(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
共通データテーブル情報の1セクションを超える大きさで、1つのロゴ識別につきタイプの異なる任意個数のロゴデータを多重伝送可能なデジタルテレビジョン放送システムに用いられ、
前記ロゴデータを前記ロゴ識別、ロゴのタイプごとにモジュール化するモジュール化部と、
前記ロゴデータについて前記ロゴのタイプと分配されるセクションとの対応関係を示すロゴデータ分配情報を生成するロゴデータ分配情報生成部と、
前記モジュール化部でモジュール化されたロゴデータを前記共通データテーブル情報の複数のセクションに分配すると共に、前記ロゴデータ分配情報を前記共通データテーブル情報にロゴデータ分配記述子情報として挿入する第1のセクション化部と、
前記ロゴデータのロゴ識別及びロゴのバージョン番号を含むロゴ管理情報から少なくとも前記共通データテーブル情報形式のロゴへのポインティングを記述するロゴ伝送情報を生成して前記ロゴ管理情報と共にサービス記述テーブル情報のロゴ伝送記述子情報に挿入する第2のセクション化部と、
前記第1のセクション化部、前記第2のセクション化部で生成された共通データテーブル情報及びサービス記述テーブル情報を映像信号及び音声信号と共にトランスポートストリームに多重する多重化部と、
前記トランスポートストリームに伝送路符号化処理を施して放送信号を生成する符号化処理部と
を具備し、
前記符号化処理部で得られた放送信号を送出するデジタルテレビジョン放送用送信装置。
共通データテーブル情報の1セクションを超える大きさで、1つのロゴ識別につきタイプの異なる任意個数のロゴデータを多重伝送可能なデジタルテレビジョン放送システムに用いられ、
前記ロゴデータを前記ロゴ識別、ロゴのタイプごとにモジュール化するモジュール化部と、
前記モジュール化部でモジュール化されたロゴデータを前記共通データテーブル情報の複数のセクションに分配する第1のセクション化部と、
前記ロゴデータについて前記ロゴのタイプと分配されるセクションとの対応関係を示すロゴデータ分配情報を生成し、前記ロゴデータのロゴ識別及びロゴのバージョン番号を含むロゴ管理情報から少なくとも前記共通データテーブル情報形式のロゴへのポインティングを記述するロゴ伝送情報と前記ロゴデータ分配情報とを前記ロゴ管理情報と共にサービス記述テーブル情報のロゴ伝送記述子情報に挿入する第2のセクション化部と、
前記第1のセクション化部、前記第2のセクション化部で生成された共通データテーブル情報及びサービス記述テーブル情報を映像信号及び音声信号と共にトランスポートストリームに多重する多重化部と、
前記トランスポートストリームに伝送路符号化処理を施して放送信号を生成する符号化処理部と
を具備し、
前記符号化処理部で得られた放送信号を送出するデジタルテレビジョン放送用送信装置。
MH-CDT(MH-common_data_table)の1セクションを超える大きさで、1つのロゴ識別につきタイプの異なる任意個数のロゴデータを多重伝送可能なデジタルテレビジョン放送システムに用いられ、
前記ロゴデータについて、ロゴのタイプがいずれを示しているかを判断し、ロゴのタイプ毎に決められた前記ロゴデータを分配するMH-CDTセクションのセクション番号の値を設定し、前記MH-CDTに対して設定された番号のセクションに前記ロゴデータを分配配置して前記MH-CDTセクションのデータモジュール領域に分割前のロゴのデータサイズと共に設定するロゴデータ処理部と、
前記ロゴデータ処理部で設定されたMH-CDTを映像信号及び音声信号と共に多重する多重化部と、
前記多重化部の多重化信号に伝送路符号化処理を施して放送信号を生成する符号化処理部と
を具備し、
前記符号化処理部で得られた放送信号を送出するデジタルテレビジョン放送用送信装置。
MH-CDT(MH-Common Data Table)の1セクションを超える大きさで、1つのロゴ識別につきタイプの異なる任意個数のロゴデータを多重伝送可能なデジタルテレビジョン放送システムに用いられ、
前記ロゴデータを前記ロゴ識別、ロゴのタイプごとにモジュール化するモジュール化部と、
前記モジュール化部でモジュール化されたロゴデータを前記MH-CDTの複数のMH-CDTセクションに分配し、前記ロゴのタイプと分配されるMH-CDTセクションとの対応関係を示すロゴデータ分配情報をロゴデータを分配したのとは異なるMH-CDTに挿入するMH-CDTセクション化部と、
前記ロゴデータのロゴ識別及びロゴのタイプを含むロゴ管理情報を示すMH-ロゴ伝送記述子を生成するMH-ロゴ伝送記述子生成部と、
前記MH-ロゴ伝送記述子をMH-SDT(Service Description Table)の記述子領域に記述するMH-SDTセクション化部と、
前記MH-CDTセクション化部、前記MH-SDTセクション化部で生成されたMH-CDT及びMH-SDTを映像信号及び音声信号と共に多重する多重化部と、
前記多重化部の多重化信号に伝送路符号化処理を施して放送信号を生成する符号化処理部と
を具備し、
前記符号化処理部で得られた放送信号を送出するデジタルテレビジョン放送用送信装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施の一形態について説明する。
【0013】
(第1の実施形態)
以下、
図1乃至
図6を参照して、第1の実施形態に係るデジタルテレビジョン放送システムについて説明する。
【0014】
図1は本実施形態に係るデジタルテレビジョン放送システムの放送用送信装置の構成を示すブロック図である。この放送用送信装置は、例えばEPG(Electronic Program Guide)等の番組表示欄に使用されるロゴデータとこのロゴデータのロゴを管理するためのロゴ管理情報を入力し、それぞれロゴデータモジュール化部11、CDTセクション化部12、ロゴデータ分配記述子生成部13、ロゴ伝送記述子生成部14、SDT(Service Definition Table)セクション化部15を経て、多重化部16で映像信号や音声信号、PSI(Program Specific Information)やCDT,SDT以外のSI(Service Information)などと共にMPEG-2_TS(Transport Stream)(以下、TS)として多重して、誤り訂正符号化や変調などの伝送路符号化(図示せず)を施した上で放送信号としてサービスエリアに向けて送信する。
【0015】
ここで、デジタルテレビジョン放送のサービスロゴデータの伝送方式では、ARIB TR-B14の5.4.1.2の規定に基づいて、CDT(Common Data Table)と呼ばれるセクション形式のテーブルを利用し、ロゴのタイプ(logo_type)と伝送するセクションとの対応関係を示すロゴ管理情報を新たな記述子として定義して、ロゴデータと共に伝送する。
【0016】
通常、放送で使用するロゴは放送チャンネル(service)ごとに異なる。このため、それぞれのロゴデータには受信機で識別し管理するためのロゴ識別(以下、logo_id)が付与される。また、デザインや色が同じで、想定する受信機やその用途などの違いなどによって画素数などが異なる複数の種類のサイズのロゴデータには同一のlogo_idが付与され、それぞれの種類はロゴ種別(以下、logo_type)で区別される。また、logo_idはバージョン番号(以下、logo_version)で更新管理されている。
【0017】
被伝送ロゴデータは、ロゴ管理情報であるlogo_id、logo_type、logo_versionと共にロゴデータモジュール化部11に送られる。このロゴデータモジュール化部11は、入力ロゴデータを圧縮し、logo_id、logo_typeごとに、
図2(ARIB TR-B14の5.4.1.2の表5−15より引用)で規定されるデータ構造のロゴデータモジュールと呼ばれる領域に格納する。このロゴデータモジュールは、data_sizeフィールドが16ビットであるが、CDTセクション内に64kbyteのデータを格納することはできない。
【0018】
上記ロゴデータモジュール化部11でロゴデータモジュールはCDTセクション化部12に送られる。このCDTセクション化部12は、ロゴデータモジュールをCDTの複数のセクションに分配して多重化部16に伝送する。ここで、CDTについては、
図3(ARIB TR-B14の5.4.1.2の表5−14から引用)に示されるようなデータ構造を持っている。CDTはダウンロードデータ識別(以下、download_data_id)ごとに識別される。CDTの1つのセクションはsection_lengthフィールドで示される最大4kbyteの大きさであり、CDTは最大256個のセクションに分割して伝送可能である。
【0019】
上記ロゴ管理情報logo_id、logo_type、logo_versionは、ロゴデータ分配記述子生成部13及びロゴ伝送記述子生成部14にも送られる。ロゴデータ分配記述子生成部13は、各ロゴデータについて、logo_typeと分配されるCDTセクションとの対応関係を示すロゴデータ分配記述子を生成してCDTセクション化部12に送り、CDTの記述子領域に配置する。また、ロゴ伝送記述子生成部14では、別途、ロゴ伝送種別(logo_transmission_type)でCDT伝送方式1を指定した場合には0x01を設定し、ロゴ識別(logo_id)やロゴバージョン番号(logo_version)のロゴデータ管理情報とともに、ダウンロードデータ識別(download_data_id)を付与してロゴ伝送記述子を生成する。ここでのdownload_data_idはCDTのdownload_data_idと同じ値を設定することで、ある放送チャンネル(service)に対応する、CDT伝送のロゴデータを特定することが可能になる。SDTセクション化部15では放送チャンネルを特定するservice_idごとにロゴ伝送記述子をSDTの記述子領域に配置して多重化部16に伝送し、CDTのセクションデータと共にTS多重する。
【0020】
さて、ロゴデータモジュールに格納されるlogo_typeごとのデータの大きさが1セクションの大きさ4kbyte以内に収まる場合には、セクション1個を使って伝送することができる。しかしなから、例えば4K,8K放送のように、画素数が大きなロゴデータを伝送する場合には、4kbyteを超える可能性がある。また、超高精細度デジタル放送では、地上デジタル放送で使用していたlogo_typeのうち、画素数が小さいものは使用せず、ある程度大きなタイプのロゴだけを選択して、任意の順番で伝送したい場合も考えられる。これらの理由から、地上デジタル放送の運用規定で決められていた「各サイズのロゴをそのまま「logo_type」値と一致したsection_numberのセクションで伝送する。」というルールを使用することができない。そこで、本実施形態では、こうした場合にもCDTで伝送可能なようにロゴデータ分配記述子を定義する。このロゴデータ分配記述子のデータ構造は、例えば
図4に示すようになる。
【0021】
logo_typeで識別されるロゴデータモジュールは、連続するセクション番号を持つCDTセクションに分割して伝送するものとして、その最初のセクション番号をstart_section_numberフィールドに記載し、そのロゴデータモジュールを伝送するセクション分割数をnumbers_of_sectionsフィールドに記載する。例えば、2種類のlogo_typeのロゴデータを伝送することとし、logo_type=0x05の1000byteのロゴデータをセクション番号0で、10000byteのロゴデータのlogo_typeを仮に0x06として、4000byte,4000byte,2000byteの計3セクションに分割してセクション番号1から順に伝送する。この場合は、
logo_type=0x05、start_section_number=0x00、numbers_of_sections=0x01
logo_type=0x06、start_section_number=0x01、numbers_of_sections=0x03
と記載すればよい。そして、このロゴデータ分配記述子はCDTの記述子領域に配置して伝送する。これら一連のロゴデータの送出系統は
図1に示した通りである。
【0022】
これに対して、対応する放送用受信装置では、所望の放送チャンネル(service)のロゴデータについて、SDTの記述子領域にロゴ伝送記述子が配置されていることを検知すれば、当該serviceのCDTが伝送されていると判断し、指定のdownload_data_idを参照して、まずは任意の当該CDTセクションを取得する。このように、取得したCDTセクションに記載されたロゴデータ分配記述子を解析することで、どのlogo_typeのロゴデータがどのセクション番号のセクション(群)で伝送されているが把握することができる。そして、次に必要なlogo_typeのセクション番号をフィルタリングするように設定することで、当該ロゴデータを効率的に取得することが可能になる。
【0023】
次に、上記放送用受信装置の構成について説明する。
図5は、放送用受信装置の構成を示すブロック図である。
図5に示すように、放送用受信装置は、伝送路復号部201、モジュールI/F部202、セクション処理部203、TS処理部204、映像復号部205、音声復号部206、OSD処理部207(OSD:On-Screen Display)、通信I/F部208、操作部209、NVRAM210(NVRAM:Non-Volatile RAM)、ROM211(ROM:Read Only Memory)、RAM212(RAM:Random Access Memory)、CPU213(CPU:Central Processing Unit)、デスクランブラ214、記憶部215を備え、各部はバス216により接続される構成である。
【0024】
伝送路復号部201は、受信アンテナ(図示しない)より受信された放送信号を復調処理や誤り訂正復号処理し、トランスポートストリームTSを得る。TS処理部204は、トランスポートストリームTSとしてパケット多重化された情報を分離して、映像信号や音声信号などを抽出する処理を行う。また、セクション処理部203は、TS処理部204と連携してトランスポートストリームTSから多重分離されたPSI(Program Specific Information)やSI(Service Information)、さらにはCDTなどのセクション形式の関連情報の抽出処理を実施する。例えば、フィルタリング条件を設定することで、一般に複数のセクションから構成されるEITやCDTなどから特定のセクション番号のセクションだけを抽出することも可能である。
【0025】
映像復号部205は、TS処理部204から出力された映像信号を復号し、復号した映像信号をOSD処理部207へ出力する。音声復号部206は、TS処理部204から出力された音声信号を復号し、復号した音声信号を音声出力装置221へ出力する。音声出力装置221は、アンプやスピーカなどを備えた音響機器であり、音声復号部206より出力された音声信号に応じた音声再生を行う。OSD処理部207は、CPU213の制御のもと、映像復号部205より出力された映像信号に所定のOSD処理を施し、表示装置222へ出力する。表示装置222は、LCD(Liquid Crystal Display)等であり、出力された映像信号に基づいた画面表示を行う。例えば、表示装置222は、多重化されたトランスポートストリームTS1から分離されたSIに含まれる放送チャンネル情報記載のSDTや番組情報記載のEITをもとに、EPG等の画面表示を行う。
【0026】
通信I/F部208は、CPU213の制御のもと、所定の通信プロトコルによる通信ネットワーク4とのデータ通信を行うインターフェースである。操作部209は、操作キーやリモートコントローラなどであり、ユーザの操作入力を受け付ける。NVRAM210は、各種設定情報を記憶する。例えば、NVRAM210には、放送受信装置2が取り扱い可能なコンテンツのフォーマットなどが設定情報として記憶される。
【0027】
ROM211は、CPU213が実行するプログラムなどを記憶する。RAM212は、CPU213がプログラムを実行する際の作業領域を提供する。また、RAM212は、多重化されたトランスポートストリームTS1から分離されたSIに含まれるEIT情報を一時記憶する領域なども提供する。CPU213は、ROM211に記憶されたプログラムをRAM212の作業領域に展開して順次実行することで、放送受信装置2の動作を中央制御する。
【0028】
モジュールI/F部202は、限定受信などにかかる暗号鍵情報が格納されたセキュリティモジュール220と接続するインターフェースである。
【0029】
デスクランブラ214は、セキュリティモジュール220に記憶された暗号鍵情報をもとに、受信したトランスポートストリームTS1においてスクランブルされているペイロード部をデスクランブルする。このデスクランブラ214によるデスクランブルにより、放送受信装置2では、EMMやECMを用いた限定受信に対応する。記憶部215は、HDD等の大容量記憶媒体であり、例えば受信したコンテンツなどを記憶する。
【0030】
次に、CPU213の制御の下で実行される放送用受信装置のロゴデータに関する処理動作について、
図6に示すフローチャートに沿って説明する。
【0031】
まず、放送信号を受信すると(ステップS11)、放送信号を復調してSDTを取得する(ステップS12)。ここで、所望の放送チャンネル(service)のロゴデータについて、取得したSDTからロゴ伝送記述子の有無を繰り返し判断し(ステップS13)、SDTにロゴ伝送記述子の記述がある場合には(YES)、そのロゴ伝送記述子からさらに未受信のロゴが有るか判断する(ステップS14)。ステップS14の判断結果に基づいて、指定serviceのいずれかのsection_numberのCDTセクションを取得し(ステップS15)、取得したCDTセクションからロゴデータ分配記述子を取り出して解析する(ステップS16)。その解析結果に基づいて、指定serviceの所望のlogo_type用のsection_numberのCDTセクションを取得し(ステップS17)、取得したCDTセクションよりロゴデータを取得して(ステップS18)、一連の処理を終了する。
【0032】
すなわち、上記処理手順によれば、どのlogo_typeのロゴデータがどのセクション番号のセクション(群)で伝送されているが把握することができるので、次に必要なlogo_typeのセクション番号をフィルタリングするように設定することで、当該ロゴデータを効率よく取得することができる。
【0033】
以上のように、第1の実施形態では、セクション形式のロゴデータ伝送において、伝送するロゴデータについてロゴのタイプと伝送するセクションとの対応関係を示すロゴデータ分配記述子を指定して送出するようにしているので、ロゴデータのサイズに依存せず、必要なタイプのロゴデータを必要な数だけ選択して、任意の順序で効率的に伝送することが可能になる。
【0034】
なお、この実施形態では、現行の地上放送等で採用されているMPEG-2 TSに基づくCDTを使って説明したが、今後の高度BSで採用が想定されるTLV(Type Length Value)/MMT(MPEG Media Transport)に基づくMH-CDTに適用してもよい。ただし、TLV(Type Length Value)/MMT(MPEG Media Transport)の場合には、MPEG-2 TSと比較して、ブロックや処理に対して以下のような違いがある。なお、MH-については、ARIB STD-B60の「参考1 本標準規格に記載の制御情報の構成」に「なお、ARIB STD-B10 に規定されるテーブル、記述子で、同機能を持ちながらMMT を用いる放送システムで用いるようテーブル識別子や記述子タグ値などを修正したものは、名称の先頭にMPEG-H を意味する「MH-」を付加することで、元のテーブル、記述子と区別している。」と説明されている。
【0035】
TLV/MMTのMH-CDTセクションはMPEG-2 TSのCDTセクションに相当し、TLV/MMTのMH-SDTセクションはMPEG-2 TSのSDTセクションに相当し、TLV/MMTのMH-ロゴ伝送記述子はMPEG-2 TSのロゴ伝送記述子に相当する。
【0036】
上記MH-CDTのデータ構造についてはARIB STD-B60の7.3.3.10に記載がある。この場合には、例えば、
図2のロゴデータ分配記述子のタグフィールド(descriptor_tag)のビット数を16ビットにしてもその本質をなんら変更するものではない。
【0037】
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態として、上記TLV/MMTの場合の放送用送信装置について説明する。
図7はその構成を示すもので、ロゴデータとこのロゴデータのロゴを管理するためのロゴ管理情報を入力し、それぞれロゴデータモジュール化部21、MH-CDTセクション化部22、MH-ロゴ伝送記述子生成部23、MH-SDTセクション化部24を経て、MMT多重化部25で映像信号や音声信号などと共に多重して、誤り訂正符号化や変調などの伝送路符号化(図示せず)を施した上で放送信号としてサービスエリアに向けて送信する。
【0038】
具体的には、被伝送ロゴデータは、ロゴ管理情報であるlogo_id、logo_type、logo_versionと共にロゴデータモジュール化部21に送られる。このロゴデータモジュール化部21は、入力ロゴデータをlogo_id、logo_typeごとにロゴデータモジュールと呼ばれる領域に格納する。上記ロゴデータモジュール化部21でロゴデータモジュールはMH-CDTセクション化部22に送られる。このMH-CDTセクション化部22は、ロゴデータモジュールをMH-CDTの複数のセクションに分配してMMT多重化部25に伝送する。ここで、MH-CDTについてはdownload_data_idごとに識別される。MH-CDTセクション化部22のロゴデータ分配情報はMH-ロゴ伝送記述子生成部23に送られる。
【0039】
上記ロゴ管理情報logo_id、logo_type、logo_versionは、MH-ロゴ伝送記述子生成部23にも送られる。このMH-ロゴ伝送記述子生成部23では、別途、ロゴ伝送種別(logo_transmission_type)でCDT伝送方式1を指定した場合には0x01を設定し、ロゴ識別(logo_id)やロゴバージョン番号(logo_version)のロゴデータ管理情報とともに、ダウンロードデータ識別(download_data_id)を付与してロゴ伝送記述子を生成する。ここでのdownload_data_idはMH-CDTのdownload_data_idと同じ値を設定することで、ある放送チャンネル(service)に対応する、MH-CDT伝送のロゴデータを特定することが可能になる。ここで、MH-ロゴ伝送記述子生成部23では、MH-CDTセクション化部22からのロゴデータ分配情報を受け取り、MH-ロゴ伝送記述子において、ロゴデータ分配情報の内容を拡張する。
【0040】
MH-SDTセクション化部24では、放送チャンネルを特定するservice_idごとにMH-ロゴ伝送記述子をMH-SDTの記述子領域に配置してMMT多重化部25に伝送し、MH-CDTのセクションデータと共に多重する。
【0041】
図1に示した第1の実施形態の構成との本質的な違いは、ロゴデータ分配情報を記述子として新規定義してMH-CDT内の記述子領域に記載する代わりに、MH-SDT記載のMH-ロゴ伝送記述子を拡張して記載することにある。この拡張の様子を
図8に示す。
【0042】
この構成によれば、MH-SDTに記載することで、MH-CDT取得前にロゴデータ分配情報が取得できるため、受信機側では、まずMH-CDTのセクションをどれか1つ取得してロゴデータ分配記述子を確認するという
図8で言えばS15のステップが不要となり、必要なlogo_typeのロゴデータをより効率的に取得することが可能になる。
【0043】
なお、本実施形態の処理については、第1の実施形態のMPEG-2 TS方式の場合にも適用可能である。
【0044】
(第3の実施形態)
第3の実施形態は、第2の実施形態と同様の送出装置により実現できる。ただし、ロゴデータ分配情報をMH-ロゴ伝送記述子に挿入しない。ロゴデータ分配情報をあらかじめ運用規定により固定的に決めておく、あるいは、MH-CDTのdata_module_byteに追加挿入を行う。
【0045】
高度広帯域衛星デジタル放送では、3種類のサイズパターンに対するlogo_typeが定義されている。一つは「2K」で、地上デジタル放送で定義されている「HDラージ」と同じものである。あとの二つは、4K画面への表示を想定した「スモール」と8K画面への表示を想定した「ラージ」であり、「2K」と比較して、縦・横のドット数がそれぞれ2倍、4倍となっている。また、「スモール」,「ラージ」のロゴでは、同時に使用する色数は制限されるものの、RGB各8ビットフルカラーの色を使用できるようにするため、カラーパレットも伝送することになっている。このため、ロゴデータサイズの上限が大きくなっている。
【0046】
「2K」ロゴはサイズの上限が地上デジタル放送の「HDラージ」のときと同じ1152バイトであり、1つのMH-CDTで送ることが可能だが、「スモール」は8000byte,「ラージ」は16000byteが上限と想定されており、1つのMH-CDTでは送ることができない。このため、ロゴデータを複数のMH-CDTで伝送するための規定が新たに必要となる。以下、第3の実施形態として、ロゴデータを複数のMH-CDTで伝送するための手法を説明する。
【0047】
図9に第3の実施形態に係る処理の流れを示す。
図9において、ロゴデータの入力を待機し(ステップS21)、ロゴデータの入力があった場合には、logo_typeが2K,ラージ,スモールのいずれを示しているかを判断し、logo_type毎にロゴデータを分配するsection_numberの値を設定する(ステップS22)。続いて、MH-CDTの最大容量を考慮して、ロゴデータを分割してMH-CDTセクションのdata_module_byteに配置情報と共に設定し(ステップS23)、一連の処理を終了する。
【0048】
すなわち、本実施形態では、data_module_byteの定義の変更など運用規定だけの変更により、1セクションに収まらない大きなサイズのサービスロゴをMH-CDTで伝送するものである。したがって、MH-CDTではない新たなデータ構造とする、あるいは、MH-CDTに挿入する新たな記述子を記述する、MH-ロゴ伝送記述子の定義を変更するといった目的で、ARIB標準規格に追加や変更を行う必要がない。
【0049】
以下、本実施形態の具体的な処理について、実施例1〜5を説明する。
【0050】
[実施例1]
図1に示すロゴデータモジュール化部11において、地上デジタル放送のdata_module_byteのシンタックスに対して、該当logo_typeのロゴのバイト数、つまり、各セクションに分割して入れられたデータの合計サイズとして、「total_logo_size」というフィールドを追加する。その例を
図10に示す。また、地上デジタル放送で「各サイズのロゴをそのlogo_type 値と一致したsection_number のセクションで伝送する。」と規定されていた代わりに、logo_type毎に使用するsection_number値を固定して使用するように運用規定にて規定を行う。ここでは仮に
2K 0
ラージ 1〜4
スモール 5〜6
とする。また、4000byte毎にロゴデータを分割して、data_byteに格納することにする。このように決めることで、各logo_typeのロゴを受信するために取得するセクションのsection_numberの範囲が受信したMH-CDT内の情報を利用することなく事前に分かるようになる。例えばスモールのロゴだけ欲しい場合には、section_numberが0から6のセクションを全て取得した上で、data_module_byte中のlogo_typeを判断してsection_numberが5と6のセクションが該当すると判断するのではなく、section_numberが5と6のセクションだけを取得すればよいようになる。
【0051】
また、total_logo_sizeを追加して分割サイズを決めたことにより、logo_typeで決められたsection_numberのセクションを全て受信しなくてもよいことが判断できるようになる。例えば、ラージのロゴでtotal_logo_sizeが10000 byteであれば、section_number が1から4のセクションのdata_sizeがそれぞれ順番に、4000byte,4000byte,2000byte,0byteであると分かり、section_number=4のセクションを取得不要だと分かる。また同様に、section_number=5のセクションを取得してtotal_logo_sizeが4000byte以下であれば、section_number=6のセクションを取得不要だと分かる。
【0052】
ここでは、例としてロゴタイプの値の順番にsection_numberの値を割り当てたが、この順番でなくてもよい。
【0053】
また、ここでは、例として分割サイズを4000byteとしたが、別の値でもよい。例えば分割サイズを4070byteとして、total_logo_sizeが10000byteのロゴを4070 byte,4070 byte,1860 byte,0 byteと分割してもよい。
【0054】
また、ここでは例としてtotal_logo_sizeをdata_module_byteに追加して分割サイズを決めるようにしたが、分割サイズは決めずに、data_module_byteに続きがあるかどうかの情報を追加してもよいし、分割サイズも決めたうえで続きがあるかどうかなど他の情報を更に追加してもよい。
【0055】
[実施例2]
ストリームの中でセクションはどの順番に送られているかわからず、また、1つのセクションが取得できてから次のセクションを取得するためのセクションフィルタの設定をし直している間に、未取得のセクションを取り損なうことがあり、1つのセクションが取得できてから次のセクションを取得するようにしていると、所望のセクションを全て取得するまでの時間が長くなってしまうことが考えられる。また、同時にセクションフィルタの設定を行うことで、取得時間の短縮を図ることができるが、セクションフィルタのリソースを多く消費してしまう。
【0056】
これを回避する手段として、セクションフィルタの条件にマスク指定することが考えられる。
【0057】
一部のビットについては0,1どちらの値であっても、セクションを取得する機能である。section_numberのマスク指定について、0として指定するビットを0,1として指定するビットを1、0でも1でもよいビットをxで表すこととする。
【0058】
ラージのロゴは最大4セクション、スモールのロゴは最大2セクションであり、ラージのロゴでは2ビット、スモールのロゴでは1ビットでマスクすると効率がよい。そこで、ラージのロゴのsection_numberのマスク指定を000001xx(00000100,00000101,00000110,00000111)、スモールのロゴのsection_numberのマスク指定を0000001x(00000010,00000011)とする。このようにすると、使用するsection_number値は
スモール 2〜3
ラージ 4〜7
となる。加えて
2K 0
とする場合、section_number=1のセクションは不要となる。
【0059】
通常、section_numberは0からlast_section_numberまで抜けなく配置されるが、EIT[schedule](およびMH-EIT[schedule])では、例外として途中のセクションが抜けることのある運用となっている。そこで、MH-CDTについてもsection_number=1のセクションを送らないという例外運用を行うように規定すれば、section_numberが0と2〜7の7つのセクションで、各logo_typeのロゴデータを伝送することができる。
【0060】
ここでは、例としてsection_number=1が不要としたが、section_number=0を不要セクションとしてsection_numberが1〜7の7つのセクションで、各logo_typeのロゴデータを伝送してもよい。
【0061】
[実施例3]
実施例2と同様のマスク指定をする場合に、無効なデータであることを示すことができれば、途中のセクションを送らないような例外運用を行わなくても、実現することができる。
【0062】
例えば、logo_typeとして今後も0xFFの値を使わないことに決めて、data_module_byteのlogo_typeの値が0xFFだった場合には無効データであると判断するという規定を行うことで実現可能となる。必要なsection_numberのセクションのみを取得する受信機の場合には、このセクションは取得しないので、処理に影響はない。セクションフィルタのマスク機能で全てのsection_numberのセクションを取得する受信機の場合には、無効データであると判断して破棄するようにすればよい。
【0063】
[実施例4]
あるいは、実施例2と同様のマスク指定をする場合に、1つのセクションについてはロゴデータ自体を送るものではなく、別の情報を伝送するために使用することも可能である。
【0064】
2Kのロゴはsection_number=1で伝送することにして、section_number=0では別の情報を伝送することにして、section_number=0は特殊データ、section_number 1〜7はロゴデータを伝送するために使うことができる。
【0065】
例えば、section_number=0の場合のdata_module_byteを
図11に示すようにして、各セクション番号でどのlogo_typeのロゴデータを送っているのか、つまりロゴデータ分配情報を示すことが可能である。
図11の例では、logo_typeの数であるnumber_of_logo_typeだけループをまわして、各logo_typeで使用するsection_number(start_section_number + j)ごとのロゴデータのバイト数を指定できるようにしている。
【0066】
[実施例5]
図11に示すようなdata_module_byteをsection_number=0で伝送するようにしておくと、運用規定で各logo_typeで使用するsection_numberの範囲を固定していない場合でも、section_number=0を取得後に所望のlogo_typeのsection_numberのセクションを取得するという二段階を踏めば、所望のlogo_typeのサービスロゴを取得することが可能となる。二段階踏むことで所望のロゴを取得するための時間は長くなる可能性があるものの、将来新たにlogo_typeが追加された場合にも対応が可能となる。
【0067】
section_numberの範囲を運用規定で固定しない場合について、logo_typeで使用するセクション数は最大に固定してもよいし、ロゴデータのサイズによって可変にしてもよい。
【0068】
以上のように、第3の実施形態では、data_module_byteの定義やsection_numberの割り当てルールを変更することで、MH-CDTではない新たなデータ構造、あるいは、MH-CDTに挿入する新たな記述子をARIB標準規格で追加定義したり、ARIB標準規格のMH-ロゴ伝送記述子の定義を変更したりすることなく、1セクションに収まらない大きなサイズのサービスロゴをMH-CDTで伝送することが可能となる。
【0069】
また、実施例1〜4では、地上デジタル放送と同様に、所望のlogo_typeのsection_numberのセクションだけを取得することが可能である。また、実施例2〜4では、section_numberをマスクしてセクションフィルタを設定することにより、ラージのロゴ,スモールのロゴの取得を、効率よく行うことが可能である。また、実施例5では、将来新たにlogo_typeが追加された場合にも対応が可能である。
【0070】
なお、実施形態において、CDT、MH-CDTを共通データテーブル情報と総称し、SDT、MH-SDTをサービス記述テーブル情報と総称し、ロゴ伝送記述子、MH-ロゴ伝送記述子をロゴ伝送記述子と総称するものとする。
【0071】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。