(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6676789
(24)【登録日】2020年3月16日
(45)【発行日】2020年4月8日
(54)【発明の名称】車両におけるアダプティブクルーズコントロールのための追い越し加速支援
(51)【国際特許分類】
B60W 30/08 20120101AFI20200330BHJP
B60W 30/14 20060101ALI20200330BHJP
B60W 40/04 20060101ALI20200330BHJP
G01S 15/93 20200101ALI20200330BHJP
G01S 15/87 20060101ALI20200330BHJP
G01S 13/87 20060101ALI20200330BHJP
【FI】
B60W30/08
B60W30/14
B60W40/04
G01S15/93
G01S15/87
G01S13/87
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-565342(P2018-565342)
(86)(22)【出願日】2017年6月9日
(65)【公表番号】特表2019-525863(P2019-525863A)
(43)【公表日】2019年9月12日
(86)【国際出願番号】EP2017064083
(87)【国際公開番号】WO2017216048
(87)【国際公開日】20171221
【審査請求日】2018年12月13日
(31)【優先権主張番号】62/351,630
(32)【優先日】2016年6月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】サメール パリク
【審査官】
三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】
特開2016−088504(JP,A)
【文献】
特開2013−180606(JP,A)
【文献】
特開2009−078735(JP,A)
【文献】
特開2012−066690(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第1724175(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00 − 50/16
G08G 1/00 − 99/00
B62D 6/00 − 6/10
B60K 31/00 − 31/18
G01S 13/00 − 15/93
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両のためのアダプティブクルーズコントロールシステムであって、
隣接車線の第1の視野内を検出して第1のデータを生成するように構成された超音波センサと、
前記隣接車線の第2の視野内を検出するように構成されたレーダセンサと、
前記隣接車線の第3の視野内を検出するように構成されたカメラと、
追い越し要求を示す入力を受信し、
前記入力の受信に応じて、
前記超音波センサから受信した前記第1のデータに部分的に基づき、物体が前記隣接車線に位置している場合を特定し、
前記隣接車線の前記第2の視野及び前記隣接車線の前記第3の視野からなるグループから選択された少なくとも1つの範囲内に前記物体が位置している場合に、前記物体の速度を特定し、
前記物体の速度に部分的に基づき、第1の追い越し加速ブーストを決定し、
前記第1の追い越し加速ブーストを、前記自車両のスロットルシステムを介して前記自車両に適用する、
ように構成された電子制御装置と、
を備えており、
前記電子制御装置は、前記隣接車線が空いている場合に、第2の追い越し加速ブーストを、前記スロットルシステムを介して前記自車両に適用するように、さらに構成されており、
前記電子制御装置は、前記物体が、前記隣接車線の前記第1の視野内に位置しており、かつ、前記隣接車線の前記第2の視野内に位置しておらず、かつ、前記隣接車線の前記第3の視野内に位置していない場合に、前記第1の追い越し加速ブースト又は前記第2の追い越し加速ブーストを適用することなく前記追い越し要求を取り消すように、さらに構成されている、
アダプティブクルーズコントロールシステム。
【請求項2】
前記レーダセンサは、第2のデータを生成するように、さらに構成されており、前記カメラは、第3のデータを生成するように、さらに構成されており、前記電子制御装置は、前記超音波センサから受信した前記第1のデータと、前記レーダセンサから受信した前記第2のデータと、前記カメラから受信した前記第3のデータとに部分的に基づき、前記物体の速度を特定する、請求項1に記載のアダプティブクルーズコントロールシステム。
【請求項3】
前記超音波センサ、前記レーダセンサ及び前記カメラは、前記自車両の前端部に向かって配置されている、請求項1に記載のアダプティブクルーズコントロールシステム。
【請求項4】
前記超音波センサ及び前記レーダセンサは、前記自車両の前端部に配置されている、請求項1に記載のアダプティブクルーズコントロールシステム。
【請求項5】
自車両のためのアダプティブクルーズコントロールシステムであって、
隣接車線の第1の視野内を検出して第1のデータを生成するように構成された超音波センサと、
前記隣接車線の第2の視野内を検出するように構成された非超音波センサと、
追い越し要求を示す入力を受信し、
前記入力の受信に応じて、
前記超音波センサから受信した前記第1のデータに部分的に基づき、物体が前記隣接車線内に位置している場合を特定し、
前記物体が前記隣接車線の前記第2の視野内に位置している場合に、前記物体の速度を特定し、
前記物体の前記速度に部分的に基づき、第1の追い越し加速ブーストを決定し、
前記第1の追い越し加速ブーストを、前記自車両のスロットルシステムを介して前記自車両に適用する
ように構成された電子制御装置と、
を備えており、
前記非超音波センサは、レーダセンサ及びカメラからなるグループから選択された少なくとも1つを含み、
前記電子制御装置は、前記隣接車線が空いている場合に、第2の追い越し加速ブーストを、前記スロットルシステムを介して前記自車両に適用するように、さらに構成されており、
前記電子制御装置は、前記物体が、前記隣接車線の前記第1の視野内に位置しており、かつ、前記隣接車線の前記第2の視野内に位置していない場合に、前記第1の追い越し加速ブースト又は前記第2の追い越し加速ブーストを適用することなく前記追い越し要求を取り消すように、さらに構成されている、
アダプティブクルーズコントロールシステム。
【請求項6】
前記非超音波センサは、第2のデータを生成し、前記電子制御装置は、前記超音波センサから受信した前記第1のデータと、前記非超音波センサから受信した前記第2のデータとに部分的に基づき、前記物体の速度を特定する、請求項5に記載のアダプティブクルーズコントロールシステム。
【請求項7】
前記超音波センサ及び前記非超音波センサは、前記自車両の前端部に向かって配置されている、請求項5に記載のアダプティブクルーズコントロールシステム。
【請求項8】
前記超音波センサ及び前記非超音波センサは、前記自車両の前端部に配置されている、請求項5に記載のアダプティブクルーズコントロールシステム。
【請求項9】
自車両に追い越し加速支援を提供する方法であって、
電子制御装置を用いて、追い越し要求を示す入力を受信するステップと、
前記電子制御装置を用いて、前記自車両の超音波センサからの第1のデータと、前記自車両の非超音波センサからの第2のデータとを受信するステップと、
前記電子制御装置を用いて、前記第1のデータに部分的に基づき、隣接車線の物体を検出するステップと、
前記物体が前記自車両の前記非超音波センサによって検出された場合に、前記電子制御装置を用いて、前記物体の速度を特定するステップと、
前記電子制御装置を用いて、前記物体の前記速度に部分的に基づき、第1の追い越し加速ブーストを決定するステップと、
前記第1の追い越し加速ブーストを、前記自車両のスロットルシステムを介して前記自車両に適用するステップと、
を含み、
前記非超音波センサは、レーダセンサ及びカメラからなるグループから選択された少なくとも1つを含み、
前記方法は、さらに、
前記隣接車線が空いている場合に、第2の追い越し加速ブーストを、前記スロットルシステムを介して前記自車両に適用するステップと、
前記物体が、前記超音波センサによって検出され、かつ、前記非超音波センサによって検出されていない場合に、前記第1の追い越し加速ブースト又は前記第2の追い越し加速ブーストを適用することなく前記追い越し要求を取り消すステップと、
を含む、方法。
【請求項10】
前記物体の速度を特定するステップは、前記超音波センサから受信した前記第1のデータと、前記非超音波センサから受信した前記第2のデータとに部分的に基づき、前記物体の速度を特定するステップを含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、「車両におけるアダプティブクルーズコントロールのための追い越し加速支援」とのタイトルのもとに2016年6月17日付けで出願された米国仮出願第62/351,630号明細書(U.S. Provisional Application No.62/351,630)の優先権を主張し、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
背景技術
本発明は、車両における追い越し加速支援を提供するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
車両におけるアダプティブクルーズコントロールシステムは、運転者が低速移動車両を追い越す意思を示した場合の追い越し加速支援を提供する。多くの現在のアダプティブクルーズコントロールシステムは、隣接車線の車両を追跡するために、レーダセンサ及び/又はカメラシステムを使用する。レーダセンサ及びカメラシステムの視野は、ホスト車両(自車両)に対して近距離においては狭くなっている。そのため、レーダセンサ及びカメラシステムを用いた近距離物体検出には限界がある。
【0004】
隣接車線の車両追跡は、コーナレーダセンサのような、より正確な専用のフロントコーナセンサを用いることによって顕著に改善することが可能である。コーナレーダセンサは、近距離であっても隣接車線における挙動を特定し得る隣接車線の方向を走査するレーダセンサである。しかしながら、フロントコーナセンサは、高価であり、典型的な大半の車両には含まれていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明の概要
アダプティブクルーズコントロールなどの先進運転者支援システムを含んだ多くの車両は、フロント超音波センサを備えている。本明細書に記載される実施形態は、特に、超音波センサを用いた追い越し加速支援のための改良された近距離物体検出を伴うアダプティブクルーズコントロールシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態は、自車両のためのアダプティブクルーズコントロールシステムを提供する。一実施形態においては、アダプティブクルーズコントロールシステムは、超音波センサ、レーダセンサ、カメラ及び電子制御装置を含む。超音波センサは、隣接車線の第1の視野内を検出して第1のデータを生成するように構成されている。レーダセンサは、隣接車線の第2の視野内を検出するように構成されている。カメラは、隣接車線の第3の視野内を検出するように構成されている。電子制御装置は、追い越し要求を示す入力を受信するように構成されている。入力の受信に応じて、電子制御装置は、超音波センサから受信した第1のデータに部分的に基づき、物体が隣接車線に位置している場合を特定するように構成されている。また、電子制御装置は、隣接車線の第2の視野及び隣接車線の第3の視野からなるグループから選択された少なくとも1つの範囲内に物体が位置している場合に、物体の速度を特定するように構成されている。さらに、電子制御装置は、物体の速度に部分的に基づき、第1の追い越し加速ブーストを決定するように構成されている。また、電子制御装置は、第1の追い越し加速ブーストを、自車両のスロットルシステムを介して自車両に適用するように構成されている。
【0007】
別の実施形態は、自車両のためのアダプティブクルーズコントロールシステムを提供する。一実施形態においては、アダプティブクルーズコントロールシステムは、超音波センサ、非超音波センサ及び電子制御装置を含む。超音波センサは、隣接車線の第1の視野内を検出して第1のデータを生成するように構成されている。非超音波センサは、隣接車線の第2の視野内を検出するように構成されている。電子制御装置は、追い越し要求を示す入力を受信するように構成されている。入力の受信に応じて、電子制御装置は、超音波センサから受信した第1のデータに部分的に基づき、物体が隣接車線に位置している場合を特定するように構成されている。また、電子制御装置は、物体が隣接車線の第2の視野内に位置している場合に、物体の速度を特定するように構成されている。さらに、電子制御装置は、物体の速度に部分的に基づき、第1の追い越し加速ブーストを決定するように構成されている。また、電子制御装置は、第1の追い越し加速ブーストを、自車両のスロットルシステムを介して自車両に適用するように構成されている。
【0008】
さらに別の実施形態は、自車両に追い越し加速支援を提供する方法を提供する。この方法は、電子制御装置を用いて、追い越し要求を示す入力を受信するステップを含む。また、この方法は、電子制御装置を用いて、自車両の超音波センサからの第1のデータと、自車両の非超音波センサからの第2のデータとを受信するステップを含む。さらに、この方法は、電子制御装置を用いて、第1のデータに部分的に基づき、隣接車線の物体を検出するステップを含む。また、この方法は、物体が自車両の非超音波センサによって検出された場合に、電子制御装置を用いて、物体の速度を特定するステップを含む。さらに、この方法は、電子制御装置を用いて、物体の速度に部分的に基づき、第1の追い越し加速ブーストを決定するステップを含む。また、この方法は、第1の追い越し加速ブーストを、自車両のスロットルシステムを介して自車両に適用するステップを含む。
【0009】
他の態様及び実施形態は、詳細な説明及び添付の図面を考慮することによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】自車両が後方から低速移動車両に接近する運転状況を示した図。
【
図2】隣接車両が自車両の死角内に位置している運転状況を示した図。
【
図3】いくつかの実施形態による、アダプティブクルーズコントロールシステムを示した図。
【
図4A】いくつかの実施形態による、
図3のアダプティブクルーズコントロールシステムを含む自車両を示した図。
【
図4B】いくつかの実施形態による、
図3のアダプティブクルーズコントロールシステムを含む自車両を示した図。
【
図5】隣接車両が自車両の複数のセンサの視野内に位置している運転状況を示した図。
【
図6】隣接車両が自車両の超音波センサの視野内に位置している運転状況を示した図。
【
図7】いくつかの実施形態による、追い越し加速支援を自車両に提供する方法のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
詳細な説明
任意の実施形態を詳細に説明する前に、実施形態は、必ずしもその適用において、以下の説明に記載され又は以下の図面に示される構成の詳細及びコンポーネント(構成要素)の配置に限定されるものではないことを理解されたい。他の実施形態も可能であり、記載された実施形態は、様々な方法による実施又は実行が可能である。
【0012】
また、複数の異なる構造のコンポーネントが本開示の実施のために利用され得ることに留意すべきである。さらに、以下の段落において説明するように、図面に示されている特定の構成は、所定の実施形態の例示を意図するものであり、代替的な構成が可能である。
【0013】
説明を簡単にするために、本明細書に提示される例示的システムは、それらの各コンポーネント部品の単独の例によって表示され得る。いくつかの例においては、システムのすべてのコンポーネントを説明し又は図示することができないこともある。他の例示的な実施形態は、示されている各コンポーネントより多くのコンポーネント又はより少ないコンポーネントを含むことができ、いくつかのコンポーネントを組み合わせることができ、又は、付加的若しくは代替的なコンポーネントを含むことができる。
【0014】
図1に示されている例示的な運転状況100を参照すれば、自車両105の運転者が低速移動車両110の追い越しを望む場合、加速においてブーストが自車両105の速度増加のために要求される。アダプティブクルーズコントロールシステムを備えた自車両105においては、これと同様の挙動は、アダプティブクルーズコントロールシステムにより、追い越し加速ブーストとして再現されている。いくつかのアダプティブクルーズコントロールシステムにおいては、追い越し加速ブーストが提供される前に、複数の検査が実施され得る。例として、アダプティブクルーズコントロールシステムは、
図2の例示的運転状況200において示されているように、隣接車両115が自車両105の死角内に位置している場合には、追い越し加速ブーストを適用することはできない。
【0015】
図3は、アダプティブクルーズコントロールシステム300の例示的な実施形態である。図に示されている実施形態においては、アダプティブクルーズコントロールシステム300は、電子制御装置305(例えば、電子制御ユニット(ECU))、レーダシステム310、カメラシステム315、超音波システム320、ユーザインタフェース325及びスロットルシステム330を含む。代替的な実施形態においては、アダプティブクルーズコントロールシステム300は、
図3に示されている構成とは異なる構成において、より少ないコンポーネント又は付加的なコンポーネントを含むことができる。いくつかの実施形態においては、アダプティブクルーズコントロールシステム300は、超音波システム320と、1つの非超音波センサシステムとを含むことができる。例えば、アダプティブクルーズコントロールシステム300は、超音波システム320とレーダシステム310とは含むが、カメラシステム315は含まないこともあり得る。
【0016】
アダプティブクルーズコントロールシステム300の電子制御装置305、レーダシステム310及び様々な他のコンポーネントは、1つ以上の通信バスを介して(例えば、
図3に示されているコントローラエリアネットワーク(CAN)バス335などの車両通信バスを介して)それぞれ通信する。
【0017】
電子制御装置305は、特に、電子プロセッサ340(例えば、マイクロプロセッサ)、メモリ345、入出力インタフェース350を含む。電子プロセッサ340、メモリ345、入出力インタフェース350、同様の他の様々なモジュール(図示せず)は、バスを介して結合されており、又は、1つ以上の付加的な制御バス若しくはデータバス又はそれらの組み合わせによって直接結合されている。メモリ345は、例えば、読み出し専用メモリ(ROM)、等速読み出しメモリ(RAM)、電気的に消去及び書き込み可能な読み出し専用メモリ(EEPROM)、他の非一過性のコンピュータ可読記憶媒体、又は、それらの組み合わせを含む。電子プロセッサ340は、メモリ345からプログラム命令及びデータを取り出し、特に、本明細書に記載された方法を実施するための命令を実行するように構成されている。さらに代替的に、メモリ345は、電子プロセッサ340に含まれる。入出力インタフェース350は、電子制御装置305内のコンポーネントと、アダプティブクルーズコントロールシステム300の他のコンポーネントとの間で情報を転送するためのルーチンを含む。
【0018】
電子制御装置305は、レーダシステム310、カメラシステム315及び超音波システム320からのセンサデータを受信する。レーダシステム310は、少なくとも1つのレーダセンサを含む。カメラシステム315は、少なくとも1つのカメラと、いくつかの実施形態においては、少なくとも1つのカメラによって取り込まれた画像データに歪み補正などの操作を実施する画像処理システムとを含む。超音波システム320は、少なくとも1つの超音波センサを含む。電子制御装置305は、自車両105の周りに位置する物体(例えば、低速移動車両110や隣接車両115)の位置を特定するために、レーダシステム310、カメラシステム315及び超音波システム320からのセンサデータを解析する。
【0019】
ユーザインタフェース325は、特に、アダプティブクルーズコントロールシステム300の操作を制御するために含まれている。いくつかの実施形態においては、電子制御装置305は、追い越し要求を示すユーザインタフェース325からの入力を受信する。ユーザインタフェース325は、アダプティブクルーズコントロールシステム300の所期のレベルの制御を達成するために必要とされるデジタル及びアナログ入力デバイスの任意の組み合わせを含むことができる。例えば、ユーザインタフェース325は、ディスプレイ、カメラ、スピーカ、複数のノブ、ダイヤル、スイッチ、ボタンなどを含むことができる。いくつかの実施形態においては、ユーザインタフェース325は、電子プロセッサ340によって実行されるソフトウェアアプリケーションによって生成された視覚出力を表示するタッチセンシティブインタフェース(例えば、タッチスクリーンディスプレイ)を含む。視覚出力は、例えば、グラフィックインジケータ、ライト、カラー、テキスト、画像、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)、前述のものの組み合わせなどを含む。タッチセンシティブインタフェースは、視覚出力(例えば、発光ダイオード(LED)スクリーン、液晶ディスプレイ(LCD)スクリーンなど)を表示するための適当な表示機構を含む。また、タッチセンシティブインタフェースは、検出された物理的接触(例えば、検出されたキャパシタンス又は抵抗)を用いてユーザ入力を受信する。ユーザ入力に基づき、タッチセンシティブインタフェースは、物理的接触によって現在選択されているタッチセンシティブインタフェース上の位置を示す信号を電子プロセッサ340に出力する。
【0020】
スロットルシステム330(例えば、パワートレイン)は、自車両105の車輪に駆動力を供給する。いくつかの実施形態においては、アダプティブクルーズコントロールシステム300は、例えば、低速移動車両110を追い越すために必要な追い越し加速ブーストを提供するために、自車両105のスロットルシステム330を動作させる。
【0021】
図4Aは、アダプティブクルーズコントロールシステム300の一実施形態を備えた自車両105を示している。図示の実施形態においては、アダプティブクルーズコントロールシステム300は、レーダセンサ405、カメラ410及び超音波センサ415を含む。
【0022】
レーダセンサ405は、自車両105の前端部に向かって配置されている(例えば、フロントバンパーの上又は近傍)。
図4Aに示されているように、レーダセンサ405は、視野420内の物体(例えば、他車両)を検出する。また、カメラ410も、自車両105の前端部に向かって配置されている。いくつかの実施形態においては、
図4に示されているように、カメラ410は、自車両105のフロントウインドウの上端部のバックミラーの取り付け台の近傍に配置されている。このカメラ410は、
図4Aに示されているように、視野425内の物体(例えば、他車両)を検出する。また、超音波センサ415も、自車両105の前端部に向かって配置されている(例えば、フロントバンパーの上又は近傍)。この超音波センサ415は、
図4Aに示されているように、視野430内の物体(例えば、他車両)を検出する。
【0023】
いくつかの実施形態においては、レーダセンサ405の視野420、カメラ410の視野425、及び、超音波センサ415の視野430は、異なっている。例えば、
図4Aに示されているように、カメラ410の視野425は、レーダセンサ405の視野420より大きくてもよい。さらに、超音波センサ415の視野430は、
図4Aに示されているように、レーダセンサ405の視野420及びカメラ410の視野425より大きくてもよい。
【0024】
代替的な実施形態においては、アダプティブクルーズコントロールシステム300は、
図4Aに示されている構成とは異なる構成において、より少ないコンポーネント又は付加的なコンポーネントを含むことができる。例えば、アダプティブクルーズコントロールシステム300は、1つ以上のレーダセンサ405、1つ以上のカメラ410、及び、1つ以上の超音波センサ415を含むことができる。さらなる例として、超音波センサ415は、
図4Aに示されている位置とは別の、自車両105の異なる位置に配置されることが可能である。
【0025】
図4Bは、アダプティブクルーズコントロールシステム300の他の例示的実施形態を備えた自車両105を示している。図示の実施形態においては、アダプティブクルーズコントロールシステム300は、レーダセンサ405、カメラ410、第1の超音波センサ435及び第2の超音波センサ440を含む。第1の超音波センサ435及び第2の超音波センサ440は、それぞれ、前端部に向かって自車両105の左方側及び右方側に配置されている(例えば、フロントバンパー近傍)。第1の超音波センサ435は、
図4Bに示されているように、自車両105の左方側の視野445内の物体(例えば、他車両)を検出する。第2の超音波センサ440は、
図4Bに示されているように、自車両105の右方側の視野450内の物体(例えば、他車両)を検出する。
【0026】
図5は、隣接車両115が、レーダセンサ405の視野420内、カメラ410の視野425内、及び、超音波センサ415の視野430内に位置している例示的な運転状況500を示している。自車両105のアダプティブクルーズコントロールシステム300は、隣接車両115の速度を追跡し特定するために、レーダセンサ405、カメラ410及び超音波センサ415によって収集されたセンサデータを使用する。レーダセンサ405の視野420、カメラ410の視野425、及び、超音波センサ415の視野430の結合は、隣接車両115のより正確な検出につながり、これはアダプティブクルーズコントロールシステム300の性能を向上させる。
【0027】
図6は、隣接車両115が、超音波センサ415の視野430内に位置するが、レーダセンサ405の視野420外、及び、カメラ410の視野425外に位置している例示的な運転状況600を示している。いくつかの実施形態においては、自車両105のアダプティブクルーズコントロールシステム300は、隣接車両115が超音波センサ415によって検出されているが、レーダセンサ405又はカメラ410によって検出されていない場合には、追い越し加速ブーストを適用することなく追い越し要求を取り消す。
【0028】
図7は、自車両105に追い越し加速支援を提供する例示的方法700の1つである。ステップ705においては、電子制御装置305は、追い越し要求を示す入力を受信する。いくつかの実施形態においては、電子制御装置305は、ユーザインタフェース325から追い越し要求を受信する。例えば、ユーザインタフェース325は、自車両105の運転者による、ユーザインタフェース325に含まれたタッチスクリーンディスプレイ上に表示された仮想ボタンの選択に応じて、電子制御装置305に追い越し要求を示す入力を送信する。代替的又は付加的に、電子制御装置305は、自車両105のターンシグナルレバーなどの別個の制御コンポーネントから追い越し要求を受信する。
【0029】
入力の受信に応じて、電子制御装置305は、レーダシステム310、カメラシステム315及び超音波システム320からセンサデータを受信する(ステップ710)。超音波システム320から受信したセンサデータは、超音波センサ415の視野430内に位置している物体の存在(及び位置)を示すデータ(例えば、第1のデータ)を含むことができる。レーダシステム310から受信したセンサデータは、レーダセンサ405の視野420内に位置している物体の存在(及び位置)を示すデータ(例えば、第2のデータ)を含むことができる。カメラシステム315から受信されたセンサデータは、カメラ410の視野425内に位置している物体の存在(及び位置)を示す情報(例えば、第3のデータ)を含むことができる。
【0030】
ステップ715においては、電子制御装置305は、物体(例えば、車両)が隣接車線に位置しているかどうかを特定する。電子制御装置305は、レーダシステム310、カメラシステム315、超音波システム320、又は、それらの組み合わせから受信したセンサデータに少なくとも部分的に基づきこの特定を行う。
【0031】
隣接車線に物体が検出されない場合(即ち、隣接車線が空いている場合)、アダプティブクルーズコントロールシステム300は、標準追い越し加速ブーストを、スロットルシステム330を介して自車両105に適用する(ステップ720)。いくつかの実施形態においては、電子制御装置305は、スロットルシステム330に、自車両105のホイールに供給される駆動力の量を所定量だけ増加させる信号をスロットルシステム330に送信する。代替的又は付加的に、電子制御装置305は、例えば、自車両105の前方の車両の速度に基づき、標準追い越し加速ブーストを決定する。例えば、電子制御装置305は、標準追い越し加速ブーストを次のように決定する。即ち、自車両105の速度が、自車両105が追い越そうとする低速移動車両110の速度よりも所定量だけ大きい値に増加するように決定する。
【0032】
代替的に、物体が隣接レーンにおいて検出された場合に、電子制御装置305は、レーダシステム310及び/又はカメラシステム315が隣接レーンの物体を検出しているかどうかを特定する(ステップ725)。いくつかの状況においては、超音波システム320のみが隣接車線の物体を検出することができる。例えば、
図6に示すように、超音波センサ415は、隣接車両115が超音波センサ415の視野430内に位置しているため、隣接車線の隣接車両115を検出することができる。しかしながら、レーダセンサ405及びカメラ410は、隣接車両115がレーダセンサ405の視野420外及びカメラ410の視野425外に位置しているため、隣接車線の隣接車両115を検出することができない。
【0033】
レーダシステム310及び/又はカメラシステム315が隣接車線の物体を検出している場合、電子制御装置305は、隣接車線の物体の速度を特定する(ステップ730)。いくつかの実施形態においては、電子制御装置305は、レーダシステム310、カメラシステム315、超音波システム320、又は、それらの組み合わせから受信されたセンサデータに少なくとも部分的に基づき、隣接車線の物体の速度を特定する。
【0034】
ステップ735においては、電子制御装置305は、隣接車線の物体の速度に少なくとも部分的に基づき、調整された追い越し加速ブーストを決定する。調整された追い越し加速ブーストは、自車両105の前方に位置している車両を追い越すためには十分な大きさであるが、隣接車線に位置している物体との衝突から自車両105を回避させるためには十分に低い。例えば、
図5に示されている駐車状況を参照すると、電子制御装置305は、レーダセンサ405、カメラ410及び超音波センサ415から受信したセンサデータに基づき、隣接車両115の速度を特定する。次いで、電子制御装置305は、調整された追い越し加速ブーストを次のように決定する。即ち、自車両105は、低速移動車両110を追い越すために十分な速さで進行するが、自車両105が隣接車両115と衝突するほどの速さではないように決定する。
【0035】
ステップ740においては、アダプティブクルーズコントロールシステム300は、調整された追い越し加速ブーストを自車両105に適用する。いくつかの実施形態においては、電子制御装置305は、調整された追い越し加速ブーストに基づき、自車両105のホイールに供給される駆動力の量を増加させることをスロットルシステム330に引き起こす信号をスロットルシステム330に送信する。
【0036】
ステップ725に戻って、代替的に、レーダシステム310及び/又はカメラシステム315が隣接車線の物体を検出していない場合、電子制御装置305は、追い越し加速ブーストを適用することなく追い越し要求を取り消す(ステップ745)。換言すれば、アダプティブクルーズコントロールシステム300は、隣接車線の物体が超音波システム320のみによって検出され、かつ、レーダシステム310又はカメラシステム315のいずれによっても検出されない場合、追い越し加速ブーストを適用しない。超音波システム320のみが隣接車線の物体を検出することができる運転状況においては、物体は、自車両105が隣接車線に進入するのを阻止するような位置に位置している可能性が高い。例えば、
図6に示されているように、隣接車両115は、自車両105が隣接車線に進入するのを阻止するように位置している。また、
図6に示されているように、隣接車両115は、超音波センサ415の視野430内にのみ位置している。いくつかの実施形態においては、アダプティブクルーズコントロールシステム300は、物体が超音波システム320のみによって隣接車線において検出された場合には、警告信号を生成する。例えば、ユーザインタフェース325は、物体が超音波システム320のみによって隣接車線において検出された場合に、自車両105の運転者に音響的及び/又は視覚的な警告信号を生成する。
【0037】
従って、様々な実施形態は、特に、車両において追い越し加速支援を提供するための方法及びシステムを含む。様々な実施形態及び特徴は、以下の特許請求の範囲に記載されている。