(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記ミクロ電極が、ロッド、上記光源が光ファイバーであるときの前記光ファイバー上の層、又は上記強化要素に面する可撓性・非伝導性ポリマー材料の前記被膜上の層のいずれかの形状を有する、請求項2又は3の器具。
上記電極が、地電位に保持された、可撓性・非伝導性ポリマー材料の前記被膜上であって、前記強化要素と反対側の導電層により電気的に遮蔽されている、請求項1−6のいずれか1項の器具。
前記光源が、前記光ファイバーであって、上記光ファイバーの遠位端が、可撓性・非伝導性ポリマー材料の前記被膜の遠位端から近位方向に引っ込んでいる、請求項2の器具。
上記強化要素が回転対称であり、そして互いに遠位−近位方向に隣接して配置された異なる組成の2つ又はそれ以上の円筒形セクションを含む、請求項1−15のいずれか1項の器具。
請求項1-21のいずれか1項の器具の上記強化要素が溶解、分解又は膨潤している治療及び/診断用の医療器具であって、a)周囲の軟質組織への光の放出;b)軟質組織から放出される光の検出;c)周囲の組織構造体の電気的刺激;d)周囲の軟質組織から放出される電気信号の検出、の1つ又はそれ以上が可能な該医療器具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の主な目的は、組織に挿入するための微小電極及び微小光源を含む器具、特に取り巻く組織内での動きに微妙に順応することができる器具、を提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、前述の種類の器具であって、軟質組織に挿入すると、単一の神経細胞又は神経細胞群を刺激することができる器具を提供することである。
【0010】
本発明の更なる目的は、前述の種類の器具であって、軟質組織に挿入すると、神経細胞から出る光学的及び電気的信号(シグナル)を記録することができる器具を提供することである。
【0011】
本発明の追加の目的は、該器具の束及びアレーを提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、本発明の挿入可能な器具を製造する方法を提供することである。
【0013】
本発明の更なる目的は、下記の発明の概要、図面に例示された好ましい態様、及び添付の特許請求の範囲から明かになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願で、「水不溶性」とは、水性体液、即ち、胃腸又は細胞外流体だけでなく血清、に不溶性を意味する。「可撓性」とは、器具の部分の変位を、その部分に隣接する組織の変位により許す程度の可撓性を意味する。器具の該部分の変位は必ずしも器具全体の動きを含まない。「電気絶縁性」とは、ヒト神経組織の治療に使用する電圧/電流において電気絶縁性であることを意味する。「縦長」とは、直径よりも5倍又はそれ以上、特に10倍又はそれ以上、だけ大きい長さを有する構造を意味する。「膨潤性」とは、水性体液と接触すると透明ゲルを形成可能であること、例えば1.1又は1.2倍だけ容積が膨張すること、を意味する。「多孔性」とは、水性体液及びそれに溶解した生体分子に対して透過性を意味する。
【0015】
本発明によると、前端若しくは遠位端、及び後端若しくは近位端を有する、軟質組織に挿入するための医療器具であって、
−ミクロ電極;
−遠位方向に光を放出可能なミクロ光源;
−下記の一つを含む強化要素
a)水性体液に接触すると該強化要素を崩壊させるに十分な量の水性体液に溶解性又は分解性の材料;
b)水性体液に膨潤性で透明ゲルを形成する材料;
−該強化要素上の可撓性の非伝導性ポリマー材料の被膜であって、該強化要素が崩壊又は膨潤すると該電極と軟質組織との接触を阻止又は少なくとも遅らせる該被膜、ここで該被膜は、上記崩壊又は膨潤により、光源から放出される光を該器具から出させる(leave)遠位の開口を有する;
−該器具の近位端に配置された基部
を含む、上記の医療器具が開示される。
【0016】
上記基部は非導電性材料から成るか、又は80%以上若しくは90%以上がかかる材料から成るのが好ましい。該基部は、ほぼ円形、例えば平らな円筒形の形、であるのが好ましい。該基部は硬いのが好ましい。
【0017】
電極、光源及び/又は可撓性材料の被膜は基部にしっかり取り付けられ、該基部の遠位面から遠位方向に延びるのが好ましい。電極及び光源は、該遠位面から該可撓性被膜よりも短い距離だけ延びるのが好ましい。
【0018】
あらゆる小型の光源が使用できるが、LED又はマイクロレーザーの使用が好ましい。本発明で、「光源」は、一端で、器具に含まれても含まれていなくともよい源から光を受け取り、そして受け取った光を他端、即ち遠位端、で放出する光ファイバーを含む。光源から放出された光は可視光、特に単色光、例えば赤色光、であるのが好ましいが、赤外光であってもよい。
【0019】
本発明のミクロ電極は、金属又は金属合金又は導電性のポリマー若しくは炭素を含むかこれらから成る。好ましい金属には、アルミニウム、銀、金、イリジウム、白金及びそれらの合金が含まれる。ミクロ電極は真っすぐ若しくは曲がったロッド、又は光ファイバー上の層若しくは強化要素に面するポリマー被膜面上の層の形態を有することができる。ミクロ電極は、その遠位端から近位方向に延びる部分を除いて、電気絶縁されているのが好ましい。電極絶縁は、電極上のラッカー又はポリマーの層により与えられる。
【0020】
上記器具は、軟質組織に挿入するために、中心長手軸に関してほぼ回転対称形、特にほぼ円筒形、であるのが好ましい。可撓性の非伝導性ポリマー被膜及び強化要素もまた、ほぼ回転対称形、特に円筒形であるのが好ましい。電極及び/又は光ファイバーの遠位端を、遠位開口部から近位方向に引き込ませるのが好ましい。電極は、その遠位先端若しくは端部、又はその遠位先端若しくは端部から近位方向に延びる一部分を除いて、電気絶縁されているのが好ましい。
【0021】
本発明の第1の好ましい側面によると、電極は、地電位に又は動物地電位に保たれ、可撓性ポリマー被膜に一体化されるか又は可撓性ポリマー被膜の一面に取り付けられ、そして電気絶縁層により覆われている導電性層によって電気的に遮蔽されている。
【0022】
本発明の第2の好ましい側面によると、上記強化要素は炭水化物及び/又はタンパク質材料及び/又はそれらの混合物を含むか又はそれらから成る。他の生体適合性ゲル形成性ポリマー、例えばポリエチレングリコール(PEG)及びポリプロピレングリコール(PPG)を使用することも可能である。
【0023】
軟質組織挿入用の器具は、軟質組織に挿入し、そしてその強化要素が溶解、分解又は膨潤すると、長手(遠位−近位)方向に延長可能であり、特にそのポリマー被膜の一部分が延長可能である。延長可能であるためには、可撓性ポリマー被膜は弾性的に可撓性の材料である必要はない。好ましくは非弾性又は僅かだけ弾性であるポリマー被膜は、それに又はその少なくとも一部に蛇腹形構造を与えることにより延長可能になる。従って、本発明の第3の好ましい側面によると、軟質組織挿入用の器具の可撓性ポリマー被膜は蛇腹形状であり、そして強化要素はこの形状を反映する。
【0024】
本発明の第4の好ましい側面によると、軟質組織挿入用の器具は、マイクロプロセッサー制御装置を含む。該マイクロプロセッサーは、電極電圧;時間による変化を含めて電極電位;時間とともに光の放出の一つ又はそれ以上を制御することができる。該マイクロプロセッサー装置は、組織構造、特にニューロン、から発せられる電圧現象を検出することができる。更に、該マイクロプロセッサー装置は、放射線センサー、特に可視光及び/又は近赤外光用のセンサー、を制御することができる。放射線センサーは基部に設けるのが好ましい。組織構造、例えばニューロン、から反射される光及び/又はかかる構造から放出される蛍光を検出できる。
【0025】
本発明の第5の好ましい側面によると、上記強化要素は、異なる組成の互いに長手(遠位−近位)方向に隣接して配置された2つ又はそれ以上の円筒形セクションを含む。その少なくとも1つのセクションは薬理学的活性薬剤、特にニューロン又はグリア細胞に影響を及ぼす薬剤、例えばドーパミン、ドーパミン作動薬、ドーパミン拮抗薬、セレトニン、セレトニン拮抗薬、を含むことができる。別の好ましい態様では、薬理学的活性薬剤は、抗炎症性を有する薬剤である。更に別の態様では、薬理学的活性薬剤は、向神経性因子、特にBDNF及びNGF、から選ばれる。該薬理学的活性薬剤にはまた、遺伝子が含まれる。
【0026】
本発明の第6の好ましい側面によると、上記強化要素は、異なる組成の互いに半径方向に隣接して配置された2つのセクションを含む。その少なくとも1つのセクションは薬理学的活性薬剤、特にニューロンに影響を及ぼす薬剤、例えばドーパミン、ドーパミン作動薬、ドーパミン拮抗薬、セレトニン、セレトニン拮抗薬、向神経性因子、例えばBDNF、NGF及び遺伝子、を含むのが好ましい。
【0027】
本発明の第7の好ましい側面によると、軟質組織挿入用の器具は、薬理学的活性薬剤の溶液、特に水溶液、で満たされた貯液槽を含む。該貯液槽は該器具の近位セクション、特に器具の近位端に又はその近くに配置される。強化要素の溶解又は分解は、該貯液槽を、該器具が挿入された軟質組織と連絡させる。該連絡は、可撓性ポリマー被膜により区切られた体液充填カラムにより与えられ、該カラムを通って薬理学的薬剤の溶液は、該貯液槽に圧力を加えることにより押し出すことができるか、又は該カラムを通って薬理学的薬剤は拡散して、該カラムをその開口した遠位端から去らせる。
【0028】
本発明の第8の好ましい側面によると、軟質組織挿入用の器具は、その後端で、外部制御装置とワイアレス通信するための手段、及び/又はかかる装置と電気的及び/光学的通信するための非ワイアレス手段、例えば1つ又はそれ以上の電気的に絶縁された電気伝導体及び/又は1つ又はそれ以上の光ファイバー、を含む。
【0029】
別の好ましい態様によると、本発明の器具は放射線センサー、特に可視光及び/又は近赤外光に感受性のセンサー、を含む。該センサーは上記基部に設けるのが好ましい。
【0030】
本発明の更に別の好ましい側面によると、遠位開口は、軸方向遠位開口及び半径方向遠位開口から選ばれる。本発明の原(proto)器具の第1の型及び本発明の対応する器具では、遠位開口は半透明のポリマー材料のシートに覆われ、該シートはポリマー被膜のように可撓性であるか、又はそれより一層可撓性である。半径方向遠位開口に隣接した軟質組織の照明は、放射線源から放出される光のビームにより直接、又はかかるビームであって、半径方向開口を通って内部空隙Mを去る前に、該器具の内部壁面から1回以上反射された該ビームにより間接的に生じることができる。半径方向遠位開口セクションを通って逃げるビーム部分の強度を高めるために、例えば、該壁内面を、高反射性の適当なポリマー材料を使用するか、及び/又は該壁内面に高反射性ポリマー被膜を塗装することにより、一層反射性にすることができる。高反射性ポリマー被膜は高反射性の微細な無機若しくは有機粒子、例えばミクロメーター範囲のTiO
2又は白金微粒子、を含むことができる。
【0031】
本発明の治療及び/又は診断用への器具は、下記の1つ又はそれ以上に使用できる:a)周囲の軟質組織への光の放出;b)周囲の軟質組織から放出される光の検出;c)周囲の軟質組織構造の電気的刺激;d)周囲の軟質組織から放出される電気信号の検出。
【0032】
軟質組織内に配置された本発明の治療及び/又は診断用の器具は、前(遠位)端及び後(近位)端を有し、そして下記を含む:
−ミクロ電極;
−遠位方向に光を放出可能なミクロ光源;
−該光源から放出される光を該器具から去らせる(leave)遠位開口を有する、可撓性の非伝導性ポリマー材料のほぼ円筒形状の被膜であって、水性体液及び/又は透明ゲルで満たされたほぼ円筒形の空間を区切る該被膜;
−該器具の
後(近位)端に配置された基部。
【0033】
軟質組織に挿入するための本発明の器具を軟質組織に挿入すると、該器具はその強化要素の溶解、分解又は膨潤により、治療及び/又は診断用の器具に変換される。強化要素が、器具を可撓性にし、そして隣接する組織の動きに適合できる水性体液及び/又は透明ゲルに置き換えられること、及び軟質組織挿入用の器具の遠位面に配置された体液溶解性材料の任意のキャップ以外は、本発明の治療及び/又は診断用の器具は、前の器具と殆ど又は全ての特徴を共有し、従ってその設計及び構造は特定されている。
【0034】
本発明によると、軟質組織の構造体、例えばニューロン、に光学的及び/又は電気的刺激を与えるため、かかる構造体から放出される電気的信号を記録するため、かかる構造体を損傷するため、組み合わされた薬物の伝達のため、神経細胞シグナルの記録のため、及び神経細胞の刺激のための、治療及び/又は診断への使用のための本発明の器具の用途もまた開示される。
【0035】
本発明によると、組織内の選択された構造体に対して、本発明の治療及び/又は診断用器具を配置する、下記を含む方法もまた開示される:
−軟質組織に挿入するための本発明の器具を、その遠位端を最前にして挿入して第1位置を取らせる;
−該器具を第1位置に、強化要素が溶解、分解、又は透明ゲルを形成するように膨潤するまで維持する;
−光源に光を選択された組織構造体の方向に放出させる;
−該選択された組織構造体の位置を、該構造体から反射される光を検出することにより監視する;
−該器具を、該選択された組織構造体に対して変位させて、第2位置を取らせる。
【0036】
本発明を、概略図面に例示された多くの好ましい具体例を参照して更に詳細に説明するが、これらの具体例は本発明の原理を示すためだけのものである。該図面は原寸に比例していない。半径方法の寸法は大きく誇張されている。
【0037】
全図面は本発明の態様を示す。それらのいくつかで、本発明の光源と電極との組み合わせは、前段階の(プレステージ)器具、原(proto)器具又は本発明の器具、における配置を示すために図式的にのみ示す。
図1h−1s’及び
図15、16に示した電極と光源との組み合わせの各態様は、前段階の器具、即ち原器具又は本発明の器具、の全ての態様に含まれる。
【0038】
図1a−1gは、前段階(プレステージ)の器具、即ち原器具又は本発明の器具、の遠位末端部分を更に一般的な方法で示す。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1a-1s】(
図1a)
図1eの軸B−B断面に対応する、本発明の器具のプレステージの長手軸方向断面図である。(
図1b)
図1aのプレステージの遠位末端部分の、
図1aと同じ断面図である。(
図1c)
図1a,1bのプレステージから製造した本発明の原器具の遠位末端部分の、
図1aと同じ断面図である。(
図1d)
図1cの原器具を軟質組織に挿入し、そしてその強化要素が部分的溶解した時の
図1cの原器具の遠位末端部分の、
図1aと同じ断面図である。(
図1e)
図1cの原器具から水性体液との接触により形成された、本発明の器具の第1態様の遠位末端部分の、
図1aと同じ断面図である。(
図1f)
図1cの原器具から水性体液との接触により形成された器具の、本発明の器具の主部分の、
図1aと同じ断面図である。(
図1g)
図1cの原器具の半径方向A−A(
図1b)断面図である。(
図1h)本発明の原器具の第2の態様のプレステージの遠位末端部分の長手軸方向B*−B*断面図である。(
図1i)
図1hのプレステージの半径方向A
*−A
*断面図である。(
図1l’)
図1h,1iのプレステージから製造した本発明の原器具の第1態様の遠位末端部分の、
図1iのB
*−B
*断面に対応する軸方向断面図である。(
図1m’)
図1l’の原電極の半径方向A
*−A
*断面図である。(
図1l)
図1l’の原器具から水性体液との接触により形成された、本発明の器具の第1態様の遠位末端部分の、
図1lと同じ断面図である。(
図1m)
図1m’の原器具から水性体液との接触により形成された、本発明の器具の第1態様の遠位末端部分の、
図1mと同じ断面図である。(
図1l
*)
図1l’,1m’の原器具の変形の、
図1l’と同じ断面図である。(
図1j)本発明の原器具の第2態様のプレステージの遠位末端部分の、軸方向B
*−B
*(
図1i)断面図である。(
図1k)
図1jのプレステージの半径方向A
*−A
*断面図である。(
図1n’)
図1j,1kのプレステージから、半径方向面A”−A”でその丸い先端セクションを除去して製造した、本発明の原器具の第2態様の遠位末端部分の、長手軸方向B
*−B
*(
図1i)断面図である。(
図1o’)
図1nの原器具の半径方向A
**−A
**断面図である。(
図1n)
図1n’,1o’の原器具を軟質組織に挿入して形成された本発明の器具の第2態様の遠位末端部分の軸方向断面図である。(
図1o)
図1n’の器具の半径方向A
**−A
**断面図である。(
図1n
*)
図4n’,4o’の原器具の変形の、
図1nと同じ断面図である。(
図1p’)本発明の原器具の第3態様の遠位末端部分の、軸方向B
**−B
**(
図1i)断面図である。(
図1q’)
図1p’の原器具の半径方向A
*−A
*断面図である。(
図1p)
図1p’,1q’の原器具から水性体液との接触により形成された、本発明の器具の第3態様の遠位末端部分の、
図1iに対応する軸方向断面図である。(
図1q)
図1pの態様の半径方向A
*−A
*断面図である。(
図1r’)本発明の原器具の第4態様の遠位末端部分の、軸方向断面図である。(
図1s’)
図1r’の原器具の半径方向A
**−A
**断面図である。(
図1r)
図1r’の原器具から水性体液との接触により形成された、本発明の器具の第4態様の遠位末端部分の、軸方向断面図である。(
図1s)
図1rの器具の半径方向A
**−A
**断面図である。
【
図2】本発明の原器具の第5態様の軸方向断面図である。
【
図3】本発明の原器具の第6態様の軸方向断面図である。
【
図4】本発明の原器具の第7態様の遠位末端部分の、軸方向断面図である。
【
図5】本発明の原器具の第8態様の遠位末端部分の、軸方向断面図である。
【
図6】本発明の原器具の第9態様の遠位末端部分の、軸方向断面図である。
【
図7】薬物伝達室を含む本発明の原器具の第10態様の遠位末端部分の、軸方向断面図である。
【
図8】
図7の原器具に対応する本発明の器具の第10態様の軸方向断面図である。
【
図9a】本発明の原器具4つの束の、長手方向R−R断面図である。
【
図9b】本発明の原器具4つの束の、半径方向O−O断面図である。
【
図9c】本発明の原器具4つの束の、半径方向P−P断面図である。
【
図10】本発明の原器具2つを含む束を6束含むアレーの、長手方向R−R断面図である。
【
図11】本発明の原器具2つを含む束の斜視図である。
【
図12】本発明の原器具5つを含む束を9束含むアレーの斜側面図である。
【
図13】本発明の原器具の第11態様の遠位末端部分の、軸方向断面図である。
【
図14a】本発明の原器具の第11態様の軸方向断面図である。
【
図14b】
図14aの原器具に対応する本発明の器具の第12態様の軸方向断面図である。
【
図15】本発明の原器具の第13態様の軸方向断面図である。
【
図16】第13態様の特徴に加えて、放射線感知手段を含む、本発明の原器具の第14態様の軸方向断面図である。
【
図17】軸方向遠位開口と3個の横方向遠位開口を含む本発明の原器具の第14態様の、軸方向A−A(
図29)断面図である。
【
図18】
図17の原器具を軟質組織にインプラントして形成された、本発明の器具の、軸方向A−A(
図30)断面図である。
【
図19】
図17の態様の原器具に対応する、3個の横方向遠位開口を含む本発明の原器具の第16態様の軸方向断面図である。
【
図20】
図19の原器具を軟質組織にインプラントして形成された、
図18の態様の器具に対応する本発明の器具の軸方向断面図である。
【
図21】
図17の態様の原器具に対応する、光学センサーを含む本発明の原器具の第17態様の軸方向断面図である。
【
図22】
図21の原器具を軟質組織にインプラントして形成された、
図18の態様の器具に対応する本発明の器具の軸方向断面図である。
【
図23】
図17の態様の原器具に対応する、光反射内面セクションと体液透過性壁セクションとを含む、本発明の原器具の第18態様の軸方向断面図である。
【
図24】
図23の原器具を軟質組織にインプラントして形成された、
図18の器具に対応する本発明の器具の軸方向断面図である。
【
図25】半透明の可撓性ポリマー被膜で覆われた横方向遠位開口を有する以外は
図17の態様の原器具に対応する本発明の原器具の第19態様の半径方向断面図である。
【
図26】
図25の原器具を軟質組織にインプラントして形成された、本発明の器具の対応する半径方向断面図である。
【
図27】半透明のポリマー材料の可撓性シートで覆われた横方向遠位開口を有する以外は
図17の態様の原器具に対応する、本発明の原器具の第20態様の半径方向断面図である。
【
図28】
図27の原器具を軟質組織にインプラントして形成された、本発明の器具の対応する半径方向断面図である。
【
図31】可撓性被膜/可撓性電極層/可撓性絶縁層の層組み合わせから成る本発明の器具の可撓性壁の蛇腹型軸方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
実施例1:本発明のプレステージ器具、原器具及び器具におけるミクロ電極と光ファイバーとの組み合わせの一般的配置
図1a,1bは、組成物のプレステージ器具1”の末端部及び該末端部を含む主部分の軸方向断面図を示す。該末端部から延びる多重S形部分は遠位/近位方向に延長可能である。該末端部は丸まった遠位先端9を含む。光ファイバーと電極の組み合わせ2は図式的に表されている。該組み合わせ2は遠位且つ主部分中の中心に置かれる。該末端部は回転対称である。
図1f中の中心軸B−B参照。電極と光ファイバーとの組み合わせ2は、少なくとも真っすぐな遠位末端部において回転対称である強化要素又は層3に封入されている。強化要素3は水を含む水性体液に溶解性の材料、又は体液若しくは水で分解可能な材料から成り、そして好ましくは生体適合性の炭水化物及び/又はタンパク質性材料、例えばグルコース及びアルブミン、から成る。或いは、強化要素3は水性体液との接触によりゲル化する生体適合性材料、例えばゼラチン又はヒアルロン酸、又はゼラチン若しくはヒアルロン酸と炭水化物及び/又はタンパク質性材料との混合物、から成る。ゲル化した状態で、該ゲル化材料は半透明である。可撓性、電気絶縁性材料、例えばパリレン(parylene)C、の薄層4が強化要素上に、それを完全に封入するように配置されている。
【0041】
図1cは、プレステージ器具1”を半径方向にA−A面で切断することにより得られる本発明の原器具1’の遠位末端部を示す。参照番号2,3,4は
図1a,1bと同じ特徴を特定する。プレステージ器具1”を切断することにより、
図1gに示される円形の平らな末端面6が生じる。
【0042】
図1dは、短時間軟質組織に挿入した場合の原器具1’の状態を示す。水性体液との接触により、強化要素3の末端部は溶解するか又は分解するか又は半透明ゲルに変換され、変換部分は8により特定される。
【0043】
図1e及び1fにおいて、強化要素3の層全体が変換されている。参照番号2−4及び8は、前に説明した意味を維持する。
【0044】
実施例2:ミクロ電極と光ファイバーとの第1の組み合わせを含む本発明のプレステージ器具、原器具及び器具
図1h及び
図1iは、ミクロ電極22と光ファイバー21との第1の組み合わせを含む本発明のプレステージ器具40”の遠位末端部の軸方向B
*−B
*及び半径方向A
*−A
*断面図を示す。光ファイバー21及び電極22は平行に配置され、そして永久接着性ブリッジ25により互いに取り付けられている。光ファイバー21とミクロ電極22との該組み合わせは、強化材料の層又は要素23により封入されている。該光ファイバー21は、電極22の遠位末端とほぼ同じ半径方向高さに配置されている磨かれた平らな遠位面31を有する。
【0045】
プレステージ器具40”を面31から遠位方向の面A’−A’で半径方向に切断することにより、
図1l’,1m’に示された原器具40’が形成され、ここで、
図1h及び1iの参照番号の意味が維持される。
【0046】
原器具40’を、その
遠位末端を最も前にして軟質組織に挿入すると、強化要素23は水性体液8との接触により溶解又は分解し、そして体液に置き換えられるか又は半透明ゲル28に変換される(
図1l,
図1m)。プレステージ器具40”を光ファイバー21の末端面31及び電極22の遠位末端若しくは先端から遠位で切断すると、光ファイバー21及び電極22はそれぞれ、強化要素23及び可撓性ポリマー被膜24の遠位円形縁26の遠位面26から引っ込んで配置され(
図1l)、これにより本発明の器具の電極22及び光ファイバー21が周囲の組織と接触するのを阻止又は少なくとも遅延される。
【0047】
図1l
*には原器具40’の変形40‘
*が示され、その遠位面26は、水溶性材料、例えばグルコース、又はグルコースとラクトース若しくはゼラチンとの混合物、のキャップ27で覆われている。該キャップ27の機能は、該原器具の軟質組織への挿入を容易にし、そして電極22が周囲組織と接触するのを遅らせることである。
【0048】
実施例3:ミクロ電極と光ファイバーとの第2の組み合わせを含む本発明のプレステージ器具、原器具及び器具
図1j及び
図1kは、強化材料の層若しくは要素23で封入されたミクロ電極22と光ファイバー21との第2の組み合わせを含むプレステージ器具50”の遠位末端部の軸方向B
**−B
**及び半径方向A’−A”,A
**−A
**断面図を示す。該電極22は磨かれた平らな遠位面31を有し、そして電極を形成する導電性層22により封入されている。電極層22の遠位末端と光ファイバー21の遠位末端とは半径方向に同じレベル(高さ)に配置されている。
【0049】
プレステージ器具50”を原器具の面31から離れた面A
**−A
**で半径方向に切断することにより、
図1l’,1m’に示された原器具
40’が形成され、ここで、
図1h及び1iの参照番号の意味が維持される。
【0050】
原器具50’を、その
遠位末端を最も前にして軟質組織に挿入すると、強化要素23は水性体液8との接触により溶解又は分解し、そして体液に置き換えられるか又は半透明ゲル28に変換される(
図1l,
図1m)。プレステージ器具を光ファイバーの末端面31及び電極先端から遠位で切断すると、該末端面31を強化要素23及び可撓性ポリマー被膜24の遠位円形縁26の遠位面26から引っ込んで配置し(
図1l)、これにより電極22及び光ファイバー21が周囲の組織と接触するのを阻止又は少なくとも遅延する。
【0051】
図1n’
*には原器具50’の変形50’
*が示され、その遠位面26は、グルコースのような水溶性材料のキャップ27で覆われている。該キャップ27の機能は、軟質組織への挿入を容易にすることである。
【0052】
実施例4:ミクロ電極と光ファイバーとの第3の組み合わせを含む本発明のプレステージ器具、原器具及び器具
図1p’及び
図1q’は、ミクロ電極22と光ファイバー21との第3の組み合わせを含む、本発明の原器具60’の遠位末端部の軸方向B
*−B
*及び半径方向A
*−A
*断面図を示す。光ファイバー21及び電極22は平行に配置され、そして永久接着性ブリッジ25により互いに取り付けられている。光ファイバー21とミクロ電極22との該組み合わせは、強化材料の層又は要素23により封入されていて、次ぎにパリレンCのような可撓性ポリマー材料の被膜24により封入されている。該光ファイバー21は、電極22の遠位末端とほぼ同じ半径方向レベルに配置されている磨かれた平らな遠位面31を有する。電極22は、遠位末端部を除いて、ラッカー被膜29で電気絶縁されている。該原器具60’は、対応するプレステージ器具(図示なし)から、実施例2及び3に記載した方法で製造された。
【0053】
原器具60’を、その
遠位末端を最も前にして軟質組織に挿入すると、強化要素23は水性体液8との接触により溶解又は分解し、そして該体液に置き換えられるか又は半透明ゲル28に変換されて、本発明の器具の第3態様60を形成する(
図1p,
図1q)。
【0054】
実施例5:ミクロ電極と光ファイバーとの第4の組み合わせを含む本発明のプレステージ器具、原器具及び器具
図1r’及び
図1s’は、ミクロ電極22と光ファイバー21との第4の組み合わせを含む、本発明の原器具70’の遠位末端部の軸方向及び半径方向A
**−A
**断面図を示す。ミクロ電極22及び光ファイバー21の組み合わせは、強化材料の層又は要素23により封入されている。該光ファイバー21は磨かれた平らな遠位面31を有する。それは電極を形成する導電性層22で封入されている。電極層22は、その遠位末端部から近位方向に延びる部分33を除いて、絶縁性ラッカー32で覆われている。該ラッカー32は、電極層22と強化要素23との間に配置される。電極層22の遠位末端と光ファイバー21の遠位面24とは同じ半径方向レベルに配置されている。
【0055】
原器具70’を、その
遠位末端を最も前にして軟質組織に挿入すると、強化要素23は水性体液8との接触により溶解又は分解し、そして該体液に置き換えられるか又は半透明ゲル28に変換される。これにより、本発明の対応する器具70が形成される(
図1r,
図1s)。
【0056】
実施例6:本発明の原器具の第5の態様
図2の原器具201’は中心長手軸D−Dに対してほぼ回転対称である。原器具201’は、光ファイバー及び電極202の組み合わせに加えて、水に溶解性又は分解性材料の強化要素203と、該強化要素203上の可撓性、水不溶性ポリマー材料の被膜204を含む。原器具201’はその前末端に丸まったキャップ207を備える。該キャップ207の目的は、原器具201’を軟質組織に挿入することによる組織損傷を最小にすることである。キャップ207の材料は、体液に容易に溶解性、即ち、2〜3分で溶解するが、強化要素203の水溶解性材料とは異なる材料である。該電極及び該光ファイバーはそれぞれ、電気的及び光学的に、原器具201’の近位末端に配置された制御装置230に接続されている。該制御装置は、下記の実施例の制御装置と同じ種類の装置である。
【0057】
実施例7:本発明の原器具の態様の第6態様
図3の原器具301’は中心長手軸E−Eに対してほぼ回転対称である。原器具301’は、光ファイバー及び電極302の組み合わせに加えて、強化要素303と、該強化要素303上の可撓性、水不溶性ポリマー材料の被膜304を含む。原器具301’はその前末端に丸まったキャップ307を備える。該キャップ307の目的は、原器具301’を軟質組織に挿入することによる組織損傷を最小にすることである。キャップ307の材料は、強化要素303の材料と同じである。該電極及び該光ファイバーはそれぞれ、電気的及び光学的に、原器具301’の近位末端に配置された制御装置330に接続されている。該制御装置330は種々の種類及び種々の目的用であることができ、例えば電極に供給される電力の電流及び電圧を制御するため及び/又は電極から受信した電気信号を記録及び/又は送信するため及び/又は放射線を光ファイバーに放出する又は組織から光ファイバーを通って発せられる放射線を受け取りそしてそれを検出するためのものであることができる。
【0058】
実施例8:本発明の原器具の第7態様
図4に示される本発明の原器具の第7態様401’は遠位末端部のみが示される。原器具401’は中心長手軸J−Jに対して回転対称であり、そして光ファイバー421、該ファイバー421上で電極を形成する導電性被膜422、該電極422上の強化層若しくは要素423、及び該強化要素423上の可撓性、水不溶性ポリマー材料の第2被膜424を含む。電極層422の遠位末端セクションは、層422から半径方向に延びる小さい金属繊維のブラッシ422
*の形を有して、大きい電極先端面積を与える。電極422は、ブラッシセクション422
*以外は、ラッカー(図示なし)で絶縁されている。該光ファイバーは、可撓性ポリマー被膜424の遠位縁と同じ半径方向面に配置された遠位末端平面431を有する。
【0059】
実施例9:本発明の原器具の第8態様
図5に示される本発明の原器具の第8態様501’は遠位末端部のみが示される。原器具501’は中心長手軸K−Kの周りで回転対称であり、そして光ファイバー521、該ファイバー521上で電極を形成する導電性被膜522、該電極522上の強化層若しくは要素523、及び該強化要素523上の可撓性、水不溶性ポリマー材料の被膜524を含む。導電性層533は該可撓性ポリマー被膜524上に設けられ、該可撓性ポリマー被膜524と同じ材料の被膜524’で覆われていて、絶縁性被膜524、524’により完全に封入される。導電性層533は、電極522を遮蔽するために地電位に保たれている。光ファイバー521は、可撓性ポリマー被膜524の遠位縁と同じ半径方向面に配置された遠位末端平面531を有する。
【0060】
実施例
10:本発明の原器具の第9態様
図6の本発明の円筒形(中心軸M−M)の原器具601’は、2つのセクション、即ち、前部(遠位)セクション603と、前部(遠位)セクション603の遠位末端から後方に延びる近位セクション603’との2つのセクション、から成る水溶性強化要素以外は、
図1cの原器具と同様である。要素602、604及び606は機能的には
図1cの態様の要素2、4及び6に対応する。半径方向面で互いに結合する2つ又はそれ以上の水溶性強化要素セクションを設けることにより、その溶解プロフィールを、1セクション強化要素で可能な場合よりも一層変化させることが可能である。
【0061】
実施例
11:本発明の原器具の第10態様
図7の本発明の原器具701’の第10態様(軸方向N−N断面図)は、
図1cの態様の前部に機能的に対応する前部分、及び要素2、3及び4にそれぞれ対応する要素702、703及び704を含む。強化要素703の水溶性材料は原器具701’全体に亙っては延びず、遠位末端から後方に延びるその一部分のみに亙って延びるだけである。強化要素703の後方末端にポリマー材料の膨らんだ容器715が結合され、光ファイバーと電極702の組み合わせが該容器の中心を通過して延びる。パリレン又はシリコーンゴムのようなポリマー材料の容器715の後方末端は硬いポリマー管717に結合され、該管を通って光ファイバーと電極702との該組み合わせが更に延びる。硬いポリマー管717は、管状空隙718がそれと容器715との間に形成されるような寸法である。容器715には多孔性、水不溶性材料716、例えばシリカ、が充填されている。薬学的活性薬剤、例えばドーパミン、が該多孔性材料716に吸着される。遠位末端開口719を通って入る水性体液により水溶性強化剤703が溶解することにより、光ファイバー及び電極702の組み合わせと、水不溶性ポリマー材料の可撓性被膜704との間の空隙は該体液で満たされるようになる。この過程により、
図7の原器具は
図8の器具701に変換される。管717の空隙718中にサリン(生理的食塩水)の制御された前進流Fを与えることにより、多孔性材料上に吸着されたドーパミンは溶解しそして空隙708に拡散し、そしてそこから、遠位末端開口719を通って隣接する組織に拡散して、その効果を生物学的構造体、例えばニューロン、に発揮し、該生物学的構造体の電気的活性は電極で監視されそして該構造体に、光ファイバーと電極702との該組み合わせの光ファイバーにより行われる放射線を照射することができる。
【0062】
実施例
12:本発明の原器具の束
図9a(R−R断面)、
図9b(O−O断面)及び
図9c(P−P断面)の4つの原器具801a’〜801d’の束800’において、原電極は平行に配置されそして円筒状基部820の貫通孔中に設けられる。原器具801a’,801b’,801c’,801d’の各々は、光ファイバーと電極との中心の組み合わせ802a,802b,802c,802d、該光ファイバーと電極との各中心の組み合わせ802a,802b,802c,802d上の水溶性強化要素若しくは層803a,803b,803c,803d、及び対応する強化要素803a,803b,803c,803d上の可撓性水不溶性ポリマー被膜804a,804b,804c,804dを含む。原器具801a’,801b’,801c’,801d’は、中心束軸Q−Qに対して対称に配置される。該束の光ファイバーと導電体の近位セクション810a,810cは制御装置(図示なし)に接続される。
【0063】
前の態様で記載した本発明の種々の原器具の各々を束ねて、本発明の原器具の束を形成することができる。本発明の原器具の束は、2種又はそれ以上の異なる本発明の原器具を含むことができる。本発明の原器具の束を軟質組織に挿入すると、対応する本発明の器具の束が、水溶性又は分解性強化要素の溶解又は分解により形成される。
【0064】
軟質組織への挿入を容易にするために、本発明の原器具の束を水溶性材料の殻(図示なし)に入れることができる。該殻は尖った又は丸まった前端を有し、そして好ましくは束軸Q−Qの周りに回転対称であり、そして基部820まで延びる。
【0065】
実施例
13:本発明の原器具の束のアレーの第1態様
図10(V−V断面)に示す本発明のアレー950は、本発明の原器具の6個の束901’a,902’a,903’a,904’a,905’a,906’aを含む。各束は1対の原器具を含む。束900a’,900b’,900c’,900d’,900e’,900f’はその後端で束ねホルダー(
図11)に設けられる。束900a’のホルダー911aのみが詳細に
図11に特定されている。束ねホルダー911は、先の尖った前端909を有する長いほぼ長方形の平らな基部910に糊付けにより設けられる。基部910は好ましくはポリプロピレン、ポリアクリレート又はポリカーボネートのような生体適合性ポリマー材料から成る。ホルダー911aは長い基部軸U−Uに対して対称的に設けられているので、原器具の束900a’,900b’,900c’は、基部910の左側の長い縁970に、そして他の3個の束900d’,900e’,900f’は右側の長い縁971に、原器具の3個の束900a’,900b’,900c’,900d’,900e’,900f’の前端部分がそれぞれの縁に亙って斜め前方向に延びるように設けられている。基部910の後端の近くで、左側の束900a’,900b’,900c’及び右側の束900d’,900e’,900f’の電極及び光ファイバーを接続する電気的及び場合によっては光学的伝導体が、可撓性ポリマー管907、908内で合わせられる。軟質組織への挿入を容易にするために、原束のアレーを水溶性材料の殻(図示なし)に入れることができる。
【0066】
本発明の原器具の束900a’,900b’,900c’,900d’,900e’,900f’のアレー950を軟質組織に挿入すると、強化要素の溶解、分解又は膨潤により、アレー950は対応する本発明の器具の束のアレー(図示なし)に変換される。
【0067】
実施例
14:本発明の原器具の束のアレーの第2態様
図12のアレー1001は、ポリウレタンの薄い円形の平らなサポート1002を含み、その一つ(上)面から、本発明の原器具の9個の本発明の束1003、1004、1005、1006、1007等が互いに平行に配置されるように垂直に延びている。各束は5個の本発明の原器具を含む。束1003、1004、1005、1006、1007等の原器具はサポート1002を貫通し、該サポートの他の(底)面から短距離だけ延びる。それらは可撓性管1008内で束ねられ、そして制御装置1009に光学的且つ電気的に接続される。制御装置1009は、人が選択した束の光ファイバー及び電極、並びに1つの束の選択した光ファイバー及び電極さえも作動するのを許し、そして軟質組織から放出された光学的及び電気的信号を受信して制御装置に送るのを可能にする。制御装置1009はまた、人に種々の種類の放射線を束の選択した光ファイバーを通って送るのを許す。従って、種々の活性化及び照射パターンが実現でき、そして軟質組織から出る電気的信号及び照射パターンを受信しそして検出できる。
【0068】
実施例
15:本発明の原器具の第11態様
図13には、本発明の原器具の第10態様1201’の遠位末端部分の軸方向F’−F’断面図が示される。参照番号1202は光ファイバーと電極の組み合わせを特定し、該組み合わせは対応する構造の蛇腹形強化要素1203の遠位面1206から距離hだけ近位方向に引っ込んでおり、該強化要素上には、対応する形状の可撓性ポリマー被膜1204が配置されている。組織流体が強化要素1203とその平らな遠位面1206で接触することにより水溶性強化要素1203が溶解すると、本発明の対応する器具が形成される。このようにして形成された本発明の器具の被膜1204は近位/遠位方向に延長可能であり、これにより該器具が挿入された組織のいろいろな部分の動きに適合し、そして該組織内に固定されるように設計されている。
【0069】
実施例
16:本発明の原器具の第12態様
図14aに示された本発明の原器具1301’の回転対称(中心軸F−F)である第
12態様は、光源としてのLED1309、及び円筒状の可撓性ポリマー被膜1302の内面上の金又は白金の円筒状層1302を含む。水溶性材料のキャップ1307が被膜1304の遠位面に取り付けられており、該被膜の近位末端は円形基部1330に取り付けられている。被膜1304/金層1308、キャップ1307及び基部1330は、グルコースとアルブミン又はゼラチンとの水溶性混合物の強化要素1303により占められる円筒状空間を規定し、ここで該ゼラチンは天然ゼラチン及び熱若しくは化学的に架橋されたゼラチンから選ばれる。該LED1309及び電極層1302は制御装置(図示なし)に、多数のリード線1331を介して電気的に接続されている。
【0070】
原器具1301’を軟質組織STに挿入すると、強化要素はその遠位面で水性軟質組織流体STFと接触し、そして溶解する。このようにして、本発明の器具1301が形成される、
図14b。時間と共に、以前は強化要素1303で占められた空隙中のグルコースとアルブミンの溶液は、純粋な軟質組織流体STFで置き換えられるか、或いは強化要素がゼラチンのように膨潤性であれば、該空隙は半透明ゲルで満たされるようになる。LEDを賦活化することにより、器具1301から遠位に配置されたニューロン1320は照射される。ニューロン1320から放出される蛍光を検出することにより、器具1301に相対的なニューロンの位置を決定でき、該器具を該ニューロンに対して所望の方向に変位させて、該器具をニューロン1320と光学的及び/又は電気的な相互作用に最適に配置させる。
【0071】
実施例
17:本発明の原器具の第13態様
図15に示された本発明の原器具の第12態様1401’は、電極が遠位末端部分以外は絶縁されていること、及び遮蔽用金属層1405が可撓性ポリマー被膜1404の外側面上に配置されていること以外は、
図14aの第11態様1301’に対応する。遮蔽用層1405は、その外側面上で被膜1404と同じ材料の被膜1406により覆われ、完全に絶縁されている。電極1402を遮蔽する層1404は地電位に保持されて、電極1402を外界の電場による妨害から保護する。電極
1402はその内側面が、遠位末端から延びる1410の小部分以外は、ラッカー1408により絶縁されている。電極1402は、軟質組織との接触を避けるか又は少なくとも遅らせるために、強化要素1403及び可撓性ポリマー被膜1404の遠位面1411から距離hだけ
近位方向に引っ込められている。電極層1402及び遮蔽用層1405、並びに可撓性ポリマー被膜1404、1406は基部1430に取り付けられ、そして基部1430を経て多数のリード線1431に電気的に接続される。参照番号1407及び1409はそれぞれ、
図14aの態様の要素1307及び1309に対応する。
【0072】
実施例
18:金属要素又はポリマー要素の水溶性材料での被覆
光ファイバーと導電体若しくは光源との組み合わせから、該組み合わせをジエチルエーテルに10秒間浸し、それを取り出しそして乾燥することにより、グリース及び油を除去する。約30μm厚の糖被覆を該組み合わせに下記の方法で施す。スクロース(100g)を水50ml中に溶かす。該溶液を透明に見えるまで約5分間煮沸する。該溶液を80℃に冷ます。1対のステンレス鋼ピンサーで後部端を保持した該組み合わせを該溶液に完全に浸す。それを該溶液から、速度6mm/sで垂直に引き抜くことにより取り出す。スクロース被覆組み合わせを一晩乾燥して、本体上に約40μm厚の乾燥スクロース被膜を形成する。該被膜の厚さは、引き抜き速度を変えるか及び/又は多回浸漬により選択することができる。該速度を下げるとより
厚い被膜となる。
【0073】
実施例
19:実施例
15の乾燥スクロース要素をパリレンCで被覆することによる本発明のプレステージ器具の製造
約4μm厚のパリレンCの被膜を、最新技術の真空被覆法(http://www.scscookson.com/parylene/properties.cfm)により塗布する。該被覆法では、ジーパラーキシレンを蒸発させ、次ぎに熱分解してパラキシレンにし、これを高真空下でほぼ室温に保持された蒸着室に誘導し、そこで実施例
18のスクロース被覆要素に沈着させる。このようにして得られた2回被覆された器具は、本発明のプレステージ器具に相当する。
【0074】
実施例
20:実施例
19のプレステージ器具からの本発明の原器具の製造
実施例
19のプレステージ器具を、その前末端を最前にして、短い3mm直径のポリプロピレンシリンダー中の溶融高融点パラフィン(融点:約40℃)中に浸す。室温に冷却後、該プレステージ器具を収容したパラフィンブロックをポリプロピレン支持体上に置き、そしてカミソリ刃で、その先端を離すように半径方向に切断する。該ブロックを融解しそしてこのように形成された原器具を引き抜くことにより、該パラフィンの殆どを除去した後、該原器具をペンタンで数回濯ぎ、そして乾燥する。切断前の絶縁された電極本体の記録されたインピーダンスは、電極本体をサリンに浸漬して測定して、>10megohm(メガオーム)である。先端を切断しそして原器具をサリンに2−3時間浸漬した後に記録されたインピーダンスは<50kohm(キロオーム)である。或いは、実施例15のプレステージ器具を顕微鏡下で固定し、そして前端近くのパリレンC被膜の部分を、該被膜をミクロファイルで引っ掻く異により除去する。ここで該ミクロファイルは、薄いスチールワイア(0.1mm直径)を酸化チタン粉末(約10μmの粒)で、該粉末の塗布直前にジエチルエーテルに溶かしたシアノアクリレートプレポリマーに該ワイアを浸して、被覆することにより製造される。
【0075】
該原器具の寸法は広範囲で変えることができる:100μmまで、又はそれ以上までが有用である。好ましい直径は5μm〜30μmである。該原器具の長さは、挿入後の所望の位置に適合させることができる。
【0076】
実施例
21:本発明の原器具の第14態様
図16に示された本発明の原器具の第14態様1501’は、基部1530に設けられた光源1509の外に、基部1530に設けられた光センサー1532、特に蛍光用のセンサー、を含む点で相違する。放射線センサー1532は、可撓性導電性ワイア1533により、マイクロプロセッサー、記憶装置及びプリンターのようなデータ出力手段を含む記録装置(図示なし)と接続されている。原器具1501’の他の特徴15XXは、第13態様の原器具1401’のそれぞれの特徴14XXに対応する。
【0077】
実施例
22:本発明の原器具及び該原器具から軟質組織へのインプラントで形成される本発明の器具の第15態様
図17、29に示される本発明の原器具の第15態様1601‘は、水性体液に分解性又は溶解性の強化要素1603を含む。該強化要素1603は、ポリマー材料、例えば高架橋ポリウレタン、の硬質円筒形状基部1613に設けられている。LED光源1609が基部1613の遠位面に設けられており、そして電力源に接続された絶縁された可撓性伝導体1614により、作動される。強化要素1603は、長手軸F−Fに対して回転対称の実質的に円筒形である。該強化要素1613と基部1603はほぼ同じ直径を有する。強化要素1603は、電気絶縁性の可撓性ポリマー1608、導電性の可撓性電極層1604及び可撓性被覆層1602の連続層により覆われている。該可撓性電極層1604は、該電気絶縁性ポリマー層1608と、該電気絶縁性ポリマー層1608に覆われていない該強化要素1603の狭い遠位の帯域とに、金属イオンスパッタリングのような適当な方法で取り付けられている。この目的には、金及び銅のような高導電度の金属が好ましい。ポリマー層1608及び1602は、形成中の原器具を、該強化要素1603材料が溶解しない低極性の有機溶媒中のそれぞれのポリマーの溶液中に浸すことにより、付着されている。該強化要素の遠位面1611は次ぎに、水性体液に容易に溶解する材料からなる丸いキャップ1610で覆われる。該キャップ1610は、該器具の軟質組織への挿入を容易にするために設けられる。電極のインプラントで該電極が周囲の軟質組織と接触するのを避けるために又は少なくとも接触を一層難しくするために、電極層1604は、
図17で”h”で示されるように、可撓性ポリマー被膜の遠位縁から僅かに引っ込められる。電極層1604の遠位末端部分は、体液との電気的接触を与えるために、絶縁性内側可撓性ポリマー層1608で覆われていない。遠位軸方向開口1615に加えて、中心を同じ半径方向面B−B内に配置された円形の3個の遠位半径方向開口1605、1606、1607が設けられる。該半径方向開口は、光が半径方向に発散して隣接する軟質組織構造に影響を与えるか又は可視化されるように配置されている。光が半径方向に逃げるのを高めるために、電気絶縁性ポリマー層1608の内側面に反射性被膜、例えば銀又は白金の薄い被膜、を設けるか、又は層1608に良好な可視光反射性を有するポリマーを使用することができる。光源1609により放出される可視光の幅広いビームは遠位方向に向けられ、その一部分は絶縁性ポリマー層の内側面又は該層上の反射性被膜の内側面を打つ。そこから該ビームは、一部は遠位側面開口1605、1606、1607の方向に反射され、該開口を通って逃げる。電極層1604の絶縁されていない環状部分が側面開口に設けられ、それらの1つ1604
*のみが
図17及び18に示される。これらの2種のブランク電極面を組み合わせて使用できる。或いは、それら電極面の1つのみを使用するのを望むなら、他の電極面は、電気絶縁性材料の層をその上に適用して不活性にすることができる。
【0078】
原器具1601’は、軟質組織にインプラントすると、その強化要素の溶解又は分解により、
図18、30に示す本発明の器具1601に変換される。”M”は、強化要素1603の完全溶解により体液で満たされた器具1601の内側空間を示す。
【0079】
図31は、本発明の器具1601の物理的に変更された壁のセクション1601
*を示す。該変更は、該壁に蛇行又は蛇腹形の形態を与えることから成る。該壁セクション1601
*は可撓性ポリマー被膜1604
*、電極層1602
*,及び内側絶縁性ポリマー層1608
*を含む。かかる変更により、非弾性壁材料を含む又は該材料から成る本発明の器具は軸方向に延長性にされる。
【0080】
実施例
23:本発明の原器具及び該原器具から軟質組織へのインプラントで形成される本発明の対応する器具の第16態様
図19に示す原器具1701’は、
図17の原器具に対応する軸方向図面で示され、
図17の原器具とは、キャップ1601をその可撓性ポリマー被膜1704の一部で置き換えた点で相違する。軟質組織にインプラントすると、強化要素1703は溶解又は分解し、そして水性体液で置き換えられる。これにより、
図20に示す本発明の対応する器具1701が形成される。
図19及び20中で詳細に特定されていない参照番号17XXは、
図17及び18で示した対応する種類16XXの要素を云う。
【0081】
実施例
24:本発明の原器具及び該原器具から軟質組織へのインプラントで形成される本発明の対応する器具の第17態様
図21に示す原器具1801’は、
図17の原器具に対応する軸方向図面で示され、
図17の原器具とは、基部1813の遠位面に設けられた光センサー1815を備えた点で相違する。該センサー1815は可視光に感受性である。それは、ある種の波長の蛍光放射線を監視するのに特に適し、そして多くの市販の光センサーからそのように選ばれる。それは絶縁した可撓性リード線1816により記録装置(図示なし)に電気的に結合されている。該記録装置は該センサーからの電気信号を数字データに変換し、そしてこれらのデータをメモリーに保存する。該記録装置はまた、光源1809による組織照射を調整し、センサー1815データを記録し、そして電極1802制御をすることができる。
図21中で詳細に特定されていない参照番号18XXは、
図17及び18で示した対応する種類16XXの要素を云う。原器具1801’は、軟質組織にインプラントすると、強化要素1803の溶解又は分解により、
図22に示されるように、本発明の器具1801に変換される。
【0082】
実施例
25:本発明の原器具及び該原器具から軟質組織へのインプラントで形成される本発明の対応する器具の第18態様
図23に示す原器具1901’は、
図17の原器具に対応する軸方向図面で示され、
図17の原器具とは、反射性内側壁部分1919及び遠位壁部分1918が微小開口を有する点で相違する。該微小開口はレーザー技術により設けられる。それらの機能は、体液を強化要素1903に接近させて、該要素が溶解し、そして器具の内部Mから出るその成分を輸送するのを可能又は容易にすることである。該微小開口の直径は50μm又はそれ未満のオーダー、更に好ましくは5μm〜30μmである。図
23中で詳細に特定されていない参照番号19XXは、
図17及び18で示した対応する種類16XXの要素を云う。原器具1901’は、軟質組織にインプラントすると、強化要素1903の溶解又は分解により、
図24に示されるように、本発明の器具1901に変換される。
【0083】
実施例
26:
図17に示された本発明の原器具及び該原器具から軟質組織へのインプラントで形成される
図18に示された本発明の対応する器具の第1変更形
図25に示す原器具2001’は、半径方向断面図のみ示され、
図17の原器具の半径方向断面図(B−B断面図)である
図29に対応する。B−B断面図は、可撓性ポリマー被膜2004の一部で覆われた円形窓2005、2006、2007の中心を切断する。該被膜2004は半透明ポリマー材料から成る。
【0084】
原器具2001’は、軟質組織にインプラントすると、強化要素2003の溶解又は分解により、
図26に示されるように、本発明の器具2001に変換される。体液で満たされた空隙はMで表される。
図24中で詳細に特定されていない参照番号20XXは、
図17で示した対応する種類16XXの要素を云う。
【0085】
実施例
27:
図17に示された本発明の原器具及び該原器具から軟質組織へのインプラントで形成される
図18に示された本発明の対応する器具の第2変更形
図27に示す原器具2101’は、半径方向断面図のみ示され、
図17の原器具の半径方向断面図(B−B断面図)である
図29の半径方向断面図に対応する。B−B断面図は、半透明可撓性ポリマー材料のシート2115、2116、2117で覆われた円形窓2105、2106、2107の中心を切断する。原器具2101’は、軟質組織にインプラントすると、その強化要素2103の溶解又は分解により、
図28に示されるように、本発明の器具
2101に変換される。体液で満たされた空隙はMで表される。
図27、28中で詳細に特定されていない参照番号
21XXは、
図17で示した対応する種類
16XXの要素を云う。
【0086】
材料
電極:電極は好ましくは、金、銀、白金、イリジウムのような貴金属又は貴金属合金又は貴金属を含む合金であるが、他の生体に許容される金属、例えばステンレス鋼及びタンタル、並びに金メッキ銅もまた、使用できる。アルミニウムは光ガラスファイバーを被覆するために好ましい金属である。金属又は金属合金の代わりに、上記導電体は導電性ポリマー、例えばPEDOT、から成るか又は該ポリマーを含んでもよい。導電性状態の炭素もまた使用し得る。第1被膜の除去により体液から電気的に絶縁されていない導電体の部分は、表面拡大要素又は構造、例えば粗くした表面、伝導性ナノワイア、例えば炭素ナノワイア、の林立(フォレスト)を設けるか、又は多孔性にするのが有利であり得る。この種の表面拡大構造は導電体のインピーダンスを減少させるであろう。該導電体の制御装置との電気的接続は、該導電体の後端と該制御装置との間に結合された金属ワイア又は類似物により、又は該導電体自体で与えることができ、該導電体の後部セクションは電気結合手段として機能する。かかるケースにおいて、該後部セクションは電気的に絶縁されていなければならない。
【0087】
強化要素被膜:本発明の電極と光源との組み合わせは、1種又はそれ以上の生体適合性第1被膜材料に埋められ/被覆され、該材料は水に溶解性、膨潤性及び/又は分解性であり得る。2種又はそれ以上のかかる材料中に埋められた場合、それらは溶解速度が相違する。好ましい第1被膜材料は、水溶性炭化水素及びタンパク質、並びにそれらの混合物である。しかしながら、水中で膨潤性及び/又は体液中で分解性の水不溶性ポリマー材料を使用することも可能である。溶解速度を制御できる適切な強化要素被膜材料は、スクロース、ラクトース、マンノース、マルトースから選ばれる糖類、又は該糖類とクエン酸、リンゴ酸、リン酸、酒石酸から選ばれる有機酸との混合物の水溶液を繰り返し煮沸し、そして冷却することにより得られる。特定の糖(類)と有機酸との組み合わせを選択することにより、種々の溶解時間の材料を得ることが可能である。ゼラチンもまた、第1被膜材料として使用し得る。種々のタイプのゼラチン又はゼラチンを基材とする材料は異なる溶解速度を有することは良く知られている。水に溶解性又は膨潤性の第1被膜が、2つ又はそれ以上のセクションを有する場合、光ファイバー/光源及び電極の長方形の組み合わせに沿って配置される。適正なゼラチンの組み合わせの選択はより短い溶解時間の遠位被膜セクションと、より長い溶解時間の近位第1被膜セクションを与える。遠位第1被膜セクションに糖を基材とする第1被膜材料を使用し、そして近位第1被膜セクションにゼラチンを基材とする第1被膜材料を使用するか、又はその逆もまた可能であり、遠位第1被膜セクションにゼラチンを使用し、そして近位第1被膜セクションにアラビアゴムを使用することも可能である。第1被膜材料の更に有用な組み合わせ、例えば種々のタイプの天然ゴム、は当業者に容易に手が届く範囲である。場合によっては、実質的により長い溶解時間を有する第1被膜材料、例えば変性コラーゲン、セルロース誘導体、変性澱粉又は他の生体適合性材料、例えばポリグリコール酸、もまた使用できる。
【0088】
場合によっては、本発明のプレステージ器具、原器具、原器具の束、及び原電極及び束のアレーのポリマー被膜、又は第1被膜上の水溶解性材料の更なる被膜は、完全に又は部分的に、生体適合性滑剤で覆って、組織への挿入中の摩擦を低減することができる。有用な滑剤には、グリセロールモノパルミテート、グリセロールジパルミテート、グリセロールモノステアレート、グリセロールジステアレート、パルミチルアルコール、ステアリルアルコールが含まれる。滑剤の薄い被膜は、例えば、滑剤のエタノール若しくはエチルアセテート溶液を噴霧することにより施すことができる。
【0089】
可撓性ポリマー被膜:原則として、電気絶縁に適した全ての種類のポリマー材料が使用できる。しかしながら、ポリマー被覆により製造される本発明のプレステージ器具の小さい構造は、数多くの塗布方法及び有用なポリマーを制限する。モノマーを気相から沈着するのが好ましいが、例えばパリレン被膜を与えるには、水溶解性/膨潤性/分解性強化要素材料で被覆したプレステージ器具をポリマー又はプレポリマー溶液に浸し、それを該溶液から取り出し、溶媒を蒸発させ、場合によってはプレポリマーを沈殿させるのも有用である。浸漬方法は、水溶解性/膨潤性/分解性材料と相互作用しないポリマー溶媒、特に、アルカン若しくはアルケン若しくはシクロアルカンのような非極性溶媒、又は非極性芳香族溶媒、又はそれらの混合物、特にペンタン又はヘキサン、だけでなく、ジエチルエーテル又はジクロロメタンにも行使されるべきである。適したポリマーは、生体適合性型のポリウレタン、ポリウレタン尿素及びポリイミドを含む。他の有用なポリマーには、種々の種類のシリコーンが含まれる。更なる有用なポリマーには、ポリエチレンテトラフタレート(PET)が含まれる。本発明の可撓性ポリマー被膜は周囲の組織と共に動き、組織の動きを制限しない。可撓性被膜の厚さは、2〜3μmから20μmまで又は50μmまで又はそれ以上までである。
【0090】
原電極の束:本発明の原電極はいろいろな方法、例えば該電極の後端部分をポリマー若しくはその他の材料の基部に入れるか、又は該電極の後端部分をのり付けして結合することにより、束ねることができる。束ねは、該器具を軟質組織に挿入する前若しくは挿入中に固定された関係に保持するためのような一時的であるか、又は恒久的であることができる。原器具の束は、該束に含まれる2個又はそれ以上の器具の遠位末端から近位方向に配置されそして平行若しくはほぼ平行に整列された束ね手段を含む。該束ね手段は、好ましくは恒久的、即ち、体液で溶解又は分解されないものであるが、一時的、即ち、該束を軟質組織に配置すると溶解若しくは分解されるものでもよい。好ましい恒久的束ね手段は、接着剤、特に冷間硬化性ポリマー接着剤、例えばポリウレタン又はポリアクリレートポリマー、である。ポリマー接着剤は、該接着剤を整列した原器具にその近位部分で適用してから1年又は5年以上の非常に長い期間に亙る以外は、体液により溶解性又は分解性でない接着剤である。
【0091】
対応する性質の水溶解性又は分解性接着剤は、原器具を挿入すると急速に又はゆっくりと解離させる。膨潤性であるが水溶解性でない接着剤は、軟質組織に挿入した原器具及びそれから形成された本発明の器具が限定された方法で変位するのを許し、一方、不溶性及び非膨潤性接着剤は、屈曲の動きを控えさせ、そして延長可能と示された場合は、長さが変化するのを許すであろう。
【0092】
束の個々の原器具は長さが違ってもよい。例えば、束の中央の原器具はその周辺の原器具よりも長くて、中央束ポイントを与えてもよい。
【0093】
軟質組織に挿入すると、束の原器具は本発明の器具に変換し、そして原器具の束は本発明の器具の束に変換する。
【0094】
本願で、原器具のアレー又は原器具の束は、非導電性サポート(支持体)の少なくとも一面に配置されそして付着された数多くの本発明の原器具及び/又は原器具の束を含む原器具パターンを形成する。ポリプロピレン、ポリアクリレート、ポリカーボネート及びパリレンCのような適当なポリマーの、実質的に2面だけを含む薄いサポートが好ましい。該サポートは平らであることができるが、曲がっていてもよい。原器具及び/又は原器具の束は、該サポートの一面又は両面に設けることができる。該サポートに付着された原器具及び/又は原器具の束は、該サポートから角度をもって、特に約15度から約75度、そして90度までの角度で、突き出ることができ、該角度は、原器具又は原器具の束と、該サポートの取り付け面への突起との角度及び/又は原器具又は原器具の束の長手軸と該サポートの中央長手軸とに含まれる約15度から約75度の角度である。該サポートは孔を含むか、又は体液に半透過性、即ち、少なくとも水及び無機塩に透過性、であり得る。
【0095】
原器具、原器具の束、及び原器具若しくは原器具の束のアレーは、軟質組織に挿入しそして水性体液に接触すると、対応する本発明の器具、器具の束、及び器具のアレーに変換される。
【0096】
本発明のアレーのサポートもまた、軟質組織に溶解性又は分解性の材料から成ることができる。有用な材料には、前に有用な水溶解性/膨潤性/分解性第1被膜材料として特定した材料が含まれる。
【0097】
所望により、アレーサポートは、制御装置、例えば、個々の器具の導電体と電気接続した電子チップを含むか又は該電子チップから成る制御装置、を備えることができる。該制御装置は電気的組織刺激及び/又は電気的神経信号を記録するための信号増幅器を含むか、又はこれに電気的接続していることができる。該アレーサポートは放射線制御装置をも備えることができ、該装置は、該アレーの光ファイバーと光学的に結合した1個又はそれ以上のLEDsのような放射線放出手段を含む。更に、該アレーサポートは、光センサーをも備えることができる。