特許第6676926号(P6676926)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6676926ヘッドバンド用留め具、および、ヘルメット用ヘッドバンド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6676926
(24)【登録日】2020年3月17日
(45)【発行日】2020年4月8日
(54)【発明の名称】ヘッドバンド用留め具、および、ヘルメット用ヘッドバンド
(51)【国際特許分類】
   A42B 3/14 20060101AFI20200330BHJP
【FI】
   A42B3/14
【請求項の数】6
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-214319(P2015-214319)
(22)【出願日】2015年10月30日
(65)【公開番号】特開2017-82368(P2017-82368A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2018年9月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】500272347
【氏名又は名称】DICプラスチック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】中村 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】山村 浩之
【審査官】 ▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−102839(JP,A)
【文献】 実開平05−070312(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A42B 3/00− 7/00
A44B11/00−11/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面を有した第1樹脂部材と、
前記第1面と対向する第2面を有した第2樹脂部材とを備え、
前記第1面に掛け留め部と軸支部とを備え、
前記第2面に片持ち梁状の樹脂ばねを備え、
前記第1面と前記第2面とのいずれか一方に留め歯を備え、
前記樹脂ばねは、前記第2面から前記第1面に向けて立つ固定端から前記樹脂ばねの自由端まで前記第2面に沿って延び、前記自由端が前記掛け留め部に掛けられ、かつ、前記固定端が前記軸支部に支持され、それによって、前記第2面と前記第1面とを相互に近付ける方向に付勢可能とし、
前記留め歯は、前記第1樹脂部材と前記第2樹脂部材との隙間に入るバンド端部を、前記バンド端部の延在方向に沿って並ぶ調整歯のなかで相互に隣接する調整歯の隙間に前記樹脂ばねの付勢によって前記留め歯を嵌めることによって留め、前記付勢に抗した操作力が前記固定端を傾動中心として前記第2面を前記第1面に対して相対的に傾動させるときに前記嵌めることを解除する
ヘッドバンド用留め具。
【請求項2】
前記第1樹脂部材が前記第1面よりも前記第2面側に規制部をさらに備え、
前記第2樹脂部材が前記規制部よりも前記第1面側に被規制部をさらに備え、
前記第1樹脂部材と前記第2樹脂部材との隙間の大きさのなかで前記バンド端部が前記隙間から抜け出ることを可能とした大きさが傾動許容範囲であり、
前記第2面が前記第1面に対して相対的に傾動して前記隙間の大きさが前記傾動許容範囲の最大値に到達したときに前記規制部と前記被規制部とが当接し、前記隙間の大きさが前記傾動許容範囲を超えることを前記規制部と前記被規制部とが止める
請求項1に記載のヘッドバンド用留め具。
【請求項3】
前記第2樹脂部材は、
前記自由端に対する前記固定端側とは反対側に前記第2面から前記第1面に向けて立つ前記留め歯であって、第1高さを有する前記留め歯と、
前記留め歯に対する前記自由端側とは反対側に前記第2面から前記第1面に向けて立つ
ガイドリブであって、前記第1高さよりも低い第2高さを有する前記ガイドリブとを備える
請求項1または2に記載のヘッドバンド用留め具。
【請求項4】
前記バンド端部を含むバンド本体部と、
請求項1から3のいずれか一項に記載のヘッドバンド用留め具とを備える
ヘルメット用ヘッドバンド。
【請求項5】
前記第1樹脂部材は、前記第1面を含む支持部と、前記支持部と一体である前記バンド本体部とを備える
請求項4に記載のヘルメット用ヘッドバンド。
【請求項6】
前記バンド本体部は、
前記バンド端部が前記ヘッドバンド用留め具に留められた状態で環形状を有し、
前記バンド端部は、
前記バンド端部の延在方向に延びる表面を有した帯状部と、
記帯状部の表面に並ぶ複数の前記調整歯とを備え、
前記帯状部は、前記環形状に追従した曲面状を有し、
前記バンド端部は、相互に隣り合う前記調整歯の隙間を結び前記環形状に追従した曲線状を有する補強部を備える
請求項5に記載のヘルメット用ヘッドバンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘルメット用ヘッドバンドの締結に用いられるヘッドバンド用留め具、および、そのヘッドバンド用留め具を備えるヘルメット用ヘッドバンドに関する。
【背景技術】
【0002】
ヘルメットは、ヘルメットの外殻を構成する半球状を有した帽体と、帽体やハンモックに取り付けられるヘルメット用ヘッドバンドとを備える。ヘルメット用ヘッドバンドの延在方向において、ヘルメット用ヘッドバンドにおける一方の端部は、ヘルメット用ヘッドバンドにおける他方の端部を留めるヘッドバンド用留め具を備える。例えば、特許文献1に記載されたヘッドバンド用留め具は、一方のバンド端部に位置する保持部と、保持部に保持されて保持部に向けて付勢されるバンド係止部材と、バンド係止部材に対して傾動可能に連結された解除部材とを備える。そして、保持部とバンド係止部材との間に位置する他方のバンド端部は、バンド係止部材による付勢によって保持部とバンド係止部材との間に留められる。この際、解除部材を傾動させる操作によってバンド係止部材に対する付勢が解除され、他方のバンド端部の位置がバンド係止部材に対して変わることによって、ヘルメット用ヘッドバンドが作る環の大きさが頭部の大きさに合わせられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−102839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したヘッドバンド用留め具は、保持部、バンド係止部材、および、解除部材の3つの部材を備えるため、これらの構成部材を管理する煩わしさを軽減することを目的として、ヘッドバンド用留め具を構成する部材の点数を少なくすることが望まれている。
【0005】
本発明は、ヘッドバンド用留め具を構成する部材の点数を少なくすることを可能としたヘッドバンド用留め具、および、そのヘッドバンド用留め具を備えるヘルメット用ヘッドバンドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためのヘッドバンド用留め具は、第1面を有した第1樹脂部材と、前記第1面と対向する第2面を有した第2樹脂部材とを備え、前記第1面に掛け留め部と軸支部とを備え、前記第2面に片持ち梁状の樹脂ばねを備え、前記第1面と前記第2面とのいずれか一方に留め歯を備える。前記樹脂ばねは、前記第2面から前記第1面に向けて立つ固定端から前記樹脂ばねの自由端まで前記第2面に沿って延び、前記自由端が前記掛け留め部に掛けられ、かつ、前記固定端が前記軸支部に支持され、それによって、前記第2樹脂部材と前記第1樹脂部材とを相互に近付ける方向に付勢可能とする。そして、前記留め歯は、前記第1樹脂部材と前記第2樹脂部材との隙間に入るバンド端部を前記樹脂ばねの付勢による前記留め歯の押圧によって留め、前記付勢に抗した操作力が前記固定端を傾動中心として前記第2面を前記第1面に対して相対的に傾動させるときに前記押圧を解除する。
【0007】
上記ヘッドバンド用留め具は、第1樹脂部材と第2樹脂部材との隙間からバンド端部が引き出されることを、樹脂ばねの付勢による留め歯の押圧によって抑え、樹脂ばねの付勢に抗した操作力の作用によって、第1樹脂部材と第2樹脂部材との隙間からバンド端部が引き出されることを許容する。そして、バンド端部に対する押圧とその解除とが2つの樹脂部材によって実現されるため、ヘッドバンド用留め具の部材の点数を少なくすることが可能である。
【0008】
上記ヘッドバンド用留め具において、前記第1樹脂部材が前記第1面よりも前記第2面側に規制部をさらに備え、前記第2樹脂部材が前記規制部よりも前記第1面側に被規制部をさらに備えてもよい。前記第1樹脂部材と前記第2樹脂部材との隙間の大きさのなかで前記バンド端部が前記隙間から抜け出ることを可能とした大きさが傾動許容範囲である。そして、前記第2面が前記第1面に対して相対的に傾動して前記隙間の大きさが前記傾動許容範囲の最大値に到達するときに前記規制部と前記被規制部とが当接し、前記隙間の大きさが前記傾動許容範囲を超えることを前記規制部と前記被規制部とが止めてもよい。
【0009】
上記ヘッドバンド用留め具によれば、第1面に対する第2面の相対的な傾動は、規制部と被規制部とが係合することによって、第1樹脂部材と第2樹脂部材との隙間が傾動許容範囲を超えないように規制される。それゆえに、第1樹脂部材と第2樹脂部材との隙間の大きさが過度な大きさとなること、ひいては、樹脂ばねの付勢に抗した操作力が樹脂ばねに対して過度に作用することが抑えられる。結果として、樹脂ばねの付勢に抗した作用力が過度に印加されることを抑えることが可能であるから、第1樹脂部材と第2樹脂部材との隙間からバンド端部を抜き去る操作を利用者に円滑に行わせることが可能となる。
【0010】
上記ヘッドバンド用留め具において、前記第2樹脂部材は、前記自由端に対する前記固定端側とは反対側に前記第2面から前記第1面に向けて立つ前記留め歯であって、第1高さを有する前記留め歯を備えてもよい。そして、前記第2樹脂部材は、前記留め歯に対する前記自由端側とは反対側に前記第2面から前記第1面に向けて立つガイドリブであって、前記第1高さよりも低い第2高さを有する前記ガイドリブとを備えてもよい。
【0011】
第1面に対して第2面が相対的に傾動するとき、第2樹脂部材のなかで自由端に近い領域では、第1樹脂部材と第2樹脂部材との隙間が広がる。このように隙間が広がる領域は、第1樹脂部材と第2樹脂部材との隙間のなかで、利用者の手によってバンド端部が挿し入れられる領域、また、利用者の手によってバンド端部が引き出される領域として適している。上記ヘッドバンド用留め具は、上述のような間隔が広がる領域に、第1高さを有する留め歯と、第1高さよりも低い第2高さを有するガイドリブとを備える。それゆえに、留め歯と対向する位置までバンド端部を挿し入れる操作、留め歯と対向する位置からバンド端部を抜き去る操作、これらの操作を容易なものとすることが可能となる。
【0012】
上記課題を解決するためのヘルメット用ヘッドバンドは、前記バンド端部を含むバンド本体部と、上述したヘッドバンド用留め具とを備える。
上記ヘルメット用ヘッドバンドにおいて、前記第1樹脂部材は、前記第1面を含む支持部と、前記支持部と一体である前記バンド本体部とを備えてもよい。
上記ヘルメット用ヘッドバンドによれば、支持部とバンド本体部とが一体であるため、支持部とバンド本体部とが別々の部材である構成と比べて、ヘルメット用ヘッドバンドを構成する部材の点数を少なくすることが可能である。
【0013】
上記ヘルメット用ヘッドバンドにおいて、前記バンド本体部は、前記バンド端部が前記ヘッドバンド用留め具に留められた状態で環形状を有し、前記バンド端部は、前記バンド端部の延在方向に延びる表面を有した帯状部と、前記帯状部の延在方向に沿って前記帯状部の表面に並ぶ複数の調整歯であって、相互に隣り合う前記調整歯の隙間に前記留め歯が嵌る前記調整歯とを備えてもよい。そして、前記帯状部は、前記環形状に追従した曲面状を有し、前記バンド端部は、相互に隣り合う前記調整歯の隙間を結び前記環形状に追従した曲線状を有する補強部を備えてもよい。
【0014】
上記ヘルメット用ヘッドバンドによれば、バンド端部を構成する帯状部が環形状に追従した曲面状を有し、また、バンド端部を構成する複数の調整歯が同じく環形状に追従した曲線状を有する補強部によって結ばれる。それゆえに、バンド端部全体の有する形状を環形状に追従させることが容易であって、一方のバンド端部が有する形状を着用者の頭部の一部に整合性させる作業が容易でもある。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ヘッドバンド用留め具の部材の点数を少なくすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】ヘルメット用ヘッドバンドの側面構造を示す側面図。
図2】ヘルメット用ヘッドバンドの平面構造を示す平面図。
図3】ヘルメット用ヘッドバンドが備えるバンド端部の斜視構造を示す斜視図。
図4】ヘルメット用ヘッドバンドが備えるバンド端部同士が留められた状態を帽体と共に示す側面図。
図5】ヘッドバンド用留め具が備える操作体を対向面と対向する方向から見た斜視構造を示す斜視図。
図6】操作体と支持体との隙間にバンド端部が挿し入れられた状態を示す平面図であって操作体とバンド端部とを示す図。
図7】操作体と支持体との隙間にバンド端部が挿し入れられた状態を示す正面図であって操作体とバンド端部とを示す図。
図8】ヘッドバンド用留め具が備える支持体を支持面と対向する方向から見た斜視構造を示す斜視図。
図9】操作体と支持体との隙間にバンド端部が挿し入れられた状態を示す斜視図であって支持体とバンド端部とを示す図。
図10】掛け留め部と樹脂ばねとの関係、および、規制部と被規制部との関係を示す平断面図。
図11】掛け留め部と樹脂ばねとの関係、および、規制部と被規制部との関係を示す平断面図。
図12】変形例におけるヘルメット用ヘッドバンドの分解斜視構造を示す図であって操作体を対向面から見た図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ヘッドバンド用留め具、および、それを備えるヘルメット用ヘッドバンドを具体化した一実施の形態を以下に示す。
[ヘルメット用ヘッドバンド]
【0018】
図1が示すように、ヘルメット用ヘッドバンドは、可撓性を有したバンド本体部10と、バンド本体部10と一体である可撓性を有した4つの取付部20とを備える。ヘルメット用ヘッドバンドは、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリアセタール(POM)、ポリアミド(PA)、熱可塑性エラストマー(TPE)、シリコーン樹脂などの樹脂から形成される。
【0019】
バンド本体部10は、バンド中央部11と、バンド中央部11を挟む左右一対のバンド連結部12と、一対のバンド連結部12を挟む左右一対のバンド端部13,14とを備える。一方のバンド端部13は、そのバンド端部13の延在方向に沿って延びる表面を有した帯状部13Aと、帯状部13Aの表面に並ぶ複数の調整歯13Bとを備える。他方のバンド端部14は、調整歯13Bと噛み合うヘッドバンド用留め具(以下、単にバンド留め具40という)を備える。各バンド端部13,14は、バンド本体部10の端部を構成すると共に、調整歯13Bとバンド留め具40との噛み合わせによって相互に連結する。
【0020】
一方のバンド連結部12は、一方のバンド端部13と、バンド中央部11における一方の端とを連結するラダー状を有する。他方のバンド連結部12もまた、他方のバンド端部14と、バンド中央部における他方の端とを連結するラダー状を有する。
【0021】
バンド中央部11は、バンド中央部11の延在方向A1に延びるラダー状を有する。バンド中央部11は、上下一対の中央フレーム15A,15Bと、一対の中央フレーム15A,15Bを架橋する複数の中央架橋フレーム16とを備える。吊下げ部の一例である2つの取付部20は、バンド中央部11の中心軸Cを挟み、上側中央フレーム15Bから上方に向けて延びている。
【0022】
下側中央フレーム15Aは、下方に向けて凸となる緩やかな弧を描く細線状を有する。上側中央フレーム15Bは、それの延在方向A1における中央部で、下側中央フレーム15Aに対する相似形を有し、それの延在方向A1における両端部で、下側中央フレーム15Aよりも小さい曲率半径を有した弧を描く波線状を有する。各中央架橋フレーム16は、一対の中央フレーム15A,15Bよりも厚さが薄い細線状を有し、一対の中央フレーム15A,15Bの間の距離を維持する機能を有する。
【0023】
下側中央フレーム15Aのなかで中央架橋フレーム16が接続する部位は、上側中央フレーム15Bのなかでその中央架橋フレーム16が接続する部位よりもバンド中央部11の中心軸Cに近い。言い換えれば、バンド中央部11の中心軸Cを挟み左右一対となる中央架橋フレーム16は、バンド中央部11の中心軸C上に屈曲部を有したV字上に位置する。
【0024】
こうした各中央架橋フレーム16の配置によれば、各中央架橋フレーム16が単に中心軸Cに沿って延びる構成と比べて、上側中央フレーム15Bが下側中央フレーム15Aよりも引き延ばされることを、各中央架橋フレーム16がそれの変形によって許容しやすい。
【0025】
各バンド連結部12は、バンド中央部11の延在方向A1と交差するラダー状を有する。各バンド連結部12は、上下一対の連結フレーム17A,17Bと、一対の連結フレーム17A,17Bを架橋する3つの架橋フレーム18とを備える。
【0026】
図1の左側に位置する下側連結フレーム17Aは、下側中央フレーム15Aの左端と一体であり、左上方に向けて凸となる弧を描く細線状を有する。図1の左側に位置する上側連結フレーム17Bは、上側中央フレーム15Bの左端と一体であり、これもまた左上方に向けて凸となる弧であって、下側連結フレーム17Aよりも大きい曲率半径を有した弧を描く細線状を有する。吊下げ部の一例である1つの取付部20は、この上側連結フレーム17Bから左上方に向けて延びている。
【0027】
図1の右側に位置する下側連結フレーム17Aは、下側中央フレーム15Aの右端と一体であり、右上方に向けて凸となる弧を描く細線状を有する。図1の右側に位置する上側連結フレーム17Bは、上側中央フレーム15Bの右端と一体であり、これもまた右上方に向けて凸となる弧であって、下側連結フレーム17Aよりも大きい曲率半径を有した弧を描く細線状を有する。吊下げ部の一例である1つの取付部20は、この上側連結フレーム17Bから右上方に向けて延びている。
【0028】
各バンド連結部12において、各架橋フレーム18は、一対の連結フレーム17A,17Bよりも厚さが薄い細線状を有し、一対の連結フレーム17A,17Bの間の距離を維持する機能を有する。ヘルメット用ヘッドバンドは、中心軸Cに対してほぼ線対称となる形状を有し、各架橋フレーム18もまた、中心軸Cに対してほぼ線対称となる形状を有し、かつ、バンド中央部11の延在方向A1に沿って延びる直線状を有する。
【0029】
図2が示すように、ヘルメット用ヘッドバンドの平面視において、バンド中央部11と左右一対のバンド連結部12とは、バンド中央部11の延在方向A1に沿って延びる直線状を有する。これに対して、左右一対のバンド端部13,14は、バンド中央部11の延在方向A1と直交する内側方向A2において凹となる緩やかな曲線状を有する。
【0030】
バンド本体部10は、一方のバンド端部13が有する調整歯13Bと、他方のバンド端部14が有するバンド留め具40とが噛み合い、一対のバンド端部13,14が相互に連結された状態で環形状を有する。一方のバンド端部13が有する帯状部13Aは、可撓性を有すると共に、外部からの応力が取り除かれた状態では、バンド本体部10が作る環形状に追従した曲面状を有する弾性を有する。他方のバンド端部14もまた、可撓性を有すると共に、外部からの応力が取り除かれた状態では、バンド本体部10が作る環形状に追従した曲面状を有する弾性を有する。
【0031】
バンド端部14が有するバンド留め具40は、第2樹脂部材の一例である操作体41と、第1樹脂部材の一例であってバンド連結部12と一体である支持体51とを備え、これら操作体41および支持体51の各々の外形が上述したほぼ曲面状を有する。操作体41を形成する樹脂と、支持体51を形成する樹脂とは、相互に同じ材料であってもよいし、相互に異なる材料であってもよい。そして、操作体41と支持体51との隙間にバンド端部13が挿し入れられることによって、2つのバンド端部13,14が相互に留まる。また、操作体41と支持体51との隙間からバンド端部13が引き出されることによって、2つのバンド端部13,14が相互に離れる。
【0032】
図3が示すように、一方のバンド端部13は、バンド端部13の延在方向に沿って延びる表面を有した帯状部13Aと、帯状部13Aの表面に並ぶ複数の調整歯13Bとを備える。各調整歯13Bは、バンド端部13の幅方向AWから見て、帯状部13Aの表面から内側方向A2とはほぼ反対方向に向けて細くなる三角形状を有する。また、バンド端部13の延在方向から見て、帯状部13Aが有する長さはバンド幅Wであり、各調整歯13Bは、先端に向けてバンド幅Wから徐々に小さくなる形状を有する。
【0033】
バンド端部13は、バンド本体部10が作る環形状に追従した曲線状を有する補強部13Tを備える。補強部13Tは、各調整歯13Bの幅方向AWにおけるほぼ中央に対して、相互に隣り合う調整歯13Bを連結すると共に、帯状部13Aの表面からは、調整歯13Bが有する歯高Tとほぼ同じ高さを有する。言い換えれば、バンド端部13を構成する各調整歯13Bは、それとほぼ同じ高さを有し、かつ、環形状に追従した曲線状を有する補強部13Tによって連結される。
【0034】
こうしたバンド端部13の構造であれば、帯状部13Aの厚みが薄い構造であっても、バンド端部13の全体における形状を上記環形状に追従させることが容易であり、また、各調整歯13Bが帯状部13Aに対して倒れることを抑えることが可能でもある。そして、バンド本体部10が全体として可撓性を有する一方で、それのなかでも、バンド中央部11やバンド連結部12と比べ、バンド端部13はそれの形状の保持性を補強部13Tの剛性によって高められる。
[ヘルメット]
【0035】
図4が示すように、ヘルメットは、中空半球状を有した帽体30と、ヘルメット用ヘッドバンドとを含む。ヘルメット用ヘッドバンドが取り付けられる対象である取付対象は、例えば、帽体30に装着されるハンモックなどの内装物であってもよいし、帽体30そのものであってもよい。
【0036】
各取付部20は、帯状を有した取付本体部21と、取付本体部21の先端に位置する取付環状部22と、取付可撓部23と、留め部24とを備える。取付可撓部23は、取付環状部22と一体である固定端を有し、かつ、取付環状部22の環内に自由端を有する片持ち梁状を有する。留め部24は、取付可撓部23の自由端に位置し、取付対象が備える被取付部に留まる構造を有していればよい。
【0037】
取付部20の先端に位置する取付可撓部23は、取付可撓部23と取付環状部22との隙間を用い、取付部20に対する被取付部の相対的な位置に合わせて、撓んだり捩れたりする。例えば、延在方向A1に沿った軸を中心とする撓み方向D2に沿って取付可撓部23は撓み、また、幅方向AWに沿った軸を中心とする捩じれ方向D1に沿って取付可撓部23は捩じれる。それゆえに、ヘルメット用ヘッドバンドに対する取付対象の相対的な位置を、ヘルメット用ヘッドバンドは広い範囲で変えることが可能である。
【0038】
また、ラダー状を有した各バンド連結部12は、バンド中央部11を含む面SH内から下方に向けて突き出るように延びる。一方で、各バンド連結部12に含まれる架橋フレーム18は、バンド中央部11を含む面SHとほぼ平行な方向、詳しくは、帽体30のほぼ周方向に延びる。そして、各バンド連結部12においては、各架橋フレーム18がバンド中央部11を含む面とほぼ平行な剛体である。そのため、各バンド連結部12に含まれる一対の連結フレーム17A,17Bに対しては、これらに共通する折れ線として架橋フレーム18が機能し得る。結果として、架橋フレーム18を折れ線とする折れ曲がり方向D3に沿って、各バンド連結部12は折れ曲がりやすい。それゆえに、着用者の頭部の形状とヘルメット用ヘッドバンドの形状との整合性を高めること、特に、着用者の後頭部の位置とバンド端部13,14の位置との整合性を高めることが可能でもある。
[バンド留め具40]
【0039】
図5が示すように、操作体41は、1つの方向に延びるほぼ矩形板状を有した操作本体42を備え、操作本体42が有する1つの側面は、第2面の一例であって支持体51と対向した対向面42Sである。操作本体42の延びる方向は、挿入方向K1であってバンド端部14の延在方向でもある。操作体41から支持体51に向く方向は、対向方向K2であって挿入方向K1とほぼ直交する。
【0040】
操作本体42における挿入方向K1の先端縁は、対向面42Sから対向方向K2に向けて立つガイド壁42Bを備える。ガイド壁42Bは、それの幅方向AWの中央に、挿通幅W41を有した挿通溝42Hを有する。挿通溝42Hが有する挿通幅W41は、上述したバンド幅Wよりも大きく、バンド端部13が挿通溝42Hを通過することを可能とした大きさである。
【0041】
操作本体42における挿入方向K1の基端縁は、操作端部42Aである。操作端部42Aは、バンド留め具40による締結やその解除が行われる操作部であって、バンド留め具40と噛み合うバンド端部13がバンド留め具40から抜き去られるときには、支持体51から離れる方向、すなわち、対向方向K2とは反対方向へ動かされる。
【0042】
対向面42Sには、それの幅方向AWにおける中央に、挿入方向K1に延びる上下一対の第1ガイドリブG1と、同じく挿入方向K1に延びる上下一対の第2ガイドリブG2と、同じく挿入方向K1に延び、かつ、上下一対の第2ガイドリブG2を挟む第3ガイドリブG3とを備える。
【0043】
上下一対の第1ガイドリブG1は、対向面42Sにおける挿入方向K1のほぼ中央からガイド壁42Bまで挿入方向K1に沿って延びる突条である。上下一対の第2ガイドリブG2は、対向面42Sにおける操作端部42Aの近傍に位置し、幅方向AWにおいては、上下一対の第1ガイドリブG1とほぼ同じ位置に配置された突条である。上下一対の第3ガイドリブG3は、これもまた対向面42Sにおける操作端部42Aの近傍に位置し、挿入方向K1においては、上下一対の第2ガイドリブG2とほぼ同じ位置に配置される突条である。
【0044】
各第1ガイドリブG1が有する高さであるリブ高さのうち、挿入方向K1に沿ってほぼ一定となる値が、第1リブ高さHG1である。各第2ガイドリブG2が有するリブ高さのうち、挿入方向K1に沿ってほぼ一定となる値が、第2リブ高さHG2である。各第3ガイドリブG3が有するリブ高さのうち、挿入方向K1に沿ってほぼ一定となる値が、第3リブ高さHG3である。
【0045】
各第1ガイドリブG1は、挿入方向K1に向けてリブ高さが第1リブ高さHG1まで徐々に大きくなる斜面を、挿入方向K1の基端に備える。各第2ガイドリブG2もまた、挿入方向K1に向けてリブ高さが第2リブ高さHG2まで徐々に大きくなる斜面を挿入方向K1の基端に備える。各第3ガイドリブG3もまた、挿入方向K1に向けてリブ高さが第3リブ高さHG3まで徐々に大きくなる斜面を挿入方向K1の基端に備える。
【0046】
ガイド壁42Bの有する高さは、ガイド壁高さであり、挿通溝42Hが位置する部位でのガイド壁高さと、第1リブ高さHG1および第2リブ高さHG2とは、ほぼ等しい。こうした第1ガイドリブG1は、挿通溝42Hに向けてバンド端部13が進むとき、バンド端部13の対向面42Sに対する位置を定め、バンド端部13が挿通溝42Hを円滑に通ることを可能とする。また、こうした第2ガイドリブG2は、操作体41と支持体51との隙間へ、挿入方向K1に沿ってバンド端部13が挿し入れられるとき、バンド端部13における幅方向AWの中央部の対向面42Sに対する位置を定め、バンド端部13における幅方向AWの中央部が、隙間に対して円滑に挿し入れられることを可能とする。
【0047】
第3リブ高さHG3は、第2リブ高さHG2よりも大きく、一対の第3ガイドリブG3の幅方向AWにおける距離は、リブ間幅WGであって、バンド端部13が有するバンド幅Wよりも若干小さい。こうした第3ガイドリブG3は、操作体41と支持体51との隙間へ、挿入方向K1に沿ってバンド端部13が挿し入れられるとき、バンド端部13における幅方向AWの両端部の対向面42Sに対する位置を定め、バンド端部13の全体が円滑に隙間へ挿し入れられることを可能とする。すなわち、第2ガイドリブG2と第3ガイドリブG3とは、これらの協働によって、上述した形状を有する調整歯13Bの全体が円滑に隙間へ挿し入れられることを可能とする。
【0048】
対向面42Sには、それの幅方向AWにおける両端に樹脂ばね43を備える。上下一対の樹脂ばね43は、挿入方向K1とは反対方向である抜去方向K0に向けて延びる片持ち梁状を有する。上下一対の樹脂ばね43は、一対の第1ガイドリブG1を幅方向AWにおいて挟むように位置する。上下一対の樹脂ばね43は、対向面42Sから対向方向K2に立つ固定端43Fを有し、固定端43Fから樹脂ばね43の自由端43Aまで対向面42Sに沿って延びる。各樹脂ばね43における屈曲部は、固定端43Fの先端から自由端に向けて緩やかな弧を描く曲面を有する。各樹脂ばね43が有する固定端43Fは、操作体41が支持体51に対して傾動するときに、操作体41の傾動中心として機能する。
【0049】
各樹脂ばね43は、それの自由端43Aが対向面42Sから離れる方向へ変位することによって、対向面42Sと自由端43Aとを相互に近付ける方向に対向面42Sを付勢する。例えば、自由端43Aが支持体51に留められ、かつ、固定端43Fを傾動中心として操作端部42Aが傾動するとき、自由端43Aが対向面42Sから離れる方向へ各樹脂ばね43は変形する。そして、対向面42Sを支持体51に近づける方向へ、樹脂ばね43は対向面42Sを付勢する。
【0050】
対向面42Sには、それの幅方向AWにおける両端に、対向方向K2に向けて延びる被規制片44を備える。上下一対の被規制片44は、上下一対の樹脂ばね43よりも幅方向AWの内側に位置する。上下一対の被規制片44において対向方向K2の先端は、フック44Fを備える。上下一対のフック44Fは、被規制部の一例であって、幅方向AWの外側に向けて折り曲げられた形状を有する。
【0051】
対向面42Sには、それの幅方向AWにおける中央に、対向方向K2に向けて立つ留め歯45を備える。留め歯45は、幅方向AWに延びる突条であり、それの幅方向AWにおける中央に、対向方向K2とは反対方向に向けて窪む逃げ部45Aを備える。留め歯45は、第2ガイドリブG2の挿入方向K1に位置し、第2ガイドリブG2と一体である。留め歯45が対向方向K2に有する高さである歯高は、第1高さの一例であって、第2高さの一例である第2リブ高さHG2よりも大きい。留め歯45における挿入方向K1の厚みは、相互に隣接する調整歯13Bの間隙とほぼ同じであり、逃げ部45Aにおける幅方向AWの厚みは、補強部13Tが幅方向AWに有する厚みとほぼ同じである。
【0052】
図6が示すように、操作体41と支持体51との隙間にバンド端部13が位置するとき、留め歯45の先端は、相互に隣接する調整歯13Bの隙間に嵌り、挿入方向K1に並ぶ複数の調整歯13Bのなかで、相互に隣接する1組の調整歯13Bと噛み合う。また、各調整歯13Bが有する歯高Tとほぼ同じ高さを有する補強部13Tは、留め歯45が有する逃げ部45Aに嵌る。そして、操作体41に対するバンド端部13の移動が、挿入方向K1および抜去方向K0において留まり、バンド留め具40に対してバンド端部13が留まる。
【0053】
この状態から、例えば、図6の二点鎖線が示すように、固定端43Fを傾動中心として操作端部42Aが傾動するとき、相互に隣接する調整歯13Bの隙間から留め歯45は外れ、逃げ部45Aから補強部13Tも外れる。そして、操作体41に対するバンド端部13の移動が可能となる。この際、バンド端部13が挿入方向K1へ挿し入れられると、第2ガイドリブG2と第3ガイドリブG3とは、各調整歯13Bが留め歯45に引っ掛かることを抑え、また、第1ガイドリブG1は、各調整歯13Bがガイド壁42Bに引っ掛かることを抑え、これらによって、バンド端部13の挿し入れが円滑に進む。
【0054】
なお、各調整歯13Bにおける挿入方向K1の先端と、帯状部13Aの表面との形成する角度は、挿入角度θ1である。各調整歯13Bにおける挿入方向K1の基端と、帯状部13Aの表面との形成する角度は、留め角度θ0である。挿入角度θ1は、留め角度θ0よりも十分に小さく、挿入角度θ1は例えば30°であり、留め角度θ0は例えば90°である。また、留め歯45が調整歯13Bの隙間に嵌る状態で、留め歯45における挿入方向K1の側面と、調整歯13Bの抜去方向K0の側面とは、例えば0°以上5°以下を形成する。こうした調整歯13Bの構造は、操作体41と支持体51との隙間にバンド端部13が挿し入れられるとき、樹脂ばね43の付勢に抗して調整歯13Bが留め歯45を押し上げ、留め歯45と支持体51との隙間にバンド端部13が挿し入れられやすい。反対に、こうした調整歯13Bの構造は、調整歯13Bが留め歯45を抜去方向K0に通過し難く、留め歯45と支持体51との隙間が広げられない状態では、操作体41と支持体51との隙間からバンド端部13が抜き去られ難い。
【0055】
図7が示すように、操作体41と支持体51との隙間にバンド端部13が位置するとき、挿入方向K1から見て、第2ガイドリブG2の先端と、各調整歯13Bの幅方向AWにおける中間部とが相互に対向するように、一対の第2ガイドリブG2が位置する。また、第3ガイドリブG3の先端と、帯状部13Aの幅方向AWにおける端部とが相互に対向するように、一対の第3ガイドリブG3が位置する。そして、第2ガイドリブG2と調整歯13Bとの間隙と、第3ガイドリブG3と調整歯13Bとの間隙とが相互にほぼ等しくなるように、第2リブ高さHG2と第3リブ高さHG3とが設定される。
【0056】
ここで、固定端43Fを傾動中心として操作体41が傾動するとき、操作端部42Aの対向方向K2とは、操作体41と支持体51との隙間のなかで、操作体41と支持体51との間隙が広がる領域である。このように間隙が広がる領域は、操作体41と支持体51との隙間のなかで、バンド端部13が挿し入れられる操作の領域、また、バンド端部13が引き出される操作の領域として適している。そして、このように間隔が広がる領域に留め歯45、第2ガイドリブG2、および、第3ガイドリブG3が位置する。そのため、留め歯45と対向する位置までバンド端部13を挿し入れる操作や、留め歯45と対向する位置からバンド端部13を抜き去る操作など、これらの操作を容易なものとすることが可能となる。
【0057】
図8が示すように、支持体51は、バンド端部14の端に位置するほぼ矩形板状を有した支持本体52を備え、支持本体52が有する1つの側面は、第1面の一例であって対向面42Sと対向した支持面52Sである。支持本体52の延びる方向は、挿入方向K1であってバンド端部14の延在方向でもある。
【0058】
支持本体52における挿入方向K1の先端は、対向方向K2とは反対方向に支持面52Sから立つバンドガイド52Cを備える。バンドガイド52Cは、それの幅方向AWの中央に、上述したバンド幅Wよりも大きい幅を有する挿通孔を備える。支持本体52における挿入方向K1の基端は、支持端部52Aである。操作体41と支持体51との隙間にバンド端部13が挿し入れられるとき、この支持端部52Aに沿って移動するバンド端部13がバンドガイド52Cの挿通孔を通る。また、操作体41と支持体51との隙間からバンド端部13が抜き去られるとき、バンドガイド52Cの挿通孔から抜き去られるバンド端部13が支持端部52Aに沿って移動する。
【0059】
支持面52Sには、それの幅方向AWにおける両端に、操作体41に向けて立つ軸支部52Bを備える。上下一対の軸支部52Bは、幅方向AWにおいてバンド幅Wよりも大きい隙間W51を空け、一対の軸支部52Bの間をバンド端部13が挿入方向K1および抜去方向K0へ移動することを許容する。各軸支部52Bは、支持面52Sから操作体41に向けて立つ凹曲面である軸支面53Fを有する。上下一対の軸支面53Fは、軸支部52Bの一部であって、支持面52Sにおける幅方向AWの両端に位置する壁によって挟まれている。そして、操作体41が支持体51に取り付けられた状態では、各樹脂ばね43の固定端43Fを軸支面53Fが支持する。また、各樹脂ばね43の固定端43Fを軸支部52Bが有する幅方向AWの壁が支持し、操作体41が支持体51に対して幅方向AWに変位し、それによってがたつくこと、さらには、支持体51に対して操作体41が外れることを抑える。
【0060】
支持面52Sには、それの幅方向AWにおける両端に、操作体41に向けて立つ第1掛け留め部53と、第2掛け留め部53Aとを備える。上下一対の第1掛け留め部53、および、上下一対の第2掛け留め部53Aは、幅方向AWにおいて隙間W51とほぼ等しい幅を空け、一対の掛け留め部53,53Aの間をバンド端部13が挿入方向K1および抜去方向K0へ移動することを許容する。
【0061】
一対の第1掛け留め部53は、操作体41に向けた先端に、幅方向AWの外側に向けて折り曲げられた形状を有するフックを備える。一対の第2掛け留め部53Aは、操作体41に向けた先端に、幅方向AWの内側に向けて折り曲げられた形状を有するフック54Fを備える。支持面52Sのなかで、第1掛け留め部53のフックと対向する部分、および、第2掛け留め部53Aのフック54Fと対向する部分は、支持面52Sを貫通する孔を有する。支持面52Sが有するこれらの孔は、各掛け留め部53,53Aのフックが形成される際に、金型が抜かれる孔として機能する。そして、操作体41が支持体51に取り付けられた状態では、樹脂ばね43における挿入方向K1のほぼ中央と第1掛け留め部53とが係合し、また、樹脂ばね43における自由端43Aと第2掛け留め部53Aとが係合し、各樹脂ばね43における幅方向AWの両側が、各掛け留め部53,53Aによって掛け留めされる。それによって、樹脂ばね43が対向面42Sに近づくことを、これら2種類の掛け留め部53,53Aが規制する。
【0062】
支持面52Sには、それの幅方向AWにおける両端に、操作体41に向けて立つ規制片54を備える。上下一対の規制片54の先端は、規制部の一例であるフックであって、幅方向AWの内側に向けて折り曲げられた形状を有する。そして、操作体41が支持体51に取り付けられた状態では、規制片54が有するフックの対向方向K2に、被規制片44のフック44Fが位置する。
【0063】
支持面52Sには、それの幅方向AWにおける両端に、操作体41に向けて立つバンドガイド51Gを備える。上下一対のバンドガイド51Gにおける対向方向K2の先端は、支持面52Sから離れている。上下一対のバンドガイド51Gは、幅方向AWにおいて隙間W51よりも若干小さい幅を空け、各バンドガイド51Gと支持面52Sとの隙間を、バンド端部13の両端部が移動することを許容する。
支持面52Sは、それの幅方向AWにおける両端に、操作体41に向けて立つリブガイド55を備える。上下一対のリブガイド55は、操作体41が支持体51に取り付けられた状態で、上下一対の第3ガイドリブG3の外側壁面と接するように位置する。一対のリブガイド55は、操作体41が支持体51に取り付けられた状態で、また、操作体41が支持体51に対して傾動するとき、操作体41が支持体51に対して幅方向AWに変位し、それによってがたつくこと、さらには、支持体51に対して操作体41が外れることを抑える。
【0064】
図9が示すように、操作体41と支持体51との隙間にバンド端部13が位置するとき、一対の軸支部52B、一対の第1掛け留め部53、および、一対の第2掛け留め部53Aの隙間にバンド端部13が通され、また、バンドガイド52Cが有する挿通孔にバンド端部13が通される。そして、バンド端部13の幅方向AWにおける両端部は、バンドガイド51Gと支持面52Sとの間に入り込み、それによって、バンド端部13が支持面52Sから離れることが抑えられる。
【0065】
図10が示すように、操作体41が支持体51に取り付けられた状態では、各樹脂ばね43の固定端43Fは、支持面52Sが備える軸支面53Fに支持される。各固定端43Fにおいて軸支面53Fに支持される曲面は、操作体41と支持体51との隙間が広げられるとき、その曲面の曲率半径を拡大させるような応力を受ける。この際、固定端43Fの有する曲面に対して、それの径方向の外側に軸支面53Fが位置するため、上述した応力を固定端43Fのみが受ける構成と比べて、固定端43Fに対する機械的な負荷が軽減される。
【0066】
また、各樹脂ばね43における挿入方向K1のほぼ中央や、各樹脂ばね43の自由端43Aは、2種類の掛け留め部53,53Aが有するフックによって、それの対向面42Sに向けた変位が規制される。そして、操作体41と支持体51との隙間にバンド端部13が挿し込まれたり、操作体41が傾動されたりすると、操作体41と支持体51との隙間が広げられる。この際、樹脂ばね43の全体が対向面42Sに近づくことが、樹脂ばね43と各掛け留め部53,53Aとの係合によって規制され、樹脂ばね43のばね力が対向面42Sを支持面52Sに向けて付勢する。
【0067】
また、操作体41が有する被規制片44のフック44Fは、支持体51が有する規制片54のフックよりも、対向方向K2に位置する。被規制片44が有するフック44Fと、支持体51が有する規制片54のフックとの対向方向K2における距離は、許容最大値HSである。そして、操作体41と支持体51との隙間がさらに広げられるとき、被規制片44が有するフック44Fと、支持体51が有する規制片54のフックとの距離が縮まり、最後には、被規制片44が有するフック44Fと、支持体51が有する規制片54のフックとが当接して、操作体41の傾動が規制される。これによって、操作体41と支持体51との隙間の大きさが傾動許容範囲の最大値である許容最大値HSを超えることを、規制片54と被規制片44とが止める。
【0068】
図11が示すように、バンドガイド51Gが有する挿入方向K1側の側面は、挿入方向K1および対向方向K2に対して傾きを有する斜面である。また、被規制片44が有する抜去方向K0側の側面もまた、挿入方向K1および対向方向K2に対して傾きを有する斜面である。これらバンドガイド51Gが有する挿入方向K1側の側面と、被規制片44が有する抜去方向K0側の側面とは、ほぼ平行であり、操作体41が支持体51に取り付けられた状態で相互に対向する。
【0069】
操作体41と支持体51との隙間が広げられるとき、バンドガイド51Gの有する挿入方向K1側の斜面に対して被規制片44が摺動する。また、操作体41と支持体51との隙間が狭まるときも、バンドガイド51Gの有する挿入方向K1側の斜面に対して被規制片44が摺動する。これによって、操作端部42Aによる操作体41の操作方向は、上述の斜面が有する傾きに定められ、こうした操作の案内がない構成と比べて、操作から受ける樹脂ばね43の負荷を許容範囲に収めることが可能ともなる。
以上、上記実施の形態によれば、以下に列挙する効果が得られる。
【0070】
(1)バンド端部13に対する押圧とその解除とが2つの樹脂部材である操作体41と支持体51とによって実現されるため、ヘッドバンド用留め具の部材の点数を少なくすることが可能である。
【0071】
(2)支持体51に対する操作体41の傾動は、規制片54と被規制片44とが係合することによって、傾動許容範囲を超えないように規制される。それゆえに、操作体41と支持体51との隙間からバンド端部13を抜き去る操作を利用者に円滑に行わせることが可能となる。
【0072】
(3)操作体41と支持体51との隙間のなかで間隔が広がる領域に、留め歯45、第2ガイドリブG2、および、第3ガイドリブG3が位置する。それゆえに、留め歯45と対向する位置までバンド端部13を挿し入れる操作、留め歯45と対向する位置からバンド端部13を抜き去る操作、これらの操作を容易なものとすることが可能となる。
【0073】
(4)バンド端部13を構成する帯状部13Aが、環形状に追従した曲面状を有し、また、バンド端部13を構成する複数の調整歯13Bが、同じく環形状に追従した曲線状を有する補強部13Tによって結ばれる。それゆえに、バンド端部13の全体が有する形状を環形状に追従させることが容易でもある。
【0074】
なお、上記実施形態は以下のように変更して実施することができる。
[バンド端部]
・2つのバンド端部13,14の少なくとも一方は、それが十分に高い可撓性を有し、バンド本体部10に対する平面視において直線状を有してもよい。例えば、バンド端部14は、バンド本体部10が作る環形状に沿った曲面状を有し、これに対し、バンド端部13は、バンド本体部10に対する平面視において直線状を有してもよい。
【0075】
・バンド端部13から補強部13Tが省略されてもよい。補強部13Tが省略されたバンド端部13であれば、複数の調整歯13Bの構造を簡素なものとすることが可能であるから、ヘルメット用ヘッドバンドの製造に要する負荷を軽減することが可能でもある。
【0076】
・バンド端部14を構成するバンド本体と支持体51とは、別部材であってもよい。バンド端部14を構成するバンド本体と支持体51とが別部材であれば、一対のバンド端部を相互に留めることに特化した構造をバンド留め具40に採用することが容易ともなる。
【0077】
[ガイドリブ]
・第1ガイドリブG1、第2ガイドリブG2、および、第3ガイドリブG3の有する形状は、各調整歯13Bの形状に合わせて適宜変更されるものである。例えば、各調整歯13Bの有する歯高が、幅方向AWの中央よりも幅方向AWの両端で大きい構成では、第1リブ高さHG1や第2リブ高さHG2よりも第3リブ高さHG3が大きいことが好ましい。
【0078】
・操作体41と支持体51との隙間にバンド端部13が挿し入れられるときに、調整歯13Bが支持体51に向けて立つように配置される構成では、第1ガイドリブG1、第2ガイドリブG2、および、第3ガイドリブG3は支持面52Sに備えられることが好ましい。
【0079】
・第1ガイドリブG1、第2ガイドリブG2、および、第3ガイドリブG3の少なくとも1つが割愛されてもよい。ガイドリブが割愛される構成であれば、操作体41の構造の簡素化を図ることが可能である。
・バンドガイド51Gが支持体51から割愛されてもよく、こうした構成であれば、支持体51が有する構造の簡素化を図ることが可能であって、支持体51を形成するための金型の簡素化を図ることが可能でもある。
【0080】
[留め歯]
・操作体41と支持体51との隙間にバンド端部13が挿し入れられるときに、調整歯13Bが支持体51に向けて立つように配置される構成では、留め歯45が支持面52Sに備えられることが好ましい。すなわち、留め歯45を備える樹脂部材と、樹脂ばね43を備える樹脂部材とが別々の部材であってもよい。
【0081】
[樹脂ばね]
・各樹脂ばね43が支持体51に備えられ、軸支部52Bが操作体41に備えられる構成であってもよい。また、各樹脂ばね43は、相互に異なる形状であってもよく、各樹脂ばね43を支持面52Sに留める構造もまた、相互に異なってもよい。さらに、2つの樹脂ばね43のうちで一方の樹脂ばね43が操作体41から割愛され、かつ、その樹脂ばね43を支持面52Sに留めるための構造が支持体51から割愛されてもよい。
【0082】
・第1掛け留め部53と第2掛け留め部53Aとのいずれか一方が割愛されてもよい。第1掛け留め部53と第2掛け留め部53Aとの双方を備える構成であれば、各樹脂ばね43の位置の安定性を確保することが容易であり、第1掛け留め部53と第2掛け留め部53Aとのいずれか一方が割愛される構成であれば、ヘッドバンド留め具の構成を簡素化することが可能である。
【0083】
・樹脂ばね43を支持面52Sに留める構造は、第1掛け留め部53や第2掛け留め部53Aのように、上下一対の樹脂ばね43を幅方向AWで挟む構造に限らず、上下一対の樹脂ばね43の間に位置する構造であってもよい。また、樹脂ばね43の固定端43Fを支持する軸支構造もまた、上下一対の軸支部52Bのように、上下一対の樹脂ばね43を幅方向AWで挟む構造に限らず、上下一対の樹脂ばね43の間に位置する構造であってもよい。
【0084】
例えば、図12が示すように、支持面52Sには、バンド端部13における幅方向AWの両側を挟む上下一対のガイド壁56が備えられる。一対のガイド壁56は、支持面52Sから対向面42Sに向けて立ち、かつ、挿入方向K1に沿って延びる。そして、一対のガイド壁56を上下一対の樹脂ばね43が挟むように、操作体41が支持体51に取り付けられる。こうした構成においては、第1掛け留め部53や第2掛け留め部53Aのように、樹脂ばね43を支持面52Sに留めるためのフックが、各ガイド壁56に備えられてもよい。また、軸支部52Bのように、樹脂ばね43の固定端43Fを支持するための軸支面53Fが、各ガイド壁56に備えられてもよい。
【0085】
さらに、上記構成においては、ガイド壁56を幅方向AWに沿って貫通する嵌合孔56Hを各ガイド壁56が備え、この嵌合孔56Hに嵌合する嵌合突起43Pを各樹脂ばね43が備え、ガイド壁56の嵌合孔56Hと樹脂ばね43の嵌合突起43Pとの嵌合によって、各樹脂ばね43が支持面52Sに留められてもよい。こうした構成であれば、樹脂ばね43を支持面52Sに留めるためのフックを割愛することが可能であるため、フックを形成するための金型が抜かれる孔も支持本体52から割愛することが可能であるから、こうした孔に利用者の頭髪が入り込むことも抑えられる。
【0086】
[規制片]
図12が示すように、支持面52Sには、上述した状態一対のガイド壁56が備えられ、上下一対の規制片54はガイド壁56から幅方向AWの外側に向けて延びる構造体であってもよい。この際、操作体41が備える周壁には、幅方向AWの内側に向けて延びる被規制片44が備えられる。
【符号の説明】
【0087】
C…中心軸、T…歯高、W…バンド幅、A1…延在方向、A2…内側方向、AW…幅方向、G1…第1ガイドリブ、G2…第2ガイドリブ、G3…第3ガイドリブ、HS…許容最大値、K0…抜去方向、K1…挿入方向、K2…対向方向、WG…リブ間幅、HG1…第1リブ高さ、HG2…第2リブ高さ、HG3…第3リブ高さ、10…バンド本体部、11…バンド中央部、12…バンド連結部、13…バンド端部、13A…帯状部、13B…調整歯、13T…補強部、14…バンド端部、20…取付部、22…取付環状部、23…取付可撓部、24…留め部、30…帽体、40…ヘッドバンド用留め具、41…操作体、42…操作本体、42A…操作端部、42B…ガイド壁、42S…対向面、43…樹脂ばね、43A…自由端、43F…固定端、43P…嵌合突起、44…被規制片、45…留め歯、45A…逃げ部、51…支持体、51G…バンドガイド、52…支持本体、52A…支持端部、52B…軸支部、52C…バンドガイド、52S…支持面、53…第1掛け留め部、53A…第2掛け留め部、53F…軸支面、54…規制片、55…リブガイド、56…ガイド壁、56H…嵌合孔。
図1
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図12