されるように、インビボでアナログの(すなわち、遅延した)血漿排出半減期値の改善の一因となる。
【0053】
上記に記載のN末端修飾は、活性を改善することが以前に示されたコンプスタチンの他の修飾と組み合わせ、これにより顕著に改善した補体阻害活性を有するペプチドを生成することができる。例えば、N末端のアセチル化は、典型的に、コンプスタチンおよびそのアナログの補体阻害活性を増加する。よって、前記ペプチドのアミノ末端におけるアシル基の付加(N−アセチル化を含むが、これに限定されることない)は、本発明の一実施態様であるが、ペプチドのN末端がすでに安定である場合、または溶解性が問題となる場合には必要ないかもしれない。
【0054】
別の例として、9位におけるAlaのHisへの置換は、コンプスタチンの活性を改善し、本発明のペプチドの好ましい修飾でもあることが知られている。4位におけるTyrのValへの置換は、活性のわずかな改善を生じうることもわかっている(Klepeis et al., 2003, J Am Chem Soc 125: 8422-8423)。
【0055】
WO2004/026328およびWO2007/0622249では、4位におけるTrpおよび一定のTrpアナログ、ならびに7位における一定のTrpアナログは、特に、9位におけるAlaと組み合わされて、コンプスタチンより何倍も高い活性を生じることが開示される。これらの修飾は、本発明のためにも用いられる。
【0056】
特に、4位において、5−フルオロ−トリプトファン、あるいは5−メトキシ−、5−メチル−または1−メチル−トリプトファン、あるいは1−ホルミル−トリプトファンのいずれかを含むペプチドは、コンプスタチンより31〜264倍高い活性を有することが示された。1−メチルおよび1−ホルミルトリプトファンが特に好ましい。インドール「N」−介在水素結合は、コンプスタチンの結合および活性のために4位において必要ではないと考えられる。この水素結合の非存在、あるいは4位で水素を低級アルキル、アルカノイルまたはインドール窒素に置換することによる極性特性の低下は、コンプスタチンの結合および活性を高める。なんら特定の理論または作用メカニズムに制限されることなく、4位における疎水性相互作用または効果は、コンプスタチンとC3との相互作用を亢進すると考えられる。よって、Trpアナログの4位におけるTrpの修飾(例えば、当該技術分野で周知の方法に従って側鎖の構造を変化させること)、あるいは4位または7位における置換は、前記疎水性相互作用を維持し、または高め、上記に記載の8位および13位における修飾と組み合わせて有益な修飾として本発明に包含される。このようなアナログは、当該技術分野で周知であり、以下に限定されないが、本明細書に例示されるアナログ、ならびにその置換されていないか、または別の置換された誘導体が含まれる。適当なアナログの例は、下記の刊行物および多くの文献を参照して見出しうる:Beene, et al., 2002, Biochemistry 41: 10262-10269(とりわけ、単一および複数ハロゲン化Trpアナログを記載);Babitzky & Yanofsky, 1995, J.Biol.Chem.270: 12452-12456(とりわけ、メチル化およびハロゲン化Trpおよび他のTrpならびにインドールアナログを記載);ならびに米国特許第6,214,790号、第6,169,057号、第5,776,970号、第4,870,097号、第4,576,750号および第4,299,838号。Trpアナログは、インビトロまたはインビボ発現、あるいは当該技術分野で知られるようなペプチド合成によって、コンプスタチンペプチドに導入されうる。
【0057】
ある実施態様において、コンプスタチンの4位におけるTrpは、1−アルキル基、より具体的には、上記に定義される低級アルキル(例えば、C
1〜C
5)基を含むアナログで置換される。これらとして、以下に限定されないが、N(α)メチルトリプトファンおよび5−メチルトリプトファンが挙げられる。他の実施態様において、コンプスタチンの4位におけるTrpは、1−アルカノイル基、より具体的には、上記に定義される低級アルカノイル(例えば、C
1〜C
5)基、例えば、N(α)ホルミルトリプトファン、1−アセチル−L−トリプトファンおよびL−β−ホモトリプトファンを含むアナログで置換される。
【0058】
WO2007/0622249では、コンプスタチンの7位における5−フルオロ−トリプトファンの導入は、コンプスタチンと比較して、得られたコンプスタチンアナログとC3との間の相互作用のエンタルピーを増加させる一方で、4位における5−フルオロ−トリプトファンの導入は、この相互作用のエンタルピーを減少させることが開示される。よって、7位におけるTrpの修飾は、WO2007/0622249に開示されるように、上記に記載のN末端修飾と組み合わせて有益な修飾として包含される。
【0059】
他の修飾は、WO2010/127336に記載される。この文献に開示される1つの修飾には、前記ペプチドの8位におけるペプチド骨格の制限が含まれる。特定の実施態様において、骨格は、8位におけるグリシン(Gly
8)をN−メチルグリシンに置換することによって制限される。この文献に開示される別の修飾には、13位のThrをIle、Leu、Nle(ノルロイシン)、N−メチルThrまたはN−メチルIleで置換することが含まれる。
【0060】
なお他の修飾は、同時係属出願第61/385,711号に記載される。1つのこのような修飾には、C2またはC12においてホモシステインを形成させるためのCH
2の付加によるC2−C12ジスルフィド結合の置換、ならびにガンマシスタチオニンまたはデルタシスタチオニンなどのシスタチオニンを形成するためのチオエーテル結合の導入が含まれる。別の修飾には、ランチチオニンを形成するための、CH
2を付加することなくチオエーテル結合によるC2−C12ジスルフィド結合の置換が含まれる。チオエーテル結合を含むアナログは、一定のジスルフィド結合アナログと実質的に同一の活性であり、同等のまたは改善された安定性特性をも有する活性を示す。
【0061】
さらに他の内部修飾は、本出願に記載されている。例えば、一定のコンプスタチンアナログ(例えば、Cp20,配列番号:3、Cp40,配列番号:18)の11位におけるオルニチンのアルギニンへの置換、および/または6位におけるアスパラギンのアスパラギン酸への置換は、親化合物と同様の結合および補体阻害活性を有するアナログを生じる。さらに、これらの置換の1つまたは両方は、胃腸管、肝臓または血漿で見出される一定の生理的酵素による代謝に感受性が低いアナログとなることが期待される。
【0062】
本発明の修飾されたコンプスタチンペプチドは、従来のペプチド合成法に従って、1つまたはそれ以上のアミノ酸残基の縮合を介してペプチド合成の様々な合成方法により調製されうる。例えば、ペプチドは、標準的固相法によって合成される。固相法または液相のいずれかによるペプチドもしくはペプチド模倣物の他の合成方法は、当業者に周知である。ペプチド合成過程の間、分岐鎖アミノおよびカルボキシル基は、一般に公知の保護基を用いて、必要に応じて保護/脱保護されうる。適当なペプチド合成法の一例は、実施例1に説明されている。ペプチドおよびペプチド誘導体のための別の保護基を利用する修飾は、当業者に明らかである。
【0063】
あるいは、本発明の一定のペプチドは、適当な原核細胞系または真核細胞系における発現によって生成されうる。例えば、DNA構築物は、細菌細胞(大腸菌など)または酵母細胞(出芽酵母など)における発現に用いられるプラスミドベクター、あるいは昆虫細胞における発現用のバキュロウイルスベクターまたは哺乳類細胞における発現用のウイルスベクターに挿入されうる。このようなベクターには、宿主細胞のDNAを発現できるように配置された、宿主細胞のDNAの発現に必要な調節エレメントが含まれる。このような発現に必要な調節エレメントとしては、プロモーター配列、転写開始配列、必要に応じて、エンハンサー配列が挙げられる。
【0064】
ペプチドはまた、インビトロまたはインビボで核酸分子の発現によって生成することができる。ペプチドの鎖状体をコードするDNA構築物(鎖状体の上限は、用いられる発現系に依存する)は、インビボ発現系に導入されうる。鎖状体が生成された後、C末端Asnおよびそれに続くN末端Gの間の切断は、ポリペプチドのヒドラジンへの露出によって達成される。
【0065】
組み換え原核細胞または真核細胞系における遺伝子発現によって生成されるペプチドは、当技術分野で周知の方法によって精製されうる。遺伝子発現および合成法の組み合わせはまた、コンプスタチンアナログを生成するために利用されうる。例えば、アナログは、遺伝子発現によって生成され、続いて1つまたはそれ以上の翻訳後合成プロセスにかけらて、例えば、NまたはC末端を修飾し、または分子を環化することができる。
【0066】
有利なことに、非天然アミノ酸、例えば、メチル化アミノ酸を取り込むペプチドは、適当な原核生物または真核生物系におけるインビボ発現によって生成されうる。例えば、非天然のTrpアナログを大腸菌栄養要求株における発現を介してコンプスタチンに導入するKatragadda & Lambris (2006, Protein Expression and Purification 47: 289-295)によって開示されるような方法は、コンプスタチンの選択された位置にN−メチルかまたは他の非天然アミノ酸を導入するために利用されうる。
【0067】
コンプスタチンの構造は、当該技術分野で公知であり、前記アナログの構造は、同様の方法によって決定される。短いペプチドの特定の所望される構造が一旦突き止められると、その構造が適合するペプチドまたはペプチド模倣物を設計する方法は、当該技術分野で周知である。本発明に特に関連するもののうち、ペプチドアナログの設計は、上記に記載されるように(すなわち、官能基の効果または立体について)、アミノ酸残基の様々な側鎖の寄与を考慮してさらに改善されてもよい。
【0068】
ペプチド模倣物は、C3に結合し、補体活性を阻害するために必要とされる特定の骨格構造および側鎖官能性を提供するためのペプチドと同等に役に立ちうることが当業者によって評価される。よって、結合して適当な骨格構造を形成することができる天然に存在するアミノ酸、アミノ酸誘導体、アナログまたは非アミノ酸分子を用いて、C3に結合する補体阻害化合物を生成することは、本発明の範囲内として包含される。非ペプチドアナログ、またはペプチドおよび非ペプチド成分を含むアナログは、本明細書では、例示のペプチドと同様に十分に補体活性を阻害できるように、同一の骨格構造特徴および/または他の官能性を有する、本発明のペプチドの置換体または誘導体を示す「ペプチド模倣物」または「イソステリック(isosteric)模倣物」とも称される。
【0069】
高親和性ペプチドアナログの開発のためのペプチド模倣物の使用は、当該技術分野で周知である(例えば、Vagner et al., 2008, Curr.Opin.Chem.Biol.12: 292-296; Robinson et al., 2008, Drug Disc.Today 13: 944-951を参照のこと)。ペプチド内のアミノ酸残基と同様の回転制限を推定して、非アミノ酸部分を含むアナログが解析されてもよく、それらの構造モチーフは、当該技術分野で周知の様々なコンピュータ技術のいずれかによって調べられてもよい。
【0070】
本発明の修飾されたコンプスタチンペプチドは、ポリエチレングリコール(PEG)成分のペプチドへの付加によって修飾することができる。当該技術分野で周知であるように、PEG化は、インビボで治療用ペプチドおよびタンパク質の半減期を増加させることができる。ある実施態様において、PEGは、約1,000〜約50,000の平均分子量を有する。別の態様において、PEGは、約1,000〜約20,000の平均分子量を有する。別の態様において、PEGは、約1,000〜約10,000の平均分子量を有する。例示的な実施態様において、PEGは、約5,000の平均分子量を有する。前記ポリエチレングリコールは、分岐鎖であってもよく、直鎖であってもよく、好ましくは、直鎖である。
【0071】
本発明のコンプスタチンアナログは、連結基を介してPEGに共有結合しうる。このような方法は、当該技術分野で周知である(Kozlowski A. et al.2001, BioDrugs 15: 419-29で総説される;Harris JM and Zalipsky S, eds. Poly(ethylene glycol), Chemistry and Biological Applications, ACS Symposium Series 680 (1997)も参照のこと)。許容可能な連結基の限定されない例としては、エステル基、アミド基、イミド基、カルバメート基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、炭水化物基、コハク酸イミド基(以下に限定されないが、スクシンイミジルスクシネート(SS)、スクシンイミジルプロピオネート(SPA)、スクシンイミジルカルボキシメチレート(SCM)、スクシンイミジルスクシンアミド(SSA)およびN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)が含まれる)、エポキシド基、オキシカルボニルイミダゾール基(以下に限定されないが、カルボニルジミダゾール(CDI)が含まれる)、ニトロフェニル基(以下に限定されないが、ニトロフェニルカルボネート(NPC)またはトリクロロフェニルカルボネート(TPC)が含まれる)、トリシレート基、アルデヒド基、イソシアネート基、ビニルスルホン基、チロシン基、システイン基、ヒスチジン基または第一級アミン基が挙げられる。ある実施態様において、連結基は、コハク酸イミド基である。ある実施態様において、連結基は、NHSである。
【0072】
本発明のコンプスタチンアナログはまた、アミノ基、スルフヒドリル基、ヒドロキシル基またはカルボキシル基を介して、PEGに直接カップリングすることができる(すなわち、連結基を含まない)。ある実施態様において、PEGは、コンプスタチンのC末端に付加されたリジン残基にカップリングされる。
【0073】
PEG化の代わりとして、ペプチドのインビボクリアランスはまた、ペプチドを一定の他の分子またはペプチドに連結することによって減らすことができる。例えば、一定のアルブミン結合ペプチド(ABP)は、静脈内ボーラスでウサギに注入されると、2.3時間の非常に長い半減期を示す(Dennis et al., 2002, J Biol Chem.277: 35035-35043)。このタイプのペプチドは、D3H44の抗組織因子Fabに融合し、組織因子に結合するFabの能力を保ちつつアルブミンに結合させることができる(Nguyen et al., 2006, Protein Eng Des Sel.19: 291-297)。このアルブミンとの相互作用は、マウスおよびウサギにおいて、PEG化Fab分子、イムノアドヘシンおよびアルブミン融合物について観察されるものに相当する野生型D3H44 Fabと比較して、著しいインビボクリアランスの減少と半減期の持続を生じた。WO2010/127336は、ABPならびにアルブミン結合小分子(ABM)を用い、必要に応じて、前記成分間にスペーサーまたはリンカーを用いる適当な合成法を説明する。これらの方法により、補体活性を阻害し、インビボで持続した残存を示すことができるABPおよびABMコンプスタチンアナログの抱合体が生成された。本明細書の実施例1は、より高い親和性のアルブミン結合小分子、ABM2を用いるこれらの使用および他の方法を記載する。実施例1は、リンカーを含まない直接結合を用いた3つの異なるアルブミン結合小分子、ABM、ABM0およびABM2を有する特定のコンプスタチンアナログのN末端抱合体の生成をさらに記載する。C末端、N末端に直接またはスペーサーまたはリンカーを介したこのような抱合体は、抱合されていないアナログに相当するか、当該アナログを超えるC3結合および補体阻害活性、ならびに好ましいインビボ保持を示す。
【0074】
コンプスタチンアナログ、ペプチド模倣物および抱合体の補体活性を阻害する活性は、 当該技術分野で公知の様々なアッセイによって試験されうる。ある実施態様において、実施例に記載のアッセイが用いられる。他のアッセイの包括的ではないリストは、以下に限定されないが、(1)C3およびC3フラグメントに結合するペプチド;(2)様々な溶血アッセイ;(3)C3のC3転換酵素を介した切断の測定;および(4)因子Dによる因子B切断の測定を含む、米国特許第6,319,897号、WO99/13899、WO2004/026328、WO2007/062249およびWO2010/127336に記載される。
【0075】
本明細書に記載のペプチドおよびペプチド模倣物は、当該技術分野で知られるように、コンプスタチン自体が利用されるため、あらゆる目的についても実用的である。このような使用としては、以下に限定されないが:(1)患者(ヒトまたは動物)の血清、細胞、組織または器官における補体活性を阻害し、一定の疾患または病気(以下に限定されないが、加齢黄斑変性症、関節リウマチ、脊髄傷害、パーキンソン病、アルツハイマー病、癌、敗血症、発作性夜間ヘモグロビン尿症、乾癬および呼吸器障害(例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー性炎症、肺気腫、気管支炎、気管支拡張症、嚢胞性線維症、結核、肺炎、呼吸窮迫症候群(RDS−新生児および成人)、鼻炎および副鼻腔炎など))の治療を促しうること;(2)細胞または臓器移植中に、あるいは人工臓器またはインプラントの使用時に生じる補体活性を阻害すること(例えば、本発明のペプチドを用いて、その方法の前、間および/または後の制限された全身投与による、あるいは細胞、臓器、人口臓器またはインプラントをコーティングし、さもなければ治療することによる);(3)生理学的液体(血液、尿)の体外シャント手術の間に生じる補体活性を阻害すること(例えば、本発明のペプチドを用いて、その方法の前、間および/または後の制限された全身投与による、あるいはシャントされる液体を介してチューブをコーティングすることによる);ならびに(4)コンプスタチン活性の他の阻害剤を同定するための小分子ライブラリーのスクリーニング時(例えば、C3またはC3フラグメントとの結合についてコンプスタチンアナログと競合する試験化合物の能力を測定するように設計された液相または固相ハイスループットアッセイ)が挙げられる。
【0076】
上記に記載の有用性のうちの1つ又はそれ以上を実施するために、本発明の別の態様は、本明細書に記載され、例示されるコンプスタチンアナログまたは抱合体を含む医薬組成物を特徴とする。このような医薬組成物は、対象への投与に適する形で活性成分のみからなっていてもよく、あるいは前記医薬組成物は、活性成分、ならびに1つまたはそれ以上の医薬的に許容される担体、1つまたはそれ以上のさらなる成分あるいはこれらの組み合わせを含んでいてもよい。前記活性成分は、当該技術分野で周知であるように、生理学的に許容されるカチオンまたはアニオンと組み合わせるなどして、生理学的に許容されるエステルまたは塩の形で、医薬組成物中に存在していてもよい。
【0077】
本発明の特定のコンプスタチンアナログは、その溶解特性に基づいて、特定の製剤について選択されていてもよい。上述したように、水または緩衝生理食塩水中に高い溶解性を有するアナログは、注入体積を最小とすることができるため、全身注入に特に適切でありうる。比較して、高い水溶解性および緩衝生理食塩水への低い溶解性を有するアナログは、局所適用または局所注入(例えば、眼内注射)のためのより持続的なゲル、懸濁液または沈殿物を生じる。よって、例示的なものであって、限定することを目的とするものではないが、Cp30(配列番号:7)は、全身注入によって投与されるべき医薬製剤について選択されうるが、Cp40(配列番号:18)は、硝子体内注射のための製剤について選択されうる。特に、Cp40(配列番号:18)は、下記に記載されるように、経口で、ならびに皮下または筋肉内注射を介して利用可能であることが示されており、重要なさらなる送達手段を供する。
【0078】
医薬組成物の製剤は、医薬技術の分野で知られ、またはこれから開発される方法のいずれかで調製されうる。一般に、このような調製方法には、活性成分を、担体または1つまたはそれ以上の補助成分と一緒にし、次いで、必要であるか、所望であれば、前記生成物を所望される1回または複数回投薬単位に成形し、またはパッケージすることが含まれる。
【0079】
本明細書で用いられるように、用語「医薬的に許容される担体」は、コンプスタチンアナログが合わされていてもよく、この組み合わせがコンプスタチンアナログを個体に投与するために用いることができる化学組成物を意味する。
【0080】
本明細書で用いられるように、用語「生理学的に許容される」エステルまたは塩は、組成物が投与される対象に毒性ではない、医薬組成物のいずれの他の成分に適合する活性成分のエステルまたは塩の形態を意味する。
【0081】
本発明の実施に有用である医薬組成物は、当業者によって容易に決定されるように、単回ボーラスとして、または繰り返される投薬計画において、あるいはこれらの組み合わせで、1ng/kg〜100mg/kg体重の用量を送達するために投与されうる。ある実施態様において、その用量には、1日に、または別の適切な定期的な投薬計画において、少なくとも0.1mg/kg、または少なくとも0.2mg/kg、または少なくとも0.3mg/kg、または少なくとも0.4mg/kg、または少なくとも0.5mg/kg、または少なくとも0.6mg/kg、または少なくとも0.7mg/kg、または少なくとも0.8mg/kg、または少なくとも0.9mg/kg、または少なくとも1mg/kg、または少なくとも2mg/kg、または少なくとも3mg/kg、または少なくとも4mg/kg、または少なくとも5mg/kg、または少なくとも6mg/kg、または少なくとも7mg/kg、または少なくとも8mg/kg、または少なくとも9mg/kg、または少なくとも10mg/kg、または少なくとも15mg/kg、または少なくとも20mg/kg、または少なくとも25mg/kg、または少なくとも30mg/kg、または少なくとも35mg/kg、または少なくとも40mg/kg、または少なくとも45mg/kg、または少なくとも50mg/kg、または少なくとも55mg/kg、または少なくとも60mg/kg、または少なくとも65mg/kg、または少なくとも70mg/kg、または少なくとも75mg/kg、または少なくとも80mg/kg、または少なくとも85mg/kg、または少なくとも90mg/kg、または少なくとも95mg/kg、または少なくとも100mg/kgが含まれる。ある実施態様において、前記用量は、約0.5mg/kg〜約20mg/kg、または約1mg/kg〜約10mg/kg、または約2mg/kg〜約6mg/kgである。
【0082】
ある実施態様において、本発明は、個体において約0.01μM〜約30μMのコンプスタチンアナログの血清濃度を生じる用量の投与とされる。ある実施態様において、用量および投薬計画の組み合わせは、少なくとも約0.01μM、または少なくとも約0.02μM、または少なくとも約0.03μM、または少なくとも約0.04μM、または少なくとも約0.05μM、または少なくとも約0.06μM、または少なくとも約0.07μM、または少なくとも約0.08μM、または少なくとも約0.09μM、または少なくとも約0.1μM、0.11μM、または少なくとも約0.12μM、または少なくとも約0.13μM、または少なくとも約0.14μM、または少なくとも約0.15μM、または少なくとも約0.16μM、または少なくとも約0.17μM、または少なくとも約0.18μM、または少なくとも約0.19μM、または少なくとも約0.2μM、または少なくとも約0.3μM、または少なくとも約0.4μM、または少なくとも約0.5μM、または少なくとも約0.6μM、または少なくとも約0.7μM、または少なくとも約0.8μM、または少なくとも約0.9μM、または少なくとも約1μMまたは少なくとも約1.5μM、または少なくとも約2μM、または少なくとも約2.5μM、または少なくとも約3μM、または少なくとも約3.5μM、または少なくとも約4μM、または少なくとも約4.5μM、または少なくとも約5μM、または少なくとも約5.5μM、または少なくとも約6μM、または少なくとも約6.5μM、または少なくとも約7μM、または少なくとも約7.5μM、または少なくとも約8μM、または少なくとも約8.5μM、または少なくとも約9μM、または少なくとも約9.5μM、または少なくとも約10μM、または少なくとも約10.5μM、または少なくとも約11μMまたは少なくとも約11.5μM、または少なくとも約12μM、または少なくとも約12.5μM、または少なくとも約13μM、または少なくとも約13.5μM、または少なくとも約14μM、または少なくとも約14.5μM、または少なくとも約15μM、または少なくとも約15.5μM、または少なくとも約16μM、または少なくとも約16.5μM、または少なくとも約17μM、または少なくとも約17.5μM、または少なくとも約18μM、または少なくとも約18.5μM、または少なくとも約19μM、または少なくとも約19.5μM、または少なくとも約20μM、または少なくとも約20.5μM、または少なくとも約21μMまたは少なくとも約21.5μM、または少なくとも約22μM、または少なくとも約22.5μM、または少なくとも約23μM、または少なくとも約23.5μM、または少なくとも約24μM、または少なくとも約24.5μM、または少なくとも約25μM、または少なくとも約25.5μM、または少なくとも約26μM、または少なくとも約26.5μM、または少なくとも約27μM、または少なくとも約27.5μM、または少なくとも約28μM、または少なくとも約28.5μM、または少なくとも約29μM、または少なくとも約29.5μM、または少なくとも約30μMのコンプスタチンアナログの血清濃度または長期間の平均血清濃度を生じる。ある実施態様において、用量および投薬計画の組み合わせは、約0.1μMまで、または約0.11μMまで、または約0.12μMまで、または約0.13μMまで、または約0.14μMまで、または約0.15μMまで、または約0.16μMまで、または約0.17μMまで、または約0.18μMまで、または約0.19μMまで、または約0.2μMまで、または約0.3μMまで、または約0.4μMまで、または約0.5μMまで、または約0.6μMまで、または約0.7μMまで、または約0.8μMまで、または約0.9μMまで、または約1μMまで、または約1.5μMまで、または約2μMまで、または約2.5μMまで、または約3μMまで、または約3.5μMまで、または約4μMまで、または約4.5μMまで、または約5μMまで、または約5.5μMまで、または約6μMまで、または約6.5μMまで、または約7μMまで、または約7.5μMまで、または約8μMまで、または約8.5μMまで、または約9μMまで、または約9.5μMまで、または約10μMまで、または約10.5μMまでまたは約11μMまでまたは約11.5μMまで、または約12μMまで、または約12.5μMまで、または約13μMまで、または約13.5μMまで、または約14μMまで、または約14.5μMまで、または約15μMまで、または約15.5μMまで、または約16μMまで、または約16.5μMまで、または約17μMまで、または約17.5μMまで、または約18μMまで、または約18.5μMまで、または約19μMまで、または約19.5μMまで、または約20μMまで、または約20.5μMまでまたは約21μMまでまたは約21.5μMまで、または約22μMまで、または約22.5μMまで、または約23μMまで、または約23.5μMまで、または約24μMまで、または約24.5μMまで、または約25μMまで、または約25.5μMまで、または約26μMまで、または約26.5μMまで、または約27μMまで、または約27.5μMまで、または約28μMまで、または約28.5μMまで、または約29μMまで、または約29.5μMまで、または約20μMまでのコンプスタチンアナログの血清濃度または長期間の平均血清濃度を生じる。
【0083】
適する範囲には、約0.1〜約30μM、または約1〜約29μM、または約2〜約28μM、または約3〜約27μM、または約4〜約26μM、または約5〜約25μM、または約6〜約24μM、または約7〜約23μM、または約8〜約22μM、または約9〜約21μM、または約10〜約20μM、または約11〜約19μM、または約12〜約18μM、または約13〜約17μM、または約1〜約5μM、または約5〜約10μM、または約10〜約15μM、または約15〜約20μM、または約20〜約25μM、または約25〜約30μMが含まれる。投与される正確な用量は、以下に限定されないが、患者のタイプおよび治療される疾患状態、患者の年齢および投与経路などを含む多くの因子に応じて変動しうるが、このような用量は当業者によって容易に決定される。
【0084】
医薬組成物は、1日数回の頻度で患者に投与することができ、あるいは、1日1回、1週間に1回、2週間に1回、1ヶ月に1回、またはそれより少ない頻度、例えば、数ヶ月に1回もしくは1年に1回またはそれより少ない頻度で投与されてもよい。投薬頻度は、当業者にとって明らかであり、以下に限定されないが、上記に記載されるように、治療される疾患のタイプおよび重症度、患者のタイプおよび年齢などの多くの因子のいずれかによる。
【0085】
本発明の方法に有用である医薬組成物は、経口、非経口、眼(硝子体内を含む)、坐剤、エアロゾル、局所、経皮または他の同様の製剤で全身投与されうる。このような医薬組成物には、薬物投与を促進し、容易にすることが知られる医薬的に許容される担体および他の成分が含有されうる。他の製剤(例えば、ナノ粒子、リポソーム、再封入された赤血球および免疫学を基にしたシステム)はまた、本発明の方法によるコンプスタチンアナログを投与するために用いられてもよい。
【0086】
本明細書で用いられるように、医薬組成物の「経口投与」または「経腸投与」には、胃腸管に取り込まれることを特徴とする投与経路が含まれる。このような投与には、口ならびに経口胃または胃内経管栄養による供給が含まれる。このような投与にはまた、舌下、バッカル、鼻腔内、肺または直腸投与、当該技術分野で公知の他の経路などが含まれる。
【0087】
経口投与に適する医薬組成物の製剤には、様々な剤形中で医薬的に許容される担体と組み合わされた活性成分が含まれ、以下に限定されないが、いくつかの例を挙げると、丸剤、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、分散液、懸濁液、溶液、乳濁液、マイクロエマルション、ゲル剤およびフィルム剤(film)などが含まれる。このような製剤には、典型的に、活性成分の製剤化および送達を容易にするための担体および賦形剤が含まれる。
【0088】
医薬的に許容される担体は、タンパク質、炭水化物、脂質、有機および無機分子およびこれらの組み合わせから選択される。活性成分は、適当な希釈剤中で担体と合わせて、溶液または懸濁液を形成させることができる。このような液体製剤は、用いられる量および担体に依存して、粘稠性または非粘稠性でありうる。液体製剤は、直接用いることができ、あるいは当業者に公知の方法によって適当なカプセル、ゲル状カプセルまたは固形物にさらに製剤化することができる。あるいは、固体製剤は、固形成分を合わせることによって調製することができる。このような固体製剤は、粉末として用いられうるか、あるいは顆粒剤、カプセル剤、錠剤またはフィルム剤中に製剤化されて、それらのうちのいずれか1つは徐放性製剤として調製されうる。
【0089】
経口製剤中で担体として用いるために適するタンパク質としては、カゼインなどの牛乳タンパク質、カゼイン酸ナトリウム、乳清、低乳糖乳清、乳清タンパク質濃縮物、ゼラチン、大豆タンパク質(単離済み)、褐藻タンパク質、紅藻タンパク質、パン酵母エキスおよびアルブミンが挙げられる。適する炭水化物としては、セルロース(例えば、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸セルロースおよびエチルセルロースなど)、デンプン(例えば、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、タピオカデンプン、小麦デンプン、酸加工デンプン、アルファ化デンプンおよび未加工デンプンなど)、アルギン酸(例えば、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸ナトリウム、およびアルギン酸カルシウム)、グルテン(例えば、トウモロコシグルテンおよび小麦グルテンなど)、ガム(例えば、アカシア(アラビアガム)、ガディガム、グアーガム、カラヤガム(アラヤガム)およびガム(トラガント)など)、不溶性グルコースイソメラーゼ酵素調製物、糖(例えば、トウモロコシ糖、転化糖、トウモロコシシロップ、ブドウ糖果糖液糖およびグルコン酸ナトリウムなど)が挙げられる。適する脂質としては、トコフェロール(例えば、酢酸α−トコフェロール)、短鎖、中鎖および長鎖脂肪酸およびそれらのエステル、脂肪族アルコールおよびそれらのエーテル、油(例えば、ココナッツ油(精製)、ダイズ油(水素化)およびナタネ油など)、パルミチン酸アルミニウム、チオジプロピオン酸ジラウリル、酵素処理したレシチン、ステアリン酸カルシウム、酵素処理した脂肪、パルミトステアリン酸グリセリン(glyceryl palmitostereate)、レシチン、モノおよびジグリセリド、グリセリンおよび蝋(例えば、蜜蝋(黄色および白色)、カンデリラ蝋およびカルナウバ蝋など)ならびに植物油が挙げられる。適する有機および無機物質としては、メチルおよびビニルピロリドン(例えば、ポリビニルピロリドン)、メチルスルホニルメタン、ジメチルスルホキシドおよびその関連化合物、ヒドロキシおよびポリヒドロキシ酸(例えば、ポリ乳酸)などが挙げられる。
【0090】
ある実施態様において、徐放性製剤は、吸収を改善し、代謝の一定の形態を阻害するために、胃腸におけるコンプスタチンアナログの持続的または局所特異的な放出を達成するために調製されうる。例えば、錠剤の耐酸性コーティング剤または耐酸性カプセル物質は、胃におけるコンプスタチンアナログの放出を防ぎ、この化合物を胃の酵素による代謝から保護するために用いられうる。胃を通過後の制御放出を達成するための適切な物質およびコーティング剤は、主に、脂肪酸、蝋、シェラック、プラスチックおよび植物繊維からなり、以下に限定されないが、アクリル酸メチル−メタクリル酸コポリマー、セルロースアセテートスクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(ヒプロメロースアセテートスクシネート)、ポリビニルアセテートフタレート、アルギン酸ナトリウムまたはステアリン酸などが含まれる。胃腸管における持続放出は、例えば、コンプスタチンアナログを、様々なアクリル系、キチン類などの不溶性物質のマトリックスに埋め込むことによって達成することができる。このような製剤の製造方法は、当業者に公知である。
【0091】
コンプスタチンは、直腸、膣または尿道投与のための座剤または浣腸に製剤化されうる。このために、コンプスタチンアナログは、室温で固形または半固形であるが、体温で融解するココアバターなどの脂肪性基剤担体中に、またはポリエチレングリコールまたはグリセリン(グリセロールおよびゼラチンから調製される)などの水溶解性固形基剤中に溶解し、または懸濁することができる。他の賦形剤は、製剤を改善するために加えられてもよく、座剤は、投与を容易にする形で成形される。他の実施態様において、小さいシリンジで投与される直腸送達に適する液体中に溶解され、または懸濁されるコンプスタチンアナログからなる液体座剤が用いられてもよい。
【0092】
補体活性が関連する慢性または急性肺疾患の治療において、医薬組成物の好ましい投与経路は、肺投与である。よって、本発明の医薬組成物は、口腔を介した肺投与に適する製剤中で製造され、包装され、または販売されてもよい。このような製剤は、活性成分を含み、約0.5〜約7ナノメータ、好ましくは、約1〜約6ナノメータの範囲の直径を有する乾燥粒子が含まれていてもよい。このような組成物は、便宜上、推進剤の気流が粉末を噴霧するようにされていてもよい乾燥粉末容器を含む装置を用いて、あるいは密封容器に低沸点推進剤中に溶解させ、懸濁させた活性成分を含む装置などの自己推進溶媒/粉末投薬容器を用いた投与用の乾燥散剤の形態である。好ましくは、このような散剤には、粒子重量の少なくとも98%が、0.5ナノメータ以上の直径を有し、粒子数の少なくとも95%が、7ナノメータ以下の直径である粒子が含まれる。より好ましくは、粒子重量の少なくとも95%は、1ナノメータ以上の直径を有し、粒子数の少なくとも90%は、6ナノメータ以下の直径を有するものである。乾燥粉末組成物には、好ましくは、糖などの固体微細粉末希釈剤が含まれ、単位製剤で利便的に供される。
【0093】
低沸点推進剤には、一般に、大気圧で65°F以下の沸点を有する液体推進剤が含まれる。一般に、推進剤は、組成物の50〜99.9%(w/w)を占めていてもよく、活性成分は、組成物の0.1〜20%(w/w)を占めうる。推進剤は、液体非イオン性または固形アニオン性界面活性剤または固形希釈剤(好ましくは、活性成分を含む粒子と同一オーダーの粒子サイズを有する)などのさらなる成分をさらに含んでいてもよい。
【0094】
肺送達のために製剤化された本発明の医薬組成物はまた、溶液または懸濁液の液滴の形態で活性成分を提供しうる。このような製剤は、活性成分を含む、必要に応じて滅菌されていてもよい水性または希アルコール溶液または懸濁液として製造され、包装され、または販売されていてもよく、噴霧または微粒子装置を用いて利便的に投与されてもよい。このような製剤には、以下に限定されないが、香料(例えば、サッカリンナトリウムなど)、揮発性油、緩衝剤、界面活性剤(置換肺サーファクタントを含む)または保存剤(例えば、メチルヒドロキシベンゾエート)を含む1つまたはそれ以上のさらなる成分がさらに含まれていてもよい。この投与経路によって供される液滴は、好ましくは、約0.1〜約200ナノメータの範囲の平均直径を有する。
【0095】
肺送達に有用である本明細書に記載の製剤はまた、本発明の医薬組成物の鼻腔内送達にも有用である。
【0096】
鼻腔内投与に適する別の製剤は、活性成分を含み、約0.2〜500マイクロメータの平均粒子を有する粗い粉末である。このような製剤は、嗅ぎ薬の様式で、すなわち、鼻の近くに固定した粉末の容器から経鼻を介した急速な吸入で投与される。
【0097】
経鼻投与に適する製剤は、例えば、活性成分の約0.1%(w/w)〜100%(w/w)が含まれていてもよく、本明細書に記載の1つまたはそれ以上のさらなる成分がさらに含まれていてもよい。
【0098】
本明細書で用いられるように、医薬組成物の「非経口投与」には、対象の組織の身体的な切り目によって特徴付けられる投与経路および組織の切り目を介した医薬組成物の投与が含まれる。よって、非経口投与には、以下に限定されないが、組成物の注射、外科的な切開による組成物の適用、組織を浸透する非外科的な創傷による組成物の適用によるなどの医薬組成物の投与が含まれる。特に、非経口投与には、以下に限定されないが、静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内、関節内、硝子体内、胸骨内注射、および腎臓透析注入技術が含まれるものとされる。
【0099】
非経口投与に適する医薬組成物の製剤には、滅菌水または滅菌等張生理食塩水などの医薬的に許容される担体と合わせた活性成分が含まれる。このような製剤は、ボーラス投与または持続投与に適する形態で製造され、包装されまたは販売されうる。注射可能な製剤は、単位製剤で、例えば、アンプルまたは保存剤を含有する複数回投薬容器で製造され、包装されまたは販売されうる。非経口投与のための製剤としては、以下に限定されないが、懸濁液、溶液、油性もしくは水性ベヒクル中の乳濁液、ペーストおよび移植可能な徐放性もしくは生物分解性製剤が挙げられる。このような製剤には、以下に限定されないが、懸濁剤、安定化剤または噴霧剤を含む1つまたはそれ以上のさらなる成分がさらに含まれうる。非経口投与のための製剤のある態様において、活性成分は、再構成される組成物を非経口投与前に適切なベヒクル(例えば、滅菌した発熱物質を含まない水)で再構成するために乾燥(すなわち、粉末または造粒)形態で供される。
【0100】
医薬組成物は、滅菌した注射可能な水性もしくは油性懸濁液または溶液の形態で製造され、包装されまたは販売されうる。この懸濁液または溶液は、公知の技術によって製剤化することができ、活性成分に加えて、本明細書に記載の分散剤、湿潤剤または懸濁剤などのさらなる成分が含まれていてもよい。このような滅菌した注射可能な製剤は、非毒性の非経口で許容可能な希釈剤または溶媒(例えば、水または1,3−ブタンジオールなど)を用いて調製されうる。他の許容可能な希釈剤および溶媒としては、以下に限定されないが、リンガー溶液、等張塩化ナトリウム溶液および固定油(例えば、合成モノもしくはジグリセリド)が挙げられる。有用である他の非経口で投与可能な製剤には、微結晶形態、リポソーム製剤、超音波放出送達のための微小気泡で、または生物分解性ポリマー系の構成成分として活性成分を含むものが挙げられる。徐放または注入のための組成物には、医薬的に許容されるポリマー性または疎水性物質、例えば、乳濁液、イオン交換樹脂、難溶性ポリマーまたは難溶性塩が含まれうる。
【0101】
本明細書で用いられるように、「さらなる成分」としては、以下に限定されないが、下記:賦形剤;置換肺サーファクタントを含む界面活性剤;分散剤;不活希釈剤;造粒剤および崩壊剤;結合剤;滑沢剤;甘味剤;香料;着色剤;保存剤;生理学的に分解される組成物(例えば、ゼラチン);水性ベヒクルおよび溶媒;油性ベヒクルおよび溶媒;懸濁剤;分散剤または湿潤剤;乳化剤、粘滑剤;緩衝剤;塩;増粘剤;充填剤;乳化剤;抗酸化剤;抗生物質;抗真菌薬;安定化剤;および医薬的に許容されるポリマー性もしくは疎水性物質のうちの1つまたはそれ以上が含まれる。本発明の医薬組成物に含まれうる他の「さらなる成分」は、当該技術分野で公知であり、例えば、Genaro, ed., 1985, Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, PAに記載される。
【0102】
方法:
本発明の別の態様は、補体活性を調節する方法を特徴とする。一般に、前記方法は、本発明のコンプスタチンアナログによる補体活性の調節が好ましい媒体を接触させることを特徴とし、接触は、媒体における補体活性の調節を生じるものである。前記媒体は、補体活性の調節が所望される媒体のいずれかでありうる。ある実施態様において、前記媒体には、(1)培養された細胞または組織、(2)対象または患者の体内の細胞または組織、および(3)ある対象の体から取り出され、その同じ患者の体に戻され(例えば、血液の体外循環または自己移植)、または別の患者に移される細胞または組織を含む、生物の細胞または組織が含まれる。後者の実施態様に関して、前記培地には、体外循環中に細胞または組織と接触させるチューブ、フィルターまたは膜などの生体材料がさらに含まれうる。あるいは、前記媒体には、対象に移植される生体材料が含まれうる。
【0103】
ある実施態様において、補体活性の調節方法は、生きている患者または対象に適用し、補体活性、特に、AP介在補体活性に関連する疾患状態の患者の治療方法の一部または全てを特徴とする。多くのこのような疾患状態は、当該技術分野で公知であり(例えば、上記のHolers, 2008を参照のこと)、以下に限定されないが、非定型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、デンスデポジット病、加齢黄斑変性症(AMD)、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、寒冷凝集素症(CAD)、関節リウマチ(RA)、全身性エリテマトーデス(SLE)、数種の自己免疫および自己炎症性腎疾患、自己免疫心筋炎、多発性硬化症、外傷性脳および脊髄傷害、腸および腎臓の虚血再灌流(IR)傷害、自発性および再発性妊娠損失、抗リン脂質抗体症候群(APS)、アルツハイマー病、喘息、抗核細胞質抗原関連微量免疫血管炎(ウェジナー肉芽腫症)、非ループス自己免疫皮膚疾患(例えば、天疱瘡、水疱類天疱瘡および表皮水疱症)、外傷後ストレス、癌の一定の形態およびアテローム性動脈硬化症が含まれる。特定の実施態様において、疾患状態は、FHおよび/またはCD46をコードする遺伝子における突然変異および多型に関連するものであり、以下に限定されないが:AMD、aHUSおよび膜性増殖性糸球体腎炎II型(MPGN−II、デンスデポジット病(DDD)とも呼ばれる)が含まれる。他の実施態様において、本発明のコンスタチンアナログは、現在処方されているか、または前臨床試験および臨床試験で開発されているエクリズマまたはTT30の代わりとしての使用に適する。これらの疾患としては、以下に限定されないが、aHUS、PNH、CADおよびAMDが挙げられる。
【0104】
治療方法は、典型的に、(1)上記に記載の補体活性の調節によって治療可能な疾患または病気にかかっている対象を同定し、次いで(2)前記対象に、治療される状態に適当な治療投薬計画および期間を用いて、有効量の本発明のコンプスタチンアナログを投与することを含むことを特徴とする。適当な投与量および治療投薬計画の作成は、下記に限定されないが、治療される患者のタイプおよび疾患状態のタイプ、患者の年齢および投与経路などを含む多くの因子に依存して変動する。当業者は、このような変動を考慮して、投薬計画を設計することに精通している。例えば、本発明のコンプスタチンアナログの経口投与が、例えば、静脈内注射と比較される経路よりバイオアベイラビリティが低いため、より高い初期投薬量が必要とされることは、当業者にとって明らかである。
【0105】
下記の実施例は、本発明をより詳細に説明するために提供される。それらは、本発明を例示するためであって、限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0106】
実施例1
本実施例は、N末端が修飾されたコンプスタチンアナログおよびアルブミン結合小分子に対する一定のアナログ抱合体の合成を説明する。
【0107】
化学物質
RinkアミドMBHAレジン、Oxymaおよび下記のFmoc−アミノ酸は、Novabiochem(カリフォルニア州、サンディエゴ)から入手した:Ile、Cys(Trt)、Val、Tyr(tBu)、Gln(Trt)、Asp(OtBu)、Trp(Boc)、Gly、Sar、Ala、MeAla、His(Trt)、Arg(Pbf)、MeIle、Phe、MePheおよびD−Cha。DICおよびFmoc−Trp(Me)−OHは、AnaSpec(カリフォルニア州、サンノゼ)から購入した。HOAtは、Advanced ChemTech(ケンタッキー州、ルイビス)から購入した。NMPおよびDCMは、Fisher Scientific(ペンシルベニア州、ピッツバーグ)から入手した。合成のための他の全ての化学試薬は、Sigma−Aldrich(ミズーリ州、セントルイス)から購入し、さらに精製することなく使用した。
【0108】
ペプチド合成および精製
全てのペプチドは、DICおよびOxymaをカップリング試薬として用いて、Fmoc固相法によって手動で合成した。下記の手順は直鎖ペプチドの合成に用いた:RinkアミドMBHAレジン(0.59mmol/g)を、底にフリットを備えたペプチド合成ガラス管に入れ、DCM中で30分間膨張させた。Fmoc保護基を除去し(NMP中で25% ピペリジン、5および10分)、レジンを、NMPで7回、DCMで2回洗浄し、各アミノ酸をレジンにカップリングさせた。各カップリングについて、3当量のアミノ酸、HOAtおよびDICを、NMPで10分間前もって活性化して用いた。全てのカップリングは、1時間行い、カイザー試験またはクロラニル試験のいずれかでモニターした。陽性の試験結果の場合、カップリングは、陰性の試験結果が観察されるまで繰り返した。合成は、1位のCysのカップリング後に停止した。続いて、前記レジンを、底にフリットを備えるHSWポリプロピレンシリンジ(ミシガン州、トルビック、ナイルズ)中で割り、さらなる量のアミノ酸を以前に報告された方法を用いてカップリングした。
【0109】
固相合成の終了後、前記レジンを、NMP、DCMおよびDCM/ジエチルエーテル(1:1)で4回洗浄し、高真空下で4時間乾燥させた。前記ペプチドを、94% TFA、2.5% 水、2.5% EDTおよび1% TIPSの混合物でレジンから2時間で分離した。TFAを減圧下で蒸発し、ペプチドを沈殿させ、冷ジエチルエーテルで3回洗浄した。液体を遠心分離で固体から分離し、移した。粗ペプチドを減圧下で乾燥させ、30% アセトニトリル中に溶解させた。溶液のpHを、濃水酸化アンモニウムを用いて8〜9に調整した。該溶液に、希釈した過酸化水素(1:100,2当量)を激しく攪拌しながら加えた。環化は、MALDI−TOFを用いてモニターした。反応が終了したら、該溶液を、TFAでpHを2まで低くした。続いて、該溶液を凍結乾燥させた。粗ペプチドを、上記に記載されるように(上記のQu et al., 2011)RP−HPLCを用いて精製した。精製したペプチドは、RP−HPLC分析(Phenomenex 00G−4041−E0 Luna 5m C18 100Aカラム,250x4.60mm;Phenomenex,カリフォルニア州、トランス)によって調べると>95%であった。各ペプチドの質量は、Waters MALDI micro MX装置またはSynapt HDMSを用いて確認した。
【0110】
一定のコンプスタチンアナログをアルブミン結合小分子に抱合させ、その例を下記に示す。
【化1】
【化2】
【化3】
【0111】
ある構築物において、ABM2は、WO2010/127336に記載の方法に従って、mini−PEG−3スペーサーを介して、ペプチドCp30(配列番号:7;下記の表1)のC末端にカップリングさせた。
【化4】
【0112】
他の構築物において、ABM、ABM0またはABM2は、スペーサーなしでCP20(配列番号:3)またはCP40(配列番号:18)のN末端にカップリングさせた。
【0113】
実施例2
実施例1に記載の方法で合成したコンプスタチンアナログを、C3結合および補体阻害活性について測定した。
【0114】
材料および方法:
補体活性の阻害
補体の古典的経路の活性を阻害するコンプスタチンアナログの能力は、以前に記載されるようなELISAによって評価した(上記のKatragadda et al., 2006;上記のMallik et al., 2005)。パーセント阻害をペプチド濃度に対してプロットし、得られたデータセットは、Origin 8.0ソフトウェアを用いて、ロジスティックス用量反応関数に適合させた。IC
50値は、適合させたパラメータから得て、最低χ
2値を生じた。各アナログは、少なくとも3回アッセイした。
【0115】
SPR解析
コンプスタチンアナログとC3bとの相互作用は、Biocore3000装置(GE Healthcare,Corp.,ニュージャージー州、ピスカタウェイ)を用いて特徴付けた。流動緩衝液は、0.005% Tween−20を含有するPBS、pH7.4(10mM リン酸ナトリウム、150mM NaCl)であった。ビオチン化C3bは、約3000および5000RUの密度でストレプトアビジンチップ上にて部位特異的に捕捉した;2つの未処理のフローセルを対照表面として使用した。動力学的解析については、5つの高濃度の一定の化合物のセットを1回のサイクルで順番にチップ表面に注入した。3倍希釈シリーズ(0.49〜40nM)を30ul/分で注入した;各注入を2分間行い、毎回ペプチドを次の注入を開始する前5分間で解離させた。最後の注入が終わった後40分間解離させた。ペプチド4(1MeW)は、内部対照および標準として各実験に含ませた。データ解析は、Scrubber(BioLogic Software,オーストラリア、キャンベル)およびBiaEvaluation(GE Healthcare,Corp.,ニュージャージー州,ピスカタウェイ)を用いて行った。未処理のフローセルおよび緩衝液ブランクの集団からのシグナルを差し引いて、緩衝液の効果および注入の人為的な影響について補正した。処理したバイオセンサーデータは、1:1のラングミュア結合モデル(GE Healthcareから好意で提供)に広く適合させ、平衡解離定数(K
D)は、式 K
D=k
d/k
aから算出した。各アッセイを少なくとも2回行った。
【0116】
ペプチドのC3cへの結合
AutoDock Vina(Trott and Olson, 2010)を結合実験に用いた。固定される場合にのみ操作できる環状コア領域の骨格を除いて、ペプチドの全ての他の部分(末端残基、側鎖)は、結合流動中で可撓性であるとして特定した。アナログCp20(配列番号:3)のN末端付近のC3cの残基(すなわち、Asp349、Lys386、Ser388、Asn390、Ser437、Asn452、Leu454、Asp491およびLeu492)は、これらのペプチドの伸びたN末端とC3cとの間のより十分な相互作用を可能にするため、結合実験において可撓性であるとして特定した。ペプチド19のみが例外であり、このN末端は、他のペプチドのように伸長しなかった;よって、C3c上の結合部位は、ペプチド19の結合時に固定されたままであった。全てのペプチドの最初の構造は、4W9AのC3cの結合構造に基づいてPyMolで手動にて構築した。AutoDockToolを用いて、結合ポケットを特定し、Vina(pdbqt).55のpdbフォーマットからインプットフォーマットで、C3cおよび全ペプチドの最初の構造を作成した。コンピュータおよび実験の結合遊離エネルギー(DG)の比較プロットにおいて、実験DGは、R=1.86calK
−1mol
−1およびT=293.15Kを用いてDG=RTln(KD)としてSPRによって決定される結合値から算出した。
【0117】
結果:
N末端伸長の構造/活性
分子モデリング法を用いて、初期のコンプスタチンアナログ4W9Aを、標的フラグメントC3cとの共結晶構造においてCp20(配列番号:3)に置換した。この複合体のコンピュータ解析により、Sar8のメチル基がC3cにおけるG489の酸素原子と接触することが確認された(距離〜4.0Å)。結合部位のさらなる解析により、ペプチドリガンドのN末端伸長に利用されうるC3c上の疎水性領域の存在も明らかになった。C3cの結合ポケットに埋もれることなく、コンプスタチンのN末端は、主に、アセチル部分によって保護されてペプチドの安定性を向上させていたが;このようなキャッピングはまた、阻害能に関しても有益な効果を有していた。このリード化合物Cp20(配列番号:3)に基づいて、標的結合に対してN末端アセチル部分を置換する効果を評価した(表1)。このために、アナログを、C3bに対するこれらの結合についての定量的動態プロファイリングにかけ、臨床的に用いられるアナログ4(1MeW)およびCp20(配列番号:3)と比較した(表1,
図1)。実際に、末端アセチルを短いメチル基に置換すると(ペプチド1)、4(1MeW)の親和性よりほぼ1桁低い親和性まで低下し、それによりN末端キャッピングの有効性が確認された。対照的に、グリシン残基によるキャッピング(ペプチド2)により、会合速度(k
a)はわずかに低下するが、解離速度(k
d)が改善され、(Cp20(配列番号:3)と比較して)親和性において非常に小さな正味変化のみを生じた。GlyのSarへのN−メチル化(ペプチド3)は、有益な解離値を維持しつつ会合特性を回復し、著しく改善した親和性を有する化合物を生じた(K
D=1.6nM;表1)。
【0118】
N末端最適化の利益をさらに探索するために、XaaO位において、天然(ペプチド4〜8)、メチル化(ペプチド9〜13)およびD−アミノ酸(ペプチド14〜18)を有するさらなるCp20(配列番号:3)を基にしたアナログ(
図1B;表1)をスクリーニングした。このセットには、代表的な疎水性、親水性および荷電した側鎖が含まれた。全ての試験化合物は、K
a値(1〜4×10
6M
−1s
−1)が全パネルを通してK
d値(1〜25×10
−3s
−1)より低い変動を示しつつ、強力な結合(K
D<20nM)を示した(表1,
図1B)。全てのアナログは、C3bへの結合についてスクリーングする際に1:1ラングミュア動態モデルを行い、これにより単一の高い親和性結合部位の存在が強く示された。一般に、疎水性側鎖を有するD−アミノ酸は、Cp20(配列番号:3)のアセチル(Ac)部分より好ましいようである。これらのうち、この位置にDTyrを有するペプチド14が最も能力が高く、nm以下の親和性(K
D=0.5nM;表1)および図中のうちの最も遅延した解離速度を示した。Acが他のアミノ酸によって置換されたペプチドの親和性は、ペプチド1および14の間にあり、大半のアナログはCp20(配列番号:3)のプロファイル付近に密集した(
図1B)。チロシンは、一般に、N末端Tyrを有する全てのペプチド、そのO−メチルアナログおよびそのD−アイソフォームが、1nM付近またはそれ以下の親和性を有する最も優れた結合剤に順位付けされることから、好ましいようである。対照的に、Gly、ThrまたはAla誘導体のような短い側鎖を有する残基は、あまり好ましくないようであり、Cp20(配列番号:3)と比較して親和性が向上しなかった。よって、キャッピングXaa0残基の置換は、疎水性から荷電性までの様々な特性を有する広範囲のアミノ酸残基について十分に耐容性を有しうる。
表1.N末端が修飾された一連のコンプスタチンアナログ(Xaa0−Xaa1−[Cys−Val−Trp(Me)−Gln−Asp−Trp−Sar−Ala−His−Arg−Cys]−mIle−NH
2)(配列番号:4)の動力学的パラメータおよび阻害能力の評価。K
a:会合速度;k
d:解離速度;K
D:SPRからの結合定数;IC
50、古典的経路の補体活性の50%阻害を達成するためのペプチド濃度。ND:調べていない。
【表1】
aAc−Ile−[Cys−Val−Trp(Me)−Gln−Asp−Trp−Gly−Ala−His−Arg−Cys]−Thr−NH
2(上記のKatragadda et al., 2006、WO2007/062249;本明細書では「4(1MeW)」とも称されることがある)は、全ての解析において標準として含ませたが、Cp20(配列番号:3)鋳型については調べていない。
bN末端修飾の基本化合物;以前の公開(WO2010/127336)からの結合/能力の値。
cさらに試験するために選択した:ペプチド3−Cp30(配列番号:7);ペプチド14−Cp40(配列番号:18)。
【0119】
コンピュータ解析
持続結合解析は、結合親和性において観察された効果の構造上の証拠を提供し、予測される新規なアナログのコンピュータモデルを作成するために行った。まず、結合の方策は、Cp20(配列番号:3)のN末端を修飾したアナログのスクリーニング(ペプチド1−18;表1)からのデータセットを用いて検証した。このために、前記化合物をコンピュータ上で作成し、ヒトC3cのコンプスタチン結合ポケットに結合させ(上記のJanssen et al., 2007)、結合遊離エネルギー(DG)を算出し、ピアソン係数を調べることによってSPR親和性から生じた値を比較した(R、
図2)。実験上および理論上のDG値間の全体の相関は、全データセットに対する5つの独立した結合実験に基づいて0.46であった(
図2)。データセットの19個のアナログ以外に、非常に短い部分(メチル;ペプチド1)または芳香族性天然アミノ酸(ペプチド5および7)のいずれかを保有する3つのペプチドは、極めて高い偏差を示し;これらのアナログを除いた場合、相関は、0.69まで増加した(
図2)。
【0120】
結合したペプチドのより詳細な解析により、N末端が修飾されたコンプスタチンアナログのほとんどがC3cにおける極性領域および浅いポケットとさらなる接触を形成することが示された。例えば、C3cのAsp349、Ser388およびSer437に関連する極性領域は、ペプチド14におけるDTyrのN−末端アミノ基と相互作用する(
図3A)。対照的に、このような極性相互作用は、ペプチド4に例示されるように、アミノ基の異なる方向性のため、この位置の天然アミノ酸残基を保有するペプチドには好ましくない(
図2A)。さらに、ペプチド14における伸長したアミノ酸(DTyr)の側鎖は、C3cにおける浅い伸長ポケットのLeu454およびLeu492とさらなる疎水性の接触を形成する。最終的に、DTyrのヒドロキシル基は、C3cのAsn452と弱い水素結合を形成した。これらの効果の組み合わせが、ペプチド14の観察されたnM以下の結合親和性の要因となっているようである。
【0121】
N末端ポケットに対応するための別の方策をさらに探索するために、芳香族残基がXaa0またはXaa1に位置する2つのアナログを設計した(ペプチド19および20;表1)。上記で開発したコンピュータモデルに基づいて、ペプチド19の新たなTrpの側鎖を疎水性結合ポケットに十分に適合するように予測し(
図3B)、短い可撓性Glyリンカーをペプチド20中で選択することにより、ホモログペプチド4と比較してTyr側鎖のより良好な方向性を可能にした。ペプチド20がペプチド4より3倍弱い結合親和性を示したが、ペプチド19は、nM以下の結合親和性(K
D=0.5nM;表1)に達し、ペプチド14と同様に強力であった。同時に、これらの結果は、2位でCysに隣接する適切に方向付けられた疎水性残基の有益性を示す。
【0122】
さらなるアナログは、Cp40(ペプチド14,配列番号:18,表1)に基づいて構築した。これらを下記の表2に示す。
表2.ペプチド内が修飾されたCp40(配列番号:18)を基にしたアナログの動力学的パラメータおよび阻害能の評価。ペプチド表記内の番号は、コンプスタチンに対する相対的な位置を示す。
k
a:会合速度;k
d:解離速度;K
D:SPRからの結合定数;IC
50,古典的経路の補体活性の50%阻害を達成するためのペプチド濃度。
【表2】
a11位のアルギニンについて置換したオルニチン。
b6位のアスパラギン酸について置換したアスパラギン。
【0123】
上述したように、ABM、ABM0またはABM2は、CP20(配列番号:3)またはCP40(配列番号:18)およびその一定の変異型のN末端にスペーサーなしでカップリングした。これらのアナログは、表2で説明されるCp40アナログおよびその誘導体と同一の範囲において結合および補体阻害活性を示した。
【0124】
実施例3
実施例1に記載されるように合成した一定のコンプスタチンアナログは、注射用水(WFI)およびダルベッコPBS(DPBS)中の溶解性について測定した。
【0125】
材料および方法:
各ペプチド(酢酸型)の約5mgを別個のLoBind Eppendorfチューブに量り分け、50μLの注射用水(WFI)を各チューブに加えた。各試料を13000rpmで2分間遠心分離し、NanoDrop2000分光高度計(ThermoScientific,デラウェア州、ウィルミントン)を用いて280nmで光学濃度(OD)を測定するために希釈した。各濃縮した試料を、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(DPBS、カリウムおよびカルシウムを含まない;インビトロジェン,カリフォルニア州、カールスバッド)中で1:20に希釈した。前記試料を沈殿についてモニターし、各試料を5分間ボルテックスにかけ、13000rpmで2分間遠心分離した。各DPBS上澄み液のODを測定して、ペプチド飽和濃度を調べた。
【0126】
結果:
ほとんどのコンプスタチンアナログ中の3つの酸性または塩基性残基(Asp6、His10、Arg11)の存在が水溶液中の一般に好ましい溶解性の一因となるが、これらの双性特性は、緩衝溶液中では悪影響を及ぼすこともありうる。よって、2つの臨床的に関連する溶媒、すなわち、注射用水(WFI)およびダルベッコPBS(DPBS)における選択した化合物の溶解性を評価した。さらに、C18カラムにおけるこれらのペプチドの超高速液体クロマトグラフィー(UPLC)保持時間は、それらの見掛けの相対疎水性を評価するために測定した(表3)。
表3.WFI(注射用水)およびDPBS中のペプチドの溶解性、ならびに疎水性の指標としてのUPLC(超高速液体クロマトグラフィー)保持時間。
【表3】
a飽和状態でのOD(280nm)として測定した;WFI=注射用水、DPBS=ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水
bC18カラムに対するUPLC解析間の保持時間として測定した。
cペプチド19は、ELISA実験中、PBS中に100μMまたはそれ以上で溶解できなかった。
【0127】
WFI中での溶解性は、Cp20(配列番号:3)を除いて全ての化合物について50mg/mL以上の値で優れていた。一般に、DPBS中での溶解性は、全てのアナログについて著しく低い。両方の溶媒中での4(1MeW)と比較したCp20(配列番号:3)の減少した溶解性は、2つのN−メチル化(8および13位)およびC末端ThrからIleへの置換から生じるその疎水性の結果と考えられる。キャップされていないアミノ酸による4(1MeW)およびCp20(配列番号:3)におけるN末端アセチル部分の置換は、Cp30(配列番号:7)およびCp40(配列番号:18)においての親水性の顕著な獲得を生じ、WFI中でのそれらの高い水溶性を回復した(>50mg/mL)。しかしながら、そのN末端における疎水性DTyrの取り込みは、Cp40(配列番号:18)のDPBS中での溶解性に悪影響を与えた(0.8mg/mL)。対照的に、Cp30(配列番号:7)中の小さいN末端Sarの存在は、DPBS中のその溶解性を大幅に改善し(6.9mg/mL)、このペプチドは、臨床的に用いられる4(1MeW)アナログのほぼ2倍の溶解性となった。
【0128】
実施例4
実施例1に記載されるように合成した一定のコンプスタチンアナログは、ヒト血漿における血漿安定性および血漿タンパク質結合について測定した。
【0129】
材料および方法:
血漿安定性
レピルジン(3.75ユニット/ml)を含有する新鮮なヒト血漿は、それぞれ20μMの最終濃度でCp30(配列番号:7)、Cp40(配列番号:18)またはコントロールペプチド2Bと37℃でインキュベートさせた。100μLの試料は固相抽出で取得した。96ウェルプレートHLB Oasis 30μm 10mg(Waters,マサチューセッツ州、ミルフォード)を抽出のために用いた。SPE物質は、メタノールおよびACNを各々500μL加え、続いて500μLのmilli−Q水を加えることによって調整した。試料を4% H
3PO
4を用いて1:1に希釈した。試料を載せ、0.1% ギ酸中の10% ACNの500μLで2回洗浄した。試料を0.1% ギ酸中の65% ACNの200μLで溶出し、Eppendorf LoBind採取プレート中に収集した。UPLC−MSのための試料は、0.1% ギ酸を含有するmilli−Q水中で1:10に希釈した。Cp20(配列番号:3)は、SPEを内部標準とする前に各試料に混ぜた。
【0130】
血漿タンパク質結合
Cp30(配列番号:7)は、最終ペプチド濃度が20μMとなるように(C3:1.2mg/mL,6.4μM)、レピルジン(3.75ユニット/ml)を含有する新鮮なヒト血漿の500μL中に混ぜた。コントロール試料をCp30(配列番号:7)およびmilli−Q水を用いて同様に調製して、1μMにてUPLC−MSでペプチド面積を調べた。血漿試料を室温で10分間平衡にした。続いて、milli−Q水中の30% PEG(MW3350)の500μLを混合しながら血漿試料にゆっくり加えた。該混合物を、14000rpmで10分間遠心分離して、上澄み液を分離した。該沈殿物を1000μLのFPLC緩衝液Aに溶解し、Mono Q 5/5カラムを用いてFPLCにより分離し、フラクションを1チューブあたり1mLで収集した。0.5mLの各フラクションは、SPEおよびUPLC−MS分析のために同一体積の4% H
3PO
4と混合した。
【0131】
UPLC−MS解析
UPLC−MS解析は、MassLynx 4.1ソフトウェア(Waters)によって制御されるESI源を搭載したSYNAPT HDMS(Waters,マサチューセッツ州、ミルフォード)で実施した。各試料を4連にて注入した。オンラインACQUITY UPLC(Waters)システムは、逆相液体クロマトグラフィーによるペプチド分離について使用した。キャピラリー電圧は、3.2kVであり、コーン電圧は、30Vであり、温源は、120℃であった。[Glu1]−フィブリノーゲンペプチドは、30秒のサンプリング速度による固定質量補正のために使用した。質量スペクトルは、走査速度1秒でm/z範囲200〜2000Daにわたり陽性モードで取得した。分析物の存在は、保持時間および質量によって確認した。選択性は、ブランク血漿試料および純粋なペプチドの解析によって実験して、分析物と共溶出する干渉の存在を調べた。注入後、1.7μm UPLC BEH13 C18カラム(水、2.1μmx150mm,製品番号186003556)を用いて分析物について分離した。分析カラム温度を40℃で保持した。ペプチドを流速0.3mL/分で分離した。グラジエントは8分間で直線10〜60% B(アセトニトリル中で0.1% ギ酸)であった。
【0132】
結果:
血漿安定性
遊離N末端を有する新規なアナログの安定性を調べるために、Cp30(配列番号:7)およびCp40(配列番号:18)を、37℃でヒト血漿中にてインキュベートするために選択した(
図4A)。コントロール直鎖ペプチド2B(LRFLNPFSLDGSGFW,配列番号:28)を血漿と接触して素早く切断した。0時点のサンプルは、Arg位置における切断を示した。該ペプチドは30分以内に完全に消滅した。同一条件下で、Cp30(配列番号:7)およびCp40(配列番号:18)の両方は、血漿中で著しい安定性を示した。55%以上のペプチドが5日後にも残存する。0、24および120時間でのUPLC−MSクロマトグラムはほとんど同じであった(
図4B)。特に切断された産物は見られなかった。
【0133】
血漿タンパク質結合
Cp30(配列番号:7)の結合特異性を調べるために、過剰量のペプチドを新鮮なヒト血漿中でインキュベートした。血漿タンパク質をPEG3350で沈殿させ、小さいMono Qカラムを用いて分離した。各1mLのフラクションをCp30(配列番号:7)の存在について測定した。Cp30(配列番号:7)を含有したフラクションを、UPLC−MSを用いてさらに定量的に分析し、共溶出タンパク質の同定のために試験した。Cp30(配列番号:7)の7.5%が通過画分に存在し、C3およびC3cでそれぞれ88.0%および4.5%共溶出されたことが見出された。タンパク質の同定は、SDS−PAGE、続いてクーマシー染色およびウェスタンブロットによって行った。さらに、検出されたCp30(配列番号:7)の総量は、血漿C3量と同等であった。
【0134】
実施例5
コンプスタチンアナログCp20(配列番号:3)、Cp30(配列番号:7)およびCp40(配列番号:18)は、実施例1に記載されるように合成し、カニクイザルモデルでインビボ保持について測定した。該ペプチドの結合プロファイルは、上記に記載のSPR法を用いて、4種類の霊長類:ヒト、カニクイザル、アカゲザルおよびヒヒの血漿と比較した。
【0135】
材料および方法:
霊長類研究および試料採取
血漿半減期の評価および主要な代謝物の作成は、カニクイザル(Macaca fascicularis)において、Simian Conservation Breeding and Research Center(SICONBREC,フィリピン、マカティ市)で実施した。各アナログ(Cp20(配列番号:3)、Cp30(配列番号:7)およびCp40(配列番号:18))について、2匹の健常な動物を落ち着かせ、(注射用生理食塩水中に溶解させた)化合物を2mg/kgで静脈内に注射した。血液試料(1〜2mL)は、化合物の注射直前および注射後様々な時点(2、5および30分;1、2、4、6および24時間)で、血液凝固および補体活性を防ぐためにEDTAでコーティングしたバキュテナー管中に採取し、〜800xgで10分間遠心分離して血漿を得た。血漿試料をすぐに凍結し、さらなる解析のために保存した。全てのNHP実験は、動物保護法および規則に従って行った。
【0136】
血漿試料の解析
UPLC−MSによる解析前に、血漿試料中のコンプスタチンアナログは、96ウェルプレートフォーマット(HLB Oasis 30μm,10mg;Waters,マサチューセッツ州、ミルフォード)内で固相抽出(SPE)によって抽出した。SPE物質は、アセトニトリルおよび水を用いて十分に調整した。血漿試料は、4% リン酸で1:1に希釈し、Cp20(配列番号:3)の定常濃度(5pM)を、内部標準としてCp30(配列番号:7)またはCp40(配列番号:18)を含有する全ての試料に混ぜ;Cp20(配列番号:3)を含有する試料の場合には、Cp40(配列番号:18)を内部標準として使用した。該試料は、SPEプレート上に載せ、0.1% ギ酸中の10% アセトニトリルで洗浄した。抽出したペプチドを、0.1% ギ酸中の65% アセトニトリルの200μLで溶出し、ペプチドの吸着を回避するために、LoBind管(Eppendorf)に収集した。最終的に、5μLの各溶出液を45μLの0.1% ギ酸で希釈し、ESI源を搭載したSYNAPT G2−S HDMS装置に繋がれ、MassLynx 4.1ソフトウェア(Waters)によって制御されるオンラインACQUITY UPLCからなるUPLC−MSシステムに注入した。各試料は、4連にて注入した。逆相液体クロマトグラフィーは、40℃のカラム温度で1.7μm UPLC BEH130 C18カラム(2.1μmx150mm;Waters)を用いて、ペプチド分離に用いた。ペプチドは、8分間で0.1% ギ酸を含有する水中で10〜60% アセトニトリルの直線グラジエントを用いて0.15mL/分の流速で分離した。溶出したペプチドをHDMSで直接分析し;ESI源キャピラリー電圧は、3.2kVに設定し、コーン電圧は、30Vとし、ESI源の温度は120℃とした。[Glu1]−フィブリノペプチドB(Sigma)は、30秒のサンプリング速度を用いて固定質量補正に用いた。質量スペクトルは、1秒の走査速度で50〜1950Daのm/z範囲にわたり陽性モードで取得した。
【0137】
血漿半減期の測定
検量線は、コンプスタチンアナログ(Cp20(配列番号:3)、Cp30(配列番号:7)およびCp40(配列番号:18))は、0.5、1、2、4、および8μMの最終濃度で、未処理のカニクイザルに由来する新たに解凍した血漿に混ぜることにより解析する日に作成した。全ての較正試料をSPEにかけ、上記に記載されるようにUPLC−HDMSを用いて測定した。MSピーク面積は、積分によって決定し、濃度に対してプロットして、0.993以上の回帰係数(R2)の優れた直線性を示す検量線となった。薬物動態解析については、各時点での血漿濃度(Cp)は、対応する標準曲線を用いて、各ペプチドの抽出したピーク面積から算出した。排出定数(k
e)および血漿半減期(t
1/2)は、下記の式を用いて、最終排出相(0.5〜24時間)の勾配から決定した:ln(Cp)=ln(Cp0)−k
ext、およびt
1/2=0.693/k
e。C3レベルの決定。この研究に用いられる各カニクイザルにおけるC3の血漿濃度は、ELISAによって決定した。簡単に説明すると、96ウェルプレート(MaxiSorp;Nunc)は、PBS中のモノクローナル抗C3抗体(クローン8E11;Tosic et al., 1989, J.Immunol.Methods 120: 241-249)の1μg/mlで4.25℃にて終夜コーティングした。ウェルをPBS/Tween 0.05%で洗浄し、PBS/BSA1%にて室温で1時間ブロックした。続いて、血漿(PBS/BSA中で1:10,000および1:20,000に希釈)または精製したカニクイザルC3の一連の希釈物を、室温で1時間インキュベートし、次いで洗浄し、PBS/BSA中で1:1,000に希釈したペルオキシダーゼが抱合された抗C3(MP Biomedicals,オハイオ州、ソロン)と室温にて1時間インキュベートさせた。該反応物を、製造業者の説明書に従って、テトラメチルベンジジン基質(R&D Systems,ミネソタ州、ミネアポリス)を用いて発色させ、光学濃度を、450nmでの波長設定にてマイクロプレートリーダーを用いて測定した。
【0138】
溶血アッセイ
ウサギ赤血球は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄し、続いてベロナール緩衝生理食塩水(VBS)
Mg+/EGTAで洗浄した。1:20希釈液をVBS緩衝液で調製した。血漿試料(VBS中で1:10−100μl)は、ウサギ赤血球溶液(50μl)と共に96ウェルプレート中で37℃にて1時間インキュベートした。EDTA(0.2mM−15μl)を加えて、反応を停止し、プレートを遠心分離した(2500xg,3分)。上澄み液(100μl)を新しいウェルに移し、光学濃度を405nmで測定した。水または緩衝液を用いた赤血球のインキュベートには、陽性(100% 溶解)および陰性(0% 溶解)コントロールとしてそれぞれ用いた。
【0139】
結合プロファイル
NHP特異性実験について、ヒト、カニクイザル、アカゲザルおよびヒヒの血漿に由来するC3は、標準アミンカップリングを用いてCM5センサーチップ(GE Healthcare)の各フローセル上に固定して、6,000〜7,000RUの目的の密度を達成した。ペプチドCp20(配列番号:3)およびCp40(配列番号:18)は、実施例2に記載のシングルサイクルカイネティクス法を用いて定量的に評価した。目的の密度または活性の相違とは独立して、動力学的プロファイルを視覚的に比較するために、各結合曲線は、最大応答に対して標準化し、元のものと重ね合わせた。
【0140】
結果:
ペプチド薬物は、血漿からの比較的速い排出によって妨げられることが多く、通常の全身薬物レベルによる臨床適用において非常に限定されうる(例えば、補体阻害剤の場合には、PNH)。Cp20(配列番号:3)ならびに新たに開発したCp30(配列番号:7)およびCp40(配列番号:18)を含む比較実験を行い、その実験の中で、カニクイザルに各アナログの2mg/kgを静脈内注射し、血漿レベルを24時間にわたりLC−MSによって評価した。全ての試験したアナログは、類似した二相排出プロファイルであり、すなわち、その血漿レベルは注射後最初の1時間以内に急速に低下し、それ以後より遅延した低下となった(
図5A)。動力学的変化が生じたペプチド濃度は、標的タンパク質C3の予想された生理学的な血漿レベルに非常に類似していた。実際に、ELISAによる関連したサルにおけるC3レベルの測定(4.9−12.8μM)により、コンプスタチンレベルの最初の低下がC3の測定した範囲内であったことが確認された(
図5A)。これらの観察は、十分な標的C3への緊密な結合がペプチド排出に大きく影響する標的促進排出モデルを示唆するものである。実際に、血漿半減期が終末対数線形部分に基づいて算出される場合(1〜24時間)に、C3への結合親和性に対する直接的な相関関係は、Cp20(配列番号:3)、Cp30(配列番号:7)およびCp40(配列番号:18)について、それぞれ9.3、10.1および11.8時間の半減期の値を観察することができた(
図5B)。Cp30−ABM2抱合体の半減期は、22時間であることが観察された(示さず)。
【0141】
コンプスタチンアナログの濃度は、赤血球溶血アッセイを用いて、血漿試料における代わりの経路を介した補体活性の阻害に対して測定した。補体阻害活性は、測定した各時点におけるアナログ濃度を詳しく追跡して観察した。
【0142】
結合親和性による主な排出相の強い明確な依存性を前提とすると、ヒト系に対するこれらのNHPに基づく実験の変換は、ヒトおよびNHP C3に対するこれらのコンプスタチンアナログの異なる親和性に影響されるようである。よって、ヒトおよび3種類の関連するNHP(カニクイザル、アカゲザル、ヒヒ)に由来するC3に対するペプチドの結合プロファイルを、上記に記載のSPR法を用いて測定した。全てのアナログについての親和性および動力学的プロファイルの両方は、ほぼ同等であった(
図5C)。
【0143】
実施例6
コンプスタチンアナログCp40(配列番号:18)は、実施例1に記載されるように合成し、カニクイザルモデルにおいて皮下および経口投与経路からバイオアベイラビリティについて測定した。
【0144】
材料および方法:
霊長類研究および試料採取
バイオアベイラビリティの評価は、カニクイザル(Macaca fascicularis)についてSimian Conservation Breeding and Research Center(SICONBREC,フィリピン、マカティ市)で実施した。2匹の健常な動物を各投与経路に用いた。該動物を落ち着かせ、2mg/kgの化合物を皮下注射し、または4mg/kgの化合物で胃内経管により経口投与した。血液試料(1〜2mL)は、血液凝固および補体活性を防ぐためにEDTAでコーティングしたバキュテナー管中に、化合物注射の直前および様々な時点(2、5および30分;1、2、4、6、および24時間)で採取し、〜800xgで10分間遠心分離して血漿を得た。血漿試料をすぐに凍結し、さらなる解析のために保存した。全てのNHP実験は、動物保護法および規則に従って行った。
【0145】
解析
血漿試料の解析、血漿半減期の測定および血漿中の補体阻害活性は、実施例5に記載されるとおりに行った。
【0146】
結果:
ペプチド薬物は、典型的に、費用がかかり、患者に十分な耐容性を示さず、通常、訓練された専門家によって行われることを要する静脈内投与を除いたいずれの経路によっても非常に乏しいバイオアベイラビリティを示す。コンプスタチンアナログCp40(配列番号:18)は、皮下または経口送達後のバイオアベイラビリティについて試験した。カニクイザルを、アナログの2mg/kgで皮下注射し、または4mg/kgで経口注入し、血漿レベルを24時間にわたりLC−MSにより測定した。結果を
図6に示す。
【0147】
Cp40(配列番号:18)の血漿濃度は、皮下注射による投与後4〜5時間以内に約12.5mMのそのピークに達した(
図6の上図)。アナログの経口注入は、注入の1時間以内に約0.023mMの血漿濃度を生じた(
図6の下図;経口注入は、2匹のサルのうち1匹のみについて成功したことに留意)。比較すると(
図5B)、アナログの静脈内注射は、注射直後に約28mMのピーク血漿濃度を生じた。
【0148】
Cp40(配列番号:18)の濃度は、赤血球溶血アッセイを用いて、皮下注射からの血漿試料における別の経路による補体活性の阻害に対して測定した。補体阻害活性は、測定した各時点におけるアナログ濃度を詳しく追跡して観察した。
【0149】
実施例7
実施例1に記載されるコンプスタチンアナログCp30(配列番号:7)およびCp−30−ABM2抱合体は、ヒヒモデルでインビボ保持について測定した。
【0150】
材料および方法:
5〜8kgの重さの若年ヒヒ(P. Anubis,オクラホマ大学のBaboon Research Resources)を使用した。2匹のヒヒを研究に用い、各化合物について1匹ずつ用いた。各動物は、末梢血管を介する注射によるペプチド(10mg)のボーラス投薬を受けた。LC−MS/MSアッセイ用の血液試料は、50μgのレピルジンを含有する1ml プラスチック管中に採取し、血漿分離のために2000gで4℃にて20分間遠心分離した。血漿試料を−70℃で保存した。血液試料は、Cp30(配列番号:7)またはCp30(配列番号:7)−ABM2抱合体の注射後所定の時間間隔で採取した。試料をSPEで処理し、LC−MS/MSを用いて分析した。検量線はを、血漿中の様々な濃度での標準ペプチドを用いて作成して、各試料中のペプチド濃度を決定した。
【0151】
SPEによる血漿試料からのコンプスタチンアナログの抽出
96ウェルプレートHLB Oasis 30μm 10mg(Waters,マサチューセッツ州、ミルフォード)を抽出のために用いた。SPE物質は、500μlのメタノール、ACNを加え、続いて500μLのmilli−Q水を加えて調整した。試料を4% H
3PO
4で希釈した。試料を載せ、500μLの水および0.1% ギ酸を含有する10% ACNで洗浄した。試料を、0.1% ギ酸中の65% ACNの200μLで溶出し、採取プレート中に採取した。LC−MS用の試料は、10% ACNおよび0.1% ギ酸を含有するmilli−Q水中で1:2〜1:11に希釈した。CP20(配列番号:3)は、内部標準としてSPE前の各試料に混ぜた。
【0152】
LC−MS/MS解析
LC−MS/MS解析は、MassLynx4.1ソフトウェア(Waters)によって制御されるESI源を搭載したSYNAPT HDMS(Waters,マサチューセッツ州、ミルフォード)において実施した。各試料は3連にて注入した。オンラインACQUITY UPLC(Waters)システムは、逆相液体クロマトグラフィーによるペプチド分離のために使用した。キャピラリー電圧は、3.2kVであり、コーン電圧は、30Vであり、ESI源の温度は、120℃であった。[Glu1]−フィブリノーゲンペプチドは、30秒のサンプリング速度を用いて固定質量補正のために用いた。質量スペクトルは、1秒の走査速度でm/z範囲500〜1800Daにわたり陽性モードで取得した。分析物の存在は、保持時間および質量によって確認された。注入後、分析物は、1.7μm UPLC BEH130 C18カラム(Waters,1.0μmx100mm)で分離した。分析カラム温度は、40℃で保持した。ペプチドは流速0.15mL/分で分離した。グラジエントは、7分間で直線15〜55% B(アセトニトリル中で0.1% ギ酸)であった。
【0153】
結果:
ペプチドCp30(配列番号:7)およびABM2抱合体の血漿濃度は、ヒヒへの静脈内ボーラス注射後にLC−MS/MSを用いて決定した。ペプチドCp30(配列番号:7)は、5時間の半減期を示し、Cp30(配列番号:7)−ABM2は、7.5時間の半減期を示した。比較すると、同一のヒヒモデルにおいて、コンプスタチンアナログ4(1MeW)およびWO2010/127336に開示の強力なアナログ(ペプチド3)は、約60〜90分の半減期を有することが示された。
【0154】
実施例8
コンプスタチンアナログCp40(配列番号:18)は、実施例1に記載されるように合成され、ヒヒモデルで筋肉内投与経路からのバイオアベイラビリティについて測定した。
【0155】
方法:
若年ヒヒを、2mg/kgのCp40(配列番号:18)で筋肉内注射した。LC−MS/MSアッセイのための血液試料を、50μgのルピルジンを含有する1mlのプラスチック管内に採取し、血漿分離のために4℃で2000gにて20分間遠心分離した。血漿試料を−70℃で保存した。血液試料を、アナログの注射後所定の時間間隔で採取した。試料をSPEで処理し、LC−MS/MSを用いて分析した。検量線は、血漿中の様々な濃度での標準ペプチドを用いて作成して、各試料中のペプチド濃度を調べた。
【0156】
血漿試料からのコンプスタチンアナログの抽出およびLC−MS/MS解析は、実施例7に記載されるように行った。溶血アッセイは、実施例5に記載されるとおりに実施した。
【0157】
結果:
結果を
図7に示す。Cp40(配列番号:18)の血漿濃度は、筋肉内注射による投与後約5〜6時間以内に約10mMのピークに達した。補体阻害活性は、測定した各時点におけるアナログ濃度を詳しく追跡して観察した。
【0158】
本発明は、上記に記載され、例示される実施態様に限定されるものではないが、特許請求の範囲の範囲内で変形および改変が可能である。