(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の操作部が初期位置から所定の方向に操作されたことと、前記第2の操作部が初期位置から前記所定の方向とは異なる方向に操作されたこととを検出するセンサを備え、
前記第1の操作部が初期位置から前記所定の方向に操作されたことを前記センサによって検知したときに前記開閉動作を実行し、
前記第2の操作部が初期位置から前記所定の方向とは異なる方向に操作されたことを前記センサによって検知したときに前記補助動作を実行することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電動はさみ。
【背景技術】
【0002】
この種の電動はさみは、例えば樹木の剪定等において使用されるものであり、モータの駆動力で一対の刃部を開閉して枝木等の切断対象物を切断することができるようになっている。近年、この種の電動はさみにおいて、切断動作以外の補助動作を実行することで様
々な使用環境やニーズに対応できるようにしたものが知られている。
【0003】
補助動作としては、例えば枝の太さに合わせて刃の開き角度を調整する動作が知られている。刃の開き角度を調整する機能を設けることで、太い枝を切るときには刃の開き角度を大きく設定して一回で切断することができ、細い枝を切るときには刃の開き角度を小さく設定することで素早く効率的に切断することができる。
【0004】
こうした補助動作を行わせるためには、補助動作を実行させるための操作手段を提供する必要がある。補助動作を実行させるための操作手段としては、大きく2つのものが考えられる。1つは、既存の操作部を利用して補助動作を実行するものである。もう1つは、既存の操作部とは別の操作部を設け、この別の操作部を利用して補助動作を実行するものである。
【0005】
前者としては、例えば、安全ロックを解除するためのスイッチと、切断動作を実行するための操作部材とを利用し、これら2つの操作部を所定の手順で操作したときに補助動作を実行することが考えられる。具体的には、スイッチを3回連続で押し、3回目を押したままで操作部材を長押しするといった操作を実行することで、補助動作を実行することが考えられる。このような構成とすれば、既存のスイッチ等を利用して補助動作を実行させることができる。
【0006】
後者としては、例えば特許文献1に、補助動作を実行するための副トリガを設けた構成が開示されている。副トリガは、切断動作を実行するための主トリガに回動可能に接続され、主トリガと角度を成すように配置されている。このように補助動作を実行するための専用の操作部を設ければ、複雑な操作をしなくても補助動作を実行させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記した従来の構成のうち前者の構成、すなわち、既存の操作部を利用して補助動作を実行する構成は、操作が複雑で分かりにくく、しかも操作に時間がかかるという問題があった。
【0009】
また、上記した従来の構成のうち後者の構成、すなわち、特許文献1記載の構成は、主トリガと副トリガとを回動可能に連結したものであるため、操作部の構造が複雑とならざるを得ず、部品点数の増加などの問題があった。また、副トリガ用のセンサも必要であるため、製造コストが高くなってしまうという問題があった。
【0010】
そこで、本発明は、シンプルな操作で補助動作を実行させることができ、しかも、従来の構造や部品点数にほとんど影響を与えることがない電動はさみを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、以下を特徴とする。
【0012】
請求項1記載の発明は、開閉可能な一対の刃部と、前記刃部の開閉動作を実行するための第1の操作部と
前記刃部の最大開き角度を変更する補助動作を実行するための第2の操作部とを有し、
間に指を挿入できるように前記第1の操作部と前記第2の操作部とが向かい合うように設けられた操作部材と、
前記操作部材を挟んで前記刃部の反対側に設けられたグリップ部と、を備え、前記第1の操作部が
初期位置から前記グリップ部に近づくように引く操作がされたときに、前記開閉動作を実行し、前記第2の操作部が
初期位置から前記グリップ部から遠ざかるように押す操作がされたときに、前記補助動作を実行することを特徴とする。
請求項2記載の発明は、開閉可能な一対の刃部と、前記刃部の開閉動作を実行するための第1の操作部と電動はさみの作動モードを変更する補助動作を実行するための第2の操作部とを有し、間に指を挿入できるように前記第1の操作部と前記第2の操作部とが向かい合うように設けられた操作部材と、前記操作部材を挟んで前記刃部の反対側に設けられたグリップ部と、を備え、前記第1の操作部が初期位置から前記グリップ部に近づくように引く操作がされたときに、前記開閉動作を実行し、前記第2の操作部が初期位置から前記グリップ部から遠ざかるように押す操作がされたときに、前記補助動作を実行することを特徴とする。
【0013】
請求項
3に記載の発明は、上記した請求項1
または2に記載の発明の特徴点に加え、前記第2の操作部は、前記第1の操作部に対して相対移動しないように設けられていることを特徴とする。
【0014】
【0015】
請求項4に記載の発明は、上記した請求項
1〜3のいずれかに記載の発明の特徴点に加え、前記操作部材は、前記第1の操作部が引く操作をされたときに前記グリップ部に近づくように回動し、前記第2の操作部が押す操作をされたときに前記グリップ部から離れるように回動することを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の発明は、上記した請求項
1〜3のいずれかに記載の発明の特徴点に加え、前記操作部材は、前記第1の操作部が引く操作をされたときに前記グリップ部に近づくように直進移動し、前記第2の操作部が押す操作をされたときに前記グリップ部から離れるように直進移動することを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明は、上記した請求項1〜5のいずれかに記載の発明の特徴点に加え、前記第1の操作部が初期位置から所定の方向に操作されたことと、前記第2の操作部が初期位置から前記所定の方向とは異なる方向に操作されたこととを検出するセンサを備え、前記第1の操作部が初期位置から前記所定の方向に操作されたことを前記センサによって検知したときに前記開閉動作を実行し、前記第2の操作部が初期位置から前記所定の方向とは異なる方向に操作されたことを前記センサによって検知したときに前記補助動作を実行することを特徴とする。
【0018】
【0019】
【発明の効果】
【0020】
請求項1
または2に記載の発明は上記の通りであり、操作部材が所定の方向に操作されたときに、前記開閉動作を実行し、前記操作部材が前記所定の方向とは異なる方向に操作されたときに、前記開閉動作とは異なる補助動作を実行する。すなわち、操作部材をどちらの方向に操作するかによって、刃部の開閉動作または補助動作のいずれかを実行するように構成されている。このような構成によれば、操作部材を1回操作するだけのシンプルな操作で補助動作を実行させることができる。しかも、従来の電動はさみに必須の構造である操作部を利用しているので、補助動作を実行させるために別の操作部を設ける必要がなく、従来の構造や部品点数にほとんど影響を与えることがない。よって、操作部材の構造が複雑となったり、製造コストも高くなってしまったりといった問題が発生しない。
【0021】
また、請求項
3に記載の発明は上記の通りであり、前記操作部材は、前記第1の操作部に対して前記第2の操作部が相対移動しないように設けられている。このような構成によれば、開閉動作、補助動作を確実に実行させることができる。
【0022】
また、請求項
1または2に記載の発明は上記の通りであり、前記操作部材がグリップ部に近づくように引く操作がされたときに、前記刃部の開閉動作を実行し、前記操作部材がグリップ部から遠ざかるように押す操作がされたときに、前記補助動作を実行する。このような構成によれば、操作部材を1回操作するだけのシンプルな操作で補助動作を実行させることができる。
【0023】
また、請求項4に記載の発明は上記の通りであり、前記操作部材は、前記第1の操作部が引く操作をされたときに前記グリップ部に近づくように回動し、前記第2の操作部が押す操作をされたときに前記グリップ部から離れるように回動する。このような構成によれば、シンプルな構造で第1の操作部と第2の操作部をはさみ本体に配置することが出来る。
【0024】
また、請求項5に記載の発明は上記の通りであり、前記操作部材は、前記第1の操作部が引く操作をされたときに前記グリップ部に近づくように直進移動し、前記第2の操作部が押す操作をされたときに前記グリップ部から離れるように直進移動する。このような構成によれば、シンプルな構造で第1の操作部と第2の操作部をはさみ本体に配置することが出来る。
【0025】
また、請求項6に記載の発明は上記の通りであり、前記操作部材が初期位置から所定の方向に操作されたことと、前記操作部材が初期位置から前記所定の方向とは異なる方向に操作されたこととを、検出するセンサを備える。すなわち、操作部材をどちらの方向に操作した場合でも、同一のセンサによって操作を検知できるようになっている。このような構成によれば、補助動作に係る操作を検知するためのセンサを追加する必要がないので、シンプルな構造で安価に補助動作のための操作部を設けることができる。
【0026】
また、請求項
2に記載の発明は上記の通りであり、前記補助動作は、電動はさみの作動モードを変更する動作である。このような構成によれば、操作部材を1回だけ操作すれば容易に電動はさみの作動モードを変更することができる。
【0027】
また、請求項
1に記載の発明は上記の通りであり、前記補助動作は、前記2枚の刃部の最大開き角度を変更する動作である。このような構成によれば、操作部材を1回操作するだけで刃の開き角度を容易に調整できるので、例えば切断対象の枝の太さに応じて素早く刃部の開き角度を変更することができる。具体的には、太い枝を切るときには刃部の開き角度を大きく設定して一回で切断することができ、細い枝を切るときには刃部の開き角度を小さく設定することで素早く効率的に切断することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の実施形態について、図を参照しながら説明する。
【0030】
本実施形態に係る電動はさみ10は、例えば樹木の剪定等において使用されるものであり、動力源であるモータ12の駆動力で一対の刃部18,19を開閉して枝木等の切断対象物を切断するものである。
【0031】
この電動はさみ10は、
図1〜3に示すように、ハウジング17と、ハウジング17の後端部に設けられたケーブル接続部11と、モータ12と、モータ12の回転動作を直進動作に変換するためのボールネジ機構13と、ボールネジ機構13の直進運動をガイドする支持部材16と、ボールネジ機構13の直進運動を2つの刃部18,19の開閉動作に変換するためのリンク機構15と、リンク機構15によって作動する第1刃部18及び第2刃部19と、モータ12を制御するための操作部として設けられた操作部材22と、操作部材22に追従して揺動する揺動部材23と、揺動部材23によって接点が押圧されるマイクロスイッチ24と、操作部材22の回転角度を検出するセンサ25と、を備える。
【0032】
ハウジング17は、特に図示しないが、2つの分割片からなり、内部に作動機構を収容して機械のほぼ全体を覆っている。このハウジング17は、リンク機構15を覆う部分であるリンクカバー部17aと、操作部材22の周囲を覆うように輪っか状に形成された操作部材ガード部17bと、使用者が握り込めるように形成されたグリップ部17cと、グリップ部17cの後部に設けられた後端部17dと、を備える。
【0033】
リンクカバー部17aは、ハウジング17の前端部に設けられてリンク機構15を収容しており、その前端部から第1刃部18及び第2刃部19を突出させている。
【0034】
操作部材ガード部17bは、リンクカバー部17aの後部下方に設けられ、リンクカバー部17aとグリップ部17cとの境目(間)に設けられている。この操作部材ガード部17bは、輪っか状に形成されており、使用者がグリップ部17cを握り込んだときに、この輪っか状の操作部材ガード部17bの中に人差し指を引っ掛けることができるように配置されている。操作部材ガード部17bの内側には、操作部材22が操作可能に露出している。詳しくは後述するが、操作部材22の第1の操作部22b(トリガ)が手前(グリップ部17c側)に操作可能に露出しており、操作部材22の第2の操作部22dが前方(リンクカバー部17a側)に操作可能に露出している。
【0035】
グリップ部17cは、リンクカバー部17aより細く、また、後端部17dよりもやや細く形成され、使用者が握り込み易い形状となっている。このグリップ部17cの中にはボールネジ機構13が内蔵されている。
【0036】
後端部17dは、ハウジング17の後端に設けられてモータ12などを収容しており、その後端面17eにはケーブル接続部11が設けられている。
【0037】
ケーブル接続部11は、図示しないケーブルを接続するための部位であり、電力線や信号線を接続するための端子を備えている。このケーブル接続部11に接続されたケーブルは、図示しない電源装置に接続されている。電源装置またはケーブルには電源スイッチが設けられており、この電源スイッチを投入することで、ケーブルを介して電源装置から電動はさみ10へと電力が供給される。
【0038】
モータ12は、第1刃部18及び第2刃部19を閉じ動作させる動力源であり、電源装置から供給された電力により作動する。このモータ12の出力軸は、後述するボールネジ機構13に接続されている。なお、モータ12の出力軸とボールネジ機構13との間に減速機構14などを設けてもよいし、モータ12の出力軸とボールネジ機構13とを直接接続してもよい。
【0039】
ボールネジ機構13は、モータ12の回転動作を直進動作に変換するものである。このボールネジ機構13は、特に図示しないが、モータ12の回転力を受けて回転するネジ軸と、ネジ軸のネジ溝に噛合するナット部とを備えている。これにより、モータ12の駆動力によってネジ軸が回転駆動されると、ナット部がネジ軸に沿って直線移動するように形成されている。このナット部には、後述するリンク機構15の駆動軸15aが接続されており、この駆動軸15aはナット部と一体的に前後に直線移動するように形成されている。
【0040】
支持部材16は、ボールネジ機構13の直進運動をガイドするためのものである。この支持部材16には、ガイド方向に延びるガイド溝16aが設けられており、このガイド溝16aにリンク機構15の駆動軸15aが係合している。このため、ガイド溝16aの延設方向に沿ってナット部及び駆動軸15aが移動するようになっている。
【0041】
リンク機構15は、駆動軸15aの直進運動を第1刃部18及び第2刃部19の開閉動作に変換するためのものである。このリンク機構15は、駆動軸15aによって回転可能に連結された第1リンク15b及び第2リンク15cを備えている。第1リンク15bは、一端が駆動軸15aに接続され、他端が接続軸18cを介して第1刃部18に接続されている。また、第2リンク15cは、一端が駆動軸15aに接続され、他端が接続軸19cを介して第2刃部19に接続されている。
【0042】
第1刃部18及び第2刃部19は、刃軸20を支点に回転可能に支持されており、刃軸20において交差するように組み合わされている。第1刃部18は、刃軸20よりも先端側の切断部18aに刃が形成されており、刃軸20よりも根元側の根元部18bは、接続軸18cを介して第1リンク15bに回転可能に接続されている。同様に、第2刃部19は、刃軸20よりも先端側の切断部19aに刃が形成されており、刃軸20よりも根元側の根元部19bは、接続軸19cを介して第2リンク15cに回転可能に接続されている。
上記したリンク機構15、第1刃部18及び第2刃部19は、
図4に示すように、ボールネジ機構13の直進運動によって作動する。
【0043】
具体的には、駆動軸15aが刃軸20に対して接近する方向に移動すると、第1リンク15b及び第2リンク15cが開き方向に作動する。これにより、第1刃部18及び第2刃部19の根元部18b,19bが互いに離反する方向に変位するとともに、第1刃部18及び第2刃部19の切断部18a,19aが互いに閉じる方向に回動し、切断動作を行う。
【0044】
一方、駆動軸15aが刃軸20に対して離反する方向に移動すると、第1リンク15b及び第2リンク15cが閉じ方向に作動する。これにより、第1刃部18及び第2刃部19の根元部18b,19bが互いに接近する方向に変位するとともに、第1刃部18及び第2刃部19の切断部18a,19aが互いに開く方向に回動する。
【0045】
操作部材22は、モータ12の作動を制御するための操作部であり、モータ12の作動を制御することで第1刃部18及び第2刃部19による切断動作を実行するためのものである。この操作部材22は、シャフト22aを軸に回転可能に取り付けられている。本実施形態に係る操作部材22は、
図2等に示すような側面視略L字形をしており、シャフト22aが設けられた位置からそれぞれ別の方向に延びる第1の操作部22bと第2の操作部22dとを備えている。第1の操作部22bは、モータ12の作動を制御するための操作部であり、モータ12の作動を制御することで第1刃部18及び第2刃部19による開閉(切断)動作を実行(制御)するためのものである。第2の操作部22dは、補助動作をするためのものである。これら第1の操作部22b及び第2の操作部22dは、それぞれ向かい合う様に配置され、操作部材ガード部17bの内側に操作可能に露出している。したがって、第1の操作部22bと第2の操作部22dとの間に指を挿入し、
図5(b)に示すように指をシャフト22aに対して後方(グリップ部17c側)に動かすと第1の操作部22bを操作できるようになっており、
図5(c)に示すように指をシャフト22aに対して前方(リンクカバー部17a側)に動かすと第2の操作部22dを操作できるようになっている。第1の操作部22bまたは第2の操作部22dが操作されると、操作部材22はシャフト22aを軸に回転する。このように、電子はさみ10は、第1の操作部22bがグリップ部17c側に近づくように引く操作がされると第1刃部18及び第2刃部19による開閉動作を実行し、第2の操作部22dがグリップ部17c側から遠ざかるように押す操作がされると補助動作を実行する。なお、第1の操作部22bと第2の操作部22dは互いに相対移動不能に設けられており、第1の操作部22b(第2の操作部22d)が操作されると、第2の操作部22d(第1の操作部22b)もこれに連動して第1の操作部22b(第2の操作部22d)と同じ方向に動く。このため、第1の操作部22bを操作したときと第2の操作部22dを操作したときとでは、操作部材22が異なる方向に回転するようになっている。
【0046】
なお、第1の操作部22bの内部には、
図4に示すようなローラ22cが設けられている。このローラ22cは、後述する揺動部材23を押動するためのものである。
【0047】
揺動部材23は、操作部材22の第1の操作部22bが操作されたときに、操作部材22の回転に追従して揺動する部材である。この揺動部材23は、揺動軸23aを軸に揺動可能となっており、操作部材22が回転したときにローラ22cによって揺動させられるようになっている。この揺動部材23は、後述するマイクロスイッチ24の接点部24aに臨むように配置された押圧部23bを備えており、ローラ22cによって揺動させられたときに押圧部23bがマイクロスイッチ24の接点部24aを押し込むようになっている。
【0048】
マイクロスイッチ24は、操作部材22の第1の操作部22bが操作されたことを検出するためのものである。前述したように、操作部材22の第1の操作部22bが操作されると、揺動部材23がマイクロスイッチ24をオンするように構成されているため、マイクロスイッチ24のオン・オフを検出することで操作部材22の第1の操作部22bが操作されたか否かを判別することができる。
【0049】
センサ25は、操作部材22の回転角度を検出するためのものである。センサ25としては、操作部材22の操作を検出できるものであれば種類を問わないが、例えばシャフト22aに接続したポテンショメータを使用することができる。ポテンショメータを使用した場合、操作部材22の操作量を詳細に把握することができる。
【0050】
このような電動はさみ10の動作は、電動はさみ10または電源装置に内蔵された制御装置(図示せず)によって制御される。制御装置は、操作部材22の第1の操作部22bが操作され、マイクロスイッチ24がオンになったことが検出されると、センサ25によって操作部材22の回転角度を検出する。そして、検出した角度に応じてモータ12を正回転させ、2枚の刃部18,19を閉じる方向に作動させる。操作部材22の第1の操作部22bを目一杯まで操作すると、2枚の刃部18,19が完全に閉じた状態となる。なお、第1の操作部22bが離された場合には、図示しないバネによって操作部材22が初期位置に戻される。操作部材22が初期位置に戻されたことをセンサ25が検出すると、センサ25は制御装置に制御信号を送信する。この制御信号を受信した制御装置は、モータ12を逆回転させて、最大開き角度となるまで2枚の刃部18,19を作動させる。これにより、2枚の刃部18,19が初期位置まで戻ることになる。同時に、操作部材22が初期位置に戻ったところでマイクロスイッチ24がオフになるので、2枚の刃部18,19は最大開き角度での停止が維持される。
【0051】
ところで、本実施形態に係る電動はさみ10は、補助動作として、電動はさみ10の作動モードを変更する動作を実行可能となっている。作動モードとしては、
図6(a)に示すように、2枚の刃部18,19の最大開き角度を大きくした太枝モードと、2枚の刃部18,19の最大開き角度を小さくした細枝モードと、の2つのモードを備えており、この2つのモードを切り替えることで、2枚の刃部18,19の最大開き角度を変更することができるようになっている。
【0052】
上記したモードを切り替えるときには、操作部材22を切断動作のときとは異なる方向に操作する。すなわち、操作部材22の第2の操作部22dを操作する。操作部材22の第2の操作部22dが操作されると、この操作がセンサ25によって検出される。第2の操作部22dが操作されたことをセンサ25が検出すると、センサ25が制御信号を制御装置に送信する。この制御信号を受信した制御装置は補助動作を実行する。本実施形態においては、補助動作として、電動はさみ10の作動モードを変更し、2枚の刃部18,19の最大開き角度を変更する。具体的には、太枝モードであれば細枝モードに移行し、細枝モードであれば太枝モードに移行する。
【0053】
なお、作動モード変更時に刃部18,19を動かすと、切断動作ではないのに刃部18
,19が動いて危険であるため、本実施形態においては、作動モード変更時には刃部18
,19を動かさないようにしている。作動モードを変更後の最初の切断動作において、最大開き角度を変更している。具体的には、切断動作において操作された第1の操作部22bが解放されたときに、2枚の刃部18,19を初期位置まで戻すが、このときに新しいモードに応じた最大開き角度で停止させるようにしている。
【0054】
なお、作動モードは電動はさみ10の電源を落とした後でも復元されるようになっている。すなわち、細枝モードの状態で電動はさみ10の電源を落とした場合、次回電源投入時には細枝モードの状態で電動はさみ10が起動するようになっている。また、太枝モードの状態で電動はさみ10の電源を落とした場合、次回電源投入時には太枝モードの状態で電動はさみ10が起動するようになっている。
【0055】
以上説明したように、本実施形態によれば、操作部材22が初期位置から所定の方向に操作されたときに切断動作を実行し、操作部材22が初期位置から前記所定の方向とは異なる方向に操作されたときに前記切断動作とは異なる補助動作を実行する。すなわち、操作部材22をどちらの方向に操作するかによって、刃部18,19の開閉動作または補助動作のいずれかを実行するように構成されている。このような構成によれば、操作部材22を1回操作するだけのシンプルな操作で補助動作を実行させることができる。しかも、従来の電動はさみ10に必須の構造である操作部材22を利用しているので、補助動作を実行させるために別の操作部を設ける必要がなく、従来の構造や部品点数にほとんど影響を与えることがない。よって、操作部材22の構造が複雑となったり、製造コストも高くなってしまったりといった問題が発生しない。
【0056】
また、前記操作部材22が初期位置から所定の方向に操作されたことと、前記操作部材22が初期位置から前記所定の方向とは異なる方向に操作されたこととを、検出するセンサ25を備える。すなわち、操作部材22をどちらの方向に操作した場合でも、同一のセンサ25によって操作を検知できるようになっている。このような構成によれば、補助動作に係る操作を検知するためのセンサを追加する必要がないので、シンプルな構造で安価に補助動作のための操作部を設けることができる。
【0057】
また、前記補助動作は、電動はさみ10の作動モードを変更する動作である。このような構成によれば、操作部材22を1回操作するだけで容易に電動はさみ10の作動モードを変更することができる。
【0058】
また、前記補助動作は、前記2枚の刃部18,19の最大開き角度を変更する動作である。このような構成によれば、操作部材22を1回操作するだけで刃部18,19の開き角度を容易に調整できるので、例えば切断対象の枝の太さに応じて素早く刃部18,19の開き角度を変更することができる。具体的には、太い枝を切るときには刃部18,19の開き角度を大きく設定して一回で切断することができ、細い枝を切るときには刃部18
,19の開き角度を小さく設定することで素早く効率的に切断することができる。
【0059】
なお、上記した実施形態においては補助動作として、電動はさみ10の作動モードを変更し、2枚の刃部18,19の最大開き角度を変更する動作を実行することとした。しかしながら、本発明の実施形態としてはこれに限られるものではなく、補助動作として別の動作を実行してもよい。
【0060】
例えば、2枚の刃部18,19の閉じ角度を変更する動作を補助動作として実行するようにしてもよい。このような補助動作を実行するようにすれば、刃部18,19を研ぎすぎたなどの理由によって刃部18,19の形状が変わってしまい、刃部18,19が閉じきらないようになってしまった場合でも、刃部18,19の閉じ角度を深くすることで刃部18,19が閉じるようにすることができる。
【0061】
また、2枚の刃部18,19が閉じる速度を変更する動作を補助動作として実行するようにしてもよい。このような補助動作を実行するようにすれば、任意のスピードで作業を行うことができる。
【0062】
また、エラー発生時の通知方法を変更する動作を補助動作として実行するようにしてもよい。このような補助動作を実行するようにすれば、例えば周囲がうるさい場合にはLEDなどの光でエラーを通知するようにし、周囲が明るくてLEDなどの光が見えにくい場合にはブザーなどの音でエラーを通知するように切り替えることができる。
【0063】
また、電動はさみ10に照明装置を設け、この照明装置のオン・オフを切り替える動作を補助動作として実行するようにしてもよい。このような補助動作を実行するようにすれば、暗所での作業時などに簡単に照明を点けることができる。
【0064】
また、エラーが発生したときに、そのエラーの種類を通知する動作を補助動作として実行するようにしてもよい。すなわち、従来の装置では、電源装置の表示部などにエラーの種類を表示するものが多かったが、このような従来の装置ではエラーの種類を知るためには電源装置を取り出さなければならない。しかしながら、上記したような補助動作を実行するようにすれば、電源装置を取り出さなくてもエラーの種類を知ることができる。なお、エラーの種類を通知する動作としては、例えばエラーの種類ごとに異なるブザー音を発してもよいし、エラーの種類ごとに異なる態様でランプを点灯または点滅させてもよい。
【0065】
また、上記した実施形態においては、操作部材22が回動する例について説明したが、これに限らず、操作部材22が直進運動をするものであってもよい。この場合、センサ25は直進運動の移動量を検出するものを使用すればよい。このように構成した場合でも、操作部材22を前に移動させるか後ろに移動させるかで、刃部18,19の開閉動作を行うか補助動作を行うかを切り替えるようにすることができる。また、どちらの方向に操作した場合でも、同一のセンサ25によって操作を検知することができる。
【0066】
また、上記した実施形態においては、操作部材22の初期位置を基準として開閉動作を実行するか補助動作を実行するかを切り替えるようにしている。すなわち、操作部材22が初期位置から所定の方向に操作されたときに刃部18,19の開閉動作を実行し、操作部材22が初期位置から前記所定の方向とは異なる方向に操作されたきに補助動作を実行するようにしている。しかしながら、これに限らず、操作部材22の現在位置を基準として切断動作を実行するか補助動作を実行するかを切り替えるようにしてもよい。すなわち、操作部材22が現在位置から所定の方向に操作されたときに刃部18,19の開閉動作を実行し、操作部材22が現在位置から前記所定の方向とは異なる方向に操作されたきに補助動作を実行するようにしてもよい。
【0067】
また、上記した実施形態においては、第1の操作部22bと第2の操作部22dが一体に形成されているが、これらを別部品によって構成してもよい。その際、例えば使用者にあわせて第1の操作部22bと第2の操作部22dの間隔を調整できるように、相対的な位置を移動可能に構成してもよい。
【0068】
また、上記した実施形態に係る電動はさみ10は、2枚の刃部18,19が両方とも動く両刃可動式であるが、これに限らず、一方の刃部が固定されて他方の刃部が動く片刃可動式の電動はさみ10であっても同様に本発明を適用することができる。