特許第6676717号(P6676717)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6676717-フラボノイド類含有粉末組成物 図000008
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6676717
(24)【登録日】2020年3月16日
(45)【発行日】2020年4月8日
(54)【発明の名称】フラボノイド類含有粉末組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/10 20160101AFI20200330BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20200330BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20200330BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20200330BHJP
   A61K 47/40 20060101ALI20200330BHJP
   A61P 39/06 20060101ALI20200330BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20200330BHJP
   A61K 31/353 20060101ALI20200330BHJP
   A23L 2/70 20060101ALI20200330BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20200330BHJP
【FI】
   A23L33/10
   A61K9/08
   A61K9/14
   A61K47/36
   A61K47/40
   A61P39/06
   A61P31/04
   A61K31/353
   A23L2/00 K
   A23L2/52
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-170417(P2018-170417)
(22)【出願日】2018年9月12日
(62)【分割の表示】特願2014-126232(P2014-126232)の分割
【原出願日】2014年6月19日
(65)【公開番号】特開2019-4906(P2019-4906A)
(43)【公開日】2019年1月17日
【審査請求日】2018年10月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】593106918
【氏名又は名称】株式会社ファンケル
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100122954
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷部 善太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100194803
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 理弘
(72)【発明者】
【氏名】藤村 岳史
【審査官】 太田 雄三
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−529193(JP,A)
【文献】 特表2007−529450(JP,A)
【文献】 特開2008−94754(JP,A)
【文献】 特開2009−240193(JP,A)
【文献】 特開2013−220079(JP,A)
【文献】 特表2015−521052(JP,A)
【文献】 日本食品工業学会誌,1977年10月,Vol. 24, No. 10,p. 530-538
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 5/00−35/00
A23L 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラボノイド類1質量部あたりポリデキストロース0.1〜10質量部含有する粉末組成物。
【請求項2】
フラボノイド類がフラボン類、イソフラボン類、フラボノール類、フラバノン類、フラバノール類、フラバノノール類、アントシアニジン類のいずれかに分類される化合物である請求項1に記載の粉末組成物。
【請求項3】
フラボノイド類がケルセチン、ヘスペリジン、イソフラボン類から選択される1以上の物質である請求項1又は2に記載の粉末組成物。
【請求項4】
フラボノイド類1質量部あたりポリデキストロース0.1〜10質量部含む水溶液。
【請求項5】
飲料の形態である請求項4に記載の水溶液。
【請求項6】
フラボノイド含有組成物にポリデキストロースを添加することを特徴とするフラボノイド類の溶解性を改善する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラボノイド類の水溶性が高い粉末組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
フラボノイド (flavonoid) は天然に存在する有機化合物群で、クマル酸CoAとマロニルCoAが重合してできるカルコンから派生する植物二次代謝物の総称である。いわゆるポリフェノールとも呼ばれる化合物群であり(代表例であり)、アントシアニン、カテキンやフラバンを含む広い概念で、付着する糖のバリエーションを考慮すると7,000以上の構造が知られている。
フラボノイドは次の化学式1で表される基本骨格を有している。
【0003】
【化1】
【0004】
フラボノイド化合物は、その基本骨格からフラボン類、イソフラボン類、フラボノール類、フラバノン類、フラバノール類、フラバノノール類、アントシアニジン類に分類される。フラボン類としてはアピゲニン、ルテオリン、タンゲリチン、ジオスミン、フラボキサートなどが知られている。イソフラボン類としては、ダイゼイン、ダイジン、ゲニステインなどが知られている。フラボノール類としては、ケンフェロール、ミリセチン、ケルセチンが知られている。フラバノン類としては、エリオジクチオール、ヘスペレチン、ヘスペリジン、ホモエリオジクチオール、ナリンゲニンが知られている。フラバノール類としては、カテキン、エピカテキン、エピガロカテキンが知られている。フラバノノール類としてはジヒドロケルセチンが知られている。アントシアニジン類としては、シアニジン、デルフィニジン、マルビジン、ペラルゴニジン、ペオニジンが知られている。
これらのフラボノイド化合物は、抗酸化作用や抗菌作用など多様な生理活性を有しているため、健康管理の面から積極的に摂取するように推奨されている。しかしフラボノイド化合物はいずれも水溶性が低く、単なるフラボノイドとして経口摂取してもその大部分が吸収されずに排泄されてしまう。このためフラボノイドの吸収性を高め、生体内での有効性をあげる目的で水溶性を高める技術が提案されている。
フラボノイド類の水溶性を高めるためにもっとも利用される技術は、フラボノイドを配糖体化することである。たとえば、特許文献1にはα−グリコシル化することで難水溶性のフラバノン類に属するヘスペリジンの溶解度を改善する技術が記載されている。特許文献2にはフラバノール類に属するカテキンを配糖体化することで水溶性を改善する技術が開示されている。
またフラボノイド類の溶液中で、フラボノイド類が沈殿しないようにする分散溶液の調製技術が提案されている。特許文献3にはイソフラボンの粒子サイズを10μm以下に微粉砕し、これをアラビアガムの水溶液に分散させる技術が提案されている。特許文献4にはケルセチンの分散性を向上するため、ケルセチンの分散水溶液に水溶性・高粘性の食物繊維を添加する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3060227号公報
【特許文献2】特開平05−176786号公報
【特許文献3】特開2003−128542号公報
【特許文献4】特開2010−024230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、フラボノイドの水溶性が改善されたフラボノイド含有粉末組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、フラボノイドの溶解性について研究を進めたところ、水に難溶性のフラボノイドであるジヒドロケルセチンの溶解性を難消化性デキストリンが改善することを見いだした。さらにこのような作用は各種水溶性食物繊維特有であることを見いだし、本発明を完成させた。
【0008】
本発明の主な構成は、次の通りである。
(1)フラボノイド類1質量部あたりポリデキストロース0.1〜10質量部含有する粉末組成物。
(2)フラボノイド類がフラボン類、イソフラボン類、フラボノール類、フラバノン類、フラバノール類、フラバノノール類、アントシアニジン類のいずれかに分類される化合物である(1)に記載の粉末組成物。
(3)フラボノイド類がケルセチン、ヘスペリジン、イソフラボン類から選択される1以上の物質である(1)又は(2)に記載の粉末組成物。
(4)フラボノイド類1質量部あたりポリデキストロース0.1〜10質量部含む水溶液。
(5)飲料の形態である(4)に記載の水溶液。
(6)フラボノイド含有組成物にポリデキストロースを添加することを特徴とするフラボノイド類の溶解性を改善する方法。
【発明の効果】
【0009】
フラボノイド類の溶解性が改善した粉末組成物が提供される。また従来困難であった25℃のフラボノイド類の溶解量が1mg/ml以上である水溶液が提供される。さらにまた、本発明によりフラボノイド類の水溶性の改善方法及びフラボノイド類を含む水溶液におけるフラボノイド類の沈殿防止方法が提供される。
またフラボノイド類を高濃度に溶解した飲食品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】フラボノイド類の一種であるジヒドロケルセチン水溶液の紫外部の吸光スペクトルである。ジヒドロケルセチンの溶解度が上がると、スペクトルの吸収波長帯の吸光度は上昇し、低下すると下降することを模式的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、フラボノイド類と水溶性食物繊維を含有するフラボノイド類の溶解性が高められた粉末組成物に係る発明である。
本発明に用いるフラボノイド類は、下記化学式(1)(平面構造式)で表される基本骨格を有する化合物でああって、フラボン類としてはアピゲニン、ルテオリン、タンゲリチン、ジオスミン、フラボキサート、イソフラボン類としては、ダイゼイン、ダイジン、ゲニステイン、フラボノール類としては、ケンフェロール、ミリセチン、ケルセチン、フラバノン類としては、エリオジクチオール、ヘスペレチン、ヘスペリジン、ホモエリオジクチオール、ナリンゲニン、フラバノール類としては、カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、フラバノノール類としてはジヒドロケルセチン、アントシアニジン類としては、シアニジン、デルフィニジン、マルビジン、ペラルゴニジン、ペオニジンが例示できる。特に好ましくは、ケルセチン2水和物、ヘスペリジン、イソフラボン類である。なおイソフラボン類は下記の化学式1のピロン環に結合するフェノール基が3位に結合した基本骨格を有する。
【0012】
【化1】
【0013】
フラボノイド類は、植物から抽出された粗精製物であっても良いし、高度に精製された精製物であっても良い。一般的には粗精製物のほうが溶解性に劣るといわれている。
フラボノイド類は油溶性の化合物であり、水にはわずかしか溶解しない。例えばフラバノノール類に分類されるジヒドロケルセチンの場合、その溶解度は温度依存性があるが、25℃における溶解度は1mg/ml以下、90℃における溶解度は52mg/mlである。
【0014】
フラボノイド類を水溶液とするためには、加熱して溶解することで、90℃の溶解度を52mg/ml以上とすることができる。しかし、この水溶液は温度が低下するとフラボノイド類が析出してしまう。
例えば、市販されているシベリア又は、ダフリアカラマツから抽出したフラボノイド類含有組成物は約80%のフラボノイドであるジヒドロケルセチンとその他フラボノイド類を含有している粉末(商品名:ジクベルチン 株式会社DHQ)であるが、この粉末の水への溶解性はきわめて低く、精製されたフラボノイドであるジヒドロケルセチン(タキシフォリン)の25℃の溶解度である1mg/mlよりもさらに低い。
フラボノイド類1質量部あたり水溶性食物繊維の粉末を0.1〜10質量部を均質に混合することで、当該粉末を溶解すると粉末中のフラボノイド類の25℃における溶解度をフラボノイド類のみを溶解させる場合に比して1.3〜4倍の濃度に改善することができる。
なお、水溶性食物繊維の配合量が0.1質量部以下の場合、溶解性改善効果がなく10質量%を超えるとフラボノイド類の溶解度が頭打ちとなってしまう。
【0015】
本発明で言う水溶性食物繊維としては、グアー豆酵素分解物、グルコマンナン、βグルカン、難消化性デキストリン、難消化性グルカン、ポリデキストロース、イヌリン、アガロース、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、フコイダン、ポルフィラン、ラミナラン、アラビノガラクタンを例示できる。好ましくは難消化性デキストリン、ポリデキストロース、特に好ましく、難消化性デキストリンが特に好ましい。また広義の水溶性食物繊維である環状構造を持つ高分子デキストリン(商品名:クラスターデキストリン)やシクロデキストリンも本発明に用いることができる。
【0016】
本発明のフラボノイド類及び水溶性食物繊維を含む組成物は、水溶液又は飲料などの水媒体に溶解したとき、水溶液中に溶解するフラボノイド類の25℃の濃度を1mg/ml以上にすることができる。またフラボノイドの濃度を最高で同じく25℃で4mg/mlとすることができる。
【0017】
さらにまた、フラボノイド類を高濃度に加温溶解した水溶液又は飲料中に水溶性食物繊維を溶解したフラボノイドの1質量部あたり0.1〜10質量部添加して、撹拌し溶解させることにより、室温(25℃)に液温が低下しても、水溶液又は飲料中にフラボノイドが析出することを抑制することができる。
【実施例】
【0018】
以下に本発明の効果を確認した試験例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。
【0019】
試験例
<試験例1:フラボノイド類の溶解度の指標としての吸光度測定(予備試験)>
フラボノイド類の溶解度の指標として吸光度を使用可能か否か評価した。
1.試験方法
フラボノイドの水溶液は、その基本骨格の2重結合構造に由来する黄色〜赤〜青の可視部及び紫外部に極大吸収を持つ透明な水溶液となる。主なフラボノイド類の吸収波長を表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】
15mL遠沈管にフラボノイド類の一種であるシベリア又は、ダフリアカラマツから抽出したジヒドロケルセチン粉末(ラビトール:株式会社アメティス)及び難消化性デキストリン(ファイバーソル2:松谷化学工業株式会社製)を秤量し、蒸留水を5gとなるように加えた。転倒混和したのち、卓上超音波洗浄機(SHARP社製 UT-205)で10分間ソニケーションした後、25℃で1時間保温した。
HITACHI社製Himac CT6Dを使用し、3000rpmで10分間遠心分離した後、上清を2mLマイクロチューブ(エッペンドルフ社製)に移し、16200Gで10分間超遠心分離した(HITACHI社製CF15RX II)。上清を新しいマイクロチューブに移し、SHIMADZU社製UV-2450で波長400nmから200nmの紫外部波長域の吸光度を測定し、スペクトログラフィーを得た。
【0022】
2.結果
図1にジヒドロケルセチンを定量とし、難消化性デキストリンを増加させた際に得られるスペクトロメトリーを示す。
難消化性デキストリンによってジヒドロケルセチンの溶解性が上昇し、吸光度が上昇することが確認できた。
【0023】
<試験例2:フラボノイド類の溶解度改善試験>
1.試験方法
フラボノイド類としてジヒドロケルセチン(ジクベルチン:株式会社DHQ)を用い、これに難消化性デキストリン(ファイバーソル2:松谷化学工業株式会社製)を用いてフラボノイド類の溶解度に及ぼす難消化性デキストリンの効果を評価した。
下記表2の比率でフラボノイド類と難消化性デキストリンの粉末を混合し、予備試験と同様にして試験溶液を調整し、400から200nmの波長域の吸光度を測定した。
【0024】
【表2】
【0025】
難消化性デキストリンを含まない場合の溶液の極大波長における吸光度比を1とし、難消化性デキストリンを添加した際の相対吸光度(吸光度比)を求めた。
【0026】
2.結果
表2に示すとおり難消化性デキストリンを含まない溶液の吸光度比を1とすると難消化性デキストリンの添加量が増大するにつれ、溶解度が上昇した。25℃の温度での水へのフラボノイドの溶解度は1mg/mlとされている。難消化性デキストリンを添加することで、無添加の4倍量、4mg/mlの濃度のフラボノイド水溶液を得ることができた。
【0027】
<試験例3:各種多糖類のフラボノイドの溶解度に及ぼす効果>
1.試験方法
水溶性食物繊維として試験例1、2で用いた難消化性デキストリンとは平均分子量の異なる難消化性デキストリン(パインファイバーC:松谷化学工業株式会社製)、ポリデキストロース(スターライトIII:Tate&Lyle製)、アラビノガラクタン(レジストエイド:ロンザジャパン製)、環状構造を持つ高分子デキストリン(クラスターデキストリン:グリコ栄養食品株式会社製)、非水溶性食物繊維としてセルロース(セオラスFD-301:旭化成ケミカルズ株式会社製)、トウモロコシ澱粉(コーンスターチ:松谷化学工業株式会社製)、α−シクロデキストリン(CAVAMAX(登録商標)w6:株式会社シクロケム製)それぞれ125mgをフラボノイド粉末(ジクベルチン)125mgに粉混合した。それぞれの粉末を15mL遠沈管採取し、蒸留水を5gとなるように加えた。転倒混和したのち、卓上超音波洗浄機(SHARP社製 UT-205)で10分間ソニケーションした後、25℃で1時間保温した。次いで、HITACHI社製Himac CT6Dを使用し、3000rpmで10分間遠心分離
した後、上清を2mLマイクロチューブ(エッペンドルフ社製)に移し、16200Gで10分間超遠心分離した(HITACHI社製CF15RX II)。上清を新しいマイクロチューブに移し、SHIMADZU社製UV-2450で波長400から200nmの波長域の吸光度を測定し、試験例1と同様にフラボノイド類の溶解性を試験した。
【0028】
2.試験結果
試験結果を表3に示す。
【0029】
【表3】
【0030】
水溶性食物繊維である難消化性デキストリン(パインファイバー)、環状高分子デキストリン(クラスターデキストリン)、α−シクロデキストリン、アラビノガラクタン、ポリデキストロースはフラボノイド類の溶解性を改善した。しかし非水溶性食物繊維であるセルロース及び非食物繊維であるトウモロコシ澱粉はフラボノイド類の溶解性を悪化させた。
以上の試験例1〜3により、水溶性食物繊維はフラボノイド類の水への溶解性を改善することが明らかとなった。またフラボノイド類の溶解度は、水溶性食物繊維の混合量に応じて改善することが判明した。
【0031】
<試験例4:各種のフラボノイド類の溶解度改善試験>
フラボノイド類としてケルセチン(フラボノール類)、ヘスペリジン(フラバノン類)、イソフラボン(イソフラボン類)を用い、水溶性食物繊維として難消化性デキストリンを用いて、フラボノイド類の溶解性改善作用を確認した。
1.試験方法
フラボノイド類として以下のものを用いた。
ケルセチン2水和物(マメ科エンジュ由来:メディエンス株式会社製)、ヘスペリジン(柑橘類皮果実由来;株式会社中原製)、イソフラボン(大豆由来イソフラボン類混合物;株式会社中原製)
また水溶性食物繊維として難消化性デキストリン(ファイバーソル2:松谷化学工業株式会社製)を用いた。
それぞれ125mgのフラボノイド類粉末と水溶性食物繊維125mgを粉混合した。それぞれの粉末を15mL遠沈管採取し、蒸留水を5gとなるように加えた。転倒混和したのち、卓上超音波洗浄機(SHARP社製 UT-205)で10分間ソニケーションした後、25℃で1時間保温した。次いで、HITACHI社製Himac CT6Dを使用し、3000rpmで10分間遠心分離した後、上清を2mLマイクロチューブ(エッペンドルフ社製)に移し、16200Gで10分間超遠心分離した(HITACHI社製CF15RX II)。上清を新しいマイクロチューブに移し、SHIMADZU社製UV-2450で400から200nmの波長域の吸光度を測定し、フラボノイドのみを溶解させた溶液を対照として、試験例1と同様にフラボノイド類の溶解性を試験した。
【0032】
2.試験結果
試験結果を表4に示す。
【0033】
【表4】
【0034】
ケルセチン、ヘスペリジン、イソフラボンの各フラボノイドの溶解性は、難消化性デキストリンと粉混合することでいずれも17%〜1240%以上改善した。特にヘスペリジンはその効果が顕著であった。
【0035】
以上の試験例1〜4からフラボノイド類は、水溶性食物繊維と粉混合するだけでその溶解性が改善することが明らかとなった。水溶性食物繊維とフラボノイド類を溶解させた水溶液は超遠心によっても溶解度が低下しないので、分散状態ではなく溶解状態であることが明らかとなった。
図1