特許第6676621号(P6676621)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6676621蛍光装置への2つのアクセス開口を備える顕微鏡
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6676621
(24)【登録日】2020年3月16日
(45)【発行日】2020年4月8日
(54)【発明の名称】蛍光装置への2つのアクセス開口を備える顕微鏡
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/06 20060101AFI20200330BHJP
   G02B 21/24 20060101ALI20200330BHJP
   G01N 21/64 20060101ALI20200330BHJP
【FI】
   G02B21/06
   G02B21/24
   G01N21/64 E
【請求項の数】17
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-510359(P2017-510359)
(86)(22)【出願日】2015年8月20日
(65)【公表番号】特表2017-526963(P2017-526963A)
(43)【公表日】2017年9月14日
(86)【国際出願番号】EP2015069137
(87)【国際公開番号】WO2016026926
(87)【国際公開日】20160225
【審査請求日】2017年8月7日
(31)【優先権主張番号】102014111928.2
(32)【優先日】2014年8月20日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102014116648.5
(32)【優先日】2014年11月14日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】511079735
【氏名又は名称】ライカ マイクロシステムズ シーエムエス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Leica Microsystems CMS GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マーティン クーベク
【審査官】 殿岡 雅仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−031015(JP,A)
【文献】 特開2009−116031(JP,A)
【文献】 特開2013−186309(JP,A)
【文献】 特開2006−201590(JP,A)
【文献】 特開2001−215416(JP,A)
【文献】 特開2005−284284(JP,A)
【文献】 特表2010−501086(JP,A)
【文献】 特開平08−271797(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0088844(US,A1)
【文献】 特開平08−122645(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 21/00 − 21/36
G01N 21/62 − 21/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察すべき試料が設置されるステージ(14)が取り付けられた鏡脚基体(12)を備え、
前記鏡脚基体(12)のハウジング(42)により包囲された室内に交換可能な蛍光キューブ(56)を有する蛍光装置(50)が配置されており、
記ハウジング(42)は、第1の開口(70)を有し、該第1の開口(70)を介して、前記蛍光装置(50)へのアクセスが可能である、顕微鏡であって、
前記ハウジング(42)は、少なくとも1つの第2の開口(74)を有し、該第2の開口(74)を介して、同様に前記蛍光装置(50)へのアクセスが可能であり、これにより全体で2つの開口(70,74)が設けられており、これらの第1の開口(70)および第2の開口(74)を介して、それぞれ前記蛍光装置(50)へのアクセスが可能であり、前記第1の開口(70)および前記第2の開口(74)を介して、それぞれ前記蛍光装置(50)の蛍光キューブ(56)を交換することができ、
前記蛍光装置(50)は、回動軸線(60)を中心に回転可能な回転テーブル(52)を有し、該回転テーブル(52)に、交換可能な複数の前記蛍光キューブ(56)が収容可能であり、
前記回転テーブル(52)は、前記蛍光キューブ(56)の交換が、交換のために前記回転テーブル(52)を取り外さなくても、前記第1の開口(70)を通しても前記第2の開口(74)を通しても可能に寸法決めされかつ位置決めされており、
自由に選択可能な側で、外部の構成群を取り付けるための構成スペースおよび外部の構成群の連結のための機械的なかつ/または光学的なインタフェースが設けられており、前記外部の構成群がどちらの側に配置されているかにかかわらず、前記外部の構成群全体を予め再び取り外さなくても、前記蛍光装置(50)へのアクセスを行うことができることを特徴とする、顕微鏡。
【請求項2】
前記第1の開口(70)と前記第2の開口(74)とは、前記ハウジング(42)のそれぞれ反対の側に配置されている、請求項1記載の顕微鏡(10,100)。
【請求項3】
前記第1の開口(70)と前記第2の開口(74)とは、同一に成形されている、請求項1または2記載の顕微鏡(10,100)。
【請求項4】
前記第1の開口(70)を少なくとも部分的に閉鎖する第1の蓋(72,102)および/または前記第2の開口(74)を少なくとも部分的に閉鎖する第2の蓋(76,104)が設けられている、請求項1から3までのいずれか1項記載の顕微鏡(10,100)。
【請求項5】
前記第1の蓋(72,102)は、前記第1の開口(70)を完全に閉鎖する、かつ/または前記第2の蓋(76,104)は、前記第2の開口(74)を完全に閉鎖する、請求項4記載の顕微鏡(10,100)。
【請求項6】
前記第1の蓋(72,102)は、前記第1の開口(70)を部分的にしか閉鎖しない、かつ/または前記第2の蓋(76,104)は、前記第2の開口(74)を部分的にしか閉鎖しない、請求項4または5記載の顕微鏡(10,100)。
【請求項7】
前記第1の蓋(72,102)と前記第2の蓋(76,104)とは、該第1の蓋(72,102)および該第2の蓋(76,104)の両方がそれぞれ選択的に両方の前記開口(70,74)に取付け可能に構成されている、請求項4から6までのいずれか1項記載の顕微鏡(10,100)。
【請求項8】
前記第1の蓋(72,102)と前記第2の蓋(76,104)とは、同一に構成されている、請求項4から7までのいずれか1項記載の顕微鏡(10,100)。
【請求項9】
前記第1の蓋(72,102)および/または前記第2の蓋(76,104)は、前記ハウジング(42)にねじ止め可能である、請求項4から8までのいずれか1項記載の顕微鏡(10,100)。
【請求項10】
前記第1の開口(70)および前記第2の開口(74)は、前記回転テーブル(52)が前記第1の開口(70)を通しても前記第2の開口(74)を通しても取外し可能に構成されている、請求項1から9までのいずれか1項記載の顕微鏡。
【請求項11】
前記回転テーブル(52)は、移動可能であるまたは引出し可能である引出し上に配置されており、該引出しは、前記引出しが前記第1の開口(70)からも前記第2の開口(74)からも外方へ移動可能または引出し可能に構成されている、請求項1から9までのいずれか1項記載の顕微鏡(10,100)。
【請求項12】
前記回転テーブル(52)は、旋回可能な旋回式引出し上に配置されており、該旋回式引出しは、前記旋回式引出しが前記第1の開口(70)からも前記第2の開口(74)からも外方へ旋回可能に構成されている、請求項1から9までのいずれか1項記載の顕微鏡(10,100)。
【請求項13】
前記回転テーブル(52)を回動させるためのモータ(58)が設けられている、請求項1から12までのいずれか1項記載の顕微鏡(10,100)。
【請求項14】
前記回転テーブル(52)は、該回転テーブル(52)を手動で回動させるために、前記第1の開口(70)および/または前記第2の開口(74)から外へ突出している、請求項1から12までのいずれか1項記載の顕微鏡(10,100)。
【請求項15】
前記回転テーブル(52)の縁は、溝目(106)を有する、請求項14記載の顕微鏡(10,100)。
【請求項16】
前記回転テーブル(52)は、少なくとも4つの、それぞれ1つの蛍光キューブ(56)を収容するための収容領域を有する、請求項1から15までのいずれか1項記載の顕微鏡(10,100)。
【請求項17】
前記回転テーブル(52)は、少なくとも8つの、それぞれ1つの蛍光キューブ(56)を収容するための収容領域を有する、請求項1から15までのいずれか1項記載の顕微鏡(10,100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顕微鏡に関し、顕微鏡は、ハウジングと蛍光装置とを備え、蛍光装置は、ハウジングにより包囲された室内に配置されている。ハウジングは、第1の開口を有し、第1の開口を介して、蛍光装置へのアクセスが可能である。
【0002】
蛍光顕微鏡では、蛍光性の色素は、所定の波長の光により励起され、これに基づき、蛍光色素は、別の波長の光、いわゆる蛍光を放出する。蛍光色素に応じて、試料は、様々な波長の光により励起されるべきである。同様に、色素に応じて、放出される蛍光の波長がそれぞれ異なっている。
【0003】
様々な蛍光色素を有する試料を相応に顕微鏡で観察できるようにするために、蛍光顕微鏡は、蛍光装置を備える。蛍光装置には、複数の蛍光キューブを収容することができ、蛍光キューブのうちのそれぞれ1つを選択的に顕微鏡のビーム路に導入することができる。蛍光キューブは、特に励起フィルタを有する。励起フィルタは、光源から放出された光が抽出されて、励起波長を有する励起光だけが励起フィルタを通過するように働く。さらに、蛍光キューブは、ビームスプリッタを有し、ビームスプリッタを介して、励起光は、試料へ向けて反射される。試料から放出される蛍光は、ビームスプリッタならびに吸収フィルタを透過する。吸収フィルタを、蛍光波長を有する蛍光だけが透過し、顕微鏡の鏡胴および/またはカメラに達する。
【0004】
そのような蛍光装置は、必然的に、様々な蛍光キューブを収容するための限られた数の区分しか有しないので、蛍光キューブを容易に交換できるようにする必要がある。
【0005】
文献独国特許102004034887号明細書において顕微鏡が公知である。この顕微鏡は、回動軸線を中心に旋回可能な旋回式引出しを有し、旋回式引出しにより、蛍光キューブがその上に載置された回転テーブルを、顕微鏡のハウジングの開口から外方へ旋回させることができるので、蛍光キューブを容易に交換することができる。
【0006】
独国特許発明第4404286号明細書は、顕微鏡を開示しており、この顕微鏡では、蛍光キューブを備える回転テーブルが引出し上に配置されており、引出しは、蛍光キューブを交換するために、ハウジングの開口から外方へ移動可能である。
【0007】
前述の両方の顕微鏡では、これらの顕微鏡が単一の開口を有し、この開口を通して旋回式引出しまたは引出しが外方へ移動可能であることが共通している。
【0008】
その欠点によれば、一方では、それゆえ片側からだけ蛍光装置へのアクセスが可能であり、これは、どちらの側に開口が配置されているのかに基づいて、右利きの人および/または左利きの人にとって人間工学的でなくなることがある。他方では、多くの場合に顕微鏡の側方に、追加的に外部に配置された機能構成群が設けられていることが不都合である。たとえば、カメラ用の接続部、マイクロマニピュレータ、光源、試料供給部、空調室およびこれに類するものが設けられることがある。これらの外部の構成群が、開口と同じ側に配置されていると、開口を介して蛍光装置へのアクセスが可能となる前に、これらの構成群を、その都度はじめに再び取り外さなければならない。これは、多大な手間を伴ってしまう。
【0009】
本発明の課題は、蛍光装置の蛍光キューブを容易に交換することができる顕微鏡を提供することである。
【0010】
この課題は、請求項1の特徴部に記載の構成を有する装置により解決される。本発明の好適な別の態様は、従属請求項に記述されている。
【0011】
本発明によれば、ハウジングに、少なくとも1つの第2の開口が設けられており、第2の開口を介して、蛍光装置へのアクセスが可能である。
【0012】
これにより、全体で2つの開口が設けられており、これらの開口を介して、それぞれ蛍光装置へのアクセスが可能であり、したがってこれらの開口を介して、それぞれ蛍光装置の蛍光キューブを交換することができる、ことが達成される。
【0013】
第1の開口と第2の開口とは、特に、ハウジングのそれぞれ反対の側に配置されている。顕微鏡の手前の通常の観察位置に座しているユーザから見て、開口は、特に顕微鏡の左側および右側に配置されている。
【0014】
その利点によれば、両側から蛍光装置へのアクセスが可能であり、したがって、ユーザが左利きであるかまたは右利きであるかにかかわらず、ユーザは、人間工学的に有利に、各々の開口を通して蛍光装置へアクセスすることができ、特に蛍光キューブを交換することができる。
【0015】
さらに、外部の周辺構成要素、たとえばカメラ、スキャナおよびこれに類するものが顕微鏡の片側に配置されていても、これらの構成要素を予め取り外さなくても、別の側を介してアクセスが可能である。
【0016】
したがって、特に外部の構成群の連結のための機械的なかつ光学的なインタフェースが、そのために構成群の大きさまたは蛍光キューブの機能性もしくは交換に関する制限を生じさせることなく、実現される。
【0017】
第1の開口と第2の開口とは、好適には同一に成形されているので、両方の開口を通して蛍光装置への同一のアクセスが可能である。
【0018】
第1の蓋が設けられており、第1の蓋を介して、第1の開口が少なくとも部分的に閉鎖可能であると、特に好適である。さらに、第2の蓋が設けられており、第2の蓋を介して、第2の開口が少なくとも部分的に閉鎖可能であると、好適である。これにより、ハウジングにより防護された構成要素、特に蛍光装置が、蓋により相応に防護されており、しかも相応の蓋のその都度の取外しにより、蛍光装置へのアクセスが可能である、ことが達成される。
【0019】
第1の蓋は、特に、この第1の蓋が第1の開口を完全に閉鎖するように、構成されている。これに応じて、第2の蓋も、この第2の蓋が第2の開口を完全に閉鎖するように、構成されてもよい。
【0020】
択一的に、第1の蓋は、第1の開口を部分的にしか閉鎖しない、かつ/または第2の蓋は、第2の開口を部分的にしか閉鎖しないようにしてもよい。この部分的な閉鎖は、特に、蛍光装置が手動で回動可能な回転テーブルを有し、したがって、部分的な閉鎖により、この回転テーブルへのアクセスが可能であり、ひいては手動で所望の蛍光キューブをビーム路に回動させることができるときに、必要であってもよい。
【0021】
特に、第1の蓋と第2の蓋とは、第1の蓋および第2の蓋がそれぞれ第1の開口および第2の開口をそれぞれ完全に閉鎖するように用いられるかまたは一部しか閉鎖しないように用いられるかにかかわらず、第1の蓋および第2の蓋の両方がそれぞれ選択的に両方の開口に取付け可能に構成されている。したがって、蓋を容易に交換することができる、ことが達成される。したがって、特に、手動で回動可能な回転テーブルの場合、一方の蓋を、この一方の蓋が開口(開口の手前に蓋が配置されている)を完全に閉鎖するように構成して、他方の蓋を、この他方の蓋が開口を部分的にしか閉鎖しないように構成することが可能である。つまり左側の蓋と右側の蓋とは、この場合、それぞれ異なって構成されている。この場合、ユーザは、どの側を介してユーザが回転テーブルを回動したいか選択して、その側に、部分的に閉鎖する蓋を配置することができ、これにより、蛍光キューブを有する回転テーブルへのアクセスが解放されている。この場合、別の側で、完全に閉鎖する蓋が取り付けられている。
【0022】
第1の蓋と第2の蓋とは、特に同一に構成されてもよいので、部品の種類を低減して、蓋を任意に交換することができる。
【0023】
第1の蓋および第2の蓋は、特に、これらの第1の蓋および第2の蓋がハウジングにねじ止め可能に構成されている。特に、蓋がそれぞれ異なって成形される場合、ねじを案内する孔が、同一のパターンで配置されているので、それぞれ異なって成形される蓋、たとえばそれぞれの開口を完全に閉鎖するかつ/または部分的にしか閉鎖しない蓋を任意に交換することもできる。
【0024】
本発明の特に好適な実施の態様では、蛍光装置は、回動軸線を中心に回動可能な回転テーブルを有し、回転テーブルに、複数の蛍光キューブが交換可能に収容できるようになっている。この場合、回転テーブルは、特に、収容される蛍光キューブのうちのそれぞれ1つが選択的に顕微鏡のビーム路に旋回可能に回動可能に支持されている。
【0025】
各々の蛍光キューブは、特に、蛍光フィルタと、45°斜めに設置されたビームスプリッタと、蛍光だけが鏡胴またはカメラへ向けて透過する吸収フィルタとを備える。
【0026】
回転テーブルは、それぞれ1つの蛍光キューブを収容可能である複数の収容区分、特に4つまたは8つの収容区分を有する。蛍光キューブは、特に蟻継ぎ保持部または係止結合部を介して収容区分に取り付けることができるので、顕微鏡の搬送時、回転テーブルの回動時、収容区分からの蛍光キューブの落下が回避される。
【0027】
開口により、両側から回転テーブルへのアクセスが可能であるので、両側から蛍光キューブを交換することができる、ことが達成される。
【0028】
特に好適な実施の態様では、第1の開口および第2の開口は、回転テーブルが第1の開口を通しても第2の開口を通しても取外し可能に構成されている。したがって、回転テーブルを、蛍光装置の全体を保守するかつ/または交換するために蛍光キューブを交換する際、両方の開口を通して容易に取り外すことができ、したがって、特に快適な蛍光キューブの交換および蛍光装置のアクセスが可能である、ことが達成される。
【0029】
特に好適な実施の態様では、回転テーブルは、蛍光キューブの交換が、交換のために回転テーブルを取り外さなくても、第1の開口を通しても第2の開口を通しても可能に寸法決めされかつ収容室に位置決めされている。そのために、回転テーブルは、特に、回転テーブルが開口の直ぐ手前まで突出しており、したがって、キューブの交換時、室内へ深く係合しなくてもよいような大きさに構成されている。そのために、さらに、第1の開口および第2の開口は、特に、回転テーブルを装着するときでも、蛍光キューブを容易に収容区分から取り出すことができ、新たな蛍光キューブを挿入することができるような大きさに構成されている。
【0030】
択一的な実施の態様では、回転テーブルは、移動可能な引出し上に配置されてもよい。この場合、引出しは、この引出しが第1の開口からも第2の開口からも外方へ移動可能であるまたは引出し可能であり、したがって、相応の外方への移動または引出しにより、両方の開口を介して、回転テーブルに対する容易なアクセスが可能に構成されている。
【0031】
本発明の別の択一的な実施の態様では、旋回可能な旋回式引出しが設けられてもよく、この場合、旋回式引出しは、同様に、旋回式引出しが第1の開口からも第2の開口からも外方へ旋回可能に構成されている。そうすると、この実施の態様でも、両方の開口を通しての、ひいては顕微鏡の両側での蛍光装置への容易なアクセスが可能である。
【0032】
さらに、回転テーブルを回動させるためのモータが設けられていると、好適である。この実施の態様では、第1の蓋および第2の蓋は、特に、第1の蓋および第2の蓋が第1の開口および第2の開口を完全に閉鎖するように、構成されている。したがって、動作中の蛍光装置へのアクセスが回避されるので、蛍光装置の最適な防護が与えられている。
【0033】
本発明の択一的な実施の態様では、回転テーブルは、回転テーブルを手動で回動させることができるように、構成されてもよい。この場合、両方の蓋のうちの少なくとも1つは、この蓋が開口を完全には閉鎖しないので、ユーザは、第1の開口または第2の開口の開いたままの領域を介して回転テーブルを手動で回動させることができるように、構成されている。
【0034】
そのために、回転テーブルの縁は、特に溝目を有するので、ユーザは、回転テーブルから簡単にスリップしてしまうことがなく、回転テーブルを特に容易にかつ確実に回動させることができる。
【0035】
さらに、回転テーブルが両方の開口のうちの少なくとも1つから突出するので、回動が特に容易に可能であると、好適である。択一的に、回転テーブルは、開口から突出せずに、内側から見て開口の直ぐ手前で終端してもよいが、それにもかかわらず、容易な回動が可能である。回転テーブルは、特に、この回転テーブルが両側でそれぞれの開口から突出するので、両側の操作が可能に寸法決めされている。択一的に、回転テーブルは、開口のうちの1つだけから突出してもよく、この場合、特に回転テーブルの位置が、ハウジングにより包囲された室内で変更可能であり、したがって、両方の開口のうちのどちらから回転テーブルが突出するのか調整することができる。
【0036】
本発明の別の特徴および利点は、添付の図面に関連して、実施の態様に基づき本発明を詳しく説明している以下の記述から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】蛍光顕微鏡の概略図である。
図2】第1の実施の態様による蛍光装置の概略図である。
図3図2に基づく蛍光装置の平面図である。
図4】第1の側を見た、第1の実施の態様による蛍光顕微鏡の大幅に簡素化された概略図である。
図5】第1の側とは反対の第2の側を見た、図4に基づく顕微鏡の概略図である。
図6】蓋が取り外された状態の、図4および図5に基づく顕微鏡の概略図である。
図7】蓋が閉鎖された状態の、第1の側を見た、図4図6に基づく顕微鏡の一部の概略斜視図である。
図8】蓋が取り外された状態の、図7に基づく部分の概略斜視図である。
図9】蓋が閉鎖された状態の、第2の側を見た、図4図6に基づく顕微鏡の別の一部の概略斜視図である。
図10】蓋が取り外された状態の、図9に基づく部分の概略斜視図である。
図11】第1の側を見た、第2の実施の態様による蛍光顕微鏡の大幅に簡素化された概略図である。
図12】第2の側を見た、図11に基づく蛍光顕微鏡の概略図である。
図13】第1の側を見た、図11および図12に基づく顕微鏡の一部の概略斜視図である。
図14】第2の側を見た、図11および図12に基づく顕微鏡の一部の概略斜視図である。
図15図11図14に基づく顕微鏡の蛍光装置の概略図である。
図16図15に基づく蛍光装置の平面図である。
【0038】
図1には、第1の側を見た蛍光顕微鏡10の概略図が示されている。顕微鏡10は、鏡脚基体12を含み、鏡脚基体12に、ステージ14が位置固定に取り付けられており、ステージ14上に、特にスライドガラスの形で観察すべき試料を設置することができる。
【0039】
さらに、対物レンズリボルバ16が設けられており、対物レンズリボルバ16は、複数の空所を有し、空所のうちの1つに例示的に符号22が付されている。空所22には、それぞれ対物レンズ18が収容可能であり、この場合、図1には、図面を分かりやすくするために、対物レンズ18が1つだけ図示されている。この場合、対物レンズリボルバ16は、リボルバ支持体20に回動可能に取り付けられているので、選択的に、対物レンズ18のうちの1つを、顕微鏡10の光軸へ回動させることができる。この場合、対物レンズリボルバ16は、リボルバ支持体20に斜めに取り付けられているので、回動軸線(回動軸線を中心に対物レンズリボルバ16が回動可能である)は、光軸に対して斜めに延在する。
【0040】
対物レンズリボルバ16の回動は、特に手動で行われ、そのために、対物レンズリボルバ16の縁に溝目26が設けられている。溝目26は、ユーザの滑りを阻止すべきものである。さらに、対物レンズリボルバ16は、操作性を改善するために、顕微鏡10の第1の側の方向にリボルバ支持体を越えて突出しており、これにより、対物レンズリボルバ16を容易にユーザにより回動させることができる。
【0041】
さらに、顕微鏡10は、接眼レンズ30と鏡胴32とを備え、接眼レンズ30および鏡胴32により、ユーザは、試料を観察することができる。さらに、試料を照明するために、一方では、透過光照明アーム34に取り付けられた透過光源36が設けられており、他方では、入射光源38が設けられている。
【0042】
さらに、顕微鏡10は、透過光のビーム路に配置された、図1には示されていないコンデンサ40(図4)を備える。
【0043】
リボルバ支持体20は、このリボルバ支持体20が鏡脚基体12に対して、ひいてはステージ14に対しても両矢P1の方向に移動可能に、鏡脚基体12に取り付けられており、この場合、その移動方向は、顕微鏡10の光軸に対して平行に向けられている。リボルバ支持体20ひいては対物レンズリボルバ16の相応の位置調整を介して、観察されるべき試料の焦点合わせを行うことができる。
【0044】
リボルバ支持体20を位置調整するために、顕微鏡の第1の側に、位置調整ダイヤル24が設けられており、位置調整ダイヤル24を介して、ユーザは、リボルバ支持体20の移動を制御することができる。その際、移動は、選択的に、純粋に機械式に行ってもモータ式に行ってもよい。
【0045】
さらに、顕微鏡10は、対物レンズリボルバ16の下方で顕微鏡10のハウジング42により包囲された室内に配置されているので図1において看取されない蛍光装置を備える。
【0046】
図2には、第1の実施の態様による、顕微鏡10のそのような蛍光装置50の概略側面図が示されている。図3は、蛍光装置50の平面図を示している。
【0047】
蛍光装置50は、4つの開口を有する回転テーブル52を備える。4つの開口のうちの1つに例示的に符号54が付されている。4つの開口54の領域に、それぞれ1つの蛍光キューブ56が取付け可能であり、この場合、図2および図3には、蛍光キューブ56が1つだけ示されている。
【0048】
さらに、モータ58が設けられており、モータ58により、回転テーブル52は、それ自体の回動軸線60を中心に回動することができるので、蛍光キューブ56のうちの1つを、それぞれ選択的に、顕微鏡10のビーム路に旋回させることができる。
【0049】
各々の蛍光キューブ56は、励起フィルタ61とビームスプリッタ62と吸収フィルタ64とを備える。光源38から放射される光66は、まず励起フィルタ61を透過する。使用される蛍光色素の励起に必要な波長を有する光66の一部だけが、励起フィルタ61を透過する。これに対して、蛍光色素が発するスペクトルの範囲は、励起フィルタを透過しない。続いて、光は、ビームスプリッタ62に入射する。ビームスプリッタ62は、励起フィルタ61を透過する光を、顕微鏡で観察されるべき試料へ反射し、これに基づいて、試料に蛍光が発生させられる。これに応じて、試料から蛍光が放射され、蛍光は、再びビームスプリッタ62に達し、ビームスプリッタ62を透過する。これに対して、試料から反射された励起光は、ビームスプリッタ62により、再び光源38の方向へ反射され、ビームスプリッタ62を透過しない。
【0050】
続いて、光は、吸収フィルタ64を透過する。この吸収フィルタ64は、蛍光の波長を有する光だけが吸収フィルタ64を透過するように、設計されている。
【0051】
必要な励起光を発生させ、これに応じて蛍光だけを透過させるために、使用される蛍光色素に応じて様々な蛍光キューブが必要であるので、回転テーブル52に複数の蛍光キューブが設けられている。これらの蛍光キューブは、選択的に、ビーム路に回動することができる。図示の実施の態様では、最大で4つのそのような蛍光キューブ56が回転テーブル52に取り付けられてもよい。取付けは、特に蟻継ぎ保持部または係止結合部を介して行われる。択一的に、他種の取付けも考えられる。
【0052】
本発明の択一的な実施の態様では、回転テーブル52は、蛍光キューブ56のための8つの場所または他の数の場所を有してもよい。
【0053】
したがって、収容可能な蛍光キューブ56の数はもともと制限されていて、考えられる種々の蛍光キューブ56の数よりも著しく小さいので、たいてい、蛍光キューブ56を交換する必要がある。蛍光キューブ56の容易な交換を可能にし、そうでない場合でも蛍光装置50への良好なアクセスを有するために、顕微鏡10の第1の側に、図4に示されたように、第1の開口70が設けられており、第1の開口70は、図4では、第1の蓋72を介して閉鎖されている。図5には、第1の側とは反対の第2の側を見た、顕微鏡10の概略図が示されている。この第2の側にも、第2の開口74が設けられており、第2の開口74は、第2の蓋76を介して閉鎖可能である。したがって、蓋72,76の取外しにより、両側から、蛍光装置50へのアクセスが可能であるので、特に両側から蛍光キューブ56を交換することができる。
【0054】
図6には、第1の側を見た、図4および図5に基づく顕微鏡10の概略図が示されている。図6では、第1の蓋72が取り外されているので、第1の開口70が開いている。この場合、開口70は、特に開口70により支障なく蛍光装置50へのアクセスが可能であるので、特に回転テーブル52を交換のために顕微鏡10から取り外さなくても、蛍光キューブ56を交換できるような大きさに構成されている。
【0055】
本発明の択一的な実施の態様では、旋回式引出しまたは引出しを設けてもよく、旋回式引出しまたは引出しにより、回転テーブル52は、第1の開口70を通しても第2の開口74を通しても外方へ移動することができるので、この場合、蛍光キューブ56の容易な交換を行うことができる。
【0056】
図7および図8には、それぞれ第1の側を見た、図4図6に基づく顕微鏡の一部の概略斜視図が示されており、図7では、第1の蓋72は、2つのねじ80,82を用いてハウジング40にねじ止めされており、図8では、蓋72は、取り外されている。
【0057】
図9および図10は、それぞれ第2の側を見た、図4図6に基づく顕微鏡の一部の概略斜視図を示しており、図9では、第2の開口74は、第の2蓋76を介して閉鎖されており、第2の蓋76は、この場合でも同様に2つのねじ84,86を用いてねじ止めされている。これに対して図10では、第2の蓋76が取り外されているので、蛍光装置50へのアクセスが可能である。
【0058】
一般的に、第1の蓋72および第2の蓋76を保持するには磁石で十分である。したがって、第1の蓋72に対するねじ80,82および第2の蓋76に対するねじ84,86に対して追加的にまたは択一的に、それぞれハウジング40および第1の蓋72ならびに第2の蓋76に複数の磁石が取り付けられている。これらの磁石は、第1の蓋72および第2の蓋76を、磁力により、開口74におけるそれぞれの位置に保持する。第1の蓋72および/または第2の蓋76も強磁性材料または磁化材料から製造されている場合、第1の蓋72および/または第2の蓋76における磁石を省くことも考えられる。ただし、前述のねじ止めは、顕微鏡10にレーザビームが使用され、第1の蓋72および第2の蓋76が顕微鏡10のユーザをレーザ放射による損傷から防護すべき場合、安全性の理由から常時必要である。
【0059】
両方の蓋72,76は、特に同一に構成されているので、両方の蓋72,76を選択的に交換することができる。これに応じて、特に第1の開口70および第2の開口74も同一の大きさに構成されているので、両側から、同一の快適なアクセスが可能である。
【0060】
互いに反対の側に配置された2つの開口70,74を設けることにより、一方では、蛍光装置50への両側のアクセスが可能であるので、左利きの人でも右利きの人でも支障なくアクセスすることができ、特に蛍光キューブ56を交換することができる。さらに開口70,74は、格別に大きく構成されているので、回転テーブル52を外へ出すことなく交換を行うことができる。
【0061】
さらに、それぞれ反対の側に2つの開口70,74を設けることにより、それぞれ顕微鏡10の、自由に選択可能な側で、追加的なまたは外部の構成要素を取り付けるための構成スペースが規定されている、ことが達成される。特に、そのために機械的なかつ/または光学的なインタフェースが設けられてもよいので、追加的な複数の外部の構成群を、構成群の大きさに関する制限の必要がなく、連結することができる。特に、カメラ、マイクロマニピュレータ、光源、試料供給部、空調室、フィルタスライダまたはカメラ用ポートなどの追加的な構成要素が設けられてもよい。開口70,74を設けることにより、どちらの側に追加的な構成群が配置されているかにかかわらず、常時、構成群全体を予め再び取り外さなくても、蛍光装置50へのアクセスを行うことができる。
【0062】
図11図16には、第2の実施の態様による顕微鏡100が示されており、この態様では、この第2の実施の態様の顕微鏡100は、第1の実施の態様の顕微鏡10とは、回転テーブル52がモータ58を介して回動させられるのではなく、手動で回動させることができることにおいて相違している。同一の構成または同一の機能を有する構成要素は、同一の符号を有する。
【0063】
図11には、第1の側を見た、第2の実施の態様による顕微鏡100の概略図が示されており、図12には、第2の側を見た概略図が示されている。
【0064】
図13は、第1の側を見た、顕微鏡100の一部の概略斜視図を示しており、図14は、第2の側を見た概略斜視図を示している。
【0065】
図15には、顕微鏡100の蛍光装置50の側面図が示されており、図16には、平面図が示されている。この蛍光装置50では、モータが設けられておらず、回転テーブル52は、顕微鏡100のユーザにより手動で回動させられる。そのために、第1の開口70を閉鎖するための第1の蓋102だけではなく第2の開口74を閉鎖するための第2の蓋104も、各々の開口70,74を完全に閉鎖するのではなく、回転テーブル52へのアクセスが可能であり、したがって、ユーザが回転テーブル52を回動させることができるように、構成されている。そのために、回転テーブル52は、特に第1の開口70および第2の開口72からそれぞれわずかに突出するので、回転テーブル52は、ユーザにより、より容易に回動させることができる。さらに、回動を容易にするために、回転テーブル52の縁に溝目106が設けられている。蓋102,104は、特にここでもハウジング40にねじ止めされており、この場合、ねじパターンは、第1の実施の態様の蓋72,76と同一に構成されているので、完全に閉鎖する蓋72,76と、部分的にしか閉鎖しない蓋102,104とを、互いに、任意に交換することができる。特に、図11図16に基づく実施の態様でも、一方の側が、完全に閉鎖する蓋72,76により閉鎖され、他方の側でだけ、相応の完全には閉鎖しない蓋102,104により回転テーブル52へのアクセスが可能とすることが実現される。これらの両方の蓋72,76,102,104の交換により、ユーザは、どちらの側から回転テーブル52を回動させようとするのか自由に選択することができる。
【0066】
本発明の別の択一的な実施の態様では、蓋72,76,102,104は、ねじ80〜86とは別の構成要素を介してハウジング40に取り付けてもよい。
【0067】
さらに、蓋72,76,102,104は、完全に取外し可能ではなく、紛失することがないように、たとえば下方へ旋回可能にハウジング40に取り付けられてもよい。
【0068】
図1図16に示された実施の態様は、倒立顕微鏡である。もちろん2つの開口の原理は、蛍光装置50が顕微鏡の上側部分に配置された正立顕微鏡に適用してもよい。
【符号の説明】
【0069】
10,100 顕微鏡
12 鏡脚基体
14 ステージ
16 対物レンズリボルバ
18 対物レンズ
20 リボルバ支持体
22 空所
24 回動ダイヤル
26 溝目
30 接眼レンズ
32 鏡胴
34 透過光照明アーム
36 透過光源
38 入射光照明ユニット
40 コンデンサ
42 ハウジング
50 蛍光装置
52 回転テーブル
54 開口
56 蛍光キューブ
58 モータ
60 回動軸線
61 励起フィルタ
62 ビームスプリッタ
64 吸収フィルタ
66 光
70 第1の開口
74 第2の開口
72 第1の蓋
76 第2の蓋
102,104 蓋
80,82,84,86 ねじ
106 溝目
P1 方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16