(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記送光ミラー及び前記受光ミラーが揺動中に、前記受光ミラーは、揺動中心から前記開口幅が小さくなる回転方向に傾いた位置で、前記送光ミラーから出射される測定光と平行に入射する光を前記受光素子の方向に反射する、
請求項1に記載の測定装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の測定装置では、受光素子に到達する対象物からの戻り光の光量が、可動ミラーの傾きに応じて変化する。その結果、受光素子におけるSN(Signal−Noise)比が対象物の方向に依存して変化することで、測距精度の一様性が損なわれる。
【0005】
そこで、本発明は、対象物の方向に対する測距精度の一様性を高めた測定装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る測定装置は、揺動軸で支持されて揺動し、光源からの測定光を反射する送光ミラーと、前記揺動軸で支持されて揺動し、前記揺動軸に垂直な方向に所定のミラー幅を有し、対象物からの前記測定光の戻り光を反射する受光ミラーと、を備え、前記ミラー幅の前記受光素子方向への投影寸法を開口幅として、前記送光ミラー及び前記受光ミラーが静止しているときに、前記受光ミラーは、前記送光ミラーから出射される測定光と平行に入射する光を、前記受光素子の方向から前記開口幅が増加する回転方向に傾いた方向に反射する。
【0007】
ここで、前記ミラー幅の前記受光光軸方向への投影寸法は、前記受光ミラーの傾きに応じて異なる。そのため、前記受光素子での前記光の受光強度は、前記投影寸法に応じて変動する。前記受光強度の変動は、対象物の方向に応じた測距精度の一様性が阻害される。
【0008】
また、前記送光ミラーの揺動振幅と前記受光ミラーの揺動振幅とが異なっている場合、前記受光ミラーから前記受光素子に向かう前記光の集光点が、揺動周期内で変動する。そのため、前記光の集光点と前記受光素子とのずれに起因する周期性の受光ロスが生じ、対象物の方向に応じた測距精度の一様性が阻害される。
【0009】
これに対し、前記構成によれば、前記送光ミラー及び前記受光ミラーが静止しているときに、前記受光ミラーから前記受光素子に向かう前記光の光軸が、前記受光素子の方向から前記受光ミラーの前記開口幅が増加する回転方向に傾いている。
【0010】
これにより、前記光軸ずれによる受光ロスがなくなる前記受光ミラーの傾き位置が、前記受光ミラーの前記揺動範囲の両端のうち前記開口幅がより小さい小開口端に接近する。その結果、前記小開口端において前記光軸ずれによる受光ロスが減り、前記開口幅の縮小と前記光軸ずれによる受光ロスとが相乗して受光強度が過度に減少する不都合が緩和される。また、前記受光ミラーの前記揺動範囲の両端のうち前記開口幅がより広く見える大開口端では、逆に、前記光軸ずれによる受光ロスが増えるので、受光強度が過度に増大する不都合が緩和される。
【0011】
このようにして、受光強度の変動が抑制されることにより、対象物の方向に対する測距精度の一様性が向上する。
【0012】
また、前記送光ミラー及び前記受光ミラーが揺動中に、前記受光ミラーは、揺動中心から前記開口幅が小さくなる回転方向に傾いた位置で、前記送光ミラーから出射される測定光と平行に入射する光を前記受光素子の方向に反射してもよい。
【0013】
この構成によれば、前記小開口端において、受光ミラーから受光素子に向かう光の光軸と受光素子の光軸とのずれ量がある程度縮小される。その結果、対象物の方向に対する測距精度の一様性がある程度改善される。
【0014】
また、前記受光ミラーは、前記開口幅が小さくなる回転方向での揺動端で、前記送光ミラーから出射される測定光と平行に入射する光を前記受光素子の方向に反射してもよい。
【0015】
この構成によれば、前記小開口端において、前記光の光軸と前記受光素子の光軸とのずれによる受光強度の低下がなくなるので、対象物の方向に対する測距精度の一様性が向上する。
【0016】
また、前記受光素子と前記光源とが、前記揺動軸の周りに同一の方向に配置され、かつ、前記送光ミラー及び前記受光ミラーが静止しているときに、前記受光ミラーのミラー面が前記送光ミラーのミラー面から前記開口幅が増加する回転方向に傾いていてもよい。
【0017】
この構成によれば、前記小開口端において、受光ミラーから受光素子に向かう戻り光の光軸と受光素子の光軸とのずれ量がある程度縮小される。その結果、対象物の方向に対する測距精度の一様性がある程度改善される。
【0018】
また、前記受光ミラーのミラー面は、前記送光ミラーのミラー面から、前記受光ミラーの揺動振幅と前記送光ミラーの揺動振幅との差分の半分量と等しい角度傾いていてもよい。
【0019】
この構成によれば、前記小開口端において、前記光の光軸と前記受光素子の光軸とのずれによる受光強度の低下がなくなるので、対象物の方向に対する測距精度の一様性が向上する。
【0020】
また、前記光源が、前記揺動軸の周りに前記受光素子の方向から前記開口幅が増加する回転方向に傾いて配置され、かつ、前記送光ミラー及び前記受光ミラーが静止しているときに、前記受光ミラーのミラー面と前記送光ミラーのミラー面とが平行であってもよい。
【0021】
この構成によれば、前記小開口端において、受光ミラーから受光素子に向かう戻り光の光軸と受光素子の光軸とのずれ量がある程度縮小される。その結果、対象物の方向に対する測距精度の一様性がある程度改善される。
【0022】
また、前記光源と前記受光素子とは、前記揺動軸の周りに、前記受光ミラーの揺動振幅と前記送光ミラーの揺動振幅との差分と等しい角度傾いて配置されていてもよい。
【0023】
この構成によれば、前記小開口端において、前記光の光軸と前記受光素子の光軸とのずれによる受光強度の低下がなくなるので、対象物の方向に対する測距精度の一様性が向上する。
【0024】
また、さらに、前記受光ミラーと前記受光素子との間に集光レンズを備え、前記受光ミラーが、前記開口幅が大きくなる回転方向での揺動端にあるとき、前記送光ミラーから出射される測定光と平行に入射し前記受光ミラーで反射された光の一部の光束が前記集光レンズから逸脱してもよい。
【0025】
この構成によれば、前記受光ミラーが前記大開口端にあるときの受光強度をより効果的に削減できるので、対象物の方向に対する測距精度の一様性が向上する。
【0026】
また、前記受光ミラーと前記送光ミラーとが、前記揺動軸と垂直な方向に離間した2つの連結軸で接続されていてもよい。
【0027】
このような構成の受光ミラーを用いても、上述と同様の効果が得られる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の測定装置によれば、対象物の方向に応じた測距精度の一様性を高めた測定装置が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(実施の形態1)
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0031】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、請求の範囲を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0032】
また、以下における各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。各図において、実質的に同一の構成に対しては、同一の符号を付し、重複する説明を省略又は簡略化する。
【0033】
(測定装置の基本的な構造)
本実施の形態に係る測定装置は、光を用いて対象物までの距離を測定する装置である。具体的には、当該測定装置は、当該測定装置の外部の目的範囲を走査する測定光を出射し、当該目的範囲内にある対象物からの当該測定光の戻り光を受光することにより、当該測定装置と対象物との間の距離を測定する。
【0034】
まず、本実施の形態に係る測定装置の基本的な構造について説明する。
【0035】
図1は、測定装置100の構成の一例を示す正面図である。
【0036】
図1に示すように、測定装置100は、筐体110、光源120、送光光学部130、ミラー部140、遮光板147、受光光学部150、及び受光素子160を備える。送光光学部130は、コリメートレンズ132を有する。ミラー部140は、揺動軸146で支持された送光ミラー141及び受光ミラー142を有する。受光光学部150は、集光レンズ152を有する。
【0037】
筐体110の内部空間は、遮光板147により、送光領域101と受光領域102とに分けられている。
【0038】
図2は、測定装置100の送光領域101の構成の一例を示す上面図である。
図2に示すように、送光領域101には、光源120、送光光学部130、送光ミラー141が配置される。
【0039】
光源120は、測定光を出射する光源である。光源120は、例えば、レーザダイオードで構成されてもよい。
【0040】
送光光学部130は、光源120から出射された測定光121を、コリメートレンズ132で平行化して送光ミラー141に照射する。送光光学部130は、さらに、図示していないスリット板を用いて測定光121の出射方向を規制してもよい。
【0041】
送光ミラー141は、揺動軸146で支持されて揺動範囲Bt内で揺動し、光源120からの測定光121を目的範囲A内の方向に向けて反射する。送光ミラー141で反射された測定光121は、筐体110に設けられた送光窓111から、測定装置100の外部へ出射される。
【0042】
遮光板147は、送光領域101で生じる迷光が、受光領域102に進入することを抑制する。迷光とは、送光ミラー141の表面や送光窓111の内面などで拡散反射する測定光121のことであり、受光領域102に進入すると測距精度の低下を引き起こすものである。
【0043】
送光窓111から、測定装置100の外部へ出射された測定光121は、目的範囲A内にある対象物901、902に到達し、対象物901、902で拡散反射される。
【0044】
図3は、測定装置100の受光領域102の構成の一例を示す上面図である。
図3に示すように、受光領域102には、受光ミラー142、受光光学部150、及び受光素子160が配置される。
【0045】
対象物901、902で拡散反射した測定光121のうち、測定光121の到来方向へ戻る戻り光161が、筐体110に設けられた受光窓112から、測定装置100の内部へ入射する。
【0046】
受光ミラー142は、揺動軸146で支持されて揺動し、戻り光161を受光素子160に向けて反射する。
【0047】
受光光学部150は、受光ミラー142で反射した戻り光161を、集光レンズ152で受光素子160に集光する。受光光学部150は、さらに、図示していないバンドパスフィルタを用いて測定光以外の波長のノイズ光を除去してもよい。
【0048】
受光素子160は、入射した戻り光161の強度に応じた電気信号を生成する素子である。受光素子160は、例えば、アバランシェフォトダイオードで構成されてもよい。
【0049】
(ミラー部の全体構成)
次に、ミラー部140の全体的な構成の一例について説明する。
【0050】
図4は、ミラー部140の全体的な構成の一例を示す斜視図である。
図4には、
図2の送光ミラー141及び
図3の受光ミラー142を含むミラー部140の全体が示されている。ミラー部140は、一例として、送光ミラー141及び受光ミラー142のそれぞれの裏面(反射面の反対面)を長尺状の揺動軸146に貼り付けて構成されている。
【0051】
送光ミラー141及び受光ミラー142は、例えば、金属膜ミラーである。揺動軸146は、例えば、金属薄板を打ち抜いて形成される。また、図示は省略しているが、同じ金属薄板から、揺動軸146の上下端につながった固定部を打ち抜き、当該固定部を介して、揺動軸146を筐体110に固定してもよい。
【0052】
ミラー部140に対し、揺動軸146周りに周期的に変動するトルクを与えることで、ミラー部140を、揺動軸146を中心に揺動させる。その結果、揺動軸146が、ねじり棒ばねとして機能し、ミラー部140は、揺動軸146周りの慣性モーメントと揺動軸146のねじりばね定数とで決まる固有振動数の共振型スキャナミラーとして動作する。
【0053】
ミラー部140にトルクを与えるアクチュエータは特には限定されない。一例として、電磁力、静電力、又は圧電変位を利用するアクチュエータが用いられ得る。
【0054】
(測定装置の機能構成)
次に、測定装置100の機能的な構成について説明する。
【0055】
図5は、測定装置100の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
図5に示すように、測定装置100は、機能的に、光源120と、送光光学部130と、送光ミラー141及び受光ミラー142を含むミラー部140と、受光光学部150と、受光素子160と、光源駆動部170と、ミラー駆動部180と、制御部190と、を含む。
【0056】
光源駆動部170は、光源120を駆動する。例えば、光源駆動部170は、制御部190から出力される変調信号に従って光源120にレーザ光を出射させる。
【0057】
ミラー駆動部180は、ミラー部140(つまり、送光ミラー141及び受光ミラー142)を駆動する。例えば、ミラー駆動部180は、制御部190からの駆動信号に基づいて、ミラー部140を駆動するための駆動電流を生成する。ミラー駆動部180は、生成した駆動電流を図示していないアクチュエータに出力する。これにより、送光ミラー141及び受光ミラー142がアクチュエータによって揺動軸146を中心に一体的に揺動する。
【0058】
制御部190は、測定装置100を制御するコントローラである。制御部190は、例えば、システムLSI(Large Scale Integration)、IC(Integrated Circuit)又はマイクロコントローラ等で構成されている。
【0059】
具体的には、制御部190は、光源駆動部170及びミラー駆動部180を制御する。例えば、制御部190は、光源駆動部170に変調信号を出力するとともに、ミラー駆動部180に駆動信号を出力する。例えば、制御部190は、駆動信号を出力する。
【0060】
さらに、制御部190は、光源120から出射された光と受光素子160で受光された光との間の位相差に基づいて、測定装置100から対象物901、902までの距離を算出する。具体的には、制御部190は、例えば、光源駆動部170に出力した変調信号及び受光素子160から入力した受光信号に基づいて上記位相差を算出する。制御部190は、算出された位相差を用いて光源120から出射された光が受光素子160に到達するまでの時間を算出する。そして、制御部190は、算出された時間の1/2に光速を乗算することにより、測定装置100から対象物901、902までの距離を算出する。
【0061】
また、制御部190は、送光ミラー141の傾きから、測定装置100に対する対象物901、902の方向を特定する。ここで、揺動中の送光ミラー141の傾きを、静止している(つまり、揺動していない)送光ミラー141の位置を基準位置としかつ時計回りを正として、揺動軸146周りの送光ミラー141の回転角度により定義する。
【0062】
制御部190は、所定の位置に設置されたフォトダイオード(図示せず)からの信号に基づいて、送光ミラー141の傾きを検出してもよい。当該フォトダイオードは、送光ミラー141が範囲Bt外の所定の傾きまで回転したときに送光ミラー141で反射した測定光121が入射する位置に設置されてもよい。
【0063】
(原理的な受光動作での問題点)
次に、測定装置100における原理的な受光動作について、
図6A、
図6B、
図6Cを用いて説明する。
【0064】
図6A、
図6B、及び
図6Cは、それぞれ、受光ミラー142が揺動範囲の中心、第1端及び第2端にあるときに、受光素子160に到達する戻り光161の経路の一例を、揺動軸146の方向(z軸方向)で見て、模式的に示す図である。
【0065】
以下の説明では、簡明のため、次の前提を設ける。
【0066】
揺動中の受光ミラー142の傾きαを、静止している(つまり、揺動を停止している)受光ミラー142の位置を基準位置α0としかつ時計回りを正として、揺動軸146周りの回転角度により定義する。前記基準位置と受光ミラー142の揺動範囲の中心とは一般には同一である。図示のための限定的でない具体例として、揺動範囲の中心、第1端、及び第2端にある受光ミラー142の傾きを、それぞれα0=0度、α1=−22.5度(<0度)、α2=+22.5度(>0度)とする。静止位置の受光ミラー142から受光素子160に向かう光軸と受光ミラー142の法線とがなす角度φを、受光ミラー142の取り付け角度と定義し、同様の具体例として45度とする。
【0067】
このような前提の下で、受光素子160に到達することができる戻り光161の入射角θは、受光ミラー142の取り付け角度φから、受光ミラー142の傾きαを減じた角度である。つまり、入射角θは、傾きαが大きいほど小さい。
【0068】
さて、
図6A、
図6B、及び
図6Cに示されるように、戻り光161が、受光ミラー142よりも大きく広がった光束161aであるとする。このとき、光束161aのうち受光ミラー142で反射された一部の光束161bは受光素子160に到達するが、残部の光束161cは受光素子160に到達できず失われる。
【0069】
受光素子160に到達する光束161bの大きさ、つまり戻り光161の受光素子160での受光強度は、受光素子160から見た受光ミラー142の外観、つまり、受光ミラー142の、受光素子160と受光ミラー142とを結ぶ受光光軸方向への投影形状の大きさに比例する。
【0070】
受光ミラー142の揺動軸146と直交する方向(一例として、y方向)の寸法であるミラー幅の投影寸法(以下、開口幅と表記する)は、受光ミラー142の傾きに応じて、最小値Wminと最大値Wmaxとの間で変動する。なお、図示は省略しているが、受光ミラー142の揺動軸146に平行な方向(z軸方向)の投影寸法(以下、高さと表記する)は一定値Hである。
【0071】
これにより、受光素子160での戻り光161の受光強度は、受光ミラー142の傾きに応じて、最小の開口幅Wminに対応する受光強度と最大の開口幅Wmaxに対応する受光強度との間で変動する。開口率は、例えば、入射角θに対するcosθの値で表される。
【0072】
以下の説明では、受光ミラー142の揺動範囲の両端のうち、受光ミラー142の開口幅がより小さい一端(上述の第1端)を小開口端と称し、受光ミラー142の開口幅がより大きい他端(上述の第2端)を大開口端と称する。
【0073】
図7は、受光ミラー142の傾きαと開口率θとの関係の一例を示すグラフである。
図7では、
図6A、
図6B、及び
図6Cの例示に基づき、受光ミラー142の揺動範囲を傾きαで±22.5゜の範囲とし、傾きαが0のときに受光素子160に到達する戻り光161の入射角θを45゜として、開口率を示している。なお、
図6A、
図6B、及び
図6Cの横軸には、傾きαと入射角θとを併記している。
【0074】
このように、受光ミラー142の開口率に入射角依存性があるため、対象物の方向によって、戻り光161の受光素子160での受光強度が変動する。これが、背景技術の欄で指摘した、対象物の方向に対する測距精度の一様性が損なわれる第1の要因である。
【0075】
次に、対象物の方向に対する測距精度の一様性が損なわれる第2の要因について説明する。
【0076】
図6A、
図6B、及び
図6Cでは、送光ミラー141の傾きと受光ミラー142の傾きとのずれを考慮していない。しかしながら、実際的には、送光ミラー141の傾きと受光ミラー142の傾きとは、揺動中にずれる。このずれは、送光ミラー141と受光ミラー142との慣性モーメントの違いに起因して、送光ミラー141の揺動振幅が受光ミラー142の揺動振幅よりも小さいために生じる。
【0077】
図8A、
図8B、及び
図8Cは、それぞれ、受光ミラー142が揺動範囲の中心、小開口端及び大開口端にあるときに、受光素子160に到達する戻り光161の経路の実際的な一例を、揺動軸146の方向(z軸方向)で見て模式的に示す図である。
図8A、
図8B、及び
図8Cでは、一例として、光源120と受光素子160とが、揺動軸146の周りに同一の方向に配置され、かつ送光ミラー141の揺動振幅が受光ミラー142の揺動振幅よりも2δ小さいとしている。
【0078】
図8Aの配置は、送光ミラー141と受光ミラー142とが静止しているときの配置と同一である。
図8Aでは、送光ミラー141の傾きα0と受光ミラー142の傾きα0とは、一致している。そのため、戻り光161の光軸と受光素子160の光軸162とは一致している。
【0079】
図8Bでは、送光ミラー141の傾きα1tが受光ミラー142の傾きα1から+δずれている。そのため、戻り光161の光軸が受光素子160の光軸162から2δずれている。
【0080】
図8Cでは、送光ミラー141の傾きα2tが受光ミラー142の傾きα2から−δずれている。そのため、戻り光161の光軸が受光素子160の光軸162から2δずれている。
【0081】
図9は、送光ミラー141の傾き、受光ミラー142の傾き、および送光ミラー141と受光ミラー142との傾きずれの、揺動の1周期における変化の一例を示すグラフである。
図9に示すように、送光ミラー141の傾きと受光ミラー142の傾きとは、揺動の中心では一致するが、揺動の中心から離れるにつれて差分が拡大し、揺動の両端では±δずれる。
【0082】
送光ミラー141の傾きと受光ミラー142の傾きとのずれにより、受光ミラー142から受光素子160に向かう戻り光161の光軸と受光素子160の光軸162とのずれが生じる。その結果、受光ロスが生じ、受光素子160における戻り光161の受光強度が減少する。当該受光ロスには、例えば、集光レンズ152の集光誤差(
図8B、
図8C)や、戻り光161の一部の集光レンズ152からの逸脱(
図8C)が含まれ得る。
【0083】
このような受光ロスが、対象物の方向に対する測距精度の一様性が損なわれる第2の要因である。
【0084】
前述した第1の要因である開口幅の入射角依存性と、第2の要因とが組み合わさることで、受光ミラー142が揺動範囲の小開口端(
図8B)にあるときに受光強度がさらに減少し、対象物の方向に対する測距精度の一様性がより大きく損なわれることになる。
【0085】
(光学系の配置の改良)
そこで、本発明者らは、光源120、送光ミラー141、受光ミラー142、及び受光素子160の、改良された配置を提案する。提案する配置は、送光ミラー141及び受光ミラー142が静止しているときに、受光ミラー142が戻り光161を受光素子160の方向から前記開口幅が増加する方向に傾いた方向に反射するものである。なお、送光ミラー141及び受光ミラー142が静止しているとは、送光ミラー141及び受光ミラー142が揺動せずに定常的に静止している状態として定義され、揺動の両端で角速度が0になる瞬間的な静止は含まない。
【0086】
以下、実施の形態1に係る配置を有する測定装置100の一例について説明する。
【0087】
図10A、
図10B、及び
図10Cは、それぞれ、受光ミラー142が揺動範囲の中心、小開口端及び大開口端にあるときに、受光素子160に到達する戻り光161の経路の実際的な一例を、揺動軸146の方向(z軸方向)で見て模式的に示す図である。
【0088】
図10A、
図10B、及び
図10Cでは、
図8A、
図8B、及び
図8Cと同様、光源120と受光素子160とが、揺動軸146の周りに同一の方向にあり、かつ送光ミラー141の揺動振幅が受光ミラー142の揺動振幅よりも2δ小さいとしている。
【0089】
図10Aの配置は、送光ミラー141と受光ミラー142とが静止しているときの配置と同一である。
図10Aに示すように、受光ミラー142の傾きα0rが、揺動軸146の方向(z軸方向)で見て、送光ミラー141の傾きα0から受光ミラー142の開口幅が増加する方向(右回転方向)にずれている。
【0090】
つまり、
図10Aに示す光学系の配置では、揺動中心(または静止状態)における受光ミラー142のミラー面を、意図的に、揺動中心(または静止状態)における送光ミラー141のミラー面から受光ミラー142の開口幅が増加する方向に角度δ傾けてある。
【0091】
この配置によれば、受光ミラー142から受光素子160に向かう戻り光161の光軸が、受光ミラー142の傾きと送光ミラー141の傾きとに意図的なずれを設けない場合と比べて、受光ミラー142の開口幅が増加する方向に角度2δ傾く。
【0092】
そのため、受光ミラー142から受光素子160に向かう戻り光161の光軸と受光素子160の光軸162とのずれ量が、受光ミラー142の揺動範囲の小開口端で縮小し、大開口端で拡大する。これにより、受光ミラー142が揺動範囲の小開口端にあるときの受光強度の減少が緩和されるので、対象物の方向に対する測距精度の一様性が向上する。
【0093】
受光ミラー142と送光ミラー141とをずらす角度δは、受光ミラー142の揺動振幅と送光ミラー141の揺動振幅との差分の半分量と等しくてもよい。
【0094】
この配置によれば、
図10Bに示すように、受光ミラー142は、揺動範囲の小開口端にあるときに、戻り光161を受光素子160の方向に反射する。
【0095】
これにより、小開口端において、戻り光161の光軸と受光素子160の光軸162とのずれによる受光強度の低下がなくなるので、対象物の方向に対する測距精度の一様性が向上する。
【0096】
また、
図10Cに示すように、受光ミラー142が揺動範囲の大開口端にあるときに、受光ミラー142から受光素子160に向かう戻り光161のうち、集光レンズ152から逸脱する光束161dが、意図的なずれを設けない場合よりもさらに大きくなる。
【0097】
これにより、受光ミラー142が揺動範囲の大開口端にあるときの受光強度をより効果的に削減できるので、対象物の方向に対する測距精度の一様性が向上する。
【0098】
図11は、送光ミラー141と受光ミラー142とに意図的な傾きずれを設けた構成における、送光ミラー141の傾き、受光ミラー142の傾き、および傾きずれの、揺動の1周期における変化の一例を示すグラフである。
図9と比べて、傾きずれが、揺動範囲の小開口端で0となるようにシフトされる。
【0099】
図12は、受光強度の受光ミラー142の傾きに対する依存性の一例を概念的に示すグラフである。横軸の傾き、入射角、及び光軸ずれは、それぞれ受光ミラー142の傾き、受光ミラー142への戻り光161の入射角、および受光ミラー142から受光素子160に向かう戻り光161の光軸と受光素子160の光軸162とのずれ量であり、
図10A、
図10B、及び
図10Cでの例示に即した関連付けを示している。
【0100】
開口幅依存性は、入射角に対応する開口幅を示している。受光ミラー142の開口幅は、受光ミラー142の傾きと正の相関がある。
【0101】
ずれ量依存性は、受光ミラー142から受光素子160に向かう戻り光161の光軸と受光素子160の光軸162とのずれ量に応じて生じる受光ロスのために減衰する受光強度の比率を示している。光軸ずれに応じた受光ロスは、集光誤差及び、戻り光161の一部の集光レンズ152からの逸脱を含み、ずれ量が大きいほど大きい。
【0102】
全体強度は、開口幅依存性とずれ量依存性との積を示している。全体強度は、傾きに対してそれぞれ正及び負の相関がある開口幅依存性とずれ量依存性とを乗じることで、受光ミラー142の傾き(つまり、対象物の方向)に対する変動が抑制される。
【0103】
なお、受光ミラー142を送光ミラー141からずらす角度δは、受光ミラー142の揺動振幅と送光ミラー141の揺動振幅との差分の半分量と厳密に等しい必要はなく、受光ミラー142の開口幅が増加する方向の角度であればよい。
【0104】
この構成によれば、揺動中の受光ミラー142が揺動中心から小開口端にある程度傾いた位置にあるときに、受光ミラー142は戻り光161を受光素子160の方向に反射する。
【0105】
これにより、受光ミラー142の揺動範囲の小開口端において、受光ミラー142から受光素子160に向かう戻り光161の光軸と受光素子160の光軸162とのずれ量がある程度縮小される。その結果、対象物の方向に対する測距精度の一様性を、ある程度改善することができる。
【0106】
(実施の形態2)
実施の形態1では、光源120、送光ミラー141、受光ミラー142、及び受光素子160の特徴的な配置により、対象物の方向に対する測距精度の一様性を改善した。当該配置は、送光ミラー141及び受光ミラー142が静止しているときに、受光ミラー142が戻り光161を受光素子160の方向から前記開口幅が増加する方向に傾いた方向に反射するものである。
【0107】
実施の形態2では、このような配置の別の具体例について説明する。
【0108】
以下、実施の形態2に係る配置を有する測定装置100の一例について説明する。
【0109】
図13A、
図13B、及び
図13Cは、それぞれ、受光ミラー142が揺動範囲の中心、小開口端及び大開口端にあるときに、受光素子160に到達する戻り光161の経路の実際的な一例を、揺動軸146の方向(z軸方向)で見て模式的に示す図である。
【0110】
図13Aの配置は、送光ミラー141と受光ミラー142とが静止しているときの配置と同一である。
図13Aの配置は、
図10Aの配置と比べて、静止状態での送光ミラー141のミラー面と受光ミラー142のミラー面とが平行であり、かつ光源120が、揺動軸146の周りに、受光素子160の方向から、受光ミラー142の開口幅が増加する方向(右回転方向)に傾いて配置されている点が異なる。
【0111】
以下、
図10Aと同様、送光ミラー141の揺動振幅が受光ミラー142の揺動振幅よりも2δ小さいとして説明する。
【0112】
図13Aに示す光学系では、光源120を、意図的に、揺動軸146の周りに受光素子160の方向から開口幅が増加する回転方向に角度2δ傾いて配置している。
【0113】
この配置によれば、受光ミラー142から受光素子160に向かう戻り光161の光軸が、光源120の光軸と受光素子160の光軸162とに意図的なずれを設けない場合と比べて、受光ミラー142の開口幅が増加する方向に角度2δ傾く。
【0114】
そのため、受光ミラー142から受光素子160に向かう戻り光161の光軸と受光素子160の光軸162とのずれ量が、受光ミラー142の揺動範囲の小開口端で縮小し、大開口端で拡大する。これにより、受光ミラー142が揺動範囲の小開口端にあるときの受光強度の減少が緩和されるので、対象物の方向に対する測距精度の一様性が向上する。
【0115】
光源120の光軸を受光素子160の光軸162からずらす角度2δは、受光ミラー142の揺動振幅と送光ミラー141の揺動振幅との差分量と等しくてもよい。
【0116】
この配置によれば、
図13Bに示すように、受光ミラー142は、揺動範囲の小開口端にあるときに、戻り光161を受光素子160の方向に反射する。
【0117】
これにより、小開口端において、戻り光161の光軸と受光素子160の光軸162とのずれによる受光強度の低下がなくなるので、対象物の方向に対する測距精度の一様性が向上する。
【0118】
また、
図13Cに示すように、受光ミラー142が揺動範囲の大開口端にあるときに、受光ミラー142から受光素子160に向かう戻り光161のうち、集光レンズ152から逸脱する光束161dが、意図的なずれを設けない場合よりもさらに大きくなる。
【0119】
これにより、受光ミラー142が揺動範囲の大開口端にあるときの受光強度をより効果的に削減できるので、対象物の方向に対する測距精度の一様性が向上する。
【0120】
図14は、受光強度の受光ミラー142の傾きに対する依存性の一例を概念的に示すグラフである。横軸の傾き、入射角、及び光軸ずれは、それぞれ受光ミラー142の傾き、受光ミラー142への戻り光161の入射角、および受光ミラー142から受光素子160に向かう戻り光161の光軸と受光素子160の光軸162とのずれ量であり、
図13A、
図13B、及び
図13Cでの例示に即した関連付けを示している。
【0121】
開口幅依存性は、入射角に対応する開口幅を示している。受光ミラー142の開口幅は、受光ミラー142の傾きと正の相関がある。
【0122】
ずれ量依存性は、受光ミラー142から受光素子160に向かう戻り光161の光軸と受光素子160の光軸162とのずれ量に応じて生じる受光ロスのために減衰する受光強度の比率を示している。光軸ずれに応じた受光ロスは、集光誤差及び、戻り光161の一部の集光レンズ152からの逸脱を含み、ずれ量が大きいほど大きい。
【0123】
全体強度は、開口幅依存性とずれ量依存性との積を示している。全体強度は、傾きに対してそれぞれ正及び負の相関がある開口幅依存性とずれ量依存性とを乗じることで、受光ミラー142の傾き(つまり、対象物の方向)に対する変動が抑制される。
【0124】
なお、光源120の光軸を受光素子160の光軸162からずらす角度2δは、受光ミラー142の揺動振幅と送光ミラー141の揺動振幅との差分量と厳密に等しい必要はなく、受光ミラー142の開口幅が増加する方向の角度であればよい。
【0125】
この構成によれば、揺動中の受光ミラー142が揺動中心から小開口端にある程度傾いた位置にあるときに、受光ミラー142は戻り光161を受光素子160の方向に反射する。
【0126】
これにより、受光ミラー142の揺動範囲の小開口端において、受光ミラー142から受光素子160に向かう戻り光161の光軸と受光素子160の光軸162とのずれ量がある程度縮小される。その結果、対象物の方向に対する測距精度の一様性を、ある程度改善することができる。
【0127】
(実施の形態3)
実施の形態3では、ミラー部の他の構成の一例について説明する。
【0128】
図15は、実施の形態3に係るミラー部240の構成の一例を示す斜視図である。
図15に示すように、ミラー部240は、揺動軸246で支持された送光ミラー241及び受光ミラー242を有する。ミラー部240は、
図4のミラー部140と比べて、送光ミラー241と受光ミラー242とが、揺動軸246と直交する方向に離間した2つの連結軸243で接続されている点が異なる。
【0129】
ミラー部240は、一例として、送光ミラー241及び受光ミラー242のそれぞれの裏面(反射面の反対面)を枠体状の揺動軸246に貼り付けて構成されている。
【0130】
送光ミラー241及び受光ミラー242は、例えば、金属膜ミラーである。揺動軸246は、例えば、金属薄板を打ち抜いて形成される。連結軸243は、同じ金属薄板から打ち抜かれる揺動軸246につながった部分であってもよい。連結軸243に適応して、遮光板247の開口247aの形状が変更される。
【0131】
送光ミラー241と受光ミラー242とを接続する連結軸は迷光を抑制するため、1本の軸のように断面積が小さいほうがよいが、
図15に示すように、複数の連結軸243で構成した場合でも、実施の形態1及び実施の形態2で説明した構成を適用することで、対象物の方向に対する測距精度の一様性を改善する効果を得ることができる。
【0132】
以上、本発明の実施の形態に係る測定装置について説明したが、本発明は、個々の実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の一つ又は複数の態様の範囲内に含まれてもよい。