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特許6676728極地海域における海氷領域の探知方法およびそのための探知システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6676728
(24)【登録日】2020年3月16日
(45)【発行日】2020年4月8日
(54)【発明の名称】極地海域における海氷領域の探知方法およびそのための探知システム
(51)【国際特許分類】
   G06T 1/00 20060101AFI20200330BHJP
   G01W 1/08 20060101ALI20200330BHJP
【FI】
   G06T1/00 285
   G01W1/08 P
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-206475(P2018-206475)
(22)【出願日】2018年11月1日
(65)【公開番号】特開2019-87244(P2019-87244A)
(43)【公開日】2019年6月6日
【審査請求日】2018年11月1日
(31)【優先権主張番号】10-2017-0144615
(32)【優先日】2017年11月1日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518304915
【氏名又は名称】コリア インスティテュート オブ オーシャン サイエンス テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,チャン・ス
(72)【発明者】
【氏名】ホン,タン・ビー
【審査官】 佐藤 実
(56)【参考文献】
【文献】 Rudolf Ressel et al.,A Neural Network-Based Classification for Sea Ice Types on X-Band SAR Images,IEEE Journal of Selected Topics in Applied Earth Observations and Remote Sensing,IEEE,2015年 7月,VOL.8 NO.7,pp.3672-3680
【文献】 福島繁樹 外8名,ALOSデータを用いた海氷観測手法の開発及び利用に関する研究,海洋情報部技報,2008年,Vol.26,pp.44-52
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00 − 7/90
G01W 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛星から取得した信号情報、および、前記信号情報が含まれた複数の画像情報、を提供するステップと、
前記複数の画像情報からノイズを除去して複数の第1の画像を生成するステップと、前記複数の第1の画像の中から1つ以上を選択し、選択された画像の各ピクセルに分析情報を学習させるステップと、
前記分析情報の学習結果、および、すでに格納された極地地域の気象情報、に基づいて、前記複数の第1の画像のぞれぞれのピクセルについて、海氷領域および海水領域に属する領域を分析して探知するステップと、
探知結果に基づいて、前記海氷領域および前記海水領域が区分された極地海域の映像を生成するステップと、を含み、
前記複数の第1の画像を生成するステップは、
前記信号情報に基づいて前記複数の画像情報から信号ノイズを除去するステップと、
前記信号ノイズが除去された複数の画像情報をダウンスケーリングして映像ノイズを除去するステップと、を含み、
前記映像ノイズを除去するステップは、
前記信号ノイズが除去された複数の画像情報のそれぞれにおいて10*10ピクセルの平均値を算出するステップと、
前記平均値に応じて前記複数の画像情報のそれぞれの全体ピクセルに対するダウンスケーリングを行うステップと、を含み、
前記複数の画像情報は、時間帯別に極地地域の互いに異なる領域に対して生成されて提供され、
前記複数の画像情報の中で互いに隣接して一部が重なる画像の重畳領域に対して、後の時間帯に生成された画像情報により前記重畳領域の画像情報が更新される極地海域における海氷領域の探知方法。
【請求項2】
前記複数の第1の画像を生成するステップは、前記複数の画像情報から前記極地地域の陸地領域を除去するステップをさらに含む請求項1に記載の極地海域における海氷領域の探知方法。
【請求項3】
前記分析情報を学習させるステップは、前記選択された第1の画像の各ピクセルに前記信号情報および前記気象情報のうち少なくとも1つを含む前記分析情報を学習させるステップである請求項1に記載の極地海域における海氷領域の探知方法。
【請求項4】
前記気象情報は、極地地域の海氷、海水、および陸地に対する気温特性値、風速特性値、および風向特性値を含む請求項1に記載の極地海域における海氷領域の探知方法。
【請求項5】
人工衛星から取得した複数の衛星信号に基づいて、信号情報、および、前記信号情報が含まれた極地地域に対する複数の画像情報、を生成する管制センタと、
前記管制センタから前記複数の画像情報および前記信号情報が提供され、前記極地地域を海氷領域、海水領域、および陸地領域に分類して極地海域の映像を生成する探知システムと、を含み、
前記探知システムは、
前記複数の画像情報から信号ノイズおよび映像ノイズを除去して複数の第1の画像を生成する前処理モジュールと、
前記極地地域に対する気象情報が格納されたデータベースと、
前記複数の第1の画像の中から1つ以上の第1の画像を選択し、選択された第1の画像の各ピクセルに前記信号情報および前記気象情報のうち少なくとも1つを含む分析情報を学習させる学習モジュールと、
前記分析情報の学習結果および前記気象情報に基づいて前記複数の第1の画像から海氷領域および海水領域を分析して探知し、探知結果に基づいて前記複数の第1の画像から前記極地海域の映像を生成する分析モジュールと、を含み、
前記前処理モジュールは、前記信号情報に基づいて前記複数の画像情報から前記信号ノイズを除去し、前記信号ノイズが除去された複数の画像情報に基づいて算出された10*10ピクセルの平均値に応じてダウンスケーリングを行って映像ノイズを除去し、
前記管制センタは、時間帯別に前記極地地域の互いに異なる領域に対して前記複数の画像情報を生成し、前記複数の画像情報の中で互いに隣接して一部が重なる画像の重畳領域は、後の時間帯に生成された画像情報により前記重畳領域の画像情報を更新して生成する極地海域における海氷領域の探知システム。
【請求項6】
前記前処理モジュールは、前記信号ノイズおよび前記映像ノイズが除去された複数の画像情報に基づいて前記極地海域の前記陸地領域を分析して探知する請求項に記載の極地海域における海氷領域の探知システム。
【請求項7】
前記気象情報は、前記極地地域の海氷、海水、および陸地に対する気温特性値、風速特性値、および風向特性値を含む請求項に記載の極地海域における海氷領域の探知システム。
【請求項8】
前記信号情報は、前記人工衛星から送出される信号の偏波情報、入射角情報、ならびに前記極地地域の海氷、海水、および陸地から反射される反射波情報、を含む請求項に記載の極地海域における海氷領域の探知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、極地海域における海氷領域の探知方法に関し、特に、極地海域において海氷(sea ice)が存在する領域を正確に探知することができる極地海域における海氷領域の探知方法およびそのための探知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
船舶の建造および航海技術の発達に伴い、新しい航路の開拓についての国際的な関心が高まっている。このうち極地海域の北極海航路(Northern Sea Route)は、マラッカ海峡およびスエズ運河を通過する既存の南方航路(Southern Sea Route)に比べて航路距離を最大40%短縮し、運航日数も30日から20日に減らすことができる。このような経済的利点により、北極海航路の利用は次第に増加傾向にある。
【0003】
近年、地球環境に大きな影響を及ぼしている地球温暖化により極地海域の海氷は急速に減少している。これにより、北極海航路を通過する船舶の安全運航を支援するために、極地海域における海氷領域を探知し、これを反映して最適航路を算出する方法が開発されている。
【0004】
従来は、砕氷船などのように極地海域を航行することができる船舶に計測機器を設置し、これを用いて極地海域の海氷を探知することにより、北極海航路において海氷が存在する領域を考慮して最適な船舶の航路を算出していた。
【0005】
しかしながら、このような方法は、特殊船舶の運用によって得られる情報に基づいているため、情報の量が限定され、これにより、極地海域において海氷が存在する領域を正確に探知することが難しかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、極地海域において海氷領域と海水領域とを分析および探知し、これにより、陸地、海氷、および海水が正確に区分された極地海域の映像を生成することができる極地海域における海氷領域の探知方法、および、そのための探知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本発明の海氷領域の探知方法は、衛星から取得した信号情報、および、前記信号情報が含まれた複数の画像情報(imageinformation)、を提供するステップと、前記複数の画像情報からノイズを除去して複数の第1の画像を生成するステップと、前記複数の第1の画像の中から1つ以上を選択し、選択された画像の各ピクセルに分析情報を学習させるステップと、前記分析情報の学習結果、および、すでに格納された極地地域の気象情報、に基づいて、前記複数の第1の画像のそれぞれのピクセルについて、海氷領域および海水領域に属する領域を分析して探知するステップと、探知結果に基づいて、前記複数の第1の画像から前記海氷領域および前記海水領域が区分された極地海域の映像を生成するステップと、を含む。
【0008】
前記目的を達成するための本発明は、人工衛星から取得した複数の衛星信号に基づいて、信号情報、および、前記信号情報が含まれた極地地域に対する複数の画像情報、を生成する管制センタと、前記管制センタから前記複数の画像情報および前記信号情報が提供され、前記極地地域を海氷領域、海水領域、および陸地領域に分類して極地海域の映像を生成する探知システムと、を含む。
【0009】
前記探知システムは、前記複数の画像情報から信号ノイズおよび映像ノイズを除去して複数の第1の画像を生成する前処理モジュールと、極地地域の気象情報が格納されたデータベースと、前記複数の第1の画像の中から1つ以上の第1の画像を選択し、選択された第1の画像の各ピクセルに前記信号情報および前記気象情報のうち少なくとも1つを含む分析情報を学習させる学習モジュールと、前記分析情報の学習結果および前記気象情報に基づいて前記複数の第1の画像から海氷領域および海水領域を分析して探知し、探知結果に基づいて前記複数の第1の画像から前記極地海域の映像を生成する分析モジュールと、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る極地海域における海氷領域の探知方法によると、人工衛星の観測データを用いて生成される極地海域の画像に、衛星の信号特性に応じた信号情報、および、極地地域の気象情報、を反映して分析することにより、極地海域における海氷領域に対する探知精度を高めることができる。
【0011】
これにより、本発明は、探知された海氷領域に沿って北極海航路を運航する多くの船舶に最適の航路を提供することができるのみならず、衛星の観測データを利用して海氷領域を探知するので、気候変動による海氷領域の変化をリアルタイムで探知して分析することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る検知システムの構成を示す図
図2】本発明の探知システムを用いた海氷領域の探知方法を示す図
図3a】本発明の海氷領域の探知方法の例を示す図
図3b】本発明の海氷領域の探知方法の例を示す図
図3c】本発明の海氷領域の探知方法の例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施例を添付の図面を参照して詳しく説明するが、本発明は、これらの実施例により限定されるものではない。なお、以下の説明において、同一の機能および構成を有する構成要素については、同一の符号を付す。
【0014】
図1は、本発明に係る検知システムの構成を示す図であり、図2は、本発明の探知システムを用いた海氷領域の探知方法を示す図である。
【0015】
本発明の探知システム100は、管制センタ200から提供される極地地域に対する複数の画像から極地海域の映像を生成して出力することができる。探知システム100により生成された極地海域の映像は、たとえば、海氷領域が正確に探知されて表示された映像である。
【0016】
管制センタ200は、極地地域を観測する人工衛星300から複数の衛星信号が提供されるものであり、これらの信号に基づいて極地地域に対する複数の情報、たとえば、複数の画像情報を生成することができる。
【0017】
複数の画像情報は、極地地域の画像に対する複数のピクセルの情報を含むことができ、各ピクセルには、衛星の信号特性値に応じた信号情報が対応づけられている。つまり、管制センタ200は、人工衛星300の複数の衛星信号に基づいて、各ピクセルに信号情報が対応づけられた複数の画像情報を生成することができる。
【0018】
衛星の信号特性値に応じた信号情報は、人工衛星300から極地地域に送出される信号の偏波情報、入射角情報、ならびに、極地地域の海氷、海水および陸地から反射される信号の反射波情報、を含むことができる。
【0019】
ここで、人工衛星300から送出される信号は、HH偏波およびHV偏波を含むことができ、HV偏波は、HH偏波に比べて海水および海氷から反射される反射波情報がはっきり表れる特性がある。
【0020】
なお、信号の入射角情報は、たとえば、人工衛星300から極地地域への垂直法線に対して送出される信号の送出角度を意味する。ここで、入射角の大きさが小さいほど反射波の大きさが大きくなる特性がある。
【0021】
一方、本実施例は、管制センタ200と探知システム100とが分離されている構成を例として説明するが、これに限定されない。たとえば、探知システム100は、人工衛星300から複数の衛星信号が提供されて極地地域に対する画像を生成するものであってもよい。
【0022】
人工衛星300は、たとえば、地球の公転および自転によって時間帯別に極地地域の互いに異なる領域に複数の信号を送出する極軌道衛星であり、これによる複数の衛星信号を管制センタ200に送信することができる。
【0023】
探知システム100は、管制センタ200から提供された複数の画像情報から極地海域において海氷が存在する領域を分析して探知することができる。探知システム100は、探知結果に応じて極地海域に対する映像情報を生成することができる。探知システム100は、前処理モジュール110、学習モジュール120、分析モジュール130、およびデータベース140を含むことができる。
【0024】
前処理モジュール110は、管制センタ200から提供された複数の画像情報のノイズを除去することができる(S10)。前処理モジュール110は、複数の画像情報に対して信号ノイズおよび映像ノイズをそれぞれ除去することができる。そのため、前処理モジュール110は、少なくとも2つのノイズ除去ユニットを含むことができる。
【0025】
前処理モジュール110は、衛星の信号特性値に応じた信号情報から複数の画像情報に対する信号ノイズを除去することができる(S11)。信号ノイズの除去により、前処理モジュール110は、複数の画像情報に対するレーダー反射面積(Radar Cross Section;RCS)値を算出することができる。一方、信号情報にHV偏波に対する反射波情報が含まれた場合、前処理モジュール110は入射角情報から追加の信号ノイズを除去することもできる。
【0026】
前処理モジュール110は、信号ノイズが除去された複数の画像情報に対する映像ノイズを除去することができる(S12)。映像ノイズの除去は、画像に対するダウンスケーリング(downscaling)により行うことができる。たとえば、前処理モジュール110は、複数のそれぞれの画像情報において所定個数のピクセルの平均値を算出し、算出された平均値に応じてすべてのピクセルに対するダウンスケーリングを行うことができる。
【0027】
本実施例は、一例として、前処理モジュール110が各画像情報に対して10*10ピクセルの平均値を算出し、これを用いて各画像情報のすべてのピクセルに対するダウンスケーリングを行うことができる。しかしながら、本発明はこれに限定されない。
【0028】
前処理モジュール110は、複数の画像情報に対して信号ノイズおよび映像ノイズを除去して複数の第1の画像を生成することができる。前処理モジュール110は、映像ノイズを先に除去した後で信号ノイズを除去することもでき、2つのノイズ除去動作を同時に行うこともできる。
【0029】
前処理モジュール110で生成される複数の第1の画像は、たとえば、極地地域の陸地領域が除去された画像である。つまり、前処理モジュール110は、信号ノイズおよび映像ノイズが削除された複数の画像情報において極地地域の陸地領域を探知して複数の第1の画像を生成することができる。
【0030】
なお、前処理モジュール110は、外部から提供される極地地域の水深データから陸地領域を探知することができる。たとえば、前処理モジュール110は、ノイズが除去された複数の第1の画像の各ピクセルに対応する水深データの値が0m以上であるピクセルを陸地領域として探知することができる。前処理モジュール110は、複数の第1の画像において探知された陸地領域のピクセルを除去することができる。したがって、前処理モジュール110で出力される複数の第1の画像は、たとえば、極地地域の海水領域および海氷領域に対する画像である。
【0031】
学習モジュール120は、前処理モジュール110が生成した複数の第1の画像の中から1つ以上の画像を選択し、選択された画像に対して解析情報を学習させることができる(S20)。
【0032】
たとえば、学習モジュール120は、選択された第1の画像において海氷領域および海水領域を分類し、分類された各領域のピクセルに分析情報を学習させることができる。分析情報は、管制センタ200から提供された信号情報を含むことができる。また、分析情報は、データベース140から提供された気象情報を含むことができる。気象情報は、極地地域の気温情報および風情報を含むことができる。
【0033】
学習モジュール120は、複数の第1の画像の中から各領域を明確に区分することができる1つ以上の画像を選択することにより、選択された画像に対する分析情報学習の精度を高めることができる。
【0034】
分析モジュール130は、学習モジュール120の学習結果に基づいて複数の第1の画像において海氷領域および海水領域をそれぞれ分析して探知することができる(S30)。続いて、分析モジュール130は、探知結果に応じて複数の第1の画像から極地海域に対する映像を生成することができる(S40)。
【0035】
分析モジュール130は、学習モジュール120によって学習された分析情報に基づいて複数の第1の画像のそれぞれのピクセルが海氷領域および海水領域のうちどの領域に属するかを分析することができる。また、分析モジュール130は、分析結果に基づいて各第1の画像において海氷領域および海水領域を探知することができる。
【0036】
続いて、分析モジュール130は、探知結果に基づいて複数の第1の画像から領域が区分された極地海域の映像を生成することができる。この際、分析モジュール130は、分析結果および探知結果に基づいて領域間の境界線を補正することもできる。
【0037】
分析モジュール130は、管制センタ200から提供された信号情報、および、データベース140に格納された気象情報、のうち少なくとも1つを用いて領域の分析および探知を行うことができる。分析モジュール130は、領域の分析および探知に対する精度を高めるために、信号情報および気象情報のすべての特性値を用いることもでき、信号情報および気象情報から所定個数の特性値を選択して用いることもできる。
【0038】
分析モジュール130は、学習モジュール120の学習結果を正規化し、カーネル関数およびマージンパラメータに対する変数値を指定するか、あるいは確率的勾配降下法を用いることができる。分析モジュール130は、正規化された学習結果、変数値、信号情報、および気象情報の特性値を用いて複数の第1の画像のそれぞれのピクセルに対する情報を分析および探知することができる。
【0039】
データベース140には、極地地域に対する気象情報を格納することができる。気象情報は、海氷、海水、および陸地の気温に対する特性値と、極地地域の風速および風向に対する特性値とを含むことができる。
【0040】
このように、本実施例の探知システム100は、人工衛星300から提供された複数の衛星信号に基づいて生成された極地地域に対する複数の画像に対して、衛星信号の特性値に応じた信号情報、および、極地地域に対する気象情報、を用いて海氷領域および海水領域の領域分類を学習させ、学習結果によって複数の画像において海氷領域および海水領域を正確に探知して極地海域の映像を生成することができる。
【0041】
したがって、本実施例の探知システム100は、従来の特殊船舶を利用した極地地域の海氷探知よりも探知精度を高めることができ、また、リアルタイムで海氷領域を探知することができる。
【0042】
図3a〜図3cは、本発明の海氷探知方法の例を示す図である。
【0043】
図3aに示すように、管制センタ200は、極地地域の互いに異なる領域に対する複数の画像情報を生成することができる。この際、互いに一部分が重なる画像情報は、後の時間帯に生成された画像情報により更新される。
【0044】
たとえば、管制センタ200は、時間t0で提供された衛星信号からa1領域に対する画像情報を生成し、時間t1で提供された衛星信号からa2領域に対する画像情報を生成することができる。この際、a1領域の画像情報とa2領域の画像情報とは所定の部分が重なることがある。この際、管制センタ200は、2つの画像の重畳領域に対してa2領域の画像情報を適用して生成することができる。
【0045】
図3bに示すように、探知システム100は、管制センタ200から提供された複数の画像情報に対して信号ノイズおよび映像ノイズを除去して複数の第1の画像を生成し、これらの中で1つ以上の画像を選択して分析情報を学習させることができる。この際、探知システム100は、学習の精度を高めるために、複数の第1の画像の中から海氷領域および海水領域の区分が明確な1つ以上の画像を選択することができる。
【0046】
一方、複数の第1の画像は、探知システム100によって極地地域における陸地領域がすでに探知されて削除された画像でありうる。この際、探知システム100は、陸地領域に対する画像を所定の記憶領域に格納しておくことができる。
【0047】
図3cに示すように、探知システム100は、学習結果に基づいて複数の画像から海水領域(A3)および海氷領域(A2)を分析および探知して区分することができる。そして、探知システム100は、探知して区分された海水領域(A3)および海氷領域(A2)と、すでに探知された陸地領域(A1)とに基づいて、極地海域において陸地領域、海水領域、および海氷領域が区分された映像を生成することができる。また、探知システム100は、各領域に対する分析および探知により各領域間の境界線が明確になるように補正することもできる。
【符号の説明】
【0048】
100:探知システム
110:前処理モジュール
120:学習モジュール
130:解析モジュール
140:データベース
200:管制センタ
300:人工衛星
図1
図2
図3a
図3b
図3c