特許第6676724号(P6676724)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6676724基板上にエッチング耐性ポリマー層又はS含有パッシベーション層を堆積させる方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6676724
(24)【登録日】2020年3月16日
(45)【発行日】2020年4月8日
(54)【発明の名称】基板上にエッチング耐性ポリマー層又はS含有パッシベーション層を堆積させる方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20200330BHJP
【FI】
   H01L21/302 105A
【請求項の数】15
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2018-197415(P2018-197415)
(22)【出願日】2018年10月19日
(62)【分割の表示】特願2016-540923(P2016-540923)の分割
【原出願日】2014年9月9日
(65)【公開番号】特開2019-33277(P2019-33277A)
(43)【公開日】2019年2月28日
【審査請求日】2018年10月19日
(31)【優先権主張番号】61/875,321
(32)【優先日】2013年9月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード−ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】ラーフル グプタ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンカテシュワラ アール パレム
(72)【発明者】
【氏名】ヴィジャイ スルラ
(72)【発明者】
【氏名】カーティス アンダーソン
(72)【発明者】
【氏名】ネイサン スタフォード
【審査官】 佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−013351(JP,A)
【文献】 特表2002−500444(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/116964(WO,A1)
【文献】 特開2013−070098(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第101185157(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上にエッチング耐性ポリマー層を堆積させる方法であって、
前記基板を含む反応チャンバ内に、
(CAS 1717−50−6)、FCSH(CAS 1493−15−8)、FC−CF−SH(CAS 1540−78−9)、FC−CH−SH(CAS 1544−53−2)、CHF−CF−SH(CAS 812−10−2)、CF−CF−CH−SH(CAS 677−57−6)、FC−CH(SH)−CF(CAS 1540−06−3)、c(−S−CF−CF−CHF−CF−)(CAS 1035804−79−5)、c(−S−CF−CHF−CHF−CF−)(CAS 30835−84−8)、c(−S−CF−CF−CF−CF−CF−)(CAS 24345−52−6)、c(−S−CFH−CF−CF−CFH−)(2R,5R)(CAS 1507363−75−8)、c(−S−CFH−CF−CF−CFH−)(2R,5S)(CAS 1507363−76−9)、及びc(−S−CFH−CF−CF−CH−)(CAS 1507363−77−0)からなる群から選択される式を有する化合物の蒸気を導入することと、
前記化合物をプラズマによって活性化して、前記基板上にエッチング耐性ポリマー層を形成することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記化合物がC(CAS 1717−50−6)である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記化合物が、FCSH(CAS 1493−15−8)、FC−CF−SH(CAS 1540−78−9)、FC−CH−SH(CAS 1544−53−2)、CHF−CF−SH(CAS 812−10−2)、CF−CF−CH−SH(CAS 677−57−6)、及びFC−CH(SH)−CF(CAS 1540−06−3)からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記化合物が、c(−S−CF−CF−CHF−CF−)(CAS 1035804−79−5)、c(−S−CF−CHF−CHF−CF−)(CAS 30835−84−8)、c(−S−CF−CF−CF−CF−CF−)(CAS 24345−52−6)、c(−S−CFH−CF−CF−CFH−)(2R,5R)(CAS 1507363−75−8)、c(−S−CFH−CF−CF−CFH−)(2R,5S)(CAS 1507363−76−9)、及びc(−S−CFH−CF−CF−CH−)(CAS 1507363−77−0)からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記エッチング耐性ポリマー層が、パターンエッチング構造の側壁上にS含有ポリマーパッシベーション層を形成する、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記パターンエッチング構造が、10:1〜100:1のアスペクト比を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記パターンエッチング構造が、60:1〜100:1のアスペクト比を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記パターンエッチング構造が、40nm〜50nmの範囲をとる直径を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記S含有ポリマーパッシベーション層が、イオン及びラジカルが前記側壁をエッチングするのを防止する、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記エッチング耐性ポリマー層が、湾曲のない直線上の垂直プロファイルを有するパターンエッチング構造をもたらす、請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記反応チャンバ内に不活性ガスを導入することを更に含む、請求項1ないし請求項10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記不活性ガスが、He、Ar、Xe、Kr、Ne、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
基板上にS含有ポリマーパッシベーション層を堆積させる方法であって、
前記基板を含む反応チャンバ内に、
(CAS 1717−50−6)、FCSH(CAS 1493−15−8)、FC−CF−SH(CAS 1540−78−9)、FC−CH−SH(CAS 1544−53−2)、CHF−CF−SH(CAS 812−10−2)、CF−CF−CH−SH(CAS 677−57−6)、FC−CH(SH)−CF(CAS 1540−06−3)、c(−S−CF−CF−CHF−CF−)(CAS 1035804−79−5)、c(−S−CF−CHF−CHF−CF−)(CAS 30835−84−8)、c(−S−CF−CF−CF−CF−CF−)(CAS 24345−52−6)、c(−S−CFH−CF−CF−CFH−)(2R,5R)(CAS 1507363−75−8)、c(−S−CFH−CF−CF−CFH−)(2R,5S)(CAS 1507363−76−9)、及びc(−S−CFH−CF−CF−CH−)(CAS 1507363−77−0)からなる群から選択される式を有する化合物の蒸気を導入することと、
プラズマを活性化することによって前記化合物のフラグメントを生じさせ、前記基板上に前記S含有ポリマーパッシベーション層を形成することと、
を含む、方法。
【請求項14】
前記反応チャンバ内に不活性ガスを導入することを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記不活性ガスが、He、Ar、Xe、Kr、Ne、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2013年9月9日付けで出願された米国仮出願第61/875,321号(あらゆる目的においてその内容全体を引用することにより本明細書の一部をなす)の利益を主張するものである。
【0002】
基板上のSi含有層においてチャンネルホール、ゲートトレンチ、ステアケースコンタクト(staircase contacts)、コンデンサホール(capacitor holes)、コンタクトホール等をプラズマエッチングする硫黄含有化合物、及び、該硫黄含有化合物を使用するプラズマエッチング方法を開示する。
【背景技術】
【0003】
DRAM及び2D NAND等の、半導体産業におけるメモリ用途では、プラズマエッチングによってSiO層又はSiN層等のケイ素含有層が半導体基板から除去される。3D NAND(特許文献1)等の新規なメモリ用途では、複数のSiO/SiN又はSiO/ポリSi層のスタックのエッチングが重要である。好ましくは、エッチャント(etchant:エッチング液)が、マスクとエッチングされる層との間で高い選択性を有する。さらに、エッチャントによって好ましくは、垂直プロファイルが湾曲(bowing:ボーイング)することなく直線となるように構造がエッチングされる。3D NANDスタックは、他のケイ素含有層を含む場合がある。
【0004】
従来、プラズマエッチングは、ガス源(水素含有ガス、酸素含有ガス又はフッ素含有ガス等)から活性種を発生させるプラズマ源を用いて行われる。その後、活性種をSi含有層と反応させると、揮発性種が形成される。リアクタ内を低圧にすることによって揮発性種を除去し、この低圧を真空ポンプによって維持する。マスク材料が活性種によってエッチングされないことが好ましい。マスク材料は、フォトレジスト、アモルファスカーボン(a−C)、ポリシリコン(ポリSi)、金属、又はエッチングしない他のハードマスクのうちの1つを含むものであってもよい。
【0005】
従来のエッチングガス(etch gases)としては、cC(オクタフルオロシクロブタン)、C(ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエン)、CF、CH、CHF及び/又はCHFが挙げられる。これらのエッチングガスはまた、エッチング中にポリマーを形成することができる。ポリマーは、パターンエッチング構造の側壁上で保護層すなわちパッシベーション層として作用する。このポリマーパッシベーション層によって、非垂直構造、湾曲及び寸法変化を引き起こすおそれのある、イオン及びラジカルによる側壁のエッチングが妨げられる。C:F比が増大するにつれて(すなわち、C>C>CF)、選択性及びポリマー堆積速度が増大することが当該技術分野において知られている。例えば、Hung他に対する特許文献2を参照されたい。
【0006】
従来のエッチング化学物質は、少なくとも、プラズマエッチングプロセス中における側壁上への不十分なポリマー堆積に起因して、新たな用途に必要な(20:1より大きい)高アスペクト比をもたらし得ない。加えて、側壁上のCポリマーは、エッチングを起こしやすい。結果として、エッチングされたパターンは垂直とすることができず、構造は湾曲、寸法変化及び/又はパターン崩壊を示すおそれがある。
【0007】
湾曲は、マスク層の側壁のエッチングに起因する可能性があり、このマスク層は多くの
場合アモルファスカーボン材料である。アモルファスカーボン材料は、マスクの開口を広げて弓状の又は角のある/曲がったエッチング構造をもたらす、プラズマ中の酸素ラジカルによってエッチングされることがある。
【0008】
COS(硫化カルボニル)及びSO(二酸化硫黄)のような硫黄ガスは、これまで、パターンエッチングプロセスにおいてアモルファスカーボン層をエッチングするのに、酸素プラズマと併せて使用されている。硫黄は、アモルファスカーボン上にパッシベーション層をもたらし、酸素ラジカルからの表面の保護を助けるため、弓状構造の防止を助けることができる。例えば、Kim他(非特許文献1)が、Oと5%COSとのガス混合物中でエッチングされた50nmのアモルファスカーボンホールが、より異方性のエッチングプロファイルをもたらし、COSを用いずにエッチングしたものと比べてトップ/ボトム開口比を約37%改善させたことを開示している。
【0009】
Rusu他(特許文献3)は、フッ素成分、O及び硫黄成分ガスを含むエッチャントガスを用いて誘電体層をエッチングする方法を記載している。硫黄成分ガスは好ましくはHS、COS又はCSである。
【0010】
Yanagida(特許文献4)は、フルオロカーボン側鎖をそれぞれ有するメルカプタン、チオエーテル及び二硫化物から選択される1つの化合物を、エッチングガスの主成分として使用する、ドライエッチング方法を開示している。Cを使用してSiO層間絶縁膜をエッチングする例を提示している。
【0011】
Behr他に対する特許文献5は、クリーニングガス又はエッチングガスへの、CFSF等の過フルオロ化合物の添加を開示している。
【0012】
Samsung Electronics Co. Ltd.に対する特許文献6は、CS、CS及びC等の硫黄含有フルオロカーボンガスを用いた酸化物膜のドライエッチングを開示している。
【0013】
チオカルボニル基(>C=S)とフッ素原子とを含有する分子も、種々のエッチングプロセスについて提案されている。例えば、Sony Corp.に対する特許文献7、特許文献8及び特許文献9を参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許出願公開第2011/0180941号明細書
【特許文献2】米国特許第6387287号明細書
【特許文献3】米国特許第7645707号明細書
【特許文献4】米国特許第5376234号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2003/0019841号明細書
【特許文献6】韓国特許出願第10−2001/010568号公報
【特許文献7】特開平06−151384号公報
【特許文献8】特開平06−258815号公報
【特許文献9】特開平07−211694号公報
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】J. Vac. Sci. Technol. A 31 (2), Mar/Apr 2013
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
プラズマの利用における使用のための新たなエッチングガス組成物に対する必要性が依然として存在している。
【課題を解決するための手段】
【0017】
表記法及び学術用語
下記明細書及び特許請求の範囲全体を通じていくつかの略語、記号及び用語を使用する。
【0018】
本明細書中で使用する場合、不定冠詞(indefinite article “a” or “an”)は1つ又は複数を意味する。
【0019】
本明細書中で使用する場合、「およそ」又は「約」という用語は、指定値の±10%を意味する。
【0020】
本明細書中で使用する場合、「独立して」という用語は、R基を説明する文脈で使用される場合、対象のR基が、同じ又は異なる下付き文字又は上付き文字を有する他のR基と無関係に選択されるだけでなく、その同じR基の任意の更なる化学種とも無関係に選択されることを示すことを理解されたい。例えば、式MR(NR(4−x)中、xは2又は3であるが、2つ又は3つのR基は、互いに、又はR若しくはRと、同一であってもよいが必ずしもそうでなくてもよい。さらに、特に指定のない限り、異なる式に使用される場合、R基の値は互いに無関係であることを理解されたい。
【0021】
本明細書中で使用する場合、「アルキル基」という用語は、専ら炭素原子及び水素原子を含有する飽和官能基を指し、「フルオロアルキル基」という用語は、専ら炭素及びフッ素、並びに任意に水素を含有する飽和官能基を指すものである(すなわち、フルオロアルキル基は部分的に又は完全にフッ素化されていてもよい)。さらに、「アルキル基」及び「フルオロアルキル基」という用語は、直鎖状、分枝状又は環状の基を指すものである。直鎖状アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられるが、これらに限定されない。直鎖状フルオロアルキル基の例としては、CF−、CFH−、−CF−CF又は−CFH−CFが挙げられる。分枝状アルキル基の例としては、t−ブチルが挙げられるが、これに限定されない。環状アルキル基の例としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられるが、これらに限定されない。環状の基及び化合物は式前の「c」及び環の反対端の「−」により指定される(すなわち、c(−CH−CH−CH−)はシクロプロピル基となり、c(−CH−CH−CH−)はシクロプロパンとなる)。
【0022】
本明細書中で使用する場合、「エッチング」(“etch” or “etc hing”)という用語は、イオン衝撃によって化学反応を垂直方向に促進させることで、マスクされたフィーチャ(features)の縁に沿って基板に対して直角に垂直側壁を形成する、プラズマエッチングプロセス(すなわち、乾式エッチングプロセス)を指す(Manos and Flamm, Plasma Etching An Introduction, Academic Press, Inc. 1989 pp.12-13)。エッチングプロセスは、基板に、ビア、トレンチ、チャンネルホール、ゲートトレンチ、ステアケースコンタクト、コンデンサホール、コンタクトホール等の開口部を作製する。
【0023】
「パターンエッチング」又は「パターン化されたエッチング」という用語は、ケイ素含有層のスタック上のパターン化されたマスク層等の非平面構造をエッチングすることを指す。
【0024】
「選択性」という用語は、或る材料のエッチング速度と、別の材料のエッチング速度との比率を意味する。「選択性エッチング」又は「選択的にエッチングする」という用語は
、別の材料よりも或る材料を一層エッチングすること、すなわち言い換えると、2つの材料間に1:1よりも大きいか又は小さいエッチング選択性を有することを意味する。
【0025】
本明細書中で使用する場合、「NAND」という略語は、「ANDの逆(Negated AND)」又は「ANDの否定(Not AND)」ゲートを指し、「2D」という略語は平面基板上の2次元ゲート構造を指し、「3D」という略語は、ゲート構造が垂直方向にスタックされている3次元ゲート構造又は垂直ゲート構造を指し、「DRAM」という略語はダイナミックランダムアクセスメモリを指す。
【0026】
元素の周期表による元素の標準的な略語を本明細書中では使用している。元素が、これらの略語(例えば、Sは硫黄を指し、Siはケイ素を指し、Hは水素を指す等)によって表され得ることを理解されたい。
【0027】
Chemical Abstract Serviceによって指定される固有のCAS登録番号(すなわち、「CAS」)は、開示する分子の更なる同定を助けるために提示する。
【0028】
明細書及び特許請求の範囲全体を通じて、それらの適切な化学量論比を考慮することなく、SiN及びSiO等のSi含有薄膜が挙げられることに留意されたい。ケイ素含有層としては、結晶Si、ポリシリコン(ポリSi又は多結晶Si)、又はアモルファスシリコン等の純シリコン(Si)層;窒化ケイ素(Si)層;若しくは酸化ケイ素(Si)層;又はそれらの混合物を挙げることができ、式中、k、l、m及びnは包含的に1〜6の範囲をとる。好ましくは、窒化ケイ素がSi(式中、k及びlはそれぞれ0.5〜1.5の範囲をとる)である。より好ましくは、窒化ケイ素がSiである。好ましくは、酸化ケイ素がSi(式中、nは0.5〜1.5の範囲をとり、mは1.5〜3.5の範囲をとる)である。より好ましくは、酸化ケイ素がSiO又はSiOである。ケイ素含有層はまた、酸化ケイ素ベースの誘電体材料、例えば、Applied Materials, Inc.によるBlack Diamond II材料又はBlack Diamond III材料等の有機物ベース又は酸化ケイ素ベースのlow−k誘電体材料とすることができる。ケイ素含有層はまた、B、C、P、As及び/又はGe等のドーパントを含んでいてもよい。
【0029】
概要
基板上のケイ素含有層をプラズマエッチングする方法を開示する。基板上にケイ素含有層を有するチャンバ内に、化合物の蒸気を導入する。化合物は、
−SH
−S−R
(CAS 1717−50−6)
(式中、R、R及びRは互いに独立して、飽和C1〜C4アルキル又はフルオロアルキル基であり、R及びRは合わせて、S含有5又は6員環を形成することができる)からなる群から選択される式を有する。チャンバ内に不活性ガスを導入する。プラズマを発生させて、蒸気から、活性化した蒸気を生成する。活性化した蒸気はケイ素含有層と選択的に反応して、揮発性副産物を形成する。揮発性副産物をチャンバから除去する。本開示の方法は、以下の態様の1つ又は複数を含み得る。
化合物がC(CAS 1717−50−6)である、
化合物が式R−SHを有する、
化合物がFC−SH(CAS 1493−15−8)である、
化合物がFC−CF−SH(CAS 1540−78−9)である、
化合物がFC−CH−SH(CAS 1544−53−2)である、
化合物がCHF−CF−SH(CAS 812−10−2)である、
化合物がCF−CF−CH−SH(CAS 677−57−6)である、
化合物がFC−CH(SH)−CF(CAS 1540−06−3)である、
化合物が式R−S−Rを有する、
化合物がFC−S−CF(CAS 371−78−8)である、
化合物がFC−S−CHF(CAS 371−72−2)である、
化合物がFC−CF−S−CF−CF(CAS 155953−22−3)である、
化合物がFC−CF−CF−S−CF−CF−CF(CAS 356−63−8)である、
及びRを合わせて、S含有5〜6員環を形成する、
化合物がc(−S−CF−CF−CHF−CF−)(CAS 1035804−79−5)である、
化合物がc(−S−CF−CHF−CHF−CF−)(CAS 30835−84−8)である、
化合物がc(−S−CF−CF−CF−CF−CF−)(CAS 24345−52−6)である、
化合物がc(−S−CFH−CF−CF−CFH−)(2R,5R)(CAS 1507363−75−8)である、
化合物がc(−S−CFH−CF−CF−CFH−)(2R,5S)(CAS 1507363−76−9)である、
化合物がc(−S−CFH−CF−CF−CH−)(CAS 1507363−77−0)である、
不活性ガスがHe、Ar、Xe、Kr、Ne、及びそれらの組合せからなる群から選択される、
不活性ガスがArである、
チャンバに導入する前に蒸気と不活性ガスとを混合して、混合物を生成すること、
不活性ガスとは別にチャンバ内に蒸気を導入すること、
混合物が、およそ50%v/v〜およそ95%v/vの不活性ガスを含む、
チャンバに連続的に不活性ガスを導入すること、及びチャンバに断続的に(in pulses)蒸気を導入すること、
チャンバ内に酸化剤を導入すること、
チャンバ内に酸化剤を導入しないこと、
酸化剤がO、O、CO、CO、NO、NO、NO、及びそれらの組合せからなる群から選択される、
チャンバに導入する前に蒸気と酸化剤とを混合すること、
蒸気を酸化剤とは別にチャンバ内に導入すること、
チャンバに連続的に酸化剤を導入すること、及びチャンバに断続的に蒸気を導入すること、
チャンバ内におよそ5%v/v〜およそ100%v/vの酸化剤を導入すること、
ケイ素含有層が、酸化ケイ素、窒化ケイ素、ポリシリコン、又はそれらの組合せの層を含む、
ケイ素含有層が、酸素原子、窒素原子、炭素原子、又はそれらの組合せを更に含む、
ケイ素含有層が炭化ケイ素を含まない、
ケイ素含有層が酸化ケイ素層である、
アモルファスカーボン層から酸化ケイ素層を選択的にエッチングすること、
フォトレジスト層から酸化ケイ素層を選択的にエッチングすること、
ポリシリコン層から酸化ケイ素層を選択的にエッチングすること、
金属コンタクト層から酸化ケイ素層を選択的にエッチングすること、
SiN層から酸化ケイ素層を選択的にエッチングすること、
ケイ素含有薄膜が窒化ケイ素層である、
アモルファスカーボン層から窒化ケイ素層を選択的にエッチングすること、
パターン化されたフォトレジスト層から窒化ケイ素層を選択的にエッチングすること、
ポリシリコン層から窒化ケイ素層を選択的にエッチングすること、
金属コンタクト層から窒化ケイ素層を選択的にエッチングすること、
SiO層から窒化ケイ素層を選択的にエッチングすること、
ケイ素含有層に、およそ10:1〜およそ100:1のアスペクト比を有する開口部を作製すること、
ゲートトレンチを作製すること、
ステアケースコンタクトを作製すること、
チャンネルホールを作製すること、
およそ60:1〜およそ100:1のアスペクト比を有するチャンネルホールを作製すること、
およそ40nm〜およそ50nmの範囲をとる直径を有するチャンネルホールを作製すること、
チャンバ内にエッチングガスを導入すること、
エッチングガスがcC、cC、C、C、CF、CHF、CFH、CH、COS、CS;CFI;CI;CI;SO;trans−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン;cis−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン;ヘキサフルオロイソブテン;trans−1,1,2,2,3,4−ヘキサフルオロシクロブタン;1,1,2,2,3−ペンタフルオロシクロブタン;1,1,2,2−テトラフルオロシクロブタン;及びcis−1,1,2,2,3,4−ヘキサフルオロシクロブタンからなる群から選択される、
エッチングガスがcCである、
エッチングガスがcCである、
エッチングガスがCである、
チャンバへの導入前に、蒸気とエッチングガスとを混合すること、
エッチングガスとは別にチャンバ内に蒸気を導入すること、
チャンバ内に、およそ1%v/v〜およそ99.9%v/vのエッチングガスを導入すること、
およそ25W〜およそ10000Wの範囲をとるRF電力によってプラズマを活性化させること、
チャンバが、およそ1mTorr〜およそ10Torrの範囲をとる圧力を有する、
およそ0.1sccm〜およそ1slmの範囲をとる流量で、チャンバに蒸気を導入すること、
およそ−196℃〜およそ500℃の範囲をとる温度で基板を維持すること、
およそ−120℃〜およそ300℃の範囲をとる温度で基板を維持すること、
およそ−10℃〜およそ40℃の範囲をとる温度で基板を維持すること、
およそ−100℃〜およそ50℃の範囲をとる温度で基板を維持すること、
四重極型質量分析計、発光分光分析装置、FTIR、又は他のラジカル/イオン測定器によって活性化蒸気を測定すること、
RF電力を印加することによってプラズマを発生させること。
【0030】
本発明の性質及び課題の更なる理解のために、添付の図面と併せて以下の詳細な説明について参照されたい。ここで、同様の要素には同じ又は類似の参照番号が付されている。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】NANDスタックにおける例示的な層を示す図である。
図1a】NANDスタックにおけるエッチング中に、側壁上に堆積されるポリマーを示す図である。
図2】DRAMスタックにおける例示的な層を示す図である。
図3】エネルギー(eV単位)に対して、CSにより生成される化学種の画分の体積(Torr単位)をプロットする質量分析(MS)グラフである。
図4】エネルギー(eV単位)に対して、Cにより生成される化学種の画分の体積(Torr単位)をプロットするMSグラフである。
図5】エネルギー(eV単位)に対して、Cにより生成される化学種の画分の体積(Torr単位)をプロットする比較用MSグラフである。
図6】後続の実施例において使用されるエッチング装置の概略図である。
図7】CSから堆積されたポリマー中の原子のX線光電子分光(XPS)グラフである。
図8A】CSにより堆積されるポリマー膜の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
図8B】各層の境界を更に目立たせるために線を加えた、CSにより堆積されるポリマー膜の同じSEM写真である。
図9】Cからポリマーを堆積するように試みたSiクーポン(coupon)における原子のXPSグラフである。
図10】酸素流量に対してプロットされる、SiO、SiN、p−Si及びa−C上におけるCSのエッチング速度のグラフである。
図11】CF流量に対してプロットされる、SiO、SiN、p−Si及びa−C上におけるCSとCFとを組み合わせたエッチング速度のグラフである。
図12】酸素流量に対してプロットされる、SiO、SiN、p−Si及びa−C上におけるCのエッチング速度のグラフである。
図13】酸素流量に対してプロットされる、SiO、SiN、p−Si及びa−C上におけるcCのエッチング速度のグラフである。
図14】酸素流量に対してプロットされる、SiO、SiN、p−Si及びa−C上におけるCのエッチング速度のグラフである。
図15】CF流量に対してプロットされる、SiO、SiN、p−Si及びa−C上におけるcCとCFとを組み合わせたエッチング速度のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
ケイ素含有層に、チャンネルホール、ゲートトレンチ、ステアケースコンタクト、コンデンサホール、コンタクトホール等をプラズマエッチングする硫黄含有化合物を開示する。本開示のエッチング化合物は、高アスペクト比構造において、マスク層に対するより高い選択性を提供することができるとともに、プロファイルの歪みをもたらすことがない。
【0033】
プラズマエッチング化合物は、パターン高アスペクト比構造において、Si含有層とマスク材料との間の選択性の改良、チャンネル領域に対する損傷の軽減、及び湾曲の低減を提供することができる。プラズマエッチング化合物はまた、ポリSi、SiO及び/又はSiNの交互層を通じてエッチングして、垂直なエッチングプロファイルをもたらすことができる。
【0034】
本開示の硫黄含有化合物は、下記式:
−SH
−S−R
(CAS 1717−50−6)
(式中、R、R及びRは互いに独立して、飽和C1〜C4アルキル又はフルオロアルキル基であり、R及びRは合わせて、S含有5又は6員環を形成することができる)の1つを有する。
【0035】
一代替形態において、硫黄含有化合物はC(CAS 1717−50−6)である。この化合物は市販されている。本出願人等は、この化合物の環状構造が、Si含
有層を異方性エッチングするとともに、エッチングされる構造の側壁上にS含有ポリマーパッシベーション層を堆積させるのに好適なフラグメントをプラズマプロセス中に作製すると考えている(図1a参照)。
【0036】
別の代替形態では、上記化合物が式R−SH(式中、Rは飽和C1〜C4アルキル又はフルオロアルキル基である)を有する。これらの化合物は、市販されていているものであっても、又は室温のオートクレーブ内での過剰な硫化水素による対応する塩化スルフェニルの還元によって一段階法で合成されるものであってもよい(例えば、Bekker他、Phosphorus, Sulfur, and Silicon and the Related Elements (1996) 119, 161-68参照)。代替的に、R−S−Cl及びCl−P−O−CHは、PSCl、その後HOと2段階法で反応し得る(例えば、Haas and Kortmann, Zeitschrift fuer Anorganische
und Allgemeine Chemie, 501, 79-88, 1983参照)。
【0037】
本出願人等は、R−SHの末端SHが、プラズマ中で、より軽いS含有フラグメントをもたらすことで、S含有ポリマーにより、エッチングされる構造の側壁上にパッシベーション層をエッチングプロセス中により効果的に堆積することによって(図1a参照)、ハードマスクプロファイルの整合性が保たれるとともに、望ましいエッチングプロファイルがもたらされると考えている。また、S含有ポリマーパッシベーション層中におけるHの存在が、ポリマーを強固なものにし、Hをあまり含有しない層よりも、エッチング環境による損傷により耐性のあるものとすることができる。例示的な式R−SHを有する化合物としては、FCSH(CAS 1493−15−8)、FC−CF−SH(CAS 1540−78−9)、FC−CH−SH(CAS 1544−53−2)、CHF−CF−SH(CAS 812−10−2)、CF−CF−CH−SH(CAS 677−57−6)、及びFC−CH(SH)−CF(CAS 1540−06−3)が挙げられる。
【0038】
別の代替形態では、上記化合物が式R−S−R(式中、R及びRは互いに独立して、飽和C1〜C4アルキル又はフルオロアルキル基であり、R及びRは合わせて、S含有5又は6員環を形成することができる)を有する。本出願人等は、これらの分子中の+2の酸化状態にあるSによって、より高い酸化状態のSを有する化合物から作製されるよりも、側壁ポリマーパッシベーション層の形成に好適なフラグメントをより適切に作製する能力がもたらされると考えている。R−S−R分子中における1つの硫黄原子と2つ以上の炭素原子との組合せでも、エッチングプロセス中に側壁を損傷からより適切に保護することができる、炭素に富むS含有ポリマーパッシベーション層を作製することが可能である。
【0039】
例示的な式R−S−Rを有する直鎖状分子としては、FC−S−CF(CAS
371−78−8)、FC−S−CHF(CAS 371−72−2)、FC−CF−S−CF−CF(CAS 155953−22−3)、及びFC−CF−CF−S−CF−CF−CF(CAS 356−63−8)が挙げられる。これらの化合物は、市販されていているものであっても、又はHg(SCFをMeIと反応させることによって合成されるものであってもよい(例えば、Yu他、Inorganic Chemistry (1974), 13(2), 484-6参照)。代替的に、該化合物は、CFSOC(O)Meの光分解によって合成されるものであってもよい(同文献参照)。
【0040】
例示的な式R−S−Rを有する環状分子としては、c(−S−CF−CF−CHF−CF−)(CAS 1035804−79−5)、c(−S−CF−CHF−CHF−CF−)(CAS 30835−84−8)、c(−S−CF−CF−CF−CF−CF−)(CAS 24345−52−6)、c(−S−CFH−CF−CF−CFH−)(2R,5R)(CAS 1507363−75−8)、c(−
S−CFH−CF−CF−CFH−)(2R,5S)(CAS 1507363−76−9)、及びc(−S−CFH−CF−CF−CH−)(CAS 1507363−77−0)が挙げられる。これらの化合物は、類似のS含有不飽和環構造をカリウムテトラフルオロコバルテート(III)でフッ素化することによって合成されるものであってもよい(例えば、Coe, e-EROS Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis, No pp. given;2001参照)。代替的に、これらの化合物は、単位構造−(CFS(CFS−のコポリマーの真空熱分解によって合成されるものであってもよい。−(CFS(CFS−コポリマーは、FC:CFを、CSF又はテトラフルオロチイランと反応させることによって生成されるものであってもよい(例えば、James and Rowsell, Journal of the Chemical Society [Section] D: Chemical Communications (1969)(21), 1274-5参照)。
【0041】
本開示の硫黄含有プラズマエッチング化合物は、およそ99.9%v/v〜およそ100.0%v/vの純度、好ましくはおよそ99.99%v/v〜およそ100.00%v/vの純度、より好ましくはおよそ99.999%v/v〜およそ100.000%v/vの純度で提供される。本開示のエッチング化合物は、およそ0.0体積%〜およそ0.1体積%の微量のガス不純物と、該微量のガス不純物に含まれるおよそ0体積ppm〜およそ150体積ppmの窒素含有ガス及び酸素含有ガス、例えば、N及び/又はHO及び/又はHF及び/又はHS及び/又はCO及び/又はCO及び/又はSOとを含有する。好ましくは、プラズマエッチング化合物中の含水量は、およそ0重量ppm〜およそ20重量ppmである。精製物は、蒸留によって、及び/又は、気体若しくは液体を4A分子篩等の好適な吸着材に通すことによって生成することができる。
【0042】
一代替形態において、本開示のプラズマエッチング化合物は、およそ0%v/v〜およそ5%v/v、好ましくはおよそ0%v/v〜およそ1%v/v、より好ましくはおよそ0.0%v/v〜およそ0.1%v/v、更に好ましくはおよそ0.00%v/v〜およそ0.01%v/vのその異性体の任意のものを含有する。この代替形態は、より良好なプロセス反復性を提供することができる。この代替形態は、気体又は液体の蒸留によって生成することができる。代替的に、本開示のプラズマエッチング化合物は、特に、異性体混合物がプロセスパラメータの改良をもたらす場合、又は標的異性体の単離が困難か又は費用がかかりすぎる場合、その異性体の1つ又は複数をおよそ5%v/v〜およそ50%v/v含有するものであってもよい。例えば、異性体の混合物は、プラズマリアクタへの2つ以上のガスラインの必要性を軽減することができる。一例示的な混合物は、50%v/vのFC−CF−SH(CAS 1540−78−9)を50%v/vのFC−S−CHF(CAS 371−72−2)と、又は90%のc(−S−CFH−CF−CF−CFH−)(2R,5R)(CAS 1507363−75−8)を10%のc(−S−CFH−CF−CF−CFH−)(2R,5S)(CAS 1507363−76−9)と組み合わせることができる。
【0043】
本開示の化合物は、1つ又は複数のSi含有層に、チャンネルホール、ゲートトレンチ、ステアケースコンタクト、コンデンサホール、コンタクトホール等をプラズマエッチングするのに適しており、また、本開示の化合物が、高アスペクト比構造の良好なプロファイルに加えてマスク上での損傷をほとんど又は全く誘導しないことから、現在及び次世代のマスク材料に適合性がある。それらの特性を実現するために、本開示の化合物に含まれるS原子は、エッチング中にエッチング耐性ポリマー層を堆積させて、エッチングプロセス中に酸素ラジカル及びフッ素ラジカルの直接的な衝突の低減を助けることができる。本開示の化合物はまた、エッチング中にポリSiチャンネル構造に対する損傷を軽減させることができる(特許文献1を参照されたい)。S含有化合物は、リアクタ/チャンバ内への送達のために、適切に揮発性であるとともに、エッチングプロセス中に安定であることが好ましい。
【0044】
S含有化合物のいずれが、チャンバ材料と反応して、短期使用又は長期使用に伴ってその性能を低下させるかを判定するために、材料適合性試験が重要となる。チャンバ、バルブ等の部品に関わる重要な材料としては、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、PCTFE、PVDF、PTFE、並びに他の金属及びポリマーが挙げられる。時に、これらの材料は、それらの劣化を進めるおそれのあるより高い温度及び圧力に曝されることがある。その計測方法としては、目視検査、重量測定、SEMにおけるナノメートルスケール変化の測定、引張強度、硬度等が挙げられ得る。
【0045】
本開示の硫黄含有化合物は、基板上のケイ素含有層をプラズマエッチングするのに使用することができる。本開示のプラズマエッチング方法は、NANDゲート若しくは3D NANDゲート、又はフラッシュメモリ若しくはDRAMメモリ等の半導体素子の製造において有用とすることができる。他の利用分野としては、ラインのフロントエンド(FEOL)及びラインのバックエンド(BEOL)の種々のエッチング用途における硫黄含有化合物の使用が挙げられる。本開示のプラズマエッチング方法は、更にロジック基板上にメモリ基板を相互接続するような3D TSV(シリコン貫通ビア)エッチング用途のためにSiをエッチングすることも挙げられ得る。
【0046】
プラズマエッチング方法は、基板を内部に設けたリアクタを準備することを含む。リアクタは、エッチング方法を行う、素子内のいずれの封入容器又はチャンバ、例えば、限定するものではないが、反応性イオンエッチング(RIE)、単一又は複数の周波数RF源によるデュアル容量結合プラズマ(Dual Capacitively Coupled Plasma)、誘導結合プラズマ(ICP)、若しくはマイクロ波プラズマリアクタ、又はSi含有層の一部分を選択的に除去するか、若しくは活性種を発生させることができる他のタイプのエッチングシステムであってもよい。当業者であれば、種々のリアクタ設計によって種々の電子温度制御が提供されることを認識するであろう。好適な市販されているリアクタとしては、商標eMAX(商標)として販売されている、Applied Materialsの磁気強化反応性イオンエッチング装置、又は商標2300(商標)Flex(商標)として販売されている、Lam ResearchのデュアルCCP反応性イオンエッチング装置の誘電体エッチング製品ファミリーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
リアクタは1つ又は2つ以上の基板を含有していてもよい。例えば、リアクタは、25.4mm〜450mmの直径を有する1〜200のシリコンウエハを含有していてもよい。代替的に、S含有化合物を使用して、リアクタ壁からSi含有基板を除去することもできる。基板は概して、プロセスが行われる材料とみなされる。基板は、半導体、光起電素子、フラットパネル又はLCD−TFT素子の製造に使用される好適ないずれの基板であってもよい。典型的に、基板は、複数の層を上に有するパターン化された基板と考えられる。好適な層の例としては、限定するものではないが、シリコン(アモルファスシリコン、ポリシリコン、結晶シリコン、更にp型又はn型にドープされ得るいずれかのもの等)、シリカ、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、タングステン、窒化チタン、窒化タンタル、マスク材料、例えば、アモルファスカーボン、反射防止コーティング、フォトレジスト材料、又はそれらの組合せが挙げられる。加えて、タングステン又は貴金属(例えば、白金、パラジウム、ロジウム又は金)を含む層を使用してもよい。
【0048】
基板は、図1に示されるものと同様の複数の層のスタックをその上に備えるものであってもよい。図1には、7つのSiO/SiN層のスタックがシリコンウエハ基板の上部に配置されている(すなわち、ONON技術又はTCAT技術)。当業者であれば、技術によっては、SiN層をポリSi層と置き換えること(すなわち、SiO/ポリSi又はP−BICS技術)を認識するであろう。アモルファスカーボンマスク層が7つのSiO/SiN層の上部に配置される。反射防止コーティング層がアモルファスカーボンマスクの
上部に配置される。パターンフォトレジスト層が反射防止コーティングの上部に配置される。図1における層のスタックは、3D NANDゲートを作製するのに使用されるものと同様の層を反映するものである。当業者であれば、図1における層のスタックが、単に例示的な目的で提示されているにすぎず、層の他のスタックをエッチングするのに本開示の硫黄含有化合物を使用し得ることを認識するであろう。さらに、当業者であれば、このスタックにおけるSiO/SiN又はSiO/ポリSi層の数が様々な値をとり得る(すなわち、図示される7つのSiO/SiN層より多い又はより少ない層を備えることがある)ことを認識するであろう。
【0049】
代替的に、基板は、図2に示されるものと同様の複数の層のスタックをその上に備えるものであってもよい。図2には、四層のスタックが、シリコンウエハ基板の上部に配置されている。アモルファスカーボンマスク層が厚いSiO層の上部に配置される。反射防止コーティング層が、アモルファスカーボンマスクの上部に配置される。パターンフォトレジスト層が反射防止コーティングの上部に配置される。図2における層のスタックは、DRAMメモリを作製するのに使用されるものと同様の層を反映するものである。当業者であれば、図2における層のスタックが、単に例示的な目的で提示されているにすぎず、層の他のスタックをエッチングするのに本開示の硫黄含有化合物を使用し得ることを認識するであろう。さらに、当業者であれば、スタックの層の数が様々な値をとり得る(すなわち、図示される四層より多い又はより少ない層を備えることがある)ことを認識するであろう。
【0050】
本開示の硫黄含有化合物の蒸気を、基板及びケイ素含有層を入れたチャンバ内に導入する。およそ0.1sccm〜およそ1slmの範囲をとる流量で蒸気をチャンバに導入することができる。例えば、200mmのウエハサイズでは、およそ5sccm〜およそ50sccmの範囲をとる流量で蒸気をチャンバに導入することができる。代替的に、450mmのウエハサイズでは、およそ25sccm〜およそ250sccmの範囲をとる流量で蒸気をチャンバに導入することができる。当業者であれば、ツールによって流量が異なることを認識するであろう。
【0051】
本開示の硫黄含有化合物は、純粋状態、又はエチルベンゼン、キシレン、メシチレン、デカン又はドデカン等の好適な溶媒との配合物のいずれでも供給することができる。本開示の硫黄含有化合物は、様々な値の溶媒中濃度で存在し得る。蒸気形態の硫黄含有化合物は、直接気化等の従来の気化工程を通じて純粋な又は配合された硫黄含有化合物の溶液を気化させることによって、又は泡立たせることによって生成することができる。純粋な又は配合されたS含有化合物は、それをリアクタ内に導入する前に気化させる気化装置へと、液体状態で送り込むことができる。代替的に、本開示のS含有化合物を入れた容器内にキャリアガスを通すことによって、又はキャリアガスを本開示のS含有化合物中に泡立たせることによって、純粋な又は配合されたS含有化合物を気化してもよい。キャリアガスとしては、Ar、He、N及びそれらの混合物が挙げられ得るが、これらに限定されない。また、キャリアガスで泡立たせることによって、純粋な又は配合されたS含有化合物の溶液中に存在するあらゆる溶存酸素を除去することもできる。その後、キャリアガス及び本開示のS含有化合物をリアクタ内に蒸気として導入する。
【0052】
必要であれば、本開示のS含有化合物を入れた容器を、S含有化合物が液相となるとともに十分な蒸気圧を有することを可能とする温度に加熱してもよい。容器は、例えば、およそ0℃〜およそ150℃の範囲の温度に保持することができる。当業者であれば、容器の温度を既知の方法で調節して、気化されるS含有化合物の量を制御し得ることを認識するであろう。
【0053】
本開示のS含有化合物の蒸気はプラズマによって活性化されて、活性化した蒸気を発生
させる。プラズマがS含有化合物をラジカル形態(すなわち、活性化したS含有化合物)へと分解する。プラズマは、RF電力又はDC電力を印加することによって発生し得る。プラズマは約25W〜約10000Wの範囲をとるRF電力で発生し得る。プラズマはリアクタ自体の内部で発生するか又は存在し得る。プラズマは、RFを両電極に印加してデュアルCCP又はICPモードで発生し得る。プラズマのRF周波数は200KHz〜1GHzの範囲をとることができる。異なる周波数の種々のRF源を、同じ電極で連結して利用することができる。また、プラズマRFパルス化を使用して、基板における分子フラグメンテーション及び反応を制御することができる。当業者であれば、かかるプラズマ処理に適する方法及び装置を認識するであろう。
【0054】
プラズマを維持するために、不活性ガスもリアクタに導入する。不活性ガスは、He、Ar、Xe、Kr、Ne又はそれらの組合せとすることができる。S含有化合物の蒸気及び不活性ガスは、チャンバに導入する前に混合してもよく、不活性ガスは得られる混合物のおよそ50%v/v〜およそ95%v/vを構成する。代替的には、S含有化合物の蒸気を断続的にチャンバに導入する一方、不活性ガスをチャンバに連続的に導入してもよい。
【0055】
四重極型質量分析計、発光分光分析装置、FTIR、又は他のラジカル/イオン測定器によって活性化した蒸気を測定して、生成される化学種のタイプ及び数を求めることができる。必要であれば、蒸気及び/又は不活性ガスの流量を調節して、生成されるラジカル種の数を増大又は減少させることができる。
【0056】
本開示のS含有化合物は、反応チャンバ内への導入前に、又は反応チャンバの内部で他のガスと混合してもよい。好ましくは、ガスは、投入するガスの均一な濃度を提供するためにチャンバへの導入前に混合することができる。2つ以上のガスが反応する場合等の別の代替形態では、他のガスとは独立してS含有化合物の蒸気をチャンバ内に導入することができる。
【0057】
例示的なガスとしては、限定するものではないが、O、O、CO、CO、NO、NO、NO及びそれらの組合せ等の酸化剤が挙げられる。S含有化合物の蒸気及び酸化剤は、チャンバ内への導入前に互いに混合することができる。代替的に、酸化剤はチャンバ内に連続的に導入することができ、S含有化合物の蒸気はチャンバ内に断続的に導入することができる。酸化剤は、チャンバ内に導入される混合物のおよそ5%v/v〜およそ100%v/vを構成することができる(100%v/vは、連続的な導入の代替に対する純粋な酸化剤の導入を表す)。
【0058】
S含有化合物の蒸気を混合させ得る他の例示的なガスとしては、cC、C、C、CF、CHF、CFH、CH、COS、CS;CFI;CI;CI;SO;trans−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン;cis−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン;ヘキサフルオロイソブテン;trans−1,1,2,2,3,4−ヘキサフルオロシクロブタン;1,1,2,2,3−ペンタフルオロシクロブタン;1,1,2,2−テトラフルオロシクロブタン;又はcis−1,1,2,2,3,4−ヘキサフルオロシクロブタン等の付加的なエッチングガスが挙げられる。S含有化合物の蒸気及びエッチングガスはチャンバへの導入前に混合してもよい。エッチングガスは、チャンバ内に導入される混合物のおよそ1%v/v〜およそ99.9%v/vを構成することができる。
【0059】
Si含有層及び活性化蒸気は反応して、リアクタから除去される揮発性種を形成する。アモルファスカーボンマスク、反射防止コーティング及びフォトレジスト層は本開示の硫黄含有化合物の蒸気とあまり反応しなくてもよい。
【0060】
リアクタ内部の温度及び圧力は、ケイ素含有層が活性化S含有ガスと反応するのに適切な条件で保持される。例えば、リアクタ内の圧力は、エッチングパラメータの要求に応じて、およそ0.1mTorr〜およそ1000Torr、好ましくはおよそ1mTorr〜およそ10Torr、より好ましくはおよそ10mTorr〜およそ1Torr、より好ましくはおよそ10mTorr〜およそ100mTorrに保持することができる。同様に、リアクタ内の基板温度はおよそ−196℃〜およそ500℃、好ましくは−120℃〜およそ300℃、より好ましくは−10℃〜およそ40℃の範囲をとることができる。チャンバ壁温度は、プロセス要件に応じておよそ−196℃〜およそ300℃の範囲をとることができる。
【0061】
Si含有層とプラズマ活性化S含有化合物との間の反応は、基板からのSi含有層の除去をもたらす。また、窒素、酸素及び/又は炭素の原子がSi含有層中に存在していてもよい。除去は、プラズマイオンによる(プラズマによって促進される)Si含有層の物理スパッタリングに起因するか、及び/又はプラズマ種の化学反応によりSiをSiF(式中、xは1〜4の範囲をとる)等の揮発性種へと変換させることによるものである。
【0062】
S含有化合物のプラズマ活性化蒸気は好ましくは、マスクに対して高い選択性を示し、SiOとSiNとの交互層を通じてエッチングする結果、湾曲のない垂直エッチングプロファイルをもたらす。これは3D NAND用途に重要なものである。DRAM及び2D
NAND等の他の用途では、例えば、S含有化合物のプラズマ活性化蒸気が、SiNからSiOを選択的にエッチングすることができる。S含有化合物のプラズマ活性化蒸気は好ましくは、アモルファスカーボン、フォトレジスト、ポリシリコン若しくは炭化ケイ素等のマスク層から、又はCu等の金属コンタクト層から、又はSiGeからなるチャンネル領域若しくはポリシリコン領域から、SiO及び/又はSiNを選択的にエッチングする。
【0063】
本開示のS含有化合物を使用する本開示のエッチングプロセスは、Si含有層に、チャンネルホール、ゲートトレンチ、ステアケースコンタクト、コンデンサホール、コンタクトホール等を作製する。得られる開口部は、およそ10:1〜およそ100:1の範囲をとるアスペクト比、及びおよそ40nm〜およそ50nmの範囲をとる直径を有することができる。例えば、当業者であれば、チャンネルホールエッチングが、Si含有層に、60:1より大きいアスペクト比を有する開口部を作製することを認識するであろう。
【0064】
1つの非限定的で例示的なプラズマエッチングプロセスでは、CSの蒸気を、ガス流制御装置(controlled gas flow device)を用いて200mmのデュアルCCPプラズマエッチングツールに導入する。該装置は、不活性ガス流が所望分子の蒸気を給送する、マスフローコントローラ又はバブラー設計とすることができる。高沸点分子の場合、Brooks Automation(番号GF120XSD)、MKS Instruments等からの特別な低圧損型マスフローコントローラを使用することができる。プラズマエッチングツールの圧力はおよそ30mTorrに設定される。この化合物の蒸気圧は室温でおよそ400torrとなるため、ガス源の加熱は必要ない。2つのCCP電極間の距離は1.35cmで維持され、上部電極RF電力は750Wに固定される。下部電極RF電力は、分子の性能を分析するために変更される。プラズマエッチングツールは、Si含有層を上に有する基板の入ったチャンバを備える。アルゴンは独立して250sccmの流量でチャンバ内に導入される。CSは独立して15sccmでチャンバ内に導入される。Oは独立して、最適なエッチング条件を求めるように0sccm〜20sccmでチャンバ内に導入される。
【実施例】
【0065】
本発明の実施形態を更に説明するために、以下の非限定的な実施例を提供する。しかしながら、実施例は、包括的なものであると意図されるものではなく、本明細書中に記載される本発明の範囲を限定するように意図されるものでもない。
【0066】
実施例1
Sigma Aldrichから購入したCS(2,2,2−トリフルオロエタンチオール又はFC−CH−SH)の分析を質量分析(MS)によって実施して、その電子衝撃イオン化を検討した。質量分析計チャンバ及び四重極型質量分析計(Hiden Analytical
Inc.)検出器に流したCSエッチャントによって、電子エネルギーに応じたエッチングガス由来のフラグメントを検討した。エネルギー(eV)に対して、プラズマ種の画分の体積(Torr)をプロットする、得られるMSグラフを図3に示す。図3から、CSに関する主なフラグメントがCHS及びCHSであることが示される。これらのフラグメントはフッ素を欠くものであるため、基板に達すると直ちに重合する。
【0067】
材料適合性試験もCSについて実施した。ステンレス鋼、ニッケル、アルミニウム、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)及びPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)のサンプルを中に入れた真空ステンレス鋼容器内に、CSの蒸気を導入して隔離した。このため、隔離後の容器内の圧力はおよそCSの蒸気圧(20℃で0.55bar)となった。容器をこの圧力及び室温で1ヶ月間保持した。サンプルの劣化は観察されなかった。
【0068】
実施例2
SynQuestから購入したC(2,2,4,4−テトラフルオロ−1,3−ジチエタン)の分析を質量分析法(MS)によって実施して、その電子衝撃イオン化を検討した。Cエッチャントを、実施例1で使用した同じ質量分析計チャンバ及び四重極型質量分析計検出器に流し、電子エネルギーに応じたエッチングガス由来のフラグメントを検討した。エネルギー(eV)に対して、プラズマ種の画分の体積(Torr)をプロットする、得られるMSグラフを図4に示す。図4から、Cに関する主なフラグメントがCFS及びCFSであることが示される。これらのフラグメントはフラグメント中に硫黄を有するため、基板に達すると直ちに重合し得る。
【0069】
比較例1
Synquestから購入したC(ビス(トリフルオロメチル)ジスルフィド)のMS分析を実施して、その電子衝撃イオン化を検討した。Cエッチャントを、実施例1及び実施例2に使用した同じ質量分析計チャンバ及び四重極型質量分析計(Hiden Analytical Inc.)検出器に流し、電子エネルギーに応じたエッチングガス由来のフラグメントを検討した。エネルギー(eV)に対して、プラズマ種の画分の体積(Torr)をプロットする、得られるMSグラフを図5に示す。
【0070】
図3及び図4図5と比較すると、より大きい存在量の硫黄含有フラグメントが、Cよりも、CS及びCによって生じたことがわかる。これは、CS及びCが、プラズマエッチングプロセス中に平面層及び垂直層上のパッシベーション膜を改善させるより多くの硫黄含有プラズマ種をもたらすことを意味している。耐エッチング性(etch resistant to etch)がより高い硫黄膜は、より良好なエッチングプロファイルをもたらし、高アスペクト比エッチングを可能とし得る。
【0071】
加えて、0.1:1〜3:1の範囲をとるF:C比は、エッチングされる構造の側壁上のポリマー形成の改良にとって望ましいものである(図1a参照)。CS及びCの両者に関する質量分析計の化学種は、Cに関する化学種と比較
してより小さいF:C比を示す。結果として、これらの2つの分子は、より強いポリマー特徴に有利に働くものといえる。
【0072】
材料適合性試験もCについて実施した。ステンレス鋼、ニッケル、アルミニウム、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)及びPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)のサンプルを中に入れた真空ステンレス鋼容器内に、Cの蒸気を導入して隔離した。このため、隔離後の容器内の圧力はおよそCの蒸気圧(20℃で0.6bar)となった。容器をこの圧力及び室温で1ヶ月間保持した。サンプルの劣化は観察されなかった。
【0073】
実施例3
1×1cmのSiクーポン上でCSを用いてプラズマ蒸着試験を実施した。試験は、図6に概略的に示される商用LAM4520XLEエッチング装置を用いて実施した。エッチング装置は、数密度及びイオンエネルギーの独立制御を可能とする、2つの8インチの電極を備えた2周波容量結合プラズマリアクタである。上部電極は、数密度の独立制御を可能とする27MHz電源(ソースパワー(source power))に接続した。Siクーポンは、イオンエネルギーの独立制御を可能とする2MHz電源(バイアスパワー(bias power))に接続した、温度制御された下部電極上に設けた。上部電極上の8インチのシリコンシャワーヘッドによって、プラズマプロセス中における供給ガスの均一な分布を可能とした。
【0074】
250sccmのArガスを介した15sccmのCSを、シャワーヘッドを通じて、750W/0Wバイアス、30mTorrの圧力、及び静電チャックの上面とシャワーヘッドの下面との間の1.35cmの間隙を有するエッチング装置内に60秒間導入した。90nmのポリマー膜が、Siクーポン上に堆積した(走査型電子顕微鏡(SEM)により3点で測定)。結果として、堆積速度はおよそ90nm/分であった。サンプルをX線光電子分光(XPS)分析に送った。Y軸の計数(検出された電子の数)に対してX軸に原子の電子結合エネルギーをプロットする、得られるXPSグラフを図7に示す。図7の広い走査幅の元素分析により、C、F、O及びSのピークの存在が示され、より詳細には、およそ228evにS 2sピーク及びおよそ164eVにS 2pピークが示される。
【0075】
堆積膜の一部は粉末状物質を含んでいる(図8A及び図8B参照)。堆積された均等膜が、図8A及び図8Bにおいて粉末粒子の下に見られる。1500Wのバイアスパワーを印加した場合であっても、酸素を添加しなければ、粉末状物質がSiウエハ上に観察された。当業者であれば、バイアスパワー及び/又は酸素流量等のプロセスパラメータを変更することによって、ポリマー及び粉末の形成を制御し得ることを認識するであろう。
【0076】
実施例4
1×1cmのSiクーポン上でCを用いてプラズマ蒸着試験を実施した。試験は、実施例3で使用されかつ図6に概略的に示される同じ商用LAM4520XLEエッチング装置において実施した。上部電極は、数密度の独立制御を可能とする27MHz電源(ソースパワー)に接続した。Siクーポンは、イオンエネルギーの独立制御を可能とする2MHz電源(バイアスパワー)に接続した、温度制御された下部電極上に設けた。上部電極上の8インチのシリコンシャワーヘッドによって、プラズマプロセス中における供給ガスの均一な分布を可能とした。
【0077】
250sccmのArガスを介した15sccmのCを、シャワーヘッドを通じて、750W/0Wバイアス、30mTorrの圧力、及び静電チャックの上面とシャワーヘッドの下面との間の1.35cmの間隙を有するエッチング装置内に60秒間導
入した。75nmのポリマー膜が、Siクーポン上に堆積した(SEMにより3点で測定)。結果として、堆積速度はおよそ75nm/分であった。
【0078】
比較例2
1×1cmのSiクーポン上でCを用いてプラズマ蒸着試験を実施した。250sccmのArガスを介した15sccmのCを、750W/0Wバイアス、30mTorrの圧力、及び1.35cmの間隙を有する図6のエッチング装置内に60秒間導入した。膜は堆積しなかった。サンプルをXPS分析に送った。得られるXPSグラフを図9に示し、これにより、Si及びOのピークのみが示され、より詳細には、およそ156eVにSi 2sピーク及びおよそ105eVにSi 2pピークが示される。図9にC又はSのいずれの痕跡もないことが、保護ポリマーが形成されなかったことを示している。堆積しないことから、プラズマエッチングプロセス中に十分なパッシベーションがもたらされないと考えられるため、エッチングした構造に大きい湾曲が生じるおそれがある。結果として、Cエッチャントは、プロファイル制御又は側壁パッシベーションを必要とする用途では有用でないと考えられる。
【0079】
実施例5
両面カーボンテープを用いて200mmのSiキャリアウエハに接着させた4つの1×1cmクーポン上で、CSを用いてエッチング実験を実施した。検査する4つの基板材料は、酸化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素(SiN)、ポリシリコン(p−Si)及びアモルファスカーボン(a−C)とした。エッチング試験は、30mTorrの圧力、750Wのソースパワー(27MHz)、及び1500Wのバイアスパワー(2MHz)に設定した図6のエッチング装置において実施した。供給混合物には250sccmのAr及び15sccmのCSを含めた。酸素(O)流量は0sccm〜15sccmの様々な値をとるものとした。エッチング速度は偏光解析装置を用いて測定し、堆積速度は、SEMにより、プロセス時間に応じた膜厚変化を測定することによって測定した。
【0080】
Sを用いたSiO、SiN、p−Si及びa−Cの得られるエッチング速度は、sccm単位の酸素流量に対してプロットされ、図10に示される。正のy軸はエッチング速度を表すのに対し、負のy軸は堆積速度を表す。x軸はsccm単位のO流とする。酸素を添加するほど、SiO:a−C選択性が劇的に下がり、a−Cのエッチング速度が、SiO膜及びSiN膜に関するものよりも速くなる条件が存在する。
【0081】
図10に示されるように、酸素を添加しない場合(0sccmのO条件)、SiO及びSiNのエッチング速度は、互いに近接する一方(選択性約1:1及び約300nm/分のエッチング速度)、均一な堆積(粉末なし)がp−Si基板及びa−C基板について見られる。結果として、この化合物は、SiO及びSiNのエッチング速度が同等であるとともに、p−Si及びa−Cのエッチング速度が遅いことを要する3D NANDプロセスに好適なものとなり得る。SiOとSiNとの同等のエッチング速度は、湾曲及び肩落ち(faceting:ファセッティング)を低減することができる。p−Si及びa−Cに関する低エッチング速度は、マスク材料の保持を助け得る。しかしながら、SiO及びSiNのエッチング速度は、標準的なcCガスに関するもの(550nm/分超)よりも遅い。CF等の更なるエッチングガスを加えて、エッチング速度を増大させることも可能である(実施例6参照)。
【0082】
比較例3
実施例5に記載の同様のプロセス条件下で、O流量に応じたcCを用いてエッチング実験を実施した。結果を図13に示す。図13に示されるように、酸素を添加しない場合、p−Si及びa−Cに対するSiO及びSiNの選択性が、CSよ
りも低くなる。
【0083】
比較例4
実施例5に記載の同様のプロセス条件下で、O流量に応じたCを用いてエッチング実験を実施した。結果を図14に示す。図14に示されるように、p−Si及びa−Cに対するSiO及びSiNの選択性は、CSよりも、Cに関するものが高くなる。しかしながら、CのSiO:SiN選択性が実施例5におけるものよりも高くなり、Cは、用途によっては好適なものといえない。他方、CS分子は、図10に示されるように、酸素を添加しない場合、SiO及びSiNについて同等のエッチング速度をもたらす。
【0084】
実施例6
cCの性能に匹敵するようにSiO/SiN膜のCSエッチング速度を改善させるため、CFを、250sccmのArと15sccmのCSとのエッチングガス混合物に添加した。CFの添加は0sccm〜15sccmの様々な値をとるものとした。図11に示されるように、CFをプロセスガス混合物に添加することによって、400nm/分以上までSiO/SiNのエッチング速度が増大する一方、p−Si及びa−Cに対する選択性も維持されるため、これは3D NAND用途にとって優れた分子とされる。
【0085】
比較例5
同様に、CFを、250sccmのArと15sccmのcCとのエッチングガス混合物に添加してエッチング実験を実施し、結果を図15に示す。図15に示されるように、4つの基板全てのエッチング速度が増大し、結果として、選択性の改善が得られない。他方、CSを用いると、SiO及びSiNのエッチング速度が増大するため、p−Si及びa−Cに対する選択性が増大する。
【0086】
実施例7
両面カーボンテープを用いて200mmのSiキャリアウエハに接着させた4つの1×1cmクーポン上で、Cを用いてエッチング実験を実施した。検査する4つの基板材料は、酸化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素(SiN)、ポリシリコン(p−Si)及びアモルファスカーボン(a−C)とした。エッチング試験は、30mTorrの圧力、750Wのソースパワー(27MHz)、及び1500Wのバイアスパワー(2MHz)に設定した図6のエッチング装置において実施した。供給混合物には250sccmのAr及び15sccmのCを含めた。酸素(O)流量は0sccm〜15sccmの様々な値をとるものとした。エッチング速度は偏光解析装置を用いて測定し、堆積速度は、SEMを用いて、プロセス時間に応じた膜厚変化を測定することによって測定した。
【0087】
を用いたSiO、SiN、p−Si及びa−Cの得られるエッチング速度は、sccm単位の酸素流量に対してプロットされ、図12に示される。正のy軸はエッチング速度を表すのに対し、負のy軸は堆積速度を表す。x軸はsccm単位のO流とする。酸素流量が増大するほど、SiOのエッチング速度は減少するのに対し、p−Si及びa−Cのエッチング速度は増大する。結果として、酸素流量が増大するにつれ、a−C及びp−Siに対するSiOの選択性が減少する。
【0088】
図12に示されるように、SiO、SiN及びp−Siに関するエッチング速度が、15sccmのO流量でおよそ同じとなる。これは、Cが、この流量で主なエッチャントとして遊離フッ素を発生させるため、Cが、C及びC等の高次に重合するガスへの良好な添加剤となることを示し得る。
【0089】
本発明の実施形態を示し、記載しているが、それらの修正は、本発明の趣旨又は教示から逸脱することなく当業者が行うことができる。本明細書中に記載される実施形態は例示的なものにすぎず、限定的なものではない。組成物及び方法の多くの変形及び修正が可能であり、本発明の範囲内である。それ故、保護範囲は本明細書中に記載される実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるものであり、その範囲は、特許請求の範囲の主題のあらゆる均等物を含むものとする。
図1
図1a
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15