特許第6676726号(P6676726)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6676726
(24)【登録日】2020年3月16日
(45)【発行日】2020年4月8日
(54)【発明の名称】樹脂封止システム
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/72 20060101AFI20200330BHJP
   B29C 45/02 20060101ALI20200330BHJP
   B29C 45/17 20060101ALI20200330BHJP
   B29C 45/76 20060101ALI20200330BHJP
   H01L 21/56 20060101ALI20200330BHJP
【FI】
   B29C33/72
   B29C45/02
   B29C45/17
   B29C45/76
   H01L21/56 T
【請求項の数】13
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-204825(P2018-204825)
(22)【出願日】2018年10月31日
【審査請求日】2018年10月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000146179
【氏名又は名称】エムテックスマツムラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】きさらぎ国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】吉村 幸樹
(72)【発明者】
【氏名】大滝 昭浩
(72)【発明者】
【氏名】庄司 富幸
(72)【発明者】
【氏名】河野 正博
【審査官】 山本 雄一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−313829(JP,A)
【文献】 特開2002−240046(JP,A)
【文献】 特開2002−001735(JP,A)
【文献】 中国実用新案第205870975(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C33/00−33/76
B29C45/00−45/84
H01L21/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂成形金型と、該樹脂成形金型の型面をクリーニング可能なクリーニング機構とを備える樹脂封止システムであって、
前記クリーニング機構におけるクリーニング性能を監視可能なクリーニング性能監視部を更に備え、
前記クリーニング機構は、
吸引力を発生させる集塵機と、
前記樹脂成形金型の型面と対応する吸引口を有し、該型面上を移動可能なクリーナヘッドと、
前記クリーナヘッドの前記吸引口と前記集塵機とを流体連通させるダクトと
を備え、
前記クリーニング性能監視部は、前記クリーナヘッドの前記吸引口における吸気不良、該吸引口から前記ダクトを介して前記集塵機に至る吸気経路における吸気不良、及び、該吸気経路における集塵不良の少なくとも1つを検出可能に構成されており、
前記吸気経路における塵埃量を測定可能な塵埃測定手段を備える
ことを特徴とする樹脂封止システム。
【請求項2】
前記クリーニング性能監視部は、気体流の圧力、風量又は風速を測定可能な気体測定手段を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の樹脂封止システム。
【請求項3】
前記気体測定手段は、前記クリーナヘッドの前記吸引口の周囲に複数設けられており、
前記クリーニング性能監視部は、複数の前記気体測定手段により、前記クリーナヘッドの前記吸引口における吸気不良を検出可能に構成されている
ことを特徴とする請求項2に記載の樹脂封止システム。
【請求項4】
前記気体測定手段は、前記吸気経路に沿って複数設置されており、
前記クリーニング性能監視部は、複数の前記気体測定手段により、前記吸気経路における吸気不良を検出可能に構成されている
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の樹脂封止システム。
【請求項5】
前記クリーニング性能監視部は、複数の前記気体測定手段による測定結果に基づき、前記吸気不良の発生箇所を診断可能に構成されている
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の樹脂封止システム。
【請求項6】
クリーニング性能監視部は、前記吸気不良又は前記集塵不良の検出に基づいて、前記クリーニング機構におけるクリーニング時間を延長するよう構成されている
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂封止システム。
【請求項7】
前記クリーニング性能監視部は、前記樹脂成形金型の型面に対するクリーニングによって発生した塵埃の塵埃量と、予め測定した標準試験塵埃の基準塵埃量とに基づき、前記吸気経路における集塵不良を検出可能に構成されている
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂封止システム。
【請求項8】
前記クリーニング性能監視部は、所定のクリーニング回数毎に前記基準塵埃量に対する比較処理を実行し、前記集塵不良を検出するよう構成されている
ことを特徴とする請求項に記載の樹脂封止システム。
【請求項9】
前記クリーニング性能監視部は、前記吸気経路における前記塵埃量の変化に応じて、前記吸引口に作用する吸引力を変化させるよう構成されている
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の樹脂封止システム。
【請求項10】
前記樹脂成形金型は、モールド材料を収納可能な収容ポット形成孔部を有し、
前記樹脂成形金型の前記収容ポット形成孔部内に配置され、該樹脂成形金型内に対してモールド材料を押圧するプランジャを備え、
前記クリーニング性能監視部は、前記吸気経路における前記塵埃量に応じて、前記プランジャを空動作させるよう構成されている
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれ1項に記載の樹脂封止システム。
【請求項11】
前記収容ポット形成孔部に対する前記プランジャの摺動抵抗を測定可能な圧力測定手段を備え、
前記クリーニング性能監視部は、前記吸気経路における前記塵埃量と前記プランジャの前記摺動抵抗とに基づいて、前記プランジャの空動作を繰り返し実行させるよう構成されている
ことを特徴とする請求項10に記載の樹脂封止システム。
【請求項12】
前記クリーニング性能監視部は、前記吸気不良又は前記集塵不良の発生を報知可能に構成されている
ことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の樹脂封止システム。
【請求項13】
前記クリーニング性能監視部は、金属異物の混入を検出可能な金属検知手段を備える
ことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の樹脂封止システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集塵式クリーニング機構を備える樹脂封止システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、リードフレームや配線基板等に実装された基板半導体チップ等の電子部品を絶縁性の樹脂材料(モールド材料)でモールドすることにより、樹脂封止型の半導体装置(樹脂成形品)を製造する樹脂封止装置が知られている。従来の樹脂封止装置では、樹脂封止成形によって汚れた金型の型面を清掃するために、集塵式クリーニング機構が設けられることが一般的である(特許文献1等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−240046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の樹脂封止装置では、集塵機自体が有するフィルタ詰まり検知機能によりフィルタ詰まりを検出することが可能であるとしても、集塵機
では検知できない吸気不良、例えばクリーナヘッドの吸引口からダクトを介して集塵機に至る吸気経路におけるリーク等を検出することは困難である。このため、従来の樹脂封止装置では、吸気不良等によってクリーニング性能が低下した状態で樹脂封止プロセスが進行するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、金型のクリーニングをより高精度に実施することが可能な樹脂封止システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明に係る樹脂封止システムは、樹脂成形金型と、該樹脂成形金型の型面をクリーニング可能なクリーニング機構とを備える樹脂封止システムであって、前記クリーニング機構におけるクリーニング性能を監視可能なクリーニング性能監視部を更に備え、前記クリーニング機構は、吸引力を発生させる集塵機と、前記樹脂成形金型の型面と対応する吸引口を有し、該型面上を移動可能なクリーナヘッドと、前記クリーナヘッドの前記吸引口と前記集塵機とを流体連通させるダクトとを備え、前記クリーニング性能監視部は、前記クリーナヘッドの前記吸引口における吸気不良、該吸引口から前記ダクトを介して前記集塵機に至る吸気経路における吸気不良、及び、該吸気経路における集塵不良の少なくとも1つを検出可能に構成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る樹脂封止システムにおいて、前記クリーニング性能監視部は、気体流の圧力、風量又は風速を測定可能な気体測定手段を備えるとしても良い。
【0008】
本発明に係る樹脂封止システムにおいて、前記気体測定手段は、前記クリーナヘッドの前記吸引口の周囲に複数設けられており、前記クリーニング性能監視部は、複数の前記気体測定手段により、前記クリーナヘッドの前記吸引口における吸気不良を検出可能に構成されることが好ましい。
【0009】
本発明に係る樹脂封止システムにおいて、前記気体測定手段は、前記吸気経路に沿って複数設置されており、前記クリーニング性能監視部は、複数の前記気体測定手段により、前記吸気経路における吸気不良を検出可能に構成されることが好ましい。
【0010】
本発明に係る樹脂封止システムにおいて、前記クリーニング性能監視部は、複数の前記気体測定手段による測定結果に基づき、前記吸気不良の発生箇所を診断可能に構成されることが好ましい。
【0011】
本発明に係る樹脂封止システムにおいて、クリーニング性能監視部は、前記吸気不良又は前記集塵不良の検出に基づいて、前記クリーニング機構におけるクリーニング時間を延長するよう構成されることが好ましい。
【0012】
本発明に係る樹脂封止システムにおいて、前記クリーニング性能監視部は、前記吸気経路における塵埃量を測定可能な塵埃測定手段を備えるとしても良い。
【0013】
本発明に係る樹脂封止システムにおいて、前記クリーニング性能監視部は、前記樹脂成形金型の型面に対するクリーニングによって発生した塵埃の塵埃量と、予め測定した標準試験塵埃の基準塵埃量とに基づき、前記吸気経路における集塵不良を検出可能に構成されることが好ましい。
【0014】
本発明に係る樹脂封止システムにおいて、前記クリーニング性能監視部は、所定のクリーニング回数毎に前記基準塵埃量に対する比較処理を実行し、前記集塵不良を検出するよう構成されることが好ましい。
【0015】
本発明に係る樹脂封止システムにおいて、前記クリーニング性能監視部は、前記吸気経路における前記塵埃量の変化に応じて、前記吸引口に作用する吸引力を変化させるよう構成されることが好ましい。
【0016】
本発明に係る樹脂封止システムにおいて、前記樹脂成形金型は、モールド材料を収納可能な収容ポット形成孔部を有し、前記樹脂成形金型の前記収容ポット形成孔部内に配置され、該樹脂成形金型内に対してモールド材料を押圧するプランジャを備え、前記クリーニング性能監視部は、前記吸気経路における前記塵埃量に応じて、前記プランジャを空動作させるよう構成されることが好ましい。
【0017】
本発明に係る樹脂封止システムは、前記収容ポット形成孔部に対する前記プランジャの摺動抵抗を測定可能な圧力測定手段を備え、前記クリーニング性能監視部は、前記吸気経路における前記塵埃量と前記プランジャの前記摺動抵抗とに基づいて、前記プランジャの空動作を繰り返し実行させるよう構成されることが好ましい。
【0018】
本発明に係る樹脂封止システムにおいて、前記クリーニング性能監視部は、前記吸気不良又は前記集塵不良の発生を報知可能に構成されることが好ましい。
【0019】
本発明に係る樹脂封止システムにおいて、前記クリーニング性能監視部は、金属異物の混入を検出可能な金属検知手段を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、金型のクリーニングをより高精度に実施することが可能な樹脂封止システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係る樹脂成形システムにおける各構成要素の配置を平面方向から見た状態を概略的に示す図である。
図2】本実施形態に係る樹脂成形装置を概略的に示す正面図である。
図3】本実施形態に係る樹脂成形金型の型面を概略的に示す平面図である。
図4】本実施形態に係るクリーニング機構を概略的に示す斜視図である。
図5】本実施形態に係るアンローダを概略的に示す斜視図である。
図6】本実施形態に係るクリーナヘッドの断面形状を概略的に示す断面図である。
図7】本実施形態に係るクリーニング性能監視部の機能ブロック図である。
図8】本実施形態に係る動作状況表示画面を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0023】
[樹脂封止システムの全体構成]
まず、本実施形態に係る樹脂封止システム1について、主に図1を用いて説明する。本実施形態に係る樹脂封止システム1は、図1に示すように、並列的に設けられた1又は複数(本実施形態では3台)のプレスユニット(第1プレスユニット2A、第2プレスユニット2B及び第3プレスユニット2C)と、第1〜第3プレスユニット2A〜2Cを挟むように配置されたローダユニット4及びアンローダユニット5と、アンローダユニット5から第1〜第3プレスユニット2A〜2Cに亘って設けられたクリーニング機構6と、樹脂封止システム全体の動作制御を実行する動作制御部7と、樹脂封止システム内の動作状況等を監視する監視制御部8と、樹脂封止システム1の動作状況等を表示可能な表示手段9(図8参照)とを備えている。これら第1〜第3プレスユニット2A〜2C、ローダユニット4及びアンローダユニット5は、各ユニット間において互いに分離可能に構成されており、これにより、プレスユニットの数を変更したり、各ユニット間に別のユニットを組み入れたりすることが可能に構成されている。
【0024】
[プレスユニット]
第1〜第3プレスユニット2A〜2Cは、それぞれ、図1に示すように、ローダユニット4から搬入された被成形品Wの電子部品をトランスファ成形により樹脂封止する樹脂封止装置(樹脂成形装置)10を備えている。なお、被成形品Wは、半導体チップ等の電子部品を保持するリードフレームや樹脂基板であり、図1において二点鎖線で示している。
【0025】
樹脂封止装置10は、図2に示すように、下プラテン11及び上プラテン13と、これら下プラテン11及び上プラテン13間を延びる4本のタイバー12と、タイバー12に沿って昇降可能に設けられた移動プラテン14と、移動プラテン14を昇降させる昇降型締機構15と、移動プラテン14上に設けられたトランスファ機構16と、上プラテン13及びトランスファ機構16間に設けられた樹脂成形金型17とを備えている。樹脂成形金型17は、上プラテン13の下面に取り付けられた上型17aと、上型17aと対向する面に取り付けられ、上型17aと共に樹脂封止成形用のキャビティを形成可能な下型17bとを備えている。
【0026】
トランスファ機構16及び樹脂成形金型17は、1回の成形サイクルにおいて複数(本実施形態では2つ)の被成形品Wに対する樹脂封止成形をまとめて実行可能に構成されている。なお、以下の説明では、1つの被成形品Wに6つの電子部品が直列的に配され、1回の成形サイクルにおいて、並列に配された2つの被成形品Wに対する樹脂封止成形をまとめて実行する態様(計12個の電子部品に対する樹脂封止を複数のプランジャを用いて1回の成形サイクルで行う所謂マルチポット式の態様)を例に挙げて説明するが、これに限定されるものではない。
【0027】
下型17bは、図3に示すように、2つの被成形品Wを並置可能に構成されている。下型17bの型面において、被成形品Wの列L,Lには、各被成形品Wの各電子部品と整合する位置に、モールド部を形成するためのキャビティ凹部18cがそれぞれ形成されており、また、これら被成形品Wの列L,Lの間の列Lには、複数(本実施形態では6個)の収容ポット形成孔部18aが形成されている。また、下型17bの型面には、各収容ポット形成孔部18aと各キャビティ凹部18cとを繋ぐ細溝状のランナ溝18bも形成されている。さらに、上型17aの型面においても、下型17bのキャビティ凹部18cの列L,Lに沿ってキャビティ凹部(図示せず)が2列形成されると共に、下型17bの収容ポット形成孔部18aの列Lに沿って略円状のカル凹部(図示せず)が形成されている。そして、これら下型17bの収容ポット形成孔部18a、ランナ溝18b及びキャビティ凹部18cと、上型17aのカル凹部及びキャビティ凹部とによって、樹脂成形体Pのカル部、ランナ部、ゲート部及びモールド部を成形可能な樹脂流路が形成されている。なお、以下の説明では、樹脂成形体Pのカル部、ランナ部及びゲート部をまとめて「不要樹脂」という。
【0028】
下型17bの各収容ポット形成孔部18aには、トランスファ機構16のプランジャ(図示せず)がそれぞれ配置されており、各収容ポット形成孔部18aの内面と、各プランジャの上面とによって樹脂タブレットを収容可能な収容ポットが形成されるよう構成されている。
【0029】
以上の構成を備える樹脂封止装置10は、上型17a及び下型17bによって2つの被成形品Wを挟み込んだ状態で、溶融したモールド材料を各プランジャによって押圧し、樹脂成形金型17のカル凹部→ランナ溝→ゲート→キャビティ凹部の順で流動させ、熱硬化させることで、電子部品がモールドされた樹脂成形体Pを1回の成形サイクルにおいて2つ製造するよう構成されている。なお、第1〜第3プレスユニット2A〜2Cは、種々の公知の構成を採用することが可能であるため、その詳細な説明を省略する。また、第1〜第3プレスユニット2A〜2Cは、上述した構成に限定されず、任意の構成を採用することが可能である。
【0030】
[ローダユニット]
ローダユニット4は、図1に示すように、複数の被成形品W(ワーク)を収容するローダラック20と、ローダラック20に収容された被成形品Wを1枚ずつ送り出すフレームプッシャ21と、フレームプッシャ21から送り出された被成形品Wを樹脂成形金型17の配置に合わせて整列させる整列装置22と、整列装置22と各樹脂封止装置10との間を往復移動可能に設けられたローダ23と、樹脂タブレットを樹脂成形金型17のポットの配置に合わせて整列させた状態でローダ23に対して供給するタブレット供給装置24と、各樹脂封止装置10に搬送する前の被成形品Wを予熱するプリヒータ装置(図示せず)とを備えている。
【0031】
整列装置22は、平行に配された一対の搬送ベルト22a,22bを有している。これら一対の搬送ベルト22a,22bは、水平方向に回転可能に構成されており、一方の搬送ベルト22aにおいて被成形品Wを受け取った後、180度回転することで、他方の搬送ベルト22bにおいて被成形品Wを受け取り可能に構成されている。また、一対の搬送ベルト22a,22bは、昇降可能に構成されており、下降位置においてフレームプッシャ21から被成形品Wを整列させながら受け取った後に上昇し、上昇位置において被成形品Wをローダ23に受け渡すよう構成されている。
【0032】
ローダ23は、ローダユニット4から第1〜第3プレスユニット2A〜2Cに至る領域において、各ユニットを横断する方向(図1中の左右方向)に移動可能に構成されており、かつ、各ユニット内において、前進移動(図1中の上下方向の移動)が可能に構成されている。また、ローダ23は、整列装置22によって整列された複数の被成形品Wをその整列状態を維持したまま受け取ると共に、タブレット供給装置24において1列に整列された複数の樹脂タブレットをその整列状態を維持したまま受け取り、これら被成形品W及び樹脂タブレットを第1〜第3プレスユニット2A〜2Cのうちのいずれかの樹脂封止装置10内に搬入するよう構成されている。
【0033】
以上の構成を備えるローダユニット4は、1回の成形サイクルに必要な数の被成形品W及び樹脂タブレットを樹脂成形金型17における配置に合わせて整列させた状態で、各樹脂封止装置10に供給するよう構成されている。なお、ローダユニット4は、種々の公知の構成を採用することが可能であるため、その詳細な説明を省略する。また、ローダユニット4は、上述した構成に限定されず、任意の構成を採用することが可能である。
【0034】
[アンローダユニット]
アンローダユニット5は、図1に示すように、各樹脂封止装置10から不要樹脂付きの樹脂成形体Pを搬出するアンローダ30と、樹脂成形体Pから不要樹脂を除去するゲートブレーク装置40と、不要樹脂が除去された樹脂成形品が収納される回収装置32と、ゲートブレーク装置40と回収装置32との間を往復移動可能に設けられた収納搬送装置34とを備えている。
【0035】
アンローダ30は、図1図4及び図5に示すように、アンローダユニット5から第1〜第3プレスユニット2A〜2Cに至る領域において、各ユニットを横断する方向(図1中の左右方向)に移動可能に構成されており、かつ、各ユニット内において、前進移動(図1中の上下方向の移動)が可能に構成されている。なお、アンローダ30は、ローダ23と共通のレール上に配されており、ローダ23と衝突しないよう、動作制御部7によって移動が制御されている。これらローダ23及びアンローダ30が共用するレールは、樹脂封止システム1の後方側領域において、ローダユニット4からアンローダユニット5に亘って設けられており、各ユニット間において分離可能に構成されている。
【0036】
また、アンローダ30は、樹脂封止済みの被成形品Wの外枠部分を把持可能な搬送爪(図示せず)を備えており、該搬送爪により不要樹脂付きの樹脂成形体Pを保持することで、各樹脂封止装置10において成形された不要樹脂付きの樹脂成形体Pを回収し、ゲートブレーク装置40に搬送するよう構成されている。なお、搬送爪の構成に代えて又はこれに加えて、不要樹脂部分を真空吸着させることが可能な吸着パッド等の他の保持手段を採用することも可能である。
【0037】
ゲートブレーク装置40は、不要樹脂付きの樹脂成形体Pのゲート部を破断させることにより、樹脂成形体Pから不要樹脂を除去するよう構成されている。収納搬送装置34は、不要樹脂が除去された樹脂成形品の外枠部分を把持可能な把持爪(図示せず)を有しており、該樹脂成形品をゲートブレーク装置40から回収し、回収装置32に収納させるよう構成されている。
【0038】
以上の構成を備えるアンローダユニット5は、第1〜第3プレスユニット2A〜2Cのうちのいずれかの樹脂封止装置10において成形された不要樹脂付きの樹脂成形体Pをアンローダ30により取り出し、ゲートブレーク装置40において不要樹脂を除去して樹脂成形品とした上で、収納搬送装置34により樹脂成形品を回収装置32まで搬送し、回収装置32において回収するよう構成されている。なお、アンローダユニット5は、種々の公知の構成を採用することが可能であるため、その詳細な説明を省略する。また、アンローダユニット5は、上述した構成に限定されず、任意の構成を採用することが可能である。
【0039】
[クリーニング機構]
クリーニング機構6は、図1及び図4に示すように、気体中に浮遊する塵埃を吸引して回収可能なカル用集塵機50及びキャビティ用集塵機51と、カル用集塵機50に連通接続されたカル用固定ダクト52と、キャビティ用集塵機51に連通接続されたキャビティ用固定ダクト53と、アンローダ30に搭載されたクリーナヘッド54、カル用伸縮ダクト55及び一対のキャビティ用伸縮ダクト56a,56bとを備えている。
【0040】
クリーナヘッド54は、図5及び図6に示すように、アンローダ30の前端部に設けられており、上型17aと対向するよう上方に向けて開口した上方側吸引口57と、下型17bと対向するよう下方に向けて開口した下方側吸引口58とを有している。
【0041】
上方側吸引口57は、図5に示すように、上型17aのキャビティ凹部の列L,Lに対応するよう設けられた左右一対のキャビティ用吸引口57a,57bと、上型17aのカル凹部の列Lに対応するよう一対のキャビティ用吸引口57a,57b間に設けられたカル用吸引口57cとから構成されている。また、下方側吸引口58も同様に、下型17bのキャビティ凹部18cの列L,Lに対応するよう設けられた左右一対のキャビティ用吸引口58a,58bと、下型17bの収容ポット形成孔部18aの列Lに対応するよう一対のキャビティ用吸引口58a,58b間に設けられたカル用吸引口58cとから構成されている。
【0042】
キャビティ用吸引口57a,57b,58a,58b及びカル用吸引口57c,58cは、図5及び図6に示すように、それぞれゴム板等のリップゴム(ゴムスカート)59によって囲われており、これにより、各々独立した吸引空間が形成されるよう構成されている。各リップゴム59は、上型17a又は下型17bの型面との間に僅かな隙間が形成されるような長さ寸法を有しており、該隙間を介して吸引することで気体流の流速(勢い)を瞬間的に高め、型面に付着した樹脂カス等の汚れを型面から分離させて回収するよう構成されている。また、各リップゴム59は、型面上に種々の凸部が存在する場合でも適宜変形して通過可能となるよう、適宜の箇所にスリットが形成されている。なお、各吸引口に対応させてクリーニングブラシ等を設けても良い。
【0043】
上方側吸引口57のカル用吸引口57cと、下方側吸引口58のカル用吸引口58cとは、図6に示すように、共通するカル用伸縮ダクト55に連通接続されている。また同様に、上方側吸引口57の一方のキャビティ用吸引口57aと、下方側吸引口58の一方のキャビティ用吸引口58aとは、共通するキャビティ用伸縮ダクト56aに連通接続されており、上方側吸引口57の他方のキャビティ用吸引口57bと、下方側吸引口58の他方のキャビティ用吸引口58bとは、共通するキャビティ用伸縮ダクト56bに連通接続されている。
【0044】
カル用伸縮ダクト55は、図5に示すように、基端部に後述するカル用固定ダクト52に対して着脱可能な連結部55aを有すると共に、先端部がクリーナヘッド54に流体接続されている。一対のキャビティ用伸縮ダクト56a,56bは、基端部に後述するキャビティ用固定ダクト53に対して着脱可能な共通の連結部56cを有すると共に、先端部がクリーナヘッド54に流体接続されている。これらカル用伸縮ダクト55及び一対のキャビティ用伸縮ダクト56a,56bは、例えばテレスコピック構造等の種々の伸縮構造を有しており、図4に示す収縮状態から図5に示す伸張状態に亘って、アンローダ30の前進及び後退動作に追従して伸縮可能に構成されている。
【0045】
カル用固定ダクト52は、図4に示すように、カル用集塵機50からアンローダユニット5及び第1〜第3プレスユニット2A〜2Cに亘って延在する連通管であり、各ユニット間において分離可能に構成されている。また、キャビティ用固定ダクト53は、キャビティ用集塵機51からアンローダユニット5及び第1〜第3プレスユニット2A〜2Cに亘って延在する連通管であり、各ユニット間において分離可能に構成されている。これらカル用固定ダクト52及びキャビティ用固定ダクト53は、互いに併設されている。
【0046】
カル用固定ダクト52は、図4に示すように、第1プレスユニット2Aと整合する位置において分岐して設けられた第1分岐路52aと、第2プレスユニット2Bと整合する位置において分岐して設けられた第2分岐路52bと、第3プレスユニット2Cと整合する位置において分岐して設けられた第3分岐路52cと、アンローダユニット5と整合する位置において分岐して設けられた第4分岐路52dとを有している。また、キャビティ用固定ダクト53も同様に、第1分岐路53a、第2分岐路53b、第3分岐路53c及び第4分岐路53dを有している。
【0047】
カル用固定ダクト52の第1分岐路52aの先端部及びキャビティ用固定ダクト53の第1分岐路53aの先端部は、アンローダ30に搭載されたカル用伸縮ダクト55及びキャビティ用伸縮ダクト56a,56bの連結部55a,56cから離間した上昇位置と、該連結部55a,56cに接続される下降位置との間において、適宜の上下動機構によって一体として上下動可能に構成されている。カル用固定ダクト52及びキャビティ用固定ダクト53の第1分岐路52a,53aの先端部には、それぞれ適宜の逆止弁機構が設けられており、カル用伸縮ダクト55及びキャビティ用伸縮ダクト56a,56bの連結部55a,56cに接続された状態においてのみ先端開口が解放され、クリーナヘッド54の各吸引口57,58と各集塵機50,51とを流体連通させるよう構成されている。なお、カル用固定ダクト52及びキャビティ用固定ダクト53の第2分岐路52b,53b、第3分岐路52c,53c及び第4分岐路52d,53dも、それぞれ、第1分岐路52a,53aと同様に構成されている。
【0048】
カル用集塵機50は、キャビティ用集塵機51よりも強い吸引力を発揮可能に構成されている。なお、カル用集塵機50及びキャビティ用集塵機51は、種々の公知の集塵機を採用可能であるため、その詳細な説明を省略する。
【0049】
以上の構成を備えるクリーニング機構6は、アンローダ30に搭載されたカル用伸縮ダクト55及びキャビティ用伸縮ダクト56a,56bの連結部55a,56cを、カル用固定ダクト52及びキャビティ用固定ダクト53の第1分岐路52a,53a、第2分岐路52b,53b、第3分岐路52c,53c及び第4分岐路52d,53dのいずれかと選択的に連結させ、この状態でアンローダ30を進退させることで、第1〜第3プレスユニット2A〜2Cの樹脂成形金型17やアンローダユニット5のゲートブレーク装置40の清掃を行うことが可能に構成されている。なお、クリーニング機構6による清掃は、樹脂成形金型17に対してはアンローダ30の後退時に行われ、ゲートブレーク装置40に対してはアンローダ30の前進時に行われるのが通常であるが、これに限定されず、アンローダ30の前進時及び後退時のいずれにおいて実施しても良く、また、前進時及び後退時の双方において実施しても良い。
【0050】
また、本実施形態に係るクリーニング機構6は、キャビティ凹部18cの列L,Lと、収容ポット形成孔部18a(カル凹部)の列Lとで、集塵機及び吸引経路が別々に設けられている。これにより、比較的汚れが落ちやすいキャビティ凹部18cと、比較的汚れが落ちにくい収容ポット形成孔部18a(カル凹部)とで吸引力を異ならせることが可能となるため、より効率的に清掃を行うことが可能となる。
【0051】
[動作制御部]
動作制御部7は、上述したローダユニット4、第1〜第3プレスユニット2A〜2C、アンローダユニット5及びクリーニング機構6の各駆動部と有線又は無線で接続され、予め記憶部(図示せず)に記憶された種々の動作プログラムに基づきこれら各駆動部を動作させることで、樹脂成形品を連続的に製造するよう構成されている。また、動作制御部7は、監視制御部8における監視結果に基づき、ローダユニット4、第1〜第3プレスユニット2A〜2C、アンローダユニット5及びクリーニング機構6における各動作を適宜補正等するフィードバック制御を実行可能に構成されている。このような動作制御部7としては、例えばパーソナルコンピュータ等の汎用的な制御手段を採用することが可能である。なお、動作制御部7によって実行される樹脂封止システム1の動作については、後述する。
【0052】
[監視制御部]
監視制御部8は、樹脂封止システム1内に配置された各種の測定手段によって、樹脂封止システム1の動作状況等を監視するよう構成されている。具体的には、監視制御部8は、図7に示すように、クリーニング機構6におけるクリーニング性能を監視可能なクリーニング性能監視部8aと、樹脂成形金型17に内蔵されたエジェクタピンに付加された圧力を監視可能なエジェクタピン圧監視部8bと、トランスファ機構16の各プランジャに付加された圧力を監視可能なプランジャ圧監視部8cと、ローダユニット4において被成形品Wに付加された振動を監視可能な搬送振動監視部8dと、樹脂成形品における成形不良の発生を監視可能な未充填検査監視部8eとを備えている。また、監視制御部8は、上述した監視項目以外に、例えば樹脂封止システム1内の温度及び湿度を監視する機能等の種々の監視機能を有していても良い。なお、監視制御部8によって実行される樹脂封止システム1の監視制御については、後述する。
【0053】
クリーニング性能監視部8aは、クリーニング機構6におけるクリーニング性能をリアルタイムに監視することが可能に構成されている。このようなクリーニング性能を監視する方法としては、例えば以下の(1)〜(4)等に示す方法が例示される。
【0054】
(1) クリーナヘッド54の各吸引口57,58における吸気不良を検出する方法。
(2) 各吸引口57,58から各ダクト55,56a,56b,52,53を介して集塵機50,51に至る吸気経路における吸気不良を検出する方法。
(3) 吸気経路における集塵不良を検出する方法。
(4) 撮像手段により樹脂成形金型17の型面を撮像し、該型面に付着した樹脂カス等の汚れを観察する方法。
【0055】
上記(1)の方法(各吸引口57,58における吸気不良を検出する方法)は、例えば、リップゴム59によって囲われた吸引空間内の圧力、風量又は風速等の気体流の状況を測定可能な気体測定手段(例えば、風速センサや気圧センサ等)を各吸引口57,58の近傍に設けることで実現することが可能である。このように各吸引口57,58に気体測定手段を設けることにより、各吸引口57,58における吸気不良の発生を検出することが可能となる。
【0056】
この場合において、気体測定手段は、上方側吸引口57の一対のキャビティ用吸引口57a,57b及びカル用吸引口57c、並びに、下方側吸引口58の一対のキャビティ用吸引口58a,58b及びカル用吸引口58cの周囲をそれぞれ囲うように(すなわち、各吸引口の前後及び左右に)、複数配置されることが好ましい。このように各吸引口の前後及び左右に気体測定手段を配置することにより、各吸引口の前後や左右における吸引力のばらつきを検出することが可能となる。そして、このように複数の気体測定手段による測定結果を利用して吸引力のばらつきを検出することにより、吸気不良の発生を検出するだけではなく、例えば、クリーナヘッド54が傾いている等の吸気不良の発生原因及び発生箇所を診断することも可能となる。
【0057】
上記(2)の方法(吸気経路における吸気不良を検出する方法)は、例えば、圧力、風量又は風速等の気体流の状況を測定可能な気体測定手段を吸気経路に設けることで実現することが可能である。吸引経路に設置する気体測定手段は、各吸引口57,58に設置される気体測定手段と同様に、例えば、風速センサや気圧センサ等の小型のセンサを用いることが可能である。また、吸引経路に設置する場合には設置スペースの制約が小さいため、大気開放型の気圧測定手段や、吸気経路の上流と下流の差圧を測定する差圧型の気圧測定手段等、種々の公知の測定手段を採用することも可能である。このように吸気経路に気体測定手段を設けることにより、吸気経路における吸気不良の発生を検出することが可能となる。
【0058】
この場合において、気体測定手段は、吸気経路に沿って複数配置されることが好ましい。このように複数の気体測定手段による測定結果を利用することにより、吸気不良の発生を検出するだけではなく、例えば、吸気不良の原因が集塵機50,51のフィルタ詰まりなのか、吸気経路におけるリークなのか、吸気経路の詰まりなのか等を特定することが可能となるため、吸気不良の発生原因及び発生箇所を診断することも可能となる。なお、当該診断は、吸気経路内に設置された気体測定手段に加えて、上記(1)の方法において説明した、各吸引口57,58に設置された気体測定手段も併せて用いることが可能である。
【0059】
上記(3)の方法(吸気経路における集塵不良を検出する方法)は、例えば、塵埃量を測定可能な光学式塵埃センサ(パーティクルセンサ)等の塵埃測定手段を吸気経路に設けることで実現することが可能である。このように吸気経路に塵埃測定手段を設けることにより、クリーニング機構6によって回収された塵埃の量を測定することが可能となるため、吸気経路における集塵不良を検出することが可能となる。
【0060】
この場合において、クリーニング性能監視部8aは、樹脂成形金型17の型面に対するクリーニングによって発生した塵埃の塵埃量と、予め測定した標準試験塵埃の基準塵埃量とに基づいて、クリーニング機構6のクリーニング性能を数値化するよう構成されても良い。このようなクリーニング性能の数値化は、例えば、事前に、物理的・化学的特性が判明している標準試験塵埃(高反射体塵埃)を用いてクリーニング機構6の正常動作時における基準塵埃量を定めておき、その後、実際の樹脂封止プロセスにおける塵埃量をこの基準塵埃量と比較し、その差や比等を算出して数値としてアウトプットすることで、実現することが可能である。なお、このようなクリーニング性能の数値化は、樹脂封止プロセス毎に行っても良いし、定期的に(所定のクリーニング回数毎に)行っても良い。
【0061】
上記(4)の方法(型面を撮像する方法)は、例えば、シーモスイメージセンサ等の撮像手段をクリーナヘッド54よりも先端側に設け、クリーナヘッド54により清掃された後の型面を撮像することで実現することが可能である。この撮像手段は、上型17aの型面と、下型17bの型面との双方を撮像可能であることが好ましいが、これに限定されず、例えば下型17bの型面のみを撮像する構成としても良い。このように撮像手段を設けることにより、型面に付着した樹脂カス等の汚れを直接的に検出し、クリーニング性能の低下を診断することが可能となる。
【0062】
なお、上記(1)〜(4)に示す方法は、それぞれ単独で実施されても良いし、二以上が複合的に実施されても良い。特に、上記(1)〜(3)の少なくとも1つの方法と、上記(4)の方法とが複合的に実施される場合には、上記(1)〜(3)の少なくとも1つの方法により検出された吸気不良又は集塵不良という事象の発生と、上記(4)の方法により観察された実際のクリーニング結果とを結び付けて監視することが可能となるため、より高い精度でクリーニング性能を把握することが可能となる。また、吸気不良又は集塵不良が解消されても型面に汚れが付着している場合には、後述するクリーニング性能回復措置を引き続き実行する等の措置をとることが可能となるため、クリーニング性能の低下をより一層抑制することが可能となる。
【0063】
また、クリーニング性能監視部8aは、図8に示すように、上述した測定手段により測定された測定結果の波形データを表示手段9のクリーニング性能表示領域9aにリアルタイムで表示させることが可能に構成されている。
【0064】
さらに、クリーニング性能監視部8aは、上述した方法によりクリーニング性能の低下(吸気不良又は集塵不良の発生)を検出した場合に、種々の報知手段を介して異常を報知したり、発生原因や発生箇所を診断して表示手段9等に表示したり、クリーニング性能回復措置を実行するためのフィードバック制御信号を動作制御部7に出力したり、樹脂封止システム1の動作を停止させたりするよう構成されている。
【0065】
ここで、クリーニング性能回復措置は、クリーニング性能を回復させるために実行される措置であり、例えば以下の(5)〜(7)等の措置が例示される。なお、以下の(5)〜(7)に示す措置は、それぞれ単独で実施されても良いし、二以上が複合的に実施されても良い。
【0066】
(5) クリーニング機構6によるクリーニング時間を延長する措置。
(6) クリーニング機構6によるクリーナ動作速度(吸引力)を変化させる措置。
(7) トランスファ機構16のプランジャを空動作させる措置。
【0067】
上記(5)の措置(クリーニング時間を延長する措置)は、例えば、クリーナヘッド54の移動速度を下げる措置や、クリーナヘッド54による型面の清掃回数を増やす措置等が例示される。このような措置によりクリーニング時間を延長することで、清掃効果を確保することが可能となる。
【0068】
上記(6)の措置(クリーナ動作速度を変化させる措置)は、インバータ制御によって集塵機50,51の吸引力を制御することにより実現することができ、例えば、吸気経路における塵埃量が低下した場合には吸引力を強める等、塵埃量の変化に応じて各吸引口57,58に作用する吸引力を変化させることが例示される。このような吸引力を変化させる措置によっても、清掃効果を確保することが可能となる。
【0069】
上記(7)の措置(プランジャを空動作させる措置)は、下型17bの収容ポット形成孔部18a内に樹脂カス等の汚れが付着している場合に有効な措置であり、例えば、後述するプランジャ圧監視部8cと連繋し、プランジャを後退させる際の摺動抵抗が所定の閾値を超えた場合に、該摺動抵抗が所定の閾値以下となるまでプランジャを空動作させることが例示される。これにより、樹脂カス等の汚れが特に残りやすい収容ポット形成孔部18a内を効果的に清掃することが可能となるため、清掃効果を確保することが可能となる。
【0070】
なお、この場合におけるプランジャの空動作の回数や期間は、プランジャの摺動抵抗の測定値に応じて適宜設定することが可能であるが、プランジャ圧監視部8cにおける摺動抵抗の測定値だけではなく、該摺動抵抗の測定値とクリーニング性能監視部8aで測定した塵埃量とを関連付けて、収容ポット形成孔部18a内の清掃不足等を診断した上でリアルタイムに自動調整することも可能である。これにより、例えば塵埃量が通常値よりも低いにも拘わらず摺動抵抗が通常値よりも大きい場合には、収容ポット形成孔部18a内の清掃が不足していると判断して、プランジャの空動作を繰り返し実行し、その後、塵埃量が向上してプランジャの摺動抵抗が下がった場合には、清掃が完了したと判断して、プランジャの空動作を終了するというようなリアルタイムなフィードバック制御を実行することが可能となるため、清掃効果を高めることが可能となる。
【0071】
また、プランジャの空動作の回数や期間は、上記(4)の方法(型面を撮像する方法)における撮像手段と連繋し、撮像手段により観察される型面の汚れとクリーニング性能監視部8aで測定した塵埃量とを関連付けて、収容ポット形成孔部18a内の清掃不足等を診断した上でリアルタイムに自動調整することも可能である。このような型面の汚れと塵埃量とを関連付けてプランジャの空動作を繰り返し実行する措置によっても、清掃効果を高めることが可能となる。
【0072】
さらに、クリーニング性能監視部8aは、吸気経路内の任意の位置及び/又は集塵機50,51の吸引口やフィルタ等に、例えば磁気センサや近接スイッチ等の金属検知手段が設けられており、該金属検知手段により、金属異物の混入を検出可能に構成されている。また、クリーニング性能監視部8aは、金属異物の混入を検出した場合に、種々の報知手段を介して異常を報知したり、樹脂封止システム1の動作を停止させたりするよう構成されている。
【0073】
エジェクタピン圧監視部8bは、樹脂成形金型17に内蔵されたエジェクタピンに付加された荷重を測定可能な歪ゲージ等の種々の圧力測定手段を備えており、該圧力測定手段によってエジェクタピンの荷重をリアルタイムに測定することで、樹脂成形金型17内に樹脂を注入する際の樹脂圧や、樹脂成形金型17の型面から樹脂成形体Pを離型させる際の離型力をリアルタイムに監視することが可能に構成されている。また、エジェクタピン圧監視部8bは、図8に示すように、当該エジェクタピン圧(樹脂圧や離型力)の波形データを表示手段9のエジェクタピン圧表示領域9bにリアルタイムで表示させることが可能に構成されている。さらに、エジェクタピン圧監視部8bは、樹脂注入時の樹脂圧及び離型時の離型力に異常が生じた場合(例えば、所定の閾値以上の樹脂圧又は離型力が発生した場合)に、種々の報知手段を介して異常を報知したり、エジェクタピンやプランジャの動作圧を調整するためのフィードバック制御信号を動作制御部7に出力したり、樹脂封止システム1の動作を停止させたりするよう構成されている。このようなエジェクタピン圧監視部8bとしては、例えば、特許第6067832号公報や特開2018−117021号公報に記載の離型力測定機構等を採用することが可能である。
【0074】
プランジャ圧監視部8cは、トランスファ機構16の各プランジャに付加された荷重を測定可能な歪ゲージ等の種々の圧力測定手段を備えており、該圧力測定手段によってプランジャの荷重をリアルタイムに測定することで、樹脂成形金型17内に樹脂を注入する際の樹脂圧や、下型17bの収容ポット形成孔部18a内に付着した樹脂カス等に起因する摺動抵抗をリアルタイムに監視することが可能に構成されている。また、プランジャ圧監視部8cは、図8に示すように、当該プランジャ圧(樹脂圧や摺動抵抗)の波形データを表示手段9のプランジャ圧表示領域9cにリアルタイムで表示させることが可能に構成されている。さらに、プランジャ圧監視部8cは、樹脂注入時の樹脂圧に異常が生じた場合(例えば、所定の閾値以上の樹脂圧が発生した場合)に、種々の報知手段を介して異常を報知したり、プランジャの動作圧を調整するためのフィードバック制御信号を動作制御部7に出力したり、樹脂封止システム1の動作を停止させたりするよう構成されている。このようなプランジャ圧監視部8cとしては、例えば、本出願人が出願した特願2017−208021に記載の樹脂圧測定装置等を採用することが可能である。
【0075】
また、本実施形態に係るプランジャ圧監視部8cは、下型17bの収容ポット形成孔部18aに対するプランジャの摺動抵抗に異常が生じた場合(例えば、所定の閾値以上の摺動抵抗が発生した場合)に、種々の報知手段を介して異常を報知したり、収容ポット形成孔部18a内の汚れを掻き出すためにプランジャを空動作させるフィードバック制御信号を動作制御部7に出力したりするよう構成されている。
【0076】
搬送振動監視部8dは、ローダ23の振動等を測定可能な種々の測定手段を備えており、該測定手段によって被成形品Wを搬送する際の搬送振動等をリアルタイムに測定することで、該搬送振動等に起因して生じる金線折れ等の不良発生をリアルタイムに予測乃至監視することが可能に構成されている。また、搬送振動監視部8dは、図8に示すように、当該搬送振動等の波形データを表示手段9の搬送振動表示領域9dにリアルタイムで表示させることが可能に構成されている。さらに、搬送振動監視部8dは、搬送振動等に異常が生じた場合(例えば、所定の閾値以上の振動が発生した場合)に、種々の報知手段を介して異常を報知したり、対象となる被成形品Wを自動で排除したり、樹脂封止システム1の動作を停止させたりするよう構成されている。
【0077】
未充填検査監視部8eは、ゲートブレーク装置40と回収装置32との間に設けられた未充填検査装置を備えており、該未充填検査装置によって収納搬送装置34により搬送される樹脂成形品を撮像して画像処理することによって、該樹脂成形品に対する成形不良等の検査乃至監視をリアルタイムで実行することが可能に構成されている。また、未充填検査監視部8eは、図8に示すように、当該樹脂成形品の画像データを表示手段9の未充填検査画像表示領域9eにリアルタイムで表示させることが可能に構成されている。さらに、未充填検査監視部8eは、樹脂成形品に成形不良等が発見された場合に、種々の報知手段を介して異常を報知したり、対象となる被成形品Wを自動で排除したり、樹脂封止システム1の動作を停止させたりするよう構成されている。なお、未充填検査装置は、種々の公知の構成を採用することが可能であるため、その詳細な説明を省略する。
【0078】
[表示手段]
表示手段9は、樹脂封止システム1全体を覆うフレームに設けられたディスプレイであり、図8に示すように、樹脂封止システム1の動作状況を表示可能に構成されている。具体的には、表示手段9は、クリーニング性能監視部8aにより測定されたクリーニング性能の波形データを表示するクリーニング性能表示領域9aと、エジェクタピン圧監視部8bにより測定されたエジェクタピン圧の波形データを表示するエジェクタピン圧表示領域9bと、プランジャ圧監視部8cにより測定されたプランジャ圧の波形データを表示するプランジャ圧表示領域9cと、搬送振動監視部8dにより測定された搬送振動の波形データを表示する搬送振動表示領域9dと、未充填検査監視部8eにより撮像された画像データを表示する未充填検査画像表示領域9eとを有する動作状況表示画面を表示可能に構成されている。これにより、樹脂封止システム1のリアルタイムな動作状況を一元的に確認することが可能となる。なお、表示手段9は、操作入力機能を有するタッチパネルであっても良い。
【0079】
[樹脂封止システム1の基本動作]
次に、本実施形態に係る樹脂封止システム1の基本動作について、説明する。なお、以下の樹脂封止システム1の動作は、予め記憶部に記憶されたプログラムに基づいて、ローダユニット4、第1〜第3プレスユニット2A〜2C、アンローダユニット5及びクリーニング機構6の各駆動部が動作制御部7によって駆動制御されることにより実行される。
【0080】
まず、ローダユニット4のフレームプッシャ21によってローダラック20から整列装置22に向けて被成形品Wが1枚ずつ送り出される。ローダラック20から送り出された被成形品Wは、整列装置22において樹脂成形金型17の配置に合わせて整列され、ローダ23に受け渡される。ローダ23は、整列装置22から受け取った2つの被成形品Wをプリヒータ装置に受け渡し、予熱させた上で回収すると共に、タブレット供給装置24から樹脂タブレットを受け取り、これら被成形品W及び樹脂タブレットを第1プレスユニット2Aの樹脂封止装置10に搬送する。そして、ローダ23は、樹脂成形金型17の下型17bに2つの被成形品Wを載置させると共に、樹脂タブレットを下型17bの各収容ポット形成孔部18aにそれぞれ投下させる。
【0081】
被成形品W及び樹脂タブレットが樹脂封止装置10に受け渡されると、樹脂封止装置10は、樹脂封止成形を実行する。これにより、第1プレスユニット2Aの樹脂封止装置10において不要樹脂付きの樹脂成形体Pが製造される。また、第1プレスユニット2Aの樹脂封止装置10による樹脂封止成形と並行して、ローダユニット4によって第2プレスユニット2Bの樹脂封止装置10に対しても被成形品W及び樹脂タブレットが供給され、該第2プレスユニット2Bの樹脂封止装置10においても樹脂封止成形が行われる。さらに、第2プレスユニット2Bの樹脂封止装置10による樹脂封止成形と並行して、ローダユニット4によって第3プレスユニット2Cの樹脂封止装置10に対しても被成形品W及び樹脂タブレットが供給され、該第3プレスユニット2Cの樹脂封止装置10においても樹脂封止成形が行われる。
【0082】
そして、第1プレスユニット2Aの樹脂封止装置10において不要樹脂付きの樹脂成形体Pが製造されると、アンローダユニット5のアンローダ30は、第1プレスユニット2Aまで移動し、該第1プレスユニット2Aの樹脂封止装置10内に進入する。この際、下型17bは、アンローダ30の進入を妨げないよう上型17aに対して十分離間しており、アンローダ30は、クリーナヘッド54が下型17bの前端縁部を通り越すまで樹脂成形金型17間に進入した上で(オーバーランした上で)、下型17bの上方で停止する。アンローダ30の停止後、樹脂成形体Pがアンローダ30によって回収可能となる位置まで下型17bが上昇し、アンローダ30の搬送爪によって樹脂成形体Pが保持される。
【0083】
その後、アンローダ30が樹脂成形体Pを保持したまま後退することで、樹脂成形金型17から樹脂成形体Pが回収される。また、このアンローダ30が後退する際にクリーナヘッド54からの吸引動作を実行することで、該樹脂封止装置10の上型17a及び下型17bの各型面を清掃する。すなわち、アンローダ30による樹脂成形金型17からの樹脂成形体Pの回収と、クリーニング機構6による樹脂成形金型17の清掃とが同時並行して実行される。
【0084】
その後、アンローダ30は、第1プレスユニット2Aの樹脂封止装置10から回収した不要樹脂付きの樹脂成形体Pをアンローダユニット5のゲートブレーク装置40に向けて搬送する。この際においてもクリーナヘッド54からの吸引動作を実行することで、前回のゲートブレーク動作によって発生したゲートブレーク装置40内の粉塵等を除去する。すなわち、アンローダ30によるゲートブレーク装置40に対する樹脂成形体Pの搬入と、クリーニング機構6によるゲートブレーク装置40の清掃とが同時並行して実行される。そして、ゲートブレーク装置40において樹脂成形体Pから不要樹脂を除去し、不要樹脂が除去された樹脂成形体P(樹脂成形品)を収納搬送装置34により回収した後、未充填検査監視部8e(未充填検査装置)による検査を経て回収装置32に収納させる。
【0085】
また、第1プレスユニット2Aの樹脂封止装置10からの回収に続いて、第2プレスユニット2Bの樹脂封止装置10からの回収が行われ、これに更に続いて、第3プレスユニット2Cからの回収が行われる。このように3台のプレスユニット(第1〜第3プレスユニット2A〜2C)を連続稼働させることで、樹脂成形品を連続的に製造することができる。また、以上の工程を連続して繰り返し実行することにより、樹脂成形品を連続して製造し続けることができる。
【0086】
[樹脂封止システム1の監視動作]
本実施形態に係る樹脂封止システム1では、上述した動作制御部7による基本動作とは別に、監視制御部8による監視制御が実行される。なお、以下の樹脂封止システム1の監視制御は、予め記憶部に記憶されたプログラムに基づいて実行される。
【0087】
まず、動作制御部7によって上述したローダユニット4による被成形品Wの搬送が実行されている間、監視制御部8の搬送振動監視部8dによりローダ23の振動等がリアルタイムに監視される。そして、ローダ23に異常な振動が生じた場合には、金線折れ等の不良が発生した可能性があると判断し、種々の報知手段を介して異常を報知する。また、必要に応じて、対象となる被成形品Wを自動で排除したり、樹脂封止システム1の動作を停止させたりする。
【0088】
次に、動作制御部7によって上述した樹脂封止装置10による樹脂封止成形が実行されている間、監視制御部8のエジェクタピン圧監視部8bによりエジェクタピンの荷重(樹脂圧や離型力)がリアルタイムに監視されると共に、プランジャ圧監視部8cによりプランジャの荷重(樹脂圧や摺動抵抗)がリアルタイムに監視される。そして、これらエジェクタピンやプランジャに所定の許容値以上の荷重が生じた場合には、樹脂成形金型17の型面の清掃が不十分であると判断し、上述したクリーニング性能回復措置を実行したり、エジェクタピンやプランジャの動作圧を調整するためのフィードバック制御信号を動作制御部7に出力したりする。一方、エジェクタピンやプランジャに所定の許容値を遥かに超える異常な荷重(上記所定の許容値よりも高い閾値を超える荷重)が生じた場合には、機械的な故障の可能性があると判断し、種々の報知手段を介して異常を報知したり、樹脂封止システム1の動作を停止させたりする。
【0089】
次に、動作制御部7によって上述したクリーニング機構6による樹脂成形金型17の清掃が実行されている間、監視制御部8のクリーニング性能監視部8aにより上述したクリーニング性能(吸気不良や集塵不良等)がリアルタイムに監視される。そして、クリーニング性能監視部8aによりクリーニング性能の低下が検出された場合には、樹脂成形金型17の型面の清掃が不十分であると判断し、発生原因や発生箇所を診断して表示手段9等に表示したり、クリーニング性能回復措置を実行するためのフィードバック制御信号を動作制御部7に出力したりする。また、クリーニング性能の低下が著しい場合には、機械的な故障の可能性があると判断し、種々の報知手段を介して異常を報知したり、樹脂封止システム1の動作を停止させたりする。
【0090】
次に、動作制御部7によって上述したゲートブレーク装置40から回収装置32への樹脂成形体P(樹脂成形品)の搬送が実行される際に、監視制御部8の未充填検査監視部8eにより上述した未充填検査がリアルタイムに実行される。そして、未充填検査監視部8eにより成形不良が検出された場合には、種々の報知手段を介して異常を報知したり、対象となる被成形品Wを自動で排除したり、樹脂封止システム1の動作を停止させたりする。
【0091】
以上のとおり、本実施形態に係る樹脂封止システム1では、動作制御部7による動作制御(本体制御)とは別に監視制御部8(センシングシステム)を付随的に準備して搭載する形態としたことにより、本体制御系に影響することなく高負荷の演算処理を行うことが可能となる。また、監視制御部8(センシングシステム)による自動監視とデータ管理を実行することにより、作業者の技量(経験や勘)に依存することなく、不良の発生を効果的に抑えることが可能となる。このような利点は、樹脂封止装置10に対する被成形品W(リードフレームや電子部品基板等)及び樹脂タブレットの供給から樹脂封止後の樹脂成形品の回収までを自動で連続して実行する全自動樹脂成形システムにおいて、特に有効である。
【0092】
以上説明したとおり、本実施形態に係る樹脂封止システム1は、クリーニング性能監視部8aにおいて、クリーナヘッド54の各吸引口57,58における吸気不良、該吸引口57,58から各ダクト55,56a,56b,52,53を介して集塵機50,51に至る吸気経路における吸気不良、及び、該吸気経路における集塵不良の少なくとも1つを検出可能に構成されている。このように構成された樹脂封止システム1によれば、集塵機50,51自体が有するフィルタ詰まり検知機能では検知できない、吸気経路のリーク等に起因する吸気不良や集塵不良を検知することが可能となり、適切な対策を講じることが可能となるため、樹脂成形金型17のクリーニングをより高精度に実施することが可能となる。
【0093】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態に記載の範囲には限定されない。上記各実施形態には、多様な変更又は改良を加えることが可能である。
【0094】
例えば、クリーニング機構は、上述したクリーニング機構6の構成に限定されるものではなく、吸引力を発生させる集塵機と、樹脂成形金型の型面と対応する吸引口を有し、該型面上を移動可能なクリーナヘッドと、クリーナヘッドの吸引口と集塵機とを流体連通させるダクトとを備えるクリーニング機構であれば、種々の任意の構成を採用することが可能である。
【0095】
また、上述した実施形態では、クリーニング性能監視部8aが、クリーナヘッド54の各吸引口57,58における吸気不良と、吸気経路における吸気不良及び集塵不良との全てを検出可能であるものとして説明したが、これに限定されず、これら吸気不良及び集塵不良の少なくとも一つ以上を検出可能であれば良い。
【0096】
上記のような変形例が本発明の範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0097】
1 樹脂封止システム、2A〜2C 第1〜第3プレスユニット、4 ローダユニット、5 アンローダユニット、6 クリーニング機構、7 動作制御部、8 監視制御部、8a クリーニング性能監視部、8b エジェクタピン圧監視部、8c プランジャ圧監視部、8d 搬送振動監視部、8e 未充填検査監視部、9 表示手段、9a クリーニング性能表示領域、9b エジェクタピン圧表示領域、9c プランジャ圧表示領域、9d 搬送振動表示領域、9e 未充填検査画像表示領域、10 樹脂封止装置、11 下プラテン、12 タイバー、13 上プラテン、14 移動プラテン、15 昇降型締機構、16 トランスファ機構、17 樹脂成形金型、17a 上型、17b 下型、18a 収容ポット形成孔部、18b ランナ溝、18c キャビティ凹部、20 ローダラック、21 フレームプッシャ、22 整列装置、22a,22b 搬送ベルト、23 ローダ、24 タブレット供給装置、30 アンローダ、32 回収装置、34 収納搬送装置、40 ゲートブレーク装置、50 カル用集塵機、51 キャビティ用集塵機、52 カル用固定ダクト、52a〜52d 第1〜第4分岐路、53 キャビティ用固定ダクト、53a〜53d 第1〜第4分岐路、54 クリーナヘッド、55 カル用伸縮ダクト、55a 連結部、56a,56b キャビティ用伸縮ダクト、56c 連結部、57 上方側吸引口、57a,57b キャビティ用吸引口、57c カル用吸引口、58 下方側吸引口、58a,58b キャビティ用吸引口、58c カル用吸引口、59 リップゴム、P 樹脂成形体、W 被成形品
【要約】
【課題】金型のクリーニングをより高精度に実施することが可能な樹脂封止システムを提供する。
【解決手段】樹脂成形金型と、該樹脂成形金型の型面をクリーニング可能なクリーニング機構とを備える樹脂封止システムであって、クリーニング機構におけるクリーニング性能を監視可能なクリーニング性能監視部を更に備え、クリーニング機構は、吸引力を発生させる集塵機と、樹脂成形金型の型面と対応する吸引口を有し、該型面上を移動可能なクリーナヘッドと、クリーナヘッドの吸引口と集塵機とを流体連通させるダクトとを備え、クリーニング性能監視部は、クリーナヘッドの吸引口における吸気不良、該吸引口からダクトを介して集塵機に至る吸気経路における吸気不良、及び、該吸気経路における集塵不良の少なくとも1つを検出可能に構成されている。
【選択図】図1
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