特許第6676591号(P6676591)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6676591変性ポリマー組成物及びそれを製造するための安定剤混合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6676591
(24)【登録日】2020年3月16日
(45)【発行日】2020年4月8日
(54)【発明の名称】変性ポリマー組成物及びそれを製造するための安定剤混合物
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/00 20060101AFI20200330BHJP
   C08K 5/524 20060101ALI20200330BHJP
   C08K 5/5393 20060101ALI20200330BHJP
   C08K 5/5313 20060101ALI20200330BHJP
   C08K 5/372 20060101ALI20200330BHJP
   C08K 5/13 20060101ALI20200330BHJP
   C08K 5/1535 20060101ALI20200330BHJP
   C08K 5/32 20060101ALI20200330BHJP
   C08K 5/098 20060101ALI20200330BHJP
   C08K 5/25 20060101ALI20200330BHJP
【FI】
   C08L23/00
   C08K5/524
   C08K5/5393
   C08K5/5313
   C08K5/372
   C08K5/13
   C08K5/1535
   C08K5/32
   C08K5/098
   C08K5/25
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】37
(21)【出願番号】特願2017-158052(P2017-158052)
(22)【出願日】2017年8月18日
(65)【公開番号】特開2018-53238(P2018-53238A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2017年8月18日
(31)【優先権主張番号】105126497
(32)【優先日】2016年8月19日
(33)【優先権主張国】TW
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517290970
【氏名又は名称】エフディーシー,・リーズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】李 昆昌
(72)【発明者】
【氏名】陳 ▲チェン▼凱
(72)【発明者】
【氏名】王 仁甫
【審査官】 大久保 智之
(56)【参考文献】
【文献】 西独国特許第01220602(DE,B)
【文献】 中国特許出願公開第101003643(CN,A)
【文献】 特開平10−338815(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/061036(WO,A1)
【文献】 特開平10−101687(JP,A)
【文献】 特表2013−513014(JP,A)
【文献】 特表2008−521966(JP,A)
【文献】 (社)日本化学会・(社)高分子学会 編,高分子添加剤の新展開−ポリオレフィンの機能化を中心に−,1998年 9月30日,初版1刷,11,17,18,62−71,76−79
【文献】 春名徹 編,高分子添加剤ハンドブック,株式会社シーエムシー出版,2014年 7月20日,第1版第2刷,38−40,42,148−153頁
【文献】 春名 徹,日本ゴム協会誌,1997年,70, 1,35-43
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L23
C08K5
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハロゲンを含有しないオレフィン系ポリマーの安定化のための安定剤混合物であって、
式(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)及び(8)からなる群から選択される式で表される少なくとも1種の有機リン含有酸化防止剤と、
少なくとも1種の含硫カルボン酸塩とを含む安定剤混合物であり、
前記少なくとも一種の有機リン含有酸化防止剤が式(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)及び(8)からなる群から選択される式で表される場合、前記少なくとも1種の含硫カルボン酸塩は式(9)、(10)、(11)及び(12)からなる群から選択される式で表され、
前記少なくとも一種の有機リン含有酸化防止剤が式(1)で表される場合、前記少なくとも1種の含硫カルボン酸塩は式(10)及び(12)からなる群から選択される式で表される安定剤混合物。
【化1】
但し、R11、R12、及びR13は、水素、tert‐ブチル基、イソプロピルフェニル基、及び直鎖C‐Cアルキル基からなる群から独立して選択され、
【化2】
但し、R21、R22、R23、R24、R25、及びR26は、水素、tert‐ブチル基、イソプロピルフェニル基、及び直鎖C‐Cアルキル基からなる群から独立して選択され、
【化3】
但し、R31、R32、R33、R34、及びR35は、水素、tert‐ブチル基、イソプロピルフェニル基、及び直鎖C‐Cアルキル基からなる群から独立して選択され、
【化4】
但し、
R41、R42、R43、R44、R45、R46、R47、及びR48 は、水素、tert‐ブチル基、イソプロピルフェニル基、及び直鎖C‐Cアルキル基からなる群から独立して選択され、且つ、Z41及びZ42は、O、S、及びC‐Cアルキレン基からなる群から独立して選択され、
【化5】
但し、
R51、R52、R53、R54、R55、及びR56は、水素、tert‐ブチル基、イソプロピルフェニル基、及び直鎖C‐Cアルキル基からなる群から独立して選択され、且つ、
Z51は、O、S、及びC‐Cアルキレン基からなる群から選択され、
【化6】
但し、
R61、R62、R63、及びR64は、水素、tert‐ブチル基、イソプロピルフェニル基、及び直鎖C‐Cアルキル基からなる群から独立して選択され、
Tは、C‐C18炭化水素基、及び
【化7】
で表される基からなる群から選択され、但しR65、R66、及びR67は、水素、tert‐ブチル基、イソプロピルフェニル基、及び直鎖C‐Cアルキル基からなる群から独立して選択され、且つ、
Z61は、O、S、及びC‐Cアルキレン基からなる群から選択され、
【化8】
但し、R71、R72、R73、R74、R75、R76、R77、及びR78は、水素、tert‐ブチル基、イソプロピルフェニル基、及び直鎖C‐Cアルキル基からなる群から独立して選択され、
【化9】
【化10】
但し、
R91は、水素及びC‐C18アルキル基からなる群から選択され、
R92は、C‐C30アルキル基及びC‐C18アリール基からなる群から選択され、
Mq+は、Ca2+、 Ba2+、Mg2+、Zn2+、及びAl3+からなる群から選択され、
qは2または3の整数であり、且つ、
tは0〜6の範囲の整数であり、
【化11】
但し、
X11及びX12は、Ca2+、Ba2+、Mg2+、及びZn2+からなる群から独立して選択され、
Y11及びY12は、C‐C30アルキル基及びC‐C18アリール基からなる群から独立して選択され、且つ、
a及びbは、それぞれ1〜6の範囲の整数であり、
【化12】
但し、
X21は、Ca2+、Ba2+、Mg2+、及びZn2+からなる群から選択され、
G1 及びG2は、それぞれ
【化13】
により表され、その内のc及びdはそれぞれ1〜6の範囲の整数であり、且つ、
pは1〜9の範囲の整数であり、但し、pが2または2より大きい整数である場合、複数のG1は同一でも異なっていてもよく、複数のX21は同一でも異なっていてもよく、
【化14】
但し、
X31 は、Ca2+、Ba2+、Mg2+、及びZn2+からなる群から選択され、且つ、
Y31は、C‐C30アルキル基、C‐C18アリール基、及びR93OOC-(CH2)k-で表される基からなる群から選択され、R93はC‐C30アルキル基及びC‐C18アリール基からなる群から選択され、kは1〜5の範囲の整数である。
【請求項2】
R91は水素を表し、
R92は、C‐C18アルキル基及びC‐C18アリール基からなる群から選択される、請求項1に記載の安定剤混合物。
【請求項3】
R92はドデシルである、請求項2に記載の安定剤混合物。
【請求項4】
ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ベンゾフラノン系酸化防止剤、アミンオキシド系酸化防止剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される酸化防止剤を更に含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の安定剤混合物。
【請求項5】
前記ヒンダードフェノール系酸化防止剤は、ペンタエリスリトール - テトラ - [β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート]、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[β-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート]、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、トリス(ブチルクレゾール)ブタン、4,4'-ブチリデンビス(6-tert-ブチル-3-メチルフェノール)、N、N'-ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジド、N、N'-ビス- [3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヘキサメチレンジアミン、2,2'-メチレンビス-(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、オクチル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナメート、1,2-ジ[-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニル] ヒドラジド、2,2'-オキサミドビス[エチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート] 、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項4に記載の安定剤混合物。
【請求項6】
前記ベンゾフラノン系酸化防止剤は、キシリルジブチルベンゾフラノン、5-(tert-ブチル)-3-[5-(tert-ブチル)-2-ヒドロキシフェニル]ベンゾフラン-2(3H)-オン、3-[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-2-ヒドロキシフェニル]-5,7-ビス(1,1-ジメチルエチル)- 2(3H)-ベンゾフラノン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項4に記載の安定剤混合物。
【請求項7】
前記アミンオキシド系酸化防止剤は、酸化ビス(水素化タローアルキル)アミン、ビス(オクタデシル)ヒドロキシルアミン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項4に記載の安定剤混合物。
【請求項8】
制酸剤、金属不活性化剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される添加剤をさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の安定剤混合物。
【請求項9】
前記制酸剤は脂肪酸塩である、請求項8に記載の安定剤混合物。
【請求項10】
前記金属不活性化剤はオキサリル-ビス(ベンジリデン)ヒドラジドである、請求項8に記載の安定剤混合物。
【請求項11】
ポリオレフィン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるハロゲンを含有しないオレフィン系ポリマーと、安定剤混合物とを含む、安定化されたポリマー組成物であり、
前記安定剤混合物は、
式(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)及び(8)からなる群から選択される式で表される少なくとも1種の有機リン含有酸化防止剤と、
少なくとも1種の含硫カルボン酸塩とを含む安定剤混合物であり、
前記少なくとも一種の有機リン含有酸化防止剤が式(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)及び(8)からなる群から選択される式で表される場合、前記少なくとも1種の含硫カルボン酸塩は式(9)、(10)、(11)及び(12)からなる群から選択される式で表され、
前記少なくとも一種の有機リン含有酸化防止剤が式(1)で表される場合、前記少なくとも1種の含硫カルボン酸塩は式(9)、(10)及び(12)からなる群から選択される式で表される安定化ポリマー組成物。
【化15】
但し、R11、R12、及びR13は、水素、tert‐ブチル基、イソプロピルフェニル基、及び直鎖C‐Cアルキル基からなる群から独立して選択され、
【化16】
但し、R21、R22、R23、R24、R25、及びR26は、水素、tert‐ブチル基、イソプロピルフェニル基、及び直鎖C‐Cアルキル基からなる群から独立して選択され、
【化17】
但し、R31、R32、R33、R34、及びR35は、水素、tert‐ブチル基、イソプロピルフェニル基、及び直鎖C‐Cアルキル基からなる群から独立して選択され、
【化18】
但し、
R41、R42、R43、R44、R45、R46、R47、及びR48 は、水素、tert‐ブチル基、イソプロピルフェニル基、及び直鎖C‐Cアルキル基からなる群から独立して選択され、且つ、Z41及びZ42は、O、S、及びC‐Cアルキレン基からなる群から独立して選択され、
【化19】
但し、
R51、R52、R53、R54、R55、及びR56は、水素、tert‐ブチル基、イソプロピルフェニル基、及び直鎖C‐Cアルキル基からなる群から独立して選択され、且つ、
Z51は、O、S、及びC‐Cアルキレン基からなる群から選択され、
【化20】
但し、
R61、R62、R63、及びR64は、水素、tert‐ブチル基、イソプロピルフェニル基、及び直鎖C‐Cアルキル基からなる群から独立して選択され、
Tは、C‐C18炭化水素基、及び
【化21】
で表される基からなる群から選択され、但しR65、R66、及びR67は、水素、tert‐ブチル基、イソプロピルフェニル基、及び直鎖C‐Cアルキル基からなる群から独立して選択され、且つ、
Z61は、O、S、及びC‐Cアルキレン基からなる群から選択され、
【化22】
但し、R71、R72、R73、R74、R75、R76、R77、及びR78は、水素、tert‐ブチル基、イソプロピルフェニル基、及び直鎖C‐Cアルキル基からなる群から独立して選択され、
【化23】
【化24】
但し、
R91は、水素及びC‐C18アルキル基からなる群から選択され、
R92は、C‐C30アルキル基及びC‐C18アリール基からなる群から選択され、
Mq+は、Ca2+、 Ba2+、Mg2+、Zn2+、及びAl3+からなる群から選択され、
qは2または3の整数であり、且つ、
tは0〜6の範囲の整数であり、
【化25】
但し、
X11及びX12は、Ca2+、Ba2+、Mg2+、及びZn2+からなる群から独立して選択され、
Y11及びY12は、C‐C30アルキル基及びC‐C18アリール基からなる群から独立して選択され、且つ、
a及びbは、それぞれ1〜6の範囲の整数であり、
【化26】
但し、
X21は、Ca2+、Ba2+、Mg2+、及びZn2+からなる群から選択され、
G1 及びG2は、それぞれ
【化27】
により表され、その内のc及びdはそれぞれ1〜6の範囲の整数であり、且つ、
pは1〜9の範囲の整数であり、但し、pが2または2より大きい整数である場合、複数のG1は同一でも異なっていてもよく、複数のX21は同一でも異なっていてもよく、
【化28】
但し、
X31 は、Ca2+、Ba2+、Mg2+、及びZn2+からなる群から選択され、且つ、
Y31は、C‐C30アルキル基、C‐C18アリール基、及びR93OOC-(CH2)k-で表される基からなる群から選択され、R93はC‐C30アルキル基及びC‐C18アリール基からなる群から選択され、kは1〜5の範囲の整数である。
【請求項12】
前記安定剤混合物が、前記オレフィン系ポリマー100重量部に対して0.01〜2.2重量部の範囲の量で存在する、請求項11に記載の安定化されたポリマー組成物。
【請求項13】
前記ポリオレフィンが、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする請求項11または請求項12に記載の安定化されたポリマー組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、変性ポリマー組成物に関し、より詳細には、少なくとも1種の有機リン含有酸化防止剤及び少なくとも1種の含硫カルボン酸塩を含有する安定剤混合物を用いたオレフィン系ポリマーから製造される変性ポリマー組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィンやエチレン-酢酸ビニルコポリマーなどのオレフィン系ポリマーは、化学的安定性、機械的強度、電気絶縁性、寸法安定性に優れ、毒性が無く加工が容易なため、各種製品の製造に広く使用されている。しかし、オレフィン系ポリマーは、例えば熱、光、酸素による酸化劣化により変色(黄変など)しやすく、機械的特性が低下するといった欠点がある。
【0003】
そこで、オレフィン系ポリマーの酸化劣化を防止して機械的特性及び耐熱性を向上させるために、オレフィン系ポリマーから成形品を製造する工程において、酸化防止剤を使用することが知られている。しかし、酸化防止剤を使用すると(例えば米国特許第3856846号、米国特許第3532660号、米国特許第3649690号に記載)、オレフィン系ポリマーの着色や、加工安定性の低下が起きることがある。また、酸性物質によるオレフィン系ポリマーの分解を抑制するように、オレフィン系ポリマーから成形品を製造する過程において耐酸化剤を用いることができる。しかしそれでも、酸性物質が(例えば米国特許第5728363号に記載)、オレフィン系ポリマーの着色や加工安定性の低下を招く可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第3856846号明細書
【特許文献2】米国特許第3532660号明細書
【特許文献3】米国特許第3649690号明細書
【特許文献4】米国特許第5728363号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の態様によれば、オレフィン系ポリマーの変性のための安定剤混合物であって、
式(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)及び(8)からなる群から選択される式で表される少なくとも1種の有機リン含有酸化防止剤と、
式(9)、(10)、(11)及び(12)からなる群から選択される式で表される少なくとも1種の含硫カルボン酸塩と、を含む安定剤混合物が提供される。
【0006】
【化1】
【0007】
但し、R11、R12、及びR13は、水素、tert‐ブチル基、イソプロピルフェニル基、及び直鎖C‐Cアルキル基からなる群から独立して選択され、
【0008】
【化2】
【0009】
但し、R21、R22、R23、R24、R25、及びR26は、水素、tert‐ブチル基、イソプロピルフェニル基、及び直鎖C‐Cアルキル基からなる群から独立して選択され、
【0010】
【化3】
【0011】
但し、R31、R32、R33、R34、及びR35は、水素、tert‐ブチル基、イソプロピルフェニル基、及び直鎖C‐Cアルキル基からなる群から独立して選択され、
【0012】
【化4】
【0013】
但し、
R41、R42、R43、R44、R45、R46、R47、及びR48 は、水素、tert‐ブチル基、イソプロピルフェニル基、及び直鎖C‐Cアルキル基からなる群から独立して選択され、且つ、
Z41及びZ42は、O、S、及びC‐Cアルキレン基からなる群から独立して選択され、
【0014】
【化5】
【0015】
但し、
R51、R52、R53、R54、R55、及びR56は、水素、tert‐ブチル基、イソプロピルフェニル基、及び直鎖C‐Cアルキル基からなる群から独立して選択され、且つ、
Z51は、O、S、及びC‐Cアルキレン基からなる群から選択され、
【0016】
【化6】
【0017】
但し、
R61、R62、R63、及びR64は、水素、tert‐ブチル基、イソプロピルフェニル基、及び直鎖C‐Cアルキル基からなる群から独立して選択され、
Tは、C‐C18炭化水素基、及び
【0018】
【化7】
【0019】
で表される基からなる群から選択され、但しR65、R66、及びR67は、水素、tert‐ブチル基、イソプロピルフェニル基、及び直鎖C‐Cアルキル基からなる群から独立して選択され、且つ、
Z61は、O、S、及びC‐Cアルキレン基からなる群から選択され、
【0020】
【化8】
【0021】
但し、R71、R72、R73、R74、R75、R76、R77、及びR78は、水素、tert‐ブチル基、イソプロピルフェニル基、及び直鎖C‐Cアルキル基からなる群から独立して選択され、
【0022】
【化9】
【0023】
【化10】
【0024】
但し、
R91は、水素及びC‐C18アルキル基からなる群から選択され、
R92は、C‐C30アルキル基及びC‐C18アリール基からなる群から選択され、
Mq+は、Ca2+、 Ba2+、Mg2+、Zn2+、及びAl3+からなる群から選択され、
qは2または3の整数であり、且つ、
tは0〜6の範囲の整数であり、
【0025】
【化11】
【0026】
但し、
X11及びX12は、Ca2+、Ba2+、Mg2+、及びZn2+からなる群から独立して選択され、
Y11及びY12は、C‐C30アルキル基及びC‐C18アリール基からなる群から独立して選択され、且つ、
a及びbは、それぞれ1〜6の範囲の整数であり,
【0027】
【化12】
【0028】
但し、
X21は、Ca2+、Ba2+、Mg2+、及びZn2+からなる群から選択され、
G1 及びG2は、それぞれ
【0029】
【化13】
【0030】
により表され、その内のc及びdはそれぞれ1〜6の範囲の整数であり、且つ、
pは1〜9の範囲の整数であり、但し、pが2または2より大きい整数である場合、複数のG1は同一でも異なっていてもよく、複数のX21は同一でも異なっていてもよく、
【0031】
【化14】
【0032】
但し、
X31 は、Ca2+、Ba2+、Mg2+、及びZn2+からなる群から選択され、且つ、
Y31は、C‐C30アルキル基、C‐C18アリール基、及びR93OOC-(CH2)k-で表される基からなる群から選択され、R93はC‐C30アルキル基及びC‐C18アリール基からなる群から選択され、kは1〜5の範囲の整数である。
また、本開示の第2の態様によれば、上記安定剤混合物を用いてオレフィン系ポリマーから製造される変性ポリマー組成物が提供される。オレフィン系ポリマーは、ポリオレフィン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本開示は、少なくとも1種の有機リン含有酸化防止剤と少なくとも1種の含硫カルボン酸塩とを含む、オレフィン系ポリマーの変性のための安定剤混合物を提供する。
【0034】
本開示によれば、上記少なくとも1種の有機リン含有酸化防止剤は、下記の式(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)及び(8)からなる群から選択される式で表される。即ち、安定剤混合物における有機リン含有酸化防止剤は、式(1)の有機リン含有酸化防止剤、式(2)の有機リン含有酸化防止剤、式(3)の有機リン含有酸化防止剤、式(4)の有機リン含有酸化防止剤、式(5)の有機リン含有酸化防止剤、式(6)の有機リン含有酸化防止剤、式(7)の有機リン含有酸化防止剤、式(8)の有機リン含有酸化防止剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。
【0035】
式(1)で表される有機リン含有酸化防止剤は以下の通りである。
【0036】
【化15】
【0037】
但し、R11、R12、及びR13は、水素、tert‐ブチル基、イソプロピルフェニル基、及び直鎖C‐Cアルキル基からなる群から独立して選択される。
【0038】
式(2)で表される有機リン含有酸化防止剤は以下の通りである。
【0039】
【化16】
【0040】
但し、R21、R22、R23、R24、R25、及びR26は、水素、tert‐ブチル基、イソプロピルフェニル基、及び直鎖C‐Cアルキル基からなる群から独立して選択される。
【0041】
式(3)で表される有機リン含有酸化防止剤は以下の通りである。
【0042】
【化17】
【0043】
但し、R31、R32、R33、R34、及びR35は、水素、tert‐ブチル基、イソプロピルフェニル基、及び直鎖C‐Cアルキル基からなる群から独立して選択される。
【0044】
式(4)で表される有機リン含有酸化防止剤は以下の通りである。
【0045】
【化18】
【0046】
但し、R41、R42、R43、R44、R45、R46、R47、及びR48 は、水素、tert‐ブチル基、イソプロピルフェニル基、及び直鎖C‐Cアルキル基からなる群から独立して選択され、且つ、Z41及びZ42は、O、S、及びC‐Cアルキレン基からなる群から独立して選択される。
【0047】
式(5)で表される有機リン含有酸化防止剤は以下の通りである。
【0048】
【化19】
【0049】
但し、R51、R52、R53、R54、R55、及びR56は、水素、tert‐ブチル基、イソプロピルフェニル基、及び直鎖C‐Cアルキル基からなる群から独立して選択され、且つ、Z51は、O、S、及びC‐Cアルキレン基からなる群から選択される。
【0050】
式(6)で表される有機リン含有酸化防止剤は以下の通りである。
【0051】
【化20】
【0052】
但し、R61、R62、R63、及びR64は、水素、tert‐ブチル基、イソプロピルフェニル基、及び直鎖C‐Cアルキル基からなる群から独立して選択され、Tは、C‐C18炭化水素基、及び、
【0053】
【化21】
【0054】
で表される基からなる群から選択され、但しR65、R66、及びR67は、水素、tert‐ブチル基、イソプロピルフェニル基、及び直鎖C‐Cアルキル基からなる群から独立して選択され、且つ、Z61は、O、S、及びC‐Cアルキレン基からなる群から選択される。
【0055】
式(7)で表される有機リン含有酸化防止剤は以下の通りである。
【0056】
【化22】
【0057】
但し、R71、R72、R73、R74、R75、R76、R77、及びR78は、水素、tert‐ブチル基、イソプロピルフェニル基、及び直鎖C‐Cアルキル基からなる群から独立して選択される。
【0058】
式(8)で表される有機リン含有酸化防止剤は以下の通りである。
【0059】
【化23】
【0060】
本開示によれば、上記少なくとも1種の含硫カルボン酸塩は、下記の式(9)、(10)、(11)、及び(12)からなる群から選択される式で表される。即ち、安定剤混合物における有機リン含有酸化防止剤は、式(9)の含硫カルボン酸塩、式(10)の有含硫カルボン酸塩、式(11)の含硫カルボン酸塩、式(12)の含硫カルボン酸塩、及びこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。
【0061】
式(9)で表される含硫カルボン酸塩は以下の通りである。
【0062】
【化24】
【0063】
但し、R91は、水素及びC‐C18アルキル基からなる群から選択され、 R92は、C‐C30アルキル基及びC‐C18アリール基からなる群から選択され、Mq+は、Ca2+、 Ba2+、Mg2+、Zn2+、及びAl3+からなる群から選択され、qは2または3の整数であり、且つ、tは0〜6の範囲の整数である。
式(10)で表される含硫カルボン酸塩は以下の通りである。
【0064】
【化25】
【0065】
但し、X11及びX12は、Ca2+、Ba2+、Mg2+、及びZn2+からなる群から独立して選択され、Y11及びY12は、C‐C30アルキル基及びC‐C18アリール基からなる群から独立して選択され、且つa及びbは、1〜6の範囲の整数である。
【0066】
式(11)で表される含硫カルボン酸塩は以下の通りである。
【0067】
【化26】
【0068】
但し、X21は、Ca2+、Ba2+、Mg2+、及びZn2+からなる群から選択され、G1 及びG2は、それぞれ
【0069】
【化27】
【0070】
により表され、その内のc及びdはそれぞれ1〜6の範囲の整数であり、且つpは1〜9の範囲の整数であり、但し、pが2または2より大きい整数である場合、複数のG1は同一でも異なっていてもよく、複数のX21は同一でも異なっていてもよい。
【0071】
式(12)で表される含硫カルボン酸塩は以下の通りである。
【0072】
【化28】
【0073】
但し、X31 は、Ca2+、Ba2+、Mg2+、及びZn2+からなる群から選択され、且つ、Y31は、C‐C30アルキル基、C‐C18アリール基、及びR93OOC-(CH2)k-で表される基からなる群から選択され、R93はC‐C30アルキル基及びC‐C18アリール基からなる群から選択され、kは1〜5の範囲の整数である基からなる群から選択される。
【0074】
本開示は更に、上記安定剤混合物を用いてオレフィン系ポリマーから製造される変性ポリマー組成物を提供する。
【0075】
以下、本開示によるオレフィン系ポリマーと、安定剤混合物の更なる詳細を説明する。
オレフィン系ポリマー:
本開示において好適なオレフィン系ポリマーは、ポリオレフィン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
安定剤混合物:
式(1)で表される有機リン含有酸化防止剤の例としては、これらに限らないが、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト(酸化防止剤168)、トリフェニルホスファイト、トリス(4-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(p-クミルフェニル)ホスファイトが挙げられる。
【0076】
式(2)で表される有機リン含有酸化防止剤の例としては、これらに限らないが、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(酸化防止剤626)、3,9-ビス(2,4-クミルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサテトラデカン-3,9-ジホスファスピロ[ 5.5]ウンデカン(酸化防止剤9228)、ジフェニルペンタエリスリトールジホスファイト、2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカンが挙げられる。
【0077】
式(3)で表される有機リン含有酸化防止剤の例としては、これらに限らないが、
【0078】
【化29】
【0079】
2-[2,4-ビス(1,1-ジメチルエチル)フェノキシ] -5,5-ジメチル-1,3,2-ジオキサホスホリナン、2,4-ジクミルフェニル-2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールホスファイト、2- [2,4-ビス(1,1-ジメチルエチル)フェノキシ]-5-ブチル-5-エチル-1,3,2-ジオキサホスホリナンが挙げられる。
【0080】
式(4)で表される有機リン含有酸化防止剤の非限定的な例は、
【0081】
【化30】
【0082】
である。
【0083】
式(5)で表される有機リン含有酸化防止剤の非限定的な例は、
【0084】
【化31】
【0085】
である。
【0086】
式(6)で表される有機リン含有酸化防止剤の例としては、これらに限らないが、2,4,8,10-テトラ-tert-ブチル-6-[(2-エチルヘキシル)オキシ]- 12H-ジベンゾ[d、g] [1,3,2]ジオキサホスホシン (HP-10)、2,2'-チオビス[6-tert-ブチル-p-クレゾール]環状モノフェニルホスファイト、2,2'-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイトが挙げられる。
【0087】
式(7)で表される有機リン含有酸化防止剤の例としては、これらに限らないが、酸化防止剤P-EPQ、亜ホスホン酸,[1,1'-ビフェニル] -4,4'-ジイルビス-、テトラキス[2-(1,1-ジメチルエチル)フェニル]エステル、亜ホスホン酸,[1,1'-ビフェニル] ビフェニル] -4,4'-ジイルビス-,テトラフェニルエステルが挙げられる。
【0088】
実施例によって、R91は水素を表し、R92は、C‐C18アルキル基及びC‐C18アリール基からなる群から選択される。ここで言う「アリール基」とは、非置換アリール基、炭化水素置換アリール基、またはアリール置換炭化水素基を指す。また、実施例によっては、R92はドデシルである。式(9)で表される含硫カルボン酸塩の例としては、これらに限らないが、(C12H25SCH2COO)2Zn、(C12H25SCH2COO)2Ca、(C12H25SCH2CH2COO)2Zn、(C12H25SCH2CH2COO)2Ca、(C12H25SCH2CH2COO)3Alが挙げられる。
【0089】
実施例によって、X11及びX12は、Ca2+及びZn2+からなる群から独立して選択され、Y11及びY12は、-C7H15 及び -C17H35からなる群から独立して選択される。式(10)で表される含硫カルボン酸塩の例としては、これらに限らないが、
【0090】
【化32】
【0091】
が挙げられる。
【0092】
実施例によって、X21は、Ca2+及びZn2+からなる群から選択され、G1及びG2は、それぞれ
【0093】
【化33】
【0094】
であり、その内のc及びdはそれぞれ1または2である。式(11)で表される含硫カルボン酸塩の例としては、これらに限らないが、
【0095】
【化34】
【0096】
が挙げられ、その内のpは1〜9の範囲の整数である。
【0097】
式(12)で表される含硫カルボン酸塩の例は、これらに限らないが、
【0098】
【化35】
【0099】
である。
【0100】
有機リン含有酸化防止剤の含硫カルボン酸塩に対する比率は1:99〜99:1の範囲内にある。
【0101】
本開示によれば、安定剤混合物は、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ベンゾフラノン系酸化防止剤、アミンオキシド系酸化防止剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される酸化防止剤を更に含んでもよい。
【0102】
ヒンダードフェノール系酸化防止剤の例としては、これらに限らないが、ペンタエリスリトール-テトラ- [β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル) -プロピオネート]、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[β-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート, 1,3,5-トリメチル- 2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、トリス(ブチルクレゾール)ブタン、4,4'-ブチリデンビス(6-tert-ブチル-3-メチルフェノール)、N、N'-ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジド、N、N'-ビス- [3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヘキサメチレンジアミン、2,2'-メチレンビス-(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、オクチル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナメート、1,2-ジ[-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニル] ヒドラジド、2,2'-オキサミドビス[エチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート] が挙げられる。適切なヒンダードフェノール系酸化防止剤を、単独で、または他の適切なヒンダードフェノール系酸化防止剤と組み合わせて使用することができる。
【0103】
ベンゾフラノン系酸化防止剤の例としては、これらに限らないが、キシリルジブチルベンゾフラノン、5-(tert-ブチル)-3-[5-(tert-ブチル)-2-ヒドロキシフェニル]ベンゾフラン-2(3H)-オン (化学情報検索サービス機関(CAS) No. 214354-68-4)、3-[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-2-ヒドロキシフェニル]-5,7-ビス(1,1-ジメチルエチル)- 2(3H)-ベンゾフラノン(CAS No. 210709-72-1)が挙げられる。適切なベンゾフラノン系酸化防止剤を、単独で、または他の適切なベンゾフラノン系酸化防止剤と組み合わせて使用することができる。
【0104】
アミンオキシド系酸化防止剤の例としては、これらに限らないが、酸化ビス(水素化タローアルキル)アミン、ビス(オクタデシル)ヒドロキシルアミンが挙げられる。適切なアミンオキシド系酸化防止剤を、単独で、または他の適切なアミンオキシド系酸化防止剤と組み合わせて使用することができる。
【0105】
本開示によれば、安定剤混合物は、制酸剤、金属不活性化剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される添加剤をさらに含んでもよい。
【0106】
制酸剤は、変成性ポリマー構成物のpHを平衡化し、使用される酸化防止剤及び含硫カルボン酸塩の相溶性を向上できるものであり、脂肪酸塩を用いることができる。脂肪酸塩の例としては、これらに限らないが、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ドコサン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、リシノール酸ナトリウム、及びパルミチン酸カリウムが挙げられる。適切な塩素を、単独でまたは他の適切な脂肪酸塩と組み合わせて使用することができる。
【0107】
金属不活性化剤は、変性ポリマー組成物の物性が劣化するのを防ぐことができる。金属不活性化剤の例としては、これに限らないが、オキサリル-ビス(ベンジリデン)ヒドラジドが挙げられる。適切な市販の金属不活性化剤としては、Eastman Inhibitor OABHが挙げられるが、これに限らない。
【0108】
実施例によっては、安定剤混合物がオレフィン系ポリマー100重量部に対して0.01〜2.2重量部の範囲の量で存在する。なお、本開示の変性ポリマー組成物を製造する方法に制限はない。例えば、変性ポリマー組成物は、オレフィン系ポリマーを安定剤混合物と混合することによって製造することができる。
【0109】
変性ポリマー組成物の製造後の加工方法にも制限はない。ポリオレフィン及びエチレン-酢酸ビニル共重合体を成形するための任意の従来の方法を使用することができる。成形加工の例としては、これらに限らないが、押出成形、射出成形などが挙げられる。
【0110】
以下、本開示の実施例について説明する。これらの実施例は、例示的かつ説明的なものであり、本開示を限定するものと解釈されるべきではないことを理解されたい。
以下の実施例で使用する試薬:
1. ポリプロピレン:Formosa Chemicals&Fiber Corp.から市販されているB8001。表1及び表2ではPPと呼称。
2. ポリエチレン:USI Corporation(台湾)から市販されているLH608M。表1及び表2ではPEと呼称。
3. トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト(酸化防止剤168):式(1)で表される有機リン含有酸化防止剤の例。表1及び表2ではA1と呼称。
4. ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(酸化防止剤626):式(2)で表される有機リン含有酸化防止剤の例。表1及び表2ではA2と呼称。
5. 3,9-ビス(2,4-クミルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサテトラデカン-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン(酸化防止剤9228):式(2)で表される有機リン含有酸化防止剤の例。表1及び表2ではA3と呼称。
6. 2,4,8,10-テトラ-tert-ブチル-6-[(2-エチルヘキシル)オキシ]-12H-ジベンゾ[d,g] [1,3,2]ジオキサホスホシン(HP-10):式(6)で表される有機リン含有酸化防止剤の例。表1及び表2ではA4と呼称。
7.酸化防止剤P-EPQ:
【0111】
【化36】
【0112】
式(7)で表される有機リン含有酸化防止剤の例。表1及び表2ではA5と呼称。
8. 9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド(DOPO):式(8)で表される有機リン含有酸化防止剤の例。表1及び表2ではA6と呼称。
9.
【0113】
【化37】
【0114】
式(3)で表される有機リン含有酸化防止剤の例。表1及び表2ではA7と呼称。
10.
【0115】
【化38】
【0116】
式(5)で表される有機リン含有酸化防止剤の例。表1及び表2ではA8と呼称。
11.
【0117】
【化39】
【0118】
式(4)で表される有機リン含有酸化防止剤の例。表1及び表2ではA9と呼称。
12. (C12H25SCH2CH2COO)2Ca:式(9)で表される含硫カルボン酸塩の例。表1及び表2ではB1と呼称。
13. (C12H25SCH2CH2COO)3Al:式(9)で表される含硫カルボン酸塩の例。表1及び表2ではB2と呼称。
14.
【0119】
【化40】
【0120】
式(10)で表される含硫カルボン酸塩の例。表1及び表2ではB3と呼称。
15.
【0121】
【化41】
【0122】
式(11)で表される含硫カルボン酸塩の例。表1及び表2ではB4と呼称。
16.
【0123】
【化42】
【0124】
:式(12)で表される含硫カルボン酸塩の例。表1及び表2ではB5と呼称。
17. ジステアリルチオジプロピオネート:DSTDPと呼称。
実施例1〜18:
各実施例1〜16においては、100重量部のポリプロピレンを表1に示す量の安定剤混合物と25℃で均一に混合して本開示の変性ポリマー組成物を製造した。実施例17、18においては、100重量部のポリエチレンを表1に示す量の安定剤混合物と25℃で均一に混合して本開示の変性ポリマー組成物を製造した。
比較例1〜21:
比較例1〜17及び20〜21では、ポリプロピレン100重量部に対して、安定剤(即ち、有機リン含有酸化防止剤単独、含硫カルボン酸エステル単独、含硫カルボン酸塩単独、または有機リン含有酸化防止剤と含硫カルボン酸エステルとの組み合わせ)を表2に示す量で25℃で混合して変性ポリマー組成物を製造した。比較例18、19では、ポリエチレン100重量部に対して表2に示す量の安定剤(有機リン含有酸化防止剤単独)を25℃で均一に混合して変性ポリマー組成物を製造した。
評価試験:
実施例1〜18及び比較例1〜21で製造した変性ポリマー組成物を、二軸押出機(型番PSM20A、SINO-ALLOY MACHINERY INC.製、温度190〜230℃、押出機スクリュー速度:200rpm、供給速度:6rpm)で押出し、その後に冷却、風乾、ペレタイジング、及びオーブン乾燥を行った。これにより試料を作製した。この試料を、更に、押出、冷却、風乾、ペレタイジング、及びオーブン乾燥の工程で繰り返し処理することにより、数回の処理後の黄色度及びメルトインデックスの変化を評価した。黄色度の変化が小さいほど、試料の色安定性が良好である。同様に、メルトインデックスの変化が小さいほど、試料の加工安定性が良好である。
1.黄色度の差(Δb*)
実施例1〜18及び比較例1〜21で作製した各変性ポリマー組成物の試料について、3回目の押出加工後に得られた試料の黄色度と1回目の押出加工後に得られた試料の黄色度の差(Δb*)を、分光光度計(ColorQuest XE 、HunterLab社製)を使用して測定した。同様に、実施例1〜18及び比較例1〜21で製造した各変性ポリマー組成物の試料について、5回目の押出加工後に得られた試料の黄色度と1回目の押出加工後に得られた試料の黄色度の差(Δb*)を、分光光度計(ColorQuest XE 、HunterLab社製)を使用して測定した。結果を表3及び表4に示す。
2.メルトインデックスの差(ΔMI)
実施例1〜18及び比較例1〜21で製造した各変性ポリマー組成物の試料について、3回目の押出加工後に得られた試料のメルトインデックスと1回目の押出加工後に得られた試料のメルトインデックスの差(ΔMI)を、ラボラトリーメルトインデクサ(LMI D4004、Dynisco社製)を使用して測定した。同様に、実施例1〜18及び比較例1〜21で製造した各変性ポリマー組成物の試料について、5回目の押出加工後に得られた試料のメルトインデックスと1回目の押出加工後に得られた試料のメルトインデックスの差(ΔMI)を、ラボラトリーメルトインデクサ(LMI D4004、Dynisco社製)を使用して測定した。メルトインデックスの差は、1回目の押出加工後に得られた試料のメルトインデックスに対する後続の押出加工(3回目または5回目)後に得られた各試料のメルトインデックスの比として定義される。結果を表3及び表4に示す。
【0125】
【表1】
【0126】
【表2-1】
【0127】
【表2-2】
【0128】
【表3】
【0129】
【表4】
【0130】
表3及び表4に示すように、実施例1〜18の変性ポリマー組成物から作製した試料E1〜E18は、3回目の押出加工後の試料のΔb*値がいずれも2.88以下であり、5回目の押出加工後の試料のΔb*値がいずれも5.04以下であった。一方、比較例1〜21の変性ポリマー組成物から作製した試料CE1〜CE21は、3回目の押出加工後の試料のΔb*値がいずれも3.12以上であり、5回目の押出加工後の試料のΔb*値がいずれも5.92以上であった。実施例1〜18の変性ポリマー組成物(本開示の安定剤混合物を使用して製造されたもの)は、比較例1〜21の変性ポリマー組成物と比較して、色安定性が明らかに向上している。
【0131】
特に、実施例1及び実施例10の変性ポリマー組成物(有機リン含有酸化防止剤A1と含硫カルボン酸塩B1及びB2のいずれかとを含有する)から作製された試料E1及びE10は、比較例11の変性ポリマー組成物(有機リン含有酸化防止剤A1を含有するが、含硫カルボン酸塩ではなく含硫カルボン酸エステルDSTDPを含有する)から作製された試料CE11と比較して、よりよい色安定性を有する。従って、含硫カルボン酸塩を有機リン含有酸化防止剤と併用すると、対応する含硫カルボン酸エステルと比べて、相乗的に変性ポリマー組成物を変色しにくくすることができることが示される。また、実施例2の変性ポリマー組成物(有機リン含有酸化防止剤A2と含硫カルボン酸塩B1を含有する)から作製した試料E2と、比較例12の変性ポリマー組成物(有機リン含有酸化防止剤A2を含有するが、含硫カルボン酸塩ではなく含硫カルボン酸エステルDSTDPを含有する)から作製した試料CE12との色安定性の差からも同様の結論を導くことができる。
【0132】
また、メルトインデックスの差から加工安定性を考察すると、実施例1〜16(PPを含有する)の変性ポリマー組成物から作製した試料E1〜E16では、3回目の押出加工後の試料のΔMI値がいずれも161.58%以下であり、5回目の押出加工後の試料のΔMI値がいずれも258.64%以下であった。一方、比較例1〜17及び20〜21(PPを含有する)の変性ポリマー組成物から作製された試料CE1〜CE17及びCE20〜CE21では、3回目の押出加工後の試料のΔMI値がいずれも175.79%以上であり、5回目の押出加工後の試料のΔMI値がいずれも314.41%以上であった。実施例1〜16の変性ポリマー組成物(本開示の安定剤混合物を使用して製造されたもの)は、比較例1〜17及び20〜21の変性ポリマー組成物と比較して、加工安定性が明らかに向上している。
【0133】
特に、実施例1及び実施例10の変性ポリマー組成物(有機リン含有酸化防止剤A1と含硫カルボン酸塩B1及びB2のいずれかとを含有する)から作製された試料E1及びE10は、比較例11の変性ポリマー組成物(有機リン含有酸化防止剤A1を含有するが、含硫カルボン酸塩ではなく含硫カルボン酸エステルDSTDPを含有する)から作製された試料CE11と比較して、よりよい加工安定性を有する。従って、含硫カルボン酸塩を有機リン含有酸化防止剤と併用すると、対応する含硫カルボン酸エステルと比べて、相乗的に変性ポリマー組成物のメルトインデックスの変化を起きにくくすることができることが示される。また、実施例2の変性ポリマー組成物(有機リン含有酸化防止剤A2と含硫カルボン酸塩B1を含有する)から作製した試料E2と、比較例12の変性ポリマー組成物(有機リン含有酸化防止剤A2を含有するが、含硫カルボン酸塩ではなく含硫カルボン酸エステルDSTDPを含有する)から作製した試料CE12との加工安定性の差からも同様の結論を導くことができる。
【0134】
比較例18〜19(PEを含有する)の変性ポリマー組成物から作製された試料CE18〜CE19及び実施例17〜18(PEを含有する)の変性ポリマー組成物から作製された試料E17〜E18に注目して、PEから製造された変性ポリマー組成物の加工安定性を、メルトインデックスの差に基づいて以下に説明する。なお、加工安定性を評価するに当たり、PEから作製された試料とPPから作製された試料とでは、その性質の違い(架橋度や割れの傾向など)によって別々に評価されることに留意されたい。具体的には、PPから作製された試料のMI値は、通常、押出回数につれて大きくなり(押出回数が多いほどΔMI値も大きくなる)、一方、PEから作製された試料のMI値は、通常、押出回数につれて減少する(押出回数が多いほどΔMI値が小さくなる)。したがって、PPから作製された試料は、ΔMI値が押出回数に伴って大幅に増加しなければ、良好な加工安定性を示し、一方、PEから作製された試料は、ΔMI値が押出回数に伴って大幅に減少しなければ、良好な加工安定性を示す。
【0135】
試料E17〜E18(PE製)では、3回目の押出加工後の試料のΔMI値がいずれも96.06%以上であり、5回目の押出加工後の試料のΔMI値がいずれも90.15%以上であった。一方、試料CE18〜CE19(PE製)では、3回目の押出加工後の試料のΔMI値がいずれも95.11%以下であり、5回目の押出加工後の試料のΔMI値がいずれも87.33%以下であった。実施例17〜18の変性ポリマー組成物(本開示の安定剤混合物を使用して製造されたもの)は、比較例18〜19の変性ポリマー組成物と比較して、加工安定性が明らかに向上している。
【0136】
表3のΔMI値によって示された本開示の安定剤混合物によって提供される上述の加工安定性に加えて、本開示の安定剤混合物の効果をさらに実証するため、表3のΔMI値を計算するために用いた数値である実施例1〜18の変性ポリマー組成物から作製された試料E1〜E18のMI値を表5に示す。
【0137】
【表5】
【0138】
表5に示される試料E1〜E16の低いMI値は、本開示の安定剤混合物が、PPから作製されるポリマー組成物に良好な物性を付与できることを示し(即ち、MI値が低いほど、PPから作製されるポリマー組成物の物性がより良好となる)、表5に示される試料E17〜E18の高いMI値は、本開示の安定剤混合物が、PEから作製されるポリマー組成物に良好な物性を付与できることを示している(即ち、MI値が高いほど、PEから作製されるポリマー組成物の物性がより良好となる)。さらに、PPから作製された試料間の以下の比較は、ポリマー組成物の物性に対して本開示の安定剤混合物がもたらす効果をより一層示すことができる。1回目、3回目及び5回目の押出加工後のMI値がそれぞれ0.3828、0.6729及び1.4097であったCE11(有機リン含有酸化防止剤A1を含有するが含硫カルボン酸塩ではなく含硫カルボン酸エステルDSTDPを含有する)と比較して、試料E1及びE10(有機リン含有酸化防止剤A1と含硫カルボン酸塩B1及びB2のいずれかとを含有する)は、数回の押出加工後のMI値がより低い。同様に、1回目、3回目及び5回目の押出加工後のMI値がそれぞれ0.3616、0.6534及び1.1369であった試料CE12(有機リン含有酸化防止剤A2を含有するが含硫カルボン酸塩ではなく含硫カルボン酸エステルDSTDPを含有する)と比較して、試料E2(有機リン含有酸化防止剤A2及び含硫カルボン酸塩B1を含有する)は、数回の押出加工後のMI値がより低い。このように、本開示の安定剤混合物は、ポリマー組成物の加工安定性を提供するだけでなく、ポリマー組成物に良好な物性を付与する。
【0139】
上記においては、説明のため、本開示の全体的な理解を促すべく多くの具体的な詳細が示された。しかしながら、当業者であれば、一またはそれ以上の他の実施形態が具体的な詳細を示さなくとも実施され得ることが明らかである。また、本明細書における「一つの実施形態」「一実施形態」を示す説明において、序数などの表示を伴う説明は全て、特定の態様、構造、特徴を有する本開示の具体的な実施に含まれ得るものであることと理解されたい。更に、本説明において、時には複数の変化例が一つの実施形態、図、またはこれらの説明に組み込まれているが、これは本説明を合理化させるためのもので、また、本発明の多面性が理解されることを目的としたものである。
【0140】
以上、本発明の好ましい実施形態及び変化例を説明したが、本発明はこれらに限定され
るものではなく、最も広い解釈の精神及び範囲内に含まれる様々な構成として、全ての修
飾及び均等な構成を包含するものとする。
以下に、出願当初の請求項を実施の態様として付記する。
[1]
オレフィン系ポリマーの変性のための安定剤混合物であって、
式(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)及び(8)からなる群から選択される式で表される少なくとも1種の有機リン含有酸化防止剤と、
式(9)、(10)、(11)及び(12)からなる群から選択される式で表される少なくとも1種の含硫カルボン酸塩と、を含む安定剤混合物。
【化43】
但し、R11、R12、及びR13は、水素、tert‐ブチル基、イソプロピルフェニル基、及び直鎖C‐Cアルキル基からなる群から独立して選択され、
【化44】
但し、R21、R22、R23、R24、R25、及びR26は、水素、tert‐ブチル基、イソプロピルフェニル基、及び直鎖C‐Cアルキル基からなる群から独立して選択され、
【化45】
但し、R31、R32、R33、R34、及びR35は、水素、tert‐ブチル基、イソプロピルフェニル基、及び直鎖C‐Cアルキル基からなる群から独立して選択され、
【化46】
但し、
R41、R42、R43、R44、R45、R46、R47、及びR48 は、水素、tert‐ブチル基、イソプロピルフェニル基、及び直鎖C‐Cアルキル基からなる群から独立して選択され、且つ、Z41及びZ42は、O、S、及びC‐Cアルキレン基からなる群から独立して選択され、
【化47】
但し、
R51、R52、R53、R54、R55、及びR56は、水素、tert‐ブチル基、イソプロピルフェニル基、及び直鎖C‐Cアルキル基からなる群から独立して選択され、且つ、
Z51は、O、S、及びC‐Cアルキレン基からなる群から選択され、
【化48】
但し、
R61、R62、R63、及びR64は、水素、tert‐ブチル基、イソプロピルフェニル基、及び直鎖C‐Cアルキル基からなる群から独立して選択され、
Tは、C‐C18炭化水素基、及び
【化49】
で表される基からなる群から選択され、但しR65、R66、及びR67は、水素、tert‐ブチル基、イソプロピルフェニル基、及び直鎖C‐Cアルキル基からなる群から独立して選択され、且つ、
Z61は、O、S、及びC‐Cアルキレン基からなる群から選択され、
【化50】
但し、R71、R72、R73、R74、R75、R76、R77、及びR78は、水素、tert‐ブチル基、イソプロピルフェニル基、及び直鎖C‐Cアルキル基からなる群から独立して選択され、
【化51】
【化52】
但し、
R91は、水素及びC‐C18アルキル基からなる群から選択され、
R92は、C‐C30アルキル基及びC‐C18アリール基からなる群から選択され、
Mq+は、Ca2+、 Ba2+、Mg2+、Zn2+、及びAl3+からなる群から選択され、
qは2または3の整数であり、且つ、
tは0〜6の範囲の整数であり、
【化53】
但し、
X11及びX12は、Ca2+、Ba2+、Mg2+、及びZn2+からなる群から独立して選択され、
Y11及びY12は、C‐C30アルキル基及びC‐C18アリール基からなる群から独立して選択され、且つ、
a及びbは、それぞれ1〜6の範囲の整数であり、
【化54】
但し、
X21は、Ca2+、Ba2+、Mg2+、及びZn2+からなる群から選択され、
G1 及びG2は、それぞれ
【化55】
により表され、その内のc及びdはそれぞれ1〜6の範囲の整数であり、且つ、
pは1〜9の範囲の整数であり、但し、pが2または2より大きい整数である場合、複数のG1は同一でも異なっていてもよく、複数のX21は同一でも異なっていてもよく、
【化56】
但し、
X31 は、Ca2+、Ba2+、Mg2+、及びZn2+からなる群から選択され、且つ、
Y31は、C‐C30アルキル基、C‐C18アリール基、及びR93OOC-(CH2)k-で表される基からなる群から選択され、R93はC‐C30アルキル基及びC‐C18アリール基からなる群から選択され、kは1〜5の範囲の整数である。
[2]
R91は水素を表し、
R92は、C‐C18アルキル基及びC‐C18アリール基からなる群から選択される、[1]に記載の安定剤混合物。
[3]
R92はドデシルである、[2]に記載の安定剤混合物。
[4]
ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ベンゾフラノン系酸化防止剤、アミンオキシド系酸化防止剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される酸化防止剤を更に含む、[1]〜[3]のいずれか一に記載の安定剤混合物。
[5]
前記ヒンダードフェノール系酸化防止剤は、ペンタエリスリトール - テトラ - [β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート]、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[β-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート]、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、トリス(ブチルクレゾール)ブタン、4,4'-ブチリデンビス(6-tert-ブチル-3-メチルフェノール)、N、N'-ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジド、N、N'-ビス- [3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヘキサメチレンジアミン、2,2'-メチレンビス-(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、オクチル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナメート、1,2-ジ[-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニル] ヒドラジド、2,2'-オキサミドビス[エチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート] 、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、[4]に記載の安定剤混合物。
[6]
前記ベンゾフラノン系酸化防止剤は、キシリルジブチルベンゾフラノン、5-(tert-ブチル)-3-[5-(tert-ブチル)-2-ヒドロキシフェニル]ベンゾフラン-2(3H)-オン、3-[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-2-ヒドロキシフェニル]-5,7-ビス(1,1-ジメチルエチル)- 2(3H)-ベンゾフラノン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、[4]に記載の安定剤混合物。
[7]
前記アミンオキシド系酸化防止剤は、酸化ビス(水素化タローアルキル)アミン、ビス(オクタデシル)ヒドロキシルアミン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、[4]に記載の安定剤混合物。
[8]
制酸剤、金属不活性化剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される添加剤を
さらに含む、[1]〜[7]のいずれか一に記載の安定剤混合物。
[9]
前記制酸剤は脂肪酸塩である、[8]に記載の安定剤混合物。
[10]
前記金属不活性化剤はオキサリル-ビス(ベンジリデン)ヒドラジドである、[8]に記載の安定剤混合物。
[11]
ポリオレフィン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるオレフィン系ポリマーと、
[1]〜[10]のいずれか一に記載の安定剤混合物と、を含む変性ポリマー組成物。
[12]
前記安定剤混合物が、前記オレフィン系ポリマー100重量部に対して0.01〜2.2重量部の範囲の量で存在する、[11]に記載の変性ポリマー組成物。
[13]
前記ポリオレフィンが、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする[11]または[12]に記載の変性ポリマー組成物。