(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記硬化後粘着剤層が、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)と熱架橋剤(B)とから構成される架橋構造を有するとともに、紫外線硬化性成分(C)の硬化物を含有する粘着剤からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の表示体の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について説明する。
〔粘着シート〕
本実施形態に係る粘着シートは、一の表示体構成部材と、他の表示体構成部材とを貼合するための粘着剤層を備えた粘着シートである。表示体および表示体構成部材については、後述する。
【0024】
図1に示すように、一例としての本実施形態に係る粘着シート1は、2枚の剥離シート12a,12bと、それら2枚の剥離シート12a,12bの剥離面と接するように当該2枚の剥離シート12a,12bに挟持された粘着剤層11とから構成される。なお、本明細書における剥離シートの剥離面とは、剥離シートにおいて剥離性を有する面をいい、剥離処理を施した面および剥離処理を施さなくても剥離性を示す面のいずれをも含むものである。
【0025】
1.粘着剤層
上記粘着剤層11は、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)と熱架橋剤(B)とから構成される架橋構造を有するとともに、紫外線硬化性成分(C)と、濃度0.1質量%のアセトニトリル溶液における波長380nmの吸光度が0.3以上である光重合開始剤(D)とを含有する紫外線硬化性の粘着剤からなる。換言すると、上記粘着剤層11は、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)と、熱架橋剤(B)と、紫外線硬化性成分(C)と、濃度0.1質量%のアセトニトリル溶液における波長380nmの吸光度が0.3以上である光重合開始剤(D)とを含有する粘着性組成物(以下「粘着性組成物P」という場合がある。)を熱架橋してなる紫外線硬化性の粘着剤からなる。なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及びメタクリル酸の両方を意味する。他の類似用語も同様である。
【0026】
上記の通り、粘着シート1における粘着剤層11は、粘着性組成物Pを熱架橋してなる粘着剤からなり、当該粘着剤は、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)と熱架橋剤(B)とから構成される架橋構造を有する。一方、紫外線硬化性成分(C)は、未だ硬化しておらず、粘着性組成物Pに配合されたままの状態で粘着剤中に存在する。この紫外線硬化性成分(C)は、粘着シート1の使用時(被着体を貼合したあと)に、粘着剤層11に対して紫外線が照射されたときに重合し硬化する。
【0027】
本実施形態に係る粘着シート1において、粘着剤層11を構成する粘着剤は熱架橋されており、ある程度の架橋密度、そして所定の凝集力を有するため、粘着剤層11の被膜強度が比較的高い。したがって、例えば、粘着シートを裁断加工等する際に、刃に粘着剤が付着する等の問題が発生することが抑制される。また、粘着シート1の保管時等に、粘着剤層11から粘着剤が染み出すことも抑制される。
【0028】
また、本実施形態に係る粘着シート1における粘着剤層11は、紫外線照射による硬化前の段階では比較的柔らかいため、段差を有する表示体構成部材に粘着シート1を貼付したときに、粘着剤層11が段差に追従し易く、段差近傍に隙間、浮き等が生じることが抑制される。
【0029】
一方、本実施形態に係る粘着シート1を使用する場合、粘着シート1の粘着剤層11によって一の表示体構成部材と他の表示体構成部材とを貼合した後に、一の表示体構成部材または他の表示体構成部材を介して粘着剤層11に対して紫外線を照射し、粘着剤層11を硬化させて硬化後粘着剤層(後述する
図2中では硬化後粘着剤層11’)とする。これにより、得られた積層体(表示体)を高温高湿条件下、例えば、85℃、85%RH条件下に72時間置いた場合でも、段差近傍に気泡、浮き、剥がれ等が発生することが抑制される。さらに、表示体構成部材と硬化後粘着剤層との界面における気泡、浮き、剥がれ等のブリスターの発生も抑制される。すなわち、本実施形態に係る粘着シート1は、初期の段差追従性の他、高温高湿条件下での段差追従性および耐ブリスター性にも優れる。
【0030】
ここで、上記一の表示体構成部材および/または他の表示体構成部材が紫外線吸収剤を含有する場合において、粘着剤に従来の光重合開始剤、例えば1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを使用した場合に、上記一の表示体構成部材または他の表示体構成部材を介して粘着剤層に対し紫外線を照射すると、上記光重合開始剤を開裂させるための波長の紫外線が表示体構成部材中の紫外線吸収剤に吸収され、光重合開始剤の開裂が阻害される。その結果、紫外線硬化性成分の硬化反応が良好に進行せず、粘着剤層の硬化が不十分となる。これにより、粘着剤層は、高温高湿条件下での段差追従性および耐ブリスター性に劣るものとなる。これに対し、本実施形態に係る粘着シート1における粘着剤層11は、濃度0.1質量%のアセトニトリル溶液における波長380nmの吸光度が0.3以上である光重合開始剤(D)を含有する。この場合、紫外線吸収剤を含有する表示体構成部材を介して粘着剤層11に対し紫外線を照射したとしても、光重合開始剤(D)を開裂させるための波長(長波長)の紫外線が表示体構成部材中の紫外線吸収剤に吸収されず、光重合開始剤(D)が問題なく開裂する。その結果、紫外線硬化性成分(C)の硬化反応が良好に進行し、粘着剤層11が十分に硬化する。これにより、得られる積層体(表示体)は、高温高湿条件下での段差追従性および耐ブリスター性に優れたものとなる。すなわち、本実施形態に係る粘着シート1によれば、一の表示体構成部材および/または他の表示体構成部材が紫外線吸収剤を含有する場合でも、高温高湿条件下での段差追従性および耐ブリスター性に優れる。
【0031】
(1)(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、熱架橋剤(B)と反応する反応性基を分子内に有する反応性基含有モノマーを含むことが好ましい。この反応性基含有モノマー由来の反応性基が熱架橋剤(B)と反応して、架橋構造(三次元網目構造)が形成され、被膜強度の比較的高い粘着剤層11が得られる。
【0032】
上記反応性基含有モノマーとしては、分子内に水酸基を有するモノマー(水酸基含有モノマー)、分子内にカルボキシ基を有するモノマー(カルボキシ基含有モノマー)、分子内にアミノ基を有するモノマー(アミノ基含有モノマー)などが好ましく挙げられる。これらの中でも、熱架橋剤(B)との反応性に優れ、被着体への悪影響の少ない水酸基含有モノマーが特に好ましい。また、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の重量平均分子量が比較的低くても、所望の凝集力が発揮される観点からは、カルボキシ基含有モノマーが好ましい。
【0033】
水酸基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル等が挙げられる。中でも、得られる(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)における水酸基の熱架橋剤(B)との反応性および他の単量体との共重合性の点から(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルおよび(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルが好ましく、特に(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルが好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0034】
カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸が挙げられる。中でも、得られる(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)におけるカルボキシ基の熱架橋剤(B)との反応性および他の単量体との共重合性の点からアクリル酸が好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0035】
アミノ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸n−ブチルアミノエチル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0036】
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、水酸基含有モノマーを、下限値として3質量%以上含有することが好ましく、特に10質量%以上含有することが好ましく、さらには15質量%以上含有することが好ましい。また、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、水酸基含有モノマーを、上限値として35質量%以下含有することが好ましく、特に30質量%以下含有することが好ましく、さらには25質量%以下含有することが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)がモノマー単位として上記の量で水酸基含有モノマーを含有すると、得られる粘着剤において良好な架橋構造が形成され、被膜強度の比較的高い粘着剤層11が得られるとともに、粘着剤中に、所定量の水酸基が残存することとなる。水酸基は親水性基であり、そのような親水性基が所定量粘着剤中に存在すると、粘着剤が高温高湿条件下に置かれた場合でも、その高温高湿条件下で粘着剤に浸入した水分との相溶性が良く、その結果、常温常湿に戻したときの粘着剤の白化が抑制されることとなる(耐湿熱白化性に優れる)。
【0037】
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)が、当該重合体を構成するモノマー単位としてカルボキシ基含有モノマーを含む場合、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)は、当該カルボキシ基含有モノマーを、下限値として5質量%以上含有することが好ましく、特に7質量%以上含有することが好ましく、さらには10質量%以上含有することが好ましい。また、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、カルボキシ基含有モノマーを、上限値として30質量%以下含有することが好ましく、特に20質量%以下含有することが好ましく、さらには15質量%以下含有することが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)がモノマー単位として上記の量でカルボキシ基含有モノマーを含有すると、得られる粘着剤において良好な架橋構造が形成され、被膜強度の比較的高い粘着剤層11が得られる。
【0038】
また、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、カルボキシ基含有モノマーを含まないことも好ましい。カルボキシ基は酸成分であるため、カルボキシ基含有モノマーを含有しないことにより、粘着剤の貼付対象に、酸により不具合が生じるもの、例えばスズドープ酸化インジウム(ITO)等の透明導電膜や金属膜などが存在する場合にも、酸によるそれらの不具合(腐食、抵抗値変化等)を抑制することができる。ただし、かかる不具合が生じない程度に、カルボキシ基含有モノマーを所定量含有することは許容される。具体的には、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)中に、モノマー単位として、カルボキシ基含有モノマーを5質量%未満、好ましくは2質量%以下、特に好ましくは0.1質量%以下の量で含有することが許容される。
【0039】
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含有することで、好ましい粘着性を発現することができる。アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸n−ドデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。中でも、粘着性をより向上させる観点から、アルキル基の炭素数が1〜8の(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、(メタ)アクリル酸n−ブチルまたは(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルが特に好ましい。なお、これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0040】
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを40質量%以上含有することが好ましく、特に50質量%以上含有することが好ましく、さらには60質量%以上含有することが好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルを40質量%以上含有すれば、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)に好適な粘着性を付与させることができる。また、アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを90質量%以下含有することが好ましく、特に80質量%以下含有することが好ましく、さらには70質量%以下含有することが好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量を90質量%以下とすることにより、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)中に他のモノマー成分を所望量導入することができる。
【0041】
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)は、当該共重合体を構成するモノマー単位として、分子内に脂環式構造を有するモノマー(脂環式構造含有モノマー)を含むことも好ましい。脂環式構造含有モノマーは嵩高いため、これを重合体中に存在させることにより、重合体同士の間隔を広げるものと推定され、得られる粘着剤を柔軟性に優れたものとすることができる。したがって、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が脂環式構造含有モノマーを構成モノマー単位とすることにより、粘着性組成物Pを架橋させて得られる粘着剤は、初期の段差追従性により優れたものとなる。
【0042】
脂環式構造含有モノマーにおける脂環式構造の炭素環は、飽和構造のものであってもよいし、不飽和結合を一部に有するものであってもよい。また、脂環式構造は、単環の脂環式構造であってもよいし、二環、三環等の多環の脂環式構造であってもよい。得られる(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の相互間の距離を広げ、粘着剤の柔軟性を効果的に発揮させる観点から、上記脂環式構造は、多環の脂環式構造(多環構造)であることが好ましい。さらに、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)と他の成分との相溶性を考慮して、上記多環構造は、二環から四環であることが特に好ましい。また、上記と同様に粘着剤の柔軟性の作用を効果的に発揮させる観点から、脂環式構造の炭素数(環を形成している部分の全ての炭素数をいい、複数の環が独立して存在する場合には、その合計の炭素数をいう)は、通常5以上であることが好ましく、7以上であることが特に好ましい。一方、脂環式構造の炭素数の上限は特に制限されないが、上記と同様に相溶性の観点から、15以下であることが好ましく、10以下であることが特に好ましい。
【0043】
脂環式構造としては、例えば、シクロヘキシル骨格、ジシクロペンタジエン骨格、アダマンタン骨格、イソボルニル骨格、シクロアルカン骨格(シクロヘプタン骨格、シクロオクタン骨格、シクロノナン骨格、シクロデカン骨格、シクロウンデカン骨格、シクロドデカン骨格等)、シクロアルケン骨格(シクロヘプテン骨格、シクロオクテン骨格等)、ノルボルネン骨格、ノルボルナジエン骨格、キュバン骨格、バスケタン骨格、ハウサン骨格、スピロ骨格などを含むものが挙げられ、中でも、より優れた耐久性を発揮する、ジシクロペンタジエン骨格(脂環式構造の炭素数:10)、アダマンタン骨格(脂環式構造の炭素数:10)またはイソボルニル骨格(脂環式構造の炭素数:7)を含むものが好ましく、特にイソボルニル骨格を含むものが好ましい。
【0044】
上記脂環式構造含有モノマーとしては、上記の骨格を含む(メタ)アクリル酸エステルモノマーが好ましく、具体的には、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル等が挙げられ、中でも、より優れた耐久性を発揮する、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸アダマンチルまたは(メタ)アクリル酸イソボルニルが好ましく、特に(メタ)アクリル酸イソボルニルが好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0045】
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)が、当該重合体を構成するモノマー単位として脂環式構造含有モノマーを含有する場合、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)は、脂環式構造含有モノマーを5質量%以上含有することが好ましく、特に8質量%以上含有することが好ましく、さらには10質量%以上含有することが好ましい。また、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、脂環式構造含有モノマーを40質量%以下含有することが好ましく、特に30質量%以下含有することが好ましく、さらには20質量%以下含有することが好ましい。脂環式構造含有モノマーの含有量が上記の範囲にあることで、得られる粘着剤の初期の段差追従性がより優れたものとなる。
【0046】
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)は、当該共重合体を構成するモノマー単位として、分子内に窒素原子を有するモノマー(窒素原子含有モノマー)を含むことも好ましい。なお、反応性基含有モノマーとして例示したアミノ基含有モノマーは、当該窒素原子含有モノマーから除かれるものとする。窒素原子含有モノマーを構成単位として重合体中に存在させることにより、アクリル酸エステル共重合体(A)と熱架橋剤(B)との反応を促進させたり、粘着剤に極性を付与し、粘着剤自体の凝集力を高めることができる。
【0047】
上記窒素原子含有モノマーとしては、第3級アミノ基を有するモノマー、アミド基を有するモノマー、窒素含有複素環を有するモノマーなどが挙げられ、中でも、窒素含有複素環を有するモノマーが好ましい。
【0048】
窒素含有複素環を有するモノマーとしては、例えば、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−(メタ)アクリロイルピロリドン、N−(メタ)アクリロイルピペリジン、N−(メタ)アクリロイルピロリジン、N−(メタ)アクリロイルアジリジン、アジリジニルエチル(メタ)アクリレート、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−ビニルピラジン、1−ビニルイミダゾール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルフタルイミド等が挙げられ、中でも、より優れた粘着力を発揮するN−(メタ)アクリロイルモルホリンが好ましく、特にN−アクリロイルモルホリンが好ましい。
【0049】
なお、前述の窒素含有複素環を有するモノマー以外の窒素原子含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−tert−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルカプロラクタム、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル等を使用することもできる。
以上の窒素原子含有モノマーは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0050】
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)が、当該重合体を構成するモノマー単位として窒素原子含有モノマーを含有する場合、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)は、窒素原子含有モノマーを1質量%以上含有することが好ましく、特に2質量%以上含有することが好ましく、さらには5質量%以上含有することが好ましい。また、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、窒素原子含有モノマーを40質量%以下含有することが好ましく、特に25質量%以下含有することが好ましく、さらには15質量%以下含有することが好ましい。窒素原子含有モノマーの含有量が上記の範囲内にあると、得られる粘着剤の凝集力が効果的に向上する。
【0051】
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)は、所望により、当該重合体を構成するモノマー単位として、他のモノマーを含有してもよい。他のモノマーとしては、反応性を有する官能基を含まないモノマーが好ましい。かかる他のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、酢酸ビニル、スチレンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0052】
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の重合態様は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。
【0053】
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重量平均分子量は、下限値として10万以上であることが好ましく、特に20万以上であることが好ましく、さらには30万以上であることが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重量平均分子量の下限値が上記以上であると、得られる粘着剤の被膜強度がより高いものとなる。また、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重量平均分子量は、上限値として90万以下であることが好ましく、特に80万以下であることが好ましく、さらには70万以下であることが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重量平均分子量の上限値が上記以下であると、得られる粘着剤の段差追従性がより優れたものとなる。なお、本明細書における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した標準ポリスチレン換算の値である。
【0054】
なお、粘着性組成物Pにおいて、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0055】
(2)熱架橋剤(B)
熱架橋剤(B)を含有する粘着性組成物Pを加熱すると、熱架橋剤(B)は(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)を架橋し、三次元網目構造を形成する。これにより、被膜強度の比較的高い粘着剤層11が得られる。
【0056】
上記熱架橋剤(B)としては、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)が有する反応性基と反応するものであればよく、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アミン系架橋剤、メラミン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、ヒドラジン系架橋剤、アルデヒド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、アンモニウム塩系架橋剤等が挙げられる。上記の中でも、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)が有する反応性基が水酸基の場合、水酸基との反応性に優れたイソシアネート系架橋剤を使用することが好ましく、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)が有する反応性基がカルボキシ基の場合、カルボキシ基との反応性に優れたエポキシ系架橋剤を使用することが好ましい。なお、熱架橋剤(B)は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0057】
イソシアネート系架橋剤は、少なくともポリイソシアネート化合物を含むものである。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネートなど、及びそれらのビウレット体、イソシアヌレート体、さらにはエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油等の低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体などが挙げられる。中でも水酸基との反応性の観点から、トリメチロールプロパン変性の芳香族ポリイソシアネート、特にトリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネートおよびトリメチロールプロパン変性キシリレンジイソシアネートが好ましい。
【0058】
エポキシ系架橋剤としては、例えば、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミン等が挙げられる。中でもカルボキシ基との反応性の観点から、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサンが好ましい。
【0059】
粘着性組成物P中における熱架橋剤(B)の含有量は、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)100質量部に対して、0.01質量部以上であることが好ましく、特に0.05質量部以上であることが好ましく、さらには0.1質量部以上であることが好ましい。また、当該含有量は、10質量部以下であることが好ましく、特に5質量部以下であることが好ましく、さらには0.4質量部以下であることが好ましい。熱架橋剤(B)の含有量が上記範囲にあることで、得られる粘着剤が十分な柔軟性を有しながら、良好な凝集力を発揮し、被膜強度の比較的高い粘着剤層11が得られる。
【0060】
(3)紫外線硬化性成分(C)
粘着性組成物Pが紫外線硬化性成分(C)を含有することにより、形成される粘着剤層11は、紫外線硬化性の粘着剤層となる。この粘着剤層11は、被着体貼付後の紫外線照射による硬化により、紫外線硬化性成分(C)が互いに重合し、その重合した紫外線硬化性成分(C)が(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の架橋構造(三次元網目構造)に絡み付くものと推定される。かかる高次構造を有する粘着剤は、高温高湿条件下での段差追従性および耐ブリスター性に優れたものとなる。
【0061】
紫外線硬化性成分(C)は、後述する光重合開始剤(D)の存在下で紫外線の照射によって硬化し、上記の効果が得られる成分であれば特に制限されず、モノマー、オリゴマーまたはポリマーのいずれであってもよいし、それらの混合物であってもよい。中でも、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)等との相溶性に優れる分子量1,000未満の多官能アクリレート系モノマーを好ましく挙げることができる。
【0062】
分子量1000未満の多官能アクリレート系モノマーとしては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、ジ(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン等の2官能型;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ε−カプロラクトン変性トリス−(2−(メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート等の3官能型;ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の4官能型;プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の5官能型;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の6官能型などが挙げられる。上記の中でも、得られる粘着剤の高温高湿条件下での段差追従性および耐ブリスター性の観点から、ジ(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ε−カプロラクトン変性トリス−(2−(メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート等の分子内にイソシアヌレート構造を含有する多官能アクリレート系モノマーが好ましく、3官能以上、かつ、分子内にイソシアヌレート構造を含有する多官能アクリレート系モノマーがより好ましく、ε−カプロラクトン変性トリス−(2−(メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレートが特に好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0063】
紫外線硬化性成分(C)としては、紫外線硬化型のアクリレート系オリゴマーを用いることもできる。このアクリレート系オリゴマーは重量平均分子量50,000以下のものが好ましい。このようなアクリレート系オリゴマーの例としては、ポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系、ポリブタジエンアクリレート系、シリコーンアクリレート系等が挙げられる。
【0064】
上記アクリレート系オリゴマーの重量平均分子量は、50,000以下であることが好ましく、特に500〜50,000であることが好ましく、さらには3,000〜40,000であることが好ましい。これらのアクリレート系オリゴマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0065】
また、紫外線硬化性成分(C)としては、(メタ)アクリロイル基を有する基が側鎖に導入されたアダクトアクリレート系ポリマーを用いることもできる。このようなアダクトアクリレート系ポリマーは、(メタ)アクリル酸エステルと、分子内に架橋性官能基を有する単量体との共重合体を用い、当該共重合体の架橋性官能基の一部に、(メタ)アクリロイル基および架橋性官能基と反応する基を有する化合物を反応させることにより得ることができる。
【0066】
上記アダクトアクリレート系ポリマーの重量平均分子量は、5万〜90万程度であることが好ましく、10万〜50万程度であることが特に好ましい。
【0067】
紫外線硬化性成分(C)は、前述した多官能アクリレート系モノマー、アクリレート系オリゴマーおよびアダクトアクリレート系ポリマーの中から、1種を選んで用いることもできるし、2種以上を組み合わせて用いることもできるし、それら以外の紫外線硬化性成分と組み合わせて用いることもできる。
【0068】
粘着性組成物P中における紫外線硬化性成分(C)の含有量は、得られる粘着剤の高温高湿条件下での段差追従性および耐ブリスター性を優れたものとする観点から、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)100質量部に対して、1質量部以上であることが好ましく、2質量部以上であることがより好ましく、3質量部以上であることが特に好ましい。一方、上記含有量は、架橋が密になり過ぎて粘着力が低下して耐久性が悪化するのを防止する観点から、30質量部以下であることが好ましく、15質量部以下であることがより好ましく、10質量部以下であることが特に好ましい。
【0069】
(4)光重合開始剤(D)
本実施形態における光重合開始剤(D)は、濃度0.1質量%のアセトニトリル溶液における波長380nmの吸光度が0.3以上であるものである。粘着剤層11を構成する粘着剤がかかる光重合開始剤(D)を含有することより、紫外線吸収剤を含有する表示体構成部材を介して粘着剤層11に紫外線を照射したときにも、粘着剤層11(紫外線硬化性成分(C))が良好に硬化し、高温高湿条件下での段差追従性および耐ブリスター性に優れたものとなる。
【0070】
上記の観点から、光重合開始剤(D)の波長380nmの吸光度は、0.5以上であることが好ましく、特に1.0以上であることが好ましい。当該吸光度の上限値は特に限定されないが、通常は2.5以下であることが好ましく、特に2.0以下であることが好ましい。吸光度が2.5を超えると、粘着シート形成時又は保管時に、蛍光灯等の環境光により、光重合開始剤(D)による紫外線硬化性成分(C)の硬化反応が進行し、その後の使用時の段差追従性が低下する場合がある。ここで、光重合開始剤(D)の吸光度の測定方法は、後述する試験例に示す通りである。
【0071】
また、光重合開始剤(D)は、濃度0.1質量%のアセトニトリル溶液における波長200〜500nmの吸光度の吸収極大波長が350nm以上にあることが好ましく、特に370nm以上にあることが好ましく、さらには380nm以上にあることが好ましい。なお、波長200〜500nmの吸光度の吸収極大波長が複数存在する場合には、少なくとも一つの吸収極大波長が上記範囲にあればよい。これにより、紫外線吸収剤を含有する表示体構成部材を介して粘着剤層11に紫外線を照射したときに、粘着剤層11(紫外線硬化性成分(C))の硬化性がより向上し、高温高湿条件下での段差追従性および耐ブリスター性がより優れたものとなる。一方、上記吸収極大波長の上限値は特に制限されないが、粘着剤層11を環境光中で保管した場合に硬化反応の進行を防止する観点から、450nm以下であることが好ましく、特に410nm以下であることが好ましく、さらには405nm以下であることが好ましい。
【0072】
このような光重合開始剤(D)としては、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0073】
また、本実施形態における粘着剤(粘着性組成物P)においては、上記の光重合開始剤(D)と、濃度0.1質量%のアセトニトリル溶液における波長380nmの吸光度が0.3未満である光重合開始剤(以下「光重合開始剤(ND)」という場合がある。)とを併用してもよい。かかる光重合開始剤(ND)としては、例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン等が挙げられる。この場合、光重合開始剤(D)100質量部に対する光重合開始剤(ND)の割合は、50〜150質量部であることが好ましく、特に75〜125質量部であることが好ましく、さらには80〜120質量部であることが好ましい。
【0074】
光重合開始剤(D)は、紫外線硬化性成分(C)100質量部に対して、2〜15質量部、特に4〜12質量部の範囲の量で用いられることが好ましい。
【0075】
(5)シランカップリング剤(E)
粘着性組成物Pは、さらにシランカップリング剤(E)を含有することが好ましい。これにより、被着体にガラス部材があると、得られる粘着剤は、当該ガラス部材との密着性が向上する。また、被着体がプラスチック板であっても、得られる粘着剤は、プラスチック板との密着性が向上する。これにより、得られる粘着剤は、高温高湿条件下での段差追従性により優れたものとなる。
【0076】
シランカップリング剤(E)としては、分子内にアルコキシシリル基を少なくとも1個有する有機ケイ素化合物であって、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)との相溶性がよく、光透過性を有するものが好ましい。
【0077】
かかるシランカップリング剤(E)としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の重合性不飽和基含有ケイ素化合物、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ構造を有するケイ素化合物、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン等のメルカプト基含有ケイ素化合物、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基含有ケイ素化合物、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、あるいはこれらの少なくとも1つと、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン等のアルキル基含有ケイ素化合物との縮合物などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0078】
粘着性組成物P中におけるシランカップリング剤(E)の含有量は、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)100質量部に対して、0.01質量部以上であることが好ましく、特に0.05質量部以上であることが好ましく、さらには0.1質量部以上であることが好ましい。また、当該含有量は、1質量部以下であることが好ましく、特に0.5質量部以下であることが好ましく、さらには0.3質量部以下であることが好ましい。
【0079】
(6)各種添加剤
粘着性組成物Pには、所望により、アクリル系粘着剤に通常使用されている各種添加剤、例えば紫外線吸収剤、帯電防止剤、粘着付与剤、酸化防止剤、光安定剤、軟化剤、充填剤、屈折率調整剤などを添加することができる。なお、後述の重合溶媒や希釈溶媒は、粘着性組成物Pを構成する添加剤に含まれないものとする。
【0080】
(7)粘着性組成物の製造
粘着性組成物Pは、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)を製造し、得られた(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)と、熱架橋剤(B)と、紫外線硬化性成分(C)と、光重合開始剤(D)とを混合するとともに、所望により、シランカップリング剤(E)および/または添加剤を加えることで製造することができる。
【0081】
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)は、重合体を構成するモノマーの混合物を通常のラジカル重合法で重合することにより製造することができる。(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の重合は、所望により重合開始剤を使用して、溶液重合法等により行うことができる。重合溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン等が挙げられ、2種類以上を併用してもよい。
【0082】
重合開始剤としては、アゾ系化合物、有機過酸化物等が挙げられ、2種類以上を併用してもよい。アゾ系化合物としては、例えば、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン1−カルボニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4'−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2'−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等が挙げられる。
【0083】
有機過酸化物としては、例えば、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ジアセチルパーオキシド等が挙げられる。
【0084】
なお、上記重合工程において、2−メルカプトエタノール等の連鎖移動剤を配合することにより、得られる重合体の重量平均分子量を調節することができる。
【0085】
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)が得られたら、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の溶液に、熱架橋剤(B)、紫外線硬化性成分(C)、光重合開始剤(D)、および所望によりシランカップリング剤(E)、添加剤を添加し、十分に混合することにより、粘着性組成物Pを得る。
【0086】
(8)粘着剤層の形成
粘着剤層11は、粘着性組成物Pを熱架橋してなるものである。すなわち、粘着性組成物Pの架橋は、加熱処理により行う。なお、この加熱処理は、粘着性組成物Pの塗布後の乾燥処理で兼ねることもできる。
【0087】
加熱処理の加熱温度は、50〜150℃であることが好ましく、特に70〜120℃であることが好ましい。また、加熱時間は、10秒〜10分であることが好ましく、特に50秒〜2分であることが好ましい。さらに、加熱処理後、常温(例えば、23℃、50%RH)で1〜2週間程度の養生期間を設けることが特に好ましい。
【0088】
上記の加熱処理(及び養生)により、熱架橋剤(B)を介して(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)が良好に架橋される。
【0089】
粘着剤層11の厚さ(JIS K7130に準じて測定した値)は、下限値として20μm以上であることが好ましく、25μm以上であることがより好ましく、特に30μm以上であることが好ましく、さらには50μm以上であることが好ましい。粘着剤層11の厚さの下限値が20μm以上であると、所望の粘着力を発揮し易い。また、粘着剤層11の厚さの下限値が30μm以上であると、表示体構成部材の通常の段差に対して十分な段差追従性を確保することができる。
【0090】
また、粘着剤層11の厚さは、上限値として500μm以下であることが好ましく、400μm以下であることがより好ましく、特に300μm以下であることが好ましい。粘着剤層11の厚さの上限値が上記以下であると、加工性が良好なものとなる。なお、粘着剤層11は単層で形成してもよいし、複数層を積層して形成することもできる。
【0091】
(9)ゲル分率(紫外線照射前)
粘着剤層11を構成する粘着剤(紫外線照射前)のゲル分率は、下限値として30%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましく、50%以上であることが特に好ましい。紫外線照射前の粘着剤のゲル分率の下限値が上記以上であると、粘着剤層11の凝集力が向上し、被膜強度がより高いものとなる。また、紫外線照射前の粘着剤のゲル分率は、上限値として70%以下であることが好ましく、特に65%以下であることが好ましく、さらには60%以下であることが好ましい。紫外線照射前の粘着剤のゲル分率の上限値が上記以下であると、粘着剤が硬くなり過ぎず、初期の段差追従性がより優れたものとなる。この粘着剤(紫外線照射前)のゲル分率の測定方法は、後述する試験例に示す通りである。
【0092】
2.剥離シート
剥離シート12a,12bとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン酢酸ビニルフィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム等が用いられる。また、これらの架橋フィルムも用いられる。さらに、これらの積層フィルムであってもよい。
【0093】
上記剥離シート12a,12bの剥離面(特に粘着剤層11と接する面)には、剥離処理が施されていることが好ましい。剥離処理に使用される剥離剤としては、例えば、アルキッド系、シリコーン系、フッ素系、不飽和ポリエステル系、ポリオレフィン系、ワックス系の剥離剤が挙げられる。なお、剥離シート12a,12bのうち、一方の剥離シートを剥離力の大きい重剥離型剥離シートとし、他方の剥離シートを剥離力の小さい軽剥離型剥離シートとすることが好ましい。
【0094】
剥離シート12a,12bの厚さについては特に制限はないが、通常20〜150μm程度である。
【0095】
3.粘着シートの製造
粘着シート1の一製造例としては、一方の剥離シート12a(または12b)の剥離面に、上記粘着性組成物Pの塗布液を塗布し、加熱処理を行って粘着性組成物Pを熱架橋し、塗布層を形成した後、その塗布層に他方の剥離シート12b(または12a)の剥離面を重ね合わせる。養生期間が必要な場合は養生期間をおくことにより、養生期間が不要な場合はそのまま、上記塗布層が粘着剤層11となる。これにより、上記粘着シート1が得られる。加熱処理および養生の条件については、前述した通りである。
【0096】
粘着シート1の他の製造例としては、一方の剥離シート12aの剥離面に、上記粘着性組成物Pの塗布液を塗布し、加熱処理を行って粘着性組成物Pを熱架橋し、塗布層を形成して、塗布層付きの剥離シート12aを得る。また、他方の剥離シート12bの剥離面に、上記粘着性組成物Pの塗布液を塗布し、加熱処理を行って粘着性組成物Pを熱架橋し、塗布層を形成して、塗布層付きの剥離シート12bを得る。そして、塗布層付きの剥離シート12aと塗布層付きの剥離シート12bとを、両塗布層が互いに接触するように貼り合わせる。養生期間が必要な場合は養生期間をおくことにより、養生期間が不要な場合はそのまま、上記の積層された塗布層が粘着剤層11となる。これにより、上記粘着シート1が得られる。この製造例によれば、粘着剤層11が厚い場合であっても、安定して製造することが可能となる。
【0097】
上記粘着性組成物Pの塗布液を塗布する方法としては、例えばバーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等を利用することができる。
【0098】
本実施形態に係る粘着シート1は、粘着剤層11の被膜強度が比較的高いため、粘着シート1を裁断加工等する際に、切断面にて粘着剤がはみ出して、刃に粘着剤が付着してしまう等の問題が発生することが抑制される。また、粘着シート1の保管時等に、粘着剤層11から粘着剤が染み出すことも抑制される。
【0099】
〔表示体〕
図2に示すように、本実施形態に係る表示体2は、少なくとも貼合される側の面に段差を有する第1の表示体構成部材21(一の表示体構成部材)と、第2の表示体構成部材22(他の表示体構成部材)と、それらの間に位置し、第1の表示体構成部材21および第2の表示体構成部材22を互いに貼合する硬化後粘着剤層11’とを備えて構成される。本実施形態に係る表示体2では、第1の表示体構成部材21は、硬化後粘着剤層11’側の面に段差を有しており、具体的には、印刷層3による段差を有している。
【0100】
上記表示体2における硬化後粘着剤層11’は、前述した粘着シート1の粘着剤層11を、紫外線照射により硬化させたものである。この硬化後粘着剤層11’は、第1に、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)と熱架橋剤(B)とから構成される架橋構造を有するとともに、紫外線硬化性成分(C)の硬化物(重合物)と、光重合開始剤(D)とを含有する粘着剤からなる。重合した紫外線硬化性成分(C)は、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)と熱架橋剤(B)とから構成される架橋構造に絡み付いているものと推定される。
【0101】
上記硬化後粘着剤層11’を構成する粘着剤に含まれる光重合開始剤(D)は、粘着性組成物Pに含まれていた光重合開始剤(D)が、紫外線照射によっても開裂せずに残存したものである。したがって、その含有量は多くなく、通常、粘着剤中にて0.00001質量%以上、0.1質量%以下であり、好ましくは、0.0001質量%以上、0.01質量%以下である。
【0102】
上記硬化後粘着剤層11’は、第2に、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)と熱架橋剤(B)とから構成される架橋構造を有するとともに、紫外線硬化性成分(C)の硬化物を含有する粘着剤からなり、当該粘着剤(紫外線照射後)のゲル分率が40%以上、95%以下であることが好ましい。硬化後粘着剤層11’を構成する粘着剤のゲル分率は、紫外線硬化性成分(C)が紫外線硬化することによって、紫外線硬化前の粘着剤層11を構成する粘着剤のゲル分率よりも高くなる。
【0103】
粘着剤層11に対して紫外線吸収剤を含有しない表示体構成部材越しに紫外線照射した場合、硬化後粘着剤層11’を構成する粘着剤のゲル分率は、下限値として65%以上であることがより好ましく、70%以上であることが特に好ましい。また、粘着剤層11に対して紫外線吸収剤を含有する表示体構成部材越しに紫外線照射した場合、硬化後粘着剤層11’を構成する粘着剤のゲル分率は、下限値として40%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、62%以上であることが特に好ましい。紫外線照射後の粘着剤のゲル分率の下限値が上記以上であると、表示体2の硬化後粘着剤層11’における高温高湿条件下での段差追従性および耐ブリスター性がより優れたものとなる。
【0104】
一方、粘着剤層11に対して紫外線吸収剤を含有しない表示体構成部材越しに紫外線照射した場合、硬化後粘着剤層11’を構成する粘着剤のゲル分率は、上限値として90%以下であることが好ましく、特に85%以下であることが好ましく、さらには80%以下であることが好ましい。また、粘着剤層11に対して紫外線吸収剤を含有する表示体構成部材越しに紫外線照射した場合、硬化後粘着剤層11’を構成する粘着剤のゲル分率は、上限値として90%以下であることが好ましく、特に80%以下であることが好ましく、さらには75%以下であることが好ましい。紫外線照射後の粘着剤のゲル分率の上限値が上記以下であると、硬化後粘着剤層11’の粘着力が低下して耐久性が悪化するのを防止することができる。この粘着剤(紫外線照射後)のゲル分率の測定方法は、後述する試験例に示す通りである。
【0105】
硬化後粘着剤層11’は、下記の式で示される段差追従率(%)が、下限値として20%以上であることが好ましく、特に25%以上であることが好ましく、さらには30%以上であることが好ましい。また、段差追従率の上限値としては、特に限定されないが、通常、80%以下であることが好ましく、特に70%以下であることが好ましい。
段差追従率(%)={(所定耐久試験後、気泡、浮き、剥がれ等が無く埋められた状態が維持された段差の高さ(μm))/(粘着剤層の厚み)}×100
なお、段差追従率の試験方法は、後述する試験例に示す通りである。
【0106】
硬化後粘着剤層11’の段差追従率が上記の範囲にあることにより、当該硬化後粘着剤層11’は、耐久試験を経ても表示体構成部材(第1の表示体構成部材21)の段差に良好に追従し、段差近傍で気泡、浮き、剥がれ等が発生することが抑制され、それによって光の反射損失が生じることが抑制される。
【0107】
表示体2としては、例えば、液晶(LCD)ディスプレイ、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)ディスプレイ、電子ペーパー等が挙げられ、タッチパネルであってもよい。また、表示体2としては、それらの一部を構成する部材であってもよい。
【0108】
第1の表示体構成部材21は、ガラス板、プラスチック板等の他、それらを含む積層体などからなる保護パネルであることが好ましい。この場合、印刷層3は、第1の表示体構成部材21における硬化後粘着剤層11’側に、額縁状に形成されることが一般的である。
【0109】
第1の表示体構成部材21、特に保護パネルとしての第1の表示体構成部材21は、紫外線吸収剤を含有していることが好ましい。この場合、表示体2は耐光性に優れたものとなり、製造後の表示体2に対して第1の表示体構成部材21側から紫外線が浴びせられたとしても、硬化後粘着剤層11’およびその下層の第2の表示体構成部材22の劣化が抑制される。特に硬化後粘着剤層11’においては、優れた段差追従性および耐ブリスター性が良好に維持されることとなる。
【0110】
上記ガラス板としては、特に限定されることなく、例えば、化学強化ガラス、無アルカリガラス、石英ガラス、ソーダライムガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、アルミノケイ酸ガラス、鉛ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス等が挙げられる。ガラス板の厚さは、特に限定されないが、通常は0.1〜5mmであり、好ましくは0.2〜2mmである。
【0111】
上記プラスチック板としては、特に限定されることなく、例えば、アクリル板、ポリカーボネート板等が挙げられる。プラスチック板の厚さは、特に限定されないが、通常は0.2〜5mmであり、好ましくは0.4〜3mmである。
【0112】
なお、上記ガラス板やプラスチック板の片面または両面には、各種の機能層(透明導電膜、金属層、シリカ層、ハードコート層、防眩層等)が設けられていてもよいし、光学部材が積層されていてもよい。また、透明導電膜および金属層がパターニングされていてもよい。
【0113】
第2の表示体構成部材22は、第1の表示体構成部材21に貼付されるべき光学部材、表示体モジュール(例えば、液晶(LCD)モジュール、発光ダイオード(LED)モジュール、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)モジュール等)、表示体モジュールの一部としての光学部材、または表示体モジュールを含む積層体であることが好ましい。なお、表示体モジュールは、通常、紫外線を透過しない。
【0114】
上記光学部材としては、例えば、飛散防止フィルム、偏光板(偏光フィルム)、偏光子、位相差板(位相差フィルム)、視野角補償フィルム、輝度向上フィルム、コントラスト向上フィルム、液晶ポリマーフィルム、拡散フィルム、半透過反射フィルム、透明導電性フィルム等が挙げられる。飛散防止フィルムとしては、基材フィルムの片面にハードコート層が形成されてなるハードコートフィルム等が例示される。上記光学部材は、紫外線吸収剤を含有していてもよい。
【0115】
印刷層3を構成する材料は特に限定されることなく、印刷用の公知の材料が使用される。印刷層3の厚さ、すなわち段差の高さの下限値は、3μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましく、7μm以上であることが特に好ましく、10μm以上であることが最も好ましい。下限値が上記以上であることにより、電気配線を視認者側から見えなくする等の隠蔽性を十分に確保することができる。また、上限値は、50μm以下であることが好ましく、35μm以下であることがより好ましく、25μm以下であることが特に好ましく、20μm以下であることがさらに好ましい。上限値が上記以下であることにより、当該印刷層3に対する硬化後粘着剤層11’の段差追従性の悪化を防止することができる。
【0116】
表示体2の最も好ましい態様は、第1の表示体構成部材21が紫外線吸収剤を含有するプラスチック板を含む保護パネルであり、第2の表示体構成部材22が紫外線を透過しない表示体モジュールであるタッチパネルである。なお、パターニングされた透明導電膜や金属層は、いずれの部位に存在していてもよい。かかる表示体2は、耐光性、段差追従性および耐ブリスター性の全てに優れるものである。
【0117】
上記表示体2を製造するには、一例として、粘着シート1の一方の剥離シート12aを剥離して、粘着シート1の露出した粘着剤層11を、第1の表示体構成部材21の印刷層3が存在する側の面に貼合する。このとき、粘着剤層11は、初期の段差追従性に優れるため、印刷層3による段差近傍に隙間や浮きが生じることが抑制される。
【0118】
次いで、粘着シート1の粘着剤層11から他方の剥離シート12bを剥離して、粘着シート1の露出した粘着剤層11と第2の表示体構成部材22とを貼合して積層体を得る。また、他の例として、第1の表示体構成部材21および第2の表示体構成部材22の貼合順序を入れ替えてもよい。
【0119】
その後、上記積層体中の粘着剤層11に対して紫外線を照射する。これにより、粘着剤層11中の紫外線硬化性成分(C)が重合し、粘着剤層11が硬化して硬化後粘着剤層11’となる。粘着剤層11に対する紫外線の照射は、通常、第1の表示体構成部材21または第2の表示体構成部材22のいずれか一方越しに行い、好ましくは、保護パネルとしての第1の表示体構成部材21越しに行う。ここで、紫外線照射側の表示体構成部材(好ましくは、保護パネルとしての第1の表示体構成部材21)が紫外線吸収剤を含有する場合であっても、粘着剤層11を構成する粘着剤が含有する光重合開始剤(D)は、波長380nmの吸光度が0.3以上であるものであることから、光重合開始剤(D)を開裂させるための波長の紫外線が表示体構成部材中の紫外線吸収剤に吸収されず、光重合開始剤(D)が問題なく開裂する。その結果、紫外線硬化性成分(C)の硬化反応が良好に進行し、粘着剤層11が十分に硬化する。これにより、得られる表示体2は、高温高湿条件下での段差追従性および耐ブリスター性に優れたものとなる。
【0120】
紫外線の照射は、高圧水銀ランプ、フュージョンHランプ、キセノンランプ等によって行うことができ、紫外線の照射量は、照度が50〜1000mW/cm
2程度であることが好ましい。また、光量は、50〜10000mJ/cm
2であることが好ましく、80〜5000mJ/cm
2であることがより好ましく、200〜2000mJ/cm
2であることが特に好ましい。
【0121】
以上の表示体2においては、硬化後粘着剤層11’が高温高湿条件下でも段差追従性に優れるため、表示体2が高温高湿条件下(例えば、85℃、85%RH、72時間)に置かれた場合でも、段差近傍に気泡、浮き、剥がれ等が発生することが抑制される。
【0122】
また、上記表示体2においては、硬化後粘着剤層11’が耐ブリスター性に優れるため、表示体2が高温高湿条件下(例えば、85℃、85%RH、72時間)に置かれ、プラスチック板等からなる表示体構成部材からアウトガスが発生した場合でも、硬化後粘着剤層11’と表示体構成部材21,22との界面において気泡、浮き、剥がれ等のブリスターが発生することが抑制される。
【0123】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0124】
例えば、粘着シート1における剥離シート12a,12bのいずれか一方は省略されてもよい。また、第1の表示体構成部材21は、印刷層3以外の段差を有するものであってもよいし、段差を有していなくてもよい。さらには、第1の表示体構成部材21のみならず、第2の表示体構成部材22も硬化後粘着剤層11’側に段差を有するものであってもよい。
【実施例】
【0125】
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
【0126】
〔実施例1〕
1.(メタ)アクリル酸エステル共重合体の調製
アクリル酸2−エチルヘキシル60質量部、アクリル酸イソボルニル10質量部、N−アクリロイルモルホリン10質量部、およびアクリル酸2−ヒドロキシエチル20質量部を共重合させて、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)を調製した。この(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)の分子量を後述する方法で測定したところ、重量平均分子量(Mw)50万であった。
【0127】
2.粘着性組成物の調製
上記工程1で得られた(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)100質量部(固形分換算値;以下同じ)と、熱架橋剤(B)としてのトリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート0.2質量部と、紫外線硬化性成分(C)としてのε−カプロラクトン変性トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート5.0質量部と、光重合開始剤(D)としての2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド0.5質量部と、シランカップリング剤(E)としての3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製,製品名「KBM−403」)0.3質量部とを混合し、十分に撹拌して、メチルエチルケトンで希釈することにより、固形分濃度50質量%の粘着性組成物の塗布溶液を得た。
【0128】
3.粘着シートの製造
得られた粘着性組成物の塗布溶液を、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面をシリコーン系剥離剤で剥離処理した重剥離型剥離シート(リンテック社製,製品名「SP−PET752150」)の剥離処理面に、ナイフコーターで塗布した。そして、塗布層に対し、90℃で1分間加熱処理して塗布層を形成した。
【0129】
次いで、上記で得られた重剥離型剥離シート上の塗布層と、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面をシリコーン系剥離剤で剥離処理した軽剥離型剥離シート(リンテック社製,製品名「SP−PET382120」)とを、当該軽剥離型剥離シートの剥離処理面が塗布層に接触するように貼合し、23℃、50%RHの条件下で7日間養生することにより、厚さ50μmの粘着剤層を有する粘着シート、すなわち、重剥離型剥離シート/粘着剤層(厚さ:50μm)/軽剥離型剥離シートの構成からなる粘着シートを作製した。なお、粘着剤層の厚さは、JIS K7130に準拠し、定圧厚さ測定器(テクロック社製,製品名「PG−02」)を使用して測定した値である。
【0130】
ここで、(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)を100質量部(固形分換算値)とした場合の粘着性組成物の各配合(固形分換算値)を表1に示す。なお、表1に記載の略号等の詳細は以下の通りである。
[(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)]
2EHA:アクリル酸2−エチルヘキシル
IBXA:アクリル酸イソボルニル
ACMO:N−アクリロイルモルホリン
HEA:アクリル酸2−ヒドロキシエチル
BA:アクリル酸n−ブチル
AA:アクリル酸
[熱架橋剤(B)]
TDI系:トリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート
エポキシ系:1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン
[光重合開始剤(D)]
D1:2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド
D2:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド
D3:2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンとを1:1の質量比で混合したもの
D4:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
【0131】
〔実施例2〜5,比較例1〜2〕
(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)を構成する各モノマーの種類および割合、熱架橋剤(B)の種類および配合量、紫外線硬化性成分(C)の配合量、ならびに光重合開始剤(D)の種類および配合量を表1に示すように変更する以外、実施例1と同様にして粘着シートを製造した。
【0132】
ここで、前述した重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件で測定(GPC測定)した標準ポリスチレン換算の重量平均分子量である。
<測定条件>
・GPC測定装置:東ソー社製,HLC−8020
・GPCカラム(以下の順に通過):東ソー社製
TSK guard column HXL−H
TSK gel GMHXL(×2)
TSK gel G2000HXL
・測定溶媒:テトラヒドロフラン
・測定温度:40℃
【0133】
〔試験例1〕(吸光度の測定)
実施例および比較例で使用した光重合開始剤の濃度0.1質量%のアセトニトリル溶液を調製し、その溶液における波長200〜500nmの範囲の吸光度を、(島津製作所社製,製品名「UV−3600」)を使用して測定した。その結果に基づき、波長380nmの吸光度、および波長200〜500nmの吸光度における吸収極大波長(nm)を導出した。結果を表1に示す。
【0134】
〔試験例2〕(ゲル分率の測定)
実施例および比較例で得られた粘着シートを80mm×80mmのサイズに裁断して、その粘着剤層をポリエステル製メッシュ(メッシュサイズ200)に包み、その質量を精密天秤にて秤量し、上記メッシュ単独の質量を差し引くことにより、粘着剤のみの質量を算出した。このときの質量をM1とする。
【0135】
次に、上記ポリエステル製メッシュに包まれた粘着剤を、室温下(23℃)で酢酸エチルに72時間浸漬させた。その後粘着剤を取り出し、温度23℃、相対湿度50%の環境下で、24時間風乾させ、さらに80℃のオーブン中にて12時間乾燥させた。乾燥後、その質量を精密天秤にて秤量し、上記メッシュ単独の質量を差し引くことにより、粘着剤のみの質量を算出した。このときの質量をM2とする。ゲル分率(%)は、(M2/M1)×100で表される。これにより、粘着剤のゲル分率(紫外線照射前)を導出した。結果を表2に示す。
【0136】
一方、実施例および比較例で得られた粘着シートから軽剥離型剥離シートを剥離し、露出した粘着剤層に対して、下記の条件で紫外線を直接照射し、粘着剤層を硬化させて硬化後粘着剤層とした。この硬化後粘着剤層の粘着剤について、上記と同様にしてゲル分率(紫外線照射後;直接照射)を導出した。結果を表2に示す。
【0137】
また、実施例および比較例で得られた粘着シートから軽剥離型剥離シートを剥離し、露出した粘着剤層を、ポリメタクリル酸メチル層およびポリカーボネート層を有する樹脂板(三菱ガス化学社製,製品名「ユーピロン・シート MR−58U」,厚さ:0.8mm,紫外線吸収剤含有)のポリカーボネート層側の面に貼合した。次いで、上記粘着剤層に対して上記樹脂板越しに、下記の条件で紫外線を照射し、粘着剤層を硬化させて硬化後粘着剤層とした。この硬化後粘着剤層の粘着剤について、上記と同様にしてゲル分率(紫外線照射後;樹脂板越し照射)を導出した。また、直接照射に係る紫外線照射後のゲル分率から樹脂板越し照射に係る紫外線照射後のゲル分率を差し引いた値を算出した。結果を表2に示す。
【0138】
<紫外線照射条件>
・高圧水銀ランプ使用
・照度200mW/cm
2,光量2000mJ/cm
2
・UV照度・光量計はアイグラフィックス社製「UVPF−A1」を使用
【0139】
〔試験例3〕(耐ブリスター性の評価)
実施例および比較例で得られた粘着シートの粘着剤層を、片面にスズドープ酸化インジウム(ITO)からなる透明導電膜が設けられたポリエチレンテレフタレートフィルム(尾池工業社製,ITOフィルム,厚さ:125μm)の透明導電膜と、ポリメタクリル酸メチル層およびポリカーボネート層を有する樹脂板(三菱ガス化学社製,製品名「ユーピロン・シート MR−58U」,厚さ:0.8mm,紫外線吸収剤含有)のポリカーボネート層側の面とで挟んだ。その後、50℃、0.5MPaの条件下で30分間オートクレーブ処理し、常圧、23℃、50%RHにて24時間放置した。
【0140】
得られた積層体の粘着剤層に対して、上記樹脂板越しに試験例2と同様の条件で紫外線を照射し、粘着剤層を硬化させて硬化後粘着剤層とした。次いで、85℃、85%RHの高温高湿条件下にて72時間保管した。その後、硬化後粘着剤層と被着体との界面における状態を目視により確認し、以下の基準により耐ブリスター性を評価した。結果を表2に示す。
○…気泡および浮き・剥がれの発生なし
×…気泡、気泡跡または浮き・剥がれが発生
【0141】
〔試験例4〕(段差追従率の測定1)
ガラス板(NSGプレシジョン社製,製品名「コーニングガラス イーグルXG」,縦90mm×横50mm×厚み0.5mm)の表面に、紫外線硬化型インク(帝国インキ社製,製品名「POS−911墨」)を塗布厚が25μm、30μm及び40μmのいずれか1つとなるように額縁状(外形:縦90mm×横50mm,幅5mm)にスクリーン印刷した。次いで、紫外線を照射(80W/cm
2,メタルハライドランプ2灯,ランプ高さ15cm,ベルトスピード10〜15m/分)して、印刷した上記紫外線硬化型インクを硬化させ、印刷による段差(段差の高さ:25μm、30μm及び40μmのいずれか1つ)を有する段差付ガラス板を作製した。
【0142】
実施例および比較例で得られた粘着シートから軽剥離型剥離シートを剥がし、露出した粘着剤層を、易接着層を有するポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製,製品名「PET A4300」,厚さ:100μm)の易接着層に貼合した。次いで、重剥離型剥離シートを剥がして粘着剤層を表出させ、ラミネーター(フジプラ社製,製品名「LPD3214」)を用いて、粘着剤層が額縁状の印刷全面を覆うように各段差付ガラス板にラミネートした。その後、50℃、0.5MPaの条件下で30分間オートクレーブ処理し、常圧、23℃、50%RHにて24時間放置した。
【0143】
得られた積層体の粘着剤層に対して、上記ポリエチレンテレフタレートフィルム越しに試験例2と同様の条件で紫外線を照射し、粘着剤層を硬化させて硬化後粘着剤層とした。次いで、85℃、85%RHの高温高湿条件下にて72時間保管し(耐久試験)、その後、段差追従性を評価した。段差追従性は、硬化後粘着剤層により印刷段差が完全に埋められているか否かで判断し、印刷段差と硬化後粘着剤層との界面で気泡、浮き、剥がれなどが観察された場合は、印刷段差に追従できなかったと判断される。ここでは、段差追従性は、下記の式で示される段差追従率(%)として評価した。結果を表2に示す。なお、段差追従率50%を満たせなかった場合は×と表記する。
段差追従率(%)={(耐久試験後、気泡、浮き、剥がれ等が無く埋められた状態が維持された段差の高さ(μm))/(粘着剤層の厚み:50μm)}×100
【0144】
〔試験例5〕(段差追従率の測定2)
試験例4と同様に、実施例および比較例で得られた粘着シートの粘着剤層を上記段差付ガラス板と上記ポリエチレンテレフタレートフィルムとで挟持してなる積層体を得た。得られた積層体(上記オートクレーブ処理後、常圧、23℃、50%RHにて24時間放置済みのもの)のポリエチレンテレフタレートフィルム上に、ポリメタクリル酸メチル層およびポリカーボネート層を有する樹脂板(三菱ガス化学社製,製品名「ユーピロン・シート MR−58U」,厚さ:0.8mm,紫外線吸収剤含有)を、そのポリカーボネート層側の面が上記ポリエチレンテレフタレートフィルム面と接するように設置した。そして、上記粘着剤層に対して、上記樹脂板およびポリエチレンテレフタレートフィルム越しに試験例2と同様の条件で紫外線を照射し、粘着剤層を硬化させて硬化後粘着剤層とした。その後、上記樹脂板を除去し、試験例4と同様の耐久試験および評価を行った。結果を表2に示す。
【0145】
〔試験例6〕(耐光性の評価)
実施例で得られた粘着シートを使用して、試験例3と同様にして積層体を作製した。得られた積層体の粘着剤層に対して、上記樹脂板越しに試験例2と同様の条件で紫外線を照射し、粘着剤層を硬化させて硬化後粘着剤層とした。その後、耐光性試験機(スガ試験機社製,製品名「紫外線フェードメーターU48」,光源:カーボンアークランプ)に投入し、樹脂板側から紫外線(照度:50mW/cm
2)を100時間照射した。その後、積層体における透明導電膜の状態を目視で確認したところ、透明導電膜には何ら変化は見られなかった。
【0146】
一方、比較例2の粘着シートを使用し、かつ、樹脂板を、紫外線吸収剤を含有しないポリカーボネート樹脂板(三菱ガス化学社製,製品名「HMRS51T」)に変更する以外、試験例3と同様にして積層体を作製した。得られた積層体の粘着剤層に対して、上記樹脂板越しに試験例2と同様の条件で紫外線を照射し、粘着剤層を硬化させて硬化後粘着剤層とした。その後、耐光性試験機(スガ試験機社製,製品名「紫外線フェードメーターU48」,光源:カーボンアークランプ)に投入し、樹脂板側から紫外線(照度:50mW/cm
2)を100時間照射した。その後、積層体における透明導電膜の状態を目視で確認したところ、透明導電膜には退色が見られた。
【0147】
【表1】
【0148】
【表2】
【0149】
表2から分かるように、実施例で得られた粘着剤層は、紫外線吸収剤を含有する樹脂板越しに紫外線照射した場合でも、硬化後粘着剤層として高温高湿条件下での段差追従性および耐ブリスター性の両方に優れていた。