【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の課題は、請求項1に記載の小型電子部材の製造方法、請求項9に記載の小型電子部材、ならびに請求項13に記載の、少なくとも一定時間にわたり強化されたガラスの使用によって単純に解決される。好ましい態様は、それぞれの従属請求項に見られる。
【0013】
本発明による小型電子部材の製造方法は、少なくとも以下の工程を含む:
・少なくとも一定時間にわたり強化された板状ガラスを、基板材料として用意する工程、
・前記基板上に、構造体を設ける工程、ここでこの構造体を特に、被覆の連続体の形で設け、被覆を構造化するためのプロセスを設け、これによって前記基板の少なくとも部分領域が前記構造体を担持し、その一方で、前記基板のその他の領域には、何も存在しないままであり、
・前記構造体を担持する基板に、熱負荷をかける工程、ならびに
・前記構造体を担持する前記基板の部分領域が、個別化して得られるように、個別化する工程。
【0014】
ここで一定時間とは、0秒よりも長く、かつ少なくとも方法工程またはプロセス工程の範囲内にある時間の長さを言い、これは通常、数秒〜数時間または数日にわたることがあり、これによって好適には、記載された本発明による利点が得られる。
【0015】
ここで、基板上の構造体とは、基板上で少なくとも1つの層、好ましくはまた複数の層が、相互の連続体で、一部互いに重なり合って設けられた領域であると理解され、これによって、構造体を担持する基板の領域は、その高さの点で、周囲にある基板とは異なる。
【0016】
ここで構造体は、被覆プロセスによって、特に物理的および/または化学的な堆積法によって、設けることができる。さらにまた、湿式化学的被覆法、例えば印刷、噴霧、ブレード塗布、スピンコート、またはディップコートが使用できる。この際、各構造体を形成する層はそれぞれ、水平方向の連続体で設けられ、ここで各層は、少なくとも部分領域で重なり合っている。部分領域を狙い通りに被覆しないためには、あらゆる慣用のマスキング法、または構造化された層を塗布するためのその他の方法を使用することができる。ここで特に、フォトリソグラフィー法を、構造化された層を製造するためのエッチング法と組み合わせて、例えばリフトオフ法、またはストリップ法で使用することができる。
【0017】
この際に、固体特性、特にガラス表面における圧縮応力が変更可能であれば、特に各プロセス工程に適合させて変更可能であれば、有利であり得る。
【0018】
硬化されたガラスは、より良好に取り扱い可能であり、しばしばまた、より良好に被覆可能であり、このためより単純化された取り扱い条件、ひいてはまたより高い歩留まりに貢献し得る。
【0019】
これによって収量が、第一のプロセス工程で改善され、後続のより良好な切断性および個別化に好都合であり、表面における圧縮応力が減少または低下したガラスを使用すると、このことは全体でまた、改善された加工性につながり、このため著しい経済的な利点がもたらされる。
【0020】
本発明の実施形態において、強化された板状ガラスは、300μm以下、好ましくは150μm以下、特に好ましくは100μm以下、極めて特に好ましくは50μm以下の厚さtを有する。よって、小型電子部材を製造するための本発明による方法に使用されるガラスは、いわゆる超薄板ガラスとして形成されている。
【0021】
ここで本発明では、ある空間方向における横方向の寸法が、他の2つの空間方向における寸法よりも、少なくとも半分の尺度で小さい場合に、ガラスを板状と呼ぶ。
【0022】
ここで、本発明による板状の強化ガラスは好ましくは、化学的に強化されたガラスとして存在する。ここで化学的な強化は、交換浴におけるイオン交換によって得られ、本発明による方法の開始時に、少なくとも10μm、好ましくは少なくとも15μm、最も好ましくは少なくとも25μmの、イオン交換層の厚さL
DOL、および好ましくは最大480MPa、好ましくは最大300MPa、より好ましくは最大200MPa、またはさらには100MPa未満の、ガラス表面における圧縮応力(σ
CS)を特徴とする。
【0023】
本発明の1つの実施形態によれば、個別化は、切断、特に機械的な切断、熱による切断、機械的なスコアリング、レーザー切断、レーザースコアリング、もしくはウォータージェット切断により、または超音波ドリルもしくはサンドブラストによる穿孔によって、および/またはこれらの組み合わせによって行う。
【0024】
熱負荷は適切な方法で、好ましくは小型電子部材の少なくとも1つの機能層を熱により後処理する間に、および/または構造体を基板上に設けるかつ/または構造化するための方法工程の間に、および/またはその他の方法工程の間に熱による後処理と熱負荷との組み合わせとして、行う。熱負荷によって、強化、ひいてはガラス表面における圧縮応力を狙い通りに変更、特に低下させることができ、例えばまた、基板上に設けられた機能層を熱により処理する工程を含むプロセスの際に、またはこのプロセスと同時に、行うことができる。これによって有利なことに、ガラスの切断性、また切断時に達成可能な許容度が改善できる。
【0025】
当初から高い強度、特に硬化により向上した強度によって、ガラスを含む基板をより容易に、より安全に取り扱うことができ、その一方で、後続のプロセス工程、例えば基板上に配置された被覆を有する複雑な配置にとって、他の有利な要求事項(例えば改善された、より正確な切断性)が生じ得る。
【0026】
これによって、工業的な作製プロセスの収量、または歩留まりが、全体で著しく改善できる。
【0027】
小型電子部材は例えば、リチウム系薄膜電池であり得る。このようなリチウム系薄膜電池は一般的に、基板上に設けられているカソード集電体(ただしこの基板は、充分な電気伝導性を有しない)、カソード形成層、イオン伝導層、およびアノード集電体によって形成され、ここでアノード自体は通常、まず薄膜電池を最初に充電する間に生じ、電解質層と、アノード集電体との間に形成される。リチウム系薄膜電池のためのこのようなカソード層に適した材料は通常、リチウム遷移金属酸化物、例えばLiCoO
2を含む。電池の効率を向上させるためには、熱による後処理を行うことが、カソード材料にとって通常必要となり、これは通常、350〜600℃の範囲、好ましくは400〜550℃の範囲、しばしば500℃で行われる。この場合、化学的に強化された板状ガラスへの熱負荷は、カソード層の熱による後処理の間に、行うことができる。
【0028】
ここで、最小350℃〜最大600℃の間で、最低1時間から最大15時間の持続時間にわたる累積温度処理に相当する熱負荷が、好ましいと実証されている。
【0029】
よって例えば、後に詳細に記載するガラスのいずれかにおいて、約930MPaの当初圧縮応力を、400℃で8時間にわたる、熱負荷および/またはアニール処理によって、約450MPaに低下させることができた。さらに、約930MPaの当初圧縮応力を、500℃で8時間にわたる、熱負荷および/またはアニール処理によって、約120MPaに低下および/または減少させることができた。
【0030】
別の、後に詳細に記載するガラスでは、約370MPaの当初圧縮応力を、400℃で8時間にわたる、熱負荷および/またはアニール処理によって、約190MPaに低下させることができた。さらに、約370MPaの当初圧縮応力を、500℃で8時間にわたる熱負荷および/またはアニール処理によって、残留応力のない状態にまで低下させることができた。
【0031】
相応する温度および一定時間の選択によって、ガラス表面における規定の残留応力を調整することができ、それどころか完全に無くすことができ、特に後者の場合、作製技術的な利点がもたらされる。
【0032】
ここで意外なことに、このように熱負荷によって、強化された、特に化学的に強化された、基板材料として使用される板状ガラスの加工性を、全般的に、またしばしば、プロセスに特有な形で改善可能なことが判明した。
【0033】
よって一般的には、強化ガラスを用いて、ガラスを分割および/または個別化するための通常の方法を行うことは不可能であるか、または非常な困難性を伴った場合にのみ、可能である。つまり、ガラスの応力によって、機械的に傷を付ける場合、例えば通常のガラス切断法、例えば機械的なスコアリングおよび破断ではたいてい、ガラスの完全な機械的破壊につながる。しかしながら、特別な方法によって強化ガラスの個別化を可能にしようとする限り、こうして得られた端部は、通常要求される許容度におさまる品質を有さず、チッピング、および切断端部の正確ではない経過を特徴とし、これによって小型電子部材のさらなる加工は、困難になるであろう。よって、ガラスの強化により、確かに一般的にはガラスの取り扱い性、また特に薄板ガラスの取り扱い性は改善するものの、これによって通常のガラス加工では破壊しづらくなり、また切断によるガラスの個別化が困難になるか、または不可能になり、いずれの場合でも、材料損失の上昇と結びついており、このため、できるだけ大きな材料利用により、板状の強化ガラスを基板として用いて、多くの電子部材をウェハ上でコスト的に有利に作製することは、従来不可能であると考えられていた。
【0034】
これに対して、本発明による方法は、小型電子部材の通常の作製プロセスで板状の強化ガラスを用いることを可能にし、これによって、強化ガラスの利点、特に破壊の危険性が低下していることを、充分に良好な切断性と組み合わせて利用でき、これによって、それぞれの小型部材の個別化が、高い材料損失を伴わずに可能になる。
【0035】
よって意外なことに、化学的に強化されたガラスは、温度・時間負荷を行った後に、または一般的に熱負荷の後に、極めて良好に個別化できる。
【0036】
確かに、例えば熱により強化されたガラスの場合、応力状態から熱負荷によって、圧縮応力を除去可能なことは、知られている。しかしながら意外なことにこの効果は、化学的に強化されたガラスの場合、限定的な程度でしか生じないことが判明した。よって、化学的に強化されたガラスの場合、熱処理によって、ガラスの断面全体にわたって、イオンを均一に拡散させることにつながる。ただしここで、熱負荷は、圧縮応力の完全な喪失が起こらないように制御することができ、これによってまた、熱負荷後に、強化されていないガラスに比べて破壊の危険性が低下したガラスが、全体的に存在する。
【0037】
こうして、本発明による方法により簡単なやり方で、強化ガラスの利点を、通常のプロセス工程で、小型電子部材を製造する際に、使用する基板材料の高い面積収率と同時に、利用することが可能になる。ここで、使用するガラス基板は、本発明による方法の終了後にも、強化されていないガラスよりも高い破壊強度を有し、これにより、このようにして得られる小型電子部材の機械的安定性が向上する。
【0038】
使用するガラスは、ホウケイ酸ガラス、および/またはアルミノケイ酸塩ガラスであるのが好ましい。
【0039】
本発明により実施される熱負荷は、熱による通常の加熱手法によって行う。熱負荷は例えば、抵抗加熱、および/または電磁放射、および/または誘導、および/またはこれらの組み合わせによって、行うことができる。
【0040】
小型電子部材を製造するための、本発明による方法の間の熱負荷によって、化学的に強化されたガラスの当初応力状態が変化するが、このガラスが再度、当初の応力無しの状態に移行することは無い。ガラスの完全な緩和自体は、プロセス全体にとって有利であり、また特に、前述の非常に興味深く、有利な実施形態をもたらす。
【0041】
表面に存在するガラスについて当初100%の圧縮応力は、アニール処理後に好ましくは、少なくとも50%の圧縮応力にまでなり得るが、各プロセスに特有で、表面において20%、10%、また0%の圧縮応力に緩和されていることが、有利であり得る。しかしながらこの際に、少なくとも一定時間の間、ガラス表面で高められた圧縮応力は、取り扱いにとって、または方法段階にとって有利であった。
【0042】
個別のケースでは、ガラス表面で圧縮応力を0%にまで完全に緩和することも、有意義であり、特に切断された小型要素(例えばその切断端部)の信頼性、基板の可撓性、または改善された切断性、および非常に高い許容性維持度が重要となる場合、有意義である。
【0043】
よって、小型電子部材、例えば本発明による方法の実施後に得られる小型電子部材は、基板として構造体のために使用されるガラスが、少なくとも部分的に化学的に強化されたガラスとして存在することを特徴とし、ここで、少なくとも部分的な化学的な強化は、交換浴におけるイオン交換、および後続の熱負荷によって得られ、前記部材はまた、少なくとも10μm、好ましくは少なくとも15μm、最も好ましくは少なくとも25μmの、イオン交換層の厚さ(L
DOL)、ならびに好適には最大480MPa、好ましくは最大300MPa、より好ましくは最大200MPa、またはさらには100MPa未満の、ガラス表面における圧縮応力(σ
CS)を特徴とし、ここで熱負荷の前におけるイオン交換層の厚さは、熱負荷後のイオン交換層の厚さよりも小さく、熱負荷の前の、ガラス表面における圧縮応力は、熱負荷後のガラス表面における圧縮応力よりも大きい。
【0044】
ここで、先に記載した圧縮応力は有利には、方法実施の当初段階の間に、記載したよりも高くてよく、また方法の後の段階の間により低くてよく、それどころか、0の値に相当していてよく、特にこれによって、できるだけ有利なように、様々な方法工程またはプロセス工程の各要求に適合させることが可能になる。
【0045】
さらなる有利な本発明による実施形態の場合、最終的な方法段階の間に、圧縮応力を完全に無くし、これによって容易でより正確な個別化が可能になる。この実施形態のためには、少なくとも一定時間にわたって強化したガラスが、基板材料として存在していれば、特に有利には、方法の最初で一定時間の間、基板材料として存在していれば、充分である。
【0046】
ここで小型電子部材の構造体のための基板として使用されるガラスは好適には、300μm以下、好ましくは150μm以下、特に好ましくは100μm以下、極めて特に好ましくは50μm以下の厚さtを有する。
【0047】
この使用されるガラスは、ホウケイ酸ガラス、および/またはアルミノケイ酸塩ガラスであるのが好ましい。
【0048】
本発明の実施形態において小型電子部材は、薄膜電池として、好ましくはリチウム系薄膜電池として形成されている。
【0049】
よって本発明は、小型電子部材を製造するための基板としての、化学的に強化されたガラスの使用も、包含する。
【0050】
ここでガラスの化学的な強化は、交換浴におけるイオン交換によって得られる。本発明による方法の実施前に、ガラスは、少なくとも10μm、好ましくは少なくとも15μm、最も好ましくは少なくとも25μmの、イオン交換層の厚さL
DOL、ならびに好適には最大480MPa、好ましくは最大300MPa、より好ましくは最大200MPa、またはさらには100MPa未満の、ガラス表面における圧縮応力(σ
CS)を特徴とする、化学的に強化されたガラスを有することを特徴とする。
【0051】
本発明による方法を実施することによって、プロセス条件に従って、基板として使用するガラスの応力状態の変更につながり、これによって、個別化に充分な、応力状態の減少が達成される。ここで意外なことに、ここでガラスの圧縮応力は、ゼロに移行することはなく、それどころかむしろ、ガラス内には残留応力が保たれ、これによって小型電子部材用の基板として使用するガラスの強度全体が、従来の、強化されていないガラスに比して、向上していることが判明している。よって、本発明により製造される小型電子部材の機械的安定性全体は、その一般的な取り扱い性と同様に、改善されている。
【0052】
ここで、完成した、本発明による小型電子部材において基板として存在するガラスは、少なくとも部分的に化学的に強化されたガラスとして存在することを特徴とし、ここで少なくとも部分的な化学的な強化は、交換浴におけるイオン交換、および後続の熱負荷によって得られ、少なくとも10μm、好ましくは少なくとも15μm、最も好ましくは少なくとも25μmの、イオン交換層の厚さ(L
DOL)、ならびに好適には最大480MPa、好ましくは最大300MPa、より好ましくは最大200MPa、または100MPa未満の、ガラス表面における圧縮応力(σ
CS)を特徴とし、ここで熱負荷の前におけるイオン交換層の厚さは、熱負荷後のイオン交換層の厚さよりも小さく、熱負荷の前の、ガラス表面における圧縮応力は、熱負荷後のガラス表面における圧縮応力よりも大きい。
【0053】
本発明の実施形態において、ガラスの化学強化は、リチウムイオンが含まれている交換浴で得られる。これは例えばまた、様々なアルカリ金属イオン、例えばカリウム、および僅かな、非常に僅かなリチウムの割合を有する交換浴である。段階的なプロセス、例えばカリウムによる交換、およびリチウム含有浴による迅速なさらなる交換を行うこともできる。
【0054】
リチウムイオンを含有する交換浴で化学的に強化されたガラスを使用することは、その後に構築される小型電子部材が、リチウム系薄膜電池として形成されている場合、特に有利である。リチウムを体積中に、表面に、および/または表面領域に含有するリチウム含有ガラスによって、特に電極からの、リチウムまたはリチウムイオンの拡散を低減させるか、または少なくとも著しく減少させることができ、電極に対して改善された耐腐食性がもたらされる。
【0055】
化学的な強化のための出発ガラスとしては、ホウケイ酸ガラス、および/またはアルミノケイ酸塩ガラスを使用するのが好ましい。
【0056】
超薄板ガラスを化学的に硬化および/または強化する方法は、例えば本出願人から、国際出願番号PCT/CN2013/072695(PCT/CN2013/072695)によって公知である。ここで、交換のパラメータを相応して変えることによって、化学的な強化について様々な値が得られることは、当業者に公知である。
【0057】
本発明のさらなる実施形態では、化学的に強化された板状ガラスを、担体またはキャリア上に設け、位置決めし、それから電子部材を形成する構造体製造のためのさらなる方法工程が続く。構造体の製造に必要な全ての堆積工程、被覆工程、および構造化工程の終了後の、担体からのガラス基板の剥離は、本発明による熱負荷の前にも、後にも行うことができる。
【0058】
しかしながら通常は、本発明により使用する、化学的に強化された板状ガラスの機械的安定性が高いため、担持の唯一の目的が、特に破壊の危険性を最小化するために、担持によって基板に、全体的に改善された機械的安定性を付与することだけであれば、担体上に基板を固定するための高コストな手法は、省略することができる。
【0059】
実施例
実施例1
小型電子部材のための製造方法で基板として使用される、化学的に強化された板状ガラスのあり得る組成は、例示的に以下の組成によって質量%で表される:
SiO
2 30〜85質量%
B
2O
3 3〜20質量%
Al
2O
3 0〜15質量%
Na
2O 3〜15質量%
K
2O 3〜15質量%
ZnO 0〜12質量%
TiO
2 0.5〜10質量%
CaO 0〜0.1質量%
ここでガラスはさらに、副成分および/または痕跡量を、例えば方法技術的に必要な添加物(例えば清澄剤)の形で、また例えば原料に必然的に含まれる痕跡量が原因で不純物として生じるさらなる構成要素の形で、含有することができる。ここで、これらのさらなる構成要素の合計は通常、2質量%未満である。
【0060】
実施例2
ここで化学的な強化前に、以下の組成を質量%で有するガラスが、例示的に特に好ましい:
SiO
2 64質量%
B
2O
3 8.3質量%
Al
2O
3 4.0質量%
Na
2O 6.5質量%
K
2O 7.0質量%
ZnO 5.5質量%
TiO
2 4.0質量%
Sb
2O
3 0.6質量%
Cl
- 0.1質量%。
【0061】
この組成では、以下のような基板特性が得られる:
α
20〜300:7.2・10
-6/K
T
g:557℃
密度:2.5g/cm
3。
【0062】
実施例3
小型電子部材のための製造方法で基板として使用される、化学的に強化された板状ガラスのあり得る別の組成は、例示的に以下の組成によって質量%で表される:
SiO
2 50〜65質量%
Al
2O
3 15〜20質量%
B
2O
3 0〜6質量%
Li
2O 0〜6質量%
Na
2O 8〜15質量%
K
2O 0〜5質量%
MgO 0〜5質量%
CaO 0〜7質量%、好ましくは0〜1質量%
ZnO 0〜4質量%、好ましくは0〜1質量%
ZrO
2 0〜4質量%
TiO
2 0〜1質量%、好ましくは実質的にTiO
2不含
ここでガラスはさらに、副成分および/または痕跡量を、例えば方法技術的に必要な添加物(例えば清澄剤)の形で、また例えば原料に必然的に含まれる痕跡量が原因で不純物として生じるさらなる構成要素の形で、含有することができる。ここで、これらのさらなる構成要素の合計は通常、2質量%未満である。
【0063】
実施例4
ここで化学的な強化前に、以下の組成を質量%で有するガラスが、例示的に特に好ましい:
SiO
2 62.3質量%
Al
2O
3 16.7質量%
Na
2O 11.8質量%
K
2O 3.8質量%
MgO 3.7質量%
ZrO
2 0.1質量%
CeO
2 0.1質量%
TiO
2 0.8質量%
As
2O
3 0.7質量%。
【0064】
この組成では、以下のような基板特性が得られる:
α
20〜300:8.6・10
-6/K
T
g:607℃
密度:2.4g/cm
3。
【0065】
実施例5
ここでさらに、化学的な強化前に、以下の組成を質量%で有するガラスが、例示的に特に好ましい:
SiO
2 62.2質量%
Al
2O
3 18.1質量%
B
2O
3 0.2質量%
P
2O
5 0.1質量%
Li
2O 5.2質量%
Na
2O 9.7質量%
K
2O 0.1質量%
CaO 0.6質量%
SrO 0.1質量%
ZnO 0.1質量%
ZrO
2 3.6質量%。
【0066】
この組成では、以下のような基板特性が得られる:
α
20〜300:8.5・10
-6/K
T
g:505℃
密度:2.5g/cm
3。
【0067】
実施例6
ここでさらに、化学的な強化前に、以下の組成を質量%で有するガラスが、例示的に特に好ましい:
SiO
2 52質量%
Al
2O
3 17質量%
Na
2O 12質量%
K
2O 4質量%
MgO 4質量%
CaO 6質量%
ZnO 3.5質量%
ZrO
2 1.5質量%。
【0068】
この組成では、以下のような基板特性が得られる:
α
20〜300:9.7・10
-6/K
T
g:556℃
密度:2.6g/cm
3。
【0069】
実施例7
ここでさらに、化学的な強化前に、以下の組成を質量%で有するガラスが、例示的に特に好ましい:
SiO
2 62質量%
Al
2O
3 17質量%
Na
2O 13質量%
K
2O 3.5質量%
MgO 3.5質量%
CaO 0.3質量%
SnO
2 0.1質量%
TiO
2 0.6質量%。
【0070】
この組成では、以下のような基板特性が得られる:
α
20〜300:8.3・10
-6/K
T
g:623℃
密度:2.4g/cm
3。
【0071】
実施例8
ここでさらに、化学的な強化前に、以下の組成を質量%で有するガラスが、例示的に特に好ましい:
SiO
2 61.1質量%
Al
2O
3 19.6質量%
B
2O
3 4.5質量%
Na
2O 12.1質量%
K
2O 0.9質量%
MgO 1.2質量%
CaO 0.1質量%
SnO
2 0.2質量%
CeO
2 0.3質量%。
【0072】
この組成では、以下のような基板特性が得られる:
α
20〜300:8.9・10
-6/K
T
g:600℃
密度:2.4g/cm
3。
【0073】
実施例9
ここでさらに、化学的な強化前に、以下の組成を質量%で有するガラスが、例示的に特に好ましい:
SiO
2 60.7質量%
Al
2O
3 16.9質量%
Na
2O 12.2質量%
K
2O 4.1質量%
MgO 3.9質量%
ZrO
2 1.5質量%
SnO
2 0.4質量%
CeO
2 0.3質量%。
【0074】
本発明の範囲において転移温度T
gは、5K/分の加熱速度で測定した場合、膨張曲線の両方の弧における接線の交点によって測定されている。これは、ISO 7884-8、もしくはDIN 52324による測定に相当する。
【0075】
さらに、ここで線熱膨張係数αは、特に記載の無い限り、20〜300℃の範囲で記載されている。α、およびα
20〜300という記載は、本発明の範囲において、同義で使用する。記載した値は、ISO 7991に従って統計的な測定で測定された、名目平均熱膨張係数である。
【0076】
実施例10
実施例2に記載の組成のガラス板(大きさ:140×140mm
2、密度:70μm)を、化学的に強化した。この強化はKNO
3浴中、430℃で4時間にわたり行った。
【0077】
引き続き、このガラス板を以下のような温度処理にかけた:
室温から500℃へと、加熱速度10K/分で加熱した。500℃で、温度を保った。引き続き、試料をそのまま冷却した。すなわち、冷却は、炉のチャンバを開放して、加熱装置を切ることにより、炉の特性曲線に相応して行った。
【0078】
参照として、実施例2に相応する組成を有する、化学的に強化されていないガラス試料を用いた。
【0079】
温度処理の終了後、ガラス板をCNC機械により、大きさが25×25mm
2の試料に個別化した。こうして得られた試料は、破壊可能性について、ワイブル分布に従い特性決定した。
【0080】
ここで、事前に化学的に硬化された試料は、事前に硬化されていない試料と同様に、顕著に異なることなく、切断できることが分かる。よって破壊可能性は、通常の測定精度の範囲では、同一である。
【0081】
以下では、本発明の好ましい実施形態を再度、図面も用いて説明する。