(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記細胞が、アルギネート、多糖ヒドロゲル、キトサン、カルシウム、またはアルギン酸バリウム、アルギネートおよびポリリシンの層状マトリックス、光重合ポリ(エチレングリコール)ポリマー、ポリアクリレート、ヒドロゲルメタクリレート、メチルメタクリレート、シリコンカプセル、シリコンナノカプセル、ポリメンブレン、またはアクリロニトリル−コ−塩化ビニルにおいてカプセル化される、請求項1に記載のデバイス。
前記デバイスが、前記多孔質足場の少なくとも一部をコーティングする材料をさらに含むように構成され、該材料が、組織の組み込みおよび血管形成を刺激する、請求項1に記載のデバイス。
前記材料が、成長因子、抗線維化剤、ポリマー、血管内皮成長因子(VEGF)、コラーゲン、フィブロネクチン、ポリエチレン−イミンおよび硫酸デキストラン、ポリビニルシロキサンおよびポリエチレンイミン、ホスホリルコリン、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)、ポリ(乳酸)、ポリヒドロキシバレレートおよびコポリマー、ポリヒドロキシブチレートおよびコポリマー、ポリジアキサノン、ポリ無水物、ポリ(アミノ酸)、ポリ(オルトエステル)、ゼラチン、セルロースポリマー、キトサン、アルギネート、ビンキュリン、寒天、アガロース、ヒアルロン酸、およびマトリゲルのうちの1つ以上を含む、請求項10に記載のデバイス。
前記多孔質足場が、多孔質の前記チャンバー内への血管および結合組織の成長を助長して、血管新生コラーゲンマトリックス中で前記プラグを被包するように構成され、該プラグは、該血管新生コラーゲンマトリックス中で被包された該チャンバー内に空間を作るように、該チャンバーから引き抜くことができる、請求項1に記載のデバイス。
前記多孔質足場が、1つのチャンバー、2つのチャンバー、3つのチャンバー、4つのチャンバー、5つのチャンバー、6つのチャンバー、7つのチャンバー、8つのチャンバー、10のチャンバー、12のチャンバー、またはそれ以上のチャンバーを含むように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、治療用細胞の移植を成功させる有効な技術を見出す必要がなお存在する。本開示は、既存のデバイスを用いた細胞治療アプローチに関連した多くの問題を緩和する一方、細胞を送達してin vivoで長期間にわたって細胞を維持する方法およびデバイスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様では、細胞を宿主の体内に移植するためのデバイスが提供される。このデバイスは、近位端部および遠位端部を有する少なくとも1つのチャンバーを含む多孔質足場、およびこの少なくとも1つのチャンバー内に配置されるように構成された少なくとも1つの取り外し可能なプラグを含む。多孔質足場は、血管および結合組織の少なくとも1つのチャンバー内への成長を助長する大きさの孔を有するメッシュを含む。一部の実施形態では、多孔質足場は、ポリプロピレンメッシュを含む。
【0008】
本開示の別の実施形態は、宿主の体内に細胞を植え込むためのデバイスであり、このデバイスは、近位端部および遠位端部を有する1つ以上のチャンバー、ならびにこの近位端部および遠位端部のいずれか一方または両方の開口部を含む、多孔質足場を含む。多孔質足場は、血管および結合組織の1つ以上のチャンバーへの成長を助長する大きさの孔を含む。デバイスはまた、1つ以上のチャンバー内に配置されるように構成された外側プラグおよびこの外側プラグ内に配置されるように構成された内側プラグを含む1つ以上の2プラグシステムを含む。加えて、デバイスは、プラグシステムをチャンバー内に封入し、かつチャンバーの近位端部および遠位端部のいずれか一方または両方の開口部を閉じるように構成された少なくとも1つのシールを含む。
【0009】
本開示の別の態様では、細胞を宿主の体内に移植する方法が提供される。この方法は、細胞を保持するためのデバイスを宿主の体内に植え込むステップを含み、このデバイスは、近位端部および遠位端部を有する少なくとも1つのチャンバーを含む多孔質足場を含んでいる。多孔質足場は、血管および結合組織の少なくとも1つのチャンバー内への成長を助長する大きさの孔を有するメッシュを含む。一部の実施形態では、多孔質足場は、ポリプロピレンメッシュを含む。デバイスは、少なくとも1つのチャンバー内に配置されるように構成された少なくとも1つのプラグ、ならびに近位端部および遠位端部のいずれか一方または両方に開口部を含む少なくとも1つのチャンバーをさらに含む。この方法は、デバイスが植え込まれた後、チャンバーの近位端部および遠位端部のいずれか一方または両方の開口部を閉じるステップをさらに含む。この方法は、多孔質足場に血管および結合組織が浸潤するまでデバイスを宿主の体内に維持するステップと、デバイスに外科切開によってアクセスするステップと、チャンバーの近位端部および遠位端部のいずれか一方または両方を再び開けるステップと、プラグをチャンバーから抜き取り、血管新生コラーゲンマトリックスで被包された多孔質足場内に空間を作るステップと、細胞調製物を血管新生空間に送達するステップと、チャンバーの近位端部および遠位端部のいずれか一方または両方の開口部を再び閉じるステップと、をさらに含む。
【0010】
別の代替の実施形態では、細胞を宿主の体内に植え込む方法は、宿主の体内で細胞を保持するための植え込みデバイスを用意し、この植え込みデバイスが、血管および結合組織の多孔質足場内への成長を助長する大きさの孔を有する多孔質足場、ならびにこの多孔質足場内に配置されるように構成された少なくとも1つの2プラグシステムを含む。植え込みデバイスの多孔質足場は、チャンバーの近位端部および遠位端部のいずれか一方または両方に開口部を有する少なくとも1つのチャンバーを含む。このデバイスは、少なくとも1つのチャンバーの近位端部および遠位端部のいずれか一方または両方の開口部を閉じるためのシールを含む。植え込みデバイスの少なくとも1つのプラグシステムは、少なくとも1つのチャンバー内に配置されるように構成された外側プラグおよびこの外側プラグ内に配置されるように構成された内側プラグを含む。この方法は、デバイスを宿主の体内に植え込むステップと、デバイスに血管および結合組織が浸潤するまでデバイスを宿主の体内に維持するステップと、細胞調製物が導入された少なくとも1つの細胞注入管を含む細胞送達デバイスを用意するステップと、をさらに含み、細胞注入管は、少なくとも1つのプラグシステムの外側プラグ内に配置されるように構成されている。加えて、この方法は、植え込まれたデバイスに外科切開によってアクセスして、デバイスの近位端部および遠位端部のいずれか一方または両方のシールを開けるステップと、内側プラグをプラグシステムから取り出すステップと、細胞注入管を外側プラグ内に挿入するステップと、外側プラグを少なくとも1つのチャンバーから取り出すと同時に、チャンバーに細胞調製物を注入するステップと、シールを再び閉じるステップと、を含む。前述の概要および以下の詳細な説明は共に、単に例示および説明のためであり、特許請求の範囲で規定される本発明を制限するものではないことを理解されたい。
【0011】
本開示の別の態様は、少なくとも1つの1つチャンバー、好ましくは2〜12のチャンバーを含む多孔質足場内への血管および結合組織の成長を助長する大きさの孔を有するこの多孔質足場を含む細胞移植デバイスであって、多孔質足場が、その孔を一時的に塞ぐようにデザインされた生体適合性の生体分解性材料でコーティングされている、デバイスを提供する。特定の実施形態では、多孔質足場は、ポリプロピレンメッシュを含む。適切な生体適合性の生体分解性材料には、例えば、コラーゲン、フィブロネクチン、細胞外マトリックスタンパク質、および膜細胞骨格タンパク質が含まれる。本開示はまた、細胞を宿主の体内に移植する方法であって、少なくとも1つのチャンバー、好ましくは2〜12のチャンバーを含む多孔質足場内への血管および結合組織の成長を助長する大きさの孔を有する多孔質足場を含む移植デバイスを植え込むステップを含み、多孔質足場が、その孔を一時的に塞ぐ生体適合性の生体分解性材料でコーティングされ、少なくとも1つのチャンバーが、移植される細胞で満たされ、このチャンバーが密閉されている、方法を提供する。
特定の実施形態では、例えば以下が提供される:
(項目1)
宿主の体内に細胞を植え込むためのデバイスであって、
近位端部および遠位端部を有する少なくとも1つのチャンバーを含む多孔質足場であって、前記多孔質足場は、血管および結合組織の前記少なくとも1つのチャンバー内への成長を助長する大きさの孔を有する、多孔質足場と、
前記少なくとも1つのチャンバー内、および/または、前記多孔質足場の少なくとも一部内に配置されるように構成された少なくとも1つの取り外し可能なプラグであって、前記多孔質足場の前記少なくとも一部は、前記足場の孔を一時的に塞ぐ生体適合性の生体分解性材料でコーティングされている、少なくとも1つの取り外し可能なプラグと
を含み、
前記多孔質足場は、ポリプロピレンメッシュを含み、
前記デバイスは、前記チャンバー内の細胞調製物をさらに含む、デバイス。
(項目2)
前記細胞調製物は、ランゲルハンス島細胞、セルトリ細胞、ドーパミン作動性ニューロン、幹細胞、間葉幹細胞、臍帯血細胞、胚性幹細胞、神経幹細胞のうちの1つ以上を含む、項目1に記載のデバイス。
(項目3)
前記細胞調製物は、同種異系ドナー細胞、異種ドナー細胞、または同系ドナー細胞、遺伝子操作された細胞または細胞系、または患者由来の細胞を含む、項目1または2に記載のデバイス。
(項目4)
前記細胞調製物は、カプセル化される、項目1〜3のいずれか一項に記載のデバイス。
(項目5)
前記細胞調製物は、アルギネート、多糖ヒドロゲル、キトサン、カルシウム、またはアルギン酸バリウム、アルギネートおよびポリリシンの層状マトリックス、光重合ポリ(エチレングリコール)ポリマー、ポリアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、メチルメタクリレート、シリコンカプセル、シリコンナノカプセル、ポリメンブレン、アクリロニトリル−コ−塩化ビニル、またはこれらの組み合わせにおいてカプセル化される、項目4に記載のデバイス。
(項目6)
前記細胞調製物は、幹細胞を含む、項目4または5に記載のデバイス。
(項目7)
前記足場の前記近位端部および前記遠位端部のいずれかまたは両方における開口部と、前記近位端部および前記遠位端部のいずれかまたは両方における前記開口部を閉じる少なくとも1つのシールとをさらに含む、項目1〜6のいずれか一項に記載のデバイス。
(項目8)
前記多孔質足場は、横方向に接続された複数のチャンバーを含む、項目1〜7のいずれか一項に記載のデバイス。
(項目9)
横方向に接続された、3個のチャンバー、4個のチャンバー、5個のチャンバー、6個のチャンバー、7個のチャンバー、8個のチャンバー、9個のチャンバー、10個のチャンバー、11個のチャンバー、または12個のチャンバーを含む、項目8に記載のデバイス。
(項目10)
前記複数のチャンバーは、超音波溶接によって形成されている、項目8または9に記載のデバイス。
(項目11)
前記複数のチャンバー用の共通のシールをさらに含む、項目8〜10のいずれか一項に記載のデバイス。
(項目12)
各チャンバー用のシールをさらに含む、項目8〜10のいずれか一項に記載のデバイス。
(項目13)
前記取り外し可能なプラグは、前記少なくとも1つのチャンバー内に配置されるように構成された外側プラグおよび前記外側プラグ内に配置されるように構成された内側プラグを含む2プラグシステムを含む、項目1〜12のいずれか一項に記載のデバイス。
(項目14)
前記外側プラグの内壁は、前記外側プラグの長さに沿った少なくとも1つの突出部を含む、項目13に記載のデバイス。
(項目15)
前記多孔質足場の少なくとも一部は、1つ以上の成長因子、抗線維化剤、ポリマー、および/または、少なくとも1つの多孔質チャンバー内への血管形成または組織の組み込みを刺激する物質でコーティングされている、項目1〜14のいずれか一項に記載のデバイス。
(項目16)
前記物質は、血管内皮成長因子(VEGF)を含む、項目15に記載のデバイス。
(項目17)
前記ポリマーは、薬物溶出ポリマーである、項目15に記載のデバイス。
(項目18)
前記多孔質足場の少なくとも一部は、前記多孔質足場の孔を塞ぐ1つ以上の生体適合性の生体分解性材料でコーティングされている、項目1に記載のデバイス。
(項目19)
前記生体適合性の生体分解性材料は、コラーゲン、フィブロネクチン、細胞外マトリックスタンパク質、および膜細胞骨格タンパク質のうちの少なくとも1つを含む、項目18に記載のデバイス。
(項目20)
前記多孔質足場の少なくとも一部は、前記少なくとも1つの多孔質チャンバー内への組織の組み込みを刺激するように粗面化されている、項目1〜19のいずれか一項に記載のデバイス。
(項目21)
前記チャンバー内に配置されるように構成された少なくとも1つの細胞注入管を含む細胞送達デバイスをさらに含む、項目1〜20のいずれか一項に記載のデバイス。
(項目23)
前記細胞調製物は、ランゲルハンス島細胞およびセルトリ細胞を含む、項目2に記載のデバイス。
(項目24)
前記細胞調製物は、生体分解性ポリマーをさらに含む、項目2に記載のデバイス。
(項目25)
前記生体分解性ポリマーは、ポリエチレン−イミンおよび硫酸デキストラン、ポリ(ビニルシロキサン)エコポリマーポリエチレンイミン、ホスホリルコリン、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(乳酸−グリコール酸)、ポリ(乳酸)、ポリヒドロキシバレレートおよびコポリマー、ポリヒドロキシブチレートおよびコポリマー、ポリジアキサノン、ポリ無水物、ポリ(アミノ酸)、ポリ(オルトエステル)、ポリエステル、コラーゲン、ゼラチン、セルロースポリマー、キトサン、アルギネート、フィブロネクチン、細胞外マトリックスタンパク質、ビンキュリン、寒天、アガロース、ヒアルロン酸、マトリゲル、およびこれらの組み合わせから選択される、項目24に記載のデバイス。
(項目26)
前記少なくとも1つのプラグは、ポリテトラフルオロエチレンを含む、項目1に記載のデバイス。
【0012】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、以下の説明と共に、本発明の方法および実施形態を例示する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1A】
図1A〜
図1Eは、本開示に一致する単一チャンバー細胞移植デバイスの様々な実施形態を例示している。
【
図1B】
図1A〜
図1Eは、本開示に一致する単一チャンバー細胞移植デバイスの様々な実施形態を例示している。
【
図1C】
図1A〜
図1Eは、本開示に一致する単一チャンバー細胞移植デバイスの様々な実施形態を例示している。
【
図1D】
図1A〜
図1Eは、本開示に一致する単一チャンバー細胞移植デバイスの様々な実施形態を例示している。
【
図1E】
図1A〜
図1Eは、本開示に一致する単一チャンバー細胞移植デバイスの様々な実施形態を例示している。
【
図1F】
図1Fは、本開示に一致する多チャンバー細胞移植デバイスの実施形態を例示している。
【
図2A】図は2A〜
図2D、本開示に一致する細胞移植デバイスの形成に使用することができる様々なメッシュ構造を例示している。
【
図2B】図は2A〜
図2D、本開示に一致する細胞移植デバイスの形成に使用することができる様々なメッシュ構造を例示している。
【
図2C】図は2A〜
図2D、本開示に一致する細胞移植デバイスの形成に使用することができる様々なメッシュ構造を例示している。
【
図2D】図は2A〜
図2D、本開示に一致する細胞移植デバイスの形成に使用することができる様々なメッシュ構造を例示している。
【
図3A】
図3Aは、本開示の実施形態による細胞移植デバイスを例示している。
【
図4】
図4は、本開示の実施形態に一致する細胞移植デバイスの多孔質足場を例示している。
【
図5A】
図5Aは、本開示の実施形態に一致する細胞移植デバイスのシールを例示している。
【
図6A】
図6Aは、本開示の実施形態に一致する細胞移植デバイスの2部品プラグシステムの複数の外側プラグを例示している。
【
図6C】
図6Cは、宿主の体内に植え込む前のプラグシステムと単一多孔質足場の組立体の断面図である。
【
図6D】
図6Dは、宿主の体内でインキュベートした後の
図4Cに例示されている組立体の断面図である。
【
図6E】
図6Eは、プラグシステムが取り出された後の宿主の体内に植え込まれた多孔質足場の断面図である。
【
図7】
図7は、本開示の実施形態に一致する細胞移植デバイスの2部品プラグシステムの複数の内側プラグを例示している。
【
図8】
図8は、本開示の実施形態に一致する細胞移植デバイスの血管新生チャンバー内に細胞を封入するためのシールを例示している。
【
図9A】
図9Aは、本開示の実施形態に一致する細胞移植デバイスに細胞を送達するためのデバイスを例示している。
【
図10】
図10は、本開示による細胞移植方法のステップを示すフローチャートである。
【
図12A】
図12Aは、実施例1に記載されている、細胞移植デバイスの腹腔内への植え込み後の血糖測定値の線グラフを示している。
【
図12B】
図12Bは、実施例1に記載されている、細胞移植デバイスの皮下への植え込み後の血糖測定値の線グラフを示している。
【
図12C】
図12Cは、実施例1に記載されている、移植後40日目、移植後80日目、およびデバイスの取り出し後(移植後110日目)に膵島細胞が移植されたLewisラットのIVGTT応答の線グラフを示している。
【
図12D】
図12Dは、実施例1に記載されている、膵島細胞が移植されたLewisラットにおけるグルコースチャレンジに応答したインスリン値の線グラフを示している。
【
図13A】
図13Aは、実施例2に記載されている、植え込まれたデバイスのチャンバー内のインスリンの組織学的染色を実証している。
【
図13B】
図13Bは、実施例2に記載されている、植え込まれたデバイスのチャンバー内の血管新生(微小血管系)の組織学的染色を実証している。
【
図14】
図14は、実施例3に記載されている、本開示の実施形態に一致する4つの細胞移植デバイスについて計算したコラーゲンの平均厚みおよび全血管/cm
2の表である。
【
図15A】
図15Aは、実施例3に記載されている、植え込みの2週間後、4週間後、および8週間後の細胞移植デバイス内への組織の組み込みを実証している。
【
図15B】
図15Bは、実施例3に記載されている、細胞の移植前の植え込まれたデバイスの様々な縁における血管形成を示している。
【
図16】
図16は、実施例4に記載されている、成熟膵島および未成熟膵島によって産生されたインスリン値の棒グラフを示している。
【
図17A】
図17Aは、実施例4に記載されている、植え込まれたデバイスのチャンバー内のインスリンおよび微小血管系の組織学的染色を実証している。
【
図17B】
図17Bは、実施例4に記載されている、細胞移植後の植え込まれたデバイスのチャンバー内の微小血管系の組織学的染色を実証している。
【
図18】
図18は、実施例4に記載されている、膵島自家移植後の血糖値の線グラフを示している。
【
図19A】
図19Aは、実施例4に記載されている、膵島細胞が移植されたYorkshire−Landraceブタにおけるグルコースチャレンジに応答した絶対血糖値の線グラフを示している。
【
図19B】
図19Bは、実施例4に記載されている、膵島細胞が移植されたYorkshire−Landraceブタにおけるグルコースチャレンジに応答した血糖値の曲線下面積(AUC)の棒グラフを示している。
【
図19C】
図19Cは、実施例4に記載されている、膵島細胞が移植されたYorkshire−Landraceブタにおけるグルコースチャレンジに応答したC−ペプチド値の倍数変化の線グラフを示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
例示的な実施形態の説明
ここで、例が添付の図面に例示されている本開示の実施形態の詳細について述べる。すべての図面において、同じまたは同様の部品には、可能な限り同じ参照符号を使用する。本開示において、用語「細胞注入」と「細胞移植」は同義的に使用される。
【0015】
in vivoで治療用細胞を閉じ込めるための細胞移植デバイスが提供される。例示的な一実施形態では、細胞移植デバイスは、内部にチャンバーを含み、かつ足場の近位端部または遠位端部の一方または両方に開口部を有する少なくとも1つの多孔質足場、およびこのチャンバー内に収容されるように構成された少なくとも1つのプラグを含む。チャンバーの一方または両方の端部の開口部は、プラグのチャンバーに対する挿入および引き抜きを可能にする大きさである。一実施形態では、少なくとも1つの多孔質足場は、管状の形態であり、少なくとも1つのプラグは、円筒状であって、少なくとも1つの多孔質足場のルーメンに沿って延びている。一部の実施形態では、多孔質足場は、近位端部のみが開口部している。このような一実施形態では、管状の多孔質足場の遠位端部は、丸または平らな底面を含む。別の実施形態では、多孔質足場の遠位端部の縁は、テーパーであり、互いに接触して遠位端部を密閉している。
【0016】
別の例示的な実施形態では、細胞移植デバイスは、近位端部および遠位端部を有する1つ以上のチャンバーを含む多孔質足場を含む。1つ以上のチャンバーは、近位端部に開口部を含む。デバイスはまた、1つ以上のチャンバー内に配置されるように構成された外側プラグ、およびこの外側プラグ内に配置されるように構成された内側プラグを含む1つ以上のプラグシステムを含む。加えて、デバイスは、プラグシステムをチャンバー内に封入してチャンバーの近位端部の開口部を密閉するように構成された少なくとも1つのシールを含む。
【0017】
多孔質足場は、体内で穏やかな炎症応答のみを惹起するはずである生体適合性材料から形成されている。穏やかな炎症性要素は、血管形成を刺激して血管新生コラーゲンマトリックスのデバイス内への組み込みを促進するが、デバイスの周りに著しい炎症は引き起こさない。このような生体適合性材料の例は、ポリプロピレンである。例示的な実施形態では、多孔質足場は、デバイスの組み立てを容易にする十分な剛性を有する編ポリプロピレンメッシュを含む。編ポリプロピレンメッシュはまた、デバイス内に注入された治療用細胞の生存および正常な機能にとって重要である、微小血管のデバイス内への進入および強い健常な血管としての維持が可能となるように選択される。
【0018】
新生血管組織のデバイス内への制御された成長を助長することにより、多孔質足場は、デバイスが瘢痕組織で被包されるのを防止する。内生組織はまた、移植片を安定させ、かつin situでのデバイスの偶発的な移動を防止する。加えて、一部の実施形態では、多孔質足場は、組織の組み込みおよび血管形成を刺激する生物学的または非生物学的作用物質、例えば、成長因子でコーティングされる。デバイスは、ポリマーと薬物の調合物中で浸漬コーティングしても良いし、または他の既知の技術でデバイスをコーティングしても良い。組織の組み込みおよび血管形成を刺激する生物学的または非生物学的作用物質の例として、限定されるものではないが、VEGF(血管内皮成長因子)、PDGF(血小板由来成長因子)、FGF−1(線維芽細胞成長因子)、NRP−1(ニューロピリン−1)、Ang−1、Ang2(アンジオポイエチン1,2)、IGF−β、エンドグリン、MCP−1、αvβ3、αvβ5、CD−31、VE−カドヘリン、エフリン、プラスミノーゲン活性化因子、アンギオジェニン、Del−1、aFGF(酸性線維芽細胞成長因子)、vFGF(塩基性線維芽細胞成長因子)、ホリスタチン、G−CSF(顆粒球コロニー刺激因子)、HGF(肝細胞成長因子)、Il−8(インターロイキン−8)、レプチン、ミッドカイン、胎盤成長因子、PD−ECGF(血小板由来内皮成長因子)、PTN(プレイオトロフィン)、プログラニュリン、プロリフェリン、TGF−α、およびTNF−αが挙げられる。
【0019】
一部の実施形態では、多孔質足場の外面は、組織の進入を刺激するために粗面化(roughen)されている。特定の実施形態では、多孔質足場は、様々な薬物溶出ポリマーコーティングを含んでいる。他の実施形態では、多孔質足場は、薬物を含まない生体分解性または非生体分解性ポリマーでコーティングすることができる。足場は、ポリマーで部分的または完全にコーティングすることができる。コーティングおよび/または薬物溶出に使用することができる代表的なポリマーには、限定されるものではないが、メタクリレートポリマー、ポリエチレン−イミンおよび硫酸デキストラン、ポリ(ビニルシロキサン)エコポリマーポリエチレンイミン(poly(vinylsiloxane)ecopolymerepolyethyleneimine)、ホスホリルコリン、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリウレタン、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(乳酸−グリコール酸)、ヒドロキシアペタイト(hydroxyapetite)、ポリ(乳酸)、ポリヒドロキシバレレート(polyhydroxyvalerte)およびコポリマー、ポリヒドロキシブチレートおよびコポリマー、ポリカプロラクトン、ポリジアキサノン、ポリ無水物、ポリシアノクリレート、ポリ(アミノ酸)、ポリ(オルトエステル)、ポリエステル、コラーゲン、ゼラチン、セルロースポリマー、キトサン、およびアルギネート、またはこれらの組み合わせが含まれる。足場をコーティングするために使用できる追加の例として、限定されるものではないが、コラーゲン、フィブロネクチン、細胞外マトリックスタンパク質、ビンキュリン、寒天、およびアガロースが挙げられる。ポリマーの様々な混合物を使用できることを理解されたい。
【0020】
薬物溶出に関して、一部の例示的な実施形態では、多孔質足場は、感染を最小限にするために抗生物質コーティングを含んでいる。代表的な抗生物質には、限定されるものではないが、アンピシリン、テトラサイクリン、ナフシリン、オキサシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン、バンコマイシン、カナマイシン、ゲンタマイシン、ストレプトマイシン、クリンダマイシン、トリメトプリム−スルファメトキサゾール、リネゾリド、テイコプラニン、エリスロマイシン、シプロフロキサシン、リファンピン、ペニシリン、アモキシシリン、スルホンアミド、ナリジクス酸、ノルフロキサシン、シプロフロキサシン、オフロキサシン、スパルフロキサシン、ロメフロキサシン、フレロキサシン、ペフロキサシン、アミフロキサシン、5−フルオロウラシル、クロラムフェニコール、ポリミキシン、マイトマイシン、クロロキン、ノボビオシン、ニトロイミダゾール(nitroimadazole)が含まれる。別の実施形態では、多孔質足場は、殺菌剤を含む。代表的な殺菌剤には、限定されるものではないが、塩化ベンザルコニウム、グルコン酸クロロヘキシジン、ソルビン酸およびその塩、チメロサール、クロロブタノール、フェネチルアルコール、およびp−ヒドロキシ安息香酸が含まれる。
【0021】
一部の他の実施形態では、細胞移植デバイスの部品は、線維組織のカプセル化を阻止するために抗線維化剤でコーティングされている。代表的な抗線維化剤(antifibrotic agent)には、限定されるものではないが、パクリタキセル、エベロリムス、タクロリムス、ラパマイシン、ハロフジノン臭化水素酸塩、コンブレタスタチンならびにこれらの類似体および誘導体(例えば、コンブレタスタチンA−1、A−2、A−3、A−4、A−5、A−6、B−1、B−2、B−3、B−4、D−1、D−2、およびコンブレタスタチンA−4リン酸塩(Oxigene))、ドセタキセル、ビンブラスチン、ビンクリスチン、硫酸ビンクリスチン、ビンデシン、およびビノレルビン、カンプトセシン、トポテカン、イリノテカン、エトポシドまたはテニポシドアントラマイシン、ミトキサントロン、メノガリル、ノガラマイシン、アクラシノマイシンA、オリボマイシンA、クロモマイシンA
3、およびプリカマイシン、メトトレキサート、エダトレキサート、トリメトレキサート、ラルチトレキセド、ピリトレキシム、デノプテリン、トムデックス、プテロプテリン、ならびにこれらの誘導体および類似体が含まれる。一部の実施形態では、細胞移植デバイスは、ポリメチルメタクリレートまたは骨セメント、または他の種類のシアノアクリレートも含み得る。
【0022】
一部の実施形態では、多孔質足場は、例えば、MRI、fMRI、CTスキャン、X線、超音波、PETスキャンなどを使用して植え込まれたデバイスをイメージングすることができる材料からなる。このような一実施形態では、多孔質足場は、免疫学的に適合性であり、かつ新血管新生(neovascularized)組織のイメージングを可能にするポリマーメッシュ(例えば、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリウレタン、ポリエステル、絹メッシュなど)を含む。別の実施形態では、多孔質足場は、材料の組み合わせを含む。このような一実施形態では、多孔質足場は、織り合わされた(interwoven)プロピレンおよび絹紐を含む。
【0023】
足場材料の孔の大きさは、多孔質足場のチャンバー内への組織の組み込みおよび血管新生を助長するように選択される。一部の実施形態では、孔の大きさは、約50nm〜5mmの範囲とすることができる。例示的な一実施形態では、多孔質足場は、孔径が0.53mの編ポリプロピレンメッシュを含む。
【0024】
一部の実施形態では、孔の大きさは、免疫細胞または免疫剤が植え込まれたデバイスへ侵入するのを排除するように選択される。一部の他の実施形態では、孔の大きさは、免疫細胞または免疫剤がデバイスへ浸潤するのを必ずしも排除する必要はない。これは、例えば、デバイスを使用して、免疫保護細胞(例えば、セルトリ細胞、間葉幹細胞など)を含む細胞の組み合わせを移植し、同時移植された細胞に免疫保護を提供し得る場合である。これはまた、例えば、デバイスを使用して、同系細胞、または移植を受ける患者に由来する細胞を移植する場合である。
【0025】
細胞移植デバイスのプラグまたはプラグシステムは、多孔質足場内のチャンバーに適合するように構成される。プラグまたはプラグシステムは、生物学的組織がプラグまたはプラグシステム内へ内側方向成長(ingrowth)するのを阻害する非多孔質材料(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリプロピレンなど)を含み得る。プラグまたはプラグシステムは、中空または中実構造とすることができる。しかしながら、中空プラグが使用される場合は、デバイスが宿主の組織に植え込まれたときにコラーゲンまたは任意の他の生物学的材料がプラグのルーメンに浸潤するのを防止するために注意を払う必要がある。プラグシステムは、以下に詳細に説明する。
【0026】
一部の実施形態では、プラグまたはプラグシステムの近位端部は、シールに接続されている。このような実施形態では、シールは、プラグまたはプラグシステムが多孔質足場のチャンバー内に完全に挿入されたときにチャンバーの近位開口部を閉じるように構成されている。シールは、プラグまたはプラグシステムを多孔質足場内の適切な位置に保持する構造である。別の実施形態では、シールは、プラグまたはプラグシステムとは別個である。なお別の実施形態では、シールは、多孔質足場に接続されている。さらに、一部の例示的な実施形態では、チャンバーの近位端部は、別個のシールを用いずに外科縫合糸および/または血管クリップを用いて閉じられる。
【0027】
宿主の体内に植え込まれると、デバイスの多孔質足場は、血管および結合組織の内側方向成長を助長し、足場内に収容されたプラグまたはプラグシステムが、血管新生組織マトリックスに被包される。プラグまたはプラグシステムが多孔質足場から取り出されると、新血管新生チャンバーがデバイス内に作られ、これを、細胞調製物を宿主の体内に保持するために使用することができる。
【0028】
多孔質足場およびプラグまたはプラグシステムの大きさは、in vivoでの細胞の保持、および新血管新生チャンバー内での細胞の長期生存の保証に最適な表面積と体積の比となるように選択される。同様に、移植デバイスのチャンバーの数は、移植される細胞の体積および/または数に基づいて決まる。一部の実施形態では、細胞移植デバイスの全体積は、個々のチャンバーの最適な表面積と体積の比を維持したまま、チャンバーの数を増減することによって調整される。他の実施形態では、チャンバーの長さを調整して全体積を変更する。あるいは、様々な実施形態では、細胞移植デバイスは、固定数のチャンバーを含むが、デバイスに必要な全体積によって、選択された数のチャンバーのみに細胞が注入される。他の実施形態では、チャンバーの長さ、ならびにチャンバーの数を調整して必要な全体積を変更する。
【0029】
開示される細胞移植デバイスは、網または他の適切な部位を含む宿主の体内の皮下または腹腔内に植え込むことができる。あるいは、開示される細胞植え込みデバイスは、網または他の適切な部位に入れて皮下環境まで延ばすことを含め、宿主の体内の腹腔内に部分的に植え込むことができる。一実施形態では、デバイスの皮下環境内に延びていない部分が腹腔内環境に存在する状態で、細胞を、皮下環境内に延びたデバイスの部分に導入することができる。別の実施形態では、細胞移植デバイスは、移植された細胞から治療効果を引き出すために必要に応じて、脳、脊髄部位、または任意の他の器官に植え込むことができる。ほとんどの場合、宿主は、ヒトであるが、別の哺乳動物または非哺乳動物とすることができる。細胞移植処置手順は、デバイス植え込みステップ、および続く細胞注入(細胞移植)ステップを含む2ステップのプロセスである。細胞注入ステップは、in vivoインキュベーション期間の後に行われ、このインキュベーション期間中に、植え込まれたデバイスに血管新生コラーゲンマトリックスが浸潤する。一実施形態では、インキュベーション期間は、約30日間であり、この期間は、多孔質足場の血管形成およびコラーゲン浸潤にとって十分な時間である。インキュベーション期間は、必要とされるまたは望まれる新血管新生および組織(細胞を含むコラーゲン)形成の程度によって延長または短縮することができる。例えば、移植デバイスは、デバイスの材料、寸法、またはコーティング、例えば、抗生物質コーティング、成長因子などによって異なる速度で血管新生し得る。移植デバイスはまた、異なる宿主では、または同じ宿主内の異なる体組織に位置する場合は、異なる速度で血管新生し得る。適切なインキュベーション期間の決定は、当業者の知識の範囲内である。インキュベーション期間中に、十分な血管および/または結合組織が多孔質足場の周囲および壁内に堆積されたことを確認するために、例えば、細胞を送達する前にイメージング検査を行うことができる。細胞注入ステップでは、植え込み部位に外科切開によってアクセスして、プラグまたはプラグシステムを多孔質足場から取り出して、足場内にコラーゲンおよび血管が裏打ちされたポケットを作る。次いで、細胞調製物を血管新生ポケットに送達し、多孔質足場を再び密閉(re−seal)する。別の実施形態では、細胞移植処置手順は、同時にデバイスを配置して細胞を植え込む単一ステップのプロセスである。この場合、細胞をマトリックス内に配置して、細胞がデバイスの孔から漏れないようにしても良いし、あるいは、デバイスを分解性ポリマーでコーティングして、コラーゲンおよび血管形成の進行中に細胞がデバイスから漏れるのを防止しても良い。
【0030】
一部の実施形態では、移植する細胞を、本明細書に記載されるいずれかの移植デバイスのチャンバー内に導入する前に、生体適合性の粘性溶液または生体分解性ポリマー処方物と組み合わせることができる。この生体分解性ポリマーは、デバイスが宿主の体によって完全に血管新生されるまで細胞を保護する。これらの処方物は、デバイスを宿主に配置する前または後でも良いが、コラーゲンマトリックスおよび血管構造がデバイスに形成される前に、チャンバーに導入することができる。生体適合性の粘性溶液または生体分解性ポリマー処方物と組み合わせられる細胞は、デバイスを宿主の体内に植え込む前に細胞が導入されるようにデザインされたデバイスに特に有用であろう。細胞と共に生体分解性処方物として使用できる代表的なポリマーには、限定されるものではないが、ポリエチレン−イミンおよび硫酸デキストラン、ポリ(ビニルシロキサン)エコポリマーポリエチレンイミン(poly(vinylsiloxane)ecopolymerepolyethyleneimine)、ホスホリルコリン、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(乳酸−グリコール酸)、ポリ(乳酸)、ポリヒドロキシバレレート(polyhydroxyvalerte)およびコポリマー、ポリヒドロキシブチレートおよびコポリマー、ポリジアキサノン、ポリ無水物、ポリ(アミノ酸)、ポリ(オルトエステル)、ポリエステル、コラーゲン、ゼラチン、セルロースポリマー、キトサン、アルギネート、フィブロネクチン、細胞外マトリックスタンパク質、ビンキュリン、寒天、アガロース、ヒアルロン酸、マトリゲル、およびこれらの組み合わせが含まれる。
【0031】
細胞は、デバイスに配置することができるが、細胞はカプセル化することもできることを理解されたい。以下は、単なる例であり、これらに限定されるものではない。ポリマー細胞カプセル化系の例には、多糖ヒドロゲル、キトサン、カルシウム、またはアルギン酸バリウムをカプセル化するアルギネート、アルチネート(altinate)およびポリリシンの層状マトリックス、個々の細胞または細胞クラスターをカプセル化する光重合ポリ(エチレングリコール)ポリマー、ヒドロキシエチルメタクリレートメチルメタクリレートを含むポリアクリレート、シリコンカプセル、シリコンナノカプセル、およびポリメンブレン(アクリロニトリル−コ−塩化ビニル)が含まれる。
【0032】
図1A〜
図1Eは、細胞移植デバイス1の様々な例示的な実施形態を例示している。デバイス1は、宿主の体内に細胞を閉じ込めるための多孔質チャンバー2を形成するポリマーメッシュ(例えば、ポリプロピレンメッシュ、PTFEメッシュ、または任意の他の適切な材料)を含む。一部の実施形態では、デバイス1は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、またはそれ以上の多孔質チャンバー2を含み得る。複数のチャンバーが利用可能であるため、必要な細胞調製物の体積によって任意の数または組み合わせのチャンバーを使用することができ、この数または組み合わせは、当業者の知識の範囲内で決定することができる。
【0033】
図1Aに示されているように、デバイス1は、近位端部3、遠位端部4、および多孔質チャンバー2に収容されたプラグ5を含む。一実施形態では、多孔質チャンバー2は、管状の形態であり、プラグ5は、円筒状であり、多孔質チャンバー2のルーメンに沿って延びている。別の例示的な実施形態では、多孔質チャンバー2は、近位端部3に開口部を含む。近位端部3の開口部は、多孔質チャンバー2に対するプラグ5を挿入および引き抜きを可能にする大きさである。このような一実施形態では、近位端部3の開口部は、デバイスのインキュベーション中および細胞のデバイス内への注入後に外科縫合糸および/または血管クランプを用いて閉じられる。当業者には理解できるように、任意の他の外科密閉要素、例えば、微小血管クリップ、クランプなどを用いて、近位端部3の開口部を閉じることができる。別の実施形態では、デバイス1は、
図1Bに例示されているように、近位端部3の非多孔質フラップ6を含んでいる。このような一実施形態では、フラップ6は、シリコーンから形成されている。フラップ6は、デバイスのインキュベーション中および細胞のデバイス内への注入後に外科縫合糸、クランプ、または任意の他の適切な密閉機構を用いて閉じることができる。例示的な実施形態では、デバイス1の遠位端部4は、丸または平らな底面を含む。別の実施形態では、デバイス1は、デバイスのインキュベーション中および細胞の注入後に外科縫合糸、クランプ、または任意の他の外科閉鎖要素を用いて閉じることができる遠位端部4の開口部を有する。なお別の例示的な実施形態では、
図1Cに示されているように、遠位端部4は、非多孔質部分7を含み、この非多孔質部分7は、デバイスの遠位端部における組織の内側方向成長を防止し、かつ細胞の注入前のプラグ5のデバイスからの引き抜きを容易にする。
【0034】
一部の実施形態では、
図1Dに例示されているように、プラグ5の近位端部は、シール8に接続されている。このような実施形態では、シール8は、プラグ5がチャンバー5内に挿入されると、近位端部3の開口部を閉じるように構成されている。シール8は、プラグ5を多孔質チャンバー内の適切な位置に保持する構造である。別の実施形態では、プラグ5は、
図1Eに示されているように、多孔質チャンバー2よりも長く、デバイスの近位端部3および遠位端部4の両方でシールとして機能する。プラグ5の周りの多孔質チャンバー2の縁は、外科縫合糸および/または外科接着剤を用いて閉じられる。細胞の注入の前にプラグ5が取り出されたら、近位端部3および遠位端部4の開口部を、当業者には理解できるように、外科縫合糸、血管クランプ、または任意の他の適切な密閉機構を用いて閉じることができる。
【0035】
一部の例示的な実施形態では、デバイス1は、横方向に互いに接続された複数の多孔質チャンバー2を含む。このような一実施形態では、複数の多孔質チャンバー2は、例えば、デバイスの長手方向軸に実質的に平行な線に沿って多孔質材料の上面および底面を超音波溶接することによって形成される。
図1Fは、8つの多孔質チャンバー2を有する細胞移植デバイスを例示している。各チャンバー2は、デバイスのインキュベーション段階中にプラグ5を収容する。プラグ5は、細胞のチャンバーへの注入の前にチャンバー2から取り出される。一実施形態では、デバイス1は、8つの多孔質チャンバーを含み、50mmの全長および45mmの幅を有する。各多孔質チャンバー2は、3.5mm以下の内径を有し、約40mmの長さおよび2.5mmの直径を有するプラグ5を収容する。このような実施形態では、プラグ5は、非多孔質の生体適合性材料、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から形成される。
【0036】
本開示の細胞移植デバイスの例示的な実施形態は、医療グレードのポリプロピレンメッシュ、例えば、SURGICALMESH(商標)、Brookfield,Connecticut、USAが販売するポリプロピレン編メッシュ(PPKM)から形成される。例示的な実施形態では、このメッシュは、直径が0.1mm〜0.3mmの範囲のモノフィラメントから形成され、メッシュの孔の大きさは、0.3mm〜1mm、0.4mm〜0.85mm、および0.5mm〜0.6mである。
図2A〜
図2Dは、細胞移植デバイスの形成に使用することができる様々な例示的なメッシュ構造を例示している。
図2Aは、孔の大きさが0.5mm、モノフィラメントの太さが0.3mmのポリプロピレンメッシュ(PPKM601)を例示し、
図2Bは、孔の大きさが0.53mm、モノフィラメントの太さが0.18mmのポリプロピレンメッシュ(PPKM602)を示し、
図2Cは、孔の大きさが0.53mm、モノフィラメントの太さが0.13mmのポリプロピレンメッシュ(PPKM404)を示し、
図2Dは、孔の大きさが0.85mm、モノフィラメントの太さが0.2mmのポリプロピレンメッシュ(PPKM604)を示している。
【0037】
図3Aは、細胞移植デバイス10の別の例示的な実施形態を例示している。
図3Bは、細胞移植デバイス10の構成要素を例示している。デバイス10は、多孔質足場12、一次シール14、外側プラグ16および内側プラグ18を含む少なくとも1つのプラグシステム、および二次シール20を含んでいる。
【0038】
図4に例示されているように、細胞移植デバイス10の多孔質足場12は、宿主の体内に細胞を閉じ込める1つ以上の多孔質チャンバー22を形成するポリマーメッシュ(例えば、ポリプロピレンメッシュ、PTFEメッシュ、または任意の他の適切な材料)を含み得る。一部の実施形態では、多孔質足場12は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、またはそれ以上の多孔質チャンバー22を含み得る。複数のチャンバーが利用可能であるため、必要な細胞調製物の体積によって任意の数または組み合わせのチャンバーを使用することができ、この数または組み合わせは、当業者の知識の範囲内で決定することができる。
【0039】
多孔質チャンバー22は、例えば、デバイスの長手方向軸に実質的に平行な線に沿って多孔質足場12の上面および底面を接合することによって作ることができる。複数の多孔質チャンバー22は、等しいまたは異なる断面寸法および表面積を有し得る。一実施形態では、複数の多孔質チャンバー22は、ポリマーメッシュを足場の近位端部24から遠位端部26までを超音波溶接することによって形成される。多孔質足場12の上面および底面は、1つ以上の多孔質チャンバー22を連続的に横断し、多孔質足場12の長手方向軸に実質的に平行に延在する超音波溶接線28によってのみ中断されている。多孔質足場12の上面および底面は、各溶接線で僅かに凹み得るが、凹みが、血管新生のための追加の表面積を提供し、かつ宿主内のデバイス10に物理的安定性を付与する。一実施形態では、遠位端部26の縁は、テーパーであり、互いに超音波溶接されて遠位端部26を閉じている。
【0040】
図3Bを参照すると、一次シール14は、デバイスのインキュベーション中および細胞注入の後に1つ以上の多孔質チャンバー22を密閉するように構成されている。一次シール14は、不活性な生体適合性ポリマーフィルムまたは任意の他の適切な材料を含む。一実施形態では、一次シール14は、
図5Aおよび
図5Bに例示されているように、横縁およびテーパー近位端部31で超音波溶接されている。一次シール14の遠位端部32は、多孔質足場12の近位端部24に取り付けられる。一実施形態では、遠位端部32は、多孔質足場12の近位端部24に超音波溶接される。
【0041】
様々な実施形態では、一次シール14は、再シール可能なロック34を含み、ロック34は、インキュベーション期間中に少なくとも1つの外側プラグ16を多孔質チャンバー22内に維持するのに役立つ。ロック34はまた、細胞注入プロセス中に細胞調製物が漏れるのを防止する。任意の適切な再シール可能なロック機構をロック34として使用することができる。一実施形態では、ロック34は、インターロックする溝機能構造およびリッジ機能構造を含み、これらの機能構造は、互いに押圧されると密封し、シール14の上面と底面が近位端部31で互いに引き離されるとロックが解除される。デバイスのインキュベーション期間の後、外側プラグ16へのアクセスが、一次シール14の近位端部31を切り取って再シール可能なロック34を開けることによって達成される。細胞調製物が多孔質足場12に送達されたら、ロック34を再び閉じて、近位端部31を、例えば、外科縫合糸、ステープルまたは生体接着剤、または気密シールを用いて再び密閉する。
【0042】
プラグシステムの数は、細胞移植デバイス10における多孔質チャンバー22の数に一致させることができる。外側プラグ16は、デバイスのインキュベーション期間中、多孔質チャンバー22内に収容される。一部の実施形態では、外側プラグ16の長さは、それぞれの多孔質チャンバー22の長さにほぼ等しい。
図6Aに例示されているように、一実施形態では、複数の外側プラグ16は、共通の細長い部材42を用いて近位端部40に接続されている。共通の細長い部材42は、外側プラグ16の多孔質チャンバー22からの引き抜きを容易にする1つ以上の溝43を含み得る。例えば、溝43により、共通の細長い部材42を鉗子を用いて把持することができる。
【0043】
一部の実施形態では、外側プラグ16は、内側プラグ18を収容する中空コア45を有する。
図6Bに例示されているように、一実施形態では、中空コア45は、プラグの内面の長さに沿った1つ以上の内部ボス47で制限されている。内部ボス47は、外側プラグ16と内側プラグ18との間にエアスペースを画定し、この空間により、詳細を後述するように細胞調製物の送達中に閉じ込められた気泡が逃げることができる。このエアスペースはまた、内側プラグ18の引き抜きの際に真空が発生するのを防止し、これにより、多孔質チャンバーの内部または周囲に新たに形成された血管新生コラーゲンマトリックスの完全性が維持される。したがって、一部の態様では、外側プラグ16および内側プラグ18を含むプラグシステムは、細胞の細胞移植デバイス10への送達を容易にし得ると共に、無傷のコラーゲンマトリックス内での細胞の生存の可能性を高め得る。
【0044】
一部の実施形態では、外側プラグ16の近位端部40および遠位端部41は、内側プラグ18との効果的な密閉を保証する密閉機構、例えば、内側溝またはテーパー表面を含む。
図7に示されているように、内側プラグ18の近位端部50および遠位端部51は、インキュベーション期間中のコラーゲンマトリックスの中空コア45への浸潤を防止する相補的な密閉機構53を含み得る。例えば、一実施形態では、密閉機構53は、内側プラグ18の近位端部および遠位端部の周囲に延びている溝を含み、外側プラグ16は、その遠位端部および近位端部の周辺にリッジを含んでいる。このような実施形態では、内側プラグ18が外側プラグ16の中空コア45内に挿入されると外側プラグ16のリッジと内側プラグ18の溝がインターロックして、内側プラグと外側プラグとの間に完全なシールが形成され、一切の生物学的材料の中空コア45への浸透が防止される。加えて、このような実施形態では、外側プラグ16が、1つ以上の内部ボス47を含む場合は、外側プラグ16の近位端部および遠位端部のリッジの高さは、内部ボス47の高さよりも高くすることができる。
【0045】
図6Cおよび
図6Dは、本開示の一実施形態による、多孔質チャンバー22およびプラグ16、18の組立体の断面図を例示している。
図6Cは、宿主の体内に植え込まれる前の組立体の断面図であり、
図6Dは、宿主の体内でインキュベーションした後の組立体の断面図を例示している。多孔質チャンバー22の内径および外側プラグ16の外径は、組織形成のために外側プラグ16の周辺に空間46を維持するように選択される。例えば、例示的な一実施形態では、多孔質チャンバー22の内径は4.5mm以下であり、プラグ16の外径は3.5mm以下である。別の実施形態では、多孔質チャンバー22の内径は3.5mm以下であり、プラグ16の外径は2.5mm以下である。これらの実施形態は、例えば、血管新生コラーゲンマトリックスの形成のために外側プラグ16の周囲に約0.5mmの空間を提供する。外側プラグ16の周囲の空間はまた、外側プラグの多孔質チャンバーに対する挿入および引き抜きのための十分な余裕を提供する。
【0046】
細胞移植デバイス10が宿主の体内に植え込まれると、血管および結合組織が多孔質チャンバー22を通過して空間46に進入し、外側プラグ16の周囲に血管新生組織マトリックス48を形成する。プラグ16は、組織マトリックス48が多孔質チャンバー22のルーメンにさらに進入するのを防止する。内側プラグ18および外側プラグ16が多孔質チャンバー22から引き抜かれると、ポケット49が多孔質チャンバー22内に作られ、このポケット49を、宿主の体内での細胞の閉じ込めに使用することができる。ポケット49は、
図6Eに示されているように、血管新生組織マトリックス48に包囲されている。
【0047】
内側プラグ18の数は、外側プラグ16の数に一致させることができる。内側プラグ18は、デバイスのインキュベーション段階中、外側プラグ16の中空コア45内に収容されている。一実施形態では、複数の内側プラグ18は、共通の細長い部材52を用いて近位端部50で接続されている。一部の実施形態では、共通の細長い部材52は、外側プラグ16からの抜き取りの際に内側プラグ18の取り扱いを助けるクリップ機能構造54を含んでいる。
【0048】
図8に例示されている二次シール20は、細胞調製物が細胞移植デバイス10へ送達されて一次シール14が再び閉じられたときに、細胞調製物を多孔質チャンバー内に閉じ込めるために使用する。二次シール20は、細胞調製物が多孔質チャンバー22内に完全に送達されて外側プラグ16がデバイス10から抜き取られてから、多孔質足場12の近位端部24に配置する。一部の実施形態では、二次シール20は、ピンセットを用いたデバイス10内への挿入を容易にするために溝60を含んでいる。
【0049】
本開示の別の態様では、細胞を細胞移植デバイスに送達するためのデバイスおよび方法を開示し、細胞移植デバイス10を参照しながら説明する。
図9Aは、細胞送達デバイス70の様々な構成要素を例示している。細胞送達デバイス70は、少なくとも1つの細胞注入管71、クリップ機能構造73を有するコネクタキャップ72、およびコネクタスペーサ74を含んでいる。
【0050】
細胞注入管71は、細胞注入ステップの際に細胞調製物をデバイス10の多孔質チャンバー22に送達するためのポリマー管(例えば、ポリエチレン管)または任意の他の適切な材料を含み得る。送達システムにおける細胞注入管の数は、多孔質チャンバー22の数に一致させることができる。
【0051】
コネクタスペーサ74は、細胞注入管71の遠位端部に配置され、細胞送達プロセスの際に外側プラグ16の近位端部40に結合または接触する。コネクタスペーサ74は、
図9Aに示されているように、細胞注入管71を挿入する1つ以上の貫通孔を含んでいる。貫通孔は、細胞注入管71と緩く締り嵌めするように構成されている。この嵌め合いは、細胞注入プロセスの際に細胞注入管71を適切な位置に維持するように適合されている。加えて、特定の実施形態では、コネクタスペーサ74は、詳細を後述するように、細胞送達プロセスの際に内部ボス47によって作られた外側プラグ16内のエアスペースから空気を逃がすためのベント76を含む。一実施形態では、外側プラグ16は、近位端部40にハブ78を含んでいる。このような実施形態では、コネクタスペーサ74を、細胞注入プロセスの際にハブ78に挿入して、送達デバイス70を細胞移植デバイス10に固定する。
【0052】
細胞注入管71の近位端部は、コネクタキャップ72を含んでいる。細胞注入管が外側プラグ16に挿入されると、コネクタキャップ72がコネクタスペーサ74に向かって遠位側に前進する。管71が外側プラグ16内に完全に挿入されると、コネクタキャップ72が、コネクタスペーサ74および/またはハブ78に適合し、クリップ機能構造73が、
図9Cに示されているように共通の細長い部材42に沿って外側プラグ16/またはハブ78に接続する。このため、細胞調製物が多孔質チャンバー22内に注入されると、コネクタキャップ72、コネクタスペーサ74、および外側プラグ16を単一体として引き抜くことができる。
【0053】
本開示のなお別の態様では、細胞移植を開示し、細胞移植デバイス10および細胞送達デバイス70を参照しながら説明する。細胞移植方法は、本明細書に開示されるデバイスの実施形態に限定されるものではなく、任意の細胞移植デバイスおよび細胞送達デバイスと共に使用することができる。
【0054】
図10は、例示的な細胞移植処置手順のステップを例示するフローチャートである。細胞移植処置手順は、一般に、デバイス植え込みステップ、およびこれに続く細胞注入ステップを含む2ステップのプロセスである。デバイス10は、コラーゲンおよび血管が多孔質足場12に浸潤するのに十分な時間を与えるために、細胞の送達の前に宿主の体内に植え込む。一部の実施形態では、デバイス10は、植え込みの前にエチレンオキシドを用いて滅菌する。デバイス10は、エチレンオキシドを用いた滅菌プロセス用の滅菌表示ストリップを備えた自己密閉パッケージまたは任意の他の滅菌パッケージ内に包装することができる。一部の他の実施形態では、γ線照射または乾熱高圧蒸気滅菌法を用いて、植え込みの前にデバイスを滅菌する。使用する滅菌法の種類は、乾熱高圧蒸気滅菌法が、低い熱撓み温度のために特定のポリマー材料(例えば、ポリプロピレン)を撓ませてしまうことが知られているため、足場材料によって決まる。6M−Radの滅菌線量でのγ線照射は、細胞植え込みデバイスをうまく滅菌することができるが、ガンマ線照射は、ポリプロピレンからなるデバイスの保存期間を短くすることがある。
【0055】
デバイス10は、皮下または腹腔内に植え込むことができる。例えば、デバイスを宿主の体内の皮下に植え込む場合、真皮および表皮を切開し、次いで結合組織および脂肪を注意深く鈍的切開し、切開線の尾側に皮下ポケットを形成する(ステップ810)。十分な空間が作られたら(ほぼデバイスの寸法)、デバイス10を皮下ポケットに植え込み、切開部を縫合する(ステップ820)。あるいは、デバイス10は、腹部切開によって腹腔内に植え込むことができる。デバイスの植え込みステップ(ステップ810および820)の後、デバイスのインキュベーション期間(ステップ830)をとり、この間に血管新生コラーゲンマトリックスが多孔質足場12の内部および周囲に堆積する。
【0056】
インキュベーション期間の後、第2の外科切開によってデバイス10にアクセスする。例えば、一次シール12の近位端部31を、in situで切り落としてデバイス10を開けることができる(ステップ840)。次いで、内側プラグ18を外側プラグ16から抜き取って廃棄する(ステップ850)。内側プラグを取り出すプロセスの際、内部ボス47によって空気の動きが容易であるため、デバイスの内部および周囲に新たに形成されたすべての血管の破壊をもたらし得るデバイス内での真空の発生が防止される。内側プラグ18の取り出しにより、内側プラグ18の近位端部50および遠位端部51が、外側プラグ16の近位端部40および遠位端部41から外れる。次いで、細胞調製物を、細胞送達デバイス70を用いてデバイス10内に送達する。
【0057】
図11A〜
図11Dは、例示的な細胞注入処置手順の特定のステップの概略図を示し、これらのステップを、
図10に示されているフローチャートを参照しながら説明する。細胞をデバイス10に投入する際には、送達デバイス70の細胞注入管71に細胞調製物79を導入し、
図11Aに示されているように、この細胞注入管を外側プラグ16の中空コア45に挿入する(ステップ860)。コネクタスペーサ74が、外側プラグ16の近位端部41および/またはハブ78に結合する。管71が外側プラグ内を前進すると、空気が、外側プラグ16の内部ボス47を通りコネクタスペーサ74のベント76から放出される。管71が外側プラグ16内を最後まで前進すると、コネクタキャップ72がコネクタスペーサ74に接触する。次いで、コネクタキャップ72のクリップ73を、外側プラグ16のハブ78に接続する(ステップ870)。この場合、次いで、外側プラグ16、コネクタキャップ72、およびコネクタスペーサ74を単一体として、多孔質チャンバー22から僅かに引き抜いて、多孔質チャンバー22の遠位端部に空間を作る(ステップ875)。一部の実施形態では、送達デバイス70を外側プラグ16に接続する前に、外側プラグ16を多孔質チャンバー22から僅かに引き抜くことができる。言い換えれば、ステップ875を、ステップ870の前に行うことができる。細胞注入管71に接続されたシリンジに弱い圧力を加えて細胞を多孔質チャンバー22に送達する(ステップ880)。圧力を加えて細胞調製物を送達する際に管71が多孔質チャンバー22内に維持されるように注意を払う。
【0058】
一実施形態では、外側プラグ16は、
図11Bに例示されているように、細胞注入を開始する前に約5mm引き抜く。圧力(P)を、細胞注入管71に接続されたシリンジに加えると、細胞調製物79が多孔質チャンバー22内に進入する。細胞調製物が多孔質チャンバー22内を送達されるにつれて、
図11Cおよび
図11Dに示されているように、外側プラグ16および細胞注入管71がデバイスから取り出される(ステップ885)。デバイスが、細胞調製物79で完全に満たされたら、細胞の注入を停止して、細胞注入管71をデバイス10から完全に引き抜く(ステップ890)。次いで、多孔質チャンバー22を、細胞調製物を受容可能な残存容積について評価し、残りの細胞調製物を多孔質チャンバーの端部に注意深く加えることができる。二次シール20を多孔質チャンバー22の近位端部40に配置して多孔質チャンバー22内に細胞調製物を閉じ込め、次いで一次シール12の再シール可能なロック34を閉じ、一次シール12の近位端部31を外科縫合糸またはステープルまたは他の適切な密閉機構で締める(ステップ895)。最後に、外科切開部を、外科縫合糸、ステープル、または組織接着剤で閉じて、細胞移植処置手順を終了する。
【0059】
開示される細胞移植のデバイスおよび方法を、疾患状態の処置として宿主に治療用生物学的材料を供給するために、任意の治療用細胞または細胞の組み合わせの宿主の体内への移植に使用することができる。細胞は、同種異系、異種、または同系ドナー細胞、幹細胞、臍帯血細胞、および胚性幹細胞を含む患者由来の細胞とすることができる。幹細胞は、適切な治療用細胞に分化し得る。細胞は、デバイスに導入されるときに、未成熟または部分的に分化もしくは完全に分化した細胞および成熟細胞であり得る。細胞はまた、遺伝子操作された細胞または細胞系でも良い。一態様では、本開示に一致する実施形態を、宿主の体内での血糖制御の手段とするためにランゲルハンス島細胞の移植に使用する。別の態様では、細胞移植デバイスの実施形態を、セルトリ細胞とランゲルハンス島細胞の同時移植に使用し、セルトリ細胞は、宿主の体内でランゲルハンス島細胞を免疫学的に保護する。宿主の体内でのセルトリ細胞が提供する免疫保護は、例えば、参照によりその全容が本明細書に組み入れられる米国特許第5,725,854号に既に開示されていた。したがって、この開示もまた、本明細書に開示される細胞移植デバイスの実施形態を用いて治療有効量の細胞をこれを必要とする対象に移植することによって様々な疾患を処置する方法を企図する。
【0060】
移植された治療用細胞または細胞の組み合わせの密度は、宿主の体重および細胞の治療効果に基づいて決定される。既に述べたように、細胞移植デバイスの寸法および使用する多孔質チャンバーの数(多チャンバーデバイス内で)は、必要な細胞の数、デバイスのインキュベーション期間中に達成可能な血管新生の程度、ならびに植え込まれたデバイスの内外への栄養物および細胞産物の拡散特定に基づいて決定される。
【実施例】
【0061】
以下の実施例は、様々な実施形態をより良く説明するために示すものであり、いかなる場合も本開示の範囲を限定するものではない。これらの実施例に使用される細胞移植デバイスは、ポリプロピレンメッシュから形成され、デバイスの各多孔質チャンバー内に1つのPTFEプラグを含む。
【0062】
1.膵島細胞を閉じ込める細胞移植デバイスは、Lewisラットを正常血糖に回復させることができる
細胞移植デバイスを、正常血糖の回復のためにLewisラットの同系膵島細胞の植え込みに使用した。植え込まれた細胞のグルコース反応を、ラットの門脈に直接投与された膵島細胞のグルコース反応と比較した。Lewisラットを、それぞれが9匹の3つの研究群に分けた。第1および第2の研究群では、それぞれ、デバイスを腹腔内および皮下空洞部に植え込んだ。第3の研究群では、膵島細胞を門脈に直接投与した。
【0063】
植え込んだデバイスを、血管が内側方向成長できるように少なくとも1ヶ月間、Lewisラット中でインキュベートした。次いで、ストレプトゾトシンを注入することによって糖尿病をラットに化学的に誘導した。血糖測定値が3回連続して少なくとも18.0mMの場合は、ラットを糖尿病と見なした。次いで、単離されたLewisラット膵島細胞(体重1kg当たり10,000IEQ)を、植え込まれたデバイス内に注入するか、または糖尿病ラットの門脈に直接注入した。膵島移植(
図11Aおよび
図11Bのグラフの上方の閉じた四角形で示されている)後14日目にインスリンペレットを取り出した。ラットの血糖値を100日間にわたってモニタリングした。移植後100日目に、デバイスを取り出して、移植された膵島が糖尿病の逆転に関与したかを確認した。
【0064】
図12Aおよび
図12Bはそれぞれ、腹腔内(網のチャンバー)および皮下に細胞移植デバイスを受けたラットのグルコース正常化の結果を示している。細胞移植の成功は、実線で示されているように血糖値の正常化(グルコース測定値が8.0mM未満)をもたらした。正常血糖を達成していない移植は、点線で示されている。結果は、正常血糖値が、統計的に有意な数の膵島細胞が移植された糖尿病ラットで維持されたことを示している。移植後100日目に植え込まれたデバイスを取り出すと、正常血糖値を示していたラットが高血糖値に戻り、デバイスの取り出しの前に正常血糖の達成に寄与していた完全に機能する移植片をデバイスが閉じ込めていたことを示唆している。血糖濃度が非糖尿病レベルに達する速度は、研究群の間で統計的に異なっていた(p<0.0001、t−検定)。
【0065】
図12Cは、膵島細胞が移植されたLewisラットにおけるIVGTT(経静脈的ブドウ糖負荷試験)応答を示している。IVGTTは、移植後40日目および80日目に行った。腹腔内移植および皮下移植を受けたラットのグルコース応答を、門脈から膵島細胞を投与されたラットのグルコース応答と比較した。IVGTTを、各研究分野で3匹のラットに対して行った。移植後40日目および80日目に、
図12Cに示されているように、膵島細胞が移植されたラットの血糖値が、グルコースチャレンジから50分以内に8.0mM未満に低下した。100日目に細胞移植デバイスを取り出した。110日目にグルコースが投与されたときには血糖値は低下しなかった。これは、移植された膵島細胞が、植え込まれたデバイスが取り出されるまでは糖尿病ラットにおける正常血糖の達成に寄与していたことを示唆している。
【0066】
図12Dは、膵島細胞が移植されたLewisラットにおけるインスリン応答を示している。酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)によってインスリン値を試験した。この分析は3連で行った。この結果は、グルコースチャレンジ時の血中インスリン値における有意差を示唆している(p<0.005、t−検定)。
図12Dに示されているように、デバイスが移植されたラットのインスリン値は、門脈から膵島細胞が投与されたラットのインスリン値とよく相関していた。
【0067】
2.細胞移植デバイスの多孔質チャンバー内でのインスリンおよび血管新生の組織学的検出
100日目に植え込まれたデバイスを取り出してから、インスリンに対して特異的な一次抗体を用いてデバイス内でインスリンを検出した。
図13Aは、皮下に植え込まれたデバイスの多孔質チャンバー内でのインスリン染色の結果を示している。チャンバー内でのインスリンの検出は、デバイス内に閉じ込められた膵島細胞が、移植後100日目に生存可能で機能的であったことを示唆した。
【0068】
デバイスの内部および周囲に堆積したコラーゲンマトリックスにおける血管組織の形成を検証するために、植え込まれたデバイスの組織学的評価も行った。
図13Bに示されているように(暗い構造は内皮細胞を示し;細胞核は矢印によって示されている)、内皮細胞に関連した因子VIIIの免疫組織化学染色は、結合組織に深く埋め込まれた十分に形成された血管構造を示唆した。組織学的評価はまた、細胞移植デバイスの中心に向かう新血管新生組織の侵入も実証した。
【0069】
3.細胞移植デバイスにおける血管形成およびコラーゲン堆積の評価
植え込み段階(デバイスの植え込みから膵島の生着までの時間)の適切な長さを決定するために、細胞移植デバイスを、8週齢のYorkshire−Landraceブタに2週間、4週間、および8週間、皮下に植え込んだ。それぞれの期間の植え込みの後、血管形成およびコラーゲン堆積のレベルを決定するためにデバイスを取り出して分析した。
【0070】
(a)血管形成およびコラーゲン堆積の肉眼的評価
血管および組織形成の肉眼的分析のための取り出されたデバイスの前面および背面の両方の写真を撮影した。1cm×1cmの格子を写真の上に載せて、微小血管および組織(細胞を含むコラーゲン)形成を定量化した。格子内の各1cm
2のボックスを血管形成についてスコアを付け、取り出されたデバイスの全表面について全血管/cm
2を計算できるようした。デバイスの内周および外周の平均厚みを測定して、コラーゲンの堆積量を求めた。
図14は、異なる多孔質材料(メッシュ)を用いて形成された4つのデバイスについて計算した平均コラーゲン厚みおよび全血管/cm
2の表を示している。植え込み後2週間で、4つすべての種類のメッシュで十分な微小血管および組織形成が観察された。結果はまた、微小血管形成およびコラーゲン堆積に必要な時間が、デバイスの材料(メッシュの空隙率、表面粗さなど)によって異なり得ることを示唆した。
【0071】
(b)血管形成およびコラーゲン堆積の組織学的分析
ヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)染色(
図15A)およびvon Willebrand因子(
図15B)を用いた内皮細胞の染色によって血管形成を決定した。
図15Aは、植え込みの2週間後、4週間後、および8週間後の組織のデバイス内への組み込みを実証している。
図15Bは、細胞移植の前のデバイスの様々な縁における血管形成を示している。組織のデバイス内への組み込みの評価は、膵島移植前に測定したすべての時点でデバイスがコラーゲンおよび微小血管を取り込むことを示した。
【0072】
4.ブタ自家移植膵島を受容する細胞移植デバイスの評価
8週齢のYorkshire−Landraceブタに、細胞移植デバイスを4週間および8週間植え込んだ。動物を糖尿病にするために、90%の膵切除を行い、次いで手術の翌日に150mg/Kgのストレプトゾトシンを静脈投与した。膵切除を行う前に膵島を膵臓から単離した。回復および糖尿病の確認のための十分な時間が得られるように、移植片単離および膵切除の5日後に未成熟膵島移植片を動物に移植した。
【0073】
未成熟膵島細胞のインスリン産生能を移植前に試験した。
図16に示されているように、未成熟膵島は、成熟膵島で通常期待されるインスリンの約10%を産生した。この事実と約3〜5K IEQ/Kgの少ない膵島移植数(門脈内移植に通常使用されるインスリン産生膵島の5〜10%)との組み合わせにより、細胞移植デバイスの厳密な試験を提供する。現在、臨床的な膵島移植治療では、十分な量のβ細胞塊の注入は、インスリン依存性糖尿病の処置に障害をもたらした。インスリン非依存は、レシピエントの体重1kgに付き約10,000IEQ/Kgの十分な量の膵島細胞が送達されたときに日常的に達成される。この量の膵島細胞を提供するためには、現在の膵島移植プロトコルは、1レシピエントに付き2つ以上のドナー膵臓を必要とし、既に限られているドナー供給にさらに負担がかかる。したがって、門脈内移植に現在使用されている膵島の僅か5〜10%の使用で血糖コントロールを達成できれば、膵島移植治療を受ける糖尿病患者の数が、大幅に増加するであろう。
【0074】
移植された膵島の長期の生存および機能を試験するために、取り出されたデバイスの組織学的分析を行った。週2回の血糖検査および月2回の経静脈的ブドウ糖負荷試験(IVGTT)によって膵島移植片の機能もモニタリングした。
【0075】
(a)膵島移植片の機能の組織学的分析
9週間でデバイスを取り出した後、インスリンに対して特異的な一次抗体を用いてデバイス内でインスリンを検出した。
図17Aは、取り出されたデバイスの多孔質チャンバー内でのインスリン染色の結果を示している。チャンバー内のインスリンの検出は、デバイス内に閉じ込められた膵島細胞が、移植後9週間で、生存可能で機能性であったことを示した。外植片の切片の免疫組織化学染色は、強い微小血管(
図17B;矢印で示されている微小血管)によって囲まれた健常な十分に構成された膵島を実証した。
【0076】
(b)血糖測定
移植後の膵島移植片の機能をモニタリングするために、空腹時血糖値および非空腹時血糖値を毎週測定した。これらの測定値は、血糖値の長期コントロールにおける細胞移植デバイスの全体的有効性の決定に役立つ。空腹時血糖値は、移植片機能の制御された基準となる。簡単に述べると、レシピエント動物の静脈から1滴(数μl)の血液を採取し、Freestyle Lite glucometerまたは他のグルコース検査デバイスを用いて血糖値を測定する。
【0077】
図18に示されているように、移植された膵島は、72日目のデバイスの取り出しまでの長期の血糖コントロールを実証した。「血糖コントロール」群(n=4)の動物は、インスリン非依存性であり、血糖値は、細胞移植デバイス内の膵島のみによってコントロールされた。この群の動物は、膵島移植後に長期のインスリン非依存性を示した。しかしながら、一部の動物は、膵島のデバイスへの移植後も高血糖(絶えず高い血糖値)を維持した(n=6)。これは、移植前の膵島の低い代謝性および低い膵島移植用量(IEQ/Kg)に関連していた。移植前の膵島の質は、長期の膵島機能に十分に関連していた。
【0078】
(c)ブドウ糖負荷試験
ブドウ糖負荷試験は、移植前のIVGTT結果と移植後のIVGTT結果との比較による膵島移植片の機能の評価において重要である。細胞移植デバイスの有効性を試験するために、IVGTTを膵切除の前(基準値)、デバイスへの膵島移植後の様々な時点、およびデバイスの取り出し後に行った。1回のデキストロースの投与によってIVGTTを行い、内因性インスリンが血糖値を基準値にするのにかかる時間を測定した。血糖値の測定に加えて、様々な時点で血液を採取して、インスリンがβ細胞によって産生されるときに生成される副産物であるC−ペプチド値を測定した。IVGTTの結果は、血糖値の絶対値(
図19A)、血糖値の曲線下面積(AUC)(
図19B)、およびC−ペプチド値における倍数変化(
図19C)を用いて解明した。
【0079】
図19Aおよび
図19Bに示されているように、デバイスが取り出されてから血糖値が有意に(p<0.001、Anova)上昇し、デバイスの取り出しが、膵島のない糖尿病動物と同様にインスリン機能の喪失をもたらしたことを示唆している。最も低い血糖値は、膵切除されていない動物で検出されたが、膵島自家移植レシピエントは、デキストロース注入後に血糖値の有意な低下を示し、移植後に未成熟の膵島が生存して機能し得ることを示唆した。
【0080】
IVGTTからの血清サンプルと、合成ブタC−ペプチドに対して特別に作製された抗体を利用するLinco社のブタC−ペプチド・ラジオイムノアッセイ・キットを用いて分析した。デキストロース注入の0分後、5分後、15分後、30分後、60分後、および120分後の血清サンプルを、ブタC−ペプチドの存在について分析した。4つの研究群、すなわち膵切除していないブタ(基準)、膵島自家移植レシピエント(膵島移植後)、デバイスが取り出された後の自家移植レシピエント(デバイス取り出し後)、および糖尿病コントロールブタを検査した。異なる研究群間のC−ペプチド値における倍数変化を検査すると、基準および膵島移植後レシピエントは、非常に類似した結果を示したが、膵島移植後レシピエントのC−ペプチド値が60分で増加したのに対して、基準群では30分で増加した(
図19C)。さらに、デバイス取り出し後の群および糖尿病コントロール群のC−ペプチドにおける倍数変化が類似しており、移植された膵島が、デバイスを取り出す前のC−ペプチドの放出に関与していたことを示唆した。
【0081】
本発明の他の実施形態も、当業者であれば、ここに開示される本発明の明細書および実施を考慮すれば明らかであろう。明細書および実施例は、単なる例示目的と見なされ、本発明の実際の範囲および趣旨は、別添の特許請求の範囲によって規定されるものとする。