特許第6676794号(P6676794)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6676794閉鎖可能なガス供給開口を備える骨セメントアプリケータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6676794
(24)【登録日】2020年3月16日
(45)【発行日】2020年4月8日
(54)【発明の名称】閉鎖可能なガス供給開口を備える骨セメントアプリケータ
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/88 20060101AFI20200330BHJP
【FI】
   A61B17/88
【請求項の数】27
【外国語出願】
【全頁数】40
(21)【出願番号】特願2019-6011(P2019-6011)
(22)【出願日】2019年1月17日
(65)【公開番号】特開2019-122774(P2019-122774A)
(43)【公開日】2019年7月25日
【審査請求日】2019年1月17日
(31)【優先権主張番号】10 2018 101 041.9
(32)【優先日】2018年1月18日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508316210
【氏名又は名称】ヘレーウス メディカル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Heraeus Medical GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トーマス クルーゲ
(72)【発明者】
【氏名】ゼバスティアン フォークト
【審査官】 槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−261932(JP,A)
【文献】 米国特許第05435645(US,A)
【文献】 特開2013−000335(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0118595(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨セメント生地(49,149)の初期成分としてのモノマー液体(3)およびセメント粉末(4)から骨セメント生地(49,149)を製造しかつ混合された骨セメント生地(49,149)を分注するための装置であって、該装置は、
円筒状の内部空間(11,61,111)を有するカートリッジ(1,51,101)を備え、前記セメント粉末(4)は、前記カートリッジ(1,51,101)の前記内部空間(11,61,111)に配置されており、前記カートリッジ(1,51,101)は、閉鎖された前側に分注開口を有し、該分注開口は、取外し可能なクロージャ(6,56,106)によって閉鎖されており、前記カートリッジ(1,51,101)は、後側にねじ山(8,58,108)を有しており、
前記カートリッジ(1,51,101)の前記後側における前記ねじ山(8,58,108)と嵌合する、対応するねじ山(9,59,109)を有するモノマーレセプタクル(2,52,102)を備え、該モノマーレセプタクル(2,52,102)は、内側にチャンバ(10,60,110)を形成しており、前記モノマーレセプタクル(2,52,102)は、前記対応するねじ山(9,59,109)によって前記カートリッジ(1,51,101)の前記ねじ山(8,58,108)に螺合しており、前記モノマーレセプタクル(2,52,102)は、ねじり動作によって、前記カートリッジ(1,51,101)に対して長手方向に可動であり、前記モノマーレセプタクル(2,52,102)は、前側に円筒状のプランジャ(12,62,112)を形成しており、該プランジャ(12,62,112)に、ガスおよびモノマー液体(3)に対して透過性であるが、前記セメント粉末(4)に対して不透過性の通路(14,64,114)が設けられており、該通路(14,64,114)は、前記カートリッジ(1,51,101)の前記内部空間(11,61,111)を前記モノマーレセプタクル(2,52,102)の前記チャンバ(10,60,110)に接続しており、前記プランジャ(12,62,112)は、前記通路(14,64,114)を除き、後側で前記カートリッジ(1,51,101)の前記内部空間(11,61,111)を密閉しており、前記チャンバ(10,60,110)を前記装置の周囲に接続する少なくとも1つのガス供給開口(7,57,107)が、前記モノマーレセプタクル(2,52,102)の壁部に配置されており、
前記モノマー液体(3)を含んだモノマー液体コンテナ(5)を備え、該モノマー液体コンテナ(5)は、前記モノマーレセプタクル(2,52,102)の前記チャンバ(10,60,110)に配置されており、
前記モノマーレセプタクル(2,52,102)の前記チャンバ(10,60,110)内の前記モノマー液体コンテナ(5)を開放させるための開放装置(18,68,118)を備え、前記モノマー液体コンテナ(5)が前記開放装置(18,68,118)によって開放される前に、前記開放装置(18,68,118)を移動させることによってまたは前記開放装置(18,68,118)の作動と同期したクロージャ手段(20,70,120)を移動させることによって、前記少なくとも1つのガス供給開口(7,57,107)を閉鎖させることができる、装置。
【請求項2】
前記開放装置(18,68,118)は、前記少なくとも1つのガス供給開口(7,57,107)が、閉鎖された後に再び開放されることを防止する安全装置を有することを特徴とする、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記開放装置(18,68,118)が作動することを防止する第1の解放可能な安全エレメント(26,76,126)が設けられているかつ/または前記モノマーレセプタクル(2,52,102)が前記カートリッジ(1,51,101)内へねじ込まれることを防止する第2の解放可能な安全エレメント(47,97,147)が設けられていることを特徴とする、請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
前記モノマー液体コンテナ(5)を破壊するためのマンドレル(34,84,134)または切断エッジ(84,134)が、前記モノマーレセプタクル(2,52,102)の前記チャンバ(10,60,110)内に面した前記プランジャ(12,62,112)の側に配置されていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の装置。
【請求項5】
少なくとも1つの固定されていない混合エレメント(45,95,145)が、自由に可動であるように、前記カートリッジ(1,51,101)の前記内部空間(11,61,111)に配置されていることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の装置。
【請求項6】
前記分注開口に隣接した少なくとも1つの突出部(96)および/または前記分注開口まで延びかつ前記カートリッジ(1,51,101)の前記内部空間(11,61,111)内へ延びる少なくとも1つのフィン(46,96)が、前記カートリッジ(1,51,101)の前記内部空間(11,61,111)に面した前記カートリッジ(1,51,101)の前側に配置されていることを特徴とする、請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記カートリッジ(1,51,101)の前記内部空間(11,61,111)における前側に、変形可能な収容エレメント(150)が配置されていることを特徴とする、請求項5または6記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの固定されていない混合エレメント(45,95,145)は、ポリメタクリル酸メチルよりも高い密度を有していることを特徴とする、請求項5から7までのいずれか1項記載の装置。
【請求項9】
前記モノマー液体コンテナ(5)は、ガラスまたはプラスチックから形成されたアンプル(5)であり、該アンプル(5)は、円筒状の壁部を備えるアンプルボディを有し、前記開放装置(18,68,118)は、前記モノマーレセプタクル(2,52,102)の前記円筒状のチャンバ(10,60,110)の長手方向に前記モノマーレセプタクル(2,52,102)内で可動な中空シリンダ(20,70,120)を有し、該中空シリンダは、前記アンプル(5)の前記円筒状の壁部と整列しており、これにより、前記アンプル(5)を前記中空シリンダ(20,70,120)によって前記カートリッジ(1,51,101)の前記内部空間(11,61,111)の方向へ押し付けることができる、請求項1から8までのいずれか1項記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つのガス供給開口(7,57,107)は、前記中空シリンダ(20,70,120)に隣接して前記モノマーレセプタクル(2,52,102)の前記チャンバ(10,60,110)内へ通じており、これにより、前記チャンバ(10,60,110)内への前記中空シリンダ(20,70,120)の運動時、前記少なくとも1つのガス供給開口(7,57,107)は、前記中空シリンダ(20,70,120)の側壁によって液密式または気密式に閉鎖されことを特徴とする、請求項9記載の装置。
【請求項11】
前記内部空間(11,61,111)を制限する前記プランジャ(12,62,112)の前記前側および/または前記内部空間(11,61,111)の前記前側を制限する面は、次第に前記カートリッジ(1,51,101)の前記内部空間(11,61,111)内へ延びており、これにより、前記内部空間(11,61,111)の前側底面および/または後側底面は、エッジを有さないかまたは60°未満の角度を有するエッジを有さないことを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の装置。
【請求項12】
少なくとも1つの玉(45,95,145)が混合エレメント(45,95,145)として前記カートリッジ(1,51,101)の前記内部空間(11,61,111)に自由に可動であるように配置されており、前記少なくとも1つの玉(45,95,145)の半径は、前記カートリッジ(1,51,101)の前記内部空間(11,61,111)の前記前側底面および/または前記後側底面の曲率半径と等しいかまたはそれよりも小さいことを特徴とする、請求項11記載の装置。
【請求項13】
前記開放装置(18,68,118)は、ねじ山(24,74,124)および対応するねじ山(9,59,109)によって前記モノマーレセプタクル(2,52,102)に接続されており、これにより、前記開放装置(18,68,118)を前記モノマーレセプタクル(2,52,102)の前記チャンバ(10,60,110)内へねじ込むことができ、前記開放装置(18,68,118)を前記モノマーレセプタクル(2,52,102)の前記チャンバ(10,60,110)内へねじ込むことによって前記モノマー液体コンテナ(5)を破壊、切断または穿孔することができることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載の装置。
【請求項14】
前記カートリッジ(1,51,101)の後側における前記ねじ山(8,58,108)は、雌ねじ山(8,58,108)であり、前記モノマーレセプタクル(2,52,102)の前記対応するねじ山(9,59,109)は、横方向外面に設けられた雄ねじ山(9,59,109)であることを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項記載の装置。
【請求項15】
前記プランジャ(12,62,112)は、前記カートリッジ(1,51,101)の前記後側における前記雌ねじ山(8,58,108)より大きな直径を有することを特徴とする、請求項14記載の装置。
【請求項16】
前記カートリッジ(1,51,101)の前記前側は、カートリッジ蓋(38,88,138)によって閉鎖されており、前記分注開口は、前記カートリッジ蓋(38,88,138)に配置されており、前記カートリッジ蓋(38,88,138)は、気密式および液密式に前記カートリッジ(1,51,101)の側壁に接続されていることを特徴とする、請求項1から15までのいずれか1項記載の装置。
【請求項17】
前記開放装置(18,68,118)は、クロージャキャップ(22,72,122)を有し、該クロージャキャップ(22,72,122)は、前記モノマーレセプタクル(2,52,102)の後側に螺合させることができかつ前記チャンバ(10,60,110)を後側で気密式に閉鎖することを特徴とする、請求項1から16までのいずれか1項記載の装置。
【請求項18】
スリーブ(20,70,120)が前記クロージャキャップ(22,72,122)に配置されており、前記スリーブは、前記チャンバ(10,60,110)を後側で気密式に閉鎖するように、前記チャンバ(10,60,110)の内側に適切に差し込むまたはねじ込むことができることを特徴とする、請求項17記載の装置。
【請求項19】
前記モノマーレセプタクル(2,52,102)が前記カートリッジ(1,51,101)の前記内部空間(11,61,111)から制限ストッパまで最大限にねじ出されている前記装置の状態で、前記カートリッジ(1,51,101)のこのように最大限に拡大された前記内部空間(11,61,111)における前記セメント粉末(4)にわたって自由体積が存在し、前記体積は、前記モノマー液体コンテナ(5)内の前記モノマー液体(3)の体積と少なくとも等しことを特徴とする、請求項1から18までのいずれか1項記載の装置。
【請求項20】
骨セメント生地(49,149)を製造する方法であって、前記骨セメント生地(49,149)は、セメント粉末(4)およびモノマー液体(3)から製造され、骨セメント生地(49,149)を製造しかつ混合された骨セメント生地(49,149)を分注するための装置を用いて行われる、方法において、以下のステップ、すなわち、
A)前記装置の開放装置(18,68,118)を作動させ、前記開放装置(18,68,118)の作動は、前記装置の周囲をモノマーレセプタクル(2,52,102)の内側におけるチャンバ(10,60,110)にガス透過式に接続する、前記装置の前記モノマーレセプタクル(2,52,102)の壁部における少なくとも1つのガス供給開口(7,57,107)を気密式に閉鎖し、その後、前記モノマー液体(3)を含んだモノマー液体コンテナ(5)が、前記モノマーレセプタクル(2,52,102)の前記チャンバ(10,60,110)内で開放され、
B)前記モノマー液体(3)を前記モノマーレセプタクル(2,52,102)から、ガスおよび前記モノマー液体(3)に対して透過性であるが、前記セメント粉末(4)に対して不透過性であり、かつ前記モノマーレセプタクル(2,52,102)の前側に設けられたプランジャ(12,62,112)に配置された通路(14,64,114)を通って、前記セメント粉末(4)を含んだカートリッジ(1,51,101)の内部空間(11,61,111)内へ移動させ、
C)骨セメント生地(49,149)を製造するために前記カートリッジ(1,51,101)の前記内部空間(11,61,111)内で前記モノマー液体(3)と前記セメント粉末(4)とを混合し、
D)前記モノマーレセプタクル(2,52,102)の前側に前記プランジャ(12,62,112)を備える前記モノマーレセプタクル(2,52,102)を前記カートリッジ(1,51,101)の前記内部空間(11,61,111)の後側から前記カートリッジ(1,51,101)内へねじ込むことによって、前記骨セメント生地(49,149)に行き渡ったガスを前記カートリッジ(1,51,101)の前記内部空間(11,61,111)から押し出し、
E)前記モノマーレセプタクル(2,52,102)をさらに前記カートリッジ(1,51,101)内へねじ込むことによって、混合された骨セメント生地(49,149)を前記カートリッジ(1,51,101)の前記内部空間(11,61,111)から、前記プランジャ(12,62,112)とは反対側の前記カートリッジ(1,51,101)の分注開口を通じて押し出す、
ステップを特徴とする、方法。
【請求項21】
前記方法は、請求項1から19までのいずれか1項記載の装置を使用して行われることを特徴とする、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記ステップC)における前記モノマー液体(3)および前記セメント粉末(4)は、前記カートリッジ(1,51,101)を振ることによって混合され、前記カートリッジ(1,51,101)の前記内部空間(11,61,111)は、前記セメント粉末(4)および前記モノマー液体(3)に加え、ガスと、前記カートリッジ(1,51,101)の前記内部空間(11,61,111)内で自由に可動な少なくとも1つの固定されていない混合エレメント(45,95,145)とを含んでおり、前記少なくとも1つの混合エレメント(45,95,145)は、振ることによって前記カートリッジ(1,51,101)の前記内部空間(11,61,111)内で動き回り、この手段によって前記セメント粉末(4)および前記モノマー液体(3)が混合されることを特徴とする、請求項20または21記載の方法。
【請求項23】
前記開放装置(18,68,118)が前記モノマーレセプタクル(2,52,102)内へねじ込まれ、前記モノマー液体コンテナ(5)が、前記開放装置(18,68,118)の動作によって開放され、前記モノマーレセプタクル(2,52,102)の壁部に配置された少なくとも1つのガス供給開口(7,57,107)が前もって閉鎖されることを特徴とする、請求項20から22までのいずれか1項記載の方法。
【請求項24】
前記モノマー液体コンテナ(5)は、ガラスまたはプラスチック材料から形成されたアンプル(5)であり、該アンプル(5)が前記ステップA)において開放されるとき、前記アンプル(5)は、前記モノマーレセプタクル(2,52,102)の前記チャンバ(10,60,110)に面した前記プランジャ(12,62,112)の側のマンドレル(34,84,134)または切断エッジ(84,134)に押し付けられ、これにより、前記アンプル(5)は、この側で破壊され、前記モノマー液体(3)が、前記通路(14,64,114)の領域において、開放された前記アンプル(5)から出ていくことを特徴とする、請求項20から23までのいずれか1項記載の方法。
【請求項25】
前記モノマーレセプタクル(2,52,102)は、前記ステップB)の間、前記カートリッジ(1,51,101)の上方に保持されており、これにより、前記モノマー液体(3)は、前記チャンバ(10,60,110)から前記通路(14,64,114)を通って前記カートリッジ(1,51,101)の前記内部空間(11,61,111)内へ流れるとき、重力の作用によって駆動されることを特徴とする、請求項20から24までのいずれか1項記載の方法。
【請求項26】
前記ステップA)の前に、前記開放装置(18,68,118)が作動することを防止する第1の安全エレメント(26,76,126)が解放されるかつ/または前記モノマーレセプタクル(2,52,102)が前記カートリッジ(1,51,101)内へねじ込まれることを防止する第2の安全エレメント(47,97,147)が解放されるステップが行われることを特徴とする、請求項20から25までのいずれか1項記載の方法。
【請求項27】
前記ステップB)において前記モノマー液体(3)を前記チャンバ(10,60,110)から前記カートリッジ(1,51,101)の前記内部空間(11,61,111)内へ移動させるために前記モノマーレセプタクル(2,52,102)が前記カートリッジ(1,51,101)の前記内部空間(11,61,111)からねじ出され、これにより、前記カートリッジ(1,51,101)の前記内部空間(11,61,111)が増大し、前記カートリッジ(1,51,101)の前記内部空間(11,61,111)に負圧が生じ、該負圧によって、前記モノマー液体(3)が、前記チャンバ(10,60,110)から前記カートリッジ(1,51,110)の前記内部空間(11,61,111)内へ吸い込まれることを特徴とする、請求項20から26までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨セメント生地の初期成分としてのモノマー液体およびセメント粉末から骨セメント生地を製造しかつ混合された骨セメント生地を分注するための装置に関する。
【0002】
本発明は、骨セメント生地、特に椎体の増強のための低粘度ペースト状ポリメタクリル酸メチル骨セメント生地を製造するための方法にも関する。
【0003】
特に、本発明の対象は、ポリメタクリル酸メチル骨セメント(PMMA骨セメント)のセメント粉末およびモノマー液体を別々に貯蔵し、骨セメント生地を製造するためにセメント粉末をモノマー液体と後で混合しかつ混合された骨セメント生地を分注するための装置である。この装置を使用して製造される低粘度骨セメント生地は、骨折した椎体の増強および椎弓根スクリューの充填および/または脊椎固定術を目的とするものである。好適には、本発明による装置は、完全にプレパックドされたセメンティングシステムである。
【背景技術】
【0004】
ポリメタクリル酸メチル(PMMA)骨セメントは、サー・チャーンリーの先駆的な業績に基づく(Charnley, J. : Anchorage of the femoral head prosthesis of the shaft of the femur、J. Bone Joint Surg. 42 (1960) 28-30)。従来のPMMA骨セメントは、液体モノマー成分および粉末成分から成る。モノマー成分は、一般に、モノマー、メタクリル酸メチルおよびそれに溶解された活性化剤(N,N−ジメチル−p−トルイジン)を含有する。セメント粉末または骨セメント粉末とも呼ばれる粉末成分は、メタクリル酸メチルおよびコモノマー、例えば、スチレン、アクリル酸メチルまたは類似のモノマー、放射線不透過剤および開始剤、過酸化ジベンゾイルに基づき、重合、好適には懸濁重合によって製造された1つまたは複数のポリマーを含む。粉末成分とモノマー成分との混合、メタクリル酸メチルにおける粉末成分のポリマーの膨張は、生地を生じ、この生地は、塑性的に成形させることができ、実際の骨セメントまたは骨セメント生地である。粉末成分およびモノマー成分の混合の間、活性化剤であるN,N−ジメチル−p−トルイジンは、過酸化ジベンゾイルと反応し、その間にラジカルを形成する。このように形成されたラジカルは、メタクリル酸メチルのラジカル重合をトリガする。メタクリル酸メチルの重合が進行しているとき、骨セメント生地の粘度は、骨セメント生地が固化するまで増大する。
【0005】
へらを用いて適切な混合ビーカ内でセメント粉末とモノマー液体とを混合することによって、PMMA骨セメントを混合することができる。
【0006】
手術(OR)中にポリメタクリル酸メチル骨セメント粉末およびモノマー液体をカートリッジシステム内へ充填し、軸方向に可動な混合ロッドまたは回転するミキサなどの混合装置の手動による作動によって2つの初期成分を混合し、その後、このように形成されたポリメタクリル酸メチル骨セメント生地をカートリッジから押し出すことも、従来技術の一部である。
【0007】
セメント粉末およびモノマー液体の両方が既に混合装置の別個の区画に封入されており、セメントの提供の直前に初めてセメンティングシステム内で互いに混合される、セメンティングシステムは、セメンティング技術の発展である。閉鎖された完全にプレパックドされた(full-prepacked)混合装置は、欧州特許出願公開第0692229号明細書、独国特許第102009031178号明細書、米国特許第5997544号明細書、米国特許第6709149号明細書、国際公開第00/35506号、欧州特許出願公開第0796653号明細書および米国特許第5588745号明細書に提案されている。
【0008】
独国特許第102009031178号明細書は、骨セメント生地の製造のために必要な初期成分が貯蔵および混合装置に既に貯蔵されており、貯蔵および混合装置内で組み合わせかつ混合させることができる、完全にプレパックドされたセメンティングシステムとしての貯蔵および混合装置を開示している。
【0009】
国際公開第00/035506号は、カートリッジにポリメタクリル酸メチルセメント粉末が貯蔵されており、セメント粉末はカートリッジの全容積を占めており、セメント粉末の粒子の間の介在空間の体積は、カートリッジに貯蔵されたセメント粉末を用いた骨セメント生地の製造に必要なモノマー液体の体積と等しい、装置を提案している。
【0010】
独国特許第4030832号明細書および米国特許第5435645号明細書には、アンプルが開放された後、セメント粉末を含んだカートリッジの粉末コンテナ内にモノマー液体が引き込まれる、完全にプレパックドされたセメンティングシステムが記載されている。セメント粉末およびモノマー液体の混合は、カートリッジを振ることによって生じる。アンプルは、外部からアクセス可能なプランジャをカートリッジ内へ軸方向に挿入することによって開放される。プランジャは、アンプルをホルダに対して押し付け、これにより、ホルダに支持されたアンプルヘッドをアンプルから破壊して除去し、モノマー液体をアンプルから解放させる。
【0011】
同様の混合システムが、欧州特許第1883379号明細書に開示されており、この場合、セメント成分の混合は、カートリッジを振ることによっても行われる。カートリッジの分注開口はメンブレンによって閉鎖されている。
【0012】
欧州特許第1912597号明細書は、セメント粉末とモノマー液体とを混合するために、ガイドに沿って可動な環状の混合エレメントが使用される、混合システムを提案している。混合エレメントは、これに関連して、ガイドに対して同軸に配置されている。円筒状エレメントは、モノマー液体を含んだ支持されたアンプルをマンドレルに押し付け、これにより、アンプルを破壊する。
【0013】
骨セメント混合システムは複雑であり、したがって、費用のかかる設計を有する。さらに、セメント粉末を含む内部空間は、少なくとも部分的に分解された状態においてのみ滅菌ガスによって滅菌することができる。したがって、装置の内容物の滅菌後、付加的な取付けステップが必要とされ、このステップは、場合によっては、行われた滅菌を打ち消し、装置の製造をより困難かつより面倒にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、本発明の目的は、従来技術の欠点を克服することである。特に、本発明の目的は、初期成分からの骨セメント生地の混合を目的としかつこれに適した装置を開発し、骨セメント生地、特に、低粘度ペースト状ポリメタクリル酸メチル骨セメント生地を製造する方法を開発することであり、骨セメント生地は、セメント粉末およびモノマー液体から製造され、これらの装置および方法によって、従来の装置および方法の欠点が克服される。
【0015】
本発明の目的は、装置を安価にかつほとんどプラスチックから製造することができるようにかつ使用が容易でかつ操作の誤りを生じにくくなるように、このタイプの装置を適切に改良することである。設計が安価であることの1つの理由は、衛生上の理由から装置が一回だけ使用されるようにするためである。さらに、装置は、使用ができるだけ容易であるべきである。さらに、装置および/または方法の使用中にモノマー液体のモノマー蒸気またはモノマー液体自体が場合によっては放出されることなく、完全に組み立てられた装置の滅菌が可能にされるべきである。したがって、装置の内側は滅菌ガスにアクセス可能であるが、骨セメント生地の混合は、初期成分が出ていくリスクなしに、完全に閉鎖されたシステム内で行われる。
【0016】
装置および方法は、椎体形成術および椎骨形成術のために使用することができるPMMA骨セメント生地が製造および適用されるようにする。PMMA骨セメント生地は、プロテーゼの固定のための骨セメント生地と比較して特に流体(低粘度)である。なぜならば、PMMA骨セメント生地を、骨折した椎骨の小さな介在空間内および椎弓根スクリューの狭い中空空間内へ押し込むことが可能でなければならないからである。気泡および/またはガス気泡の形成は、より流体の骨セメント生地においてはあまり問題でない。なぜならば、ガス気泡は、低粘度骨セメント生地からより容易に逃げることができるからである。
【0017】
初期成分の混合、モノマー液体コンテナの開放、また、可能であれば、骨セメント生地の分注などの、装置内で行われるできるだけ多くのプロセスまたは全てのプロセスが、最も少ない数の工程で行われるべきであり、装置は、手で容易に操作されるべきである。好適には、装置自体および電気的に駆動されるかまたはその他の駆動される駆動装置以外の追加の装置は、装置の使用および方法の適用のために必要とされない。したがって、装置および方法は、困難な条件下でさえも、いかなる問題もなしに使用可能であるべきである。
【0018】
これに関連して、取付けステップが不正確に行われた結果として生じる誤作動を基本的に防止するために、装置の取扱いが最大限に単純化されるべきである。医療関係の使用者が、装置をパッケージから取り出した後即座に装置を作動させることが可能であるべきである。装置および方法の設計により、追加の取付けおよび加工ステップは省略されるべきである。好適には、装置は、装置の貯蔵中にセメント成分のあらゆる意図しない混合が排除されるように、別個の区画におけるセメント粉末およびモノマー液体の安全な貯蔵も保証するべきである。装置は、エチレンオキシドガスによる滅菌を可能にすべきである。この目的のために、装置に貯蔵されたセメント粉末は、エチレンオキシドにアクセス可能でなければならない。
【0019】
したがって、本発明の目的は、セメント粉末およびモノマー液体の貯蔵および混合のための装置を開発することであり、セメント成分を混合することによって製造されたポリメタクリル酸メチル骨セメント生地は、特に、骨折した椎体の増強および椎弓根スクリューの充填を目的とする。さらに、装置は、別個の押出し装置を必要とすることなく、このように製造されたポリメタクリル酸メチル骨セメント生地の押出しを可能にすべきである。医療関係の使用者がモノマー液体およびセメント粉末に曝されないまたは曝されることができない、完全にプレパックドされたセメンティングシステムが開発されるべきである。モノマー蒸気が周囲雰囲気中へ逃げ出すことができないように、混合プロセス中に周囲に対して密閉された、閉鎖された混合システムが提供されるべきである。さらに、装置の内側は、エチレンオキシドにアクセス可能であるべきである。これに関連して、装置に貯蔵されたセメント粉末および装置の内側に存在する全ての面がエチレンオキシドにアクセス可能でなければならないことが重要である。取付けステップが不正確に行われた結果として生じる誤作動を基本的に防止するために、装置の取扱いが最大限に単純化されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の目的は、骨セメント生地の初期成分としてのモノマー液体およびセメント粉末から骨セメント生地を製造しかつ混合された骨セメント生地を分注するための装置によって満たされ、この装置は、
円筒状の内部空間を有するカートリッジを備え、セメント粉末は、カートリッジの内部空間に配置されており、カートリッジは、閉鎖された前側に分注開口を有し、分注開口は、取外し可能なクロージャによって閉鎖されており、カートリッジは、後側にねじ山を有し、
カートリッジの後側のねじ山と嵌合する、対応するねじ山を有するモノマーレセプタクルを備え、このモノマーレセプタクルは、内側にチャンバを形成しており、モノマーレセプタクルは、対応するねじ山によってカートリッジのねじ山に螺合しており、モノマーレセプタクルは、ねじり動作によって、カートリッジに対して長手方向に可動であり、モノマーレセプタクルは、前側に円筒状のプランジャを形成しており、プランジャに、ガスおよびモノマー液体に対して透過性であるが、セメント粉末に対して不透過性の通路が設けられており、通路は、カートリッジの内部空間をモノマーレセプタクルのチャンバに接続しており、プランジャは、通路を除き、後側においてカートリッジの内部空間を密閉しており、チャンバを装置の周囲に接続する少なくとも1つのガス供給開口が、モノマーレセプタクルの壁部に配置されており、
モノマー液体を含んだモノマー液体コンテナを備え、このモノマー液体コンテナは、モノマーレセプタクルのチャンバに配置されており、
モノマーレセプタクルのチャンバ内のモノマー液体コンテナを開放させるための開放装置を備え、モノマー液体コンテナが開放装置によって開放される前に、開放装置を移動させることによってまたは開放装置の作動と同期したクロージャ手段を移動させることによって、少なくとも1つのガス供給開口を閉鎖させることができる。
【0021】
円筒状の内部空間および円筒状のプランジャは、円形の底部を有する円筒状の形状を有している。この手段により、モノマーレセプタクルがねじり動作を行うとき、円筒状のプランジャは円筒状の内部空間で回転することができ、同時に、後側において円筒状の内部空間をシールすることができる。
【0022】
通路は、好適には、モノマー液体およびガスに対して透過性であるが、セメント粉末に対して不透過性の孔フィルタによってカバーされた複数のチャネルによって形成することができる。好適には、通路は、さらにメッシュおよび/またはふるいによってカバーすることができ、メッシュおよび/またはふるいによって、モノマー液体コンテナの細片および破片を保持することができる。
【0023】
カートリッジの内部空間の内壁に対してプランジャをシールするために、プランジャに少なくとも1つの周方向シールを設けることができ、好適には、長手方向で互いに所定の距離を置いて配置された2つの周方向シールが設けられている。シールは、ゴムから成ることができる。この手段によって、モノマーレセプタクルをねじ出すことによってカートリッジの内部空間が増大すると、カートリッジの内部空間に負圧を生じさせることができ、この負圧は、モノマー液体をチャンバからカートリッジの内部空間内へ吸い込むために利用することができる。さらに、骨セメント生地内に存在するおよび/または行き渡ったガスは、通路を通じて追い出すことができ、プランジャおよび/またはモノマーレセプタクルが内部空間へねじ込まれることによって生じる骨セメント生地−ガス混合物に作用する圧力によってモノマーレセプタクル内へ押し込むことができ、またはプランジャとカートリッジの内壁との間において装置から外方へいかなる骨セメント生地が逃げ出すこともなく分注開口から押し出すことができる。これは、使用者または手術室が骨セメント生地によって汚れることを防止し、未使用の骨セメント生地が失われることを防止する。
【0024】
本発明が、気密であるようにプランジャがカートリッジの内部空間において軸方向可動であることを提供することが特に好ましい。
【0025】
同様に、少なくとも1つのシール、好適には2つのシールを、開放装置に設けることができ、これらのシールによって、開放装置の少なくとも1つのガス供給開口を閉鎖することができる。本発明が、少なくとも1つのガス供給開口が気密式に閉鎖可能であり、さらにより特に好適には耐圧式にも閉鎖可能であることを提供することが特に好ましい。
【0026】
クロージャは、気密式に閉鎖された状態に分注開口を閉鎖するクロージャストッパであることが好ましい。代替的に、本発明は、ガスに対して透過性であるが、セメント粉末および骨セメント生地に対して不透過性であるようにクロージャを提供することができ、この変化態様はあまり好ましくない。なぜならば、カートリッジの内部空間における負圧によるモノマー液体の移動を不可能にするからである。
【0027】
少なくとも1つのガス供給開口により、装置の内側でさえも、特に、カートリッジの内部空間におけるセメント粉末を、例えば、エチレンオキシドなどの滅菌ガスの助けにより滅菌することができる。少なくとも1つのガス供給開口を閉鎖することができるので、モノマー液体がモノマーレセプタクルから外側に向かって出ていくことを防止することができる。少なくとも1つのガス供給開口を気密式に、好適には、耐圧式にも閉鎖することができるならば、骨セメント生地からガスを吸い込むために利用することができる負圧をモノマーレセプタクルのチャンバに生じさせることができるかまたは過圧を生じさせることができ、この過圧によって、モノマー液体をチャンバからカートリッジの内部空間へ移動させるかつ/または吸い込むことができる。
【0028】
本発明による装置は、開放装置が、少なくとも1つのガス供給開口が、閉鎖された後に再び開放されることを防止する安全装置を有しており、開放装置は、好適には、ねじ山を介してモノマーレセプタクルに接続されており、開放装置がチャンバ内へねじ込まれているとき、少なくとも1つのガス供給開口を閉鎖させることができ、安全装置は、逆動作ロックであるように、適切に提供することができる。
【0029】
これは、モノマー液体コンテナが開放された後に、少なくとも1つのガス供給開口が意図せずに再開放されかつモノマー液体が装置から出ていくことを防止することができる。
【0030】
さらに、本発明は、開放装置が作動することを防止する第1の解放可能な安全エレメントおよび/またはモノマーレセプタクルがカートリッジ内へねじ込まれることを防止する第2の解放可能な安全エレメントを提供することができる。
【0031】
これは、搬送中または装置が提供されている間に装置が意図せずに作動しないかつ/または操作されないことを保証する。
【0032】
さらに、本発明は、モノマー液体コンテナを破壊するためのマンドレルまたは切断エッジが、モノマーレセプタクルのチャンバ内に面したプランジャの側に配置され、好適には、圧縮可能な支持エレメント、特に、ばねまたは発泡体または弾性の中空ボディが、プランジャとモノマー液体コンテナとの間に配置され、支持エレメントが、マンドレルまたは切断エッジから所定の距離にモノマー液体コンテナを保持することを提供することができる。
【0033】
この手段によって、モノマー液体コンテナは、通路の領域における規定された部分でマンドレルまたは切断エッジによって開放させることができ、これにより、モノマー液体は、この領域において開放されたモノマー液体コンテナから通路を通ってカートリッジの内部空間へ直接流入することができる。支持エレメントの存在により、モノマー液体コンテナが、例えば、衝撃によって、搬送中に意図せずに開放されることを防止することができる。
【0034】
さらに、本発明は、好適には、少なくとも1つの固定されていない混合エレメント、特に、少なくとも1つの固定されていない玉が、カートリッジの内部空間において自由に可動であるように配置されることを提供することができる。
【0035】
この手段によって、カートリッジの内部空間の内容物および/またはセメント粉末および導入されたモノマー液体を、カートリッジを振ることによってより効率的に混合させることができ、カートリッジの内部空間において揺動または浮遊または衝突する少なくとも1つの混合エレメントが、混合プロセスを補助する。
【0036】
これに関連して、本発明は、少なくとも1つの突出部が分注開口に隣接しているかつ/または分注開口まで延びかつカートリッジの内部空間内へ延びる少なくとも1つのフィンが、カートリッジの内部空間に面したカートリッジの前側に配置されていることを提供することができる。
【0037】
この手段によって、少なくとも1つの混合エレメント、特に、少なくとも1つの玉が、分注開口の前方に配置されかつ分注開口を閉鎖することを防止することができる。少なくとも1つのフィンは、好適には、カートリッジの内部空間内へ半径方向に延びており、カートリッジの側壁から、円筒状の内部空間の円筒軸線上に配置された分注開口へ突き出ている。少なくとも1つのフィンの高さが、分注開口の方向に増大していることが特に好ましい。
【0038】
少なくとも1つの混合エレメントを有する、本発明による装置に関して、本発明は、カートリッジの内部空間において前側に、変形可能な収容エレメントが配置されており、特に、変形可能な環状のディスクが配置されており、変形可能な収容エレメントの高さが、内部空間の側壁に向かって半径方向外向きに増大していることを提供することができる。
【0039】
プランジャがカートリッジの内部空間へねじ込まれることにより、少なくとも1つの混合エレメントを、変形可能な収容エレメント内に押し込むことができ、収容エレメントは、その過程で変形する。この手段によって、収容エレメントは、少なくとも1つの混合エレメントを収容することができる。同時に、変形可能な収容エレメントは、他の場所では変形せず、これにより、カートリッジの内部空間に残る、骨セメント生地が残ることがある使用されない容積が小さくなる。この手段によって、混合された骨セメント生地のより大きな割合を、カートリッジの内部空間から押し出すことができ、利用することができる。
【0040】
収容エレメントは、弾性材料から形成されるように設けることができ、弾性壁、特に、ゴムから形成された弾性壁が好ましい。代替的に、収容エレメントは、密閉気孔発泡体などの、密閉気孔材料から形成されるように提供することもできる。閉鎖された孔は、セメント粉末の進入および収容エレメントの材料のアクセス可能な面の大きな面積におけるモノマー液体の吸収を防止する。
【0041】
本発明によれば、カートリッジ蓋に取り付けられた収容エレメントを有することが好ましく、収容エレメントによって、カートリッジの前側端部、ひいては、カートリッジの内部空間を、前側で気密式に閉鎖することができる。
【0042】
さらに、本発明は、少なくとも1つの固定されていない混合エレメントが、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)よりも高い密度を有し、好適には、ポリメタクリル酸メチルの密度の2倍または3倍高い密度を有し、少なくとも1つの混合エレメントは、好適には、コランダム、α−コランダム、酸化ジルコニウム、正方晶系ZrO2またはY23によって立方安定化されたZrO2から成ることを提供することができる。
【0043】
密度がより高いことにより、振っている間に骨セメント生地に対して少なくとも1つの混合エレメントを十分に移動させることができる。
【0044】
本発明は、孔フィルタが、ガスおよびモノマー液体に対して透過性であるが、セメント粉末および骨セメント生地に対して不透過性の通路に配置されることを提供することができる。
【0045】
これは、セメント粉末が、モノマーレセプタクルのチャンバへ進入することを防止し、また、通路へ進入することも防止し、この場所でモノマー液体と早期に反応することを防止し、膨張する骨セメント生地によって通路が閉鎖されることを防止するための容易な手段を提供する。
【0046】
本発明は、モノマー液体コンテナが、ガラスまたはプラスチックから形成されたアンプルであることを提供することもでき、破砕保護、つまり、アンプルのあらゆる砕片または破片を保持するために通路とモノマーレセプタクルのチャンバの間のメッシュまたはふるいを提供することができる。この手段によって、砕片または破片が、通路を閉鎖し、意図せずにカートリッジの内部空間へ進入することを防止することができる。
【0047】
好適な改良によれば、本発明は、モノマー液体コンテナが、ガラスまたはプラスチックから形成されたアンプルであり、アンプルは、円筒状の壁部を備えるアンプルボディを有し、開放装置は、モノマーレセプタクルの円筒状のチャンバの長手方向にモノマーレセプタクル内に可動な中空シリンダを有し、中空シリンダは、アンプルの円筒状の壁部と整列しており、これにより、アンプルを中空シリンダによってカートリッジの内部空間の方向へ押し付けることができることを提供することができる。
【0048】
この手段によって、モノマー液体コンテナとしてのアンプルは、アンプルが、カートリッジと反対側に面した側において中空シリンダによって破壊されることなく、カートリッジの方向へ押し付けられることができる。この手段によって、アンプルが、カートリッジの内部空間に面した側において破壊されることを保証することができる。
【0049】
中空シリンダは、パーフォレーションを有することができ、または長手方向にスリットが設けられていることができる。しかしながら、本発明によれば、中空シリンダが、少なくともアンプルに面した前側において連続的であることが好ましく、これにより、アンプルボディの壁部の意図しない破壊につながることがある圧力ピークが、中空シリンダが内方へ押されているときにアンプルボディの壁部に生じない。
【0050】
アンプルの代わりとして、モノマー液体コンテナは、モノマー液体をモノマーレセプタクルのチャンバ内へ解放するために開放装置を有するモノマーレセプタクルのチャンバ内で裂断開放、穿孔開放または切断開放されるフィルムバッグによって実施することもできる。
【0051】
アンプルがプラスチックから成る場合、アンプルは、モノマー液体に対して化学的に安定したプラスチック材料から成っていなければならない。アンプルのための好適な材料はガラスである。
【0052】
円筒状ボディを有するアンプルを有する本発明による装置に関して、本発明は、少なくとも1つのガス供給開口が、中空シリンダに隣接してモノマーレセプタクルのチャンバ内へ通じており、これにより、チャンバ内への中空シリンダの運動時、少なくとも1つのガス供給開口は、中空シリンダの側壁によって液密式または気密式に閉鎖され、中空シリンダは、好適には、この目的のために少なくとも1つの周方向のシーリングリングを有し、シーリングリングは、中空シリンダがチャンバ内へ移動されるときに少なくとも1つのガス供給開口上を移動し、チャンバをシールすることを提供する。好適には、少なくとも1つのガス供給開口は、中空シリンダの側壁によって気密式に閉鎖されている。
【0053】
この手段によって、少なくとも1つのガス供給開口が閉鎖されかつモノマー液体が後で出ることができないことを保証するために、比較的単純な設計手段を使用することができる。好適には、ガス供給開口が気密式に閉鎖されているとき、カートリッジの内部空間内へのモノマーレセプタクルの動作によって負圧を生じさせることができる。
【0054】
さらに、本発明は、内部空間を制限するプランジャの前側および/または内部空間の前側を制限する面が、次第にカートリッジの内部空間内へ半径方向に延びており、これにより、内部空間の前側底面および/または後側底面が、エッジを有さないかまたは60°未満の角度を有するエッジを有さず、内部空間の前側底面および/または後側底面は、好適には、丸みを帯びた形状を有することを提供することができる。
【0055】
これは、内部空間の尖ったエッジにおける粉末が、モノマー液体によってアクセス不可能であるかまたは不十分にしかアクセス可能でなく、モノマー液体と混合されないことを防止し、これにより、骨セメント生地の粘稠度が不均一になるかまたは所望の混合比を達成しないことを防止する。
【0056】
同じ目的のために、本発明は、内部空間を制限するプランジャの前側および/または内部空間の前側を制限する面が、円筒状内部空間の側壁(シリンダジャケット面)に向かって上昇する斜面を備える丸みのある形状を有することを提供することができる。
【0057】
骨セメント生地の完全な混合を達成するために、本発明は、少なくとも1つの玉が混合エレメントとしてカートリッジの内部空間に自由に可動であるように配置されており、少なくとも1つの玉の半径は、カートリッジの内部空間の前側底面および/または後側底面の曲率半径と等しいまたはそれよりも小さいことを提供することができる。
【0058】
混合エレメントとしての少なくとも1つの玉の曲率半径が、底面の曲率半径に適応されていることにより、カートリッジの内部空間で動き回る少なくとも1つの玉が、カートリッジの内部空間の全ての領域に達することができ、これにより、少なくとも1つの玉によって到達することができない、混合されないまたは不十分にしか混合されない領域が、カートリッジの内部空間に残らなくなる。
【0059】
本発明は、開放装置が、ねじ山および対応するねじ山によってモノマーレセプタクルに接続されており、これにより、開放装置をモノマーレセプタクルのチャンバ内へねじ込むことができ、開放装置をモノマーレセプタクルのチャンバ内へねじ込むことによってモノマー液体コンテナを破壊、切断または穿孔することができることを提供することもできる。
【0060】
この手段によって、モノマー液体コンテナをモノマーレセプタクル内で容易に解放させることができる。
【0061】
これに関連して、本発明は、モノマーレセプタクルの対応するねじ山が、カートリッジのねじ山および開放装置のねじ山に適合することを提供することができる。したがって、モノマーレセプタクルは、均一なねじ山を有するように、特に好適には、連続的な雄ねじ山を有するように設計することができる。
【0062】
さらに、本発明は、カートリッジの後側におけるねじ山が雌ねじ山であり、モノマーレセプタクルの対応するねじ山が、横方向外面に設けられた雄ねじ山であることを提供することができる。
【0063】
この手段によって、装置を特にコンパクトに設計することができる。
【0064】
これに関連して、本発明は、プランジャが、カートリッジの後側における雌ねじ山よりも大きな直径を有することを提供することができる。
【0065】
この手段によって、プランジャは、カートリッジの内壁に対してカートリッジの後側をシールすることができ、カートリッジの全幅にわたってカートリッジの内部空間から骨セメント生地を押し出すことができる。さらに、これにより、カートリッジからモノマーレセプタクルを完全にねじ出すことが不可能になる。プランジャの後側と、カートリッジの雌ねじ山の始まりとが、共同して、制限ストッパを形成しており、モノマーレセプタクルは、この制限ストッパを越えてカートリッジからねじ出されることはできず、これにより、カートリッジの内部空間の意図しない開放が排除される。
【0066】
さらに、本発明は、カートリッジの前側がカートリッジ蓋によって閉鎖されており、分注開口はカートリッジ蓋に配置されており、カートリッジ蓋は気密式および液密式にカートリッジの側壁に接続されており、カートリッジ蓋は好適にはカートリッジの前側における雄ねじ山に螺合していることを提供することができる。
【0067】
これは、装置の据付を単純化する。したがって、モノマーレセプタクルは、前方からカートリッジに挿入することができ、プランジャが、モノマーレセプタクルにおける雌ねじ山(対応するねじ山)よりも大きな半径を有するとしても、カートリッジの後側におけるねじ山としての雌ねじ山にねじ込むことができる。その後、セメント粉末を充填することができ、カートリッジの内部空間は、カートリッジ蓋によって前側で閉鎖される。
【0068】
改良によれば、本発明は、開放装置が、モノマーレセプタクルの後側に螺合させることができかつチャンバを後側で気密式に閉鎖するクロージャキャップを有することを提供することができる。好適には、クロージャキャップがモノマーレセプタクルへさらにねじ込まれることを防止するための制限ストッパが設けられている。
【0069】
この手段によって、開放装置およびモノマーレセプタクルの両方を、ねじり動作によって作動させることができる。さらに、ガスは、ガスが出ることができることなくカートリッジの内部空間からチャンバへ押し込まれることができる。
【0070】
これに関連して、本発明は、スリーブがクロージャキャップに配置されており、スリーブは、チャンバを後側で気密式に閉鎖するように、チャンバの内側に適切に差し込むかまたはねじ込むことができることを提供することができる。
【0071】
モノマー液体コンテナを開放させるために、突出したスリーブを使用することができる。
【0072】
本発明によれば、スリーブは、好適には、モノマーレセプタクルの壁部における少なくとも1つのガス供給開口を気密式に閉鎖するために使用することもできる。この目的のために、スリーブは、特に好適には、少なくとも1つの周方向シール、さらにより特に好適には、2つの周方向シールを有している。したがって、本発明は、スリーブがチャンバ内で気密式にシフト可能であることを提供することができる。
【0073】
クロージャキャップが、モノマーレセプタクルの後側における雄ねじ山に螺合させることができる雌ねじ山を有する場合、チャンバに面したクロージャキャップの後壁と、モノマーレセプタクルの壁部の後端部とは、共同して制限ストッパを形成している。これに関連して、本発明は、好適には、キャップの雌ねじ山が、スリーブより長手方向で小さな高さを有することを提供することができる。
【0074】
クロージャキャップが制限ストッパまで完全にモノマーレセプタクルにねじ込まれたときまたはクロージャキャップがモノマーレセプタクルにねじ込まれているとき、チャンバに配置されたモノマー液体コンテナをチャンバ内でスリーブによって破壊、切断または裂断開放させることができるほど深くスリーブがチャンバ内へ突出していることが特に好ましい。モノマー液体コンテナが、ガラスまたはプラスチック材料から形成されたアンプルである場合、およびスリーブがアンプルボディの側壁に押し付けられる場合、スリーブの前縁と、チャンバに面したプランジャの端部またはチャンバに配置されたマンドレルの先端部またはチャンバに配置された切断エッジとの間の距離は、クロージャキャップが完全に制限ストッパまで螺合しているとき、アンプルボディの高さより小さくなければならない。
【0075】
さらに、モノマーレセプタクルがカートリッジの内部空間から制限ストッパまで最大限にねじ出されている装置の状態において、本発明は、カートリッジのこのように最大限に拡大された内部空間におけるセメント粉末にわたって自由体積が存在し、体積は、モノマー液体コンテナ内のモノマー液体の体積と少なくとも等しく、好適には、モノマー液体コンテナ内のモノマー液体の体積の少なくとも2倍大きいことを提供することができる。
【0076】
これは、振ることによって内容物を十分に混合させることができるように、モノマー液体がカートリッジの内部空間へ充填された後、カートリッジの内部空間に十分に大きな自由空間が含まれることを保証する。混合エレメントが存在する場合、これらの混合エレメントによって骨セメント生地の初期成分を十分に混合することができるように、空気および/またはガスは、カートリッジの内部空間における混合エレメントの十分な可動性を保証する。カートリッジの内部空間内へのモノマー液体の移動の間、モノマー液体は、セメント粉末の粉末粒子の間の介在する空間へ流入する。少なくとも1つのガス供給開口が気密式に閉鎖されていると、カートリッジの内部空間における圧力はそのプロセスにおいて低下し、すなわち、カートリッジの内部空間およびチャンバに既に存在していたのではない付加的なガスが、カートリッジの内部空間内へ導入されない。この手段によって、混合された骨セメント生地から後で逃げ出す必要があるガスがより少なくなるように、混合物内のガスの量は増大しない。
【0077】
本発明が基づく目的は、骨セメント生地、特に、椎体の増強のための低粘度ポリメタクリル酸メチル骨セメント生地を製造する方法であって、骨セメント生地は、セメント粉末およびモノマー液体から製造され、骨セメント生地を製造しかつ混合された骨セメント生地を分注するための装置を用いて行われる方法において、以下のステップ、すなわち、
A)装置の開放装置を作動させ、開放装置の作動は、装置の周囲をモノマーレセプタクルの内側におけるチャンバにガス透過式に接続する、装置のモノマーレセプタクルの壁部の少なくとも1つのガス供給開口を気密式に閉鎖し、その後、モノマー液体を含んだモノマー液体コンテナが、モノマーレセプタクルのチャンバ内で開放され、
B)モノマー液体をモノマーレセプタクルから、ガスおよびモノマー液体に対して透過性であるが、セメント粉末に対して不透過性であり、かつモノマーレセプタクルの前側に設けられたプランジャに配置された通路を通って、セメント粉末を含むカートリッジの内部空間内へ移動させ、
C)骨セメント生地を製造するためにカートリッジの内部空間においてモノマー液体とセメント粉末とを混合し、
D)モノマーレセプタクルの前側にプランジャを備えるモノマーレセプタクルをカートリッジの内部空間の後側からカートリッジ内へねじ込むことによって、骨セメント生地に行き渡ったガスをカートリッジの内部空間から押し出し、
E)モノマーレセプタクルをさらにカートリッジ内へねじ込むことによって、混合された骨セメント生地をカートリッジの内部空間から、プランジャとは反対側のカートリッジの分注開口を通じて押し出す、
ステップを特徴とする方法によっても達成される。
【0078】
本発明によれば、カートリッジ内へのステップB)でのモノマー液体の移動は、モノマーレセプタクルのチャンバからカートリッジの内部空間内へ流出する、吸い出す、押し出すまたはこれらの動作のうちの複数または全ての組合せによって行われることが好ましい。
【0079】
ステップD)におけるガスは、カートリッジの内部空間から通路を通じてモノマーレセプタクルのチャンバ内へ押し出すことができ、または前に開放された分注開口を通じて押し出すことができる。
【0080】
プランジャと反対側の分注開口は、ステップD)の直前またはステップE)の直前に開放させることができる。
【0081】
本発明による方法において、本発明は、本発明による装置によって方法が実施されることを提供することができる。
【0082】
これにより、方法は、本発明による装置によって達成することができる利点を有する。
【0083】
さらに、本発明は、ステップC)におけるモノマー液体およびセメント粉末が、カートリッジを振ることによって混合され、カートリッジの内部空間は、セメント粉末およびモノマー液体に加え、ガスと、カートリッジの内部空間において自由に可動な少なくとも1つの固定されていない混合エレメント、特に、少なくとも1つの固定されていない玉とを有しており、少なくとも1つの混合エレメントは、振ることによってカートリッジの内部空間において動き回り、この手段によってセメント粉末およびモノマー液体が混合されることを提供することができる。
【0084】
この手段によって、セメント粉末およびモノマー液体は、例えば、カートリッジ壁部におけるシールされた貫通孔を通じて案内される必要があるロッドによって移動される混合パドルなどの、外部から操作されるミキサを使用する必要なく、混合することができる。
【0085】
本発明は、開放装置の作動によって、モノマー液体コンテナが、ステップA)において開放し、チャンバを装置の周囲にガス透過式に接続する少なくとも1つのガス供給開口が、開放装置の作動中に閉鎖することを提供することができる。
【0086】
さらに、本発明は、開放装置がモノマーレセプタクル内へねじ込まれ、モノマー液体コンテナが、開放装置の動作によって開放され、モノマーレセプタクルの壁部に配置された少なくとも1つのガス供給開口が前もって閉鎖されることを提供することができる。
【0087】
この手段によって、チャンバおよびカートリッジの内部空間は、滅菌ガスを用いてガス供給開口を通じて前もって滅菌することができ、モノマー液体がチャンバから出ることができないように、モノマー液体コンテナが開放されたとき、チャンバは閉鎖される。
【0088】
好適には、本発明は、モノマー液体コンテナが、ガラスまたはプラスチック材料から形成されたアンプルであり、アンプルがステップA)で開放されるとき、アンプルは、モノマーレセプタクルのチャンバに面したプランジャの側におけるマンドレルまたは切断エッジに押し付けられ、これにより、アンプルは、この側で破壊され、モノマー液体が、通路の領域において開放されたアンプルから出ていくことを提供することもできる。
【0089】
この手段によって、アンプルを、マンドレルまたは切断エッジによって通路の領域における規定された部分で開放させることができ、これにより、モノマー液体は、この領域において開放されたアンプルから通路を通ってカートリッジの内部空間へ直接流入することができる。
【0090】
本発明による方法の改良によれば、本発明は、モノマーレセプタクルが、ステップB)の間、好適にはステップA)およびB)の間、カートリッジの上方に保持されており、これにより、モノマー液体は、チャンバから通路を通ってカートリッジの内部空間内へ流れるとき、重力の作用によって駆動されることを提供することができる。
【0091】
これにより、モノマー液体をカートリッジの内部空間内へ移動させるための別個の構成部材が省略される。好適には、加えて、カートリッジからモノマーレセプタクルをねじ出すことによってカートリッジの内部空間に負圧が生じ、負圧は、加えて、チャンバからカートリッジの内部空間内へモノマー液体を吸い込む。
【0092】
さらに、本発明は、ステップA)の前に、開放装置の作動を防止する第1の安全エレメントかつ/またはモノマーレセプタクルがカートリッジ内へねじ込まれることを防止する第2の安全エレメントが解放されるステップが行われることを提供することができる。
【0093】
これは、装置全体の搬送または提供の間にモノマー液体コンテナが意図せず開放されないことおよび装置が意図せず作動および/または操作されないことを保証する。
【0094】
本発明は、ステップB)においてモノマー液体をチャンバからカートリッジの内部空間内へ移動させるためにモノマーレセプタクルがカートリッジの内部空間からねじ出され、これにより、カートリッジの内部空間が増大し、カートリッジの内部空間に負圧が生じ、負圧によって、モノマー液体が、チャンバからカートリッジの内部空間内へ吸い込まれることを提供することもできる。
【0095】
この手段によって、チャンバからカートリッジの内部空間内へのモノマー液体の移動を、達成または少なくとも加速することができる。
【0096】
本発明は、装置の内側が、滅菌ガスにアクセス可能であるように少なくとも1つのガス供給開口を備えて設計されることができ、同時に、装置内のモノマー液体コンテナを開放させるために使用される開放装置が、モノマー液体コンテナが開放されかつモノマー液体が装置内に解放される前に、それ自体によってまたは別個のクロージャ手段によって少なくとも1つのガス供給開口を閉鎖し、これにより、装置が使用されているときにモノマー液体が装置から解放されることができないということを驚くべきことに発見したことに基づく。さらに、セメント粉末に対して不透過性であるが、モノマー液体およびガスに対して透過性の、モノマーレセプタクルのチャンバとカートリッジの内部空間との間の通路を使用して、カートリッジの内部空間に固定されていない状態で貯蔵されたセメント粉末が、装置から出ることを防止することができる。上記の2つの手段は、内部をエチレンオキシドなどの滅菌ガスによって滅菌することができる装置を生じ、同時に、初期成分は装置から出ることができない。さらに、少なくとも1つのガス供給開口が気密式に閉鎖されているとき、装置の内側に負圧を生じさせることができ、負圧によって、モノマー液体をカートリッジの内部空間へ吸い込むことができ、負圧は、初期成分が混合されているときに、より大きな自由体積を提供し、これにより、骨セメント生地が使用される前にカートリッジの内部空間から押し出されなければならない、カートリッジの内部空間におけるガスの量を増大させなければならないということなく、装置を振ることによって、より良い混合結果を達成することができる。
【0097】
本発明による典型的な装置は、以下のものから組み立てることができる。
a)中空の円筒状のカートリッジであって、カートリッジ蓋のための固定手段は、カートリッジの自由端部に配置されており、雌ねじ山が、カートリッジの反対側の後側端部でカートリッジの内壁に配置されている、中空の円筒状のカートリッジ;
b)気密式および液密式にカートリッジの前端部に固定手段によって接続されるカートリッジ蓋であって、少なくとも1つの分注開口を有する、カートリッジ蓋;
c)気密式かつ解放可能式にカートリッジ蓋の分注開口に配置されたクロージャストッパ;
d)前側にプランジャを形成するプランジャ状の中空の円筒状のモノマーレセプタクルであって、そのジャケット面に少なくとも1つのねじ山を有する、モノマーレセプタクル;
e)チャンバをモノマーレセプタクルの内側でカートリッジの内部空間に接続するモノマーレセプタクルのその他の閉鎖された前側底面における、ガスおよび液体透過性であるが、粉末不透過性の通路;
f)モノマーレセプタクルの閉鎖された前側底面の後側に配置されたマンドレル;
g)その底側が、モノマーレセプタクルのチャンバ内でマンドレルの上方の所定の距離に配置された、モノマー液体を含むモノマー液体コンテナ;
h)スリーブが、中空円筒状モノマーレセプタクルのエッジを越えて突出するように、適切な形式で軸方向にシフト可能であるように、中空の円筒状のモノマーレセプタクル内でモノマー液体コンテナの後側の背後に配置されたシフト可能なスリーブ(または中空シリンダ);
i)一方の側で閉鎖された中空の円筒状のモノマーレセプタクルの中空のクロージャキャップであって、雌ねじ山と、中空の円筒状のモノマーレセプタクルのための制限ストッパとが、中空のクロージャキャップに配置されており、クロージャキャップの下側外側縁部と、制限ストッパとの間の距離は、スリーブの外側端部と、そこからスリーブが突出しているモノマーレセプタクルの狭い側のエッジとの間の距離よりも小さい、中空のクロージャキャップ;
j)スリーブを軸方向にシフトさせることによって気密式に閉鎖することができる中空の円筒状のモノマーレセプタクルのジャケット面における少なくとも1つの通気開口;
k)カートリッジの内壁と、カートリッジ蓋と、モノマーレセプタクルの閉鎖された前側底面とによって境界を定められたカートリッジの内部空間に配置されたセメント粉末;
l)中空の円筒状のモノマーレセプタクルは、その雄ねじ山によってカートリッジの雌ねじ山に螺合する。
【0098】
クロージャキャップを備えるスリーブは、モノマーレセプタクルのチャンバ内でモノマー液体コンテナを開放させるための開放装置を形成する。
【0099】
本発明による典型的な装置の作動原理は、滅菌状態および/または貯蔵状態において、プランジャ状のモノマーレセプタクルが、少なくとも1つの雄ねじ山によってカートリッジ内に適切にねじ込まれ、これにより、プランジャが、セメント粉末に接触するかつ/またはセメント粉末のすぐ上方に配置されるということである。カートリッジのカートリッジ蓋は、気密式にカートリッジに接続されている。クロージャストッパは、気密式にカートリッジ蓋の分注開口内へ挿入されているかつ/または差し込まれている。スリーブは、モノマー液体コンテナの背後、つまりモノマー液体コンテナの上方に適切に配置されており、これにより、ガスのための少なくとも1つのガス供給開口が通過可能でありかつ露出される。スリーブは、モノマーレセプタクルを越えて突出しており、モノマーレセプタクルの雄ねじ山に螺合したクロージャキャップによって包囲されている。装置の作動のために、クロージャキャップはカートリッジ蓋の方向へ下方に回転する。その過程で、クロージャキャップはスリーブをカートリッジ蓋の方向へモノマーレセプタクルのチャンバ内へ押し込む。少なくとも1つの通気開口は、その過程で蓋によってカバーされ、ひいては閉鎖される。スリーブは、クロージャキャップによってカートリッジヘッドの方向へさらに移動され、モノマー液体コンテナをマンドレルに押し付ける。これは、モノマー液体コンテナを開放させ、モノマー液体が下方へ流出する。これが、なぜ装置がその使用中にカートリッジを下向きにして保持されるかの理由である。重力の作用により、モノマー液体は、セメント粉末の方向に下方へ流れ始める。次いで、プランジャ状のモノマーレセプタクルは、カートリッジ蓋と反対側のカートリッジの後側にすぐにねじ込まれる。セメント粉末を含んだカートリッジの内部空間に負圧が生じる。この手段によって、モノマー液体は、セメント粉末に向かってカートリッジの内部空間内へ吸い込まれる。その後、初期成分を含んだカートリッジが、カートリッジの内部空間において振られる。混合プロセスを補助する自由に可動な混合エレメントを有することが有利である。セメント粉末をモノマー液体と混合することによって骨セメント生地が製造される。その後、クロージャストッパがカートリッジ蓋から取り外され、このように製造された骨セメント生地が、モノマーレセプタクルをカートリッジ蓋の方向へねじ込むことによって押し出される。前もって、骨セメント生地からガスを追い出すために、モノマーレセプタクルおよびモノマーレセプタクルの前側に形成されたプランジャの同じ動作を利用することができる。
【0100】
円筒状フロントヘッド側における中空円筒状モノマーレセプタクルの直径は、中空円筒状カートリッジの内径と等しいかまたはそれよりも小さく、中空円筒状モノマーレセプタクルは、気密式にそのヘッド側によって軸方向に移動させることができる。
【0101】
本発明は、モノマーレセプタクルの雄ねじ山が、前側に形成されたプランジャより小さな直径を有することを提供することができる。
【0102】
好適には、スリーブは中空シリンダとして設計されており、スリーブの前側はモノマー液体コンテナに載置され、スリーブは、中空空間の内側またはスリーブの端部で気密の分離壁によって閉鎖されている。モノマーレセプタクルの中空円筒状チャンバ内でスリーブを気密式に軸方向にシフトさせることができることが、装置の作動原理にとって必須である。
【0103】
クロージャキャップの内面と、カートリッジ蓋の方向に面した(プランジャの)モノマーレセプタクルの前側底面の表面とは、凹面状に湾曲していることが好ましい。
【0104】
カートリッジの内部空間に配置された1つまたは複数の自由に可動な混合ボディを有することが有利であり、球状の混合ボディが好ましく、セラミック球状混合ボディが特に好ましい。
【0105】
好適には、分注開口に向かって延びるフィンがカートリッジ蓋の内側に配置されている。
【0106】
本発明による典型的な装置を使用するポリメタクリル酸メチル骨セメントの混合および適用のための本発明による典型的な方法は、与えられた順序における以下のステップによって特徴付けることができる:
a)カートリッジ蓋を下向きにしてカートリッジを鉛直に位置付ける;
b)中空円筒状モノマーレセプタクルに螺合したクロージャキャップをカートリッジ蓋の方向へねじる;
c)クロージャキャップ内でねじることによってスリーブをカートリッジ蓋の方向へシフトさせる;
d)スリーブによって中空円筒状モノマーレセプタクル内の少なくとも1つのガス供給開口を閉鎖する;
e)スリーブを軸方向にシフトさせることによってモノマー液体コンテナをマンドレルの方向へシフトさせる;
f)モノマー液体コンテナの底部をマンドレルによって破壊する;
g)モノマー液体が中空円筒状モノマーレセプタクルのチャンバ内へ流出する;
h)モノマーレセプタクルをカートリッジ蓋からねじ出し、これにより、カートリッジの内部空間に負圧を生じさせる;
i)モノマー液体は、モノマーレセプタクルの前側底面の通路を通ってカートリッジの内部空間内へ、カートリッジの内部空間に配置されたポリメタクリル酸メチルセメント粉末まで流れかつ吸い込まれる;
j)カートリッジの手作業による振りおよびこれによるモノマー液体とセメント粉末との混合;
k)ポリメタクリル酸メチルセメント粉末と混合されたモノマー液体から骨セメント生地を形成する;
l)分注開口からクロージャストッパを取り外す;
m)カートリッジ蓋の方向へモノマーレセプタクルをねじる;
n)モノマーレセプタクルのプランジャをカートリッジ蓋の方向へ移動させることによって、開放された分注開口からポリメタクリル酸メチル骨セメントを分注する。
【0107】
本発明の別の典型的な実施の形態が、12の概略的な図面に基づき、ただし本発明の範囲を限定することなく、以下で例示される。
【図面の簡単な説明】
【0108】
図1】骨セメント生地を製造するための、本発明による典型的な第1の装置の概略的な断面図を示している。
図2図1に記載の本発明による第1の装置の概略的な外側斜視図である。
図3】第2の安全エレメントを有する、図1および図2に記載の本発明による第1の装置の別の概略的な斜視断面図を示している。
図4】本発明による方法の作業の流れを示すための、ねじ込み式モノマーレセプタクルを有する図1から図3までに記載の本発明による第1の装置の概略的な断面図を示している。
図5】本発明による方法の作業の流れを示すための、開放されたモノマー液体コンテナを有する図1から図4までに記載の本発明による第1の装置の概略的な断面図を示している。
図6】本発明による方法の作業の流れを示すための、モノマーレセプタクルがねじ出されかつモノマー液体が引き込まれた、図1から図5までに記載の本発明による第1の装置の概略的な断面図を示している。
図7】本発明による方法の作業の流れを示すための、モノマーレセプタクルがねじ込まれかつ余分なガスが押し出された、図1から図6までに記載の本発明による第1の装置の概略的な断面図を示している。
図8】本発明による方法の作業の流れを示すための、製造された骨セメント生地を分注する間の、図1から図7までに記載の本発明による第1の装置の概略的な断面図を示している。
図9】骨セメント生地を製造するための、本発明による典型的な第2の装置の断面図を示している。
図10】初期成分が存在しない、骨セメント生地を製造するための、図9に記載の本発明による第2の装置の概略的な斜視断面図を示している。
図11】骨セメント生地を製造するための、本発明による第3の典型的な装置の概略的な断面図を示している。
図12】このように製造された骨セメント生地を分注する間の、図11に記載の本発明による第3の装置の概略的な断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0109】
図1図8は、骨セメント生地49の初期成分3,4の貯蔵および骨セメント生地49の混合のための本発明による第1の装置の図を示している。これに関連して、図1および図4図8は、本発明による装置を用いて行われる本発明による方法の作業の流れを示しており、それぞれ断面図の形式で示されている。
【0110】
本発明による第1の装置は、装置の前側部分(図1および図4図8では下側、図2では右上、図3では左下)を形成する、プラスチックから形成された管状のカートリッジ1を含む。装置の後側部分は、モノマーレセプタクル2によって形成されている。装置は、モノマー液体3およびセメント粉末4から製造される骨セメント生地49(図7および図8参照)を製造するためのものである。この目的のために、モノマー液体3は、アンプル5に収容されており、アンプル5は、破壊することができ、モノマー液体3のためのモノマー液体コンテナとしてガラスまたはプラスチックから形成されており、アンプル5はモノマーレセプタクル2に差し込まれている。カートリッジ1は、内側に、セメント粉末4を収容する円筒状の内部空間11を形成している。
【0111】
カートリッジ1は、前側(図1および図4図8では下側、図2では右上、図3では左下)に分注開口を有しており、この分注開口は最初、取外し可能なクロージャ6によって閉鎖されている。モノマーレセプタクル2の側壁に複数のガス供給開口7が配置されており、これらのガス供給開口7を通じて、ガスを装置の内側から吸い出すことができかつ装置内側の滅菌のためにエチレンオキシドなどの滅菌ガスを充填することができる。
【0112】
カートリッジ1の後側端部に雌ねじ山8が配置されている。モノマーレセプタクル2は、外側に、カートリッジ1の雌ねじ山8と嵌合する雄ねじ山9を有している。モノマーレセプタクル2は、ねじ山付き管の形式で成形されており、内側に円筒状のチャンバ10を有し、この円筒状のチャンバ10にアンプル5が差し込まれている。この目的のために、アンプル5は、適合する直径を有する円筒状のアンプルボディを有している。カートリッジ1は、カートリッジ1の内側に、円筒状の内部空間11を形成している。内部空間11およびチャンバ10の円筒状形状は、円形の底面を有する円筒に相当する。
【0113】
モノマーレセプタクル2は、前側において、円筒状のプランジャ12によって境目を形成されており、この円筒状のプランジャ12は、円形の底面で前方に向かってチャンバ10を閉鎖している。プランジャ12は、プランジャ12を通過する通路として複数のチャネル14を有しており、これらのチャネル14は、プランジャ12に環状に配置されており、プランジャ12の前側をプランジャ12の後側に接続しており、これにより、モノマーレセプタクル2のチャンバ10をカートリッジ1の内部空間11へ接続している。チャネル14は、環状の孔フィルタ16によってカバーされている。孔フィルタ16は、カートリッジ1の内部空間11からのセメント粉末4に対して不透過性であり、モノマー液体3およびガスに対して透過性である。この手段により、セメント粉末4がモノマーレセプタクル2のチャンバ10内へ進入することが防止される。プランジャ12は、モノマーレセプタクル2の雄ねじ山9よりも大きな外径を有している。円筒状のプランジャ12の外径は、カートリッジ1の内部空間11の内径に合致する。装置の組立て中、モノマーレセプタクル2は、前方からカートリッジ1内へ差し込まれなければならず、雄ねじ山9によってカートリッジ1の雌ねじ山8に螺合しなければならない。モノマーレセプタクル2のプランジャ12は、後側(図1および図4図8では上側、図2では左下、図3では右上)の方向でカートリッジ1の内部空間11をシールしている。
【0114】
開放装置18が、モノマーレセプタクル2の後側に設けられており、アンプル5を開放させかつチャンバ10の内側にモノマー液体3を開放させるために、アンプル5をプランジャ12の方向へ押し付けるために使用することができる。この目的のために、開放装置18は、スリーブの形式で成形された中空シリンダ20を含む。これに関連して、中空シリンダ20は、チャンバ10の内壁に対して接触しており、チャンバ10の後側の領域においてチャンバ10をカバーしている。閉鎖された壁部21が、中空シリンダ20のシリンダ形状の軸線に対して垂直になるように中空シリンダ20に設けられており、これにより、閉鎖された壁部21を備える中空シリンダ20は、後側で、外側に対してチャンバ10を閉鎖している。中空シリンダ20は、スクリュータイプのクロージャキャップ22に取り付けられている。中空シリンダ20の横方向シリンダ壁(シリンダジャケット面)は、半径方向穴23を有しており、これらの半径方向穴23は、装置の初期状態および貯蔵状態では、ガス供給開口7と整列している(図1参照)。この手段により、チャンバ10、ひいてはチャネル14によってカートリッジ1の内部空間11もまた、さらに、ひいてはセメント粉末4が、ガス透過性形式でこの状態で装置の周囲へ接続されている。クロージャキャップ22は、モノマーレセプタクル2の雄ねじ山9に螺合する雌ねじ山24を有している。
【0115】
クロージャキャップ22または開放装置18は、モノマーレセプタクル2の後側において、制限ストッパまで完全にではなく途中まで螺合しており、これにより、モノマーレセプタクル2に取り付けられている。クロージャキャップ22をモノマーレセプタクル2にさらにねじ込むことができ、これにより中空シリンダ20をチャンバ10内へより深く挿入できることが重要である。
【0116】
モノマーレセプタクル2の後側にかつ中空シリンダ20の閉鎖された壁部21の背後に貫通穴が設けられており、この貫通穴に、ピンの形式の安全エレメント26が差し込まれており、ホルダキャップ27によって、落下が防止されている。安全エレメント26は、クロージャキャップ22が意図せずねじ込まれるかまたはねじ出されることを防止しており、これにより、開放装置18が意図せず操作されることを防止している。ホルダキャップ27を引き抜き、ピンを引き出すことによって、装置の使用直前に安全エレメント26を解放させることができる。その後、開放装置18をチャンバ10内へねじ込むことができる。
【0117】
開放装置18がねじ込まれているとき、穴23は、回転してガス供給開口7からずれ、長手方向にシフトし、中空シリンダ20の外壁によって閉鎖される。これにより、装置は外側に対して閉鎖され、その結果、チャンバ10内へ出ていくモノマー液体3は、ガス供給開口7を通ってチャンバ10から出ることができなくなる。
【0118】
クロージャキャップ22が誤った方向へ回転することを防止しかつチャンバ10が後側で開放されることを防止するために、逆動作ロックが設けられている(図1図8には示されていない)。逆動作ロックは、クロージャキャップ22が解放されることおよび/または開放装置18がモノマーレセプタクル2から解放されることを防止する。逆動作ロックは、例えば、ロッキングディスクの形式のスクリューロックとしてまたは一対のウェッジロックディスクまたは類似の手段によって実装することができる。これは、開放装置が解放されることを防止するのみならず、逆動作ロックは、適切に設計されているならば、開放装置18がねじ戻されることによって、ガス供給開口7が場合によっては再び開放されることを防止することができる。
【0119】
開放装置18を手で便利に回転させることができるために、開放装置18の後側端部にはハンドル28が設けられている。ガス供給開口7を気密式および耐圧式に閉鎖することができるためにかつ中空シリンダ20をチャンバ10の内壁に対してシールするために、ゴムから形成された2つの周方向シール30が、中空シリンダ20の外周の周方向溝に配置されている。半径方向穴23は、長手方向に互いから所定の距離を置いて配置されたシール30の間に配置されている。2つのシール30のうちの後側のシールは、穴23の近くに配置されており、これにより、ガス供給開口7は、中空シリンダ20の長手方向における軸方向運動の間に迅速に閉鎖される。代替的に、シーリングリングは、モノマーレセプタクル2の内壁においてガス供給開口7の周囲にのみ、または中空シリンダ20の外壁において穴23の周囲にのみ、配置することもできる。ガス供給開口7は、中空シリンダ20がプランジャ12の方向に押し付けられるとき(図3参照)、(図1の上側の)後側のシールによってシールされる。
【0120】
同様に、プランジャ12の外周には2つの溝が配置されており、これらの溝には、ゴムから形成された2つの周方向シール32が配置されており、これらの溝は、長手方向に互いから所定の距離を置いて配置されている。シール32は、カートリッジ1の内部空間11に対してプランジャ12をシールしており、カートリッジ1の内部空間11の後側を閉鎖している。
【0121】
チャネル14および環状の孔フィルタ16は、アンプル5を破壊するためのマンドレル34の周囲に配置されている。この目的のために、マンドレル34の先端は、チャンバ10の内側を向いている。この目的のために、アンプル5の底部が破壊されるまで、アンプル5を中空シリンダ20によってマンドレル34へ押し付けることができる。この目的のために、中空シリンダ20は、アンプル5のアンプルボディとほぼ同じ直径を有している。これに関連して、アンプル5のアンプルヘッドは、中空シリンダ20の内側に配置されている。これにより、アンプル5が中空シリンダ20の領域で破壊されることはない。なぜならば、円筒状のアンプルボディは極めて安定しているが、マンドレル34をアンプル5の底部内へ比較的容易に押し込むことができるからである。
【0122】
装置の搬送中にアンプル5が既に開放されないことを保証するために、ばね36がチャンバ10内でマンドレル34の周囲に配置されており、マンドレル34から所定の距離にアンプル5を位置付ける。開放装置18が内方へねじ込まれるとき、ばね36はアンプル5によって圧縮され、アンプル5の底部がマンドレル34上で破壊される。
【0123】
カートリッジ1の前側は、カートリッジ蓋38によって閉鎖されている。前側における分注開口の境界を定めるソケット39が、カートリッジ蓋38の中央に形成されている。分注開口を閉鎖するストッパ6が、ソケット39を解放させることができるようにソケット39に取り付けられている。カートリッジ蓋38は、雌ねじ山40によって、カートリッジ1の前側の雄ねじ山42に螺合している。カートリッジ蓋38は、周方向シール44によって、カートリッジ1に対してさらにシールされている。
【0124】
カートリッジの内部空間は、混合エレメントとしての、酸化ジルコニウムセラミックから形成された7つの固定されていない玉45を含んでおり、装置を振ることによって、これらの玉45によってカートリッジ1の内部空間11の内容物を混合することができる。玉45は骨セメント生地49よりも高い密度を有するので、装置を骨セメント生地49および/または骨セメント生地−ガス混合物48に対して振ることによって、玉45を骨セメント生地内で移動させることができ、骨セメント生地−ガス混合物48(図6参照)内でははるかにさらに良く移動させることができる。これに関連して、玉45は、カートリッジ1の内部空間11内で浮遊し、その過程で初期成分3,4を混合させる。
【0125】
玉45が分注開口を閉鎖できないことを保証するために、複数の突出したフィン46が、カートリッジ蓋38の内側に設けられており、内部空間11の内壁のエッジから分注開口の方向へ半径方向に延びている。フィン46は、外側に向かって半径方向にテーパしており、これにより、プランジャ12および骨セメント生地49が外へ向かって前進させられるとき(図7および図8参照)、玉45は分注開口から離れるようにスライドまたは転動する。玉45が分注開口の前方でちょうど中央に位置したとしても、玉45は、その場合でさえもフィン46によって分注開口から所定の距離に保持され、これにより、骨セメント生地49は、玉45とフィン46との間を通って、分注開口内へかつ分注開口を通って流れることができる。
【0126】
ブレース47の形式の第2の安全エレメント47を、モノマーレセプタクル2からカートリッジ1への移行部に配置することができる。ブレース47は、モノマーレセプタクル2がカートリッジ1内へねじ込まれることを防止するために使用することができる。ブレース47は、モノマーレセプタクル2がカートリッジ1内へねじ込まれる前に引き抜かれる。ブレース47は、特に重要ではなく、省略することもできる。
【0127】
本発明による方法の作業の流れを、図1図8に基づき以下で説明する。最初、装置は初期状態にある(図1図3参照)。装置はこの状態で包装されており、エチレンオキシドによって滅菌されている。エチレンオキシドは、ガス供給開口7および穴23を通ってチャンバ10に進入することができ、孔フィルタ16およびチャネル14を通ってカートリッジ1の内部空間11へ進入することができる。これに関連して、ガス交換は、真空チャンバまたは負圧チャンバ内で行われる。この状態(図3参照)で、装置は開封される。
【0128】
まず、ブレース47が引き抜かれる。しかしながら、これはもっと後で行うこともできる。ここで、装置は、図1および図2に示された状態にある。引き続き、モノマーレセプタクル2がカートリッジ1内へねじ込まれる。これに関連して、あらゆる上澄みガスが、カートリッジ1の内部空間11から、チャネル14によって形成された通路および孔フィルタ16を通ってチャンバ10内へ押し込まれる。チャンバからのガスは、最終的に、穴23およびガス供給開口7を通って逃げ出す。
【0129】
最後に、カートリッジ1の内部空間11においてセメント粉末4は圧縮され、粉末粒子の間にのみガスが存在する。この状態は図4に示されている。
【0130】
次のステップでは、安全エレメント26が取り外され、開放装置18は、チャンバ10内へねじ込まれる。これに関連して、カートリッジ蓋38を下向きにして装置を保持することが好ましい。これに関連して、中空シリンダ20は、アンプル5の肩部を、ばね36の力に抗してマンドレル34の方向へ押し付ける。ガス供給開口7は、中空シリンダ20のねじり動作により閉鎖される。引き続き、アンプル5の底部がマンドレル34に押し付けられ、アンプル5は底部上で破壊される。この状態は図5に示されている。
【0131】
モノマー液体3は、チャネル14によって形成された通路の領域においてアンプル5の底部上に出ていく。装置は、カートリッジ蓋38が下向きになるように保持されているので、重力によって駆動されるモノマー液体3は、即座に下方へ孔フィルタ16およびチャネル14を通ってカートリッジ1の内部空間11へ流入し、セメント粉末4に行き渡る。モノマーの移動を加速させるために、モノマーレセプタクル2は、再びカートリッジ1からねじ出される。ガス供給開口7が気密式および耐圧式に閉鎖されており、カートリッジ1の内部空間11はプランジャ12に対してシールされておりかつ外側に対して閉鎖されているので、カートリッジ1の内部空間11の容積の増大が、カートリッジ1の内部空間11に負圧を生じさせ、この負圧によって、モノマー液体3はカートリッジ1の内部空間11へ吸い込まれる。前述のように、装置は、カートリッジ蓋38が下向きになるように保持されている。さらに、カートリッジ1の内部空間11の増大が、装置の内側におけるガス圧力も減少させる。負圧のガスは、最終的に、初期成分3,4にわたって、カートリッジ1の内部空間11にも存在する。これに関連して、上澄みガスの体積は、モノマー液体3の体積の少なくとも2倍である。
【0132】
カートリッジ1の内部空間11の内容物、すなわち、モノマー液体3およびセメント粉末4は、この状態で装置を振ることによって混合することができる。これに関連して、玉45は、カートリッジ1の内部空間11内に浮遊し、これにより、成分の混合を補助する。その後、カートリッジ1の内部空間11は、骨セメント生地−ガス混合物48を含んでいる。この状態は図6に示されている。繰り返し振った後、骨セメント生地49は十分に混合される。
【0133】
次いで、装置は、カートリッジ蓋38が上向きになるように反転される。ストッパ6は、分注開口から取り外されている。ここで、選択肢として、トロカールを備えたホース(図示せず)をソケット39に取り付けることができ、このホースを通じて、骨セメント生地49を、X線コントロール下で、アクセスが困難な場所へ提供することができる。脊椎固定術で使用するための骨セメント生地49はむしろ非粘性であるので、気泡が上昇する。モノマーレセプタクル2が再びカートリッジ1内へねじ込まれ、ガスは、分注開口から上方へ逃げ出す。最後に、骨セメント生地49は、カートリッジ1の内部空間11から分注開口および/またはソケット39を通って出ていく。この状態は図7に示されている。
【0134】
モノマーレセプタクル2をカートリッジ1内へさらにねじ込むと、プランジャ12は、骨セメント生地49を装置から押し出す。最後に、プランジャ12は、玉45をカートリッジ蓋38に押し付ける。これにより、押出しプロセスが完了する。この状態は図8に示されている。
【0135】
図9および図10は、骨セメント生地の初期成分3,4の貯蔵および骨セメント生地の混合のための本発明による第2の装置の図を示している。したがって、図9は、初期状態の断面図を示しており、図10は、初期成分が含まれていない装置の斜視断面図を示している。
【0136】
本発明による第2の装置は、装置の前側部分(図9では下側、図10では左上)を形成する、プラスチックから形成された管状のカートリッジ51を有している。装置の後側部分は、モノマーレセプタクル52によって形成されている。装置は、モノマー液体3およびセメント粉末4から製造された骨セメント生地を製造するためのものである。この目的のために、モノマー液体3は、アンプル5に収容されており、アンプル5は、破壊することができ、モノマー液体3のためのモノマー液体コンテナとしてガラスまたはプラスチックから形成されており、アンプル5はモノマーレセプタクル52に差し込まれている。カートリッジ51は、内側に、セメント粉末4を収容する円筒状の内部空間61を形成している。
【0137】
カートリッジ51は、前側(図9では下側、図10では左上)に分注開口を有しており、この分注開口は最初、取外し可能なクロージャ56によって閉鎖されている。モノマーレセプタクル52の側壁に複数のガス供給開口57が配置されており、これらのガス供給開口57を通じて、ガスを装置の内側から吸い出すことができ、装置の内側の滅菌のために、エチレンオキシドなどの滅菌ガスを充填することができる。
【0138】
カートリッジ51の後側端部に雌ねじ山58が配置されている。モノマーレセプタクル52は、外側に、カートリッジ51の雌ねじ山58と嵌合する雄ねじ山59を有している。モノマーレセプタクル52は、ねじ山付き管の形式で成形されており、内側に、円筒状のチャンバ60を有し、この円筒状のチャンバ60にアンプル5が差し込まれている。この目的のために、アンプル5は、適合する直径を有する円筒状のアンプルボディを有している。カートリッジ51の内側に、カートリッジ51は、円筒状の内部空間61を形成している。内部空間61およびチャンバ60の円筒状形状は、円形の底面を有する円筒に相当する。
【0139】
モノマーレセプタクル52は、前側において、円筒状のプランジャ62によって境目を形成されており、この円筒状のプランジャ62は、円形の底面で前方に向かってチャンバ60を閉鎖している。プランジャ62は、プランジャ62を通過する通路として複数のチャネル64を有しており、これらのチャネル64は、プランジャ62に環状に配置されており、プランジャ62の前側をプランジャ62の後側に接続しており、これにより、モノマーレセプタクル52のチャンバ60をカートリッジ51の内部空間61へ接続している。チャネル64は、円形のディスク状の孔フィルタ66と、破片防護手段67としての環状メッシュとによってカバーされている。孔フィルタ66は、カートリッジ51の内部空間61からのセメント粉末4に対して不透過性であり、モノマー液体3およびガスに対して透過性である。この手段により、セメント粉末4がモノマーレセプタクル2のチャンバ60内へ進入することが防止される。破片防護手段67は、メッシュによって実施することができる。破片防護手段67は、通路のチャネル64内への、開放されたアンプル5の破片の一切の進入を防止する。プランジャ62は、モノマーレセプタクル52の雄ねじ山59よりも大きな外径を有している。円筒状のプランジャ62の外径は、カートリッジ51の内部空間61の内径に合致する。装置の組立て中、モノマーレセプタクル52は、前方からカートリッジ51内へ差し込まれなければならず、雄ねじ山59によってカートリッジ51の雌ねじ山58に螺合しなければならない。モノマーレセプタクル52のプランジャ62は、後側(図9では上側、図10では右下)の方向でカートリッジ51の内部空間61をシールしている。
【0140】
開放装置68が、モノマーレセプタクル52の後側に設けられており、アンプル5を開放させ、チャンバ60の内側にモノマー液体3を開放させるために、アンプル5をプランジャ62の方向へ押し付けるために使用することができる。この目的のために、開放装置68は、スリーブの形式で成形された中空シリンダ70を含む。これに関連して、中空シリンダ70は、チャンバ60の内壁に対して接触しており、チャンバ60の後側の領域でチャンバ60をカバーしている。閉鎖された壁部71が、中空シリンダ70のシリンダ形状の軸線に対して垂直になるように中空シリンダ70に設けられており、これにより、閉鎖された壁部71を備える中空シリンダ70は、後側で、外側に対してチャンバ60を閉鎖している。中空シリンダ70は、スクリュータイプのクロージャキャップ72に取り付けられている。中空シリンダ70の横方向シリンダ壁(シリンダジャケット面)は、半径方向穴73を有しており、これらの半径方向穴73は、装置の初期状態および貯蔵状態ではガス供給開口57と整列している(図9および図10参照)。この手段により、チャンバ60、ひいてはチャネル64によって、カートリッジ51の内部空間61もまた、さらに、ひいてはセメント粉末4が、ガス透過性形式でこの状態で装置の周囲へ接続されている。クロージャキャップ72は、モノマーレセプタクル52の雄ねじ山59に螺合する雌ねじ山74を有している。
【0141】
クロージャキャップ72または開放装置68は、モノマーレセプタクル52の後側において、制限ストッパまで完全にではなく途中まで螺合しており、これにより、モノマーレセプタクル52に取り付けられている。クロージャキャップ72をモノマーレセプタクル52にさらにねじ込むことができ、これにより中空シリンダ70をチャンバ60内へより深く挿入できることが重要である。
【0142】
モノマーレセプタクル52の後側にかつ中空シリンダ70の閉鎖された壁部71の背後に貫通穴が設けられており、この貫通穴に、ピンの形式の安全エレメント76が差し込まれており、ホルダキャップ77によって、落下が防止されている。安全エレメント76は、クロージャキャップ72が意図せずねじ込まれるかまたはねじ出されることを防止しており、これにより、開放装置68が意図せず操作されることを防止している。ホルダキャップ77を引き抜き、ピンを引き出すことによって、装置の使用直前に安全エレメント76を解放させることができる。その後、開放装置68をチャンバ60内へねじ込むことができる。
【0143】
開放装置68がねじ込まれているとき、穴73は、回転してガス供給開口57からずれ、長手方向にシフトし、中空シリンダ70の外壁によって閉鎖される。これにより、装置は外側に対して閉鎖され、その結果、チャンバ60内へ出ていくモノマー液体3は、ガス供給開口57を通ってチャンバ60から出ることができなくなる。
【0144】
クロージャキャップ72が誤った方向へ回転することを防止しかつチャンバ60が後側で開放されることを防止するために、逆動作ロックが設けられている(図9および図10には示されていない)。逆動作ロックは、クロージャキャップ72が解放されることおよび/または開放装置68がモノマーレセプタクル52から解放されることを防止する。逆動作ロックは、例えば、ロッキングディスクの形式のスクリューロックとしてまたは一対のウェッジロックディスクまたは類似の手段によって実装することができる。これは、開放装置が解放されることを防止するのみならず、逆動作ロックは、適切に設計されているならば、開放装置68がねじ戻されることによってガス供給開口57が場合によっては再び開放されることを防止することができる。
【0145】
開放装置68を手で便利に回転させることができるために、開放装置68の後側端部にはハンドル78が設けられている。ガス供給開口57を気密式および耐圧式に閉鎖することができるためにかつ中空シリンダ70をチャンバ60の内壁に対してシールするために、ゴムから形成された2つの周方向シール80が、中空シリンダ70の外周の周方向溝に配置されている。半径方向穴73は、長手方向に互いから所定の距離を置いて配置されたシール80の間に配置されている。2つのシール80のうちの後側のシールは、穴73の近くに配置されており、これにより、ガス供給開口57は、中空シリンダ70の長手方向における軸方向運動の間に迅速に閉鎖される。代替的に、シーリングリングは、モノマーレセプタクル52の内壁においてガス供給開口57の周囲にのみ、または中空シリンダ70の外壁において穴73の周囲にのみ、配置することもできる。ガス供給開口57は、中空シリンダ70がプランジャ62の方向に押し付けられるとき、(図9の上側の)後側のシールによってシールされる。
【0146】
同様に、プランジャ62の外周には2つの溝が配置されており、これらの溝には、ゴムから形成された2つの周方向シール82が配置されており、これらの溝は、長手方向に互いから所定の距離を置いて配置されている。シール82は、カートリッジ51の内部空間61に対してプランジャ62をシールしており、カートリッジ51の内部空間61の後側を閉鎖している。
【0147】
チャネル64および環状の孔フィルタ66は、アンプル5を破壊するためのマンドレル84または切断エッジ84の周囲に配置されている。この目的のために、マンドレル84または切断エッジは、チャンバ60の内側に面している。この目的のために、アンプル5の底部が破壊されるまで、アンプル5を中空シリンダ70によってマンドレル84または切断エッジ84へ押し付けることができる。この目的のために、中空シリンダ70は、アンプル5のアンプルボディとほぼ同じ直径を有している。これに関連して、アンプル5のアンプルヘッドは、中空シリンダ70の内側に配置されている。これにより、アンプル5が中空シリンダ70の領域において破壊されることはない。なぜならば、円筒状のアンプルボディは極めて安定しているからである。これに対して、マンドレル84または切断エッジ84をアンプル5の底部内へ比較的容易に押し込むことができる。
【0148】
装置の搬送中にアンプル5が既に開放されないことを保証するために、ばね86がチャンバ60内でマンドレル84または切断エッジ84の周囲に配置されており、アンプル5を、マンドレル84または切断エッジ84から所定の距離に位置付ける。開放装置68が内方へねじ込まれるとき、ばね86はアンプル5によって圧縮され、アンプル5の底部がマンドレル84または切断エッジ84で破壊される。
【0149】
カートリッジ51の前側は、カートリッジ蓋88によって閉鎖されている。前側における分注開口の境界を定めるソケット89は、カートリッジ蓋88の中央に形成されている。分注開口を閉鎖するストッパ56は、ソケット89を解放させることができるようにソケット89に取り付けられている。カートリッジ蓋88は、雌ねじ山90によって、カートリッジ51の前側の雄ねじ山92に螺合している。カートリッジ蓋88は、周方向シール94によって、カートリッジ51に対してさらにシールされている。
【0150】
カートリッジ51の内部空間61は、混合エレメントとしての、酸化ジルコニウムセラミックから形成された複数の固定されていない玉95を有しており、これらの玉95によって、装置を振ることによってカートリッジ51の内部空間61の内容物を混合することができる。玉95は骨セメント生地よりも高い密度を有するので、装置を骨セメント生地および/または骨セメント生地−ガス混合物に対して振ることによって、玉95を骨セメント生地内で移動させることができ、骨セメント生地−ガス混合物内でははるかにさらに良く移動させることができる。これに関連して、玉95は、カートリッジ51の内部空間61内に浮遊し、その過程で初期成分3,4を混合させる。
【0151】
玉95が分注開口を閉鎖できないことを保証するために、分注開口のすぐ隣で高くなった突出したフィン96が、カートリッジ蓋88の内側に設けられている。玉95が分注開口の前方において中央に位置すると、玉95はフィン96によって側方へ押し付けられ、分注開口に対して平らに接触することができず、これにより、骨セメント生地は玉95とフィン96との間を通って、分注開口内へおよび分注開口を通って流れることができる。
【0152】
カートリッジ51の内部空間61の前側の境界を定めているプランジャ62の前側およびカートリッジ蓋88の後側は、斜面を有している。この斜面は、カートリッジ51の内部空間61の側壁に向かって上昇しており、玉95の半径よりも大きな曲率半径を有している。この手段により、装置が振られているとき、玉95は、内部空間61のあらゆる領域に達することができる。これは、内部空間61にエッジが存在することを防止する。エッジにおいては、セメント粉末4に玉95が到達することができず、ひいては、セメント粉末4を骨セメント生地に混合することができない。
【0153】
ブレース97の形式の第2の安全エレメント97を、モノマーレセプタクル52からカートリッジ51への移行部に配置することができる。ブレース97は、モノマーレセプタクル52がカートリッジ51内へねじ込まれることを防止するために使用することができる。ブレース97は、モノマーレセプタクル52がカートリッジ51内へねじ込まれる前に引き抜かれる。ブレース97は、特に重要ではなく、省略することもできる。
【0154】
本発明による方法の作業の流れが、以下に説明される。最初、装置は初期状態にある(図9および図10参照)。装置はこの状態で包装されており、エチレンオキシドによって滅菌されている。エチレンオキシドは、ガス供給開口57および穴73を通ってチャンバ60に進入することができ、孔フィルタ66、破片防護手段67およびチャネル64を通ってカートリッジ51の内部空間61へ進入することができる。これに関連して、ガス交換は、真空チャンバまたは負圧チャンバ内で行われる。この状態(図9および図10参照)で、装置は開封される。
【0155】
まず、ブレース97が引き抜かれる。しかしながら、これは、もっと後で行うこともできる。ここで、装置は、図9に示された状態にある。本発明による第2の装置では、モノマーレセプタクル52は、最初にカートリッジ51へねじ込まれる必要はない。なぜならば、装置は既に最大限にねじ込まれた状態にあるからである(図9および図10参照)。ここから、方法は、図1図8に記載の第1の典型的な実施の形態に関して説明された方法とほとんど同様に進行する。
【0156】
次のステップで、安全エレメント76が取り外され、開放装置68がチャンバ60内へねじ込まれる。これに関連して、カートリッジ蓋88が下向きになるように装置を保持することが好ましい。これに関連して、中空シリンダは、アンプル5の肩部を、ばね86の力に抗してマンドレル84または切断エッジ84の方向へ押し付ける。ガス供給開口57は、中空シリンダ70のねじり動作により閉鎖される。引き続き、アンプル5の底部がマンドレル84または切断エッジ84に押し付けられ、アンプル5は底部上で破壊される。
【0157】
モノマー液体3は、チャネル64によって形成された通路の領域においてアンプル5の底部上に出ていく。装置は、カートリッジ蓋88が下向きになるように保持されているので、重力によって駆動されるモノマー液体3は、すぐに下方へ、破片防護手段67、チャネル64および孔フィルタ66を通ってカートリッジ51の内部空間61へ流入し、セメント粉末4に行き渡る。アンプル5の破片が存在する場合、破片防護手段67によって保持される。モノマーの移動を加速させるために、モノマーレセプタクル52がカートリッジ51からねじ出される。ガス供給開口57が気密式および耐圧式に閉鎖されており、カートリッジ51の内部空間61はプランジャ62に対してシールされておりかつ外側に対して閉鎖されているので、カートリッジ51の内部空間61の容積の増大が、カートリッジ51の内部空間61に負圧を生じさせ、この負圧によって、モノマー液体3はカートリッジ51の内部空間61へ吸い込まれる。前述のように、装置は、カートリッジ蓋88が下向きになるように保持されている。さらに、カートリッジ51の内部空間61の増大は、装置の内側におけるガス圧力も減少させる。負圧のガスは、最終的に、初期成分3,4にわたって、カートリッジ51の内部空間61にも存在する。これに関連して、上澄みガスの体積は、モノマー液体3の体積の少なくとも2倍である。
【0158】
カートリッジ51の内部空間61の内容物、すなわち、モノマー液体3およびセメント粉末4は、この状態で装置を振ることによって混合することができる。その過程で、玉95は、カートリッジ51の内部空間61内に浮遊し、これにより、成分の混合を補助し、この場合、完全な混合が達成されるように、丸みのある形状を有するカートリッジ51の内部空間61の境界により、全ての領域に到達する。その後、カートリッジ51の内部空間61は、骨セメント生地−ガス混合物を含んでいる。繰り返し振った後、骨セメント生地は十分に混合される。
【0159】
次いで、装置は、カートリッジ蓋88が上向きになるように反転される。ストッパ56が、分注開口から取り外される。ここで、選択肢として、トロカールを備えたホース(図示せず)をソケット89に取り付けることができ、このホースを通じて、骨セメント生地を、X線コントロール下で、アクセスが困難な場所へ提供することができる。脊椎固定術で使用するための骨セメント生地はむしろ非粘性であるので、気泡が上昇する。モノマーレセプタクル52は再びカートリッジ51内へねじ込まれ、ガスは、分注開口から上方へ逃げ出す。最後に、骨セメント生地は、カートリッジ51の内部空間61から分注開口および/またはソケット89を通って出ていく。
【0160】
モノマーレセプタクル52をカートリッジ51内へさらにねじ込むと、プランジャ62は、骨セメント生地を装置から押し出す。最後に、プランジャ62は、玉95をカートリッジ蓋88に押し付ける。これにより、押出しプロセスが完了する。
【0161】
図11および図12は、骨セメント生地149の初期成分3,4の貯蔵および骨セメント生地149の混合のための本発明による第3の装置の図を示している。これに関連して、図11は、初期状態の断面図を示しており、図12は、混合された骨セメント生地149の押出し後の最終状態の断面図を示している。
【0162】
本発明による第3の装置は、装置の前側部分(図11および図12における下側)を形成する、プラスチックから形成された管状のカートリッジ101を有している。装置の後側部分は、モノマーレセプタクル102によって形成されている。装置は、モノマー液体3およびセメント粉末4から製造された骨セメント生地149を製造するためのものである。この目的のために、モノマー液体3は、アンプル5に収容されており、アンプル5は、破壊することができ、モノマー液体3のためのモノマー液体コンテナとしてガラスまたはプラスチックから形成されており、アンプル5はモノマーレセプタクル102に差し込まれている。カートリッジ101は、内側に、セメント粉末4を収容する円筒状の内部空間111を形成している。
【0163】
カートリッジ101は、前側(図11および図12では下側)に分注開口を有しており、この分注開口は最初、取外し可能なクロージャ106によって閉鎖されている。モノマーレセプタクル102の側壁に複数のガス供給開口107が配置されており、これらのガス供給開口107を通じて、ガスを装置の内側から吸い出すことができ、装置の内側の滅菌のために、エチレンオキシドなどの滅菌ガスを充填することができる。
【0164】
カートリッジ101の後側端部に雌ねじ山108が配置されている。モノマーレセプタクル102は、外側に、カートリッジ101の雌ねじ山108と嵌合する雄ねじ山109を有している。モノマーレセプタクル102は、ねじ山付き管の形式で成形されており、内側に円筒状のチャンバ110を有し、この円筒状のチャンバ110にアンプル5が差し込まれている。この目的のために、アンプル5は、適合する直径を有する円筒状のアンプルボディを有している。カートリッジ101の内側に、カートリッジ101は、円筒状の内部空間111を形成している。内部空間111およびチャンバ110の円筒状形状は、円形の底面を有する円筒に相当する。
【0165】
モノマーレセプタクル102は、前側において、円筒状のプランジャ112によって境目を形成されており、この円筒状のプランジャ112は、円形の底面で前方に向かってチャンバ110を閉鎖している。プランジャ112は、プランジャ112を通過する通路として複数のチャネル114を有しており、これらのチャネル114は、プランジャ112に環状に配置されており、プランジャ112の前側をプランジャ112の後側に接続しており、これにより、モノマーレセプタクル102のチャンバ110をカートリッジ101の内部空間111へ接続している。チャネル114は、円形のディスク状の孔フィルタ116と、破片防護手段117としての環状メッシュとによってカバーされている。孔フィルタ116は、カートリッジ101の内部空間111からのセメント粉末4に対して不透過性であり、モノマー液体3およびガスに対して透過性である。この手段により、セメント粉末4がモノマーレセプタクル2のチャンバ110内へ進入することが防止される。破片防護手段117は、メッシュによって実施することができる。破片防護手段117は、通路のチャネル114内への、開放されたアンプル5の破片の一切の進入を防止する。プランジャ112は、モノマーレセプタクル102の雄ねじ山109よりも大きな外径を有している。円筒状のプランジャ112の外径は、カートリッジ101の内部空間111の内径に合致する。装置の組立て中、モノマーレセプタクル102は、前方からカートリッジ101内へ差し込まれなければならず、雄ねじ山109によってカートリッジ101の雌ねじ山108に螺合しなければならない。モノマーレセプタクル102のプランジャ112は、後側(図11および図12では上側)の方向でカートリッジ101の内部空間111をシールしている。
【0166】
モノマーレセプタクル102の後側に開放装置118が設けられており、アンプル5を開放させ、チャンバ110の内側におけるモノマー液体3を開放させるために、アンプル5をプランジャ112の方向へ押し付けるために使用することができる。この目的のために、開放装置118は、スリーブの形式で成形された中空シリンダ120を含む。これに関連して、中空シリンダ120は、チャンバ110の内壁に対して接触しており、チャンバ110の後側の領域でチャンバ110をカバーしている。閉鎖された壁部121が、中空シリンダ120のシリンダ形状の軸線に対して垂直になるように中空シリンダ120に設けられており、これにより、閉鎖された壁部121を備える中空シリンダ120は、後側で、外側に対してチャンバ110を閉鎖している。中空シリンダ120は、スクリュータイプのクロージャキャップ122に取り付けられている。中空シリンダ120の横方向シリンダ壁(シリンダジャケット面)は、半径方向穴123を有しており、これらの半径方向穴123は、装置の初期状態および貯蔵状態でガス供給開口107と整列している(図11参照)。この手段により、チャンバ110、ひいてはチャネル114によって、カートリッジ101の内部空間111もまた、さらに、ひいてはセメント粉末4が、ガス透過性形式でこの状態で装置の周囲へ接続されている。クロージャキャップ122は、モノマーレセプタクル102の雄ねじ山109に螺合する雌ねじ山124を有している。
【0167】
クロージャキャップ122または開放装置118は、モノマーレセプタクル102の後側において、制限ストッパまで完全にではなく途中まで螺合しており、これにより、モノマーレセプタクル102に取り付けられている。クロージャキャップ122をモノマーレセプタクル102にさらにねじ込むことができ、これにより中空シリンダ120をチャンバ110内へより深く挿入できることが重要である。
【0168】
モノマーレセプタクル102の後側にかつ中空シリンダ120の閉鎖された壁部121の背後に貫通穴が設けられており、この貫通穴に、ピンの形式の安全エレメント126が差し込まれており、ホルダキャップ127によって、落下が防止されている。安全エレメント126は、クロージャキャップ122が意図せずねじ込まれるかまたはねじ出されることを防止しており、これにより、開放装置118が意図せず操作されることを防止している。ホルダキャップ127を引き抜き、ピンを引き出すことによって、装置の使用直前に安全エレメント126を解放させることができる。その後、開放装置118をチャンバ110内へねじ込むことができる。
【0169】
開放装置118がねじ込まれているとき、穴123は、回転してガス供給開口107からずれ、長手方向にシフトし、中空シリンダ120の外壁によって閉鎖される。これにより、装置は外側に対して閉鎖され、これにより、チャンバ110内へ出ていくモノマー液体3は、ガス供給開口107を通ってチャンバ110から出ることができなくなる。
【0170】
クロージャキャップ122が誤った方向へ回転することを防止しかつこれによりチャンバ110が後側で開放されることを防止するために、逆動作ロックが設けられている(図11および図12には示されていない)。逆動作ロックは、クロージャキャップ122が解放されることおよび/または開放装置118がモノマーレセプタクル102から解放されることを防止する。逆動作ロックは、例えば、ロッキングディスクの形式のスクリューロックとしてまたは一対のウェッジロックディスクまたは類似の手段によって実装することができる。これは、開放装置が解放されることを防止するのみならず、逆動作ロックは、適切に設計されているならば、開放装置118がねじ戻されることによってガス供給開口107が場合によっては再び開放されることを防止することができる。
【0171】
開放装置118を手で便利に回転させることができるために、開放装置118の後側端部にはハンドル128が設けられている。ガス供給開口107を気密式および耐圧式に閉鎖することができるためにかつ中空シリンダ120をチャンバ110の内壁に対してシールするために、ゴムから形成された2つの周方向シール130が、中空シリンダ120の外周の周方向溝に配置されている。半径方向穴123は、長手方向に互いから所定の距離を置いて配置されたシール130の間に配置されている。2つのシール130のうちの後側のシールは、穴123の近くに配置されており、これにより、ガス供給開口107は、中空シリンダ120の長手方向における軸方向運動の間に迅速に閉鎖される。代替的に、シーリングリングは、モノマーレセプタクル102の内壁においてガス供給開口107の周囲にのみ、または中空シリンダ120の外壁において穴123の周囲にのみ、配置することもできる。ガス供給開口107は、中空シリンダ120がプランジャ112の方向に押し付けられるとき、(図11および図12の上側の)後側のシールによってシールされる。
【0172】
同様に、プランジャ112の外周には2つの溝が配置されており、これらの溝には、ゴムから形成された2つの周方向シール132が配置されており、これらの溝は、長手方向に互いから所定の距離を置いて配置されている。シール132は、カートリッジ101の内部空間111に対してプランジャ112をシールしており、カートリッジ101の内部空間111の後側を閉鎖している。
【0173】
チャネル114および環状の孔フィルタ116が、アンプル5を破壊するためのマンドレル134または切断エッジ134の周囲に配置されている。この目的のために、マンドレル134または切断エッジ134の先端は、チャンバ110内を向いている。この目的のために、アンプル5の底部が破壊されるまで、アンプル5を中空シリンダ120によってマンドレル134または切断エッジ134へ押し付けることができる。この目的のために、中空シリンダ120は、アンプル5のアンプルボディとほぼ同じ直径を有している。これに関連して、アンプル5のアンプルヘッドは、中空シリンダ120の内側に配置されている。これにより、アンプル5は中空シリンダ120の領域において破壊されることはない。なぜならば、円筒状のアンプルボディは極めて安定しているからである。これに対して、マンドレル134または切断エッジ134をアンプル5の底部内へ比較的容易に押し込むことができる。
【0174】
装置の搬送中にアンプル5が既に開放されないことを保証するために、ばね136がチャンバ110内でマンドレル134または切断エッジ134の周囲に配置されており、アンプル5を、マンドレル134または切断エッジ134から所定の距離に位置付ける。ばね136の代わりに、マンドレル134または切断エッジ134の周囲に、弾性的な圧縮可能な密閉気孔発泡体または圧縮可能な中空のゴムボディを配置することができる。開放装置118が内方へねじ込まれるとき、ばね136または発泡体はアンプル5によって圧縮され、アンプル5の底部がマンドレル134または切断エッジ134で破壊される。
【0175】
カートリッジ101の前側は、カートリッジ蓋138によって閉鎖されている。前側における分注開口の境界を定めるソケット139は、カートリッジ蓋138の中央に形成されている。分注開口を閉鎖するストッパ106は、ソケット139を解放させることができるようにソケット139に取り付けられている。カートリッジ蓋138は、雌ねじ山140によって、カートリッジ101の前側における雄ねじ山142に螺合している。カートリッジ蓋138は、周方向シール144によって、カートリッジ101に対して付加的にシールされている。
【0176】
カートリッジ101の内部空間111は、混合エレメントとしての、酸化ジルコニウムセラミックから形成された固定されていない玉145を有しており、この玉145によって、装置を振ることによってカートリッジ101の内部空間111の内容物を混合することができる。玉145は骨セメント生地149よりも高い密度を有するので、装置を骨セメント生地149および/または骨セメント生地−ガス混合物に対して振ることによって、玉145を骨セメント生地149内で移動させることができ、骨セメント生地−ガス混合物内でははるかにさらに良く移動させることができる。これに関連して、玉145は、カートリッジ101の内部空間111内に浮遊し、その過程で初期成分3,4を混合させる。
【0177】
カートリッジ101の内部空間11の前側は、中空のゴムボディまたはそこに配置された密閉気孔発泡体の形式の、変形可能な収容エレメント150を有しており、この収容エレメント150内に、玉145を押し込むことができる。スポーク151の間に玉145を収容することができるホイールの形式のプラスチックボディが、収容エレメント150に設けられている。「ホイールハブ」では、プラスチックボディはスリーブを形成しており、このスリーブから離れるように玉145はスライドする。この目的のために、プラスチックボディのスリーブは、非対称の設計を有することができる。
【0178】
カートリッジ101の内部空間111の前側の境界を定めている、プランジャ112の前側および収容エレメント150によって形成された後側は、斜面を有している。この斜面は、カートリッジ101の内部空間111の側壁に向かって上昇しており、玉145の半径よりも大きな曲率半径を有している。この手段により、装置が振られているとき、玉145は、内部空間111のあらゆる領域に達することができる。これは、内部空間111にエッジが存在することを防止する。エッジにおいて、セメント粉末4に玉145が到達することができず、ひいては、セメント粉末4を骨セメント生地149に混合することができない。
【0179】
ブレース147の形式の第2の安全エレメント147を、モノマーレセプタクル102からカートリッジ101への移行部に配置することができる。ブレース147は、モノマーレセプタクル102がカートリッジ101内へねじ込まれることを防止するために使用することができる。ブレース147は、モノマーレセプタクル102がカートリッジ101内へねじ込まれる前に引き抜かれる。ブレース147は、特に重要ではなく、省略することもできる。
【0180】
本発明による方法の作業の流れが、以下に説明される。最初、装置は初期状態にある(図11参照)。装置はこの状態で包装されており、エチレンオキシドによって滅菌されている。エチレンオキシドは、ガス供給開口107および穴123を通ってチャンバ110に進入することができ、孔フィルタ116、破片防護手段117およびチャネル114を通ってカートリッジ101の内部空間111へ進入することができる。これに関連して、ガス交換は、真空チャンバまたは負圧チャンバ内で行われる。この状態(図11参照)で、装置は開封される。
【0181】
本発明による第3の装置では、モノマーレセプタクル102は、最初にカートリッジ101へねじ込まれる必要はない。なぜならば、装置は既に最大限にねじ込まれた状態にあるからである(図11参照)。ここから、方法は、図1図8に記載の第1の典型的な実施の形態および図9および図10に記載の第2の典型的な実施の形態に関して説明した方法とほとんど同様に進行する。
【0182】
次のステップで、安全エレメント126が取り外され、開放装置118は、チャンバ110内へねじ込まれる。これに関連して、カートリッジ蓋138が下向きになるように装置を保持することが好ましい。これに関連して、中空シリンダは、アンプル5の肩部を、ばね136の力に抗してマンドレル134または切断エッジ134の方向へ押し付ける。ガス供給開口107は、中空シリンダ120のねじり動作により閉鎖される。引き続き、アンプル5の底部がマンドレル134または切断エッジ134に押し付けられ、アンプル5は底部上で破壊される。
【0183】
モノマー液体3は、チャネル114によって形成された通路の領域においてアンプル5の底部上に出ていく。装置は、カートリッジ蓋138が下向きになるように保持されているので、重力によって駆動されるモノマー液体3は、すぐに下方へ、破片防護手段117、チャネル114および孔フィルタ116を通ってカートリッジ101の内部空間111へ流入し、セメント粉末4に行き渡る。アンプル5の破片が存在する場合、破片防護手段117によって保持される。モノマーの移動を加速させるために、モノマーレセプタクル102は、カートリッジ101からねじ出される。この目的のために、まず固定ブレース147が取り外される。ガス供給開口107が気密式および耐圧式に閉鎖されており、カートリッジ101の内部空間111はプランジャ112に対してシールされておりかつ外側に対して閉鎖されているので、カートリッジ101の内部空間111の容積の増大が、カートリッジ101の内部空間111に負圧を生じさせ、この負圧によって、モノマー液体3はカートリッジ101の内部空間111へ吸い込まれる。前述のように、装置は、カートリッジ蓋138が下向きになるように保持されている。さらに、カートリッジ101の内部空間111の増大は、装置の内側におけるガス圧力も減少させる。負圧のガスは、最終的に、初期成分3,4にわたって、カートリッジ101の内部空間111にも存在する。これに関連して、上澄みガスの体積は、モノマー液体3の体積の少なくとも2倍である。
【0184】
カートリッジ101の内部空間111の内容物、すなわち、モノマー液体3およびセメント粉末4は、この状態で装置を振ることによって混合することができる。その過程で、玉145は、カートリッジ101の内部空間111内に浮遊し、これにより、成分の混合を補助し、この場合、完全な混合が達成されるように、丸みのある形状を有するカートリッジ101の内部空間111の境界により、全ての領域に到達する。その後、カートリッジ101の内部空間111は、骨セメント生地−ガス混合物を含んでいる。繰り返し振った後、骨セメント生地149は十分に混合される。
【0185】
次いで、装置は、カートリッジ蓋138が上向きになるように反転される。ストッパ106が、分注開口から取り外される。ここで、選択肢として、トロカールを備えたホース(図示せず)をソケット139に取り付けることができ、このホースを通じて、骨セメント生地149を、X線コントロール下で、アクセスが困難な場所へ提供することができる。脊椎固定術で使用するための骨セメント生地149はむしろ非粘性であるので、気泡が上昇する。モノマーレセプタクル102は再びカートリッジ101内へねじ込まれ、ガスは、分注開口から上方へ逃げ出す。最後に、骨セメント生地149は、カートリッジ101の内部空間111から分注開口および/またはソケット139を通って出ていく。
【0186】
モノマーレセプタクル102をカートリッジ101内へさらにねじ込むと、プランジャ112は、骨セメント生地149を装置から押し出す。最後に、プランジャ112は、玉145を、収容エレメント150内へ、スポーク151の間に、カートリッジ蓋138に対して押し付ける。これに関連して、スポーク151は変形されてもよい。これにより、押出しプロセスが完了する。この状態は図12に示されている。
【0187】
基本的に、図1図12で説明した3つの装置の全ての部分(初期成分3,4を除く)は、好適には、プラスチックから成ることができ、射出成形によって安価に製造することができる。アンプル5は、好適にはガラスから成る。
【0188】
上記の説明、請求の範囲、図面および典型的な実施の形態に開示された本発明の特徴は、それ自体でまたはあらゆる組合せで、本発明の様々な実施の形態の実施のために必須であり得る。
【符号の説明】
【0189】
1,51,101 カートリッジ
2,52,102 モノマーレセプタクル
3 モノマー液体
4 セメント粉末
5 アンプル
6,56,106 ストッパ
7,57,107 ガス供給開口
8,58,108 雌ねじ山
9,59,109 雄ねじ山
10,60,110 チャンバ
11,61,111 内部空間
12,62,112 プランジャ
14,64,114 通路/チャネル
16,66,116 孔フィルタ
18,68,118 開放装置
20,70,120 中空シリンダ/スリーブ
21,71,121 閉鎖された壁部
22,72,122 クロージャキャップ
23,73,123 穴
24,74,124 雌ねじ山
26,76,126 安全エレメント/固定ピン
27,77,127 ホルダキャップ
28,78,128 ハンドル
30,80,130 シール
32,82,132 シール
34,84,134 マンドレル/切断エッジ
36,86,136 ばね
38,88,138 カートリッジ蓋
39,89,139 ソケット
40,90,140 雌ねじ山
42,92,142 雄ねじ山
44,94,144 シール
45,95,145 固定されていない混合玉
46,96 フィン
47,97,147 安全エレメント/固定ブレース
48 骨セメント生地−ガス混合物
49,149 骨セメント生地
67,117 破片防護手段/メッシュ
150 収容エレメント/ゴム中空ボディ
151 スポーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12